JP2004255336A - 有機溶剤の吸着除去方法 - Google Patents

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幹雄 赤松
Taketo Hata
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Abstract

【課題】有機溶剤を含むガスから活性炭素繊維(ACF)を使用して有機溶剤を吸着除去するに際し、ACFを長期に亘り再活性化処理する必要がなく、しかも、ACFに吸着された有機溶剤を高効率で回収でき、更に、これを繰り返し使用しても、その有機溶剤の回収効率が余り低下しない有機溶剤の吸着除去方法を提供する。
【解決手段】有機溶剤を含むガスをACFに接触させて前記有機溶剤を吸着除去する有機溶剤の吸着除去方法であって、有機溶剤が炭素数6〜12の有機化合物からなり、ACFが、その表面に細孔を有し、横軸に細孔直径を採り、縦軸に前記細孔直径に対する細孔容積を採った細孔容積分布曲線が、細孔直径2.5〜5.0nmの全範囲に亘って細孔容積が0.1ml/g以上である曲線Aを示すピッチ系ACFである有機溶剤の吸着除去方法。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭素数6〜12の有機化合物等の有機溶剤を含むガスから有機溶剤を活性炭素繊維(以下、「ACF」と略称する。)によって吸着させる操作と、吸着させた有機溶剤をACFから脱着させて除去する操作との繰り返しが可能な有機溶剤の吸着除去方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガス中又は液中に存在する成分を、粉状又は粒状の活性炭によって吸着させ、これらの成分を除去する技術は古くから行われている。また、この活性炭による吸着除去技術を、有機溶剤を含むガスからの溶剤回収に用いることも盛んに行われている。
【0003】
近年においては、ACFを使用することで、低濃度の有機溶剤を含む排ガスから有機溶剤を吸着し、吸着した有機溶剤をACFから脱着させて効果的に有機溶剤を回収することが試みられている。このACFを用いた有機溶剤の回収における従来技術では、有機溶剤を一旦ACFに吸着させた後、この有機溶剤吸着ACFに水蒸気を接触させて有機溶剤をACFから分離することによって有機溶剤を回収している。
【0004】
このACFを使用した水蒸気による有機溶剤の回収技術では、先ず、ACFを充填した複数個の吸着缶を並列に配置し、これらの吸着缶へ有機溶剤を含む排ガスを導入して、ACFに有機溶剤を吸着させる。次いで、吸着缶へ水蒸気を導入して、ACFに吸着された有機溶剤を分離して回収している。そして、上記有機溶剤の、吸着操作と分離操作とを交互に繰り返すことによって、有機溶剤を含む排ガスから有機溶剤を連続的に回収している。
【0005】
水蒸気によるACFからの有機溶剤脱着方法に代えて、空気などの水蒸気以外の気体を使用した脱着方法もある。しかし、水蒸気以外の気体による脱着方法では、ACFからの有機溶剤の分離効率が悪い上に、回収できる有機溶剤の種類も限定されてしまうという問題がある。そのために、現状においては、水蒸気を利用した有機溶剤の回収方法が主流を占めている。
【0006】
前述したように近年においては、粒状活性炭に代わってACFが使用される。ACFは、通常の粒状活性炭を使用した場合に比較して、その使用量を軽減でき、且つ単位質量当たりの吸脱着面積を大にすることができるからである。
【0007】
その上、ACFは、吸着缶等に充填してACF層として使用する場合、有機溶剤を含むガス及び脱着用加熱水蒸気などの気流がACF層を通過する際の圧力損失を小さくできるので、通過する気流の単位時間当たりの体積を大きくすることが可能となり、有機溶剤の回収速度が向上するからである。この有機溶剤の回収速度が高いことは、ACF層を通過する有機溶剤が有毒物質の場合、特に好ましいことである。
