【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、統合失調症およびアルツハイマー病の検査薬に属する。さらに詳しくは抗ミッドカイン抗体を主成分とすることを特徴とする統合失調症およびアルツハイマー病の検査薬に関する。
【0002】
【従来の技術】
統合失調症は、人口の約1%の割合で起こり、思春期から20代の若い時期に発症する。症状としては、幻覚、妄想などの陽性症状、感情鈍麻、意欲減退、社会的引きこもりなどの陰性症状、および認知機能障害などがある。病態の特殊性から早期診断、治療、社会復帰活動、再発予防といった包括的な治療体系の確立が望まれている。統合失調症の治療には、薬物治療が不可欠であり、フェノチアジン系化合物、ブチロフェノン系化合物、ベンズアミド系化合物、イミノジベンジル系化合物、チエピン系化合物、インドール系化合物およびセロトニン・ドーパミン受容体遮断薬などが投与されている。
統合失調症の病態には、遺伝的要因および環境要因が関与していることが知られており、発達段階における障害、いわゆる「統合失調症の発達障害仮説」が提唱されている。現在のところ、統合失調症を診断する生物学的マーカーは報告されていない。血液や尿などの患者のサンプルを用いた研究が数多く行なわれてきたが、未だに確立されたものは無い。
一方、現在日本では150万人,米国では400万人がアルツハイマー病を発病していると推定される。この数は,先進国を中心とした高齢者人口の拡大によって増加し,25年後には,世界全体で約2200万人の人々がこの病気で苦しむことになるという予測もある。アルツハイマー病は長い間,原因不明の病気とされてきた。現在でも,有効な予防法や治療法はわかっていない。しかし,疫学や遺伝学,分子生物学など,さまざまな分野での研究成果がつながることで,発症メカニズムが解明されつつある。血液や尿などの患者のサンプルを用いた研究が数多く行なわれてきたが、未だに確立されたものは無い。このように、現在のところアルツハイマーを診断する生物学的マーカーは報告されていない。
ところでミッドカインは、塩基性の低分子量蛋白質で、細胞の増殖、生存、移動を促進するなど多彩の活性を有している(村松喬;蛋白質・核酸・酵素,47:1259−1267,2002年)。ミッドカインの発現は中期胚で強く、生体では弱い。また癌化に伴い、そして組織障害の修復過程でミッドカインの強い発現増強が起こることが知られている。アルツハイマー病の患者の脳内では老人斑と呼ばれる病理学的特徴が観察され、アミロイドβを中心としたペプチドが沈着していると考えられている。アルツハイマー病の脳の老人斑にミッドカインが沈着していることが報告されている(Yasuhara et al,Biochem Biophys Res Commun 192:246−251,1993)。最近、ミッドカインはアミロイドβと強く結合することが報告され(Yu et al,Neurosci Lett254:125−128,1998)、アルツハイマー病の病態においてミッドカインが重要な役割を果たしていることが示唆されている。
一方、統合失調症やアルツハイマー病などの精神神経疾患の患者の血液等のサンプル中のミッドカイン濃度を測定した報告はない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
統合失調症やアルツハイマー病による入院患者は日本の病院の総ベッド数のかなりの割合を占め、医療経済という点からも問題は大きい。医療の現場から統合失調症やアルツハイマー病の早期に診断するような検査薬および検査方法の開発が望まれている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行なった結果、統合失調症やアルツハイマー病患者の血液中ミッドカイン濃度が、健常者のそれと比較して有意に増加していることを見出し、本発明にかかる知見に基づいて完成されたものである。
【0005】
すなわち、本発明は;
1.抗ミッドカイン抗体を主成分とすることを特徴とする統合失調症やアルツハイマー病の検査薬;
2.患者の血液中のミッドカイン濃度を測定する上記1に記載の統合失調症やアルツハイマー病の検査薬;
3.抗ミッドカイン抗体および標識化抗ミッドカイン抗体を含む上記1または2に記載の統合失調症やアルツハイマー病の検査薬;
