JP2004255230A - ミストセパレータ - Google Patents
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Abstract
【課題】気体に含まれるオイルミストの分離効率が高く、且つ、圧力損失の低いミストセパレータを提供する。
【解決手段】流入孔4及び流出孔5が形成されたケース2と、このケース2内に配設され濾材部10を有するフィルタエレメント3とからなり、フィルタエレメント3が、ケース2内を、流入孔4が連通する内周空間13と、流出孔5が連通する外周空間14とに分離するように配設され、流入孔4から内周空間13に導入された気体を、濾材部10を通過させて外周空間14に流出させ、流出孔5から外部に流出させるように構成し、フィルタエレメント3により気体に含まれるオイルミストを分離して除去するミストセパレータ1において、濾材部10を、表面にフッ素樹脂若しくはシリコンがコーティングされた濾材で構成することにより、従来分離効率が得られないほど孔径が大きく、薄い濾材を用いて高分離効率で低圧力損失のミストセパレータ1を提供する。
【選択図】 図1
【解決手段】流入孔4及び流出孔5が形成されたケース2と、このケース2内に配設され濾材部10を有するフィルタエレメント3とからなり、フィルタエレメント3が、ケース2内を、流入孔4が連通する内周空間13と、流出孔5が連通する外周空間14とに分離するように配設され、流入孔4から内周空間13に導入された気体を、濾材部10を通過させて外周空間14に流出させ、流出孔5から外部に流出させるように構成し、フィルタエレメント3により気体に含まれるオイルミストを分離して除去するミストセパレータ1において、濾材部10を、表面にフッ素樹脂若しくはシリコンがコーティングされた濾材で構成することにより、従来分離効率が得られないほど孔径が大きく、薄い濾材を用いて高分離効率で低圧力損失のミストセパレータ1を提供する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オイルミストを含んだ気体を通過させてオイルミストを分離して除去するミストセパレータに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車等に用いられるエンジンの燃焼室から漏れる燃焼ガス(ブローバイガス)はそのまま大気中に放出すると環境汚染の原因となるため、ブローバイガス循環装置により再度燃焼室に循環させているが、このブローバイガスには、エンジンの潤滑等に使われているエンジンオイルがシリンダ等から飛散してオイルミストとして含まれており、このまま燃焼室に供給したのでは、エンジンの排気性能を悪化させてしまう。
【0003】
このため、ブローバイガスのような気体からオイルミストを分離して除去するミストセパレータが提供されている(例えば、特許文献1参照)。ブローバイガス循環装置に用いられるミストセパレータ(「ブローバイフィルタ」とも呼ぶ)には、オイルミストを効率よく分離し、且つ、低圧力損失であるという性能が要求される。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−120932号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、一般的にミストセパレータにおけるオイルミストの分離効率を向上させるためには、ミストセパレータに使用される濾材の孔径を小さくし、濾材を厚くすることにより達成できる。しかしながら、濾材の孔径を小さくし、厚くすると、圧力損失が大きくなり、また、捕捉されたオイルミスト等がこの孔に詰まるため濾材のライフサイクルが短くなるという課題がある。このような濾材における高分離効率と低圧力損失(ロングライフ)は、一般的に相反する性能であり、両方の性能を向上させるのは難しい。
【0006】
