JP2004248096A - 光加入者装置 - Google Patents

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Masamitsu Fujiwara
正満 藤原
Junichi Kani
淳一 可児
Mitsuhiro Tejima
光啓 手島
Katsumi Iwatsuki
勝美 岩月
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Abstract

【課題】局装置から供給される連続光を変調して折り返す変調光(信号光)の光パワーを調整する光加入者装置において、変調光に対する反射光を考慮して変調光の光パワーを最適化する。
【解決手段】局装置と損失L[dB]の光ファイバ伝送路を介して結合され、局装置から供給される単一波長の連続光を強度変調して局装置に送信する光加入者装置において、光ファイバ伝送路に接続されたポートから単一波長の連続光を入力し、マーク率がほぼ1/2の送信信号で強度変調した変調光を同じポートから光ファイバ伝送路に折り返す光変調手段と、連続光または変調光の光パワーを増幅する光増幅手段と、連続光の光パワーに対する変調光の光パワーの利得が
L−4.5 [dB]ないしL+1.5 [dB]
となるように、変調光の光パワーを調整する光パワー調整手段とを備える。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、局装置と光加入者装置が光ファイバ伝送路を介して結合される光アクセスネットワークにおいて、局装置から供給される連続光を変調して折り返す変調光の光パワーを調整する手段を有する光加入者装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6は、光アクセスネットワークの構成例を示す。ここでは、光加入者装置から局装置へ伝送する上り信号系の構成のみを示す。
【0003】
図において、局装置10は、WDM光源11、光サーキュレータ12、光分波器13、光受信器14−1〜14−Nを備える。光加入者装置20−1〜20−Nは、それぞれ反射型光変調器21を備えるか、または光サーキュレータ22と光変調器23を備える。局装置10と各光加入者装置20−1〜20−Nは、光ファイバ伝送路30と光合分波器31を介して1対Nに接続される。
【0004】
局装置10のWDM光源11は、各光加入者装置に割り当てる波長に対応する多波長の連続光(あるいは波長多重された連続光)を出力する。この多波長の連続光は、光サーキュレータ12を介して光ファイバ伝送路30に送出され、光ファイバ伝送路30を伝搬して光合分波器31で波長ごとに分波され、それぞれ異なる光ファイバ伝送路30を介して各光加入者装置20−1〜20−Nに伝送される。各波長の連続光は、それぞれ対応する光加入者装置20−1〜20−Nに入力され、反射型光変調器21で送信信号(上り信号)により強度変調して折り返されるか、光サーキュレータ22を介して光変調器(透過型)23に入力され、送信信号(上り信号)により強度変調して光サーキュレータ22を介して折り返される。
【0005】
光加入者装置20−1〜20−Nから折り返し出力された各波長の変調光は光合分波器31で波長多重され、光ファイバ伝送路30を介して局装置10に伝送される。局装置10に入力された波長多重変調光は、光サーキュレータ12を介して光分波器13に入力され、各波長の変調光に分波して対応する光受信器14−1〜14−Nに受信される。
【0006】
このような構成では、光加入者装置に光源を搭載する必要がなく、WDM光源11として少数の光源から複数のサイドバンドを発生させる多波長光源(例えば、M.Teshima et al.,ECOC’2001,Mo.L.3.7, 2001)を用いることにより、光源コストを抑えて光アクセスネットワーク全体における1加入者当たりに要するコストを低減することができる。また、一般に光変調器は波長依存性が少ないことから各光加入者装置に備えられる光変調器を共通化でき、量産化によるコスト削減の効果も期待されている。さらに、加入者側の環境のばらつきを考慮すると、光加入者装置に光源をもたないことは光源波長の管理の点においても有利である。
