JP2004251993A - 半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタ - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、薄膜化および微細なパターニングが可能であり、かつ充分な光散乱機能を有する半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタを提供することを主目的とするものである。
【解決手段】上記目的を達成するために、本発明は、透明基板と、前記透明基板上に形成された反射光用着色層および透過光用着色層とを有する半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタであって、上記反射光用着色層は、その平均膜厚が透過光用着色層の膜厚よりも薄くなるように、反射光用着色層表面には複数の凹部が形成されており、上記反射光用着色層が配置され反射光が透過する反射光領域に位置し、かつ上記透明基板および液晶層の間に設けられた部材のうち、少なくとも一つの部材は、内部に気泡が形成され、反射光に対する光散乱機能を有する層であることを特徴とする半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタを提供する。
【選択図】 図1
【解決手段】上記目的を達成するために、本発明は、透明基板と、前記透明基板上に形成された反射光用着色層および透過光用着色層とを有する半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタであって、上記反射光用着色層は、その平均膜厚が透過光用着色層の膜厚よりも薄くなるように、反射光用着色層表面には複数の凹部が形成されており、上記反射光用着色層が配置され反射光が透過する反射光領域に位置し、かつ上記透明基板および液晶層の間に設けられた部材のうち、少なくとも一つの部材は、内部に気泡が形成され、反射光に対する光散乱機能を有する層であることを特徴とする半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタを提供する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半透過型カラー液晶表示装置に用いられる半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、透過型液晶表示装置としては、背面側に位置する電極基板の裏面もしくは側面にバックライトを配置し、これを光源としてカラー表示を行う透過型カラー液晶表示装置が広く普及している。
【0003】
一方、近年液晶表示装置は、低消費電力で軽量化が可能という特徴を活かし、モバイル機器等の携帯用表示装置への利用が期待されている。しかしながら、上述したようなバックライトを内蔵した透過型カラー液晶表示装置では内蔵した光源による消費電力が大きいため、バッテリーの使用時間が短く、かつバッテリーの占める割合が大きいため装置が重く、かさ張るといった問題があった。
【0004】
このため、バックライトを内蔵しない反射型カラー液晶表示装置が実用化されている。この反射型カラー液晶表示装置は、バックライトを内蔵しないことから低消費電力を実現でき、また装置を小型、軽量、薄型とすることができ、携帯用表示装置として適している。
【0005】
しかしながら、反射型カラー液晶表示装置は外光の乏しい暗所では充分機能しないため、透過型と反射型を兼ね備えた携帯用の液晶表示装置が携帯性能を若干犠牲にしているものの、実用上極めて有用となる。
【0006】
上記透過型カラー液晶表示装置は、屋外等の強い外光のもとでは表示効果が著しく低下するのに対し、反射型カラー液晶表示装置では全く逆に表示効果が良好になる。また、外光の乏しい場所では反射型カラー液晶表示装置が全く機能しないのに対し、透過型カラー液晶表示装置は周辺が暗い分、更に視認性が増すことになる。
【0007】
このような事情に鑑み、近年では透過型液晶表示装置と反射型液晶表示装置の機能を合わせもつ半透過型液晶表示装置が提供され、屋外等の強い外光のもとでも、また、室内等の外光の乏しい場所でも使用することになる携帯端末等に対し好適に用いられている(特許文献1および特許文献2参照)。
【0008】
このような半透過型カラー液晶表示装置を表示する場合も、同様にカラーフィルタが必要になるが、反射光領域では進入してきた外光が通常2回カラーフィルタを通過するのに対し、透過光領域では通常1回のみカラーフィルタを通過することになる。したがって、仮に同一材料の色材を使用して同一色調を得ようとすると、反射光領域のカラーフィルタは透過光領域のカラーフィルタに対して、膜厚を1/2にする必要があり、反射光領域では、従来の反射型カラー液晶表示装置と同様に、別途光散乱層を形成する必要がある等、半透過型カラー液晶表示装置に用いられるカラーフィルタは、その製造に際して種々の手間がかかるものであった。
【0009】
例えば、光散乱層を形成する方法としては、特許文献3に記載するように、観察者側の電極基板上に、金属反射電極層に相対する位置にのみ、透明樹脂とこの透明樹脂と異なる屈折率を有する非晶質微粒子とを含有する光散乱層を設け、光散乱層の部分には、その厚みを光散乱層が設けられていない部分のカラーフィルタの厚みの1/3以上2/3未満の厚みにカラーフィルタを設ける技術が開示されている。
【0010】
しかしながら、このような方法で光散乱層を形成する方法では、透明樹脂と非晶質微粒子との屈折率差が小さいために、充分な光散乱効果を得ることは難しかった。そこで、非晶質微粒子の含有量を増やしたり、光散乱層自体の膜厚を厚くする等の工夫がなされているが、その一方で、新たに輝度の低下、微細なパターンの形成や薄膜化が困難であるといった不都合が生じることとなった。
【0011】
【特許文献1】
特開2002−341331号公報
【特許文献2】
特開2002−350824号公報
【特許文献3】
特開2002−333615号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、薄膜化および微細なパターニングが可能であり、かつ充分な光散乱機能を有する半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタを提供することを主目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明においては、請求項1に記載するように、透明基板と、上記透明基板上に形成された反射光用着色層および透過光用着色層とを有する半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタであって、
上記反射光用着色層は、その平均膜厚が透過光用着色層の膜厚よりも薄くなるように、反射光用着色層表面には複数の凹部が形成されており、
上記反射光用着色層が配置され反射光が透過する反射光領域に位置し、かつ上記透明基板および液晶層の間に設けられた部材のうち、少なくとも一つの部材は、内部に気泡が形成され、反射光に対する光散乱機能を有する層であることを特徴とする半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタを提供する。
【0014】
本発明においては、反射光領域に位置し、透明基板および液晶層間に設けられた部材のうち少なくとも一つの部材に対して、内部に気泡を形成することにより、光散乱機能を有する層を構成する材料と気泡との屈折率差が好適に大きいことから、充分な光散乱効果を得ることができる。また、従来、非晶質微粒子を含有させることにより光散乱効果を得ていた場合と比較して、微粒子の単位面積当たりの含有量よりも、単位面積当たりの気泡数が少なくて充分な光散乱効果を得ることができるため、光散乱機能を有する層の膜厚を従来と比較し薄膜化することが可能である。
【0015】
また本発明においては、請求項2に記載するように、透明基板と、上記透明基板上に形成された反射光用着色層および透過光用着色層とを有する半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタであって、
上記反射光用着色層は、その平均膜厚が透過光用着色層の膜厚よりも薄くなるように少なくとも一つの除去部が形成されており、
上記反射光用着色層が配置され反射光が透過する反射光領域に位置し、かつ上記透明基板および液晶層の間に設けられた部材のうち、少なくとも一つの部材は、内部に気泡が形成され、反射光に対する光散乱機能を有する層であることを特徴とする半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタを提供する。
【0016】
本発明においては、反射光領域に位置し、かつ上記透明基板および液晶層の間に設けられた部材のうち、少なくとも一つの部材に気泡を形成することにより、気泡と光散乱機能を有する層を形成する材料との屈折率差が好適に大きいことから、従来、非晶質微粒子を含有させて光散乱効果を得ていた場合と比較し、単位面積当たりの非晶質微粒子の含有量よりも少ない気泡量で充分な光散乱効果が得られる。また、これにより、従来よりも光散乱機能を有する層の薄膜化が可能となる。
【0017】
上記請求項1または請求項2に記載された発明においては、請求項3に記載するように、上記光散乱機能を有する層が、上記反射光用着色層であることが好ましい。光散乱機能を有する層は、気泡の泡径または量等を調節することにより光の散乱の度合いを変化させることができるため、反射光用着色層を光散乱機能を有する層とすることにより、反射光用着色層の色に応じて要求される好適な光の散乱の度合いに各々調整することができるからである。
【0018】
上記請求項1または請求項2に記載された発明においては、請求項4に記載するように、上記光散乱機能を有する層が、上記反射光用着色層の液晶層側に形成され、反射光領域と透過光領域との光路差を調整する光路差調整層であることが好ましい。反射光は透過光に対して2倍の光路長だけ液晶層を透過することになることから、この光路長を調整するために光路差調整層が形成されることが好ましいが、このような光路差調整層において光散乱効果も得ることができるからである。
【0019】
さらに本発明においては、請求項5に記載するように、透明基板と、上記透明基板上に形成された反射光用着色層および透過光用着色層とを有する半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタであって、
上記反射光用着色層は、反射光領域と透過光領域との光路差を調整する光路差調整層上に形成されることにより、上記透過光用着色層よりも膜厚が薄く形成され、
上記反射光用着色層が配置され反射光が透過する反射光領域に位置し、かつ上記透明基板および液晶層の間に設けられた部材のうち、少なくとも一つの部材は、内部に気泡が形成され、反射光に対する光散乱機能を有する層であることを特徴とする半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタを提供する。
【0020】
本発明においても上記請求項1および請求項2の場合と同様に、反射光領域に位置し、透明基板と液晶層との間に存在する部材のいずれかに気泡を形成することにより、充分な光散乱効果を得ることができる。さらに光路差調整層を有する透明基板上に、着色層を形成し、光路差調整層上に位置する着色層を反射光用着色層とし、光路調整層上に位置しない部分の着色層を透過光用着色層とすることにより、特に煩雑な手間を要せずに、膜厚の異なる反射光用着色層および透過光用着色層からなる着色層を形成することができるため、簡便な工程で、表示特性に優れた半透過型カラーフィルタを形成することができる。
【0021】
上記請求項5に記載された発明においては、請求項6に記載するように、上記光散乱機能を有する層が、上記反射光用着色層であることが好ましい。光散乱機能を有する層は、気泡の泡径または量等を調整することにより光の散乱の度合いを変化させることができるため、反射光用着色層を光散乱機能を有する層とすることにより、反射光用着色層の色に応じて要求される好適な光の散乱の度合いに各々調整することができるからである。
【0022】
上記請求項5に記載された発明においては、請求項7に記載するように、上記光散乱機能を有する層が、上記光路差調整層であることが好ましい。反射光は透過光に対して2倍の光路長だけ液晶層を透過することになることから、この光路長を調整するために光路差調整層が形成されることが好ましいが、このような光路差調整層において光散乱効果も得ることができるからである。
【0023】
上記請求項1から請求項7までのいずれかの請求項に記載された発明においては、請求項8に記載するように、上記気泡は、その泡径が0.5μm〜2.0μmの範囲内であることが好ましい。上記範囲内の泡径を有する気泡であれば、充分な光散乱効果を得ることができるからである。
【0024】
また本発明においては、上記請求項1から請求項8までのいずれかの請求項に記載の半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタを有することを特徴とする半透過型カラー液晶表示装置を提供する。
【0025】
本発明によれば、製造方法が容易な半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタを用いたものであるので、コストダウンを図ることができる。
【0026】
さらに本発明においては、請求項10に記載するように、透明基板と、上記透明基板上に形成された反射光用着色層および透過光用着色層とを有する半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法において、
着色層を形成する着色層形成用塗工液を上記透明基板上に塗布した後、その一部の平均膜厚が他の部分の膜厚よりも薄くなるように、着色層表面に複数の凹部または少なくとも一つの除去部を形成し、表面に複数の凹部または少なくとも一つの除去部が形成された部分の着色層を反射光用着色層とし、上記反射光用着色層の平均膜厚よりも膜厚が厚い部分の着色層を透過光用着色層として、上記反射光用着色層および透過光用着色層を有する着色層を形成する着色層形成工程と、
上記着色層上に、反射光領域と透過光領域との光路差を調整する光路差調整層を形成する光路差調整層形成用塗工液を塗布し、パターニングすることにより、上記反射光用着色層上に光路差調整層を形成する光路差調整層形成工程とを有し、
さらに、上記着色層形成用塗工液または光路差調整層形成用塗工液の少なくとも一方には、発泡剤が分散されており、上記発泡剤が分散されている塗工液を用いて形成された上記着色層または光路差調整層を、180℃〜240℃の範囲内で加熱することにより上記発泡剤を分解させ、上記着色層内または光路差調整層内に気泡を形成する気泡形成工程を有することを特徴とする半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法を提供する。
【0027】
本発明においては、発泡剤が分散された塗工液を用い、そのような塗工液により形成された着色層または光路差調整層において気泡形成工程を行うことにより、着色層または光路差調整層の内部に容易に気泡を形成することができる。
【0028】
さらに本発明においては、請求項11に記載するように、透明基板と、上記透明基板上に形成された反射光用着色層および透過光用着色層とを有する半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法において、
反射光領域と透過光領域との光路差を調整する光路差調整層を形成する光路差調整層形成用塗工液を、上記透明基板上に塗布し、パターニングすることにより光路差調整層をパターン状に形成する光路差調整層形成工程と、
上記光路差調整層が形成された透明基板上に、着色層を形成する着色層形成用塗工液を塗布して、上記光路差調整層上に位置する着色層を反射光用着色層とし、他の部分の着色層を透過光用着色層として、上記反射光用着色層および透過光用着色層を有する着色層を形成する着色層形成工程とを有し、
さらに、上記着色層形成用塗工液または光路差調整層形成用塗工液の少なくとも一方には、発泡剤が分散されており、上記発泡剤が分散されている塗工液を用いて形成された上記着色層または光路差調整層を、180℃〜240℃の範囲内で加熱することにより上記発泡剤を分解させ、上記着色層内または光路差調整層内に気泡を形成する気泡形成工程を有することを特徴とする半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法を提供する。
【0029】
本発明においても上記請求項10の場合と同様に、発泡剤が分散された塗工液を用い、そのような塗工液により形成された着色層または光路差調整層において気泡形成工程を行うことにより、着色層または光路差調整層の内部に気泡を容易に形成することができる。
【0030】
上記請求項10または請求項11に記載された発明においては、請求項12に記載するように、上記気泡形成工程は、ポストベーク工程として行われることが好ましい。気泡形成工程をポストベーク工程として行うことにより、ある程度硬化が進んだ状態の着色層または光路差調整層に気泡を形成することとなり、着色層または光路差調整層の粘性が高いため、発泡剤が分解する際に生じる力によって、気泡の泡径が所望の範囲以上に大きくなるといった不都合を防止することができるからである。
【0031】
上記請求項10から請求項12までのいずれかの請求項に記載された発明においては、請求項13に記載するように、上記気泡は、その泡径が0.5μm〜2.0μmの範囲内であることが好ましい。上記範囲内の泡径を有する気泡であれば、反射光に対する光散乱効果を充分に得ることができるからである。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタ、それを有する半透過型カラー液晶表示装置および半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法について説明する。
【0033】
