図1ないし図15はこの発明に係るイオン供給装置の第1実施例を示す。図1および図13において、イオン供給装置は、プラスチックで中空状に形成された本体部1と、この本体部1に対し回動軸3を介して回動自在に連結される同じくプラスチックで中空状に形成されたグリップ部4とを備えている。
本体部1には、マイナスイオンを発生させることが可能な後述するマイナスイオン発生器9と、マイナスイオン発生器9に高電圧を印加するためのトランス41と、発生したマイナスイオンを強制的にイオン放出口18から放出させるためのファン35とモーター34とを内蔵している。
本体部1の下面11はフラット面となっており、多数のブリッスル2が植設されている。つまり、本体部1の下面11はブリッスル2の植設面となっている。下面11はその他本体部1とは別体で形成されその他本体部1の開口面に溶着されている。ブリッスル2を下面11に直接植設せずに、プラスチック製の枠体にゴムベースを取り付け、そのゴムベースにブリッスル2を植設したブラシユニットを、下面11に着脱自在に取り付けるような構成であってもよい。この場合、ブラシユニットのみを本体部1から取り外して水洗いできるので都合がよい。
図6に示すように、本体部1の下面11の略中央には、マイナスイオン発生器9によって発生したマイナスイオンを放出させるためのイオン放出口18が形成されている。また、イオン放出口18を囲繞するように下面11の略全体にブリッスル2が植設されている。ブリッスル2は、本実施例ではプラスチック製であるが、木製や獣毛などであってもよい。
中空状のグリップ部4の内部には、イオン発生用の回路基板7や本装置の電源となる電源電池6が収納されている。電源電池6は本実施例では乾電池を採用している。電源電池6の交換は下面11に設けられる蓋体21を取り外すことで行うことができる。電源電池6の収納部の開口を塞ぐ蓋体21が、閉じ姿勢における本体部1とグリップ部4の対向面に配設されるので、閉じ姿勢の携行時、強い衝撃が加わったとしても電源電池6が飛び出ることはない。電源電池6は乾電池に代え充電池であってもよく、その場合、この蓋体21は充電池の回収のとき、充電池開放用として用いる。電源電池6として充電池を採用した場合、コンセントに差込まれる充電用のプラグ栓刃が設けられる。この場合、プラグ栓刃は、グリップ部4の前壁16の回動軸3寄りに回転突出・収納自在に設けられる。従って、開き姿勢ではプラグ栓刃は本体部1が邪魔をして回転することができなく、閉じ姿勢にして初めてプラグ栓刃が回転突出可能となる。つまり後述するように、閉じ姿勢で必ず駆動スイッチ5がOFFされる構造なので、駆動スイッチ5のON状態で充電するのを確実に防止できる。また、蓋体21の表面は反射シート貼着による鏡面仕上げとなっており、顔を映し出せるようになっている。従って、マイナスイオンを供給しながら、顔の汚れなどのチェックを行うことができる。別途鏡を持ち歩く必要もない。これについても、閉じ姿勢における本体部1とグリップ部4の対向面に、鏡が位置することになるので、閉じ姿勢の携行時、鏡の傷付き、破損を防止できる。鏡面仕上げとは、ガラス鏡を貼着したもの、アルミを蒸着したものなど顔を映し出せるものであればそれらを含むものとする。
本体部1とグリップ部4とを回動自在に連結する回動軸3には、グリップ部4を本体部1側に重ね合わせた閉じ姿勢(図8参照)になる直前、またグリップ部4を本体1に対して180°回動させたのときの開き姿勢(図1参照)になる直前のそれぞれに、突起と突起を乗り越えることでクリック感を出すよう構成された節度手段(図示せず)を設けている。従って、閉じ姿勢と開き姿勢何れの場合もグリップ部がブラブラせずその状態を維持することができる。また、回動軸3内には後述する駆動スイッチ5が設けられている。なお、回動軸3は、鉄製の軸棒51に対し、本体部1の突出部分に形成された貫通孔とグリップ部4の突出部分に形成された貫通孔を挿通して、本体部1とグリップ部4とを相対的に回動自在とした一般的なヒンジ構造である。
