JP2004245885A - 熱現像感光材料 - Google Patents

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JP2004245885A
JP2004245885A JP2003032654A JP2003032654A JP2004245885A JP 2004245885 A JP2004245885 A JP 2004245885A JP 2003032654 A JP2003032654 A JP 2003032654A JP 2003032654 A JP2003032654 A JP 2003032654A JP 2004245885 A JP2004245885 A JP 2004245885A
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Keiichi Suzuki
啓一 鈴木
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Abstract

【課題】画像色調と画像保存性が同時に改良された熱現像感光材料を提供することである。
【解決手段】支持体の同一面上に感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、還元剤及びバインダーを含有する熱現像感光材料であって、前記還元剤が、下記一般式(R1)で表される化合物及び下記一般式(R2)で表される化合物の少なくとも1種を含有し、かつ、熱現像後の最低濃度部における色調が、CIELAB空間上で92≧L≧87、かつ、a≦0及びb≦0の範囲にあることを特徴とする熱現像感光材料。
一般式(R1)及び一般式(R2)
【化1】
Figure 2004245885

一般式(R1)中、Rは3〜7員の炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子及びリン原子から選ばれる原子により構成される環を形成する置換基を表す。一般式(R2)中、Rはアルケニル基又は不飽和結合を有するアルキル基を表す。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱現像感光材料、詳しくは、処理後のかぶりが少なく、ハイライト部における色調・着色濃度が好ましく、かつ、画像保存性が改良され、特にシャーカステン等の光に長時間曝されたときのかぶりの上昇・色調の変化が小さい熱現像感光材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、医療分野において環境保全、省スペースの観点から処理廃液の減量が強く望まれている。そこで、レーザー・イメージセッター又はレーザー・イメージャーにより効率的に露光させることができ、高解像度および鮮鋭さを有する鮮明な黒色画像を形成することができる医療診断用および写真技術用途の光感光性熱現像写真材料に関する技術が必要とされている。これら光感光性熱現像写真材料では、溶液系処理化学薬品の使用をなくし、より簡単で環境を損なわない熱現像処理システムを顧客に対して供給することができる。
【0003】
一般画像形成材料の分野でも同様の要求はあるが、医療用画像は微細な描写が要求されるため鮮鋭性、粒状性に優れる高画質が必要である上、診断のし易さの観点から冷黒調の画像が好まれる特徴がある。現在、インクジェットプリンター、電子写真など顔料、染料を利用した各種ハードコピーシステムが一般画像形成システムとして流通しているが、医療用画像の出力システムとしては満足できるものがない。
【0004】
一方、有機銀塩を利用した熱画像形成システムが、多くの文献に記載されている(例えば、特許文献1、2及び非特許文献1参照。)。特に、熱現像感光材料は、一般に、触媒活性量の光触媒(例、ハロゲン化銀)、還元剤、還元可能な銀塩(例、有機銀塩)、必要により銀の色調を制御する色調剤を、バインダーのマトリックス中に分散した画像形成層を有している。熱現像感光材料は、画像露光後、高温(例えば80℃以上)に加熱し、ハロゲン化銀あるいは還元可能な銀塩(酸化剤として機能する)と還元剤との間の酸化還元反応により、黒色の銀画像を形成する。酸化還元反応は、露光で発生したハロゲン化銀の潜像の触媒作用により促進される。そのため、黒色の銀画像は、露光領域に形成される(例えば、特許文献3及び特許文献4参照。)。そして熱現像感光材料による医療用画像形成システムとして富士メディカルドライイメージャーFM−DP Lが発売された。
【0005】
有機銀塩を利用した熱画像形成システムの製造においては、溶剤塗布により製造する方法と、主バインダーとしてポリマー微粒子を水分散として含有する塗布液を塗布・乾燥して製造する方法がある。後者の方法は溶剤の回収等の工程が不要なため製造設備が簡単であり、かつ大量生産に有利である。
いずれの製造方法においても、熱現像感光材料の最大の問題点は現像後に感材中に残される反応性の化合物により、かぶりが上昇したり画像色調が変化したりして、画像が劣化してしまうことであった。この問題を解決するために鋭意検討が行われてきており、熱現像剤の改良や(例えば、特許文献5参照。)、画像安定化剤の開発(例えば、特許文献6参照。)が行われてきた。
一方で、熱現像感光材料は画像の銀色調を好ましい色調にコントロールすることが難しく、この点でも例えば銀色調に大きく影響する銀キャリアに関しては、銀キャリアーの開発(例えば、特許文献7参照。)や、色調をコントロールする方法として色調調整剤の開発(例えば、特許文献8参照。)、色調調整染料の開発(例えば、特許文献9参照。)が行われてきた。
しかし、上記の技術を持ってしても、画像色調と画像保存性を両立するという観点では十分満足のいくものが得られていないというのが現状であった。
【0006】
医療用写真分野では、ブルーに着色されたポリエステル支持体、特に1,4−ジアニリロ−アントラセン顔料を含むポリエチレンテレフタレート(PET)を用いることが周知となっている。このブルー色調の支持体は、長年、医療関係者がブルー色調のレントゲン写真で診断するのに慣れているため、好まれて使用されている。
【0007】
上記熱現像感光材料においても、ブルー色調にするための提案がなされており、(1)支持体を着色する方法、(2)顔料や染料を支持体以外の層に含有する方法がそれぞれ提案され、実施されている。近年、医療用写真分野においても、ブルー色調でないクリアな画像が好まれる場合もある。この場合、ブルー又はクリアの支持体を作り分ける必要がない後者の方が、有利である。かつ、着色した支持体を廃棄物として排出することがなく、地球環境に配慮するという観点からも、後者が好ましい。また、上記熱現像感光材料の画像形成層中には、イラジエーション防止用として露光波長に吸収を有する染料又は顔料を添加することが好ましく、この点からも後者の方が好ましい(例えば、特許文献10〜13参照。)。
染料を使用する場合、熱現像中に感光材料中でおこる反応によって、染料が分解消色するという問題が存在する。そこで、染料の消色を避ける必要があり、実態的には、顔料が使用される。
【0008】
特に、塗布溶媒として水を主に用いる塗布液の場合、顔料が分散された塗布液の分光吸収特性は、鮮やかでないため、かぶり濃度を高くしないで、上述したブルーの背景色を有する色調を得るためには、吸収特性のシャープな染料を使わざるを得ないため、補助的に水溶性染料を使用することが知られている(例えば、特許文献14参照。)。しかしながら、水溶性染料は、上述した染料の消色あるいは熱現像処理後の保存による褪色が進み易く、背景色が変化するという問題が起こりやすい欠点を有していた。
【0009】
【特許文献1】
米国特許第3152904号明細書
【特許文献2】
米国特許第3457075号明細書
【特許文献3】
米国特許第2910377号明細書
【特許文献4】
特公昭43−4924号公報
【特許文献5】
特開2001−188314号公報
【特許文献6】
特開2001−281793号公報
【特許文献7】
特開平9−149249号公報
【特許文献8】
特開2002−169249号公報
【特許文献9】
特開2000−241927号公報
【特許文献10】
特開2000−29164号公報
【特許文献11】
特開2000−158825号公報
【特許文献12】
特開平10−268465号公報
【特許文献13】
国際公開特許98/36322号公報
【特許文献14】
特開2000−112060号公報
【非特許文献1】
D.クロスタボーア(Klosterboer)著「熱によって処理される銀システム(Thermally Processed Silver Systems)」(イメージング・プロセッシーズ・アンド・マテリアルズ(Imaging Processes and Materials)Neblette 第8版、J.スタージ(Sturge)、V.ウオールワース(Walworth)、A.シェップ(Shepp)編集、第9章、第279頁、1989年
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、熱現像感光材料について、十分な鮮鋭度が得られ、かつ、処理後における色調・着色濃度(ブルーの背景色)が好ましく、保存によって背景色が変化しない、特にシャーカステン等の光に長時間曝されたときのかぶりの上昇・色調の変化が小さい優れた熱現像感光材料を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記(1)〜(8)の熱現像感光材料により達成された。
【0012】
(1) 支持体の同一面上に感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、還元剤及びバインダーを含有する熱現像感光材料であって、前記還元剤が、下記一般式(R1)で表される化合物及び下記一般式(R2)で表される化合物の少なくとも1種を含有し、かつ、熱現像後の最低濃度部における色調が、CIELAB空間上で92≧L≧87、かつ、a≦0及びb≦0の範囲にあることを特徴とする熱現像感光材料。
一般式(R1)
【化5】
Figure 2004245885
(一般式(R1)において、RおよびR’は、各々独立に炭素数1〜20のアルキル基を表す。RおよびR’は、各々独立に水素原子又はベンゼン環に置換可能な置換基を表す。Rは、炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、及びリン原子からなる群から選ばれる原子により構成される3ないし7員環を形成する置換基を表す。XおよびX’は、各々独立に水素原子又はベンゼン環に置換可能な基を表す。)
一般式(R2)
【化6】
Figure 2004245885
(一般式(R2)において、RおよびR’は、各々独立に炭素数1〜20のアルキル基を表す。RおよびR’は、各々独立に水素原子又はベンゼン環に置換可能な置換基を表す。Rは、アルケニル基又は不飽和結合を有するアルキル基を表す。XおよびX’は、各々独立に水素原子又はベンゼン環に置換可能な基を表す。)
【0013】
(2) 支持体の同一面上に感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、熱現像剤及びバインダーを含有する熱現像感光材料であって、前記還元剤が、下記一般式(R1)で表される化合物及び下記一般式(R2)で表される化合物の少なくとも1種を含有し、かつ、熱現像後の最低濃度部における色調が、CIELAB空間上でL≧92、かつ、7≧a≧−7、及び5≧b≧−15の範囲にあることを特徴とする熱現像感光材料。
一般式(R1)
【化7】
Figure 2004245885
(一般式(R1)において、RおよびR’は、各々独立に炭素数1〜20のアルキル基を表す。RおよびR’は、各々独立に水素原子又はベンゼン環に置換可能な置換基を表す。Rは、炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、及びリン原子からなる群から選ばれる原子により構成される3ないし7員環を形成する置換基を表す。XおよびX’は、各々独立に水素原子又はベンゼン環に置換可能な基を表す。)
一般式(R2)
【化8】
Figure 2004245885
(一般式(R2)において、RおよびR’は、各々独立に炭素数1〜20のアルキル基を表す。RおよびR’は、各々独立に水素原子又はベンゼン環に置換可能な置換基を表す。Rは、アルケニル基又は不飽和結合を有するアルキル基を表す。XおよびX’は、各々独立に水素原子又はベンゼン環に置換可能な基を表す。)
(3) 熱によって消色しない染料が、少なくとも1種含まれていることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の熱現像感光材料。
(4) 前記熱現像後の最低濃度部の色相角が、180°〜270°であることを特徴とする前記(3)に記載の熱現像感光材料。
(5) 総塗布銀量が、1.9g/m以下であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の熱現像感光材料。
(6) 14秒以下で現像されてなることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の熱現像感光材料。
(7) 現像後の光学濃度1.5における色調が、CIELAB空間上でa≦0、b≦0で表される範囲にあることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載の熱現像感光材料。
(8) 銀現像率が、80%以上であることを特徴とする前記(1)〜(7)いずれかに記載の熱現像感光材料。
【0014】
本発明者らは、上記課題に対して種々検討した結果、特定の還元剤を使用し、ハイライト部(最低濃度部)の色調をCIELAB空間上の特定領域に収めることが重要であることを見出し、課題解決に至ったものである。
すなわち、特定の還元剤を使用した上で、特定の色調領域に調整することで、保存後の色調の変化やカブリの発生を抑えることに成功した。保存後において、どのようなメカニズムにより色調が変化するか、又はカブリ濃度が高くなるか等は、詳細には明らかにされていない。しかしながら、製造段階において、特定の還元剤を用い、特定の色調となるように感材を調製することで、簡便に保存安定性を高めることが本発明によって可能となった。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳述する。
【0016】
(色調)
本発明における熱現像後の最低濃度部における色調には、2種の好ましい態様がある。
(1)非常に着色の少ない透明感の高い画像を鑑賞する用途(クリアは背景色)に用いるものであって、CIELAB空間上でL≧92(7≧a≧−7、5≧b≧−15)の範囲で表される空間に位置するものである。
(2)従来から医療関係者に好まれるブルー色調であって、CIELAB空間上で92≧L≧87(a≦0、b≦0)の範囲で表される空間に位置するものである。
表色系における色座標は以下のように求められる。
まず、本発明により得られた画像部のハイライト部の透過物体色を、JIS Z8722:2000に記載の測定法に従って測定する。観察光源としては、実際に画像を観察する条件に応じて種々の測色用の光を使い分ければよいが、一般的には補助標準の光D50を用いることで色座標を算出できる。物体色からの算出方法は、JIS Z 8729:1994に記載の方法にしたがいLを算出する。
【0017】
(1)については、非常に着色の少ない透明感の高い画像を鑑賞する用途に適応される。CIELAB空間上でL≧92の場合、一般に用いられるブルー着色されたものではなく、鑑賞時に白色のバックグラウンドを与える画像となる。この場合、心理的にはa=0、b=−5付近が白色として好まれる傾向にあるので、a−b平面上での好ましい範囲は、7≧a≧−7、5≧b≧−15の矩形範囲内であって、より好ましくは、6≧a≧−6、0≧b≧−10の矩形範囲内である。
【0018】
次に、(2)については、好ましい着色はなされているが透明感の高い画像を鑑賞する用途に適応される。医療用出力材料の場合、a−b平面上での好ましい範囲は、0≧a、0≧bとで囲まれる範囲内である。
特に好ましくは、324≧(a+(bと(a+(b≧16が囲む中空円状範囲内である。
【0019】
更に、現像後の光学濃度1.5における色調が、CIELAB空間上で、a≦0、b≦0で表される範囲にあることが好ましい。より好ましくは、前記熱現像後の最低濃度部の色相角が、180°〜270°で表される範囲である。
【0020】
医療用出力材料の場合、鑑賞時の背景色を調整することは重要であって、そのひとつの手段として後述する色調調整染料の添加による方法がある。従来の技術で述べたように、安定性の良い顔料は、吸収スペクトルがブロードなために、望みのa−b平面上での好ましい範囲になるように顔料を感光材料に添加すると、L値の低下(すなわちかぶり値が増加)を招くため、添加できる量におのずと限界があった。
本発明者らは、色調調整染料を添加する前のかぶり色調を決定付ける要因の一つとして、使用する還元剤の選択が重要であることを見出した。本発明に係る還元剤を使用することで、かぶりが低く、かつ好ましい色調範囲に近い背景を与えるようなかぶり色が得られ、色調調整染料の自由な選択が可能となった。また、色調調整染料の使用量も少なく抑えることができるため、画像保存性が改良され、特にシャーカステン等の光に長時間曝されたときのかぶりの上昇・色調の変化が小さい熱現像感光材料を提供できるに至ったものである。
【0021】
(色調調整染料)
本発明における、「熱によって消色しない染料」について説明する。本発明において「消色しない」とは、処理前における25℃での最大吸収波長での吸光度を100%とするときに、熱現像処理を経た処理後25℃に戻した状態での最大吸収波長での吸光度が、60%以上残存している状態を指す。この場合、処理前後で最大吸収波長が変わらないことが好ましいが、波長が移動した場合は、処理前後それぞれの最大吸収波長における吸光度で比較することとする。
【0022】
本発明に使用される染料は、その色相角が180°〜270°の範囲にあることが好ましい(色相角とは、CIELAB表色系におけるa、b値から算出される角habで表される角度のことを指す(JIS−Z 8105:2000参照。))。
より好ましい色相角の範囲は、220°〜250°であるが、この範囲外の染料を併用することで、見かけ上この範囲内の色相角となるように感材を形成することは、もちろん可能である。
画像の最低濃度部は、いわゆるカブリ値が低いことが好ましいため、色調調整染料によってもたらされる光吸収によってカブリ値が上昇することは好ましくない。このため染料の吸収スペクトルは必要な波長域以外の副吸収が少ない化合物が好ましく、使用する条件としては、L値の低下を5.0以下に抑える範囲で使用されることが好ましく、より好ましくはL値の低下を3.0以下に抑える範囲で使用される。
【0023】
本発明に使用できる染料としては、水溶性であっても水不溶性であっても良く、熱現像処理後も感材中に染料として存在しうるものである。例えば、アントラキノン染料、アゾ染料、アゾメチン染料、インドアニリン染料、オキソノール染料、カルボシアニン染料、スチリル染料、のし極大トリフェニルメタン染料、フタロシアニン染料、スクアリリウム染料などの中から、好ましい吸収スペクトルを持つものが選択される。市販のものとして、染料便覧(1975年丸善)やCOLOUR INDEX International third edition (1992, The Society of Dye and Colourists)に記載のものも用いることができる。
【0024】
染料を添加する方法としては、溶液、乳化物、固体微粒子分散物あるいはポリマー含浸物を塗布液に添加する方法が採用できる。また、ポリマー媒染剤を用いて染料を添加してもよい。これらの添加方法は、通常の熱現像感光材料に染料を添加する方法と同様である。ポリマー含浸物に用いるラテックスについては、米国特許4199363号、西独特許公開25141274号、同2541230号、欧州特許公開029104号の各明細書および特公昭53−41091号公報に記載がある。また、ポリマーを溶解した溶液中に染料を添加する乳化方法については、国際公開番号88/00723号明細書に記載がある。
【0025】
染料を固体微粒子分散物として添加する場合には、予め固体微粒子状の分散物を形成することが好ましい。固体微粒子の状態とするためには、公知の分散機を用いることができる。分散機の例には、ボールミル、振動ミル、遊星ボールミル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミルおよびローラミルが含まれる。縦型又は横型の媒体分散機(特開昭52−92716号公報および国際特許88/074794号明細書記載)が好ましい。
【0026】
分散は、適当な媒体(例、水、アルコール)の存在下で実施してもよい。分散用界面活性剤を用いることが好ましい。アニオン性界面活性剤(特開昭52−92716号公報および国際特許88/074794号明細書記載)が好ましく用いられる。必要に応じて、アニオン性ポリマー、ノニオン性界面活性剤あるいはカチオン性界面活性剤を用いてもよい。
染料を適当な溶媒に溶解した後、その貧溶媒を添加して、微粒子状の粉末を得てもよい。この場合も、上記の界面活性剤を用いることができる。また、溶液のpHを調整することにより、染料の微結晶を析出させてもよい。
このときに、染料が分子レベルで会合状態を形成し、副吸収の少ないシャープな吸収スペクトルを呈すると、前述したL*値を低下させることなく色調の調整ができる点でより好ましい。会合状態の例としては、いわゆるJバンドが知られており、染料の会合とJバンドについては各種文献(例えば、Photographic Science and engineering Vol. 18, No.323−335(1974))に記載がある。J会合状態の染料の吸収極大は、溶液状態の染料の吸収極大よりも長波側に移動する。染料の会合状態の形成には、水に溶解又は分散するだけで会合体を形成する化合物もある。ただし、一般には、染料の水溶液にゼラチン又は塩(例、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化バリウム、塩化カルシウム、塩化アンモニウム)を添加して会合体を形成する。染料の水溶液にゼラチンを添加するか、ゼラチンの水溶液に染料を添加する方法が特に好ましい。
【0027】
染料を油溶性微粒子状分散物(乳化物)として添加する方法としては、染料は水と非混和性の高沸点溶剤又は主鎖もしくは側鎖に酸基を有さない繰り返し単位からなる水不溶性かつ有機溶剤可溶性の重合体を用いて分散せしめることが好ましい。高沸点溶剤は、沸点が140℃以上の、水と非混和性の化合物で、染料の良溶媒であれば使用できる。高沸点溶剤の融点は、好ましくは80℃以下である。高沸点溶剤の沸点は好ましくは、160℃以上であり、より好ましくは170℃以上である。また、溶剤の沸点がおよそ140℃を下回る場合には、写真乳剤を塗布、乾燥したときに蒸散しやすいために感材中に油滴として染料や、本発明の重合体とともに共存しにくく、また、使用する溶剤が水と混和性であると、塗布したとき、あるいは塗布乾燥して得られた感材の塗布面状悪化の原因となったり、感光材料を保存中もしくは熱現像処理したとき、染料が他の層に移動して、感光材料表面と接触する搬送系機器等の汚染故障の原因なり易いため好ましくない。
【0028】
本発明に於いて、高沸点溶剤の使用量は、染料及び重合体の種類や量によって広い範囲で変化するが、質量比で、高沸点溶剤/染料比は、好ましくは、0.05〜20、より好ましくは、0.1〜10であり、また、高沸点溶剤/重合体比は、好ましくは、0.02〜40であり、より好ましくは、0.05〜20である。また、高沸点溶剤は、単独でも複数混合でも使用できる。本発明に好ましく用いられる高沸点溶剤としては下記一般式(I)〜(VI)の化合物である。
【0029】
【化9】
Figure 2004245885
【0030】
一般式(I)〜(IV)において、W、W及びWは、それぞれ置換もしくは無置換の、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基又はヘテロ環基を表わし、Wは、W、O−W、又はS−Wを表わし、nは、1ないし5の整数であり、nが2以上の時は、Wは互に同じでも異なっていてもよく、一般式(V)において、WとWが互いに連結して縮合環を形成してもよい。Wは、置換もしくは無置換の、アルキル基又はアリール基を表し、Wを構成する総炭素数は、12以上である。一般式(I)〜(VI)で表わされる化合物の内、特に好ましいのは一般式(I)及び(IV)の化合物である。本発明に用いる染料は、後述するように油溶性微粒子状態で使用するので、分光吸収特性が鮮やかで、かつ、熱現像中に感光材料中でおこる反応によって染料が分解消色せず、熱現像処理後の保存による褪色もしないものが好ましく用いられる。もちろん、光学的吸収から予測される以上の減感、かぶりなど写真性に対する影響がないことは必要である。このような点を考慮すると、アントラキノン染料、アゾメチン染料、インドアニリン染料のうちから好ましいものが用いられる。
【0031】
本発明に使用することができる特に好ましい染料として、下記一般式(F1)〜(F4)から選ばれる少なくとも1種のピロロトリアゾールアゾメチン染料でを挙げることができる。
【0032】
【化10】
Figure 2004245885
一般式(F1)および(F2)において、R、R、RおよびRは、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、スルホニルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基(その塩を含む)、スルホン酸基(その塩を含む)、アミノ基、アリール基、ヘテロ環基、ニトロ基、アリールオキシ基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホニル基、アシル基、ヘテロ環オキシ基、アゾ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、イミド基、ヘテロ環チオ基、スルフィニル基又はホスホリル基を表わす。RおよびRは、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表わす。Rは、ハメットの置換基定数σpが0.15以上の電子求引性基を表わす。RおよびRは、各々独立に、水素原子、アリール基、ヘテロ環基、アルキル基、シアノ基、カルボキシ基、アシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アミノ基(アニリノ基を含む)、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、スルファモイル基、スルホニル基、アゾ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、イミド基、スルフィニル基又はホスホリル基を表わす。RとR、および/又はRとR、および/又はRとR、および/又はRとR、および/又はRとRは、互いに結合して環を形成していてもよい。
【0033】
本発明に用いられる好ましい染料の構造式の例を以下に示す。
【0034】
【化11】
Figure 2004245885
【0035】
【化12】
Figure 2004245885
【0036】
【化13】
Figure 2004245885
【0037】
【化14】
Figure 2004245885
【0038】
【化15】
Figure 2004245885
【0039】
【化16】
Figure 2004245885
【0040】
【化17】
Figure 2004245885
【0041】
【化18】
Figure 2004245885
【0042】
【化19】
Figure 2004245885
【0043】
【化20】
Figure 2004245885
【0044】
【化21】
Figure 2004245885
【0045】
【化22】
Figure 2004245885
【0046】
【化23】
Figure 2004245885
【0047】
【化24】
Figure 2004245885
【0048】
【化25】
Figure 2004245885
【0049】
【化26】
Figure 2004245885
【0050】
【化27】
Figure 2004245885
【0051】
【化28】
Figure 2004245885
【0052】
【化29】
Figure 2004245885
【0053】
【化30】
Figure 2004245885
【0054】
【化31】
Figure 2004245885
【0055】
【化32】
Figure 2004245885
【0056】
これらのほかに本発明に使用することができる染料としては、特開平4−247449号公報記載の一般式(I)で示されるアゾメチン染料、具体的には同公報記載の化合物(I−1)〜(I−27)、特開昭63−145281号公報記載の一般式(I)で示されるアゾメチン染料、具体的には同公報記載の化合物例1〜例40を挙げることができ、例1〜例12については上述した具体例のNo.82〜93であって、同公報のアゾメチン染料は吸収がシャープなために色の濁りが少ない点で好ましく用いられる。
【0057】
本発明に使用することができる特に好ましい染料として、下記一般式(F1)〜(F4)から選ばれる少なくとも1種のピロロトリアゾールアゾメチン染料でを挙げることができる。
【0058】
【化33】
Figure 2004245885
【0059】
一般式(F1)および(F2)において、R、R、RおよびRは、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、スルホニルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基(その塩を含む)、スルホン酸基(その塩を含む)、アミノ基、アリール基、ヘテロ環基、ニトロ基、アリールオキシ基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホニル基、アシル基、ヘテロ環オキシ基、アゾ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、イミド基、ヘテロ環チオ基、スルフィニル基又はホスホリル基を表わす。RおよびRは、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表わす。Rは、ハメットの置換基定数σpが0.15以上の電子求引性基を表わす。RおよびRは、各々独立に、水素原子、アリール基、ヘテロ環基、アルキル基、シアノ基、カルボキシ基、アシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アミノ基(アニリノ基を含む)、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、スルファモイル基、スルホニル基、アゾ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、イミド基、スルフィニル基又はホスホリル基を表わす。RとRおよび/又はRとR、および/又はRとR、および/又はRとR、および/又はRとRは、互いに結合して環を形成していてもよい。
【0060】
以下に一般式(F1)および(F2)について詳しく述べる。
ここで、本明細書中で用いられるハメットの置換基定数について若干説明する。ハメット則はベンゼン誘導体の反応又は平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年L.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則により求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができるが、例えば、J.A.Dean編、「Lange’s Handbook of Chemistry」第12版、1979年(McGraw−Hill)や「化学の領域」増刊、122号、96〜103頁、1979年(南光堂)に詳しい。なお、本発明において各置換基をハメットの置換基定数σpにより限定したり、説明したりするが、これは上記の成書で見出せる、文献既知の値がある置換基にのみ限定されるという意味ではなく、その値が文献未知であってもハメット則に基づいて測定した場合にその範囲内に含まれるであろう置換基をも含むことはいうまでもない。今後、σp値、σm値はこの意味を表わす。
【0061】
、R、RおよびRは、各々独立に、水素原子又は非金属の原子団を表わし、非金属の原子団としては、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、スルホン酸基、アミノ基(置換アミノ基を含む)、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、ヘテロ環オキシ基、アゾ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、イミド基、ヘテロ環チオ基、スルフィニル基、ホスホリル基、アシル基を表わす。
【0062】
、R、RおよびRの具体例としては水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30、例えばメトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基、イソプロポキシ基)、ハロゲン原子(例えば臭素、フッ素、塩素)、アシルアミノ基〔好ましいアシルアミノ基は炭素数1〜30のアルキルカルボニルアミノ基(例えばホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、シアノアセチルアミノ基)及び炭素数7〜30のアリールカルボニルアミノ基(例えばベンゾイルアミノ基、p−トルイルアミノ基、ペンタフルオロベンゾイルアミノ基、m−メトキシベンゾイルアミノ基)〕、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜30、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基)、シアノ基、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30、メタンスルホニルアミノ基、エタンスルホニルアミノ基、N−メチルメタンスルホニルアミノ基)、カルバモイル基〔好ましいカルバモイル基は炭素数2〜30のアルキルカルバモイル基(例えばメチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基、ブチルカルバモイル基、イソプロピルカルバモイル基、t−ブチルカルバモイル基、シクロペンチルカルバモイル基、シクロヘキシルカルバモイル基、メトキシエチルカルバモイル基、クロロエチルカルバモイル基、シアノエチルカルバモイル基、エチルシアノエチルカルバモイル基、ベンジルカルバモイル基、エトキシカルボニルメチルカルバモイル基、フルフリルカルバモイル基、テトラヒドロフルフリルカルバモイル基、フェノキシメチルカルバモイル基、アリルカルバモイル基、クロチルカルバモイル基、プレニルカルバモイル基、2,3−ジメチル−2−ブテニルカルバモイル基、ホモアリルカルバモイル基、ホモクロチルカルバモイル基、ホモプレニルカルバモイル基)、炭素数7〜30のアリールカルバモイル基(例えばフェニルカルバモイル基、p−トルイルカルバモイル基、m−メトキシフェニルカルバモイル基、4,5−ジクロロフェニルカルバモイル基、p−シアノフェニルカルバモイル基、p−アセチルアミノフェニルカルバモイル基、p−メトキシカルボニルフェニルカルバモイル基、m−トリフルオロメチルフェニルカルバモイル基、o−フルオロフェニルカルバモイル基、1−ナフチルカルバモイル基)及び炭素数4〜30のヘテロ環カルバモイル基(例えば2−ピリジルカルバモイル基、3−ピリジルカルバモイル基、4−ピリジルカルバモイル基、2−チアゾリルカルバモイル基、2−ベンズチアゾリルカルバモイル基、2−ベンズイミダゾリルカルバモイル基、2−(4−メチルフェニル)―1,3,4−チアジアゾリルカルバモイル)基〕、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30、例えばメチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル)基、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30、例えばメチルアミノカルボニルアミノ基、ジメチルアミノカルボニルアミノ基)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、例えばメトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基)、
【0063】
ヒドロキシ基、カルボキシ基(その塩を含む)、スルホン酸基(その塩を含む)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜30、例えばアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、例えばフェニル基、m−アセチルフェニル基、p−メトキシフェニル基)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数3〜30、例えば2−ピリジル基、2−フリル基、2−テトラヒドロフリル基)、ニトロ基、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30、例えばフェノキシ基、p−メトキシフェノキシ基、o−クロロフェノキシ基)、スルファモイルアミノ基(好ましくは炭素数0〜30、例えばメチルスルファモイルアミノ基、ジメチルスルファモイルアミノ基)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜30、例えばメチルチオ基、エチルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30、例えばフェニルチオ基、p−メトキシフェニルチオ基、o−クロロフェニルチオ基)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜30、例えばメタンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基)、アシル基(好ましくは炭素数1〜30、例えばホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、p−トルイル基)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数3〜30)、アゾ基(好ましくは炭素数3〜30、例えばp−ニトロフェニルアゾ基)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数1〜30、例えばアセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基)、カルバモイルオキシ基(好ましくは炭素数1〜30、例えばメチルカルバモイルオキシ)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数3〜30、例えばトリメチルシロキシ基)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜30、例えばフェノキシカルボニル基)、イミド基(好ましくは炭素数4〜30、例えばフタルイミド基)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数3〜30)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜30、例えばジエチルアミノスルフィニル基)、ホスホリル基(好ましくは炭素数0〜30、例えばジアミノホスホリル基)が挙げられる。
