【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット式記録ヘッド等の液体噴射ヘッドに用いられて液滴を吐出するノズル開口を有するノズルプレートの製造方法及び液体噴射ヘッドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インク滴を吐出するノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧電素子により変形させて圧力発生室のインクを加圧してノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッドには、圧電素子の軸方向に伸長、収縮する縦振動モードの圧電アクチュエータを使用したものと、たわみ振動モードの圧電アクチュエータを使用したものの2種類が実用化されている。
【0003】
このような各圧電アクチュエータを使用したインクジェット式記録ヘッドでは、何れにしても複数の部材で構成されており、これら各部材は接着剤を介して組み立てるのが一般的である。例えば、たわみ振動モードのアクチュエータを使用したインクジェット式記録ヘッドでは、例えば、ステンレス鋼(SUS)等の板状部材からなるノズルプレートにノズル開口を穿設し、このノズルプレートを流路形成基板の圧電素子とは反対側の面に接着剤を介して接合した構造が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このようなノズルプレートの形成方法としては、ノズルプレートにポンチ及びダイスを用いたプレス加工によりノズル開口を形成する方法が提案されている。このノズル開口をプレス加工により形成するには、ノズルプレートの液滴吐出側となる面をダイス上に固定し、他方面側から先端に向かって外径が漸小するポンチを打ち込むことで、深さがノズルプレートの厚さと同じかそれ以上の凹部を形成し、この凹部を形成した際にダイス側の面に突出した凸部を研削加工により除去してノズル開口を形成する方法がある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−181015号公報(段落[0060]、第5図)
【特許文献2】
特開昭57−211500号公報(第2頁、第2図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のポンチによりノズル開口を形成すると、ノズルプレートのポンチ側の表面のノズル開口の周囲にノズルプレートが塑性変形することにより突起が生じてしまう。このような突起は、ノズル開口を高密度に形成すると、隣接するノズル開口の距離が狭いため、流路形成基板に接着する領域に形成されてしまい流路形成基板とノズルプレートとの接着が行えないという問題がある。このような接着面に形成された突起を除去するために、回転定盤上に研磨剤を供給し、その上にノズルプレートの接着面を押しつけて研磨するポリッシングを行った場合には、ノズルプレートの接着面が鏡面になってしまい流路形成基板との接着強度が確保できないという問題がある。
【0007】
また、ノズルプレートの接着面側をラッピングシート等により研磨除去した場合には、接着面を均一に粗面化することが困難であり、均一な接着を行えないという問題がある。なお、このような問題は、インクを吐出するインクジェット式記録ヘッドだけでなく、勿論、インク以外を吐出する他の液体噴射ヘッドにおいても、同様に存在する。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑み、高密度のノズル開口を形成し、且つ均一な接着を行うことができると共に接着強度を向上することができるノズルプレートの製造方法及び液体噴射ヘッドの製造方法を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、液滴を吐出する複数のノズル開口を有し、該ノズル開口と連通する流路が形成された流路形成基板に接合されるノズルプレートの製造方法であって、前記ノズルプレートに液滴吐出側とは反対側の面から複数の前記ノズル開口を穿設する工程と、前記ノズルプレートの両面を研磨により平坦化する工程と、前記ノズルプレートの液滴吐出側とは反対側の面をブラスト加工することにより表面粗さRaを50〜100nmにする工程とを具備することを特徴とするノズルプレートの製造方法にある。
【0010】
かかる第1の態様では、ノズル開口を穿設した際に生じた両面の突起を研磨により除去することで、ノズル開口を高密度に配設しても流路形成基板との接着を行うことができると共に、研磨により鏡面となった接着面をブラスト加工により粗面化することで、流路形成基板との接着強度を向上することができる。また、ブラスト加工により接着面を均等に粗面化することができるため、流路形成基板との均一な接着を行ってさらに接着強度を向上することができる。
【0011】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記ノズルプレートの両面を研磨により平坦化する工程では、表面粗さRaを5〜20nmにすることを特徴とするノズルプレートの製造方法にある。
【0012】
かかる第2の態様では、所定の表面粗さに研磨することで、ノズルプレートの平坦化を高精度に行うことができる。
【0013】
本発明の第3の態様は、第1又は2の態様において、前記ノズルプレートの両面を研磨により平坦化する工程では、ポリッシングにより平坦化を行うことを特徴とするノズルプレートの製造方法にある。
【0014】
かかる第3の態様では、ポリッシングにより、研磨面の平坦化を高精度に行うことができる。
【0015】
本発明の第4の態様は、第1〜3の何れかの態様において、前記ノズル開口を穿設する工程では、プレス加工により内径が液滴吐出側に向かって漸小する前記ノズル開口を穿設することを特徴とするノズルプレートの製造方法にある。
【0016】
かかる第4の態様では、液滴の吐出を良好に行うことができる。
【0017】
本発明の第5の態様は、第1〜4の何れかの態様において、前記ノズル開口を穿設する工程では、当該ノズル開口を300dpi以上の密度で、且つ前記ノズルプレートの隣接するノズル開口の前記液滴吐出側とは反対側の面の表面の距離が20μm以上となるように穿設することを特徴とするノズルプレートの製造方法にある。
【0018】
かかる第5の態様では、ノズル開口を高密度に配設しても、ノズル開口を形成する際に生じる突起を確実に除去して、流路形成基板との接着を良好に行うことができる。
【0019】
本発明の第6の態様は、第1〜5の何れかの態様において、前記ブラスト加工が、ウェットブラスト加工であることを特徴とするノズルプレートの製造方法にある。
【0020】
かかる第6の態様では、微小な粒径の研磨剤を用いた加工が可能となり、ノズルプレートの接着面を所定の表面粗さに粗面化することができると共に、研磨剤及びノズルプレートの加工カスの除去を行うことができる。
【0021】
本発明の第7の態様は、第6の態様において、前記ウェットブラスト加工に用いる研磨剤の粒径が前記ノズル開口の内径よりも小径であることを特徴とするノズルプレートの製造方法にある。
【0022】
かかる第7の態様では、研磨剤によるノズル開口の目詰まりを防止することができる。
【0023】
本発明の第8の態様は、第1〜7の何れかの態様において、前記ノズルプレートをブラスト加工する工程の後、当該ノズルプレートを平坦化する工程をさらに有することを特徴とするノズルプレートの製造方法にある。
【0024】
かかる第8の態様では、ノズルプレートの接着面を平坦化することができ、さらに接着強度を向上することができる。
【0025】
本発明の第9の態様は、第8の態様において、前記ノズルプレートを平坦化する工程では、当該ノズルプレートをプレス加工又はローラにより平坦化することを特徴とするノズルプレートの製造方法にある。
【0026】
かかる第9の態様では、プレス加工又はローラによりノズルプレートを確実に平坦化することができる。
【0027】
本発明の第10の態様は、液体を吐出するノズル開口を有するノズルプレートと、前記ノズル開口に連通する圧力発生室が形成される流路形成基板と、該流路形成基板の一方面側に振動板を介して設けられて前記圧力発生室に圧力変化を生じさせる圧電素子とを具備する液体噴射ヘッドの製造方法であって、前記ノズルプレートに液滴吐出側とは反対側の面から複数の前記ノズル開口を穿設する工程と、前記ノズルプレートの両面を研磨する工程と、前記ノズルプレートの液滴吐出側とは反対側の面をブラスト加工することにより表面粗さRaを50〜100nmにする工程と、前記ノズルプレートの前記液滴吐出側とは反対側の面を前記流路形成基板に接着剤を介して接合する工程とを具備することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
