JP2004253543A - 半導体光増幅器 - Google Patents
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Abstract
【課題】利得を一定値にクランプする目的で生成された一定波長λ0で発振する光34が出射端面から出射することを防止する。
【解決手段】半導体基板21と、この半導体基板の上方に形成された活性層22と、半導体基板の上方でかつ活性層の側方に形成された埋込層23、24と、活性層の上方に形成されたクラッド層25bとを備え、両端面30a、30bに無反射コート39a、39bが施され、一方の端面30aから入射した光32が、光の伝搬方向に沿って形成された活性層を含む光導波路を伝搬する過程で増幅されて、他方の端面30bから出射する半導体光増幅器において、活性層22の側方位置でかつ光の伝搬方向に直交する方向に、一定波長λ0で光34を発振させるための回折格子29を形成する。
【選択図】 図3
【解決手段】半導体基板21と、この半導体基板の上方に形成された活性層22と、半導体基板の上方でかつ活性層の側方に形成された埋込層23、24と、活性層の上方に形成されたクラッド層25bとを備え、両端面30a、30bに無反射コート39a、39bが施され、一方の端面30aから入射した光32が、光の伝搬方向に沿って形成された活性層を含む光導波路を伝搬する過程で増幅されて、他方の端面30bから出射する半導体光増幅器において、活性層22の側方位置でかつ光の伝搬方向に直交する方向に、一定波長λ0で光34を発振させるための回折格子29を形成する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一方の端面から入射した光を増幅して他方の端面から出射する半導体光増幅器に係わり、特に、増幅の利得を一定に制御した半導体光増幅器に関する。
【0002】
【従来の技術】
光通信システムにおいて、光信号を光ファイバを介して遠方に伝送する場合に光信号の減衰が生じるので、中継器を設けてこの中継器で光信号を増幅する必要がある。光信号を電気信号に変換せずに直接増幅する光増幅器の一つとして半導体光増幅器が検討されている。
【0003】
半樽体光増幅器は半導体レーザの両端面に無反射コートを施し、ファブリペロー共振を抑圧することで進行波型の光増幅器として利用できる。活性層中の誘導放出現象を利用するために一方の端面から入射した光信号を光のまま直接増幅して他方の端面から出力することができる。このため集積可能な小型光増幅器として期待されている。
【0004】
利得Gは、入射光強度PIと出射光強度POとの比で示され、半導体光増幅器への注入電流Iや出射光強度POなどの要因で変化する。利得Gは出射光強度POが十分小さい時には、その出射光強度POによらず一定の利得Gを示すが、出射光強度POが上昇してくると誘導放出のためのキャリアが減少するため利得Gが低下する。実際に光通信で用いられる時にも光信号強度に応じて、利得Gが変化することで信号に歪が生じ、信号品質が劣化するという問題が生じている。
【0005】
このような問題を解消するために、利得を一定レベル以下の一定値に固定する利得クランプ型の半導体光増幅器が特許文献1に提唱されている。
【0006】
この利得クランプ型の半導体光増幅器においては、図11(a)の縦断面図及び図11(b)の横断面図に示すように、n型InPからなる基板1の上方にInGaAsPからなる導波路2が形成されている。導波路2と各端面3a、3bとの間に窓部4a、4bが形成されている。導波路2の上面にp型の閉じ込め層5が形成されている。導波路2の下方位置に、この導波路2と平行する格子6が形成されている。閉じ込め層5の上面にp電極7が取付けられ、基板1の下面にn電極8が取付けられている。
【0007】
そして、p電極7とn電極8とを介して直流の電流Iが供給される。一方の端面3aに入射光強度PIを有する光9が入射され、他方の端面3bから出射光強度POを有する光10が出射される。また、格子6の格子間隔(ピッチ)は、導波路2で増幅(発振)される光の波長λの波長スペクトラム範囲内に存在する一つの波長λ0に対応する長さに設定されている。
【0008】
このような半導体光増幅器においては、供給する電流Iを増加していくと、一定のしきい値を超えると発光するが、波長λ0で共振して発振状態となる。このように発振状態になると、導波路2内におけるキャリア濃度は、この発振を維持させるに必要な最小利得に対応する平衡値に保たれる。これは、一定のしきい値を超えている限り、供給される電流Iが増減しても変化しない。また、入射光強度PIが波長λ0で発振状態の光の光レベル(発振光強度)以下であれば、たとえ入射光強度PIが変化したとしても、導波路2内におけるキャリア濃度は変化しない。
【0009】
その結果、図12(b)の特性Cに示すように、利得Gは広い出力光強度範囲で一定値を維持する。なお、図12(b)の特性Dは、格子6を採用しない通常の半導体光増幅器の利得特性である。
【0010】
図12(a)は、波長λIを有する光9を半導体光増幅器に入射した場合における出射される光10の波長分布特性である。この波長分布特性にも示すように、出射される光10には、波長λ0の光の発振スペクトル11、波長λIを有する入射された光9の増幅後のスペクトル12、自然放出のスペクトル分布13が含まれる。
【0011】
したがって、出射される光10に含まれる発振のスペクトル11及び自然放出のスペクトル分布13を例えば光フィルタ等で取り除く必要がある。なお、自然放出のスペクトル分布13は、レベルが低い場合は、除去する必要がない。前述した、図12(b)の特性Cは、発振のスペクトル11を除去したの後の特性である。
【0012】
【特許文献1】
