JP2004245093A - ロータリエンジン - Google Patents
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Abstract
【目的】爆発の瞬間からモーメントアームが生じて大きな回転トルクを発生させるようにしたロータリエンジンを提供する。
【解決手段】ロータリエンジンにおいて、トロコイドの長軸Yで区切られるロータハウジング1の一方の側には、圧縮行程の作動室4をロータ回転方向前後に分割する分割シール10を設けると共に、分割シール10より進み側に点火プラグ7を設け、各ロータ周辺面3aには、作動室4の後部室4bから前部室4aにガスを導入するガス導入路11を設け、ロータハウジング内周面1aには後部室4bを後方の作動室4と連通させるガス連通路12を設け、作動室4の前部室4aが後部室4bと隔絶された時点で前部室4aの圧縮ガスのみを爆発させるようにした。
【選択図】 図3
【解決手段】ロータリエンジンにおいて、トロコイドの長軸Yで区切られるロータハウジング1の一方の側には、圧縮行程の作動室4をロータ回転方向前後に分割する分割シール10を設けると共に、分割シール10より進み側に点火プラグ7を設け、各ロータ周辺面3aには、作動室4の後部室4bから前部室4aにガスを導入するガス導入路11を設け、ロータハウジング内周面1aには後部室4bを後方の作動室4と連通させるガス連通路12を設け、作動室4の前部室4aが後部室4bと隔絶された時点で前部室4aの圧縮ガスのみを爆発させるようにした。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トロコイド内周面をもつロータハウジングとその両側のサイドハウジングとで形成される空間内を、略三角形のロータが、その頂部をロータハウジング内周面に摺接させながら遊星回転運動を行うロータリエンジンに関する。
【0002】
【従来の技術】
図7は従来のロータリエンジンを示すもので、トロコイド内周面をもつロータハウジング21は、サイドハウジング22(図には片側の一つのみを示す)により両端を閉じられ、これらハウジング21,22によって形成される空間内を、外方へ湾曲する3つの周辺面をもつ略三角形のロータ23が、その頂部をそれぞれロータハウジング21の内周面に摺接させながら、例えば同図の矢印で示すような時計回り方向に遊星回転運動を行なう。ロータ23の各周辺面とその両端たる頂部とハウジング21,22の対応する部分とによって、それぞれ作動室24が区画形成される。
【0003】
また図7に示すように、トロコイドの長軸Wで区切られる一方の側において、サイドハウジング22には短軸Vより進み側に吸気ポート25が、またロータハウジング21には短軸Vより遅れ側に排気ポート26が設けられている。トロコイドの長軸Wで区切られる他方の側にはロータハウジング21に、短軸Vを挟む両側に点火プラグ27が設けられている。28は出力軸である。
【0004】
上記ロータリエンジンの動作を図8の▲1▼〜▲6▼によって説明すると、▲1▼に示すように、作動室24がaの状態にある時は、作動室24の容積は最小となる。この位置は吸入行程上死点と呼ばれ、この位置から吸入行程が開始される。そして、ロータ23が回転するにつれて、サイドハウジング22の吸気ポート25が次第に大きく開かれて混合ガスを吸い込み、同時に作動室24は、▲2▼のb→▲3▼のc→▲4▼のdと容積を増し、▲5▼のeで最大となる。この時のロータ23の位置は、吸入行程下死点とよばれる。
【0005】
作動室24が▲5▼のeの状態を過ぎると、吸気ポート25はロータ23の側面で覆われて閉じ、混合ガスの吸入を終え、作動室容積を次第に縮小して、吸入した混合ガスを圧縮する圧縮行程に移る。ロータ23の回転に伴い、作動室24の容積は、▲6▼のf→▲1▼のg→▲2▼のh→▲3▼のiと次第に縮小される。そして、混合ガスが最も圧縮された▲4▼のjの状態で、2本の点火プラグ27が点火する。▲4▼のjの状態にある時は作動室24の容積が最小で、この時が圧縮行程上死点である。
【0006】