A.半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタ
本発明の半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタ(以下、半透過型カラーフィルタとする場合がある。)は、反射光用着色層の形状および形成された位置の違いにより3つの実施態様に分けることができる。以下、それぞれについて説明する。
【0034】
1.第1実施態様
本発明の半透過型カラーフィルタの第1実施態様は、透明基板と、前記透明基板上に形成された反射光用着色層および透過光用着色層とを有する半透過型カラーフィルタであって、
前記反射光用着色層は、その平均膜厚が透過光用着色層の膜厚よりも薄くなるように、反射光用着色層表面には複数の凹部が形成されており、
前記反射光用着色層が配置され反射光が透過する反射光領域に位置し、かつ前記透明基板および液晶層の間に設けられた部材のうち、少なくとも一つの部材は、内部に気泡が形成され、反射光に対する光散乱機能を有する層であることを特徴とするものである。
【0035】
本実施態様においては、反射光領域に位置し、透明基板および液晶層間に設けられた部材のうち少なくとも一つの部材に対して、内部に気泡を形成することにより、充分な光散乱機能を得ることができる。これは、気泡の屈折率が約1.0であることから、光散乱機能を有する層を構成する材料と気泡との屈折率差を好適に大きくすることができるため、気泡内へ入射した光が、気泡外へ出射する際に、種々の方向へ屈折するからである。また、従来、非晶質微粒子を含有させることにより光散乱効果を得ていた場合と比較して、微粒子の単位面積当たりの含有量よりも、単位面積当たりの気泡数が少なくて充分な光散乱効果を得ることができるため、光散乱機能を有する層の膜厚を従来と比較し薄膜化することが可能となる。
【0036】
図1は、このような本実施態様の半透過型カラーフィルタの一例を示す概略断面図である。まず、透明基板1上には、透過光用着色層2aと反射光用着色層2bとからなる着色層2が形成されている。上記反射光用着色層2bの液晶層側表面、すなわち透明基板1と反対側の表面には、ピンホール状に形成された複数の凹部3が形成されている。
【0037】
このように、反射光用着色層2bの表面にピンホール状の凹部3を形成することにより、反射光用着色層2b全体の平均膜厚を薄くすることが可能となる。そして、このピンホール状の凹部3の大きさや深さを調整することにより、透過光用着色層2aの光の透過率と反射光用着色層2bの光の透過率を調整することができ、これにより両者の色調を同様なものとすることができる。
【0038】
さらに、上記反射光用着色層2b上に光路差調整層4が形成されており、その内部には、気泡6が形成されている。このように本実施態様においては、光路差調整層4を、反射光用着色層4の液晶層側に設け、かつ内部に気泡6を形成することにより、反射光および透過光の光路差を調整することができると同時に、反射光に対する光散乱効果も得ることができるのである。また、着色層2の間には、ブラックマトリックス5が形成されている。
【0039】
以下、このような本実施態様の半透過型カラーフィルタについて、各部材に分けて説明する。
【0040】
(1)光散乱機能を有する層
まず、光散乱機能を有する層について説明する。
【0041】
本実施態様における光散乱機能を有する層とは、反射光用着色層が配置され反射光が透過する反射光領域に位置し、かつ透明基板および液晶層の間に設けられた部材のうち、少なくとも一つの部材であって、内部に気泡が形成されている層である。光散乱機能を有する層は、内部に気泡が形成されていることにより、気泡の屈折率が約1.0であることから、光散乱機能を有する層を構成する材料と気泡との屈折率差が好適に大きくなり、気泡内へ入射した光が、気泡外へ出射する際に、種々の方向へ屈折させることができるため、光散乱効果を得ることができるのである。
【0042】
このような光散乱機能を有する層として、その内部に形成された気泡の泡径は、反射光領域に入射した光を散乱させることができるのであれば特に限定はされない。具体的には、0.5μm〜2.0μmの範囲内であることが好ましく、その中でも、0.5μm〜1.0μmの範囲内であることが好ましい。上記範囲よりも大きい泡径とすると、光散乱機能を有する層の薄膜化を困難とするため好ましくなく、一方、上記範囲よりも小さい泡径とすると、光の波長によっては光散乱効果が得られない場合があるため好ましくない。
【0043】
さらに、このような光散乱機能を有する層の膜厚としては、光散乱効果を得ることができるのであれば特に限定はされないが、具体的には、0.5μm〜10μmの範囲内、その中でも、1μm〜4μmの範囲内であることが好ましい。従来、非晶質微粒子を含有させることにより光散乱効果を得ていた場合には、非晶質微粒子の含有量を増やしたり、光散乱層自体の膜厚を厚くする等の方法により、光散乱効果を高めるための工夫がなされていたが、本実施態様においては、微粒子の単位面積当たりの含有量よりも、単位面積当たりの気泡数が少なくて充分な光散乱効果を得ることができるため、従来よりも膜厚を薄く形成することが可能となるのである。
【0044】
なお、上記光散乱機能を有する層の空隙率および膜厚は、相互に調整することにより、必要な光散乱効果を実現するものであるため、例えば、上記空隙率の範囲外であっても、膜厚を調整することにより必要な光散乱効果が得られる場合もある。したがって、上記空隙率の範囲および膜厚の範囲は、多少異なる場合がある。
【0045】
本実施態様における光散乱機能を有する層は、半透過型カラーフィルタにおいて、反射光用着色層が配置され反射光が透過する反射光領域に位置し、かつ透明基板および液晶層間に設けられた部材のうち、いずれかの部材であれば特に限定はされない。例えば、図1に示すように透過光領域および反射光領域における光路差を調整する光路差調整層4、図2に示すように反射光用着色層2b、さらに図示していないが保護層等を挙げることができる。その中でも、反射光用着色層および光路差調整層であることが好ましい。
【0046】
従来、非晶質微粒子を用いて光散乱層を形成していた場合には、光散乱層の薄膜化は困難であったため、薄膜化が要求される反射光用着色層および光路差調整層に光散乱機能を保持させることは困難であった。しかしながら、本実施態様においては、光散乱機能を有する層の薄膜化が可能であることから、光散乱機能を有する層を反射光用着色層および光路差調整層としても、それらに充分な光散乱効果を兼ね備えさせることができるのである。
【0047】
例えば、反射光用着色層内に気泡を形成する場合には、気泡の泡径または量等を調整することにより光散乱機能を有する層の光散乱の度合いを変化させることができるため、反射光用着色層の色に応じて要求される好適な光の散乱の度合いに、各々調整することが可能となる。
【0048】
また、本実施態様の半透過型カラーフィルタでは、反射光は透過光に対して2倍の光路長だけ液晶層を透過することになることから、この光路長を調整するために光路差調整層を形成することが好ましいが、例えば、光路差調整層に気泡を形成することにより、このような光路差調整層において光散乱効果も得ることができる。
【0049】
さらに、本実施態様において、光散乱機能を有する層は、一層に限らず、反射光領域に位置し、透明基板および液晶層間に設けられた部材であれば、そのうちの複数の層を光散乱機能を有する層とする場合であってもよい。より一層光散乱効果を得ることができるからである。
【0050】
また、光散乱機能を有する層において、気泡と、光散乱機能を有する層を形成する樹脂との屈折率差は、光散乱機能を得るのに充分な程度であれば特に限定はされないが、0.1以上、その中でも0.2以上であることが好ましく、特に0.3以上であることが最も好ましい。上記範囲内の屈折率差を有することにより、気泡内へ入射した光が、気泡外へ出射する際に、種々の方向へ屈折させることができ、充分な光散乱効果を得ることができるからである。本実施態様においては、気泡の屈折率は、その内部に存在する気体の屈折率から約1.0であるため、容易に上記範囲内の屈折率差を生じさせることができる。
【0051】
(2)着色層
本実施態様に用いられる着色層は、透明基板上に形成されるものであり、反射光用着色層と透過光用着色層とから構成されるものである。なお、本実施態様でいう着色層とは、複数色の画素部、通常は赤(R)、緑(G)、および青(B)の3色の画素部からなり、種々のパターン、例えば、モザイク状、トライアングル状、ストライプ状等のパターンで形成されるものである。
【0052】
本実施態様においては、このような着色層において、反射光用着色層が上述した光散乱機能を有する層であることが好ましく、このように反射光用着色層を光散乱機能を有する層とした場合には、気泡の泡径または量等を調整することにより光散乱の度合いを変化させることができることから、各反射光用着色層の色に応じて要求される好適な光の散乱の度合いに各々調整することにより表示特性の向上に効果がある。
【0053】
(反射光用着色層)
本実施態様における反射光用着色層は、その液晶層側表面に複数の凹部が形成され、かつ平均膜厚が上記透過光用着色層の膜厚より薄くなるように形成されており、反射光領域に位置する着色層である。
【0054】
a.表面の凹部
まず、凹部について説明する。反射光用着色層表面に形成されている凹部の形状は特に限定されるものではなく、透過光用着色層の膜厚に対して薄くなるように調整できる形状であれば特に限定されるものではない。具体的には、曲面で構成される凹部や、矩形状で構成される凹部等を挙げることができる。
【0055】
本実施態様において複数の凹部の形成方法としては、フォトリソグラフィー法であることが好ましい。1回の工程で簡単に凹部を形成することができるからであり、また凹部の大きさにより平均膜厚の調整も容易であることから透過光領域と反射光領域との色調の調整も容易となるからである。
【0056】
特に、本実施態様においては、反射光用着色層表面の凹部が、透過光用着色層と同じ膜厚で形成された反射光用着色層表面に複数の凹部が形成されてなるものであることが好ましい。均一な着色層を形成し、その反射光領域のみにフォトリソグラフィー法等により複数の凹部を形成することにより、極めて簡便に反射光用着色層と透過光用着色層とを得ることができる。また、上述したように透過光領域と反射光領域との色調の調整が容易となるからである。
【0057】
b.平均膜厚
本実施態様においては、上述した凹部を形成し、これにより反射光用着色層の平均膜厚を透過光用着色層の膜厚より薄くすることにより、反射光領域における色調と透過光領域における色調を調整するものである。
【0058】
この際の膜厚差は、各カラー液晶表示装置の特性や、含まれる顔料の種類等に応じて、最適となるように決定されるものである。具体的には、反射光用着色層の平均膜厚が、透過光用着色層の膜厚を1とした場合に、0.4〜0.95の範囲内であることが好ましく、特に0.45〜0.75の範囲内とすることが好ましい。上述した範囲とすることにより、反射光領域と透過光領域との色調が概ね同一となり、良好な品質の半透過型カラー液晶表示装置とすることができるからである。
【0059】
また、反射光用着色層の平均膜厚の具体的な値としては、一般的な半透過型カラーフィルタにおけるものと同様であり0.5μm〜3μmの範囲内とされる。本実施態様においては、上述したように光散乱機能を有する層は従来よりも薄膜化が可能であることから、上記範囲のように薄膜化が要求される反射光用着色層であっても光散乱機能を有する層とすることができる。よって、本実施態様において光散乱機能を有する層を反射光用着色層とした場合には、反射光用着色層に光散乱機能を兼ね備えさせることが可能である。
【0060】
さらに、反射光用着色層の平均膜厚の調整は、凹部の形状を変更することにより容易に行うことができる。例えば、上述したように平面状に形成された反射光用着色層に凹部を形成した場合は、凹部の深さや大きさ等を調整することにより容易に平均膜厚の調整を行うことができることから好ましいといえる。
【0061】
本実施態様において、上記反射光用着色層の凹部が形成された表面側が接触する層としては、後述する光路差調整層、平坦化層、液晶層等いかなる層であってもよい。
【0062】
c.材料
反射光用着色層を形成する材料としては、通常着色層に用いられる材料を挙げることができ、パターニングを可能とし、所定の波長の光を透過することができる材料であれば特に限定されるものではない。通常は、いわゆる顔料分散法に用いられるアクリル系、エポキシ系、ウレタン系等のUV硬化型樹脂に顔料を分散させたものが用いられる。また、本実施態様において、光散乱機能を有する層として反射光用着色層とした場合には、上記材料に発泡剤を分散させたものを用いることにより反射光用着色層内に気泡を形成することができる。この発泡剤については、後述する「C.半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法」の項目の中で説明する。
【0063】
(透過光用着色層)
本実施態様における透過光用着色層は、特に限定されるものではないが、通常は反射光用着色層と同一の材料により形成されることが、工程の簡略化の観点から好ましいといえる。
【0064】
このような、透過光用着色層の膜厚は、上述した表面に凹凸を有する反射光用着色層の平均膜厚より厚ければ特に限定されるものではなく、具体的には、0.5μm〜3μmの範囲内とされる。
【0065】
(3)光路差調整層(平坦化層)
本実施態様においては、上記反射光用着色層の凹部が形成された側の表面を平坦化する平坦化層が形成されていることが好ましい。これは、通常液晶層と接する面は液晶層中の液晶の配向を容易とするために平面であることが好ましく、また上記着色層表面に通常形成される透明電極層の断線を防止観点からも平面であることが好ましいからである。
【0066】
このような平坦化層としては、この平坦化層が所定の膜厚を有することにより、反射光領域と透過光領域における液晶層内の光線の光路差を調整する機能を有する光路差調整層であることが好ましい。通常、反射光領域における反射光は、透過光領域における透過光に対して2倍の光路長だけ液晶層を透過することになることから、この光路差を調整する必要がある。このため、上述したような光路差を調整するための光路差調整層が形成されることが好ましいのである。
【0067】
本実施態様においては、このような光路差調整層がさらに、上述した光散乱機能を有する層であることが好ましい。すなわち、光路差調整層内に気泡を形成することで、光路差調整層としての本来の機能を損なうことなく、さらに膜厚等に制限を受けることなく光散乱効果も得ることができるからである。また、光路差調整層が光路調整を意図せず平坦化層として用いた場合であっても、光散乱機能を有する層としてもよい。特に、その表面の平坦性を損なうことがないのであれば、液晶の配向に影響を与えることはないからである。
【0068】
上記光路差調整層の膜厚は、光路差を調整することが可能な膜厚であれば特に限定されるものではなく、液晶層の厚み等によって大きく異なるものではあるが、通常0.5μm〜3.5μmの範囲内、特に1.0μm〜2.5μmの範囲内とすることが好ましい。光路差調整層は、このように薄膜化が要求される部材であるが、本実施態様において、例えば光路差調整層を光散乱機能を有する層とした場合であっても、上述したように光散乱機能を有する層は従来よりも薄膜化が可能であることから、光路差調整層に光散乱機能を兼ね備えさせることが可能である。
【0069】
なお、特に光路差調整を意図せず、平坦化のみを意図した平坦化層である場合の膜厚としては、透過光用着色層との段差が0.5μm以内となるような膜厚であることが好ましい。
【0070】
(4)透明基板
本実施態様に用いられる透明基板は、従来よりカラーフィルタに用いられているものであれば、特に限定されるものではないが、例えば石英ガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジット材、あるいは透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材を用いることが可能である。また、透明基板は、必要に応じてアルカリ溶出防止用や、ガスバリア性付与その他の目的の表面処理を施したものを用いてもよい。
【0071】
(5)その他
本実施態様の半透過型カラーフィルタには、必要に応じてブラックマトリックスや透明電極、配向膜、保護層等の種々の機能性層が形成されていてもよい。これらの形成される位置や材料に関しては、従来のものと同様であるのでここでの説明は省略する。
【0072】
2.第2実施態様
次に、本発明の半透過型カラーフィルタの第2実施態様について説明する。
【0073】
本実施態様の半透過型カラーフィルタは、透明基板と、前記透明基板上に形成された反射光用着色層および透過光用着色層とを有する半透過型カラーフィルタであって、
前記反射光用着色層は、その平均膜厚が透過光用着色層の膜厚よりも薄くなるように少なくとも一つの除去部が形成されており、
前記反射光用着色層が配置され反射光が透過する反射光領域に位置し、かつ前記透明基板および液晶層の間に設けられた部材のうち、少なくとも一つの部材は、内部に気泡が形成され、反射光に対する光散乱機能を有する層であることを特徴とするものである。
【0074】
本実施態様は、上述したように第1実施態様とは、反射光用着色層の形状が異なるのみであるので、これらの点について説明し、他の説明は上記第1実施態様の説明を参照してここでの説明は省略する。
【0075】
本実施態様の半透過型カラーフィルタについて図面を用いて具体的に説明する。図3は、本実施態様の半透過型カラーフィルタの一例を図示した概略断面図である。まず、透明基板1上には、透過光用着色層2aと反射光用着色層2bとからなる着色層2が形成されている。この例の反射光用着色層2bは、透過光用着色層2aと同一の膜厚を有するものであるが、その一部分が除去されて除去部10が形成されている。このように、反射光用着色層2bの一部を除去することにより反射光用着色層2bの平均膜厚を薄くさせ、これにより、透過光領域と反射光領域との色調が同一となるように調整するものである。