【0064】
、RおよびRの中で好ましいものは、水素原子である。Rの中で好ましいものは、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素)、炭素数1〜30のアシルアミノ基、炭素数1〜30のスルホニルアミノ基、炭素数1〜30のアミノカルボニルアミノ基、炭素数2〜30のアルコキシカルボニルアミノ基である。その中でも、Rは、水素原子、アルキル基、アシルアミノ基が最も好ましい。
【0065】
およびRは、各々独立に、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、2−メトキシエチル基、3−メトキシプロピル基、エトキシエチル基、2−フェニルエチル基、2−シアノエチル基、シアノメチル基、2−クロロエチル基、3−ブロモプロピル基、2−メトキシカルボニルエチル基、3−エトキシカルボニルプロピル基、2−(N−メチルアミノカルボニル)エチル基、3−(N,N−ジメチルアミノカルボニル)プロピル基、2−アセチルアミノエチル基、3−(エチルカルボニルアミノ)プロピル基、アリル基、ホモアリル基、プレニル基、n−ドデシル基、2−アセチルオキシエチル基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、例えばフェニル基、p−トリル基、p−メトキシフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、p−ニトロフェニル基、2,4−ジシアノフェニル基、2−ナフチル基)又はヘテロ環基(置換基を有するものを含む。好ましくは炭素数3〜30、例えば、下記構造で表わされる基)を表わす。
【0066】
【化34】
Figure 2004245885
【0067】
およびRの中で好ましいものは、炭素数1〜30の置換されてもよいアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、2−シアノエチル基、2−アセチルオキシエチル基、2−エトキシカルボニルエチル基、2−メトキシエチル基、アリル基、ホモアリル基、プレニル基)である。また、RとRが結合して形成してもよい環としては、例えば、下記構造で表される基があり、また、RとRおよび/又はRとRが結合して形成してもよい環としては、例えば、下記構造で表される基があり、好ましい例として挙げることができる。
【0068】
【化35】
Figure 2004245885
【0069】
【化36】
Figure 2004245885
【0070】
は、ハメットの置換基定数σpが0.15以上の電子求引性基である。Rの例としては、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、ジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、ジアリールホスフィニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホニルオキシ基、アシルチオ基、スルファモイル基、イソシアネート基、チオシアネート基、チオカルボニル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン化アリールオキシ基、ハロゲン化アルキルアミノ基、ハロゲン化アルキルチオ基、σp0.15以上の他の電子求引性基で置換されたアリール基、複素環基、ハロゲン原子、又はセレノシアネート基があげられる。
【0071】
さらに詳しくは、Rはアシル基(例えば、アセチル基、3−フェニルプロパノイル基、ベンゾイル基、4−ドデシルオキシベンゾイル基)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基)、カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル基、N,N−ジブチルカルバモイル基、N−(2−ドデシルオキシエチル)カルバモイル基、N−メチル−N−ドデシルカルバモイル基、N−{3−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシ)プロピル}カルバモイル基)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基、オクタデシルオキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル基)、シアノ基、ニトロ基、ジアルキルホスホノ基(例えば、ジメチルホスホノ基)、ジアリールホスホノ基(例えば、ジフェニルホスホノ基)、ジアリールホスフィニル基(例えば、ジフェニルホスフィニル基)、アルキルスルフィニル基(例えば、3−フェノキシプロピルスルフィニル基)、アリールスルフィニル基(例えば、3−ペンタデシルフェニルスルフィニル基)、アルキルスルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、オクタンスルホニル基)、アリールスルホニル基(例えば、ベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基)、
【0072】
アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、オクチルチオ基、テトラデシルチオ基、2−フェノキシエチルチオ基、3−フェノキシプロピルチオ基、3−(4−t−ブチルフェノキシ)プロピルチオ基)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、2−ブトキシ−5−t−オクチルフェニルチオ基、3−ペンタデシルフェニルチオ基、2−カルボキシフェニルチオ基、4−テトラデカンアミドフェニルチオ基)、スルホニルオキシ基(メタンスルホニルオキシ、トルエンスルホニルオキシ)、アシルチオ基(例えば、アセチルチオ基、ベンゾイルチオ基)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル基、N,N−ジプロピルスルファモイル基、N−(2−ドデシルオキシエチル)スルファモイル基、N−エチル−N−ドデシルスルファモイル基、N,N−ジエチルスルファモイル基)、イソシアネート基、チオシアネート基、チオカルボニル基(例えば、メチルチオカルボニル基、フェニルチオカルボニル基)、ハロゲン化アルキル基(例えば、トリフロロメタン基、ヘプタフロロプロパン基)、ハロゲン化アルコキシ基(例えばトリフロロメチルオキシ基)、ハロゲン化アリールオキシ基(例えばペンタフロロフェニルオキシ)、ハロゲン化アルキルアミノ基(例えば、N,N−ジ−(トリフロロメチル)アミノ基)、ハロゲン化アルキルチオ基(例えば、ジフロロメチルチオ基、1,1,2,2−テトラフロロエチルチオ基)、σp 0.15以上の他の電子求引性基で置換されたアリール基(例えば、2,4−ジニトロフェニル基、2,4,6−トリクロロフェニル基、ペンタクロロフェニル基)、複素環基(例えば、2−ベンゾオキサゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、1−フェニル−2−ベンズイミダゾリル基、5−クロロ−1−テトラゾリル基、1−ピロリル基)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子)、又はセレノシアネート基を表わす。これらの置換基のうち更に置換基を有することが可能な基は、炭素原子、酸素原子、窒素原子又はイオウ原子で連結する置換基又はハロゲン原子を更に有してもよい。
【0073】
これらの置換基のうち好ましいRとしては、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルキルオキシ基、ハロゲン化アルキルチオ基、ハロゲン化アリールオキシ基、2つ以上のσp0.15以上の他の電子求引性基で置換されたアリール基、及び複素環基を挙げることができる。
【0074】
およびRは、各々独立に、水素原子又は非金属の原子団を表わす。更に詳しくは、RおよびRは、各々独立に、水素原子、アリール基、ヘテロ環基、アルキル基、シアノ基、カルボキシル基、アシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アミノ基(アニリノ基を含む)、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、スルファモイル基、スルホニル基、アゾ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、イミド基、スルフィニル基又はホスホリル基を表わす。
【0075】
およびRの好ましい具体例としては、水素原子、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、例えばフェニル基、m−アセチルアミノフェニル基、p−メトキシフェニル基)、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、n−ドデシル基)、シアノ基、カルボキシル基、アシル基(好ましくは炭素数1〜30、例えば、アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、フロイル基、2−ピリジルカルボニル基)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜30、例えばメチルカルバモイル基、エチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル、n−オクチルカルバモイル)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数1〜30、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜30、例えばフェノキシカルボニル基、p−メトキシフェノキシカルボニル基、m−クロロフェノキシカルボニル基、o−メトキシフェノキシカルボニル基)、
【0076】
アシルアミノ基〔好ましいアシルアミノ基は炭素数1〜30のアルキルカルボニルアミノ基(例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、シアノアセチルアミノ基)、炭素数7〜30のアリールカルボニルアミノ基(例えば、ベンゾイルアミノ基、p−トルイルアミノ基、ペンタフルオロベンゾイルアミノ基、m−メトキシベンゾイルアミノ基)及び炭素数4〜30のヘテリルカルボニルアミノ基(例えば、2−ピリジルカルボニルアミノ基、3−ピリジルカルボニルアミノ基、フロイルアミノ)基〕、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、例えばメトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、メトキシエトキシカルボニルアミノ基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜30、例えばフェノキシカルボニルアミノ基、p−メトキシフェノキシカルボニルアミノ基、p−メチルフェノキシカルボニルアミノ基、m−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、o−クロロフェノキシカルボニルアミノ基)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30、例えばメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基、トルエンスルホニルアミノ基)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30、例えばメチルアミノカルボニルアミノ基、エチルアミノカルボニルアミノ基、アニリノカルボニルアミノ基、ジメチルアミノカルボニルアミノ基)、スルファモイルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30、例えばメチルアミノスルホニルアミノ基、エチルアミノスルホニルアミノ基、アニリノスルホニルアミノ基)、アミノ基(アニリノ基を含む、好ましくは炭素数0〜30、例えばアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n−ブチルアミノ基、アニリノ基)、
【0077】
アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30、例えばメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、メトキシエトキシ基、n−ドデシルオキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30、例えばフェノキシ基、m−クロロフェノキシ基、p−メトキシフェノキシ基、o−メトキシフェノキシ基)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数3〜30、例えばトリメチルシリルオキシ基、t−ブチルジメチルシリルオキシ基、セシルジメチルシリルオキシ基、フェニルジメチルシリルオキシ基)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数3〜30、例えばテトラヒドロピラニルオキシ基、3−ピリジルオキシ基、2−(1,3−ベンゾイミダゾリル)オキシ基)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜30、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30、例えば、フェニルチオ基)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数3〜30、例えば2−ピリジルチオ基、2−(1,3−ベンゾオキサゾリル)チオ基、1−ヘキサデシル−1,2,3,4−テトラゾリル−5−チオ基、1−(3−N−オクタデシルカルバモイル)フェニル−1,2,3,4−テトラゾリル−5−チオ基)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数3〜30、例えば2−ベンゾオキサゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、1−フェニル−2−ベンズイミダゾリル基、5−クロロ−1−テトラゾリル基、1−ピロリル基、2−フラニル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基)、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素)、ヒドロキシ基、ニトロ基、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30、例えばメチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜30、例えばメタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基)、アゾ基(好ましくは炭素数3〜30、例えばp−ニトロフェニルアゾ基)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数1〜30、例えばホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基)、カルバモイルオキシ基(好ましくは炭素数1〜30、例えばメチルカルバモイルオキシ基、ジエチルカルバモイルオキシ基)、イミド基(好ましくは炭素数4〜30、例えば、こはく酸イミド基、フタルイミド基)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜30、例えばジエチルアミノスルフィニル基)、ホスホリル基(好ましくは炭素数0〜30、例えばジアミノホスホリル基)などが挙げられる。
【0078】
次に本発明に用いることができる(F3)および(F4)について説明する。
【0079】
【化37】
Figure 2004245885
一般式(F3)および(F4)において、R11、R12、R13およびR14は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、スルホニルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基(その塩を含む)、スルホン酸基(その塩を含む)、アミノ基、アリール基、ヘテロ環基、ニトロ基、アリールオキシ基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホニル基、アシル基、ヘテロ環オキシ基、アゾ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、イミド基、ヘテロ環チオ基、スルフィニル基又はホスホリル基を表わす。R15およびR16は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表わす。R17は、ハメットの置換基定数σpが0.15以上の電子求引性基を表わす。R18およびR19は、各々独立に、水素原子、アリール基、ヘテロ環基、アルキル基、シアノ基、カルボキシ基、アシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アミノ基(アニリノ基を含む)、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、スルファモイル基、スルホニル基、アゾ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、イミド基、スルフィニル基又はホスホリル基を表わす。ただし、R17が−CONHR10以外である場合はR17とR18のハメットの置換基定数σp値の和が0.65以上である。R10は、水素原子である。R11とR12、および/又はR12とR15、および/又はR15とR16、および/又はR16とR13、および/又はR13とR14は、互いに結合して環を形成していてもよい。
【0080】
以下に一般式(F3)および(F4)について詳しく述べる。
ここで、本明細書中で用いられるハメットの置換基定数は、(F1)および(F2)の項で述べたとおりである。
【0081】
11、R12、R13およびR14は、(F1)および(F2)の項で述べたR、R、RおよびRと各々同義である。
【0082】
15およびR16も、(F1)および(F2)の項で述べたR、Rと各々同義である。
【0083】
17も、(F1)および(F2)の項で述べたRと同義である。ただし、R17が−CONHR10以外である場合はR17とR18のハメットの置換基定数σp値の和が0.65以上である。R10は、水素原子である。
【0084】
18およびR19も、(F1)および(F2)の項で述べたRおよびRと同義である。
染料の具体的な例を以下に示す。具体例中の染料は、本発明を詳しく説明するためのものであり、これによって本発明は限定されない。
【0085】
【化38】
Figure 2004245885
【0086】
【化39】
Figure 2004245885
【0087】
【化40】
Figure 2004245885
【0088】
【化41】
Figure 2004245885
【0089】
【化42】
Figure 2004245885
【0090】
【化43】
Figure 2004245885
【0091】
【化44】
Figure 2004245885
【0092】
【化45】
Figure 2004245885
【0093】
【化46】
Figure 2004245885
【0094】
【化47】
Figure 2004245885
【0095】
【化48】
Figure 2004245885
【0096】
【化49】
Figure 2004245885
【0097】
【化50】
Figure 2004245885
【0098】
【化51】
Figure 2004245885
【0099】
【化52】
Figure 2004245885
【0100】
【化53】
Figure 2004245885
【0101】
【化54】
Figure 2004245885
【0102】
【化55】
Figure 2004245885
【0103】
【化56】
Figure 2004245885
【0104】
【化57】
Figure 2004245885
【0105】
【化58】
Figure 2004245885
【0106】
【化59】
Figure 2004245885
【0107】
本発明に使用することができる染料としては「金属フタロシアニン化合物」も好ましく、これについて説明する。
金属フタロシアニン化合物は、金属を含まないフタロシアニン核の金属錯塩であって、中心金属は、Na,K,Be,Mg,Mn,Ca,Ba,Cd、Hg,Cr,Fe,Co,Ni,Zn,Pt,Pd,Cu,Ti,V,Si,Sr,Mo,B,Al,Pb,Snなどの金属元素のうち錯塩を安定に形成するものであればどれでも良いが、好ましくは遷移金属元素が好ましく、例としてクロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛を挙げることができ、特に好ましくは銅である。
【0108】
本発明における金属フタロシアニン化合物、そのフタロシアニン炭素環式芳香族環に直接又は連結基を介して、水溶性基で置換されていても良い。水溶性基としては、スルホン酸基又はその塩、カルボン酸基又はその塩などのpKaが6以下の解離性基又はその塩がフタロシアニン炭素環式芳香族環に直接又は連結基を介して結合したものである。具体的には、−SONHSOR、−CONHCOOR、−SONHCORなどを挙げることができる。
また、水溶性ポリマー主鎖にペンダントとして金属フタロシアニン化合物が連結された化合物も用いることができる。
【0109】
下記一般式(Pc−X)で表される化合物は、ブルーの背景色用途に使用できることができる水溶性ではない金属フタロシアニンである。
一般式(Pc−X)
【0110】
【化60】
Figure 2004245885
【0111】
式中、Mは多原子価金属原子である。
、R、R、R、R、R12、R13およびR16は、それぞれ独立に、水素原子又は置換若しくは非置換の、分岐若しくは非分岐のアルキル基を表す。
、R、R、R、R10、R11、R14およびR15は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換の、分岐若しくは非分岐のアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換のアルコキシ基又は置換若しくは非置換のアリールオキシ基を表す。
又は、隣接する、RならびにR、RならびにR、RならびにR、RならびにR、R6ならびにR、RならびにR、RならびにR、RならびにR10、R10ならびにR11、R11ならびにR12、R13ならびにR14、R14ならびにR15、およびR15ならびにR16の対の一つ又はそれ以上が一緒になって置換若しくは非置換の芳香族若しくはヘテロ芳香族環を形成するのに必要な原子群を表わす。)
【0112】
また、水溶性の金属フタロシアニンとしては、市販のものとして、染料便覧(1975年丸善)やCOLOUR INDEXI nternational third edition (1992, The Society of Dye and Colourists)に記載の酸性染料、直接染料、反応性染料を用いることができる。具体的には、C.I.Acid Blue185,197,228,242,243,249,254,255,275,279,283やC.I.Direct Blue 86,87,189,199,262,264,276、およびC.I.Reactive Blue 3,7,11,14,15,18,21,23,25,30,35,38,41,48,
57,58,63,71,72,77,80,85,88,91,92,95,105,106,107,117,118,123,124,136,140,143,148,151,152,153,190,197,207,215,227,229,231等を使用することができる。
C.I.Direct Blue 86について、具体的には、Aizen Primula Turquoise Blue GLH(保土谷化学)、Cupro Cyanine Blue GL(東洋インキ)、Daivogen Turquoise Blue S(大日本インキ)、Direct FastCyanine Blue GL(高岡化学)、Kayafect BlueGT、Kayafect Blue T、Kayarus Turquoise Blue GL(以上、日本化薬)、Kiwa Turquoise Blue GL(紀和化学)、Nankai Direct Fast Cyanine Blue GL(南海染料)、Phthalocyanine BlueG conc.(宇須化学)、Sanyo Turquoise Blue BLR(山陽色素)、Sanyo Cyanine Blue SBL conc.−B(山陽色素)、Sumilight Supra TurquoiseBlue G conc.、Sumilight Supra Turquoise Blue FB conc.(以上、住友化学)、Sirius Supra Turquoise Blue GL(Bayer)、Diazol Light Turquoise JL(ICI)、Lurantin Light Turquoise Blue GL(BASF)、Solar Turquoise Blue GLL(Sandoz)などの商品が挙げられる。
C.I.Direct Blue 199について、具体的には、SolarTurquoise Blue FBL(Sandoz)、LurantinLight Turquoise Blue FBL(BASF)、Diazol Light Turquoise JRL(ICI)、LevacellFast Turquoise Blue BLN、Levacell Fast Turquoise Blue FBL(以上、Bayer)、Kayafect Turquoise RN(日本化薬)、Sumilight Supra Turquoise Blue FB(住友化学)、Jay Direct Turquoise Blue CGL, Jay Direct Turquoise Blue FBL(以上 Jay Chemical)、などの商品が挙げられる。
【0113】
色調が好ましい会合吸収の大きなフタロシアニン染料としては、スルファモイル基、カルバモイル基、水酸基のような水素結合性の置換基を分子内に有する染料が好ましく、好ましいものとして一般式Pc−1で表されるものを挙げることができる。
一般式Pc−1:MPc(SOH)n(SONHR)m
上記一般式Pc−1において、Pcはフタロシアニン骨格を表し、Rはアルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表し、それらは各々置換基を有していても良い。nは0から4、mは1から4の整数を表す。Mは水素原子、金属原子又はその酸化物、水酸化物もしくはハロゲン化物を表す。
Mとしては、Cu、Ni、Zn、Al等が好ましく、Cuが最も好ましい。一般式Pc−1においてスルホ基は遊離の形で表されているが塩であってもよい。一般式Pc−1で表されるフタロシアニン染料は水溶性であり、分子内に少なくとも1個イオン性親水性基を有する。イオン性親水性基には、スルホ基、カルボキシル基、ホスホノ基および4級アンモニウム基等が含まれる。前記イオン性親水性基としては、カルボキシル基、ホスホノ基、およびスルホ基が好ましく、特にカルボキシル基、スルホ基が好ましい。カルボキシル基、ホスホノ基およびスルホ基は塩の状態であってもよく、塩を形成する対イオンの例には、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン(例、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)および有機カチオン(例、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラメチルグアニジウムイオン、テトラメチルホスホニウム)が含まれる。
【0114】
この他、トリアジニル基を有する反応性染料およびトリアジニル反応性基を加水分解した染料も好ましい。
さらには、特開2000−303009、特願2001−96610号、同2001−226275号、同2001−47013号、同2001−57063号、同2001−76689号に記載されたような、いわゆる下記一般式Pc−2で表されたようなβ位に特定の置換基を有するフタロシアニン染料が大きな会合吸収を与える点で好ましく用いられる。
一般式Pc−2
【0115】
【化61】
Figure 2004245885
【0116】
11〜X14、Y11〜Y18は、それぞれ独立に、−SO−Z、−SO−Z、−SONR、スルホ基、−CONR、又は−COを表す。ここで、Zは、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換の複素環基を表す。R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換の複素環基を表す。
11、Y12、Y13およびY14は、それぞれ独立に、一価の置換基を表す。
Mは、Cu、Ni、Zn、Al等が好ましく、Cuが最も好ましい。
11〜a14は、それぞれ独立に、1又は2の整数を表し、4≦a11+a12+a13+a14≦6を満たすことが好ましく、その中でもa11=a12=a13=a14=1のときが特に好ましい。
【0117】
11、X12、X13およびX14は、それぞれ全く同じ置換基であっても良く、あるいは例えばX11、X12、X13およびX14が全て−SO−Zであるが各Zは互いに異なるものを含む場合のように、同じ種類の置換基であるが部分的に互いに異なる置換基であっても良く、あるいは例えば−SO−Zと−SONRが同時に置換した場合のように、互いに異なる置換基を含んでいても良い。
一般式Pc−2で表されるフタロシアニン染料は水溶性であり、分子内に少なくとも1個イオン性親水性基を有する。イオン性親水性基には、一般式Pc−1で挙げた基を挙げることができる。
【0118】
以下に一般式Pc−1およびPc−2で表される好ましい染料の例を挙げる。以下、イオン性親水性基はすべて遊離の形で表すが塩であっても良い。
(I)C.I.Direct Blue 199
CuPc(SOH)n(SONHR)mで表される染料
(I−1) n=1、m=3 R=CHCHSO
(I−2) n=2、m=2 R=CHCO
(I−3) n=3、m=1 R=CHCHCO
(I−4) n=3、m=1 R=CHCHOH
(I−5) n=3、m=1 R=CHCH(OH)CH
(I−6) n=3、m=1 R=CHCHOCHCHOH
【0119】
(II)一般式Pc−2において、Y11〜Y18=H、a11〜a14=1の染料
(II−1)X11〜X14=SONHCHCHSO
(II−2)X11〜X14=CONHCHCO
(II−3)X11〜X14=SOCHCHCHSO
(II−4)X11〜X14=SO
(II−5)X11〜X14=CO
(II−6)X11〜X14=CONHCHCHSO
(II−7)X11〜X14=CONHCHSO
(II−8)X11〜X14=SOCHCH(OH)CHSOH
【0120】
さらには、特願2001−96610号、同2001−226275号、同2001−47013号、同2001−57063号、同2001−76689号に記載された染料を挙げることができる。
【0121】
本発明においては、金属フタロシアニン化合物の中心金属と同じ種類のフリーイオンは、ハロゲン化銀感光材料一般に、写真特性に影響を与えるため、フタロシアニン化合物の含有量に対し200モル%を超えない範囲で、該熱現像感光材料中に含有されていることが好ましく、好ましくは100モル%以下、より好ましくは40モル%以下である。
【0122】
本発明においては、金属フタロシアニン化合物は、吸収スペクトルが以下の3つの特性を有するシアン染料であるうちの少なくとも1つの状態であることが好ましい。測定は、例えば、JIS K 0115「吸光光度分析通則」に準拠して行われる。
【0123】
(1)吸収スペクトルのピークが、波長590nm〜640nmの間と、波長650nm〜710nmの間の両方に存在するシアン染料。
【0124】
(2)吸収スペクトルのピークが、波長590nm〜640nmの間に存在し、波長650nm〜710nmの間に存在しない(吸収極大にならないショルダーは除く)シアン染料。
【0125】
(3)吸収スペクトルのピークが、波長650nm〜710nmの間に存在し、波長590nm〜640nmの間に存在しない(吸収極大にならないショルダーは除く)シアン染料。
【0126】
一般的に、同じカラーインデックスナンバーの染料であっても、置換基の種類や位置、数が変わることによって、吸収スペクトルのピークの位置や大きさが変わることが知られている。
フタロシアニン染料は、波長650nmから710nm、より好ましくは650nmから690nmの間にモノマーの吸収ピークを、波長590nmから650nm、より好ましくは590nmから600nmの間に会合体の吸収ピークを有することが一般的である。モノマーの吸収があまりにも強いと色調がグリーン味となるので、医療用写真分野で好まれるブルー色調を得るためには好ましくない。
【0127】
例えば(1)の場合のようなシアン染料は広い波長に渡り吸収を有するため、感光材料中では、色調調整、イラジエーション防止、ハレーション防止、セーフライトフィルターなど幅広い機能を持たせることができ非常に好ましい。
膜中の吸収スペクトルにおいて、Aは波長590nm〜640nmにおける吸収スペクトルのピーク値を示し、Bは波長650nm〜710nmにおける吸収スペクトルのピーク値を示すものとした場合に、以下のような点で好ましい比率を示すことができる。
即ち、色調調整が可能で、赤感性感光材料での感度低下が少ないという目的のためには、B/A≦1.0であることが好ましく、0.9以下であることが更に好ましく、0.8以下であることが最も好ましい。
また反対に、イラジエーション防止、ハレーション防止機能を重視した場合、B/A>1.0であることが好ましいが、これら諸機能のバランスを取る上では、以下の不等式を満たすことが好ましい。
好ましくは、0.5<B/A<1.8
特に好ましくは、0.8<B/A<1.3
波長590nm〜640nmと650nm〜710nmの間に、それぞれ吸収スペクトルのピークがある金属フタロシアニン化合物において、この2つのピークの値の比は化合物によって異なり、それは置換基の種類や位置、数の違いによるものである。
【0128】
また、(2)の場合のようなシアン染料の場合、吸収がシャープ、かつ可視域の吸収が多いので、感光材料中では、色調調整、セーフライトフィルターなどの機能に少量で有効に機能させることができる点で好ましい。波長650nm〜710nmの間に吸収スペクトルのピークがない状態もまた、化合物によって異なり、それは置換基の種類や位置、数の違いによるものである。
【0129】
また(3)の場合のようなシアン染料の場合、吸収がシャープかつ、可視域の吸収が少ないので、感光材料中では、イラジエーション防止、ハレーション防止などの機能に少量で有効に機能させることができる点で好ましい。波長590nm〜640nmの間に吸収スペクトルのピークがない状態もまた、化合物によって異なり、それは置換基の種類や位置、数の違いによるものである。
【0130】
当該金属フタロシアニン化合物の吸光度は、化合物の2質量%水溶液を水で1000倍に希釈した液体の400nmから800nmにおける最大吸光度が0.3以上1.2未満であることが好ましい。
【0131】
本発明では、金属フタロシアニン化合物は、予め水を媒体として調製された水溶液又は微粒子分散液として感光材料の製造で用いることが好ましい。該液中に、本発明における金属フタロシアニン化合物は、0.1〜30質量%で含有され、好ましくは0.5〜20質量%、更に好ましくは1〜8質量%程度含有される。該液はさらに水溶性有機溶媒や補助添加剤を含有していても良い。その含有量は、水溶性有機溶媒0〜30質量%、好ましくは5〜30質量%、補助添加剤0〜5質量%、好ましくは0〜2質量%程度である。
【0132】
本発明では、金属フタロシアニン化合物の水溶液又は微粒子分散液を調製するに当たり、使用し得る水溶性有機溶剤の具体例としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール等のC1〜C4アルカノール、N,N−ジメチルホルムアミド又はN,N−ジメチルアセトアミド等のカルボン酸アミド、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリジン−2−オン等のラクタム類、尿素、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オン又は1,3−ジメチルヘキサヒドロピリミド−2−オン等の環式尿素、アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オン等のケトン又はケトアルコール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル、エチレングリコール、1,2−又は1,3−プロピレングリコール、1,2−又は1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、チオジグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のC2〜C6アルキレン単位を有するモノー、オリゴー又はポリアルキレングリコール又はチオグリコール、グリセリン、ヘキサン−1.2.6−トリオール等のポリオール(トリオール)、エチレングリコールモノメチルーエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールのC1〜C4アルキルエーテル、γーブチロラクトン又はジメチルスルホキシド等があげられる。これらの水溶性有機溶媒は2種以上併用しても良い。
【0133】
上記水溶性有機溶媒のうち、尿素、N−メチルピロリジン−2−オン、炭素数2〜6のアルキレン単位を有するモノ、ジ又はトリアルキレングリコールが好ましく、更にモノ、ジ又はトリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジメチルスルホキシド等が好ましく用いられ、特に、N−メチルピロリジン−2−オン、ジエチレングリコール、ジメチルスルホキシド、尿素の使用が好ましく、特に好ましいのは尿素である。