【0007】
ところで、光アクセスネットワークにおける光ファイバ伝送路30は、図7に示すように、局装置10から光加入者装置20までの間に複数の反射点(コネクタなど)をもつ。そのため、ITU−T G983.1 には、光ファイバ伝送路30の両端における全反射量が規定されている。図7には反射点を0〜nで示し、それぞれの反射点において局装置10から送信された連続光に対する反射光1をr〜rで示す。この反射光1は、変調光(信号光)との干渉により雑音となる。なお、光ファイバ伝送路の反射光としては、光ファイバのレーリー散乱によるものも存在するが、一般に反射点における反射光よりも小さい。
【0008】
ここで、光加入者装置20が透過損失の大きい部品で構成されると、局装置10に折り返される変調光(信号光)が反射光に対して相対的に小さくなり、信号光対反射光比、すなわち信号光対雑音比(SNR)は劣化する。
【0009】
この信号光対反射光比を改善する手段としては、光加入者装置20から折り返す信号光の光パワーを増大させる方法が考えられている。すなわち、光加入者装置20において、図8に示すように、反射型光変調器21として反射型の半導体光増幅器変調器(反射型SOA変調器)24を用いる構成(非特許文献1)、あるいは光サーキュレータ22と光変調器23との間に光増幅器25を配置する構成である。
【0010】
【非特許文献1】
N.Buldawoo et al.,ECOC’98, pp.273−274
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
光加入者装置20から送信する信号光の光パワーを増大させると、図9に示すように、反射点0〜nにおける反射光として、局装置10から送信された連続光に対する反射光1とともに、光加入者装置20から送信された信号光に対する反射光2も発生する。光加入者装置20では、この反射光2に対しても利得を与えて折り返すので、その大きさによっては反射光2は反射光1に対して無視できなくなる。すなわち、光加入者装置20で信号光に利得を与えれば与えるほど、SNRは改善されるとは言えなかった。非特許文献1には、この反射光2に対する考慮はなされていない。
【0012】
本発明は、局装置から供給される連続光を変調して折り返す変調光(信号光)の光パワーを調整する光加入者装置において、変調光に対する反射光を考慮して変調光の光パワーを最適化する光加入者装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、局装置と損失L[dB]の光ファイバ伝送路を介して結合され、局装置から供給される単一波長の連続光を強度変調して局装置に送信する光加入者装置において、光ファイバ伝送路に接続されたポートから単一波長の連続光を入力し、マーク率がほぼ1/2の送信信号で強度変調した変調光を同じポートから光ファイバ伝送路に折り返す光変調手段と、連続光または変調光の光パワーを増幅する光増幅手段と、連続光の光パワーに対する変調光の光パワーの利得が
L−4.5 [dB]ないしL+1.5 [dB]
となるように、変調光の光パワーを調整する光パワー調整手段とを備える。
【0014】
また、光ファイバ伝送路の損失の最大値をLmax [dB]としたときに、光パワー調整手段は、連続光の光パワーに対する変調光の光パワーの利得が
Lmax−4.5 [dB]ないしLmax+1.5 [dB]
となるように変調光の光パワーを調整する。
【0015】
さらに最適には、光パワー調整手段は、連続光の光パワーに対する変調光の光パワーの利得が
L−1.5 [dB]あるいはLmax−1.5 [dB]
となるように変調光の光パワーを調整する。
【0016】
【発明の実施の形態】
(本発明の光加入者装置の構成)
