JP2004253243A - 板型電池およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電池の薄型化。
【解決手段】電池は、正極集電体5の片面側にだけ正極活物質層6を設けた正極層7と、負極集電体の片面側にだけ負極活物質層を設けた負極層1とで、セパレータを挟んだ構造を有する。正極集電体5は、金属メッシュで構成されている。正極集電体5と、それに組み合わされた正極活物質層6との間には第1の樹脂結合層14および正極活物質層6の反対側には第2の樹脂結合層16が設けられている。(負極側も同様)
【選択図】 図5
【解決手段】電池は、正極集電体5の片面側にだけ正極活物質層6を設けた正極層7と、負極集電体の片面側にだけ負極活物質層を設けた負極層1とで、セパレータを挟んだ構造を有する。正極集電体5は、金属メッシュで構成されている。正極集電体5と、それに組み合わされた正極活物質層6との間には第1の樹脂結合層14および正極活物質層6の反対側には第2の樹脂結合層16が設けられている。(負極側も同様)
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、板型電池およびその製造方法に関する。特に、ICカード等に搭載する目的で、電池を薄型化する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
昨今、磁気カードに代わる簡易記憶媒体として、ICチップを内蔵したICカードが注目を浴びている。ISO規格によれば、ICカードの厚さは0.76mm±10%に規定されているので、ICカードに電池を内蔵させる場合、たとえば、厚さ約0.5mm以下の薄い電池が必要となる。
【0003】
電池の薄型化を図るため、正極集電体の片面側にだけ正極活物質層を設けた正極層と、負極集電体の片面側にだけ負極活物質層を設けた負極層とを、セパレータの左右に配置したシングルセル構造が提案されている。
【0004】
集電体の片面側にしか活物質層がないシングルセル構造は、集電体を両側から活物質層で挟み込む構造に比べて、集電体と活物質層との結合力が不足する。両者がしっかりと接していないと、電池の内部抵抗が高くなって好ましくない。したがって、両者の結合力をどのようにして強くするかが問題となる。
【0005】
ところで、活物質層となる活物質フィルムと、集電体とを一体化する技術としては、両者を熱圧着して一体化する技術がある(下記特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
米国特許5470357号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記特許文献1の技術を適用したとしても、集電体と活物質フィルムとの結合力不足が原因で、電池の内部抵抗が高くなるなど、設計通りの電気特性を得られない場合がある。このような不具合は、電池の薄型化を進めれば進めるほど顕著となる傾向にある。また、セルの全体積に対する活物質層の体積占有率をなるべく大きくするために、集電体に金属メッシュが採用されるが、このことは活物質層と集電体との接触抵抗を減ずるには不利な点である。
【0008】
本発明の課題は、極薄化にも対応可能な構造の板型電池およびその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】
上記課題を解決するために本発明は、セパレータと、セパレータにより互いに分離された正極活物質層および負極活物質層と、セパレータとの間に正極活物質層および負極活物質層をそれぞれ挟む正極集電体および負極集電体とを備えた板型電池であって、正極集電体および負極集電体とからなる集電体群のうち、少なくとも1つの集電体は、(a)複数の貫通孔を有する金属メッシュにより構成され、(b)片面側にのみ活物質層が配置されており、上記(a)および(b)の条件を満足する集電体と、その集電体に組み合わされた活物質層との両者に接する樹脂結合層が設けられていることを特徴とする。
【0010】
上記本発明の板型電池においては、正極側および負極側の少なくとも一方の集電体を金属メッシュで構成して、電気エネルギーの生成に直接寄与する活物質の量を高めている。そして、そのような集電体と活物質層との両者に接する樹脂結合層を設けたものである。この樹脂結合層が集電体と活物質層とにまたがって両者の結合を強化するため、集電体に金属メッシュ、かつ電池の薄型化に必要不可欠なシングルセル構造を採用したとしても、電池の性能を著しく低下させるほど集電体と活物質層との結合力が不足する、という事態は回避できる。
【0011】
具体的に、上記した樹脂結合層は、貫通孔を塞ぐことなく金属メッシュからなる集電体の表面を被覆するとともに、その集電体と、活物質層とに介在する形態で設けることができる。加えて、樹脂結合層は、多孔質とされる。このように、活物質層と集電体との間に樹脂結合層を設けるようにすれば、活物質層と集電体との剥離を抑制する効果がより高くなる。
【0012】
また、別の好適な態様においては、上記した樹脂結合層を、貫通孔を一方の主面側から塞ぐ形態で設け、反対側に配置された活物質層と、貫通孔を通じて接するようにすることができる。このようにすると、少なくとも貫通孔の開口の広さ分、活物質層と樹脂結合層との結合部を形成できる。さらに、活物質層の無い側を樹脂結合層で覆うことにより、集電体の酸化防止効果も期待できる。
【0013】
なお、上記した2つの態様を組み合わせることも可能であり、その場合には、活物質層と集電体とを、より強く結合することができる。また、電池に要求される性能や用途に応じて、上記(a)および(b)の条件を、正極集電体のみが満足する態様、負極集電体だけが満足する態様、正極集電体および負極集電体の両方が満足する態様を採用できることはもちろんである。
【0014】
また、本発明の板型電池の各構成は、非水電解質二次電池に好適に採用できる。非水電解質二次電池において、正極活物質層は、正極活物質、導電助剤および正極用高分子基質を含み、負極活物質層は、負極活物質、導電助剤および負極用高分子基質を含む。そして、セパレータ、正極活物質層および負極活物質層が多孔質形態をなし、かつ非水電解液が含浸されている。本発明の構成を採用すれば、充放電を繰り返しても集電体と活物質層との剥離が起こりにくくなるので、充放電サイクル寿命が長くなる。
【0015】
また、樹脂結合層は、正極活物質層および負極活物質層の細孔を形成する際の多孔質化工程で使用される有機溶媒に不溶な材料で構成することができる。そうすれば、正極、負極およびセパレータを一体化したあとから上記の多孔質化工程を行なえるようになる。
【0016】
また、樹脂結合層は、少なくともその層が形成されている極の活物質層を構成する高分子基質と、実質的に同一組成を持つものとすることができる。このようにすると、活物質層と樹脂結合層とのなじみ性が向上し、より強固な結合を実現できる。
【0017】
また、本発明の板型電池の製造方法の第一は、セパレータと、セパレータにより互いに分離された正極活物質層および負極活物質層と、セパレータとの間に正極活物質層および負極活物質層をそれぞれ挟む正極集電体および負極集電体とを備えた板型電池の製造方法であって、正極集電体および負極集電体とからなる集電体群のうち、少なくとも1つの集電体には、貫通孔を複数有する金属メッシュを用い、その金属メッシュからなる集電体の表面に、貫通孔を塞ぐことなく樹脂結合層を形成する工程と、正極活物質層となる正極活物質フィルムと正極集電体とを含んで構成される正極複合体と、負極活物質層となる負極活物質フィルムと負極集電体とを含んで構成される負極複合体とでセパレータを挟み込み、これらを熱圧着する工程と、を含むことを特徴とする。
【0018】
