JP2004258224A - 光記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】フォトクロミック物質を利用した非破壊読み出しが可能で、高感度で応答速度が速く、繰り返し耐久性などに優れた性能を有する光記録媒体を提供すること。
【解決手段】フォトクロミズムを示す物質が、デオキシリボ核酸中で配向していることを特徴とする、旋光度の変化により記録の読み出しを行なう光記録媒体。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光記録媒体に関し、詳しくはフォトクロミズムを示す物質を含有した高感度な光記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
これまでフォトクロミズムを示す物質(以下、フォトクロミック物質、フォトクロミック化合物またはフォトクロミック材料ともいう)は、2つの異性体の間で、少なくともどちらか一方が光反応により可逆的に構造が変化し、吸収スペクトルその他の特性が変化するというその特徴的な物性が注目され、古くより研究されてきた。現在、光応答性有機色素の中でもフォトクロミズムを示す有機化合物の開発が最も活発であり、現在求められているデバイス機能に合致した有機化合物の分子設計および合成研究が活発に行われている。
【0003】
フォトクロミズムとは、下記の式(1)に示したように「光の作用により単一の化学種が分子量を変えることなく、吸収スペクトルの異なる2つの状態を可逆的に生成する現象」と定義されている。即ち、フォトクロミズムとは、ある種の化合物に、それぞれの化合物に特定の波長hνの光を照射すると、速やかに色が変わり、また特定の波長hνの光を照射するか、もしくは加熱することにより、元の色に戻る可逆作用を示すことである。このような性質を有する物質は、フォトクロミック物質と呼ばれ、従来から種々の化合物が合成されてきた。
【0004】
【化1】
Figure 2004258224
【0005】
このフォトクロミック化合物を、書き換え可能な記録媒体として利用する方法としては、光照射により光異性化させることを利用する記録媒体が提案されている(例えば、非特許文献1を参照)。ところが、光異性化に伴う変化を利用した、この光記録媒体では、読み出し時に吸収のある波長域で読み出す必要がある。従って、記録の読み出しに使用する光は、記録を消去する光となる。そのために記録が読み出しにより徐々に崩壊してしまうという問題点があった。その解決方法として、フォトクロミック化合物が分散した延伸フィルムに、光を照射し、照射前後の旋光度の差をフォトクロミック化合物の吸収のない波長領域の光によって検出することによって、記録情報の読み出しを行なう方法が提案されている(特許文献1を参照)。しかし、この方法では、フォトクロミック化合物がフィルム中で充分に配向せず期待した性能が出ないこと、フォトクロミック化合物の感度はフィルム中では充分でないこと、マトリックスによってはその相溶性の乏しさによって、フォトクロミック化合物がフィルムからブリードするなどの問題があった。
【0006】
フォトクロミック化合物は、コーティングしたり、ポリマー中に練り混んだりしてフィルム化して使用するのが一般的である(例えば、特許文献2〜4を参照)。そのマトリックスとしては、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレン、ポリプロピレン、メチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートなどの樹脂が用いられている。しかし、これらの場合も、フォトクロミック化合物の感度が充分に出ないことや、ブリードなどの問題があった。フォトクロミック物質をマトリックスに混入しフィルムを記録媒体に利用する技術、また薄膜化以外でも、フォトクロミック材料をエポキシ樹脂や光硬化剤材料に分散させて、材料化する技術も開示されているが、この場合も、フォトクロミック化合物はランダムに配列し、光を利用した読み出し方法を利用するため、記録の読み出しにより記録が徐々に崩壊してしまうという問題を解決していなかった。
【0007】
一方、デオキシリボ核酸(以下、DNAともいう)は、地球上の全ての生物が持っている有機化合物であり、2本のポリヌクレオチド鎖が螺旋状に巻いた分子構造を有する。ヌクレオチド鎖の構成分子である核酸塩基には、アデニン、チミン、グアニン、シトシンの4種がある。これらの核酸塩基は、中心に対して垂直な平面内で互いに内側に突出した形で存在して、いわゆるワトソン−クリック型塩基対を形成する。このように、DNAは特徴的な化学構造を有しており、さまざまな物質と極めて特異性、選択性の高い相互作用をする機能性高分子素材といえる。そこで、DNAを天然の高分子素材として機能材料へ応用しようとする試みがなされている。
その例として、DNA中に有機色素などの芳香族化合物を導入し、機能材料として利用することが試みられている。
【0008】
例えば、特許文献5には、DNA水溶液を乳鉢に入れ、これに固体で且つ水不溶性の色素を加えて磨砕すると水溶液に色がついてくるから、この着色液を分離することにより、コンプレックスが得られることが記載されている。
【0009】
