JP2004255195A - 流体流制御弁 - Google Patents

Abstract

【課題】安価で且つ遮断や漏出がおきない吸引カテーテル用の制御弁を得る。
【解決手段】 制御弁に、第１ボア３７と、この第１ボアに開口した第２ボア３８とにより画成した流路を設ける。この弁に、封止部を有する弁部材５０であって、第１ボア３７から離れた開口４の側に封止部がくる第１位置から、開口の側と反対側の第２位置まで摺動しうる弁部材５０を設ける。弁部材５０は弾性のスリーブ５４を有し、このスリーブの前方端部５７は第２位置まで移動した際にテーパ付き封止部４０と掛合するようになっている。第１位置では流体は第１ボア３７及び第２ボア３８を通って流れることができるが、第２位置まで弁部材を移動させると、封止部４０のために流れが遮断されるようになっている。
【選択図】図３

Description

本発明は、第１ボアと、この第１ボアに開口を介して開口した第２ボアとにより画成した通路に沿った流体の流れを制御する流体流制御弁に関するものである。

閉鎖系吸引カテーテル組立体は、気管チューブ又は患者の気道から分泌物を取り除くのに用いる。この組立体は、一方の端部に摺動封止部を具えるマニホールドを有しており、この摺動封止部を通じて吸引カテーテルを前進させたり後退させたりすることができる。可撓性のエンベロープを一方の端部でマニホールドに接合しカテーテルの長さに沿ってこれを包囲する。このエンベロープの他方の端部とカテーテルとを、吸引制御弁及び接続部を設けた後端コンポーネントに接合する。この接続部はカテーテルを吸引源に接続するものであり、臨床医は、この弁により、カテーテルにより加える吸引力を制御することができる。

吸引カテーテル組立体は、一人の患者用の使い捨ての道具であるため、安価であることが重要である。弁にかかる費用は組立体の全費用のかなりの部分を占めるため、弁が安価に製造されうるようにするとともに、詰まりや漏出の危険性が低く効率的に動作しうるようにすることが重要である。従来から種々の形式の吸引制御弁が開示されており、例えば、米国特許第５２６９７２８号明細書、米国特許第５３０００４３号明細書、米国特許第４５６９３４４号明細書、米国特許第４６３８５３９号明細書、米国特許第４８３６１９９号明細書、米国特許第４８７２５７９号明細書、米国特許第５２７７１７７号明細書及び米国特許第５２１５５２２号明細書などがある。閉鎖系吸引カテーテル以外の用途においても同様の弁が必要とされている。

本発明の目的は、代替的な弁及びこのような弁を設けた吸引カテーテル組立体を得るにある。

この目的を達成するため本発明は、弁に、第１ボアに沿って摺動可能な弁部材を設け、この弁部材は、封止部、開口の前記第１ボアから遠い側に封止部があって流体が前記第１ボア及び前記第２ボア間を流れることができるような第１位置から、前記開口に対して第１位置とは反対側にあって前記第１ボア及び前記第２ボア間の流体の流れを遮断する第２位置に前記弁部材を移動可能にしたことを特徴とする。

弁には、弁部材を第２位置に押圧するよう構成したバネを設けるのが好ましい。弁部材を、第２位置にあるテーパ付き封止部と掛合するように構成することができる。弁部材には、ロッド状部材を設けるのが好ましく、封止手段には、このロッド状部材上に支持した弾性材料の円筒状スリーブを設けるのが好ましい。円筒状スリーブは、ボアとともに掃引封止部を形成するよう構成した外方突出環状フランジを有することができる。第２ボアを第１ボアに対して角度をなすよう傾斜させるのが好ましい。弁部材に、手動操作可能に構成したプレート部材を設け、このプレート部材を弁のハウジングの外面に沿ったチャンネル内で摺動可能に位置させるのが好ましい。弁には、弁部材の移動を阻止するよう動作するロック部材を設けるのが好ましい。このロック部材は回転可能にするのが好ましい。ロック部材は、ロック位置に動かすと、弁部材を封止部に向けて短い距離だけ移動させ封止性を向上するよう構成することができる。

本発明による吸引制御弁を設けた閉鎖系吸引カテーテル組立体を添付図面を参照して実施例により説明する。
まず図１を参照して説明すると、閉鎖系吸引カテーテル組立体に、第１ポート１０を有する前方すなわち患者側端部のマニホールド継手１を設け、この第１ポート１０を、気管チューブの装置側端部に装着する標準的な１５ｍｍの気管コネクタなどに接続するように調整する。マニホールド継手１の反対側の端部には、第１ポート１０に整列するよう掃引封止部１２を含む第２ポート１１を設け、この掃引封止部１２を経て吸引カテーテル２０を突入させたり引っ込ませたりすることができる。マニホールド継手１は、２個の他のポート１３及び１４を有しており、これらのポートは互いに整列しており且つ第１ポート１０及び第２ポート１１に対して直交する。これら他のポート１３及び１４を患者換気系（図示せず）の２個のリムに接続する。これらポートが旋回部を有するようにすることができる。他のポートを１個だけにするなど、継手を代案的形式とすることもできる。

