JP2004256385A - ガラス基板表面の異物除去方法 - Google Patents

ガラス基板表面の異物除去方法 Download PDF

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Abstract

【課題】フロート法で製造されるガラス基板表面に存在するスズ欠点を、ガラスの温度に関係なく、該ガラス基板表面を損傷することなしに、短時間で除去する方法の提供。
【解決手段】フロート法で製造されるガラスの表面に、該ガラス基板における透過率が70%以上で、かつパルス幅、波長およびガラス基板表面における単位面積当たりのエネルギー密度が特定の関係を満足するパルスレーザビームを照射して、前記パルスレーザビームが照射された表面の裏面に存在するスズを含んだ異物を除去することを特徴とするフロート法で製造されるガラスの表面からスズを含んだ異物を除去する方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、フロート法で製造されるガラス基板表面に存在するスズを含んだ異物を除去する方法、および該方法によりスズを含んだ異物を除去されてなるガラス基板に関する。具体的には、フロート法で製造されるガラス基板表面に、該ガラス基板における透過率が70%以上であって、かつパルス幅、波長およびガラス基板表面における単位面積当たりのエネルギー密度が特定の関係を満足するパルスレーザビームを照射して、ガラス基板表面に存在するスズを含んだ異物を除去する方法、および、該方法によりスズを含んだ異物を除去されてなるガラス基板に関する。
現在、ガラス基板の主要な製造方法はフロート法である。これは、溶融金属浴と呼ばれる溶融金属スズを満たした浴面上に溶融ガラスを連続的に流してガラスリボンを形成し、このガラスリボンを前記溶融金属浴面に沿って浮かしながら前進させて成板する方法であり、平坦性の高いガラス基板を大量に生産する上で極めて優れている。
しかし、このフロート法では、溶融スズと接するガラスリボンの下面側に、ボトムスペックと呼ばれるスズを含んだ異物、より具体的にはスズ金属またはスズ酸化物を主成分とする異物(以下、「スズ欠点」ともいう)が発生する。このボトムスペックは、後述するトップスペックよりも大きな異物としてガラス基板に付着する場合もある。
また、フロート法では、ガラスリボンの上面側にも溶融金属スズによるトップスペックが避けられない。トップスペックとは、溶融金属浴から蒸発したスズ成分が浴上部である天井部や壁部に凝縮し、凝縮物またはこの凝縮物が金属状態に還元されたものがガラス素地上に小粒として落下してガラスリボンの上面に数μm〜数10μmの大きさをしたスズ欠点として付着したものである。
ガラスの用途が従来の建材の分野から電子材料の分野に拡大するにつれ、フロート法で製造されるガラス基板表面のトップスペックやボトムスペック等のスズ欠点が問題となってきた。
例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイパネル等に用いられるフラットパネルディスプレイ用ガラス基板の場合、製造されたガラス基板に目視できるサイズのスズ欠点が見つかった場合、ガラス基板のスズ欠点を含む部分は欠陥品として処分される。
近年、フラットパネルディスプレイ用のガラス基板の高精細化により、ガラス基板表面に存在するスズ欠点の大きさに関する基準がより厳しくなっている。またフラットパネルディスプレイの大型化に伴い、フラットパネルディスプレイ用のガラス基板も大型化が進み、スズ欠点が発生した場合に、欠陥品として処分されるガラス基板の面積がより大きくなり、生産性低下の要因になる可能性がある。
フロート法で製造されるガラス基板表面からトップスペック等の異物を除去する方法として、フッ化水素酸水溶液または2価のクロムイオンを含む酸性水溶液からなる処理液にガラス基板を浸漬して、異物を溶解および除去する方法が提案されており、後者については、例えば、特許文献1および特許文献2に開示されている。
しかし、上記した処理液に浸漬する方法では、フラットパネルディスプレイ用ガラス基板に求められる基準を満足できる程度までスズ欠点を除去するには、処理液への浸漬時間を長くすることが必要である。
したがって、短時間でフロート法により製造されるガラス基板の表面からスズ欠点を除去する方法は従来知られていなかった。
レーザビームの照射により、ガラス表面に付着した異物を除去する方法が知られている。例えば、ガラス表面に付着した異物を非接触で除去するために、パルス幅が100ns以下で、エネルギー密度が0.1J/cm2以上の紫外線レーザ光をガラスを透過させて該異物に照射する方法が開示されている(特許文献3参照)。
この方法においては、物質に吸収されやすい紫外線領域のレーザビームをパルス幅100ns以下で、かつエネルギー密度0.1J/cm2以上で照射することにより、ガラス表面に存在する異物を瞬間的に発熱させて、蒸散、飛散させることで異物を除去している。
しかし、この方法で使用される紫外線領域のレーザビームは、ガラス自体に吸収され、50〜100nsという比較的広いパルス幅で、かつ0.1J/cm2以上という(比較的)高いエネルギー密度でレーザビームを照射した場合には、ガラス基板表面が熱的な加工により損傷を受けると考えられる。
特許文献3では、ガラス表面を何ら損傷させることなく完全に異物を蒸発、発散させることができたとしているが、ここでいうガラス表面とはガラスの異物が付着した面を指しており、ガラスのレーザビームの入射面については損傷の有無は全く記載されていない。また、特許文献3の方法は、高層ビル等に設置された窓ガラスの表面に付着した埃、塵等を除去することを目的とするものである。しかしながら、上で述べたように、フラットパネルディスプレイ用ガラス基板のような電子材料の分野では、従来の建材の分野では無視されていたガラス基板表面の微細な欠陥でも問題となるのである。
特開平9−295832号公報 特開平9−295833号公報 特開平5−15474号公報
本発明では、上記の問題を解決するため、フロート法で製造されるガラス基板表面に存在するスズを含んだ異物を、該ガラス基板表面を損傷することなしに短時間で除去できる、工業レベルで使用可能な方法、および該方法によりスズを含んだ異物を除去されてなるガラス基板を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の目的を達成するため鋭意研究した結果、ガラス基板における透過率が高く、したがって比較的ガラスに吸収されにくいパルスレーザビームを、パルス幅、波長およびガラス基板表面における単位面積当たりのエネルギー密度が特定の関係を満足する条件で照射することで、ガラス基板表面を損傷することなしに、該ガラス基板表面に存在するスズを含んだ異物を除去できるという知見を得て本発明に至った。