4.抗ミッドカイン抗体を主成分とすることを特徴とする統合失調症やアルツハイマー病の診断キット;
5.患者の血液中のミッドカイン濃度を測定するための上記4に記載の統合失調症やアルツハイマー病の検査用キット;
6.抗ミッドカイン抗体および標識化抗ミッドカイン抗体を含む上記4または5に記載の統合失調症やアルツハイマー病の検査キット;
7.抗ミッドカイン抗体を用いることを特徴とする統合失調症やアルツハイマー病の検査用キット;
8.抗ミッドカイン抗体を用いることを特徴とする統合失調症やアルツハイマー病の治療薬の検定方法;
9.動物の血液中のミッドカイン濃度を測定する上記7に記載の統合失調症やアルツハイマー病の検定方法;
10.抗ミッドカイン抗体および標識化抗ミッドカイン抗体を含む上記8または9に記載の統合失調症やアルツハイマー病の治療薬の検定方法;
11.統合失調症やアルツハイマー病の治療薬としてのミッドカインを減少させる化合物;等に関する。
以下、本明細書における用語の意味あるいは定義について述べる。「抗ミッドカイン抗体」とは、ミッドカインを抗原として用いて精製された抗体をいう。該抗体は、ミッドカインに結合する能力があればよく、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体を含む。また好ましいものとしては、特異的にミッドカインに結合するポリクローナル抗体、モノクローナル抗体等が挙げられる。
「標識化抗ミッドカイン抗体」とは、ミッドカイン抗体をペルオキシダーゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素等の酵素、デルフィニウム等の蛍光標識、放射性同位元素標識または同位元素標識、ビオチン等を結合させ、ミッドカインを定量化できるように工夫された抗体をいう。更に、「標識化抗ミッドカイン抗体」には、ビオチン、2、4−ジニトロフェノール等で修飾した抗ミッドカイン抗体も含まれる。この際には、該標識化抗ミッドカイン抗体に標識化したアビジン、標識化抗2、4−ジニトロフェノール抗体を更に用いて定量化できる。
「統合失調症」とは、主として思春期、青年期に発症し、自我障害、思考障害を根幹に持ち、幻覚・妄想などの陽性症状を繰り返すことにより、しだいに重篤化していく慢性疾患である。「アルツハイマー病」とは、一般には60歳以上で発病し、老年期痴呆とよばれるもので認知機能障害を中軸に進行し、しだいに重篤化していく慢性の神経変性疾患である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明による統合失調症やアルツハイマー病の診断は、例えば次のようにして行なうことが出来る。ヒトの血液から血清を調製し、血清中のミッドカインの量を種々の方法により定量する。望ましくはミッドカインに対して特異性の高い抗体を用いたサンドイッチELISAによってミッドカインを検出・定量する。統合失調症やアルツハイマー病患者の血清中ミッドカインの濃度が、健常者の値より有意に高いことを利用し、統合失調症やアルツハイマー病を診断する。
具体的な血清中のミッドカインを測定する方法としては、例えば
1.ポリスチレン、ナイロン、ガラス、シリコンラバー、セファロース等の固相に抗ミッドカイン抗体を固定する工程;
2.診断する患者の血清を固相に加える、または接触させる工程;
3.固相を洗浄する工程;
4.標識化された抗ミッドカイン抗体を加える、または接触させる工程;
5.該標識を用いて、ミッドカインの量を測定する工程からなる方法等が挙げられる。
更に、具体的な血清中のミッドカインを測定する方法としては、例えば、
1.ポリスチレン、ナイロン、ガラス、シリコンラバー、セファロース等の固相に抗ミッドカイン抗体を固定する工程;
2.診断する患者の血清を固相に加える、または接触させる工程;
3.固相を洗浄する工程;
4.ビオチンまたは2、4−ジニトロフェノールで修飾した抗ミッドカイン抗体を加える、または接触させる工程;
5.標識化アビジンまたは標識化2、4−ジニトロフェノール抗体を加える、または接触させる工程;
6.該標識を用いて、ミッドカインの量を測定する工程からなる方法等が挙げられる。
更に、具体的な血液中のミッドカインを測定する方法としては、例えば、
1.ポリスチレン、ナイロン、ガラス、シリコンラバー、セファロース等の固相に抗ミッドカイン抗体を固定する工程;
2.診断する患者の血液を固相に加える、または接触させる工程;