作動室24が▲4▼のjの状態で点火された混合ガスは燃焼するにつれて体積を増し、作動室24は、▲5▼のk→▲6▼のl→▲1▼のmと膨張を続ける。これが膨張行程で、この間に混合ガスの燃焼エネルギーがロータ23の表面に圧力を加え、出力軸28を回転させる。尚、作動室24は▲3▼のoの状態で容積が最大となり、これを膨張下死点と呼ぶ。膨張を終えた燃焼ガスは、▲3▼のo→▲4▼のp→▲5▼のq→▲6▼のrと作動室24の容積が縮小するにつれて、排気ポート26から排気される。これが排気行程で、この排気が終わると、▲1▼の状態にかえって、再び同じサイクルを繰り返す。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
図9は、作動室24が▲4▼のjの状態で点火されて混合ガスが爆発した直後の状態を示す。この図において、pはロータ23の周辺面に作用する単位面積当たりの圧力を示し、Poはガス総合圧力の方向を示す。また、P1 はロータ23を前方へ(時計回り方向へ)回転させようとする力であり、P2 はロータ23を後方に、即ちP1 と逆方向に回転させようとする力で、無駄な力となる。回転トルクは、ガス総合圧力PoとモーメントアームMaとの積である。このモーメントアームMaは、出力軸28の中心Oからガス総合圧力Poの方向線までの、これと直交する方向の距離である。
【0008】
しかして、この従来のロータリエンジンでは、混合ガスが爆発した瞬間に前方回転力P1 と後方回転力P2 とが等しく、モーメントアームMaがゼロとなり、従って爆発した瞬間の回転トルクはゼロであり、その後ロータ23の回転に伴い前方回転力P1 が後方回転力P2 より大きくなって、回転トルクが急激に増加し、その後は次第に減少する。このように、従来のロータリエンジンは、爆発の瞬間にモーメントアームMaがゼロとなって出力が出ず、4サイクルのレシプロエンジンと比べて燃焼効率が悪いという問題があった。
【0009】
本願発明は、上記の問題点に鑑み、爆発の瞬間からモーメントアームが生じて大きな回転トルクを発生させ、燃焼効率を良くしたロータリエンジンを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、トロコイド内周面をもつロータハウジング1とその両側のサイドハウジング2とで形成される空間内を、ロータハウジング内周面1aとの間にそれぞれ作動室4を形成する三つの周辺面3aをもつ略三角形のロータ3がその頂部をロータハウジング内周面1aに摺接させながら遊星回転運動するロータリエンジンにおいて、トロコイドの長軸Wで区切られるロータハウジング1の一方の側には、ロータ外周面に弾接して圧縮行程の作動室4をロータ回転方向前後に分割する分割シール10を設けると共に、分割シール10より進み側に点火プラグ7を設け、各ロータ周辺面3aの前部側には、分割シール10で分割された作動室4の後部室4bから前部室4aにガスを導入するガス導入路11を設け、ロータハウジング内周面1aには分割シール10からその遅れ側にわたって、前記作動室4の後部室4bをその後方の後部室4bと連通させるガス連通路12を設け、作動室4の前部室4aが後部室4bと隔絶された時点で前部室4aの圧縮ガスのみを爆発させるようにしたことを特徴とする。
【0011】
請求項2は、請求項1に記載のロータリエンジンにおいて、前記ロータハウジング1の内周面1aには分割シール10からその遅れ側にわたって、この分割シール10で分割された作動室4の後部室4bをその後方の作動室4と連通させるガス連通路12を設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項3は、請求項1又は2に記載のロータリエンジンにおいて、前記分割シール10は、トロコイドの短軸Vに沿った位置に設けられていることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1〜図4に示す本発明に係るロータリエンジンにおいて、ロータハウジング1は、トロコイド曲線からなる内周面1aを有し、サイドハウジング2(図には片側の一つのみを示す)により両端を閉じられていて、これらハウジング1,2によって形成される空間内を、外方へ湾曲する3つの周辺面をもつ略三角形のロータ3が、その頂部をそれぞれロータハウジング1の内周面1aに摺接させながら、例えば各図の矢印で示す時計回り方向に遊星回転運動、即ち自転及び公転を行なうようになっている。