本発明では、金属フタロシアニン染料は、感光材料の作製時に該水溶液をさらに種々の薬品と混合して希釈されていくため、該水溶液とは別に、水溶性有機溶媒を該金属フタロシアニン化合物の含有量1モルに対して、1モル〜500モルの範囲で含ませる方法も好ましく用いられる。
【0134】
染料の添加量は、熱現像処理後の画像の色調をブルーにあわせるために、銀色調やほかの添加剤によってもたらされる色調と組み合わせて決定する。一般には、目的とする波長(シアン染料の場合、600nmで測定)で測定したときの光学濃度(吸光度)が0.5を越えない量で使用する。光学濃度は、0.01から0.5であり、好ましくは0.01から0.1であり、さらに好ましくは0.01から0.05である。このような光学濃度を得るための染料の使用量は、一般に0.5から150mg/m、好ましくは0.5から30mg/m、0.5から15mg/m程度である。
【0135】
本発明に用いられる顔料としては、市販のものの他、各種文献に記載されている公知のものが利用できる。文献に関してはカラーインデックス(The Societyof Dyers and Colourists編)、「改訂新版顔料便覧」日本顔料技術協会編(1989年刊)、「最新顔料応用技術」CMC出版(1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版(1984年刊)、W.Herbst,K.Hunger共著による Industrial Organic Pigments(VCH Verlagsgesellschaft、1993年刊)等がある。具体的には、有機顔料ではアゾ顔料(アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料)、多環式顔料(フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレンおよびペリノン系顔料、インジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料等)、染付けレーキ顔料(酸性又は塩基性染料のレーキ顔料)、アジン顔料等があり、さらに無機顔料を用いることができる。中でも好ましい青味の色調を得るためには、フタロシアニン顔料、アントラキノン系のインダントロン顔料、染め付けレーキ顔料系のトリアリールカルボニウム顔料、インジゴ、無機顔料の群青、紺青、コバルトブルーが好ましい。さらに色調を調整するために、赤ないし紫色の顔料、例えば、ジオキサジン系顔料、キナクリドン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、などが上記青色顔料と併用されていてもよい。
【0136】
以下に好ましい顔料の具体例を列挙する。青色顔料の例としては、フタロシアニン系のC.I.Pigment Blue 15、同15:1、同15:2、同15:3、同15:4、同15:6(銅フタロシアニン)、モノクロロないし低塩素化銅フタロシアニン、C.I.Pigment Blue 16(無金属フタロシアニン)、中心金属がZn,Al、Tiであるフタロシアニン、バット染料としても知られるインダントロン系のC.I.Pigment blue 60やそれらのハロゲン置換体、例えばC.I.PigmentBlue 64、同21、アゾ系のC.I.Pigment Blue 25、インジゴ系のC.I.Pigment Blue66およびレーキ顔料であるC.I.Pigment Blue 63、トリアリールカルボニウム型酸性染料あるいは塩基性染料のレーキ顔料であるC.I.Pigment Blue 1、同2、同3、同9、同10、同14、同18、同19、同24:1、同24:x、同56、同61、同62が挙げられる。赤ないし紫顔料としてはジオキサジン系のC.I.Pigment Violet23、同37、アゾ系のC.I.PigmentViolet 同13、同25、同32、同44、同50、C.I.Pigment Red 23、同52:1、同57:1、同63:2、同146、同150、同151、同175、同176、同185、同187、同245、キナクリドン系の C.I.Pigment Violet 19、同42、C.I.Pigment Red 122、同192、同202、同207、同209、トリアリールカルボニウム系のレーキ顔料であるC.I.Pigment Violet 1、同2、同3、同27、同39、C.I.PigmentRed 81:1、 ペリレン系のC.I.Pigment Violet 29、アントラキノン系のC.I.Pigment Violet 5:1、同31、同33、チオインジゴ系のC.I.Pigment Red 38、同88が挙げられる。
【0137】
本発明に使用できる顔料は、上述の裸の顔料であっても良いし、表面処理を施された顔料でも良い。表面処理の方法には、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤やエポキシ化合物、ポリイソシアネートなど)顔料表面に結合させる方法などが考えられ、次の文献等に記載されている。
金属石鹸の性質と応用(幸書房)
印刷インキ技術(CMC出版、1984)
最新顔料応用技術(CMC出版、1986)
【0138】
なかでも、本発明では、画像色調をより冷黒調にみせるために、また例えば医療用画像などではブルーに着色することで診断しやすくするために、500〜700nmに吸収極大を有する顔料を用いることが好ましい。このときの吸光度は、透過支持体上に顔料を含有する層を塗設したサンプルと顔料を含有しない層を塗設したサンプルの差として測定することができる。
【0139】
本発明において顔料はバインダー中に分散されて用いられる。分散剤は、用いるバインダーと顔料に合わせて種々のもの、例えば界面活性剤型の低分子分散剤や高分子型分散剤、を用いることができるが、疎水性バインダー中で用いる場合には分散安定性の観点から高分子型分散剤を用いることがより好ましい。分散剤の例としては特開平3−69949号、欧州特許第549486号等に記載のものを挙げることができる。
【0140】
本発明に使用できる顔料の粒径は、分散後で0.01〜10μmの範囲であることが好ましく、0.05〜1μmであることが更に好ましい。
【0141】
顔料をバインダー中へ分散する方法としては、インク製造やトナー製造時に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーサー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は「最新顔
料応用技術」(CMC出版、1986)に記載がある。
【0142】
顔料の含有量は感光材料の吸光度が0.1〜1.0になる量が好ましく、具体的には感材1m当たりの塗布量で示して、1mg/m〜3g/mが好ましい。
【0143】
(還元剤の説明)
本発明で使用する還元剤について説明する。還元剤は、熱現像時に銀イオンを還元して現像銀にすることができる化合物である。
【0144】
(1)一般式R1で表される還元剤
一般式(R1)について詳細に説明する。
一般式(R1)
【0145】
【化62】
Figure 2004245885
【0146】
(一般式(R1)において、RおよびR’は、各々独立に炭素数1〜20のアルキル基を表す。RおよびR’は、各々独立に水素原子又はベンゼン環に置換可能な置換基を表す。Rは、3ないし7員の炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子及びリン原子から選ばれる1種以上の原子により構成される環を形成する置換基を表す。XおよびX’は、各々独立に水素原子又はベンゼン環に置換可能な基を表す。)
【0147】
一般式(R1)について詳細に説明する。
1)RおよびR
およびR’は、各々独立に置換又は無置換の炭素数1〜20のアルキル基であり、アルキル基の置換基は特に限定されることはないが、好ましくは、アリール基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、アシル基、カルバモイル基、エステル基、ウレイド基、ウレタン基及びハロゲン原子等があげられる。
【0148】
およびR’として好ましくは炭素数3〜15の2級又は3級のアルキル基であり、具体的にはイソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、t−アミル基、t−オクチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基及び1−メチルシクロプロピル基などがあげられる。R11およびR11’としてより好ましくは炭素数4〜12の3級アルキル基で、その中でもt−ブチル基、t−アミル基又は1−メチルシクロヘキシル基が更に好ましく、t−ブチル基が最も好ましい。
【0149】
2)RおよびR’、XおよびX’
およびR’は、各々独立に水素原子又はベンゼン環に置換可能な置換基であり、XおよびX’も各々独立に水素原子又はベンゼン環に置換可能な基を表す。それぞれベンゼン環に置換可能な基としては、好ましくはアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基及びアシルアミノ基があげられる。
【0150】
およびR’として好ましくは炭素数1〜20のアルキル基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−アミル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基、ベンジル基、メトキシメチル基及びメトキシエチル基などがあげられる。より好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基又はt−ブチル基である。
XおよびX’は、好ましくは水素原子、ハロゲン原子及びアルキル基で、より好ましくは水素原子である。
【0151】
3)R
は3ないし7員の炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子より構成される環を形成する置換基を表す。環はすべてが炭素原子でもよく、炭素原子と前記ヘテロ原子から構成される複素環基であってもよい。また、これらの環は置換基を有していてもよい。置換基を含めた炭素数の範囲は2から30の範囲が好ましい。Rで表される環の具体例はシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、2−ノルボルニル基、2−[2,2,2]−ビシクロオクチル基、2−アダマンチル基、2−シクロペンテニル基、2−シクロヘキセニル基、3−シクロヘキセニル基、2−テトラヒドロフラニル基、2−ジヒドロフラニル基、2−テトラヒドロピラニル基、3−ジヒドロピラニル基、2−ピロリジン基、2−ピペリジン基、3−テトラヒドロチオピラニル基及び3−テトラヒドロホスホラン基などがあげられる。
【0152】
で表される基は、置換基を有していてもよい。置換基の例としてはハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリルオキシ基、アリルチオ基、アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、カルボニル基、ヒドロキシ基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基及びヘテロ環基などがあげられる。
【0153】
は、好ましくは5ないし6員の炭素環又はヘテロ環を形成する炭素数3から20の基で、より好ましくは炭素原子又は酸素原子から成る環を形成する基である。
これらの環には不飽和結合が含まれていてもよい。
【0154】
として好ましくは炭素数1〜15のシクロアルキル基、シクロアルケニル基、ヘテロ環基であり、シクロアルキル基としてはシクロヘキシル基又はシクロペンチル基が好ましく、シクロアルケニル基としては2−シクロヘキセニル基、3−シクロヘキセニル基又は3−シクロペンテニル基が好ましい。ヘテロ環基としては、2−テトラヒドロフラニル基、2−テトラヒドロピラニル基又は3−テトラヒドロピラニル基が好ましい。Rとして特に好ましいのはシクロヘキシル基、3−シクロヘキセニル基又は3−シクロペンテニル基である。
【0155】
4)還元剤の併用
上記還元剤は単独で使用することもできるが、現像性や色調を調整する目的で2種以上を組み合わせて使用することが好ましい。また、一般式(R1)で表される化合物以外の還元剤と組み合わせて使用することができる。一般式(R1)で表される化合物と組み合わせて使用できる好ましい還元剤は、後述の一般式(R)及び/又は一般式(R2)で表される還元剤である。本発明では、少なくとも、一般式(R2)で表される化合物及び一般式(R1)で表される化合物の中から1種を使用すればよい。
一般式(R1)で表される化合物と併用する場合、一般式(R2)で表される化合物に対する一般式(R1)で表される化合物の質量比率((R1/(R2))は、1/20〜20/1が好ましく、より好ましくは、1/10〜10/1である。
一般式(R1)及び/又は一般式(R2)で表される化合物と、後述の一般式(R)で表される化合物とを組み合わせて使用する場合、一般式(R1)及び/又は一般式(R2)で表される化合物に対する一般式(R)で表される化合物の質量比率は、1/20〜20/1であることが好ましく、より好ましくは、1/10〜10/1である。
【0156】
5)R1化合物例
以下に、本発明における一般式(R1)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0157】
【化63】
Figure 2004245885
【0158】
【化64】
Figure 2004245885
【0159】
【化65】
Figure 2004245885
【0160】
【化66】
Figure 2004245885
【0161】
【化67】
Figure 2004245885
【0162】
【化68】
Figure 2004245885
【0163】
【化69】
Figure 2004245885
【0164】
【化70】
Figure 2004245885
【0165】
【化71】
Figure 2004245885
【0166】
【化72】
Figure 2004245885
【0167】
【化73】
Figure 2004245885
【0168】
【化74】
Figure 2004245885
【0169】
(2)一般式(R2)で表される還元剤
一般式(R2)で表される還元剤について詳細に説明する。
一般式(R2)
【0170】
【化75】
Figure 2004245885
【0171】
(一般式(R2)において、RおよびR’は、各々独立に炭素数1〜20のアルキル基を表す。RおよびR’は、各々独立に水素原子又はベンゼン環に置換可能な置換基を表す。Rは、不飽和結合を有する置換若しくは無置換のアルキル基又はアルケニル基を表す。XおよびX’は、各々独立に水素原子又はベンゼン環に置換可能な基を表す。)
【0172】
一般式(R2)について詳細に説明する。
1)RおよびR
およびR’は各々独立に置換又は無置換の炭素数1〜20のアルキル基であり、アルキル基の置換基は特に限定されることはないが、好ましくは、アリール基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、アシル基、カルバモイル基、エステル基、ウレイド基、ウレタン基及びハロゲン原子等があげられる。
【0173】
およびR’として好ましくは炭素数3〜15の2級又は3級のアルキル基であり、具体的にはイソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、t−アミル基、t−オクチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基及び1−メチルシクロプロピル基などがあげられる。R11およびR11’としてより好ましくは炭素数4〜12の3級アルキル基で、その中でもt−ブチル基、t−アミル基又は1−メチルシクロヘキシル基が更に好ましく、t−ブチル基が最も好ましい。
【0174】
2)RおよびR’、XおよびX’
およびR’は、各々独立に水素原子又はベンゼン環に置換可能な置換基であり、XおよびX’も、各々独立に水素原子又はベンゼン環に置換可能な基を表す。それぞれベンゼン環に置換可能な基としては、好ましくはアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基及びアシルアミノ基があげられる。
【0175】
およびR’として好ましくは炭素数1〜20のアルキル基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−アミル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基、ベンジル基、メトキシメチル基及びメトキシエチル基などがあげられる。より好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基又はt−ブチル基である。
XおよびX’は、好ましくは水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基で、より好ましくは水素原子である。
【0176】
3)R
は、炭素数2から20のアルケニル基又は不飽和結合を有するアルキル基を表す。
アルキル基及びアルケニル基は、置換基を有していてもよいし、無置換でもよい。置換基の例としてはハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、カルボニル基、ヒドロキシ基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基及びヘテロ環基などがあげられる。
【0177】
不飽和結合として好ましくは、炭素−炭素不飽和結合又は炭素−窒素不飽和結合であり、より好ましくは炭素−炭素不飽和結合を有する基である。
不飽和結合を有するアルキル基は、具体的には炭素−炭素二重結合、炭素−炭素三重結合、炭素−窒素二重結合、炭素−窒素三重結合のいずを有するアルキル基で、より好ましくは炭素−炭素二重結合を有するアルキル基である。
これらの基は分子内に少なくとも1つ含まれる。これらの基は分子内に2つ以上置換していてもよく、その場合共役していても共役していなくてもよいが、共役していないことがより好ましい。
【0178】
上記一般式(R2)で表される化合物は、単独で使用することもできるが、現像性や色調を調整する目的で、一般式(R2)で表される化合物の2種以上を組み合わせて使用することが好ましい。また、一般式(R2)で表される化合物以外の還元剤と組み合わせて使用することができる。
一般式(R2)で表される化合物と組み合わせて使用できる好ましい還元剤は、前述の一般式(R1)で表される化合物、及び後述の一般式(R)で表される化合物である。
一般式(R1)で表される化合物と一般式(R2)で表される化合物との比率((R1/(R2))は、一般式(R1)の説明で記載した値と同様である。
一般式(R1)及び/又は一般式(R2)で表される化合物と、一般式(R)で表される化合物とを組み合わせて使用する場合の比率は、一般式(R1)の説明で記載した値と同様である。
【0179】
5)R2化合物例
以下に本発明における一般式(R2)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0180】
【化76】
Figure 2004245885
【0181】
【化77】
Figure 2004245885
【0182】
【化78】
Figure 2004245885
【0183】
【化79】
Figure 2004245885
【0184】
【化80】
Figure 2004245885
【0185】
【化81】
Figure 2004245885
【0186】
【化82】
Figure 2004245885
【0187】
【化83】
Figure 2004245885
【0188】
(3)その他の還元剤
本発明において、一般式(R1)及び(R2)で表される化合物と併用できる還元剤としては、フェノール性水酸基のオルト位に置換基を有するいわゆるヒンダードフェノール系還元剤あるいはビスフェノール系還元剤が好ましく、下記一般式(R)で表される化合物がより好ましい。
一般式(R)
【0189】
【化84】
Figure 2004245885
【0190】
(一般式(R)において、R11およびR11’は、各々独立に炭素数1〜20のアルキル基を表す。R12およびR12’は、各々独立に水素原子又はベンゼン環に置換可能な置換基を表す。Lは、−S−基又は−CHR13−基を表す。R13は、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。XおよびX’は、各々独立に水素原子又はベンゼン環に置換可能な基を表す。)
【0191】
一般式(R)について詳細に説明する。
1)R11およびR11
11およびR11’は各々独立に置換又は無置換の炭素数1〜20のアルキル基であり、アルキル基の置換基は特に限定されることはないが、好ましくは、アリール基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、アシル基、カルバモイル基、エステル基、ウレイド基、ウレタン基、ハロゲン原子等があげられる。
【0192】
2)R12およびR12’、XおよびX
12およびR12’は各々独立に水素原子又はベンゼン環に置換可能な置換基であり、XおよびX’も各々独立に水素原子又はベンゼン環に置換可能な基を表す。それぞれベンゼン環に置換可能な基としては、好ましくはアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルアミノ基があげられる。
【0193】
3)L
Lは−S−基又は−CHR13−基を表す。R13は水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表し、アルキル基は置換基を有していてもよい。R13の無置換のアルキル基の具体例はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ウンデシル基、イソプロピル基、1−エチルペンチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基などがあげられる。 アルキル基の置換基の例はR11の置換基と同様で、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基などがあげられる。
【0194】
4)好ましい置換基
11およびR11’として好ましくは炭素数3〜15の2級又は3級のアルキル基であり、具体的にはイソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、t−アミル基、t−オクチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−メチルシクロプロピル基などがあげられる。R11およびR11’としてより好ましくは炭素数4〜12の3級アルキル基で、その中でもt−ブチル基、t−アミル基、1−メチルシクロヘキシル基が更に好ましく、t−ブチル基が最も好ましい。
【0195】
12およびR12’として好ましくは炭素数1〜20のアルキル基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−アミル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基、ベンジル基、メトキシメチル基、メトキシエチル基などがあげられる。より好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基である。
およびX’は、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基で、より好ましくは水素原子である。
【0196】
Lは好ましくは−CHR13−基である。
13として好ましくは水素原子又は炭素数1〜15のアルキル基であり、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、2,4,4−トリメチルペンチル基が好ましい。R13として特に好ましいのは水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基又はイソプロピル基である。
【0197】
13が水素原子である場合、R12およびR12’は好ましくは炭素数2〜5のアルキル基であり、エチル基、プロピル基がより好ましく、エチル基が最も好ましい。
13が炭素数1〜8の1級又は2級のアルキル基である場合、R12およびR12’はメチル基が好ましい。R13の炭素数1〜8の1級又は2級のアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基が更に好ましい。
11、R11’、R12およびR12’がいずれもメチル基である場合には、R13は2級のアルキル基であることが好ましい。この場合R13の2級アルキル基としてはイソプロピル基、イソブチル基、1−エチルペンチル基が好ましく、イソプロピル基がより好ましい。
上記還元剤はR11、R11’、R12、R12’およびR13の組み合わせにより、熱現像性、現像銀色調などが異なる。2種以上の還元剤を組み合わせることでこれらを調整することができるため、目的によっては2種以上を組み合わせて使用することが好ましい。
【0198】
以下に本発明の一般式(R)で表される化合物の具体例を示すが、本発明では、一般式(R1)及び(R2)で表される化合物と併用できる還元剤は、これらに限定されるものではない。
【0199】
【化85】
Figure 2004245885
【0200】
(4)還元剤の使用方法
本発明において還元剤の添加量は0.1〜3.0g/mであることが好ましく、より好ましくは0.2〜1.5g/mで、さらに好ましくは0.3〜1.0g/mである。画像形成層を有する面の銀1モルに対しては5〜50モル%含まれることが好ましく、より好ましくは8〜30モル%であり、10〜20モル%で含まれることがさらに好ましい。還元剤は画像形成層に含有させることが好ましい。
複数種の還元剤を併用する場合は、これらの合計添加量が上記範囲内にあることが好ましい。
還元剤は、支持体に対して画像形成層面のいかなる層に添加しても良いが、画像形成層又はそれに隣接する層が好ましく、画像形成層がより好ましい。
【0201】
還元剤は溶液形態、乳化分散形態、固体微粒子分散物形態など、いかなる方法で塗布液に含有せしめ、感光材料に含有させてもよい。
よく知られている乳化分散法としては、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製する方法が挙げられる。
【0202】
また、固体微粒子分散法としては、還元剤の粉末を水等の適当な溶媒中にボールミル、コロイドミル、振動ボールミル、サンドミル、ジェットミル、ローラーミルあるいは超音波によって分散し、固体分散物を作製する方法が挙げられる。尚、その際に保護コロイド(例えば、ポリビニルアルコール)、界面活性剤(例えばトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム(3つのイソプロピル基の置換位置が異なるものの混合物)などのアニオン性界面活性剤)を用いてもよい。上記ミル類では分散媒体としてジルコニア等のビーズが使われるのが普通であり、これらのビーズから溶出するZr等が分散物中に混入することがある。分散条件にもよるが通常は1ppm〜1000ppmの範囲である。感材中のZrの含有量が銀1g当たり0.5mg以下であれば実用上差し支えない。
水分散物には防腐剤(例えばベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩)を含有させることが好ましい。
特に好ましいのは、還元剤の固体粒子分散法であり、平均粒子サイズ0.01μm〜10μm、好ましくは0.05μm〜5μm、より好ましくは0.1μm〜2μmの微粒子して添加するのが好ましい。本願においては他の固体分散物もこの範囲の粒子サイズに分散して用いるのが好ましい。
【0203】
(有機銀塩の説明)
1)組成
本発明に用いることのできる有機銀塩は、光に対して比較的安定であるが、露光された感光性ハロゲン化銀及び還元剤の存在下で、80℃或いはそれ以上に加熱された場合に銀イオン供給体として機能し、銀画像を形成せしめる銀塩である。有機銀塩は還元剤により還元されうる銀イオンを供給できる任意の有機物質であってよい。このような非感光性の有機銀塩については、特開平10−62899号の段落番号0048〜0049、欧州特許公開第0803764A1号の第18ページ第24行〜第19ページ第37行、欧州特許公開第0962812A1号、特開平11−349591号、特開2000−7683号、同2000−72711号等に記載されている。有機酸の銀塩、特に(炭素数が10〜30、好ましくは15〜28の)長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩が好ましい。脂肪酸銀塩の好ましい例としては、リグノセリン酸銀、ベヘン酸銀、アラキジン酸銀、ステアリン酸銀、オレイン酸銀、ラウリン酸銀、カプロン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミチン酸銀、エルカ酸銀およびこれらの混合物などを含む。本発明においては、これら脂肪酸銀の中でも、ベヘン酸銀含有率が好ましくは50モル%以上100モル%以下、より好ましくは85モル%以上100モル%以下、さらに好ましくは95モル%以上100モル%以下の脂肪酸銀を用いることが好ましい。更に、エルカ酸銀含有率が2モル%以下、より好ましくは1モル%以下、更に好ましくは0.1モル%以下の脂肪酸銀を用いることが好ましい。
【0204】
また、ステアリン酸銀含有率が1モル%以下であることが好ましい。前記ステアリン酸銀含有率を1モル%以下とすることにより、Dminが低く、高感度で画像保存性に優れた有機酸の銀塩が得られる。前記ステアリン酸銀含有率としては、0.5モル%以下が好ましく、実質的に含まないことが特に好ましい。
【0205】
さらに、有機酸の銀塩としてアラキジン酸銀を含む場合は、アラキジン酸銀含有率が6モル%以下であることが、低いDminを得ること及び画像保存性の優れた有機酸の銀塩を得る点で好ましく、3モル%以下であることが更に好ましい。
【0206】
2)形状
本発明に用いることができる有機銀塩の形状としては特に制限はなく、針状、棒状、平板状、りん片状いずれでもよい。
本発明においてはりん片状の有機銀塩が好ましい。また、長軸と単軸の長さの比が5以下の短針状、直方体、立方体又はジャガイモ状の不定形粒子も好ましく用いられる。これらの有機銀粒子は長軸と単軸の長さの比が5以上の長針状粒子に比べて熱現像時のカブリが少ないという特徴を有している。特に、長軸と単軸の比が3以下の粒子は塗布膜の機械的安定性が向上し好ましい。本明細書において、りん片状の有機銀塩とは、次のようにして定義する。有機酸銀塩を電子顕微鏡で観察し、有機酸銀塩粒子の形状を直方体と近似し、この直方体の辺を一番短かい方からa、b、cとした(cはbと同じであってもよい。)とき、短い方の数値a、bで計算し、次のようにしてxを求める。
x=b/a
【0207】
このようにして200個程度の粒子についてxを求め、その平均値x(平均)としたとき、x(平均)≧1.5の関係を満たすものをりん片状とする。好ましくは30≧x(平均)≧1.5、より好ましくは15≧x(平均)≧1.5である。因みに針状とは1≦x(平均)<1.5である。
【0208】
りん片状粒子において、aはbとcを辺とする面を主平面とした平板状粒子の厚さとみることができる。aの平均は0.01μm以上0.3μm以下が好ましく0.1μm以上0.23μm以下がより好ましい。c/bの平均は1以上9以下であることが好ましく、より好ましくは1以上6以下、さらに好ましくは1以上4以下、最も好ましくは1以上3以下である。
【0209】
前記球相当直径を0.05μm以上1μm以下とすることにより、感光材料中で凝集を起こしにくく、画像保存性が良好となる。前記球相当直径としては、0.1μm以上1μm以下が好ましい。本発明において、球相当直径の測定方法は、電子顕微鏡を用いて直接サンプルを撮影し、その後、ネガを画像処理することによって求められる。
前記リン片状粒子において、粒子の球相当直径/aをアスペクト比と定義する。リン片状粒子のアスペクト比としては、感光材料中で凝集を起こしにくく、画像保存性が良好となる観点から、1.1以上30以下であることが好ましく、1.1以上15以下がより好ましい。
【0210】
有機銀塩の粒子サイズ分布は単分散であることが好ましい。単分散とは短軸、長軸それぞれの長さの標準偏差を短軸、長軸それぞれで割った値の100分率が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは50%以下である。有機銀塩の形状の測定方法としては有機銀塩分散物の透過型電子顕微鏡像より求めることができる。単分散性を測定する別の方法として、有機銀塩の体積加重平均直径の標準偏差を求める方法があり、体積加重平均直径で割った値の百分率(変動係数)が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは50%以下である。測定方法としては例えば液中に分散した有機銀塩にレーザー光を照射し、その散乱光のゆらぎの時間変化に対する自己相関関数を求めることにより得られた粒子サイズ(体積加重平均直径)から求めることができる。
【0211】
3)調製
本発明に用いられる有機酸銀の製造及びその分散法は、公知の方法等を適用することができる。例えば上記の特開平10−62899号、欧州特許公開第0803763A1、欧州特許公開第0962812A1号、特開平11−349591号、特開2000−7683号、同2000−72711号、同2001−163889号、同2001−163890号、同2001−163827号、同2001−33907号、同2001−188313号、同2001−83652号、同2002−6442、同2002−49117号、同2002−31870号、同2002−107868号等を参考にすることができる。
【0212】
なお、有機銀塩の分散時に、感光性銀塩を共存させると、カブリが上昇し、感度が著しく低下するため、分散時には感光性銀塩を実質的に含まないことがより好ましい。本発明では、分散される水分散液中での感光性銀塩量は、その液中の有機酸銀塩1molに対し1mol%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1mol%以下であり、さらに好ましいのは積極的な感光性銀塩の添加を行わないものである。
【0213】
本発明において有機銀塩水分散液と感光性銀塩水分散液を混合して感光材料を製造することが可能であるが、有機銀塩と感光性銀塩の混合比率は目的に応じて選べるが、有機銀塩に対する感光性銀塩の割合は1〜30モル%の範囲が好ましく、更に2〜20モル%、特に3〜15モル%の範囲が好ましい。混合する際に2種以上の有機銀塩水分散液と2種以上の感光性銀塩水分散液を混合することは、写真特性の調節のために好ましく用いられる方法である。
【0214】
4)添加量
本発明の有機銀塩は所望の量で使用できるが、ハロゲン化銀も含めた全塗布銀量として0.1〜5.0g/mが好ましく、より好ましくは0.5〜3.0g/mである。さらに画像保存性を向上させるためには、全塗布銀量が1.9g/m以下であることが最も好ましい。
本発明の好ましい還元剤を使用すれば、全塗布銀量が1.7g/m以下、さらには1.5g/m以下のような低銀量においても十分な画像濃度を得ることが可能である。
【0215】
5)銀現像率
熱現像感光材料の塗布膜中の銀塩は、熱現像すると還元剤によって金属銀に還元され、画像を形成する。画像への銀の利用効率を一般に銀現像率と称する。
本発明では、銀現像率を熱現像感光材料中の単位面積あたりの全銀量(有機銀塩とハロゲン化銀の合計)のモル数をAとし、熱現像により還元銀になった銀の単位面積あたりのモル数をBとしたときに、B/A×100と定義する。
具体的に銀現像率を求める方法としては、まず還元銀のモル数Bを求める。最大濃度を与えるように露光と現像を行った熱現像感光材料を2,2’−(エチレンジチオ)ジエタノールの10質量%メタノール溶液に1時間浸漬することにより未現像の有機銀塩と感光性ハロゲン化銀を定着する。ついでメタノール溶液により洗浄し、乾燥させる。これを蛍光X線強度により単位面積あたりの銀量を測定する。あらかじめ塗布銀量が既知のもので検量線を求めることにより求めることができる。つぎに熱現像感光材料中の全銀量のモル数Aを求める方法としては、未現像の熱現像感光材料を用いて、蛍光X線強度により全塗布銀量を求めることにより得られる。
【0216】
本発明の熱現像感光材料は、最大濃度における銀現像率が70%以上であることが好ましい。より好ましくは80%以上である。
【0217】
銀現像率が高いほど、有機銀塩の利用効率が高く、より少ない有機銀塩量でより高い最大濃度が得られるので好ましい。本発明者らは、銀現像率について鋭意解析を進めた結果、有機ポリハロゲン化合物が、有機銀塩の一部をハロゲン化銀に変換したり、還元された金属銀をハロゲン化銀に変換し、銀現像率を低くしている原因であることが分かった。加えて、充分に現像を行うことで銀現像率が高くなるが、最適な写真性(例えば、かぶり、画像色調、又は階調など)は、それより低い銀現像率の現像条件で得られることなども判明した。従って、熱現像感光材料の保存安定性、写真性能、及び迅速現像性などの特性を維持し、かつ銀現像率を高めることは、熱現像感光材料の設計において常に要求される課題であった。
特に、写真特性の中でも、画像色調は、銀現像率の依存性が大きく、最適な現像銀の色調を得ながら同時に高い銀現像率を得ることは容易ではなかった。
【0218】
本発明においては、本発明に係る還元剤である一般式(R1)及び/又は(R2)を用いることにより良好な銀の色調を得ながら同時に高い銀現像率を得ることができた。
【0219】
(現像促進剤の説明)
本発明の熱現像感光材料では、現像促進剤として特開2000−267222号明細書や特開2000−330234号明細書等に記載の一般式(A)で表されるスルホンアミドフェノール系の化合物、特開平2001−92075記載の一般式(II)で表されるヒンダードフェノール系の化合物、特開平10−62895号明細書や特開平11−15116号明細書等に記載の一般式(I)、特開2002−156727号の一般式(D)や特願2001−074278号明細書に記載の一般式(1)で表されるヒドラジン系の化合物、特開2001−264929号明細書に記載されている一般式(2)で表されるフェノール系又はナフトール系の化合物が好ましく用いられる。これらの現像促進剤は還元剤に対して0.1〜20モル%の範囲で使用され、好ましくは0.5〜10モル%の範囲で、より好ましくは1〜5モル%の範囲である。感材への導入方法は還元剤同様の方法があげられるが、特に固体分散物又は乳化分散物として添加することが好ましい。乳化分散物として添加する場合、常温で固体である高沸点溶剤と低沸点の補助溶剤を使用して分散した乳化分散物として添加するか、もしくは高沸点溶剤を使用しない所謂オイルレス乳化分散物として添加することが好ましい。