3.固相を洗浄する工程;
4.ビオチンで修飾した抗ミッドカイン抗体を加える、または接触させる工程;
5.標識化アビジンを加える、または接触させる工程;
6.該標識を用いて、ミッドカインの量を測定する工程からなる方法;からなる方法等が挙げられる。固相の形状として小球、ウェル、試験管等が挙げられる。
抗原またはELISAのスタンダードとして用いられるミッドカインは市販されているか、または以下の方法で調製することができる。遺伝子工学的手法を用いる場合、ミッドカインをコードする遺伝子を適切なベクターに組み込み、これを適切な宿主に挿入して形質転換し、この形質転換の培養上清から目的とする組換えミッドカインを得ることができ、均質な多量のミッドカインの生産に好適である。上記宿主細胞は特に限定されず、従来から遺伝子工学的手法で用いられている各種の宿主細胞、例えば大腸菌、枯草菌、酵母、植物または動物細胞を用いることができる。
抗ミッドカイン抗体は、ミッドカインを抗原として、ウサギ、ニワトオリ、シチメンチョウなどに免疫することにより、調製される。標識化抗ミッドカイン抗体は、抗ミッドカイン抗体をビオチン化試薬や架橋剤付きペルオキシダーゼの市販されているキットを用いて、反応させ、調整することができる。
本発明方法は、また統合失調症やアルツハイマー病の治療薬の判定にも有用である。すなわち、ミッドカインを減少させる作用を有する化合物は、統合失調症やアルツハイマー病の治療薬として有用である可能性がある。また、ミッドカインの量が高いモデル動物(マウスやラットなど)は、統合失調症やアルツハイマー病のモデルとしても有用である。従って、この検定方法を利用することにより、新しい統合失調症やアルツハイマー病の治療薬のスクリーニングも行なうことが可能である。このような方法で見出される治療薬には、非経口的または経口的に投与できる薬物が含まれ得る。その治療薬の正確な投与量および投与計画は、個々の治療対象毎の所要量、治療方法、疾病または必要性の程度、および、当然医師の判断によることが必要である。非経口的投与する場合の投与量、投与回数は症状、年齢、体重、投与形態等によって異なるが、例えば注射剤として皮下または静脈に投与する場合、成人の患者の体重1kg、一日当たり約0.1mg〜約2500mgの範囲、好ましくは約1mg〜約500mgの範囲から投与量が選択され、例えば噴霧剤として気管に投与する場合、成人の患者の体重1kg、一日当たり約0.1mg〜約2500mgの範囲、好ましくは約1mg〜約500mgの範囲から投与量が選択される。投与計画としては、連日投与または間欠投与またはその組み合わせがある。経口的投与する場合の投与量、投与回数は症状、年齢、体重、投与形態等によって異なるが、例えば、成人の患者の体重1kg、一日当たり約0.5mg〜約2500mgの範囲、好ましくは約1mg〜約1000mgの範囲から投与量が選択される。
本発明の方法で得られる統合失調症やアルツハイマー病の治療薬を薬学的に許容しうる非毒性の担体と混和することから成る医薬組成物を製造することができる。このような組成物を、非経口投与用(皮下注射、筋肉注射、または静脈注射)に調製する場合は、特に溶液剤形または懸濁剤形がよく、膣または直腸投与用の場合は、特にクリームまたは坐薬のような半固形型剤形がよく、経鼻腔投与用の場合、特に粉末、鼻用滴剤、またはエアロゾル剤形がよい。
組成物は一回量投与剤形で投与することができ、また例えばレミントンの製薬科学(マック・パブリッシング・カンパニー、イーストン、PA、1970年)に記載されているような製薬技術上良く知られているいずれかの方法によって調製できる。注射用製剤は医薬担体として、例えば、アルブミン等の血漿由来蛋白、グリシン等のアミノ酸、マンニトール等の糖を加えることができる。注射剤形で用いる場合には更に緩衝剤、溶解補助剤、等張剤等を添加することもできる。また、水溶製剤、凍結乾燥製剤として使用する場合、凝集を防ぐためにTween80(登録商標)、Tween20(登録商標)などの界面活性剤を添加するのが好ましい。また注射剤以外の非経口投与剤形は、蒸留水または生理食塩液、ポリエチレングリコールのようなポリアルキレングリコール、植物起源の油、水素化したナフタレン等を含有してもよい。例えば坐薬のような膣または直腸投与用の製剤は、一般的な賦形剤として例えばポリアキレングリコール、ワセリン、カカオ油脂等を含有する。膣用製剤では、胆汁塩、エチレンジアミン塩、クエン酸塩等の吸収促進剤を含有しても良い。吸入用製剤は固体でも良く、賦形剤として例えばラクトースを含有してもよく、また経鼻腔滴剤は水または油溶液であってもよい。