また、非特許文献2及び特許文献6には、DNA−Na塩水溶液と長鎖アルキル基を有する四級アンモニウム塩の水溶液とを混合し、生成した沈殿を遠心分離後、凍結乾燥し、得られたDNA−四級アンモニウム塩コンプレックスを非水系有機溶媒に溶解してキャストしてフィルムを作製し、このフィルムを色素の水溶液またはメタノール溶液に24時間浸漬することにより、DNAに色素を導入したフィルムを得る方法が記載されている。
【0010】
また、非特許文献3及び特許文献6には、DNA−Na塩水溶液と長鎖アルキル基を有する四級アンモニウム塩の水溶液とを混合し、生成した沈殿を濾別乾燥し、得られたDNA−四級アンモニウム塩コンプレックスを非水系溶媒に溶解し、色素を加えて一晩放置後、キャスト法により、DNAに色素を導入したフィルムを得る方法が記載されている。さらに、特許文献7〜9には、DNA複合体の製造方法が記載されている。
【0011】
さらに、特許文献10には、フォトクロミック物質とDNAの複合材料についての報告があるが、光記録媒体への具体的な利用については記載されておらず、勿論DNAの不斉を利用してフォトクロミック化合物のキロプティカルな性質を利用した記録材料についても記載されておらず、DNA中のフォトクロミック材料の配向状態などの知見を得ることもできない。
また、特許文献11には、フォトクロミズムを示す物質をDNA中へ導入した複合体について、延伸処理などを行なって機能物質の配向を行なうことが記載されているが、旋光度を利用した非破壊読み出しに関することは記載されておらず、その知見を得ることもできない。
【0012】
以上のように、フォトクロミック化合物を導入した光記録媒体で充分な性能を有するものはなかった。
【0013】
【特許文献1】
特開平2−181746号公報
【特許文献2】
特開平5−271648号公報
【特許文献3】
特開平6−102616号公報
【特許文献4】
特開平11−315199号公報
【特許文献5】
特開昭61−6885号公報
【特許文献6】
特開平11−119270号公報
【特許文献7】
特開2001−181295号公報
【特許文献8】
特開2001−226395号公報
【特許文献9】
特開2001−247597号公報
【特許文献10】
特開2001−329255号公報
【特許文献11】
特開2001−294597号公報
【非特許文献1】
Chem. rev. 2000, 100, 1777−1788
【非特許文献2】
J. Am. Chem. Soc., 118 (44), 1067 (1996)
【非特許文献3】
Polymer Preprints, Japan, 48 (3), 368 (1999)
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、フォトクロミック物質を利用した非破壊読み出しが可能で、高感度で応答速度が速く、繰り返し耐久性などに優れた性能を有する光記録媒体を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、フォトクロミズムを示す物質をデオキシリボ核酸中に導入したフィルム中のDNA鎖を一定方向に配向することによって、DNA中に取り込まれているフォトクロミック化合物のキロプティカルな性質が誘起すること、また不斉を持ったDNAにフォトクロミズムを示す物質を導入することによって、DNAとフォトクロミック化合物の相互作用によってキラルな性質が誘起すること、そして、これらの性質が誘起することで生じる大きな旋光度変化を利用することによって、非破壊読み出しを可能にする光記録媒体が得られることを知見した。
【0016】
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、フォトクロミズムを示す物質が、デオキシリボ核酸中で配向していることを特徴とする、旋光度の変化により記録の読み出しを行なう光記録媒体を提供するものである。
また本発明は、フォトクロミズムを示す物質を、配向処理されたデオキシリボ核酸中に導入するか、もしくは、フォトクロミズムを示す物質が導入されたデオキシリボ核酸を、配向処理することを特徴とする上記の本発明の光記録媒体を製造する方法を提供するものである。
また本発明は、上記の本発明の光記録媒体の記録状態を、フォトクロミズムを示す物質による吸収のない波長領域の光によって旋光度を検出することにより読み出す、非破壊読み出し方法を提供するものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の光記録媒体およびその製造方法ならびに非破壊読み出し方法について詳述する。
【0018】
フォトクロミズムを示す物質(フォトクロミック化合物)
本発明で使用されるフォトクロミック化合物は、光反応性を持つフォトクロミック化合物であれば特に限定されない。また、フォトクロミック化合物は単独で使用しても良く、また使用目的によっては、2種類以上のフォトクロミック化合物を組み合わせて使用しても良い。
上記フォトクロミック化合物としては、例えば、スピロピラン類、スピロオキサジン類、フルギド類、フルギミド類、ジアリールエテン類などの有機フォトクロミック化合物が挙げられ、スピロオキサジン類、フルギド類、フルギミド類、ジアリールエテン類が特に好ましい。
以下に上記有機フォトクロミック化合物の例を挙げる。
【0019】
有機フォトクロミック化合物
1)スピロピラン類
