JP2004247889A - 映像符号化方法、映像符号化装置、映像符号化プログラム及びそのプログラムを記録した記録媒体 - Google Patents

映像符号化方法、映像符号化装置、映像符号化プログラム及びそのプログラムを記録した記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、マクロブロック毎の目標符号量に基づいて量子化値を算出することで映像を符号化するときにあって、量子化値の増減に規格上の制限があるときに、高い映像品質を実現する符号化技術の提供を目的とする。
【解決手段】視覚的に重要なマクロブロックとその周辺のマクロブロックとについては、目標符号量に基づいて量子化値を算出するのではなくて、1つ前に処理したマクロブロックの量子化値を強制的に増減させることで量子化値を決定する。このとき、量子化値増減の規格上の制限を考慮して、視覚的に重要なマクロブロックの数個前のマクロブロックから強制的に量子化値を減少させることで、視覚的に重要なマクロブロックに高い映像品質を実現する量子化値を割り当て、その後、その強制状態を解除するために、視覚的に重要なマクロブロックの数個後のマクロブロックについては強制的に量子化値を増加させるようにする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マクロブロック毎の目標符号量に基づいて量子化値を算出することで、映像品質をマクロブロック毎に制御しつつつ映像を符号化する映像符号化方法及びその装置と、その映像符号化方法の実現に用いられる映像符号化プログラム及びそのプログラムを記録した記録媒体とに関する。
【0002】
【従来の技術】
映像符号化の次世代標準であるMPEG−4では、映像品質をフレーム内のマクロブロック毎に制御するというマクロブロックレートコントロールが用いられる。
【0003】
このマクロブロックレートコントロールでは、各マクロブロック毎に、量子化マトリックスの補正に用いる量子化値(この量子化値と量子化マトリックスとの乗算したものを実際に用いる量子化マトリックスとする補正を行う)を決定することで、映像品質をマクロブロック毎に制御するようにしている。
【0004】
このマクロブロック毎の量子化値を決定するために、標準化文書の検証モデルver.18(VM18)の制御では、まず各マクロブロック毎の目標符号量を決定し、次に目標符号量対量子化値モデルを利用して量子化値を算出するという方法を推奨している。
【0005】
この方法では、i番目のマクロブロックの目標符号量T(i) を、
T(i) =(W(i) ×MAD(i))/(ΣW(j) ×MAD(j))*TTEX
という算出式で決定する。
【0006】
ここで、“TTEX”はフレーム内の全てのマクロブロックのDCT係数の目標符号量、“W(i) ”はi番目のマクロブロックの視覚的重要度、“MAD(i) ”はi番目のマクロブロック内の画素値の平均値と各画素値との絶対値差分の総和であり、マクロブロックの複雑さを示している。また、“ΣW(j) ×MAD(j) ”はフレーム内の全てのマクロブロックの“W(j) ×MAD(j) ”についての総和である。
【0007】
そして、i番目のマクロブロックの量子化値QP(i) を、目標符号量対量子化値モデルを利用して、
if(Bitrate>R)
QP(i)=MAD(i) ×C1;
else
QP(i)=C2;
という算出式で算出する。
【0008】
ここで、Bitrate(ビットレート)はあらかじめ設定されているフレーム内で利用可能な画素あたりの平均符号量、RはBitrateの閾値でVM18では0.085[bit per pixel ]を推奨している。C1は{A1,MAD(1),・・・,MAD(n),T(1),・・・,T(n) }から導出される値、C2は{A2,A3,MAD(1),・・・,MAD(n),T(1),・・・,T(n) }から導出される値である。A1,A2,A3は目標符号量対量子化値モデルのパラメータでフレーム内でほぼ一定のため、C1,C2もほとんど一定になり、BitrateがR以上の高ビットレートではMAD(i) に従ってQP(i) は増加し、BitrateがR未満の低ビットレートではQP(i) はほとんど一定になる。なお、nはフレーム内のマクロブロックの個数を示している。
【0009】