【0007】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明する。ヒトより血液を採取した後、通常の方法で血清を得る。我々が開発した高感度ミッドカイン測定方法(H.Muramatsuら、J.Biochem.,119,1171−1175,1996)を用いて測定した。統合失調症群と健常者群において、年齢及び性差はマッチングさせた
【0008】
(実施例1) アフィニティー精製したウサギの抗ミッドカイン抗体1μgを50μlの50mMトリス塩酸緩衡液(pH8.0)に溶解し、96穴プレート(ファルコン3915)に加え、3時間、室温に保った。抗体液を除き、穴をダルベッコの生理的食塩水リン酸緩衡液[PBC(−)]で洗った。洗浄緩衡液[0.4MNaCl、0.1%ウシ血清アルブミン、0.1%NaN3、1mMMgCl2含有100mMトリス塩酸緩衡液(pH7.5)]を、加え、1時間待ち、洗浄洗浄緩衡液を除いた。穴にPBS(−)で2倍に希釈した血清50μlを加え、室温で保った。検体を除いた後で、穴を洗浄緩衡液で洗った。次にビオチン化抗ミッドカイン抗体0.7ngを50μlの洗浄緩衡液に溶解して、穴に加え4℃で一晩保った。5mUのストレプトアビジン−β−ガラクトシダーゼを50μlの洗浄緩衡液溶解して加え、1時間室温に保った。溶液を除き、穴を洗浄緩衡液で洗い、5μlの4メチルウンベリフェリルβ−D−ガラクトシドを50μlの洗浄緩衡液に溶解して加え、室温で4時間保った。200μgの0.1Mグリシン緩衡液pH10.3を加え、遊離した4メチルウンベリフェリルをマイクロプレート蛍光リーダーを用いて定量した。
【0009】
統合失調症群と健常者群において、ヒト血清中のミッドカインの含量をこのサンドイッチ型ELISA法にて測定した。全ての健常者の血清中ミッドカイン濃度は、0.8ng/ml値であるので、この値をカットオフ値と設定した。統合失調症群の未治療群では15例中4例(27%)、治療中患者では25例中2例(8%)がカットオフ値より高かった(図1)。健常者は39例中すべてカットオフ以下であった。フィシッヤー検定で解析した結果、統計学的に有意であった(p=0.003)。
次にカットオフ値以下の群についてANOVA解析したところ、未治療の患者の血清中ミッドカイン濃度は、健常者の値と比較して有意(p=0.018,Fisher’sPLSDtest)に低下していることがわかった。治療中の患者の血清中ミッドカイン濃度は、健常者と未治療患者の間であった。
【0010】
(実施例2)
アルツハイマー病群と健常者群において、ヒト血清中のミッドカインの含量を実施例1と同じサンドイッチ型ELISA法にて測定した。600pg/mlの値をカットオフ値と設定した。アルツハイマー病群では、36例中17例(47%)がカットオフ値以上で、健常者32例はすべてカットオフ値以下であった(図2)。フィシャッヤー検定で解析した結果、この差は統計学的に有意であった(p<0.0001)。
【0011】
以上図示し、説明したように本発明のように血清ミッドカイン値を測定する試薬は、統合失調症とアルツハイマー病の検査薬となる。
【0012】
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例に関わる統合失調症患者および健常者の血清ミッドカイン値を比較したグラフである。
【図2】この発明の一実施例に関わるアルツハイマー病患者と健常者の血清ミッドカイン値を比較したグラフである。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a test drug for schizophrenia and Alzheimer's disease. More specifically, the present invention relates to a test agent for schizophrenia and Alzheimer's disease, which comprises an anti-midkine antibody as a main component.