下記一般式(2) により表される化合物であり、その具体例として下記式(3) により表されるものが挙げられる。
【0020】
【化2】
Figure 2004258224
(ただし、R、RおよびRはそれぞれ水素原子、アルキル基またはアラルキル基であり、Wはヘテロ原子であり、X〜X10は置換または無置換の炭素環、置換または無置換の複素環、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、エステル基、シアノ基、ホルミル基、カルボキシル基、アミノ基などの原子や置換基のいずれでもよく、更に上記より選ばれる複数の置換基、炭素環あるいは複素環が結合したものでもよく、更にX〜X10のいずれか2つが途中にヘテロ原子を含んでもよい環を形成してもよい。)
【0021】
【化3】
Figure 2004258224
【0022】
上記スピロピラン類は、下記式(4) により表されるように、特定の波長hνの紫外線照射により開環し、また特定の波長hνの可視光線の照射により元に戻る可逆変化をする。この可逆変化は、熱エネルギーTによっても起こるので、熱可逆的であると言うことができる。
【0023】
【化4】
Figure 2004258224
【0024】
本発明では、スピロピラン類は、DNA中に導入した場合、安定性にやや問題が生じる場合もある。
【0025】
2)スピロオキサジン類
下記一般式(5)により表される化合物であり、その具体例として下記式(6) により表されるものが挙げられる。
【0026】
【化5】
Figure 2004258224
(ただし、R、RおよびRはそれぞれ水素原子、アルキル基またはアルコキシル基であり、Wはヘテロ原子であり、X11〜X19は置換または無置換の炭素環、置換または無置換の複素環、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、エステル基、シアノ基、ホルミル基、カルボキシル基、アミノ基などの原子や置換基のいずれでもよく、更に上記より選ばれる複数の置換基、炭素環あるいは複素環が結合したものでもよく、更にX11〜X19のいずれか2つが途中にヘテロ原子を含んでもよい環を形成してもよい。)
【0027】
【化6】
Figure 2004258224
【0028】
上記スピロオキサジン類は、下記式(7)に表されるように、特定の波長hνの紫外線照射により開環し、また特定の波長hνの可視光線の照射により元に戻る可逆変化をする。この可逆変化は、熱エネルギーTによっても起こるので、熱可逆的であると言うことができる。上記スピロオキサジン類を使用した場合、スピロピラン類に比べて繰り返し耐性が高くなり好ましい。
【0029】
【化7】
Figure 2004258224
【0030】
3)ジアリールエテン類
下記一般式(8)または(9) により表される化合物であり、その具体例として下記式(10)により表されるものが挙げられる。:
【0031】
【化8】
Figure 2004258224
(ただし、Y〜Yは炭素原子、窒素原子、酸素原子のいずれでもよい。R、R7’、R、R8’、R、R9’、R13、R13’ 、R14、R14’ 、R15、R15’ は、Y〜Yに結合している原子または置換基を表し、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子、水素原子、置換または無置換のアルキル基、アラルキル基、アリール基などのうち一種または二種以上のいずれでもよい。Y〜Yが炭素原子の場合、一般式(8)および(9)に示すY〜Yに結合している原子または置換基は、R、R7’、R、R8’、R、R9’、R13、R13’ 、R14、R14’ 、R15、R15’ であり、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子、水素原子、置換または無置換のアルキル基、アラルキル基、アリール基などのうち一種または二種以上のいずれでもよく、RとR7’は同じ一つの原子あるいは置換基である場合もあり、Yと二重結合を形成しても構わない。同様にRとR8’はY、RとR9’はY、R13とR13’ はY、R14とR14’ はY、R15とR15’ はYと二重結合を形成しても構わない。Y〜Yが窒素原子の場合、一般式(8)および(9)に示すY〜Yに結合している原子または置換基は、R、R、R、R13、R14、R15だけであり、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子、水素原子、置換または無置換のアルキル基、アラルキル基、アリール基などのいずれでもよい。Y〜Yが酸素原子の場合、一般式(8)および(9)に示すY〜Yに結合するR、R7’、R、R8’、R、R9’、R13、R13’ 、R14、R14’ 、R15、R15’ は存在しない。
10、R11、R16及びR17はそれぞれ水素原子、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、エステル基、シアノ基、ホルミル基、カルボキシル基、アミノ基などの原子や置換基のいずれでもよく、X20〜X23およびX24〜X27は置換または無置換の炭素環、置換または無置換の複素環、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、エステル基、シアノ基、ホルミル基、カルボキシル基、アミノ基などの原子や置換基のいずれでもよく、更に上記より選ばれる複数の置換基、炭素環あるいは複素環が結合したものでもよく、更にX20〜X23およびX24〜X27のいずれか2つが途中にヘテロ原子を含んでもよい環を形成してもよい。Z、Z、ZおよびZはヘテロ原子であり、3価以上の場合には水素原子、アルキル基またはアラルキル基が結合してもよい。)