吸引カテーテル２０を可撓性とし、代表的には長さを約５００ｍｍとし外径を約５ｍｍとする。カテーテルの後方における装置側端部２１を吸引制御弁３０に接続し、カテーテルの前方端部２２を患者側端部の継手１にある封止部１２の僅かに前方に位置させる。カテーテル２０の周囲に可撓性のエンベロープ２３を延在させ、このエンベロープの前方端部を継手１に接合し、後方端部を吸引制御弁３０のハウジングに接合する。このエンベロープ２３の可撓性により、エンベロープを介してカテーテルを操作することにより封止部１２を経てカテーテルを前方に押し込んだり後方に引き出したりすることができる。エンベロープ２３の長さは、カテーテル２０の前方端部２２が封止部１２を経て抜け出ることがないように選択する。吸引制御弁３０はチューブ２を介して吸引源３に接続する。ここまで説明した組立体は従来のものである。

ここで図２〜４につき説明すると、吸引制御弁３０は、スライダ５０により動作される点で従来の吸引制御弁と異なっている。このスライダ５０は、吸引制御弁の端部にある回転可能キャップ７０により弁閉鎖位置にロックすることができる。

吸引制御弁３０は、ポリカーボネートのような剛性のある透明プラスチック材料製の外側ハウジング３１を有しており、この外側ハウジングは、カテーテル２０の軸線方向に延在する本体部３２と、下方に約３０°の角度をなす出口接続アーム３３とを有する。出口接続アーム３３の角度は、指をこのアームの下にいれ親指を本体部３２の頂部において吸引制御弁３０を手の中で具合よく保持することができるように選択する。出口接続アーム３３の下側の遊端部には、テーパと段差をつけて、吸引チューブ２を出口接続アーム上に圧嵌し所定の位置にしっかりと保持することができるようにする。

吸引カテーテル２０の後方端部２１を、本体部３２の前方端部にある外側カラー３５に同心状に位置する短いテーパ付きボア３４内に接着する。エンベロープ２３の後方端部を、カラー３５の外側と、このカラー上に装着する外側リング（図示せず）との間に固定する。ボア３４は吸引制御弁３０内の流路３６と連通し、この流路３６は、本体部３２内で軸線方向に延在する第１通路すなわち第１ボア３７と、出口接続アーム３３を通って延在しかつ開口４により第１ボアに開口する第２通路すなわち第２ボア３８とよりなる。ボア３７は、開口４の直前に位置する内部環状段差部３９を有する。この段差部３９の後向きの側に、テーパ付き封止部４０を形成する。

ボア３７の環状段部３９より後方の部分を、２個の浅い内部段差部４４及び４５（図示せず）により、互いに区分された３個の部分４１、４２及び４３に分割する。内部段差部４５よりも後方の部分４３は、本体部３２の上面に沿って軸線方向前方に延在するチャンネル４７にスロット４６を介して開口する。チャンネル４７は、２個の側壁４８及び４９の間に延在し、これら側壁はハウジング３１の長手方向に延在し、全長のうち中間部が最も高くなる湾曲した上方端縁を有する。これら側壁４８及び４９はそれぞれ垂直線に対して約４５°の角度で外方に突出させ、従って互いに約９０°の角度をなす方向に指向する。

ハウジング３１は、使用者により操作可能なスライダ５０の形式の弁部材を有しており、この弁部材は硬質の着色プラスチック材料から成形し、種々の寸法について符号化しておくことができる。この弁部材５０は、拡大端部５３を有するロッド状ピストン５２により設けた内部封止部５１を有しており、このロッド状ピストン５２は、柔らかい弾性エラストマー材料よりなる円筒状のスリーブ５４を支持する。このスリーブ５４の後方端部はピストン５２のフランジ５５に衝合し、スリーブ自体は丸い端縁を有する外方に突出した環状封止フランジ５６を有する。フランジ５６の直径は、このフランジが、ボア３７の後方部分にある中間部分４２とともに摺動掃引（ワイピング）封止部を形成するように選択する。フランジ５６の前方のスリーブ５４の直径は一定とする。スリーブ５４の前方端部５７は、閉鎖しており封止面をなす円錐形状を有する。代案として、ピストン上に取り付けた１個又はそれ以上の封止リングにより封止部を設けることもできる。