上記本発明の製造方法は、金属メッシュからなる集電体に、活物質層となる活物質フィルムを重ね合わせるよりも前に、メッシュ集電体の表面を樹脂結合層で覆う工程を含むものである。そして、樹脂結合層を介して集電体と、活物質フィルムとを一体化させる。この方法によれば、樹脂結合層がメッシュ集電体と活物質フィルムとにまたがって両者の結合を強化するため、集電体に金属メッシュ、かつ電池の薄型化に必要不可欠なシングルセル構造を採用したとしても、得られる電池の性能を著しく低下させるほど集電体と活物質層との結合力が不足する、という事態は回避できる。
【0019】
なお、集電体と活物質フィルムとを一体化する方法としては、別々に準備した両者を重ね合わせて熱圧着する方法や、印刷法により集電体上に活物質フィルムを直接形成する方法を例示できる。
【0020】
また、本発明の板型電池の製造方法の第二は、セパレータと、セパレータにより互いに分離された正極活物質層および負極活物質層と、セパレータとの間に正極活物質層および負極活物質層をそれぞれ挟む正極集電体および負極集電体とを備えた板型電池の製造方法であって、正極集電体および負極集電体とからなる集電体群のうち、少なくとも1つの集電体には、貫通孔を複数有する金属メッシュを用い、その金属メッシュからなる集電体の一方の面側に活物質フィルム、他方の面側に結合材フィルムを配置して、これらを熱圧着することにより正極および/または負極の電極複合体を作製する工程と、正極複合体と負極複合体とでセパレータを挟み込み、これらを熱圧着する工程と、を含むことを特徴とする。
【0021】
上記第二の製造方法は、集電体の貫通孔を通じて活物質フィルムと結合材フィルムとを接触させるものである。これによれば、少なくとも貫通孔の開口の広さ分、活物質フィルムと結合材フィルムとの結合部を形成できる。すなわち、第一の製造方法と同様に、集電体と活物質フィルムとの結合を強化することができる。なお、上記した第一の製造方法と第二の製造方法とを組み合わせて実施できることは、以下の説明より明らかとなる。
【0022】
なお、メッシュ集電体の表面を被覆する樹脂結合層の形成方法としては、樹脂結合層を構成するべき高分子基質を含有した溶液に集電体を浸漬する方法を示せる。そして、その際に使用する高分子基質は、正極活物質フィルムおよび/または負極活物質フィルムに含まれる高分子基質と、実質的に同一組成を有するものとすることができる。また、上記した第二の製造方法における結合材フィルムとしては、正極活物質フィルムおよび/または負極活物質フィルムに含まれる高分子基質から構成されるものを好適に使用できる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明にかかる非水電解質リチウムポリマー二次電池1(以下、単に電池1と略記する)の断面模式図である。電池1は、発電要素であるセル2が、外装材4の中に密封された構造を有する。セル2は、セパレータ3の、一方の主面側に正極層7、他方の主面側に負極層10が、それぞれ1層ずつ配置された構造を有する。図2は、セル2を負極側から見た上面図である。
【0024】
正極層7および負極層10は、いずれも透液性を有する。正極層7は、1層の正極集電体5の片面側に、1層の正極活物質層6を重ね合わせた構造を有する。同様に、負極層10は、1層の負極集電体8の片面側に、1層の負極活物質層9を重ね合わせた構造を有する。したがって、正極活物質層6は、セパレータ3と正極集電体5との間に位置し、負極活物質層9は、セパレータ3と負極集電体8との間に位置している。正極集電体5および負極集電体8は、厚さ方向の貫通孔を複数有する金属メッシュで構成されている。正極集電体5は、AlまたはAl合金により構成されていることが好ましい。負極集電体8は、CuまたはCu合金により構成されていることが好ましい。また、正極集電体5および負極集電体8は、それぞれタブ5’,8’を有している。タブ5’,8’は、シール部11から外装材4の外側に延び出る電力取出用の端子リード12,13にそれぞれ接続されている。
【0025】
正極活物質層6は、正極活物質、導電助剤および正極用高分子基質を含んで構成されるものであり、たとえば10μm以上300μm以下の厚さに調整される。同様に、負極活物質層9は、負極活物質、導電助剤および負極用高分子基質を含んで構成されるものであり、たとえば10μm以上300μm以下の厚さに調整される。セパレータ3、正極活物質層6および負極活物質層9は多孔質形態をなし、LiPF6などのリチウム塩を、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの有機溶媒に溶解させた非水電解液が含浸されている。
【0026】
正極活物質層6および負極活物質層9の高分子基質(バインダ)としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTEF)などのフッ素樹脂や、あるいはこれらのフッ素樹脂の共重合体を使用することができる。
【0027】
正極活物質層6を構成する正極活物質としては、LiMnO2やLiCoO2などの遷移金属リチウム酸化物を使用できる。負極活物質層9を構成する負極活物質としては、メソフューズカーボン材などの黒鉛系炭素材料が好適である。また、導電助剤(導電性物質)としてはアセチレンブラックなどの導電性カーボンを使用できる。
【0028】
セパレータ3は、正極活物質層6および負極活物質層9に含まれるバインダと同様の材料、たとえばPVDFやHFP、あるいはそれらの共重合体により構成される(SiO2などのフィラーを混入させてもよい)。あるいは、ポリエチレンやポリプロピレンなどの多孔質樹脂フィルム、ポリエチレン層をポリプロピレン層で挟んだ複数層構造を持つ多孔質樹脂フィルム、ポリエチレンやポリプロピレンなどの樹脂層と、PVDFやHFP、あるいはそれらの共重合体からなる樹脂層とを有する多孔質樹脂フィルムなどを使用してもよく、その厚さは、たとえば5μm以上50μm以下に調整される。
【0029】
また、外装材4は、アルミニウム箔の両面に樹脂層を設けたフィルムであり、その厚さは、たとえば50μm以上200以下μmに調整される。外側に露出する樹脂層としては、たとえばポリエチレンテレフタラートや2軸延伸ナイロンなどが使用され、内側の樹脂層には、ポリエチレンやポリプロピレンなど、電解液に対する耐性を備える材質が使用される。
【0030】
次に、図3、図4および図5に、正極層の部分拡大断面模式図を示す。図3に示す正極層71において、樹脂結合層14は、正極集電体5の表面を被覆するとともに、正極集電体5と、正極集電体5に重ね合わされた正極活物質層6とに介在する形で設けられている。樹脂結合層14は、貫通孔を塞がずに、正極集電体5の表面だけを選択的に被覆している。したがって、貫通孔内に正極活物質層6が十分にめり込み、その分だけ体積を稼いでいる。図3に示す形態では、正極集電体5の表面全部(ただし、電極取り出し用の端子部5’は含んでも含まなくてもよい)を樹脂結合層14で覆うようにしているが、正極活物質層6は、正極集電体5の片面側にしか設けないので、反対側は、極めて薄い樹脂結合層14が剥き出しになる。ただし、このことは樹脂結合層14の形成手法にもよる。すなわち、樹脂結合層14形成用の溶液30に正極集電体5を浸漬すれば、樹脂結合層14を全体に満遍なく形成できる(図6参照)。他方、正極集電体5の一方の側をマスクして、他方の側から同じ溶液をスプレーすれば、正極活物質層6との接触部分にだけ、選択的に樹脂結合層14を形成することができる。
【0031】
次に、図4に示す正極層72において、樹脂結合層16は、正極集電体5の貫通孔を一方の主面側から塞ぐようにして設けられ、反対側に配置された正極活物質層6と、貫通孔を通じて接している。この形態において、樹脂結合層16は、正極集電体5の貫通孔からはみ出た部分の厚さt1が、30μm以下(実質的に、0にすることは困難)に調整されている。一見、樹脂結合層16の代わりに、薄い正極活物質層を配置すればよいようにも思えるが、樹脂結合層16と正極活物質層とでは、薄型化の限界に差がある。したがって、正極活物質層6は正極集電体5の片面側にのみ設け、他面側には薄い樹脂フィルムを貼り付けて樹脂結合層16を形成する方が、負荷性能や充放電サイクル性能の高さなどの観点から総合的に判断すると、優れている。なお、図5に、図3の形態と図4の形態とを組み合わせた正極層7を示す。この形態において樹脂結合層は、第1の樹脂結合層14と第2の樹脂結合層16とに分けて考えることができる。図5の形態によると、正極集電体5と正極活物質層6との結合力をより高めることができ、電池の寿命も延びる。