【0028】
かかる第10の態様では、ノズル開口を穿設した際に生じた両面の突起を研磨により除去することで、ノズル開口を高密度に配設しても流路形成基板との接着を行うことができると共に、研磨により鏡面となった接着面をブラスト加工により粗面化することで、流路形成基板との接着強度を向上することができる。また、ブラスト加工により接着面を均等に粗面化することができるため、流路形成基板との均一な接着を行ってさらに接着強度を向上することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0030】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの分解斜視図であり、図2は、液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの平面図及びそのA−A′断面図であり、図3は、図2(b)のB−B′断面図の要部を拡大したものである。図示するように、流路形成基板10は、本実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板からなり、その両面には予め熱酸化により形成した二酸化シリコンからなる弾性膜50、及び後述する圧力発生室を形成する際にマスクとして用いられるマスクパターン51が設けられている。この流路形成基板10には、その他方面側から異方性エッチングすることにより、複数の隔壁11によって区画された圧力発生室12が幅方向に並設され、その長手方向外側には、各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ100の一部を構成する連通部13が形成され、この連通部13は各圧力発生室12の長手方向一端部とそれぞれインク供給路14を介して連通されている。
【0031】
ここで、異方性エッチングは、シリコン単結晶基板のエッチングレートの違いを利用して行われる。例えば、本実施形態では、シリコン単結晶基板をKOH等のアルカリ溶液に浸漬すると、徐々に侵食されて(110)面に垂直な第1の(111)面と、この第1の(111)面と約70度の角度をなし且つ上記(110)面と約35度の角度をなす第2の(111)面とが出現し、(110)面のエッチングレートと比較して(111)面のエッチングレートが約1/180であるという性質を利用して行われる。かかる異方性エッチングにより、二つの第1の(111)面と斜めの二つの第2の(111)面とで形成される平行四辺形状の深さ加工を基本として精密加工を行うことができ、圧力発生室12を高密度に配列することができる。
【0032】
本実施形態では、各圧力発生室12の長辺を第1の(111)面で、短辺を第2の(111)面で形成している。この圧力発生室12は、流路形成基板10をほぼ貫通して弾性膜50に達するまでエッチングすることにより形成されている。ここで、弾性膜50は、シリコン単結晶基板をエッチングするアルカリ溶液に侵される量がきわめて小さい。また、各圧力発生室12の一端に連通する各インク供給路14の断面積は、圧力発生室12のそれより小さく形成されており、圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。
【0033】
このような流路形成基板10の厚さは、圧力発生室12の配列密度に合わせて最適な厚さを選択すればよく、圧力発生室12の配列密度が、例えば、1インチ当たり180個(180dpi)程度であれば、流路形成基板10の厚さは、220μm程度であればよいが、例えば、200dpi以上と比較的高密度に配列する場合には、流路形成基板10の厚さは100μm以下と比較的薄くするのが好ましい。これは、隣接する圧力発生室12間の隔壁11の剛性を保ちつつ、配列密度を高くできるからである。
【0034】
また、流路形成基板10の開口面側には、接着剤110を介して、ノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が接着されている。このような接着剤110としては、例えば、エポキシ系接着剤、アクリル系樹脂等が挙げられる。このノズルプレート20は、厚さが例えば、0.03〜0.3mmで、線膨張係数が300℃以下で、例えば2.5〜4.5[×10−6/℃]であるガラスセラミックス、又は不錆鋼などからなる。ノズルプレート20として、本実施形態では、例えば、厚さが55μmのステンレス鋼(SUS)からなる板状の金属部材を用いた。このノズルプレート20は、一方の面で流路形成基板10の一面を全面的に覆い、シリコン単結晶基板を衝撃や外力から保護する補強板の役目も果たす。また、ノズルプレート20は、流路形成基板10と熱膨張係数が略同一の材料で形成するようにしてもよい。なお、ステンレス鋼は、低コストで破損しにくいなどの利点があるが、このような利点を有する材料であれば、ノズルプレート20はステンレス鋼に限定されるものではない。
【0035】
ここで、インク滴吐出圧力をインクに与える圧力発生室12の大きさと、インク滴を吐出するノズル開口21の大きさとは、吐出するインク滴の量、吐出スピード、吐出周波数に応じて最適化される。例えば、1インチ当たり360個(360dpi)のインク滴を記録する場合、ノズル開口21は数十μmの直径で精度よく形成する必要がある。また、例えば、ノズル開口21を360dpiで配置した場合には、隣接するノズル開口21のピッチaは70μmとなる。また、360dpiに対応した流路形成基板10の隔壁11の厚さbは、15〜20μmとなり、この隔壁11にノズルプレート20を確実に接着するには、ノズルプレート20の液滴吐出側とは反対側の面、すなわち、流路形成基板10に接着される接着面20a側の隣接するノズル開口21の間の表面の距離cを隔壁11の厚さプラス5μm、すなわち、20〜25μmとするのが好ましい。さらに、ノズル開口21は、内径が液滴吐出側に向かって漸小する形状を有し、ノズル開口21の接着面20aに開口する側の内面は、ノズルプレート21の厚さ方向に対して角度dが20度となるように形成されている。ここで、角度dを20度としたのは、この角度より大きくすると、隣接するノズル開口21間のピッチが狭くなり、互いに隣接するノズル開口21の間の表面の接着面領域が確保しづらくなるからである。
【0036】
このようなノズルプレート20の流路形成基板10に接合される接着面20aは、詳しくは後述するが、ウェットブラスト加工やサンドブラスト加工などのブラスト加工によって、表面粗さRaが50〜100nmとなるように粗面化されている。このようにノズルプレート20の接着面20aを所定の表面粗さとすることで、流路形成基板10とノズルプレート20とを接着剤を介して接着した際に、接着強度を向上することができる。また、ノズルプレート20の接着面20aをブラスト加工によって均一に粗面化することで、均一性のある接着をおこなうことができ、これによっても接着強度を向上することができる。
【0037】
ここで、ノズルプレート20の製造方法について詳細に説明する。なお、図4及び図5は、ノズルプレートの製造工程を示す断面図である。まず、図4(a)〜図4(b)に示すように、ノズルプレート20となる板状部材220に所定間隔でノズル開口21となる下孔121をプレス加工により形成する。詳しくは、例えば、図4(a)に示すように、形成するノズル開口21と同一のピッチで孔部401の形成されたダイス400上に板状部材220を固定し、板状部材220の孔部401に対向する領域にポンチ410を押圧する。このポンチ410は、先端に向かって外径が漸小する形状を有し、液滴吐出側に向かって内径が漸小する下孔121を形成する。ここで、本実施形態のノズルプレート20となる板状部材220は、例えば、表面粗さRaが例えば、100〜300nm程度で、厚さが60μmのステンレス鋼(SUS)を用いた。
【0038】
