JP2004254773A - X線ct装置およびその処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】X線管とX線検出アレイを備えるX線検出器とを回動させ、前記X線管と前記X線検出器の間に位置する、被検体の周期的運動する部位のX線断層像を再構成するX線CT装置であって、回動によるX線断層像を再構成するのに必要な信号を得るための回動角範囲において、前記部位の運動の周期Tの時間差で等分割して得られた各部分回動角範囲の信号を入力する入力手段と、前記各部分回動角範囲のうち、隣接する部分回動角範囲近傍の信号により部分回動角範囲の信号を相互に重み付け加算して補正する補正手段と、前記補正手段により補正された前記各部分回動角範囲の信号を、組み合わせて前記回動角範囲の信号を生成し、X線断層像を再構成する再構成手段とを備える。
【選択図】 図12
Description
【発明の属する技術分野】
本発明はX線照射によって被検体の断層像を得るX線CT(Computerized Tomography )装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
X線CT装置は、被検体(患者)にX線を照射し、臓器、血液、灰白質等の人体組織のX線吸収率の差をX線検出器により検出し、これをコンピュータ処理することによって撮影対象部位の断層面(スライス位置における面、すなわちスライス面)の画像(X線断層像)を得る(再構成する)ものである。
【0003】
X線断層像は、X線を発生するX線管と、X線検出器とを備えるガントリが、被検体の周りを回動し、異なる回動角において、被検体に照射したX線に対する透過X線量を検出することで再構成される。
【0004】
このため、画質のよいX線断層像を再構成するためには、ガントリが被検体の周りを回動する一定の時間、撮影対象部位が完全に静止していることが望ましい。しかし、実際には、例えば、心臓などの周期的に運動する臓器が撮影対象である場合もあり、このような部位に対してはX線断層像の画質が低下してしまう。
【0005】
これに対して、最近では、周期的に運動する臓器が撮影対象であっても画質のよいX線断層像を再構成するための技術が提案されてきている。
【0006】
本願出願人による先願にはその一例であり、心電図波形を取り込み、心臓の1鼓動周期と同期して、心臓動作の位相にあわせた複数の異なる回動角での透過X線量を検出することで、周期的に運動する心臓においても、所定の位相における高精度なX線断層像を再構成することができることが開示されている(このように同位相における複数の異なる回動角を部分回動角範囲(セクタ)といい、各セクタでの透過X線量を検出し、これらを組み合わせることでX線断層像を再構成する処理のことを「セクタリコン」と呼ぶ)(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−374922号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、セクタリコンは、上述のように所定の位相において1枚のX線断層像を再構成するにあたり、異なる回動角でのX線検出器の検出信号を組み合わせるため、その組み合わせの結合部分において、特有の疑似画像(画像ノイズ、いわゆるアーチファクト)が発生するという問題があった。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、周期運動する被検体の部位に対して、同位相でのX線断層像を再構成するにあたり、画像ノイズを低減することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するための本発明のX線CT装置は、以下の構成を備える。すなわち、
互いに対向する位置に設けられたX線管とX線検出アレイを備えるX線検出器とを回動させ、前記X線管と前記X線検出器の間に位置する、被検体の周期的運動する部位のX線断層像を再構成するX線CT装置であって、
前記X線管およびX線検出器の回動によるX線断層像を再構成するのに必要な信号を得るための回動角範囲において、前記部位の運動の周期Tの時間差で等分割して得られた各部分回動角範囲の信号を入力する入力手段と、
前記各部分回動角範囲のうち、隣接する部分回動角範囲近傍の信号により部分回動角範囲の信号を相互に重み付け加算して補正する補正手段と、
前記補正手段により補正された前記各部分回動角範囲の信号を、組み合わせて前記回動角範囲の信号を生成し、X線断層像を再構成する再構成手段とを備える。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に従って本発明に好適なる複数の実施の形態を詳細に説明する。なお、全図を通して同一符号は同一または相当部分を示すものとする。
【0012】
【第1の実施形態】
<<X線CT装置のシステム構成>>
図1は、本発明の第1の実施形態にかかるX線CT装置のシステム構成図である。
【0013】
図1に図示の如く、X線CT装置は、被検体(患者)へのX線照射と載置された被検体を透過したX線を検出するためのガントリ120と、ガントリ120に対して指示信号を送信し各種設定を行うとともに、ガントリ120から出力されてきた投影データに基づいてX線断層像を再構成し、表示する操作コンソール100、および被検体を載置し、ガントリ内部へ搬送する搬送装置140とにより構成されている。
【0014】
120に示すガントリは、その全体の制御を司るメインコントローラ122を始め以下の構成を備える。
【0015】
121は操作コンソール100との通信を行うためのインターフェース、132はガントリ回転部であり、内部には、X線を発生するX線管124(X線管コントローラ123により駆動制御される)、X線の照射範囲を規定するコリメータ127、コリメータ127のX線照射範囲を規定するスリット幅の調整、及びコリメータ127のZ軸(図面に垂直な方向)の位置を調整するコリメータモータ126が設けられている。かかるコリメータモータ126の駆動はコリメータコントローラ125により制御される。
【0016】
また、132に示すガントリ回転部は、被検体を透過したX線を検出するX線検出部131、及びX線検出部131より得られた投影データを収集するデータ収集部130も備える。X線管124及びコリメータ127と、X線検出部131とは互いに空洞部分133をはさんで対向する位置に設けられ、その関係が維持された状態でガントリ回転部132が矢印135の向きに回転するようになっている。この回転は、回転モータコントローラ128からの駆動信号により所定の制御周期で回転速度制御される回転モータ129によって行われる。
【0017】
また、搬送装置140は、被検体を実際に載置する天板142と天板142を保持するテーブル143とを有し、天板142は天板モータ141によってZ軸方向に駆動され(すなわち、天板の搬送方向=Z軸方向)、天板モータ141の駆動は天板モータコントローラ134からの駆動信号に基づいて所定の制御周期で搬送速度制御される。
【0018】
メインコントローラ122は、I/F121を介して受信した各種指示信号の解析を行い、それに基づいて上記のX線管コントローラ123、コリメータコントローラ125、回転モータコントローラ128、天板モータコントローラ134、そして、データ収集部130に対し、各種制御信号を出力することになる。また、メインコントローラ122は、データ収集部130で収集された投影データを、I/F121を介して操作コンソール100に送出する処理も行う。
さらに、メインコントローラ122は、心電図波形を出力可能な心電図計測器150とも接続可能であり、必要に応じて心電図波形を取り込むことができる。
【0019】
操作コンソール100は、所謂ワークステーションであり、図示に示す如く、装置全体の制御を司るCPU105、ブートプログラム等を記憶しているROM106、主記憶装置(メモリ)として機能するRAM107をはじめ、以下の構成を備える。
【0020】
HDD108は、ハードディスク装置であって、ここにOS、ガントリ120に各種指示信号を与えたり、ガントリ120より受信した投影データに基づいてX線断層像を再構成するための診断プログラムが格納されている。また、VRAM101は表示しようとするイメージデータを展開するメモリであり、ここにイメージデータ等を展開することでCRT102に表示させることができる。103および104は各種設定を行うためのキーボードとマウスである。また、109はガントリ120と通信を行うためのインターフェースである。
【0021】
<<セクタリコンの概要>>
次に、上記構成を有する本実施形態におけるX線CT装置を利用したセクタリコンについて複数の例を挙げて説明する。上述のように、セクタリコンは、心臓など周期運動をする臓器のX線断層像を再構成するのに有効な技術である。
【0022】
本実施形態においては、説明を簡単にするため、ガントリ120に設けられるX線管124の照射角(ファン角θ)はコリメータ127のスリットによって、図2に示すごとく60度(=π/3)に制限されているものとする。また、ガントリの空洞部分133の対向する位置に設けられるX線検出器131は1列の検出アレイが設けられているものとする(図3)。さらに、ガントリ120は、被検体に対して同一円周上を回動する、所謂アキシャルスキャンを行うよう診断プログラムの設定がなされているものとする。なお、検出アレイはX線照射角(本実施形態ではθ=60度)に依存した長さに渡って複数の検出素子を有することになるが、概ね1000個である。もちろん、これ以外であっても構わない。
【0023】
今、図2の点Qの位置にX線管124が位置し、それと対向する位置にX線検出器131(検出アレイ)があって、この位置関係でX線管によるX線の発生及びX線検出器による検出を行ったとする。次いで、図示矢印方向にX線管124及びX線検出器131を回動させ(以下、単に「回動する」といい、360度の回動を「1公転」という)、同様の処理を行っていくことを繰り返すと、ついには点QにおけるX線の照射角の端の位置である点Q’の位置にX線管124が移動する。
【0024】
実は、X線CT装置の場合、図示のように、X線管124が点Qから点Q’に移動した時点で、その間に検出された信号に基づいてX線断層像の再構成が可能である(上記点QからQ’の範囲は回動角範囲と称され、本実施形態ではθ+π、すなわち4π/3)。これは、X線管124が点QからQ’に移動することにより、X線管124から照射されたファン角をもつビーム(ファンビーム)から180度分の平行ビームを抽出することが可能となり、X線断層像はかかる180度分の平行ビームに基づいて再構成するからである(このように、180度分の平行ビームに基づいて再構成することを、「ハーフリコン」という)。
【0025】
本実施形態ではX線管124のファン角を60度としているわけであるから、点Qから点Q’までの回動範囲は2/3公転(240度)となる。
【0026】
ここで、セクタリコンにおいては、心臓の鼓動に同期してスキャンを行うため、2/3公転に要する時間を、心臓の鼓動の1周期Tに合わせる(この場合、セクタ数は2となる)。尚、1公転に要する時間をスキャン時間Tsと表現すると、Ts=3/2・Tとなる。
【0027】
点Q−Q’間の回動時間を心臓の鼓動周期Tに同期させるわけであるから、点Q位置における検出アレイで検出される信号と、点Q’位置における検出アレイで検出される信号は、心臓の1鼓動分の時間差はあるものの、鼓動運動という時間軸に対する動きに対しては同位相のものとなる。
【0028】
したがって、図4の如く、X線管124が点Qを開始位置とし図示矢印方向に回動を開始して2π/3(120度)移動する間に検出アレイより得られた信号(▲1▼)は、それに続く2π/3(120度)回動した後の点Q’(240度)を開始点とし、そこから2π/3(120度)回動するまでの間に検出アレイで検出された信号(▲2▼)と、心臓の鼓動周期Tに対して同じ位相とさせることが可能となる。
【0029】
図4の如く、検出アレイで検出した信号は、全体の2/3公転(ハーフリコンを行うのに必要な回動角範囲)を占めていることになるから、少なくともこれでもってX線断層像を再構築する際の必要十分な信号を得ることができることになる。
【0030】
図5(A)は、横軸に時間およびガントリの回動角度、縦軸に心電図波形をとった場合の、X線検出器の検出タイミングを示している。
【0031】
回動角度0度を開始点(Q)とし、回動角度が120度になるまでに(セクタ▲1▼において)検出アレイで検出される信号をX線断層像の再構成に用いる。回動角度が0度から120度になるまでの時間は、T/2となる。
【0032】
さらに、回動角度が240度に達すると、Qにおける心電図波形と同じ波形があらわれる(Q’)。Q’から時間T/2経過するまでに(つまり、回動角度が240度から360度になるまでに)検出アレイで検出される信号をX線断層像の再構成に用いる(セクタ▲2▼)。
【0033】
この結果、Qから時間T/2までの位相における、異なる回動角度(回動角度240度から360度までのセクタ▲2▼と、0度から120度までのセクタ▲1▼)での透過X線量を計240度分にわたって検出することができたこととなる。
【0034】
このようにして検出した透過X線量をX線断層像の再構成のために、配列したものが図5(B)である。なお、本実施形態では、説明を簡単にするために、心電図波形に比例した透過X線量が検出されたものとして図示している。また、複数の検出素子の検出信号のうち、所定の検出素子の検出信号についてのみ図示した。
【0035】
図5(B)のように配列した240度分の検出信号に基づいて、X線断層像を再構成したものが図5(C)である。つまり、2/3公転に要する時間を心臓の鼓動の1周期Tにあわせた場合(セクタ数を2とした場合)、ガントリが360度回動することで、時間分解能がT/2の検出信号に基づいてX線断層像が1枚再構成される。
【0036】
次に、他のセクタリコンの例として、4/3公転に要する時間を、心臓の鼓動の1周期Tに合わせる場合について考える(この場合も、セクタ数は2となる)。この場合、1公転に要する時間をスキャン時間Tsと表現すると、Ts=3/4・Tとなる。
【0037】
図6の点Q−Q’間の回動時間を心臓の鼓動周期Tに同期させるわけであるから、点Q位置において検出アレイで検出される信号と、点Q’位置において検出アレイで検出される信号とは、心臓の1鼓動分の時間差はあるものの、鼓動運動という時間軸に対する動きに対しては同位相のものとなる。
【0038】
したがって、図6の如く、X線管124が点Qを開始位置とし図示矢印方向に回動を開始して2π/3(120度)移動する間に検出アレイより得られた信号(▲1▼)は、それに続く2π回動した後の点Q’(480度)を開始点とし、そこから2π/3(120度)回動するまでの間に検出アレイで検出された信号(▲2▼)と、心臓の鼓動周期Tに対して同じ位相とさせることが可能となる。
【0039】
図示の如く、検出アレイで検出した信号は、全体の2/3公転(ハーフリコンを行うのに必要な回動角範囲)を占めていることになるから、少なくともこれでもってX線断層像を再構築する際の必要十分な信号を得ることができることになる。
【0040】
図7(A)は、横軸に時間およびガントリの回動角度、縦軸に心電図波形をとった場合の、X線検出器の検出タイミングを示している。
【0041】
回動角度0度を開始点(Q)とし、回動角度が120度になるまでに(セクタ▲1▼において)検出アレイで検出される信号をX線断層像の再構成に用いる。回動角度が0度から120度になるまでの時間は、T/4となる。