本発明においては上記現像促進剤の中でも、特開2002−156727号明細書に記載の一般式(D)で表されるヒドラジン系の化合物および特開2001−264929号明細書に記載されている一般式(2)で表されるフェノール系又はナフトール系の化合物がより好ましい。
【0220】
本発明の特に好ましい現像促進剤は下記一般式(A−1)および(A−2)で表される化合物である。
一般式(A−1)
−NHNH−Q
(式中、Qは炭素原子で−NHNH−Qと結合する芳香族基、又はヘテロ環基を表し、Qはカルバモイル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホニル基、又はスルファモイル基を表す。)
【0221】
一般式(A−1)において、Qで表される芳香族基又はヘテロ環基としては5〜7員の不飽和環が好ましい。好ましい例としては、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、1,2,4−トリアジン環、1,3,5−トリアジン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、1,2,3−トリアゾール環、1,2,4−トリアゾール環、テトラゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、1,2,5−チアジアゾール環、1,3,4−オキサジアゾール環、1,2,4−オキサジアゾール環、1,2,5−オキサジアゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、イソチアゾール環、イソオキサゾール環、チオフェン環などが好ましく、さらにこれらの環が互いに縮合した縮合環も好ましい。
【0222】
これらの環は置換基を有していてもよく、2個以上の置換基を有する場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、カルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、カルバモイル基、スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、およびアシル基を挙げることができる。これらの置換基が置換可能な基である場合、さらに置換基を有してもよく、好ましい置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、カルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、およびアシルオキシ基を挙げることができる。
【0223】
で表されるカルバモイル基は、好ましくは炭素数1〜50、より好ましくは炭素数6〜40のカルバモイル基であり、例えば、無置換カルバモイル、メチルカルバモイル、N−エチルカルバモイル、N−プロピルカルバモイル、N−sec−ブチルカルバモイル、N−オクチルカルバモイル、N−シクロヘキシルカルバモイル、N−tert−ブチルカルバモイル、N−ドデシルカルバモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)カルバモイル、N−オクタデシルカルバモイル、N−{3−(2,4−tert−ペンチルフェノキシ)プロピル}カルバモイル、N−(2−ヘキシルデシル)カルバモイル、N−フェニルカルバモイル、N−(4−ドデシルオキシフェニル)カルバモイル、N−(2−クロロ−5−ドデシルオキシカルボニルフェニル)カルバモイル、N−ナフチルカルバモイル、N−3−ピリジルカルバモイル、N−ベンジルカルバモイルが挙げられる。
【0224】
で表されるアシル基は、好ましくは炭素数1〜50、より好ましくは炭素数6〜40のアシル基であり、例えば、ホルミル、アセチル、2−メチルプロパノイル、シクロヘキシルカルボニル、オクタノイル、2−ヘキシルデカノイル、ドデカノイル、クロロアセチル、トリフルオロアセチル、ベンゾイル、4−ドデシルオキシベンゾイル、2−ヒドロキシメチルベンゾイルが挙げられる。Q2で表されるアルコキシカルボニル基は、好ましくは炭素数2〜50、より好ましくは炭素数6〜40のアルコキシカルボニル基であり、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソブチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、ドデシルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルが挙げられる。
【0225】
で表されるアリールオキシカルボニル基は、好ましくは炭素数7〜50、より好ましくは炭素数7〜40のアリールオキシカルボニル基で、例えば、フェノキシカルボニル、4−オクチルオキシフェノキシカルボニル、2−ヒドロキシメチルフェノキシカルボニル、4−ドデシルオキシフェノキシカルボニルが挙げられる。Q2で表されるスルホニル基は、好ましくは炭素数1〜50、より好ましくは炭素数6〜40のスルホニル基で、例えば、メチルスルホニル、ブチルスルホニル、オクチルスルホニル、2−ヘキサデシルスルホニル、3−ドデシルオキシプロピルスルホニル、2−オクチルオキシ−5−tert−オクチルフェニルスルホニル、4−ドデシルオキシフェニルスルホニルが挙げられる。
【0226】
で表されるスルファモイル基は、好ましくは炭素数0〜50、より好ましくは炭素数6〜40のスルファモイル基で、例えば、無置換スルファモイル、N−エチルスルファモイル基、N−(2−エチルヘキシル)スルファモイル、N−デシルスルファモイル、N−ヘキサデシルスルファモイル、N−{3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピル}スルファモイル、N−(2−クロロ−5−ドデシルオキシカルボニルフェニル)スルファモイル、N−(2−テトラデシルオキシフェニル)スルファモイルが挙げられる。Qで表される基は、さらに、置換可能な位置に前記のQで表される5〜7員の不飽和環の置換基の例として挙げた基を有していてもよく、2個以上の置換基を有する場合には、それ等の置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0227】
次に、式(A−1)で表される化合物の好ましい範囲について述べる。Qとしては5〜6員の不飽和環が好ましく、ベンゼン環、ピリミジン環、1,2,3−トリアゾール環、1,2,4−トリアゾール環、テトラゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、1,3,4−オキサジアゾール環、1,2,4−オキサジアゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、イソチアゾール環、イソオキサゾール環、およびこれらの環がベンゼン環もしくは不飽和ヘテロ環と縮合した環が更に好ましい。また、Qはカルバモイル基が好ましく、特に窒素原子上に水素原子を有するカルバモイル基が好ましい。
【0228】
一般式(A−2)
【化86】
Figure 2004245885
【0229】
一般式(A−2)においてRはアルキル基、アシル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基を表す。Rは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルオキシ基、炭酸エステル基を表す。R、Rはそれぞれ一般式(A−1)の置換基例で挙げたベンゼン環に置換可能な基を表す。RとRは互いに連結して縮合環を形成してもよい。
は好ましくは炭素数1〜20のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−オクチル基、シクロヘキシル基など)、アシルアミノ基(例えばアセチルアミノ基、ベンソイルアミノ基、メチルウレイド基、4−シアノフェニルウレイド基など)、カルバモイル基(n−ブチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基、2−クロロフェニルカルバモイル基、2,4−ジクロロフェニルカルバモイル基など)でアシルアミノ基(ウレイド基、ウレタン基を含む)がより好ましい。R2は好ましくはハロゲン原子(より好ましくは塩素原子、臭素原子)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、ブトキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−デシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ベンジルオキシ基など)、アリールオキシ基(フェノキシ基、ナフトキシ基など)である。
は好ましくは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基であり、ハロゲン原子がもっとも好ましい。Rは水素原子、アルキル基、アシルアミノ基が好ましく、アルキル基又はアシルアミノ基がより好ましい。これらの好ましい置換基の例はRと同様である。Rがアシルアミノ基である場合RはRと連結してカルボスチリル環を形成することも好ましい。
【0230】
一般式(A−2)においてRとRが互いに連結して縮合環を形成する場合、縮合環としてはナフタレン環が特に好ましい。ナフタレン環には一般式(A−1)で挙げた置換基例と同じ置換基が結合していてもよい。一般式(A−2)がナフトール系の化合物であるとき、Rはカルバモイル基であることが好ましい。その中でもベンゾイル基であることが特に好ましい。Rはアルコキシ基、アリールオキシ基であることが好ましく、アルコキシ基であることが特に好ましい。
【0231】
以下、本発明の現像促進剤の好ましい具体例を挙げる。本発明はこれらに限定されるものではない。
【0232】
【化87】
Figure 2004245885
【0233】
(水素結合性化合物の説明)
本発明における還元剤が芳香族性の水酸基(−OH)又はアミノ基(−NHR、Rは水素原子又はアルキル基)を有する場合、特に前述のビスフェノール類の場合には、これらの基と水素結合を形成することが可能な基を有する非還元性の化合物を併用することが好ましい。
水酸基又はアミノ基と水素結合を形成する基としては、ホスホリル基、スルホキシド基、スルホニル基、カルボニル基、アミド基、エステル基、ウレタン基、ウレイド基、3級アミノ基、含窒素芳香族基などが挙げられる。その中でも好ましいのはホスホリル基、スルホキシド基、アミド基(但し、>N−H基を持たず、>N−Ra(RaはH以外の置換基)のようにブロックされている。)、ウレタン基(但し、>N−H基を持たず、>N−Ra(RaはH以外の置換基)のようにブロックされている。)、ウレイド基(但し、>N−H基を持たず、>N−Ra(RaはH以外の置換基)のようにブロックされている。)を有する化合物である。
本発明で、特に好ましい水素結合性の化合物は下記一般式(D)で表される化合物である。
一般式(D)
【0234】
【化88】
Figure 2004245885
【0235】
一般式(D)においてR21ないしR23は各々独立にアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基又はヘテロ環基を表し、これらの基は無置換であっても置換基を有していてもよい。
21ないしR23が置換基を有する場合の置換基としてはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基、アシル基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホンアミド基、アシルオキシ基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、ホスホリル基などがあげられ、置換基として好ましいのはアルキル基又はアリール基でたとえばメチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−オクチル基、フェニル基、4−アルコキシフェニル基、4−アシルオキシフェニル基などがあげられる。
21ないしR23のアルキル基としては具体的にはメチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、ドデシル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−アミル基、t−オクチル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基、ベンジル基、フェネチル基、2−フェノキシプロピル基などがあげられる。
アリール基としてはフェニル基、クレジル基、キシリル基、ナフチル基、4−t−ブチルフェニル基、4−t−オクチルフェニル基、4−アニシジル基、3,5−ジクロロフェニル基などが挙げられる。
アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、4−メチルシクロヘキシルオキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。
アリールオキシ基としてはフェノキシ基、クレジルオキシ基、イソプロピルフェノキシ基、4−t−ブチルフェノキシ基、ナフトキシ基、ビフェニルオキシ基等が挙げられる。
アミノ基としてはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジオクチルアミノ基、N−メチル−N−ヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ジフェニルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基等が挙げられる。
【0236】
21ないしR23としてはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基が好ましい。本発明の効果の点ではR21ないしR23のうち少なくとも一つ以上がアルキル基又はアリール基であることが好ましく、二つ以上がアルキル基又はアリール基であることがより好ましい。また、安価に入手する事ができるという点ではR21ないしR23が同一の基である場合が好ましい。
以下に本発明における一般式(D)の化合物をはじめとする水素結合性化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0237】
【化89】
Figure 2004245885
【0238】
水素結合性化合物の具体例は上述の他に欧州特許1096310号明細書、特開2002−156727号、特願2001−124796号に記載のものがあげられる。
本発明の一般式(D)の化合物は、還元剤と同様に溶液形態、乳化分散形態、固体分散微粒子分散物形態で塗布液に含有せしめ、感光材料中で使用することができるが、固体分散物として使用することが好ましい。本発明の化合物は、溶液状態でフェノール性水酸基、アミノ基を有する化合物と水素結合性の錯体を形成しており、還元剤と本発明の一般式(D)の化合物との組み合わせによっては錯体として結晶状態で単離することができる。
このようにして単離した結晶粉体を固体分散微粒子分散物として使用することは安定した性能を得る上で特に好ましい。また、還元剤と本発明の一般式(D)の化合物を粉体で混合し、適当な分散剤を使って、サンドグラインダーミル等で分散時に錯形成させる方法も好ましく用いることができる。
本発明の一般式(D)の化合物は還元剤に対して、1〜200モル%の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは10〜150モル%の範囲で、さらに好ましくは20〜100モル%の範囲である。
【0239】
(ハロゲン化銀の説明)
1)ハロゲン組成
本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀は、ハロゲン組成として特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、臭化銀、ヨウ臭化銀、ヨウ塩臭化銀、ヨウ化銀を用いることができる。その中でも臭化銀、ヨウ臭化銀およびヨウ化銀が好ましい。粒子内におけるハロゲン組成の分布は均一であってもよく、ハロゲン組成がステップ状に変化したものでもよく、或いは連続的に変化したものでもよい。また、コア/シェル構造を有するハロゲン化銀粒子を好ましく用いることができる。構造として好ましいものは2〜5重構造であり、より好ましくは2〜4重構造のコア/シェル粒子を用いることができる。また塩化銀、臭化銀又は塩臭化銀粒子の表面に臭化銀やヨウ化銀を局在させる技術も好ましく用いることができる。
【0240】
2)粒子形成方法
感光性ハロゲン化銀の形成方法は当業界ではよく知られており、例えば、リサーチディスクロージャー1978年6月の第17029号、および米国特許第3,700,458号に記載されている方法を用いることができるが、具体的にはゼラチンあるいは他のポリマー溶液中に銀供給化合物及びハロゲン供給化合物を添加することにより感光性ハロゲン化銀を調製し、その後で有機銀塩と混合する方法を用いる。また、特開平11−119374号公報の段落番号0217〜0224に記載されている方法、特開平11−352627、特開2000−347335号記載の方法も好ましい。
【0241】
3)粒子サイズ
感光性ハロゲン化銀の粒子サイズは、画像形成後の白濁を低く抑える目的のために小さいことが好ましく具体的には0.20μm以下、より好ましくは0.01μm以上0.15μm以下、更に好ましくは0.02μm以上0.12μm以下がよい。ここでいう粒子サイズとは、ハロゲン化銀粒子の投影面積(平板粒子の場合は主平面の投影面積)と同面積の円像に換算したときの直径をいう。
【0242】
4)粒子形状
ハロゲン化銀粒子の形状としては立方体、八面体、平板状粒子、球状粒子、棒状粒子、ジャガイモ状粒子等を挙げることができるが、本発明においては特に立方体状粒子が好ましい。ハロゲン化銀粒子のコーナーが丸まった粒子も好ましく用いることができる。感光性ハロゲン化銀粒子の外表面の面指数(ミラー指数)については特に制限はないが、分光増感色素が吸着した場合の分光増感効率が高い{100}面の占める割合が高いことが好ましい。その割合としては50%以上が好ましく、65%以上がより好ましく、80%以上が更に好ましい。ミラー指数{100}面の比率は増感色素の吸着における{111}面と{100}面との吸着依存性を利用したT.Tani;J.Imaging Sci.,29、165(1985年)に記載の方法により求めることができる。
【0243】
5)重金属
本発明の感光性ハロゲン化銀粒子は、周期律表(第1〜18族までを示す)の第8族〜第10族の金属又は金属錯体を含有することができる。周期律表の第8族〜第10族の金属又は金属錯体の中心金属として好ましくは、ロジウム、ルテニウム、イリジウムである。これら金属錯体は1種類でもよいし、同種金属及び異種金属の錯体を2種以上併用してもよい。好ましい含有率は銀1モルに対し1×10−9モルから1×10−3モルの範囲が好ましい。これらの重金属や金属錯体及びそれらの添加法については特開平7−225449号、特開平11−65021号段落番号0018〜0024、特開平11−119374号段落番号0227〜0240に記載されている。
【0244】
本発明においては、六シアノ金属錯体を粒子最表面に存在させたハロゲン化銀粒子が好ましい。六シアノ金属錯体としては、[Fe(CN)4−、[Fe(CN)3−、[Ru(CN)4−、[Os(CN)4−、[Co(CN)3−、[Rh(CN)3−、[Ir (CN)3−、[Cr(CN)3−、[Re(CN)3−などが挙げられる。本発明においては六シアノFe錯体が好ましい。
【0245】
六シアノ金属錯体は、水溶液中でイオンの形で存在するので対陽イオンは重要ではないが、水と混和しやすく、ハロゲン化銀乳剤の沈澱操作に適合しているナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオンおよびリチウムイオン等のアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、アルキルアンモニウムイオン(例えばテトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラプロピルアンモニウムイオン、テトラ(n−ブチル)アンモニウムイオン)を用いることが好ましい。
【0246】
六シアノ金属錯体は、水の他に水と混和しうる適当な有機溶媒(例えば、アルコール類、エーテル類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類等)との混合溶媒やゼラチンと混和して添加することができる。
【0247】
六シアノ金属錯体の添加量は、銀1モル当たり1×10−5モル以上1×10−2モル以下が好ましく、より好ましくは1×10−4モル以上1×10−3モル以下である。
【0248】
六シアノ金属錯体をハロゲン化銀粒子最表面に存在させるには、六シアノ金属錯体を、粒子形成に使用する硝酸銀水溶液を添加終了した後、硫黄増感、セレン増感およびテルル増感のカルコゲン増感や金増感等の貴金属増感を行う化学増感工程の前までの仕込工程終了前、水洗工程中、分散工程中、又は化学増感工程前に直接添加する。ハロゲン化銀微粒子を成長させないためには、粒子形成後速やかに六シアノ金属錯体を添加することが好ましく、仕込工程終了前に添加することが好ましい。
【0249】
尚、六シアノ金属錯体の添加は、粒子形成をするために添加する硝酸銀の総量の96質量%を添加した後から開始してもよく、98質量%添加した後から開始するのがより好ましく、99質量%添加した後が特に好ましい。
【0250】
これら六シアノ金属錯体を粒子形成の完了する直前の硝酸銀水溶液を添加した後に添加すると、ハロゲン化銀粒子最表面に吸着することができ、そのほとんどが粒子表面の銀イオンと難溶性の塩を形成する。この六シアノ鉄(II)の銀塩は、AgIよりも難溶性の塩であるため、微粒子による再溶解を防ぐことができ、粒子サイズが小さいハロゲン化銀微粒子を製造することが可能となった。
【0251】
さらに本発明に用いられるハロゲン化銀粒子に含有することのできる金属原子(例えば[Fe(CN)4−)、ハロゲン化銀乳剤の脱塩法や化学増感法については特開平11−84574号段落番号0046〜0050、特開平11−65021号段落番号0025〜0031、特開平11−119374号段落番号0242〜0250に記載されている。
【0252】
6)ゼラチン
本発明に用いる感光性ハロゲン化銀乳剤に含有されるゼラチンとしては、種々のゼラチンが使用することができる。感光性ハロゲン化銀乳剤の有機銀塩含有塗布液中での分散状態を良好に維持することが必要であり、分子量は、10,000〜1,000,000のゼラチンを使用することが好ましい。また、ゼラチンの置換基をフタル化処理することも好ましい。これらのゼラチンは粒子形成時あるいは脱塩処理後の分散時に使用してもよいが、粒子形成時に使用することが好ましい。
【0253】
7)増感色素
本発明に適用できる増感色素としてはハロゲン化銀粒子に吸着した際、所望の波長領域でハロゲン化銀粒子を分光増感できるもので、露光光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択することができる。増感色素及び添加法については、特開平11−65021号の段落番号0103〜0109、特開平10−186572号一般式(II)で表される化合物、特開平11−119374号の一般式(I)で表される色素及び段落番号0106、米国特許第5,510,236号、同第3,871,887号実施例5に記載の色素、特開平2−96131号、特開昭59−48753号に開示されている色素、欧州特許公開第0803764A1号の第19ページ第38行〜第20ページ第35行、特開2001−272747号、特開2001−290238号、特開2002−23306号等に記載されている。これらの増感色素は単独で用いてもよく、2種以上組合せて用いてもよい。本発明において増感色素をハロゲン化銀乳剤中に添加する時期は、脱塩工程後、塗布までの時期が好ましく、より好ましくは脱塩後から化学熟成が終了する前までの時期である。
本発明における増感色素の添加量は、感度やカブリの性能に合わせて所望の量にすることができるが、画像形成層のハロゲン化銀1モル当たり10−6〜1モルが好ましく、さらに好ましくは10−4〜10−1モルである。
【0254】
本発明は分光増感効率を向上させるため、強色増感剤を用いることができる。本発明に用いる強色増感剤としては、欧州特許公開第587,338号、米国特許第3,877,943号、同第4,873,184号、特開平5−341432号、同11−109547号、同10−111543号等に記載の化合物が挙げられる。
【0255】
8)化学増感
本発明における感光性ハロゲン化銀粒子は、硫黄増感法、セレン増感法もしくはテルル増感法にて化学増感されていることが好ましい。硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法に好ましく用いられる化合物としては公知の化合物、例えば、特開平7−128768号等に記載の化合物等を使用することができる。特に本発明においてはテルル増感が好ましく、特開平11−65021号段落番号0030に記載の文献に記載の化合物、特開平5−313284号中の一般式(II),(III),(IV)で示される化合物がより好ましい。
【0256】
本発明における感光性ハロゲン化銀粒子は、上記カルコゲン増感と組み合わせて、あるいは単独で金増感法にて化学増感されていることが好ましい。金増感剤としては、金の価数が+1価又は+3価が好ましく、金増感剤としては通常用いられる金化合物が好ましい。代表的な例としては塩化金酸、臭化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムブロロオーレート、オーリックトリクロライド、カリウムオーリックチオシアネート、カリウムヨードオーレート、テトラシアノオーリックアシド、アンモニウムオーロチオシアネート、ピリジルトリクロロゴールドなどが好ましい。また、米国特許第5858637号、特願2001−79450号に記載の金増感剤も好ましく用いられる。
【0257】
本発明においては、化学増感は粒子形成後で塗布前であればいかなる時期でも可能であり、脱塩後、(1)分光増感前、(2)分光増感と同時、(3)分光増感後、(4)塗布直前等があり得る。
本発明で用いられる硫黄、セレンおよびテルル増感剤の使用量は、使用するハロゲン化銀粒子、化学熟成条件等によって変わるが、ハロゲン化銀1モル当たり10−8〜10−2モル、好ましくは10−7〜10−3モル程度を用いる。
金増感剤の添加量は種々の条件により異なるが、目安としてはハロゲン化銀1モル当たり10−7モルから10−3モル、より好ましくは10−6モル〜5×10−4モルである。
本発明における化学増感の条件としては特に制限はないが、pHとしては5〜8、pAgとしては6〜11、温度としては40〜95℃程度である。
本発明で用いるハロゲン化銀乳剤には、欧州特許公開第293,917号公報に示される方法により、チオスルホン酸化合物を添加してもよい。
【0258】
本発明における感光性ハロゲン化銀粒子は、還元剤を用いることが好ましい。還元増感法の具体的な化合物としてはアスコルビン酸、二酸化チオ尿素が好ましく、その他に塩化第一スズ、アミノイミノメタンスルフィン酸、ヒドラジン誘導体、ボラン化合物、シラン化合物、ポリアミン化合物等を用いることが好ましい。還元増感剤の添加は、結晶成長から塗布直前の調製工程までの感光乳剤製造工程のどの過程でも良い。また、乳剤のpHを7以上又はpAgを8.3以下に保持して熟成することにより還元増感することが好ましく、粒子形成中に銀イオンのシングルアディション部分を導入することにより還元増感することも好ましい。
【0259】
9)1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物
本発明における熱現像感光材料は、1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物を含有することが好ましい。該化合物は、単独、あるいは前記の種々の化学増感剤と併用して用いられ、ハロゲン化銀の感度増加をもたらすことができる。
【0260】
本発明の熱現像感光材料に含有される1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物とは以下のタイプ1〜5から選ばれる化合物である。
【0261】
(タイプ1)
1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合開裂反応を伴って、さらに2電子以上の電子を放出し得る化合物。
(タイプ2)
1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合開裂反応を伴って、さらにもう1電子を放出し得る化合物で、かつ同じ分子内にハロゲン化銀への吸着性基を2つ以上有する化合物。
(タイプ3)
1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合形成過程を経た後に、さらに1電子又はそれ以上の電子を放出し得る化合物。
(タイプ4)
1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く分子内の環開裂反応を経た後に、さらに1電子又はそれ以上の電子を放出し得る化合物。
(タイプ5)
X−Yで表される化合物においてXは還元性基を、Yは脱離基を表し、Xで表される還元性基が1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続くX−Y結合の開裂反応を伴ってYを脱離してXラジカルを生成し、そこからさらにもう1電子を放出し得る化合物。
【0262】
上記タイプ1およびタイプ3〜5の化合物のうち好ましいものは、「分子内にハロゲン化銀への吸着性基を有する化合物」であるか、又は「分子内に、分光増感色素の部分構造を有する化合物」である。より好ましくは「分子内にハロゲン化銀への吸着性基を有する化合物」である。タイプ1〜4の化合物はより好ましくは「2つ以上のメルカプト基で置換された含窒素ヘテロ環基を吸着性基として有する化合物」である。
【0263】
タイプ1〜5の化合物について詳細に説明する。
タイプ1の化合物において「結合開裂反応」とは具体的に炭素−炭素、炭素−ケイ素、炭素−水素、炭素−ホウ素、炭素−スズ、炭素−ゲルマニウムの各元素間の結合の開裂を意味し、炭素−水素結合の開裂がさらにこれらに付随してもよい。タイプ1の化合物は1電子酸化されて1電子酸化体となった後に、初めて結合開裂反応を伴って、さらに2電子以上(好ましくは3電子以上)の電子を放出し得る化合物である。
【0264】
タイプ1の化合物のうち好ましい化合物は一般式(A)、一般式(B)、一般式(1)、一般式(2)又は一般式(3)で表される。
【0265】
一般式(A)
【化90】
Figure 2004245885
【0266】
一般式(B)
【化91】
Figure 2004245885
【0267】
一般式(A)においてRED11は1電子酸化され得る還元性基を表し、L11は脱離基を表す。R112は水素原子又は置換基を表す。R111は炭素原子(C)およびRED11と共に、5員もしくは6員の芳香族環(芳香族ヘテロ環を含む)のテトラヒドロ体、ヘキサヒドロ体、もしくはオクタヒドロ体に相当する環状構造を形成し得る非金属原子団を表す。
【0268】
一般式(B)においてRED12は1電子酸化され得る還元性基を表し、L12は脱離基を表す。R121およびR122は、それぞれ水素原子又は置換基を表す。ED12は電子供与性基を表す。一般式(B)においてR121とRED12、R121とR122、又はED12とRED12とは、互いに結合して環状構造を形成していてもよい。
【0269】
これら一般式(A)又は一般式(B)で表される化合物は、RED11又はRED12で表される還元性基が1電子酸化された後、自発的にL11又はL12を結合開裂反応により離脱することで、これに伴いさらに電子を2つ以上、好ましくは3つ以上放出し得る化合物である。
【0270】
一般式(1)、一般式(2)、一般式(3)
【化92】
Figure 2004245885
【0271】
一般式(1)においてZは窒素原子およびベンゼン環の2つの炭素原子と共に6員環を形成し得る原子団を表し、R、R、RN1はそれぞれ水素原子又は置換基を表し、Xはベンゼン環に置換可能な置換基を表し、mは0〜3の整数を表し、Lは脱離基を表す。一般式(2)においてED21は電子供与性基を表し、R11、R12、RN21、R13、R14はそれぞれ水素原子又は置換基を表し、X21はベンゼン環に置換可能な置換基を表し、m21は0〜3の整数を表し、L21は脱離基を表す。RN21、R13、R14、X21およびED21は、互いに結合して環状構造を形成していてもよい。一般式(3)においてR32、R33、R31、RN31、R、Rはそれぞれ水素原子又は置換基を表し、L31は脱離基を表す。但しRN31がアリール基以外の基を表す時、RおよびRは互いに結合して芳香族環を形成する。
【0272】
これら化合物は1電子酸化された後、自発的にL、L21、又はL31を結合開裂反応により離脱することで、これに伴いさらに電子を2つ以上、好ましくは3つ以上放出し得る化合物である。
【0273】
以下、先ず一般式(A)で表される化合物について詳しく説明する。
一般式(A)においてRED11で表される1電子酸化され得る還元性基は、後述するR111と結合して特定の環形成をし得る基であり、具体的には次の1価基から環形成をするのに適切な箇所の水素原子1個を除いた2価基が挙げられる。例えば、アルキルアミノ基、アリールアミノ基(アニリノ基、ナフチルアミノ基等)、ヘテロ環アミノ基(ベンズチアゾリルアミノ基、ピロリルアミノ基等)、アルキルチオ基、アリールチオ基(フェニルチオ基等)、ヘテロ環チオ基、アルコキシ基、アリールオキシ基(フェノキシ基等)、ヘテロ環オキシ基、アリール基(フェニル基、ナフチル基、アントラニル基等)、芳香族又は非芳香族のヘテロ環基(5員〜7員の、単環もしくは縮合環の、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、セレン原子のうち少なくとも1つのヘテロ原子を含むヘテロ環で、その具体例としては、例えばテトラヒドロキノリン環、テトラヒドロイソキノリン環、テトラヒドロキノキサリン環、テトラヒドロキナゾリン環、インドリン環、インドール環、インダゾール環、カルバゾール環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、ベンゾチアゾリン環、ピロール環、イミダゾール環、チアゾリン環、ピペリジン環、ピロリジン環、モルホリン環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾイミダゾリン環、ベンゾオキサゾリン環、メチレンジオキシフェニル環等が挙げられる)である(以後、便宜上RED11は1価基名として記述する)。RED11は置換基を有していてもよい。
【0274】
本発明において置換基とは、特に説明がない限り、以下の基から選ばれる置換基を意味する。ハロゲン原子、アルキル基(アラルキル基、シクロアルキル基、活性メチン基等を含む)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基(置換する位置は問わない)、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニオ基、イミダゾリオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボキシ基又はその塩、スルホニルカルバモイル基、アシルカルバモイル基、スルファモイルカルバモイル基、カルバゾイル基、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、カルボンイミドイル基、チオカルバモイル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキル、アリール、又はヘテロ環)アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、イミド基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、アンモニオ基、オキサモイルアミノ基、(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレイド基、アシルウレイド基、アシルスルファモイルアミノ基、ニトロ基、メルカプト基、(アルキル、アリール、又はヘテロ環)チオ基、(アルキル又はアリール)スルホニル基、(アルキル又はアリール)スルフィニル基、スルホ基又はその塩、スルファモイル基、アシルスルファモイル基、スルホニルスルファモイル基又はその塩、リン酸アミドもしくはリン酸エステル構造を含む基、等が挙げられる。これら置換基は、これら置換基でさらに置換されていてもよい。
【0275】
RED11として好ましくは、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、アリール基、芳香族又は非芳香族のヘテロ環基であり、さらに好ましくはアリールアミノ基(特にアニリノ基)、アリール基(特にフェニル基)である。これらが置換基を有する時、置換基として好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基である。
但しRED11がアリール基を表す時、アリール基は少なくとも1つの「電子供与性基」を有していることが好ましい。ここに「電子供与性基」とは、ヒドロキシ基、アルコキシ基、メルカプト基、スルホンアミド基、アシルアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、活性メチン基、窒素原子を環内に少なくとも1つ含む5員の、単環もしくは縮合環の、電子過剰な芳香族ヘテロ環基(例えばインドリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンズイミダゾリル基、チアゾリル基、ベンズチアゾリル基、インダゾリル基など)、窒素原子で置換する非芳香族含窒素ヘテロ環基(ピロリジニル基、インドリニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリノ基などで環状のアミノ基とも呼べる基)である。ここで活性メチン基とは2つの「電子求引性基」で置換されたメチン基を意味し、ここに「電子求引性基」とはアシル基、アルコシキカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、カルボンイミドイル基を意味する。ここで2つの電子求引性基は互いに結合して環状構造をとっていてもよい。
【0276】
一般式(A)においてL11は、具体的にはカルボキシ基もしくはその塩、シリル基、水素原子、トリアリールホウ素アニオン、トリアルキルスタニル基、トリアルキルゲルミル基、又は−CRC1C2C3基を表す。ここにシリル基とは具体的にトリアルキルシリル基、アリールジアルキルシリル基、トリアリールシリル基などを表し、任意の置換基を有していてもよい。