図1は、本発明の光加入者装置の構成例を示す。ここでは、局装置40と光加入者装置50が光ファイバ伝送路30を介して1対1に接続される構成において、光加入者装置50a,50b,50cの3タイプを示す。また、光加入者装置から局装置へ伝送する上り信号系の構成のみを示す。図1(1) 〜(3) において、局装置40は、単一波長の連続光を出力する光源41、光サーキュレータ42、光受信器43を備える。
【0017】
図1(1) において、光加入者装置50aは、利得を有する反射型SOA変調器51および光可変減衰器52から構成される。局装置40の光源41から出力された連続光は、光ファイバ伝送路30を介して光加入者装置50aに伝送される。光加入者装置50aに入力された連続光は、光可変減衰器52を介して反射型SOA変調器51に入力され、送信信号(上り信号)により強度変調して折り返され、再度光可変減衰器52を介して光ファイバ伝送路30に送出される。光ファイバ伝送路30を介して局装置40に伝送された変調光は、光サーキュレータ42を介して光受信器43に受信される。
【0018】
光可変減衰器52は、減衰値の異なる複数の固定減衰器の1つを選択する構成としてもよい。また、光可変減衰器52を配置する代わりに、反射型SOA変調器51への注入電流量により利得を調整するようにしてもよい。
【0019】
図1(2) において、光加入者装置50bは、光サーキュレータ53、光変調器(透過型)54、光増幅器55でループを構成し、光サーキュレータ53と光ファイバ伝送路30との間に光可変減衰器52を配置した構成である。光加入者装置50bに入力された連続光は、光可変減衰器52、光サーキュレータ53を介して光変調器54に入力され、送信信号(上り信号)により強度変調される。さらに、光変調器54から出力される変調光は光増幅器55で増幅され、光サーキュレータ53、光可変減衰器52を介して光ファイバ伝送路30に送出される。
【0020】
光可変減衰器52は、減衰値の異なる複数の固定減衰器の1つを選択する構成としてもよい。また、光増幅器55を配置する代わりに、光変調器54として利得を有するSOA変調器を用いてもよい。
【0021】
図1(3) において、光加入者装置50cは、光サーキュレータ53、光変調器54、光増幅器55のループ内に光可変減衰器52を配置した構成である。光加入者装置50cに入力された連続光は、光サーキュレータ53を介して光変調器54に入力され、送信信号(上り信号)により強度変調される。さらに、光変調器54から出力される変調光は光増幅器55で増幅され、光可変減衰器52、光サーキュレータ53を介して光ファイバ伝送路30に送出される。
【0022】
光可変減衰器52は、減衰値の異なる複数の固定減衰器の1つを選択する構成としてもよい。また、光可変減衰器52を配置する代わりに、光増幅器55への注入電流量により利得を調整するようにしてもよい。また、光増幅器55および光可変減衰器52を配置する代わりに、光変調器54として利得を有するSOA変調器を用い、その注入電流により利得を調整するようにしてもよい。
【0023】
なお、光加入者装置50a〜50cについては、図6に示す1対Nの構成とした場合でも同様であるが、加入者ごとの光ファイバ伝送路30の損失の値が異なることがある。ここで、各光加入者装置でほぼ伝送路片道分の損失を補償する場合では、局装置40において加入者ごとに光受信器の入力光パワーにばらつきが生じることになる。その場合には、図2に示すように、局装置40の光分波器44と光受信器43−1〜43−Nとの間に光可変減衰器45−1〜45−Nを配置し、各光受信器の入力光パワーを一定に制御する。あるいは、局装置40から送信する多波長の連続光に対して、波長ごとに光パワーをあらかじめ調整して送信するようにしてもよい。
【0024】
(光加入者装置の入力連続光パワーに対する出力変調光パワーの利得)
本発明の光加入者装置を用いた光アクセスネットワークにおいて、光加入者装置に入力する入力連続光パワーに対して、光加入者装置から出力する出力変調光パワーの利得の最適値について定量的に示す。
【0025】
