JP2004257888A - 圧力センサ温度補正回路 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】感度或いはオフセットの温度特性の勾配成分の平均値H1を打ち消す補正値D1を、圧力センサの任意の2点の温度における勾配成分により補正した勾配補正値DT3,DX3と、勾配成分の平均値H1を温度特性に対して正負のずれが同一となる値を持たせた際の切片成分の変化量である初期値S1を、圧力センサの任意の2点の温度における検出信号の大きさにより補正した初期補正値DZ3,DK3とに基づいて、圧力センサの検出信号を補正した。
1次元の補正であっても、多次項の温度変動成分を反映した補正をすることができ、感度或いはオフセットの誤差を縮小することができるとともに、複雑な回路を要しないので安価である。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、検出信号の感度或いはオフセットの温度特性による誤差を補正する圧力センサ温度補正回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ブリッジ構成の抵抗体からなるセンサ部を有する圧力センサは、周囲の温度変化により、検出信号の感度及びオフセットが影響を受けて誤差を生じるので、圧力センサの量産時に、この温度特性による誤差を個々に補正する必要がある。このような誤差の補正例として、特許文献1に開示された圧力センサ温度補償回路がある。
【0003】
特許文献1に示される圧力センサ温度補償回路は、圧力センサ、スパン(感度)温度補正回路と、オフセット温度補正回路、及び差動増幅回路により構成される。そして、1次で負及び2次で正の温度変動成分を有する圧力センサの検出電圧の感度及びオフセットを補正するために、スパン温度補正回路にて1次で正及び2次で負の温度変動成分を有する電圧を生成し、この電圧を電源電圧として圧力センサに印加する。また、それとともに、オフセット温度補正回路にて1次で正及び2次で負の温度変動成分を有する電圧を生成し、差動増幅回路にて当該電圧を基準電圧として圧力センサの検出電圧を増幅する。従って、圧力センサの感度及びオフセットの温度特性を2次温度変動成分まで補償することができる。
【0004】
【特許文献1】特開平13−91387号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に示される圧力センサ温度補償回路を用いると、圧力センサに内蔵される回路が複雑化するので、製造コストが高くつくという問題がある。
【0006】
また、特許文献1には、従来技術として検出電圧の感度及びオフセットの1次温度変動成分のみを補正する圧力センサ温度補償回路の例が示されている。しかしながら、この場合には、2次温度変動成分は補正されないので、そのまま2次温度変動成分が残存し、高精度な検出出力を得ることができないという問題がある。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑み、安価で、且つ、感度及びオフセットの誤差を縮小できる圧力センサ温度補正回路を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する為に請求項1に記載の圧力センサ温度補正回路は、複数個の抵抗で構成したブリッジ回路を有する圧力センサにおいて、圧力を印加することにより生じる検出信号の感度或いはオフセットの温度による誤差を補正する圧力センサ温度補正回路であって、圧力センサの使用温度範囲内における、感度或いはオフセットの温度特性の勾配成分の平均値を算出し、その平均値を打ち消す値に対して、圧力センサの任意の2点の温度間の温度特性の勾配成分により補正して勾配補正値を求め、さらに、圧力センサの使用温度範囲内における温度特性と勾配成分の平均値との正負のずれが略同一となるように、感度或いはオフセットの温度特性の切片成分の初期値を算出しておき、圧力センサの任意の2点の温度における検出信号の大きさによって初期値を補正して初期補正値を求め、勾配補正値と初期補正値とに基づいて圧力センサの検出信号を補正することを特徴とする。
【0009】
本発明における圧力センサ補正回路は、圧力センサ毎に2点の温度における感度或いはオフセットを測定し、2点間の勾配をもとに勾配成分の平均値を打ち消す値を補正して勾配補正値としており、同様に、2点の検出信号の大きさをもとに初期値を補正して初期補正値としている。
【0010】