すなわち、本発明は、フロート法で製造されるガラス基板表面に、該ガラス基板における透過率が70%以上であり、かつ下記式(1)および(2)を満足するパルスレーザビームを照射して、前記パルスレーザビームが照射された表面および/または前記パルスレーザビームが照射された面の裏面に存在するスズを含んだ異物を除去することを特徴とするフロート法で製造されるガラス基板表面からスズを含んだ異物を除去する方法を提供する。
2.5×108≦E/t ・・・(1)
E/(λ×t1/2)≦1000・・・(2)
(式中、Eはガラス基板表面における単位面積当たりのパルスレーザビームのエネルギー密度[J/cm2]であり、tはパルスレーザビームのパルス幅[sec]であり、λはパルスレーザビームの波長[nm]である。)
本発明の方法において、前記パルスレーザビームは、下記式(3)または(4)の少なくとも一方を満足することがさらに好ましい。
5.0×108≦E/t ・・・(3)
E/(λ×t1/2)≦500・・・(4)
(式中、E、tおよびλは上記式(1)および(2)について定義した通りである。)
本発明の方法において、前記パルスレーザビームは上記式(3)および(4)をいずれも満足することがさらに好ましい。
本発明の方法において、前記パルスレーザビームは、前記ガラス基板における透過率が75%以上であることが好ましい。
本発明の方法において、前記パルスレーザビームは、波長が350〜1200nmであることが好ましい。
前記パルスレーザビームは、波長が400〜1200nmであることがより好ましい。
また、本発明の方法において、前記パルスレーザビームは、20nsec以下のパルス幅を有することが好ましい。
また、前記パルスレーザビームのパルス幅は、より好ましくは10nsec以下であり、さらに好ましくは15psec以下である。
本発明の方法において、前記パルスレーザビームは、前記ガラス基板の全幅にわたって照射することが好ましい。
本発明の方法において、前記ガラス基板は、フラットパネルディスプレイ用ガラス基板であることが好ましい。
本発明の方法において、前記ガラス基板は、板厚が3mm超であってもよいが、板厚0.4mm以上3mm以下であることが好ましい。前記ガラス基板は、板厚が1mm以下であることがより好ましい。
本発明の方法において、前記ガラス基板は、その組成が下記であることが好ましい。
SiO2:40〜85質量%
Al23:0〜35質量%
23:0〜25質量%
MgO+CaO+SrO+BaO+ZnO:1〜50質量%
Li2O+Na2O+K2O+Rb2O+Cs2O:0〜1質量%
または、前記ガラス基板は、その組成が下記であることが好ましい。
SiO2:40〜85質量%
Al23:2〜35質量%
23:0〜25質量%
MgO+CaO+SrO+BaO+ZnO:1〜50質量%
Li2O+Na2O+K2O+Rb2O+Cs2O:1.1〜30質量%
また、前記ガラス基板は、その組成が下記であることが好ましい。
SiO2:40〜80質量%
Al23:0〜2質量%
MgO+CaO+SrO+BaO+ZnO:1〜50質量%
Li2O+Na2O+K2O+Rb2O+Cs2O:1.1〜30質量%
また、本発明は、フロート法で製造されるガラス基板表面からスズを含んだ異物を除去する本発明の方法により、スズを含んだ異物が除去されてなるガラス基板を提供する。
本発明の方法によれば、フロート法で製造されるガラス基板表面を損傷することなしに、該ガラス基板表面に存在するスズ欠点を極めて速やかに除去できる。
本発明の方法によれば、ガラス基板のスズ欠点が存在する面にパルスレーザビームを直接照射した場合、またはスズ欠点が存在する面に対して裏面側からガラス基板を透過させてパルスレーザビームした場合のいずれであってもガラス基板表面に存在するスズ欠点を除去することができる。さらに、ガラス基板の両面にスズ欠点が存在する場合には、両面に存在するスズ欠点を1回のパルスレーザビーム照射で同時に除去することができる。
ガラス基板の全幅にわたってパルスレーザビームを照射する本発明の方法の好ましい実施形態は、フロート法によるガラス製造ラインで、ライン上を運ばれるガラス基板表面からオンラインでスズ欠点を除去するのに好ましく使用することができる。このようなオンラインでの使用は、ライン上を移動するガラス基板表面全体からスズ欠点を連続的に除去するため、スズ欠点の除去に要する時間がさらに短縮され、製造されるガラスの歩留まりが大幅に向上する。本発明の好ましい実施形態は、ラインから取り出されたガラス基板に対して、ガラス基板またはパルスレーザ光源をガラス基板の長手方向に移動させながらオフラインで使用することも好ましく、1回の処理でガラス基板表面全体からスズ欠点を除去することができる。
本発明のガラス基板は、ガラス基板表面にスズ欠点が存在せず、フラットパネルディスプレイ用ガラス基板に好適である。
以下、図面を参照して本発明の方法を説明する。但し、以下の図面は、本発明の方法の理解を容易にするために例示したものであり、本発明の方法はこれに限定されない。
図1は、本発明の方法を説明するための図であり、ガラス基板1の表面にスズを含んだ異物2、すなわちスズ欠点、が存在する部分を断面図で示している。ガラス製造分野において、フロート法で製造されるガラス基板表面に付着するスズを含んだ異物、具体的にはスズ金属またはスズ酸化物を主成分とする異物のことを一般にスズ欠点と呼ぶ。以下、本発明の方法が除去対象とするガラス基板表面に付着するスズを含んだ異物をスズ欠点と記す。なお、スズ欠点は、スズを90〜100質量%含み、他にFe、Zn、Pb、Cu、O等の成分を含むものである場合が多く、スズの酸化度も各々異なっていることが多い。
フロート法で製造されるガラス基板表面に付着するスズ欠点には、ボトムスペックと呼ばれる、ガラス基板の製造工程において溶融スズと接するガラスリボン(ガラス基板)の下面側に付着するものと、トップスペックと呼ばれる、溶融金属浴から蒸発したスズ成分が浴上部である天井部や壁部に凝縮し、凝縮物またはこの凝縮物が金属状態に還元されたものがガラス素地上に小粒として落下してガラスリボン(ガラス基板)の上面に付着した数μm〜数10μmの大きさのものとがある。なお、ガラス基板の下面側に付着するボトムスペックは、上面側に付着するトップスペックよりも大きい場合もある。本発明の方法は、これらのスズ欠点のいずれも除去できる。