このように、従来のマクロブロックレートコントロールでは、図6に示すように、1フレーム内のマクロブロックの中から処理対象のマクロブロック(図中ではMBと略記することがある)を順次選択して、DCT係数を算出すると、目標符号量を算出して、目標符号量対量子化値モデルを利用して量子化値を算出し、それに基づいて量子化を行う(DCT係数をその量子化値で補正された量子化マトリックスで割り算することにより量子化を行う)ことで、映像品質をフレーム内のマクロブロック毎に制御するようにしている。
【0010】
なお、「MPEG−4」、「VM18」、「マクロブロック」、「マクロブロックレートコントロール」、「量子化値」、「目標符号量対量子化値モデル」に関しては、下記の非特許文献1,2に記載されている。
【0011】
【非特許文献1】
「 ”MPEG−4のすべて”,pp.37−116,三木弼一著,工業調査会」
【非特許文献2】
「 ”ISO/IEC JTC1/SC29/WG11:MPEG−4 Video Verification Model version 18.0” ,W.Li 他, pp.308−314, January,2001」
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明したように、MPEG−4に規定されるマクロブロックレートコントロールでは、マクロブロックごとの視覚的重要度をもとに自由に重み付けて、適当な目標符号量を割り当てることが可能となっている。
【0013】
これから、視覚的に重要なエッジ部分を含むマクロブロックに対しては、視覚的重要度W(i) を利用して大きな目標符号量T(i) を割り当てることは可能である。
【0014】
しかしながら、MPEG−4に規定されるマクロブロックレートコントロールにおける量子化値QP(i) は、一つ手前の隣接マクロブロックQP(i−1) から±2の幅でしか変更できないという規格上の制限がある。
【0015】
この量子化値の増減の規格上の制限から、従来技術に従っていると、一つ前のマクロブロックの量子化値の影響を強く受けるため、処理対象のマクロブロックが視覚的に重要なエッジ部分を含むマクロブロックである場合でも、一つ前のマクロブロックの量子化値が低い(映像品質が低いということで、量子化値の値そのものは大きい)場合には、処理対象のマクロブロックに対して高い量子化値(映像品質が高いということで、量子化値の値そのものは小さい)を割り当てることが困難となることから、その結果として、映像品質を向上させることが困難であるという問題がある。
【0016】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、量子化値の増減に規格上の制限があるときにあって、視覚的に重要なエッジ部分を含むマクロブロックに対して、高い映像品質を実現する量子化値を割り当てることを可能にすることで映像品質の向上を実現する新たな映像符号化技術の提供を目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明の映像符号化装置は、マクロブロック毎の目標符号量に基づいて量子化値を算出することで、映像品質をマクロブロック毎に制御しつつつ映像を符号化する処理を行うときにあって、▲1▼処理対象のマクロブロックが視覚的に重要なマクロブロックであるのか否かということと、これから処理する規定の個数内のマクロブロックの中に視覚的に重要なマクロブロックが含まれているのか否かということとを判断する第1の判断手段と、▲2▼処理対象のマクロブロックが視覚的に重要なマクロブロックである場合と、そうではないものの、これから処理する規定の個数内のマクロブロックの中に視覚的に重要なマクロブロックが含まれている場合に、1つ前に処理したマクロブロックの量子化値を強制的に減少させることで、処理対象のマクロブロックの量子化値を決定する第1の決定手段と、▲3▼処理を終えた規定の個数内のマクロブロックの中に視覚的に重要なマクロブロックが含まれているのか否かを判断する第2の判断手段と、▲4▼処理を終えた規定の個数内のマクロブロックの中に視覚的に重要なマクロブロックが含まれている場合に、1つ前に処理したマクロブロックの量子化値を強制的に増加させることで、処理対象のマクロブロックの量子化値を決定する第2の決定手段と、▲5▼強制的処理により量子化値を決定したマクロブロックが視覚的に重要なマクロブロックでない場合に、そのマクロブロックの持つ直交変換係数の規定以上の高周波成分を強制的にゼロにする高周波成分カット手段とを備えるように構成する。
【0018】
ここで、第1の決定手段は、処理対象のマクロブロックに必要以上の量子化値を割り当てないようにするために、量子化値に下限値を設けて、それよりも小さな値の量子化値を処理対象のマクロブロックに割り当てないように制御することがある。