【0076】
さらに、反射光用着色層2b上には光路差調整層4が形成され、その内部には気泡6が形成されている。さらに、着色層2間にはブラックマトリクス5が配置されている。
【0077】
また、図4に示す例では、気泡6が反射光用着色層2bに形成されており、上述した光散乱機能を有する層として反射光用着色層2bを用いた例を示している。
【0078】
なお、図4では、反射光用着色層2b以外に透過光用着色層2aにも気泡6が形成されているが、このような場合であってもよく、この場合には両者を同一の着色層形成用塗工液を用いて形成することができ、工程の簡略化の観点から好ましい。
【0079】
以下、上述した第1実施態様と異なる点である着色層について説明する。なお、透明基板やその他の層に関する説明は、上記第1実施態様の場合と同様であるのでここでの説明は省略する。
【0080】
(着色層)
本実施態様に用いられる着色層は、反射光用着色層の形状を除き、上記第1実施態様で説明したものと同様であるので、反射光用着色層の形状以外の点についての説明は省略する。
【0081】
本実施態様においては、反射光用着色層は、反射光用着色層全体の平均膜厚が上記透過光用着色層の膜厚より薄くなるように少なくとも一つの除去部が形成された形状を有するものである。すなわち本実施態様においては、反射光用着色層は、その一部が完全に除去され、反射光用着色層に少なくとも一つの除去部が形成されたような形状を有するものである。
【0082】
除去部を形成する方法としては、所望の形状の除去部を形成することが可能な方法であれば特に限定はされないが、具体的には、フォトリソグラフィー法等を挙げることができる。
【0083】
なお、ここでこのようにして減少させた反射光用着色層の平均膜厚、および透過光用着色層の膜厚との比等に関しては、上記第1実施態様において説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0084】
3.第3実施態様
次に、本発明の半透過型カラーフィルタの第3実施態様について説明する。本実施態様の半透過型カラーフィルタは、透明基板と、前記透明基板上に形成された反射光用着色層および透過光用着色層とを有する半透過型カラーフィルタであって、
前記反射光用着色層は、反射光領域と透過光領域との光路差を調整する光路差調整層上に形成されることにより、前記透過光用着色層よりも膜厚が薄く形成され、
前記反射光用着色層が配置され反射光が透過する反射光領域に位置し、かつ前記透明基板および液晶層の間に設けられた部材のうち、少なくとも一つの部材は、内部に気泡が形成され、反射光に対する光散乱機能を有する層であることを特徴とするものである。
【0085】
本実施態様においても上記第1実施態様および第2実施態様の場合と同様に、反射光領域に位置し、透明基板と液晶層との間に存在する部材のいずれかに気泡を形成することにより、充分な光散乱効果を得ることができる。さらに、本実施態様においては、光路差調整層を有する透明基板上に、着色層を形成し、光路差調整層上に位置する着色層を反射光用着色層とし、光路調整層上に位置しない部分の着色層を透過光用着色層とすることにより、特に煩雑な手間を要せずに、膜厚の異なる反射光用着色層および透過光用着色層からなる着色層を形成することができるため、簡便な工程で、表示特性に優れた半透過型カラーフィルタを形成することができる。
【0086】
このような本実施態様の半透過型カラーフィルタについて、図5を用いて説明する。図5は、本実施態様の半透過型カラーフィルタの一例を示した概略断面図である。この例に示すように、透明基板1上にパターン状に光路差調整層4が形成されており、その内部には気泡6が形成されている。さらに、この光路差調整層4を有する透明基板1上には、その液晶層側に着色層2が設けられており、特に光路差調整層4上に位置する着色層2を反射光用着色層2bとし、透明基板1上に位置する着色層2を透過光用着色層2aとしている。また、着色層2間にはブラックマトリクス5が形成されている。
【0087】
一方、図6に示すように、気泡6を反射光用着色層2bに形成する場合であってもよい。また、製造効率の面から透過光用着色層2aにも気泡6を形成してもよい。
【0088】
本実施態様においては、上述した第1および第2実施態様と同様に、反射光領域に位置し、透明基板と液晶層との間に存在する部材のいずれかに気泡を形成することにより光散乱効果を得ることができる。また、光路差調整層が形成されている透明基板上の液晶層側に、反射光用着色層および透過光用着色層からなる着色層を形成することにより、比較的容易に、反射光用着色層の膜厚を透過光用着色層の膜厚よりも薄くすることができるため、反射光領域および透過光領域における色調を同一とすることができる。
【0089】
なお、本実施態様においては、上述した第1および第2実施態様に対して、光路差調整層と着色層との位置関係が異なるのみであるので、この点について説明し、他の説明は上記第1実施態様の説明を参照してここでの説明は省略する。
【0090】
本実施態様においては、予め光路差調整層が形成されている透明基板上の液晶層側に着色層を形成することから、光路差調整層上に位置するか否かにより、着色層の膜厚に差を生じさせることができる。すなわち、光路差調整層が形成されている透明基板上に着色層を形成する着色層形成用塗工液を塗布すると、光路差調整層上に塗布された部分と、光路差調整層が形成されていない部分に塗布された部分とでは、必然的にその膜厚に差が生じる。これにより、光路差調整層上に位置する部分を反射光用着色層とし、光路差調整層が形成されていない部分に位置する着色層を透過光用着色層とすることにより、反射光用着色層の膜厚を透過光用着色層の膜厚よりも薄くすることができる。
【0091】
この際、光路差調整層の膜厚や、反射光用着色層および透過光用着色層の膜厚比等に関しては、その形成順序が異なるだけで、上述した第1実施態様と同様である。したがって、ここでの説明は省略する。
【0092】
B.半透過型カラー液晶表示装置
本発明の半透過型カラー液晶表示装置は、上述した半透過カラーフィルタと対向基板との間に液晶を封入してなるものである。したがって、上述した半透過カラーフィルタの利点、すなわち簡単な工程で製造が可能であり、結果的にコストダウンに繋がるという利点をそのまま有するものである。
【0093】
C.半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法
次に本発明の半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法について説明する。
【0094】
本発明においては、着色層および光路差調整層の形成順序の違いにより2つの実施態様に分けることができる。以下、本発明の半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法について、各実施態様に分けて説明する。
【0095】
1.第4実施態様
第4実施態様の半透過型カラーフィルタの製造方法は、透明基板と、前記透明基板上に形成された反射光用着色層および透過光用着色層とを有する半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法において、
着色層を形成する着色層形成用塗工液を前記透明基板上に塗布した後、その一部の平均膜厚が他の部分の膜厚よりも薄くなるように、着色層表面に複数の凹部または少なくとも一つの除去部を形成し、表面に複数の凹部または少なくとも一つの除去部が形成された部分の着色層を反射光用着色層とし、前記反射光用着色層の平均膜厚よりも膜厚が厚い部分の着色層を透過光用着色層として、前記反射光用着色層および透過光用着色層を有する着色層を形成する着色層形成工程と、
前記着色層上に、反射光領域と透過光領域との光路差を調整する光路差調整層を形成する光路差調整層形成用塗工液を塗布し、パターニングすることにより、前記反射光用着色層上に光路差調整層を形成する光路差調整層形成工程とを有し、
さらに、前記着色層形成用塗工液または光路差調整層形成用塗工液の少なくとも一方には、発泡剤が分散されており、前記発泡剤が分散されている塗工液を用いて形成された前記着色層または光路差調整層を、180℃〜240℃の範囲内で加熱することにより前記発泡剤を分解させ、前記着色層内または光路差調整層内に気泡を形成する気泡形成工程を有することを特徴とするものである。
【0096】
本実施態様においては、発泡剤が分散された塗工液を用い、そのような塗工液により形成された着色層または光路差調整層において気泡形成工程を行うことにより、着色層または光路差調整層の内部に気泡を形成することができる。
【0097】
このような本実施態様の半透過型カラーフィルタの製造方法について図面を用いて説明する。図7は本実施態様の一例として、光路差調整層に気泡を形成した場合の工程図である。
【0098】
まず、図7(a)に示すように、ブラックマトリクス5がパターン状に形成されている透明基板1上に着色層形成用塗工液を塗布し、着色層2を形成する。次に、着色層2をフォトリソグラフィー法によりパターニングし、所望のパターン状に形成すると同時に、反射光用着色層2bが形成される着色層2表面に複数の凹部3を形成する。これにより、表面が平面状に形成されている着色層2が透過光用着色層2aとなり、表面に凹部3が形成された着色層2が反射光用着色層2bとなる(図7(b)参照)。
【0099】
次いで、図7に示す例では、光路差調整層4に気泡6を形成する例を示していることから、発泡剤が分散された光路差調整層形成用塗工液を用い、当該塗工液を着色層2を有する透明基板1の液晶層側の全面に塗布した後、パターニングすることにより、図7(c)に示すように、反射光用着色層2b上に光路差調整層4を形成する。光路差調整層4をパターン状に形成する際に、ポストベークを行うが、この際、発泡剤が分解する温度とすることにより、図7(d)に示すように、ポストベーク工程において気泡6を形成することができる。
【0100】
以下、本実施態様の製造方法について以下、各工程ごとに分けて説明する。
【0101】
(1)着色層形成工程
まず、着色層形成工程について説明する。本実施態様における着色層形成工程とは、着色層を形成する着色層形成用塗工液を透明基板上に塗布した後、その一部の平均膜厚が他の部分の膜厚よりも薄くなるように、着色層表面に複数の凹部または少なくとも一つの除去部を形成し、表面に複数の凹部または少なくとも一つの除去部が形成された部分の着色層を反射光用着色層とし、前記反射光用着色層の平均膜厚よりも膜厚が厚い部分の着色層を透過光用着色層として、前記反射光用着色層および透過光用着色層を有する着色層を形成する工程である。
【0102】
図7に示す本実施態様の一例においては、光路差調整層4に気泡6を形成する例を示したが、本実施態様においては、例えば、着色層に気泡を形成する場合でってもよい。この場合本工程において発泡剤が分散された着色層形成用塗工液を用い、後述する気泡形成工程を行うことにより気泡を有する着色層を形成することができる。
【0103】
本工程において用いる着色層形成用塗工液としては、一般的に、用いられているものであれば特に限定はされない。具体的には、溶媒と感光性組成物とを有しているものであり、これらを有する塗工液に公知の顔料を分散させたものを着色層形成用塗工液として用いることができる。例えば、感光性組成物としては、ポリマー成分、モノマー成分、開始剤および添加剤等を挙げることができる。これらに関しては、従来より、着色層の形成に用いられているものであれば特に限定されるものではない。
【0104】
また、本実施態様において着色層内に気泡を形成する場合には、上記着色層形成用塗工液に発泡剤が分散されているものを用いる。この発泡剤については、後述する気泡形成工程の中で説明する。
【0105】
このような着色層形成用塗工液を用いて着色層をパターニングする方法としては、所望のパターンに精度良く形成できるのであれば特に限定はされない。具体的には、一般的に行われている顔料分散法やインクジェット法等を挙げることができる。
【0106】
さらに、本実施態様においては、着色層の一部の平均膜厚を、他の部分の膜厚よりも薄くするため、着色層の一部表面に複数の凹部または少なくとも一つの除去部を形成する。これにより、表面に複数の凹部または少なくとも一つの除去部が形成された部分の着色層を反射光用着色層とし、さらに、そのような凹部等が形成されていない部分の着色層を透過光用着色層として、反射光用着色層および透過光用着色層からなる着色層を形成するのである。このような凹部または除去部を形成する方法については、上述した第1実施態様および第2実施態様に記載したものと同様であるのでここでの説明は省略する。
【0107】
本実施態様において着色層に気泡を形成する場合には、本工程において行うポストベーク工程を、後述する気泡形成工程とすることが好ましい。これは、ポストベーク工程を行う際には、ある程度着色層は硬化していることから、着色層の粘性が高く、そのような着色層の内部で発泡剤を分解させることにより、分解の際に生じる力によって気泡が不当に大きく形成される心配が少ないからである。また、ポストベーク工程と気泡の形成を同時に行うことができ、製造効率の面においても有利である。
【0108】
また、着色層を顔料分散法で形成する場合には、気泡形成工程をパターニングの最終段階で行われるポストベーク工程として行うことにより、着色層のパターニング途中においては、気泡が存在しないため、気泡による影響を受けることがなくパターンを形成することができる。したがって、精度の高いパターニングが可能となる。
【0109】
(2)光路差調整層形成工程
次に、光路差調整層形成工程について説明する。本実施態様における光路差調整層形成工程とは、前記着色層上に、反射光領域と透過光領域との光路差を調整する光路差調整層を形成する光路差調整層形成用塗工液を塗布し、パターニングすることにより、前記反射光用着色層上に光路差調整層を形成する工程である。
【0110】
本工程において用いる光路差調整層形成用塗工液としては、一般的に光路差調整層を形成する際に用いる塗工液を使用することが可能である。具体的には、上述した着色層形成用塗工液と同様に、溶媒と感光性組成物とを有しているものであり、感光性組成物として、ポリマー成分、モノマー成分、開始剤および添加剤等を挙げることができる。これらに関しては、従来より、光路差調整層の製造に用いられているものであれば特に限定されるものではない。
【0111】
また、本実施態様においては、光路差調整層に気泡を形成する場合であってもよく、このような場合には、上記光路差調整層に発泡剤を分散させたものを用いる。この発泡剤に関しては、後述する気泡形成工程の中で説明する。
【0112】
本実施態様において光路差調整層に気泡を形成する場合には、上述した着色層形成工程の場合と同様に、本工程において行われるポストベーク工程を、後述する気泡形成工程とすることが好ましい。これは、ポストベーク工程を行う際には、ある程度光路差調整層の硬化が進行していることから、光路差調整層の粘性が高く、そのような光路差調整層の内部で発泡剤を分解させることにより、分解の際に生じる力により気泡が不当に大きく形成される心配が少ないからである。また、ポストベーク工程と気泡の形成を同時に行うことができ、製造効率の面においても有利である。
【0113】
また、一般的に光路差調整層はフォトリソグラフィー法により形成されるが、フォトリソグラフィー法により光路差調整層をパターン状に形成する最終段階で行われるポストベーク工程において気泡を形成することにより、パターニングを行っている最中には、光路差調整層の内部に気泡が存在しないため、気泡の影響を受けることなくパターンを形成することができる。したがって、精度の高いパターンの形成が可能となる。
【0114】
(3)気泡形成工程
気泡形成工程について説明する。本実施態様における気泡形成工程は、前記着色層形成用塗工液または光路差調整層形成用塗工液の少なくとも一方には、発泡剤が分散されており、前記発泡剤が分散されている塗工液を用いて形成された前記着色層または光路差調整層を、180℃〜240℃の範囲内で加熱することにより前記発泡剤を分解させ、前記着色層内または光路差調整層内に気泡を形成する工程である。
【0115】
このような気泡形成工程は、着色層または光路差調整の内部に気泡を形成することができるのであれば、いつ行ってもよいが、上述したように、着色層形成工程または光路差調整層におけるポストベーク工程として行われることが好ましい。気泡形成工程をポストベーク工程として行うことにより、ある程度硬化が進んだ状態の着色層または光路差調整層に気泡を形成することとなる。したがって、着色層または光路差調整層の粘性が高いため、発泡剤が分解する際に発生する力により、気泡の泡径が所望の範囲以上に大きくなるといったことが起こりにくく、所望の泡径を有する気泡を容易に形成することができるからである。
【0116】
本実施態様において、気泡を形成するために用いる発泡剤としては、所定の温度範囲内で分解し、光散乱効果を得るのに充分な気泡を形成することが可能な発泡剤であれば特に限定はされない。具体的には、アゾジカルボンアミド、N,N´−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、4,4´−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、炭酸水素ナトリウム等を挙げることができる。
【0117】
また、上記発泡剤の粒径としては、0.01μm〜1μmの範囲内、その中でも0.03μm〜0.1μmの範囲内であることが好ましい。上記範囲内であれば、本工程により発泡剤が分解した際に、上述した泡径を有する気泡を形成することができるからである。
【0118】
このような発泡剤を着色層形成用塗工液または光路差調整層形成用塗工液に含有させる含有量としては、これらの塗工液に含有されている樹脂材料に対して0.5重量%〜70重量%の範囲内であることが好ましく、その中でも、1重量%〜50重量%の範囲内であることが好ましい。
【0119】