【0008】
更に、粒状活性炭と異なり、ACFは繊維状であるため、いろいろな形状に加工することができる。このようなことから、ACFに吸着した有機溶剤を脱着する際に使用する加熱水蒸気によって、ACF層全体を有効に加熱することができる。このために有機溶剤の脱着に要する時間を短縮でき、更に、熱損失も少なくすることができる利点がある。
【0009】
このような利点がある反面、ACFを使用した従来技術においては、下記のような問題がある。
【0010】
すなわち、ACFに吸着した有機溶剤を分離回収する際に、そのACFからの吸着した有機溶剤の分離効率がまだまだ低く、多くのACFを使用しなければならないという問題がある。また、このように分離効率が悪いことから、吸着缶を多数使用する必要があり、回収設備費及び運転費の両面でコストがかかるという問題もある。何度かACFを吸脱着に使用すると、その吸脱着効果が低下するためACFを頻繁に取り替える必要があるのが現状である。
【0011】
これらの問題があるため、従来技術においては、特許文献1に提案されているように、ACFの吸脱着効果の低下を補うために、これを再活性化することが行われている。再活性化は、導電性を有するACFに電流を通じることで行われるため、装置が複雑になると共に、爆発の危険がある場所や、溶剤を使用する環境下では、適さないという問題がある。
【0012】
そこで、使い捨て可能で且つ安価なACFを大量に使用することも考えられる。しかし、ACFの大量消費とそれに伴う大量廃棄を行う場合、ACFに吸着された有機溶剤成分が環境に放出されることになり、特に環境に対して悪影響を及ぼすような有毒物質を含む場合には、環境汚染を引き起こす。
【0013】
従って、リサイクルという観点からも、大量消費ではなく、幾度も繰り返し使用することができるACFを用いることが、環境に優しい環境型社会を形成する上で、社会的にますます要望されている。
【0014】
【特許文献1】
特公昭42−7361号公報 (第1〜2頁)
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上に述べた従来技術が有する諸問題に鑑みてなされたもので、その目的は下記の通りである。
【0016】
すなわち、本発明の目的は、有機溶剤を含むガスからACFを使用して有機溶剤を吸着除去するに際し、ACFを再活性化処理する必要がなく、しかも、ACFに吸着された有機溶剤を高効率で回収でき、更に、これを繰り返し使用しても、その有機溶剤の回収効率が余り低下しない有機溶剤の吸着除去方法を提供することにある。
【0017】
この吸脱着方法によれば、ACFは使い捨てではなく繰り返し使用が可能となる。それ故に、本発明の更なる目的は、省資源型であり且つ環境に優しいACFを使用した有機溶剤の吸着除去方法を提供することある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
すなわち、上記課題を解決する本発明は、以下に記載するものである。
【0019】
〔1〕 有機溶剤を含むガスを活性炭素繊維に接触させて前記有機溶剤を吸着除去する有機溶剤の吸着除去方法であって、有機溶剤が炭素数6〜12の有機化合物からなり、活性炭素繊維が、その表面に細孔を有し、横軸に細孔直径を採り、縦軸に前記細孔直径に対する細孔容積を採った細孔容積分布曲線について、細孔直径2.5〜5.0nmの全範囲に亘って細孔容積が0.1ml/g以上であるピッチ系活性炭素繊維である有機溶剤の吸着除去方法。
【0020】
〔2〕 有機化合物が、芳香族炭化水素である〔1〕に記載の有機溶剤の吸着除去方法。
【0021】
〔3〕 有機化合物の沸点が140〜200℃である〔1〕又は〔2〕に記載の有機溶剤の吸着除去方法。
