JP2004258418A - 液晶表示素子セル作製用カセット及び液晶表示素子セルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】対向する2枚の基板をシール部材を介して貼り合わせて成るとともに、そのシール部材に液晶注入口を設けた液晶表示用貼り合わせ基板を、上記液晶注入口を下側に配するように立設した液晶表示素子セル作製用カセットにおいて、液晶注入時にてスペーサの下端より下側に液晶注入口が配され、かつ液晶注入後にスペーサの板面内に液晶注入口が配されるような構成と前記液晶表示用貼り合わせ基板に押圧する方向と直交する側に前記液晶表示用貼り合わせ基板が落ちないようにすべく係止手段とを設けることにより、簡単な構造の液晶表示素子セル作製用カセットにおいてもスペーサに液晶材を付着させることなく、また、短冊基板をカセットから落下させることなく液晶表示素子セルに液晶注入及び注入口の封止を行う。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶表示素子セルの液晶材注入及び注入口封止の双方に用いられる液晶表示素子セル用カセット並びにそれを用いた液晶表示素子セルの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示素子セルは、つぎのような製造方法で作製される。
【0003】
たとえばSTN型の液晶表示素子セルの製造方法によれば、成膜した信号側の基板と走査側の基板をマスターガラスとなして、双方の研磨面を対向させて貼り合わせ、そして、熱硬化性の外周シール部を圧着工程でもって硬化させる。その後、そのマスターガラスの貼り合わせ基板を一列づつの液晶表示素子セルごとに分断し切り離すことで、複数列の液晶表示素子セルを得る。このような一列の液晶表示素子セルは通常、短冊基板と称し、マスターガラスを一列づつの液晶表示素子セルごとに分断し切り離すことは一次分断と称する。また、短冊基板を構成する個々の液晶表示素子セルは通常セルと呼ばれる。
【0004】
液晶表示素子セルの注入方法は、液晶材及び液晶表示素子セルを所定の時間真空状態に保った後、液晶表示素子セルの注入口を液晶材中に浸して大気圧に戻し、液晶表示素子セル内と大気との圧力差を利用して液晶表示素子セルに液晶材を注入する。
【0005】
また、1次分断にて短冊基板を液晶材注入専用カセットにセットし、短冊基板を構成する個々のセルに液晶材注入を行った後、液晶表示素子セルの基板間の間隙を一定に保持するギャップ制御や注入口封止の為にガラス基板を適度に加圧、又は減圧した状態で保持出来る専用カセットに移し替えて注入口の封止を行っていた(特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−131764号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、液晶材を液晶表示素子セルの基板間の間隙に注入するとき、液晶表示素子セルの基板間の間隙を一定間隔に保つギャップ制御(加圧)を行ないながら、実施する方法も取られていたが、基板間に挿入するスペーサが液晶材に触れる、もしくは毛細管現象で基板とスペーサの間に液晶材が入り込む等の問題があった。
【0008】
また、これらを改善する為にスペーサに切り欠きを設けたりスペーサと注入口までの距離を離す等の手段が考えられていたが、表示面を全面加圧出来ない事から表示ムラが発生しやすくなっていた。
【0009】
さらに、注入口付近に付着した液晶材を拭き取る作業や注入口封止、その他作業で注入口を上向きにしたとき、短冊基板が落下してしまう危険性が有った。
【0010】
本発明の目的は、上記欠点に鑑み案出されたもので、その目的は短冊基板もしくはスペーサに液晶材が付着しない液晶表示素子セル作製用カセット及び製造方法を提供することにある。
【0011】
また、本発明の他の目的は、液晶表示素子セルの表示ムラをなくした液晶表示素子セル作製用カセット及び製造方法を提供することにある。
【0012】
さらに、本発明の他の目的は、注入口付近に付着した液晶材を拭き取る作業や、注入口封止作業で液晶表示素子セル作製用カセットを逆さまにしたときでも、短冊基板の落下のないようにした液晶表示素子セル作製用カセット及び製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の液晶表示素子セル作製用カセットは、対向する2枚の基板をシール部材を介して貼り合わせて成るとともに、そのシール部材に液晶注入口を設けた液晶表示用貼り合わせ基板を、上記液晶注入口を下側に配するように立設した液晶表示素子セル作製用カセットにおいて、液晶注入時にてスペーサの下端より下側に液晶注入口が配され、かつ液晶注入後にスペーサの板面内に液晶注入口が配されるような構成にしたことを特徴とする。