略三角形のロータ3は、外向き凸状に湾曲する3つの周辺面3aを有し、各周辺面3aとその両端たる頂部とハウジング1,2の対応する部分とによってそれぞれ作動室4が区画形成される。ロータ3の頂部には、先端部を円弧状に形成したシール部材9が、ロータハウジング1の内周面1aを適当な圧力で押し付けるように取り付けられている。図において、Oは出力軸8の中心、Gはロータ3の中心を示す。
【0014】
図1〜図4に示すように、トロコイドの長軸Wで区切られる一方の側(右側)において、サイドハウジング2には短軸Vよりも進み側に吸気ポート5が、またロータハウジング1には短軸Vより遅れ側にあって短軸Vを挟んで吸気ポート5と対称位置に排気ポート6が設けられている。そして、トロコイドの長軸Wで区切られるロータハウジング1の他方の側(左側)には、短軸Vより進み側に点火プラグ7が設けられると共に、短軸Vに沿った位置(トロコイド曲線のくびれた位置)に、ロータ3の外周面に弾接して圧縮行程の作動室4をロータ回転方向前後に分割するための分割シール10が設けられている。
【0015】
各ロータ周辺面3aの回転方向前部側には、図2から分かるように、混合ガスの圧縮中に分割シール10で分割された作動室4の後部室4bから前部室4aに混合ガスを導入するガス導入路11が設けられ、そしてロータハウジング1の内周面1aには分割シール10の設けられた地点からその遅れ側に亘って、分割シール10で分割された作動室4の後部室4bをその後方の作動室4と連通させるためのガス連通路12が設けられている。
【0016】
しかして、この発明のロータリエンジンでは、図3に示すように、圧縮行程においてロータ周辺面3aのガス導入路11が分割シール10を通過した時点で圧縮上死点に達し、この圧縮上死点で作動室4の前部室4aが後部室4bと隔絶されるが、この圧縮上死点の直前、即ち前部室4aが後部室4bと隔絶される直前に点火プラグ7を点火させることによって、後部室4bの圧縮ガスは燃焼させないで、前部室4aの圧縮ガスのみを爆発させるように構成したもので、この点が本発明の大きな特徴である。
【0017】
各ロータ周辺面3aのガス導入路11は、点火プラグ7によって前部室4aの圧縮ガスに点火された直後にこの前部室4aと後部室4bとが完全に隔絶されて別室となる位置に設けてある。また、ロータハウジング1のガス連通路12は、圧縮行程にある作動室4の後部室4bと、ロータ3の偏心回転によって次に圧縮室となる後方の作動室4とを、前記点火プラグ7による点火の直前に連通させる位置に設けられている。
【0018】
次に、上記のような構成よりなるロータリエンジンの作用について、図5の▲1▼〜▲6▼に従って説明する。図5の▲1▼〜▲6▼は、ロータ3を図1に示す位置から少しずつ時計回り方向に偏心回転させた状態を示すもので、図1は図5の▲1▼に対応し、図2は▲2▼と▲3▼との中間位置に対応し、図3は▲4▼に対応し、そして図4は▲5▼と対応する。
【0019】
図5の▲1▼に示すように、作動室4がaの状態にある時に、作動室4の容積は最小となる。この位置が吸入行程上死点で、この位置から吸入行程が開始される。ロータ3の偏心回転に伴い、サイドハウジング2の吸気ポート5が次第に開かれて混合ガスを吸い込み、作動室4は、▲2▼のb→▲3▼のc→▲4▼のdと容積を増し、▲5▼のeで最大となり、この時のロータ3の位置が吸入下死点である。
【0020】
作動室4が▲5▼のeの状態を過ぎると、吸気ポート5はロータ3の側面で覆われて閉じ、混合ガスの吸入を終え、作動室4の容積を次第に縮小して、吸入した混合ガスを圧縮する圧縮行程に移る。ロータ3の回転に伴い、作動室4の容積が▲6▼のf→▲1▼のg→▲2▼のh→▲3▼のiと次第に縮小されて混合ガスを圧縮すると共に、図2から分かるようにロータ3の外周面に弾接している分割シール10によって圧縮行程の作動室4が前部室4aと後部室4bとに分割される。