【0022】
〔4〕 有機溶剤の吸着除去を実行する吸着除去手段系列を2系列設け、この2系列で交互に有機溶剤の吸着と脱着とを行うことを繰り返す〔1〕乃至〔3〕の何れかに記載の有機溶剤の吸着除去方法。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明は、ACFを使用し、このACFに、炭素数6〜12の有機化合物からなる有機溶剤を吸脱着させる有機溶剤を含むガス(被処理ガス)中の有機溶剤の吸着除去方法であって、ACFが、その表面に細孔を有し、横軸に細孔直径を採り、縦軸に前記細孔直径に対する細孔容積を採った細孔容積分布曲線について、細孔直径2.5〜5.0nm好ましくは2.5〜4.0nmの全範囲に亘って細孔容積が0.1ml/g以上であるピッチ系ACFであることを特徴とする有機溶剤の吸着除去方法である。
【0024】
本発明の方法で吸着除去の対象となる上記炭素数6〜12の有機化合物としては、1,2,4−トリメチルベンゼン等の芳香族炭化水素、デカリン等の脂環式炭化水素、ケトン、アルコール、フェノール、並びに、ジクロロベンゼンが挙げられる。これらの有機化合物の中でも芳香族炭化水素が好ましく、有機化合物の沸点は140〜200℃と高沸点であることが好ましい。
【0025】
ACFを用いる従来の技術において、前述したように、ACFを繰り返し使用すると、有機溶剤の回収効率が低下する。
【0026】
本発明においては、図1に例示するACFを使用することによって、ACFに吸着された有機溶剤を高効率で回収でき、繰り返し使用しても、有機溶剤の回収効率が余り低下しない方法を提供するものである。
【0027】
以下、図1に例示した本発明の方法に用いるACFについて説明する。図1において、横軸はACFの表面に存在する細孔の直径を、縦軸は前記細孔直径に対する細孔容積を示す。
【0028】
図1の細孔直径と細孔容積との関係を示すグラフは、以下の細孔分布曲線の作成法によって得られたグラフである。
【0029】
[細孔分布曲線の作成法]
一定濃度の硫酸水溶液の平衡水蒸気圧は一定をとることから、硫酸水溶液の硫酸濃度と平衡水蒸気圧との間には一律の関係がある。所定濃度の硫酸水溶液を存在させた吸着室の気相部にACFを入れ、1気圧(絶対圧)、30℃の条件で水蒸気と接触させた後、該ACFにおける質量増加分として水の飽和吸着量(質量)を測定した。
【0030】
一方、この飽和吸着量の測定試験において水の吸着に利用されたACFの細孔は、採用した硫酸水溶液の硫酸濃度に固有の1気圧(絶対圧)、30℃での平衡水蒸気圧の値(P)から下記式(1)により表されるKelvinの式に基づいて求められる細孔直径(D)以下の細孔直径を有するものである。すなわち、該Kelvinの式に基づいて求められる細孔直径以下の細孔の累積細孔容積が、その測定試験での飽和吸着量に相当する30℃の水の体積である。
【0031】
同様にして、同種のACFを用いて、硫酸濃度に変化を持たせた13種の硫酸水溶液(すなわち、1.05から1.30までの0.025の間隔をあけた比重を有する11種の硫酸水溶液、1.35の比重を有する硫酸水溶液、及び1.40の比重を有する硫酸水溶液)について飽和吸着量の測定試験を行い、各測定試験において、対応する細孔直径以下の細孔の累積細孔容積を求めた。このようにして求められた累積細孔容積のデータに基づいて、累積細孔容積を細孔直径に対しプロットすることにより、ACFの細孔分布曲線を得ることができる。
【0032】
【数1】
Kelvinの式:
D = {−[2Vγcosθ]/[RTln(P/P)]}×2 ……… (1)
ただし、式(1)に用いた記号の意味は下記の通りである。
D:細孔直径(cm)
P:細孔内において水が示す飽和蒸気圧(mmHg)
:水の1気圧(絶対圧)下30℃における飽和蒸気圧(mmHg)