【0019】
また、高周波成分カット手段は、高周波成分の強制的カット処理の対象となるマクロブロックが平坦なマクロブロックである場合には、その処理を行っても発生符号量を実質的に削減できないことを考慮して、その処理を行わないことがある。
【0020】
以上の各処理手段が動作することで実現される本発明の映像符号化方法はコンピュータプログラムで実現できるものであり、このコンピュータプログラムは、半導体メモリなどのような適当な記録媒体に記録して提供したり、ネットワークを介して提供することができる。
【0021】
このように構成される本発明の映像符号化装置では、視覚的に重要なマクロブロックとその周辺のマクロブロックとについては、視覚的に重要なマクロブロックに対して高い映像品質を実現する量子化値を割り当てることを実現するために、目標符号量に基づいて量子化値を算出するのではなくて、1つ前に処理したマクロブロックの量子化値を強制的に増減させることで量子化値を決定するという方法を用いる。
【0022】
このとき、量子化値の増減の規格上の制限を考慮して、視覚的に重要なマクロブロックの数個前のマクロブロックから強制的に量子化値を減少させ、その結果として、視覚的に重要なマクロブロックに対して高い映像品質を実現する量子化値を割り当て、その後、その強制状態を解除するために、視覚的に重要なマクロブロックの数個後のマクロブロックについては強制的に量子化値を増加させるように処理する。
【0023】
そして、そのようにして強制的に量子化値を増減させることにより量子化値を決定した周辺のマクロブロックについては、目標符号量に基づいて量子化値を算出した場合に比べて高い映像品質を実現する量子化値が割り当てられることになることで、発生符号量が無駄に消費されることになることを考慮して、その周辺のマクロブロックが視覚的に重要なマクロブロックでない場合には、そのマクロブロックの持つ量子化した直交変換係数の規定以上の高周波成分を強制的にゼロにすることによって、発生符号量を抑制するように処理する。
【0024】
さらに具体的に説明するならば、本発明では、フレーム内のマクロブロックを、▲1▼視覚的に重要なマクロブロック、▲2▼視覚的に重要でない非平坦なテクスチャのマクロブロック、▲3▼視覚的に重要でない平坦なテクスチャのマクロブロックという三種類に分けたとき、視覚的に重要なマクロブロックのN個分手前のマクロブロックから強制的に量子化値を2つずつ減少させる。
【0025】
ここで、強制的に量子化値を減少させた周辺のマクロブロックが視覚的に重要でないマクロブロックの場合には、そのマクロブロックの持つ量子化した直交変換係数の規定以上の高周波成分を強制的にゼロにするカット処理を行う。このカット処理により、マクロブロック内の直交変換係数をランレングス符号化したときに、発生符号量を大きく抑制することができる。
【0026】
ただし、その視覚的に重要でないマクロブロックが平坦なテクスチャのマクロブロックである場合には、そのカット処理の実効が伴わないことを考慮して、そのカット処理を行わないことがある。
【0027】
視覚的に重要なマクロブロックの量子化値を減少させた後は、元の状態に戻すために、その視覚的に重要なマクロブロックのN個分以降のマクロブロックについては、強制的に量子化値を2つずつ増加させる。
【0028】
ここで、強制的に量子化値を増加させた周辺のマクロブロックが視覚的に重要でないマクロブロックの場合には、そのマクロブロックの持つ量子化した直交変換係数の規定以上の高周波成分を強制的にゼロにするカット処理を行う。このカット処理により、マクロブロック内の直交変換係数をランレングス符号化したときに、発生符号量を大きく抑制することができる。
【0029】
ただし、その視覚的に重要でないマクロブロックが平坦なテクスチャのマクロブロックである場合には、そのカット処理の実効が伴わないことを考慮して、そのカット処理を行わないことがある。
【0030】
このようにして、本発明によれば、強制的に量子化値を漸次増減させることによりマクロブロックレートコントロールを行うことによって、MPEG−4における規格上の制限の範囲を超えて、視覚的に重要なマクロブロックに対して高い映像品質を実現する量子化値を割り当てることができるようになることで、映像品質を向上させることができるようになるとともに、それを実現するために視覚的に重要でないマクロブロックに割り当てた必要以上の量子化値により発生する符号量を抑制することができるようになる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態に従って本発明を詳細に説明する。