[0002]
[Prior art]
Schizophrenia occurs in about 1% of the population and develops from puberty to early 20s. Symptoms include positive symptoms such as hallucinations and delusions, negative symptoms such as dullness, reduced motivation, social withdrawal, and cognitive dysfunction. Due to the specificity of the disease state, it is desired to establish a comprehensive treatment system including early diagnosis, treatment, rehabilitation activities, and prevention of recurrence. Drug treatment is indispensable for the treatment of schizophrenia, including phenothiazine compounds, butyrophenone compounds, benzamide compounds, iminodibenzyl compounds, thiepine compounds, indole compounds, and serotonin / dopamine receptor blockers. Have been administered.
It is known that genetic and environmental factors are involved in the pathology of schizophrenia, and a disorder at the developmental stage, that is, the so-called “schizophrenia developmental disorder hypothesis” has been proposed. At present, no biological markers for diagnosing schizophrenia have been reported. Numerous studies have been performed on patient samples such as blood and urine, but none have been established.
On the other hand, it is estimated that 1.5 million people in Japan and 4 million people in the United States have Alzheimer's disease at present. This number is expected to increase due to the expansion of the elderly population, especially in developed countries, and that 25 years later, about 22 million people worldwide will suffer from the disease. Alzheimer's disease has long been considered an unknown cause. At present, there is no known effective prevention or treatment. However, the mechanism of onset is being elucidated by the connection of research results in various fields such as epidemiology, genetics, and molecular biology. Numerous studies have been performed on patient samples such as blood and urine, but none have been established. Thus, at present, no biological marker for diagnosing Alzheimer has been reported.
Midkine is a basic low molecular weight protein having various activities such as promoting cell growth, survival and migration (Takamura Muramatsu; Proteins, Nucleic Acids and Enzymes, 47: 1259-1267, 2002) ). Midkine expression is strong in metaphase embryos and weak in living organisms. It is also known that strong expression of midkine is enhanced in association with canceration and in the process of repairing tissue damage. Pathological features called senile plaques are observed in the brains of patients with Alzheimer's disease, and it is thought that peptides centered on amyloid β are deposited. It has been reported that midkine is deposited in senile plaques in the brain of Alzheimer's disease (Yasuhara et al., Biochem Biophys Res Commun 192: 246-251, 1993). Recently, it has been reported that midkine strongly binds to amyloid β (Yu et al, Neurosci Lett 254: 125-128, 1998), suggesting that midkine plays an important role in the pathology of Alzheimer's disease. .
On the other hand, there is no report measuring the concentration of midkine in a sample such as blood of a patient with a psychiatric disorder such as schizophrenia or Alzheimer's disease.
[0003]
[Problems to be solved by the invention]
Inpatients due to schizophrenia and Alzheimer's disease make up a significant proportion of the total number of beds in Japanese hospitals, which is problematic in terms of healthcare economy. From the medical practice, there is a demand for the development of a test agent and a test method for diagnosing schizophrenia and Alzheimer's disease at an early stage.
[0004]
[Means for Solving the Problems]
The present inventors have conducted intensive studies in order to solve the above-mentioned problems, and as a result, the midkine concentration in blood of patients with schizophrenia and Alzheimer's disease is significantly increased compared to that of healthy subjects. The present invention has been completed based on the findings described above.