ここで、光アクセスネットワークでは次の3つの条件を想定する。第1は、レーリー散乱光は反射点における反射光に比べて十分に小さい。第2は、反射点の反射光が別の反射点で反射する多重反射光は、図9に示す反射光1および反射光2に比べて十分に小さい。第3は、送信信号のマーク率を1/2とする。なお、送信信号にマークまたはスペースが連続すると、信号を受信する際にクロック信号を抽出することが困難になるため、通常、SDHにおけるスクランブル、ギガビットイーサにおける8B/10B変換など、マーク率をほぼ1/2にする手法が講じられている。
【0026】
局装置から光ファイバ伝送路に入力する連続光の光パワーを「1」としたときに、光ファイバ伝送路の片道の伝送路損失、光加入者装置の入力連続光パワーに対する出力変調光パワーの利得、光ファイバ伝送路の片道の全反射光パワーをx、g、rとすると、伝送路往復の信号光パワー、反射光1の光パワー、反射光2の光パワーは、それぞれxg 、r、xrで表される。
【0027】
ここで問題となるのは、変調光(信号光)と反射光の干渉であるので、信号光マーク時の反射光の影響のみを考えればよい。送信信号のマーク率は1/2としているので、伝送路往復の信号光マークレベルパワー、および反射光2のマークレベルパワーは、それぞれ2xg 、4xrとなる。ただし、伝送路往復後に信号光および反射光2が同時にマークとなる確率は1/2であるので、反射光2の影響は半減する。したがって、信号光マーク時の全反射光とのパワー比は、
S/N=2xg/(r+2xr) …(1)
となる。これを変数gの関数と見なすと、
g=1/(21/2・x) …(2)
のとき、式(1) は最大値をとる。すなわち、反射光の影響を最も小さくすることができる。これを対数スケールに書き直し、伝送路損失L[dB]を用いると、
10log10g=−10log10(x) −1/2・10log10(2)=L−1.5 [dB] …(3)
となる。
【0028】
上記に定義したように、gの値は、光加入者装置の入力連続光パワーに対する出力変調光パワーの利得であり、光加入者装置内に配置する光増幅器の利得値とは異なる。光増幅器単体の利得は、光加入者装置の構成に依存する。図1および図2に示した光加入者装置50a,50b,50cにおいて、光増幅器単位(変調動作を兼ねる場合も含む)に要求される利得G[dB]は、光可変減衰器の損失をα[dB]、光サーキュレータの損失をα[dB]とすると、それぞれ次のようになる。
【0029】
光加入者装置50a:G=(L−1.5)+3.0+2α …(4)
光加入者装置50b:G=(L−1.5)+3.0+2α+2α …(5)
光加入者装置50c:G=(L−1.5)+3.0+α+2α …(6)
【0030】
なお、式(4) 〜(6) で加えた値 3.0[dB]は、変調損失に補うものである。また、局装置から供給される連続光が、光可変減衰器および光サーキュレータを2度通過する場合は、その損失を補うために2倍の利得が必要とされる。
【0031】
実際には、反射光は信号光と干渉するので、上記の議論は最適利得の導出にのみ有効である。信号光に対する反射光の影響の見積りは、次のように行うことができる。局装置の受信端において、信号光のマーク側光電界を
exp[i(ωt+φ)]
とし、ある反射点における反射光1のマーク側光電界を
exp[i(ωt+φ)]
とし、ある反射点における反射光2のマーク側光電界を
exp[i(ωt+φ)]
とすると、受信前の光電界は、
Figure 2004248096
で表される。
【0032】
受信光電流は、要する係数を一切無視すると、
Figure 2004248096
となる。ここで、第1項は信号光パワー、第2項は信号光は反射光1のビート(干渉)、第3項は信号光と反射光2のビート(干渉)、第4項は反射光1パワー、第5項は反射光2パワー、第6項は反射光1と反射光2のビート(干渉)による量である。第2項以降は雑音であるが、第4項〜第6項は信号光に対して反射光が小さいことから無視できる。ここでは、第2項および第3項の影響を考慮して、規格化ビート雑音パワーとして
σRIN =2(E +E )/(E …(9)
を定義する。
【0033】