【0277】
11がカルボキシ基の塩を表すとき、塩を形成するカウンターイオンとしてはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、重金属イオン、アンモニウムイオン、ホスホニウムイオンなどが挙げられ、好ましくはアルカリ金属イオン又はアンモニウムイオンであり、アルカリ金属イオン(特にLi、Na、Kイオン)が最も好ましい。
【0278】
11が−CRC1C2C3基を表す時、ここにRC1、RC2、RC3はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基を表し、これらが互いに結合して環状構造を形成していてもよく、さらに任意の置換基を有していてもよい。但し、RC1、RC2、RC3のうち1つが水素原子もしくはアルキル基を表す時、残る2つが水素原子もしくはアルキル基を表すことはない。RC1、RC2、RC3として好ましくは、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基(特にフェニル基)、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環基、アルコキシ基、ヒドロキシ基で、具体的にその例を挙げると、フェニル基、p−ジメチルアミノフェニル基、p−メトキシフェニル基、2,4−ジメトキシフェニル基、p−ヒドロキシフェニル基、メチルチオ基、フェニルチオ基、フェノキシ基、メトキシ基、エトキシ基、ジメチルアミノ基、N−メチルアニリノ基、ジフェニルアミノ基、モルホリノ基、チオモルホリノ基、ヒドロキシ基などが挙げられる。またこれらが互いに結合して環状構造を形成する場合の例としては1,3−ジチオラン−2−イル基、1,3−ジチアン−2−イル基、N−メチル−1,3−チアゾリジン−2−イル基、N−ベンジル−ベンゾチアゾリジン−2−イル基などが挙げられる。
−CRC1C2C3基が、RC1、RC2、RC3についてそれぞれ上述した範囲内で選択された結果として、一般式(A)からL11を除いた残基と同じ基を表す場合もまた好ましい。
【0279】
一般式(A)においてL11は、好ましくはカルボキシ基又はその塩、および水素原子である。より好ましくはカルボキシ基又はその塩である。
【0280】
11が水素原子を表す時、一般式(A)で表される化合物は、分子内に内在する塩基部位を有していることが好ましい。この塩基部位の作用により、一般式(A)で表される化合物が酸化された後、L11で表される水素原子が脱プロトン化されて、ここからさらに電子が放出されるのである。
【0281】
ここに塩基とは、具体的に約1〜約10のpKaを示す酸の共役塩基である。例えば含窒素ヘテロ環類(ピリジン類、イミダゾール類、ベンゾイミダゾール類、チアゾール類など)、アニリン類、トリアルキルアミン類、アミノ基、炭素酸類(活性メチレンアニオンなど)、チオ酢酸アニオン、カルボキシレート(−COO)、サルフェート(−SO )、又はアミンオキシド(>N(O)−)などが挙げられる。好ましくは約1〜約8のpKaを示す酸の共役塩基であり、カルボキシレート、サルフェート、又はアミンオキシドがより好ましく、カルボキシレートが特に好ましい。これらの塩基がアニオンを有する時、対カチオンを有していてもよく、その例としてはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、重金属イオン、アンモニウムイオン、ホスホニウムイオンなどが挙げられる。これら塩基は、任意の位置で一般式(A)で表される化合物に連結される。これら塩基部位が結合する位置としては、一般式(A)のRED11、R111、R112の何れでもよく、またこれらの基の置換基に連結していてもよい。
【0282】
一般式(A)においてR112は水素原子又は炭素原子に置換可能な置換基を表す。但しR112がL11と同じ基を表すことはない。
112は好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基(フェニル基など)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、ベンジルオキシ基など)、ヒドロキシ基、アルキルチオ基(メチルチオ基、ブチルチオ基など)、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、フェニル基、アルキルアミノ基である。
【0283】
一般式(A)においてR111が形成する環状構造とは、5員もしくは6員の芳香族環(芳香族ヘテロ環を含む)のテトラヒドロ体、ヘキサヒドロ体もしくはオクタヒドロ体に相当する環構造で、ここにヒドロ体とは、芳香族環(芳香族ヘテロ環を含む)に内在する炭素−炭素2重結合(又は炭素−窒素2重結合)が部分的に水素化された環構造を意味し、テトラヒドロ体とは2つの、ヘキサヒドロ体とは3つの、オクタヒドロ体とは4つの、炭素−炭素2重結合(又は炭素−窒素2重結合)が水素化された構造を意味する。水素化されることで芳香族環は、部分的に水素化された非芳香族の環構造となる。
具体的には、ピロリジン環、イミダゾリジン環、チアゾリジン環、ピラゾリジン環およびオキサゾリジン環、ピペリジン環、テトラヒドロピリジン環、テトラヒドロピリミジン環、ピペラジン環、テトラリン環、テトラヒドロキノリン環、テトラヒドロイソキノリン環、テトラヒドロキナゾリン環、およびテトラヒドロキノキサリン環、テトラヒドロカルバゾール環、オクタヒドロフェナントリジン環等が挙げられる。これらの環構造は任意の置換基を有していてもよい。
【0284】
111が形成する環状構造としてさらに好ましくは、ピロリジン環、イミダゾリジン環、ピペリジン環、テトラヒドロピリジン環、テトラヒドロピリミジン環、ピペラジン環、テトラヒドロキノリン環、テトラヒドロイソキノリン環、テトラヒドロキナゾリン環、テトラヒドロキノキサリン環、テトラヒドロカルバゾール環であり、特に好ましくは、ピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、テトラヒドロピリジン環、テトラヒドロキノリン環、テトラヒドロイソキノリン環、テトラヒドロキナゾリン環、テトラヒドロキノキサリン環であり、最も好ましくはピロリジン環、ピペリジン環、テトラヒドロピリジン環、テトラヒドロキノリン環、テトラヒドロイソキノリン環である。
【0285】
一般式(B)においてRED12、L12は、それぞれ一般式(A)のRED11、L11に同義の基であり、その好ましい範囲もまた同じである。但し、RED12は下記の環状構造を形成する場合以外は1価基であり、具体的にはRED11で記載した1価基名の基が挙げられる。R121およびR122は一般式(A)のR112に同義の基であり、その好ましい範囲もまた同じである。ED12は電子供与性基を表す。R121とRED12、R121とR122、又はED12とRED12とは、互いに結合して環状構造を形成していてもよい。
【0286】
一般式(B)においてED12で表される電子供与性基とは、RED11がアリール基を表すときの置換基として説明した電子供与性基と同じものである。ED12として好ましくはヒドロキシ基、アルコキシ基、メルカプト基、スルホンアミド基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、活性メチン基、窒素原子を環内に少なくとも1つ含む5員の、単環もしくは縮合環の、電子過剰な芳香族ヘテロ環基、窒素原子で置換する非芳香族含窒素ヘテロ環基、およびこれら電子供与性基で置換されたフェニル基であり、さらにヒドロキシ基、メルカプト基、スルホンアミド基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、活性メチン基、窒素原子で置換する非芳香族含窒素ヘテロ環基、およびこれら電子供与性基で置換されたフェニル基(例えばp−ヒドロキシフェニル基、p−ジアルキルアミノフェニル基、o,p−ジアルコキシフェニル基等)がより好ましい。
【0287】
一般式(B)においてR121とRED12、R122とR121、又はED12とRED12とは、互いに結合して環状構造を形成していてもよい。ここで形成される環状構造とは、非芳香族の炭素環もしくはヘテロ環であって、5員〜7員環の単環又は縮合環で、置換もしくは無置換の環状構造である。R121とRED12とが環構造を形成するとき、その具体例としては、一般式(A)においてR111が形成する環状構造の例として挙げたものに加えて、ピロリン環、イミダゾリン環、チアゾリン環、ピラゾリン環、オキサゾリン環、インダン環、モルホリン環、インドリン環、テトラヒドロ−1,4−オキサジン環、2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−オキサジン環、テトラヒドロ−1,4−チアジン環、2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−チアジン環、2,3−ジヒドロベンゾフラン環、2,3−ジヒドロベンゾチオフェン環等が挙げられる。ED12とRED12とが環構造を形成するとき、ED12は好ましくはアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基を表し、形成される環構造の具体例としては、テトラヒドロピラジン環、ピペラジン環、テトラヒドロキノキサリン環、テトラヒドロイソキノリン環などが挙げられる。R122とR121とが環構造を形成するとき、その具体例としてはシクロヘキサン環、シクロペンタン環などが挙げられる。
【0288】
次に一般式(1)〜(3)について説明する。
一般式(1)〜(3)においてR、R、R11、R12、R31は、一般式(A)のR112と同義の基であり、その好ましい範囲もまた同じである。L、L21、L31は、一般式(A)のL11について説明した中で具体例として挙げた基と同じ脱離基を表し、その好ましい範囲もまた同じである。X、X21で表される置換基としては、一般式(A)のRED11が置換基を有する時の置換基の例と同じであり、好ましい範囲も同じである。m、m21は好ましくは0〜2の整数であり、より好ましくは0又は1である。
【0289】
N1、RN21、RN31が置換基を表す時、置換基としてはアルキル基、アリール基、ヘテロ環基が好ましく、これらはさらに任意の置換基を有していてもよい。RN1、RN21、RN31は水素原子、アルキル基又はアリール基が好ましく、水素原子又はアルキル基がより好ましい。
【0290】
13、R14、R33、R、Rが置換基を表す時、置換基として好ましくは、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基、アルコキシ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基などである。
【0291】
一般式(1)においてZが形成する6員環は、一般式(1)のベンゼン環と縮合した非芳香族のヘテロ環であり、具体的には縮合するベンゼン環も含めた環構造としてテトラヒドロキノリン環、テトラヒドロキノキサリン環、テトラヒドロキナゾリン環であり、好ましくはテトラヒドロキノリン環、テトラヒドロキノキサリン環である。これらは置換基を有していてもよい。
【0292】
一般式(2)においてED21は、一般式(B)のED12と同義の基であり、その好ましい範囲もまた同じである。
【0293】
一般式(2)においてRN21、R13、R14、X21およびED21のいずれか2つは、互いに結合して環状構造を形成していてもよい。ここでRN21とX21が結合して形成される環状構造とは、好ましくはベンゼン環と縮合した5員〜7員の非芳香族の炭素環もしくはヘテロ環であって、その具体例としては、テトラヒドロキノリン環、テトラヒドロキノキサリン環、インドリン環、2,3−ジヒドロ−5,6−ベンゾ−1,4−チアジン環などが挙げられる。好ましくはテトラヒドロキノリン環、テトラヒドロキノキサリン環、インドリン環である。
【0294】
一般式(3)においてRN31がアリール基以外の基を表す時、RおよびRは互いに結合して芳香族環を形成する。ここに芳香族環とはアリール基(例えばフェニル基、ナフチル基)および芳香族ヘテロ環基(例えばピリジン環基、ピロール環基、キノリン環基、インドール環基など)であり、アリール基が好ましい。該芳香族環基は任意の置換基を有していてもよい。
一般式(3)においてRおよびRは、互いに結合して芳香族環(特にフェニル基)を形成する場合が好ましい。
【0295】
一般式(3)においてR32は好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、メルカプト基、アミノ基などであり、ここにR32がヒドロキシ基を表す時、同時にR33が「電子求引性基」を表す場合も好ましい例の1つである。ここに「電子求引性基」とは、先に説明したものと同じであり、アシル基、アルコシキカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基が好ましい。
【0296】
次にタイプ2の化合物について説明する。
タイプ2の化合物において「結合開裂反応」とは炭素−炭素、炭素−ケイ素、炭素−水素、炭素−ホウ素、炭素−スズ、炭素−ゲルマニウムの各元素間の結合の開裂を意味し、炭素−水素結合の開裂がこれに付随してもよい。
【0297】
タイプ2の化合物は分子内にハロゲン化銀への吸着性基を2つ以上(好ましくは2〜6つ、より好ましくは2〜4つ)有する化合物である。より好ましくは2つ以上のメルカプト基で置換された含窒素ヘテロ環基を吸着性基として有する化合物である。吸着性基の数は、好ましくは2〜6、さらに好ましくは2〜4が良い。吸着性基については後述する。
【0298】
タイプ2の化合物のうち好ましい化合物は一般式(C)で表される。
【0299】
一般式(C)
【化93】
Figure 2004245885
【0300】
ここに一般式(C)で表される化合物は、REDで表される還元性基が1電子酸化された後、自発的にLを結合開裂反応により離脱することで、これに伴いさらに電子を1つ放出し得る化合物である。
【0301】
一般式(C)においてREDは一般式(B)のRED12と同義の基を表し、その好ましい範囲も同じである。Lは一般式(A)のL11について説明したのと同義の基を表し、その好ましい範囲も同じである。なおLがシリル基を表す時、該化合物は分子内に、2つ以上のメルカプト基で置換された含窒素ヘテロ環基を吸着性基として有する化合物である。R21、R22は水素原子又は置換基を表し、これらは一般式(A)のR112と同義の基であり、その好ましい範囲も同じである。REDとR21とは互いに結合して環構造を形成していてもよい。
【0302】
ここで形成される環構造とは、5員〜7員の、単環もしくは縮合環の、非芳香族の炭素環又はヘテロ環であり、置換基を有していてもよい。但し該環構造が、芳香族環又は芳香族ヘテロ環のテトラヒドロ体、ヘキサヒドロ体もしくはオクタヒドロ体に相当する環構造であることはない。環構造として好ましくは、芳香族環又は芳香族ヘテロ環のジヒドロ体に相当する環構造で、その具体例としては、例えば2−ピロリン環、2−イミダゾリン環、2−チアゾリン環、1,2−ジヒドロピリジン環、1,4−ジヒドロピリジン環、インドリン環、ベンゾイミダゾリン環、ベンゾチアゾリン環、ベンゾオキサゾリン環、2,3−ジヒドロベンゾチオフェン環、2,3−ジヒドロベンゾフラン環、ベンゾ−α−ピラン環、1,2−ジヒドロキノリン環、1,2−ジヒドロキナゾリン環、1,2−ジヒドロキノキサリン環などが挙げられ、好ましくは2−イミダゾリン環、2−チアゾリン環、インドリン環、ベンゾイミダゾリン環、ベンゾチアゾリン環、ベンゾオキサゾリン環、1,2−ジヒドロピリジン環、1,2−ジヒドロキノリン環、1,2−ジヒドロキナゾリン環、1,2−ジヒドロキノキサリン環などであり、インドリン環、ベンゾイミダゾリン環、ベンゾチアゾリン環、1,2−ジヒドロキノリン環がより好ましく、インドリン環が特に好ましい。
【0303】
次にタイプ3の化合物について説明する。
タイプ3の化合物において「結合形成過程」とは炭素−炭素、炭素−窒素、炭素−硫黄、炭素−酸素などの原子間結合の形成を意味する。
【0304】
タイプ3の化合物は好ましくは、1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続いて分子内に共存する反応性基部位(炭素−炭素2重結合部位、炭素−炭素3重結合部位、芳香族基部位、又はベンゾ縮環の非芳香族ヘテロ環基部位)と反応して結合を形成した後に、さらに1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得ることを特徴とする化合物である。
【0305】
さらに詳細に述べるとタイプ3の化合物は、1電子酸化されて生成するその1電子酸化体(カチオンラジカル種、又はそこからプロトンの脱離により生成する中性のラジカル種)が、同じ分子内に共存する上記反応性基と反応し、結合を形成して、分子内に新たに環構造を有するラジカル種を生成する。そしてこのラジカル種から、直接もしくはプロトンの脱離を伴って、2電子目の電子が放出される特徴を有している。
そしてさらにタイプ3の化合物の中には、そうして生成した2電子酸化体がその後、ある場合には加水分解反応を受けた後に、またある場合には直接プロトンの移動を伴なう互変異性化反応を起して、そこからさらに1電子以上、通常2電子以上の電子を放出する場合がある。あるいはまたこうした互変異性化反応を経由せずに直接2電子酸化体から、さらに1電子以上、通常2電子以上の電子を放出する能力を有しているものも含まれる。
【0306】
タイプ3の化合物は好ましくは、一般式(D)で表される。
【0307】
一般式(D)
【化94】
Figure 2004245885
【0308】
一般式(D)においてREDは1電子酸化され得る還元性基を表し、YはREDが1電子酸化された後に反応する反応性基部位を表し、具体的には炭素−炭素2重結合部位、炭素−炭素3重結合部位、芳香族基部位、又はベンゾ縮環の非芳香族ヘテロ環基部位を含む有機基を表す。LはREDとYとを連結する連結基を表す。
【0309】
REDは一般式(B)のRED12と同義の基を表し、好ましくはアリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリール基、芳香族又は非芳香族のヘテロ環基(特に含窒素ヘテロ環基が好ましい)であり、さらに好ましくはアリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、アリール基、芳香族又は非芳香族のヘテロ環基であり、このうちヘテロ環基に関しては、テトラヒドロキノリン環基、テトラヒドロキノキサリン環基、テトラヒドロキナゾリン環基、インドリン環基、インドール環基、カルバゾール環基、フェノキサジン環基、フェノチアジン環基、ベンゾチアゾリン環基、ピロール環基、イミダゾール環基、チアゾール環基、ベンゾイミダゾール環基、ベンゾイミダゾリン環基、ベンゾチアゾリン環基、3,4−メチレンジオキシフェニル−1−イル基などが好ましい。
REDとして特に好ましくはアリールアミノ基(特にアニリノ基)、アリール基(特にフェニル基)、芳香族又は非芳香族のヘテロ環基である。
【0310】
ここでREDがアリール基を表す時、アリール基は少なくとも1つの「電子供与性基」を有していることが好ましい。「電子供与性基」は先に説明したものと同じである。
【0311】
REDがアリール基を表す時、そのアリール基の置換基としてより好ましくはアルキルアミノ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、メルカプト基、スルホンアミド基、活性メチン基、窒素原子で置換する非芳香族含窒素ヘテロ環基であり、さらに好ましくはアルキルアミノ基、ヒドロキシ基、活性メチン基、窒素原子で置換する非芳香族含窒素ヘテロ環基であり、最も好ましくはアルキルアミノ基、窒素原子で置換する非芳香族含窒素ヘテロ環基である。
【0312】
で表される炭素−炭素2重結合部位を含む有機基(例えばビニル基)が置換基を有するとき、その置換基として好ましくは、アルキル基、フェニル基、アシル基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、電子供与基などであり、ここに電子供与性基として好ましくは、アルコキシ基、ヒドロキシ基(シリル基で保護されていてもよく、例えばトリメチルシリルオキシ基、t−ブチルジメチルシリルオキシ基、トリフェニルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、フェニルジメチルシリルオキシ基などが挙げられる)、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、スルホンアミド基、活性メチン基、メルカプト基、アルキルチオ基、およびこれら電子供与性基を置換基に有するフェニル基である。
【0313】
なおここで炭素−炭素2重結合部位を含む有機基が置換基としてヒドロキシ基を有する時、Yは右記部分構造:>C=C(−OH)−を含むことになるが、これは互変異性化して右記部分構造:>CH−C(=O)−となっていても良い。さらにこの場合に、該C炭素に置換する置換基が電子求引性基である場合もまた好ましく、この場合Yは「活性メチレン基」又は「活性メチン基」の部分構造を有することになる。このような活性メチレン基又は活性メチン基の部分構造を与え得る電子求引性基とは、上述の「活性メチン基」の説明の中で説明したものと同じである。
【0314】
で表される炭素−炭素3重結合部位を含む有機基(例えばエチニル基)が置換基を有するとき、その置換基としてはアルキル基、フェニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、電子供与基などが好ましい。
【0315】
が芳香族基部位を含む有機基を表す時、芳香族基として好ましくは電子供与性基を置換基として有するアリール基(特にフェニル基が好ましい)又はインドール環基で、ここに電子供与性基として好ましくは、ヒドロキシ基(シリル基で保護ざれていてもよい)、アルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、活性メチン基、スルホンアミド基、メルカプト基である。
【0316】
がベンゾ縮環の非芳香族ヘテロ環基部位を含む有機基を表す時、ベンゾ縮環の非芳香族ヘテロ環基として好ましくはアニリン構造を部分構造として内在するもので、例えば、インドリン環基、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン環基、1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリン環基、4−キノロン環基などが挙げられる。
【0317】
で表される反応性基としてより好ましくは、炭素−炭素2重結合部位、芳香族基部位、又はベンゾ縮環の非芳香族ヘテロ環基を含む有機基である。さらに好ましくは、炭素−炭素2重結合部位、電子供与性基を置換基として有するフェニル基、インドール環基、アニリン構造を部分構造として内在するベンゾ縮環の非芳香族ヘテロ環基である。ここに炭素−炭素2重結合部位は少なくとも1つの電子供与性基を置換基として有することがより好ましい。
【0318】
で表される反応性基が、これまでに説明した範囲から選択された結果として、REDで表される還元性基と同じ部分構造を有する場合もまた、一般式(D)で表される化合物の好ましい例である。
【0319】
は、REDとYとを連結する連結基を表し、具体的には単結合、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロ環基、−O−、−S−、−NR−、−C(=O)−、−SO−、−SO−、−P(=O)−の各基の単独、又はこれらの基の組み合わせからなる基を表す。ここにRは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基を表す。Lで表される連結基は任意の置換基を有していてもよい。Lで表される連結基は、REDおよびYで表される基の任意の位置で、それぞれの任意の1個の水素原子と置換する形で、連結され得る。
の好ましい例としては、単結合、アルキレン基(特にメチレン基、エチレン基、プロピレン基)、アリーレン基(特にフェニレン基)、−C(=O)−基、−O−基、−NH−基、−N(アルキル基)−基、およびこれらの基の組み合わせからなる2価の連結基が挙げられる。
【0320】
で表される基は、REDが酸化されて生成するカチオンラジカル種(X・)、又はそこからプロトンの脱離を伴って生成するラジカル種(X・)と、Yで表される反応性基とが反応して結合形成する際、これに関わる原子団が、Lを含めて3〜7員の環状構造を形成しうることが好ましい。この為にはラジカル種(X・又はX・)、Yで表される反応性基、およびLが、3〜7個の原子団で連結されていることが好ましい。
【0321】
次にタイプ4の化合物について説明する。
タイプ4の化合物は還元性基の置換した環構造を有する化合物であり、該還元性基が1電子酸化された後、環構造の開裂反応を伴ってさらに1電子もしくはそれ以上の電子を放出しうる化合物である。ここで言う環構造の開裂反応とは、下記で表される形式のものを意味する。
【0322】
【化95】
Figure 2004245885
【0323】
式中、化合物aはタイプ4の化合物を表す。化合物a中、Dは還元性基を表し、X、Yは環構造中の1電子酸化後に開裂する結合を形成している原子を表す。まず化合物aが1電子酸化されて 1電子酸化体bを生成する。ここからD−Xの単結合が2重結合になると同時にX−Yの結合が切断され開環体cが生成する。あるいはまた1電子酸化体bからプロトンの脱離を伴ってラジカル中間体dが生成し、ここから同様に開環体eを生成する経路をとる場合もある。このように生成した開環体c又はeから、引き続きさらに1つ以上の電子が放出される点に本発明の化合物の特徴がある。
【0324】
タイプ4の化合物が有する環構造とは、3〜7員環の炭素環又はヘテロ環であり、単環もしくは縮環の、飽和もしくは不飽和の非芳香族の環を表す。好ましくは飽和の環構造であり、より好ましくは3員環あるいは4員環である。好ましい環構造としてはシクロプロパン環、シクロブタン環、オキシラン環、オキセタン環、アジリジン環、アゼチジン環、エピスルフィド環、チエタン環が挙げられる。より好ましくはシクロプロパン環、シクロブタン環、オキシラン環、オキセタン環、アゼチジン環であり、特に好ましくはシクロプロパン環、シクロブタン環、アゼチジン環である。環構造は任意の置換基を有していても良い。
【0325】
タイプ4の化合物は好ましくは一般式(E)又は(F)で表される。
【0326】
一般式(E)
【化96】
Figure 2004245885
【0327】
一般式(F)
【化97】
Figure 2004245885
【0328】
一般式(E)および一般式(F)においてRED41およびRED42は、それぞれ一般式(B)のRED12と同義の基を表し、その好ましい範囲もまた同じである。R40〜R44およびR45〜R49は、それぞれ水素原子又は置換基を表す。一般式(F)においてZ42は、−CR420421−、−NR423−、又は−O−を表す。ここにR420、R421は、それぞれ水素原子又は置換基を表し、R423は水素原子、アルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表す。
【0329】
一般式(E)および一般式(F)においてR40およびR45は、好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基を表し、水素原子、アルキル基、アリール基がより好ましい。R41〜R44およびR46〜R49として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アリールチオ基、アルキルチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基である。
【0330】
41〜R44は、これらのうち少なくとも1つがドナー性基である場合と、R41とR42、あるいはR43とR44がともに電子求引性基である場合が好ましい。より好ましくはR41〜R44の少なくとも1つがドナー性基である場合である。さらに好ましくはR41〜R44の少なくとも1つがドナー性基であり且つ、R41〜R44の中でドナー性基でない基が水素原子又はアルキル基である場合である。
【0331】
ここで言うドナー性基とは、「電子供与性基」、又は少なくとも1つの「電子供与性基」で置換されたアリール基である。ドナー性基として好ましくはアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、窒素原子を環内に少なくとも1つ含む5員の、単環もしくは縮合環の、電子過剰な芳香族ヘテロ環基、窒素原子で置換する非芳香族含窒素ヘテロ環基、少なくとも1つの電子供与性基で置換されたフェニル基が用いられる。より好ましくはアルキルアミノ基、アリールアミノ基、窒素原子を環内に少なくとも1つ含む5員の、単環もしくは縮合環の、電子過剰な芳香族ヘテロ環基(インドール環、ピロール環、カルバゾール環など)、電子供与性基で置換されたフェニル基(3つ以上のアルコキシ基で置換されたフェニル基、ヒドロキシ基又はアルキルアミノ基又はアリールアミノ基で置換されたフェニル基など)が用いられる。 特に好ましくはアリールアミノ基、窒素原子を環内に少なくとも1つ含む5員の、単環もしくは縮合環の、電子過剰な芳香族ヘテロ環基(特に3−インドリル基)、電子供与性基で置換されたフェニル基(特にトリアルコキシフェニル基、アルキルアミノ基又はアリールアミノ基で置換されたフェニル基)が用いられる。
【0332】
42として好ましくは−CR420421−又は−NR423−であり、より好ましくは−NR423−である。R420、R421は好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシルアミノ基、スルホンアミノ基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基である。R423は好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、芳香族ヘテロ環基を表し、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基である。
【0333】
40〜R49およびR420、R421、R423の各基が置換基である場合にはそれぞれ総炭素数が40以下のものが好ましく、より好ましくは総炭素数30以下で、特に好ましくは総炭素数15以下である。またこれらの置換基は互いに結合して、あるいは分子中の他の部位(RED41、RED42あるいはZ42)と結合して環を形成していても良い。
【0334】
本発明のタイプ1〜4の化合物においてハロゲン化銀への吸着性基とは、ハロゲン化銀に直接吸着する基、又はハロゲン化銀への吸着を促進する基であり、具体的には、メルカプト基(又はその塩)、チオン基(−C(=S)−)、窒素原子、硫黄原子、セレン原子およびテルル原子から選ばれる少なくとも1つの原子を含むヘテロ環基、スルフィド基、カチオン性基、又はエチニル基である。但し、本発明のタイプ2の化合物においては、吸着性基としてスルフィド基は含まれない。
【0335】
吸着性基としてメルカプト基(又はその塩)とは、メルカプト基(又はその塩)そのものを意味すると同時に、より好ましくは、少なくとも1つのメルカプト基(又はその塩)の置換したヘテロ環基又はアリール基又はアルキル基を表す。ここにヘテロ環基は、5員〜7員の、単環もしくは縮合環の、芳香族又は非芳香族のヘテロ環基で、例えばイミダゾール環基、チアゾール環基、オキサゾール環基、ベンズイミダゾール環基、ベンズチアゾール環基、ベンズオキサゾール環基、トリアゾール環基、チアジアゾール環基、オキサジアゾール環基、テトラゾール環基、プリン環基、ピリジン環基、キノリン環基、イソキノリン環基、ピリミジン環基、トリアジン環基等が挙げられる。また4級化された窒素原子を含むヘテロ環基でもよく、この場合、置換したメルカプト基が解離してメソイオンとなっていてもよく、この様なヘテロ環基の例としてはイミダゾリウム環基、ピラゾリウム環基、チアゾリウム環基、トリアゾリウム環基、テトラゾリウム環基、チアジアゾリウム環基、ピリジニウム環基、ピリミジニウム環基、トリアジニウム環基などが挙げられ、中でもトリアゾリウム環基(例えば1,2,4−トリアゾリウム−3−チオレート環基)が好ましい。アリール基としてはフェニル基又はナフチル基が挙げられる。アルキル基としては炭素数1〜30の直鎖又は分岐又は環状のアルキル基が挙げられる。メルカプト基が塩を形成するとき、対イオンとしてはアルカリ金属、アルカリ土類金属、重金属などのカチオン(Li、Na、K、Mg2+、Ag、Zn2+等)、アンモニウムイオン、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基、ホスホニウムイオンなどが挙げられる。
【0336】
吸着性基としてのメルカプト基はさらにまた、互変異性化してチオン基となっていてもよく、具体的にはチオアミド基(ここでは−C(=S)−NH−基)、および該チオアミド基の部分構造を含む基、すなわち、鎖状もしくは環状のチオアミド基、チオウレイド基、チオウレタン基、又はジチオカルバミン酸エステル基などが挙げられる。ここで環状の例としてはチアゾリジン−2−チオン基、オキサゾリジン−2−チオン基、2−チオヒダントイン基、ローダニン基、イソローダニン基、チオバルビツール酸基、2−チオキソ−オキサゾリジン−4−オン基などが挙げられる。
【0337】
吸着性基としてチオン基とは、上述のメルカプト基が互変異性化してチオン基となった場合を含め、メルカプト基に互変異性化できない(チオン基のα位に水素原子を持たない)、鎖状もしくは環状のチオアミド基、チオウレイド基、チオウレタン基、又はジチオカルバミン酸エステル基も含まれる。
【0338】
吸着性基として窒素原子、硫黄原子、セレン原子およびテルル原子から選ばれる少なくとも1つの原子を含むヘテロ環基とは、イミノ銀(>NAg)を形成しうる−NH−基をヘテロ環の部分構造として有する含窒素ヘテロ環基、又は配位結合で銀イオンに配位し得る、”−S−”基又は”−Se−”基又は”−Te−”基又は”=N−”基をヘテロ環の部分構造として有するヘテロ環基で、前者の例としてはベンゾトリアゾール基、トリアゾール基、インダゾール基、ピラゾール基、テトラゾール基、ベンズイミダゾール基、イミダゾール基、プリン基などが、後者の例としてはチオフェン基、チアゾール基、オキサゾール基、ベンゾチアゾール基、ベンゾオキサゾール基、チアジアゾール基、オキサジアゾール基、トリアジン基、セレノアゾール基、ベンズセレノアゾール基、テルルアゾール基、ベンズテルルアゾール基などが挙げられる。好ましくは前者である。
【0339】
吸着性基としてスルフィド基とは、”−S−”の部分構造を有する基すべてが挙げられるが、好ましくはアルキル(又はアルキレン)−S−アルキル(又はアルキレン)、アリール(又はアリーレン)−S−アルキル(又はアルキレン)、アリール(又はアリーレン)−S−アリール(又はアリーレン)の部分構造を有する基である。さらにこれらのスルフィド基は、環状構造を形成していてもよく、また−S−S−基となっていてもよい。環状構造を形成する場合の具体例としてはチオラン環、1,3−ジチオラン環又は1,2−ジチオラン環、チアン環、ジチアン環、テトラヒドロ−1,4−チアジン環(チオモルホリン環)などを含む基が挙げられる。スルフィド基として特に好ましくはアルキル(又はアルキレン)−S−アルキル(又はアルキレン)の部分構造を有する基である。
【0340】
吸着性基としてカチオン性基とは、4級化された窒素原子を含む基を意味し、具体的にはアンモニオ基又は4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基を含む基である。但し、該カチオン性基が色素構造を形成する原子団(例えばシアニン発色団)の一部となることはない。ここにアンモニオ基とは、トリアルキルアンモニオ基、ジアルキルアリールアンモニオ基、アルキルジアリールアンモニオ基などで、例えばベンジルジメチルアンモニオ基、トリヘキシルアンモニオ基、フェニルジエチルアンモニオ基などが挙げられる。4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基とは、例えばピリジニオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基、イミダゾリオ基などが挙げられる。好ましくはピリジニオ基およびイミダゾリオ基であり、特に好ましくはピリジニオ基である。これら4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基は任意の置換基を有していてもよいが、ピリジニオ基およびイミダゾリオ基の場合、置換基として好ましくはアルキル基、アリール基、アシルアミノ基、クロル原子、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基などが挙げられ、ピリジニオ基の場合、置換基として特に好ましくはフェニル基である。
【0341】
吸着性基としてエチニル基とは、−C≡CH基を意味し、水素原子は置換されていてもよい。
上記の吸着性基は任意の置換基を有していてもよい。
【0342】
なお吸着性基の具体例としては、さらに特開平11−95355号の明細書4〜7頁に記載されているものが挙げられる。
【0343】
本発明において吸着性基として好ましいものは、メルカプト置換含窒素ヘテロ環基(例えば2−メルカプトチアジアゾール基、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、5−メルカプトテトラゾール基、2−メルカプト−1,3,4−オキサジアゾール基、2−メルカプトベンズオキサゾール基、2−メルカプトベンズチアゾール基、1,5−ジメチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−チオレート基など)、又はイミノ銀(>NAg)を形成しうる−NH−基をヘテロ環の部分構造として有する含窒素ヘテロ環基(例えば、ベンゾトリアゾール基、ベンズイミダゾール基、インダゾール基など)である。特に好ましくは、5−メルカプトテトラゾール基、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、およびベンゾトリアゾール基であり、最も好ましいのは、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、および5−メルカプトテトラゾール基である。
【0344】
本発明の化合物のうち、分子内に2つ以上のメルカプト基を部分構造として有する化合物もまた特に好ましい化合物である。ここにメルカプト基(−SH)は、互変異性化できる場合にはチオン基となっていてもよい。この様な化合物の例としては、以上述べてきたメルカプト基もしくはチオン基を部分構造として有する吸着性基(例えば環形成チオアミド基、アルキルメルカプト基、アリールメルカプト基、ヘテロ環メルカプト基など)を分子内に2つ以上有する化合物であってもよいし、また吸着性基の中で、2つ以上のメルカプト基又はチオン基を部分構造として有する吸着性基(例えばジメルカプト置換含窒素テロ環基)を、1つ以上有していてもよい。