【0042】
さらに、回動角度が480度に達すると、Qにおける心電図波形と同じ波形があらわれる(Q’)。Q’から時間T/4経過するまでに(つまり、回動角度が480度から600度になるまでに)検出アレイで検出される信号をX線断層像の再構成に用いる(セクタ▲2▼)。
【0043】
この結果、Qから時間T/4までの位相における、異なる回動角度(回動角度0度から120度までのセクタ▲1▼と、480度から600度までのセクタ▲2▼)での透過X線量を計240度分にわたって検出することができたこととなる。
【0044】
このようにして検出した透過X線量をX線断層像の再構成のために、配列したものが図5(B)である。なお、本例でも説明を簡単にするために、心電図波形に比例した透過X線量が検出されたものとして図示している。また、複数の検出素子の検出信号のうち、所定の検出素子の検出信号についてのみ図示した。
【0045】
このように図5(A)と図7(A)とは、いずれもセクタ数が2のセクタリコンの例であるが、心臓の鼓動の1周期を、2/3公転にあわせるか、4/3公転にあわせるかの違いがあり、後者の方が、回動速度が速いため、セクタ数が同じでも必然的に時間分解能が向上(T/2→T/4)する。
【0046】
さらに、セクタ数を4にすると、時間分解能がより向上する。セクタ数を4にするためには、5/6公転に要する時間を、心臓の鼓動の1周期Tに合わせればよい。つまり、1公転に要する時間をスキャン時間Tsと表現すると、Ts=6/5・Tとなる。
【0047】
この場合、図8において、点Q−Q’間、点Q’−Q”間、点Q”−Q’’’間の回動時間をそれぞれ心臓の鼓動周期Tに同期させるわけであるから、点Q位置において検出アレイで検出される信号と、点Q’、Q”、Q’’’位置において検出アレイで検出される信号とは、心臓の1鼓動の整数倍の時間差はあるものの、鼓動運動という時間軸に対する動きに対しては同位相のものとなる。
【0048】
したがって、図8の如く、X線管124が点Qを開始位置とし図示矢印方向に回動を開始して60度移動する間に検出アレイより得られた信号(▲1▼)は、それに続く4π/3(240度)回動した後の点Q’(300度)を開始点とし、そこからπ/3(60度)回動するまでの間に検出アレイで検出された信号(▲2▼)と、心臓の鼓動周期Tに対して同じ位相とさせることが可能となる。
【0049】
同様に、それに続く4π/3(240度)回動した後の点Q”(600度)を開始点とし、そこからπ/3(60度)回動するまでの間に検出アレイで検出された信号(▲3▼)、および更にそれに続く4π/3(240度)回動した後の点Q’’’(900度)を開始点とし、そこからπ/3(60度)回動するまでの間に検出アレイで検出された信号(▲4▼)を、それぞれ心臓の鼓動周期Tに対して同じ位相とさせることが可能となる。
【0050】
図示の如く、検出アレイで検出した信号は、全体の2/3公転(ハーフリコンを行うのに必要な回動角範囲)を占めていることになるから、少なくともこれでもってX線断層像を再構成する際の必要十分な信号を得ることができることになる。
【0051】
図9(A)は、横軸に時間およびガントリの回動角度、縦軸に心電図波形をとった場合の、X線検出器の検出タイミングを示している。
【0052】
回動角度0度を開始点(Q)とし、回動角度が60度になるまでに(セクタ▲1▼において)検出アレイで検出される信号をX線断層像の再構成に用いる。回動角度が0度から60度になるまでの時間は、T/5となる。
【0053】
さらに、回動角度が300度に達すると、Qにおける心電図波形と同じ波形があらわれる(Q’)。Q’から時間T/5経過するまでに(つまり、回動角度が300度から360度になるまでに)検出アレイで検出される信号をX線断層像の再構成に用いる(セクタ▲2▼)。
【0054】
さらに、回動角度が600度に達すると、Qにおける心電図波形と同じ波形があらわれる(Q”)。Q”から時間T/5経過するまでに(つまり、回動角度が600度から660度になるまでに)検出アレイで検出される信号をX線断層像の再構成に用いる(セクタ▲3▼)。
【0055】
さらに、回動角度が900度に達すると、Qにおける心電図波形と同じ波形があらわれる(Q’’’)。Q’’’から時間T/5経過するまでに(つまり、回動角度が900度から960度になるまでに)検出アレイで検出される信号をX線断層像の再構成に用いる(セクタ▲4▼)。
【0056】
この結果、Qから時間T/5までの位相における、異なる回動角度(回動角度900度から960度までのセクタ▲4▼と、600度から660度までのセクタ▲3▼と、300度から360度までのセクタ▲2▼と、0度から60度までのセクタ▲1▼)での透過X線量を計240度分にわたって検出することができたこととなる。
【0057】
このようにして検出した透過X線量をX線断層像図9(C)の再構成のために、配列したものが図9(B)である。なお、本例でも説明を簡単にするために、心電図波形に比例した透過X線量が検出されたものとして図示している。また、複数の検出素子の検出信号のうち、所定の検出素子の検出信号についてのみ図示した。
【0058】
このようにセクタ数を増やすと、1つのセクタ当たりの回動角が小さくなり、時間分解能がさらに向上する。
【0059】
次に、セクタ数が2の場合と同様、セクタ数が4となる他のセクタリコンの例について考える。心臓の鼓動に同期してスキャンを行うためには、7/6公転に要する時間を、心臓の鼓動の1周期Tにあわせることによっても、セクタ数を4にすることができる。つまり、1公転に要する時間をスキャン時間Tsと表現すると、Ts=6/7・Tとなる。
【0060】
点Q−Q’間、点Q−Q”間、点Q”−Q’’’間の回動時間をそれぞれ心臓の鼓動周期Tに同期させるわけであるから、点Q位置における検出アレイで検出される信号と、点Q’、Q”、Q’’’位置において検出アレイで検出される信号とは、心臓の1鼓動分の時間差はあるものの、鼓動運動という時間軸に対する動きに対しては同位相のものとなる。
【0061】
したがって、図10の如く、X線管124が点Qを開始位置とし図示矢印方向に回動を開始してπ/3(60度)移動する間に検出アレイより得られた信号(▲1▼)は、それに続く2π(360度)回動した後の点Q’(420度)を開始点とし、そこからπ/3(60度)回動するまでの間に検出アレイで検出された信号(▲2▼)と、心臓の鼓動周期Tに対しても同じ位相とさせることが可能となる。
【0062】
同様に、それに続く2π(360度)回動した後の点Q”(840度)を開始点とし、そこからπ/3(60度)回動するまでの間に検出アレイで検出された信号(▲3▼)、および更にそれに続く2π(360度)回動した後の点Q’’’(1260度)を開始点とし、そこからπ/3(60度)回動するまでの間に検出アレイで検出された信号(▲4▼)を、それぞれ心臓の鼓動周期Tに対して同じ位相とさせることが可能となる。
【0063】
図示の如く、検出アレイで検出した信号は、全体の2/3公転(ハーフリコンを行うのに必要な回動角範囲)を占めていることになるから、少なくともこれでもってX線断層像を再構成する際の必要十分な信号を得ることができることになる。
【0064】
図11(A)は、横軸に時間およびガントリの回動角度、縦軸に心電図波形をとった場合の、X線検出器の検出タイミングを示している。
【0065】
回動角度0度を開始点(Q)とし、回動角度が60度になるまでに(セクタ▲1▼において)検出アレイで検出される信号をX線断層像の再構成に用いる。回動角度が0度から60度になるまでの時間は、T/7となる。
【0066】
さらに、回動角度が420度に達すると、Qにおける心電図波形と同じ波形があらわれる(Q’)。Q’から時間T/7経過するまでに(つまり、回動角度が420度から480度になるまでに)検出アレイで検出される信号をX線断層像の再構成に用いる(セクタ▲2▼)。
【0067】
さらに、回動角度が840度に達すると、Qにおける心電図波形と同じ波形があらわれる(Q”)。Q”から時間T/7経過するまでに(つまり、回動角度が840度から900度になるまでに)検出アレイで検出される信号をX線断層像の再構成に用いる(セクタ▲3▼)。
【0068】
さらに、回動角度が1260度に達すると、Qにおける心電図波形と同じ波形があらわれる(Q’’’)。Q’’’から時間T/7経過するまでに(つまり、回動角度が1260度から1320度になるまでに)検出アレイで検出される信号をX線断層像の再構成に用いる(セクタ▲4▼)。
【0069】
この結果、Qから時間T/7までの位相における、異なる回動角度(回動角度0度から60度までのセクタ▲1▼と、420度から480度までのセクタ▲2▼と、840度から900度までのセクタ▲3▼と、1260度から1320度までのセクタ▲4▼)での透過X線量を計240度分にわたって検出することができたこととなる。
【0070】
このようにして検出した透過X線量をX線断層像(C)の再構成のために、配列したものが図11(B)である。なお、本例でも説明を簡単にするために、心電図波形に比例した透過X線量が検出されたものとして図示している。また、複数の検出素子の検出信号のうち、所定の検出素子の検出信号についてのみ図示した。
【0071】
以上のことから明らかなように、セクタリコンにおける時間分解能は、設定したセクタの数により決まる一方、同じセクタ数でも時間分可能の異なるセクタリコンを2種類持つことができる。
【0072】
つまり、心臓の鼓動の1周期をT、セクタの数をnとした場合、同期をとるために、ガントリの1公転に要する時間Tsは、
Ts=3nT/(3n−2)または、3nT/(3n−2)・・(式1)
であり、その場合、時間分解能trは、
tr=2T/(3n−2)または、2T/(3n+2) ・・(式2)
で表すことができる。
【0073】
<<セクタ間補正の内容>>
次に、上述した様々なセクタ数に対するセクタリコンにおけるセクタ間の補正について、詳細を説明する。上記図5(A)、図7(A)、図9(A)、図11(A)より明らかなように、セクタリコンは、同一の位相であって、異なる回動角度の検出信号を連続的に配列することで、1枚のX線断層像を再構成する。つまり、セクタ間においては非連続な検出信号を結合させるため、結合部分において、検出信号が急峻に変化することとなる。この結果、結合部分においてX線断層像にアーチファクトが生じることとなる。そこで、セクタ間のかかる急峻な変化をなくすことで、アーチファクトの低減を図る。
【0074】
1)図5のセクタリコンに対する補正その1
本実施形態における補正方法について、図12を用いて説明する。図12は、本発明の第1の実施形態にかかるX線CT装置における補正方法であって、上述した図5のセクタリコンを行った場合の補正について端的に示した図である。すなわち、心臓の鼓動の1周期がT、セクタ数が2、ガントリの1公転に要する時間Tsが3T/2の場合である。
【0075】
図12(A)および(B)は、図5(A)および(B)と同じであるため、説明は省略する。図12(C)は、図12(B)に示す検出信号に対する補正後の信号を示したものである。つまり、セクタ▲2▼と、セクタ▲1▼との間の結合部分1200における検出信号の急峻な変化を補正した結果、補正後の信号は、1201に示す曲線となる。
【0076】
曲線1201について説明する。曲線1201は、点1202(=Tr_2、回動角度300度)におけるセクタ▲2▼の検出信号に等しい。また、結合部分1200(回動角度360度、または回動角度0度)においては、回動角度360度におけるセクタ▲2▼の検出信号と、回動角度0度におけるセクタ▲1▼の検出信号との平均値に等しい。
【0077】
さらに、点1202と結合部分1200との間は、回動角度300度から360度間のセクタ▲2▼の検出信号と、回動角度−60度から0度までのセクタ▲1▼近傍の検出信号とを、所定の比率で積算したものの和(重み付け加算したもの)に等しい。
【0078】
一方、曲線1201は、点1203(=Tr_1、回動角度60度)におけるセクタ▲1▼の検出信号に等しい。また、結合部分1200と点1203との間は、回動角度360度から420度までのセクタ▲2▼近傍の検出信号と、回動角度0度から60度間のセクタ▲1▼の検出信号とを、所定の比率で積算したものの和(重み付け加算したもの)に等しい。
【0079】
上記補正比率を図示したものが、図12(D)である。図12(D)の区間Iは図12(C)の区間Iに対応する(セクタ▲2▼の回動角度300度から360度までとセクタ▲1▼の回動角度0度から60度までの区間であり、T/2に相当する時間を有する)。上記より、明らかなように、区間Iにおける補正比率は以下の要件を満足する。
【0080】
(i)Tr_1(=60度)において、セクタ▲1▼の補正比率は1.0、セクタ▲2▼近傍の補正比率は0.0である。
(ii)Tr_2(=300度)において、セクタ▲2▼の補正比率は1.0、セクタ▲1▼の補正比率は0.0である。
(iii)セクタ間の結合部分において、セクタ▲1▼とセクタ▲2▼の補正比率は、それぞれ0.5である。
【0081】
そしてセクタ▲2▼およびその近傍の回動角度300度から420度の間の検出信号に、1204に示す補正比率を乗算し、セクタ▲1▼およびその近傍の回動角度−60度から60度の間の検出信号に、1205に示す補正比率を乗算し、両者を和算したものを、区間Iの検出信号1201とする。区間I以外の区間についても、同様の処理をする。
【0082】
以上の補正方法をまとめると、以下のようになる。
【0083】
つまり、セクタの中心回動角度(かかる位置をTrとする。本実施形態においては、セクタ▲1▼のTrであるTr_1は60度、セクタ▲2▼のTrであるTr_2は300度である)は、隣接するセクタとの結合部分から、最も離れた位置にあるため、隣接するセクタにおいて検出された検出信号の影響を最も小さくする。つまり、Tr_1またはTr_2における検出信号は、当該セクタの検出信号をそのまま使用する。
【0084】
一方、セクタ間の結合部分に近づくにつれ、相互の検出信号の差を吸収するために、隣接するセクタの影響を考慮に入れる必要があることから、隣接するセクタの検出信号の比率を徐々に高めていく。
【0085】
セクタ間の結合部分では、セクタ▲1▼とセクタ▲2▼の両方の検出信号を50%ずつ取り入れることで、セクタ間の結合部分における急峻な変化をなくす。
【0086】
さらに、隣接するセクタ内では、隣接するセクタにおいて検出した検出信号の比率を徐々に高めていき、隣接するセクタのTrにおいて、その比率を100%とする。
【0087】
このような補正を行うことで、セクタ間の検出信号の急峻な変化をなくし、アーチファクトを低減することが可能となる。
【0088】
なお、本例のように、区間I全体(すなわち、Tr間全体)に対して補正を加える補正方法を以下、「全補正処理」と称する。
【0089】
2)図5のセクタリコンに対する補正その2
図5のセクタリコンに対する補正として、全補正処理について上述したが、補正方法はこれに限らない。
【0090】
図13は、図5のセクタリコンに対する他の補正方法について示したものである。図13(A)および(B)は、図5(A)および(B)と同じであるため、説明は省略する。図13(C)は、図13(B)に示す検出信号に対する補正後の信号を示したものである。つまり、セクタ▲2▼と、セクタ▲1▼との間の結合部分1300における検出信号の急峻な変化を補正した結果、補正後の信号は、1301に示す曲線となる。
【0091】