従って、勾配補正値に基づいて補正がなされると、1次温度変動成分のみでなく、勾配成分の平均値が算出された温度範囲における多次項の温度変動成分を平均的に打ち消すように補正がなされるので、温度変動成分が全く補正されずに残存することはない。また、初期補正値をもとにして補正した際に、温度特性と勾配成分の平均値との正負のずれが略同一となるように補正されるので、勾配成分の平均値を打ち消す補正と組み合わせることで、感度或いはオフセットの設計値に対する誤差のばらつきを小さくすることができる。従って、1次補正のみを行う場合よりも、感度或いはオフセットの温度による誤差を縮小することができる。
【0011】
また、勾配補正値及び初期補正値は、圧力センサ毎に補正された値であるので、個々の圧力センサの誤差を反映して補正がなされる。
【0012】
また、上記検出信号の補正は、複雑な回路を必要としないので、製造コストを低減することができる。
【0013】
ここで、勾配補正値は、請求項2に記載のように、圧力センサの任意の2点の温度間の温度特性の勾配成分をそれよりも小さい勾配成分に変えるための補正量を、その勾配変化分で除算することにより求めた勾配基準量に、勾配成分の平均値を打ち消す値を乗算した値であることが好ましい。
【0014】
予め算出された勾配成分の平均値を打ち消す値に対して、個々の圧力センサによって異なる勾配基準量を乗算することにより、個々の圧力センサの温度特性のばらつきを反映させることができる。
【0015】
また、請求項3に記載のように、初期補正値は、圧力センサの任意の2点の温度における検出信号の大きさをそれよりも小さくするための補正量を、その大きさの変化分で除算することにより求めた移動基準量に、初期値を乗算したものであることが好ましい。
【0016】
予め算出された初期値に対して、個々の圧力センサによって異なる移動基準量を乗算することにより、個々の圧力センサの温度特性のばらつきを反映させることができる。
【0017】
また、勾配成分の平均値は請求項4に記載のように、複数の圧力センサにおける前記任意の2点を含む3点の温度において、感度或いはオフセットを測定した平均値をもとに算出されると良い。
【0018】
複数の圧力センサにおける感度或いはオフセットの平均値をもとに勾配成分の平均値が算出されると、センサ毎のばらつきが考慮され好ましい。その際、測定点が多いと測定が大変であり、また2点であると、1次成分のみとなるので、3点の温度における測定から勾配成分の平均値を算出すると良い。さらに、3点の温度の内、個々の圧力センサにて補正する際の任意の2点を含んでいると、測定条件を統一できるので好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本実施の形態における圧力センサ温度補正回路の一例を概略説明するためのブロック図である。尚、感度とは、印加される圧力を基準とした出力電圧の変化量(傾き)を示すものであり、オフセットとは、圧力が0の点における出力電圧の値(切片)を示すものである。
【0020】
図1に示されるように、圧力センサ温度補正回路1は、センサ部へ電源電圧Vcc(t)を供給する感度補正回路2と、電源電圧Vcc(t)が印加された状態で圧力の印加を受けると、検出信号としての検出電圧Vs(t)を出力するセンサ部3と、オフセット補正電圧Vof(t)を生成するオフセット補正回路4と、オフセット補正電圧Vof(t)を基準電圧として、検出電圧Vs(t)を増幅する差動増幅回路5と、感度及びオフセットの温度による誤差を補正する補正データとしての勾配補正値及び初期補正値が格納されるメモリ6により構成される。
【0021】
感度補正回路2は、温度センサとしての感温抵抗体を有し、メモリ6に格納された感度の温度による誤差を補正する勾配補正値及び初期補正値に基づき、感度の温度による誤差を補正した電圧を生成し、電源電圧Vcc(t)としてセンサ部3へ供給する。
【0022】
センサ部3は、半導体基板に形成されたダイヤフラム上に拡散抵抗により形成した4つの抵抗体をブリッジ回路構成してなるものであり、印加された圧力に応じた電圧レベルの検出信号Vs(t)を出力する。
【0023】
オフセット補正回路4は、温度センサとしての感温抵抗体を有し、メモリ6に格納されたオフセットの温度による誤差を補正する勾配補正値及び初期補正値に基づき、オフセットの温度による誤差を補正するためのオフセット補正電圧Vof(t)を生成する。
【0024】