なお、発泡剤の種類および含有量等を変化させることにより形成される気泡の泡径および気泡量が変化するが、好適な光散乱効果が得られる気泡の泡径および気泡量に調節するためには、予めシュミレーション等を行うことにより、発泡剤の種類および含有量に応じた気泡量等の変化を計測し、そのような計測結果に基づいて、発泡剤の種類および含有量を適宜選択するものとする。
【0120】
上記発泡剤が分散された着色層形成用塗工液または光路差調整層形成用塗工液を用いて形成された着色層または光路差調整層を、所定範囲内の温度で加熱することにより、発泡剤を分解させ、上記着色層内または光路差調整層内に気泡を形成する。この際の加熱の温度としては、用いる発泡剤により異なるが、180℃〜240℃の範囲内であることが好ましく、さらには、200℃〜230℃の範囲内であることが好ましい。
【0121】
なお、本実施態様においては、着色層または光路差調整層のいずれかに気泡が形成されていればよく、例えば、両方に気泡が形成されている場合であってもよい。このような場合には、着色層形成工程および光路差調整層形成工程の各々において、本工程を行うことにより両方の部材に気泡を形成することができる。
【0122】
2.第5実施態様
第5実施態様の半透過型カラーフィルタの製造方法について説明する。
【0123】
本実施態様の半透過型カラーフィルタの製造方法は、透明基板と、前記透明基板上に形成された反射光用着色層および透過光用着色層とを有する半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法において、
反射光領域と透過光領域との光路差を調整する光路差調整層を形成する光路差調整層形成用塗工液を、前記透明基板上に塗布し、パターニングすることにより光路差調整層をパターン状に形成する光路差調整層形成工程と、
前記光路差調整層が形成された透明基板上に、着色層を形成する着色層形成用塗工液を塗布して、前記光路差調整層上に位置する着色層を反射光用着色層とし、他の部分の着色層を透過光用着色層として、前記反射光用着色層および透過光用着色層を有する着色層を形成する着色層形成工程とを有し、
さらに、前記着色層形成用塗工液または光路差調整層形成用塗工液の少なくとも一方には、発泡剤が分散されており、前記発泡剤が分散されている塗工液を用いて形成された前記着色層または光路差調整層を、180℃〜240℃の範囲内で加熱することにより前記発泡剤を分解させ、前記着色層内または光路差調整層内に気泡を形成する気泡形成工程を有することを特徴とするものである。
【0124】
本実施態様は、上述した第4実施態様と、光路差調整層形成工程および着色層形成工程の形成順序が異なるのみであるので、この点について説明し、他の説明は上記第4実施態様の説明を参照してここでの説明は省略する。
【0125】
以下、本実施態様の半透過型カラーフィルタの製造方法について図面を用いて具体的に説明する。
【0126】
図8は、本実施態様の一例として、光路差調整層に気泡を形成する場合を示した工程図である。まず、図8(a)に示すように、ブラックマトリクス5がパターン状に形成されている透明基板1上に、光路差調整層4を形成する光路差調整層形成用塗工液を塗布し、パターニングを行うことにより、光路差調整層4をパターン状に形成する。
【0127】
図8においては、光路差調整層4内に気泡6を形成する例を示しているので、上記光路差調整層形成用塗工液には、発泡剤が分散されているものを用いる。光路差調整層4をパターン状に形成する際に、ポストベーク工程を行うが、この際、発泡剤が分解する温度で行うことにより、図8(b)に示すように、ポストベーク工程において光路差調整層4内に気泡6を形成することができる。
【0128】
次いで、気泡6が形成された光路差調整層4を有する透明基板1の液晶層側に、図8(c)に示すように、着色層を形成する着色層形成用塗工液を塗布し、着色層2を形成する。次いで、図8(d)に示すように、着色層2をパターニングすることにより、パターン状に着色層2を形成する。本実施態様においては、光路差調整層4上に位置する着色層2を反射光用着色層2bとし、透明基板1上に位置する着色層2を透過光用着色層2aとすることにより、必然的に透過光用着色層2aと反射光用着色層2bとの膜厚に差を生じさせることができ、特に、反射光用着色層2bの膜厚を透過光用着色層2aの膜厚より薄くすることができる。
【0129】
なお、図8に示す例では、光路差調整層4内に気泡6を形成する場合を示したが、例えば、着色層2内に気泡6を形成する際には、発泡剤が分散されている着色層形成用塗工液を用い、パターン状に着色層2を形成する際、発泡剤を分解させることが可能な温度でポストベークを行うことにより、着色層2内に気泡6を形成することができる。
【0130】
本実施態様においては、予め光路差調整層が形成されている透明基板上に着色層を形成することから、光路差調整層上に位置する着色層と、光路差調整層が形成されていない部分に位置する着色層とで、容易に膜厚に差を生じさせることができる。すなわち、光路差調整層が形成されている透明基板上に着色層形成用塗工液を塗布すると、光路差調整層上に塗布された部分と、光路差調整層が形成されていない部分に塗布された部分とでは、必然的にその膜厚に差が生じるため、光路差調整層上に位置する部分を反射光用着色層とし、光路差調整層が形成されていない部分に位置する着色層を透過光用着色層とすることにより、反射光用着色層の膜厚を透過光用着色層の膜厚よりも薄くすることができるのである。
【0131】
なお、本実施態様における光路差調整層形成工程、着色層形成工程および気泡形成工程に関する具体的な説明は上述した第4実施態様と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0132】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0133】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明をさらに説明する。
【0134】
[実施例1]
透明基板として、基板サイズ300×400mm、厚さ0.7mm(コーニング社製1737材)を用いて、洗剤洗浄、乾燥工程を行った。
【0135】
次に、定法の方法を用いてスパッタリングによりCr膜を1500Å成膜し、さらにCr膜上にポジレジストを塗布し、プリベーク・露光・現像・エッチング・剥離の工程を経て、ブラックマトリクスをパターン状に透明基板上に形成した。
【0136】
次に、着色層を形成した。着色層を形成する材料は、下記に示す着色感材を用いた。
RED感材…カラーモザイク CR9000(富士フィルムアーチ社製)
GREEN感材…カラーモザイク CG9000(富士フィルムアーチ社製)
BLUE感材…カラーモザイク CB9000(富士フィルムアーチ社製)
(REDストライプパターンの形成)
上記ブラックマトリクスが形成された透明基板上に、RED感材をスピンナーにより塗布(620rpm、10秒保持)し、プリベーク80℃、3分で乾燥させた後、図9に示す繰り返しパターンを有するマスクを用い、100mJ/cm2で露光、現像(専用現像液で70秒)し、さらにポストベークを(230℃、30分)行った。これにより、表面に凹部が形成された部分の着色層である反射光用着色層と、表面が平面状である透過光用着色層からなる着色層をストライプパターン状に形成することができた。透過光用着色層の膜厚は2.0μmであり、反射光用着色層の平均膜厚は約1.0μmであった。
【0137】
(GREENストライプパターンの形成)
塗布条件として560rpm、現像時間130秒とした以外は上記REDストライプパターンを形成した場合と同様に行った。透過光用着色層の膜厚は2.0μmであり、反射光用着色層の平均膜厚は約1.0μmであった。
【0138】
(BLUEストライプパターンの形成)
塗布条件として690rpm、現像時間65秒とした以外は上記REDストライプパターンを形成した場合と同様に行った。透過光用着色層の膜厚は2.0μmであり、反射光用着色層の平均膜厚は約1.0μmであった。
【0139】
(光散乱機能付き光路差調整層の形成)
光散乱機能付き光路差調整層を形成する光路差調整層形成用塗工液は、保護膜用感光性材料IT−MP(ザ・インクテック社製)を用い、さらに発泡剤として平均粒径0.05μmのアゾジカルボンアミドを10重量%を分散させたものを使用した。
【0140】
塗布条件としてスピンナー(510rpm、7秒保持)で塗布し、プリベークとして90℃、3分で乾燥させた後、上記反射光用着色層に対応した部分が開口したパターンを有するマスクを用い、300mJ/cm2で露光、現像(専用現像液で60秒)、ポストベーク(230℃、30分)を行った。ポストベークの際上記発泡剤が分解することにより光路差調整層内に気泡が形成され、反射光用着色層上のみに光散乱機能付き光路差調整層を形成することができた。光散乱機能付き光路差調整層と反射光用着色層とを含む膜厚は4.3μm、透過光用着色層の膜厚は2.0μmに調整できた。
【0141】
次に、スパッタリングによりITO膜を1500Åで形成し、さらに、柱状スペーサ形成用材料(JSR社製)を塗布し、反射部のブラックマトリクスに対応する部分に柱状スペーサを形成するマスクを使用し、反射部に柱状スペーサを形成した。柱状スペーサの膜厚は2.3μmに調整した。
【0142】
さらに背面電極基板とカラーフィルタ基板との両方に、配向膜を塗布・ラビングした後、外周シール部にシール材を塗布し、両方の基板を重ね合わせ、液晶物質としてネマチック液晶を封入した。次に、封入口を封止し偏光板および位相差板を組み合わせて半透過型カラー液晶表示装置を組み立てた。
【0143】
上記背面側電極基板に設けられた透明電極層と、カラーフィルタ基板に設けられた透明電極基板の間に電圧を印加して画面を表示したところ、バックライトからの入射光で十分明るいカラー画像の表示画面を認識することができた。同じく、背面側電極基板に設けられた金属反射電極とカラーフィルタ基板に設けられた透明電極基板との間に電圧を印加して画面を表示したところ、反射入射光により、その画面は透過光表示と比較してカラーフィルタを2回透過しているにもかかわらず、透過光と同様に十分明るい鮮明な画面であった。
【0144】
[実施例2]
以下の着色層形成時に使用したマスク以外は、実施例1と同じ工程により半透過型カラー液晶表示装置を作製した。
【0145】
RED、GREEN、BLUE着色層を形成する時に使用するマスクを反射部領域の半分の領域を遮光したものとした。このマスクを用いて着色層を形成することにより、反射光用着色層の一部が完全に除去され、各々の反射光用着色層に少なくとも一つの除去部を形成することができた。
【0146】
このような着色層を有する半透過型カラー液晶表示装置を観察したところ反射モードではさらに視覚依存性が改善されていた。
【0147】
[実施例3]
透明基板として300×400mm、厚さ0.7mm(コーニング社製1737材)を用いて、洗剤洗浄、乾燥工程を行った。
【0148】
次に定法の方法を用いて、スパッタリングによりCr膜を1500Åで成膜し、さらにCr膜上にポジレジストを塗布し、プリベーク・露光・現像・エッチング・剥離の工程を経て、ブラックマトリクスを透明基板上にパターン状に形成した。
【0149】
(光散乱機能付き光路差調整層の形成)
次に、光散乱機能付き光路差調整層の形成を行った。
【0150】
このような光路差調整層を形成する光路差調整層形成用塗工液は、保護膜用感光性材料IT−MP(ザ・インクテック社製)を用い、発泡剤として平均粒径0.05μmのアゾジカルボンアミドを10重量%を分散させたものを使用した。
【0151】
塗布条件としてスピンナー(510rpm、7秒間保持)で塗布し、プリベークとして90℃、3分で乾燥させた後、反射光用着色層に対応した部分が開口となっているパターンを有するマスクを用い、300mJ/cm2で露光、現像(専用現像液で60秒)し、さらにポストベーク(230℃、30分)を行い、反射光用着色層が形成される部分の等明基板上のみに光散乱機能付き光路差調整層を形成した。
【0152】
この時の光散乱機能付き光路差調整層の膜厚は3.0μmであった。
【0153】
次に、着色層を形成した。着色層を形成する材料は下記に示す着色感材を用いた。
RED感材…カラーモザイク CR9000(富士フィルムアーチ社製)
GREEN感材…カラーモザイク CG9000(富士フィルムアーチ社製)
BLUE感材…カラーモザイク CB9000(富士フィルムアーチ社製)
(REDストライプパターンの形成)
上記ブラックマトリクスおよび光散乱機能付き光路差調整層が形成された透明基板上に、RED感材をスピンナーにより塗布(620rpm、10秒間保持)し、プリベーク80℃、3分で乾燥させた後、反射部および透過部ともに開口となっているマスクを用い、100mJ/cm2で露光、現像(専用現像液で70秒)し、さらにポストベーク(230℃、30分)を行った。これにより、上記光散乱機能付き光路差調整層上に位置する反射光用着色層と、透明基板上に位置する透過光用着色層とをストライプパターン状に形成することができた。反射光用着色層の膜厚は光散乱機能付き光路差調整層上に形成されていることから1.0μmであり、透過光用着色層の膜厚は、2.0μmであった。
【0154】
(GREENストライプパターンの形成)
塗布条件として560rpm、現像時間130秒とした以外は、上記REDストライプパターンを形成した場合と同様に行った。透過光用着色層の膜厚は2.0μmであり、反射光用着色層の膜厚は約1.0μmであった。
【0155】
(BLUEストライプパターンの形成)
塗布条件として690rpm、現像時間65秒とした以外は上記REDストライプパターンを形成した場合と同様に行った。透過光用着色層の膜厚は2.0μmであり、反射光用着色層の膜厚は約1.0μmであった。
【0156】
この後、実施例1と同様の工程により半透過型カラー液晶表示装置を作製した。
【0157】
実施例1同様に半透過型カラー液晶表示装置を観察したところ、反射モードでは実施例2と同様に視覚依存性が改善されていた。
【0158】
【発明の効果】
本発明によれば、反射光領域に位置し、透明基板および液晶層間に設けられた部材のうち少なくとも一つの部材に対して、内部に気泡を形成することにより、光散乱機能を有する層を構成する材料と気泡との屈折率差が好適に大きいことから、充分な光散乱効果を得ることができる。また、従来、非晶質微粒子を含有させることにより光散乱効果を得ていた場合における微粒子の単位面積当たりの含有量と比較して、単位面積当たりの気泡数が少なくて充分な光散乱効果を得ることができるため、光散乱機能を有する層の膜厚を従来と比較し薄膜化することが可能であるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半透過型カラーフィルタの一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明の半透過型カラーフィルタの他の例を示す概略断面図である。
【図3】本発明の半透過型カラーフィルタの他の例を示す概略断面図である。
【図4】本発明の半透過型カラーフィルタの他の例を示す概略断面図である。
【図5】本発明の半透過型カラーフィルタの他の例を示す概略断面図である。
【図6】本発明の半透過型カラーフィルタの他の例を示す概略断面図である。
【図7】本発明の半透過型カラーフィルタの製造方法の一例を示す工程図である。
【図8】本発明の半透過型カラーフィルタの製造方法の他の例を示す工程図である。
【図9】実施例1において着色層の形成に用いたマスクの例を示した概略図である。
【符号の説明】
1 … 透明基板
2a … 透過光用着色層
2b … 反射光用着色層
2 … 着色層
3 … 凹部
4 … 光路差調整層
5 … ブラックマトリクス
6 … 気泡
【発明の属する技術分野】
本発明は、半透過型カラー液晶表示装置に用いられる半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、透過型液晶表示装置としては、背面側に位置する電極基板の裏面もしくは側面にバックライトを配置し、これを光源としてカラー表示を行う透過型カラー液晶表示装置が広く普及している。
【0003】
一方、近年液晶表示装置は、低消費電力で軽量化が可能という特徴を活かし、モバイル機器等の携帯用表示装置への利用が期待されている。しかしながら、上述したようなバックライトを内蔵した透過型カラー液晶表示装置では内蔵した光源による消費電力が大きいため、バッテリーの使用時間が短く、かつバッテリーの占める割合が大きいため装置が重く、かさ張るといった問題があった。
【0004】
このため、バックライトを内蔵しない反射型カラー液晶表示装置が実用化されている。この反射型カラー液晶表示装置は、バックライトを内蔵しないことから低消費電力を実現でき、また装置を小型、軽量、薄型とすることができ、携帯用表示装置として適している。
【0005】
しかしながら、反射型カラー液晶表示装置は外光の乏しい暗所では充分機能しないため、透過型と反射型を兼ね備えた携帯用の液晶表示装置が携帯性能を若干犠牲にしているものの、実用上極めて有用となる。
【0006】
上記透過型カラー液晶表示装置は、屋外等の強い外光のもとでは表示効果が著しく低下するのに対し、反射型カラー液晶表示装置では全く逆に表示効果が良好になる。また、外光の乏しい場所では反射型カラー液晶表示装置が全く機能しないのに対し、透過型カラー液晶表示装置は周辺が暗い分、更に視認性が増すことになる。
【0007】
このような事情に鑑み、近年では透過型液晶表示装置と反射型液晶表示装置の機能を合わせもつ半透過型液晶表示装置が提供され、屋外等の強い外光のもとでも、また、室内等の外光の乏しい場所でも使用することになる携帯端末等に対し好適に用いられている(特許文献1および特許文献2参照)。
【0008】
このような半透過型カラー液晶表示装置を表示する場合も、同様にカラーフィルタが必要になるが、反射光領域では進入してきた外光が通常2回カラーフィルタを通過するのに対し、透過光領域では通常1回のみカラーフィルタを通過することになる。したがって、仮に同一材料の色材を使用して同一色調を得ようとすると、反射光領域のカラーフィルタは透過光領域のカラーフィルタに対して、膜厚を1/2にする必要があり、反射光領域では、従来の反射型カラー液晶表示装置と同様に、別途光散乱層を形成する必要がある等、半透過型カラー液晶表示装置に用いられるカラーフィルタは、その製造に際して種々の手間がかかるものであった。