このようなポンチ410及びダイス400でのプレス加工では、図4(b)に示すように、ポンチ410の押圧によって板状部材220が塑性変形する。このため、ポンチ410により形成する下孔121の深さは、板状部材220の厚さと同等の深さ又は板状部材220の厚さより若干深く形成する。また、下孔121の形成された板状部材220は、塑性変形することにより下孔121に対向する領域に突起122が生じ、下孔121はダイス400側で貫通することなく形成される。さらに、下孔121を例えば、360dpiなどの高密度で形成すると、隣接する下孔121の間の肉厚が薄くなるため、板状部材220のポンチ410側の面の隣接する下孔121の間には突起123が生じる。このような突起123は、下孔121を高密度に形成すると、隣接する下孔121の距離が狭いため、流路形成基板10に接着する領域に形成されてしまい、接着するのに十分な領域が確保できず、流路形成基板10とノズルプレート20との接着が行えない。このため、高密度のノズル開口21を形成する場合には、後の工程で板状部材220の突起122及び123を除去して、接着面領域を確保する必要がある。
【0039】
次に、図5(a)に示すように、板状部材220の両面をポリッシングにより研磨することにより、板状部材220の両面の突起122及び123を除去して平坦化すると共に、下孔121を板状部材220の厚さ方向に貫通させてノズル開口21を形成する。このポリッシングでは、板状部材220の両面を、表面粗さRaが5〜20nmとなるように研磨して平坦化することで、板状部材220の両面に研磨面224を形成する。また、ポリッシングによって液滴吐出側とは反対側の面の突起123を除去する際に、この面側を板状部材220の厚さ方向に所定量、本実施形態では5μm研磨することにより、下孔121の液滴吐出側とは反対側の面側の内面が、板状部材220の厚さ方向に対して20度に傾斜する位置まで研磨してノズル開口21を形成する。
【0040】
次に、図5(b)に示すように、板状部材220の液滴吐出側とは反対側の研磨面224をブラスト加工することにより、表面粗さRaが50〜100nmの接着面20aを形成し、ノズルプレート20とする。本実施形態では、例えば、水にガラスビーズ、炭化珪素、アルミナ等の研磨剤を混ぜた研削液500を高圧噴射することで研磨面224を粗面化するウェットブラスト加工により行った。ここで、研磨剤の粒径は、ノズル開口21に目詰まりが生じないように、ノズル開口21の内径よりも小さいことが好ましく、本実施形態では、例えば、平均粒径が3〜15μmの研磨剤を用いた。また、本実施形態では、ウェットブラスト加工として、研磨剤を水に5〜30重量%混合し、0.05〜0.5MPaの圧力で5〜60秒程度処理することにより研磨面224の粗面化を行った。このように本実施形態では、ウェットブラスト加工を行うことで、微小な研磨剤の吹きつけが可能であると共に、研磨剤を吹きつけた衝撃で発生した加工カスを水によって洗浄しながら加工することができる。
【0041】
なお、このウェットブラスト加工による接着面20aの形成では、ウェットブラスト加工に用いる研磨液500に混合された研磨剤の粒径がノズル開口21よりも小径であるため、研磨液500がノズル開口21内を通るが、ノズル開口21の内面は、ノズルプレート20の厚さ方向に対して20度傾斜しているため、ほとんど粗面化されることがなく、液滴の吐出に悪影響を与えることがない。
【0042】
このようにウェットブラスト加工によって研磨面224を粗面化して接着面20aを形成すると、図5(c)に示すように、ノズルプレート20は接着面20a側が凸状に変形してしまう。このため、図5(d)に示すように、ノズルプレート20をプレス加工により平坦化する。本実施形態では、例えば、プレス板420及び421によってノズルプレート20を所定の圧力でプレスすることで、ノズルプレート20の平坦化を行ったが、特にこれに限定されず、例えば、ローラによって平坦化を行うようにしてもよい。
【0043】
このように形成されたノズルプレート20を流路形成基板10の圧力発生室12が開口する面に接着剤110を介して接着することで、インクジェット式記録ヘッドを形成することができる。このとき、ノズルプレート20の接着面20aがブラスト加工により50〜100nmと粗面化されているため、接着面が鏡面であるのに対し、接着剤が接着面領域に定着し易くなり、流路形成基板10とノズルプレート20との接着強度を向上することができると共に、ブラスト加工による均等な粗面化により均一性のある接着を行って、さらに接着強度を向上することができる。さらに、隣接するノズル開口21の間隔を可及的に狭くしても、流路形成基板10とノズルプレート20との接着を強めることができる。
【0044】
一方、図2に示すように、流路形成基板10の開口面とは反対側には、厚さが例えば、約1.0μmの弾性膜50の上に、厚さが例えば、0.4μmの絶縁層55を介して、厚さが例えば、約0.2μmの下電極膜60と、厚さが例えば、約1.0μmの圧電体層70と、厚さが例えば、約0.05μmの上電極膜80とが、後述するプロセスで積層形成されて、圧電素子300を構成している。ここで、圧電素子300は、下電極膜60、圧電体層70、及び上電極膜80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。そして、ここではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部という。本実施形態では、下電極膜60は圧電素子300の共通電極とし、上電極膜80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。何れの場合においても、圧力発生室毎に圧電体能動部が形成されていることになる。また、ここでは、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板とを合わせて圧電アクチュエータと称する。なお、上述した例では、弾性膜50、絶縁膜55及び下電極膜60が振動板として作用する。また、圧電素子300の個別電極である各上電極膜80には、例えば、金(Au)等からなり一端がインク供給路14に対向する領域まで延設されるリード電極90が接続されている。
【0045】
このような圧電素子300が形成された流路形成基板10上には、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を確保した状態で、その空間を密封可能な圧電素子保持部31が設けられた封止基板30が接合され、圧電素子300はこの圧電素子保持部31内に封止されている。また、この封止基板30には、リザーバ100の少なくとも一部を構成するリザーバ部32が、各圧力発生室12の長手方向外側に設けられている。これらのリザーバ部32は、本実施形態では、封止基板30を厚さ方向に貫通して圧力発生室12の幅方向に亘って形成されており、弾性膜50に設けられた貫通部を介して流路形成基板10の連通部13と連通され、各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ100をそれぞれ構成している。また、封止基板30の圧電素子保持部31とリザーバ部32との間の領域には、封止基板30を厚さ方向に貫通する貫通孔33が設けられている。そして、各圧電素子300から引き出されたリード電極90は、その端部近傍が貫通孔33内で露出されている。このような封止基板30としては、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料、例えば、ガラス、セラミック材料等を用いることが好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。
【0046】
また、封止基板30のリザーバ部32に対応する領域には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。ここで、封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが6μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム)からなり、この封止膜41によってリザーバ部32の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料(例えば、厚さが30μmのステンレス鋼(SUS)等)で形成される。この固定板42のリザーバ100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、リザーバ100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
【0047】