【0032】
図3および図5に示した樹脂結合層14は多孔質性を有するので、正極活物質層6に含浸された電解液は、正極集電体5に十分に接することができる。詳細は後述するが、樹脂結合層14は、正極活物質層6および負極活物質層9を形成する際に、一緒に多孔質化されるため、その多孔質化工程で使用される有機溶媒に不溶な材料で構成されている。具体的に、樹脂結合層14は、正極活物質層6に含まれる高分子基質で構成されている。もちろん、図4および図5に示す樹脂結合層16が多孔質性を有し、さらに正極活物質層6に含まれる高分子基質で構成されていてもよい。そのようにすれば、樹脂結合層14,16と正極活物質層6とのなじみもよく、両者の結合をより確実なものにできる。
【0033】
なお、正極集電体5として用いる金属メッシュは、厚さが10μm以上50μm以下であり、開口率が30%以上80%以下に調整されていることが好ましい(好ましくは50%以上70%以下)。開口率が小さすぎると、正極活物質層6と結合樹脂層16の結合力が不十分となって、正極集電体5と正極活物質層6との剥離が生じ易くなるので好ましくない。また、セル2の全体積に対する正極活物質層6の体積占有率も満足できる値が得られなくなる。他方、正極層7の強度不足が懸念されるため、開口率は無闇に大きくしない方がよい。なお、金属メッシュとしては、エキスパンドメタルおよびパンチングメタルのいずれを使用してもよい。さらには、エッチングにより貫通孔が形成された金属メッシュも使用できる。なお、1つの貫通孔の開口面積は、たとえば0.1mm2以上2mm2以下に調整されているとよい。つまり、メッシュが小さすぎると活物質の充填がスムーズに行なわれず、空隙等が生じる恐れがある。逆に大きすぎると、活物質層との接触面積を稼ぐ上で不利となる。
【0034】
図3から図5に示した正極層71,72,7は、それぞれ別態様であるが、いずれも図1の電池1に好適であり、正極集電体5と正極活物質層6とに接するように樹脂結合層を設けて、両者の結合力の向上を図っているという点については共通している。なお、図3から図5には正極層しか示していないが、樹脂結合層を設ける構造を負極層にも採用できることは説明するまでもないので、本明細書では正極層についてのみ説明した。
【0035】
以上に示した電池1は、ICカード用の二次電池として好適である。たとえば、ICカードに表示部を設けたりするには、電池が必要である。ICカードの寿命(5〜6年)を考慮すると、使い捨ての一次電池ではなく、繰り返し充放電可能な二次電池が必要となり、その際に薄型化技術が重要性を増す。図1で示した外装材4は、一般にはアルミニウム箔の両面に樹脂をラミネートしたアルミラミネート層で構成され、強度と耐食性の要請から約0.1mm程度の厚さが必要とされる。とすると、電池全体の厚さを0.5mm以下にするには、セルの部分を0.3mm以下に収める必要がある。その場合、集電体の片面側にのみ活物質層を設けたシングルセル構造が有効である。一方、リチウムポリマー二次電池に関して言えば、活物質層を構成するゲル化された高分子基質は、非水電解液との親和性が高いため、充放電時の非水電解液の移動に伴って膨潤する傾向がある。その結果、活物質層と集電体との電気的接触が悪化し、内部抵抗の上昇、電池容量の減少を招く。特に、極薄のシングルセル構造では、捲回構造や、セルを複数積み重ねた構造よりも、集電体と活物質層の剥離の問題が深刻になる。したがって、図3、図4および図5に示したような、樹脂結合層14,16の重要性がいっそう増すといえる。
【0036】
次に、図1に示した電池1の製造方法について説明する。
まず、図6に示すように、活物質層6,9のバインダとして使用する高分子基質(たとえばPVDF+HFP)と可塑剤(DBP)をアセトン等の有機溶媒に加えた溶液30に、金属メッシュからなる集電体5,8を浸漬したのち、集電体5,8を溶液30から取り出して乾燥させることにより、その表面に非多孔質樹脂結合層を形成する(第1の樹脂結合層形成工程)。溶液30に浸漬する代わりに、溶液30をスプレーする手法も採用できる。なお、所定形状に切断する前の金属メッシュに非多孔質樹脂結合層を形成するようにしてもよい。また、図4に示した形態は、樹脂結合層14を有さないので、この工程は省略される。
【0037】
一方、集電体5,8とは別に、正極活物質層6となる正極活物質フィルム6aおよび負極活物質層9となる負極活物質フィルム9aを成形する(活物質フィルム成形工程)。図7に示すように、アセトンや酢酸エチルなどの有機溶媒20と、活物質、導電助剤、バインダおよび可塑剤を含む原料混合物21とを混錬して、電極材料スラリ22を得る。可塑剤は、フィルムに柔軟性を付加し、加工性を向上させるとともに、電解液を添加するよりも前の工程において抽出および除去されることにより、正極活物質フィルム6aを多孔質化して正極活物質層6とするため、または負極活物質フィルム9aを多孔質化して負極活物質層9とするために加えられる。そのような可塑剤としては、たとえばジブチルフタレート(DBP)、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどを使用できる。得られた電極材料スラリ22を、ドクターブレード法等によりシート状に成形して、溶媒を蒸発させて硬化させる。これにより、活物質フィルム6a,9aが得られる。また、上記の電極材料スラリ22を、集電体5,8に直接印刷することにより、活物質フィルム6a,9aを成形することもできる。
【0038】
次に、図8に示すように、正極集電体5の一方の側に正極活物質フィルム6a、他方の側に樹脂結合層16となる結合材フィルム16aを配置し、これらを加熱しながら圧着させ、正極複合体7aを得る(複合体形成工程)。同様にして、負極複合体10aを得る。
【0039】
次に、セパレータ3を正極活複合体7aと負極複合体10aとで挟み、これらを加熱しながら圧着させる(熱圧着工程)。所定形状に切断後、正負の電極複合体7a,10aとセパレータ3との積層体を治具に支持させ、正極活物質フィルム6a、負極活物質フィルム9aおよび結合材フィルム16aに含まれた可塑剤のみを選択的に溶解させる処理液中に浸漬する。このような処理液としては、ジエチルエーテル、メタノール、エタノール、キシレンなどを用いることができる。活物質フィルム6a,9aから可塑剤が溶出除去されて多数の細孔を有する活物質層6,9が形成される(多孔質化工程)。可塑剤の溶出が終了したのち、処理液から引き上げて液切りして洗浄・乾燥させれば、セル2が得られる。このセル2に、リード等の部品を取り付けて外装材4で包み、電解液を含浸させる(電解液注入工程)。その後、外装材4を封口することにより、図1に示す板型電池1が得られる。
【0040】
なお、本実施形態ではリチウムポリマー二次電池を取り上げているが、本発明の技術を液式のリチウムイオン電池に適用できることはもちろんである。
【0041】
【実験例】
本発明の効果を確かめるために、以下の実験を行なった。まず、既述した製造方法により本発明の板型電池を作製した。
【0042】
(正極活物質フィルムの作製)
各材料を総質量が100gとなるように下記の質量比で秤量し、アセトン100gを加えて30分間混錬して、正極材料スラリを得た。この正極材料スラリをPET層上に塗布および乾燥させて、厚さ100μmの正極活物質フィルム6aを得た。
・LiCoO2/アセチレンブラック/バインダ(PVDF+HFP)/可塑剤(DBP)=70/5/8/17
【0043】
(負極活物質フィルムの作製)