ここまでの議論は、反射光1および反射光2について、伝送路内の1つの反射点によるもののみを考慮したが、複数の反射点が関与する場合のビート雑音は、分散値として式(9) で表される値を示すガウス分布として取り扱うことができる。これは、アレイ導波路回折格子(AWG)のコヒーレントクロストークの影響を定量的に見積もる手法(IEEE J.Lightwave Technol.,vol.14,no.6,pp.1097−1105,1996)からの類推による。ただし、本光アクセスネットワークでは、信号光マーク時において反射光2が同じマークである確率は1/2であるため、式(9) は
σRIN =(2E +E )/(E …(10)
に書き換えられる。また、信号光と反射光の偏波の確率1/2を考慮すると、式(10)の値はさらに半分になる。
【0034】
(光加入者装置の最適利得、信号光に及ぼす反射光の影響を確認する実験系)
図3は、光加入者装置の最適利得、信号光に及ぼす反射光の影響を確認する実験系を示す。図において、局装置40は、光源41および光受信器43から構成される。光加入者装置50は、光変調器54、光増幅器55および光可変減衰器52から構成される。光ファイバ伝送路30は、光分岐器32、光可変減衰器33,34、1×8光分岐器35および遅延線36から構成される。
【0035】
光加入者装置50の光変調器54では、入力連続光を1.25Gbps 、2−1の疑似ランダムパターンにより強度変調する。この変調光パワーは光増幅器55で増幅され、さらに光可変減衰器52で光パワーを調整し、上り信号光として送出する。
【0036】
光ファイバ伝送路30は、光源1から光分岐器32−1、光可変減衰器33−1、光分岐器32−2、光加入者装置50、光分岐器32−3、光可変減衰器33−2、光分岐器32−4を経て光受信器43に至る経路でもって伝送路を模擬し、伝送路損失は2つの光可変減衰器33−1,33−2で調節する。反射光1は、光源から光分岐器32−1、光可変減衰器34−1、1×8光分岐器35−1、遅延線36−1、1×8光分岐器35−2、光分岐器32−4を経て光受信器43に至る経路でもって模擬し、反射光パワーを光可変減衰器34−1で調節する。反射光2は、光源から光分岐器32−1、光可変減衰器33−1、光分岐器32−2、光加入者装置50、光分岐器32−3、光可変減衰器34−2、1×8光分岐器35−3、遅延線36−2、1×8光分岐器35−4、光分岐器32−2、光加入者装置50、光分岐器32−3、光可変減衰器33−2、光分岐器32−4を経て光受信器43に至る経路でもって模擬し、反射光パワーを光可変減衰器34−2で調節する。
【0037】
この実験系では、反射点のある一心光ファイバ伝送路を、8個の反射点(反射点の数は計16個)を有するストレートの光ファイバ伝送路で模擬することになる。各反射点からの反射光パワーはすべて同一に設定する。例えば、反射光1と反射光2の全反射量が光源出力パワー(光ファイバ入力)に対して−32dBであったとすると、各反射点からの反射光パワーは−41dBに設定される。
【0038】
図4は、式(10)を用いた計算結果と実験結果を示す。図において、横軸は光増幅器の利得と、カッコ内に入力連続光パワーに対する出力変調光パワーの利得を示す。縦軸はQ値を示す。実験では、光源出力パワー0dBm、片道の伝送路損失10dB、片道の全伝送路反射光パワー−32dB(光源出力パワーを考慮すると−32dBm)とした。受信の際には光プリアンプを用い、光加入者装置内の光増幅器利得に対するQ値により評価を行った(IEEE Photon.Technol.Lett. Vol.5,no.3, pp.304−306) 。なお、光プリアンプを挿入したのはQ値測定のためである。信号光と反射光の偏波状態は完全にランダムであるとして、規格化ビート雑音パワーは式(10)の半分、すなわち反射光パワー−35dBとして計算した。
【0039】