駆動スイッチ5における接点の開閉(ON/OFF)は、グリップ部4の回動動作に連動して行われる。つまり、グリップ部4の閉じ姿勢のときは、回動軸3内に配設される金属製の接点が開放されており、装置内の各電装品は駆動していない。閉じ姿勢のグリップ部4を180°回動させた開き姿勢にすれば、この開き姿勢になる直前で接点が閉じられて、装置内の各電装品が駆動する。本実施例における駆動スイッチ5は、開き姿勢のときにグリップ部4側の回動軸11に固定されたマイクロスイッチ22のプッシュボタンを、本体部1側の回動軸3に形成された突起23をもって押圧し接点を閉じる構造のものとしている。逆に、グリップ部4を閉じ姿勢にすれば、突起23はマイクロスイッチ22への押圧を解除し接点を開放する。このように、グリップ部4の回動動作に連動してマイクロスイッチ22のON/OFF、つまり装置の各電装品のON/OFFを行うことができる。駆動スイッチ5は、閉じ姿勢で開(OFF)、開き姿勢で閉(ON)できる構造ならば、特にこれに限定されない。例えば、電装品の回路ループを一部開放してその開放端をグリップ部4側の回動軸3に固定し、その開放端どうしを電気的・機械的に連結するための金属片を本体部1側の回動軸3に配設し、グリップ部4の回動に伴って閉ループ・開ループを形成するように構成したもの、或いは一方側にリードスイッチ、他方側に磁石を配したスイッチ構造など、その構成は種々考えられる。
図15においてマイナスイオン発生器9を含むイオン生成手段は、直流電源(電池6)からの電圧・電流をパルス化する高周波パルス発生回路38と、パルス化された電圧・電流を100Vまで昇圧する前段トランス39と、昇圧後の電圧・電流を低周波パルス電流に変換する低周波パルス発生回路40と、このパルス電圧・電流を4KVの高電圧に昇圧する後段トランス41と、マイナスイオン発生器9などで構成してある。高周波パルス発生回路38、前段トランス39、低周波パルス発生回路40は、それぞれ回路基板7に実装されて、グリップ部4に内蔵されている。
マイナスイオン発生器9は、後段トランス41と共に本体部1の内面に固定される。ここでのマイナスイオン発生器9とは、マイナスイオンを発生する部材のことをいい、本実施例のような放電式の場合は放電電極のことを意味し、貯水タンクの水を機械的に微小化してマイナスイオンを発生させるレナード式の場合は、遠心力によって水を微小化する回転体を意味する。本実施例において放電電極を含む放電部は、電極ホルダー43と、電極ホルダー43の一側中央部に固定される中央電極(放電電極)44、および中央電極44の周りを囲む対向電極45と、中央電極44と対向電極45との間の空間を絶縁遮断する誘電筒46とで構成される。中央電極44は、放電抵抗が小さなタングステンで針状に形成してある。対向電極45は、銅または鉄製の薄板を素材にして形成したリング状のプレス金具からなる。電極ホルダー43は、耐オゾン性と耐熱性を有し、しかも絶縁性に優れたプラスチック、例えばポリフェニレンサルファイドを素材とする車輪状のプラスチック成形品からなり、その中央のボス部47に先の中央電極44が固定され、ボス部47の外面に対向電極45が固定してある。図中72はトランス41と中央電極44とを繋ぐ高圧リード線である。この高圧リード線72は耐圧仕様が6〜10KVであり被覆が厚く、その他リード線に比べ径が太くなっている。トランス41は、本体部1内ではなくグリップ部4内に設けることもできるが、後述するような課題があるため本体部1内のマイナスイオン発生器9に隣接して設ける方が好ましい。
誘電筒46は雲母、ガラス、セラミックスなどの高度の絶縁特性を備えた素材で円筒状に形成してあり、ボス部47の前端の凹部に内嵌固定される。中央電極44と対向電極45との間で不整放電が生じるのを防いで、効果的にマイナスイオンを生成するために、誘電筒46は中央電極44の突端より前方へ大きく突出してある。この誘電筒46の突端開口がマイナスイオン出口となる。
電極ホルダー43の周囲に形成されたフランジを、本体部1内に形成したボスに当接し、ねじ止めすることでマイナスイオン発生器9を本体ケース1内に固定している。この取り付け状態において、中央電極44と対向電極45と誘電筒46との三者は、イオン放出口18と正対している(図1、図6参照)。なお、イオン発生器9とイオン放出口18が正対していなかったり、イオン放出口18が極端に小さくても、グリップ部4で覆わなければ、ほこりや棒状の異物が入り易いことには変わりないので、そういった構造のものでも本発明の範疇とする。