差動増幅回路5は、オフセット補正回路4で生成されたオフセット補正電圧Vof(t)を基準電圧として、センサ部3から出力された検出電圧Vs(t)を増幅するもので、Vs(t)を増幅する図示されない前段増幅部と、オフセット補正電圧Vof(t)を基準電圧として重畳する演算部と、基準電圧にて補正された電圧を増幅する後段増幅部とにより構成される。そして、差動増幅回路5にて演算・増幅された電圧が出力電圧Vout(t)として出力される。
【0025】
従って、本実施の形態における圧力センサの出力電圧Vout(t)は、感度及びオフセットの温度による誤差が補正されているので、温度依存性が低減された高精度な検出出力となる。
【0026】
また、例えばEPROMからなるメモリ6は、後述する方法により算出された感度或いはオフセットの温度による誤差の補正データである勾配補正値及び初期補正値を格納するものであり、その補正データは図示されないD/A変換回路を介して感度補正回路2及びオフセット補正回路4に読み出される。
【0027】
次いで本発明の特徴である勾配補正値及び初期補正値を算出する方法を説明するにあたり、補正の原理を先に説明する。尚、以下の説明にあたっては、圧力センサの使用温度範囲において任意の3点を設定し、当該3点間における感度或いはオフセットの温度特性を補正するものとする。その際、3つの測定点は、所定の温度間隔(例えば、低温、室温、高温の3点)をもつように設定すると良い。各点間を結んだ直線は、その間における温度特性を反映(平均化)したものであるので、3点間を結んだ2つの直線を考慮すれば、少なくとも2次温度変動成分を考慮した補正を行うことができる。従って、使用温度範囲を細かく区切れば区切るほど、より正確な補正が実行できるが、感度或いはオフセットの測定点数が増加するので、3点で行うことが好ましい。
【0028】
先ず、圧力センサの使用温度範囲において、所定の温度間隔を有する3点を設定し、各点の感度或いはオフセットを求めることにより、3点間の感度或いはオフセットの温度特性を求める。3点の場合、2つの勾配成分により温度特性が構成されているので、その平均値を用いると、3点間の温度特性が考慮されることとなる。
【0029】
従って、温度特性の勾配成分の平均値を打ち消すような勾配をもった補正値(例えば電圧)を与えてやれば、3点間における温度特性の勾配成分が補正される。その際、勾配成分の平均値が温度特性に対して正負のずれが略同一となるように温度特性の切片成分の初期値をもって補正すると、補正後の感度或いはオフセットの温度特性を誤差0を挟んで正負のずれが略同一となるようにすることができる。従って、1次元の補正であっても、多次項の温度変動成分を反映した補正をすることができ、しかも感度或いはオフセットの誤差を縮小することができる。
【0030】
次に、勾配補正値及び初期補正値を算出する方法について、図2(a)〜(c)を用いて説明する。尚、図2(a)は補正前の図、図2(b)は勾配成分のみを補正した図、図2(c)は初期値を含めた補正をした図である。尚、便宜上、オフセットのみについて説明するが、感度についても同様の手法により、温度特性の勾配成分の平均値、当該平均値を打ち消す補正値、及び初期値が算出される。尚、勾配成分の平均値とは勾配の平均値を、初期値とは勾配成分の平均値を温度特性に対して正負のずれが同一となる値を持たせた際の切片成分の変化量である。
【0031】
先ず、勾配補正値及び初期補正値を算出するに当たり、試作段階において、温度特性の勾配成分の平均値、当該平均値を打ち消す補正値、及び初期値を算出する。
【0032】
圧力センサの使用温度範囲において所定の温度間隔を有する3点a,b,cを設定し、3点において夫々オフセットを測定する。このとき、a−b間の温度差をΔT1、b−c間の温度差をΔT2とする。尚、個々の圧力センサによって多少なりともばらつきが生じるため、夫々の測定点について複数回測定することが好ましく、例えば100回ずつ測定するものとする。
【0033】
そして、各点a,b,cにおけるオフセットの平均値を算出し、3点間におけるオフセットの温度特性の勾配成分の平均値、すなわち3点を結んだ2つの直線の勾配の平均値を算出する。a−b間の勾配をα、b−c間の勾配をβとすると、a〜c間における勾配成分の平均値は次式で示されることとなる。
【0034】
【数1】H1=(ΔT1・α+ΔT2・β)/(ΔT1+ΔT2)
ここで、横軸を温度、縦軸をオフセットの設計値に対する誤差とすると、オフセットの変化勾配とその平均値H1との関係は、例えば図2(a)に示されるものとなる。図2(a)において、実線がオフセットの温度特性であり、破線H1が勾配成分の平均値である。尚、縦軸に用いられた誤差とは、印加圧力が0点におけるオフセット電圧の設計値に対する誤差を示すものであり、電圧差を用いても良いし、設計値との比率を用いても良い。