本発明の方法では、ガラス基板1表面のスズ欠点2が存在する部分に、レーザ光源10から該ガラス基板における透過率が70%以上のパルスレーザビームを照射する。これにより、ガラス基板1表面からスズ欠点2が蒸発して、または飛散して除去される。ここで、理由については後で詳述するが、パルスレーザビームは、図1に示すように、ガラス基板1のスズ欠点2が付着した面に対して裏面側から照射することが好ましい。ただし、本発明の方法では、ガラス基板1のスズ欠点2が付着した面に直接パルスレーザビームを照射してもよく、ガラス基板表面からスズ欠点が除去されるという本発明の効果は損なわれない。
本発明の方法は、ガラス基板における透過率が70%以上のパルスレーザビームを使用することを特徴とする。ガラス基板における透過率が70%以上のパルスレーザビームを用いることにより、照射されたパルスレーザビームは、ガラス基板に実質的に吸収されず、ガラス基板表面に存在するスズ欠点にのみ吸収される。したがって、ガラス基板表面を損傷することなしに、スズ欠点を短時間で、具体的にはパルスレーザビームが照射された部分に存在するスズ欠点がパルスレーザビームの照射とほぼ同時に除去される。
パルスレーザビームは、ガラス基板における透過率が75%以上であることがより好ましい。パルスレーザビームのガラス基板における透過率が75%以上であると、照射されたパルスレーザビームがガラス基板に実質的に吸収されないという点でより優れており、ガラス基板表面に損傷を生じることなく、ガラス基板表面からスズ欠点を除去する本発明の方法の効果がさらに優れている。同様の理由から、パルスレーザビームのガラス基板における透過率は80%以上であることがさらに好ましく、85%以上であることが特に好ましい。
パルスレーザビームのガラス基板における透過率は、パルスレーザビームの波長、該ビームが透過するガラスの組成および厚さ等によって異なる。本発明の方法に用いられるガラス基板としては、例えばプラズマディスプレイ(PDP)、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイを含むエレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、FED(Field Emission Display)、TN(Twisted Nematic)液晶パネル、STN(SuperTwisted Nematic)液晶パネル、薄膜トランジスタ制御液晶ディスプレイ(TFT−LCD)等のフラットパネルディスプレイ用のガラス基板が好ましい。
現在フラットパネルディスプレイ用に使用されているガラス基板の具体例としては、組成が以下のものがある。
組成
SiO2:40〜85質量%
Al23:0〜35質量%
23:0〜25質量%
MgO+CaO+SrO+BaO+ZnO:1〜50質量%
Li2O+Na2O+K2O+Rb2O+Cs2O:0〜1質量%
また、フラットパネルディスプレイ用ガラス基板の別の具体例として、組成が以下のものがある。
組成
SiO2:40〜85質量%
Al23:2〜35質量%
23:0〜25質量%
MgO+CaO+SrO+BaO+ZnO:1〜50質量%
Li2O+Na2O+K2O+Rb2O+Cs2O:1.1〜30質量%
また、フラットパネルディスプレイ用ガラス基板のさらに別の具体例として、組成が以下のものがある。
SiO2:40〜80質量%
Al23:0〜2質量%
MgO+CaO+SrO+BaO+ZnO:1〜50質量%
Li2O+Na2O+K2O+Rb2O+Cs2O:1.1〜30質量%
フラットパネルディスプレイ用ガラス基板の板厚は、通常0.4mm以上3mm以下であり、板厚1mm以下、さらには0.7mm以下のものも増加している。ただし、本発明の方法が対象とするガラス基板はこれに限定されず、板厚3mm超であってもよい。
上に例示したフラットパネルディスプレイ用ガラス基板における透過率が70%以上であるためには、通常はパルスレーザビームの波長が300〜2750nmの範囲であればよい。パルスレーザビームの波長は、透過率の観点から350〜1200nmであることがより好ましく、350〜400nmの紫外域であってもよく、400〜700nmの可視域であってもよく、700〜1200nmの近赤外域であってもよい。但し、紫外域のパルスレーザビームは、可視域や近赤外域のパルスレーザビームに比べて比較的ガラス基板に吸収されやすい傾向がある。このため、スズ欠点を除去するのにパルスレーザビームのエネルギー密度を大きくする必要がある。しかしながら、ガラス基板に比較的吸収されやすいという特性により、パルスレーザビームのエネルギー密度を大きくした場合に、ガラス基板表面に損傷を生じるおそれがある。したがって、上記の波長の中でも、可視域および近赤外域である400〜1200nmであることがより好ましい。パルスレーザビームの波長が上記の範囲であれば、パルスレーザビームがさらに後に示す式(1)および(2)を満足する場合に、ガラス基板表面に損傷を生じることなく、ガラス基板表面からスズ欠点を除去する本発明の方法の効果が特に優れている。また、パルスレーザビームの波長が上記の範囲であれば市販のパルスレーザビーム照射装置を利用できる。
本発明の方法で使用するパルスレーザビームは、ガラス基板における透過率が70%以上であることに加えて、パルス幅、波長およびガラス基板表面における単位面積当たりのエネルギー密度の間に、後で述べる特定の関係が成り立つことが必要である。
上記した本発明の方法で使用するパルスレーザビームと波長の範囲が重複するパルスレーザビームをガラス表面に照射して異物を除去する試みが、特許文献3でなされている。特許文献3では、予備実験としてパルス幅1〔msec〕、波長1.06μm(1060nm)の赤外線レーザをガラス裏面側より透過させて表面側の異物(油性マジック)に対して照射した処、単位面積当たりのエネルギー密度が90J/cm2という膨大なエネルギーを必要とする上、かかるエネルギー密度が40J/cm2を越えた時は、ガラス表面に損傷を発生する結果となったとしている。すなわち、ガラス表面から異物を除去するためには、ガラス表面に損傷を発生させるエネルギー密度よりも高いエネルギー密度のレーザビームを照射する必要があるとしている。
特許文献3の方法では、上記のような結果であったにもかかわらず、本発明の方法では、波長の範囲が重複するパルスレーザビームを照射することで、ガラス基板表面を損傷させることなしに、ガラス基板表面に存在するスズ欠点を除去できるのは、主に以下の2つの理由によると考えられる。
(a)除去対象となる異物が本発明の方法と特許文献3の方法では異なっている。
(b)本発明の方法は、異物を除去するのに使用するパルスレーザビームに関して、パルス幅、波長およびガラス基板表面における単位面積当たりのエネルギー密度との間に、従来考えられていた関係とは全く異なる新たな関係が成り立つものを使用する。なお、該関係については、後で詳しく示す。