【0032】
【化9】
Figure 2004258224
【0033】
上記ジアリールエテン類は、下記式(11)または(12)によって表されるように、特定の波長hνまたはhνの紫外線照射により閉環し、また特定の波長hνまたはhνの可視光の照射により元に戻る可逆変化をする。この可逆変化は、熱エネルギーにより起こらないので、熱不可逆的である。
【0034】
【化10】
Figure 2004258224
【0035】
4)フルギド類
下記一般式(13)により表される化合物であり、その具体例として下記式(14)により表されるものが挙げられる。
【0036】
【化11】
Figure 2004258224
(ただし、R18〜R21はそれぞれ水素原子、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、エステル基、シアノ基、ホルミル基、カルボキシル基、アミノ基などの原子や置換基のいずれでもよく、X28およびX29は置換または無置換の炭素環、置換または無置換の複素環、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、エステル基、シアノ基、ホルミル基、カルボキシル基、アミノ基などの原子や置換基のいずれでもよく、更に上記より選ばれる複数の置換基、炭素環あるいは複素環が結合したものでもよい。更にX28およびX29は途中にヘテロ原子を含んでもよい環を形成してもよい。Z はヘテロ原子であり、3価以上の場合には水素原子、アルキル基またはアラルキル基が結合してもよい。)
【0037】
【化12】
Figure 2004258224
【0038】
上記フルギド類は、下記式(15)により表されるように、特定の波長hν の紫外線照射により閉環し、また特定の波長hν10の可視光線の照射により元に戻るという可逆変化をする。この可逆変化は、熱エネルギーにより起こらないので、熱不可逆的である。
【0039】
【化13】
Figure 2004258224
【0040】
5)フルギミド類
下記一般式(16)により表される化合物であり、その具体例として下記式(17)により表されるものが挙げられる。
【0041】
【化14】
Figure 2004258224
(ただしR22〜R25はそれぞれ水素原子、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、エステル基、シアノ基、ホルミル基、カルボキシル基、アミノ基などの原子や置換基のいずれでもよく、X30は置換または無置換の炭素環、置換または無置換の複素環、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、エステル基、シアノ基、ホルミル基、カルボキシル基、アミノ基などの原子や置換基のいずれでもよく、X31およびX32はそれぞれ置換または無置換の炭素環、置換または無置換の複素環、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、エステル基、シアノ基、ホルミル基などの原子や置換基のいずれでもよく、更に上記より選ばれる複数の置換基、炭素環あるいは複素環が結合したものでもよく、更にX31およびX32は途中にヘテロ原子を含んでもよい環を形成してもよい。Z はヘテロ原子であり、3価以上の場合には水素原子、アルキル基またはアラルキル基が結合してもよい。)
【0042】
【化15】
Figure 2004258224
【0043】
上記フルギミド類は、下記式(18)に表されるように、特定の波長hν11の紫外線の照射により閉環し、また特定の波長hν12の可視光線の照射により元に戻るという可逆変化をする。この可逆変化は、熱エネルギーにより起こらないので、熱不可逆的である。
【0044】
【化16】
Figure 2004258224
【0045】
尚、上記有機フォトクロミック化合物の置換基に関していずれの場合も、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基およびエステル基は炭素数が18以下であるのが好ましい。また、Zはヘテロ原子であり、3価以上の場合には水素原子、アルキル基またはアラルキル基が結合してもよい。
【0046】
本発明で好ましく用いられるフォトクロミック化合物は、DNAの不斉を利用した読み出しの点から、それ自身がキラリティを持った化合物であるか、もしくは不斉を持ったDNAに導入されることによって、DNAとフォトクロミック化合物の相互作用によってキラルな性質が現れる化合物(色素自体はキラルではないが、媒体のキラリティを反映してキラルな性質が現れるもの)である。
【0047】
デオキシリボ核酸(DNA)
本発明で使用されるDNAは、特に限定されないが、原料としてサケ、マス、ニシン、サバ、タラなどの魚類の白子(精子)、牛の乳腺などが挙げられる。DNAの分子量や純度は用途や目標物性に応じて適宜、選択すればよい。
【0048】
光記録媒体