【0009】
例えば、光散乱層を形成する方法としては、特許文献3に記載するように、観察者側の電極基板上に、金属反射電極層に相対する位置にのみ、透明樹脂とこの透明樹脂と異なる屈折率を有する非晶質微粒子とを含有する光散乱層を設け、光散乱層の部分には、その厚みを光散乱層が設けられていない部分のカラーフィルタの厚みの1/3以上2/3未満の厚みにカラーフィルタを設ける技術が開示されている。
【0010】
しかしながら、このような方法で光散乱層を形成する方法では、透明樹脂と非晶質微粒子との屈折率差が小さいために、充分な光散乱効果を得ることは難しかった。そこで、非晶質微粒子の含有量を増やしたり、光散乱層自体の膜厚を厚くする等の工夫がなされているが、その一方で、新たに輝度の低下、微細なパターンの形成や薄膜化が困難であるといった不都合が生じることとなった。
【0011】
【特許文献1】
特開2002−341331号公報
【特許文献2】
特開2002−350824号公報
【特許文献3】
特開2002−333615号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、薄膜化および微細なパターニングが可能であり、かつ充分な光散乱機能を有する半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタを提供することを主目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明においては、請求項1に記載するように、透明基板と、上記透明基板上に形成された反射光用着色層および透過光用着色層とを有する半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタであって、
上記反射光用着色層は、その平均膜厚が透過光用着色層の膜厚よりも薄くなるように、反射光用着色層表面には複数の凹部が形成されており、
上記反射光用着色層が配置され反射光が透過する反射光領域に位置し、かつ上記透明基板および液晶層の間に設けられた部材のうち、少なくとも一つの部材は、内部に気泡が形成され、反射光に対する光散乱機能を有する層であることを特徴とする半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタを提供する。
【0014】
本発明においては、反射光領域に位置し、透明基板および液晶層間に設けられた部材のうち少なくとも一つの部材に対して、内部に気泡を形成することにより、光散乱機能を有する層を構成する材料と気泡との屈折率差が好適に大きいことから、充分な光散乱効果を得ることができる。また、従来、非晶質微粒子を含有させることにより光散乱効果を得ていた場合と比較して、微粒子の単位面積当たりの含有量よりも、単位面積当たりの気泡数が少なくて充分な光散乱効果を得ることができるため、光散乱機能を有する層の膜厚を従来と比較し薄膜化することが可能である。
【0015】
また本発明においては、請求項2に記載するように、透明基板と、上記透明基板上に形成された反射光用着色層および透過光用着色層とを有する半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタであって、
上記反射光用着色層は、その平均膜厚が透過光用着色層の膜厚よりも薄くなるように少なくとも一つの除去部が形成されており、
上記反射光用着色層が配置され反射光が透過する反射光領域に位置し、かつ上記透明基板および液晶層の間に設けられた部材のうち、少なくとも一つの部材は、内部に気泡が形成され、反射光に対する光散乱機能を有する層であることを特徴とする半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタを提供する。
【0016】
本発明においては、反射光領域に位置し、かつ上記透明基板および液晶層の間に設けられた部材のうち、少なくとも一つの部材に気泡を形成することにより、気泡と光散乱機能を有する層を形成する材料との屈折率差が好適に大きいことから、従来、非晶質微粒子を含有させて光散乱効果を得ていた場合と比較し、単位面積当たりの非晶質微粒子の含有量よりも少ない気泡量で充分な光散乱効果が得られる。また、これにより、従来よりも光散乱機能を有する層の薄膜化が可能となる。
【0017】
上記請求項1または請求項2に記載された発明においては、請求項3に記載するように、上記光散乱機能を有する層が、上記反射光用着色層であることが好ましい。光散乱機能を有する層は、気泡の泡径または量等を調節することにより光の散乱の度合いを変化させることができるため、反射光用着色層を光散乱機能を有する層とすることにより、反射光用着色層の色に応じて要求される好適な光の散乱の度合いに各々調整することができるからである。
【0018】
上記請求項1または請求項2に記載された発明においては、請求項4に記載するように、上記光散乱機能を有する層が、上記反射光用着色層の液晶層側に形成され、反射光領域と透過光領域との光路差を調整する光路差調整層であることが好ましい。反射光は透過光に対して2倍の光路長だけ液晶層を透過することになることから、この光路長を調整するために光路差調整層が形成されることが好ましいが、このような光路差調整層において光散乱効果も得ることができるからである。
【0019】
さらに本発明においては、請求項5に記載するように、透明基板と、上記透明基板上に形成された反射光用着色層および透過光用着色層とを有する半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタであって、
上記反射光用着色層は、反射光領域と透過光領域との光路差を調整する光路差調整層上に形成されることにより、上記透過光用着色層よりも膜厚が薄く形成され、
上記反射光用着色層が配置され反射光が透過する反射光領域に位置し、かつ上記透明基板および液晶層の間に設けられた部材のうち、少なくとも一つの部材は、内部に気泡が形成され、反射光に対する光散乱機能を有する層であることを特徴とする半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタを提供する。
【0020】
本発明においても上記請求項1および請求項2の場合と同様に、反射光領域に位置し、透明基板と液晶層との間に存在する部材のいずれかに気泡を形成することにより、充分な光散乱効果を得ることができる。さらに光路差調整層を有する透明基板上に、着色層を形成し、光路差調整層上に位置する着色層を反射光用着色層とし、光路調整層上に位置しない部分の着色層を透過光用着色層とすることにより、特に煩雑な手間を要せずに、膜厚の異なる反射光用着色層および透過光用着色層からなる着色層を形成することができるため、簡便な工程で、表示特性に優れた半透過型カラーフィルタを形成することができる。
【0021】
上記請求項5に記載された発明においては、請求項6に記載するように、上記光散乱機能を有する層が、上記反射光用着色層であることが好ましい。光散乱機能を有する層は、気泡の泡径または量等を調整することにより光の散乱の度合いを変化させることができるため、反射光用着色層を光散乱機能を有する層とすることにより、反射光用着色層の色に応じて要求される好適な光の散乱の度合いに各々調整することができるからである。
【0022】
上記請求項5に記載された発明においては、請求項7に記載するように、上記光散乱機能を有する層が、上記光路差調整層であることが好ましい。反射光は透過光に対して2倍の光路長だけ液晶層を透過することになることから、この光路長を調整するために光路差調整層が形成されることが好ましいが、このような光路差調整層において光散乱効果も得ることができるからである。
【0023】
上記請求項1から請求項7までのいずれかの請求項に記載された発明においては、請求項8に記載するように、上記気泡は、その泡径が0.5μm〜2.0μmの範囲内であることが好ましい。上記範囲内の泡径を有する気泡であれば、充分な光散乱効果を得ることができるからである。
【0024】
また本発明においては、上記請求項1から請求項8までのいずれかの請求項に記載の半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタを有することを特徴とする半透過型カラー液晶表示装置を提供する。
【0025】
本発明によれば、製造方法が容易な半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタを用いたものであるので、コストダウンを図ることができる。
【0026】
さらに本発明においては、請求項10に記載するように、透明基板と、上記透明基板上に形成された反射光用着色層および透過光用着色層とを有する半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法において、
着色層を形成する着色層形成用塗工液を上記透明基板上に塗布した後、その一部の平均膜厚が他の部分の膜厚よりも薄くなるように、着色層表面に複数の凹部または少なくとも一つの除去部を形成し、表面に複数の凹部または少なくとも一つの除去部が形成された部分の着色層を反射光用着色層とし、上記反射光用着色層の平均膜厚よりも膜厚が厚い部分の着色層を透過光用着色層として、上記反射光用着色層および透過光用着色層を有する着色層を形成する着色層形成工程と、
上記着色層上に、反射光領域と透過光領域との光路差を調整する光路差調整層を形成する光路差調整層形成用塗工液を塗布し、パターニングすることにより、上記反射光用着色層上に光路差調整層を形成する光路差調整層形成工程とを有し、
さらに、上記着色層形成用塗工液または光路差調整層形成用塗工液の少なくとも一方には、発泡剤が分散されており、上記発泡剤が分散されている塗工液を用いて形成された上記着色層または光路差調整層を、180℃〜240℃の範囲内で加熱することにより上記発泡剤を分解させ、上記着色層内または光路差調整層内に気泡を形成する気泡形成工程を有することを特徴とする半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法を提供する。
【0027】
本発明においては、発泡剤が分散された塗工液を用い、そのような塗工液により形成された着色層または光路差調整層において気泡形成工程を行うことにより、着色層または光路差調整層の内部に容易に気泡を形成することができる。
【0028】
さらに本発明においては、請求項11に記載するように、透明基板と、上記透明基板上に形成された反射光用着色層および透過光用着色層とを有する半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法において、
反射光領域と透過光領域との光路差を調整する光路差調整層を形成する光路差調整層形成用塗工液を、上記透明基板上に塗布し、パターニングすることにより光路差調整層をパターン状に形成する光路差調整層形成工程と、
上記光路差調整層が形成された透明基板上に、着色層を形成する着色層形成用塗工液を塗布して、上記光路差調整層上に位置する着色層を反射光用着色層とし、他の部分の着色層を透過光用着色層として、上記反射光用着色層および透過光用着色層を有する着色層を形成する着色層形成工程とを有し、
さらに、上記着色層形成用塗工液または光路差調整層形成用塗工液の少なくとも一方には、発泡剤が分散されており、上記発泡剤が分散されている塗工液を用いて形成された上記着色層または光路差調整層を、180℃〜240℃の範囲内で加熱することにより上記発泡剤を分解させ、上記着色層内または光路差調整層内に気泡を形成する気泡形成工程を有することを特徴とする半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法を提供する。
【0029】
本発明においても上記請求項10の場合と同様に、発泡剤が分散された塗工液を用い、そのような塗工液により形成された着色層または光路差調整層において気泡形成工程を行うことにより、着色層または光路差調整層の内部に気泡を容易に形成することができる。
【0030】
上記請求項10または請求項11に記載された発明においては、請求項12に記載するように、上記気泡形成工程は、ポストベーク工程として行われることが好ましい。気泡形成工程をポストベーク工程として行うことにより、ある程度硬化が進んだ状態の着色層または光路差調整層に気泡を形成することとなり、着色層または光路差調整層の粘性が高いため、発泡剤が分解する際に生じる力によって、気泡の泡径が所望の範囲以上に大きくなるといった不都合を防止することができるからである。
【0031】
上記請求項10から請求項12までのいずれかの請求項に記載された発明においては、請求項13に記載するように、上記気泡は、その泡径が0.5μm〜2.0μmの範囲内であることが好ましい。上記範囲内の泡径を有する気泡であれば、反射光に対する光散乱効果を充分に得ることができるからである。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタ、それを有する半透過型カラー液晶表示装置および半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法について説明する。
【0033】
A.半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタ
本発明の半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタ(以下、半透過型カラーフィルタとする場合がある。)は、反射光用着色層の形状および形成された位置の違いにより3つの実施態様に分けることができる。以下、それぞれについて説明する。
【0034】
1.第1実施態様
本発明の半透過型カラーフィルタの第1実施態様は、透明基板と、前記透明基板上に形成された反射光用着色層および透過光用着色層とを有する半透過型カラーフィルタであって、
前記反射光用着色層は、その平均膜厚が透過光用着色層の膜厚よりも薄くなるように、反射光用着色層表面には複数の凹部が形成されており、
前記反射光用着色層が配置され反射光が透過する反射光領域に位置し、かつ前記透明基板および液晶層の間に設けられた部材のうち、少なくとも一つの部材は、内部に気泡が形成され、反射光に対する光散乱機能を有する層であることを特徴とするものである。
【0035】
本実施態様においては、反射光領域に位置し、透明基板および液晶層間に設けられた部材のうち少なくとも一つの部材に対して、内部に気泡を形成することにより、充分な光散乱機能を得ることができる。これは、気泡の屈折率が約1.0であることから、光散乱機能を有する層を構成する材料と気泡との屈折率差を好適に大きくすることができるため、気泡内へ入射した光が、気泡外へ出射する際に、種々の方向へ屈折するからである。また、従来、非晶質微粒子を含有させることにより光散乱効果を得ていた場合と比較して、微粒子の単位面積当たりの含有量よりも、単位面積当たりの気泡数が少なくて充分な光散乱効果を得ることができるため、光散乱機能を有する層の膜厚を従来と比較し薄膜化することが可能となる。
【0036】
図1は、このような本実施態様の半透過型カラーフィルタの一例を示す概略断面図である。まず、透明基板1上には、透過光用着色層2aと反射光用着色層2bとからなる着色層2が形成されている。上記反射光用着色層2bの液晶層側表面、すなわち透明基板1と反対側の表面には、ピンホール状に形成された複数の凹部3が形成されている。
【0037】
このように、反射光用着色層2bの表面にピンホール状の凹部3を形成することにより、反射光用着色層2b全体の平均膜厚を薄くすることが可能となる。そして、このピンホール状の凹部3の大きさや深さを調整することにより、透過光用着色層2aの光の透過率と反射光用着色層2bの光の透過率を調整することができ、これにより両者の色調を同様なものとすることができる。
【0038】
さらに、上記反射光用着色層2b上に光路差調整層4が形成されており、その内部には、気泡6が形成されている。このように本実施態様においては、光路差調整層4を、反射光用着色層4の液晶層側に設け、かつ内部に気泡6を形成することにより、反射光および透過光の光路差を調整することができると同時に、反射光に対する光散乱効果も得ることができるのである。また、着色層2の間には、ブラックマトリックス5が形成されている。
【0039】
以下、このような本実施態様の半透過型カラーフィルタについて、各部材に分けて説明する。
【0040】
(1)光散乱機能を有する層
まず、光散乱機能を有する層について説明する。
【0041】
本実施態様における光散乱機能を有する層とは、反射光用着色層が配置され反射光が透過する反射光領域に位置し、かつ透明基板および液晶層の間に設けられた部材のうち、少なくとも一つの部材であって、内部に気泡が形成されている層である。光散乱機能を有する層は、内部に気泡が形成されていることにより、気泡の屈折率が約1.0であることから、光散乱機能を有する層を構成する材料と気泡との屈折率差が好適に大きくなり、気泡内へ入射した光が、気泡外へ出射する際に、種々の方向へ屈折させることができるため、光散乱効果を得ることができるのである。
【0042】
このような光散乱機能を有する層として、その内部に形成された気泡の泡径は、反射光領域に入射した光を散乱させることができるのであれば特に限定はされない。具体的には、0.5μm〜2.0μmの範囲内であることが好ましく、その中でも、0.5μm〜1.0μmの範囲内であることが好ましい。上記範囲よりも大きい泡径とすると、光散乱機能を有する層の薄膜化を困難とするため好ましくなく、一方、上記範囲よりも小さい泡径とすると、光の波長によっては光散乱効果が得られない場合があるため好ましくない。
【0043】