特開平7―106714号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら図11に示す利得クランプ型の半導体光増幅器においても、まだ解消すべき次のような課題があった。
【0014】
すなわち、図11に示すように、波長λ0で光の発振を生起させる格子6は、入射した光9の伝搬方向に形成されているので、図12(a)に示す波長λ0で発振するスペクトル11を含む光は光の伝搬方向にそのまま進行して端面3bを介して光10として出力する。一方、端面3aに入射した波長λIを有する光9は、導波路3内を伝搬する過程で増幅されて、端面3bを介して光10として出力する。
【0015】
したがって、この半導体光増幅器から出力される光10には、波長λIを有する入射された光9の増幅後の光の他に、利得Gを一定値にクランプする目的で生成された波長λ0で発振するスペクトル11を含む光が含まれるので、この波長λ0で発振するスペクトル11を取り除く光フィルタ等の光学素子が必要となる。
【0016】
その結果、この半導体光増幅器と光フィルタ等の光学素子とを組み合わせて、一つの光増幅器とする必要があり、光増幅器の部品点数が増加して、光増幅器の製造費が上昇する。さらに、この光増幅器を例えば光ファイバの中継器に組み込むときに、半導体光増幅器と光フィルタ等の光学素子の光軸合わせ等の余分な調整作業が必要となり、設置作業能率が低下する。
【0017】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、光の伝搬方向の端面から出力される光に、利得を一定値にクランプする目的で生成された一定波長で発振する光の成分が含まれることを防止でき、この光成分を除去するための光フィルタ等の光学素子を別途設ける必要がなく、簡単な構成で、利得を広い光強度範囲で一定値に維持できる半導体光増幅器を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解消するために、本発明は、半導体基板と、この半導体基板の上方に形成された活性層と、半導体基板の上方でかつ活性層の側方に形成された埋込層と、活性層の上方に形成されたクラッド層とを備え、両端面に無反射コートが施され、一方の端面から入射した光が、光の伝搬方向に沿って形成された活性層を含む光導波路を伝搬する過程で増幅されて、他方の端面から出射する半導体光増幅器において、活性層の側方位置でかつ光の伝搬方向に直交する方向に、一定波長で光を発振させるための回折格子を形成している。
【0019】
このように構成された半導体光増幅器においては、光の伝搬方向に直交する方向に回折格子が形成されている。このような構成の半導体光増幅器において、この半導体光増幅器に供給する電流を増加していくと、この電流が一定のしきい値を超えると発光するが、一定波長λ0で共振して発振状態となる。このように発振状態になると、活性層内におけるキャリア濃度は、この光の発振を維持させるに必要な最小利得に対応する平衡値に保たれる。したがって、図11に示した従来の利得クランプ型の半導体光増幅器と同様に、出射光強度の入射光強度に対する比で示される利得は広い光強度範囲で一定値を維持する。
【0020】
この場合、一定波長λ0で発振する光の方向は、一方の端面から入射して増幅されて他方の端面から出射される光の伝搬方向に直交する方向である。したがって、一定波長λ0で発振する光が他方の端面から出射されることはない。
【0021】
したがって、この半導体光増幅器の他方の端面から出射される光には、利得を一定値にクランプする目的で生成された一定波長λ0で発振する光の成分が含まれることはない。よって、他方の端面から出射される光には、一方の端面から入射して増幅された光、及び低い光強度レベルを有した自然放出の光のみが含まれるので、この出射した光から、利得を一定値にクランプする目的で生成された一定波長で発振する光の成分を除去する光フィルタ等の光学素子を別途準備する必要はない。
【0022】
また、別の発明は、上述した発明の半導体光増幅器において、埋込層を複数層で構成し、かつ、少なくとも1層の埋込層をInGaAsPで形成している。
【0023】
このように、例えば、活性層の側方、すなわち格子が形成された方向に形成された複数層の埋込層のうちの1層の埋込層を光の屈折率が周囲の半導体基板やクラッド層より高いInGaAsPで形成することにより、利得を一定値にクランプする目的で生成された一定波長λ0で発振する光をこの格子が形成された埋込層を含む一定領域内に閉じ込める効果を向上できる。
【0024】
また、別の発明は、上述した発明の半導体光増幅器において、各端面と活性層との間に窓部を形成している。
このように各端面と活性層との間に窓部を形成することによって、半導体光増幅器内に大きな共振光が生じることが防止される。
【0025】
また、別の発明は、上述した発明の半導体光増幅器において、活性層を各端面に対して傾斜して形成している。
このように活性層を各端面に対して傾斜させることによって、活性層の端面から出射され各端面で反射した光が再度活性層に入射されることが防止されるため、光共振を効果的に防止できる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各実施形態を図面を用いて説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係る半導体光増幅器の概略構成を示す斜視図であり、図2は図1に示す半導体光増幅器をA―A’線で切断した水平断面図であり、図3は図1に示す半導体光増幅器をB―B’線で切断した横断面図である。
【0027】
n型InPからなる半導体基板21の上面に、n型InPからなる第1のクラッド層25a、InGaAsPからなる活性層22、p型InPからなる第2のクラッド層25bが形成されている。この第1のクラッド層25a、活性層22、第2のクラッド層25bはメサ部を形成している。