本発明は以上の課題に鑑みなされたものであり、従来、十分な分離効率が得られないほど大きな孔径で、且つ、薄い濾材にフッ素樹脂若しくはシリコンをコーティングすることにより、気体に含まれるオイルミストの分離効率が高く、且つ、圧力損失の低いミストセパレータを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明に係るミストセパレータは、流入孔及び流出孔が形成されたケースと、このケース内に配設され濾材部を有するフィルタエレメントとからなり、フィルタエレメントが、ケース内を、流入孔が連通する流入空間(例えば、実施形態における内周空間13)と、流出孔が連通する流出空間(例えば、実施形態における外周空間14)とに分離するように配設され、流入孔から流入空間に導入された気体を、濾材部を通過させて流出空間に流出させ、流出孔から外部に流出させるように構成し、フィルタエレメントにより気体に含まれるオイルミストを分離して除去するものであり、濾材部が、表面にフッ素樹脂若しくはシリコンがコーティングされた濾材で構成されている。
【0008】
このような構成によると、濾材の表面にコーティングされたフッ素樹脂若しくはシリコンにより、この濾材部を通過する気体に含まれるオイルミストの分離効率が飛躍的に向上するため、濾材に圧力損失の少ない孔径が大きく、且つ薄い素材を用いても効率良くオイルミストを分離除去することができる。
【0009】
なお、上記濾材は、フッ素樹脂若しくはシリコンがコーティングされたパルプ、コットン、レーヨン、グラス、金属、炭素等からなる繊維状濾材、若しくは、PE、PP、PET、ナイロン、アクリル、ビニロン等からなる不織布であることが好ましい。
【0010】
このような素材を濾材として用いることにより、圧力損失の低い孔径が比較的大きく、且つ薄い濾材を用いても、濾材部によるオイルミストの分離効率を向上させることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。本発明に係るミストセパレータ(ブローバイフィルタ)は、例えば、エンジンのシリンダヘッド部から吸気系の間に配設されたブローバイガス循環システムにおいて、ブローバイガスに混入したオイルミストを分離除去するために用いられる。
【0012】
図1及び図2は本発明に係るミストセパレータ及びこのミストセパレータに用いられるフィルタエレメントの構造を示している。ミストセパレータ1は、有底円筒状のケース2と、このケース2内に配設されるフィルタエレメント3とから構成されている。フィルタエレメント3は、その円周面に多数の開孔が形成された円筒状のインナーチューブ9と、このインナーチューブ9の外周面に密接して巻き付けられた濾材部10とを有しており、このインナーチューブ9と濾材部10は、フィルタエレメント3の円筒軸方向両端面に配設された2枚のエンドプレート12で挟持されている(図2においては、、フィルタエレメント3の構造を示すために、上部に配設されるエンドプレート12は図示していない)。
【0013】
フィルタエレメント3の下部に配設されるエンドプレート12には、インナーチューブ9の内周面とエンドプレート12の内側面で囲まれた内周空間13(インナーチューブ9の円周面上には多数の開孔が形成されており、この内周空間13はこれらの開孔を介して濾材部10で囲まれていることになる)に連通する開孔部が形成されており、この開孔部と、ケース2の下部に形成された流入孔4とが密接して連通するように配設されている。また、フィルタエレメント3の外周面(すなわち、濾材部10の外周面及びエンドプレート12の外側面)とケース2の内面に囲まれて外周空間14が形成されており、この外周空間14とケース2の上部に形成された流出孔5が連通するように構成されている。
【0014】
このように構成することにより、ケース2の内部は、フィルタエレメント3によって内周空間13と外周空間14とに分離されており、オイルミストを含んだ気体を流入孔4から内周空間13に導入し、フィルタエレメント3の濾材部10を内周面から外周面に向かって通過させることで、この濾材部10でオイルミストが分離される。オイルミストが分離されて除去された気体は外周空間14に流出し、流出孔5から外部に流出する。なお、フィルタエレメント3で分離されたオイルミストは濾材部10で捕捉されて油滴となり、多くの油滴は、濾材部10の内周面に沿って下方に流れ落ち、フィルタエレメント3の底部6にオイルとして溜まり、さらに流入孔4を通ってエンジン等に戻されるように構成されている。なお、濾材部10の外周面に沿って下方に流れ落ちた油滴は、ケース2の底部7にオイルとして溜まる。このケース2の底面には、底部7に溜まったオイルを外部に排出するための排出孔8が形成されている。
【0015】