各材料を総質量が100gとなるように下記の質量比で秤量し、アセトン100gを加えて30分間混錬して、負極材料スラリを得た。この負極材料スラリをPET層上に塗布および乾燥させて、厚さ70μmの負極活物質フィルム9aを得た。
・メソカーボンマイクロビーズ/アセチレンブラック/バインダ(PVDF+HFP)/可塑剤(DBP)=70/2/9/19
【0044】
(正極集電体および負極集電体の前処理)
正極集電体5として、厚さ30μm、開口率50%のアルミニウム製パンチングメタルを準備した。負極集電体8として、厚さ30μm、開口率50%の銅製パンチングメタルを準備した。これらを純水で洗浄後、アセトンを溶媒とした1%バインダ(PVDF+HFP)溶液に30秒間浸漬し、溶液から取り出して自然乾燥させた。
【0045】
(結合材フィルムの作製)
活物質フィルム6a,9aに使用したバインダ(PVDF+HFP)を50g、可塑剤(DBP)を15g秤量し、これらをアセトン300gに加えて混錬したのち、PET層上に塗布および乾燥させて、厚さ20μmの結合材フィルム16aを得た。
【0046】
(正極複合体および負極複合体の作製)
正負の電極複合体は、次の番号▲1▼から▲5▼までの5種類を作製した。なお、電池を組立てる際、正負の電極複合体には、同形態のものを使用した。
▲1▼集電体処理品(図3に示す実施形態)
▲2▼集電体処理品+結合材フィルム(図5に示す実施形態)
▲3▼集電体未処理品+結合材フィルム(図4に示す実施形態)
▲4▼集電体未処理品
▲5▼集電体未処理品、かつ両面に活物質
【0047】
番号▲1▼の電極複合体は、バインダ溶液に浸漬処理した正極および負極集電体5,8の片面側にだけ活物質フィルム6a,9aをそれぞれ配置して、カレンダロール装置により熱ラミネートを行なうことにより得た。番号▲2▼の電極複合体は、バインダ溶液に浸漬処理した正極および負極集電体5,8の片面側に活物質フィルム6a,9a、他面側に結合材フィルム16aを配置して、これらを熱ラミネートすることにより得た。番号▲3▼の電極複合体は、バインダ溶液未浸漬の正極および負極集電体5,8の片面側に活物質フィルム6a,9a、他面側に結合材フィルム16aを配置して、これらを熱ラミネートすることにより得た。なお、熱ラミネートは、温度120℃、ロールスピード2m/min、印加圧力40kgfの条件にて行った。
【0048】
(電池の組立)
23μmの厚さを有する、多孔質ポリエチレン製セパレータ3(16.7mm×21.0mm)の一方の面側に正極複合体(13.7mm×16.5mm)、他方の面側に負極複合体(15.2mm×19.0mm)を配置し、これらを120℃で熱ラミネートして、3者が一体となった積層体を得た。この積層体を試薬1級メチルアルコール中に1時間浸漬して、可塑剤(DBP)を抽出し、セル2を得た。このセル2を、アルミラミネート外装材4(厚さ110μm)で包み、先に抽出した可塑剤とほぼ同体積の電解液を、露点−55℃のドライボックス内で含浸させ、外装材4を封口することにより本発明の板型電池、ならびに比較例に該当する板型電池を得た。なお、電解液は、エチルカーボネートとエチルメチルカーボネートとを1:1の体積比で混合した溶媒に、LiPF6を1mol/literの濃度で加えたものである。
【0049】
(性能試験)
得られた電池について、負荷試験と充放電サイクル試験とを、25℃の温度にて行なった。結果を表1に示す。なお、性能試験の結果は、サンプル数20個の平均値である。
・負荷試験…{(2CmA放電時の容量)/(1CmA放電時の容量)}×100(パーセント)
・充放電サイクル試験…1CmA充電CCCV(定電流―定電圧充電)−1CmA放電CC(定電流放電)を200サイクル繰り返し、1サイクル目の容量に対する200サイクル目の容量をパーセントで表した。
【0050】
【表1】
【0051】
表1に示すように、本発明品である番号▲1▼、▲2▼および▲3▼の電池は、電池全体の厚さも0.5mmを下回り、かつ負荷試験、充放電サイクル試験のいずれの試験においても、十分な性能が得られた。他方、比較品である番号▲4▼の電池については、負荷性能がやや低いうえ、充放電サイクル性能が著しく低い結果を示した。また、番号▲5▼の電池については、総厚さが0.5mmを上回ったため、極薄型化された電池でないうえ、負荷性能も不十分であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の板型電池の断面模式図。
【図2】セルの上面図。
【図3】正極複合体(または負極複合体)の部分拡大断面模式図。
【図4】正極複合体の別態様を示す部分拡大断面模式図。
【図5】同じく正極複合体の別態様を示す部分拡大断面模式図。
【図6】樹脂結合層の形成方法の説明図。
【図7】活物質フィルムの成形方法の説明図。
【図8】電池の工程説明図。
【符号の説明】
1 電池(板型電池)
2 セル
3 セパレータ
4 外装材
5 正極集電体
6 正極活物質層
6a 正極活物質フィルム
7,71,72 正極層
7a 正極複合体
8 負極集電体
9 負極活物質層
9a 負極活物質フィルム
10 負極層
10a 負極複合体
14 第1の樹脂結合層
16 第2の樹脂結合層
16a 結合材フィルム
30 含高分子溶液
【発明の属する技術分野】
本発明は、板型電池およびその製造方法に関する。特に、ICカード等に搭載する目的で、電池を薄型化する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
昨今、磁気カードに代わる簡易記憶媒体として、ICチップを内蔵したICカードが注目を浴びている。ISO規格によれば、ICカードの厚さは0.76mm±10%に規定されているので、ICカードに電池を内蔵させる場合、たとえば、厚さ約0.5mm以下の薄い電池が必要となる。
【0003】
電池の薄型化を図るため、正極集電体の片面側にだけ正極活物質層を設けた正極層と、負極集電体の片面側にだけ負極活物質層を設けた負極層とを、セパレータの左右に配置したシングルセル構造が提案されている。
【0004】
集電体の片面側にしか活物質層がないシングルセル構造は、集電体を両側から活物質層で挟み込む構造に比べて、集電体と活物質層との結合力が不足する。両者がしっかりと接していないと、電池の内部抵抗が高くなって好ましくない。したがって、両者の結合力をどのようにして強くするかが問題となる。
【0005】
ところで、活物質層となる活物質フィルムと、集電体とを一体化する技術としては、両者を熱圧着して一体化する技術がある(下記特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
米国特許5470357号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記特許文献1の技術を適用したとしても、集電体と活物質フィルムとの結合力不足が原因で、電池の内部抵抗が高くなるなど、設計通りの電気特性を得られない場合がある。このような不具合は、電池の薄型化を進めれば進めるほど顕著となる傾向にある。また、セルの全体積に対する活物質層の体積占有率をなるべく大きくするために、集電体に金属メッシュが採用されるが、このことは活物質層と集電体との接触抵抗を減ずるには不利な点である。
【0008】
本発明の課題は、極薄化にも対応可能な構造の板型電池およびその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】
上記課題を解決するために本発明は、セパレータと、セパレータにより互いに分離された正極活物質層および負極活物質層と、セパレータとの間に正極活物質層および負極活物質層をそれぞれ挟む正極集電体および負極集電体とを備えた板型電池であって、正極集電体および負極集電体とからなる集電体群のうち、少なくとも1つの集電体は、(a)複数の貫通孔を有する金属メッシュにより構成され、(b)片面側にのみ活物質層が配置されており、上記(a)および(b)の条件を満足する集電体と、その集電体に組み合わされた活物質層との両者に接する樹脂結合層が設けられていることを特徴とする。