曲線1301について説明する。曲線1301は、点1302(=Tr_2、回動角度300度)近傍(1304に示す区間)では、セクタ▲2▼の検出信号に等しい。また、結合部分1300(回動角度360度、または回動角度0度)においては、回動角度360度におけるセクタ▲2▼の検出信号と、回動角度0度におけるセクタ▲1▼の検出信号との平均値に等しい。
【0092】
さらに点1302と結合部分1300との間は、回動角度300度から360度間のセクタ▲2▼の検出信号のうち、1304に示す区間を除いた検出信号と、回動角度−60度から0度までのセクタ▲1▼近傍の検出信号のうち1304に示す区間を除いた検出信号とを所定の比率で積算したものの和(重み付け加算したもの)に等しい。
【0093】
一方、曲線1301は、点1303(=Tr_1、回動角度60度)近傍(1305に示す区間)では、セクタ▲1▼の検出信号に等しい。また、点1303と結合部分1300との間は、回動角度360度から420度までのセクタ▲2▼近傍の検出信号のうち、1305に示す区間を除いた検出信号と、回動角度0度から60度間のセクタ▲1▼の検出信号のうち1305に示す区間を除いた検出信号とを所定の比率で積算したものの和(重み付け加算したもの)に等しい。
【0094】
上記補正比率を図示したものが、図13(D)である。図13(D)の区間Iは図13(C)の区間Iに対応する(セクタ▲2▼の回動角度300度から360度までとセクタ▲1▼の回動角度0度から60度までの区間であり、T/2に相当する時間を有する)。上記より、明らかなように、区間Iにおける補正比率は以下の要件を満足する。
【0095】
(i)Tr_1(=60度)近傍でのセクタ▲1▼の補正比率は1.0、対応するセクタ▲2▼近傍の補正比率は0.0である。
(ii)Tr_2(=300度)近傍でのセクタ▲2▼の補正比率は1.0、対応するセクタ▲1▼近傍の補正比率は0.0である。
(iii)セクタ間の結合部分において、セクタ▲1▼とセクタ▲2▼の補正比率は、それぞれ0.5である。
【0096】
そして、セクタ▲2▼およびその近傍の回動角度300度から420度の間の検出信号に、1305に示す補正比率を乗算し、セクタ▲1▼およびその近傍の回動角度−60度から60度の間の検出信号に、1306に示す補正比率を乗算し、両者を和算したものを、区間Iの検出信号1301とする。区間I以外の区間についても、同様の処理を行う。
【0097】
このような補正方法を用いることにより、Tr_1、Tr_2近傍における補正比率1.0の区間(1304、1305)が大きいほど、区間Iにおいて、検出信号に対する補正をする区間が短くなる。つまり、補正処理のための計算負荷が低減されこととなるが、一方で、セクタ間の結合部分における検出信号の変化が急峻となり、アーチファクトの低減が妨げられることとなる。
【0098】
一方、区間(1304、1305)が小さいほど、区間Iにおいて、検出信号に対して補正をする区間が長くなる。つまり、補正処理のための計算負荷は増加するが、一方でセクタ間の結合部分における検出信号の変化がなめらかになり、アーチファクトの低減効果が大きくなる。
【0099】
本実施形態にかかるX線CT装置では、区間(1304、1305)の大きさを自由に設定可能であり、最大にした場合には補正処理を行わないことと等価になる。
【0100】
つまり、上記全補正処理のように区間I全体について、一律補正をするのではなく、再構成されたX線断層像のアーチファクトの発生状況を見ながら計算負荷を軽減することが可能となる。
【0101】
なお、このように区間Iの一部分のみに補正を加える補正方法を以下、「部分補正処理」と称する。
【0102】
3)図7のセクタリコンに対する補正その1
次に図7のセクタリコンを行った場合の補正について図14を用いて説明する。すなわち、心臓の鼓動の1周期がT、セクタ数が2、ガントリの公転に要する時間Tsを3T/4の場合のセクタリコンに対する全補正処理について述べる。補正方法は上述の1)と同様であるが、セクタリコンが異なることで、区間Iの大きさ、Tr_1、Tr_2、および補正曲線が変わってくる。
【0103】
図14(A)および(B)は、図7(A)および(B)と同じであるため、説明は省略する。図14(C)は、図14(B)に示す検出信号に対する補正後の信号を示したものである。つまり、セクタ▲2▼と、セクタ▲1▼との間の結合部分1400における検出信号の急峻な変化を補正した結果、補正後の信号は、1401に示す曲線となる。
【0104】
曲線1401について説明する。曲線1401は、点1402(=Tr_1、回動角度60度)におけるセクタ▲1▼の検出信号に等しい。また、結合部分1400(回動角度120度、または回動角度480度)においては、回動角度120度におけるセクタ▲1▼の検出信号と、回動角度480度におけるセクタ▲2▼の検出信号との平均値に等しい。
【0105】
さらに、点1402と結合部分1400との間は、回動角度60度から120度間のセクタ▲1▼の検出信号と、回動角度420度から480度までのセクタ▲2▼近傍の検出信号とを、所定の比率で積算したものの和(重み付け加算したもの)に等しい。
【0106】
一方、曲線1401は、点1403(=Tr_2、回動角度540度)におけるセクタ▲2▼の検出信号に等しい。また、結合部分1400と点1403との間は、回動角度120度から180度までのセクタ▲1▼近傍の検出信号と、回動角度480度から540度間のセクタ▲2▼の検出信号とを、所定の比率で積算したものの和(重み付け加算したもの)に等しい。
【0107】
上記補正比率を図示したものが、図14(D)である。図14(D)の区間Iは図14(C)の区間Iに対応する(セクタ▲1▼の回動角度60度から120度までとセクタ▲2▼の回動角度480度から540度までの区間であり、T/4に相当する時間を有する)。上記より、明らかなように、区間Iにおける補正比率は以下の要件を満足する。
【0108】
(i)Tr_1(=60度)において、セクタ▲1▼の補正比率は1.0、セクタ▲2▼近傍の補正比率は0.0である。
(ii)Tr_2(=540度)において、セクタ▲2▼の補正比率は1.0、セクタ▲1▼近傍の補正比率は0.0である。
(iii)セクタ間の結合部分において、セクタ▲1▼とセクタ▲2▼の補正比率は、それぞれ0.5である。
【0109】
そしてセクタ▲1▼およびその近傍の回動角度60度から180度の間の検出信号に、1404に示す補正比率を乗算し、セクタ▲2▼およびその近傍の回転角度420度から540度の間の検出信号に、1405に示す補正比率を乗算し、両者を和算したものを、区間Iの検出信号1401とする。区間I以外の区間についても、同様の処理をする。
【0110】
このように、同じ全補正処理であっても、セクタリコンの設定によって、Tr_1、Tr_2の示す回動角度がかわってくることとなり、本実施形態にかかるX線CT装置においては、それに対応した処理を行うことができる。
【0111】
4)図7のセクタリコンに対する補正その2
図7のセクタリコンに対する補正として、全補正処理について上述したが、部分補正処理についても同様に行うことができる。
【0112】
図15は、図7のセクタリコンに対する部分補正処理について示したものである。図15(A)および(B)は、図7(A)および(B)と同じであるため、説明は省略する。図15(C)は、図15(B)に示す検出信号に対する補正後の信号を示したものである。つまり、セクタ▲2▼と、セクタ▲1▼との間の結合部分1500における検出信号の急峻な変化を補正した結果、補正後の信号は、1501に示す曲線となる。
【0113】
曲線1501について説明する。曲線1501は、点1502(=Tr_1、回動角度60度)近傍(1504に示す区間)では、セクタ▲1▼の検出信号に等しい。また、結合部分1500(回動角度120度、または回動角度480度)においては、回動角度120度におけるセクタ▲1▼の検出信号と、回動角度480度におけるセクタ▲2▼の検出信号との平均値に等しい。
【0114】
さらに、点1503(回動角度540度)近傍(1505に示す区間)では、セクタ▲2▼の検出信号に等しい。
【0115】
さらに点1502と結合部分1500との間は、回動角度60度から120度間のセクタ▲1▼の検出信号のうち1504に示す区間を除いた検出信号と、回動角度420度から480度までのセクタ▲2▼近傍の検出信号のうち1504に示す区間を除いた検出信号とを所定の比率で積算したものの和(重み付け加算したもの)に等しい。
【0116】
一方、結合部分1500と点1503との間では、回動角度480度から540度間のセクタ▲2▼の検出信号のうち1505に示す区間を除いた検出信号と、回動角度120度から180度までのセクタ▲1▼近傍の検出信号のうち1505に示す区間を除いた検出信号とを所定の比率で積算したものの和(重み付け加算したもの)に等しい。
【0117】
上記補正比率を図示したものが、図15(D)である。図15(D)の区間Iは図15(C)の区間Iに対応する(セクタ▲1▼の回動角度60度から120度までとセクタ▲2▼の回動角度480度から540度までの区間であり、T/4に相当する時間を有する)。上記より、明らかなように、区間Iにおける補正比率は以下の要件を満足する。
【0118】
(i)Tr_1(=60度)近傍でのセクタ▲1▼の補正比率は1.0、対応するセクタ▲2▼近傍の補正比率は0.0である。
(ii)Tr_2(=540度)近傍でのセクタ▲2▼の補正比率は1.0、対応するセクタ▲1▼近傍の補正比率は0.0である。
(iii)セクタ間の結合部分において、セクタ▲1▼とセクタ▲2▼の補正比率は、それぞれ0.5である。
【0119】
そしてセクタ▲1▼およびその近傍の回動角度60度から180度の間の検出信号に、1506に示す補正比率を乗算し、セクタ▲2▼およびその近傍の回動角度420度から540度の間の検出信号に、1507に示す補正比率を乗算し、両者を和算したものを区間Iの検出信号1501とする。区間I以外の区間についても、同様の処理をする。
【0120】
このような補正方法を用いることにより、Tr_1、Tr_2近傍における補正比率1.0の区間(1504、1505)が大きいほど、区間Iにおいて、検出信号に対する補正をする区間が短くなる。つまり、補正処理のための計算負荷が低減されこととなるが、一方で、セクタ間の結合部分における検出信号の変化が急峻となり、アーチファクトの低減が妨げられることとなる。
【0121】
一方、区間(1504、1505)が小さいほど、区間Iにおいて、検出信号に対して補正をする区間が長くなる。つまり、補正処理のための計算負荷は増加するが、一方でセクタ間の結合部分における検出信号の変化がなめらかになり、アーチファクトの低減効果が大きくなる。
【0122】
本実施形態にかかるX線CT装置では、区間(1504、1505)の大きさを自由に設定可能であり、最大にした場合には補正処理を行わないことと等価になる。
【0123】
つまり、上記全補正処理のように区間I全体について、一律補正をするのではなく、再構成されたX線断層像のアーチファクトの発生状況を見ながら計算負荷を軽減することができる。
【0124】
5)図9、図11のセクタリコンに対する補正その1、その2
上記1)乃至4)では、セクタ数が2の場合の全補正および部分補正について説明したが、セクタ数が3以上の場合であっても、同様の補正方法が適用可能であることはいうまでもない。一例としてセクタ数が4の場合(図9、図11において示したセクタリコンの場合)の補正について説明する。
【0125】
図16は、図9のセクタリコンに対する全補正処理について示した図である。図16(A)乃至(C)は、すでに説明済み、または説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0126】
図16(D)の区間Iは、セクタ▲2▼の回動角度330度から360度までとセクタ▲1▼の回動角度0度から30度までの区間であり、T/5に相当する時間を有する。
【0127】
そして、セクタ▲2▼の回動角度330度から390度の間の検出信号に、1601に示す補正比率を乗算し、セクタ▲1▼の回動角度−30度から30度の間の検出信号に、1602に示す補正比率を乗算し、両者を和算したものを、区間Iの検出信号1600とする。区間I以外の区間についても、同様の処理をする。
【0128】
図17は、図9のセクタリコンに対する部分補正処理について示した図である。図17(A)乃至(C)は、すでに説明済み、または説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0129】
図17(D)の区間Iは、セクタ▲2▼の回動角度330度から360度までとセクタ▲1▼の回動角度0度から30度までの区間であり、T/5に相当する時間を有する。
【0130】
そして、セクタ▲2▼の回動角度330度から390度の区間の検出信号に、330度近傍における補正比率が1.0である補正曲線1701を乗算し、セクタ▲1▼の回動角度−30度から30度の間の検出信号に、30度近傍における補正比率が1.0である補正曲線1702を乗算し、両者を和算したものを区間Iの検出信号1700とする。区間I以外の区間についても、同様の処理をする。
【0131】
図18は、図11のセクタリコンに対する全補正処理について示した図である。図18(A)乃至(C)は、すでに説明済み、または説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0132】
図18(D)の区間Iは、セクタ▲1▼の回動角度30度から60度までとセクタ▲2▼の回動角度420度から450度までの区間であり、T/7に相当する時間を有する。
【0133】
そして、セクタ▲1▼の回動角度30度から90度の間の検出信号に、1801に示す補正比率を乗算し、セクタ▲2▼の回動角度390度から450度の間の検出信号に、1802に示す補正比率を乗算し、両者を和算したものを、区間Iの検出信号1800とする。区間I以外の区間についても、同様の処理をする。
【0134】
図19は、図11のセクタリコンに対する部分補正処理について示した図である。図19(A)乃至(C)は、すでに説明済み、または説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0135】
図19(D)の区間Iは、セクタ▲1▼の回動角度30度から60度までとセクタ▲2▼の回動角度420度から450度までの区間であり、T/7に相当する時間を有する。
【0136】
そして、セクタ▲1▼の回動角度30度から90度の区間の検出信号に、30度近傍における補正比率が1.0である補正曲線1901を乗算し、セクタ▲2▼の回動角度390度から450度の間の検出信号に、450度近傍における補正比率が1.0である補正曲線1902を乗算し、両者を和算したものを区間Iの検出信号1900とする。区間I以外の区間についても、同様の処理をすることができる。
【0137】
以上、1)乃至5)において述べた各セクタリコンに対する各補正方法より、以下のことが導き出せる。つまり、心臓の鼓動の周期がT、セクタ数がnのとき、ガントリの公転に要する時間TsがTs=3nT/(3n−2)となるように設定し、時間0、回動角度0度を検査開始点として検査を開始した場合、1番目と2番目のセクタ間の全補正処理は、
(i)補正区間の範囲(角度):240/n
(ii)補正区間の範囲(時間):2T/(3n−2)
(iii)1番目のセクタに対する補正における補正曲線の座標:
(回動角度、補正比率)=(−120/n、0)