この濾材部10は圧力損失を低くするために比較的孔径が大きく、薄い繊維状素材若しくは不織布(濾材)が用いられる。そして、この濾材の表面にはフッ素樹脂若しくはシリコンがコーティング(フッ素加工若しくはシリコン加工)されており、このフッ素樹脂によりオイルミストの分離効率が向上する。これは、表面張力の低いフッ素樹脂等の樹脂を繊維等の濾材にコーティングすることにより、この濾材を気体が通過するときに、フッ素樹脂等で気体に含まれるオイルミストが弾かれて油滴に成長しやすくなるためである。
【0016】
繊維状素材若しくは不織布等にフッ素樹脂若しくはシリコンをコーティングする方法は、繊維等の濾材の表面にフッ素樹脂等を十分に付着させ、熱処理を施すことで行う。このようにして作られた濾材をインナーチューブ9に巻き付けて濾材部10を構成する。なお、このような濾材としては、パルプ、コットン、レーヨン、グラス、金属、炭素等からなる繊維状濾材、若しくは、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエステル)、ナイロン、アクリル、ビニロン等を原料とする不織布等を用いることができる。
【0017】
【実施例】
以下に、各種繊維に対してフッ素樹脂をコーティングしたものを濾材部10の濾材として用いた場合のオイルミストの分離効率について測定した結果を以下の表1に示す。なお、いずれの繊維も孔径は約40μmと目が粗く、厚さ約1mmと薄いものを用いているため、圧力損失は低い。また、表1において「処理前の分離効率」とはフッ素樹脂をコーティングせずに濾材部10として用いた場合のオイルミストの分離効率を示し、「処理後の分離効率」とは、上述の方法によりフッ素樹脂をコーティングした状態で濾材部10として用いた場合のオイルミストの分離効率を示している。
【0018】
【表1】
濾材 処理前の分離効率 処理後の分離効率
パルプ・レーヨン系繊維 5%以下 80%
PET不織布 10% 100%
PP不織布 15% 90%
ナイロン不織布 10% 100%
アクリル不織布 10% 100%
グラス繊維 5%以下 100%
【0019】
表1から明らかなように、フッ素樹脂をコーティングすることにより、オイルミストの分離効率が飛躍的に向上していることが分かる。
【0020】
なお、上述の実施形態では、オイルミストを含む気体を、フィルタエレメント3の内周面から外周面に向かって内部を通過させることにより、このオイルミストを分離除去するように構成した場合について説明したが、フィルタエレメント3の外周面から内周面に向かって内部を通過させるように構成することにより、同様の形状でミストセパレータを実現することも可能である。
【0021】
また、本実施形態では、濾材部10をフッ素樹脂若しくはシリコンがコーティングされた濾材をインナーチューブ9に巻き付けて構成したが、この濾材を蛇腹状に折り畳んで環状に丸めた断面菊花状に形成して構成することも可能である。さらには、他の素材で形成された濾材をインナーチューブ9に巻き付け、その周りにフッ素樹脂若しくはシリコンがコーティングされた濾材を巻き付けて濾材部10とした複層構造とすることも可能である。このような複層構造とすると、例えば、内周側にある濾材でゴミ等の固形物を捕捉除去し、外周側にあるフッ素樹脂がコーティングされた濾材でオイルミストを分離除去するというように複数の機能を濾材部10に持たせることができる。
【0022】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に係るミストセパレータによれば、フィルタエレメントを構成する濾材部をフッ素樹脂若しくはシリコンがコーティングされた比較的孔径が大きく、薄い繊維状濾材若しくは不織布を用いて構成することにより、このミストセパレータを通過する気体の圧力損失を低く抑えるとともに、この気体に含まれるオイルミストの分離効率の高いミストセパレータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るミストセパレータの構成図である。
【図2】本発明に係るフィルタエレメントの概要図である。
【符号の説明】
1 ミストセパレータ
2 ケース
3 フィルタエレメント
4 流入孔
5 流出孔
10 濾材部
13 内周空間(流入空間)
14 外周空間(流出空間)
【発明の属する技術分野】