【0010】
上記本発明の板型電池においては、正極側および負極側の少なくとも一方の集電体を金属メッシュで構成して、電気エネルギーの生成に直接寄与する活物質の量を高めている。そして、そのような集電体と活物質層との両者に接する樹脂結合層を設けたものである。この樹脂結合層が集電体と活物質層とにまたがって両者の結合を強化するため、集電体に金属メッシュ、かつ電池の薄型化に必要不可欠なシングルセル構造を採用したとしても、電池の性能を著しく低下させるほど集電体と活物質層との結合力が不足する、という事態は回避できる。
【0011】
具体的に、上記した樹脂結合層は、貫通孔を塞ぐことなく金属メッシュからなる集電体の表面を被覆するとともに、その集電体と、活物質層とに介在する形態で設けることができる。加えて、樹脂結合層は、多孔質とされる。このように、活物質層と集電体との間に樹脂結合層を設けるようにすれば、活物質層と集電体との剥離を抑制する効果がより高くなる。
【0012】
また、別の好適な態様においては、上記した樹脂結合層を、貫通孔を一方の主面側から塞ぐ形態で設け、反対側に配置された活物質層と、貫通孔を通じて接するようにすることができる。このようにすると、少なくとも貫通孔の開口の広さ分、活物質層と樹脂結合層との結合部を形成できる。さらに、活物質層の無い側を樹脂結合層で覆うことにより、集電体の酸化防止効果も期待できる。
【0013】
なお、上記した2つの態様を組み合わせることも可能であり、その場合には、活物質層と集電体とを、より強く結合することができる。また、電池に要求される性能や用途に応じて、上記(a)および(b)の条件を、正極集電体のみが満足する態様、負極集電体だけが満足する態様、正極集電体および負極集電体の両方が満足する態様を採用できることはもちろんである。
【0014】
また、本発明の板型電池の各構成は、非水電解質二次電池に好適に採用できる。非水電解質二次電池において、正極活物質層は、正極活物質、導電助剤および正極用高分子基質を含み、負極活物質層は、負極活物質、導電助剤および負極用高分子基質を含む。そして、セパレータ、正極活物質層および負極活物質層が多孔質形態をなし、かつ非水電解液が含浸されている。本発明の構成を採用すれば、充放電を繰り返しても集電体と活物質層との剥離が起こりにくくなるので、充放電サイクル寿命が長くなる。
【0015】
また、樹脂結合層は、正極活物質層および負極活物質層の細孔を形成する際の多孔質化工程で使用される有機溶媒に不溶な材料で構成することができる。そうすれば、正極、負極およびセパレータを一体化したあとから上記の多孔質化工程を行なえるようになる。
【0016】
また、樹脂結合層は、少なくともその層が形成されている極の活物質層を構成する高分子基質と、実質的に同一組成を持つものとすることができる。このようにすると、活物質層と樹脂結合層とのなじみ性が向上し、より強固な結合を実現できる。
【0017】
また、本発明の板型電池の製造方法の第一は、セパレータと、セパレータにより互いに分離された正極活物質層および負極活物質層と、セパレータとの間に正極活物質層および負極活物質層をそれぞれ挟む正極集電体および負極集電体とを備えた板型電池の製造方法であって、正極集電体および負極集電体とからなる集電体群のうち、少なくとも1つの集電体には、貫通孔を複数有する金属メッシュを用い、その金属メッシュからなる集電体の表面に、貫通孔を塞ぐことなく樹脂結合層を形成する工程と、正極活物質層となる正極活物質フィルムと正極集電体とを含んで構成される正極複合体と、負極活物質層となる負極活物質フィルムと負極集電体とを含んで構成される負極複合体とでセパレータを挟み込み、これらを熱圧着する工程と、を含むことを特徴とする。
【0018】
上記本発明の製造方法は、金属メッシュからなる集電体に、活物質層となる活物質フィルムを重ね合わせるよりも前に、メッシュ集電体の表面を樹脂結合層で覆う工程を含むものである。そして、樹脂結合層を介して集電体と、活物質フィルムとを一体化させる。この方法によれば、樹脂結合層がメッシュ集電体と活物質フィルムとにまたがって両者の結合を強化するため、集電体に金属メッシュ、かつ電池の薄型化に必要不可欠なシングルセル構造を採用したとしても、得られる電池の性能を著しく低下させるほど集電体と活物質層との結合力が不足する、という事態は回避できる。
【0019】
なお、集電体と活物質フィルムとを一体化する方法としては、別々に準備した両者を重ね合わせて熱圧着する方法や、印刷法により集電体上に活物質フィルムを直接形成する方法を例示できる。
【0020】
また、本発明の板型電池の製造方法の第二は、セパレータと、セパレータにより互いに分離された正極活物質層および負極活物質層と、セパレータとの間に正極活物質層および負極活物質層をそれぞれ挟む正極集電体および負極集電体とを備えた板型電池の製造方法であって、正極集電体および負極集電体とからなる集電体群のうち、少なくとも1つの集電体には、貫通孔を複数有する金属メッシュを用い、その金属メッシュからなる集電体の一方の面側に活物質フィルム、他方の面側に結合材フィルムを配置して、これらを熱圧着することにより正極および/または負極の電極複合体を作製する工程と、正極複合体と負極複合体とでセパレータを挟み込み、これらを熱圧着する工程と、を含むことを特徴とする。
【0021】
上記第二の製造方法は、集電体の貫通孔を通じて活物質フィルムと結合材フィルムとを接触させるものである。これによれば、少なくとも貫通孔の開口の広さ分、活物質フィルムと結合材フィルムとの結合部を形成できる。すなわち、第一の製造方法と同様に、集電体と活物質フィルムとの結合を強化することができる。なお、上記した第一の製造方法と第二の製造方法とを組み合わせて実施できることは、以下の説明より明らかとなる。
【0022】
なお、メッシュ集電体の表面を被覆する樹脂結合層の形成方法としては、樹脂結合層を構成するべき高分子基質を含有した溶液に集電体を浸漬する方法を示せる。そして、その際に使用する高分子基質は、正極活物質フィルムおよび/または負極活物質フィルムに含まれる高分子基質と、実質的に同一組成を有するものとすることができる。また、上記した第二の製造方法における結合材フィルムとしては、正極活物質フィルムおよび/または負極活物質フィルムに含まれる高分子基質から構成されるものを好適に使用できる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明にかかる非水電解質リチウムポリマー二次電池1(以下、単に電池1と略記する)の断面模式図である。電池1は、発電要素であるセル2が、外装材4の中に密封された構造を有する。セル2は、セパレータ3の、一方の主面側に正極層7、他方の主面側に負極層10が、それぞれ1層ずつ配置された構造を有する。図2は、セル2を負極側から見た上面図である。
【0024】
正極層7および負極層10は、いずれも透液性を有する。正極層7は、1層の正極集電体5の片面側に、1層の正極活物質層6を重ね合わせた構造を有する。同様に、負極層10は、1層の負極集電体8の片面側に、1層の負極活物質層9を重ね合わせた構造を有する。したがって、正極活物質層6は、セパレータ3と正極集電体5との間に位置し、負極活物質層9は、セパレータ3と負極集電体8との間に位置している。正極集電体5および負極集電体8は、厚さ方向の貫通孔を複数有する金属メッシュで構成されている。正極集電体5は、AlまたはAl合金により構成されていることが好ましい。負極集電体8は、CuまたはCu合金により構成されていることが好ましい。また、正極集電体5および負極集電体8は、それぞれタブ5’,8’を有している。タブ5’,8’は、シール部11から外装材4の外側に延び出る電力取出用の端子リード12,13にそれぞれ接続されている。
【0025】