【0028】
メサ部の両側には、p型InPからなる下部埋込層23が埋込形成され、この下部埋込層23の上面にn型InPからなる上部埋込層24が埋込形成されている。この上部埋込層24の上面と第2のクラッド層25bの上面を共通に覆うp型InPからなる第3のクラッド層25cが形成されている。さらに、この第3のクラッド層25cの上面にp型InGaAsからなるコンタクト層26が形成され、コンタクト層26の上面にp電極27が取付けられ、半導体基板21の下面にn電極28が取付けられている。
【0029】
さらに、下部埋込層23と上部埋込層24との境界面には、光の伝搬方向である活性層22の長尺方向と直交する方向に、回折格子29が形成されている。この回折格子29の格子間隔(ピッチ)は、活性層22を含む光導波路内で増幅(発振)される光の波長λの波長スペクトラム範囲内に存在する一つの波長λ0に対応する長さに設定されている。
【0030】
また、図1、図2に示すように、各端面30a、30bにはそれぞれ無反射コート39a、39bが施されている。
【0031】
この半導体光増幅器の動作時においては、p電極27とn電極28との間に直流電圧が印加されて、半導体素子内に直流電流Iが供給される。また、一方の端面30aに対して垂直に波長λI、入射光強度PIを有する増幅すべき光32が入射される。他方の端面30bから、入射された光32の増幅後の光成分を含む出射光強度POを有する光33が出射される。
【0032】
このような半導体光増幅器においては、供給する電流Iを増加していくと、一定のしきい値I0を超えると活性層22内において発光するが、活性層22の側方の下部埋込層23と上部埋込層24との境界面に形成された回折格子29の格子間隔で定まる波長λ0で共振して発振状態となる。この波長λ0で発振する光34の方向は、図2に示すように、活性層22を含む光導波路内を伝搬する入射した光32の伝搬方向に直交する回折格子29の方向と一致する方向である。
【0033】
このように発振状態になると、活性層22を含む光導波路内におけるキャリア濃度は、図11に示す従来の半導体光増幅器と同様に、この発振を維持させるに必要な最小利得に対応する平衡値に保たれる。これは、一定のしきい値を超えている限り、供給される電流Iが増減しても変化しない。また、入射光強度PIが波長λ0の発振状態の光34の光レベル(発振光強度)以下であれば、たとえ入射光強度PIが変化したとしても、活性層22を含む光導波路内におけるキャリア濃度は変化しない。
【0034】
したがって、図4(a)の特性Eに示すように、供給される電流Iが前述したしきい値I0を超えると、利得Gはほぼ一定値を維持する。なお、図4(a)の特性Fは、回折格子29を採用しない通常の半導体光増幅器の利得特性である。
【0035】
さらに、図4(b)に示すように、出射光強度POの入射光強度PIに対する比で示される利得Gは広い光強度範囲で一定値を維持する。なお、図4(b)の特性Dは、回折格子29を採用しない通常の半導体光増幅器の利得特性である。
【0036】
図5は、波長λIを有する光32を半導体光増幅器に入射した場合における出射される光33の波長分布特性である。この波長分布特性にも示すように、出射される光33には、波長λIを有する入射された光32の増幅後のスペクトル35及び自然放出のスペクトル分布36が含まれる。しかし、入射された光32の伝搬方向に直交する方向に発振する波長λ0の光34は端面30bから出射されないので、この波長λ0の光34の発振スペクトル37は、出射される光33に含まれない。
【0037】
したがって、入射した光32の伝搬方向の端面30bから出力される光33に、利得を一定値にクランプする目的で生成された一定波長λ0で発振する光34の成分が含まれることはない。よって、この光成分を除去するための光フィルタ等の光学素子を出射側の端面30b近傍に別途設ける必要がない。
【0038】
(第2実施形態)
図6は本発明の第2実施形態に係る半導体光増幅器の概略構成を示す水平断面図である。図2に示した第1実施形態の半導体光増幅器と同一部分には同一符号を付して重複する部分の詳細説明は省略する。なお、この第2実施形態の半導体光増幅器の横断面図は、図1に示す第1実施形態の半導体光増幅器の横断面図とほぼ同じであるので、説明を省略する。
【0039】
この第2実施形態の半導体光増幅器においては、各端面30a、30bと活性層22との間にはそれぞれ窓部31a、31bが設けられている。この窓部31a、31b内には、下部埋込層23と上部埋込層24とが埋込まれている。
【0040】
このように、各端面30a、30bと活性層22との間にはそれぞれ窓部31a、31bを形成しているので、各端面30a、30bにおける光の反射率が低下すると共に、端面30a、30b相互間で形成される共振器の共振波長と、活性層22の両端間で形成される共振器の共振波長との値が異なり、半導体光増幅器内に大きな共振光が生じることが防止される。
【0041】
(第3実施形態)
図7は本発明の第3実施形態に係る半導体光増幅器の概略構成を示す横断面図である。図3に示した第1実施形態の半導体光増幅器と同一部分には同一符号を付して重複する部分の詳細説明は省略する。なお、この第3実施形態の半導体光増幅器の斜視図及び水平断面図は、図1、図2に示す第1実施形態の半導体光増幅器の斜視図及び水平断面図とほぼ同じであるので、説明を省略する。
【0042】
この第2実施形態の半導体光増幅器においては、活性層22の両側に埋込形成され、境界面に回折格子29が形成された下部埋込層23aと上部埋込層24とのうち下部埋込層23aを4元層であるp型InGaAsPで形成している。
【0043】
下部埋込層23aを、光の屈折率が周囲のn型InPの半導体基板21やp型InPの第3のクラッド層25cより高いp型InGaAsPで形成することにより、利得を一定値にクランプする目的で生成された一定波長λ0で発振する光34をこの回折格子29が形成された下部埋込層23aを含む一定領域内に閉じ込める効果を向上できる。