【0032】
図1に、本発明の映像符号化装置1の一実施形態例を図示する。
【0033】
この図に示すように、本発明の映像符号化装置1は、DCT処理部10と、エッジ算出部11と、量子化値決定部12と、量子化処理部13と、強制カット処理部14と、逆量子化処理部15と、逆DCT処理部16と、フレームメモリ格納部17と、動き補償部18と、可変長符号化部19とを備える。
【0034】
これらの各処理部の内、エッジ算出部11、量子化値決定部12及び強制カット処理部14が本発明に特徴的な処理を行うことになる。
【0035】
本発明に特徴的な処理を行うエッジ算出部11は、フレーム内の全てのマクロブロックについてエッジを算出して、それに基づいて、各マクロブロック毎に、視覚的に重要なエッジ部分を含むマクロブロックであるのか否かということについて評価するとともに、視覚的に重要なエッジ部分を含まないマクロブロックについては、平坦なテクスチャを持つマクロブロックであるのか否かということについて評価する処理を行う。
【0036】
また、本発明に特徴的な処理を行う量子化値決定部12は、目標符号量に基づいて量子化値を決定するという従来技術に従う機能の他に、1つ前に処理したマクロブロックの量子化値を強制的に増減させることで量子化値を決定するという機能を持つ。
【0037】
また、本発明に特徴的な処理を行う強制カット処理部14は、視覚的に重要なエッジ部分を含まないマクロブロックを処理対象として、そのマクロブロックの持つ量子化したDCT係数の規定以上の高周波成分を強制的にゼロにする処理を行う。
【0038】
図2ないし図4に、このように構成される本発明の映像符号化装置1の実行する処理フローの一実施形態例を図示する。
【0039】
次に、この処理フローに従って、本発明の映像符号化装置1による映像符号化処理について詳細に説明する。
【0040】
本発明の映像符号化装置1は、符号化の対象となるフレーム映像が与えられると、図2及び図3の処理フローに示すように、先ず最初に、ステップ10で、フレーム内の全てのマクロブロックについてエッジを算出する。
【0041】
続いて、ステップ11で、その算出したエッジに基づいて、各マクロブロック毎に、視覚的に重要なエッジ部分を含むマクロブロックであるのか否かということについて評価するとともに、視覚的に重要なエッジ部分を含まないマクロブロックについては、平坦なテクスチャを持つマクロブロックであるのか否かということについて評価する。
【0042】
例えば、1つの線を形成するエッジを検出する場合には、視覚的に重要なエッジ部分を含むマクロブロックであると判断し、一方、ノイズ的に散りばめられたようなエッジを検出する場合には、視覚的に重要なエッジ部分を含まないマクロブロックであると判断する。そして、例えば、そのようなノイズ的に散りばめられたようなエッジの数が多いときには、非平坦なテクスチャを持つマクロブロックであると判断し、一方、少ないときには平坦なテクスチャを持つマクロブロックであると判断するというような評価処理を実行するのである。
【0043】
続いて、ステップ12で、規定の順番に従って処理対象のマクロブロックを選択し、続くステップ13で、その選択した処理対象のマクロブロックの持つDCT係数を算出する。
【0044】
続いて、ステップ14で、処理対象のマクロブロックが視覚的に重要なエッジ部分を含むマクロブロックであるのか否かを判断して、視覚的に重要なエッジ部分を含むマクロブロックであることを判断するときには、ステップ16に進んで、処理対象のマクロブロックの量子化値QP(i)として、一つ前の隣接するマクロブロックの量子化値QP(i−1)よりも強制的に2つ減少させた値を決定する。
【0045】
一方、ステップ14で、処理対象のマクロブロックが視覚的に重要なエッジ部分を含まないマクロブロックであることを判断するときには、ステップ15に進んで、Nで示される値の個数以内先に視覚的に重要なエッジ部分を含むマクロブロックが存在するのか否かをチェックする。ここで、Nの値は2であることが好ましい。
【0046】
このチェック処理に従って、Nで示される値の個数以内先に視覚的に重要なエッジ部分を含むマクロブロックが存在することを判断するときには、ステップ16に進んで、処理対象のマクロブロックの量子化値QP(i)として、一つ前の隣接するマクロブロックの量子化値QP(i−1)よりも強制的に2つ減少させた値を決定する。
【0047】