(回動角度、補正比率)=(120/n、1.0) ;Tr_1
(iv)2番目のセクタに対する補正における補正曲線の座標:
(回動角度、補正比率)=(−120/n+360、1.0) ;Tr_2
(回動角度、補正比率)=(120/n+360、0)
となる。
【0138】
また、TsがTs=3nT/(3n+2)となるように設定した場合には、
(i)補正区間の範囲(角度):240/n
(ii)補正区間の範囲(時間):2T/(3n+2)
(iii)1番目のセクタに対する補正における補正曲線の座標:
(回動角度、補正比率)=(120/n、1.0) ;Tr_1
(回動角度、補正比率)=(360/n、0)
(iv)2番目のセクタに対する補正における補正曲線の座標:
(回動角度、補正比率)=(120/n+360、0)
(回動角度、補正比率)=(360/n+360、1.0) ;Tr_2
となる。
【0139】
また、同様に、ガントリの公転に要する時間TsがTs=3nT/(3n−2)となるように設定した場合の部分補正は、補正比率1.0の区間をσ(角度)とすると、
(i)補正区間の範囲(角度):240/n−2σ
(ii)補正区間の範囲(時間):2T/(3n−2)×(1−σ・n/120)
(iii)1番目のセクタに対する補正における補正曲線の座標:
(回動角度、補正比率)=(−120/n、0)
(回動角度、補正比率)=(−120/n+σ、0)
(回動角度、補正比率)=(120/n−σ、1.0)
(回動角度、補正比率)=(120/n、1.0) ;Tr_1
(iv)2番目のセクタに対する補正における補正曲線の座標:
(回動角度、補正比率)=(−120/n+360、1.0) ;Tr_2
(回動角度、補正比率)=(−120/n+360+σ、1.0)
(回動角度、補正比率)=(120/n+360−σ、0.0)
(回動角度、補正比率)=(120/n+360、0)
となる。
【0140】
また、TsがTs=3nT/(3n+2)となるように設定した場合には、
(i)補正区間の範囲(角度):240/n−2σ
(ii)補正区間の範囲(時間):2T/(3n+2)
(iii)1番目のセクタに対する補正における補正曲線の座標:
(回動角度、補正比率)=(120/n、1.0) ;Tr_1
(回動角度、補正比率)=(120/n+σ、1.0)
(回動角度、補正比率)=(360/n−σ、0)
(回動角度、補正比率)=(360/n、0)
(iv)2番目のセクタに対する補正における補正曲線の座標:
(回動角度、補正比率)=(120/n+360、0)
(回動角度、補正比率)=(120/n+360+σ、0)
(回動角度、補正比率)=(360/n+360−σ、1.0)
(回動角度、補正比率)=(360/n+360、1.0) ;Tr_2
となる。
【0141】
このようにセクタリコンの種類に応じてTr_1、Tr_2を変更し補正曲線を生成することで、様々なセクタリコンにおけるセクタ間の急峻な変化をなくし、アーチファクトを低減することが可能となる。
【0142】
なお、セクタ数が4の場合のセクタリコンに対する補正処理結果を図20、図21に示す。
【0143】
図20(A)は、全補正を行った場合のX線断層像であり、図20(B)は、補正処理を行わなかった場合のX線断層像である。同図より、アーチファクトの低減効果が顕著であるといえる。
【0144】
また、図21(A)は、部分補正を行った場合のX線断層像であり、図21(B)は、補正処理を行わなかった場合のX線断層像である。同図より、アーチファクトの低減効果が得られることがわかる。
【0145】
<<セクタ間補正の処理フロー>>
次に、上述のセクタ間補正が可能な本発明の第1の実施形態にかかるX線CT装置における処理フローについて説明する。
【0146】
図39は本発明の第1の実施形態にかかるX線CT装置における全体処理フローを示す図である。
【0147】
ステップS3901において、X線CT装置を使用するうえでの各種情報設定を行い、ステップS3902におけるスキャン開始指示に基づき、データ受信を開始し、受信したデータを格納する(ステップS3903、S3904)。
【0148】
ステップS3905では、格納したデータの中から、同位相のデータを選択し、上述した補正方法を用いて補正処理をし、X線断層像を再構成する(ステップS3905乃至S3907)。
【0149】
ステップS3908では、検査終了の指示の有無を確認し、終了指示がなければステップS3903に戻り、同様の処理を繰り返す。一方、検査終了の指示があった場合には、検査処理を終了する。
【0150】
次に図39のステップS3901の各種情報設定処理について詳細を図40を用いて説明する。
【0151】
ステップS4001において、予め測定された被検体の心電図波形信号を検出した後、ステップS4002では1鼓動の周期Tを算出する。
【0152】
ステップS4003では設定されたセクタ数が読み込まれ、ステップS4004では、高/低時間分解能のいずれが選択されたかを読み込む。高/低時間分解能とは、上述のTsが3nT/(3n−2)であるか、3nT/(3n+2)であるかをいい、3nT/(3n−2)を低時間分解能、3nT/(3n+2)を高時間分解能と称する。
【0153】
ステップS4003およびS4004で読み込まれた設定に基づいて、ガントリ回転速度を算出し、算出した情報を他の制御情報とともにガントリに送信する(ステップS4005、S4006)。
【0154】
さらにステップS4007乃至S4009では、ステップS4003およびS4004で読み込まれた設定に基づいて、補正処理を行うための補正曲線を生成する。
【0155】
自動設定が選択されていた場合には、補正情報自動設定処理を行い、自動設定が選択されていない場合には、補正情報手動設定処理を行う(ステップS4008、S4009)。なお、補正情報自動設定処理とは、上述の全補正処理を行うための補正曲線を算出する処理をいい、補正情報手動設定処理とは、上述の部分補正処理を行うための補正曲線を算出する処理をいう。
【0156】
なお、補正情報手動設定処理においては、Tr近傍の補正比率1.0の区間を手動で設定入力する。
【0157】
【第2の実施形態】
上記第1の実施形態においては、検出アレイが1列の場合について述べたが、検出アレイが2列以上の、所謂マルチディテクタによるアキシャルスキャンへも適用可能であることはいうまでもない。
【0158】
図22に2列のマルチディテクタの一例を示す。検出アレイAと検出アレイBとは、一体となって被検体の周囲を回動し(アキシャルスキャンし)、それぞれ独立して信号処理することが可能である。したがって、上記第1の実施形態において述べた各セクタリコンに対する補正方法を検出アレイAから検出した検出信号と、検出アレイBから検出した検出信号それぞれに個別に適用することが可能であることは明らかである。
【0159】
【第3の実施形態】
上記第1、2の実施形態においては、スキャン方法をアキシャルスキャンに限って説明したが、これに限らない。すなわち、上述の補正方法は、所謂ヘリカルスキャンによるセクタリコン(以下、「マルチセクタリコン」と呼ぶ)にも適用可能である。
【0160】
<<マルチセクタリコンの概要>>
ここで、ヘリカルスキャンによるセクタリコンについて複数の例を挙げて簡単に説明する。ヘリカルスキャンとは、X線管124及びX線検出器(マルチディテクタ)のガントリの円周に沿っての回動動作と、ガントリの回動面を平面と見たときの垂直方向(Z軸方向)への被検体の搬送動作とを同時に行うものであり、回動動作と搬送動作とが所定の関係をもって制御される。
【0161】
例えば、上記第1の実施形態同様、X線断層像を再構成するに必要な回動角範囲を2/3周=4/3・π(240度)とすると、心臓の鼓動周期がTである場合、スキャン時間(1公転に要する時間)Tsは、Ts=3T/2となり、この時間でX線管124及びX線検出器131を1回転させるよう回動動作が制御される。
【0162】
一方、天板142は1鼓動周期Tに対して1ピッチ分移動させれば良いから、その速度VはV=P・Wd/Ts=Wd/Tとなり、かかる速度で搬送動作が制御される。ここでWdは検出アレイのZ軸方向への幅(図22の例では2mm)である。
【0163】
つまり、図23に示すように、点Q−Q’間の回動時間および1ピッチ分の搬送時間を心臓の鼓動周期Tに同期させるわけであるから、点Q位置において検出アレイAで検出される信号と、点Q’位置において検出アレイBで検出される信号とは、心臓の1鼓動分の時間差はあるものの、鼓動運動という時間軸に対する動きに対しては同位相のものとなり、かつZ軸方向において同一位置となる(このようにセクタ数は、検出アレイの列数によって決まる)。
【0164】
したがって、X線管124が点Qを開始位置とし図示矢印方向に回動を開始して2π/3(120度)移動する間に検出アレイAより得られた信号は、それに続く2π/3回動した後の点Q’(240度)を開始点とし、そこから2π/3(120度)回動するまでの間に検出アレイBで検出された信号と、心臓の鼓動周期Tに対して同じ位相、かつZ軸方向同一位置とさせることが可能となる。
【0165】
図24は、上述の心臓の鼓動周期に同期したヘリカルスキャンにおけるマルチセクタリコンを時系列的に示した図である。
【0166】
図24において、2400は被検体であり、Z軸方向の各スライス面2401乃至2406においてX線断層像が再構成される。
【0167】
2420は横軸にZ軸、縦軸に回動角度をとった場合の、X線検出器131の動作を表したものである。ヘリカルスキャンの場合、X線検出器131は被検体2400の外側を回動しながらZ軸方向に相対的に進むため(すなわち、被検体2400の外側を相対的に螺旋状に動作するため)、かかるX線検出器の被検体に対する相対的な動作を表現したものである。
【0168】
例えば、回動角度0において、X線検出器は検出アレイAがスライス面2401の透過X線を検出する位置にある(131−24−1)。そして、時間の経過とともに、Z軸方向に進みながら回動し、回動角度4π/3(240度)まで回動したとき、X線検出器は、検出アレイAがスライス面2402の透過X線を検出し、検出アレイBがスライス面2401の透過X線を検出する位置までくる(131−24−2)。
【0169】
さらに、Z軸方向に進みながら回動し、回動角度8π/3(480度)まで回動したとき、X線検出器は、検出アレイAがスライス面2403の透過X線を検出し、検出アレイBがスライス面2402の透過X線を検出する位置までくる(131−24−3)。以下同様に、同図においては、X線検出器が20π/3(1200度)まで回動したときの動作を示している(131−24−4乃至131−24−6)。なお、同図において、例えば、回動角度0から回動角度4π/3(240度)までの間にX線検出器の検出アレイAが検出した検出信号はA−1と表現している(A−2乃至A−6、B−1乃至B−6も同様である)。
【0170】
また、2410は心電図の波形を示すもので、わかりやすくするため、X線検出器の回動動作と重ね合わせて表現した。
【0171】
ヘリカルスキャンにおけるマルチセクタリコンでは、X線検出器が回動角度0から4π/3(240度)まで動作する間に検出した検出信号A−1の一部と、回動角度4π/3(240度)から8π/3(480度)まで動作する間に検出した検出信号B−2の一部とを組み合わせてX線断層像の再構成に必要なデータ量(240度分のデータ)を生成する。
【0172】
2430−1はスライス面2401において、X線断層像の再構成に必要なデータを生成した状態を示す図である。つまり、スライス面2401のX線断層像を再構成するために、X線検出器の異なる列の検出アレイA、Bがそれぞれスライス面2401をスキャンする際に得られた検出信号A−1、B−2を組み合わせることで実現する。2440−1は組み合わせて生成された信号2430−1に基づいて再構成されたX線断層像を示す。以下同様に、生成された信号2430−2乃至2430−5に基づいて、X線断層像2440−2乃至2440−5が再構成される。
【0173】
次に、他のマルチセクタリコンの例として、4/3公転に要する時間を、心臓の鼓動の1周期Tに合わせる場合について考える(この場合も、セクタ数は2となる)。この場合、1公転に要する時間をスキャン時間Tsと表現すると、Ts=3/4・Tとなる。
【0174】
図25の点Q−Q’間の回動時間を心臓の鼓動周期Tに同期させるわけであるから、点Q位置において検出アレイAで検出される信号と、点Q’位置において検出アレイBで検出される信号とは、心臓の1鼓動分の時間差はあるものの、鼓動運動という時間軸に対する動きに対しては同位相のものとなり、かつZ軸方向において同一位置となる。
【0175】
したがって、図25の如く、X線管124が点Qを開始位置とし図示矢印方向に回動を開始して2π/3(120度)移動する間に検出アレイAより得られた信号は、それに続く2π(360度)回動した後の点Q’(480度)を開始点とし、そこから2π/3(120度)回動するまでの間に検出アレイBで検出された信号と、心臓の鼓動周期Tに対して同じ位相とさせることが可能となる。
【0176】
図示の如く、検出アレイA、Bで検出した信号は、全体の2/3公転(ハーフリコンを行うのに必要な回動角範囲)を占めていることになるから、少なくともこれでもってX線断層像を再構築する際の必要十分な信号を得ることができることになる。
【0177】
図26は、上述の心臓の鼓動周期に同期したヘリカルスキャンにおけるマルチセクタリコンを時系列的に示した図である。
【0178】
図26において、2600は被検体であり、Z軸方向の各スライス面2601乃至2606においてX線断層像が再構成される。
【0179】
2620は横軸にZ軸、縦軸に回動角度をとった場合の、X線検出器131の動作を表したものである。ヘリカルスキャンの場合、X線検出器131は被検体2600の外側を回動しながらZ軸方向に相対的に進むため(すなわち、被検体2600の外側を相対的に螺旋状に動作するため)、かかるX線検出器の被検体に対する相対的な動作を表現したものである。
【0180】
例えば、回動角度0において、X線検出器は検出アレイAがスライス面2601の透過X線を検出する位置にある(131−26−1)。そして、時間の経過とともに、Z軸方向に進みながら回動し、回動角度8π/3(480度)まで回動したとき、X線検出器は、検出アレイAがスライス面2602の透過X線を検出し、検出アレイBがスライス面2601の透過X線を検出する位置までくる(131−26−2)。
【0181】
さらに、Z軸方向に進みながら回動し、回動角度16π/3(960度)まで回動したとき、X線検出器は、検出アレイAがスライス面2603の透過X線を検出し、検出アレイBがスライス面2602の透過X線を検出する位置までくる(131−26−3)。以下同様に、同図においては、X線検出器が40π/3(2400度)まで回動したときの動作を示している(131−26−4乃至131−26−5)。なお、同図において、例えば、回動角度0から回動角度8π/3(480度)までの間にX線検出器の検出アレイAが検出した検出信号はA−1と表現している(A−2乃至A−6、B−1乃至B−6も同様である)。
【0182】
また、2610は心電図の波形を示すもので、わかりやすくするため、X線検出器の回動動作と重ね合わせて表現した。
【0183】
ヘリカルスキャンにおけるマルチセクタリコンでは、X線検出器が回動角度0から8π/3(480度)まで動作する間に検出した検出信号A−1の一部と、回動角度8π/3(480度)から16π/3(960度)まで動作する間に検出した検出信号B−2の一部とを組み合わせてX線断層像の再構成に必要なデータ量(240度分のデータ)を生成する。