【0345】
2つ以上のメルカプト基を部分構造として有する吸着性基(ジメルカプト置換含窒素テロ環基など)の例としては、2,4−ジメルカプトピリミジン基、2,4−ジメルカプトトリアジン基、3,5−ジメルカプト−1,2,4−トリアゾール基、2,5−ジメルカプト−1,3−チアゾール基、2,5−ジメルカプト−1,3−オキサゾール基、2,7−ジメルカプト−5−メチル−s−トリアゾロ(1,5−A)−ピリミジン、2,6,8−トリメルカプトプリン、6,8−ジメルカプトプリン、3,5,7−トリメルカプト−s−トリアゾロトリアジン、4,6−ジメルカプトピラゾロピリミジン、2,5−ジメルカプトイミダゾールなどが挙げられ、2,4−ジメルカプトピリミジン基、2,4−ジメルカプトトリアジン基、3,5−ジメルカプト−1,2,4−トリアゾール基が特に好ましい。
【0346】
吸着性基は一般式(A)〜(F)および一般式(1)〜(3)のどこに置換されていてもよいが、一般式(A)〜(D)においてはRED11、RED12、RED、REDに、一般式(E)、(F)においてはRED41、R41、RED42、R46〜R48に、一般式(1)〜(3)においてはR、R、R11、R12、R31、L、L21、L31を除く任意の位置に置換されていることが好ましく、さらに一般式(A)〜(F)全てでRED11〜RED42に置換されていることがより好ましい。
【0347】
分光増感色素の部分構造とは分光増感色素の発色団を含む基であり、分光増感色素化合物から任意の水素原子又は置換基を除いた残基である。分光増感色素の部分構造は一般式(A)〜(F)および一般式(1)〜(3)のどこに置換されていてもよいが、一般式(A)〜(D)においてはRED11、RED12、RED、REDに、一般式(E)、(F)においてはRED41、R41、RED42、R46〜R48に、一般式(1)〜(3)においてはR、R、R11、R12、R31、L、L21、L31を除く任意の位置に置換されていることが好ましく、さらに一般式(A)〜(F)全てでRED11〜RED42に置換されていることがより好ましい。好ましい分光増感色素は、典型的にカラー増感技法で用いられる分光増感色素であり、例えばシアニン色素類、複合シアニン色素類、メロシアニン色素類、複合メロシアニン色素類、同極のシアニン色素類、スチリル色素類、ヘミシアニン色素類を含む。代表的な分光増感色素は、リサーチディスクロージャー、アイテム36544、1994年9月に開示されている。前記リサーチディスクロージャー、もしくはF.M.HamerのThe Cyanine dyes and Related Compounds (Interscience Publishers, New yprk, 1964)に記載される手順によって当業者は、これらの色素を合成することができる。さらに特開平11−95355号(米国特許6,054,260号)の明細書7〜14頁に記載された色素類が全てそのまま当てはまる。
【0348】
本発明のタイプ1〜4の化合物は、その総炭素数が10〜60の範囲のものが好ましい。より好ましくは15〜50、さらに好ましくは18〜40であり、特に好ましくは18〜30である。
【0349】
本発明のタイプ1〜4の化合物は、これを用いたハロゲン化銀写真感光材料が露光されることを引き金に1電子酸化され、引き続く反応の後、さらに1電子、あるいはタイプによっては2電子以上の電子が放出され、酸化されるが、その1電子目の酸化電位は、約1.4V以下が好ましく、さらには1.0V以下が好ましい。この酸化電位は好ましくは0Vより高く、より好ましくは0.3Vより高い。従って酸化電位は好ましくは約0〜約1.4V、より好ましくは約0.3〜約1.0Vの範囲である。
【0350】
ここに酸化電位はサイクリックボルタンメトリーの技法で測定でき、具体的には試料をアセトニトリル:水(0.1Mの過塩素酸リチウムを含む)=80%:20%(容量%)の溶液に溶解し、10分間窒素ガスを通気した後、ガラス状のカーボンディスクを動作電極に用い、プラチナ線を対電極に用い、そしてカロメル電極(SCE)を参照電極に用いて、25℃で、0.1V/秒の電位走査速度で測定したものである。サイクリックボルタンメトリー波のピーク電位の時に酸化電位対SCEをとる。
【0351】
本発明のタイプ1〜4の化合物が1電子酸化され、引き続く反応の後、さらに1電子を放出する化合物である場合には、この後段の酸化電位は好ましくは−0.5V〜−2Vであり、より好ましくは−0.7V〜−2Vであり、さらに好ましくは−0.9V〜−1.6Vである。
【0352】
本発明のタイプ1〜4の化合物が1電子酸化され、引き続く反応の後、さらに2電子以上の電子を放出し、酸化される化合物である場合には、この後段の酸化電位については特に制限はない。2電子目の酸化電位と3電子目以降の酸化電位が明確に区別できない点で、これらを実際に正確に測定し区別することは困難な場合が多いためである。
【0353】
次にタイプ5の化合物について説明する。
タイプ5の化合物はX−Yで表され、ここにXは還元性基を、Yは脱離基を表し、Xで表される還元性基が1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続くX−Y結合の開裂反応を伴ってYを脱離してXラジカルを生成し、そこからさらにもう1電子を放出し得る化合物である。この様なタイプ5の化合物が酸化された時の反応は、以下の式で表すことができる。
【0354】
【化98】
Figure 2004245885
【0355】
タイプ5の化合物は好ましくはその酸化電位が0〜1.4Vであり、より好ましくは0.3V〜1.0Vである。また上記反応式において生成するラジカルX・の酸化電位は−0.7V〜−2.0Vであることが好ましく、−0.9V〜−1.6Vがより好ましい。
【0356】
タイプ5の化合物は、好ましくは一般式(G)で表される。
【0357】
一般式(G)
【化99】
Figure 2004245885
【0358】
一般式(G)においてREDは還元性基を表し、Lは脱離基を表し、RおよびR00は水素原子又は置換基を表す。REDとR、およびRとR00とは互いに結合して環構造を形成していてもよい。REDは一般式(C)のREDと同義の基を表し、その好ましい範囲も同じである。RおよびR00は一般式(C)のR21およびR22と同義の基であり、その好ましい範囲も同じである。但しRおよびR00が、水素原子を除いて、Lと同義の基を表すことはない。REDとRとは互いに結合して環構造を形成していてもよく、ここに環構造の例としては、一般式(C)のREDとR21が連結して環構造を形成する場合と同じ例が挙げられ、その好ましい範囲も同じである。RとR00とが互いに結合して形成される環構造の例としては、シクロペンタン環やテトラヒドロフラン環などが挙げられる。一般式(G)においてLは、一般式(C)のLと同義の基であり、その好ましい範囲も同じである。
【0359】
一般式(G)で表される化合物は分子内にハロゲン化銀への吸着性基、もしくは分光増感色素の部分構造を有していることが好ましいが、Lがシリル基以外の基を表す時、分子内に吸着性基を同時に2つ以上有することはない。但しここで吸着性基としてのスルフィド基は、Lに依らず、これを2つ以上有していてもよい。
【0360】
一般式(G)で表される化合物が有するハロゲン化銀への吸着性基としては、本発明のタイプ1〜4の化合物が有していてもよい吸着性基と同じものがその例として挙げられるが、さらに加えて、特開平11−95355号の明細書4〜7頁に「ハロゲン化銀吸着基」として記載されているもの全てが挙げられ、好ましい範囲も同じである。
一般式(G)で表される化合物が有していてもよい分光増感色素の部分構造とは、本発明のタイプ1〜4の化合物が有していてもよい分光増感色素の部分構造と同じであるが、同時に特開平11−95355号の明細書7〜14頁に「光吸収性基」として記載されているもの全てが挙げられ、好ましい範囲も同じである。
【0361】
以下に本発明のタイプ1〜5の化合物の具体例を列挙するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0362】
【化100】
Figure 2004245885
【0363】
【化101】
Figure 2004245885
【0364】
【化102】
Figure 2004245885
【0365】
【化103】
Figure 2004245885
【0366】
本発明のタイプ1〜4の化合物は、それぞれ特願2002−192373号、特願2002−188537号、特願2002−188536号、特願2001−272137号、特願2002−192374号において、詳細に説明した化合物と同じものである。これら特許出願明細書に記載した具体的化合物例もまた、本発明のタイプ1〜4の化合物の具体例として挙げることができる。また本発明のタイプ1〜4の化合物の合成例も、これら特許に記載したものと同じである。
【0367】
本発明のタイプ5の化合物の具体例としては、さらに特開平9−211769号(28〜32頁の表Eおよび表Fに記載の化合物PMT−1〜S−37)、特開平9−211774号、特開平11−95355号(化合物INV1〜36)、特表2001−500996号(化合物1〜74、80〜87、92〜122)、米国特許5,747,235号、米国特許5,747,236号、欧州特許786692A1号(化合物INV1〜35)、欧州特許893732A1号、米国特許6,054,260号、米国特許5,994,051号などの特許に記載の「1光子2電子増感剤」又は「脱プロトン化電子供与増感剤」と称される化合物の例が、そのまま挙げられる。
【0368】
本発明のタイプ1〜5の化合物は感光性ハロゲン化銀乳剤調製時、熱現像感光材料製造工程中のいかなる場合にも使用しても良い。例えば感光性ハロゲン化銀粒子形成時、脱塩工程、化学増感時、塗布前などである。またこれらの工程中の複数回に分けて添加することも出来る。添加位置として好ましくは、感光性ハロゲン化銀粒子形成終了時から脱塩工程の前、化学増感時(化学増感開始直前から終了直後)、塗布前であり、より好ましくは化学増感時から非感光性有機銀塩と混合される前までである。
【0369】
本発明のタイプ1〜5の化合物は水、メタノール、エタノールなどの水可溶性溶媒又はこれらの混合溶媒に溶解して添加することが好ましい。水に溶解する場合、pHを高く又は低くした方が溶解度が上がる化合物については、pHを高く又は低くして溶解し、これを添加しても良い。
【0370】
本発明のタイプ1〜5の化合物は感光性ハロゲン化銀と非感光性有機銀塩を含有する画像形成層中に使用するのが好ましいが、感光性ハロゲン化銀と非感光性有機銀塩とを含有する画像形成層と共に、保護層や中間層に添加しておき、塗布時に拡散させてもよい。本発明の化合物の添加時期は増感色素の前後を問わず、それぞれ好ましくはハロゲン化銀1モル当り、1×10−9〜5×10−1モル、更に好ましくは1×10−8〜5×10−2モルの割合でハロゲン化銀乳剤層に含有する。
【0371】
10)ハロゲン化銀の複数併用
本発明に用いられる感光材料中の感光性ハロゲン化銀乳剤は、一種だけでもよいし、二種以上(例えば、平均粒子サイズの異なるもの、ハロゲン組成の異なるもの、晶癖の異なるもの、化学増感の条件の異なるもの)併用してもよい。感度の異なる感光性ハロゲン化銀を複数種用いることで階調を調節することができる。これらに関する技術としては特開昭57−119341号、同53−106125号、同47−3929号、同48−55730号、同46−5187号、同50−73627号、同57−150841号などが挙げられる。感度差としてはそれぞれの乳剤で0.2logE以上の差を持たせることが好ましい。
【0372】
11)塗布量
感光性ハロゲン化銀の添加量は、感材1m当たりの塗布銀量で示して、0.03〜0.6g/mであることが好ましく、0.05〜0.4g/mであることがさらに好ましく、0.07〜0.3g/mであることが最も好ましく、有機銀塩1モルに対しては、感光性ハロゲン化銀は0.01モル以上0.5モル以下が好ましく、より好ましくは0.02モル以上0.3モル以下、さらに好ましくは0.03モル以上0.2モル以下である。
【0373】
12)感光性ハロゲン化銀と有機銀塩の混合
別々に調製した感光性ハロゲン化銀と有機銀塩の混合方法及び混合条件については、それぞれ調製終了したハロゲン化銀粒子と有機銀塩を高速撹拌機やボールミル、サンドミル、コロイドミル、振動ミル、ホモジナイザー等で混合する方法や、あるいは有機銀塩の調製中のいずれかのタイミングで調製終了した感光性ハロゲン化銀を混合して有機銀塩を調製する方法等があるが、本発明の効果が十分に現れる限りにおいては特に制限はない。また、混合する際に2種以上の有機銀塩水分散液と2種以上の感光性銀塩水分散液を混合することは、写真特性の調節のために好ましい方法である。
【0374】
13)ハロゲン化銀の塗布液への混合
本発明のハロゲン化銀の画像形成層塗布液中への好ましい添加時期は、塗布する180分前から直前、好ましくは60分前から10秒前であるが、混合方法及び混合条件については本発明の効果が十分に現れる限りにおいては特に制限はない。具体的な混合方法としては添加流量とコーターへの送液量から計算した平均滞留時間を所望の時間となるようにしたタンクでの混合する方法やN.Harnby、M.F.Edwards、A.W.Nienow著、高橋幸司訳“液体混合技術”(日刊工業新聞社刊、1989年)の第8章等に記載されているスタチックミキサーなどを使用する方法がある。
【0375】
(バインダーの説明)
本発明の有機銀塩含有層のバインダーはいかなるポリマーを使用してもよく、好適なバインダーは透明又は半透明で、一般に無色であり、天然樹脂やポリマー及びコポリマー、合成樹脂やポリマー及びコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば、ゼラチン類、ゴム類、ポリ(ビニルアルコール)類、ヒドロキシエチルセルロース類、セルロースアセテート類、セルロースアセテートブチレート類、ポリ(ビニルピロリドン)類、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)類、ポリ(メチルメタクリル酸)類、ポリ(塩化ビニル)類、ポリ(メタクリル酸)類、スチレン−無水マレイン酸共重合体類、スチレン−アクリロニトリル共重合体類、スチレン−ブタジエン共重合体類、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)類、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(酢酸ビニル)類、ポリ(オレフィン)類、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類がある。バインダーは水又は有機溶媒又はエマルションから被覆形成してもよい。
【0376】
本発明では、有機銀塩を含有する層に併用できるバインダーのガラス転移温度は0℃以上80℃以下である(以下、高Tgバインダーということあり)ことが好ましく、10℃〜70℃であることがより好ましく、15℃以上60℃以下であることが更に好ましい。
【0377】
なお、本明細書においてTgは下記の式で計算した。
1/Tg=Σ(Xi/Tgi)
ここでは、ポリマーはi=1からnまでのn個のモノマー成分が共重合しているとする。Xiはi番目のモノマーの重量分率(ΣXi=1)、Tgiはi番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度)である。ただしΣはi=1からnまでの和をとる。尚、各モノマーの単独重合体ガラス転移温度の値(Tgi)はPolymer Handbook(3rd Edition)(J.Brandrup, E.H.Immergut著(Wiley−Interscience、1989))の値を採用した。
【0378】
バインダーは必要に応じて2種以上を併用しても良い。また、ガラス転移温度が20℃以上のものとガラス転移温度が20℃未満のものを組み合わせて用いてもよい。Tgの異なるポリマーを2種以上ブレンドして使用する場合には、その重量平均Tgが上記の範囲にはいることが好ましい。
【0379】
本発明においては、有機銀塩含有層が溶媒の30質量%以上が水である塗布液を用いて塗布、乾燥して被膜を形成させることが好ましい。
本発明においては、有機銀塩含有層が溶媒の30質量%以上が水である塗布液を用いて塗布し、乾燥して形成される場合に、さらに有機銀塩含有層のバインダーが水系溶媒(水溶媒)に可溶又は分散可能である場合に、特に25℃60%RHでの平衡含水率が2質量%以下のポリマーのラテックスからなる場合に性能が向上する。最も好ましい形態は、イオン伝導度が2.5mS/cm以下になるように調製されたものであり、このような調製法としてポリマー合成後分離機能膜を用いて精製処理する方法が挙げられる。
【0380】
ここでいう前記ポリマーが可溶又は分散可能である水系溶媒とは、水又は水に70質量%以下の水混和性の有機溶媒を混合したものである。水混和性の有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール等のアルコール系、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系、酢酸エチル、ジメチルホルミアミドなどを挙げることができる。
【0381】
なお、ポリマーが熱力学的に溶解しておらず、いわゆる分散状態で存在している系の場合にも、ここでは水系溶媒という言葉を使用する。
【0382】
また「25℃60%RHにおける平衡含水率」とは、25℃60%RHの雰囲気下で調湿平衡にあるポリマーの重量W1と25℃で絶乾状態にあるポリマーの重量W0を用いて以下のように表すことができる。
25℃60%RHにおける平衡含水率={(W1−W0)/W0}×100(質量%)
【0383】
含水率の定義と測定法については、例えば高分子工学講座14、高分子材料試験法(高分子学会編、地人書館)を参考にすることができる。
【0384】
本発明のバインダーポリマーの25℃60%RHにおける平衡含水率は2質量%以下であることが好ましいが、より好ましくは0.01質量%以上1.5質量%以下、さらに好ましくは0.02質量%以上1質量%以下が望ましい。
【0385】
本発明においては水系溶媒に分散可能なポリマーが特に好ましい。分散状態の例としては、水不溶な疎水性ポリマーの微粒子が分散しているラテックスやポリマー分子が分子状態又はミセルを形成して分散しているものなどいずれでもよいが、ラテックス分散した粒子がより好ましい。分散粒子の平均粒径は1〜50000nm、好ましくは5〜1000nmの範囲で、より好ましくは10〜500nmの範囲、さらに好ましくは50〜200nmの範囲である。分散粒子の粒径分布に関しては特に制限は無く、広い粒径分布を持つものでも単分散の粒径分布を持つものでもよい。単分散の粒径分布を持つものを2種以上混合して使用することも塗布液の物性を制御する上で好ましい使用法である。
【0386】
本発明において水系溶媒に分散可能なポリマーの好ましい態様としては、アクリル系ポリマー、ポリ(エステル)類、ゴム類(例えばSBR樹脂)、ポリ(ウレタン)類、ポリ(塩化ビニル)類、ポリ(酢酸ビニル)類、ポリ(塩化ビニリデン)類、ポリ(オレフィン)類等の疎水性ポリマーを好ましく用いることができる。これらポリマーとしては直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリマーでもまた架橋されたポリマーでもよいし、単一のモノマーが重合したいわゆるホモポリマーでもよいし、2種類以上のモノマーが重合したコポリマーでもよい。コポリマーの場合はランダムコポリマーでも、ブロックコポリマーでもよい。これらポリマーの分子量は数平均分子量で5000〜1000000、好ましくは10000〜200000がよい。分子量が小さすぎるものは画像形成層の力学強度が不十分であり、大きすぎるものは成膜性が悪く好ましくない。また、架橋性のポリマーラッテクスは特に好ましく使用される。
【0387】
(ラテックスの具体例)
好ましいポリマーラテックスの具体例としては以下のものを挙げることができる。以下では原料モノマーを用いて表し、括弧内の数値は質量%、分子量は数平均分子量である。多官能モノマーを使用した場合は架橋構造を作るため分子量の概念が適用できないので架橋性と記載し、分子量の記載を省略した。Tgはガラス転移温度を表す。
【0388】
P−1;−MMA(70)−EA(27)−MAA(3)−のラテックス(分子量37000、Tg61℃)
P−2;−MMA(70)−2EHA(20)−St(5)−AA(5)−のラテックス(分子量40000、Tg59℃)
P−3;−St(50)−Bu(47)−MAA(3)−のラテックス(架橋性、Tg−17℃)
P−4;−St(68)−Bu(29)−AA(3)−のラテックス(架橋性、Tg17℃)
P−5;−St(71)−Bu(26)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg24℃)
P−6;−St(70)−Bu(27)−IA(3)−のラテックス(架橋性)
P−7;−St(75)−Bu(24)−AA(1)−のラテックス(架橋性、Tg29℃)
P−8;−St(60)−Bu(35)−DVB(3)−MAA(2)−のラテックス(架橋性)
P−9;−St(70)−Bu(25)−DVB(2)−AA(3)−のラテックス(架橋性)
P−10;−VC(50)−MMA(20)−EA(20)−AN(5)−AA(5)−のラテックス(分子量80000)
P−11;−VDC(85)−MMA(5)−EA(5)−MAA(5)−のラテックス(分子量67000)
P−12;−Et(90)−MAA(10)−のラテックス(分子量12000)
P−13;−St(70)−2EHA(27)−AA(3)のラテックス(分子量130000、Tg43℃)
P−14;−MMA(63)−EA(35)−AA(2)のラテックス(分子量33000、Tg47℃)
P−15;−St(70.5)−Bu(26.5)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg23℃)
P−16;−St(69.5)−Bu(27.5)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg20.5℃)
【0389】
上記構造の略号は以下のモノマーを表す。MMA;メチルメタクリレート,EA;エチルアクリレート、MAA;メタクリル酸,2EHA;2−エチルヘキシルアクリレート,St;スチレン,Bu;ブタジエン,AA;アクリル酸,DVB;ジビニルベンゼン,VC;塩化ビニル,AN;アクリロニトリル,VDC;塩化ビニリデン,Et;エチレン,IA;イタコン酸。
【0390】
以上に記載したポリマーラテックスは市販もされていて、以下のようなポリマーが利用できる。アクリル系ポリマーの例としては、セビアンA−4635,4718,4601(以上ダイセル化学工業(株)製)、Nipol Lx811、814、821、820、857(以上日本ゼオン(株)製)など、ポリ(エステル)類の例としては、FINETEX ES650、611、675、850(以上大日本インキ化学(株)製)、WD−size、WMS(以上イーストマンケミカル製)など、ポリ(ウレタン)類の例としては、HYDRAN AP10、20、30、40(以上大日本インキ化学(株)製)など、ゴム類の例としては、LACSTAR 7310K、3307B、4700H、7132C(以上大日本インキ化学(株)製)、Nipol Lx416、410、438C、2507(以上日本ゼオン(株)製)など、ポリ(塩化ビニル)類の例としては、G351、G576(以上日本ゼオン(株)製)など、ポリ(塩化ビニリデン)類の例としては、L502、L513(以上旭化成工業(株)製)など、ポリ(オレフィン)類の例としては、ケミパールS120、SA100(以上三井石油化学(株)製)などを挙げることができる。
【0391】
これらのポリマーラテックスは単独で用いてもよいし、必要に応じて2種以上ブレンドしてもよい。
【0392】
(好ましいラテックス)
本発明に用いられるポリマーラテックスとしては、特に、スチレン−ブタジエン共重合体のラテックスが好ましい。スチレン−ブタジエン共重合体におけるスチレンのモノマー単位とブタジエンのモノマー単位との重量比は40:60〜95:5であることが好ましい。また、スチレンのモノマー単位とブタジエンのモノマー単位との共重合体に占める割合は60〜99質量%であることが好ましい。また、本発明のポリマーラッテクスはアクリル酸又はメタクリル酸をスチレンとブタジエンの和に対して1〜6質量%含有することが好ましく、より好ましくは2〜5質量%含有する。本発明のポリマーラテックスはアクリル酸を含有することが好ましい。好ましい分子量の範囲は前記と同様である。
【0393】
本発明に用いることが好ましいスチレン−ブタジエン酸共重合体のラテックスとしては、前記のP−3〜P−8,15、市販品であるLACSTAR−3307B、7132C、Nipol Lx416等が挙げられる。
【0394】
本発明の感光材料の有機銀塩含有層には必要に応じてゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどの親水性ポリマーを添加してもよい。これらの親水性ポリマーの添加量は有機銀塩含有層の全バインダーの30質量%以下、より好ましくは20質量%以下が好ましい。
【0395】
本発明の有機銀塩含有層(即ち、画像形成層)は、ポリマーラテックスを用いて形成されたものが好ましい。有機銀塩含有層のバインダーの量は、全バインダー/有機銀塩の重量比が1/10〜10/1、より好ましくは1/3〜5/1の範囲、さらに好ましくは1/1〜3/1の範囲である。
【0396】
また、このような有機銀塩含有層は、通常、感光性銀塩である感光性ハロゲン化銀が含有された画像形成層(乳剤層又は感光性層)でもあり、このような場合の、全バインダー/ハロゲン化銀の重量比は400〜5、より好ましくは200〜10の範囲である。
【0397】
本発明の画像形成層の全バインダー量は好ましくは0.2〜30g/m、より好ましくは1〜15g/m、さらに好ましくは2〜10g/mの範囲である。本発明の画像形成層には架橋のための架橋剤、塗布性改良のための界面活性剤などを添加してもよい。
【0398】
(好ましい塗布液の溶媒)
本発明において感光材料の有機銀塩含有層塗布液の溶媒(ここでは簡単のため、溶媒と分散媒をあわせて溶媒と表す。)は、水を30質量%以上含む水系溶媒が好ましい。水以外の成分としてはメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、酢酸エチルなど任意の水混和性有機溶媒を用いてよい。塗布液の溶媒の水含有率は50質量%以上、より好ましくは70質量%以上が好ましい。好ましい溶媒組成の例を挙げると、水の他、水/メチルアルコール=90/10、水/メチルアルコール=70/30、水/メチルアルコール/ジメチルホルムアミド=80/15/5、水/メチルアルコール/エチルセロソルブ=85/10/5、水/メチルアルコール/イソプロピルアルコール=85/10/5などがある(数値は質量%)。
【0399】
(かぶり防止剤の説明)
本発明に用いることのできるカブリ防止剤、安定剤および安定剤前駆体は特開平10−62899号の段落番号0070、欧州特許公開第0803764A1号の第20頁第57行〜第21頁第7行に記載の特許のもの、特開平9−281637号、同9−329864号記載の化合物、米国特許6,083,681号、同6,083,681号、欧州特許1048975号に記載の化合物が挙げられる。また、本発明に好ましく用いられるカブリ防止剤は有機ハロゲン化物であり、これらについては、特開平11−65021号の段落番号0111〜0112に記載の特許に開示されているものが挙げられる。特に特開2000−284399号の式(P)で表される有機ハロゲン化合物、特開平10−339934号の一般式(II)で表される有機ポリハロゲン化合物、特開2001−31644号および特開2001−33911号に記載の有機ポリハロゲン化合物が好ましい。
【0400】
(ポリハロゲン化合物の説明)
以下、本発明で好ましい有機ポリハロゲン化合物について具体的に説明する。本発明の好ましいポリハロゲン化合物は下記一般式(H)で表される化合物である。
一般式(H)
Q−(Y)n−C(Z)(Z)X
一般式(H)において、Qはアルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表し、Yは2価の連結基を表し、nは0又は1を表し、ZおよびZはハロゲン原子を表し、Xは水素原子又は電子求引性基を表す。
一般式(H)においてQは好ましくはアリール基又はヘテロ環基である。
一般式(H)において、Qがヘテロ環基である場合、窒素原子を1ないし2含有する含窒素ヘテロ環基が好ましく、2−ピリジル基、2−キノリル基が特に好ましい。
一般式(H)において、Qがアリール基である場合、Qは好ましくはハメットの置換基定数σpが正の値をとる電子求引性基で置換されたフェニル基を表す。ハメットの置換基定数に関しては、Journal of MedicinalChemistry,1973,Vol.16,No.11,1207−1216等を参考にすることができる。このような電子求引性基としては、例えばハロゲン原子(フッ素原子(σp値:0.06)、塩素原子(σp値:0.23)、臭素原子(σp値:0.23)、ヨウ素原子(σp値:0.18))、トリハロメチル基(トリブロモメチル(σp値:0.29)、トリクロロメチル(σp値:0.33)、トリフルオロメチル(σp値:0.54))、シアノ基(σp値:0.66)、ニトロ基(σp値:0.78)、脂肪族・アリールもしくは複素環スルホニル基(例えば、メタンスルホニル(σp値:0.72))、脂肪族・アリールもしくは複素環アシル基(例えば、アセチル(σp値:0.50)、ベンゾイル(σp値:0.43))、アルキニル基(例えば、C≡CH(σp値:0.23))、脂肪族・アリールもしくは複素環オキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル(σp値:0.45)、フェノキシカルボニル(σp値:0.44))、カルバモイル基(σp値:0.36)、スルファモイル基(σp値:0.57)、スルホキシド基、ヘテロ環基、ホスホリル基等があげられる。σp値としては好ましくは0.2〜2.0の範囲で、より好ましくは0.4から1.0の範囲である。電子求引性基として特に好ましいのは、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アルキルホスホリル基で、なかでもカルバモイル基が最も好ましい。
Xは、好ましくは電子求引性基であり、より好ましくはハロゲン原子、脂肪族・アリールもしくは複素環スルホニル基、脂肪族・アリールもしくは複素環アシル基、脂肪族・アリールもしくは複素環オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基であり、特に好ましくはハロゲン原子である。ハロゲン原子の中でも、好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、更に好ましくは塩素原子、臭素原子であり、特に好ましくは臭素原子である。
Yは好ましくは−C(=O)−、−SO−又は−SO−を表し、より好ましくは−C(=O)−、−SO−であり、特に好ましくは−SO−である。nは、0又は1を表し、好ましくは1である。
【0401】
以下に本発明の一般式(H)の化合物の具体例を示す。
【0402】
【化104】
Figure 2004245885
【0403】
上記以外の本発明の好ましいポリハロゲン化合物としては特開2001−31644号、同2001−56526号、同2001−209145号に記載の化合物が挙げられる。
本発明の一般式(H)で表される化合物は画像形成層の非感光性銀塩1モルあたり、10−4〜1モルの範囲で使用することが好ましく、より好ましくは10−3〜0.5モルの範囲で、さらに好ましくは1×10−2〜0.2モルの範囲で使用することが好ましい。
本発明において、カブリ防止剤を感光材料に含有せしめる方法としては、前記還元剤の含有方法に記載の方法が挙げられ、有機ポリハロゲン化合物についても固体微粒子分散物で添加することが好ましい。
【0404】
(その他のかぶり防止剤)
その他のカブリ防止剤としては特開平11−65021号段落番号0113の水銀(II)塩、同号段落番号0114の安息香酸類、特開2000−206642号のサリチル酸誘導体、特開2000−221634号の式(S)で表されるホルマリンスカベンジャー化合物、特開平11−352624号の請求項9に係るトリアジン化合物、特開平6−11791号の一般式(III)で表される化合物、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン等が挙げられる。
【0405】
本発明における熱現像感光材料はカブリ防止を目的としてアゾリウム塩を含有しても良い。アゾリウム塩としては、特開昭59−193447号記載の一般式(XI)で表される化合物、特公昭55−12581号記載の化合物、特開昭60−153039号記載の一般式(II)で表される化合物が挙げられる。アゾリウム塩は感光材料のいかなる部位に添加しても良いが、添加層としては画像形成層を有する面の層に添加することが好ましく、有機銀塩含有層に添加することがさらに好ましい。アゾリウム塩の添加時期としては塗布液調製のいかなる工程で行っても良く、有機銀塩含有層に添加する場合は有機銀塩調製時から塗布液調製時のいかなる工程でも良いが有機銀塩調製後から塗布直前が好ましい。アゾリウム塩の添加法としては粉末、溶液、微粒子分散物などいかなる方法で行っても良い。また、増感色素、還元剤、色調剤など他の添加物と混合した溶液として添加しても良い。本発明においてアゾリウム塩の添加量としてはいかなる量でも良いが、銀1モル当たり1×10−6モル以上2モル以下が好ましく、1×10−3モル以上0.5モル以下がさらに好ましい。
【0406】
(その他の添加剤)
1)メルカプト、ジスルフィド、およびチオン類
本発明には現像を抑制あるいは促進させ現像を制御するため、分光増感効率を向上させるため、現像前後の保存性を向上させるためなどにメルカプト化合物、ジスルフィド化合物、チオン化合物を含有させることができ、特開平10−62899号の段落番号0067〜0069、特開平10−186572号の一般式(I)で表される化合物及びその具体例として段落番号0033〜0052、欧州特許公開第0803764A1号の第20ページ第36〜56行に記載されている。その中でも特開平9−297367号、特開平9−304875号、特開2001−100358号、特願2001−104213号、特願2001−104214等に記載されているメルカプト置換複素芳香族化合物が好ましい。
【0407】
2)色調剤
本発明の熱現像感光材料では色調剤の添加が好ましく、色調剤については、特開平10−62899号の段落番号0054〜0055、欧州特許公開第0803764A1号の第21ページ第23〜48行、特開2000−356317号や特開2000−187298号に記載されており、特に、フタラジノン類(フタラジノン、フタラジノン誘導体もしくは金属塩;例えば4−(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタラジノン、5,7−ジメトキシフタラジノンおよび2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオン);フタラジノン類とフタル酸類(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸、フタル酸二アンモニウム、フタル酸ナトリウム、フタル酸カリウムおよびテトラクロロ無水フタル酸)との組合せ;フタラジン類(フタラジン、フタラジン誘導体もしくは金属塩;例えば4−(1−ナフチル)フタラジン、6−イソプロピルフタラジン、6−t−ブチルフラタジン、6−クロロフタラジン、5,7−ジメトキシフタラジンおよび2,3−ジヒドロフタラジン);フタラジン類とフタル酸類との組合せが好ましく、特にフタラジン類とフタル酸類の組合せが好ましい。そのなかでも特に好ましい組み合わせは6−イソプロピルフタラジンとフタル酸又は4メチルフタル酸との組み合わせである。
【0408】
3)可塑剤、潤滑剤
本発明の画像形成層に用いることのできる可塑剤および潤滑剤については特開平11−65021号段落番号0117に記載されている。滑り剤については特開平11−84573号段落番号0061〜0064や特願平11−106881号段落番号0049〜0062記載されている。
【0409】
4)染料、顔料
本発明の熱現像感光材料には色調改良、レーザー露光時の干渉縞発生防止、イラジエーション防止の観点から各種染料や顔料(例えばC.I.PigmentBlue 60、C.I.Pigment Blue 64、C.I.Pigment Blue 15:6)を用いることができる。これらについてはWO98/36322号、特開平10−268465号、同11−338098号等に詳細に記載されている。
【0410】
5)超硬調化剤
印刷製版用途に適した超硬調画像形成のためには、画像形成層に超硬調化剤を添加することが好ましい。超硬調化剤やその添加方法及び添加量については、特開平11−65021号公報段落番号0118、特開平11−223898号公報段落番号0136〜0193、特願平11−87297号明細書の式(H)、式(1)〜(3)、式(A)、(B)の化合物、特願平11−91652号明細書記載の一般式(III)〜(V)の化合物(具体的化合物:化21〜化24)、硬調化促進剤については特開平11−65021号公報段落番号0102、特開平11−223898号公報段落番号0194〜0195に記載されている。
【0411】
蟻酸や蟻酸塩を強いかぶらせ物質として用いるには、感光性ハロゲン化銀を含有する画像形成層を有する側に銀1モル当たり5ミリモル以下、さらには1ミリモル以下で含有することが好ましい。
【0412】
本発明の熱現像感光材料で超硬調化剤を用いる場合には五酸化二リンが水和してできる酸又はその塩を併用して用いることが好ましい。五酸化二リンが水和してできる酸又はその塩としては、メタリン酸(塩)、ピロリン酸(塩)、オルトリン酸(塩)、三リン酸(塩)、四リン酸(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)などを挙げることができる。特に好ましく用いられる五酸化二リンが水和してできる酸又はその塩としては、オルトリン酸(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)を挙げることができる。具体的な塩としてはオルトリン酸ナトリウム、オルトリン酸二水素ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸アンモニウムなどがある。
五酸化二リンが水和してできる酸又はその塩の使用量(感光材料1mあたりの塗布量)は感度やカブリなどの性能に合わせて所望の量でよいが、0.1〜500mg/mが好ましく、0.5〜100mg/mがより好ましい。
本発明の還元剤、水素結合性化合物、現像促進剤およびポリハロゲン化合物は固体分散物として使用することが好ましく、これらの固体分散物の好ましい製造方法は特開2002−55405号に記載されている。
【0413】