:水の分子容(cm/mol)
γ:表面張力(dyne/cm)
θ:毛細管壁と水の接触角(゜)
R:ガス定数(erg/deg・mol)
T:絶対温度(K)
なお、式(1)で定義される細孔直径D(cm)は、下記の数値、即ち、V = 18.079 cm/mol(30℃での値)、γ = 71.15 dyne/cm(30℃での値)、θ = 55゜、R = 8.3143×10 erg/deg・mol、T = 303.15 K、P = 31.824 mmHgによって算出した。
【0033】
本発明の方法に用いるACFは、図1のグラフA(曲線A)で示したような細孔直径に対する細孔容積分布を有することが肝要である。すなわち、本発明の方法に使用するACFは、その表面に細孔を有し、細孔直径2.5〜5.0nmの全範囲に亘って、好ましくは細孔直径2.5〜4.0nmの全範囲に亘って、細孔容積が0.1ml/g以上である。このことは、図1では、曲線Aで示されるACFの細孔容積分布曲線が、細孔直径2.5〜5.0nmの範囲において、好ましくは細孔直径2.5〜4.0nmの範囲において、グラフC(直線C)の上方に位置することを意味する。
【0034】
ACF表面に分布する細孔の直径における上記範囲2.5〜5.0nmは、有機溶剤が脱着しやすい比較的大きい細孔直径である。
【0035】
本発明の方法に用いるACFは、そのACF中に分布する細孔は、上記細孔直径範囲2.5〜5.0nmを含み、細孔直径の広い範囲に亘って高容積を有する。この細孔容積分布を有するACFを用いることによって、ACFへの有機溶剤の吸着効率を低下させることなく、有機溶剤を極めて効率よく脱着させることができることを本発明者は見出した。
【0036】
このACFは、再活性化する必要がなく、これを繰り返し使用することを可能とするものである。
【0037】
これに対して、グラフB(曲線B)に示したような細孔直径に対する細孔容積の分布を有する従来のACFでは、図1で格子状網掛けで示した領域Dにおいて、有機溶剤が脱着しやすい細孔直径が比較的大きい細孔が不足している。この不足分に相当する有機溶剤は、細孔直径が小さい細孔に吸着されることになり、従来のACFでは、この細孔で吸着した有機溶剤をそのまま抱え込んでしまう結果となる。このため、水蒸気と接触させても、有機溶剤はACFから脱離し難く、そのまま吸着された状態となっている。
【0038】
なお、このようなACFは、石油由来のピッチ系炭素繊維からなる短繊維を酸素雰囲気中又は空気中にて300℃以下の温度で常法によって不融化した後、800〜1000℃で焼成し、これを80〜100容積%の水蒸気を含む500〜600℃の気体に接触させて賦活処理した比表面積が800〜1000m/gのACFを例示できる。
【0039】
本発明の方法においては、有機化合物の吸着除去操作が可能な吸着除去手段系列を二系列設け、一方の吸着除去手段系列で有機化合物を吸着させる操作を行い、その間、吸着された有機化合物を他方の吸着除去手段系列で脱着させて除去する操作を行う工程と、吸着された有機化合物を一方の吸着除去手段系列で脱着させて除去する操作を行い、その間、他方の吸着除去手段系列で有機化合物を吸着させる操作を行う工程とを、交互に切替えて有機化合物を被処理ガスから吸着除去することが好ましい。
【0040】
本発明方法の実施に用いる装置としては、特に限定されるものではないが、例えば図2に示す装置がある。以下、図2を参照して本発明を具体的に説明する。
【0041】
図2において、Lは回収した有機溶剤、1は被処理ガスの送風機、2及び2’は各系列の有機溶剤の吸着除去手段系列、3は有機溶剤ガスの凝縮機、4は凝縮された有機溶剤の回収タンクをそれぞれ示している。
【0042】