【0021】
こうして圧縮行程の作動室4が分割シール10により分割される時に、この作動室4の後部室4b内の圧縮ガスがロータ周辺面3aのガス導入路11を通って前部室4aへ移動する。また、このガス導入路11がロータ3の回転に伴って分割シール10を通り過ぎた瞬間に、この作動室4は、図3に示すように、前部室4aと後部室4bとに完全に隔絶された状態に分割されると同時に、その後部室4bは、ロータハウジング1側のガス連通路12によって、次の圧縮室となる後方の作動室4と連通する。
【0022】
この場合、ロータハウジング1の内周面1aにガス連通路12を設けていることにより、ガスが燃焼する直前から後部室4bがなくなるまでの間、後部室4bの圧縮ガスが、次に圧縮室となる後方の作動室4へ移動するので、後部室4b内の圧力上昇を避け、出力軸8の出力回転トルク(正の回転トルク)に対する負の回転トルクが増加することを防いでいる。図5において、▲4▼のjは最大限圧縮された前部室4aの状態を示し、この時が圧縮上死点である。
【0023】
しかして、ロータ3側のガス導入路11がロータハウジング1側の分割シール10を通過して作動室4の前部室4aが後部室4bと隔絶した時点で、最大限圧縮された前部室4aの混合ガスを点火プラグ7により点火して燃焼爆発させる。このようにロータハウジング1側に分割シール10を設けて圧縮行程の作動室4を前部室4aと後部室4bとに分割すると共に、後部室4bのガスは燃焼させないで前部室4aのガスだけを燃焼爆発させることによって、その燃焼爆発の瞬間からモーメントアームMaが生じる(図3参照)。
【0024】
上記のように作動室4の前部室4aが図5の▲4▼にjで示す最大圧縮状態で点火された混合ガスは燃焼するにつれて体積を増し、そしてこの作動室4は、▲5▼のk→▲6▼のl→▲1▼のmと膨張を続ける。これが膨張行程で、この間に混合ガスの燃焼エネルギーがロータ周辺面3aに圧力を加えて、出力軸8に回転トルクを発生させる。膨張を終えた燃焼ガスは、▲3▼のo→▲4▼のp→▲5▼のq→▲6▼のrと作動室4の容積が縮小するにつれて、排気ポート6から排気される。これが排気行程で、この排気が終わると、▲1▼の状態にかえって再び同じサイクルを繰り返す。
【0025】
上記回転トルクの発生のメカニズムを図3によって説明すると、この図3は、分割シール10で作動室4の後部室4bと隔絶された前部室4aが燃焼爆発した瞬間の状態を示している。この燃焼により、ロータ周辺面3aの前部側半分に作用しているガス総合圧力Poが、ロータ周辺面3aに対する分割シール10の接点イと、ロータハウジング1の内周面1aに対する接点ロとを結ぶ直線13から垂直方向にロータ3を押している。出力軸8の中心Oからガス総合圧力Poの方向線までの、これと直交する方向の距離14がモーメントアームMaとなって、前部室4aの圧縮ガスが燃焼した瞬間から、このモーメントアームMaとガス総合圧力Poとの積に相当する回転トルクが出力軸8に発生する。pはロータ3の周辺面3aの前部側半分に作用する単位面積当たりの圧力を示す。
【0026】
一つの作動室4が、吸入、圧縮、膨張及び排気の4行程を一巡する間に回転トルクの発生する時間は、膨張行程、即ちガスが燃焼爆発する瞬間から膨張終了までの間である。この回転トルクが発生する間の、ガス総合圧力Po、モーメントアームMa及び回転トルクTの値の変化を、従来のロータリエンジンと比較して図6に示す。この図6では、本発明のロータリエンジンによるガス総合圧力Poを太い一点鎖線で示し、従来のロータリエンジンによるガス総合圧力Poを細い一点鎖線で示す。また本発明のロータリエンジンによるモーメントアームMaを太い実線で示し、従来のロータリエンジンによるモーメントアームMaを細い実線で示す。また本発明のロータリエンジンによる回転トルクTを太い二点鎖線で示し、従来のロータリエンジンによる回転トルクTを細い二点鎖線で示す。
【0027】