本発明の光記録媒体は、上記のフォトクロミズムを示す物質(フォトクロミック化合物)が、デオキシリボ核酸(DNA)中で配向しているものであればよい。具体的には、例えば、配向処理されたDNA中にフォトクロミック化合物が導入されたものか、あるいは、フォトクロミック化合物が導入されたDNAを配向処理したものである。
【0049】
DNAへのフォトクロミック化合物の導入方法は、DNAとフォトクロミック化合物を混合すればよく、混合方法は特に限定されないが、例えば、DNAとフォトクロミック化合物とを溶媒を使用せずそのままの状態で混合し複合化する方法、DNAとフォトクロミック化合物を極性溶媒中で沈殿を生成させることなく混合し複合化させる方法、DNA水溶液とフォトクロミック化合物を水と分離する有機溶媒中で混合し、複合物を有機溶媒中に抽出する方法、DNA水溶液とフォトクロミック化合物を有機溶媒中で混合し、複合物を沈殿として分離する方法などが挙げられ、DNAとフォトクロミック化合物を混合するときに、溶媒を使用することが好ましい。複合化後の工程として、使用した溶媒を除去しても、沈殿を溶媒に再溶解してもよい。さらに、DNAとフォトクロミック化合物との混合時に有機系カチオン物質などを併用してもよい。
【0050】
上記有機系カチオン物質としては、特に限定されないが、アミン類や四級アンモニウム塩類が好ましく、四級アンモニウム塩の種類により得られる組成物の要求する物性を付与することが可能となる。具体的には、トリメチルベンジルアンモニウム塩、トリエチルベンジルアンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどのベンジルアンモニウム塩;ラウリルピリジニウム塩、ラウリルピコリニウム塩などのアルキルピリジニウム塩;イミダゾリニウム塩;テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、ラウリルトリメチルアンモニウム塩、ミリスチルトリメチルアンモニウム塩、オレイルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、ジラウリルジメチルアンモニウム塩などの脂肪族四級アンモニウム塩;トリメチルフェニルアンモニウム塩;トリメチル(テトラオキサドコシル)アンモニウム塩、ポリオキシプロピレンメチルジエチルアンモニウム塩などのポリオキシアルキレンアンモニウム塩;カルボキシベタイン、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタイン、アルキルアミンオキシドなどの両性界面活性剤;ポリジメチルジアリルアンモニウム塩、ジメチルジアリルアンモニウム塩とアクリルアミドの共重合体などの高分子カチオン化合物などが挙げられる。
上記有機系カチオン物質を添加する場合の添加量は、特に限定されるものではないが、DNA中のリン原子1個に対して有機系カチオン物質0. 1〜1. 5モルとするのが好ましい。
【0051】
本発明において、DNA中へのフォトクロミック化合物の導入量は、旋光度の読み出しの点から、DNAの塩基対のモル数:フォトクロミック化合物のモル数が1:1〜1000:1が好ましく、更に50:1〜100:1がより好ましい。DNAの塩基対のモル数よりフォトクロミック化合物のモル数が多いと、DNAと相互作用せずにフリーのフォトクロミック化合物が多くなるため、旋光度にばらつきが生じる傾向や旋光度差が小さくなる傾向があり、DNAの塩基対のモル数がフォトクロミック化合物のモル数の1000倍を超えると、読み出しに利用する旋光度差が小さくなる傾向がある。
【0052】
上記のDNAとフォトクロミック化合物との混合時に、加熱し、攪拌すると、DNA中へのフォトクロミック化合物の導入速度と導入率が向上するので、好ましい。該混合時の温度は、好ましくは0〜100℃、より好ましくは30〜80℃である。これより温度が高いとDNAが変成する恐れがある。
【0053】
本発明でのDNA中へのフォトクロミック化合物の導入様式には、DNAの構造から、DNAのリン酸残基とフォトクロミック化合物のカチオン基とのコンプレックス形成によるもの、DNAの核酸塩基対間へのフォトクロミック化合物の挿入(インターカレーションと称されている)が考えられ、導入様式を制御することによって、高機能発現が期待される。単にDNAにフォトクロミック化合物が混合付着しているものは、好ましくない。DNAのリン酸残基へのフォトクロミック化合物の優先的導入には、カチオン性のフォトクロミック化合物が適している。
【0054】
DNAへフォトクロミック化合物を導入する際、フォトクロミック化合物は単独でも、2種類以上の化合物を混合したものでもよいが、お互いの旋光度を打ち消すような2種以上の組み合わせは好ましくない。
DNAへのフォトクロミック化合物の導入は、配向処理を施していないDNAへ導入し、その後、配向処理を施してもよいし、既に配向処理を施したDNAへフォトクロミック化合物を導入してもよい。
【0055】
DNAとフォトクロミック化合物とを極性溶媒中で混合後、その極性溶媒を除去する工程を行った場合のフォトクロミック化合物の導入様式には、DNAのリン酸残基とのコンプレックス化およびDNAの核酸塩基対間へのインターカレーションに加えて、DNAにフォトクロミック化合物が単に混合付着しているものが考えられるので、この場合は、極性溶媒を除去して得られた固形分を、「DNAに単に混合付着しているフォトクロミック化合物だけを溶解するような溶媒(アセトン、シクロヘキサンなど)」で洗浄するのが好ましい。この洗浄に使用する溶媒は、使用するDNAの状態やフォトクロミック化合物の種類によって異なり、特に限定されるものではない。