さらに、このような光散乱機能を有する層の膜厚としては、光散乱効果を得ることができるのであれば特に限定はされないが、具体的には、0.5μm〜10μmの範囲内、その中でも、1μm〜4μmの範囲内であることが好ましい。従来、非晶質微粒子を含有させることにより光散乱効果を得ていた場合には、非晶質微粒子の含有量を増やしたり、光散乱層自体の膜厚を厚くする等の方法により、光散乱効果を高めるための工夫がなされていたが、本実施態様においては、微粒子の単位面積当たりの含有量よりも、単位面積当たりの気泡数が少なくて充分な光散乱効果を得ることができるため、従来よりも膜厚を薄く形成することが可能となるのである。
【0044】
なお、上記光散乱機能を有する層の空隙率および膜厚は、相互に調整することにより、必要な光散乱効果を実現するものであるため、例えば、上記空隙率の範囲外であっても、膜厚を調整することにより必要な光散乱効果が得られる場合もある。したがって、上記空隙率の範囲および膜厚の範囲は、多少異なる場合がある。
【0045】
本実施態様における光散乱機能を有する層は、半透過型カラーフィルタにおいて、反射光用着色層が配置され反射光が透過する反射光領域に位置し、かつ透明基板および液晶層間に設けられた部材のうち、いずれかの部材であれば特に限定はされない。例えば、図1に示すように透過光領域および反射光領域における光路差を調整する光路差調整層4、図2に示すように反射光用着色層2b、さらに図示していないが保護層等を挙げることができる。その中でも、反射光用着色層および光路差調整層であることが好ましい。
【0046】
従来、非晶質微粒子を用いて光散乱層を形成していた場合には、光散乱層の薄膜化は困難であったため、薄膜化が要求される反射光用着色層および光路差調整層に光散乱機能を保持させることは困難であった。しかしながら、本実施態様においては、光散乱機能を有する層の薄膜化が可能であることから、光散乱機能を有する層を反射光用着色層および光路差調整層としても、それらに充分な光散乱効果を兼ね備えさせることができるのである。
【0047】
例えば、反射光用着色層内に気泡を形成する場合には、気泡の泡径または量等を調整することにより光散乱機能を有する層の光散乱の度合いを変化させることができるため、反射光用着色層の色に応じて要求される好適な光の散乱の度合いに、各々調整することが可能となる。
【0048】
また、本実施態様の半透過型カラーフィルタでは、反射光は透過光に対して2倍の光路長だけ液晶層を透過することになることから、この光路長を調整するために光路差調整層を形成することが好ましいが、例えば、光路差調整層に気泡を形成することにより、このような光路差調整層において光散乱効果も得ることができる。
【0049】
さらに、本実施態様において、光散乱機能を有する層は、一層に限らず、反射光領域に位置し、透明基板および液晶層間に設けられた部材であれば、そのうちの複数の層を光散乱機能を有する層とする場合であってもよい。より一層光散乱効果を得ることができるからである。
【0050】
また、光散乱機能を有する層において、気泡と、光散乱機能を有する層を形成する樹脂との屈折率差は、光散乱機能を得るのに充分な程度であれば特に限定はされないが、0.1以上、その中でも0.2以上であることが好ましく、特に0.3以上であることが最も好ましい。上記範囲内の屈折率差を有することにより、気泡内へ入射した光が、気泡外へ出射する際に、種々の方向へ屈折させることができ、充分な光散乱効果を得ることができるからである。本実施態様においては、気泡の屈折率は、その内部に存在する気体の屈折率から約1.0であるため、容易に上記範囲内の屈折率差を生じさせることができる。
【0051】
(2)着色層
本実施態様に用いられる着色層は、透明基板上に形成されるものであり、反射光用着色層と透過光用着色層とから構成されるものである。なお、本実施態様でいう着色層とは、複数色の画素部、通常は赤(R)、緑(G)、および青(B)の3色の画素部からなり、種々のパターン、例えば、モザイク状、トライアングル状、ストライプ状等のパターンで形成されるものである。
【0052】
本実施態様においては、このような着色層において、反射光用着色層が上述した光散乱機能を有する層であることが好ましく、このように反射光用着色層を光散乱機能を有する層とした場合には、気泡の泡径または量等を調整することにより光散乱の度合いを変化させることができることから、各反射光用着色層の色に応じて要求される好適な光の散乱の度合いに各々調整することにより表示特性の向上に効果がある。
【0053】
(反射光用着色層)
本実施態様における反射光用着色層は、その液晶層側表面に複数の凹部が形成され、かつ平均膜厚が上記透過光用着色層の膜厚より薄くなるように形成されており、反射光領域に位置する着色層である。
【0054】
a.表面の凹部
まず、凹部について説明する。反射光用着色層表面に形成されている凹部の形状は特に限定されるものではなく、透過光用着色層の膜厚に対して薄くなるように調整できる形状であれば特に限定されるものではない。具体的には、曲面で構成される凹部や、矩形状で構成される凹部等を挙げることができる。
【0055】
本実施態様において複数の凹部の形成方法としては、フォトリソグラフィー法であることが好ましい。1回の工程で簡単に凹部を形成することができるからであり、また凹部の大きさにより平均膜厚の調整も容易であることから透過光領域と反射光領域との色調の調整も容易となるからである。
【0056】
特に、本実施態様においては、反射光用着色層表面の凹部が、透過光用着色層と同じ膜厚で形成された反射光用着色層表面に複数の凹部が形成されてなるものであることが好ましい。均一な着色層を形成し、その反射光領域のみにフォトリソグラフィー法等により複数の凹部を形成することにより、極めて簡便に反射光用着色層と透過光用着色層とを得ることができる。また、上述したように透過光領域と反射光領域との色調の調整が容易となるからである。
【0057】
b.平均膜厚
本実施態様においては、上述した凹部を形成し、これにより反射光用着色層の平均膜厚を透過光用着色層の膜厚より薄くすることにより、反射光領域における色調と透過光領域における色調を調整するものである。
【0058】
この際の膜厚差は、各カラー液晶表示装置の特性や、含まれる顔料の種類等に応じて、最適となるように決定されるものである。具体的には、反射光用着色層の平均膜厚が、透過光用着色層の膜厚を1とした場合に、0.4〜0.95の範囲内であることが好ましく、特に0.45〜0.75の範囲内とすることが好ましい。上述した範囲とすることにより、反射光領域と透過光領域との色調が概ね同一となり、良好な品質の半透過型カラー液晶表示装置とすることができるからである。
【0059】
また、反射光用着色層の平均膜厚の具体的な値としては、一般的な半透過型カラーフィルタにおけるものと同様であり0.5μm〜3μmの範囲内とされる。本実施態様においては、上述したように光散乱機能を有する層は従来よりも薄膜化が可能であることから、上記範囲のように薄膜化が要求される反射光用着色層であっても光散乱機能を有する層とすることができる。よって、本実施態様において光散乱機能を有する層を反射光用着色層とした場合には、反射光用着色層に光散乱機能を兼ね備えさせることが可能である。
【0060】
さらに、反射光用着色層の平均膜厚の調整は、凹部の形状を変更することにより容易に行うことができる。例えば、上述したように平面状に形成された反射光用着色層に凹部を形成した場合は、凹部の深さや大きさ等を調整することにより容易に平均膜厚の調整を行うことができることから好ましいといえる。
【0061】
本実施態様において、上記反射光用着色層の凹部が形成された表面側が接触する層としては、後述する光路差調整層、平坦化層、液晶層等いかなる層であってもよい。
【0062】
c.材料
反射光用着色層を形成する材料としては、通常着色層に用いられる材料を挙げることができ、パターニングを可能とし、所定の波長の光を透過することができる材料であれば特に限定されるものではない。通常は、いわゆる顔料分散法に用いられるアクリル系、エポキシ系、ウレタン系等のUV硬化型樹脂に顔料を分散させたものが用いられる。また、本実施態様において、光散乱機能を有する層として反射光用着色層とした場合には、上記材料に発泡剤を分散させたものを用いることにより反射光用着色層内に気泡を形成することができる。この発泡剤については、後述する「C.半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法」の項目の中で説明する。
【0063】
(透過光用着色層)
本実施態様における透過光用着色層は、特に限定されるものではないが、通常は反射光用着色層と同一の材料により形成されることが、工程の簡略化の観点から好ましいといえる。
【0064】
このような、透過光用着色層の膜厚は、上述した表面に凹凸を有する反射光用着色層の平均膜厚より厚ければ特に限定されるものではなく、具体的には、0.5μm〜3μmの範囲内とされる。
【0065】
(3)光路差調整層(平坦化層)
本実施態様においては、上記反射光用着色層の凹部が形成された側の表面を平坦化する平坦化層が形成されていることが好ましい。これは、通常液晶層と接する面は液晶層中の液晶の配向を容易とするために平面であることが好ましく、また上記着色層表面に通常形成される透明電極層の断線を防止観点からも平面であることが好ましいからである。
【0066】
このような平坦化層としては、この平坦化層が所定の膜厚を有することにより、反射光領域と透過光領域における液晶層内の光線の光路差を調整する機能を有する光路差調整層であることが好ましい。通常、反射光領域における反射光は、透過光領域における透過光に対して2倍の光路長だけ液晶層を透過することになることから、この光路差を調整する必要がある。このため、上述したような光路差を調整するための光路差調整層が形成されることが好ましいのである。
【0067】
本実施態様においては、このような光路差調整層がさらに、上述した光散乱機能を有する層であることが好ましい。すなわち、光路差調整層内に気泡を形成することで、光路差調整層としての本来の機能を損なうことなく、さらに膜厚等に制限を受けることなく光散乱効果も得ることができるからである。また、光路差調整層が光路調整を意図せず平坦化層として用いた場合であっても、光散乱機能を有する層としてもよい。特に、その表面の平坦性を損なうことがないのであれば、液晶の配向に影響を与えることはないからである。
【0068】
上記光路差調整層の膜厚は、光路差を調整することが可能な膜厚であれば特に限定されるものではなく、液晶層の厚み等によって大きく異なるものではあるが、通常0.5μm〜3.5μmの範囲内、特に1.0μm〜2.5μmの範囲内とすることが好ましい。光路差調整層は、このように薄膜化が要求される部材であるが、本実施態様において、例えば光路差調整層を光散乱機能を有する層とした場合であっても、上述したように光散乱機能を有する層は従来よりも薄膜化が可能であることから、光路差調整層に光散乱機能を兼ね備えさせることが可能である。
【0069】
なお、特に光路差調整を意図せず、平坦化のみを意図した平坦化層である場合の膜厚としては、透過光用着色層との段差が0.5μm以内となるような膜厚であることが好ましい。
【0070】
(4)透明基板
本実施態様に用いられる透明基板は、従来よりカラーフィルタに用いられているものであれば、特に限定されるものではないが、例えば石英ガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジット材、あるいは透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材を用いることが可能である。また、透明基板は、必要に応じてアルカリ溶出防止用や、ガスバリア性付与その他の目的の表面処理を施したものを用いてもよい。
【0071】
(5)その他
本実施態様の半透過型カラーフィルタには、必要に応じてブラックマトリックスや透明電極、配向膜、保護層等の種々の機能性層が形成されていてもよい。これらの形成される位置や材料に関しては、従来のものと同様であるのでここでの説明は省略する。
【0072】
2.第2実施態様
次に、本発明の半透過型カラーフィルタの第2実施態様について説明する。
【0073】
本実施態様の半透過型カラーフィルタは、透明基板と、前記透明基板上に形成された反射光用着色層および透過光用着色層とを有する半透過型カラーフィルタであって、
前記反射光用着色層は、その平均膜厚が透過光用着色層の膜厚よりも薄くなるように少なくとも一つの除去部が形成されており、
前記反射光用着色層が配置され反射光が透過する反射光領域に位置し、かつ前記透明基板および液晶層の間に設けられた部材のうち、少なくとも一つの部材は、内部に気泡が形成され、反射光に対する光散乱機能を有する層であることを特徴とするものである。
【0074】
本実施態様は、上述したように第1実施態様とは、反射光用着色層の形状が異なるのみであるので、これらの点について説明し、他の説明は上記第1実施態様の説明を参照してここでの説明は省略する。
【0075】
本実施態様の半透過型カラーフィルタについて図面を用いて具体的に説明する。図3は、本実施態様の半透過型カラーフィルタの一例を図示した概略断面図である。まず、透明基板1上には、透過光用着色層2aと反射光用着色層2bとからなる着色層2が形成されている。この例の反射光用着色層2bは、透過光用着色層2aと同一の膜厚を有するものであるが、その一部分が除去されて除去部10が形成されている。このように、反射光用着色層2bの一部を除去することにより反射光用着色層2bの平均膜厚を薄くさせ、これにより、透過光領域と反射光領域との色調が同一となるように調整するものである。
【0076】
さらに、反射光用着色層2b上には光路差調整層4が形成され、その内部には気泡6が形成されている。さらに、着色層2間にはブラックマトリクス5が配置されている。
【0077】
また、図4に示す例では、気泡6が反射光用着色層2bに形成されており、上述した光散乱機能を有する層として反射光用着色層2bを用いた例を示している。
【0078】
なお、図4では、反射光用着色層2b以外に透過光用着色層2aにも気泡6が形成されているが、このような場合であってもよく、この場合には両者を同一の着色層形成用塗工液を用いて形成することができ、工程の簡略化の観点から好ましい。
【0079】
以下、上述した第1実施態様と異なる点である着色層について説明する。なお、透明基板やその他の層に関する説明は、上記第1実施態様の場合と同様であるのでここでの説明は省略する。
【0080】
(着色層)
本実施態様に用いられる着色層は、反射光用着色層の形状を除き、上記第1実施態様で説明したものと同様であるので、反射光用着色層の形状以外の点についての説明は省略する。
【0081】
本実施態様においては、反射光用着色層は、反射光用着色層全体の平均膜厚が上記透過光用着色層の膜厚より薄くなるように少なくとも一つの除去部が形成された形状を有するものである。すなわち本実施態様においては、反射光用着色層は、その一部が完全に除去され、反射光用着色層に少なくとも一つの除去部が形成されたような形状を有するものである。
【0082】
除去部を形成する方法としては、所望の形状の除去部を形成することが可能な方法であれば特に限定はされないが、具体的には、フォトリソグラフィー法等を挙げることができる。
【0083】
なお、ここでこのようにして減少させた反射光用着色層の平均膜厚、および透過光用着色層の膜厚との比等に関しては、上記第1実施態様において説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0084】
3.第3実施態様
次に、本発明の半透過型カラーフィルタの第3実施態様について説明する。本実施態様の半透過型カラーフィルタは、透明基板と、前記透明基板上に形成された反射光用着色層および透過光用着色層とを有する半透過型カラーフィルタであって、
前記反射光用着色層は、反射光領域と透過光領域との光路差を調整する光路差調整層上に形成されることにより、前記透過光用着色層よりも膜厚が薄く形成され、
前記反射光用着色層が配置され反射光が透過する反射光領域に位置し、かつ前記透明基板および液晶層の間に設けられた部材のうち、少なくとも一つの部材は、内部に気泡が形成され、反射光に対する光散乱機能を有する層であることを特徴とするものである。
【0085】
本実施態様においても上記第1実施態様および第2実施態様の場合と同様に、反射光領域に位置し、透明基板と液晶層との間に存在する部材のいずれかに気泡を形成することにより、充分な光散乱効果を得ることができる。さらに、本実施態様においては、光路差調整層を有する透明基板上に、着色層を形成し、光路差調整層上に位置する着色層を反射光用着色層とし、光路調整層上に位置しない部分の着色層を透過光用着色層とすることにより、特に煩雑な手間を要せずに、膜厚の異なる反射光用着色層および透過光用着色層からなる着色層を形成することができるため、簡便な工程で、表示特性に優れた半透過型カラーフィルタを形成することができる。
【0086】
このような本実施態様の半透過型カラーフィルタについて、図5を用いて説明する。図5は、本実施態様の半透過型カラーフィルタの一例を示した概略断面図である。この例に示すように、透明基板1上にパターン状に光路差調整層4が形成されており、その内部には気泡6が形成されている。さらに、この光路差調整層4を有する透明基板1上には、その液晶層側に着色層2が設けられており、特に光路差調整層4上に位置する着色層2を反射光用着色層2bとし、透明基板1上に位置する着色層2を透過光用着色層2aとしている。また、着色層2間にはブラックマトリクス5が形成されている。
【0087】
一方、図6に示すように、気泡6を反射光用着色層2bに形成する場合であってもよい。また、製造効率の面から透過光用着色層2aにも気泡6を形成してもよい。
【0088】
本実施態様においては、上述した第1および第2実施態様と同様に、反射光領域に位置し、透明基板と液晶層との間に存在する部材のいずれかに気泡を形成することにより光散乱効果を得ることができる。また、光路差調整層が形成されている透明基板上の液晶層側に、反射光用着色層および透過光用着色層からなる着色層を形成することにより、比較的容易に、反射光用着色層の膜厚を透過光用着色層の膜厚よりも薄くすることができるため、反射光領域および透過光領域における色調を同一とすることができる。
【0089】