【0014】
本発明の他の液晶表示素子セル作製用カセットにおいて、前記カセットにスペーサを支えるためのスペーサ保持部材と、このスペーサ保持部材を設置する部材を設けたことを特徴とする。
【0015】
本発明の他の液晶表示素子セル作製用カセットにおいて、前記カセットに前記液晶表示用貼り合わせ基板が落下しないようにすべく係止手段を設けたことを特徴とする。
【0016】
本発明の他の液晶表示素子セル作製用カセットにおいて、前記係止手段は前記液晶表示用貼り合わせ基板の落下防止部材と、この落下防止部材を設置する部材とからなることを特徴とする。
【0017】
さらにまた、本発明の液晶表示素子セル作製用カセットを使った液晶表示素子セルの製造方法において、前記カセットで液晶表示素子セルに液晶材を注入する工程と注入口を封止する工程を行うことを特徴とする。
【0018】
【作用】
本発明の液晶表示素子セル用カセットによれば、上記構成のように、対向する2枚の基板をシール部材を介して貼り合わせて成るとともに、そのシール部材に液晶注入口を設けた液晶表示用貼り合わせ基板を、上記液晶注入口を下側に配するように立設した液晶表示素子セル作製用カセットにおいて、液晶注入時にてスペーサの下端より下側に液晶注入口が配され、かつ液晶注入後にスペーサの板面内に液晶注入口が配されるような構成と前記液晶表示用貼り合わせ基板に押圧する方向と直交する側に前記液晶表示用貼り合わせ基板が落ちないようにすべく係止手段を設けた。従って、本発明の液晶表示素子セル作製用カセットを使った液晶表示素子セルの製造方法において、簡単な構成のカセットでスペーサに液晶材の付着を防止し、また、カセットを逆さまにして作業を行うときでも、短冊基板落下がないようにすることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る液晶表示素子セル作製用カセット(以下、カセットと略す)を図面により詳述する。
【0020】
図1は本発明に係るカセットの平面概略図である。図2は短冊基板の上面概略図である。図3は個片基板の上面概略図である。図4は図1のa部拡大図である。図5は短冊基板とスペーサをカセットに設置する直前の状態を示す図1のb部の拡大図である。図6は短冊基板とスペーサをカセットに設置したときの状態を示す図1のb部の拡大図である。図7は短冊基板とスペーサをカセットに設置し、落下防止部材を挿入したときの状態を示す図1のb部の拡大図である。図8は短冊基板とスペーサをカセットに設置し、落下防止部材を挿入し、さらにスペーサ保持部材を抜き出したときの状態を示す図1のb部の拡大図である。
【0021】
本発明のカセットにおいて、液晶注入時にてスペーサの下端より下側に液晶注入口が配され、かつ液晶注入後スペーサの板面内に液晶注入口が配されるような構成にしたことで、液晶注入時に短冊基板5とスペーサ8の間に液晶材が毛細管現象で入って行く事を防止すると共に、スペーサ8自身が直接液晶材に浸る事を防止できる。また、液晶材注入後に行う短冊基板5のギャップ制御(加圧)時に表示面全面をスペーサ8で加圧することもできる。
【0022】
さらに、前記液晶表示用貼り合わせ基板に押圧する方向と直交する側に前記液晶表示用貼り合わせ基板が落ちないようにすべく係止手段を設けたことで、短冊基板5がカセット7から落下することは発生しない。
【0023】
図1と図5〜図8に示すカセット7を使った液晶表示素子セルの液晶材注入作業において、スペーサ保持部材16を図5に示すカセット7内のスペーサ保持部材16を受け止めるための部位に挿入してから、スペーサ8と短冊基板5をそれぞれ順次カセット7内のスペーサ保持部材16上とカセット7内の基板受け基準11上に設置する。さらにL型の形状を呈し、その長辺に突部20が設けられた磁力の引力を受ける金属(たとえば、鉄材、鋼材、磁力の引力を受ける合金材等)等の材料からなる落下防止部材17を図6に示すカセット7内の落下防止部材17を受け止めるための部位にセットする。このとき、L型形状を呈する落下防止部材17の長辺の突部20はカセット7内の落下防止部材17を受け止めるための溝21に挿入され、さらに落下防止部材17はカセット7内の磁石15からの引力を受けるため、短冊基板5が基板受け基準11と落下防止部材17の間で挟まれ、固定される一方、スペーサ8はスペーサ保持部材16によって保持される。
【0024】
また、この落下防止部材17をSUS材からなる部材を用いて作製すると、加工が容易だけでなく、優れた耐久性と低コストも実現できる。
【0025】