図6において、ガス総合圧力Poは、本発明の方が後部室4bのガスを燃焼させないため従来のものより小さいが、何れの場合もガスの燃焼後、ガスが膨張するに従って次第に減少する。モーメントアームMaは、従来のロータリエンジンにあっては、爆発の瞬間ゼロとなり、従って爆発した瞬間の回転トルクTはゼロであって、その後図7〜図9によって説明したようにロータ23の回転に伴い前方回転力P1 が後方回転力P2 より大きくなって、回転トルクTが急激に増加し、その後は次第に減少する。
【0028】
これに対し、本発明のロータリエンジンによると、モーメントアームMaは、ガスが燃焼した瞬間に大きな値を生じし、その後は次第に小さくなる。また、回転トルクTは、ガス総合圧力PoとモーメントアームMaとの積であるので、ガスの燃焼と同時に極めて大きく発生し、その後は次第に小さくなる。
【0029】
このように本発明によるロータリエンジンの構成によれば、ガスが燃焼した瞬間から大きなモーメントアームMaを生じるため、効率良くガス総合圧力Poを回転トルクTとして出力軸8から取り出すことができ、従って燃焼効率の良いロータリエンジンを提供することができる。
【0030】
また、分割シール10は、トロコイドの長軸Wで区切られるロータハウジング1の一方の側(例えば図3の左側)における短軸Vに沿った位置に設けられているから、圧縮上死点でロータ周辺面3aの周方向中央部に位置して作動室4の前部室4aと後部室4bとを均等に分割し、それによりモーメントアームMaを最大限大きくすることができる。
【0031】
【発明の効果】
請求項1に係る発明のロータリエンジンによると、ガスが燃焼した瞬間から大きなモーメントアームを生じることにより、効率良くガス総合圧力を回転トルクとして出力軸から取り出すことができるので、燃焼効率の良いロータリエンジンを得ることができる。
【0032】
請求項2に係る発明のロータリエンジンによれば、ロータハウジングの内周面に分割シールで分割された作動室の後部室をその後方の作動室と連通させるガス連通路を設けていることにより、ガスが燃焼する直前から後部室がなくなるまでの間、後部室の圧縮ガスが、次に圧縮室となる後方の作動室へと移動するので、後部室内の圧力上昇が避けられ、出力軸の出力回転トルク(正の回転トルク)に対する負の回転トルクの増加が防止される。
【0033】
請求項3に係る発明のロータリエンジンによれば、分割シールはトロコイドの短軸に沿った位置に設けられているから、圧縮上死点でロータ周辺面の周方向中央部に位置して作動室の前部室と後部室とを均等に分割し、それによりモーメントアームを最大限大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るロータリエンジンを示す縦断側面図で、吸入行程上死点にある状態を示す。
【図2】同ロータリエンジンの縦断側面図で、ロータが図1の状態から時計回り方向に少し回転した状態を示す。
【図3】ロータが図2の状態から更に時計回り方向に回転して吸入上死点となった状態を示す縦断側面図である。
【図4】ロータが図2の状態から更に時計回り方向に回転した状態を示す縦断側面図である。
【図5】本発明に係るロータリエンジンの全行程の作動状態を示す説明図である。
【図6】本発明に係るロータリエンジンのガス総合圧力、モーメントアーム及び回転トルクの値の変化を、従来のロータリエンジンと比較して示すグラフである。
【図7】従来のロータリエンジンを示す縦断側面図で、本発明を示す図1に対応する図面である。
【図8】従来のロータリエンジンを示す縦断側面図で、本発明を示す図3に対応する図面である。
【図9】従来のロータリエンジンの全行程の作動状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 ロータハウジング
1a ロータハウジングのトロコイド内周面
2 サイドハウジング
3 ロータ
3a ロータ周辺面
4 作動室
4a 前部室
4b 後部室
5 吸気ポート
6 排気ポート
7 点火プラグ
8 出力軸
10 分割シール
11 ガス導入路
12 ガス連通路
【発明の属する技術分野】