一方、ステップ15で、Nで示される値の個数以内先に視覚的に重要なエッジ部分を含むマクロブロックが存在しないことを判断するときには、ステップ17に進んで、Nで示される値の個数以内前に視覚的に重要なエッジ部分を含むマクロブロックが存在するのか否かをチェックする。
【0048】
このチェック処理に従って、Nで示される値の個数以内前に視覚的に重要なエッジ部分を含むマクロブロックが存在することを判断するときには、ステップ18に進んで、処理対象のマクロブロックの量子化値QP(i)として、一つ前の隣接するマクロブロックの量子化値QP(i−1)よりも強制的に2つ増加させた値を決定する。
【0049】
一方、ステップ17で、Nで示される値の個数以内前に視覚的に重要なエッジ部分を含むマクロブロックが存在しないことを判断するときには、ステップ19に進んで、上述した従来技術の手法に従って処理対象のマクロブロックの目標符号量T(i)を算出し、続くステップ20で、上述した従来技術の手法に従い、目標符号量対量子化値モデルを利用して処理対象のマクロブロックの量子化値QP(i)を算出する。
【0050】
このようにして、ステップ16/ステップ18/ステップ20で処理対象のマクロブロックの量子化値QP(i)を決定すると、続いて、ステップ21で、処理対象のマクロブロックの持つDCT係数をその量子化値QP(i)によって量子化し、続くステップ22で、後述する図4の処理フローに従って、量子化したDCT係数の強制カット処理を実行する。
【0051】
続いて、ステップ23で、最後のマクロブロックまで処理を終えたのか否かを判断して、最後のマクロブロックまで処理を終えてないことを判断するときには、ステップ24に進んで、目標符号量対量子化値モデルの各パラメータを更新してから、フレーム内の次のマクロブロックに処理を移すべくステップ12に戻り、一方、最後のマクロブロックまで処理を終えたことを判断するときには、処理を終了する。
【0052】
次に、図4の処理フローに従って、図2及び図3の処理フローのステップ22で実行するDCT係数の強制カット処理について説明する。
【0053】
本発明の映像符号化装置1は、DCT係数の強制カット処理に入ると、図4の処理フローに示すように、先ず最初に、ステップ220で、処理対象のマクロブロックが量子化値強制増減処理により量子化値を決定したマクロブロックであるのか否かを判断して、量子化値強制増減処理により量子化値を決定したマクロブロックでないことを判断するときには、DCT係数の強制カット処理については行わないようにする。
【0054】
一方、この判断処理により、処理対象のマクロブロックが量子化値強制増減処理により量子化値を決定したマクロブロックであることを判断するときには、ステップ221に進んで、処理対象のマクロブロックが視覚的に重要なエッジ部分を含むマクロブロックであるのか否かを判断して、視覚的に重要なエッジ部分を含むマクロブロックであることを判断するときには、DCT係数の強制カット処理については行わないようにする。
【0055】
一方、この判断処理により、処理対象のマクロブロックが視覚的に重要なエッジ部分を含むマクロブロックでないことを判断するときには、ステップ222に進んで、処理対象のマクロブロックが平坦なテクスチャを持つマクロブロックであるのか否かを判断して、平坦なテクスチャを持つマクロブロックであることを判断するときには、DCT係数の強制カット処理については行わないようにする。
【0056】
一方、この判断処理により、平坦なテクスチャを持つマクロブロックでないことを判断するときには、ステップ223に進んで、処理対象のマクロブロックの持つ6つの各ブロック(輝度ブロックが4つで、色差ブロックが2つ)の量子化したDCT係数を符号化の走査順に配置して、Mで示される値の個数分以降を全てゼロとするDCT係数の強制カット処理を行う。ここで、Mの値は32であることが好ましい。
【0057】
このようにして、本発明の映像符号化装置1は、図2及び図3の処理フローのステップ22に入ると、量子化値強制増減処理により量子化値を決定したマクロブロックの内、視覚的に重要なエッジ部分を含まないマクロブロックで、かつ非平坦なテクスチャを持つマクロブロックを処理対象として、処理対象のマクロブロックの持つ量子化したDCT係数の高周波成分を強制的にゼロとするDCT係数の強制カット処理を実行するのである。
【0058】
ここで、図4の処理フローに代えて、図5の処理フロー(ステップ221とステップ222との順番が入れ替わっている処理フロー)に従って、DCT係数の強制カット処理を実行することでもよい。