【0184】
2630−1はスライス面2601において、X線断層像の再構成に必要なデータを生成した状態を示す図である。つまり、スライス面2601のX線断層像を再構成するために、X線検出器の異なる列の検出アレイA、Bがそれぞれスライス面2601をスキャンする際に得られた検出信号A−1、B−2を組み合わせることで実現する。2640−1は組み合わせて生成された信号2630−1に基づいて再構成されたX線断層像を示す。以下同様に、生成された信号2630−2乃至2630−5に基づいて、X線断層像2640−2乃至2640−5が再構成される。
【0185】
このように図24および図26とは、いずれも検出アレイの列数が2列であるため、セクタ数は2のマルチセクタリコンの例であるが、心臓の鼓動の1周期を2/3公転にあわせるか、4/3公転にあわせるかの違いがあり、後者の方が、回動速度が速いため、セクタ数が同じでも必然的に時間分解能が向上する。
【0186】
さらに検出アレイの列数を4にすると、時間分解能がより向上する。検出アレイの列数が4であった場合、5/6公転に要する時間を、心臓の鼓動の1周期Tに合わせ、かつ5/6公転に要する時間で、Z軸方向に1ピッチ動作するようにすればよい。
【0187】
この結果、図27に示すように、点Q−Q’間、点Q’−Q”間、点Q”−Q’’’間の回動時間をそれぞれ心臓の鼓動周期Tに同期させるわけであるから、点Q位置において検出アレイAで検出される信号と、点Q’、Q”、Q’’’位置において検出アレイB、C、Dで検出される信号とは、心臓の1鼓動分の整数倍の時間差はあるものの、鼓動運動という時間軸に対する動きに対しては同位相のものとなり、かつZ軸方向において同一位置となる(4列の検出アレイを有するX線検出器は、図22に示す検出アレイA、Bを有する2列のX線検出器に対して、さらに検出アレイC、Dを配列したものであるとする)。
【0188】
したがって、図27の如く、X線管124が点Qを開始位置とし図示矢印方向に回動を開始して60度移動する間に検出アレイAより得られた信号は、それに続く240度回動した後の点Q’(300度)を開始点とし、そこからπ/3(60度)回動するまでの間に検出アレイBで検出された信号と、心臓の鼓動周期Tに対して同じ位相、かつZ軸方向において同一位置とさせることが可能となる。
【0189】
同様に、それに続く4π/3(240度)回動した後の点Q”(600度)を開始点とし、そこからπ/3(60度)回動するまでの間に検出アレイCで検出された信号、および更にそれに続く4π/3(240度)回動した後の点Q’’’(900度)を開始点とし、そこからπ/3(60度)回動するまでの間に検出アレイDで検出された信号を、それぞれ心臓の鼓動周期Tに対して同じ位相とさせることが可能となる。
【0190】
図示の如く、検出アレイA乃至Dで検出した信号は、全体の2/3公転(ハーフリコンを行うのに必要な回動角範囲)を占めていることになるから、少なくともこれでもってX線断層像を再構築する際の必要十分な信号を得ることができることになる。
【0191】
図28は、上述の心臓の鼓動周期に同期したヘリカルスキャンにおけるマルチセクタリコン(検出アレイの列数4列)を時系列的に示した図である。
【0192】
図28において、2800は被検体であり、Z軸方向の各スライス面2801乃至2807においてX線断層像が再構成される。
【0193】
2820は横軸にZ軸、縦軸に回動角度をとった場合の、X線検出器131の動作を表したものである。ヘリカルスキャンの場合、X線検出器131は被検体2800の外側を回動しながらZ軸方向に相対的に進むため(すなわち、被検体2800の外側を相対的に螺旋状に動作するため)、かかるX線検出器の被検体に対する相対的な動作を表現したものである。
【0194】
例えば、回動角度0度において、X線検出器は検出アレイAがスライス面2801の透過X線を検出する位置にある(131−28−1)。そして、時間の経過とともに、Z軸方向に進みながら回動し、回動角度5π/3(300度)まで回動したとき、X線検出器は、検出アレイAがスライス面2802の透過X線を検出し、検出アレイBがスライス面2801の透過X線を検出する位置までくる(131−28−2)。
【0195】
さらに、Z軸方向に進みながら回動し、回動角度10π/3(600度)まで回動したとき、X線検出器は、検出アレイAがスライス面2803の透過X線を検出し、検出アレイBがスライス面2802の透過X線を検出する位置までくる(131−28−3)。以下同様に、同図においては、X線検出器が45π/3(2700度)まで回動したときの動作を示している(131−28−4乃至131−28−10)。なお、同図において、例えば、回動角度0から回動角度5π/3までの間にX線検出器の検出アレイAが検出した検出信号はA−1と表現している(A−2乃至A−10、B−1乃至B−10、C−1乃至C−10、D−1乃至D−10も同様である)。
【0196】
また、2810は心電図の波形を示すもので、わかりやすくするため、X線検出器の回動動作と重ね合わせて表現した。
【0197】
ヘリカルスキャンにおけるマルチセクタリコンでは、X線検出器が回動角度0から5π/3(300度)まで動作する間に検出した検出信号A−1の一部と、回動角度5π/3(300度)から10π/3(600度)まで動作する間に検出した検出信号B−2の一部と、回動角度10π/3(600度)から15π/3(900度)まで動作する間に検出した検出信号C−3の一部と、回動角度15π/3(900度)から20π/3(1200度)まで動作する間に検出した検出信号D−4の一部とを組み合わせてX線断層像の再構成に必要なデータ量(240度分のデータ)を生成する。
【0198】
2830−1はスライス面2801において、X線断層像の再構成に必要なデータを生成した状態を示す図である。つまり、スライス面2801のX線断層像を再構成するために、X線検出器の異なる列の検出アレイA乃至Dがそれぞれスライス面2801をスキャンする際に得られた検出信号A−1、B−2、C−3、D−4を組み合わせることで実現する。2840−1は組み合わせて生成された信号2830−1に基づいて再構成されたX線断層像を示す。以下同様に、生成された信号2830−2乃至2830−7に基づいて、X線断層像2840−2乃至2840−7が再構成される。
【0199】
このように、検出アレイの列数を増やすと、1つのセクタ当たりの回動角度が小さくなり、時間分解能がさらに向上する。
【0200】
次に、検出アレイの列数が2の場合と同様に、検出アレイの列数が4の場合の他のマルチセクタリコンの例について考える。心臓の鼓動に同期してスキャンを行うためには、7/6公転に要する時間を、心臓の鼓動の1周期Tに合わせることによっても、マルチセクタリコンを実現できる(この場合も、セクタ数は4となる)。この場合、1公転に要する時間をスキャン時間Tsと表現すると、Ts=6/7・Tとなる。
【0201】
点Q−Q’間、Q’−Q”間、Q”−Q’’’間の回動時間をそれぞれ心臓の鼓動周期Tに同期させるわけであるから、点Q位置において検出アレイAで検出される信号と、点Q’、Q”、Q’’’位置において検出アレイB、C、Dで検出される信号とは、心臓の1鼓動分の時間差はあるものの、鼓動運動という時間軸に対する動きに対しては同位相のものとなり、かつZ軸方向において同一位置になる。
【0202】
したがって、図29の如く、X線管124が点Qを開始位置とし図示矢印方向に回動を開始して60度移動する間に検出アレイAより得られた信号は、それに続く2π(360度)回動した後の点Q’(420度)を開始点とし、そこからπ/3(60度)回動するまでの間に検出アレイBで検出された信号と、心臓の鼓動周期Tに対して同じ位相、かつZ軸方向において同一位置とさせることが可能となる。
【0203】
同様に、それに続く2π(360度)回動した後の点Q”(840度)を開始点とし、そこからπ/3(60度)回動するまでの間に検出アレイCで検出された信号、および更にそれに続く2π(360度)回動した後の点Q’’’(1260度)を開始点とし、そこからπ/3(60度)回動するまでの間に検出アレイで検出された信号を、それぞれ心臓の鼓動周期Tに対して同じ位相とさせることが可能となる。
【0204】
図示の如く、検出アレイA乃至Dで検出した信号は、全体の2/3公転(ハーフリコンを行うのに必要な回動角範囲)を占めていることになるから、少なくともこれでもってX線断層像を再構築する際の必要十分な信号を得ることができることになる。
【0205】
図30は、上述の心臓の鼓動周期に同期したヘリカルスキャンにおけるマルチセクタリコン(検出アレイの列数4)を時系列的に示した図である。
【0206】
図30において、3000は被検体であり、Z軸方向の各スライス面3001乃至3007においてX線断層像が再構成される。
【0207】
3020は横軸にZ軸、縦軸に回動角度をとった場合の、X線検出器131の動作を表したものである。ヘリカルスキャンの場合、X線検出器131は被検体3000の外側を回動しながらZ軸方向に相対的に進むため(すなわち、被検体3000の外側を相対的に螺旋状に動作するため)、かかるX線検出器の被検体に対する相対的な動作を表現したものである。
【0208】
例えば、回動角度0度において、X線検出器は検出アレイAがスライス面3001の透過X線を検出する位置にある(131−30−1)。そして、時間の経過とともに、Z軸方向に進みながら回動し、回動角度7π/3(420度)まで回動したとき、X線検出器は、検出アレイAがスライス面3002の透過X線を検出し、検出アレイBがスライス面3001の透過X線を検出する位置までくる(131−30−2)。
【0209】
さらに、Z軸方向に進みながら回動し、回動角度14π/3(840度)まで回動したとき、X線検出器は、検出アレイAがスライス面3003の透過X線を検出し、検出アレイBがスライス面3002の透過X線を検出する位置までくる(131−26−3)。以下同様に、同図においては、X線検出器が63π/3(3780度)まで回動したときの動作を示している(131−30−4乃至131−30−10)。なお、同図において、例えば、回動角度0から回動角度7π/3(420度)までの間にX線検出器の検出アレイAが検出した検出信号はA−1と表現している(A−2乃至A−10、B−1乃至B−10、C−1乃至C−10、D−1乃至D−10も同様である)。
【0210】
また、3010は心電図の波形を示すもので、わかりやすくするため、X線検出器の回動動作と重ね合わせて表現した。
【0211】
ヘリカルスキャンにおけるマルチセクタリコンでは、X線検出器が回動角度0から7π/3(420度)まで動作する間に検出した検出信号A−1の一部と、回動角度7π/3(420度)から14π/3(840度)まで動作する間に検出した検出信号B−2の一部と、回動角度14π/3(840度)から21π/3(1260度)まで動作する間に検出した検出信号C−3の一部と、回動角度21π/3(1260度)から28π/3(1680度)まで動作する間に検出した検出信号D−4の一部とを組み合わせてX線断層像の再構成に必要なデータ量(240度分のデータ)を生成する。
【0212】
3030−1はスライス面3001において、X線断層像の再構成に必要なデータを生成した状態を示す図である。つまり、スライス面3001のX線断層像を再構成するために、X線検出器の異なる列の検出アレイA乃至Dがそれぞれスライス面3001をスキャンする際に得られた検出信号A−1、B−2、C−3、D−4を組み合わせることで実現する。3040−1は組み合わせて生成された信号3030−1に基づいて再構成されたX線断層像を示す。以下同様に、生成された信号3030−2乃至3030−7に基づいて、X線断層像3040−2乃至3040−7が再構成される。
【0213】
以上のことから明らかなように、マルチセクタリコンの時間分解能は、検出アレイの列数により決まる。
【0214】
つまり、検出アレイの列数がmの場合、セクタの数はmとなり、心臓の鼓動の1周期Tと同期をとるために、天板の1ピッチ分の移動時間ならびにガントリの1公転に要する時間であるTsは、
Ts=3nT/(3m−2)または、3nT/(3n+2)・・(式3)
であり、その場合、時間分解能trは、
tr=2T/(3m−2)または、2T/(3m+2) ・・(式4)
で表すことができる。
【0215】
<<マルチセクタリコンにおけるセクタ間補正の内容>>
次に上述した様々な列数を有するマルチディテクタによるマルチセクタリコンにおけるセクタ間の補正について、詳細を説明する。上記図24(A)、図26(A)、図28(A)、図30(A)より明らかなように、マルチセクタリコンは、同一位相であって、異なる回動角度の異なる検出アレイの検出信号を連続的に配列することで、1枚のX線断層像を再構成する。つまり、セクタ間においては非連続な検出信号を結合させるため、結合部分において、検出信号が急峻に変化することとなる。この結果、結合部分においてX線断層像にアーチファクトが生じることとなる。そこで、セクタ間のかかる急峻な変化をなくすことで、アーチファクトの低減を図る。
【0216】
1)図24のマルチセクタリコンに対する補正その1
本実施形態における補正方法について、図31を用いて説明する。図31は、本発明の第3の実施形態にかかるX線CT装置における補正方法であって、上述した図24のマルチセクタリコンを行った場合の補正について端的に示した図である。すなわち、心臓の鼓動の1周期がT、セクタ数(検出アレイの列数)が2、ガントリの1公転に要する時間Tsが3T/2の場合である。
【0217】
図31(A)は、横軸に時間およびガントリの回動角度、縦軸に心電図波形をとった場合の、X線検出器の検出タイミングを示している。
【0218】
また、図31(B)は、検出した透過X線量をX線断層像の再構成のために、配列したものである。なお、本実施形態では、説明を簡単にするために、心電図波形に比例した透過X線量が検出されたものとして図示している。また、複数の検出素子の検出信号のうち、所定の検出素子の検出信号についてのみ図示した。
図31(C)は、図31(B)に示す検出信号に対する補正後の信号を示したものである。つまり、検出アレイBの信号(B−2)と、検出アレイA(A−1)の信号との間の結合部分3100における検出信号の急峻な変化を補正した結果、補正後の信号は、3101に示す曲線となる。
【0219】
曲線3101について説明する。曲線3101は、点3102(=Tr_B、回動角度300度)における検出アレイBの検出信号(B−2)に等しい。また、結合部分3100(回動角度360度、または回動角度0度)においては、回動角度360度における検出アレイBの検出信号(B−2)と、回動角度0度における検出アレイAの検出信号(A−1)との平均値に等しい。
【0220】
さらに、点3102と結合部分3100との間は、回動角度300度から360度間の検出アレイBの検出信号(B−2)と、回動角度−60度から0度までの検出アレイAの検出信号(A−1)とを、所定の比率で積算したものの和(重み付け加算したもの)に等しい。
【0221】
一方、曲線3101は、点3103(=Tr_A、回動角度60度)における検出アレイAの検出信号(A−1)に等しい。また、結合部分3100と点3103との間は、回動角度360度から420度間の検出アレイBの検出信号(B−2)と、回動角度0度から60度までの検出アレイAの検出信号(A−1)とを、所定の比率で積算したものの和(重み付け加算したもの)に等しい。