【0044】
(第4実施形態)
図8は本発明の第4実施形態に係る半導体光増幅器の概略構成を示す横断面図である。図7に示した第3実施形態の半導体光増幅器と同一部分には同一符号を付して重複する部分の詳細説明は省略する。
【0045】
この第4実施形態の半導体光増幅器においては、活性層22の両側に埋込形成され、境界面に回折格子29が形成された下部埋込層23aと上部埋込層24aとを共に4元層であるp型InGaAsP、及びn型InGaAsPでそれぞれ形成している。
【0046】
このように構成された第4実施形態の半導体光増幅器においても、第3実施形態の半導体光増幅器と同様に、利得を一定値にクランプする目的で生成された一定波長λ0で発振する光34をこの回折格子29が形成された下部埋込層23aを含む一定領域内に閉じ込める効果を向上できる。
【0047】
(第5実施形態)
図9は本発明の第5実施形態に係る半導体光増幅器の概略構成を示す横断面図である。図7に示した第3実施形態の半導体光増幅器と同一部分には同一符号を付して重複する部分の詳細説明は省略する。
【0048】
この第5実施形態の半導体光増幅器においては、活性層22の両側に埋込形成活性層22の両側に埋込形成され、回折格子29が形成された下部埋込層23aと上部埋込層24とのうち下部埋込層23aを4元層であるp型InGaAsPで形成している。さらに、回折格子29がこの半導体光増幅器の上面に露出するように溝38が形成されている。
【0049】
この第5実施形態の半導体光増幅器の製造方法においては、下部埋込層23a、上部埋込層24、第3のクラッド層25c、コンタクト層26、及びp電極27を形成した後に、下部埋込層23aの上面まで届く深さの溝38をエッチング加工し、その後、溝38底の下部埋込層23aの上面に回折格子29をエッチングにより形成する。
このように溝38を形成することにより、後から回折格子29を形成することが可能である。
【0050】
(第6実施形態)
図10は本発明の第6実施形態に係る半導体光増幅器の概略構成を示す水平断面図である。図2に示した第1実施形態の半導体光増幅器と同一部分には同一符号を付して重複する部分の詳細説明は省略する。
【0051】
この第6実施形態の半導体光増幅器においては、活性層22は光32、33が入出力される各端面30a、30bに対して傾斜して形成されている。そして、下部埋込層23と上部埋込層24との境界面に形成される回折格子29は、傾斜した活性層22の方向に対して直交する方向に形成されている。また、各端面30a、30bと活性層22との間にはそれぞれ窓部31a、31bが設けられている。この窓部31a、31b内には、下部埋込層23と上部埋込層24とが埋込まれている。
【0052】
したがって、利得を一定値にクランプする目的で生成された一定波長λ0で発振する光34の方向も、活性層22の方向に対して直交する方向となる。また、端面30aに入射される光32の入射角も、光32が活性層22の端面に直交するように、傾斜している。さらに、端面30bから出射される光33の出射角も傾斜している。
【0053】
このように構成された第6実施形態の半導体光増幅器においても、利得を一定値にクランプする目的で生成された一定波長λ0で発振する光34の方向も、活性層22の方向に対して直交する方向となるので、この光34が端面30bから出射される光33含まれることはない。よって、先の各実施形態の半導体光増幅器とほぼ同様の効果を有する。
【0054】
さらに、この第6実施形態の半導体光増幅器においては、活性層22は光32、33が入出力される各端面30a、30bに対して傾斜して形成されているので、活性層22の端面から出射されて各端面30a、30bで反射した光が再度活性層22に入射されることが防止される。すなわち、各端面30a、30bにおける光の反射率がさらに低下する。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の半導体光増幅器においては、一定波長で発振させるための回折格子を光の伝搬方向に直交する方向に形成している。したがって、光の伝搬方向の端面から出力される光に、利得を一定値にクランプする目的で生成された一定波長で発振する光の成分が含まれることを防止でき、この光成分を除去するための光フィルタ等の光学素子を別途設ける必要がなく、簡単な構成で、利得を広い光強度範囲で一定値に維持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る半導体光増幅器の概略構成を示す斜視図
【図2】図1に示す第1実施形態の半導体光増幅器をA―A’線で切断した水平断面図
【図3】図1に示す第1実施形態の半導体光増幅器をB―B’線で切断した横断面図
【図4】同第1実施形態の半導体光増幅器における利得特性を示す図
【図5】同第1実施形態の半導体光増幅器における出力される光の波長特性を示す図
【図6】本発明の第2実施形態に係る半導体光増幅器の概略構成を示す水平断面図
【図7】本発明の第3実施形態に係る半導体光増幅器の概略構成を示す横断面図
【図8】本発明の第4実施形態に係る半導体光増幅器の概略構成を示す横断面図
【図9】本発明の第5実施形態に係る半導体光増幅器の概略構成を示す横断面図
【図10】本発明の第6実施形態に係る半導体光増幅器の概略構成を示す水平断面図
【図11】従来の半導体光増幅器の概略構成を示す縦断面図及び横断面図
【図12】同従来の半導体光増幅器の特性を示す図
【符号の説明】
21…半導体基板、22…活性層、23,23a…下部埋込層、24,24a…上部埋込層、25a…第1のクラッド層、25b…第2のクラッド層、25c…第2のクラッド層、26…コンタクト層、27…p電極、28…n電極、29…回折格子、30a,30b…端面、31a,31b…窓部、32,33,34…光、38…溝、39a,39b…無反射コート