図に示すように、実線の計算結果とプロットした実験結果はよく一致し、最大Q値が得られるときの光増幅器利得は約11.5dBである。変調損失 3.0dBを考慮すると、光加入者装置の利得gは 8.5dBとなり、式(3) から求められる最適利得の予測値と一致する。以上により、式(3) による最適利得の値、および式(10)を用いたシステム性能評価法の正当性が確認された。
【0040】
(光加入者装置の許容される利得の範囲)
伝送路の要件として、ITU−T G983.1 によって標準化される光アクセスネットワークの要件を適用し、
▲1▼片道の全伝送路反射光パワー<−32dB
▲2▼片道の伝送路損失>10dB
▲3▼ビットエラーレート<10−10 (Q値に換算すると16dB)
とする。
【0041】
▲1▼,▲2▼の条件下において▲3▼が成立する範囲を考える。片道の伝送路損失10dB、片道の全伝送路反射光パワー−32dBの場合について、式(10)による計算結果を図4に点線により示す。これは、確率的には小さいが、変調光(信号光)と反射光の偏波状態が完全に一致するケースに相当する。ただし、光プリアンプ受信は行わない。図に示すように、伝送路損失の最も少ない光加入者装置に対しては、光加入者装置内の光増幅器利得Gに対して、
8.5[dB]<G<14.5[dB]
が許容される。変調損失 3.0dBを考慮すると、光加入者装置の利得gは
5.5[dB]<g<11.5[dB]
となる。これは、L=10dBを用いると、
L−4.5 [dB]<g<L+1.5 [dB]
と書き換えることができる。
【0042】
(光ファイバ伝送路の最大損失を考慮した場合の光加入者装置の利得)
図2に光アクセスネットワークにおいて、加入者ごとの光ファイバ伝送路30の伝送路損失の値が異なる場合について示す。光加入者装置内の光増幅器利得を、片道の伝送路損失10dB、片道の全伝送路反射光パワー−32dBの条件において最適化したとき、伝送路損失が10dB以下に変化した場合の受信Q値の計算結果を図5に示す。
【0043】
図5において、横軸は伝送路損失、縦軸はQ値を示す。実線および点線は、信号光と反射光の偏波が完全にランダムである場合と、一致する場合を示す。図に示すように、光増幅器利得を上記の条件において最適になるように設定したとしても、それよりも伝送路損失が少ない条件下ではQ値は劣化しないことがわかる。すなわち、光アクセスネットワークに収容される最も伝送路損失が大きい光加入者装置に対して、光加入者装置の利得を最適化すれば、それと同じ設定の光加入者装置を大量生産することができる。
【0044】
ここでは、光ファイバ伝送路の損失の最大値をLmax [dB]としたときに、光加入者装置の利得gは
Lmax−4.5 [dB]<g<Lmax+1.5 [dB]
となるように設定する。最適には、Lmax−1.5[dB]とする。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の光加入者装置は、局装置から供給される連続光を変調して折り返す変調光(信号光)の光パワーを調整する際に、光加入者装置の入力連続光パワーに対する出力変調光パワーの利得を最適化することにより、変調光と光ファイバ伝送路内に複数存在する反射点で発生する反射光との干渉による雑音の影響を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光加入者装置の構成例を示す図。
【図2】本発明の光加入者装置を適用した1対N光アクセスネットワークの構成例を示す図。
【図3】光加入者装置の最適利得、信号光に及ぼす反射光の影響を確認する実験系を示す図。
【図4】計算結果と実験結果を示す図。
【図5】伝送路損失が10dB以下に変化した場合の受信Q値の計算結果を示す図。
【図6】光アクセスネットワークの構成例を示す図。
【図7】光アクセスネットワークの反射点を示す図。
【図8】信号光対反射光比を改善する従来の構成法を示す図。
【図9】連続光に対する反射光1と変調光に対する反射光2を示す図。
【符号の説明】
10 局装置
11 WDM光源
12 光サーキュレータ
13 光分波器
14 光受信器
20 光加入者装置
21 反射型光変調器
22 光サーキュレータ
23 光変調器(透過型)