上記のように構成したマイナスイオン発生器9によれば、後段トランス41で昇圧した高電圧のうち、ダイオードを通過したマイナス電圧のみを中央電極44に印加することにより、同中央電極44から対向電極(アース電極)45に向けて電子を放出し、空気中の酸素をマイナスイオン化できる。マイナスに帯電した酸素に微小な水分が結合したマイナスイオンは、毛髪の内部深くまで水分を浸透でき、その水分率を高めて毛髪の状態を好適化できる。マイナスイオンは、心身のリフレッシュにも効果があり、本イオン供給装置を体全体のイオン供給用に用いることもできる。
本体部1の下面11に形成されるイオン放出口18は、グリップ部4を閉じ姿勢とすることでグリップ部4によって覆い隠される。これによって、直接外部からマイナスイオン発生器9を臨むことをできにくくしているので、異物の侵入を可及的に防止することができる。従って、具体的にピンなど細長い棒の侵入による中央電極(放電電極)44の変形、中央電極(放電電極)44と対向電極45間の塵埃の堆積による火花放電の発生などマイナスイオン発生にかかる悪影響をできるだけ防止することができる。特に、本実施例においては、多数のブリッスル2がイオン放出口18の周囲に植設されているので、さらにイオン放出口18が臨み難くなっており、これによって異物の侵入をよく阻止できる。
図中24は、グリップ部4の後端に形成された突出部であり、その平面部26に係合凹み25が形成されている。グリップ部4を閉じ姿勢としたときに、本体部1の前端側に植設されたブリッスル2が係合凹み25に嵌合されることで、グリップ部4の開きが防止される。この開き防止手段によって、閉じ姿勢のグリップ部4が、衝撃によって開き姿勢となるようなことはなくなり、さらに本体部1、グリップ部4の何れかに衝撃が加わった場合に、その衝撃を開き防止手段で分散することができるので、回動軸3の破損を可及的に防止することができる。係合凹み25は、ブリッスル2の全てを嵌合できるようにグリップ部4の下面全体に構成されたものであってもよい。また係合凹み25は、グリップ部4の下面
全体に多数のリブを突設し、これらリブ間の摺動抵抗を利用してブリッスル2の先端部を固定する構造も含むものとする。さらに係合凹み25は、メッシュを複数枚重ねたようなものであってもよい。
ブリッスル2は、図6に示すように本体1の下面11の平面視内側に立設しているので、グリップ部4の閉じ姿勢のときにグリップ部4の下面13によって覆われる(図11参照)。従って、全てのブリッスルの少なくとも頭皮と接触する先端部を保護することができる。トランス41は本体部1に内蔵される電装品の中でも一番の重量物であるので、回動軸3に寄せて設けている。従って、開き姿勢の使用時に回転モーメントが本体部1にかかり難いので、不用意に本体部1が回動軸3を中心に回動することがなく、安心して本装置を使用できる。また、マイナスイオン発生器9とトランス41が隣接しているので、他のリード線に比べ太く曲げにくい高圧リード線72の配線を良好に行うことができる。
図1、図2に示すように、本体部1は、その前面14、上面10、後面15のそれぞれを同じ曲率で湾曲させて形成し、それらを連続させることで上向き凸となる円弧面27を形成している。本体部1の右側面29、左側面30は中心部に向かうほど膨出した形態となっている(図10参照)。また、グリップ部4においても、その前面16、上面12、後面17のそれぞれを同じ曲率で湾曲させて形成し、それらを連続させることで上向き凸となる円弧面28を形成している。グリップ部4の右側面31、左側面32も中心部に向かうほど膨出した形態となっている(図10参照)。しかして、図1、図7に示すような開き姿勢の使用状態のときに、本体部1、回動軸3、グリップ部4の三者によって、大きな空間Sが形成され、使用時にこれに指を当てれば滑り止めとなって、本体を落下させる可能性が低くなる。空間Sが形成されれば、本体部1の前面14、後面15やグリップ部4の前面16、後面17は湾曲せずともよい。また、グリップ部4の円弧面28は、同円弧面28の頂部付近に手のはらの凹みを自然に合わせることができるので使用感がよいものとなる。これは、本体部1の円弧面27にも当てはまるものである。グリップ部4を閉じ姿勢のとき、本体部1の円弧面27の仮想延長線上にグリップ部4の円弧面28が略一致するよう構成(つまり、円弧面27と円弧面28は同一曲率)している。従って、グリップ部4を開き姿勢から閉じ姿勢と姿勢を変更した際、本イオン供給装置は図8に示すようにグリップ部4と本体部1とによって全体が円形となるよう構成されるので、少なくとも円弧面27,28部分で衝撃を受け止めた際、円弧面は強度的に優れるので、装置の破損を可及的に防止できる。またこの閉じ姿勢のとき、外観が略円筒形状となるので、デザイン性に優れる。なお、円弧面27と円弧面28の曲率が多少相違するものも本発明の範疇とする。或いは、閉じ姿勢のとき全体が楕円形状となるものも本発明の範疇とする。