以上説明した本実施形態のインクジェット式記録ヘッドは、図示しないインク供給手段からインクを取り込み、リザーバ100からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、駆動IC(図示なし)からの駆動信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極膜60と上電極膜80との間に駆動電圧を印加し、弾性膜50、絶縁膜55及び圧電素子300を変位させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインク滴が吐出する。
【0048】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、勿論、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態1では、ノズルプレート20の接着面20aをウェットブラスト加工により粗面化するようにしたが、ノズルプレート20の液滴吐出側の面もウェットブラスト加工により粗面化するようにしてもよい。これにより、液滴吐出側の面に撥水膜等を設けた際に、撥水膜の剥離を防止することができる。
【0049】
また、上述した実施形態1では、ダイス400とポンチ410とを用いたプレス加工により、板状部材220に下孔121を形成するようにしたが、これに限定されず、例えば、板状部材220をダイス400との間で挟持するストリッパプレートを設けるようにしてもよい。プレス加工にストリッパプレートを用いたとしても、板状部材220には、突起122及び123が形成されるため、板状部材220の両面の研磨が必要となる。
【0050】
さらに、上述の実施形態では、成膜及びリソグラフィプロセスを応用して製造される薄膜型のインクジェット式記録ヘッドを例にしたが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、グリーンシートを貼付する等の方法により形成される厚膜型のインクジェット式記録ヘッドにも本発明を採用することができる。この場合には、圧電素子を形成する前に、流路形成基板とノズルプレートとを接合するようにしてもよい。
【0051】
なお、上述した実施形態1では、液体噴射ヘッドとしてインクを吐出するインクジェット式記録ヘッドを一例として説明したが、本発明は、広く液体噴射ヘッド及びこれに用いられるノズルプレートを対象としたものである。液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンタ等の画像記録装置に用いられる記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等を挙げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1に係る記録ヘッドの分解斜視図である。
【図2】実施形態1に係る記録ヘッドの平面図及び断面図である。
【図3】実施形態1に係る記録ヘッドの要部拡大断面図である。
【図4】実施形態1に係るノズルプレートの製造工程の断面図である。
【図5】実施形態1に係るノズルプレートの製造工程の断面図である。
【符号の説明】
10 流路形成基板、12 圧力発生室、20 ノズルプレート、21 ノズル開口、50 弾性膜、55 絶縁膜、60 下電極膜、70 圧電体層、80 上電極膜、90 リード電極、121 下穴、122、123 突起、220 板状部材、300 圧電素子、400 ダイス、410 ポンチ[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a method for manufacturing a nozzle plate having a nozzle opening for discharging liquid droplets used in a liquid ejecting head such as an ink jet recording head and a method for manufacturing a liquid ejecting head.
[0002]
[Prior art]
A part of the pressure generating chamber communicating with the nozzle opening for discharging the ink droplet is constituted by a vibrating plate, and the vibrating plate is deformed by a piezoelectric element to pressurize the ink in the pressure generating chamber to discharge the ink droplet from the nozzle opening. Two types of ink jet recording heads have been put into practical use, one using a longitudinal vibration mode piezoelectric actuator that expands and contracts in the axial direction of a piezoelectric element, and the other using a flexural vibration mode piezoelectric actuator.
[0003]
In any case, an ink jet recording head using such piezoelectric actuators is composed of a plurality of members, and these members are generally assembled via an adhesive. For example, in an ink jet recording head using a flexural vibration mode actuator, for example, a nozzle opening is formed in a nozzle plate made of a plate-like member such as stainless steel (SUS), and this nozzle plate is used as a piezoelectric plate of a flow path forming substrate. A structure in which the surface opposite to the element is joined via an adhesive is disclosed (for example, see Patent Document 1).
[0004]
As a method for forming such a nozzle plate, a method has been proposed in which a nozzle opening is formed by pressing a nozzle plate with a punch and a die. In order to form this nozzle opening by pressing, the surface of the nozzle plate on the droplet discharge side is fixed on a die, and a punch whose outer diameter is gradually reduced from the other surface side toward the tip is driven into the nozzle plate. There is a method of forming a concave portion having a thickness equal to or larger than the thickness of the nozzle plate, and removing the convex portion projecting from the surface on the die side by grinding when forming the concave portion to form a nozzle opening (for example, , Patent Document 2).