理由(a)、すなわち除去対象となる異物が異なることについてさらに述べると、特許文献3は、窓ガラスに付着する汚れを除去することを目的としており、実施例で油性マジックを使用していることから明らかなように、有機物を対象としている。これに対して、本発明の方法は、金属スズまたはスズ酸化物を主成分とするスズ欠点、すなわち無機物を対象としている。
また、特許文献3が対象とする窓ガラスの汚れは、油性マジックのように非常に薄い層としてガラス基板表面に付着する。これに対して、本発明の方法が対象とするスズ欠点は一般に0.5μm〜3μm程度の厚さを有している。
これらの違いが、パルスレーザビームを照射して異物を除去する際の条件にどのように影響するかについて説明する。
まず、除去対象となる異物が前者は有機物であって、後者は無機物であることにより、パルスレーザビームの波長ごとの吸収係数が有機物と無機物とでは大きく異なっている。
さらに、異物の種類(有機物、無機物)が異なることと、その付着形態が前者はほとんど厚さをもたないのに対して、後者は0.5μm〜3μm程度の厚さを有していることから、前者と後者とは熱容量が大きく異なっており、蒸発させて除去する際に必要な熱エネルギーの総量、および単位時間あたりのエネルギー密度が大きく異なっていると考えられる。
この結果、特許文献3の予備実験では、ガラス表面から異物を除去するためには、ガラス表面に損傷を発生させるエネルギー密度よりもエネルギー密度が大きいパルスレーザビームを照射する必要があったと考えられる。
すなわち、本発明は、ガラス基板表面に存在するスズ欠点は、ガラス表面に付着した油性マジックのような有機物とは違い、該ガラス基板における透過率が高いパルスレーザビームを照射することで除去できるという、本発明者らの知見に基づいている。
次に、上記理由(b)について述べると、本発明で使用するパルスレーザビームは、ガラス基板における透過率が70%以上の波長であり、ガラス基板には実質的に吸収されないが、パルス幅、波長およびガラス基板表面における単位面積当たりのエネルギー密度の関係によっては、エネルギー密度がガラス基板上のスズ欠点を除去するのに不十分であっったり、異物を除去するのに必要なエネルギー密度を与えるとガラス基板表面を熱的な加工により損傷させてしまったりする場合がある。後に示す実施例では、パルス幅80nsec、波長1064nmのパルスレーザビームを使用した場合、ガラス基板表面における単位面積当たりのエネルギー密度が2.08J/cm2ではガラス基板表面のスズ欠点は除去することができず、11.32J/cm2のパルスレーザビームを照射した場合には、ガラス基板表面に損傷が観察された。
本発明者らは、鋭意研究した結果、ガラス基板表面に損傷を与えずスズ欠点を除去するためには、使用するパルスレーザビームのパルス幅t、波長λおよびガラス基板表面における単位面積当たりのエネルギー密度Eの間に、従来考えられていた関係とは全く異なる新たな関係が成り立つことが必要であるという知見を得た。
すなわち、本発明では、使用するパルスレーザビームのパルス幅t、波長λおよびガラス基板表面における単位面積当たりのエネルギー密度Eが下記式(1)および(2)を同時に満足することが必要である。
2.5×108≦E/t ・・・(1)
E/(λ×t1/2 )≦1000・・・(2)
式中、Eはパルスレーザビームのガラス基板表面での単位面積当たりのエネルギー密度[J/cm2]であり、tはパルスレーザビームのパルス幅[sec]であり、λはパルスレーザビームの波長[nm]である。
使用するパルスレーザビームのパルス幅t、波長λおよびガラス基板表面における単位面積当たりのエネルギー密度Eが上記式(1)および(2)を同時に満足すれば、ガラス基板表面に損傷を与えることなしに、スズ欠点を除去することができる。
使用するパルスレーザビームのパルス幅t、波長λおよびガラス基板表面における単位面積当たりのエネルギー密度Eの関係が2.5×108>E/tであると、スズ欠点を除去する効果が不十分であり、E/(λ×t1/2)>1000であると、パルスレーザビームの照射によりガラス基板表面を損傷する問題がある。この損傷は、上で述べた従来の紫外線パルスレーザを照射した場合に発生すると考えられる損傷に比べると非常に軽度なものであるが、フラットパネルディスプレイ用ガラス基板には存在しないことが好ましい。したがって、本発明の方法は、使用するパルスレーザビームを上記式(1)および(2)を満足する関係で選択することにより、ガラス基板表面を損傷することなしに、ガラス基板表面からスズ欠点を除去することができる。
本発明の方法において、パルスレーザビームは、下記式(3)を満足することがより好ましい。
5.0×108≦E/t・・・(3)
式中、Eおよびtは上記した通りである。
2.5×108≦E/t <5.0×108であると、スズ欠点の付着形態によっては、完全には除去しきれない場合もある。しかし、5.0×108≦E/tであると、ガラス基板表面からスズ欠点を除去する効果に優れており、使用するパルスレーザビームの波長を好適な範囲とすることでスズ欠点が完全に除去される。
なお、前者でスズ欠点が除去しきれないのは、製造時の条件により、酸化度が高いスズ酸化物を含むことが原因であると考えられる。
したがって、酸化度が高いスズ酸化物を含むスズ欠点が発生する製造条件を知ることができ、その酸化度を経験的に見積もることができれば、該条件に応じてパルスレーザビームのパルス幅、波長およびガラス基板表面における単位面積当たりのエネルギー密度を上記式(1)および(2)の関係を満足する条件で設定することで、スズ欠点の中に酸化度が高いスズ酸化物が含まれていてもスズ欠点を完全に除去することができる。
本発明の方法において、パルスレーザビームは、下記式(4)を満足することがより好ましい。
E/(λ×t1/2)≦500・・・(4)
式中、E、tおよびλは上記した通りである。
500<E/(λ×t1/2)≦1000であると、使用するパルスレーザビームのパルス幅、波長、エネルギー密度、照射時間、およびガラス基板の組成ならびにガラス基板表面におけるスズ欠点の付着といったスズ欠点の除去に関係する条件の組み合わせによっては、ガラス基板表面を損傷する場合もある。この損傷は、上で述べたE/(λ×t1/2)>1000でガラス基板表面に発生する損傷よりもさらに軽度であり、かつ発生頻度も低いものであり、より高精細化が進んだフラットパネルディスプレイ用ガラス基板であっても問題となる可能性は小さいものではある。しかしながら、多大なコストを生じることなしに、回避可能なのであれば、ガラス基板表面にはこのような損傷であっても存在しないことが好ましい。