正極活物質層6は、正極活物質、導電助剤および正極用高分子基質を含んで構成されるものであり、たとえば10μm以上300μm以下の厚さに調整される。同様に、負極活物質層9は、負極活物質、導電助剤および負極用高分子基質を含んで構成されるものであり、たとえば10μm以上300μm以下の厚さに調整される。セパレータ3、正極活物質層6および負極活物質層9は多孔質形態をなし、LiPF6などのリチウム塩を、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの有機溶媒に溶解させた非水電解液が含浸されている。
【0026】
正極活物質層6および負極活物質層9の高分子基質(バインダ)としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTEF)などのフッ素樹脂や、あるいはこれらのフッ素樹脂の共重合体を使用することができる。
【0027】
正極活物質層6を構成する正極活物質としては、LiMnO2やLiCoO2などの遷移金属リチウム酸化物を使用できる。負極活物質層9を構成する負極活物質としては、メソフューズカーボン材などの黒鉛系炭素材料が好適である。また、導電助剤(導電性物質)としてはアセチレンブラックなどの導電性カーボンを使用できる。
【0028】
セパレータ3は、正極活物質層6および負極活物質層9に含まれるバインダと同様の材料、たとえばPVDFやHFP、あるいはそれらの共重合体により構成される(SiO2などのフィラーを混入させてもよい)。あるいは、ポリエチレンやポリプロピレンなどの多孔質樹脂フィルム、ポリエチレン層をポリプロピレン層で挟んだ複数層構造を持つ多孔質樹脂フィルム、ポリエチレンやポリプロピレンなどの樹脂層と、PVDFやHFP、あるいはそれらの共重合体からなる樹脂層とを有する多孔質樹脂フィルムなどを使用してもよく、その厚さは、たとえば5μm以上50μm以下に調整される。
【0029】
また、外装材4は、アルミニウム箔の両面に樹脂層を設けたフィルムであり、その厚さは、たとえば50μm以上200以下μmに調整される。外側に露出する樹脂層としては、たとえばポリエチレンテレフタラートや2軸延伸ナイロンなどが使用され、内側の樹脂層には、ポリエチレンやポリプロピレンなど、電解液に対する耐性を備える材質が使用される。
【0030】
次に、図3、図4および図5に、正極層の部分拡大断面模式図を示す。図3に示す正極層71において、樹脂結合層14は、正極集電体5の表面を被覆するとともに、正極集電体5と、正極集電体5に重ね合わされた正極活物質層6とに介在する形で設けられている。樹脂結合層14は、貫通孔を塞がずに、正極集電体5の表面だけを選択的に被覆している。したがって、貫通孔内に正極活物質層6が十分にめり込み、その分だけ体積を稼いでいる。図3に示す形態では、正極集電体5の表面全部(ただし、電極取り出し用の端子部5’は含んでも含まなくてもよい)を樹脂結合層14で覆うようにしているが、正極活物質層6は、正極集電体5の片面側にしか設けないので、反対側は、極めて薄い樹脂結合層14が剥き出しになる。ただし、このことは樹脂結合層14の形成手法にもよる。すなわち、樹脂結合層14形成用の溶液30に正極集電体5を浸漬すれば、樹脂結合層14を全体に満遍なく形成できる(図6参照)。他方、正極集電体5の一方の側をマスクして、他方の側から同じ溶液をスプレーすれば、正極活物質層6との接触部分にだけ、選択的に樹脂結合層14を形成することができる。
【0031】
次に、図4に示す正極層72において、樹脂結合層16は、正極集電体5の貫通孔を一方の主面側から塞ぐようにして設けられ、反対側に配置された正極活物質層6と、貫通孔を通じて接している。この形態において、樹脂結合層16は、正極集電体5の貫通孔からはみ出た部分の厚さt1が、30μm以下(実質的に、0にすることは困難)に調整されている。一見、樹脂結合層16の代わりに、薄い正極活物質層を配置すればよいようにも思えるが、樹脂結合層16と正極活物質層とでは、薄型化の限界に差がある。したがって、正極活物質層6は正極集電体5の片面側にのみ設け、他面側には薄い樹脂フィルムを貼り付けて樹脂結合層16を形成する方が、負荷性能や充放電サイクル性能の高さなどの観点から総合的に判断すると、優れている。なお、図5に、図3の形態と図4の形態とを組み合わせた正極層7を示す。この形態において樹脂結合層は、第1の樹脂結合層14と第2の樹脂結合層16とに分けて考えることができる。図5の形態によると、正極集電体5と正極活物質層6との結合力をより高めることができ、電池の寿命も延びる。
【0032】
図3および図5に示した樹脂結合層14は多孔質性を有するので、正極活物質層6に含浸された電解液は、正極集電体5に十分に接することができる。詳細は後述するが、樹脂結合層14は、正極活物質層6および負極活物質層9を形成する際に、一緒に多孔質化されるため、その多孔質化工程で使用される有機溶媒に不溶な材料で構成されている。具体的に、樹脂結合層14は、正極活物質層6に含まれる高分子基質で構成されている。もちろん、図4および図5に示す樹脂結合層16が多孔質性を有し、さらに正極活物質層6に含まれる高分子基質で構成されていてもよい。そのようにすれば、樹脂結合層14,16と正極活物質層6とのなじみもよく、両者の結合をより確実なものにできる。
【0033】
なお、正極集電体5として用いる金属メッシュは、厚さが10μm以上50μm以下であり、開口率が30%以上80%以下に調整されていることが好ましい(好ましくは50%以上70%以下)。開口率が小さすぎると、正極活物質層6と結合樹脂層16の結合力が不十分となって、正極集電体5と正極活物質層6との剥離が生じ易くなるので好ましくない。また、セル2の全体積に対する正極活物質層6の体積占有率も満足できる値が得られなくなる。他方、正極層7の強度不足が懸念されるため、開口率は無闇に大きくしない方がよい。なお、金属メッシュとしては、エキスパンドメタルおよびパンチングメタルのいずれを使用してもよい。さらには、エッチングにより貫通孔が形成された金属メッシュも使用できる。なお、1つの貫通孔の開口面積は、たとえば0.1mm2以上2mm2以下に調整されているとよい。つまり、メッシュが小さすぎると活物質の充填がスムーズに行なわれず、空隙等が生じる恐れがある。逆に大きすぎると、活物質層との接触面積を稼ぐ上で不利となる。
【0034】
図3から図5に示した正極層71,72,7は、それぞれ別態様であるが、いずれも図1の電池1に好適であり、正極集電体5と正極活物質層6とに接するように樹脂結合層を設けて、両者の結合力の向上を図っているという点については共通している。なお、図3から図5には正極層しか示していないが、樹脂結合層を設ける構造を負極層にも採用できることは説明するまでもないので、本明細書では正極層についてのみ説明した。
【0035】
以上に示した電池1は、ICカード用の二次電池として好適である。たとえば、ICカードに表示部を設けたりするには、電池が必要である。ICカードの寿命(5〜6年)を考慮すると、使い捨ての一次電池ではなく、繰り返し充放電可能な二次電池が必要となり、その際に薄型化技術が重要性を増す。図1で示した外装材4は、一般にはアルミニウム箔の両面に樹脂をラミネートしたアルミラミネート層で構成され、強度と耐食性の要請から約0.1mm程度の厚さが必要とされる。とすると、電池全体の厚さを0.5mm以下にするには、セルの部分を0.3mm以下に収める必要がある。その場合、集電体の片面側にのみ活物質層を設けたシングルセル構造が有効である。一方、リチウムポリマー二次電池に関して言えば、活物質層を構成するゲル化された高分子基質は、非水電解液との親和性が高いため、充放電時の非水電解液の移動に伴って膨潤する傾向がある。その結果、活物質層と集電体との電気的接触が悪化し、内部抵抗の上昇、電池容量の減少を招く。特に、極薄のシングルセル構造では、捲回構造や、セルを複数積み重ねた構造よりも、集電体と活物質層の剥離の問題が深刻になる。したがって、図3、図4および図5に示したような、樹脂結合層14,16の重要性がいっそう増すといえる。