【0056】
本発明によれば、フォトクロミック化合物をDNAの核酸塩基対へ導入することによって、フォトクロミック材料の寿命を短縮化する大きな要因の一つである副反応を抑えることが可能となる。また、もともとフォトクロミック化合物中に含まれる「光反応を行わない立体異性体」を効率的に除去し、光反応を行う化合物だけを有効に利用することができる。
また、フォトクロミック化合物をDNAのリン酸残基とコンプレックス化することにより、フォトクロミック化合物を規則的に配列することができ、分子間の相互作用などを受けにくくすることができる。
【0057】
本発明での配向処理としては、延伸処理、押し出し処理などが挙げられる。例えば、フィルム状のDNAを一定方向に延伸処理することによって、DNA鎖が一定方向に配向し、DNA中に導入されたフォトクロミック化合物を同一方向に配列することができる。また、溶媒に溶解もしくは溶融したDNAを押し出し噴出する方法により、DNA鎖を同一方向に配列することができる。更に、フォトクロミック化合物を導入したDNAの粉末を、他のマトリックス樹脂中に混入し、フィルムを調製した後、このフィルムを延伸処理することにより、フォトクロミック化合物を導入したDNA鎖がマトリックス中で一定方向に配列する結果、フォトクロミック化合物を一定方向に配向することもできる。そして、DNAのもつ不斉を利用して、フォトクロミック化合物のキロプティカルな性質を誘起することにより、旋光度やCDスペクトルを大きく変化させることができる。
【0058】
本発明では、フィルム中のフォトクロミック化合物を導入したDNA鎖を一定方向に配向することにより、フォトクロミック化合物のキロプティカルな性質を誘起させる。このフィルムにフォトクロミック化合物がフォトクロミック反応を示す波長の光を照射することにより、記録の書き込みもしくは消去が可能となる。更に、本発明では、フォトクロミック化合物の2つの異性体がもつ吸収帯以外の波長域で、キロプティカルな性質のために生じた旋光度変化を利用することにより記録の読み出しを行うため、非破壊読み出しが可能となる。そのために、フィルム中のDNA鎖は一定方向に配向していることが好ましい。DNA鎖を一定方向に配向させる方法としては、前記で述べたように、フィルムを一定方向に延伸処理すること、溶媒に溶解もしくは溶融したDNAを押し出し噴出する方法などがあげられるが、特に限定されるものではない。
【0059】
本発明の光記録媒体への情報の書き込みは、以下のようにして行う。すなわち記録媒体の記録を書き込みたい部分にフォトクロミック反応が起こる波長の光を照射すると、光照射した部分のみが構造を変化し、光照射しなかった部分の変化が起こらない。この性質を利用することで書き込みを行うことができる。この場合、フォトクロミック化合物は無色体、着色体のどちらでもよく、それぞれの化合物の吸収のある部分に光照射すればよく、一般的には無色体の場合は書き込み光を紫外域の光、着色体の場合は可視域の光を照射することで書き込みを行うことができるが、それに限定されるものではない。
【0060】
本発明の光記録媒体に書き込まれた情報の読み出しは以下のように行う。
DNAに導入され一定方向に延伸処理されることによって規則正しく配列されたフォトクロミック化合物は、キロプティカルな性質をもち、そのため旋光度を示すが、フォトクロミック化合物が着色体である場合と消色体である場合では、それぞれの旋光度が異なる。旋光度変化は、吸収スペクトルの吸収のない波長域でも変化があり、吸収のない波長域を使用することにより非破壊読み出しが可能となる。吸収のある波長域を使用すると、フォトクロミック化合物がその光を吸収して、徐々に光異性化を起こし、旋光度が変化してしまうために非破壊読み出しとはならない。
【0061】
本発明の光記録媒体は、フィルム中のDNA鎖が一定方向にそろって並んでいるフィルムが好ましく、フィルム化の方法は特に制限されない。また、フォトクロミック化合物を導入したDNAと延伸可能な他の高分子材料とを混合して調製したフィルムでもよい。
【0062】
上記の延伸可能な他の高分子材料の例としては、非晶性ポリオレフィン樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのポリメタクリル樹脂、ポリメチルアクリレートなどのポリアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルケトン、メチルペンテンポリマー、ポリアリレート樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどのポリオレフィン、ポリフェニレンサルファイド、ナイロン、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセタール、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルエーテル、エポキシ樹脂、セルロース誘導体などがあげられる。
【0063】