【0059】
以上説明したように、本発明の映像符号化装置1では、視覚的に重要なエッジ部分を含むマクロブロックとその周辺のマクロブロックとについては、視覚的に重要なエッジ部分を含むマクロブロックに対して高い映像品質を実現する量子化値を割り当てることを実現するために、目標符号量に基づいて量子化値を算出するのではなくて、1つ前に処理したマクロブロックの量子化値を強制的に増減させることで量子化値を決定するように処理するのである。
【0060】
そして、このとき、量子化値の増減の規格上の制限を考慮して、視覚的に重要なエッジ部分を含むマクロブロックの数個前のマクロブロックから強制的に量子化値を減少させ、その結果として、視覚的に重要なエッジ部分を含むマクロブロックに対して高い映像品質を実現する量子化値を割り当て、その後、その強制状態を解除するために、視覚的に重要なエッジ部分を含むマクロブロックの数個後のマクロブロックについては強制的に量子化値を増加させるように処理するのである。
【0061】
そして、そのようにして強制的に量子化値を増減させることにより量子化値を決定した周辺のマクロブロックについては、目標符号量に基づいて量子化値を算出した場合に比べて高い映像品質を実現する量子化値が割り当てられることになることで、発生符号量が無駄に消費されることになることを考慮して、その周辺のマクロブロックが視覚的に重要なエッジ部分を含まないマクロブロックである場合(さらに、非平坦なテクスチャを持つマクロブロックという条件を課してもよい)には、そのマクロブロックの持つ量子化したDCT係数の規定以上の高周波成分を強制的にゼロにすることによって、発生符号量を抑制するように処理するのである。
【0062】
このようにして、本発明の映像符号化装置1では、視覚的に重要なエッジ部分を含むマクロブロックに対して高い映像品質を実現する量子化値を割り当ることができるようになることで、映像品質を向上することができるようになるとともに、視覚的に重要でないマクロブロックの発生符号量を抑制することができるようになる。
【0063】
ここで、実施形態例では説明しなかったが、目的のマクロブロックに割り当てる量子化値に下限値の制限を設けておき、視覚的に重要なエッジ部分を含むマクロブロックが連続した場合に、必要以上に高い映像品質を実現する量子化値を割り当てないように制御することが好ましい。
【0064】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、強制的に量子化値を漸次増減させることによりマクロブロックレートコントロールを行うことによって、MPEG−4における規格上の制限の範囲を超えて、視覚的に重要なマクロブロックに対して高い映像品質を実現する量子化値を割り当てることができるようになることで、映像品質を向上させることができるようになるとともに、それを実現するために視覚的に重要でないマクロブロックに割り当てた必要以上の量子化値により発生する符号量を抑制することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の映像符号化装置の一実施形態例である。
【図2】本発明の映像符号化装置の実行する処理フローの一実施形態例である。
【図3】本発明の映像符号化装置の実行する処理フローの一実施形態例である。
【図4】本発明の映像符号化装置の実行する処理フローの一実施形態例である。
【図5】本発明の映像符号化装置の実行する処理フローの一実施形態例である。
【図6】従来のマクロブロックレートコントロールの処理フローである。
【符号の説明】
1 映像符号化装置
10 DCT処理部
11 エッジ算出部
12 量子化値決定部
13 量子化処理部
14 強制カット処理部
15 逆量子化処理部
16 逆DCT処理部
17 フレームメモリ格納部
18 動き補償部
19 可変長符号化部

Claims (12)

  1. マクロブロック毎の目標符号量に基づいて量子化値を算出することで、映像品質をマクロブロック毎に制御しつつつ映像を符号化する映像符号化方法において、
    処理対象のマクロブロックが視覚的に重要なマクロブロックであるのか否かということと、これから処理する規定の個数内のマクロブロックの中に視覚的に重要なマクロブロックが含まれているのか否かということとを判断する過程と、
    処理対象のマクロブロックが視覚的に重要なマクロブロックである場合と、そうではないものの、これから処理する規定の個数内のマクロブロックの中に視覚的に重要なマクロブロックが含まれている場合に、1つ前に処理したマクロブロックの量子化値を強制的に減少させることで、処理対象のマクロブロックの量子化値を決定する過程とを備えることを、