【0035】
勾配成分の平均値H1は勾配の成分のみに起因するので、図2(a)に示すようにH1が変化勾配に対してどの位置に配置されるか決定されない。すなわち、勾配成分の平均値H1を打ち消す勾配成分を有する補正値D1(=−H1)のみに基づいて温度特性を補正しても、切片成分により補正後のオフセットの誤差が変わることとなる。例えば、勾配成分の平均値H1が図2(a)の上方側のH1で示される切片成分を有して居る場合、そのH1をD1により補正すると、図2(b)に示されるように、3点間全てにおいてオフセットの誤差が負側に偏ったものとなる。
【0036】
従って、オフセットの誤差を最小とするためには、補正前のオフセットの温度特性と勾配成分の平均値H1とのずれが正負略同一となる(図2(a)において、下方側のH1)ように切片成分の補正量である初期値を決定すればよい。換言すれば、図2(c)に示されるように、補正後の温度特性が誤差0を挟んで正負が略同一となるように初期値が決定されれば良い。従って、図2(a)の例えば中点bにおいて、誤差0を基準としたオフセットと勾配成分の平均値H1を基準とした際のオフセットとの差を初期値S1とすることができる。また、図2(c)に示される補正後の温度特性における中点bのオフセットと、図2(a)に示される補正前の温度特性の中点bのオフセットとの差を初期値S1としても良い。
【0037】
尚、勾配成分の平均値H1を打ち消す勾配成分を有する補正値D1に基づいて補正を行うと、補正後の温度特性の勾配は、夫々の傾きα、βに補正値D1を足したものとなる。このとき、a,c点におけるオフセットから中点bにおけるオフセットを減算したものが略等しくなり、この差を誤差0を挟んで正負が略同一となるようにすると、初期値S1による切片方向の補正がなされた温度特性となる。
【0038】
以上により、試作時において、オフセットの温度特性を補正する勾配成分の平均値を打ち消す補正値D1、及び切片成分の補正量である初期値S1が決定される。従って、この補正値D1及び初期値S1に基づいて感度或いはオフセットの温度特性が補正されることとなるので、1次元の補正D1であっても、多次項の温度変動成分を反映した補正をすることができ、しかも初期値S1により感度或いはオフセットの誤差を最小とすることができる。
【0039】
次に、量産時において、上述の補正値D1及び初期値S1に対し、個々の圧力センサの温度特性のばらつきを反映させる補正をし、その補正値を夫々勾配補正値及び初期補正値として個々の圧力センサのメモリ6に格納する。その際の勾配補正値、及び初期補正値の算出方法は以下の通りである。尚、便宜上オフセットの場合について以下に説明するが、感度も同様とする。
【0040】
先ず、勾配補正値、及び初期補正値を算出するために、センサ固有の勾配基準量と移動基準量を算出する。
【0041】
試作時に設定された3点の温度の内、2点(仮にb,c点とする)におけるオフセットをテスタ等を用いて測定する。このとき、メモリ6の値DTは回路さえ動けばどの値でもよいので、任意の値を設定し、その値をDT1としてメモリ6に書き込む。尚、試作時に3点の温度における温度特性から勾配成分に係る補正値D1及び切片成分に係る初期値S1を求めたが、測定点をそれよりも多い点を設定した場合には、その設定された温度範囲内において、任意の2点を設定すればよい。また、試作時の温度と同じ温度を測定点とすると、測定環境が統一できるので好ましいことは言うまでもない。また、低温を選択すると、特別な設備と測定時間を要するので、製品1個毎にそのような測定を行うと、製造コストが高くつくという問題がある。従って、室温及び高温の2点を選択することが好ましい。
【0042】
次に、上記と同じ2点b,c間の温度特性の勾配成分(β1とする)を勾配成分が0となるように補正し、そのときのメモリ6の値をDT2とする。従って、DT1からDT2への変化により、勾配成分がβ1から0に変化するので、勾配基準量が決定される。尚、ここでの補正は、勾配成分β1よりも小さい勾配成分へ変えるものであれば良い。実際に、オフセットの誤差を小さくする、すなわち勾配成分を0とするのが理想であるので、勾配基準量の補正による変化方向も一致させておくことが好ましい。
【0043】
そして、この値に補正値D1を乗算することにより、勾配補正値DT3が決定される。尚、DT3は次式で示される。
【0044】
【数2】DT3=D1×(DT1−DT2)/β1