[0005]
[Patent Document 1]
JP-A-10-181015 (paragraph [0060], FIG. 5)
[Patent Document 2]
JP-A-57-2111500 (page 2, FIG. 2)
[0006]
[Problems to be solved by the invention]
However, when the nozzle opening is formed by a conventional punch, the nozzle plate is plastically deformed around the nozzle opening on the surface of the nozzle plate on the punch side, so that a projection is generated. When the nozzle openings are formed at a high density, the distance between the adjacent nozzle openings is small, so that the protrusions are formed in a region adhered to the flow path forming substrate, so that the flow path forming substrate can be bonded to the nozzle plate. There is no problem. In order to remove the projections formed on such an adhesive surface, an abrasive is supplied onto a rotating platen, and when polishing is performed by pressing the adhesive surface of the nozzle plate onto the polishing plate, the nozzle plate is polished. However, there is a problem that the bonding surface becomes a mirror surface and the bonding strength with the flow path forming substrate cannot be secured.
[0007]
Further, when the bonding surface side of the nozzle plate is polished and removed with a wrapping sheet or the like, it is difficult to uniformly roughen the bonding surface, and there is a problem that uniform bonding cannot be performed. Such a problem exists not only in an ink jet recording head that ejects ink but also in other liquid ejecting heads that eject ink.
[0008]
In view of such circumstances, the present invention provides a method of manufacturing a nozzle plate and a method of manufacturing a liquid jet head, which can form high-density nozzle openings, can perform uniform bonding, and can improve bonding strength. The task is to provide.
[0009]
[Means for Solving the Problems]
A first aspect of the present invention for solving the above-mentioned problem is a nozzle plate having a plurality of nozzle openings for discharging liquid droplets, the nozzle plate being joined to a flow path forming substrate formed with a flow path communicating with the nozzle openings. A manufacturing method, wherein a plurality of nozzle openings are formed in the nozzle plate from a surface opposite to a droplet discharge side, and both surfaces of the nozzle plate are flattened by polishing; and Blasting the surface on the side opposite to the droplet discharge side to make the surface roughness Ra 50 to 100 nm.
[0010]
In the first aspect, the protrusions on both surfaces generated when the nozzle openings are formed are removed by polishing, so that even when the nozzle openings are arranged at a high density, the adhesion with the flow path forming substrate can be performed. In addition, by making the bonding surface which has been mirror-finished by polishing roughened by blasting, the bonding strength with the flow path forming substrate can be improved. In addition, since the bonding surface can be uniformly roughened by blasting, uniform bonding with the flow path forming substrate can be performed, and the bonding strength can be further improved.
[0011]
According to a second aspect of the present invention, in the method for manufacturing a nozzle plate according to the first aspect, in the step of flattening both surfaces of the nozzle plate by polishing, the surface roughness Ra is set to 5 to 20 nm. is there.
[0012]
In the second aspect, by polishing to a predetermined surface roughness, the nozzle plate can be flattened with high accuracy.
[0013]
A third aspect of the present invention is the method for manufacturing a nozzle plate according to the first or second aspect, wherein in the step of flattening both surfaces of the nozzle plate by polishing, the flattening is performed by polishing.
[0014]
In the third aspect, the polishing surface can be flattened with high precision by polishing.
[0015]
According to a fourth aspect of the present invention, in any one of the first to third aspects, in the step of forming the nozzle opening, the nozzle opening whose inner diameter gradually decreases toward the droplet discharge side by press working is formed. And a method for manufacturing a nozzle plate.
[0016]
In the fourth aspect, it is possible to discharge the droplets satisfactorily.
[0017]
In a fifth aspect of the present invention, in any one of the first to fourth aspects, in the step of piercing the nozzle opening, the nozzle opening has a density of 300 dpi or more, and the nozzle opening of the nozzle plate adjacent to the nozzle plate has a density of 300 dpi or more. A method for manufacturing a nozzle plate, characterized in that a hole is drilled so that the distance between the surface on the side opposite to the droplet discharge side is 20 μm or more.
[0018]
According to the fifth aspect, even if the nozzle openings are arranged at a high density, the projections generated when forming the nozzle openings can be reliably removed, and the adhesion to the flow path forming substrate can be favorably performed.
[0019]
A sixth aspect of the present invention is the method for manufacturing a nozzle plate according to any one of the first to fifth aspects, wherein the blast processing is wet blast processing.
[0020]
In the sixth aspect, it is possible to perform processing using an abrasive having a small particle diameter, and it is possible to roughen the bonding surface of the nozzle plate to a predetermined surface roughness, and to process the abrasive and the nozzle plate. Scrap removal can be performed.
[0021]
A seventh aspect of the present invention is the method for manufacturing a nozzle plate according to the sixth aspect, wherein the abrasive used for the wet blasting has a particle diameter smaller than an inner diameter of the nozzle opening.
[0022]
In the seventh aspect, it is possible to prevent the nozzle opening from being clogged by the abrasive.
[0023]
An eighth aspect of the present invention is the nozzle plate according to any one of the first to seventh aspects, further comprising a step of flattening the nozzle plate after the step of blasting the nozzle plate. In the manufacturing method.
[0024]
In the eighth aspect, the bonding surface of the nozzle plate can be flattened, and the bonding strength can be further improved.
[0025]
A ninth aspect of the present invention is the method for manufacturing a nozzle plate according to the eighth aspect, wherein in the step of flattening the nozzle plate, the nozzle plate is flattened by press working or a roller.
[0026]
In the ninth aspect, the nozzle plate can be reliably flattened by press working or a roller.
[0027]
According to a tenth aspect of the present invention, there is provided a nozzle plate having a nozzle opening for discharging a liquid, a flow path forming substrate in which a pressure generating chamber communicating with the nozzle opening is formed, and a flow path forming substrate on one side. A piezoelectric element provided via a vibration plate to generate a pressure change in the pressure generation chamber, wherein the nozzle plate is provided with a plurality of piezoelectric elements from a surface opposite to a droplet discharge side. Forming a nozzle opening, polishing both surfaces of the nozzle plate, and blasting the surface of the nozzle plate opposite to the droplet discharge side to reduce the surface roughness Ra to 50 to 100 nm. And a step of joining a surface of the nozzle plate opposite to the droplet discharge side to the flow path forming substrate via an adhesive. A.
[0028]
In the tenth aspect, the protrusions on both surfaces generated when the nozzle openings are formed are removed by polishing, so that the adhesion with the flow path forming substrate can be performed even if the nozzle openings are arranged at a high density. In addition, by making the bonding surface which has been mirror-finished by polishing roughened by blasting, the bonding strength with the flow path forming substrate can be improved. In addition, since the bonding surface can be uniformly roughened by blasting, uniform bonding with the flow path forming substrate can be performed, and the bonding strength can be further improved.