【0036】
次に、図1に示した電池1の製造方法について説明する。
まず、図6に示すように、活物質層6,9のバインダとして使用する高分子基質(たとえばPVDF+HFP)と可塑剤(DBP)をアセトン等の有機溶媒に加えた溶液30に、金属メッシュからなる集電体5,8を浸漬したのち、集電体5,8を溶液30から取り出して乾燥させることにより、その表面に非多孔質樹脂結合層を形成する(第1の樹脂結合層形成工程)。溶液30に浸漬する代わりに、溶液30をスプレーする手法も採用できる。なお、所定形状に切断する前の金属メッシュに非多孔質樹脂結合層を形成するようにしてもよい。また、図4に示した形態は、樹脂結合層14を有さないので、この工程は省略される。
【0037】
一方、集電体5,8とは別に、正極活物質層6となる正極活物質フィルム6aおよび負極活物質層9となる負極活物質フィルム9aを成形する(活物質フィルム成形工程)。図7に示すように、アセトンや酢酸エチルなどの有機溶媒20と、活物質、導電助剤、バインダおよび可塑剤を含む原料混合物21とを混錬して、電極材料スラリ22を得る。可塑剤は、フィルムに柔軟性を付加し、加工性を向上させるとともに、電解液を添加するよりも前の工程において抽出および除去されることにより、正極活物質フィルム6aを多孔質化して正極活物質層6とするため、または負極活物質フィルム9aを多孔質化して負極活物質層9とするために加えられる。そのような可塑剤としては、たとえばジブチルフタレート(DBP)、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどを使用できる。得られた電極材料スラリ22を、ドクターブレード法等によりシート状に成形して、溶媒を蒸発させて硬化させる。これにより、活物質フィルム6a,9aが得られる。また、上記の電極材料スラリ22を、集電体5,8に直接印刷することにより、活物質フィルム6a,9aを成形することもできる。
【0038】
次に、図8に示すように、正極集電体5の一方の側に正極活物質フィルム6a、他方の側に樹脂結合層16となる結合材フィルム16aを配置し、これらを加熱しながら圧着させ、正極複合体7aを得る(複合体形成工程)。同様にして、負極複合体10aを得る。
【0039】
次に、セパレータ3を正極活複合体7aと負極複合体10aとで挟み、これらを加熱しながら圧着させる(熱圧着工程)。所定形状に切断後、正負の電極複合体7a,10aとセパレータ3との積層体を治具に支持させ、正極活物質フィルム6a、負極活物質フィルム9aおよび結合材フィルム16aに含まれた可塑剤のみを選択的に溶解させる処理液中に浸漬する。このような処理液としては、ジエチルエーテル、メタノール、エタノール、キシレンなどを用いることができる。活物質フィルム6a,9aから可塑剤が溶出除去されて多数の細孔を有する活物質層6,9が形成される(多孔質化工程)。可塑剤の溶出が終了したのち、処理液から引き上げて液切りして洗浄・乾燥させれば、セル2が得られる。このセル2に、リード等の部品を取り付けて外装材4で包み、電解液を含浸させる(電解液注入工程)。その後、外装材4を封口することにより、図1に示す板型電池1が得られる。
【0040】
なお、本実施形態ではリチウムポリマー二次電池を取り上げているが、本発明の技術を液式のリチウムイオン電池に適用できることはもちろんである。
【0041】
【実験例】
本発明の効果を確かめるために、以下の実験を行なった。まず、既述した製造方法により本発明の板型電池を作製した。
【0042】
(正極活物質フィルムの作製)
各材料を総質量が100gとなるように下記の質量比で秤量し、アセトン100gを加えて30分間混錬して、正極材料スラリを得た。この正極材料スラリをPET層上に塗布および乾燥させて、厚さ100μmの正極活物質フィルム6aを得た。
・LiCoO2/アセチレンブラック/バインダ(PVDF+HFP)/可塑剤(DBP)=70/5/8/17
【0043】
(負極活物質フィルムの作製)
各材料を総質量が100gとなるように下記の質量比で秤量し、アセトン100gを加えて30分間混錬して、負極材料スラリを得た。この負極材料スラリをPET層上に塗布および乾燥させて、厚さ70μmの負極活物質フィルム9aを得た。
・メソカーボンマイクロビーズ/アセチレンブラック/バインダ(PVDF+HFP)/可塑剤(DBP)=70/2/9/19
【0044】
(正極集電体および負極集電体の前処理)
正極集電体5として、厚さ30μm、開口率50%のアルミニウム製パンチングメタルを準備した。負極集電体8として、厚さ30μm、開口率50%の銅製パンチングメタルを準備した。これらを純水で洗浄後、アセトンを溶媒とした1%バインダ(PVDF+HFP)溶液に30秒間浸漬し、溶液から取り出して自然乾燥させた。
【0045】
(結合材フィルムの作製)
活物質フィルム6a,9aに使用したバインダ(PVDF+HFP)を50g、可塑剤(DBP)を15g秤量し、これらをアセトン300gに加えて混錬したのち、PET層上に塗布および乾燥させて、厚さ20μmの結合材フィルム16aを得た。
【0046】
(正極複合体および負極複合体の作製)
正負の電極複合体は、次の番号▲1▼から▲5▼までの5種類を作製した。なお、電池を組立てる際、正負の電極複合体には、同形態のものを使用した。
▲1▼集電体処理品(図3に示す実施形態)
▲2▼集電体処理品+結合材フィルム(図5に示す実施形態)
▲3▼集電体未処理品+結合材フィルム(図4に示す実施形態)
▲4▼集電体未処理品
▲5▼集電体未処理品、かつ両面に活物質
【0047】
番号▲1▼の電極複合体は、バインダ溶液に浸漬処理した正極および負極集電体5,8の片面側にだけ活物質フィルム6a,9aをそれぞれ配置して、カレンダロール装置により熱ラミネートを行なうことにより得た。番号▲2▼の電極複合体は、バインダ溶液に浸漬処理した正極および負極集電体5,8の片面側に活物質フィルム6a,9a、他面側に結合材フィルム16aを配置して、これらを熱ラミネートすることにより得た。番号▲3▼の電極複合体は、バインダ溶液未浸漬の正極および負極集電体5,8の片面側に活物質フィルム6a,9a、他面側に結合材フィルム16aを配置して、これらを熱ラミネートすることにより得た。なお、熱ラミネートは、温度120℃、ロールスピード2m/min、印加圧力40kgfの条件にて行った。
【0048】
(電池の組立)
23μmの厚さを有する、多孔質ポリエチレン製セパレータ3(16.7mm×21.0mm)の一方の面側に正極複合体(13.7mm×16.5mm)、他方の面側に負極複合体(15.2mm×19.0mm)を配置し、これらを120℃で熱ラミネートして、3者が一体となった積層体を得た。この積層体を試薬1級メチルアルコール中に1時間浸漬して、可塑剤(DBP)を抽出し、セル2を得た。このセル2を、アルミラミネート外装材4(厚さ110μm)で包み、先に抽出した可塑剤とほぼ同体積の電解液を、露点−55℃のドライボックス内で含浸させ、外装材4を封口することにより本発明の板型電池、ならびに比較例に該当する板型電池を得た。なお、電解液は、エチルカーボネートとエチルメチルカーボネートとを1:1の体積比で混合した溶媒に、LiPF6を1mol/literの濃度で加えたものである。
【0049】
(性能試験)
得られた電池について、負荷試験と充放電サイクル試験とを、25℃の温度にて行なった。結果を表1に示す。なお、性能試験の結果は、サンプル数20個の平均値である。
・負荷試験…{(2CmA放電時の容量)/(1CmA放電時の容量)}×100(パーセント)
・充放電サイクル試験…1CmA充電CCCV(定電流―定電圧充電)−1CmA放電CC(定電流放電)を200サイクル繰り返し、1サイクル目の容量に対する200サイクル目の容量をパーセントで表した。
【0050】
【表1】
【0051】