そして、数式2より得られたDT3を、メモリ6に書き込む。
【0045】
同様に、2点(仮にb,c点とする)におけるオフセットを測定し、その値をDZ1としてメモリ6に書き込む。そして、2点b−c間の温度特性の勾配成分は変化させずに、2点b、cのオフセットが小さくなるようにγの変化量(オフセット差)をもって平行移動する補正を行い、その値をDZ2としてメモリ6に書き込む。尚、変化量γは、2点の一方である例えば中点bをオフセットの誤差0となるように移動させる際のオフセット差を変化量として用いればよい。
【0046】
従って、DZ1からDZ2への変化により、切片成分がγ変化するので、移動基準量が決定される。そして、この値に初期値S1を乗算することにより、初期補正値DZ3が決定される。尚、DZ3は次式で示される。
【0047】
【数3】DZ3=S1×(DZ1−DZ2)/γ
そして、数式3により得られた値DZ3をメモリ6に書き込むことにより、オフセットの温度特性に対する補正が完了となる。
【0048】
感度についても同様の作業により、勾配成分にかかる勾配補正値DX3と切片成分にかかる初期補正値DK3が算出され、メモリ6に格納される。
【0049】
以上より、本実施形態における圧力センサ温度補正回路1は、センサ使用時に、オフセットの温度特性に対する勾配成分の勾配補正値DT3、切片成分の初期補正値DZ3、及び感度の温度特性に対する勾配成分にかかる勾配補正値DX3と切片成分にかかる初期補正値DK3に基づき、検出信号を補正することができる。従って、1次元の補正であっても、多次項の温度変動成分を反映した補正をすることができ、しかも感度或いはオフセットの誤差を縮小することができる。また、1次元の補正であるので複雑な回路を必要とせず、製造コストを低減できる。そして、出力電圧Vout(t)は感度及びオフセットの温度特性が補正されているので、温度依存性が低減された高精度な検出出力となり、圧力の検出精度が向上される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の圧力センサ温度補正回路の概略構成を示すブロック図である。
【図2】勾配補正値及び初期補正値の算出方法を説明するための図であり、図2(a)は補正前の図、図2(b)は勾配成分のみを補正した図、図2(c)は初期値を含めた補正をした図である。
【符号の説明】
1・・・圧力センサ温度補正回路
2・・・感度補正回路
3・・・センサ部
4・・・オフセット補正回路
5・・・差動増幅回路
6・・・メモリ
Claims (4)
- 複数個の抵抗で構成したブリッジ回路を有する圧力センサにおいて、圧力を印加することにより生じる検出信号の感度或いはオフセットの温度による誤差を補正する圧力センサ温度補正回路であって、
前記圧力センサの使用温度範囲内における、感度或いはオフセットの温度特性の勾配成分の平均値を算出し、その平均値を打ち消す値に対して、前記圧力センサの任意の2点の温度間の温度特性の勾配成分により補正して勾配補正値を求め、
さらに、前記圧力センサの使用温度範囲内における温度特性と前記勾配成分の平均値との正負のずれが略同一となるように、感度或いはオフセットの温度特性の切片成分の初期値を算出しておき、前記圧力センサの任意の2点の温度における検出信号の大きさによって前記初期値を補正して初期補正値を求め、前記勾配補正値と前記初期補正値とに基づいて前記圧力センサの検出信号を補正することを特徴とする圧力センサ温度補正回路。 - 前記勾配補正値は、前記圧力センサの任意の2点の温度間の温度特性の勾配成分をそれよりも小さい勾配成分に変えるための補正量を、その勾配変化分で除算することにより求めた勾配基準量に、前記勾配成分の平均値を打ち消す値を乗算した値であることを特徴とする請求項1に記載の圧力センサ温度補正回路。
- 前記初期補正値は、前記圧力センサの任意の2点の温度における検出信号の大きさをそれよりも小さくするための補正量を、その大きさの変化分で除算することにより求めた移動基準量に、前記初期値を乗算したものであることを特徴とする請求項1に記載の圧力センサ温度補正回路。
- 前記温度特性の勾配成分の平均値は、複数の圧力センサにおける前記任意の2点を含む3点の温度において、感度或いはオフセットを測定した平均値をもとに算出されることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の圧力センサ温度補正回路。
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