[0029]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, the present invention will be described in detail based on embodiments.
[0030]
(Embodiment 1)
FIG. 1 is an exploded perspective view of an ink jet recording head as an example of a liquid ejecting head according to the first embodiment. FIG. 2 is a plan view of an ink jet recording head as an example of a liquid ejecting head and its AA. FIG. 3 is an enlarged view of a main part of a sectional view taken along line BB ′ of FIG. 2B. As shown in the drawing, the flow path forming substrate 10 in this embodiment is formed of a silicon single crystal substrate having a plane orientation of (110), on both surfaces of which an elastic film 50 made of silicon dioxide formed in advance by thermal oxidation, and an elastic film 50 described later. A mask pattern 51 used as a mask when forming the pressure generating chamber is provided. In the flow path forming substrate 10, pressure generating chambers 12 partitioned by a plurality of partition walls 11 are arranged side by side in the width direction by performing anisotropic etching from the other side. A communication portion 13 that forms a part of a reservoir 100 that is a common ink chamber of the generation chamber 12 is formed, and the communication portion 13 communicates with one longitudinal end of each pressure generation chamber 12 via an ink supply path 14. Have been.
[0031]
Here, the anisotropic etching is performed using the difference in the etching rate of the silicon single crystal substrate. For example, in the present embodiment, when a silicon single crystal substrate is immersed in an alkaline solution such as KOH, it is gradually eroded, and the first (111) plane perpendicular to the (110) plane and the first (111) plane And a second (111) plane that forms an angle of about 70 degrees with the (110) plane and forms an angle of about 35 degrees with the (110) plane, and the etching rate of the (111) plane is compared with the etching rate of the (110) plane. The etching is performed using the property that the etching rate is about 1/180. By such anisotropic etching, precision processing can be performed based on depth processing of a parallelogram formed by two first (111) surfaces and two oblique second (111) surfaces. , The pressure generating chambers 12 can be arranged at a high density.
[0032]
In this embodiment, the long side of each pressure generating chamber 12 is formed by the first (111) plane, and the short side is formed by the second (111) plane. The pressure generating chamber 12 is formed by etching until it reaches the elastic film 50 substantially through the flow path forming substrate 10. Here, the amount of the elastic film 50 that is attacked by the alkaline solution for etching the silicon single crystal substrate is extremely small. Further, the cross-sectional area of each ink supply path 14 communicating with one end of each pressure generating chamber 12 is formed smaller than that of the pressure generating chamber 12 so that the flow resistance of the ink flowing into the pressure generating chamber 12 is kept constant. keeping.
[0033]
The thickness of such a flow path forming substrate 10 may be selected in accordance with the arrangement density of the pressure generating chambers 12, and the arrangement density of the pressure generating chambers 12 is, for example, 180 pieces per inch ( If it is about 180 dpi), the thickness of the flow path forming substrate 10 may be about 220 μm. For example, if the flow path forming substrate 10 is arranged at a relatively high density of 200 dpi or more, the thickness of the flow path forming substrate 10 It is preferable that the thickness be relatively thin, 100 μm or less. This is because the arrangement density can be increased while maintaining the rigidity of the partition 11 between the adjacent pressure generating chambers 12.
[0034]
Further, a nozzle plate 20 having nozzle openings 21 is bonded to the opening surface side of the flow path forming substrate 10 via an adhesive 110. Examples of such an adhesive 110 include an epoxy-based adhesive and an acrylic resin. The nozzle plate 20 has a thickness of, for example, 0.03 to 0.3 mm, a coefficient of linear expansion of 300 ° C. or less, and for example, a glass ceramic of 2.5 to 4.5 [× 10 −6 / ° C.] Or, it is made of non-rust steel. In the present embodiment, for example, a plate-shaped metal member made of stainless steel (SUS) having a thickness of 55 μm is used as the nozzle plate 20. The nozzle plate 20 entirely covers one surface of the flow path forming substrate 10 on one surface, and also serves as a reinforcing plate for protecting the silicon single crystal substrate from impact and external force. Further, the nozzle plate 20 may be formed of a material having substantially the same thermal expansion coefficient as the flow path forming substrate 10. It should be noted that stainless steel has advantages such as low cost and difficulty in breaking. However, as long as the material has such advantages, the nozzle plate 20 is not limited to stainless steel.
[0035]
Here, the size of the pressure generating chamber 12 that applies the ink droplet ejection pressure to the ink and the size of the nozzle opening 21 that ejects the ink droplet are optimized according to the amount of the ejected ink droplet, the ejection speed, and the ejection frequency. You. For example, when recording 360 (360 dpi) ink droplets per inch, the nozzle openings 21 need to be formed with a diameter of several tens of μm with high accuracy. For example, when the nozzle openings 21 are arranged at 360 dpi, the pitch a between the adjacent nozzle openings 21 is 70 μm. In addition, the thickness b of the partition wall 11 of the flow path forming substrate 10 corresponding to 360 dpi is 15 to 20 μm, and in order to securely adhere the nozzle plate 20 to the partition wall 11, the droplet discharge side of the nozzle plate 20 The distance c of the surface on the opposite side, that is, the surface between the adjacent nozzle openings 21 on the side of the bonding surface 20a bonded to the flow path forming substrate 10 is set to the thickness of the partition 11 plus 5 μm, that is, 20 to 25 μm. Is preferred. Further, the nozzle opening 21 has a shape in which the inner diameter gradually decreases toward the droplet discharge side, and the inner surface of the nozzle opening 21 that opens to the bonding surface 20 a has an angle with respect to the thickness direction of the nozzle plate 21. It is formed so that d becomes 20 degrees. Here, the reason why the angle d is set to 20 degrees is that if the angle is larger than this angle, the pitch between the adjacent nozzle openings 21 becomes narrow, and it becomes difficult to secure the adhesive surface area of the surface between the adjacent nozzle openings 21. Because.
[0036]
The adhesive surface 20a of the nozzle plate 20 bonded to the flow path forming substrate 10 will be described in detail later, but the surface roughness Ra is 50 to 100 nm by blast processing such as wet blast processing or sand blast processing. The surface is roughened. By setting the bonding surface 20a of the nozzle plate 20 to the predetermined surface roughness in this manner, it is possible to improve the bonding strength when the flow path forming substrate 10 and the nozzle plate 20 are bonded via an adhesive. In addition, by uniformly roughening the bonding surface 20a of the nozzle plate 20 by blasting, uniform bonding can be performed, thereby also improving bonding strength.