なお、このような具体的な方法あるいは装置としては、図2に例示したもの以外に、例えば、特開昭51−29380号公報、特開昭51−38278号公報、特開平4−242225号公報、実公平2−33863号公報、実公平2−33864号公報、実公昭58−37456号公報、あるいは実公昭53−35580号公報などに提案されているものがあり、このようなものを好適に使用することもできる。
【0043】
本発明の方法を適用する有機溶剤の吸着除去装置としては、図2に例示したように、二系列の吸着除去手段系列2及び2’を設けることが好ましい。何故ならば、二系列の吸着除去手段系列2及び2’を設けることで、被処理ガス中に含まれる有機溶剤の吸着を一方の系列(例えば、吸着除去手段系列2)で行っている間に、他方の系列(例えば、吸着除去手段系列2’)では吸着した有機溶剤を脱着することができるからである。
【0044】
以下に、前記吸着除去手段系列2と2’に関し、吸着と脱着に関する操作について説明するが、この吸着除去手段系列2と2’とは、その機能は実質的に同一であるので、それぞれが有する機械要素も実質的に同一である。したがって、以下の説明においては、同一の機能を果たす機械要素に関しては、ダッシュ記号(’)を付すことで、両者を互いに区別するものとする。
【0045】
吸着除去手段系列本体20と20’の内部に、前記ACFのフェルトで構成されるACFモジュール(活性炭素繊維モジュール)21と21’とが円筒状に成型されて、それぞれ装着されている。
【0046】
吸着除去手段系列2と2’は、有機溶剤を含んだ被処理ガスをACFモジュール21と21’に吸着させて浄化する機能と、このACFモジュール21と21’へ水蒸気を吹き込んで、吸着された有機溶剤を脱着して回収する機能とを有する。
【0047】
先ず、前者の被処理ガスの浄化を行う機械要素から説明する。吸着除去手段系列2と2’の本体20と20’の外部には、被処理ガス導入手段22と22’がそれぞれ付設されている。その上部には前記ACFモジュール21と21’とによって有機溶剤が吸着させられて浄化された浄化ガス(被処理ガス)を排出するための浄化ガス排出手段23と23’がそれぞれ設けられている。
【0048】
前記被処理ガス導入手段22と22’は、有機溶剤を含む被処理ガスの導入と遮断を行う被処理ガス開閉手段22bと22b’と、その開閉手段22bと22b’が頂部に付設された被処理ガス導入室22aと22a’とを含んで構成されている。
【0049】
更に、前記浄化ガス排出手段23と23’も、浄化ガスの排出と遮断を行う浄化ガス開閉手段23bと23b’と、その開閉手段23bと23b’が頂部に付設された浄化ガス排出室23aと23a’とを含んで構成されている。
【0050】
次に、後者の有機溶剤を脱着して回収する機械要素について説明する。吸着除去手段系列2と2’の本体20と20’の内部には、ACFモジュール21と21’に吸着された有機溶剤を脱着するための水蒸気を導入したり遮断したりする水蒸気開閉手段24bと24b’がそれぞれ設けられている。本体20と20’の下部には、水蒸気吹込器24aと24a’がそれぞれ設けられている。
【0051】
水蒸気導入手段24と24’は、それぞれ水蒸気開閉手段24bと24b’と、水蒸気吹込器24aと24a’とを含んで構成されている。
【0052】
また、吸着除去手段系列2と2’の本体20と20’の下部には、ACFモジュール21と21’から脱着した有機溶剤を含む水蒸気を排出したり遮断したりするための水蒸気開閉手段25と25’が設けられている。
【0053】
以上のようにして構成される吸着除去手段系列2と2’において、吸着除去手段系列2で被処理ガス中に含まれる有機溶剤の吸着プロセスが行われている間、吸着除去手段系列2’においては水蒸気による有機溶剤の脱着プロセスが行われる。
【0054】
即ち、一方の吸着除去装置2へは有機溶剤を含んだ被処理ガスが供給され、他方の吸着除去手段系列2’へは水蒸気が供給される。したがって、この状態においては、開閉手段22b、23b、24b’そして25’は開けられており、開閉手段22b’、23b’、24bそして25は閉じられた状態にされる。