【0222】
上記補正比率を図示したものが、図31(D)である。図31(D)の区間Iは図31(C)の区間Iに対応する(検出アレイBの回動角度300度から360度までと検出アレイAの回動角度0度から60度までの区間であり、T/2に相当する時間を有する)。上記より、明らかなように、区間Iにおける補正比率は以下の要件を満足する。
(i)Tr_A(=60度)において、検出アレイAの検出信号(A−1)の補正比率は1.0、検出アレイBの検出信号(B−2)の補正比率は0.0である。
(ii)Tr_B(=300度)において、検出アレイBの検出信号(B−2)の補正比率は1.0、検出アレイAの検出信号(A−1)の補正比率は0.0である。
(iii)セクタ間の結合部分において、検出アレイAと検出アレイBの補正比率は、それぞれ0.5である。
【0223】
そして検出アレイBの回動角度300度から420度の間の検出信号(B−2)に、3104に示す補正比率を乗算し、検出アレイAの回動角度−60度から60度の間の検出信号(A−1)に、3105に示す補正比率を乗算し、両者を和算したものを、区間Iの検出信号3101とする。区間I以外の区間についても、同様の処理(重み付け加算処理)をする。
【0224】
以上の補正方法をまとめると、以下のようになる。
【0225】
つまり、セクタの中心回動角度(かかる位置をTrとする。本実施形態においては、検出アレイAのTrであるTr_Aは60度、検出アレイBのTrであるTr_Bは300度である)は、隣接するセクタとの結合部分から、最も離れた位置にあるため、隣接するセクタにおいて検出された検出信号の影響を最も小さくする。つまり、Tr_AまたはTr_Bにおける検出信号は、当該検出アレイの検出信号をそのまま使用する。
【0226】
一方、セクタ間の結合部分に近づくにつれ、相互の検出信号の差を吸収するために、隣接するセクタの影響を考慮に入れる必要があることから、隣接する検出アレイの検出信号の比率を徐々に高めていく。
【0227】
セクタ間の結合部分では、検出アレイAと検出アレイBの両方の検出信号を50%ずつ取り入れることで、セクタ間の結合部分における急峻な変化をなくす。
【0228】
さらに、隣接するセクタ内では、隣接する検出アレイにおいて検出した検出信号の比率を徐々に高めていき、隣接するセクタのTrにおいて、その比率を100%とする。
【0229】
以上のような全補正処理を行うことで、セクタ間の検出信号の急峻な変化をなくし、アーチファクトを低減することが可能となる。
【0230】
2)図24のマルチセクタリコンに対する補正その2
図24のマルチセクタリコンに対する補正として、全補正処理について上述したが、補正方法はこれに限らない。
【0231】
図32は、図24のマルチセクタリコンに対する他の補正方法について示したものである。図32(A)および(B)は、図31(A)および(B)と同じであるため、説明は省略する。また、図32(C)は、図32(B)に示す検出信号に対する補正後の信号を示したものである。つまり、検出アレイBと、検出アレイAとの間の結合部分3200における検出信号の急峻な変化を補正した結果、補正後の信号は、3201に示す曲線となる。
【0232】
曲線3201について説明する。曲線3201は、点3202(Tr_B、回動角度300度)近傍(3204に示す区間)では、検出アレイBの検出信号(B−2)に等しい。また、結合部分3200(回動角度360度、または回動角度0度)においては、回動角度360度における検出アレイBの検出信号(B−2)と、回動角度0度における検出アレイAの検出信号(A−1)との平均値に等しい。
【0233】
さらに点3202と結合部分3200との間は、回動角度300度から360度間の検出アレイBの検出信号(B−2)のうち、3204に示す区間を除いた検出信号と、回動角度−60度から0度までの検出アレイAの検出信号(A−1)のうち、3204に示す区間を除いた検出信号とを所定の比率で積算したものの和(重み付け加算したもの)に等しい。
【0234】
一方、点3203(=Tr_A、回動角度60度)近傍(3205に示す区間)では、検出アレイAの検出信号(A−1)に等しい。
【0235】
また、点3203と結合部分3200との間は、回動角度360度から420度までの検出アレイBの検出信号のうち、3205に示す区間を除いた検出信号とを所定の比率で積算したものの和(重み付け加算したもの)に等しい。
【0236】
上記補正比率を図示したものが、図32(D)である。図32(D)の区間Iは図32(C)の区間Iに対応する(検出アレイBの回動角度300度から360度までと検出アレイAの回動角度0度から60度までの区間であり、T/2に相当する時間を有する)。上記より明らかなように、区間Iにおける補正比率は以下の要件を満足する。
(i)Tr_A(=60度)近傍での検出アレイAの検出信号(A−1)の補正比率は1.0、検出アレイBの検出信号(B−2)の補正比率は0.0である。
(ii)Tr_B(=300度)近傍での検出アレイBの検出信号(B−2)の補正比率は1.0、検出アレイAの検出信号(A−1)の補正比率は0.0である。
(iii)セクタ間の結合部分において、検出アレイAと検出アレイBの補正比率は、それぞれ0.5である。
【0237】
そして検出アレイBの回動角度300度から420度の間の検出信号(B−2)に、3206に示す補正比率を乗算し、検出アレイAの回動角度−60度から60度の間の検出信号(A−1)に、3207に示す補正比率を乗算し、両者を和算したものを、区間Iの検出信号3201とする。区間I以外の区間についても、同様の処理(重み付け加算処理)をする。
【0238】
このような補正方法(部分補正処理)を用いることにより、Tr_A、Tr_B近傍における補正比率1.0の区間(3204、3205)が大きいほど、区間Iにおいて、検出信号に対して補正をする区間が短くなる。つまり、補正処理のための計算負荷が低減されこととなるが、一方で、セクタ間の結合部分における検出信号の変化が急峻となり、アーチファクトの低減が妨げられることとなる。
【0239】
一方、区間(3204、3205)が小さいほど、区間Iにおいて、検出信号に対して補正をする区間が長くなる。つまり、補正処理のための計算負荷は増加するが、一方でセクタ間の結合部分における検出信号の変化がなめらかになり、アーチファクトの低減効果が大きくなる。
【0240】
本実施形態にかかるX線CT装置では、区間(3204、3205)の大きさを自由に設定可能であり、最大にした場合には補正処理を行わないことと等価になる。
【0241】
つまり、上記全補正処理のように区間I全体について一律補正をするのではなく、再構成されたX線断層像のアーチファクトの発生状況をみながら、計算負荷の低減を図ることが可能となる。
【0242】
3)図26のマルチセクタリコンに対する補正その1
次に図26のマルチセクタリコンを行った場合の補正について図33を用いて説明する。すなわち、心臓の鼓動の1周期がT、セクタ数が2(=検出アレイの数)、ガントリの公転に要する時間Tsを3T/4の場合のマルチセクタリコンに対する全補正処理について述べる。補正方法は上述の1)と同様であるが、マルチセクタリコンが異なることで、区間Iの大きさ、Tr_A、Tr_B、および補正曲線が変わってくる。
【0243】
図33(A)は、横軸に時間およびガントリの回動角度、縦軸に心電図波形をとった場合の、X線検出器の検出タイミングを示している。
【0244】
また、図33(B)は、検出した透過X線量をX線断層像の再構成のために、配列したものである。なお、本実施形態では、説明を簡単にするために、心電図波形に比例した透過X線量が検出されたものとして図示している。また、複数の検出素子の検出信号のうち、所定の検出素子の検出信号についてのみ図示した。
【0245】
図33(C)は、図33(B)に示す検出信号に対する補正後の信号を示したものである。つまり、検出アレイAの信号(A−1)と、検出アレイBの信号(B−2)との間の結合部分3300における検出信号の急峻な変化を補間した結果、補正後の信号は、3301に示す曲線となる。
【0246】
曲線3301について説明する。曲線3301は、点3302(=Tr_A、回動角度60度)における検出アレイAの検出信号(A−1)に等しい。また、結合部分3300(回動角度120度、または回動角度480度)においては、回動角度120度における検出アレイAの検出信号(A−1)と、回動角度480度における検出アレイBの検出信号(B−2)との平均値に等しい。
【0247】
さらに、点3302と結合部分3300との間は、回動角度60度から120度間の検出アレイAの検出信号(A−1)と、回動角度420度から480度までの検出アレイBの検出信号(B−2)とを、所定の比率で積算したものの和(重み付け加算したもの)に等しい。
【0248】
一方、曲線3301は、点3303(Tr_B、回動角度540度)における検出アレイBの検出信号(B−2)に等しい。また、結合部分3300と点3303との間は、回動角度120度から180度間の検出アレイAの検出信号(A−1)と、回動角度480度から540度までの検出アレイBの検出信号(B−2)とを、所定の比率で積算したものの和(重み付け加算したもの)に等しい。
【0249】
上記補正比率を図示したものが、図33(D)である。図33(D)の区間Iは図33(C)の区間Iに対応する(検出アレイAの回動角度60度から120度までと検出アレイBの回動角度480度から540度までの区間であり、T/4に相当する時間を有する)。上記より明らかなように、区間Iにおける補正比率は以下の要件を満足する。
(i)Tr_A(=60度)において、検出アレイAの検出信号(A−1)の補正比率は1.0、検出アレイBの検出信号(B−2)の補正比率は0.0である。
(ii)Tr_B(=540度)において、検出アレイBの検出信号(B−2)の補正比率は1.0、検出アレイAの検出信号(A−1)の補正比率は0.0である。
(iii)セクタ間の結合部分において、検出アレイAと検出アレイBの補正比率は、それぞれ0.5である。
【0250】
そして、検出アレイAの回動角度60度から180度の間の検出信号(A−1)に、3304に示す補正比率を乗算し、検出アレイBの回転角度420度から540度の間の検出信号(B−2)に、3305に示す補正比率を乗算し、両者を和算したものを、区間Iの検出信号3301とする。区間I以外の区間についても、同様の処理をすることができる。
【0251】
このように、同じ全補正処理であっても、マルチセクタリコンのやり方によって、Tr_A、Tr_Bの示す回動角度がかわってくることとなり、本実施形態にかかるX線CT装置においては、それに対応した処理を行うことができる。
【0252】
4)図26のマルチセクタリコンに対する補正その2
図26のマルチセクタリコンに対する全補正処理について上述したが、部分補正処理についても同様に行うことができる。
【0253】
図34は、図26のマルチセクタリコンに対する部分補正処理について示したものである。図34(A)および(B)は、図33(A)および(B)と同じであるため、説明は省略する。また、図34(C)は、図34(B)に示す検出信号に対する補正後の信号を示したものである。つまり、検出アレイBと、検出アレイAとの間の結合部分3400における検出信号の急峻な変化を補正した結果、補正後の信号は、3401に示す曲線となる。
【0254】
曲線3401について説明する。曲線3401は、点3402(=Tr_A、回動角度60度)近傍(3404に示す区間)では、検出アレイAの検出信号(A−1)に等しい。また、結合部分3400(回動角度120度、または回動角度480度)においては、回動角度120度における検出アレイAの検出信号(A−1)と、回動角度480度における検出アレイBの検出信号(B−2)との平均値に等しい。
【0255】
さらに、点3403(=Tr_B、回動角度540度)近傍(3405に示す区間)では、検出アレイBの検出信号(B−2)に等しい。
【0256】
さらに点3402と結合部分3400との間は、回動角度60度から120度間の検出アレイAの検出信号(A−1)のうち3404に示す区間を除いた検出信号と、回動角度420度から480度までの検出アレイBの検出信号(B−2)のうち3404に示す区間を除いた検出信号とを所定の比率で積算したものの和(重み付け加算したもの)に等しい。
【0257】
一方、結合部分3400と点3403との間では、回動角度480度から540度間の検出アレイBの検出信号(B−2)のうち3405に示す区間を除いた検出信号と、回動角度120度から180度までの検出アレイAの検出信号(A−1)のうち3405に示す区間を除いた検出信号とを所定の比率で積算したものの和(重み付け加算したもの)に等しい。
【0258】
上記補正比率を図示したものが、図34(D)である。図34(D)の区間Iは図34(C)の区間Iに対応する(検出アレイAの回動角度60度から120度までと検出アレイBの回動角度480度から540度までの区間であり、T/4に相当する時間を有する)。上記より明らかなように、区間Iにおける補正比率は以下の要件を満足する。
(i)Tr_A(=60度)近傍での検出アレイAの検出信号(A−1)の補正比率は1.0、検出アレイAの検出信号(A−1)の補正比率は0.0である。
(ii)Tr_B(=540度)近傍での検出アレイBの検出信号(B−2)の補正比率は1.0、検出アレイAの検出信号(A−1)の補正比率は0.0である。
(iii)セクタ間の結合部分において、検出アレイAと検出アレイBの補正比率は、それぞれ0.5である。
【0259】
そして検出アレイAの回動角度60度から180度の間の検出信号(A−1)に、3406に示す補正比率を乗算し、検出アレイBの回動角度420度から540度の間の検出信号(B−2)に、3407に示す補正比率を乗算し、両者を和算したものを、区間Iの検出信号3401とする。区間I以外の区間についても、同様の処理(重み付け加算処理)をする。
【0260】
このような補正方法を用いることにより、Tr_A、Tr_B近傍における補正比率1.0の区間(3404、3405)が大きいほど、区間Iにおいて、検出信号に対して補正をする区間が短くなる。つまり、補正処理のための計算負荷が低減されこととなるが、一方で、セクタ間の結合部分における検出信号の変化が急峻となり、アーチファクトの低減が妨げられることとなる。
【0261】
一方、区間(3404、3405)が小さいほど、区間Iにおいて、検出信号に対して補正をする区間が長くなる。つまり、補正処理のための計算負荷は増加するが、一方でセクタ間の結合部分における検出信号の変化がなめらかになり、アーチファクトの低減効果が大きくなる。
【0262】
本実施形態にかかるX線CT装置では、区間(3404、3405)の大きさを自由に設定可能であり、最大にした場合には補正処理を行わないことと等価になる。
【0263】
つまり、上記全補正処理のように区間I全体について、一律補正をするのではなく、再構成されたX線断層像のアーチファクトの発生状況を見ながら計算負荷を軽減することができる。
【0264】
5)図28、図30のマルチセクタリコンに対する補正その1、その2
上記1)乃至4)では、セクタ数(検出アレイの列数)が2の場合の全補正および部分補正処理について説明したが、セクタ数が3以上の場合であっても、同様の補正方法が適用可能であることはいうまでもない。一例としてセクタ数が4の場合(図28、図30において示したマルチセクタリコンの場合)の補正について説明する。
【0265】