このイオン供給装置を使用する際には、閉じ姿勢のグリップ部4を本体部1に対して180°回動させ開き姿勢とすることで駆動スイッチ5を駆動する。これによって、モーター34とマイナスイオン発生器9を駆動することができる。このとき、同時にLEDからなる表示灯33が点灯するので使用者は装置のON状態を確認できる。表示灯33はグリップ部4の下面13に配設され、閉じ姿勢の本体部1とグリップ部4の対向面に位置されることになるので、閉じ姿勢の携行時の保護が確実となる。モーター34の起動によってファン35が回転駆動され、吸込口50から吸い込んだ空気を加圧して送り出す。このとき、空気流はマイナスイオン発生器9とイオン放出口18間に流れ、マイナスイオンとともにイオン放出口18から吹き出る。本体部1或いはグリップ部4の一部に小さな貫通孔を形成し、ストラップを装着可能に形成することもできる。この場合、ストラップを伸縮性のある部材(ゴムなど)で輪状に形成し、貫通孔を基準に閉じ姿勢の本体部1とグリップ部4の周囲の円弧面27、28に引っ掛ければ、開き防止手段として利用できる。左側面図は図8の右側面図と対称に表れる。底面図は図11の平面図と対称に表れる。
図16から図19は本発明にかかるイオン供給装置の第2実施例を示す。第2実施例における第1実施例と同じ符号は、第1実施例と同じ機能を有するものとする。
そこでは、本体部1に対してグリップ部4を閉じ姿勢としたときに、図17に示すようにグリップ部4の下面13が、イオン放出口18の周囲面に対して当接しており、これによって、イオン放出口18が外部からまったく臨むことができないように覆い隠されている。従って、イオン放出口18から塵やほこりが侵入するのをさらに確実に防止できる。グリップ部4とイオン放出口18の周囲面は当接でなくとも近接対向する構造であってもよい。また駆動スイッチ5は、グリップ部4内のスライド式接点を有するスイッチ部56と同スイッチ部56の開閉操作を行う操作ノブ52とからなり、この操作ノブ52が閉じ姿勢の本体部1とグリップ部4の対向面となるグリップ部4の下面13に配設されるので、閉じ姿勢の携行時に誤って操作ノブ52が投入され無駄な放電を行うのを確実に防止できるとともに、操作ノブ52の破損を防止することができる。また、閉じ姿勢のとき、図17に示すようにOFF状態の操作ノブ52はイオン放出口18を形成する内壁54に突き当たっており、これによって操作ノブ52のスライドが規制されているので、細長い棒状のものが閉じ姿勢の本体部1とグリップ部4間に侵入しても、操作ノブ52が投入されることはなく、それによって確実に無駄な放電を防止できる。 つまり、イオン放出口18が操作ノブ移動防止ストッパーとしての役割を兼任しており、構成が簡素化されている。もちろん、操作ノブ移動防止ストッパーとしてそれ専用に本体部1の下面11に突起を設け、閉じ姿勢のときに操作ノブ52の移動を阻止できるよう構成したものであってもよい。なお、駆動スイッチ5は、本体部1の下面11に配設しても携行時の保護は可能で
、その場合の操作ノブ移動防止ストッパーはグリップ部4の下面13に設けられる。また、駆動スイッチ5はイオン放出口18内に入り込むならばプッシュ式スイッチ構造であってもよい。これによっても実質的に押圧が規制されるので、操作ノブ移動防止ストッパーの概念に含まれる。