E/(λ×t1/2)≦500であれば、ガラス基板表面を損傷するおそれがない。
なお、本発明の方法は、さらに好ましくは使用するパルスレーザビームが上記式(3)および(4)のいずれをも満足する。パルスレーザビームが上記式(3)および(4)のいずれをも満足すれば、ガラス基板表面からスズ欠点を完全に除去することができ、かつガラス基板表面を損傷するおそれがない。
上記したように、本発明の方法で使用するパルスレーザビームは、ガラス基板における透過率が70%以上であるため、ガラス基板には実質的に吸収されない。これによる利点として、本発明の方法では、パルスレーザビームの照射方向とスズ欠点が存在しているガラス基板の面との関係は特に限定されない。すなわち、スズ欠点が存在しているガラス基板表面に直接パルスレーザビームを照射しても、その裏面側からガラス基板を透過させてパルスレーザビームを照射してもガラス基板表面からスズ欠点を除去できる。なお、上記利点を享受するためには、ガラス基板におけるパルスレーザビームの透過率は75%以上であることが好ましい。
但し、以下の理由から、パルスレーザビームは、スズ欠点が存在しているガラス基板表面に直接照射するのではなく、その裏面側からガラス基板を透過させて照射するほうが好ましい。
本発明の方法において、パルスレーザビームの照射によりガラス基板表面からスズ欠点が除去されるのは以下のメカニズムによると考えられる。
スズ欠点が存在するガラス基板表面側に直接パルスレーザビームを照射した場合、スズ欠点のパルスレーザビームが照射された面からその内部へとエネルギーが伝わる。そして、パルスレーザビームが1パルス照射されている間に、スズ欠点のパルスレーザビームが照射された面からある深さまでの温度が融点もしくは沸点まで急激に上昇し、その深さまでのスズ欠点が1パルスによって除去される。したがって、1パルス当たり深さ0.5μmのスズ欠点を除去可能なパワーをもったパルスレーザビームを照射した場合、スズ欠点のパルスレーザビームが照射された面から深さ0.5μmまでが1パルスの照射で除去されることになる。一方、裏面側からガラス基板を透過させてパルスレーザビームを照射した場合、パルスレーザビームはスズ欠点のガラス基板との界面(接着面)に照射される。その結果、パルスレーザビームの照射によって、スズ欠点のガラス基板との接着面が剥がれるため、パルスレーザビームの1パルスの照射で0.5μm以上の厚さをもったスズ欠点を除去できると考えられる。
さらに、本発明の方法によれば、ガラスの両面にスズ欠点が付着している場合には、1回のパルスレーザビームの照射で両面に付着したスズ欠点を同時に除去することができる。
上記したように、フロート法で製造されるガラス基板の上面にはトップスペックと呼ばれる数μmの大きさのスズ欠点が付着し、ガラス基板の下面にはボトムスペックと呼ばれるスズ欠点が付着する。したがって、ガラスの両面に付着したスズ欠点を1回のパルスレーザビームの照射で除去できることは、フロート法で製造されるガラス基板からスズ欠点を除去するのに好ましい特徴である。
ガラス基板の両面に付着したスズ欠点を除去する場合、パルスレーザビームは、より小さいスズ欠点が付着しているガラス基板の表面側から照射することが好ましい。上記したトップスペックとボトムスペックについて考えた場合、ボトムスペックは、トップスペックよりも大きいものが付着する場合がある。したがって、トップスペックが付着しているガラス基板の上面側からパルスレーザビームを照射することが好ましい。
本発明の方法に用いるレーザ光源は、上記した範囲の波長を有するレーザビームを、上記式(1)および(2)の関係を同時に満足するパルスレーザビームとして発生するものを広く含む。従って本願のレーザ光源は、通常パルスレーザと呼ばれる励起光源がパルス発振するタイプのレーザ光源に加えて、励起光源は連続光であるが、パルスビームとしてレーザビームを発生するタイプのレーザ光源も含む。このようなレーザ光源としては、具体的には例えば、Qスイッチ(Q−Switch)レーザ、モードロック(Mode−lock)レーザ等が挙げられる。
したがって、本発明の方法に使用可能なレーザ光源は、ヘリウムネオンレーザ、ヘリウムカドミウムレーザ、アルゴンレーザ、クリプトンレーザのような気体レーザであってもよく、ルビーレーザ、YAGレーザ、ガラスレーザのような固体レーザであってもよい。上記のレーザ光源の中でも、上記式(1)および(2)の関係を満足するパルスレーザビームを発生するのが容易であることからYAGレーザが好ましい。
本発明の方法において、パルスレーザビームは、上記した条件を満足することに加えて、パルス幅が20nsec以下であることが好ましい。上述したように、パルス幅が比較的長い80nsecのパルスレーザビームを使用した場合、ガラス基板表面に損傷を与えずスズ欠点を除去するためのガラス基板表面におけるエネルギー密度の範囲は極めて狭い、もしくは存在せず、本発明を工業的に遂行することは困難であることが実施例により確認されている。したがって、本発明に使用するパルスレーザビームのパルス幅は短いことが好ましく、より具体的には20nsec以下が好ましい。パルス幅が20nsec以下であれば、パルスレーザビームが上記式(1)および(2)を満足する場合に、ガラス基板表面に損傷を与えることなしに、スズ欠点を除去する効果に優れている。
なお、上記式(1)および(2)より、パルス幅は短いほうがより好ましい。具体的には、パルス幅は10nsec以下であることがより好ましく、10psec以下であることがさらに好ましい。現在、レーザビームのパルス幅は、短いものではフェムト秒レベルにまで到達している。しかし、現在利用可能なフェムト秒レーザは、安定性に劣るため、工業的な用途に使用することが困難である。今後フェムト秒レーザの技術が向上し、安定性が増した場合には、本発明の方法に使用できる可能性が高い。
さらに、本発明の方法は、上記式(1)および(2)の関係を満足するパルスレーザビームを使用することにより、以下の利点が得られる。
上で述べたように、本発明の方法において、上記式(1)および(2)を満足する条件で、パルス幅を短くした場合、従来考えられていたよりもはるかに小さなエネルギー密度のレーザビームを照射することで、ガラス基板表面を損傷することなしに、ガラス基板表面からスズ欠点を除去することができる。
したがって、従来の考えと比較して、同一出力のレーザを照射した場合に、異物の除去可能なエリアを広げることが可能になった。また、繰返し周波数の高いレーザを用いて、後述するように、レーザビームのスポットをある幅で左右に振って照射することにより、さらに広いエリアのスズ欠点をパルスレーザ照射装置1台で除去可能になると考えられる。