表1に示すように、本発明品である番号▲1▼、▲2▼および▲3▼の電池は、電池全体の厚さも0.5mmを下回り、かつ負荷試験、充放電サイクル試験のいずれの試験においても、十分な性能が得られた。他方、比較品である番号▲4▼の電池については、負荷性能がやや低いうえ、充放電サイクル性能が著しく低い結果を示した。また、番号▲5▼の電池については、総厚さが0.5mmを上回ったため、極薄型化された電池でないうえ、負荷性能も不十分であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の板型電池の断面模式図。
【図2】セルの上面図。
【図3】正極複合体(または負極複合体)の部分拡大断面模式図。
【図4】正極複合体の別態様を示す部分拡大断面模式図。
【図5】同じく正極複合体の別態様を示す部分拡大断面模式図。
【図6】樹脂結合層の形成方法の説明図。
【図7】活物質フィルムの成形方法の説明図。
【図8】電池の工程説明図。
【符号の説明】
1 電池(板型電池)
2 セル
3 セパレータ
4 外装材
5 正極集電体
6 正極活物質層
6a 正極活物質フィルム
7,71,72 正極層
7a 正極複合体
8 負極集電体
9 負極活物質層
9a 負極活物質フィルム
10 負極層
10a 負極複合体
14 第1の樹脂結合層
16 第2の樹脂結合層
16a 結合材フィルム
30 含高分子溶液
Claims (17)
- セパレータと、前記セパレータにより互いに分離された正極活物質層および負極活物質層と、前記セパレータとの間に前記正極活物質層および前記負極活物質層をそれぞれ挟む正極集電体および負極集電体とを備えた板型電池であって、
前記正極集電体および前記負極集電体とからなる集電体群のうち、少なくとも1つの集電体は、(a)複数の貫通孔を有する金属メッシュにより構成され、(b)片面側にのみ活物質層が配置されており、
上記(a)および(b)の条件を満足する前記集電体と、その集電体に組み合わされた前記活物質層との両者に接する樹脂結合層が設けられていることを特徴とする板型電池。 - 前記樹脂結合層は多孔質であり、前記貫通孔を塞ぐことなく前記集電体の表面を被覆するとともに、前記集電体と、前記活物質層とに介在する形態で設けられている請求項1記載の板型電池。
- 前記樹脂結合層は、前記貫通孔を一方の主面側から塞ぐ形態で設けられ、反対側に配置された前記活物質層と、前記貫通孔を通じて接している請求項1記載の板型電池。
- 前記樹脂結合層は多孔質であり、前記貫通孔を塞ぐことなく前記集電体の表面を被覆するとともに、前記集電体と、前記活物質層とに介在する形態で設けられている第1の樹脂結合層と、前記貫通孔を一方の主面側から塞ぐ形態で設けられ、反対側に配置された前記活物質層と、前記貫通孔を通じて接している第2の樹脂結合層とを含む請求項1記載の板型電池。
- 前記正極集電体だけが、上記(a)および(b)の条件を満足する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の板型電池。
- 前記前記負極集電体だけが、上記(a)および(b)の条件を満足する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の板型電池。
- 前記正極集電体および前記負極集電体の両方が、上記(a)および(b)の条件を満足する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の板型電池。
- 前記正極活物質層は、正極活物質、導電助剤および正極用高分子基質を含み、前記負極活物質層は、負極活物質、導電助剤および負極用高分子基質を含み、
前記セパレータ、前記正極活物質層および前記負極活物質層が多孔質形態をなし、かつそれらに非水電解液が含浸された非水電解質二次電池として構成されている請求項1ないし7のいずれか1項に記載の板型電池。 - 前記樹脂結合層は、前記正極活物質層および前記負極活物質層の細孔を形成する際の多孔質化工程で使用される有機溶媒に不溶な材料で構成されている請求項8記載の板型電池。
- 前記樹脂結合層は、少なくともその層が形成されている電極の前記活物質層を構成する高分子基質と、実質的に同一組成を有する請求項8記載の板型電池。
- 前記貫通孔を有する前記集電体は、開口率が30%以上80%以下に調整されている請求項1ないし10のいずれか1項に記載の板型電池。
- セパレータと、前記セパレータにより互いに分離された正極活物質層および負極活物質層と、前記セパレータとの間に前記正極活物質層および前記負極活物質層をそれぞれ挟む正極集電体および負極集電体とを備えた板型電池の製造方法であって、
前記正極集電体および前記負極集電体とからなる集電体群のうち、少なくとも1つの集電体には、貫通孔を複数有する金属メッシュを用い、その金属メッシュからなる集電体の表面に、前記貫通孔を塞ぐことなく樹脂結合層を形成する工程と、
正極活物質層となる正極活物質フィルムと正極集電体とを含んで構成される正極複合体と、前記負極活物質層となる負極活物質フィルムと前記負極集電体とを含んで構成される負極複合体とで前記セパレータを挟み込み、これらを熱圧着する工程と、
を含むことを特徴とする板型電池の製造方法。 - セパレータと、前記セパレータにより互いに分離された正極活物質層および負極活物質層と、前記セパレータとの間に前記正極活物質層および前記負極活物質層をそれぞれ挟む正極集電体および負極集電体とを備えた板型電池の製造方法であって、
前記正極集電体および前記負極集電体とからなる集電体群のうち、少なくとも1つの集電体には、貫通孔を複数有する金属メッシュを用い、その金属メッシュからなる集電体の一方の面側に活物質フィルム、他方の面側に結合材フィルムを配置して、これらを熱圧着することにより正極および/または負極の電極複合体を作製する工程と、
正極複合体と負極複合体とでセパレータを挟み込み、これらを熱圧着する工程と、
を含むことを特徴とする板型電池の製造方法。 - セパレータと、前記セパレータにより互いに分離された正極活物質層および負極活物質層と、前記セパレータとの間に前記正極活物質層および前記負極活物質層をそれぞれ挟む正極集電体および負極集電体とを備えた板型電池の製造方法であって、
前記正極集電体および前記負極集電体とからなる集電体群のうち、少なくとも1つの集電体には、貫通孔を複数有する金属メッシュを用い、その金属メッシュからなる集電体の表面に、前記貫通孔を塞ぐことなく樹脂結合層を形成する工程と、
前記樹脂結合層を形成した前記集電体の一方の面側に活物質フィルム、他方の面側に結合材フィルムを配置して、これらを熱圧着することにより正極および/または負極の電極複合体を作製する工程と、
正極複合体と負極複合体とでセパレータを挟み込み、これらを熱圧着する工程と、
を含むことを特徴とする板型電池の製造方法。 - 金属メッシュからなる前記集電体を、前記樹脂結合層の構成材料である高分子基質を含有した溶液に浸漬して、前記樹脂結合層を形成する請求項12または14記載の板型電池の製造方法。
- 前記樹脂結合層を構成する高分子基質は、正極および/または負極の前記活物質フィルムに含まれる高分子基質と、実質的に同一組成を有する請求項15記載の板型電池の製造方法。
- 前記結合材フィルムは、正極および/または負極の前記活物質フィルムに含まれる高分子基質からなる請求項13または14記載の板型電池の製造方法。
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JP2003042358A JP2004253243A (ja) | 2003-02-20 | 2003-02-20 | 板型電池およびその製造方法 |
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-
2003
- 2003-02-20 JP JP2003042358A patent/JP2004253243A/ja active Pending
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