図19に示すように、閉じ姿勢におけるブリッスル2の先端とグリップ部4の上面12は、距離Xだけグリップ部4の上面12が沈んだところに位置している。従って、閉じ姿勢においても毛髪をブラッシングすることができる。このとき、グリップ部4の両側面がブリッスル2の植設面である下面13に対して90°以下の角度αの傾斜面として成るので、ブラッシングをスムーズに行うことができる。また、上面12においても円弧面となっているのでさらにスムーズな毛髪のブラッシングを行うことができる。なお、本体部1、グリップ部4ともに左右二分割ケースから成る。イオン放出口18をグリップ部4の閉じ姿勢時に覆うことが可能な構造ならば、ブリッスル2はイオン放出口18と同じ下面11に植設する必要はなく、本体部1の上面10側に植設されるものであってもよい。この場合も、イオン放出口18を保護した状態の閉じ姿勢で毛髪をブラッシングすることができる。開き姿勢でマイナスイオンを供給しながら整髪する場合は、本体部1の上面10と下面11を交互に反転させて、マイナスイオンの髪への供給と髪のブラッシングを交互に行う。
図20から図23は本発明にかかるイオン供給装置の第3実施例を示す。第3実施例における第1実施例と同じ符号は、第1実施例と同じ機能を有するものとする。
本実施例においては、本体部1に対してグリップ部4を閉じ姿勢としたときに、図20(a)、図21に示すようにグリップ部4の左側面32が、イオン放出口18の周囲面に対して当接しており、これによって、イオン放出口18が外部からまったく臨むことができないように覆い隠されている。従って、イオン放出口18から塵やほこりが侵入するのをさらに確実に防止できる。本実施例のグリップ部4は第1実施例や第2実施例とは異なり、グリップ部4の中途が分割され、前グリップ4a、後グリップ4bが形成されている。後グリップ4bはグリップ部軸方向が回動軸となるよう前グリップ4aに回動体55によって軸着されている。図20(a)、図21に示すような閉じ姿勢においては、前グリップ4aに対して後グリップ4bを90°回動させているので、後グリップ4bの左側面32によってイオン放出口18の周囲面が接触状態で覆われる。このとき、前グリップ4aの左側面32に突設した突起53が、イオン放出口18を形成する内壁54に嵌合され、グリップ部4の開き防止が回動軸3内に形成される節度手段とともに図られている。なお、開き防止手段があれば、閉じ姿勢時の節度手段は省略してもよい。従って、閉じ姿勢の動作のみの動作で開き防止を図ることができるので使い勝手が向上する。また、イオン放出口18を開き防止手段の一部として利用するので、その分だけ構造が簡素化できる。また、イオン放出口18を形成する内壁54は円形であり、これに対し突起53は内壁54と略同一形状・同一寸法であって、つまり突起53はイオン放出口18を形成する内壁54と一致する形状である。従って、閉じ姿勢のときにイオン放出口18を形成する内壁54に突起53の外壁57が内接するよう構成されるので、その内接による摺動抵抗増で開き防止を図りながら塵やほこりの侵入をさらに確実に防止できる。内壁54と外壁57とのそれぞれに小さな突起を設け、閉じ姿勢のときに互いの突起が乗り越えるようにした内接構造も含むものとする。突起53はグリップ部4の滑り止めにもなって都合がよい。
本イオン供給装置を使用状態にする場合は、図23(a)の状態から、手でグリップ部2を掴み図23(b)に示すように回動させる。そして図23(c)に示すようにグリップ部4を180°回動させてイオン放出口18を完全に開放する。次に回動体55を軸として時計回りに後グリップ4bを回動させ、図23(d)や図20(c)に示すように後グリップ4bが前グリップ4aと一致した状態とする。後グリップ4bの回動動作で、前グリップ4a内に収納されるスイッチ部56(マイクロスイッチのプッシュボタン)が後グリップ4bに設けられる突起体によって開閉操作(押圧)されマイナスイオン発生器9が駆動する。つまり本実施例の駆動スイッチ5は、後グリップ4bが操作ノブ52を兼用している。従って、本実施例においても、グリップ部4の閉じ姿勢のとき突起53と内壁54によって後グリップ部4bの回動が規制されているので、つまり閉じ姿勢のとき駆動スイッチ5が駆動されないので、携行時の不用意な放電は起こり難い。また、第1実施例、第2実施例では、ともに本体部1に対してグリップ部4を180°回動した状態を開き姿勢としたものであるが、イオン放出口18が開放されていれば90°前後の角度に開いた状態で固定したものも開き姿勢の概念に含まれるものとする。また、180°を超えて固定されるものも開き姿勢の概念に含むものとする。