[0005]
That is, the present invention provides:
1. A test drug for schizophrenia or Alzheimer's disease, which is mainly composed of an anti-midkine antibody;
2. The test drug for schizophrenia or Alzheimer's disease according to the above 1, which measures midkine concentration in the blood of the patient;
3. The test agent for schizophrenia or Alzheimer's disease according to the above 1 or 2, comprising an anti-midkine antibody and a labeled anti-midkine antibody;
4. A diagnostic kit for schizophrenia or Alzheimer's disease, comprising an anti-midkine antibody as a main component;
5. The kit for testing schizophrenia or Alzheimer's disease according to 4 above for measuring midkine concentration in the blood of a patient;
6. The test kit for schizophrenia or Alzheimer's disease according to the above 4 or 5, comprising an anti-midkine antibody and a labeled anti-midkine antibody;
7. A test kit for schizophrenia and Alzheimer's disease, which comprises using an anti-midkine antibody;
8. A method for assaying a therapeutic drug for schizophrenia or Alzheimer's disease, which comprises using an anti-midkine antibody;
9. The method for assaying schizophrenia or Alzheimer's disease according to the above 7, wherein the concentration of midkine in the blood of the animal is measured;
10. The method for assaying a therapeutic drug for schizophrenia or Alzheimer's disease according to the above item 8 or 9, which comprises an anti-midkine antibody and a labeled anti-midkine antibody;
11. A compound that reduces midkine as a therapeutic agent for schizophrenia and Alzheimer's disease;
Hereinafter, the meanings or definitions of the terms in this specification will be described. "Anti-midkine antibody" refers to an antibody purified using midkine as an antigen. The antibody only needs to have the ability to bind to midkine, and includes a polyclonal antibody and a monoclonal antibody. Preferable examples include polyclonal antibodies and monoclonal antibodies that specifically bind to midkine.
`` Labeled anti-midkine antibody '' refers to a midkine antibody, a peroxidase, β-D-galactosidase, an enzyme such as alkaline phosphatase, glucose-6-phosphate dehydrogenase, a fluorescent label such as delphinium, a radioisotope label or An antibody devised so that midkine can be quantified by binding an isotope label, biotin, or the like. Further, the “labeled anti-midkine antibody” also includes an anti-midkine antibody modified with biotin, 2,4-dinitrophenol or the like. In this case, the quantification can be performed by further using avidin labeled with the labeled anti-midkine antibody and a labeled anti-2,4-dinitrophenol antibody.
"Schizophrenia" is a chronic disease that mainly develops during adolescence and adolescence, has ego disorders and thought disorders at its core, and becomes increasingly serious by repeating positive symptoms such as hallucinations and delusions. is there. "Alzheimer's disease" is a chronic neurodegenerative disease that generally starts when a person is over 60 years of age, is called senile dementia, progresses through cognitive dysfunction, and gradually becomes more serious.
[0006]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
The diagnosis of schizophrenia and Alzheimer's disease according to the present invention can be performed, for example, as follows. Serum is prepared from human blood, and the amount of midkine in the serum is determined by various methods. Desirably, midkine is detected and quantified by sandwich ELISA using an antibody having high specificity for midkine. Diagnosis of schizophrenia and Alzheimer's disease is based on the fact that the concentration of midkine in serum of patients with schizophrenia and Alzheimer's disease is significantly higher than that of healthy subjects.
Specific methods for measuring midkine in serum include, for example, 1. Immobilizing an anti-midkine antibody on a solid phase such as polystyrene, nylon, glass, silicon rubber, and sepharose;
2. Adding or contacting the serum of the patient to be diagnosed with the solid phase;
3. Washing the solid phase;
4. Adding or contacting a labeled anti-midkine antibody;
5. A method including the step of measuring the amount of midkine using the label, and the like.
Further, specific methods for measuring midkine in serum include, for example,
1. Immobilizing an anti-midkine antibody on a solid phase such as polystyrene, nylon, glass, silicon rubber, and sepharose;
2. Adding or contacting the serum of the patient to be diagnosed with the solid phase;
3. Washing the solid phase;
4. Adding or contacting anti-midkine antibody modified with biotin or 2,4-dinitrophenol;
5. Adding or contacting labeled avidin or labeled 2,4-dinitrophenol antibody;
6. A method including the step of measuring the amount of midkine using the label, and the like.
Furthermore, as a specific method of measuring midkine in blood, for example,
1. Immobilizing an anti-midkine antibody on a solid phase such as polystyrene, nylon, glass, silicon rubber, and sepharose;
2. Adding or contacting the blood of the patient to be diagnosed with the solid phase;
3. Washing the solid phase;
4. Adding or contacting biotin-modified anti-midkine antibody;
5. Adding or contacting labeled avidin;
6. A method comprising the step of measuring the amount of midkine using the label; The shape of the solid phase includes small spheres, wells, test tubes, and the like.