【発明の属する技術分野】
本発明は、一方の端面から入射した光を増幅して他方の端面から出射する半導体光増幅器に係わり、特に、増幅の利得を一定に制御した半導体光増幅器に関する。
【0002】
【従来の技術】
光通信システムにおいて、光信号を光ファイバを介して遠方に伝送する場合に光信号の減衰が生じるので、中継器を設けてこの中継器で光信号を増幅する必要がある。光信号を電気信号に変換せずに直接増幅する光増幅器の一つとして半導体光増幅器が検討されている。
【0003】
半樽体光増幅器は半導体レーザの両端面に無反射コートを施し、ファブリペロー共振を抑圧することで進行波型の光増幅器として利用できる。活性層中の誘導放出現象を利用するために一方の端面から入射した光信号を光のまま直接増幅して他方の端面から出力することができる。このため集積可能な小型光増幅器として期待されている。
【0004】
利得Gは、入射光強度PIと出射光強度POとの比で示され、半導体光増幅器への注入電流Iや出射光強度POなどの要因で変化する。利得Gは出射光強度POが十分小さい時には、その出射光強度POによらず一定の利得Gを示すが、出射光強度POが上昇してくると誘導放出のためのキャリアが減少するため利得Gが低下する。実際に光通信で用いられる時にも光信号強度に応じて、利得Gが変化することで信号に歪が生じ、信号品質が劣化するという問題が生じている。
【0005】
このような問題を解消するために、利得を一定レベル以下の一定値に固定する利得クランプ型の半導体光増幅器が特許文献1に提唱されている。
【0006】
この利得クランプ型の半導体光増幅器においては、図11(a)の縦断面図及び図11(b)の横断面図に示すように、n型InPからなる基板1の上方にInGaAsPからなる導波路2が形成されている。導波路2と各端面3a、3bとの間に窓部4a、4bが形成されている。導波路2の上面にp型の閉じ込め層5が形成されている。導波路2の下方位置に、この導波路2と平行する格子6が形成されている。閉じ込め層5の上面にp電極7が取付けられ、基板1の下面にn電極8が取付けられている。
【0007】
そして、p電極7とn電極8とを介して直流の電流Iが供給される。一方の端面3aに入射光強度PIを有する光9が入射され、他方の端面3bから出射光強度POを有する光10が出射される。また、格子6の格子間隔(ピッチ)は、導波路2で増幅(発振)される光の波長λの波長スペクトラム範囲内に存在する一つの波長λ0に対応する長さに設定されている。
【0008】
このような半導体光増幅器においては、供給する電流Iを増加していくと、一定のしきい値を超えると発光するが、波長λ0で共振して発振状態となる。このように発振状態になると、導波路2内におけるキャリア濃度は、この発振を維持させるに必要な最小利得に対応する平衡値に保たれる。これは、一定のしきい値を超えている限り、供給される電流Iが増減しても変化しない。また、入射光強度PIが波長λ0で発振状態の光の光レベル(発振光強度)以下であれば、たとえ入射光強度PIが変化したとしても、導波路2内におけるキャリア濃度は変化しない。
【0009】
その結果、図12(b)の特性Cに示すように、利得Gは広い出力光強度範囲で一定値を維持する。なお、図12(b)の特性Dは、格子6を採用しない通常の半導体光増幅器の利得特性である。
【0010】
図12(a)は、波長λIを有する光9を半導体光増幅器に入射した場合における出射される光10の波長分布特性である。この波長分布特性にも示すように、出射される光10には、波長λ0の光の発振スペクトル11、波長λIを有する入射された光9の増幅後のスペクトル12、自然放出のスペクトル分布13が含まれる。
【0011】
したがって、出射される光10に含まれる発振のスペクトル11及び自然放出のスペクトル分布13を例えば光フィルタ等で取り除く必要がある。なお、自然放出のスペクトル分布13は、レベルが低い場合は、除去する必要がない。前述した、図12(b)の特性Cは、発振のスペクトル11を除去したの後の特性である。
【0012】
【特許文献1】
特開平7―106714号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら図11に示す利得クランプ型の半導体光増幅器においても、まだ解消すべき次のような課題があった。
【0014】
すなわち、図11に示すように、波長λ0で光の発振を生起させる格子6は、入射した光9の伝搬方向に形成されているので、図12(a)に示す波長λ0で発振するスペクトル11を含む光は光の伝搬方向にそのまま進行して端面3bを介して光10として出力する。一方、端面3aに入射した波長λIを有する光9は、導波路3内を伝搬する過程で増幅されて、端面3bを介して光10として出力する。
【0015】
したがって、この半導体光増幅器から出力される光10には、波長λIを有する入射された光9の増幅後の光の他に、利得Gを一定値にクランプする目的で生成された波長λ0で発振するスペクトル11を含む光が含まれるので、この波長λ0で発振するスペクトル11を取り除く光フィルタ等の光学素子が必要となる。
【0016】
その結果、この半導体光増幅器と光フィルタ等の光学素子とを組み合わせて、一つの光増幅器とする必要があり、光増幅器の部品点数が増加して、光増幅器の製造費が上昇する。さらに、この光増幅器を例えば光ファイバの中継器に組み込むときに、半導体光増幅器と光フィルタ等の光学素子の光軸合わせ等の余分な調整作業が必要となり、設置作業能率が低下する。