[0037]
Here, a method for manufacturing the nozzle plate 20 will be described in detail. 4 and 5 are cross-sectional views illustrating the steps of manufacturing the nozzle plate. First, as shown in FIGS. 4A and 4B, pilot holes 121 serving as nozzle openings 21 are formed at predetermined intervals in a plate-like member 220 serving as the nozzle plate 20 by press working. More specifically, for example, as shown in FIG. 4A, the plate member 220 is fixed on the die 400 having the holes 401 formed at the same pitch as the nozzle openings 21 to be formed, and the holes of the plate member 220 are formed. The punch 410 is pressed against an area facing the part 401. The punch 410 has a shape in which the outer diameter gradually decreases toward the tip, and forms a prepared hole 121 whose inner diameter gradually decreases toward the droplet discharge side. Here, as the plate-like member 220 to be the nozzle plate 20 of the present embodiment, for example, stainless steel (SUS) having a surface roughness Ra of, for example, about 100 to 300 nm and a thickness of 60 μm is used.
[0038]
In such press working with the punch 410 and the die 400, the plate member 220 is plastically deformed by the pressing of the punch 410 as shown in FIG. For this reason, the depth of the prepared hole 121 formed by the punch 410 is formed to be equal to or slightly greater than the thickness of the plate member 220. Further, the plate-like member 220 in which the pilot hole 121 is formed undergoes plastic deformation, so that a projection 122 is generated in a region facing the pilot hole 121, and the pilot hole 121 is formed without penetrating on the die 400 side. Further, when the pilot holes 121 are formed at a high density, for example, 360 dpi, the thickness between the adjacent pilot holes 121 is reduced, so that the space between the adjacent pilot holes 121 on the surface of the plate member 220 on the punch 410 side is reduced. Has a projection 123. When the prepared holes 121 are formed at a high density, the distance between the adjacent prepared holes 121 is small, so that the protrusions 123 are formed in a region to be bonded to the flow path forming substrate 10, and a region sufficient for bonding is formed. Therefore, the flow path forming substrate 10 and the nozzle plate 20 cannot be bonded. Therefore, when forming the nozzle openings 21 with high density, it is necessary to secure the bonding surface area by removing the projections 122 and 123 of the plate member 220 in a later step.
[0039]
Next, as shown in FIG. 5A, both surfaces of the plate-like member 220 are polished by polishing to remove the projections 122 and 123 on both surfaces of the plate-like member 220, thereby flattening the lower surface 121. Is formed in the thickness direction of the plate member 220 to form the nozzle opening 21. In this polishing, the polished surfaces 224 are formed on both surfaces of the plate-like member 220 by polishing and flattening both surfaces of the plate-like member 220 so that the surface roughness Ra is 5 to 20 nm. Further, when the projections 123 on the surface opposite to the droplet discharge side are removed by polishing, the surface side is polished by a predetermined amount in the thickness direction of the plate-like member 220, that is, 5 μm in this embodiment. The nozzle opening 21 is formed by polishing the inner surface of the hole 121 on the side opposite to the droplet discharge side to a position inclined by 20 degrees with respect to the thickness direction of the plate member 220.
[0040]
Next, as shown in FIG. 5B, the polished surface 224 of the plate member 220 on the opposite side to the droplet discharge side is blasted, so that the bonding surface 20a having a surface roughness Ra of 50 to 100 nm is formed. The nozzle plate 20 is formed. In the present embodiment, for example, the grinding is performed by wet blasting in which the polishing surface 224 is roughened by injecting a high-pressure grinding liquid 500 in which an abrasive such as glass beads, silicon carbide, and alumina is mixed with water. Here, the particle size of the abrasive is preferably smaller than the inner diameter of the nozzle opening 21 so that clogging does not occur in the nozzle opening 21. In the present embodiment, for example, the polishing agent having an average particle size of 3 to 15 μm is used. Agent was used. In the present embodiment, the abrasive is mixed with water in an amount of 5 to 30% by weight and treated at a pressure of 0.05 to 0.5 MPa for about 5 to 60 seconds as a wet blasting process. Was performed. As described above, in the present embodiment, by performing wet blasting, it is possible to spray fine abrasives, and to perform processing while cleaning the processing waste generated by the impact of spraying the abrasives with water. Can be.
[0041]
In the formation of the bonding surface 20a by the wet blasting, the abrasive 500 mixed in the polishing liquid 500 used for the wet blasting has a smaller particle diameter than the nozzle opening 21. However, since the inner surface of the nozzle opening 21 is inclined by 20 degrees with respect to the thickness direction of the nozzle plate 20, the inner surface of the nozzle opening 21 is hardly roughened and does not adversely affect the ejection of the droplet. .
[0042]
When the bonding surface 20a is formed by roughening the polishing surface 224 by wet blasting as described above, the bonding surface 20a side of the nozzle plate 20 is deformed into a convex shape as shown in FIG. 5C. Therefore, as shown in FIG. 5D, the nozzle plate 20 is flattened by press working. In the present embodiment, for example, the nozzle plate 20 is flattened by pressing the nozzle plate 20 with a predetermined pressure using the press plates 420 and 421. However, the present invention is not particularly limited thereto. May be performed.
[0043]
By bonding the nozzle plate 20 thus formed to the surface of the flow path forming substrate 10 where the pressure generating chambers 12 are opened via the adhesive 110, an ink jet recording head can be formed. At this time, since the bonding surface 20a of the nozzle plate 20 is roughened to 50 to 100 nm by blasting, the bonding surface is a mirror surface. The bonding strength between the forming substrate 10 and the nozzle plate 20 can be improved, and uniform bonding can be performed by uniform roughening by blasting, so that the bonding strength can be further improved. Further, even if the interval between the adjacent nozzle openings 21 is made as small as possible, the adhesion between the flow path forming substrate 10 and the nozzle plate 20 can be strengthened.