Midkine used as an antigen or ELISA standard is commercially available or can be prepared by the following method. When using a genetic engineering technique, a gene encoding midkine is inserted into an appropriate vector, inserted into an appropriate host, transformed, and the desired recombinant midkine is obtained from the culture supernatant of this transformation. It can be obtained and is suitable for producing a large amount of midkine that is homogeneous. The host cell is not particularly limited, and various host cells conventionally used in genetic engineering techniques, for example, Escherichia coli, Bacillus subtilis, yeast, plants or animal cells can be used.
Anti-midkine antibodies are prepared by immunizing rabbits, chickens, turkeys and the like using midkine as an antigen. The labeled anti-midkine antibody can be adjusted by reacting the anti-midkine antibody with a commercially available kit of a biotinylation reagent or a peroxidase with a crosslinking agent.
The method of the present invention is also useful for determining a therapeutic agent for schizophrenia and Alzheimer's disease. That is, a compound having an action to reduce midkine may be useful as a therapeutic drug for schizophrenia and Alzheimer's disease. In addition, model animals with high levels of midkine (such as mice and rats) are also useful as models for schizophrenia and Alzheimer's disease. Therefore, by using this assay method, it is possible to screen for a new therapeutic drug for schizophrenia and Alzheimer's disease. Therapeutic agents found in such a manner can include drugs that can be administered parenterally or orally. The exact dosage and dosage regimen for the therapeutic will need to be determined by the requirement, the treatment, the illness or the need, and, of course, the judgment of the practitioner. The dosage and number of administrations for parenteral administration vary depending on symptoms, age, body weight, administration form and the like. For example, in the case of subcutaneous or intravenous administration as an injection, the body weight of an adult patient is 1 kg, and is about 0. The dosage is selected from the range of 1 mg to about 2500 mg, preferably about 1 mg to about 500 mg. For example, when administered to the trachea as a propellant, the weight of an adult patient is 1 kg, about 0.1 mg to about 2500 mg per day. The dosage is selected from a range, preferably from about 1 mg to about 500 mg. Dosage regimens include daily administration or intermittent administration or a combination thereof. The dose and the number of times of oral administration vary depending on symptoms, age, body weight, dosage form, etc., but are, for example, 1 kg body weight of an adult patient, in a range of about 0.5 mg to about 2500 mg per day, preferably about 1 mg. The dosage is selected from the range of about to about 1000 mg.
A pharmaceutical composition comprising a therapeutic agent for schizophrenia or Alzheimer's disease obtained by the method of the present invention and a pharmaceutically acceptable non-toxic carrier can be produced. When such a composition is prepared for parenteral administration (subcutaneous injection, intramuscular injection, or intravenous injection), it may be particularly in the form of a solution or a suspension, and particularly in the case of vaginal or rectal administration. Semi-solid dosage forms, such as creams or suppositories, are preferred, and for nasal administration, especially powders, nasal drops, or aerosol dosage forms.
The compositions can be administered in unit dosage form and are well known in the pharmaceutical art, for example, as described in Remington's Pharmaceutical Sciences (Mac Publishing Company, Easton, Pa., 1970). It can be prepared by any method. Injectable preparations may contain, as pharmaceutical carriers, plasma-derived proteins such as albumin, amino acids such as glycine, and sugars such as mannitol. When used in the form of an injection, a buffer, a solubilizing agent, an isotonic agent and the like can be further added. When used as a water-soluble preparation or a lyophilized preparation, it is preferable to add a surfactant such as Tween 80 (registered trademark) or Tween 20 (registered trademark) to prevent aggregation. Parenteral dosage forms other than injections may contain distilled water or physiological saline, polyalkylene glycols such as polyethylene glycol, oils of plant origin, hydrogenated naphthalene, and the like. Formulations for vaginal or rectal administration, for example suppositories, contain as common excipients, for example, polyalkylene glycol, petrolatum, cocoa oil and the like. Vaginal preparations may contain absorption enhancers such as bile salts, ethylenediamine salts and citrates. Formulations for inhalation may be solid, may contain, for example, lactose as an excipient, and nasal drops may be a water or oil solution.