本発明は、オイルミストを含んだ気体を通過させてオイルミストを分離して除去するミストセパレータに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車等に用いられるエンジンの燃焼室から漏れる燃焼ガス(ブローバイガス)はそのまま大気中に放出すると環境汚染の原因となるため、ブローバイガス循環装置により再度燃焼室に循環させているが、このブローバイガスには、エンジンの潤滑等に使われているエンジンオイルがシリンダ等から飛散してオイルミストとして含まれており、このまま燃焼室に供給したのでは、エンジンの排気性能を悪化させてしまう。
【0003】
このため、ブローバイガスのような気体からオイルミストを分離して除去するミストセパレータが提供されている(例えば、特許文献1参照)。ブローバイガス循環装置に用いられるミストセパレータ(「ブローバイフィルタ」とも呼ぶ)には、オイルミストを効率よく分離し、且つ、低圧力損失であるという性能が要求される。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−120932号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、一般的にミストセパレータにおけるオイルミストの分離効率を向上させるためには、ミストセパレータに使用される濾材の孔径を小さくし、濾材を厚くすることにより達成できる。しかしながら、濾材の孔径を小さくし、厚くすると、圧力損失が大きくなり、また、捕捉されたオイルミスト等がこの孔に詰まるため濾材のライフサイクルが短くなるという課題がある。このような濾材における高分離効率と低圧力損失(ロングライフ)は、一般的に相反する性能であり、両方の性能を向上させるのは難しい。
【0006】
本発明は以上の課題に鑑みなされたものであり、従来、十分な分離効率が得られないほど大きな孔径で、且つ、薄い濾材にフッ素樹脂若しくはシリコンをコーティングすることにより、気体に含まれるオイルミストの分離効率が高く、且つ、圧力損失の低いミストセパレータを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明に係るミストセパレータは、流入孔及び流出孔が形成されたケースと、このケース内に配設され濾材部を有するフィルタエレメントとからなり、フィルタエレメントが、ケース内を、流入孔が連通する流入空間(例えば、実施形態における内周空間13)と、流出孔が連通する流出空間(例えば、実施形態における外周空間14)とに分離するように配設され、流入孔から流入空間に導入された気体を、濾材部を通過させて流出空間に流出させ、流出孔から外部に流出させるように構成し、フィルタエレメントにより気体に含まれるオイルミストを分離して除去するものであり、濾材部が、表面にフッ素樹脂若しくはシリコンがコーティングされた濾材で構成されている。
【0008】
このような構成によると、濾材の表面にコーティングされたフッ素樹脂若しくはシリコンにより、この濾材部を通過する気体に含まれるオイルミストの分離効率が飛躍的に向上するため、濾材に圧力損失の少ない孔径が大きく、且つ薄い素材を用いても効率良くオイルミストを分離除去することができる。
【0009】
なお、上記濾材は、フッ素樹脂若しくはシリコンがコーティングされたパルプ、コットン、レーヨン、グラス、金属、炭素等からなる繊維状濾材、若しくは、PE、PP、PET、ナイロン、アクリル、ビニロン等からなる不織布であることが好ましい。
【0010】
このような素材を濾材として用いることにより、圧力損失の低い孔径が比較的大きく、且つ薄い濾材を用いても、濾材部によるオイルミストの分離効率を向上させることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。本発明に係るミストセパレータ(ブローバイフィルタ)は、例えば、エンジンのシリンダヘッド部から吸気系の間に配設されたブローバイガス循環システムにおいて、ブローバイガスに混入したオイルミストを分離除去するために用いられる。
【0012】
図1及び図2は本発明に係るミストセパレータ及びこのミストセパレータに用いられるフィルタエレメントの構造を示している。ミストセパレータ1は、有底円筒状のケース2と、このケース2内に配設されるフィルタエレメント3とから構成されている。フィルタエレメント3は、その円周面に多数の開孔が形成された円筒状のインナーチューブ9と、このインナーチューブ9の外周面に密接して巻き付けられた濾材部10とを有しており、このインナーチューブ9と濾材部10は、フィルタエレメント3の円筒軸方向両端面に配設された2枚のエンドプレート12で挟持されている(図2においては、、フィルタエレメント3の構造を示すために、上部に配設されるエンドプレート12は図示していない)。