スペーサ保持部材16は液晶材注入時にスペーサ8を保持し、液晶材注入後にはカセット7から抜き取ってスペーサ8を下方へ落とし込む為のものである。
【0026】
これは注入時に短冊基板5とスペーサ8の間に液晶材が毛細管現象で入って行く事を防止すると共に、スペーサ8自身が直接液晶材に浸る事を防止する為に必要であり、その為に液晶材注入時にはスペーサ8が注入口よりも2〜5mm以上は上方にあったほうがよいのでスペーサ保持部材16によってその高さを変える事が可能となる。スペーサ保持部材16を抜いてスペーサ8を下方へ下げる目的は、液晶材注入後に行う短冊基板5のギャップ制御(加圧)時に表示面全面をスペーサ8で加圧する必要がある為である。注入口2の封止の為にUV硬化樹脂18を塗布した後には減圧もしくは解放を行って注入口2の入り口付近に適量のUV硬化樹脂18を浸透させる必要があるが、カセット7においては構造上何ら問題は無い。その後UV照射を行って封止を完了させる。これらの構造によって一次分断後から注入口封止UV硬化までをカセット7で処理する事が可能となり、途中でカセットを交換する必要が無くなる。更に途中作業でカセット7を反転させることも可能となる。このとき、カセット7を逆さまにしても短冊基板5が基板受け基準11と落下防止部材17の間で挟まれ、固定されているため、短冊基板5がカセット7から落下することはしなくなり、短冊基板5とスペーサ8の間に圧力がかかっているため、スペーサ8の落下も発生しない。
【0027】
以下に本発明の液晶表示素子セル作製用カセット7の各構成をより詳細に述べる。
【0028】
カセット7は短冊基板5、スペーサ8,プッシャー9、ストッパー10、基板受け基準11、落下防止部材17、スペーサ保持部材16で構成されておりスペーサ8はバイトンやSUS、Al、ガラス等の材質を使用し表示ムラに影響しないように平面度の高い加工がされている必要がある。更に短冊基板5との吸着力を下げて出し入れを容易にする為にフッ素コーティング等の表面処理も必要である。プッシャー9には加圧力を保持させる為にバネ12が構成されている。ストッパー10は図4のような構造となっており、押し込んでいる間だけプッシャー4が摺動するようになっているが自動化を前提としないのであればレバーによる回転型の締め付けストッパーでも良い。落下防止部材17は例えば磁性力のあるSUS材を使用し、共通カセット側に磁石15を設けて短冊基板5とスペーサ8をセットした後に入れ込む事で保持させる事が出来る。落下防止部材17は注入口拭き取りや注入口封止時にカセット7を反転させた方が良い場合(たとえば注入口の封止を行うとき等)に必要な機構である。
【0029】
本発明の液晶表示素子セル作製用カセット7を使った液晶表示素子セルの製造方法の1実施例のフローチャートを図9に示す。カセット7は短冊基板5、スペーサ8,プッシャー9、ストッパー10、基板受け基準11、落下防止部材17、スペーサ保持部材16で構成されておりスペーサ8は2mm厚のバイトンの表面にフッ素をコーティングし、短冊基板5とスペーサ8の吸着力を低減させて短冊基板5の出し入れをしやすくしている。プッシャー9には加圧力を保持させる為にバネ12が構成されている。ストッパー10は図4のような構造となっており、押し込んでいる間だけプッシャー9が摺動する。落下防止部材17は磁性力のあるSUS材を使用し、カセット7側に磁石15を設けて短冊基板5とスペーサ8をセットした後に入れ込んで保持させる。1次分断を終えて短冊状となった短冊基板5は作業者によってカセット7に詰め込みを行う。詰め込み作業は短冊基板5をカセット7の基板受け基準11にセットしスペーサ8はスペーサ保持部材16にセットする。これらを交互に詰め込んで入れ込んだ後に短冊基板5とスペーサ8が大きく動かない程度(プッシャー9のバネ12が利かない程度)にスペーサ8に押し当ててストッパー10によって保持させる。この状態では短冊基板5はフリーの状態となっている。この後に短冊基板5が入ったカセット7を120℃程度のベーク槽に入れた後に冷却してから液晶材注入装置にて注入を行う。液晶材注入後はギャップ加圧を行う為にカセット7のスペーサ保持部材16を抜き取ってスペーサ8を下方へ落とし込む。これによってスペーサ8は表示面全面を覆う事が可能となる。加圧は装置にてカセット7のストッパー10でプッシャー9の摺動を可能として所定の圧力をプッシャー9に与え、ストッパー10でプッシャー9を保持させる。これによってカセット7に入った短冊基板5には均一に所定のギャップ圧がかけられる。その後、カセット7を反転させた後に注入口2からしみ出した液晶材をワイプにて拭き取ってから自動のスタンピング方式によって注入口封止用のUV硬化樹脂18を注入口2に塗布する。塗布が終了したカセット7は反転させて減圧を行うがこの時もギャップ加圧と同様にストッパー10にてプッシャー9の摺動を可能として所定の圧力をプッシャー9に与え、ストッパー10でプッシャー9を保持させる。これによってカセット7に入った短冊基板5には均一に所定の減圧力がかけられ、塗布したUV硬化樹脂18を注入口入り口付近に浸透させる事が出来る。その後UV照射装置に投入し共通カセット7の下側から照射を行う。ここまでの作業を全てカセット7で処理させる事が可能である。