なお、本実施態様においては、上述した第1および第2実施態様に対して、光路差調整層と着色層との位置関係が異なるのみであるので、この点について説明し、他の説明は上記第1実施態様の説明を参照してここでの説明は省略する。
【0090】
本実施態様においては、予め光路差調整層が形成されている透明基板上の液晶層側に着色層を形成することから、光路差調整層上に位置するか否かにより、着色層の膜厚に差を生じさせることができる。すなわち、光路差調整層が形成されている透明基板上に着色層を形成する着色層形成用塗工液を塗布すると、光路差調整層上に塗布された部分と、光路差調整層が形成されていない部分に塗布された部分とでは、必然的にその膜厚に差が生じる。これにより、光路差調整層上に位置する部分を反射光用着色層とし、光路差調整層が形成されていない部分に位置する着色層を透過光用着色層とすることにより、反射光用着色層の膜厚を透過光用着色層の膜厚よりも薄くすることができる。
【0091】
この際、光路差調整層の膜厚や、反射光用着色層および透過光用着色層の膜厚比等に関しては、その形成順序が異なるだけで、上述した第1実施態様と同様である。したがって、ここでの説明は省略する。
【0092】
B.半透過型カラー液晶表示装置
本発明の半透過型カラー液晶表示装置は、上述した半透過カラーフィルタと対向基板との間に液晶を封入してなるものである。したがって、上述した半透過カラーフィルタの利点、すなわち簡単な工程で製造が可能であり、結果的にコストダウンに繋がるという利点をそのまま有するものである。
【0093】
C.半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法
次に本発明の半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法について説明する。
【0094】
本発明においては、着色層および光路差調整層の形成順序の違いにより2つの実施態様に分けることができる。以下、本発明の半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法について、各実施態様に分けて説明する。
【0095】
1.第4実施態様
第4実施態様の半透過型カラーフィルタの製造方法は、透明基板と、前記透明基板上に形成された反射光用着色層および透過光用着色層とを有する半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法において、
着色層を形成する着色層形成用塗工液を前記透明基板上に塗布した後、その一部の平均膜厚が他の部分の膜厚よりも薄くなるように、着色層表面に複数の凹部または少なくとも一つの除去部を形成し、表面に複数の凹部または少なくとも一つの除去部が形成された部分の着色層を反射光用着色層とし、前記反射光用着色層の平均膜厚よりも膜厚が厚い部分の着色層を透過光用着色層として、前記反射光用着色層および透過光用着色層を有する着色層を形成する着色層形成工程と、
前記着色層上に、反射光領域と透過光領域との光路差を調整する光路差調整層を形成する光路差調整層形成用塗工液を塗布し、パターニングすることにより、前記反射光用着色層上に光路差調整層を形成する光路差調整層形成工程とを有し、
さらに、前記着色層形成用塗工液または光路差調整層形成用塗工液の少なくとも一方には、発泡剤が分散されており、前記発泡剤が分散されている塗工液を用いて形成された前記着色層または光路差調整層を、180℃〜240℃の範囲内で加熱することにより前記発泡剤を分解させ、前記着色層内または光路差調整層内に気泡を形成する気泡形成工程を有することを特徴とするものである。
【0096】
本実施態様においては、発泡剤が分散された塗工液を用い、そのような塗工液により形成された着色層または光路差調整層において気泡形成工程を行うことにより、着色層または光路差調整層の内部に気泡を形成することができる。
【0097】
このような本実施態様の半透過型カラーフィルタの製造方法について図面を用いて説明する。図7は本実施態様の一例として、光路差調整層に気泡を形成した場合の工程図である。
【0098】
まず、図7(a)に示すように、ブラックマトリクス5がパターン状に形成されている透明基板1上に着色層形成用塗工液を塗布し、着色層2を形成する。次に、着色層2をフォトリソグラフィー法によりパターニングし、所望のパターン状に形成すると同時に、反射光用着色層2bが形成される着色層2表面に複数の凹部3を形成する。これにより、表面が平面状に形成されている着色層2が透過光用着色層2aとなり、表面に凹部3が形成された着色層2が反射光用着色層2bとなる(図7(b)参照)。
【0099】
次いで、図7に示す例では、光路差調整層4に気泡6を形成する例を示していることから、発泡剤が分散された光路差調整層形成用塗工液を用い、当該塗工液を着色層2を有する透明基板1の液晶層側の全面に塗布した後、パターニングすることにより、図7(c)に示すように、反射光用着色層2b上に光路差調整層4を形成する。光路差調整層4をパターン状に形成する際に、ポストベークを行うが、この際、発泡剤が分解する温度とすることにより、図7(d)に示すように、ポストベーク工程において気泡6を形成することができる。
【0100】
以下、本実施態様の製造方法について以下、各工程ごとに分けて説明する。
【0101】
(1)着色層形成工程
まず、着色層形成工程について説明する。本実施態様における着色層形成工程とは、着色層を形成する着色層形成用塗工液を透明基板上に塗布した後、その一部の平均膜厚が他の部分の膜厚よりも薄くなるように、着色層表面に複数の凹部または少なくとも一つの除去部を形成し、表面に複数の凹部または少なくとも一つの除去部が形成された部分の着色層を反射光用着色層とし、前記反射光用着色層の平均膜厚よりも膜厚が厚い部分の着色層を透過光用着色層として、前記反射光用着色層および透過光用着色層を有する着色層を形成する工程である。
【0102】
図7に示す本実施態様の一例においては、光路差調整層4に気泡6を形成する例を示したが、本実施態様においては、例えば、着色層に気泡を形成する場合でってもよい。この場合本工程において発泡剤が分散された着色層形成用塗工液を用い、後述する気泡形成工程を行うことにより気泡を有する着色層を形成することができる。
【0103】
本工程において用いる着色層形成用塗工液としては、一般的に、用いられているものであれば特に限定はされない。具体的には、溶媒と感光性組成物とを有しているものであり、これらを有する塗工液に公知の顔料を分散させたものを着色層形成用塗工液として用いることができる。例えば、感光性組成物としては、ポリマー成分、モノマー成分、開始剤および添加剤等を挙げることができる。これらに関しては、従来より、着色層の形成に用いられているものであれば特に限定されるものではない。
【0104】
また、本実施態様において着色層内に気泡を形成する場合には、上記着色層形成用塗工液に発泡剤が分散されているものを用いる。この発泡剤については、後述する気泡形成工程の中で説明する。
【0105】
このような着色層形成用塗工液を用いて着色層をパターニングする方法としては、所望のパターンに精度良く形成できるのであれば特に限定はされない。具体的には、一般的に行われている顔料分散法やインクジェット法等を挙げることができる。
【0106】
さらに、本実施態様においては、着色層の一部の平均膜厚を、他の部分の膜厚よりも薄くするため、着色層の一部表面に複数の凹部または少なくとも一つの除去部を形成する。これにより、表面に複数の凹部または少なくとも一つの除去部が形成された部分の着色層を反射光用着色層とし、さらに、そのような凹部等が形成されていない部分の着色層を透過光用着色層として、反射光用着色層および透過光用着色層からなる着色層を形成するのである。このような凹部または除去部を形成する方法については、上述した第1実施態様および第2実施態様に記載したものと同様であるのでここでの説明は省略する。
【0107】
本実施態様において着色層に気泡を形成する場合には、本工程において行うポストベーク工程を、後述する気泡形成工程とすることが好ましい。これは、ポストベーク工程を行う際には、ある程度着色層は硬化していることから、着色層の粘性が高く、そのような着色層の内部で発泡剤を分解させることにより、分解の際に生じる力によって気泡が不当に大きく形成される心配が少ないからである。また、ポストベーク工程と気泡の形成を同時に行うことができ、製造効率の面においても有利である。
【0108】
また、着色層を顔料分散法で形成する場合には、気泡形成工程をパターニングの最終段階で行われるポストベーク工程として行うことにより、着色層のパターニング途中においては、気泡が存在しないため、気泡による影響を受けることがなくパターンを形成することができる。したがって、精度の高いパターニングが可能となる。
【0109】
(2)光路差調整層形成工程
次に、光路差調整層形成工程について説明する。本実施態様における光路差調整層形成工程とは、前記着色層上に、反射光領域と透過光領域との光路差を調整する光路差調整層を形成する光路差調整層形成用塗工液を塗布し、パターニングすることにより、前記反射光用着色層上に光路差調整層を形成する工程である。
【0110】
本工程において用いる光路差調整層形成用塗工液としては、一般的に光路差調整層を形成する際に用いる塗工液を使用することが可能である。具体的には、上述した着色層形成用塗工液と同様に、溶媒と感光性組成物とを有しているものであり、感光性組成物として、ポリマー成分、モノマー成分、開始剤および添加剤等を挙げることができる。これらに関しては、従来より、光路差調整層の製造に用いられているものであれば特に限定されるものではない。
【0111】
また、本実施態様においては、光路差調整層に気泡を形成する場合であってもよく、このような場合には、上記光路差調整層に発泡剤を分散させたものを用いる。この発泡剤に関しては、後述する気泡形成工程の中で説明する。
【0112】
本実施態様において光路差調整層に気泡を形成する場合には、上述した着色層形成工程の場合と同様に、本工程において行われるポストベーク工程を、後述する気泡形成工程とすることが好ましい。これは、ポストベーク工程を行う際には、ある程度光路差調整層の硬化が進行していることから、光路差調整層の粘性が高く、そのような光路差調整層の内部で発泡剤を分解させることにより、分解の際に生じる力により気泡が不当に大きく形成される心配が少ないからである。また、ポストベーク工程と気泡の形成を同時に行うことができ、製造効率の面においても有利である。
【0113】
また、一般的に光路差調整層はフォトリソグラフィー法により形成されるが、フォトリソグラフィー法により光路差調整層をパターン状に形成する最終段階で行われるポストベーク工程において気泡を形成することにより、パターニングを行っている最中には、光路差調整層の内部に気泡が存在しないため、気泡の影響を受けることなくパターンを形成することができる。したがって、精度の高いパターンの形成が可能となる。
【0114】
(3)気泡形成工程
気泡形成工程について説明する。本実施態様における気泡形成工程は、前記着色層形成用塗工液または光路差調整層形成用塗工液の少なくとも一方には、発泡剤が分散されており、前記発泡剤が分散されている塗工液を用いて形成された前記着色層または光路差調整層を、180℃〜240℃の範囲内で加熱することにより前記発泡剤を分解させ、前記着色層内または光路差調整層内に気泡を形成する工程である。
【0115】
このような気泡形成工程は、着色層または光路差調整の内部に気泡を形成することができるのであれば、いつ行ってもよいが、上述したように、着色層形成工程または光路差調整層におけるポストベーク工程として行われることが好ましい。気泡形成工程をポストベーク工程として行うことにより、ある程度硬化が進んだ状態の着色層または光路差調整層に気泡を形成することとなる。したがって、着色層または光路差調整層の粘性が高いため、発泡剤が分解する際に発生する力により、気泡の泡径が所望の範囲以上に大きくなるといったことが起こりにくく、所望の泡径を有する気泡を容易に形成することができるからである。
【0116】
本実施態様において、気泡を形成するために用いる発泡剤としては、所定の温度範囲内で分解し、光散乱効果を得るのに充分な気泡を形成することが可能な発泡剤であれば特に限定はされない。具体的には、アゾジカルボンアミド、N,N´−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、4,4´−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、炭酸水素ナトリウム等を挙げることができる。
【0117】
また、上記発泡剤の粒径としては、0.01μm〜1μmの範囲内、その中でも0.03μm〜0.1μmの範囲内であることが好ましい。上記範囲内であれば、本工程により発泡剤が分解した際に、上述した泡径を有する気泡を形成することができるからである。
【0118】
このような発泡剤を着色層形成用塗工液または光路差調整層形成用塗工液に含有させる含有量としては、これらの塗工液に含有されている樹脂材料に対して0.5重量%〜70重量%の範囲内であることが好ましく、その中でも、1重量%〜50重量%の範囲内であることが好ましい。
【0119】
なお、発泡剤の種類および含有量等を変化させることにより形成される気泡の泡径および気泡量が変化するが、好適な光散乱効果が得られる気泡の泡径および気泡量に調節するためには、予めシュミレーション等を行うことにより、発泡剤の種類および含有量に応じた気泡量等の変化を計測し、そのような計測結果に基づいて、発泡剤の種類および含有量を適宜選択するものとする。
【0120】
上記発泡剤が分散された着色層形成用塗工液または光路差調整層形成用塗工液を用いて形成された着色層または光路差調整層を、所定範囲内の温度で加熱することにより、発泡剤を分解させ、上記着色層内または光路差調整層内に気泡を形成する。この際の加熱の温度としては、用いる発泡剤により異なるが、180℃〜240℃の範囲内であることが好ましく、さらには、200℃〜230℃の範囲内であることが好ましい。
【0121】
なお、本実施態様においては、着色層または光路差調整層のいずれかに気泡が形成されていればよく、例えば、両方に気泡が形成されている場合であってもよい。このような場合には、着色層形成工程および光路差調整層形成工程の各々において、本工程を行うことにより両方の部材に気泡を形成することができる。
【0122】
2.第5実施態様
第5実施態様の半透過型カラーフィルタの製造方法について説明する。
【0123】
本実施態様の半透過型カラーフィルタの製造方法は、透明基板と、前記透明基板上に形成された反射光用着色層および透過光用着色層とを有する半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法において、
反射光領域と透過光領域との光路差を調整する光路差調整層を形成する光路差調整層形成用塗工液を、前記透明基板上に塗布し、パターニングすることにより光路差調整層をパターン状に形成する光路差調整層形成工程と、
前記光路差調整層が形成された透明基板上に、着色層を形成する着色層形成用塗工液を塗布して、前記光路差調整層上に位置する着色層を反射光用着色層とし、他の部分の着色層を透過光用着色層として、前記反射光用着色層および透過光用着色層を有する着色層を形成する着色層形成工程とを有し、
さらに、前記着色層形成用塗工液または光路差調整層形成用塗工液の少なくとも一方には、発泡剤が分散されており、前記発泡剤が分散されている塗工液を用いて形成された前記着色層または光路差調整層を、180℃〜240℃の範囲内で加熱することにより前記発泡剤を分解させ、前記着色層内または光路差調整層内に気泡を形成する気泡形成工程を有することを特徴とするものである。
【0124】
本実施態様は、上述した第4実施態様と、光路差調整層形成工程および着色層形成工程の形成順序が異なるのみであるので、この点について説明し、他の説明は上記第4実施態様の説明を参照してここでの説明は省略する。
【0125】
以下、本実施態様の半透過型カラーフィルタの製造方法について図面を用いて具体的に説明する。
【0126】
図8は、本実施態様の一例として、光路差調整層に気泡を形成する場合を示した工程図である。まず、図8(a)に示すように、ブラックマトリクス5がパターン状に形成されている透明基板1上に、光路差調整層4を形成する光路差調整層形成用塗工液を塗布し、パターニングを行うことにより、光路差調整層4をパターン状に形成する。
【0127】
図8においては、光路差調整層4内に気泡6を形成する例を示しているので、上記光路差調整層形成用塗工液には、発泡剤が分散されているものを用いる。光路差調整層4をパターン状に形成する際に、ポストベーク工程を行うが、この際、発泡剤が分解する温度で行うことにより、図8(b)に示すように、ポストベーク工程において光路差調整層4内に気泡6を形成することができる。
【0128】
次いで、気泡6が形成された光路差調整層4を有する透明基板1の液晶層側に、図8(c)に示すように、着色層を形成する着色層形成用塗工液を塗布し、着色層2を形成する。次いで、図8(d)に示すように、着色層2をパターニングすることにより、パターン状に着色層2を形成する。本実施態様においては、光路差調整層4上に位置する着色層2を反射光用着色層2bとし、透明基板1上に位置する着色層2を透過光用着色層2aとすることにより、必然的に透過光用着色層2aと反射光用着色層2bとの膜厚に差を生じさせることができ、特に、反射光用着色層2bの膜厚を透過光用着色層2aの膜厚より薄くすることができる。
【0129】
なお、図8に示す例では、光路差調整層4内に気泡6を形成する場合を示したが、例えば、着色層2内に気泡6を形成する際には、発泡剤が分散されている着色層形成用塗工液を用い、パターン状に着色層2を形成する際、発泡剤を分解させることが可能な温度でポストベークを行うことにより、着色層2内に気泡6を形成することができる。
【0130】