すなわち、本発明の方法では、従来考えられていたよりも、1回のパルスレーザビームの照射でより広いガラス基板表面から、ガラス基板表面を損傷することなしにスズ欠点を除去することが可能である。また、高い繰返し周波数のレーザを用いることにより、さらに広いガラス基板表面から、ガラス基板表面を損傷することなしにスズ欠点を除去することが可能である。
これにより可能となる本発明の方法の好ましい実施形態を以下に述べる。
本発明の方法の好ましい実施形態は、ある幅を有するガラス基板に対して、パルスレーザビームを全幅にわたって照射する方法である。
パルスレーザビームをガラス基板の全幅にわたって照射すれば、ガラス基板を長手方向に移動することにより、ガラス基板全体を1度に処理することができ、ガラス基板表面からスズ欠点を除去するのに要する時間が短縮される。
なお、ガラス基板をその長手方向に移動させる代わりに、レーザ光源を移動させてレーザビームの照射面をガラス基板の長手方向に移動させてもよい。
パルスレーザビームをガラス基板の全幅にわたって照射させるには、具体的にはたとえば、図2に示すように、ミラーを用いてパルスレーザビームのスポットをガラス基板の幅方向に走査させればよい。
図2は、パルスレーザビームのスポットをガラス基板の幅方向に走査させるレーザビーム照射装置の概念図である。図2において、ガラス基板1は、幅方向に切断した断面で示されている。該ガラス基板1表面にスズ欠点2が存在している。このガラス基板1のスズ欠点2が存在する表面に、裏面側からガラス基板1を通してパルスレーザビーム3が照射される。ここで、図2のパルスレーザ照射装置では、レーザ光源からのパルスレーザビーム3を、該レーザビーム3の進行方向に直交する方向(図面を貫通する方向)を軸として回動可能なミラー4を用いてガラス基板1の幅方向に走査させる。そして、走査されたレーザビーム3はミラー5によって平行化されて、ガラス基板1表面のスズ欠点2が存在する面の裏面側から照射される。
図3は、図2のパルスレーザ照射装置により、ガラス基板の幅方向に走査されたパルスレーザビームがガラス基板表面に形成するスポットの位置関係を示した概念図である。図3に示すように、レーザビームのスポットを隣接するスポット同士が一部重なった状態で隙間を生じることなしにガラス基板の幅方向に走査させれば、ガラス基板の全幅Wにわたってパルスレーザビームを照射することができる。但し、パルスレーザビーム照射装置1台で、ガラス基板の全幅にわたってパルスレーザビームを走査させることは必要ではなく、2台以上のパルスレーザビーム照射装置をガラス基板の幅方向に並べて設置して、全体としてパルスレーザビームがガラス基板の全幅にわたって照射することもできる。
なお、パルスレーザビームをガラス基板の幅方向に走査して、ガラス基板の全幅にわたって照射するには、ガラス基板とパルスレーザビームの走査方向との関係を示した図4において、ガラス基板の幅をW[m]、パルスレーザビームのガラス基板の幅方向における走査速度をV1[m/sec]、パルスレーザビームのスポット径をφ[m]、パルスレーザビームの繰り返し周波数をR[Hz]とした場合に、V1[m/sec]が少なくともR×φ[m/sec]よりも小さくなるように条件設定すればよい。
さらに、図4において、ガラス基板またはレーザ光源をガラス基板の長手方向に移動速度V2[m/sec]で移動させた場合、ガラス基板の長手方向でもパルスレーザビームのスポット同士が一部重なるようにパルスレーザビームを照射するには、V2[m/sec]が少なくともR×φ×φ/W[m/sec]よりも小さくなるように条件設定すればよい。
なお、パルスレーザビーム照射装置1台を用いてパルスレーザビームをガラス基板の全幅にわたって照射させる場合を例に挙げたが、パルスレーザビーム照射装置を2台以上使用する場合には、ガラス基板の幅を照射装置の台数で割って求めた各照射装置が分担する照射幅ごとに上記のように条件設定すればよい。
また、本発明の方法において、ガラス基板の全幅にわたってパルスレーザビームを照射する方法は、上に述べたミラーによりパルスレーザビームを走査する方法に限定されない。他の方法としては、具体的には、たとえば図5に示すようにレーザビーム3をビームエキスパンダ6で拡大し、レンズ5により平行化することでビーム径を拡大して照射してもよい。
ガラス基板の全幅にわたってパルスレーザビームを照射する本発明の方法の好ましい実施形態によれば、フロート法によるガラス製造プロセスにおいて、ガラス基板表面からオンラインでスズ欠点を除去できる。
図6は、オンラインでスズ欠点を除去するフロート法によるガラス製造ラインの1例の概念図である。図6において、溶融金属浴(フロートバス)8と呼ばれる溶融金属スズ11を満たした浴面上に、溶融窯7から溶融ガラス12を連続的に流出させてガラスリボンを形成し、このガラスリボンを溶融金属浴面に沿って浮かしながら前進させて成板する。成板されたガラス基板は、引出しロール15によって引き出され、長手方向に連続した状態でライン上を運ばれる。
本発明では、このライン上を運ばれるガラス基板12に対して、パルスレーザ照射装置14から全幅にわたってパルスレーザビーム3を照射する。そして、ガラス基板12がライン上を移動する間、パルスレーザビーム3を照射し続ければ、ガラス基板表面のスズ欠点の位置およびその数に影響されることなく、オンラインでガラス基板表面からスズ欠点を除去することができる。
図6では、パルスレーザ照射装置14は1台で示されているが、2台以上であってもよく、むしろ好ましい。パルスレーザ照射装置14を2台以上使用して、全体としてパルスレーザビーム3がガラス基板12の全幅にわたって照射されるように設定すれば、ガラス基板表面を損傷することなしに、スズ欠点を除去するのに十分なエネルギーのパルスレーザビーム3を、ライン上を移動するガラス基板12の全幅にわたって照射することができ、フロート法で製造されるガラス基板表面からオンラインでスズ欠点を除去できる。
ガラス基板表面に、パルスレーザビームを照射してスズ欠点を除去する本発明の方法は、短時間でガラス基板表面からスズ欠点を除去できるので、このようなオンラインでの使用に好適である。
フロート法で製造されて、ライン上を運ばれるガラス基板に対して、本発明の方法をオンラインで用いれば、ガラス基板表面におけるスズ欠点の位置およびその数に影響されることなく、ガラス基板表面全体からスズ欠点を除去することができる。この方法では、ガラス基板表面にあるスズ欠点を見つけ出し、該スズ欠点にパルスレーザビームのスポットを位置決めする必要がないため、処理に要する時間が大幅に短縮され、フロート法で製造されるガラス基板の歩留まりを大幅に向上させることができる。