[0007]
【Example】
Hereinafter, examples of the present invention will be described. After blood is collected from a human, serum is obtained by an ordinary method. The measurement was performed using a high-sensitivity midkine measurement method developed by us (H. Muramatsu et al., J. Biochem., 119, 1171-1175, 1996). Age and gender differences were matched between the schizophrenia group and the healthy group.
Example 1 1 μg of affinity-purified rabbit anti-midkine antibody was dissolved in 50 μl of 50 mM Tris-HCl buffer (pH 8.0), added to a 96-well plate (Falcon 3915), and kept at room temperature for 3 hours. . The antibody solution was removed, and the wells were washed with Dulbecco's physiological saline phosphate buffer solution [PBC (-)]. A washing buffer [0.4 M NaCl, 0.1% bovine serum albumin, 0.1% NaN 3 , 100 mM Tris-HCl buffer (pH 7.5) containing 1 mM MgCl 2 ] was added, and the mixture was waited for 1 hour, washed and washed. The balance was removed. 50 μl of serum diluted 2-fold with PBS (−) was added to the wells, and kept at room temperature. After removing the specimen, the wells were washed with a washing buffer. Next, 0.7 ng of the biotinylated anti-midkine antibody was dissolved in 50 μl of the washing buffer, added to the wells, and kept at 4 ° C. overnight. 5 mU of streptavidin-β-galactosidase was dissolved in 50 μl of a washing buffer, and the mixture was kept at room temperature for 1 hour. The solution was removed, the wells were washed with a washing buffer, and 5 μl of 4-methylumbelliferyl β-D-galactoside dissolved in 50 μl of the washing buffer was added and kept at room temperature for 4 hours. 200 μg of 0.1 M glycine buffer pH 10.3 was added, and the released 4-methylumbelliferyl was quantified using a microplate fluorescence reader.
[0009]
In the schizophrenia group and the healthy group, the content of midkine in human serum was measured by this sandwich ELISA method. Since the concentration of midkine in serum of all healthy persons was 0.8 ng / ml, this value was set as the cutoff value. In the schizophrenia group, 4 out of 15 cases (27%) were in the untreated group, and 2 out of 25 cases (8%) in the treatment group were higher than the cut-off value (FIG. 1). All 39 healthy subjects were below the cut-off. As a result of analysis by the Fisher test, it was statistically significant (p = 0.003).
Next, when ANOVA analysis was performed on the group below the cutoff value, the midkine concentration in the serum of the untreated patient was significantly (p = 0.018, Fisher's PLSDtest) significantly lower than that of the healthy subject. I knew it was there. Midkine levels in serum of treated patients were between healthy and untreated patients.
[0010]
(Example 2)
In the Alzheimer's disease group and the healthy group, the content of midkine in human serum was measured by the same sandwich-type ELISA method as in Example 1. A value of 600 pg / ml was set as the cutoff value. In the Alzheimer's disease group, 17 out of 36 cases (47%) had a cut-off value or more, and all 32 healthy subjects had a cut-off value or less (FIG. 2). This difference was statistically significant (p <0.0001) as analyzed by Fischer's test.
[0011]
As shown and described above, the reagent for measuring serum midkine value as in the present invention is a test drug for schizophrenia and Alzheimer's disease.
[0012]
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a graph comparing serum midkine values of schizophrenia patients and healthy subjects according to one embodiment of the present invention.
FIG. 2 is a graph comparing serum midkine values of Alzheimer's disease patients and healthy subjects according to one embodiment of the present invention.