本実施態様においては、予め光路差調整層が形成されている透明基板上に着色層を形成することから、光路差調整層上に位置する着色層と、光路差調整層が形成されていない部分に位置する着色層とで、容易に膜厚に差を生じさせることができる。すなわち、光路差調整層が形成されている透明基板上に着色層形成用塗工液を塗布すると、光路差調整層上に塗布された部分と、光路差調整層が形成されていない部分に塗布された部分とでは、必然的にその膜厚に差が生じるため、光路差調整層上に位置する部分を反射光用着色層とし、光路差調整層が形成されていない部分に位置する着色層を透過光用着色層とすることにより、反射光用着色層の膜厚を透過光用着色層の膜厚よりも薄くすることができるのである。
【0131】
なお、本実施態様における光路差調整層形成工程、着色層形成工程および気泡形成工程に関する具体的な説明は上述した第4実施態様と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0132】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0133】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明をさらに説明する。
【0134】
[実施例1]
透明基板として、基板サイズ300×400mm、厚さ0.7mm(コーニング社製1737材)を用いて、洗剤洗浄、乾燥工程を行った。
【0135】
次に、定法の方法を用いてスパッタリングによりCr膜を1500Å成膜し、さらにCr膜上にポジレジストを塗布し、プリベーク・露光・現像・エッチング・剥離の工程を経て、ブラックマトリクスをパターン状に透明基板上に形成した。
【0136】
次に、着色層を形成した。着色層を形成する材料は、下記に示す着色感材を用いた。
RED感材…カラーモザイク CR9000(富士フィルムアーチ社製)
GREEN感材…カラーモザイク CG9000(富士フィルムアーチ社製)
BLUE感材…カラーモザイク CB9000(富士フィルムアーチ社製)
(REDストライプパターンの形成)
上記ブラックマトリクスが形成された透明基板上に、RED感材をスピンナーにより塗布(620rpm、10秒保持)し、プリベーク80℃、3分で乾燥させた後、図9に示す繰り返しパターンを有するマスクを用い、100mJ/cm2で露光、現像(専用現像液で70秒)し、さらにポストベークを(230℃、30分)行った。これにより、表面に凹部が形成された部分の着色層である反射光用着色層と、表面が平面状である透過光用着色層からなる着色層をストライプパターン状に形成することができた。透過光用着色層の膜厚は2.0μmであり、反射光用着色層の平均膜厚は約1.0μmであった。
【0137】
(GREENストライプパターンの形成)
塗布条件として560rpm、現像時間130秒とした以外は上記REDストライプパターンを形成した場合と同様に行った。透過光用着色層の膜厚は2.0μmであり、反射光用着色層の平均膜厚は約1.0μmであった。
【0138】
(BLUEストライプパターンの形成)
塗布条件として690rpm、現像時間65秒とした以外は上記REDストライプパターンを形成した場合と同様に行った。透過光用着色層の膜厚は2.0μmであり、反射光用着色層の平均膜厚は約1.0μmであった。
【0139】
(光散乱機能付き光路差調整層の形成)
光散乱機能付き光路差調整層を形成する光路差調整層形成用塗工液は、保護膜用感光性材料IT−MP(ザ・インクテック社製)を用い、さらに発泡剤として平均粒径0.05μmのアゾジカルボンアミドを10重量%を分散させたものを使用した。
【0140】
塗布条件としてスピンナー(510rpm、7秒保持)で塗布し、プリベークとして90℃、3分で乾燥させた後、上記反射光用着色層に対応した部分が開口したパターンを有するマスクを用い、300mJ/cm2で露光、現像(専用現像液で60秒)、ポストベーク(230℃、30分)を行った。ポストベークの際上記発泡剤が分解することにより光路差調整層内に気泡が形成され、反射光用着色層上のみに光散乱機能付き光路差調整層を形成することができた。光散乱機能付き光路差調整層と反射光用着色層とを含む膜厚は4.3μm、透過光用着色層の膜厚は2.0μmに調整できた。
【0141】
次に、スパッタリングによりITO膜を1500Åで形成し、さらに、柱状スペーサ形成用材料(JSR社製)を塗布し、反射部のブラックマトリクスに対応する部分に柱状スペーサを形成するマスクを使用し、反射部に柱状スペーサを形成した。柱状スペーサの膜厚は2.3μmに調整した。
【0142】
さらに背面電極基板とカラーフィルタ基板との両方に、配向膜を塗布・ラビングした後、外周シール部にシール材を塗布し、両方の基板を重ね合わせ、液晶物質としてネマチック液晶を封入した。次に、封入口を封止し偏光板および位相差板を組み合わせて半透過型カラー液晶表示装置を組み立てた。
【0143】
上記背面側電極基板に設けられた透明電極層と、カラーフィルタ基板に設けられた透明電極基板の間に電圧を印加して画面を表示したところ、バックライトからの入射光で十分明るいカラー画像の表示画面を認識することができた。同じく、背面側電極基板に設けられた金属反射電極とカラーフィルタ基板に設けられた透明電極基板との間に電圧を印加して画面を表示したところ、反射入射光により、その画面は透過光表示と比較してカラーフィルタを2回透過しているにもかかわらず、透過光と同様に十分明るい鮮明な画面であった。
【0144】
[実施例2]
以下の着色層形成時に使用したマスク以外は、実施例1と同じ工程により半透過型カラー液晶表示装置を作製した。
【0145】
RED、GREEN、BLUE着色層を形成する時に使用するマスクを反射部領域の半分の領域を遮光したものとした。このマスクを用いて着色層を形成することにより、反射光用着色層の一部が完全に除去され、各々の反射光用着色層に少なくとも一つの除去部を形成することができた。
【0146】
このような着色層を有する半透過型カラー液晶表示装置を観察したところ反射モードではさらに視覚依存性が改善されていた。
【0147】
[実施例3]
透明基板として300×400mm、厚さ0.7mm(コーニング社製1737材)を用いて、洗剤洗浄、乾燥工程を行った。
【0148】
次に定法の方法を用いて、スパッタリングによりCr膜を1500Åで成膜し、さらにCr膜上にポジレジストを塗布し、プリベーク・露光・現像・エッチング・剥離の工程を経て、ブラックマトリクスを透明基板上にパターン状に形成した。
【0149】
(光散乱機能付き光路差調整層の形成)
次に、光散乱機能付き光路差調整層の形成を行った。
【0150】
このような光路差調整層を形成する光路差調整層形成用塗工液は、保護膜用感光性材料IT−MP(ザ・インクテック社製)を用い、発泡剤として平均粒径0.05μmのアゾジカルボンアミドを10重量%を分散させたものを使用した。
【0151】
塗布条件としてスピンナー(510rpm、7秒間保持)で塗布し、プリベークとして90℃、3分で乾燥させた後、反射光用着色層に対応した部分が開口となっているパターンを有するマスクを用い、300mJ/cm2で露光、現像(専用現像液で60秒)し、さらにポストベーク(230℃、30分)を行い、反射光用着色層が形成される部分の等明基板上のみに光散乱機能付き光路差調整層を形成した。
【0152】
この時の光散乱機能付き光路差調整層の膜厚は3.0μmであった。
【0153】
次に、着色層を形成した。着色層を形成する材料は下記に示す着色感材を用いた。
RED感材…カラーモザイク CR9000(富士フィルムアーチ社製)
GREEN感材…カラーモザイク CG9000(富士フィルムアーチ社製)
BLUE感材…カラーモザイク CB9000(富士フィルムアーチ社製)
(REDストライプパターンの形成)
上記ブラックマトリクスおよび光散乱機能付き光路差調整層が形成された透明基板上に、RED感材をスピンナーにより塗布(620rpm、10秒間保持)し、プリベーク80℃、3分で乾燥させた後、反射部および透過部ともに開口となっているマスクを用い、100mJ/cm2で露光、現像(専用現像液で70秒)し、さらにポストベーク(230℃、30分)を行った。これにより、上記光散乱機能付き光路差調整層上に位置する反射光用着色層と、透明基板上に位置する透過光用着色層とをストライプパターン状に形成することができた。反射光用着色層の膜厚は光散乱機能付き光路差調整層上に形成されていることから1.0μmであり、透過光用着色層の膜厚は、2.0μmであった。
【0154】
(GREENストライプパターンの形成)
塗布条件として560rpm、現像時間130秒とした以外は、上記REDストライプパターンを形成した場合と同様に行った。透過光用着色層の膜厚は2.0μmであり、反射光用着色層の膜厚は約1.0μmであった。
【0155】
(BLUEストライプパターンの形成)
塗布条件として690rpm、現像時間65秒とした以外は上記REDストライプパターンを形成した場合と同様に行った。透過光用着色層の膜厚は2.0μmであり、反射光用着色層の膜厚は約1.0μmであった。
【0156】
この後、実施例1と同様の工程により半透過型カラー液晶表示装置を作製した。
【0157】
実施例1同様に半透過型カラー液晶表示装置を観察したところ、反射モードでは実施例2と同様に視覚依存性が改善されていた。
【0158】
【発明の効果】
本発明によれば、反射光領域に位置し、透明基板および液晶層間に設けられた部材のうち少なくとも一つの部材に対して、内部に気泡を形成することにより、光散乱機能を有する層を構成する材料と気泡との屈折率差が好適に大きいことから、充分な光散乱効果を得ることができる。また、従来、非晶質微粒子を含有させることにより光散乱効果を得ていた場合における微粒子の単位面積当たりの含有量と比較して、単位面積当たりの気泡数が少なくて充分な光散乱効果を得ることができるため、光散乱機能を有する層の膜厚を従来と比較し薄膜化することが可能であるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半透過型カラーフィルタの一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明の半透過型カラーフィルタの他の例を示す概略断面図である。
【図3】本発明の半透過型カラーフィルタの他の例を示す概略断面図である。
【図4】本発明の半透過型カラーフィルタの他の例を示す概略断面図である。
【図5】本発明の半透過型カラーフィルタの他の例を示す概略断面図である。
【図6】本発明の半透過型カラーフィルタの他の例を示す概略断面図である。
【図7】本発明の半透過型カラーフィルタの製造方法の一例を示す工程図である。
【図8】本発明の半透過型カラーフィルタの製造方法の他の例を示す工程図である。
【図9】実施例1において着色層の形成に用いたマスクの例を示した概略図である。
【符号の説明】
1 … 透明基板
2a … 透過光用着色層
2b … 反射光用着色層
2 … 着色層
3 … 凹部
4 … 光路差調整層
5 … ブラックマトリクス
6 … 気泡
Claims (13)
- 透明基板と、前記透明基板上に形成された反射光用着色層および透過光用着色層とを有する半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタであって、
前記反射光用着色層は、その平均膜厚が透過光用着色層の膜厚よりも薄くなるように、反射光用着色層表面には複数の凹部が形成されており、
前記反射光用着色層が配置され反射光が透過する反射光領域に位置し、かつ前記透明基板および液晶層の間に設けられた部材のうち、少なくとも一つの部材は、内部に気泡が形成され、反射光に対する光散乱機能を有する層であることを特徴とする半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタ。 - 透明基板と、前記透明基板上に形成された反射光用着色層および透過光用着色層とを有する半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタであって、
前記反射光用着色層は、その平均膜厚が透過光用着色層の膜厚よりも薄くなるように少なくとも一つの除去部が形成されており、
前記反射光用着色層が配置され反射光が透過する反射光領域に位置し、かつ前記透明基板および液晶層の間に設けられた部材のうち、少なくとも一つの部材は、内部に気泡が形成され、反射光に対する光散乱機能を有する層であることを特徴とする半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタ。 - 前記光散乱機能を有する層が、前記反射光用着色層であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタ。
- 前記光散乱機能を有する層が、前記反射光用着色層の液晶層側に形成され、反射光領域と透過光領域との光路差を調整する光路差調整層であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタ。
- 透明基板と、前記透明基板上に形成された反射光用着色層および透過光用着色層とを有する半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタであって、
前記反射光用着色層は、反射光領域と透過光領域との光路差を調整する光路差調整層上に形成されることにより、前記透過光用着色層よりも膜厚が薄く形成され、
前記反射光用着色層が配置され反射光が透過する反射光領域に位置し、かつ前記透明基板および液晶層の間に設けられた部材のうち、少なくとも一つの部材は、内部に気泡が形成され、反射光に対する光散乱機能を有する層であることを特徴とする半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタ。 - 前記光散乱機能を有する層が、前記反射光用着色層であることを特徴とする請求項5に記載の半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタ。
- 前記光散乱機能を有する層が、前記光路差調整層であることを特徴とする請求項5に記載の半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタ。
- 前記気泡は、その泡径が0.5μm〜2.0μmの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれかの請求項に記載の半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタ。
- 前記請求項1から請求項8までのいずれかの請求項に記載の半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタを有することを特徴とする半透過型カラー液晶表示装置。
- 透明基板と、前記透明基板上に形成された反射光用着色層および透過光用着色層とを有する半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法において、
着色層を形成する着色層形成用塗工液を前記透明基板上に塗布した後、その一部の平均膜厚が他の部分の膜厚よりも薄くなるように、着色層表面に複数の凹部または少なくとも一つの除去部を形成し、表面に複数の凹部または少なくとも一つの除去部が形成された部分の着色層を反射光用着色層とし、前記反射光用着色層の平均膜厚よりも膜厚が厚い部分の着色層を透過光用着色層として、前記反射光用着色層および透過光用着色層を有する着色層を形成する着色層形成工程と、
前記着色層上に、反射光領域と透過光領域との光路差を調整する光路差調整層を形成する光路差調整層形成用塗工液を塗布し、パターニングすることにより、前記反射光用着色層上に光路差調整層を形成する光路差調整層形成工程とを有し、
さらに、前記着色層形成用塗工液または光路差調整層形成用塗工液の少なくとも一方には、発泡剤が分散されており、前記発泡剤が分散されている塗工液を用いて形成された前記着色層または光路差調整層を、180℃〜240℃の範囲内で加熱することにより前記発泡剤を分解させ、前記着色層内または光路差調整層内に気泡を形成する気泡形成工程を有することを特徴とする半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法。 - 透明基板と、前記透明基板上に形成された反射光用着色層および透過光用着色層とを有する半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法において、
反射光領域と透過光領域との光路差を調整する光路差調整層を形成する光路差調整層形成用塗工液を、前記透明基板上に塗布し、パターニングすることにより光路差調整層をパターン状に形成する光路差調整層形成工程と、
前記光路差調整層が形成された透明基板上に、着色層を形成する着色層形成用塗工液を塗布して、前記光路差調整層上に位置する着色層を反射光用着色層とし、他の部分の着色層を透過光用着色層とし、前記反射光用着色層および透過光用着色層を有する着色層を形成する着色層形成工程とを有し、
さらに、前記着色層形成用塗工液または光路差調整層形成用塗工液の少なくとも一方には、発泡剤が分散されており、前記発泡剤が分散されている塗工液を用いて形成された前記着色層または光路差調整層を、180℃〜240℃の範囲内で加熱することにより前記発泡剤を分解させ、前記着色層内または光路差調整層内に気泡を形成する気泡形成工程を有することを特徴とする半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法。 - 前記気泡形成工程は、ポストベーク工程として行われることを特徴とする請求項10または請求項11に記載の半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法。
- 前記気泡は、その泡径が0.5μm〜2.0μmの範囲内であることを特徴とする請求項10から請求項12までのいずれかの請求項に記載の半透過型カラー液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法。
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