【0030】
尚、本発明は上述の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。
【0031】
【発明の効果】
以上の通り、本発明の液晶表示素子セル作製用カセットによれば、短冊基板を一列に受け入れるための基板受け入れ基準と短冊基板に一定の圧力をかけるギャップ制御機構を設けるとともに、液晶注入時にてスペーサの下端より下側に液晶注入口が配され、かつ液晶注入後スペーサの板面内に液晶注入口が配されるような構成と前記液晶表示用貼り合わせ基板に押圧する方向と直交する側に前記液晶表示用貼り合わせ基板が落ちないようにすべく係止手段とを設けたことで、本発明の液晶表示素子セル作製用カセットを使った液晶表示素子セルの製造方法において、簡単な構成のカセットでスペーサに液晶材の付着を防止し、また、カセットを逆さまにして作業を行うときでも、短冊基板の落下が発生しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る液晶表示素子セル作製用カセットの概略的断面図である。
【図2】短冊基板の概略的上面図である。
【図3】個片基板の概略的上面図である。
【図4】図1のa部の拡大断面図である。
【図5】短冊基板とスペーサを液晶表示素子セル作製用カセットに設置する直前の状態を示す図1のb部の拡大図である。
【図6】短冊基板とスペーサを液晶表示素子セル作製用カセットに設置したときの状態を示す図1のb部の拡大図である。
【図7】短冊基板とスペーサを液晶表示素子セル作製用カセットに設置し、落下防止部材もカセットに挿入したときの状態を示す図1のb部の拡大図である。
【図8】短冊基板とスペーサを液晶表示素子セル作製用カセットに設置し、落下防止部材を挿入し、さらにスペーサ保持部材を抜き出したときの状態を示す図1のb部の拡大図である。
【図9】液晶表示素子セルの製造方法のフロー図である。
【符号の説明】
1・・・個片基板
2・・・注入口
3・・・表示面
4・・・実装端子部
5・・・短冊基板
6・・・捨て基板部
7・・・カセット
8・・・スペーサ
9・・・プッシャー
10・・・ストッパー
11・・・基板受け基準
12・・・バネ
13・・・ボール
14・・・板バネ
15・・・磁石
16・・・スペーサ保持部材
17・・・落下防止部材
18・・・UV硬化樹脂
Claims (5)
- 対向する2枚の基板をシール部材を介して貼り合わせて成るとともに、そのシール部材に液晶注入口を設けた液晶表示用貼り合わせ基板を、上記液晶注入口を下側に配するように立設した液晶表示素子セル作製用カセットにおいて、液晶注入時にてスペーサの下端より下側に液晶注入口が配され、かつ液晶注入後にスペーサの板面内に液晶注入口が配されるような構成にしたことを特徴とする液晶表示素子セル作製用カセット。
- 前記カセットにスペーサを支えるためのスペーサ保持部材と、このスペーサ保持部材を設置する部材を設けたことを特徴とする請求項1記載の液晶表示素子セル作製用カセット。
- 前記カセットに前記液晶表示用貼り合わせ基板が落下しないようにすべく係止手段を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の液晶表示素子セル作製用カセット。
- 前記係止手段は前記液晶表示用貼り合わせ基板の落下防止部材と、この落下防止部材を設置する部材とからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の液晶表示素子セル作製用カセット。
- 請求項1〜4のいずれか記載のカセットを用いて、液晶表示素子セルに液晶材を注入する工程と、前記液晶注入口を封止する工程とを具備したことを特徴とする液晶表示素子セルの製造方法。
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JP2003050028A JP4203338B2 (ja) | 2003-02-26 | 2003-02-26 | 液晶表示素子セルの製造方法 |
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