【0055】
これら開閉手段の開閉状態において、被処理ガス導入管101から送風機1を介して吸着除去手段系列2の被処理ガス導入室22aへ有機溶剤を含む被処理ガスが供給される。この室22aへ供給された被処理ガスは、吸着除去装置2において二点鎖線で示された経路を流れ、ACFモジュール21によって被処理ガス中に含まれる有機溶剤が吸着され、被処理ガスは浄化される。そして、この浄化された被処理ガス(浄化ガス)は、浄化ガス排出室23aから浄化ガス排出管103を通じて排出される。
【0056】
他方、前記の吸着除去手段系列2と同様の操作によって、既に有機溶剤がACFモジュール21’に吸着されている吸着除去手段系列2’においては、水蒸気による有機溶剤の脱着操作が並行して行われる。すなわち、水蒸気導入管102から水蒸気吹込器24a’を経てACFモジュール21’の内側へ吹き込まれた水蒸気が吸着除去手段系列2’において二点鎖線で示された経路を流れることによって、吸着された有機溶剤をACFモジュール21’から脱着される。
【0057】
脱着された有機溶剤は水蒸気と共に、排気管104を介し、凝縮器3へ送られる。この凝縮器3において、有機溶剤は凝縮されると共に水蒸気と分離される。この凝縮、分離された有機溶剤は回収タンク4に貯えられる。
【0058】
以上の操作により、吸着除去手段系列2で有機溶剤が吸着されて被処理ガスが浄化され、吸着除去手段系列2’において、有機溶剤が吸着されたACFモジュール21’からの有機溶剤の回収が完了する。その後、これら吸着除去手段系列2及び2’の運転を互いに切替える。これにより、被処理ガス中に含まれる有機溶剤の吸着が吸着除去手段系列2’で行われ、他方、吸着された有機溶剤が、他方の吸着除去手段系列2で脱着される。
【0059】
上記例のように本発明においては、二系列の吸着除去手段系列2及び2’を用意し、これらを交互に切替えて運転することによって、被処理ガス吸着除去装置の運転を、一旦停止等の休転をすることなく連続的に行うことができる。本発明においては、前記特定の物性を有するACFを採用することにより吸着除去手段系列2及び2’によって、有機溶剤を何度も吸着したり、脱着したりすることができる。
【0060】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
【0061】
実施例1
有機溶剤の吸着除去装置として図2に示す装置を用い、吸着材として図1に示すグラフAの細孔容積分布を有する石油由来のピッチ系ACF(東邦テナックス提供:製品名、FE−620−7)を用い、以下の条件で有機溶剤の吸着除去処理を行った。
【0062】
図2に示す各系列のACFモジュールに、前記ACFからなる円筒状フェルトをそれぞれ250kgづつ充填して、二系列のACFモジュール2及び2’を用意した。
【0063】
単位時間当り、流量640mの窒素ガス中に、高沸点の有機溶剤として1,2,4−トリメチルベンゼン(TMB)、n−ノナノン、及びn−ノナノールをそれぞれ3.4kg含ませ、これを被処理ガスとした。
【0064】
この被処理ガスを、前記二系列からなるACFモジュール2及び2’の中、一方の系列のACFモジュール2へ供給して、前記TMBなどの高沸点の有機溶剤を吸着させた。
【0065】
更に、前記有機溶剤を吸着させたACFモジュール2に、500℃に加熱した100容積%の水蒸気を供給して、吸着された前記有機溶剤をACFモジュール2から脱着させた。このACFモジュール2における脱着操作の間、他方の系列のACFモジュール2’には、前記TMBなどの高沸点の有機溶剤を供給して、これらの有機溶剤を吸着させた。
【0066】