本発明の光記録媒体のフィルム化は、例えば、DNAとフォトクロミック化合物とをコンプレックス形成またはインターカレーションによって複合化して得られた固形分を溶媒(例えば水、エタノール)に溶解してキャスト法により行う。この時、減圧および/または加熱して溶媒を除去すると、効率的に成膜化でき、また透明なフィルムが得やすくなる。ここで得たフィルムを一定方向に延伸処理すればよい。また、スピンコーティングすることによって放射状に配向したフィルムを調製してもよい。尚、キャスト、スピンコートおよび延伸処理時のフィルムの加熱温度は、フィルムの変成を防ぐため100℃以下が好ましい。
【0064】
本発明の光記録媒体は、各種記録媒体として利用することができる。その具体的用途としては、高密度光記録メモリなどが挙げられる。
【0065】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
【0066】
実施例1
鮭白子由来DNA(P含有率7.7質量%、以下の実施例及び比較例においても同じものを使用)78mg(0.2mmol)を蒸留水10mlに溶解し、DNA水溶液を調製した。下記化合物1(ジアリールエテン)の 0.1mmol(32.2mg)をクロロホルム10mlに溶解または分散させ、これを上記DNA水溶液と混合した。混合物を40℃にて30分間攪拌した後、水−クロロホルムの混合溶媒を除去して固形分を得た。得られた固形分は、単に付着しているジアリールエテン1を除去するため、アセトン10mlにて浸漬洗浄した。固形分を濾別減圧乾燥後、エタノールに溶解し、キャスト成膜してジアリールエテン1を導入したフィルムを得た。このフィルムを1.5倍に一軸延伸して延伸フィルムとし、本発明の光記録媒体を得た。
【0067】
【化17】
Figure 2004258224
【0068】
実施例2
鮭白子由来DNA78mg(0.2mmol)を蒸留水10mlに溶解し、DNA水溶液を調製した。下記化合物2(ジアリールエテン)の0.05mmol(16.4mg)をエタノール10mlに溶解し、これを上記DNA水溶液と混合した。混合物を40℃にて1時間攪拌した後、シャーレにキャストしてフィルムを得た。このフィルムを加温しながら3倍に一軸延伸処理して、本発明の光記録媒体を得た。
【0069】
【化18】
Figure 2004258224
【0070】
実施例3
1)DNAコンプレックスの調製
鮭白子由来DNA780mg(2mmol Pのモル換算)を蒸留水100mlに溶解し、DNA水溶液を調製した。このDNA水溶液に塩化ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド2mmolを添加し、得られた沈殿を濾過して、真空乾燥してDNAコンプレックス1.75gを調製した。
2)フォトクロミック化合物を導入した光記録媒体の調製
上記DNAコンプレックス175mg(0.2mmol)をクロロホルム2mlに溶解し、DNAコンプレックスのクロロホルム溶液を調製した。下記化合物3(ジアリールエテン)の0.05mmol(26.4mg)をクロロホルム1mlに溶解し、これを上記DNAコンプレックスのクロロホルム溶液に添加して、暗所室温にて30分間撹拌した。この混合溶液をキャスト成膜してフィルムを得た。このフィルムを加温しながら2.5倍に一軸延伸処理して、本発明の光記録媒体を得た。
【0071】
【化19】
Figure 2004258224
【0072】
実施例4
実施例3で調製したDNAコンプレックス175mg(0.2mmol)をクロロホルム2mlに溶解し、DNAコンプレックスのクロロホルム溶液を調製した。下記化合物4(フルギド)の 0.01mmol(3.2mg)をクロロホルム2mlに溶解し、これを上記DNAコンプレックスのクロロホルム溶液に添加して、暗所室温にて30分間撹拌した。この混合溶液をキャスト成膜してフィルムを得た。このフィルムを加熱しながら2倍に一軸延伸処理して、本発明の光記録媒体を得た。
【0073】
【化20】
Figure 2004258224
【0074】
実施例5
1)DNAコンプレックスの調製
鮭白子由来DNA780mg(2mmol Pのモル換算)を蒸留水100mlに溶解し、DNA水溶液を調製した。このDNA水溶液にアデカミン4MAC−30(旭電化工業(株)製)2mmolを添加し、得られた沈殿を濾過して、真空乾燥してDNAコンプレックス1.35gを調製した。
2)フォトクロミック化合物を導入した光記録媒体の調製
上記DNAコンプレックス135mgをメタノール3mlに溶解し、DNAコンプレックスのメタノール溶液を調製した。下記化合物5(フルギミド)の0.02mmol(7.7mg)をメタノール1mlに溶解し、これを上記DNAコンプレックスのメタノール溶液に添加して、暗所室温にて30分間攪拌混合した。この混合溶液をキャスト成膜してフィルムを得た。このフィルムを加熱しながら2倍に一軸延伸処理して、本発明の光記録媒体を得た。
【0075】
【化21】
Figure 2004258224
【0076】
実施例6
実施例5で調製したDNAコンプレックス135mgをエタノール3mlに溶解し、DNAコンプレックスのエタノール溶液を調製した。下記化合物6(スピロオキサジン)の0.02mmol(6.7mg)をエタノール2mlに溶解し、これを上記DNAコンプレックスのエタノール溶液に添加して、暗所室温にて60分間攪拌混合した。この混合溶液をキャスト成膜してフィルムを得た。このフィルムを加熱しながら2倍に一軸延伸処理して、本発明の光記録媒体を得た。