さらにまた、本発明の方法は、上で述べたように、スズ欠点が付着している面に直接パルスレーザビームを照射しても、その裏面側からガラス基板を透過させてパルスレーザビームを照射してもスズ欠点を除去することができ、スズ欠点がガラスの両面に付着している場合には、1回のパルスレーザビームの照射で両面に付着したスズ欠点を同時に除去することができる。これもまたフロート法で製造され、ライン上を移動するガラス基板表面からオンラインでスズ欠点を除去する上で好ましい。
本発明の方法の好ましい実施形態は、フロート法で製造されるガラス基板に対してオンラインで使用するのと同様に、オフラインで、すなわちフロート法により製造され、ラインから取り出されたガラス基板に対して使用することも好ましい。すなわち、切り出されたガラス基板の全幅にわたってパルスレーザビームを照射しながら、ガラス基板またはパルスレーザ光源をガラス基板の長手方向に移動してもよい。これにより、1回の操作でガラス基板表面全体からスズ欠点を除去することができる。
また、本発明によれば、上記した方法によりガラス基板表面からスズ欠点が除去されたガラス基板も提供される。
本発明のガラス基板は、フロート法で製造されたガラス基板にとって不可避であるガラス基板表面のスズ欠点が除去されているため、フラットパネルディスプレイ用ガラス基板として好適である。
以下、実施例により本発明をさらに説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の範囲を限定するものではない。
実施例1
フロート法で製造されたフラットパネルディスプレイ用ガラス基板の表面にスズ欠点が存在する個所に、励起光源がパルスするタイプのパルスレーザ(YAGレーザ)から、スズ欠点を有する面の裏面側からガラス基板を透過させてパルスレーザビームを照射して、ガラス基板表面からのスズ欠点の除去およびレーザ照射後のガラス基板表面(表面および裏面の両方)における損傷の有無を光学顕微鏡(装置名:デジタルハイビジョンマイクロスコープ VQ−7000、Keyence社製)で300〜500倍の感度で観察して調べた。
なお、ガラス基板は板厚0.6mmであり、組成は以下の通りであった。
組成
SiO2:60質量%
Al2 3:17質量%
23:8質量%
MgO+CaO+SrO+BaO+ZnO:15質量%
Li2O+Na2O+K2O+Rb2O+Cs2O:0質量%
本実施例では、パルスレーザビームの波長、パルス幅およびエネルギー密度を表1に示すように12通り(例1〜例12)に変えて、それぞれ4回ずつ実施した。結果を表1に示した。
実施例2
励起光源がパルスするタイプのパルスレーザの代わりにQスイッチレーザを使用した以外は、実施例1と同様の手順でスズ欠点が存在するガラス基板表面に、裏面側からパルスレーザビームを照射して、スズ欠点の除去およびレーザ照射後のガラス基板表面(表面および裏面の両方)における損傷の有無を調べた。結果を表1に示した。
本実施例では、パルスレーザビームの波長、パルス幅およびエネルギー密度を表1に示すように2通り(例13、例14)に変えて、それぞれ4回ずつ実施した。結果を表1に示した。
実施例3
励起光源がパルスするタイプのパルスレーザの代わりにモードロックレーザを使用した以外は、実施例1と同様の手順でスズ欠点が存在するガラス基板表面に、裏面側からパルスレーザビームを照射して、スズ欠点の除去およびレーザ照射後のガラス基板表面における損傷の有無を調べた。結果を表1に示した。
本実施例では、パルスレーザビームの波長、パルス幅およびエネルギー密度を表1に示すように3通り(例15〜例18)に変えて、それぞれ4回ずつ実施した。結果を表1に示した。
Figure 2004256385
Figure 2004256385
Figure 2004256385
なお、表1において、レーザビームの透過率は、ガラス基板透過前のパルスレーザビームの強度Iinおよびガラス基板透過後のパルスレーザビームの強度Ioutをそれぞれレーザ光検出器 (Energy/Power meter:3sigma,Probe:PM−30,Molectron Detector Inc.製)を用いて検出し、下記式により求めた。
透過率(%)=Iout/Iin×100
表1において、スズ欠点の除去およびガラス基板表面の損傷に関する欄の記号は、以下の結果を表している。
スズ欠点の除去
×:実施した4回全てでスズ欠点が除去されなかった。
△:実施した4回中、スズ欠点が除去された場合とスズ欠点が除去されなかった場合があった。
○:実施した4回全てでスズ欠点が除去された。
ガラス表面の損傷
×:実施した4回全てでガラス基板表面(表面または裏面のうち、少なくとも一方)に損傷が認められた。
△:実施した4回中、ガラス基板表面(表面または裏面のうち、少なくとも一方)に損傷が認められた場合と、認められなかった場合があった。
○:実施した4回全てでガラス基板表面(表面および裏面の両方)に損傷が認められなかった。
表1に示すように、レーザ光源の種類(励起光源パルス、Qスイッチレーザ、Modelockレーザ)にかかわらず、2.5×108≦E/t 、かつE/(λ×t1/2)≦1000のパルスレーザビームを使用した場合、ガラス基板表面からスズ欠点が除去されることが確認された。さらに、5.0×108≦E/t、かつE/(λ×t1/2)≦500のパルスレーザビームを使用した場合、ガラス基板表面を損傷させることなく、スズ欠点が除去されることが確認された。
実施例4
ガラス基板のスズ欠点が存在する面に直接パルスレーザビームを照射した以外は、実施例1の例3、例7、例11および例13と同様に実施して、ガラス基板表面からのスズ欠点の除去およびガラス基板表面(表面および裏面)の損傷の有無を調べた。その結果、ガラス基板のスズ欠点が存在する面にパルスレーザビームを直接照射した場合でも、裏面側からガラス基板を透過させて照射した場合と同様に、ガラス基板表面を損傷することなく、スズ欠点が除去されることが確認された。
実施例5
本実施例では、図6に示すフロート法によるガラス基板製造設備で、フロート法で製造されて、ライン上を移動するガラス基板表面からスズ欠点をオンラインで除去することを試みる。
本実施例では、図2に示すような、ミラーによりレーザビームを走査させるパルスレーザビーム照射装置を配置し、幅10cmのガラス基板に対して、パルスレーザビームの走査幅を10cmに設定することで、ガラス基板の全幅にわたってパルスレーザビームが照射されるようにする。使用するパルスレーザビーム照射装置およびガラス基板の仕様は以下の通りである。
パルスレーザビーム照射装置
YAGレーザ(励起光源連続型(モードロックレーザ))