30 光ファイバ伝送路
31 光合分波器
32 光分岐器
33,34 光可変減衰器
35 1×8光分岐器
36 遅延線
40 局装置
41 光源
42 光サーキュレータ
43 光受信器
50 光加入者装置
51 反射型SOA変調器
52 光可変減衰器
53 光サーキュレータ
54 光変調器(透過型)
55 光増幅器

Claims (9)

  1. 局装置と損失L[dB]の光ファイバ伝送路を介して結合され、局装置から供給される単一波長の連続光を強度変調して局装置に送信する光加入者装置において、
    前記光ファイバ伝送路に接続されたポートから前記単一波長の連続光を入力し、マーク率がほぼ1/2の送信信号で強度変調した変調光を同じポートから前記光ファイバ伝送路に折り返す光変調手段と、
    前記連続光または前記変調光の光パワーを増幅する光増幅手段と、
    前記連続光の光パワーに対する前記変調光の光パワーの利得が
    L−4.5 [dB]ないしL+1.5 [dB]
    となるように、前記変調光の光パワーを調整する光パワー調整手段と
    を備えたことを特徴とする光加入者装置。
  2. 請求項1に記載の光加入者装置において、
    前記光ファイバ伝送路の損失の最大値をLmax [dB]としたときに、前記光パワー調整手段は、前記連続光の光パワーに対する前記変調光の光パワーの利得が
    Lmax−4.5 [dB]ないしLmax+1.5 [dB]
    となるように前記変調光の光パワーを調整する
    ことを特徴とする光加入者装置。
  3. 請求項1に記載の光加入者装置において、
    前記光パワー調整手段は、前記連続光の光パワーに対する前記変調光の光パワーの利得が
    L−1.5 [dB]
    となるように前記変調光の光パワーを調整する
    ことを特徴とする光加入者装置。
  4. 請求項2に記載の光加入者装置において、
    前記光パワー調整手段は、前記連続光の光パワーに対する前記変調光の光パワーの利得が
    Lmax−1.5 [dB]
    となるように前記変調光の光パワーを調整する
    ことを特徴とする光加入者装置。
  5. 請求項1〜請求項4に記載の光加入者装置において、
    前記光変調手段は、利得を有する反射型の光変調器であり、
    前記光パワー調整手段は、前記光ファイバ伝送路と前記反射型の光変調器との間に配置され、前記変調光の光パワーを減衰させる光パワー減衰器である
    ことを特徴とする光加入者装置。
  6. 請求項5に記載の光加入者装置において、
    前記光パワー減衰器に代わり、前記利得を有する反射型の光変調器の利得を制御する構成とする
    ことを特徴とする光加入者装置。
  7. 請求項1〜請求項4に記載の光加入者装置において、
    前記光変調手段は、前記光ファイバ伝送路に接続される光サーキュレータを介して形成されるループ内に、透過型の光変調器および光増幅器、あるいは利得を有する透過型の光変調器を配置した構成であり、
    前記光パワー調整手段は、前記光ファイバ伝送路と前記光サーキュレータとの間に配置され、前記変調光の光パワーを減衰させる光パワー減衰器である
    ことを特徴とする光加入者装置。
  8. 請求項1〜請求項4に記載の光加入者装置において、
    前記光変調手段は、前記光ファイバ伝送路に接続される光サーキュレータを介して形成されるループ内に、透過型の光変調器および光増幅器、あるいは利得を有する透過型の光変調器を配置した構成であり、
    前記光パワー調整手段は、前記ループに配置され、前記変調光の光パワーを減衰させる光パワー減衰器である
    ことを特徴とする光加入者装置。
  9. 請求項7に記載の光加入者装置において、
    前記光パワー減衰器に代わり、前記光増幅器または前記利得を有する光変調器の利得を制御する構成とする
    ことを特徴とする光加入者装置。
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