(塗布液の調製および塗布)
本発明の画像形成層塗布液の調製温度は30℃以上65℃以下がよく、さらに好ましい温度は35℃以上60℃未満、より好ましい温度は35℃以上55℃以下である。また、ポリマーラテックス添加直後の画像形成層塗布液の温度が30℃以上65℃以下で維持されることが好ましい。
【0414】
(層構成および構成成分)
本発明の画像形成層は、支持体上に一又はそれ以上の層で構成される。一層で構成する場合は有機銀塩、感光性ハロゲン化銀、還元剤およびバインダーよりなり、必要により色調剤、被覆助剤および他の補助剤などの所望による追加の材料を含む。二層以上で構成する場合は、第1画像形成層(通常は支持体に隣接した層)中に有機銀塩および感光性ハロゲン化銀を含み、第2画像形成層又は両層中にいくつかの他の成分を含まなければならない。多色感光性熱現像写真材料の構成は、各色についてこれらの二層の組合せを含んでよく、また、米国特許第4,708,928号に記載されているように単一層内に全ての成分を含んでいてもよい。多染料多色感光性熱現像写真材料の場合、各画像形成層は、一般に、米国特許第4,460,681号に記載されているように、各画像形成層の間に官能性もしくは非官能性のバリアー層を使用することにより、互いに区別されて保持される。
本発明の熱現像感光材料は、画像形成層に加えて非感光性層を有することができる。非感光性層は、その配置から(a)画像形成層の上(支持体よりも遠い側)に設けられる表面保護層、(b)複数の画像形成層の間や画像形成層と保護層の間に設けられる中間層、(c)画像形成層と支持体との間に設けられる下塗り層、(d)画像形成層の反対側に設けられるバック層に分類できる。
【0415】
また、光学フィルターとして作用する層を設けることができるが、(a)又は(b)の層として設けられる。アンチハレーション層は、(c)又は(d)の層として感光材料に設けられる。
【0416】
1)表面保護層
本発明における熱現像感光材料は画像形成層の付着防止などの目的で表面保護層を設けることができる。表面保護層は単層でもよいし、複数層であってもよい。
表面保護層については、特開平11−65021号段落番号0119〜0120、特開2000−171936号に記載されている。
本発明の表面保護層のバインダーとしてはゼラチンが好ましいがポリビニルアルコール(PVA)を用いる若しくは併用することも好ましい。ゼラチンとしてはイナートゼラチン(例えば新田ゼラチン750)、フタル化ゼラチン(例えば新田ゼラチン801)など使用することができる。PVAとしては、特開2000−171936号の段落番号0009〜0020に記載のものがあげられ、完全けん化物のPVA−105、部分けん化物のPVA−205,PVA−335、変性ポリビニルアルコールのMP−203(以上、クラレ(株)製の商品名)などが好ましく挙げられる。保護層(1層当たり)のポリビニルアルコール塗布量(支持体1m当たり)としては0.3〜4.0g/mが好ましく、0.3〜2.0g/mがより好ましい。
【0417】
表面保護層(1層当たり)の全バインダー(水溶性ポリマー及びラテックスポリマーを含む)塗布量(支持体1m当たり)としては0.3〜5.0g/mが好ましく、0.3〜2.0g/mがより好ましい。
【0418】
2)アンチハレーション層
本発明の熱現像感光材料においては、アンチハレーション層を画像形成層に対して光源から遠い側に設けることができる。
【0419】
アンチハレーション層については特開平11−65021号段落番号0123〜0124、特開平11−223898号、同9−230531号、同10−36695号、同10−104779号、同11−231457号、同11−352625号、同11−352626号等に記載されている。
アンチハレーション層には、露光波長に吸収を有するアンチハレーション染料を含有する。露光波長が赤外域にある場合には赤外線吸収染料を用いればよく、その場合には可視域に吸収を有しない染料が好ましい。
可視域に吸収を有する染料を用いてハレーション防止を行う場合には、画像形成後には染料の色が実質的に残らないようにすることが好ましく、熱現像の熱により消色する手段を用いることが好ましく、特に非感光性層に熱消色染料と塩基プレカーサーとを添加してアンチハレーション層として機能させることが好ましい。これらの技術については特開平11−231457号等に記載されている。
【0420】
消色染料の添加量は、染料の用途により決定する。一般には、目的とする波長で測定したときの光学濃度(吸光度)が0.1を越える量で使用する。光学濃度は、0.15〜2であることが好ましく0.2〜1であることがより好ましい。このような光学濃度を得るための染料の使用量は、一般に0.001〜1g/m程度である。
【0421】
なお、このように染料を消色すると、熱現像後の光学濃度を0.1以下に低下させることができる。二種類以上の消色染料を、熱消色型記録材料や熱現像感光材料において併用してもよい。同様に、二種類以上の塩基プレカーサーを併用してもよい。
このような消色染料と塩基プレカーサーを用いる熱消色においては、特開平11−352626号に記載のような塩基プレカーサーと混合すると融点を3℃(deg)以上降下させる物質(例えば、ジフェニルスルホン、4−クロロフェニル(フェニル)スルホン)、2−ナフチルベンゾエート等を併用することが熱消色性等の点で好ましい。
【0422】
3)バック層
本発明に適用することのできるバック層については特開平11−65021号段落番号0128〜0130に記載されている。
【0423】
本発明においては、銀色調、画像の経時変化を改良する目的で300〜450nmに吸収極大を有する着色剤を添加することができる。このような着色剤は、特開昭62−210458号、同63−104046号、同63−103235号、同63−208846号、同63−306436号、同63−314535号、特開平01−61745号、特開平2001−100363などに記載されている。
このような着色剤は、通常、0.1mg/m〜1g/mの範囲で添加され、添加する層としては画像形成層の反対側に設けられるバック層が好ましい。
また、ベース色調を調整するために580〜680nmに吸収ピークを有する染料を使用することが好ましい。この目的の染料としては短波長側の吸収強度が小さい特開平4−359967、同4−359968記載のアゾメチン系の油溶性染料、特願2002−96797号記載のフタロシアニン系の水溶性染料が好ましい。この目的の染料はいずれの層に添加してもよいが、乳剤面側の非感光層又はバック面側に添加することがより好ましい。
【0424】
本発明における熱現像感光材料は、支持体の一方の側に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤を含む画像形成層を有し、他方の側にバック層を有する、いわゆる片面感光材料であることが好ましい。
【0425】
4)マット剤
本発明において、搬送性改良のためにマット剤を添加することが好ましく、マット剤については、特開平11−65021号段落番号0126〜0127に記載されている。マット剤は感光材料1m当たりの塗布量で示した場合、好ましくは1〜400mg/m、より好ましくは5〜300mg/mである。
本発明においてマット剤の形状は定型、不定形のいずれでもよいが好ましくは定型で、球形が好ましく用いられる。平均粒径は0.5〜10μmであることが好ましく、より好ましくは1.0〜8.0μm、さらに好ましくは2.0〜6.0μmの範囲である。また、サイズ分布の変動係数としては50%以下であることが好ましく、より好ましくは40%以下、さらに好ましくは、30%以下である。ここで変動係数とは(粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×100で表される値である。また、変動係数が小さいマット剤で平均粒径の比が3より大きいものを2種併用することも好ましい。
また、乳剤面のマット度は星屑故障が生じなければいかようでも良いが、ベック平滑度が30秒以上2000秒以下が好ましく、特に40秒以上1500秒以下が好ましい。ベック平滑度は、日本工業規格(JIS)P8119「紙および板紙のベック試験器による平滑度試験方法」およびTAPPI標準法T479により容易に求めることができる。
【0426】
本発明においてバック層のマット度としてはベック平滑度が1200秒以下10秒以上が好ましく、800秒以下20秒以上が好ましく、さらに好ましくは500秒以下40秒以上である。
【0427】
本発明において、マット剤は感光材料の最外表面層もしくは最外表面層として機能する層、あるいは外表面に近い層に含有されるのが好ましく、またいわゆる保護層として作用する層に含有されることが好ましい。
【0428】
5)ポリマーラテックス
特に寸法変化が問題となる印刷用途に本発明の熱現像感光材料を用いる場合には、表面保護層やバック層にポリマーラテックスを用いることが好ましい。このようなポリマーラテックスについては「合成樹脂エマルジョン(奥田平、稲垣寛編集、高分子刊行会発行(1978))」、「合成ラテックスの応用(杉村孝明、片岡靖男、鈴木聡一、笠原啓司編集、高分子刊行会発行(1993))」、「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」などにも記載され、具体的にはメチルメタクリレート(33.5質量%)/エチルアクリレート(50質量%)/メタクリル酸(16.5質量%)コポリマーのラテックス、メチルメタクリレート(47.5質量%)/ブタジエン(47.5質量%)/イタコン酸(5質量%)コポリマーのラテックス、エチルアクリレート/メタクリル酸のコポリマーのラテックス、メチルメタクリレート(58.9質量%)/2−エチルヘキシルアクリレート(25.4質量%)/スチレン(8.6質量%)/2−ヒドロキシエチルメタクリレート(5.1質量%)/アクリル酸(2.0質量%)コポリマーのラテックス、メチルメタクリレート(64.0質量%)/スチレン(9.0質量%)/ブチルアクリレート(20.0質量%)/2−ヒドロキシエチルメタクリレート(5.0質量%)/アクリル酸(2.0質量%)コポリマーのラテックスなどが挙げられる。さらに、表面保護層用のバインダーとして、特願平11−6872号明細書のポリマーラテックスの組み合わせ、特開2000−267226号明細書の段落番号0021〜0025に記載の技術、特願平11−6872号明細書の段落番号0027〜0028に記載の技術、特開2000−19678号明細書の段落番号0023〜0041に記載の技術を適用してもよい。表面保護層のポリマーラテックスの比率は全バインダーの10質量%以上90質量%以下が好ましく、特に20質量%以上80質量%以下が好ましい。
【0429】
6)膜面pH
本発明の熱現像感光材料は、熱現像処理前の膜面pHが7.0以下であることが好ましく、さらに好ましくは6.6以下である。その下限には特に制限はないが、3程度である。最も好ましいpH範囲は4〜6.2の範囲である。膜面pHの調節はフタル酸誘導体などの有機酸や硫酸などの不揮発性の酸、アンモニアなどの揮発性の塩基を用いることが、膜面pHを低減させるという観点から好ましい。特にアンモニアは揮発しやすく、塗布する工程や熱現像される前に除去できることから低膜面pHを達成する上で好ましい。
また、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、水酸化リチウム等の不揮発性の塩基とアンモニアを併用することも好ましく用いられる。なお、膜面pHの測定方法は、特開2000−284399号明細書の段落番号0123に記載されている。
【0430】
7)硬膜剤
本発明の画像形成層、保護層、バック層など各層には硬膜剤を用いても良い。硬膜剤の例としてはT.H.James著“THE THEORY OF THE PHOTOGRAPHIC PROCESS FOURTH EDITION”(Macmillan Publishing Co., Inc.刊、1977年刊)77頁から87頁に記載の各方法があり、クロムみょうばん、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウム塩、N,N−エチレンビス(ビニルスルホンアセトアミド)、N,N−プロピレンビス(ビニルスルホンアセトアミド)の他、同書78頁など記載の多価金属イオン、米国特許4,281,060号、特開平6−208193号などのポリイソシアネート類、米国特許4,791,042号などのエポキシ化合物類、特開昭62−89048号などのビニルスルホン系化合物類が好ましく用いられる。
【0431】
硬膜剤は溶液として添加され、この溶液の保護層塗布液中への添加時期は、塗布する180分前から直前、好ましくは60分前から10秒前であるが、混合方法及び混合条件については本発明の効果が十分に現れる限りにおいては特に制限はない。具体的な混合方法としては添加流量とコーターへの送液量から計算した平均滞留時間を所望の時間となるようにしたタンクでの混合する方法やN.Harnby、M.F.Edwards、A.W.Nienow著、高橋幸司訳“液体混合技術”(日刊工業新聞社刊、1989年)の第8章等に記載されているスタチックミキサーなどを使用する方法がある。
【0432】
8)界面活性剤
本発明に適用できる界面活性剤については特開平11−65021号段落番号0132、溶剤については同号段落番号0133、支持体については同号段落番号0134、帯電防止又は導電層については同号段落番号0135、カラー画像を得る方法については同号段落番号0136に、滑り剤については特開平11−84573号段落番号0061〜0064や特願平11−106881号段落番号0049〜0062記載されている。
本発明においてはフッ素系の界面活性剤を使用することが好ましい。フッ素系界面活性剤の具体例は特開平10−197985号、特開2000−19680号、特開2000−214554号等に記載された化合物があげられる。また、特開平9−281636号記載の高分子フッ素系界面活性剤も好ましく用いられる。本発明の熱現像感光材料においては特開2002−82411号、特願2001−242357号および特願2001−264110号記載のフッ素系界面活性剤の使用が好ましい。特に特願2001−242357号および特願2001−264110号記載のフッ素系界面活性剤は水系の塗布液で塗布製造を行う場合、帯電調整能力、塗布面状の安定性、スベリ性の点で好ましく、特願2001−264110号記載のフッ素系界面活性剤は帯電調整能力が高く使用量が少なくてすむという点で最も好ましい。
本発明においてフッ素系界面活性剤は乳剤面、バック面のいずれにも使用することができ、両方の面に使用することが好ましい。また、前述の金属酸化物を含む導電層と組み合わせて使用することが特に好ましい。この場合には導電層を有する面のフッ素系界面活性剤の使用量を低減もしくは除去しても十分な性能が得られる。
フッ素系界面活性剤の好ましい使用量は乳剤面、バック面それぞれに0.1mg/m〜100mg/mの範囲で、より好ましくは0.3mg/m〜30mg/mの範囲、さらに好ましくは1mg/m〜10mg/mの範囲である。特に特願2001−264110号記載のフッ素系界面活性剤は効果が大きく、0.01〜10mg/mの範囲が好ましく、0.1〜5mg/mの範囲がより好ましい。
【0433】
9)帯電防止剤
本発明においては金属酸化物あるいは導電性ポリマーを含む導電層を有することが好ましい。帯電防止層は下塗り層、バック層表面保護層などと兼ねてもよく、また別途設けてもよい。帯電防止層の導電性材料は金属酸化物中に酸素欠陥、異種金属原子を導入して導電性を高めた金属酸化物が好ましく用いられる。金属酸化物の例としてはZnO、TiO、SnOが好ましく、ZnOに対してはAl、Inの添加、SnOに対してはSb、Nb、P、ハロゲン元素等の添加、TiOに対してはNb、Ta等の添加が好ましい。特にSbを添加したSnOが好ましい。異種原子の添加量は0.01〜30mol%の範囲が好ましく、0.1から10mol%の範囲がより好ましい。金属酸化物の形状は球状、針状、板状いずれでもよいが、導電性付与の効果の点で長軸/単軸比が2.0以上、好ましくは3.0〜50の針状粒子がよい。金属酸化物の使用量は好ましくは1mg/m〜1000mg/mの範囲で、より好ましくは10mg/m〜500mg/mの範囲、さらに好ましくは20mg/m〜200mg/mの範囲である。本発明の帯電防止層は乳剤面側、バック面側のいずれに設置してもよいが、支持体とバック層との間に設置することが好ましい。本発明の帯電防止層の具体例は特開平11−65021号段落番号0135、特開昭56−143430号、同56−143431号、同58−62646号、同56−120519号、特開平11−84573号の段落番号0040〜0051、米国特許第5,575,957号、特開平11−223898号の段落番号0078〜0084に記載されている。
【0434】
10)支持体
透明支持体は二軸延伸時にフィルム中に残存する内部歪みを緩和させ、熱現像処理中に発生する熱収縮歪みをなくすために、130〜185℃の温度範囲で熱処理を施したポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。医療用の熱現像感光材料の場合、透明支持体は青色染料(例えば、特開平8−240877号実施例記載の染料−1)で着色されていてもよいし、無着色でもよい。支持体には、特開平11−84574号の水溶性ポリエステル、同10−186565号のスチレンブタジエン共重合体、特開2000−39684号や特願平11−106881号段落番号0063〜0080の塩化ビニリデン共重合体などの下塗り技術を適用することが好ましい。支持体に画像形成層もしくはバック層を塗布するときの、支持体の含水率は0.5wt%以下であることが好ましい。
【0435】
11)その他の添加剤
熱現像感光材料には、さらに、酸化防止剤、安定化剤、可塑剤、紫外線吸収剤あるいは被覆助剤を添加してもよい。各種の添加剤は、画像形成層あるいは非感光性層のいずれかに添加する。それらについてWO98/36322号、EP803764A1号、特開平10−186567号、同10−18568号等を参考にすることができる。
【0436】
12)塗布方式
本発明における熱現像感光材料はいかなる方法で塗布されても良い。具体的には、エクストルージョンコーティング、スライドコーティング、カーテンコーティング、浸漬コーティング、ナイフコーティング、フローコーティング、又は米国特許第2,681,294号に記載の種類のホッパーを用いる押出コーティングを 含む種々のコーティング操作が用いられ、Stephen F. Kistler、Petert M. Schweizer著“LIQUID FILM COATING”(CHAPMAN & HALL社刊、1997年)399頁から536頁記載のエクストルージョンコーティング、又はスライドコーティング好ましく用いられ、特に好ましくはスライドコーティングが用いられる。スライドコーティングに使用されるスライドコーターの形状の例は同書427頁のFigure 11b.1にある。また、所望により同書399頁から536頁記載の方法、米国特許第2,761,791号および英国特許第837,095号に記載の方法により2層又はそれ以上の層を同時に被覆することができる。本発明において特に好ましい塗布方法は特開2001−194748号、同2002−153808号、同2002−153803号、同2002−182333号に記載された方法である。
【0437】
本発明における有機銀塩含有層塗布液は、いわゆるチキソトロピー流体であることが好ましい。この技術については特開平11−52509号を参考にすることができる。本発明における有機銀塩含有層塗布液は剪断速度0.1S−1における粘度は400mPa・s以上100,000mPa・s以下が好ましく、さらに好ましくは500mPa・s以上20,000mPa・s以下である。また、剪断速度1000S−1においては1mPa・s以上200mPa・s以下が好ましく、さらに好ましくは5mPa・s以上80mPa・s以下である。
【0438】
本発明の塗布液を調合する場合において2種の液を混合する際は公知のインライン混合機、インプラント混合機が好ましく用いられる。本発明の好ましいインライン混合機は特開2002−85948号に、インプラント混合機は特開2002−90940号に記載されている。
本発明における塗布液は塗布面状を良好に保つため脱泡処理をすることが好ましい。本発明の好ましい脱泡処理方法については特開2002−66431号に記載された方法である。
本発明の塗布液を塗布する際には支持体の耐電による塵、ほこり等の付着を防止するために除電を行うことが好ましい。本発明において好ましい除電方法の例は特開2002−143747に記載されている。
本発明においては非セット性の画像形成層塗布液を乾燥するため乾燥風、乾燥温度を精密にコントロールすることが重要である。本発明の好ましい乾燥方法は特開2001−194749号、同2002−139814号に詳しく記載されている。
本発明の熱現像感光材料は成膜性を向上させるために塗布、乾燥直後に加熱処理をすることが好ましい。加熱処理の温度は膜面温度で60℃〜100℃の範囲が好ましく、加熱時間は1秒〜60秒の範囲が好ましい。より好ましい範囲は膜面温度が70〜90℃、加熱時間が2〜10秒の範囲である。本発明の好ましい加熱処理の方法は特開2002−107872号に記載されている。
また、本発明の熱現像感光材料を安定して連続製造するためには特開2002−156728号、同2002−182333号に記載の製造方法が好ましく用いられる。
【0439】
熱現像感光材料は、モノシート型(受像材料のような他のシートを使用せずに、熱現像感光材料上に画像を形成できる型)であることが好ましい。
【0440】
13)包装材料
本発明の感光材料は生保存時の写真性能の変動を押えるため、もしくはカール、巻癖などを改良するために、酸素透過率および/又は水分透過率の低い包装材料で包装することが好ましい。酸素透過率は25℃で50ml/atm・m・day以下であることが好ましく、より好ましくは10ml/atm・m・day以下、さらに好ましくは1.0ml/atm・m・day以下である。水分透過率は10g/atm・m・day以下であることが好ましく、より好ましくは5g/atm・m・day以下、さらに好ましくは1g/atm・m・day以下である。
該酸素透過率および/又は水分透過率の低い包装材料の具体例としては、たとえば特開平8−254793号。特開2000−206653号明細書に記載されている包装材料である。
14)その他の利用できる技術
【0441】
本発明の熱現像感光材料に用いることのできる技術としては、EP803764A1号、EP883022A1号、WO98/36322号、特開昭56−62648号、同58−62644号、特開平9−43766、同9−281637、同9−297367号、同9−304869号、同9−311405号、同9−329865号、同10−10669号、同10−62899号、同10−69023号、同10−186568号、同10−90823号、同10−171063号、同10−186565号、同10−186567号、同10−186569号〜同10−186572号、同10−197974号、同10−197982号、同10−197983号、同10−197985号〜同10−197987号、同10−207001号、同10−207004号、同10−221807号、同10−282601号、同10−288823号、同10−288824号、同10−307365号、同10−312038号、同10−339934号、同11−7100号、同11−15105号、同11−24200号、同11−24201号、同11−30832号、同11−84574号、同11−65021号、同11−109547号、同11−125880号、同11−129629号、同11−133536号〜同11−133539号、同11−133542号、同11−133543号、同11−223898号、同11−352627号、同11−305377号、同11−305378号、同11−305384号、同11−305380号、同11−316435号、同11−327076号、同11−338096号、同11−338098号、同11−338099号、同11−343420号、特開2000−187298号、同2000−10229号、同2000−47345号、同2000−206642号、同2000−98530号、同2000−98531号、同2000−112059号、同2000−112060号、同2000−112104号、同2000−112064号、同2000−171936号も挙げられる。
【0442】
多色カラー熱現像感光材料の場合、各画像形成層は、一般に、米国特許第4,460,681号に記載されているように、各画像形成層の間に官能性もしくは非官能性のバリアー層を使用することにより、互いに区別されて保持される。
多色カラー熱現像感光材料の場合の構成は、各色についてこれらの二層の組合せを含んでよく、また、米国特許第4,708,928号に記載されているように単一層内に全ての成分を含んでいてもよい。
【0443】
(画像形成方法)
1)露光
赤〜赤外発光のHe−Neレーザー、赤色半導体レーザー、あるいは青〜緑発光のAr,He−Ne,He−Cdレーザー、青色半導体レーザーである。好ましくは、赤色〜赤外半導体レーザーであり、レーザー光のピーク波長は、600nm〜900nm、好ましくは620nm〜850nmである。一方、近年、特に、SHG(Second Harmonic Generator)素子と半導体レーザーを一体化したモジュールや青色半導体レーザーが開発されてきて、短波長領域のレーザー出力装置がクローズアップされてきた。青色半導体レーザーは、高精細の画像記録が可能であること、記録密度の増大、かつ長寿命で安定した出力が得られることから、今後需要が拡大していくことが期待されている。青色レーザー光のピーク波長は、300nm〜500nm、特に400nm〜500nmが好ましい。
レーザー光は、高周波重畳などの方法によって縦マルチに発振していることも好ましく用いられる。
【0444】
2)熱現像
本発明の熱現像感光材料はいかなる方法で現像されても良いが、通常イメージワイズに露光した熱現像感光材料を昇温して現像される。好ましい現像温度としては80〜250℃であり、好ましくは100〜140℃、さらに好ましくは110〜130℃である。現像時間としては1〜60秒が好ましく、より好ましくは5〜25秒、特に好ましくは、14秒以下である。
【0445】
熱現像の方式としてはドラム型ヒーター、プレート型ヒーターのいずれを使用してもよいが、プレート型ヒーター方式がより好ましい。プレート型ヒーター方式による熱現像方式とは特開平11−133572号に記載の方法が好ましく、潜像を形成した熱現像感光材料を熱現像部にて加熱手段に接触させることにより可視像を得る熱現像装置であって、前記加熱手段がプレートヒーターからなり、かつ前記プレートヒーターの一方の面に沿って複数個の押えローラが対向配設され、前記押えローラと前記プレートヒーターとの間に前記熱現像感光材料を通過させて熱現像を行うことを特徴とする熱現像装置である。プレートヒーターを2〜6段に分けて先端部については1〜10℃程度温度を下げることが好ましい。例えば、独立に温度制御できる4組のプレートヒーターを使用し、それぞれ112℃、119℃、121℃、120℃になるように制御する例が挙げられる。このような方法は特開昭54−30032号にも記載されており、熱現像感光材料に含有している水分や有機溶媒を系外に除外させることができ、また、急激に熱現像感光材料が加熱されることでの熱現像感光材料の支持体形状の変化を抑えることもできる。
【0446】
熱現像機の小型化および熱現像時間の短縮のためには、より安定なヒーター制御ができることが好ましく、また、1枚のシート感材を先頭部から露光開始し、後端部まで露光が終わらないうちに熱現像を開始することが望ましい。本発明に好ましい迅速処理ができるイメージャーは例えば特願2001−088832号および同−091114号に記載されている。このイメージャーを使用すれば例えば、107℃−121℃−121℃に制御された3段のプレート型ヒーターで14秒で熱現像処理ができ、1枚目の出力時間は約60秒に短縮することができる。このような迅速現像処理のためには高感度で、環境温度の影響を受けにくい本発明の熱現像感光材料−2を組み合わせて使用することが好ましい。
【0447】
3)システム
露光部及び熱現像部を備えた医療用のレーザーイメージャーとしては、富士メディカルドライレーザーイメージャーFM−DPL及びDRYPIX7000を挙げることができる。FM−DPLに関しては、Fuji Medical Review No.8,page 39〜55に記載されており、それらの技術は本発明の熱現像感光材料のレーザーイメージャーとして適用することは言うまでもない。また、DICOM規格に適応したネットワークシステムとして富士フィルムメディカル(株)が提案した「AD network」の中でのレーザーイメージャー用の熱現像感光材料としても適用することができる。
【0448】
(本発明の用途)
本発明の熱現像感光材料は、銀画像による黒白画像を形成し、医療診断用の熱現像感光材料、工業写真用熱現像感光材料、印刷用熱現像感光材料、COM用の熱現像感光材料として使用されることが好ましい。
【0449】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
【0450】
〔染料分散物の調製〕
以下のようにして、染料分散物A1〜A8を得た。
(1液)
染料 (種類は表1に示す) 10g
高沸点溶剤−3 20g
高沸点溶媒−4 20g
高沸点溶媒−5 35.4cc
酢酸エチル 50cc
ポリマー(種類は表1に示す) 20g
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 3.4g
乳化助剤−2 1.26g
【0451】
(2液)
O 250cc
ゼラチン 83.3g
ベンゾチアゾリノンのNa塩 38mg
【0452】
(3液)
O 498.3cc
【0453】
1液を50℃にて固型分を完全に溶解した後、2液を加え、ホモジナイザーによって15000rpm、乳化時間を良好な乳化物になるように調節して乳化分散し、3液を加え、染料分散物A1〜A8を得た。
【0454】
得られた乳化物のサイズをコールターカウンター社製のナノサイザーN4を用いて測定した。染料分散物A1〜A8のサイズはいずれも0.15μmから0.20μmの範囲であり、良好に乳化分散されていた。
【表1】
Figure 2004245885
P−1:ポリ(N−tert−ブチルアクリルアミド)
P−2:N−tert−ブチルアクリルアミド−メチルメタクリレート共重合体(60:40)
P−3:ポリ(4−シアノフェニルメタクリレート)
P−4:ポリイソプロピルメタクリレート
【0455】
(PET支持体の作製)
1)製膜)
テレフタル酸とエチレングリコ−ルを用い、常法に従い固有粘度IV=0.66(フェノ−ル/テトラクロルエタン=6/4(重量比)中25℃で測定)のPETを得た。これをペレット化した後130℃で4時間乾燥し、300℃で溶融後T型ダイから押し出して急冷し、熱固定後の膜厚が175μmになるような厚みの未延伸フィルムを作製した。
【0456】
これを、周速の異なるロ−ルを用い3.3倍に縦延伸、ついでテンタ−で4.5倍に横延伸を実施した。この時の温度はそれぞれ、110℃、130℃であった。この後、240℃で20秒間熱固定後これと同じ温度で横方向に4%緩和した。この後テンタ−のチャック部をスリットした後、両端にナ−ル加工を行い、4kg/cmで巻き取り、厚み175μmのロ−ルを得た。
【0457】
2)表面コロナ処理
ピラー社製ソリッドステートコロナ処理機6KVAモデルを用い、支持体の両面を室温下において20m/分で処理した。この時の電流、電圧の読み取り値から、支持体には0.375kV・A・分/mの処理がなされていることがわかった。この時の処理周波数は9.6kHz、電極と誘電体ロ−ルのギャップクリアランスは1.6mmであった。
【0458】
3)下塗り
1)下塗層塗布液の作製
処方▲1▼(画像形成層側下塗り層用)
Figure 2004245885
【0459】
処方▲2▼(バック面第1層用)
スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス 158g
(固形分40質量%、スチレン/ブタジエン重量比=68/32)
2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−S−トリアジンナトリウム塩(8質量%
水溶液) 20g
ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムの1質量%水溶液 10ml
蒸留水 854ml
【0460】
処方▲3▼(バック面側第2層用)
SnO/SbO (9/1質量比、平均粒径0.038μm、17質量%分
散物) 84g
ゼラチン(10質量%水溶液) 89.2g
信越化学(株)製 メトローズTC−5(2質量%水溶液)8.6g
綜研化学(株)製 MP−1000 0.01g
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの1質量%水溶液 10ml
NaOH(1質量%) 6ml
プロキセル(ICI社製) 1ml
蒸留水 805ml
【0461】
2)下塗り
上記厚さ175μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート支持体の両面それぞれに、上記コロナ放電処理を施した後、片面(画像形成層面)に上記下塗り塗布液処方▲1▼をワイヤーバーでウエット塗布量が6.6ml/m(片面当たり)になるように塗布して180℃で5分間乾燥し、ついでこの裏面(バック面)に上記下塗り塗布液処方▲2▼をワイヤーバーでウエット塗布量が5.7ml/mになるように塗布して180℃で5分間乾燥し、更に裏面(バック面)に上記下塗り塗布液処方▲3▼をワイヤーバーでウエット塗布量が7.7ml/mになるように塗布して180℃で6分間乾燥して下塗り支持体を作製した。
【0462】
(バック層)
1)バック層塗布液の調製
(塩基プレカーサーの固体微粒子分散液(a)の調製)
塩基プレカーサー化合物1を、2.5kg、および界面活性剤(商品名:デモールN、花王(株)製)300g、ジフェニルスルホン800g、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩1.0gおよび蒸留水を加えて総量を8.0kgに合わせて混合し、混合液を横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)を用いてビーズ分散した。分散方法は、混合液をを平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填したUVM−2にダイアフラムポンプで送液し、内圧50hPa以上の状態で、所望の平均粒径が得られるまで分散した。
分散物は、分光吸収測定を行って該分散物の分光吸収における450nmにおける吸光度と650nmにおける吸光度の比(D450/D650)が3.0まで分散した。得られた分散物は、塩基プレカーサーの濃度で25重量%となるように蒸留水で希釈し、ごみ取りのためにろ過(平均細孔径:3μmのポリプロピレン製フィルター)を行って実用に供した。
【0463】
2)染料固体微粒子分散液の調製
シアニン染料化合物−1を6.0kgおよびp−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3.0kg、花王(株)製界面活性剤デモールSNBを0.6kg、および消泡剤(商品名:サーフィノール104E、日信化学(株)製)0.15kgを蒸留水と混合して、総液量を60kgとした。混合液を横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)を用いて、0.5mmのジルコニアビーズで分散した。
分散物は、分光吸収測定を行って該分散物の分光吸収における650nmにおける吸光度と750nmにおける吸光度の比(D650/D750)が5.0以上であるところまで分散した。得られた分散物は、シアニン染料の濃度で6質量%となるように蒸留水で希釈し、ごみ取りのためにフィルターろ過(平均細孔径:1μm)を行って実用に供した。
【0464】
3)ハレーション防止層塗布液の調製
容器を40℃に保温し、ゼラチン40g、単分散ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒子サイズ8μm、粒径標準偏差0.4)20g、ベンゾイソチアゾリノン0.1g、水490mlを加えてゼラチンを溶解させた。さらに1mol/lの水酸化ナトリウム水溶液2.3ml、上記染料固体微粒子分散液40g、上記塩基プレカーサーの固体微粒子分散液(a)を90g、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム3質量%水溶液12ml、、SBRラテックス10質量%液180g、を混合した。塗布直前にN,N−エチレンビス(ビニルスルホンアセトアミド)4質量%水溶液80mlを混合し、ハレーション防止層塗布液とした。
【0465】
4)バック面保護層塗布液の調製
容器を40℃に保温し、ゼラチン40g、ベンゾイソチアゾリノン35mg、水840mlを加えてゼラチンを溶解させた。さらに1mol/lの水酸化ナトリウム水溶液5.8ml、流動パラフィン乳化物を流動パラフィンとして1.5g、スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム塩5質量%水溶液10ml、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム3質量%水溶液20ml、フッ素系界面活性剤(F−1)2質量%溶液を2.4ml、フッ素系界面活性剤(F−2)2質量%溶液を2.4ml、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量比57/8/28/5/2)ラテックス19質量%液32gを混合した。塗布直前にN,N−エチレンビス(ビニルスルホンアセトアミド)4質量%水溶液25mlを混合しバック面保護層塗布液とした。
【0466】
4)バック層の塗布
上記下塗り支持体のバック面側に、アンチハレーション層塗布液をゼラチン塗布量が0.52g/mとなるように、またバック面保護層塗布液をゼラチン塗布量が1.7g/mとなるように同時重層塗布し、乾燥し、バック層を作製した。
【0467】
(画像形成層、中間層、および表面保護層)
1.塗布用材料の準備
1)ハロゲン化銀乳剤
《ハロゲン化銀乳剤1の調製》
蒸留水1421mlに1質量%臭化カリウム溶液3.1mlを加え、さらに0.5mol/L濃度の硫酸を3.5ml、フタル化ゼラチン31.7gを添加した液をステンレス製反応壺中で攪拌しながら、30℃に液温を保ち、硝酸銀22.22gに蒸留水を加え95.4mlに希釈した溶液Aと臭化カリウム15.3gとヨウ化カリウム0.8gを蒸留水にて容量97.4mlに希釈した溶液Bを一定流量で45秒間かけて全量添加した。その後、3.5質量%の過酸化水素水溶液を10ml添加し、さらにベンゾイミダゾールの10質量%水溶液を10.8ml添加した。さらに、硝酸銀51.86gに蒸留水を加えて317.5mlに希釈した溶液Cと臭化カリウム44.2gとヨウ化カリウム2.2gを蒸留水にて容量400mlに希釈した溶液Dを、溶液Cは一定流量で20分間かけて全量添加し、溶液DはpAgを8.1に維持しながらコントロールドダブルジェット法で添加した。銀1モル当たり1×10−4モルになるよう六塩化イリジウム(III)酸カリウム塩を溶液Cおよび溶液Dを添加しはじめてから10分後に全量添加した。また、溶液Cの添加終了の5秒後に六シアン化鉄(II)カリウム水溶液を銀1モル当たり3×10−4モル全量添加した。0.5mol/L濃度の硫酸を用いてpHを3.8に調整し、攪拌を止め、沈降/脱塩/水洗工程をおこなった。1mol/L濃度の水酸化ナトリウムを用いてpH5.9に調整し、pAg8.0のハロゲン化銀分散物を作製した。