【0077】
【化22】
Figure 2004258224
【0078】
実施例7
実施例5で調製したDNAコンプレックス135mgをエタノール2mlに溶解し、DNAコンプレックスのエタノール溶液を調製した。下記化合物7(スピロピラン)の0.02mmol(6.4mg)をエタノール1mlに溶解し、これを上記DNAコンプレックスのエタノール溶液に添加して、暗所室温にて60分間攪拌混合した。この混合溶液をキャスト成膜してフィルムを得た。このフィルムを加熱しながら2倍に一軸延伸処理して、本発明の光記録媒体を得た。
【0079】
【化23】
Figure 2004258224
【0080】
実施例8
実施例3で調製したDNAコンプレックス175mgをクロロホルム2mlに溶解し、DNAコンプレックスのクロロホルム溶液を調製した。下記化合物8(ジアリールエテン)の0.03mmol(15.9mg)をクロロホルム1mlに溶解し、これを上記DNAコンプレックスのクロロホルム溶液に添加して、暗所室温にて30分間攪拌混合した。この混合溶液をキャスト成膜してフィルムを得た。このフィルムをクロロホルムに再溶解しても、ジアリールエテンは有機層に抽出されなかった。上記混合溶液とポリエチレンのクロロホルム溶液とを乾燥重量比2:1となるように撹拌混合し、これをキャスト成膜してフィルムを得た。このフィルムを加熱しながら1.5倍に一軸延伸処理して、本発明の光記録媒体を得た。
【0081】
【化24】
Figure 2004258224
【0082】
実施例9
実施例5で調製したDNAコンプレックス135mgをクロロホルム2mlに溶解し、DNAコンプレックスのクロロホルム溶液を調製した。下記化合物9(ジアリールエテン)の0.08mmol(35.7mg)をクロロホルム2mlに溶解し、これを上記DNAコンプレックスのクロロホルム溶液に添加して、暗所室温にて30分間撹拌混合した。この混合溶液を用いて押出し成型機でフィルムを成形し、3倍に一軸延伸処理して、本発明の光記録媒体を得た。
【0083】
【化25】
Figure 2004258224
【0084】
比較例1
実施例3で得たキャストフィルムを延伸せずそのまま光記録媒体とした。
【0085】
比較例2
ポリメチルメタクリレート150mgにジクロロメタン2mlを加え、撹拌溶解してポリメチルメタクリレート溶液を調製した。実施例4で用いた化合物4(フルギド)の0.01mmol(3.2mg)をジクロロメタン1mlに溶解し、これを上記ポリメチルメタクリレート溶液に添加して、暗所室温にて30分間撹拌混合し、脱泡した。この混合溶液をキャスト成膜してフィルムを得た。このフィルムを加熱しながら2倍に延伸し、光記録媒体とした。
【0086】
試験例
実施例1〜9および比較例1〜2で得られた光記録媒体の旋光度変化を調べた。まず得られた光記録媒体の旋光度を測定し、紫外光を照射後に再び旋光度を測定した。旋光度はそれぞれの光記録媒体の紫外可視吸収スペクトルで、吸収の無い波長域において測定した。その際の旋光度差および測定した波長を下記表1に示す。
また、実施例1〜9で得られた光記録媒体について、紫外光、可視光の繰り返し照射を100回行い、旋光度差の安定性をみた(繰り返し試験)。その結果を下記表1に示す。旋光度差の安定性試験(繰り返し試験)は、試験開始時の紫外光および可視光照射後の旋光度差に対して、測定時の旋光度差が80%減少した時の回数を示す。また、100回繰り返し後も、旋光度差に変化の生じなかった場合は、>100と示す。
また、実施例1〜9で得られた光記録媒体について、紫外光を照射した後、暗所80℃で6ヶ月間保存した後、旋光度を測定し、変化の有無をみた(保存安定性試験: ○;保存前と同じ; △;保存前よりわずかに差が減少 ×;旋光度差が消失)。その結果を下記表1に示す。
【0087】
【表1】
Figure 2004258224
【0088】
【発明の効果】
本発明の光記録媒体は、書き込みや消去とは異なる波長の光を読み出し光として使用することにより、非破壊で記録の読み出しを可能にすることができる。また、本発明の光記録媒体は、応答速度が速く、繰り返し耐久性の向上したものである。

Claims (5)

  1. フォトクロミズムを示す物質が、デオキシリボ核酸中で配向していることを特徴とする、旋光度の変化により記録の読み出しを行なう光記録媒体。
  2. フォトクロミズムを示す物質が、スピロオキサジン類、フルギド類、フルギミド類およびジアリールエテン類からなる群から選ばれる1種または2種以上である請求項1記載の光記録媒体。
  3. フォトクロミズムを示す物質を、配向処理されたデオキシリボ核酸中に導入するか、もしくは、フォトクロミズムを示す物質が導入されたデオキシリボ核酸を、配向処理することを特徴とする請求項1または2記載の光記録媒体を製造する方法。
  4. 配向処理が、デオキシリボ核酸のフィルムを一定方向に延伸処理することである請求項3記載の光記録媒体の製造方法。
  5. 請求項1または2記載の光記録媒体の記録状態を、フォトクロミズムを示す物質による吸収のない波長領域の光によって旋光度を検出することにより読み出す、非破壊読み出し方法。
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