【0013】
フィルタエレメント3の下部に配設されるエンドプレート12には、インナーチューブ9の内周面とエンドプレート12の内側面で囲まれた内周空間13(インナーチューブ9の円周面上には多数の開孔が形成されており、この内周空間13はこれらの開孔を介して濾材部10で囲まれていることになる)に連通する開孔部が形成されており、この開孔部と、ケース2の下部に形成された流入孔4とが密接して連通するように配設されている。また、フィルタエレメント3の外周面(すなわち、濾材部10の外周面及びエンドプレート12の外側面)とケース2の内面に囲まれて外周空間14が形成されており、この外周空間14とケース2の上部に形成された流出孔5が連通するように構成されている。
【0014】
このように構成することにより、ケース2の内部は、フィルタエレメント3によって内周空間13と外周空間14とに分離されており、オイルミストを含んだ気体を流入孔4から内周空間13に導入し、フィルタエレメント3の濾材部10を内周面から外周面に向かって通過させることで、この濾材部10でオイルミストが分離される。オイルミストが分離されて除去された気体は外周空間14に流出し、流出孔5から外部に流出する。なお、フィルタエレメント3で分離されたオイルミストは濾材部10で捕捉されて油滴となり、多くの油滴は、濾材部10の内周面に沿って下方に流れ落ち、フィルタエレメント3の底部6にオイルとして溜まり、さらに流入孔4を通ってエンジン等に戻されるように構成されている。なお、濾材部10の外周面に沿って下方に流れ落ちた油滴は、ケース2の底部7にオイルとして溜まる。このケース2の底面には、底部7に溜まったオイルを外部に排出するための排出孔8が形成されている。
【0015】
この濾材部10は圧力損失を低くするために比較的孔径が大きく、薄い繊維状素材若しくは不織布(濾材)が用いられる。そして、この濾材の表面にはフッ素樹脂若しくはシリコンがコーティング(フッ素加工若しくはシリコン加工)されており、このフッ素樹脂によりオイルミストの分離効率が向上する。これは、表面張力の低いフッ素樹脂等の樹脂を繊維等の濾材にコーティングすることにより、この濾材を気体が通過するときに、フッ素樹脂等で気体に含まれるオイルミストが弾かれて油滴に成長しやすくなるためである。
【0016】
繊維状素材若しくは不織布等にフッ素樹脂若しくはシリコンをコーティングする方法は、繊維等の濾材の表面にフッ素樹脂等を十分に付着させ、熱処理を施すことで行う。このようにして作られた濾材をインナーチューブ9に巻き付けて濾材部10を構成する。なお、このような濾材としては、パルプ、コットン、レーヨン、グラス、金属、炭素等からなる繊維状濾材、若しくは、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエステル)、ナイロン、アクリル、ビニロン等を原料とする不織布等を用いることができる。
【0017】
【実施例】
以下に、各種繊維に対してフッ素樹脂をコーティングしたものを濾材部10の濾材として用いた場合のオイルミストの分離効率について測定した結果を以下の表1に示す。なお、いずれの繊維も孔径は約40μmと目が粗く、厚さ約1mmと薄いものを用いているため、圧力損失は低い。また、表1において「処理前の分離効率」とはフッ素樹脂をコーティングせずに濾材部10として用いた場合のオイルミストの分離効率を示し、「処理後の分離効率」とは、上述の方法によりフッ素樹脂をコーティングした状態で濾材部10として用いた場合のオイルミストの分離効率を示している。
【0018】
【表1】
濾材 処理前の分離効率 処理後の分離効率
パルプ・レーヨン系繊維 5%以下 80%
PET不織布 10% 100%
PP不織布 15% 90%
ナイロン不織布 10% 100%
アクリル不織布 10% 100%
グラス繊維 5%以下 100%
【0019】
表1から明らかなように、フッ素樹脂をコーティングすることにより、オイルミストの分離効率が飛躍的に向上していることが分かる。
【0020】