照射装置:1台
走査幅:5cm
波長:1064nm
パルスレーザビームの透過率(%):91%
パルス幅(t):10.5psec
ガラス基板表面におけるエネルギー密度(E):3.49×10-2J/cm2
E/t =3.32×109
E/(λ×t1/2 )=1.01×101
スポット径(φ):22.6μm
繰り返し周波数(R):50MHz
ガラス基板の幅方向の走査速度(V1):565m/sec<50MHz(R)×22.6×10-6m(φ)
ガラス基板
フラットパネルディスプレイ用ガラス基板
組成(質量百分率表示)
SiO2:60%
Al23:17%
23:8%
MgO+CaO+SrO+BaO+ZnO:15%
Li2O+Na2O+K2O+Rb2O+Cs2O:0質量%
幅:10cm(W)
厚さ:0.6mm
長手方向の移動速度(V2):10cm/sec<50MHz(R)×(22.6×10-6m(φ))2 /0.05m(W)
上記の条件でライン上を運ばれるガラス基板に対して、パルスレーザビームを照射し続ける。その後、ガラス基板を長さ10cm、幅5cmで切り出して、ガラス基板表面(表面および裏面)におけるスズ欠点の有無および損傷の有無を調べる。その結果、ガラス基板表面にはスズ欠点および損傷のいずれも認められない。
なお、レーザのエネルギー密度、ガラス基板表面におけるスズ欠点の有無および損傷の有無の測定は、実施例1と同様とする。
本発明の方法に説明するための図であり、ガラス基板の表面にスズ欠点が存在する部分を断面図で示している。 ミラーによりパルスレーザビームをガラス基板の幅方向に走査させるパルスレーザ照射装置の光学系の概念図である。 図2のパルスレーザ照射装置において、複数の平行するレーザビームがガラス基板表面に形成するスポットの位置関係を示した図である。 本発明の好ましい実施形態において、パルスレーザビームの走査方向と、ガラス基板の移動方向の関係を示した図である。 図3の装置とは異なる光学系を使用したパルスレーザ照射装置の光学系の概念図である。 オンラインでスズ欠点を除去するフロート法によるガラス製造ラインの1例の概念図。
符号の説明
1:ガラス基板
2:スズ欠点(スズを含んだ異物)
3:パルスレーザビーム
4:ミラー
5:レンズ
6:ビームエキスパンダ
7:溶融窯
8:フロートバス
10:レーザ光源
11:溶融スズ
12:溶融ガラス(ガラス基板)
14:レーザ照射装置
15:引出しロール

Claims (11)

  1. フロート法で製造されるガラス基板表面に、該ガラス基板における透過率が70%以上であり、かつ下記式(1)および(2)を満足するパルスレーザビームを照射して、前記パルスレーザビームが照射された表面および/または前記パルスレーザビームが照射された面の裏面に存在するスズを含んだ異物を除去することを特徴とするフロート法で製造されるガラス基板表面からスズを含んだ異物を除去する方法。
    2.5×108≦E/t ・・・(1)
    E/(λ×t1/2 )≦1000・・・(2)
    (式中、Eはガラス基板表面における単位面積当たりのパルスレーザビームのエネルギー密度[J/cm2]であり、tはパルスレーザビームのパルス幅[sec]であり、λはパルスレーザビームの波長[nm]である。)
  2. 前記パルスレーザビームは、前記ガラス基板における透過率が75%以上であることを特徴とする請求項1に記載のフロート法で製造されるガラス基板表面からスズを含んだ異物を除去する方法。
  3. 前記パルスレーザビームは、波長が350〜1200nmであることを特徴とする請求項1または2に記載のフロート法で製造されるガラス基板表面からスズを含んだ異物を除去する方法。
  4. 前記パルスレーザビームは、20nsec以下のパルス幅を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のフロート法で製造されるガラス基板表面からスズを含んだ異物を除去する方法。
  5. 前記ガラス基板の全幅にわたってパルスレーザビームを照射することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のフロート法で製造されるガラス基板表面からスズを含んだ異物を除去する方法。
  6. 前記ガラス基板は、フラットパネルディスプレイ用ガラス基板であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のフロート法で製造されるガラス基板表面からスズを含んだ異物を除去する方法。
  7. 前記ガラス基板は、板厚が0.4mm以上3mm以下であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のフロート法で製造されるガラス基板表面からスズを含んだ異物を除去する方法。
  8. 前記ガラス基板は、組成が下記であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のフロート法で製造されるガラス基板表面からスズを含んだ異物を除去する方法。
    SiO2:40〜85質量%
    Al23:0〜35質量%
    23:0〜25質量%
    MgO+CaO+SrO+BaO+ZnO:1〜50質量%
    Li2O+Na2O+K2O+Rb2O+Cs2O:0〜1質量%
  9. 前記ガラス基板は、組成が下記であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のフロート法で製造されるガラス基板表面からスズを含んだ異物を除去する方法。
    SiO2:40〜85質量%
    Al23:2〜35質量%
    23:0〜25質量%
    MgO+CaO+SrO+BaO+ZnO:1〜50質量%
    Li2O+Na2O+K2O+Rb2O+Cs2O:1.1〜30質量%
  10. 前記ガラス基板は、組成が下記であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のフロート法で製造されるガラス基板表面からスズを含んだ異物を除去する方法。
    SiO2:40〜80質量%
    Al23:0〜2質量%
    MgO+CaO+SrO+BaO+ZnO:1〜50質量%
    Li2O+Na2O+K2O+Rb2O+Cs2O:1.1〜30質量%
  11. 請求項1ないし10のいずれかに記載のフロート法で製造されるガラス基板表面からスズを含んだ異物を除去する方法により、スズを含んだ異物が除去されてなるガラス基板。
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