[0044]
On the other hand, as shown in FIG. 2, on the side opposite to the opening surface of the flow path forming substrate 10, on the elastic film 50 having a thickness of about 1.0 μm, for example, Through the insulating layer 55, the lower electrode film 60 having a thickness of, for example, about 0.2 μm, the piezoelectric layer 70 having a thickness of, for example, about 1.0 μm, and the lower electrode film 60 having a thickness of, for example, about 0.05 μm. The piezoelectric film 300 is formed by laminating the electrode film 80 and a process described later. Here, the piezoelectric element 300 refers to a portion including the lower electrode film 60, the piezoelectric layer 70, and the upper electrode film 80. Generally, one of the electrodes of the piezoelectric element 300 is used as a common electrode, and the other electrode and the piezoelectric layer 70 are patterned for each of the pressure generating chambers 12. Here, a portion which is constituted by one of the patterned electrodes and the piezoelectric layer 70 and in which a piezoelectric strain is generated by applying a voltage to both electrodes is referred to as a piezoelectric active portion. In the present embodiment, the lower electrode film 60 is used as a common electrode of the piezoelectric element 300, and the upper electrode film 80 is used as an individual electrode of the piezoelectric element 300. In any case, the piezoelectric active portion is formed for each pressure generating chamber. Further, here, the piezoelectric element 300 and a vibration plate whose displacement is generated by driving the piezoelectric element 300 are collectively referred to as a piezoelectric actuator. In the example described above, the elastic film 50, the insulating film 55, and the lower electrode film 60 function as a diaphragm. Also, a lead electrode 90 made of, for example, gold (Au) or the like and extending at one end to a region facing the ink supply path 14 is connected to each upper electrode film 80 which is an individual electrode of the piezoelectric element 300. .
[0045]
On the flow path forming substrate 10 on which such a piezoelectric element 300 is formed, a piezoelectric element holding portion 31 capable of sealing the space is provided in a state where a space that does not hinder the movement of the piezoelectric element 300 is secured. The piezoelectric element 300 is sealed in the piezoelectric element holding portion 31. Further, the sealing substrate 30 is provided with a reservoir portion 32 which constitutes at least a part of the reservoir 100, in a longitudinally outer side of each pressure generating chamber 12. In the present embodiment, these reservoir portions 32 are formed so as to penetrate the sealing substrate 30 in the thickness direction and extend across the width of the pressure generating chamber 12, and through the penetrating portions provided in the elastic film 50. The reservoirs 100 communicate with the communication portions 13 of the flow path forming substrate 10 and serve as common ink chambers of the pressure generation chambers 12, respectively. In a region between the piezoelectric element holding portion 31 and the reservoir portion 32 of the sealing substrate 30, a through hole 33 penetrating the sealing substrate 30 in the thickness direction is provided. The lead electrode 90 drawn out from each piezoelectric element 300 is exposed in the through hole 33 near the end. As such a sealing substrate 30, it is preferable to use a material having substantially the same thermal expansion coefficient as that of the flow path forming substrate 10, for example, glass, a ceramic material, or the like. It was formed using a silicon single crystal substrate of the material.
[0046]
Further, a compliance substrate 40 including a sealing film 41 and a fixing plate 42 is joined to a region corresponding to the reservoir 32 of the sealing substrate 30. Here, the sealing film 41 is made of a material having low rigidity and flexibility (for example, a polyphenylene sulfide (PPS) film having a thickness of 6 μm), and the sealing film 41 seals one surface of the reservoir 32. Has been stopped. The fixing plate 42 is formed of a hard material such as a metal (for example, stainless steel (SUS) having a thickness of 30 μm). Since a region of the fixing plate 42 facing the reservoir 100 is an opening 43 completely removed in the thickness direction, one surface of the reservoir 100 is sealed only with the sealing film 41 having flexibility. Have been.
[0047]
The ink jet recording head according to the present embodiment described above takes in ink from an ink supply unit (not shown), fills the inside from the reservoir 100 to the nozzle opening 21 with ink, and then outputs a drive signal from a drive IC (not shown). The driving voltage is applied between the lower electrode film 60 and the upper electrode film 80 corresponding to the pressure generating chamber 12 to displace the elastic film 50, the insulating film 55, and the piezoelectric element 300. The pressure in the chamber 12 increases, and ink droplets are ejected from the nozzle openings 21.
[0048]
(Other embodiments)
The embodiment of the present invention has been described above, but the present invention is, of course, not limited to the above embodiment. For example, in the first embodiment described above, the bonding surface 20a of the nozzle plate 20 is roughened by wet blasting, but the surface of the nozzle plate 20 on the droplet discharge side is roughened by wet blasting. It may be. This makes it possible to prevent the water-repellent film from peeling off when a water-repellent film or the like is provided on the surface on the droplet discharge side.
[0049]
In the first embodiment described above, the pilot hole 121 is formed in the plate member 220 by pressing using the die 400 and the punch 410. However, the present invention is not limited to this. May be provided with a stripper plate for holding the plate with the die 400. Even if a stripper plate is used for pressing, the projections 122 and 123 are formed on the plate-like member 220, so that both sides of the plate-like member 220 need to be polished.
[0050]
Furthermore, in the above-described embodiment, a thin-film type ink jet recording head manufactured by applying a film forming and lithography process has been described as an example. However, the present invention is not limited to this, and for example, a green sheet may be attached. The present invention can also be applied to a thick-film type ink jet recording head formed by such a method. In this case, the channel forming substrate and the nozzle plate may be joined before forming the piezoelectric element.
[0051]
In the first embodiment described above, the ink jet recording head that ejects ink is described as an example of the liquid ejecting head. However, the present invention is directed to a liquid ejecting head and a nozzle plate used for the same. . As the liquid ejecting head, for example, a recording head used for an image recording apparatus such as a printer, a color material ejecting head used for producing a color filter such as a liquid crystal display, an organic EL display, and an electrode formation such as an FED (surface emitting display). And an organic material ejecting head used for producing a biochip.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is an exploded perspective view of a recording head according to a first embodiment.
FIG. 2 is a plan view and a cross-sectional view of the recording head according to the first embodiment.
FIG. 3 is an enlarged sectional view of a main part of the recording head according to the first embodiment.
FIG. 4 is a cross-sectional view illustrating a manufacturing process of the nozzle plate according to the first embodiment.
FIG. 5 is a cross-sectional view illustrating a manufacturing process of the nozzle plate according to the first embodiment.
[Explanation of symbols]
Reference Signs List 10 flow path forming substrate, 12 pressure generating chamber, 20 nozzle plate, 21 nozzle opening, 50 elastic film, 55 insulating film, 60 lower electrode film, 70 piezoelectric layer, 80 upper electrode film, 90 lead electrode, 121 pilot hole, 122, 123 protrusion, 220 plate member, 300 piezoelectric element, 400 dice, 410 punch