図35は、図28のマルチセクタリコンに対する全補正処理について示した図である。図35(A)乃至(C)は、すでに説明済み、または説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0266】
図35(D)の区間Iは、検出アレイBの回動角度330度から360度までと検出アレイAの回動角度0度から30度までの区間であり、T/5に相当する時間を有する。
【0267】
そして、検出アレイBの回動角度330度から390度の間の検出信号に、1601に示す補正比率を乗算し、検出アレイAの回動角度−30度から30度の間の検出信号に、3501に示す補正比率を乗算し、両者を和算したものを、区間Iの検出信号3500とする。区間I以外の区間についても、同様の処理をする。
【0268】
図36は、図28のマルチセクタリコンに対する部分補正処理について示した図である。図36(A)乃至(C)は、すでに説明済み、または説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0269】
図36(D)の区間Iは、検出アレイBの回動角度330度から360度までと検出アレイAの回動角度0度から30度までの区間であり、T/5に相当する時間を有する。
【0270】
そして、検出アレイBの回動角度330度から390度の区間の検出信号に、330度近傍における補正比率が1.0である補正曲線3601を乗算し、検出アレイAの回動角度−30度から30度の間の検出信号に、30度近傍における補正比率が1.0である補正曲線3602を乗算し、両者を和算したものを区間Iの検出信号3600とする。区間I以外の区間についても、同様の処理をする。
【0271】
図37は、図30のマルチセクタリコンに対する全補正処理について示した図である。図37(A)乃至(C)は、すでに説明済み、または説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0272】
図37(D)の区間Iは、検出アレイAの回動角度30度から60度までと検出アレイBの回動角度420度から450度までの区間であり、T/7に相当する時間を有する。
【0273】
そして、検出アレイAの回動角度30度から90度の間の検出信号に、3701に示す補正比率を乗算し、検出アレイBの回動角度390度から450度の間の検出信号に、3702に示す補正比率を乗算し、両者を和算したものを、区間Iの検出信号3700とする。区間I以外の区間についても、同様の処理をする。
【0274】
図38は、図30のマルチセクタリコンに対する部分補正処理について示した図である。図38(A)乃至(C)は、すでに説明済み、または説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0275】
図38(D)の区間Iは、検出アレイAの回動角度30度から60度までと検出アレイBの回動角度420度から450度までの区間であり、T/7に相当する時間を有する。
【0276】
そして、検出アレイAの回動角度30度から90度の区間の検出信号に、30度近傍における補正比率が1.0である補正曲線3801を乗算し、検出アレイBの回動角度390度から450度の間の検出信号に、450度近傍における補正比率が1.0である補正曲線3802を乗算し、両者を和算したものを区間Iの検出信号3800とする。区間I以外の区間についても、同様の処理をする。
【0277】
以上、1)乃至5)において述べた各マルチセクタリコンに対する各補正方法より、以下のことが導き出せる。つまり、心臓の鼓動の周期がT、セクタ数がn(=検出アレイの列数)のとき、ガントリの公転に要する時間TsがTs=3nT/(3n−2)となるように設定し、時間0、回動角度0度を検査開始点とした検査を開始した場合、全補正は、
(i)補正区間の範囲(角度):240/n
(ii)補正区間の範囲(時間):2T/(3n−2)
(iii)検出アレイAに対する補正における補正曲線の座標:
(回動角度、補正比率)=(−120/n、0)
(回動角度、補正比率)=(120/n、1.0) ;Tr_A
(iv)検出アレイBに対する補正における補正曲線の座標:
(回動角度、補正比率)=(−120/n+360、1.0) ;Tr_B
(回動角度、補正比率)=(120/n+360、0)
となる。
【0278】
また、TsがTs=3nT/(3n+2)となるように設定した場合には、
(i)補正区間の範囲(角度):240/n
(ii)補正区間の範囲(時間):2T(3n+2)
(iii)検出アレイAに対する補正における補正曲線の座標:
(回動角度、補正比率)=(120/n、1.0) ;Tr_A
(回動角度、補正比率)=(360/n、0)
(iv)検出アレイBに対する補正における補正曲線の座標:
(回動角度、補正比率)=(120/n+360、0)
(回動角度、補正比率)=(360/n+360、1.0) ;Tr_B
となる。
【0279】
また、同様に、ガントリの公転に要する時間TsがTs=3nT/(3n−2)となるように設定した場合の部分補正は、補正比率1.0の区間をσ(角度)とすると、
(i)補正区間の範囲(角度):240/n−2σ
(ii)補正区間の範囲(時間):2T/(3n−2)×(1−σ・n/120)
(iii)検出アレイAに対する補正における補正曲線の座標:
(回動角度、補正比率)=(−120/n、0)
(回動角度、補正比率)=(−120/n+σ、0)
(回動角度、補正比率)=(120/n−σ、1.0)
(回動角度、補正比率)=(120/n、1.0) ;Tr_A
(iv)検出アレイBに対する補正における補正曲線の座標:
(回動角度、補正比率)=(−120/n+360、1.0) ;Tr_B
(回動角度、補正比率)=(−120/n+360+σ、1.0)
(回動角度、補正比率)=(120/n+360−σ、0.0)
(回動角度、補正比率)=(120/n+360、0)
となる。
【0280】
また、TsがTs=3nT/(3n+2)となるように設定した場合には、
(i)補正区間の範囲(角度):240/n−2σ
(ii)補正区間の範囲(時間):2T/(3n+2)
(iii)検出アレイAに対する補正における補正曲線の座標:
(回動角度、補正比率)=(120/n、1.0) ;Tr_A
(回動角度、補正比率)=(120/n+σ、1.0)
(回動角度、補正比率)=(360/n−σ、0)
(回動角度、補正比率)=(360/n、0)
(iv)検出アレイBに対する補正における補正曲線の座標:
(回動角度、補正比率)=(120/n+360、0)
(回動角度、補正比率)=(120/n+360+σ、0)
(回動角度、補正比率)=(360/n+360−σ、1.0)
(回動角度、補正比率)=(360/n+360、1.0) ;Tr_B
となる。
【0281】
このようにセクタリコンの種類ならびに検出アレイの列数に応じてTr_A、Tr_Bを変更し、補正曲線を生成することで、様々なセクタリコンにおけるセクタ間の急峻な変化をなくし、アーチファクトを低減することが可能となる。
【0282】
<<セクタ間補正の処理フロー>>
次に本発明の第3の実施形態にかかるX線CT装置のセクタ間補正の処理フローについて説明する。
【0283】
全体処理フローは、第1の実施形態における図39と同様であるため、説明は省略し、ここでは同図の各種情報設定処理(ステップS3901)について図41を用いて説明する。
【0284】
ステップS4101のおいて、予め測定された被検体の心電図波形信号を検出した後、ステップS4102では1鼓動の周期Tを算出する。
【0285】
ステップS4103では検出アレイ列数を読み込み、当該列数に基づいてセクタ数が設定される(ステップS4104)。ステップS4105では、高/低時間分解能のいずれが選択されたかを読み込む。高/低時間分解能とは、上述のTsが3nT/(3n−2)であるか、3nT/(3n+2)であるかをいい、3nT/(3n−2)を低時間分解能、3nT/(3n+2)を高時間分解能と称する。
【0286】
ステップS4103およびS4104で読み込まれた設定に基づいて、ガントリ回転速度および天板搬送速度を算出し、算出した情報を他の制御情報とともにガントリに送信する(ステップS4105、S4106)。
【0287】
さらにステップS4107乃至S4109では、ステップS4103およびS4104で読み込まれた設定に基づいて、補正処理を行うための補正曲線を生成する。
【0288】
自動設定が選択されていた場合には、補正情報自動設定処理を行い、自動設定が選択されていない場合には、補正情報手動設定処理を行う(ステップS4108、S4109)。なお、補正情報自動設定処理とは、上述の全補正処理を行うための補正曲線を算出する処理をいい、補正情報手動設定処理とは、上述の部分補正処理を行うための補正曲線を算出する処理をいう。
【0289】
なお、補正情報手動設定処理においては、Tr近傍の補正比率1.0の区間を手動で設定入力する。
【0290】
【他の実施形態】
なお、本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。
【0291】
この場合、記憶媒体から読出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0292】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピ(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。
【0293】
また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0294】
さらに、記憶媒体から読出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0295】
【発明の効果】
周期運動する被検体の部位に対して、同位相でのX線断層像を再構成するにあたり、画像ノイズを低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態にかかるX線CT装置のシステム構成図である。
【図2】実施形態にかかるX線管のX線照射角と動作を説明するための図である。
【図3】本発明の第1の実施形態にかかるX線CT装置におけるX線検出器の検出アレイを示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態にかかるX線CT装置において、セクタ数が2の場合の検出分担範囲を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態にかかるX線CT装置におけるX線検出器の検出タイミングを示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態にかかるX線CT装置において、セクタ数が2の場合の検出分担範囲を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施形態にかかるX線CT装置におけるX線検出器の検出タイミングを示す図である。
【図8】本発明の第1の実施形態にかかるX線CT装置において、セクタ数が4の場合の検出分担範囲を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施形態にかかるX線CT装置におけるX線検出器の検出タイミングを示す図である。
【図10】本発明の第1の実施形態にかかるX線CT装置において、セクタ数が4の場合の検出分担範囲を示す図である。
【図11】本発明の第1の実施形態にかかるX線CT装置におけるX線検出器の検出タイミングを示す図である。
【図12】本発明の第1の実施形態にかかるX線CT装置における補正方法であって、図5のセクタリコンを行った場合の補正について端的に示した図である。
【図13】本発明の第1の実施形態にかかるX線CT装置における補正方法であって、図5のセクタリコンに対する他の補正方法について端的に示した図である。
【図14】本発明の第1の実施形態にかかるX線CT装置における補正方法であって、図7のセクタリコンを行った場合の補正について端的に示した図である。
【図15】本発明の第1の実施形態にかかるX線CT装置における補正方法であって、図7のセクタリコンに対する他の補正方法について端的に示した図である。
【図16】本発明の第1の実施形態にかかるX線CT装置における補正方法であって、図9のセクタリコンを行った場合の補正について端的に示した図である。
【図17】本発明の第1の実施形態にかかるX線CT装置における補正方法であって、図9のセクタリコンに対する他の補正方法について端的に示した図である。
【図18】本発明の第1の実施形態にかかるX線CT装置における補正方法であって、図11のセクタリコンを行った場合の補正について端的に示した図である。
【図19】本発明の第1の実施形態にかかるX線CT装置における補正方法であって、図11のセクタリコンに対する他の補正方法について端的に示した図である。
【図20】本発明の第1の実施形態にかかるX線CT装置により再構成されたX線断層像を示す図である。
【図21】本発明の第1の実施形態にかかるX線CT装置により再構成されたX線断層像を示す図である。
【図22】本発明の第3の実施形態にかかるX線CT装置におけるX線検出器の検出アレイを示す図である。
【図23】本発明の第3の実施形態にかかるX線CT装置において、セクタ数が2の場合の検出分担範囲を示す図である。
【図24】本発明の第3の実施形態にかかるX線CT装置におけるX線検出器の検出タイミングを示す図である。
【図25】本発明の第3の実施形態にかかるX線CT装置において、セクタ数が2の場合の検出分担範囲を示す図である。
【図26】本発明の第3の実施形態にかかるX線CT装置におけるX線検出器の検出タイミングを示す図である。
【図27】本発明の第3の実施形態にかかるX線CT装置において、セクタ数が4の場合の検出分担範囲を示す図である。
【図28】本発明の第3の実施形態にかかるX線CT装置におけるX線検出器の検出タイミングを示す図である。
【図29】本発明の第3の実施形態にかかるX線CT装置において、セクタ数が4の場合の検出分担範囲を示す図である。
【図30】本発明の第3の実施形態にかかるX線CT装置におけるX線検出器の検出タイミングを示す図である。
【図31】本発明の第3の実施形態にかかるX線CT装置における補正方法であって、図24のマルチセクタリコンを行った場合の補正について端的に示した図である。
【図32】本発明の第3の実施形態にかかるX線CT装置における補正方法であって、図24のマルチセクタリコンに対する他の補正方法について端的に示した図である。
【図33】本発明の第3の実施形態にかかるX線CT装置における補正方法であって、図26のマルチセクタリコンを行った場合の補正について端的に示した図である。
【図34】本発明の第3の実施形態にかかるX線CT装置における補正方法であって、図26のマルチセクタリコンに対する他の補正方法について端的に示した図である。
【図35】本発明の第3の実施形態にかかるX線CT装置における補正方法であって、図28のマルチセクタリコンを行った場合の補正について端的に示した図である。
【図36】本発明の第3の実施形態にかかるX線CT装置における補正方法であって、図28のマルチセクタリコンに対する他の補正方法について端的に示した図である。
【図37】本発明の第3の実施形態にかかるX線CT装置における補正方法であって、図30のマルチセクタリコンを行った場合の補正について端的に示した図である。