    特徴とする映像符号化方法。
  2. 請求項1記載の映像符号化方法において、
    上記量子化値を決定する過程では、量子化値に制限値を設けて、それよりも小さな値の量子化値を処理対象のマクロブロックに割り当てないように制御することを、
    特徴とする映像符号化方法。
  3. 請求項1又は2記載の映像符号化方法において、
    処理を終えた規定の個数内のマクロブロックの中に視覚的に重要なマクロブロックが含まれているのか否かを判断する過程と、
    処理を終えた規定の個数内のマクロブロックの中に視覚的に重要なマクロブロックが含まれている場合に、1つ前に処理したマクロブロックの量子化値を強制的に増加させることで、処理対象のマクロブロックの量子化値を決定する過程とを備えることを、
    特徴とする映像符号化方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の映像符号化方法において、
    上記強制的処理により量子化値を決定したマクロブロックが視覚的に重要なマクロブロックでない場合に、そのマクロブロックの持つ直交変換係数の規定以上の高周波成分を強制的にゼロにする過程を備えることを、
    特徴とする映像符号化方法。
  5. 請求項4記載の映像符号化方法において、
    上記高周波成分を強制的にゼロにする過程では、その処理対象となるマクロブロックが平坦なマクロブロックである場合には、その処理を行わないことを、
    特徴とする映像符号化方法。
  6. マクロブロック毎の目標符号量に基づいて量子化値を算出することで、映像品質をマクロブロック毎に制御しつつつ映像を符号化する映像符号化装置において、
    処理対象のマクロブロックが視覚的に重要なマクロブロックであるのか否かということと、これから処理する規定の個数内のマクロブロックの中に視覚的に重要なマクロブロックが含まれているのか否かということとを判断する手段と、
    処理対象のマクロブロックが視覚的に重要なマクロブロックである場合と、そうではないものの、これから処理する規定の個数内のマクロブロックの中に視覚的に重要なマクロブロックが含まれている場合に、1つ前に処理したマクロブロックの量子化値を強制的に減少させることで、処理対象のマクロブロックの量子化値を決定する手段とを備えることを、
    特徴とする映像符号化装置。
  7. 請求項6記載の映像符号化装置において、
    上記量子化値を決定する手段は、量子化値に制限値を設けて、それよりも小さな値の量子化値を処理対象のマクロブロックに割り当てないように制御することを、
    特徴とする映像符号化装置。
  8. 請求項6又は7記載の映像符号化装置において、
    処理を終えた規定の個数内のマクロブロックの中に視覚的に重要なマクロブロックが含まれているのか否かを判断する手段と、
    処理を終えた規定の個数内のマクロブロックの中に視覚的に重要なマクロブロックが含まれている場合に、1つ前に処理したマクロブロックの量子化値を強制的に増加させることで、処理対象のマクロブロックの量子化値を決定する手段とを備えることを、
    特徴とする映像符号化装置。
  9. 請求項6ないし8のいずれか1項に記載の映像符号化装置において、
    上記強制的処理により量子化値を決定したマクロブロックが視覚的に重要なマクロブロックでない場合に、そのマクロブロックの持つ直交変換係数の規定以上の高周波成分を強制的にゼロにする手段を備えることを、
    特徴とする映像符号化装置。
  10. 請求項9記載の映像符号化装置において、
    上記高周波成分を強制的にゼロにする手段は、その処理対象となるマクロブロックが平坦なマクロブロックである場合には、その処理を行わないことを、
    特徴とする映像符号化装置。
  11. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の映像符号化方法の実現に用いられる処理をコンピュータに実行させるための映像符号化プログラム。
  12. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の映像符号化方法の実現に用いられる処理をコンピュータに実行させるための映像符号化プログラムを記録した記録媒体。
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