ACFモジュール2’での吸着操作と、ACFモジュール2での脱着操作とを十分に行った後、これらのACFモジュール2及び2’を切替えて、それぞれ逆の操作を行った。次いで、このACFモジュール2及び2’において交互に吸着操作と脱着操作とを行う一連の有機溶剤の吸着除去処理を10回繰り返した。その結果、それぞれのACFモジュール2及び2’には、吸着除去機能の低下は認められなかった。
【0067】
比較例1
吸着材として図1に示すグラフBの細孔容積分布を有するフェノール系ACF(クラレケミカル提供:製品名、FT−300−15)を使用した外は、実施例1と同様に有機溶剤の吸着除去処理を行った。その結果、1回目の吸着除去処理を行った時点で、吸着された高沸点の有機溶剤がACFから脱離しなかったため、その後の繰り返し処理はできなかった。
【0068】
【発明の効果】
本発明の有機溶剤の吸着除去方法によれば、ACFを長期に亘り再活性化処理する必要がなく、しかも、ACFに吸着された有機溶剤を高効率で回収でき、更に、これを繰り返し使用しても、その有機溶剤の回収効率が余り低下しない。
【0069】
そして、本発明の有機溶剤の吸着除去方法は、ACFの繰り返し使用が可能であるが故に、省資源型であって、更には環境に優しいACFを使用した有機溶剤の吸着除去方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機溶剤の吸着除去方法に用いられるACFにおける細孔容積分布曲線と、従来の有機溶剤の吸着除去方法に用いられるACFにおける細孔容積分布曲線とを比較したグラフである。
【図2】本発明の有機溶剤の吸着除去方法に用いる有機溶剤の吸着除去装置の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
A 本発明の有機溶剤の吸着除去方法に用いられるACFにおける細孔容積分布曲線
B 従来の有機溶剤の吸着除去方法に用いられるACFにおける細孔容積分布曲線
C 細孔容積0.1ml/gを示す直線
D 細孔直径2.5〜4nmの範囲における曲線Aと曲線Bとの細孔容積差分を示す領域
L 回収した有機溶剤
1 被処理ガスの送風機
2、2’ 有機溶剤の吸着除去手段系列
3 有機溶剤ガスの凝縮機
4 凝縮された有機溶剤の回収タンク
20、20’ 吸着除去手段系列本体
21、21’ ACFモジュール
22、22’ 被処理ガス導入手段
22a、22a’ 被処理ガス導入室
22b、22b’ 被処理ガス開閉手段
23、23’ 浄化ガス排出手段
23a、23a’ 浄化ガス排出室
23b、23b’ 浄化ガス開閉手段
24、24’ 水蒸気導入手段
24a、24a’ 水蒸気吹込器
24b、24b’ 水蒸気開閉手段
25、25’ 有機溶剤を含む水蒸気の開閉手段
101 被処理ガス導入管
102 水蒸気導入管
103 浄化ガス排出管
104 排気管

Claims (4)

  1. 有機溶剤を含むガスを活性炭素繊維に接触させて前記有機溶剤を吸着除去する有機溶剤の吸着除去方法であって、有機溶剤が炭素数6〜12の有機化合物からなり、活性炭素繊維が、その表面に細孔を有し、横軸に細孔直径を採り、縦軸に前記細孔直径に対する細孔容積を採った細孔容積分布曲線について、細孔直径2.5〜5.0nmの全範囲に亘って細孔容積が0.1ml/g以上であるピッチ系活性炭素繊維である有機溶剤の吸着除去方法。
  2. 有機化合物が、芳香族炭化水素である請求項1に記載の有機溶剤の吸着除去方法。
  3. 有機化合物の沸点が140〜200℃である請求項1又は2に記載の有機溶剤の吸着除去方法。
  4. 有機溶剤の吸着除去を実行する吸着除去手段系列を2系列設け、この2系列で交互に有機溶剤の吸着と脱着とを行うことを繰り返す請求項1乃至3の何れかに記載の有機溶剤の吸着除去方法。
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