【図38】本発明の第3の実施形態にかかるX線CT装置における補正方法であって、図30のマルチセクタリコンに対する他の補正方法について端的に示した図である。
【図39】本発明の第1の実施形態にかかるX線CT装置における処理の流れを示す図である。
【図40】本発明の第1の実施形態にかかるX線CT装置における処理の流れを示す図である。
【図41】本発明の第3の実施形態にかかるX線CT装置における処理の流れを示す図である。
Claims (48)
- 互いに対向する位置に設けられたX線管とX線検出アレイを備えるX線検出器とを回動させ、前記X線管と前記X線検出器の間に位置する、被検体の周期的運動する部位のX線断層像を再構成するX線CT装置であって、
前記X線管およびX線検出器の回動によるX線断層像を再構成するのに必要な信号を得るための回動角範囲において、前記部位の運動の周期Tの時間差で等分割して得られた各部分回動角範囲の信号を入力する入力手段と、
前記各部分回動角範囲のうち、隣接する部分回動角範囲近傍の信号により部分回動角範囲の信号を相互に重み付け加算して補正する補正手段と、
前記補正手段により補正された前記各部分回動角範囲の信号を、組み合わせて前記回動角範囲の信号を生成し、X線断層像を再構成する再構成手段と
を備えることを特徴とするX線CT装置。 - 前記X線管およびX線検出器は、前記被検体に対して同一平面上を回動し、前記各部分回動角範囲の信号は、同一の前記X線検出アレイより前記周期Tの時間差で入力されることを特徴とする請求項1に記載のX線CT装置。
- 前記X線管およびX線検出器が回動する平面に略垂直な方向に前記被検体を所定のピッチで搬送する搬送手段を更に有し、前記X線検出器は、複数列のX線検出アレイで構成される場合において、
前記各部分回動角範囲の信号は、該各列のX線検出アレイよりそれぞれ入力されることを特徴とする請求項1に記載のX線CT装置。 - 前記回動角範囲において等分割された前記部分回動角範囲の数がn個であった場合、前記X線管およびX線検出器の1回転あたりの回動周期は、3nT/(3n−2)であることを特徴とする請求項2に記載のX線CT装置。
- 互いに隣接する第1の部分回動角範囲と第2の部分回動角範囲について補正する場合において、前記補正手段は、該第1の部分回動角範囲のうち、該第2の部分回動角範囲との境界部分に近い方の半分の範囲と、該第2の部分回動角範囲のうち、該第1の部分回動角範囲との境界部分に近い方の半分の範囲とからなる区間の信号に対して、補正をする全補正手段を更に備えることを特徴とする請求項4に記載のX線CT装置。
- 前記回動角範囲は、ファン角θ+πの角度範囲を有し、前記区間は、(θ+π)/nの角度範囲を有することを特徴とする請求項5に記載のX線CT装置。
- 前記第1の部分回動角範囲が回動角度0から回動角度4π/3/nの範囲であり、かつ前記第2の部分回動角範囲が回動角度2π(1−2/3/n)から回動角度2πの範囲であった場合において、
前記全補正手段は、前記第1の部分回動角範囲近傍における信号のうち、回動角度−2π/3/nから回動角度0の角度範囲での信号を用いて前記第2の部分回動角範囲の信号に対して重み付け加算し、
前記第2の部分回動角範囲近傍における信号のうち、回動角度2πから回動角度2π(1+1/3/n)の角度範囲での信号を用いて前記第1の部分回動角範囲の信号に対して重み付け加算することを特徴とする請求項6に記載のX線CT装置。 - 前記全補正手段は、前記第1の部分回動角範囲と前記第2の部分回動角範囲との結合部分において、前記補正比率が0.5であることを特徴とする請求項7に記載のX線CT装置。
- 互いに隣接する第1の部分回動角範囲と第2の部分回動角範囲について補正する場合、前記補正手段は、該第1の部分回動角範囲のうち、該部分回動角範囲の中心位置を示す中心回動角度の近傍と、該第2の部分回動角範囲のうち、該部分回動角範囲の中心位置回動角度の近傍とを除く所定の区間の信号に対してのみ、補正をする部分補正手段を更に備えることを特徴とする請求項4または5に記載のX線CT装置。
- 前記回動角範囲は、ファン角θ+πの角度範囲を有し、前記所定区間は、予め設定可能であることを特徴とする請求項9に記載のX線CT装置。
- 前記第1の部分回動角範囲の中心回動角度は、2π/3/nであり、前記第2の部分回動角範囲の中心回動角度は、2π・(1−1/3/n)であることを特徴とする請求項10に記載のX線CT装置。
- 前記部分補正手段は、前記第1の部分回動角範囲と前記第2の部分回動角範囲との結合部分において、前記補正比率が0.5であることを特徴とする請求項11に記載のX線CT装置。
- X線断層像の再構成にあたり、前記全補正手段または前記部分補正手段のいずれを使用するかを選択可能であることを特徴とする請求項9に記載のX線CT装置。
- 前記回動角範囲において等分割された前記部分回動角範囲の数がn個であった場合、前記X線管およびX線検出器の1回転あたりの回動周期は、3nT/(3n+2)であることを特徴とする請求項2に記載のX線CT装置。
- 互いに隣接する第1の部分回動角範囲と第2の部分回動角範囲について補正する場合において、前記補正手段は、該第1の部分回動角範囲のうち、該第2の部分回動角範囲との結合部分に近い方の半分の範囲と、該第2の部分回動角範囲のうち、該第1の部分回動角範囲との結合部分に近い方の半分の範囲とからなる区間の信号に対して、補正をする全補正手段を更に備えることを特徴とする請求項14に記載のX線CT装置。
- 前記回動角範囲は、ファン角θ+πの角度範囲を有し、前記区間は、(θ+π)/nの角度範囲を有することを特徴とする請求項15に記載のX線CT装置。
- 前記第1の部分回動角範囲が回動角度0から回動角度4π/3/nの範囲であり、かつ前記第2の部分回動角範囲が回動角度2π(1+2/3/n)から回動角度2π(1+4/3/n)の範囲であった場合において、
前記全補正手段は、前記第1の部分回動角範囲近傍における信号のうち、回動角度4π/3/nから回動角度2π/nの角度範囲での信号を用いて前記第2の部分回動角範囲の信号に対して重み付け加算し、
前記第2の部分回動角範囲近傍における信号のうち、回動角度2π(1+1/3/n)から回動角度2π(1+2/3/n)の角度範囲での信号を用いて前記第1の部分回動角範囲の信号に対して重み付け加算することを特徴とする請求項16に記載のX線CT装置。 - 前記全補正手段は、前記第1の部分回動角範囲と前記第2の部分回動角範囲との結合部分において、前記補正比率が0.5であることを特徴とする請求項17に記載のX線CT装置。
- 互いに隣接する第1の部分回動角範囲と第2の部分回動角範囲について補正する場合、前記補正手段は、該第1の部分回動角範囲のうち、該部分回動角範囲の中心位置を示す中心回動角度の近傍と、該第2の部分回動角範囲のうち、該部分回動角範囲の中心位置回動角度の近傍とを除く所定の区間の信号に対してのみ、補正をする部分補正手段を更に備えることを特徴とする請求項14または15に記載のX線CT装置。
- 前記回動角範囲は、ファン角θ+πの角度範囲を有し、前記所定区間は、予め設定可能であることを特徴とする請求項19に記載のX線CT装置。
- 前記第1の部分回動角範囲の中心回動角度は、2π/3/nであり、前記第2の部分回動角範囲の中心回動角度は、2π・(1+1/n)であることを特徴とする請求項20に記載のX線CT装置。
- 前記部分補正手段は、前記第1の部分回動角範囲と前記第2の部分回動角範囲との結合部分において、前記補正比率が0.5であることを特徴とする請求項21に記載のX線CT装置。
- X線断層像の再構成にあたり、前記全補正手段または前記部分補正手段のいずれを使用するかを選択可能であることを特徴とする請求項19に記載のX線CT装置。
- 前記回動角範囲において等分割された前記部分回動角範囲の数がn個であった場合、前記X線管およびX線検出器の1回転あたりの回動周期は、3nT/(3n−2)であることを特徴とする請求項3に記載のX線CT装置。
- 互いに隣接する第1のX線検出アレイより入力された第1の部分回動角範囲と第2のX線検出アレイより入力された第2の部分回動角範囲について補正する場合において、前記補正手段は、該第1の部分回動角範囲のうち、該第2の部分回動角範囲との結合部分に近い方の半分の範囲と、該第2の部分回動角範囲のうち、該第1の部分回動角範囲との結合部分に近い方の半分の範囲とからなる区間の信号に対して、補正をする全補正手段を更に備えることを特徴とする請求項24に記載のX線CT装置。
- 前記回動角範囲は、ファン角θ+πの角度範囲を有し、前記区間は、(θ+π)/nの角度範囲を有することを特徴とする請求項25に記載のX線CT装置。
- 前記第1の部分回動角範囲が回動角度0から回動角度4π/3/nの範囲であり、かつ前記第2の部分回動角範囲が回動角度2π(1−2/3/n)から回動角度2πの範囲であった場合において、
前記全補正手段は、前記第1の部分回動角範囲近傍における信号のうち、回動角度−2π/3/nから回動角度0の角度範囲での信号を用いて前記第2の部分回動角範囲の信号に対して重み付け加算し、
前記第2の部分回動角範囲近傍における信号のうち、回動角度2πから回動角度2π(1+1/3/n)の角度範囲での信号を用いて前記第1の部分回動角範囲の信号に対して重み付け加算することを特徴とする請求項26に記載のX線CT装置。 - 前記全補正手段は、前記第1の部分回動角範囲と前記第2の部分回動角範囲との結合部分において、前記補正比率が0.5であることを特徴とする請求項27に記載のX線CT装置。
- 互いに隣接する第1の部分回動角範囲と第2の部分回動角範囲について補正する場合、前記補正手段は、該第1の部分回動角範囲のうち、該部分回動角範囲の中心位置を示す中心回動角度の近傍と、該第2の部分回動角範囲のうち、該部分回動角範囲の中心位置回動角度の近傍とを除く所定の区間の信号に対してのみ、補正をする部分補正手段を更に備えることを特徴とする請求項24または25に記載のX線CT装置。
- 前記回動角範囲は、ファン角θ+πの角度範囲を有し、前記所定区間は、予め設定可能であることを特徴とする請求項29に記載のX線CT装置。
- 前記第1の部分回動角範囲の中心回動角度は、2π/3/nであり、前記第2の部分回動角範囲の中心回動角度は、2π・(1−1/3/n)であることを特徴とする請求項30に記載のX線CT装置。
- 前記部分補正手段は、前記第1の部分回動角範囲と前記第2の部分回動角範囲との結合部分において、前記補正比率が0.5であることを特徴とする請求項31に記載のX線CT装置。
- X線断層像の再構成にあたり、前記全補正手段または前記部分補正手段のいずれを使用するかを選択可能であることを特徴とする請求項29に記載のX線CT装置。
- 前記回動角範囲において等分割された前記部分回動角範囲の数がn個であった場合、前記X線管およびX線検出器の1回転あたりの回動周期は、3nT/(3n+2)であることを特徴とする請求項3に記載のX線CT装置。
- 互いに隣接する第1のX線検出アレイから入力される第1の部分回動角範囲と第2のX線検出アレイから入力される第2の部分回動角範囲について補正する場合において、前記補正手段は、該第1の部分回動角範囲のうち、該第2の部分回動角範囲との結合部分に近い方の半分の範囲と、該第2の部分回動角範囲のうち、該第1の部分回動角範囲との結合部分に近い方の半分の範囲とからなる区間の信号に対して、補正をする全補正手段を更に備えることを特徴とする請求項34に記載のX線CT装置。
- 前記回動角範囲は、ファン角θ+πの角度範囲を有し、前記区間は、(θ+π)/nの角度範囲を有することを特徴とする請求項35に記載のX線CT装置。
- 前記第1の部分回動角範囲が回動角度0から回動角度4π/3/nの範囲であり、かつ前記第2の部分回動角範囲が回動角度2π(1+2/3/n)から回動角度2π(1+4/3/n)の範囲であった場合において、前記全補正手段は、前記第1の部分回動角範囲近傍における信号のうち、回動角度4π/3/nから回動角度2π/nの角度範囲での信号を用いて前記第2の部分回動角範囲の信号に対して重み付け加算し、
前記第2の部分回動角範囲近傍における信号のうち、回動角度2π(1+1/3/n)から回動角度2π(1+2/3/n)の角度範囲での信号を用いて前記第1の部分回動角範囲の信号に対して重み付け加算することを特徴とする請求項36に記載のX線CT装置。 - 前記全補正手段は、前記第1の部分回動角範囲と前記第2の部分回動角範囲との結合部分において、前記補正比率が0.5であることを特徴とする請求項37に記載のX線CT装置。
- 互いに隣接する第1の部分回動角範囲と第2の部分回動角範囲について補正する場合、前記補正手段は、該第1の部分回動角範囲のうち、該部分回動角範囲の中心位置を示す中心回動角度の近傍と、該第2の部分回動角範囲のうち、該部分回動角範囲の中心位置回動角度の近傍とを除く所定の区間の信号に対してのみ、補正をする部分補正手段を更に備えることを特徴とする請求項34または35に記載のX線CT装置。
- 前記回動角範囲は、ファン角θ+πの角度範囲を有し、前記所定区間は、予め設定可能であることを特徴とする請求項39に記載のX線CT装置。
- 前記第1の部分回動角範囲の中心回動角度は、2π/3/nであり、前記第2の部分回動角範囲の中心回動角度は、2π・(1+1/3/n)であることを特徴とする請求項40に記載のX線CT装置。
- 前記部分補正手段は、前記第1の部分回動角範囲と前記第2の部分回動角範囲との結合部分において、前記補正比率が0.5であることを特徴とする請求項41に記載のX線CT装置。
- X線断層像の再構成にあたり、前記全補正手段または前記部分補正手段のいずれを使用するかを選択可能であることを特徴とする請求項39に記載のX線CT装置。
- 互いに対向する位置に設けられたX線管とX線検出アレイを備えるX線検出器とを回動させ、前記X線管と前記X線検出器の間に位置する、被検体の周期的運動する部位のX線断層像を生成するX線CT装置における処理方法であって、
前記X線管およびX線検出器の回動によるX線断層像を再構成するのに必要な信号を得るための回動角範囲において、前記部位の運動の周期Tの時間差で等分割して得られた各部分回動角範囲の信号を入力する入力工程と、
前記各部分回動角範囲のうち、隣接する部分回動角範囲近傍の信号により部分回動角範囲の信号を相互に重み付け加算して補正する補正工程と、
前記補正工程により補正された前記各部分回動角範囲の信号を、組み合わせて前記回動角範囲の信号を生成し、X線断層像を再構成する再構成工程と
を備えることを特徴とするX線CT装置における処理方法。 - 前記X線管およびX線検出器は、前記被検体に対して同一平面上を回動し、前記各部分回動角範囲の信号は、同一の前記X線検出アレイより入力されることを特徴とする請求項44に記載のX線CT装置における処理方法。
- 前記X線管およびX線検出器が回動する平面に略垂直な方向に前記被検体を所定のピッチで搬送する搬送工程を更に有し、前記X線検出器は、複数列のX線検出アレイで構成される場合において、
前記各部分回動角範囲の信号は、該各列のX線検出アレイよりそれぞれ入力されることを特徴とする請求項44に記載のX線CT装置における処理方法。 - 請求項44乃至請求項46のいずれかに記載の処理方法をコンピュータによって実現させるための制御プログラムを格納した記憶媒体。
- 請求項44乃至請求項46のいずれかに記載の処理方法をコンピュータによって実現させるための制御プログラム。
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