なお、上述の実施形態では、オイルミストを含む気体を、フィルタエレメント3の内周面から外周面に向かって内部を通過させることにより、このオイルミストを分離除去するように構成した場合について説明したが、フィルタエレメント3の外周面から内周面に向かって内部を通過させるように構成することにより、同様の形状でミストセパレータを実現することも可能である。
【0021】
また、本実施形態では、濾材部10をフッ素樹脂若しくはシリコンがコーティングされた濾材をインナーチューブ9に巻き付けて構成したが、この濾材を蛇腹状に折り畳んで環状に丸めた断面菊花状に形成して構成することも可能である。さらには、他の素材で形成された濾材をインナーチューブ9に巻き付け、その周りにフッ素樹脂若しくはシリコンがコーティングされた濾材を巻き付けて濾材部10とした複層構造とすることも可能である。このような複層構造とすると、例えば、内周側にある濾材でゴミ等の固形物を捕捉除去し、外周側にあるフッ素樹脂がコーティングされた濾材でオイルミストを分離除去するというように複数の機能を濾材部10に持たせることができる。
【0022】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に係るミストセパレータによれば、フィルタエレメントを構成する濾材部をフッ素樹脂若しくはシリコンがコーティングされた比較的孔径が大きく、薄い繊維状濾材若しくは不織布を用いて構成することにより、このミストセパレータを通過する気体の圧力損失を低く抑えるとともに、この気体に含まれるオイルミストの分離効率の高いミストセパレータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るミストセパレータの構成図である。
【図2】本発明に係るフィルタエレメントの概要図である。
【符号の説明】
1 ミストセパレータ
2 ケース
3 フィルタエレメント
4 流入孔
5 流出孔
10 濾材部
13 内周空間(流入空間)
14 外周空間(流出空間)
Claims (2)
- 流入孔及び流出孔が形成されたケースと、前記ケース内に配設され濾材部を有するフィルタエレメントとからなり、
前記フィルタエレメントが、前記ケース内を、前記流入孔が連通する流入空間と、前記流出孔が連通する流出空間とに分離するように配設され、
前記流入孔から前記流入空間に導入された気体を前記濾材部を通過させて前記流出空間に流出させ前記流出孔から外部に流出させるように構成し、前記フィルタエレメントにより前記気体に含まれるオイルミストを分離して除去するミストセパレータにおいて、
前記濾材部が、表面にフッ素樹脂若しくはシリコンがコーティングされた濾材で構成されていることを特徴とするミストセパレータ。 - 前記濾材は、フッ素樹脂若しくはシリコンがコーティングされたパルプ、コットン、レーヨン、グラス、金属、炭素等からなる繊維状濾材、若しくは、PE、PP、PET、ナイロン、アクリル、ビニロン等からなる不織布であることを特徴とする請求項1に記載のミストセパレータ。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003045480A JP2004255230A (ja) | 2003-02-24 | 2003-02-24 | ミストセパレータ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003045480A JP2004255230A (ja) | 2003-02-24 | 2003-02-24 | ミストセパレータ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004255230A true JP2004255230A (ja) | 2004-09-16 |
Family
ID=33112269
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003045480A Pending JP2004255230A (ja) | 2003-02-24 | 2003-02-24 | ミストセパレータ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004255230A (ja) |
Cited By (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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