ピストン５２は、拡大した胴状後方端部５９を有しており、この後方端部５９は、軸線方向に延在し後方が開口した円筒状の凹所６０を具える。短い梁部６１が、後方端部５９からスロット４６を通って一体型の片持ちスライダプレート６２の下側面まで上向きに突出する。スライダプレート６２は、ピストン５２より幅が広く、スライダの前方端部に向かってその長さの約３分の２の位置の上面から突出して横方向に延在する親指バー６３を有する。スライダプレート６２は、ハウジング３１上面のチャンネル４７に沿ってピストン５２と平行に前方に延在し、使用者が親指バー６３にアクセスし得るようにする。親指バー６３の頂部は側壁４８及び４９の上側端縁の僅かに下にあるため親指バーはこれら側壁により保護される。

ハウジング３１は、また、ステンレス鋼のらせん状バネ６４の形式の弾性部材を有するが、非鉄性材料の他のバネ、例えばポリカーボネートなどの硬質プラスチック材料のバネを用いることもできる。バネ６４は、ボア３７の軸線方向に整列しており、弁部材５０の後方右手側端部とハウジング３１の内側との間に位置する。特に、バネ６４の前方左側端部が弁部材５０の凹所６０内に位置し、バネ６４の後方右手側端部が、後方端部キャップ７０から軸線方向に突出したペグ６５の周囲に延在する。

キャップ７０はほぼ円筒形状であり、閉鎖した丸い後方端部７１と開口した前方端部７２とを具える。キャップ７０を、ハウジングの外側及びキャップの内側にある互いに掛合する突出部７３及び凹所７４によりハウジング３１の後方端部上に保持する。突出部７３及び凹所７４は、キャップ７０がボア３７の軸線の周りを約４０°の角度に亘って回転しうるように成形する。キャップ７０の外面には、キャップをねじる際の把持性がよくなるように、長手方向に延在する複数の浅いリブ７５を設ける（図２）。キャップ７０は、２個の大きな三角形状のフィン７６も有しており、これらフィンは、キャップを回転させてロック解除位置にあわせたときに側壁４８及び４９と連続した部分を形成する。２個のフィン７６間のキャップ７０の外面は、キャップがロック解除位置にあり図２に示すようにフィンが側壁４８及び４９と整列した場合に、スライダプレート６２の後方端部６６がこれらフィンの間を後方に移動し得るように成形する。しかし、図４に示すようにキャップ７０を４０°回転させた場合には、フィン７６の１個が側壁４８及び４９間のスライダプレート６の進路内に移動して、プレートが後方に移動するのを防止する。このことにより弁３０を閉鎖位置に有効にロックする。キャップ７０は、使用者が弁をロック解除する必要があるまで、摩擦、戻り止めなどによりロック位置にとどまる。

弁３０の通常の位置は、バネ６４が弁部材５０を前方に最大限まで押圧する位置である。この位置では、封止スリーブ５４の前方円錐端部５７が段差部３９のテーパ付きの封止面４０に対して保持され流体封止部を形成する。この流体封止部は、ボア３７及び３８の間で開口４の前方に位置するため、弁３０を介して物質が流れることができない。スリーブ５４の後方端部におけるフランジ５６がボア３７の後方部分の中間部分４２と共に形成する封止部は、付加的な動的掃引封止を行い、弁からの物質の流出を防止する。また、この掃引封止部は、ハウジング３１内部から吸引ボア３８に空気が通過するのも防ぐ。キャップ７０をロック位置へ回転させると、フィン７６の１個がスライダプレート６２の後方端部６６を横切って僅かな締まり嵌めを生じ、これによりスライダプレートが少し前方に押され、スリーブ５４の前方端部５７と封止部４０との間の封止が良好なものとなる。

弁３０を開口し吸引させるには、使用者は弁をロック解除状態にして、親指バー６３を親指により把持し、バネ６４の作用に抗してスライダ５０を限界まで後方にスライドさせ図３に示す位置とする。この位置では、封止部５１の前方端部５７が開口４の後方に保持されるため、物質が主ボア３７から吸引ボア３８へ流れ得るようになる。吸引源３により吸引ボア３８に付与される吸引力が、開口４を介して主ボア３７に、従って吸引カテーテル２０のボアに伝わるため、カテーテルの先端２２を気管チューブ内に前進させると分泌物などを取り除くことができる。