【0017】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、光の伝搬方向の端面から出力される光に、利得を一定値にクランプする目的で生成された一定波長で発振する光の成分が含まれることを防止でき、この光成分を除去するための光フィルタ等の光学素子を別途設ける必要がなく、簡単な構成で、利得を広い光強度範囲で一定値に維持できる半導体光増幅器を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解消するために、本発明は、半導体基板と、この半導体基板の上方に形成された活性層と、半導体基板の上方でかつ活性層の側方に形成された埋込層と、活性層の上方に形成されたクラッド層とを備え、両端面に無反射コートが施され、一方の端面から入射した光が、光の伝搬方向に沿って形成された活性層を含む光導波路を伝搬する過程で増幅されて、他方の端面から出射する半導体光増幅器において、活性層の側方位置でかつ光の伝搬方向に直交する方向に、一定波長で光を発振させるための回折格子を形成している。
【0019】
このように構成された半導体光増幅器においては、光の伝搬方向に直交する方向に回折格子が形成されている。このような構成の半導体光増幅器において、この半導体光増幅器に供給する電流を増加していくと、この電流が一定のしきい値を超えると発光するが、一定波長λ0で共振して発振状態となる。このように発振状態になると、活性層内におけるキャリア濃度は、この光の発振を維持させるに必要な最小利得に対応する平衡値に保たれる。したがって、図11に示した従来の利得クランプ型の半導体光増幅器と同様に、出射光強度の入射光強度に対する比で示される利得は広い光強度範囲で一定値を維持する。
【0020】
この場合、一定波長λ0で発振する光の方向は、一方の端面から入射して増幅されて他方の端面から出射される光の伝搬方向に直交する方向である。したがって、一定波長λ0で発振する光が他方の端面から出射されることはない。
【0021】
したがって、この半導体光増幅器の他方の端面から出射される光には、利得を一定値にクランプする目的で生成された一定波長λ0で発振する光の成分が含まれることはない。よって、他方の端面から出射される光には、一方の端面から入射して増幅された光、及び低い光強度レベルを有した自然放出の光のみが含まれるので、この出射した光から、利得を一定値にクランプする目的で生成された一定波長で発振する光の成分を除去する光フィルタ等の光学素子を別途準備する必要はない。
【0022】
また、別の発明は、上述した発明の半導体光増幅器において、埋込層を複数層で構成し、かつ、少なくとも1層の埋込層をInGaAsPで形成している。
【0023】
このように、例えば、活性層の側方、すなわち格子が形成された方向に形成された複数層の埋込層のうちの1層の埋込層を光の屈折率が周囲の半導体基板やクラッド層より高いInGaAsPで形成することにより、利得を一定値にクランプする目的で生成された一定波長λ0で発振する光をこの格子が形成された埋込層を含む一定領域内に閉じ込める効果を向上できる。
【0024】
また、別の発明は、上述した発明の半導体光増幅器において、各端面と活性層との間に窓部を形成している。
このように各端面と活性層との間に窓部を形成することによって、半導体光増幅器内に大きな共振光が生じることが防止される。
【0025】
また、別の発明は、上述した発明の半導体光増幅器において、活性層を各端面に対して傾斜して形成している。
このように活性層を各端面に対して傾斜させることによって、活性層の端面から出射され各端面で反射した光が再度活性層に入射されることが防止されるため、光共振を効果的に防止できる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各実施形態を図面を用いて説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係る半導体光増幅器の概略構成を示す斜視図であり、図2は図1に示す半導体光増幅器をA―A’線で切断した水平断面図であり、図3は図1に示す半導体光増幅器をB―B’線で切断した横断面図である。
【0027】
n型InPからなる半導体基板21の上面に、n型InPからなる第1のクラッド層25a、InGaAsPからなる活性層22、p型InPからなる第2のクラッド層25bが形成されている。この第1のクラッド層25a、活性層22、第2のクラッド層25bはメサ部を形成している。
【0028】
メサ部の両側には、p型InPからなる下部埋込層23が埋込形成され、この下部埋込層23の上面にn型InPからなる上部埋込層24が埋込形成されている。この上部埋込層24の上面と第2のクラッド層25bの上面を共通に覆うp型InPからなる第3のクラッド層25cが形成されている。さらに、この第3のクラッド層25cの上面にp型InGaAsからなるコンタクト層26が形成され、コンタクト層26の上面にp電極27が取付けられ、半導体基板21の下面にn電極28が取付けられている。
【0029】
さらに、下部埋込層23と上部埋込層24との境界面には、光の伝搬方向である活性層22の長尺方向と直交する方向に、回折格子29が形成されている。この回折格子29の格子間隔(ピッチ)は、活性層22を含む光導波路内で増幅(発振)される光の波長λの波長スペクトラム範囲内に存在する一つの波長λ0に対応する長さに設定されている。
【0030】
また、図1、図2に示すように、各端面30a、30bにはそれぞれ無反射コート39a、39bが施されている。
【0031】
この半導体光増幅器の動作時においては、p電極27とn電極28との間に直流電圧が印加されて、半導体素子内に直流電流Iが供給される。また、一方の端面30aに対して垂直に波長λI、入射光強度PIを有する増幅すべき光32が入射される。他方の端面30bから、入射された光32の増幅後の光成分を含む出射光強度POを有する光33が出射される。
【0032】