また、グリップ部4は、その断面形状が両側面31,32が短辺、上下面12,13が長辺の長方形(若干外向き或いは内向きに湾曲している形状も含む)をなしており、全体が中空直方体形状となっている。従って、閉じ姿勢のときは断面長方形の短辺部分でイオン放出口18を覆うことができるので、電源電池6が2本の並列態様であってもブリッスル2の植設面を多くとることができる。また、開き姿勢にしたときに断面長方形の長辺部分を上下面とすることができるので、ブラッシング時の使い勝手が向上する。図21に示すように、閉じ姿勢におけるブリッスル2の先端とグリップ部4の右側面31は、距離Yだけグリップ部4の右側面32が突出したところに位置している。従って閉じ姿勢において、イオン放出口18を保護できるとともに、第1実施例のように覆うことでブリッスル2全体を保護していないものの、グリップ部2の突出分だけブリッスル2を保護できる。図中62は、植設面である下面11に凹み形成されて設けられた溝であって、本体部1の軸方向(前後方向)に、ブリッスル2の軸方向の植設領域を超えた寸法で設けられている(図20(c)参照)。従って、ブラッシング時、イオン供給口18部分が髪によって覆われた状態でも、下面11と溝62の底面(イオン放出口18はこの底面にある)との高さ分だけ間隙ができ、しかもその隙間からマイナスイオンが軸方向に流れていくことができるので、髪に万遍なくマイナスイオンを供給できる。またこの溝62は閉じ姿勢の後グリップ4bを左右から支持しているので(図21参照)、衝撃による回動軸3の破損も防止している。溝62は、下面11を凹み形成して設けることに代えて、下面11に軸方向(前後方向)に連続して延びる1本或いは複数本のリブを突設することによって、実質的に毛髪とイオン放出口18に間隙を構成するものであってもよい。この場合も軸方向に万遍なくマイナスイオンを供給することができる。なお、本体部1、グリップ部4ともに左右二分割ケースから成る。
図24から図27は本発明にかかるイオン供給装置の第4実施例を示す。第4実施例における第1実施例と同じ符号は、第1実施例と同じ機能を有するものとする。
本実施例において基本構造は第1実施例と同じであるが、ただ一本一本のブリッスル2の根元が回動軸58によって回動自在となっている点が異なる。これによってブリッスル2は前向きに傾倒可能となっている。ブリッスル2を傾倒すればブリッスル2の占有高さを低くすることができ、閉じ姿勢のときに本体をコンパクト化することが可能となる。また、ブリッスル2が傾倒することで、閉じ姿勢のとき本体部1とグリップ部4との間隙が狭まるので、イオン放出口18にほこりやピンなどの異物が侵入しにくくなる。この傾倒動作は、本体部1に傾倒動作専用のスライドノブを設けて行うようにすることもできるが、本実施例においては、グリップ部4の開き動作に連動して傾倒するようになっている。具体的には、各ブリッスル2は左右方向に長い金属製の回動体58に連結される。各ブリッスル2は回動体58を介して下方に短いながら連続して延びており、さらに、その下端が連結体66に形成される逃げ溝77内を上下に移動自在に連結されている。 連結棒60は、図27においてコイルばね59によって左向きに付勢されており、その一端79が本体部1から突出している。この状態ではブリッスル2は傾倒しているが、図26に示すようにグリップ部4を開き姿勢とすれば、連結棒66の一端79がグリップ部4の突起80によって押圧され、傾倒していたブリッスル2のすべてが起立する。ブリッスル2は閉じ姿勢の傾倒時、図25の点線に示すようにイオン放出口18に被さるように傾倒しており、これによって、さらに異物の侵入を防止できる。
図28は本発明にかかるイオン供給装置の第5実施例を示す。第5実施例における第1実施例と同じ符号は、第1実施例と同じ機能を有するものとする。
上記した各実施例においては左右方向に回動軸3を有するものであったが、本実施例においては上下方向に回動軸3を有する構成のものである。グリップ4の開き姿勢から水平回動によってグリップ部4を本体部1に重ね合せれば(点線参照)、イオン放出口18やブリッスル2を覆うことができ、マイナスイオン発生器9やブリッスル2を保護することができる。また、本実施例の駆動スイッチ5は、第2実施例のそれと同じであり、配設位置も閉じ姿勢の本体部1とグリップ部4の対向面にあるので、携行時の操作ノブ52の保護が可能となっている。また、本実施例の駆動状態を示す表示灯33は、本体部1の下面に設けられるので操作ノブ52と同じように携行時の保護が図られている。