弁部材５０を釈放すると、バネ６４が弁部材５０を通常の前方閉鎖又は封止位置まで戻す。

弁３０を開くとき、弁部材により流体中を搬送される固体物質が弁を詰まらせるおそれがあった従来の或る種の弁に比べて、２個のボア３７及び３８の間には流れを遮るものが存在しない。開放流路であるため洗浄がより簡単であり、従って感染の危険が少ない状態で組立体を長期間使用することができる。弁をロック解除にするときでも、従来の弁が押し下げ作用により動作していたのと比較して、弁を開放するのに必要なスライド動作は不慮の動作の危険性を少なくする。２個の側壁はスライダに不慮に触れてしまうことを防止するのに有効である。弁を動作させるために必要な軸線方向へのスライド動作により、使用者が、気管チューブからカテーテルを引き出すときにより真直ぐにカテーテルを後退させることを促すことになる。このことによりカテーテルがねじれてしまう危険性が低減する。ロック構成により使用者は所望する場合には閉鎖した状態に弁をロックすることができる。また、その構造により、ロックを釈放する必要がある場合にどのようにロックを釈放できるかが容易に分かるようになっている。弁のこの構造により、通常の閉鎖状態において弁をガス消毒することができるが、その理由はガスがボア及びスロット４６を通って弁の全ての部分に入り込むことができるためである。ハウジングが透明であるため、使用者は弁内部に詰まりがないことを確認することができる。構造が簡単であるため弁を低価格で製造することができ、また重量が軽いため気管チューブに加わる力を最小にすることができる。この弁は上述したようにシングルルーメンカテーテルと共に使用することもできるし、或いは流体を供給するために付加的なルーメンカテーテルを用いる場合には、ダブルルーメンカテーテルと共に用いることもできる。

弁は吸引カテーテルと共に用いるものに限定されず、流体の流れを制御する他の用途に使用することもできる。

吸引カテーテル組立体の側面図である。 ロック解除状態における、後方端部からの弁の斜視図である。 開放状態における弁の断面図である。 閉鎖したロック状態における弁の斜視図である。

符号の説明

１ マニホールド継手
２ チューブ
３ 吸引源
４ 開口
１０ 第１ポート
１１ 第２ポート
１２ 掃引（ワイピング）封止部
１３，１４ ポート
２０ 吸引カテーテル
２１ 装置側端部
２２ 前方端部
２３ エンベロープ
３０ 吸引制御弁
３１ 外側ハウジング
３２ 本体部
３３ 出口接続アーム
３５ 外側カラー
３６ 流路
３７ 第１ボア
３８ 第２ボア
３９ 環状段部
４０ 封止部
４７ チャンネル
５０ 弁部材
５１ 封止部
５２ ロッド状ピストン
５４ スリーブ
５７ 前方端部
６４ バネ
７０ ロック部材

Claims (10)

1. 第１ボア（３７）と、この第１ボアに開口（４）を介して開口した第２ボア（３８）とにより画成した通路に沿った流体流制御弁において、
   この弁に、第１ボア（３７）に沿って摺動可能な弁部材（５０）を設け、この弁部材は、封止部（５１，５４，５７）を有し、開口（４）の前記第１ボア（３７）から遠い側に封止部があって流体が前記第１ボア（３７）及び前記第２ボア（３８）間を流れることができるような第１位置から、前記開口に対して第１位置とは反対側にあって前記第１ボア（３７）及び前記第２ボア（３８）間の流体の流れを遮断する第２位置に前記弁部材（５０）を移動可能にしたことを特徴とする流体流制御弁。
2. 前記弁に、前記弁部材（５０）を前記第２位置に押圧するよう構成したバネ（６４）を設けたことを特徴とする請求項１に記載の流体流制御弁。
3. 前記弁部材（５０）を、前記第２位置にあるテーパ付き封止部（４０）と掛合するように構成したことを特徴とする請求項１又は２に記載の流体流制御弁。
4. 前記弁部材（５０）に、ロッド状部材（５２）を設け、前記封止部に、このロッド状部材上に支持した弾性材料の円筒状スリーブ（５４）を設けたことを特徴とする請求項１乃至３のいずれか一項に記載の流体流制御弁。
5. 前記円筒状スリーブ（５４）に、ボア（３７）とともに掃引封止部を形成するよう構成した外方突出環状フランジ（５６）を設けたことを特徴とする請求項４に記載の流体流制御弁。
6. 前記第２ボア（３８）を前記第１ボア（３７）に対して角度をなすよう傾斜させたことを特徴とする請求項１乃至５のいずれか一項に記載の流体流制御弁。
7. 前記弁部材（５０）に、手動操作可能に構成したプレート部材（６２）を設け、このプレート部材を、前記弁のハウジング（３１）の外面に沿ったチャンネル（４７）内に摺動可能に位置させたことを特徴とする請求項１乃至６のいずれか一項に記載の流体流制御弁。
8. 前記弁部材（５０）が移動するのを阻止するよう動作するロック部材（７０）を設けたことを特徴とする請求項１乃至７のいずれか一項に記載の流体流制御弁。
9. 前記ロック部材（７０）を、回転可能にしたことを特徴とする請求項８に記載の流体流制御弁。
10. 前記ロック部材（７０）は、ロック位置に動かした場合に、前記弁部材（５０）を前記封止部（４０）に向けて短い距離だけ移動させ封止性を向上するよう構成したことを特徴とする請求項８又は９に記載の流体流制御弁。

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