このような半導体光増幅器においては、供給する電流Iを増加していくと、一定のしきい値I0を超えると活性層22内において発光するが、活性層22の側方の下部埋込層23と上部埋込層24との境界面に形成された回折格子29の格子間隔で定まる波長λ0で共振して発振状態となる。この波長λ0で発振する光34の方向は、図2に示すように、活性層22を含む光導波路内を伝搬する入射した光32の伝搬方向に直交する回折格子29の方向と一致する方向である。
【0033】
このように発振状態になると、活性層22を含む光導波路内におけるキャリア濃度は、図11に示す従来の半導体光増幅器と同様に、この発振を維持させるに必要な最小利得に対応する平衡値に保たれる。これは、一定のしきい値を超えている限り、供給される電流Iが増減しても変化しない。また、入射光強度PIが波長λ0の発振状態の光34の光レベル(発振光強度)以下であれば、たとえ入射光強度PIが変化したとしても、活性層22を含む光導波路内におけるキャリア濃度は変化しない。
【0034】
したがって、図4(a)の特性Eに示すように、供給される電流Iが前述したしきい値I0を超えると、利得Gはほぼ一定値を維持する。なお、図4(a)の特性Fは、回折格子29を採用しない通常の半導体光増幅器の利得特性である。
【0035】
さらに、図4(b)に示すように、出射光強度POの入射光強度PIに対する比で示される利得Gは広い光強度範囲で一定値を維持する。なお、図4(b)の特性Dは、回折格子29を採用しない通常の半導体光増幅器の利得特性である。
【0036】
図5は、波長λIを有する光32を半導体光増幅器に入射した場合における出射される光33の波長分布特性である。この波長分布特性にも示すように、出射される光33には、波長λIを有する入射された光32の増幅後のスペクトル35及び自然放出のスペクトル分布36が含まれる。しかし、入射された光32の伝搬方向に直交する方向に発振する波長λ0の光34は端面30bから出射されないので、この波長λ0の光34の発振スペクトル37は、出射される光33に含まれない。
【0037】
したがって、入射した光32の伝搬方向の端面30bから出力される光33に、利得を一定値にクランプする目的で生成された一定波長λ0で発振する光34の成分が含まれることはない。よって、この光成分を除去するための光フィルタ等の光学素子を出射側の端面30b近傍に別途設ける必要がない。
【0038】
(第2実施形態)
図6は本発明の第2実施形態に係る半導体光増幅器の概略構成を示す水平断面図である。図2に示した第1実施形態の半導体光増幅器と同一部分には同一符号を付して重複する部分の詳細説明は省略する。なお、この第2実施形態の半導体光増幅器の横断面図は、図1に示す第1実施形態の半導体光増幅器の横断面図とほぼ同じであるので、説明を省略する。
【0039】
この第2実施形態の半導体光増幅器においては、各端面30a、30bと活性層22との間にはそれぞれ窓部31a、31bが設けられている。この窓部31a、31b内には、下部埋込層23と上部埋込層24とが埋込まれている。
【0040】
このように、各端面30a、30bと活性層22との間にはそれぞれ窓部31a、31bを形成しているので、各端面30a、30bにおける光の反射率が低下すると共に、端面30a、30b相互間で形成される共振器の共振波長と、活性層22の両端間で形成される共振器の共振波長との値が異なり、半導体光増幅器内に大きな共振光が生じることが防止される。
【0041】
(第3実施形態)
図7は本発明の第3実施形態に係る半導体光増幅器の概略構成を示す横断面図である。図3に示した第1実施形態の半導体光増幅器と同一部分には同一符号を付して重複する部分の詳細説明は省略する。なお、この第3実施形態の半導体光増幅器の斜視図及び水平断面図は、図1、図2に示す第1実施形態の半導体光増幅器の斜視図及び水平断面図とほぼ同じであるので、説明を省略する。
【0042】
この第2実施形態の半導体光増幅器においては、活性層22の両側に埋込形成され、境界面に回折格子29が形成された下部埋込層23aと上部埋込層24とのうち下部埋込層23aを4元層であるp型InGaAsPで形成している。
【0043】
下部埋込層23aを、光の屈折率が周囲のn型InPの半導体基板21やp型InPの第3のクラッド層25cより高いp型InGaAsPで形成することにより、利得を一定値にクランプする目的で生成された一定波長λ0で発振する光34をこの回折格子29が形成された下部埋込層23aを含む一定領域内に閉じ込める効果を向上できる。
【0044】
(第4実施形態)
図8は本発明の第4実施形態に係る半導体光増幅器の概略構成を示す横断面図である。図7に示した第3実施形態の半導体光増幅器と同一部分には同一符号を付して重複する部分の詳細説明は省略する。
【0045】
この第4実施形態の半導体光増幅器においては、活性層22の両側に埋込形成され、境界面に回折格子29が形成された下部埋込層23aと上部埋込層24aとを共に4元層であるp型InGaAsP、及びn型InGaAsPでそれぞれ形成している。
【0046】
このように構成された第4実施形態の半導体光増幅器においても、第3実施形態の半導体光増幅器と同様に、利得を一定値にクランプする目的で生成された一定波長λ0で発振する光34をこの回折格子29が形成された下部埋込層23aを含む一定領域内に閉じ込める効果を向上できる。
【0047】
(第5実施形態)
図9は本発明の第5実施形態に係る半導体光増幅器の概略構成を示す横断面図である。図7に示した第3実施形態の半導体光増幅器と同一部分には同一符号を付して重複する部分の詳細説明は省略する。
【0048】
この第5実施形態の半導体光増幅器においては、活性層22の両側に埋込形成活性層22の両側に埋込形成され、回折格子29が形成された下部埋込層23aと上部埋込層24とのうち下部埋込層23aを4元層であるp型InGaAsPで形成している。さらに、回折格子29がこの半導体光増幅器の上面に露出するように溝38が形成されている。