図29及び図30は本発明にかかるイオン供給装置の第6実施例を示す。第6実施例における第1実施例と同じ符号は、第1実施例と同じ機能を有するものとする。
本実施例では、本体部1が前本体1aと後本体1bの二分割構造となっており、両者は本体部軸方向を回転軸とする回動体70によって連結されている。また、回動軸3やグリップ部4は後本体1bの後端に取り付けられている。しかして、本イオン供給装置を使用する場合は、閉じ姿勢のグリップ部4を開き姿勢とした状態(図29(a)参照)とする。次に本体部1bを180°回転すれば回動軸3が本体部1の上面10側に向きをかえることができ(図29(b)参照)、ついで、グリップ部4をもとに戻すように回動させれば、実質的に、180°を超えて回動させることができる(図29(c)参照)。本実施例においては、この動作によって、グリップ部4が0°から360°の範囲で30°ずつ角度を変更(グリップ部4内の節度手段で30°ずつ固定)させることができるようになっている。なお、30°ずつの角度変更に限らず10°ずつであってもよくこの固定は任意である。本実施例によれば、180°の開き姿勢で手持ち式のイオン供給装置として使用でき、また、少なくとも270°から360°の角度の範囲で開き姿勢を維持できるよう構成されているので、これによって、グリップ部4の上面12を載置面とした据置き式のイオン供給装置として使用できる。
図30は、グリップ部4を300°の角度で固定させ、机や化粧台などの載置台に置いた状態を示している。従って使用者Mは、両手を開放したハンズフリーの状態でマイナスイオンを顔、口、手などの身体に浴びることができる。マイナスイオン(マイナスに帯電した酸素に水分が結合したもの)を浴びることによって、肌の角質内まで水分を浸透させることができ、肌に潤いを与えることができる。さらにマイナスイオンは、吸い込むことによって自律神経の安定や疲労の回復など、心身をリラックスさせる働きがあるとされており、この効果も期待できる。図中75は、グリップ部4の側面に設けられる支持脚であり、回動軸74を軸として左右方向(図30においては手前方向)に回動できるようになっている。支持脚75は左右に2つあり、両支持脚75を左右に広げれば、安定した載置が可能となる。前本体1aにはマイナスイオン発生器9やトランス41が内蔵されている。重量物であるトランス41は本体部1内の回動軸3寄りに内蔵されるので、載置状態のとき、重心が低くなり転倒を防止することができる。マイナスイオン発生器9とトランス41が近い位置にある理由は、トランス41から中央電極44(放電電極)に高電圧(4KV)を印加するための高圧リード線72(耐圧仕様が6〜10KV)がその他のどのリード線よりも太いので、例えばグリップ部4内にあると回動動作による無理な力がかかりやすく、断線の可能性が高いからそれを防止するためである。またグリップ部4内にトランス41を設けると、太い高圧リード線72の距離が長くなって配線の引き回しが難しくなるとともに、収納スペースの問題もある。電源電池6はグリップ部4内に配置されている。駆動スイッチ5は第1実施例と同じようにグリップ部4の回動動作に連動して開閉させるようになっている。なお、第2実施例〜第6実施例すべて、モータ34、ファン35を省略した構造である。これによっても多少はマイナスイオンの放出量は減るが充分マイナスイオンを供給することができる。本実施例においても、第1実施例と同じように、閉じ姿勢の携行状態のときグリップ部4でイオン放出口18やブリッスル2の全てを覆っている。
マイナスイオン発生器9は、マイカ、セラミック等からなる板状の絶縁体(誘電体)の表と裏とに放電電極と誘導電極を配置した沿面放電型の構造や、2個の針状電極を対向配置した電極構造などに変更でき、マイナスイオンの発生が可能であればその構造は何ら限定しない。或いはトルマリン(電気石)をコーティングした部材に、熱を加えたり、機械的な圧力を加えたりしてマイナスイオンを発生させるマイナスイオン発生器であってもよい。また、本実施例ではマイナスイオンのみを生成するよう回路を構成しているが、プラスイオンとマイナスイオンを同時に生成させるものの、マイナスイオンの方を優勢に発生させる特公平4−16920号に示されるような回路構成とすることもできる。