【0468】
上記ハロゲン化銀分散物を攪拌しながら38℃に維持して、0.34質量%の1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンのメタノール溶液を5ml加え、40分後に47℃に昇温した。昇温の20分後にベンゼンチオスルホン酸ナトリウムをメタノール溶液で銀1モルに対して7.6×10−5モル加え、さらに5分後にテルル増感剤Cをメタノール溶液で銀1モル当たり2.9×10−4モル加えて91分間熟成した。その後、分光増感色素Aと増感色素Bのモル比で3:1のメタノール溶液を銀1モル当たり増感色素AとBの合計として1.2×10−3モル加え、1分後にN,N’−ジヒドロキシ−N’’−ジエチルメラミンの0.8質量%メタノール溶液1.3mlを加え、さらに4分後に、5−メチル−2−メルカプトベンゾイミダゾールをメタノール溶液で銀1モル当たり4.8×10−3モル、1−フェニル−2−ヘプチル−5−メルカプト−1,3,4−トリアゾールをメタノール溶液で銀1モルに対して5.4×10−3モルおよび1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールを水溶液で銀1モルに対して8.5×10−3モル添加して、ハロゲン化銀乳剤1を作製した。
【0469】
調製できたハロゲン化銀乳剤中の粒子は、平均球相当径0.042μm、球相当径の変動係数20%のヨウドを均一に3.5モル%含むヨウ臭化銀粒子であった。粒子サイズ等は、電子顕微鏡を用い1000個の粒子の平均から求めた。この粒子の{100}面比率は、クベルカムンク法を用いて80%と求められた。
【0470】
《ハロゲン化銀乳剤2の調製》
ハロゲン化銀乳剤1の調製において、粒子形成時の液温30℃を47℃に変更し、溶液Bは臭化カリウム15.9gを蒸留水にて容量97.4mlに希釈することに変更し、溶液Dは臭化カリウム45.8gを蒸留水にて容量400mlに希釈することに変更し、溶液Cの添加時間を30分にして、六シアノ鉄(II)カリウムを除去した以外は同様にして、ハロゲン化銀乳剤2の調製を行った。ハロゲン化銀乳剤1と同様に沈殿/脱塩/水洗/分散を行った。更に、テルル増感剤Cの添加量を銀1モル当たり1.1×10−4モル、分光増感色素Aと分光増感色素Bのモル比で3:1のメタノール溶液の添加量を銀1モル当たり増感色素Aと増感色素Bの合計として7.0×10−4モル、1−フェニル−2−ヘプチル−5−メルカプト−1,3,4−トリアゾールを銀1モルに対して3.3×10−3モルおよび1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールを銀1モルに対して4.7×10−3モル添加に変えた以外は乳剤1と同様にして分光増感、化学増感及び5−メチル−2−メルカプトベンゾイミダゾール、1−フェニル−2−ヘプチル−5−メルカプト−1,3,4−トリアゾールの添加を行い、ハロゲン化銀乳剤2を得た。ハロゲン化銀乳剤2の乳剤粒子は、平均球相当径0.080μm、球相当径の変動係数20%の純臭化銀立方体粒子であった。
【0471】
《ハロゲン化銀乳剤3の調製》
ハロゲン化銀乳剤1の調製において、粒子形成時の液温30℃を27℃に変更する以外は同様にして、ハロゲン化銀乳剤3の調製を行った。また、ハロゲン化銀乳剤1と同様に沈殿/脱塩/水洗/分散を行った。分光増感色素Aと分光増感色素Bのモル比で1:1を固体分散物(ゼラチン水溶液)として添加量を銀1モル当たり増感色素Aと増感色素Bの合計として6×10−3モル、テルル増感剤Cの添加量を銀1モル当たり5.2×10−4モルに変え、テルル増感剤の添加3分後に臭化金酸を銀1モル当たり5×10−4モルとチオシアン酸カリウムを銀1モルあたり2×10−3モルを添加したこと以外は乳剤1と同様にして、ハロゲン化銀乳剤3を得た。ハロゲン化銀乳剤3の乳剤粒子は、平均球相当径0.034μm、球相当径の変動係数20%のヨウドを均一に3.5モル%含むヨウ臭化銀粒子であった。
【0472】
《塗布液用混合乳剤Aの調製》
ハロゲン化銀乳剤1を70質量%、ハロゲン化銀乳剤2を15質量%、ハロゲン化銀乳剤3を15質量%溶解し、ベンゾチアゾリウムヨーダイドを1質量%水溶液にて銀1モル当たり7×10−3モル添加した。さらに塗布液用混合乳剤1kgあたりハロゲン化銀の含有量が銀として38.2gとなるように加水し、塗布液用混合乳剤1kgあたり0.34gとなるように1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールを添加した。
さらに「1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物」として、化合物1と20と26をそれぞれハロゲン化銀の銀1モル当たり2×10−3モルになる量を添加した。
【0473】
2)脂肪酸銀分散物の調製
《脂肪酸銀分散物Aの調製》
ヘンケル社製ベヘン酸(製品名Edenor C22−85R)87.6kg、蒸留水423L、5mol/L濃度のNaOH水溶液49.2L、t−ブチルアルコール120Lを混合し、75℃にて1時間攪拌し反応させ、ベヘン酸ナトリウム溶液Aを得た。別に、硝酸銀40.4kgの水溶液206.2L(pH4.0)を用意し、10℃にて保温した。635Lの蒸留水と30Lのt−ブチルアルコールを入れた反応容器を30℃に保温し、十分に撹拌しながら先のベヘン酸ナトリウム溶液Aの全量と硝酸銀水溶液の全量を流量一定でそれぞれ93分15秒と90分かけて添加した。このとき、硝酸銀水溶液添加開始後11分間は硝酸銀水溶液のみが添加されるようにし、そのあとベヘン酸ナトリウム溶液Aを添加開始し、硝酸銀水溶液の添加終了後14分15秒間はベヘン酸ナトリウム溶液Aのみが添加されるようにした。このとき、反応容器内の温度は30℃とし、液温度が一定になるように外温コントロールした。また、ベヘン酸ナトリウム溶液Aの添加系の配管は、2重管の外側に温水を循環させる事により保温し、添加ノズル先端の出口の液温度が75℃になるよう調製した。また、硝酸銀水溶液の添加系の配管は、2重管の外側に冷水を循環させることにより保温した。ベヘン酸ナトリウム溶液Aの添加位置と硝酸銀水溶液の添加位置は撹拌軸を中心として対称的な配置とし、また反応液に接触しないような高さに調製した。
【0474】
ベヘン酸ナトリウム溶液Aを添加終了後、そのままの温度で20分間撹拌放置し、30分かけて35℃に昇温し、その後210分熟成を行った。熟成終了後直ちに、遠心濾過で固形分を濾別し、固形分を濾過水の伝導度が30μS/cmになるまで水洗した。こうして脂肪酸銀塩を得た。得られた固形分は、乾燥させないでウエットケーキとして保管した。
【0475】
得られたベヘン酸銀粒子の形態を電子顕微鏡撮影により評価したところ、平均値でa=0.14μm、b=0.4μm、c=0.6μm、平均アスペクト比5.2、平均球相当径0.52μm、球相当径の変動係数15%のりん片状の結晶であった。(a,b,cは本文の規定)
【0476】
乾燥固形分260kg相当のウエットケーキに対し、ポリビニルアルコール(商品名:PVA−217)19.3kgおよび水を添加し、全体量を1000kgとしてからディゾルバー羽根でスラリー化し、更にパイプラインミキサー(みづほ工業製:PM−10型)で予備分散した。
【0477】
次に予備分散済みの原液を分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−610、マイクロフルイデックス・インターナショナル・コーポレーション製、Z型インタラクションチャンバー使用)の圧力を1260kg/cmに調節して、三回処理し、ベヘン酸銀分散物を得た。冷却操作は蛇管式熱交換器をインタラクションチャンバーの前後に各々装着し、冷媒の温度を調節することで18℃の分散温度に設定した。
【0478】
《脂肪酸銀分散物Bの調製》
<再結晶ベヘン酸の調製>
ヘンケル社製ベヘン酸(製品名Edenor C22−85R)100kgを、1200kgのイソプロピルアルコールにまぜ、50℃で溶解し、10μmのフィルターで濾過した後、30℃まで、冷却し、再結晶を行った。再結晶をする際の、冷却スピードは、3℃/時間にコントロールした。得られた結晶を遠心濾過し、100kgのイソプルピルアルコールでかけ洗いを実施した後、乾燥を行った。得られた結晶をエステル化してGC−FID測定をしたところ、ベヘン酸含有率は96モル%、それ以外にリグノセリン酸が2モル%、アラキジン酸が2モル%、エルカ酸0.001モル%含まれていた。
【0479】
<脂肪酸銀分散物Bの調製>
再結晶ベヘン酸88kg、蒸留水422L、5mol/L濃度のNaOH水溶液49.2L、t−ブチルアルコール120Lを混合し、75℃にて1時間攪拌し反応させ、ベヘン酸ナトリウム溶液Bを得た。別に、硝酸銀40.4kgの水溶液206.2L(pH4.0)を用意し、10℃にて保温した。635Lの蒸留水と30Lのt−ブチルアルコールを入れた反応容器を30℃に保温し、十分に撹拌しながら先のベヘン酸ナトリウム溶液Bの全量と硝酸銀水溶液の全量を流量一定でそれぞれ93分15秒と90分かけて添加した。このとき、硝酸銀水溶液添加開始後11分間は硝酸銀水溶液のみが添加されるようにし、そのあとベヘン酸ナトリウム溶液Bを添加開始し、硝酸銀水溶液の添加終了後14分15秒間はベヘン酸ナトリウム溶液Bのみが添加されるようにした。このとき、反応容器内の温度は30℃とし、液温度が一定になるように外温コントロールした。また、ベヘン酸ナトリウム溶液Bの添加系の配管は、2重管の外側に温水を循環させる事により保温し、添加ノズル先端の出口の液温度が75℃になるよう調製した。また、硝酸銀水溶液の添加系の配管は、2重管の外側に冷水を循環させることにより保温した。ベヘン酸ナトリウム溶液Bの添加位置と硝酸銀水溶液の添加位置は撹拌軸を中心として対称的な配置とし、また反応液に接触しないような高さに調製した。
【0480】
ベヘン酸ナトリウム溶液Bを添加終了後、そのままの温度で20分間撹拌放置し、30分かけて35℃に昇温し、その後210分熟成を行った。熟成終了後直ちに、遠心濾過で固形分を濾別し、固形分を濾過水の伝導度が30μS/cmになるまで水洗した。こうして脂肪酸銀塩を得た。得られた固形分は、乾燥させないでウエットケーキとして保管した。
得られたベヘン酸銀粒子の形態を電子顕微鏡撮影により評価したところ、平均値でa=0.21μm、b=0.4μm、c=0.4μm、平均アスペクト比2.1、球相当径の変動係数11%の結晶であった。(a,b,cは本文の規定)
【0481】
乾燥固形分260kg相当のウエットケーキに対し、ポリビニルアルコール(商品名:PVA−217)19.3kgおよび水を添加し、全体量を1000kgとしてからディゾルバー羽根でスラリー化し、更にパイプラインミキサー(みづほ工業製:PM−10型)で予備分散した。
【0482】
次に予備分散済みの原液を分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−610、マイクロフルイデックス・インターナショナル・コーポレーション製、Z型インタラクションチャンバー使用)の圧力を1150kg/cmに調節して、三回処理し、ベヘン酸銀分散物を得た。冷却操作は蛇管式熱交換器をインタラクションチャンバーの前後に各々装着し、冷媒の温度を調節することで18℃の分散温度に設定した。
【0483】
3)還元剤分散物の調製
《還元剤−1分散物の調製》
還元剤―1(R1−14)10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液16kgに、水10kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて3時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて還元剤の濃度が25質量%になるように調製した。この分散液を60℃で5時間加熱処理し、還元剤―1分散物を得た。こうして得た還元剤分散物に含まれる還元剤粒子はメジアン径0.40μm、最大粒子径1.4μm以下であった。得られた還元剤分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0484】
4)水素結合性化合物−1分散物の調製
水素結合性化合物−1(トリ(4−t−ブチルフェニル)ホスフィンオキシド)10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液16kgに、水10kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて4時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて水素結合性化合物の濃度が25質量%になるように調製した。この分散液を40℃で1時間加熱した後、引き続いてさらに80℃で1時間加温し、水素結合性化合物−1分散物を得た。こうして得た水素結合性化合物分散物に含まれる水素結合性化合物粒子はメジアン径0.45μm、最大粒子径1.3μm以下であった。得られた水素結合性化合物分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0485】
5)現像促進剤−1分散物の調製
現像促進剤−1を10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液20kgに、水10kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて3時間30分分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて現像促進剤の濃度が20質量%になるように調製し、現像促進剤−1分散物を得た。こうして得た現像促進剤分散物に含まれる現像促進剤粒子はメジアン径0.48μm、最大粒子径1.4μm以下であった。得られた現像促進剤分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0486】
6)現像促進剤−2、及び色調調整剤−1の分散物調製
現像促進剤−2、及び色調調整剤−1の固体分散物についても現像促進剤−1と同様の方法により分散し、それぞれ20質量%、15質量%の分散液を得た。
【0487】
7)ポリハロゲン化合物の調製
《有機ポリハロゲン化合物−1分散物の調製》
有機ポリハロゲン化合物―1(トリブロモメタンスルホニルベンゼン)10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバールMP203)の20質量%水溶液10kgと、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液0.4kgと、水14kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて5時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて有機ポリハロゲン化合物の濃度が26質量%になるように調製し、有機ポリハロゲン化合物―1分散物を得た。こうして得たポリハロゲン化合物分散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジアン径0.41μm、最大粒子径2.0μm以下であった。得られた有機ポリハロゲン化合物分散物は孔径10.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0488】
《有機ポリハロゲン化合物−2分散物の調製》
有機ポリハロゲン化合物―2(N−ブチル−3−トリブロモメタンスルホニルベンゾアミド)10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバールMP203)の10質量%水溶液20kgと、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液0.4kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて5時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて有機ポリハロゲン化合物の濃度が30質量%になるように調製した。この分散液を40℃で5時間加温し、有機ポリハロゲン化合物―2分散物を得た。こうして得たポリハロゲン化合物分散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジアン径0.40μm、最大粒子径1.3μm以下であった。得られた有機ポリハロゲン化合物分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0489】
8)フタラジン化合物−1溶液の調製》
8kgのクラレ(株)製変性ポリビニルアルコールMP203を水174.57kgに溶解し、次いでトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液3.15kgとフタラジン化合物―1(6−イソプロピルフタラジン)の70質量%水溶液14.28kgを添加し、フタラジン化合物―1の5質量%溶液を調製した。
【0490】
9)メルカプト化合物の調製)
《メルカプト化合物−1水溶液の調製》
メルカプト化合物―1(1−(3−スルホフェニル)−5−メルカプトテトラゾールナトリウム塩)7gを水993gに溶解し、0.7質量%の水溶液とした。
【0491】
《メルカプト化合物−2水溶液の調製》
メルカプト化合物―2(1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール)20gを水980gに溶解し、2.0質量%の水溶液とした。
【0492】
10)顔料−1分散物の調製
C.I.Pigment Blue 60を64gと花王(株)製デモールNを6.4gに水250gを添加し良く混合してスラリーとした。平均直径0.5mmのジルコニアビーズ800gを用意してスラリーと一緒にベッセルに入れ、分散機(1/4Gサンドグラインダーミル:アイメックス(株)製)にて25時間分散し、水を加えて顔料の濃度が5質量%になるように調製して顔料−1分散物を得た。こうして得た顔料分散物に含まれる顔料粒子は平均粒径0.21μmであった。
【0493】
11)SBRラテックス液の調製
SBRラテックスは以下により調製した。
ガスモノマー反応装置(耐圧硝子工業(株)製TAS−2J型)の重合釜に、蒸留水287g、界面活性剤(パイオニンA−43−S(竹本油脂(株)製):固形分48.5質量%)7.73g、1mol/リットルNaOH14.06ml、エチレンジアミン4酢酸4ナトリウム塩0.15g、スチレン255g、アクリル酸11.25g、tert−ドデシルメルカプタン3.0gを入れ、反応容器を密閉し撹拌速度200rpmで撹拌した。真空ポンプで脱気し窒素ガス置換を数回繰返した後に、1,3−ブタジエン108.75gを圧入して内温60℃まで昇温した。ここに過硫酸アンモニウム1.875gを水50mlに溶解した液を添加し、そのまま5時間撹拌した。さらに90℃に昇温して3時間撹拌し、反応終了後内温が室温になるまで下げた後、1mol/リットルのNaOHとNHOHを用いてNaイオン:NH イオン=1:5.3(モル比)になるように添加処理し、pH8.4に調整した。その後、孔径1.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納し、SBRラテックスを774.7g得た。イオンクロマトグラフィーによりハロゲンイオンを測定したところ、塩化物イオン濃度3ppmであった。高速液体クロマトグラフィーによりキレート剤の濃度を測定した結果、145ppmであった。
【0494】
上記ラテックスは平均粒径90nm、Tg=17℃、固形分濃度44質量%、25℃60%RHにおける平衡含水率0.6質量%、イオン伝導度4.80mS/cm(イオン伝導度の測定は東亜電波工業(株)製伝導度計CM−30S使用し、ラテックス原液(44質量%)を25℃にて測定)であった。
【0495】
Tgの異なるSBRラテックスはスチレン、ブタジエンの比率を適宜変更し、同様の方法により調製できる。
【0496】
2.塗布液の調製
1)画像形成層塗布液−1の調製
上記で得た脂肪酸銀分散物A1000g、水135ml、顔料−1分散物35g、有機ポリハロゲン化合物−1分散物19g、有機ポリハロゲン化合物−2分散物58g、フタラジン化合物―1溶液162g、SBRラテックス(Tg:17℃)液1060g、還元剤−1分散物150g、水素結合性化合物−1分散物106g、現像促進剤−1分散物4.8g、メルカプト化合物−1水溶液9ml、メルカプト化合物−2水溶液27mlを順次添加し、塗布直前にハロゲン化銀混合乳剤A118gを添加して良く混合した画像形成層塗布液をそのままコーティングダイへ送液し、塗布した。
【0497】
上記画像形成層塗布液の粘度は東京計器のB型粘度計で測定して、40℃(No.1ローター、60rpm)で25[mPa・s]であった。
Haake社製RheoStress RS150を使用した38℃での塗布液の粘度は剪断速度が0.1、1、10、100、1000[1/秒]においてそれぞれ32、35、33、26、17[mPa・s]であった。
【0498】
塗布液中のジルコニウム量は銀1gあたり0.32mgであった。
【0499】
2)画像形成層塗布液−2の調製
上記で得た脂肪酸銀分散物B1000g、水135ml、顔料−1分散物20g、有機ポリハロゲン化合物−1分散物25g、有機ポリハロゲン化合物−2分散物39g、フタラジン化合物―1溶液171g、SBRラテックス(Tg:17℃)液1060g、還元剤−1分散物153g、水素結合性化合物−1分散物55g、現像促進剤−1分散物4.8g、現像促進剤−2分散物5.2g、色調調整剤−1分散物2.1g、メルカプト化合物−2水溶液8mlを順次添加し、塗布直前にハロゲン化銀混合乳剤A140gを添加して良く混合した画像形成層塗布液をそのままコーティングダイへ送液し、塗布した。
上記画像形成層塗布液の粘度は東京計器のB型粘度計で測定して、40℃(No.1ローター、60rpm)で40[mPa・s]であった。
Haake社製RheoStress RS150を使用した38℃での塗布液の粘度は剪断速度が0.1、1、10、100、1000[1/秒] においてそれぞれ30、43、41、28、20[mPa・s]であった。
【0500】
塗布液中のジルコニウム量は銀1gあたり0.30mgであった。
【0501】
3)中間層塗布液の調製
ポリビニルアルコールPVA−205(クラレ(株)製)1000g、スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム塩5質量%水溶液27ml、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量比57/8/28/5/2)ラテックス19質量%液4200mlにエアロゾールOT(アメリカンサイアナミド社製)の5質量%水溶液を27ml、フタル酸二アンモニウム塩の20質量%水溶液を135ml、総量10000gになるように水を加え、pHが7.5になるようにNaOHで調整して中間層塗布液とし、8.9ml/mになるようにコーティングダイへ送液した。
塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター、60rpm)で58[mPa・s]であった。
【0502】
4)表面保護層第1層塗布液の調製
イナートゼラチン100g、ベンゾイソチアゾリノン10mgおよび染料乳化物(表2記載の量)を水840mlに溶解し、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量比57/8/28/5/2)ラテックス19質量%液180g、フタル酸の15質量%メタノール溶液を46ml、スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム塩の5質量%水溶液を5.4mlを加えて混合し、塗布直前に4質量%のクロムみょうばん40mlをスタチックミキサーで混合したものを塗布液量が26.1ml/mになるようにコーティングダイへ送液した。
塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター、60rpm)で20[mPa・s]であった。
【0503】
5)表面保護層第2層塗布液の調製
イナートゼラチン100g、ベンゾイソチアゾリノン10mgを水800mlに溶解し、流動パラフィン乳化物を流動パラフィンとして8.0g、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量比57/8/28/5/2)ラテックス19質量%液180g、フタル酸15質量%メタノール溶液40ml、フッ素系界面活性剤(F−1)の1質量%溶液を5.5ml、フッ素系界面活性剤(F−2)の1質量%水溶液を5.5ml、スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム塩の5質量%水溶液を28ml、ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径0.7μm)4g、ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径4.5μm)21gを混合したものを表面保護層塗布液とし、8.3ml/mになるようにコーティングダイへ送液した。
塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター,60rpm)で19[mPa・s]であった。
【0504】
3.熱現像感光材料の作製
1)熱現像感光材料−101の作製
バック面と反対の面に下塗り面から画像形成層、中間層、表面保護層第1層、表面保護層第2層の順番でスライドビード塗布方式にて同時重層塗布し、熱現像感光材料の試料を作製した。このとき、画像形成層と中間層の塗布液は31℃に、表面保護層第一層の塗布液は36℃に、表面保護層第二層の塗布液は37℃に温度調整した。
画像形成層の各化合物の塗布量(g/m)は以下の通りである。
【0505】
ベヘン酸銀 5.42
顔料(C.I.Pigment Blue 60) 0.02
有機ポリハロゲン化合物−1 0.12
有機ポリハロゲン化合物−2 0.10
フタラジン化合物−1 0.18
SBRラテックス 9.70
還元剤−1(R1−14) 0.80
水素結合性化合物−1 0.29
現像促進剤−1 0.015
メルカプト化合物−1 0.01
メルカプト化合物−2 0.01
ハロゲン化銀(Agとして) 0.10
【0506】
塗布乾燥条件は以下のとおりである。
塗布はスピード160m/minで行い、コーティングダイ先端と支持体との間隙を0.10〜0.30mmとし、減圧室の圧力を大気圧に対して196〜882Pa低く設定した。支持体は塗布前にイオン風にて除電した。
引き続くチリングゾーンにて、乾球温度10〜20℃の風にて塗布液を冷却した後、無接触型搬送して、つるまき式無接触型乾燥装置にて、乾球温度23〜45℃、湿球温度15〜21℃の乾燥風で乾燥させた。
乾燥後、25℃で湿度40〜60%RHで調湿した後、膜面を70〜90℃になるように加熱した。加熱後、膜面を25℃まで冷却した。
作製された熱現像感光材料のマット度はベック平滑度で画像形成層面側が550秒、バック面が130秒であった。また、画像形成層面側の膜面のpHを測定したところ6.0であった。
【0507】
2)熱現像感光材料−102〜104の作製
熱現像感光材料−101に対して、表面保護層第1層に表2記載の染料乳化物を添加し、表2の色調(L)になるように画像形成層の顔料分散物の添加量を調節した以外は、熱現像感光材料−101と同様にして熱現像感光材料−102〜104を作製した。
【0508】
3)比較のための熱現像感光材料−105〜108の作製
熱現像感光材料−101に対して、画像形成層の還元剤を比較用の還元剤(S−2)に変更し、かぶり濃度が感光材料−101〜102には合わないので、感光材料−103とあわせる様に添加量を70%に減らした以外は、熱現像感光材料−101〜104の手順と同様にして熱現像感光材料−105〜108を作製した。
【0509】
4)熱現像感光材料−201〜208の作製
熱現像感光材料−101〜108に対して、画像形成層塗布液−1を画像形成層塗布液−2に変更した他は熱現像感光材料−101〜108と同様にして熱現像感光材料−201〜208を作製した。
このときの熱現像感光材料−201の画像形成層の各化合物の塗布量(g/m)は以下の通りである。
【0510】
ベヘン酸銀 5.27
顔料(C.I.Pigment Blue 60) 0.01
有機ポリハロゲン化合物−1 0.15
有機ポリハロゲン化合物−2 0.15
フタラジン化合物−1 0.18
SBRラテックス 9.43
還元剤−1(R1−14) 0.77
水素結合性化合物−1 0.42
現像促進剤−1 0.01
現像促進剤−2 0.025
色調調整剤−1 0.006
メルカプト化合物−2 0.01
ハロゲン化銀(Agとして) 0.13
【0511】
以下に本発明の実施例で用いた化合物の化学構造を示す。
【0512】
【化105】
Figure 2004245885
【0513】
【化106】
Figure 2004245885
【0514】
【化107】
Figure 2004245885
【0515】
【化108】
Figure 2004245885
【0516】
【化109】
Figure 2004245885
【0517】
上記熱現像感光材料―101〜108および201〜208に対して、下記の評価を行った。
4.写真性能の評価
1)準備
得られた試料は半切サイズに切断し、25℃50RH%の環境下で以下の包装材料に包装し、2週間常温下で保管した後、以下の評価を行った。
2)包装材料
PET 10μm/PE 12μm/アルミ箔9μm/Ny 15μm/カーボン3質量%を含むポリエチレン50μm
酸素透過率:0.02ml/atm・m・25℃・day、水分透過率:0.10g/atm・m・25℃・day
【0518】
3)感光材料の露光・現像
熱現像感光材料−101〜108は富士メディカル(株)ドライレーザーイメージャーFM−DP L(最大60mW(IIIB)出力の660nm半導体レーザー搭載)にて露光・熱現像(112℃−119℃−121℃−121℃に設定した4枚のパネルヒータで合計24秒)し、得られた画像の評価を濃度計により行った。
熱現像感光材料−201〜208は富士メディカル(株)ドライレーザーイメージャーDRYPIX7000(最大50mW(IIIB)出力の660nm半導体レーザー搭載)にて露光・熱現像(107℃−121℃−121℃に設定した3枚のパネルヒータで合計14秒)し、得られた画像の評価を濃度計により行った。
【0519】
4)色調変化
各感光材料を28℃―60RH%の環境下に置かれたシャーカステン(約4000Lux)で36時間置かれたときの色調変化を目視で観察した結果である。○は変化がほとんど分からないもの、△は変化が認められるが許容範囲内のもの、×は明らかに変化が認められ許容できないものを表す。
【0520】
比較用の還元剤は以下の化合物を用いた。
【0521】
(S−2)
【化110】
Figure 2004245885
【0522】
【表2】
Figure 2004245885
【0523】
表2の熱現像感光材料−101〜104の結果から、本発明に係る還元剤を使用すれば、好ましいブルーの背景色を示すa−b平面状上の範囲で、かぶりの少ない明るい画像を得ることができた。また、本発明は色調調整染料を使用しても画像色調の変化が改良できることが分かる。一方、比較の試料105〜108は、同じa−b平面状上の値としたときのかぶりが高く、背景色が暗い。また、画像色調の安定性にも劣る。
【0524】
【表3】
Figure 2004245885
【0525】
表3の熱現像感光材料−201〜204の結果から、本発明に係る還元剤を使用すれば、好ましいブルーの背景色を示すa−b平面状上の範囲で、かぶりの少ない明るい画像を得ることができた。また、本発明は色調調整染料を使用しても画像色調の変化が改良できることが分かる。一方、比較の試料205〜208は、同じa−b平面状上の値としたときのかぶりが高く、背景色が暗い。また、画像色調の安定性も劣る。
【0526】
実施例2
熱現像感光材料−201に対して、試料の画像形成層中の顔料を使用しなかった以外は熱現像感光材料−201と同様にして、熱現像感光材料−301を作製した。また、染料乳化物の添加量を表4記載のように変更して色調(L)を調節した以外は、実施例1と同様にして感光材料−302〜303を作製した。
比較のため、画像形成層の還元剤を比較用の還元剤(S−2)に変更し、かぶり濃度が感光材料−301〜302には合わないので、感光材料−303とあわせる様に添加量を73質量%に減らし、かつ色調調整のために染料の添加量を表4記載のように変更し色調も合わせた以外は、熱現像感光材料−303と同様にして、熱現像感光材料−304〜306を作製した。
熱現像感光材料−301〜306についての結果を、表4に示す。
【0527】
表4の熱現像感光材料−301〜306の結果から、本発明に係る還元剤を使用すれば、好ましいクリアな背景色を示すa−b平面状上の範囲で、かぶりの少ない明るい画像を得ることができた。また、本発明は色調調整染料を使用しても画像色調の変化が改良できることが分かる。一方、比較の試料304〜306は、同じa−b平面状上の値としたときのかぶりが高く、背景色が暗い。また、画像色調の変化も劣る。
【0528】
【表4】
Figure 2004245885
【0529】
実施例3
熱現像感光材料−101の作製において、還元剤R−14に代えて、それぞれかぶり濃度を熱現像感光材料−101にあわせるように添加量を調節して、熱現像感光材料−401〜410を作製し評価した。
【0530】
【表5】
Figure 2004245885
【0531】
表5に示す通り、実施例1同様本発明に係る還元剤を使用すれば、好ましいブルーの背景色を示すa−b平面状上の範囲で、かぶりの少ない明るい画像を得ることができた。
【0532】
実施例4
熱現像感光材料−102、202に対して試料の表面保護層第1層中の染料乳化物A1を、A2からA8にそれぞれ等量置き換えた以外は、実施例1と同様にして感光材料を作製し評価した。
その結果、本発明の化合物を使用すれば、好ましいブルーの背景色を示すa−b平面状上の範囲で、かぶりの少ない明るい画像を得ることができた。また、本発明は色調調整染料を使用しても画像色調の変化が改良できることが分かった。
【0533】
【発明の効果】
本発明により、画像色調と画像保存性が同時に改良された熱現像感光材料が提供される。

Claims (8)

  1. 支持体の同一面上に感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、還元剤及びバインダーを含有する熱現像感光材料であって、
    前記還元剤が、下記一般式(R1)で表される化合物及び下記一般式(R2)で表される化合物の少なくとも1種を含有し、
    かつ、熱現像後の最低濃度部における色調が、CIELAB空間上で92≧L≧87、かつ、a≦0及びb≦0の範囲にあることを特徴とする熱現像感光材料。
    一般式(R1)
    Figure 2004245885
    (一般式(R1)において、RおよびR’は、各々独立に炭素数1〜20のアルキル基を表す。RおよびR’は、各々独立に水素原子又はベンゼン環に置換可能な置換基を表す。Rは、炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、及びリン原子からなる群から選ばれる原子により構成される3ないし7員環を形成する置換基を表す。XおよびX’は、各々独立に水素原子又はベンゼン環に置換可能な基を表す。)
    一般式(R2)
    Figure 2004245885
    (一般式(R2)において、RおよびR’は、各々独立に炭素数1〜20のアルキル基を表す。RおよびR’は、各々独立に水素原子又はベンゼン環に置換可能な置換基を表す。Rは、アルケニル基又は不飽和結合を有するアルキル基を表す。XおよびX’は、各々独立に水素原子又はベンゼン環に置換可能な基を表す。)
  2. 支持体の同一面上に感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、熱現像剤及びバインダーを含有する熱現像感光材料であって、
    前記還元剤が、下記一般式(R1)で表される化合物及び下記一般式(R2)で表される化合物の少なくとも1種を含有し、
    かつ、熱現像後の最低濃度部における色調が、CIELAB空間上でL≧92、かつ、7≧a≧−7、及び5≧b≧−15の範囲にあることを特徴とする熱現像感光材料。
    一般式(R1)
    Figure 2004245885
    (一般式(R1)において、RおよびR’は、各々独立に炭素数1〜20のアルキル基を表す。RおよびR’は、各々独立に水素原子又はベンゼン環に置換可能な置換基を表す。Rは、炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、及びリン原子からなる群から選ばれる原子により構成される3ないし7員環を形成する置換基を表す。XおよびX’は、各々独立に水素原子又はベンゼン環に置換可能な基を表す。)
    一般式(R2)
    Figure 2004245885
    (一般式(R2)において、RおよびR’は、各々独立に炭素数1〜20のアルキル基を表す。RおよびR’は、各々独立に水素原子又はベンゼン環に置換可能な置換基を表す。Rは、アルケニル基又は不飽和結合を有するアルキル基を表す。XおよびX’は、各々独立に水素原子又はベンゼン環に置換可能な基を表す。)
  3. 熱によって消色しない染料が、少なくとも1種含まれていることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱現像感光材料。
  4. 前記熱現像後の最低濃度部の色相角が、180°〜270°であることを特徴とする請求項3に記載の熱現像感光材料。
  5. 総塗布銀量が、1.9g/m以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱現像感光材料。
  6. 14秒以下で現像されてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の熱現像感光材料。
  7. 現像後の光学濃度1.5における色調が、CIELAB空間上で、a≦0、b≦0で表される範囲にあることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の熱現像感光材料。
  8. 銀現像率が、80%以上であることを特徴とする請求項1〜7いずれかに記載の熱現像感光材料。
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