【0049】
この第5実施形態の半導体光増幅器の製造方法においては、下部埋込層23a、上部埋込層24、第3のクラッド層25c、コンタクト層26、及びp電極27を形成した後に、下部埋込層23aの上面まで届く深さの溝38をエッチング加工し、その後、溝38底の下部埋込層23aの上面に回折格子29をエッチングにより形成する。
このように溝38を形成することにより、後から回折格子29を形成することが可能である。
【0050】
(第6実施形態)
図10は本発明の第6実施形態に係る半導体光増幅器の概略構成を示す水平断面図である。図2に示した第1実施形態の半導体光増幅器と同一部分には同一符号を付して重複する部分の詳細説明は省略する。
【0051】
この第6実施形態の半導体光増幅器においては、活性層22は光32、33が入出力される各端面30a、30bに対して傾斜して形成されている。そして、下部埋込層23と上部埋込層24との境界面に形成される回折格子29は、傾斜した活性層22の方向に対して直交する方向に形成されている。また、各端面30a、30bと活性層22との間にはそれぞれ窓部31a、31bが設けられている。この窓部31a、31b内には、下部埋込層23と上部埋込層24とが埋込まれている。
【0052】
したがって、利得を一定値にクランプする目的で生成された一定波長λ0で発振する光34の方向も、活性層22の方向に対して直交する方向となる。また、端面30aに入射される光32の入射角も、光32が活性層22の端面に直交するように、傾斜している。さらに、端面30bから出射される光33の出射角も傾斜している。
【0053】
このように構成された第6実施形態の半導体光増幅器においても、利得を一定値にクランプする目的で生成された一定波長λ0で発振する光34の方向も、活性層22の方向に対して直交する方向となるので、この光34が端面30bから出射される光33含まれることはない。よって、先の各実施形態の半導体光増幅器とほぼ同様の効果を有する。
【0054】
さらに、この第6実施形態の半導体光増幅器においては、活性層22は光32、33が入出力される各端面30a、30bに対して傾斜して形成されているので、活性層22の端面から出射されて各端面30a、30bで反射した光が再度活性層22に入射されることが防止される。すなわち、各端面30a、30bにおける光の反射率がさらに低下する。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の半導体光増幅器においては、一定波長で発振させるための回折格子を光の伝搬方向に直交する方向に形成している。したがって、光の伝搬方向の端面から出力される光に、利得を一定値にクランプする目的で生成された一定波長で発振する光の成分が含まれることを防止でき、この光成分を除去するための光フィルタ等の光学素子を別途設ける必要がなく、簡単な構成で、利得を広い光強度範囲で一定値に維持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る半導体光増幅器の概略構成を示す斜視図
【図2】図1に示す第1実施形態の半導体光増幅器をA―A’線で切断した水平断面図
【図3】図1に示す第1実施形態の半導体光増幅器をB―B’線で切断した横断面図
【図4】同第1実施形態の半導体光増幅器における利得特性を示す図
【図5】同第1実施形態の半導体光増幅器における出力される光の波長特性を示す図
【図6】本発明の第2実施形態に係る半導体光増幅器の概略構成を示す水平断面図
【図7】本発明の第3実施形態に係る半導体光増幅器の概略構成を示す横断面図
【図8】本発明の第4実施形態に係る半導体光増幅器の概略構成を示す横断面図
【図9】本発明の第5実施形態に係る半導体光増幅器の概略構成を示す横断面図
【図10】本発明の第6実施形態に係る半導体光増幅器の概略構成を示す水平断面図
【図11】従来の半導体光増幅器の概略構成を示す縦断面図及び横断面図
【図12】同従来の半導体光増幅器の特性を示す図
【符号の説明】
21…半導体基板、22…活性層、23,23a…下部埋込層、24,24a…上部埋込層、25a…第1のクラッド層、25b…第2のクラッド層、25c…第2のクラッド層、26…コンタクト層、27…p電極、28…n電極、29…回折格子、30a,30b…端面、31a,31b…窓部、32,33,34…光、38…溝、39a,39b…無反射コート
Claims (4)
- 半導体基板(21)と、この半導体基板の上方に形成された活性層(22)と、前記半導体基板の上方でかつ前記活性層の側方に形成された埋込層(23、24)と、前記活性層の上方に形成されたクラッド層(25b)とを備え、両端面(30a、30b)に無反射コート(39a、39b)が施され、一方の端面(30a)から入射した光が、光の伝搬方向に沿って形成された前記活性層を含む光導波路を伝搬する過程で増幅されて、他方の端面(30b)から出射する半導体光増幅器において、
前記活性層の側方位置でかつ前記光の伝搬方向に直交する方向に、一定波長(λ0)で光(34)を発振させるための回折格子(29)を形成したことを特徴とする半導体光増幅器。 - 前記埋込層は複数層からなり、そのうち少なくとも1層の埋込層はInGaAsPで形成されたことを特徴とする請求項1記載の半導体光増幅器。
- 前記各端面と前記活性層との間にして、前記端面近傍で前記活性層が途切れることにより形成された窓部(31a、31b)を有することを特徴とする請求項1又は2記載の半導体光増幅器。
- 前記活性層は前記各端面に対して傾斜して形成されたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の半導体光増幅器。
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