本発明は、トロコイド内周面をもつロータハウジングとその両側のサイドハウジングとで形成される空間内を、略三角形のロータが、その頂部をロータハウジング内周面に摺接させながら遊星回転運動を行うロータリエンジンに関する。
【0002】
【従来の技術】
図7は従来のロータリエンジンを示すもので、トロコイド内周面をもつロータハウジング21は、サイドハウジング22(図には片側の一つのみを示す)により両端を閉じられ、これらハウジング21,22によって形成される空間内を、外方へ湾曲する3つの周辺面をもつ略三角形のロータ23が、その頂部をそれぞれロータハウジング21の内周面に摺接させながら、例えば同図の矢印で示すような時計回り方向に遊星回転運動を行なう。ロータ23の各周辺面とその両端たる頂部とハウジング21,22の対応する部分とによって、それぞれ作動室24が区画形成される。
【0003】
また図7に示すように、トロコイドの長軸Wで区切られる一方の側において、サイドハウジング22には短軸Vより進み側に吸気ポート25が、またロータハウジング21には短軸Vより遅れ側に排気ポート26が設けられている。トロコイドの長軸Wで区切られる他方の側にはロータハウジング21に、短軸Vを挟む両側に点火プラグ27が設けられている。28は出力軸である。
【0004】
上記ロータリエンジンの動作を図8の▲1▼〜▲6▼によって説明すると、▲1▼に示すように、作動室24がaの状態にある時は、作動室24の容積は最小となる。この位置は吸入行程上死点と呼ばれ、この位置から吸入行程が開始される。そして、ロータ23が回転するにつれて、サイドハウジング22の吸気ポート25が次第に大きく開かれて混合ガスを吸い込み、同時に作動室24は、▲2▼のb→▲3▼のc→▲4▼のdと容積を増し、▲5▼のeで最大となる。この時のロータ23の位置は、吸入行程下死点とよばれる。
【0005】
作動室24が▲5▼のeの状態を過ぎると、吸気ポート25はロータ23の側面で覆われて閉じ、混合ガスの吸入を終え、作動室容積を次第に縮小して、吸入した混合ガスを圧縮する圧縮行程に移る。ロータ23の回転に伴い、作動室24の容積は、▲6▼のf→▲1▼のg→▲2▼のh→▲3▼のiと次第に縮小される。そして、混合ガスが最も圧縮された▲4▼のjの状態で、2本の点火プラグ27が点火する。▲4▼のjの状態にある時は作動室24の容積が最小で、この時が圧縮行程上死点である。
【0006】
作動室24が▲4▼のjの状態で点火された混合ガスは燃焼するにつれて体積を増し、作動室24は、▲5▼のk→▲6▼のl→▲1▼のmと膨張を続ける。これが膨張行程で、この間に混合ガスの燃焼エネルギーがロータ23の表面に圧力を加え、出力軸28を回転させる。尚、作動室24は▲3▼のoの状態で容積が最大となり、これを膨張下死点と呼ぶ。膨張を終えた燃焼ガスは、▲3▼のo→▲4▼のp→▲5▼のq→▲6▼のrと作動室24の容積が縮小するにつれて、排気ポート26から排気される。これが排気行程で、この排気が終わると、▲1▼の状態にかえって、再び同じサイクルを繰り返す。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
図9は、作動室24が▲4▼のjの状態で点火されて混合ガスが爆発した直後の状態を示す。この図において、pはロータ23の周辺面に作用する単位面積当たりの圧力を示し、Poはガス総合圧力の方向を示す。また、P1 はロータ23を前方へ(時計回り方向へ)回転させようとする力であり、P2 はロータ23を後方に、即ちP1 と逆方向に回転させようとする力で、無駄な力となる。回転トルクは、ガス総合圧力PoとモーメントアームMaとの積である。このモーメントアームMaは、出力軸28の中心Oからガス総合圧力Poの方向線までの、これと直交する方向の距離である。
【0008】
しかして、この従来のロータリエンジンでは、混合ガスが爆発した瞬間に前方回転力P1 と後方回転力P2 とが等しく、モーメントアームMaがゼロとなり、従って爆発した瞬間の回転トルクはゼロであり、その後ロータ23の回転に伴い前方回転力P1 が後方回転力P2 より大きくなって、回転トルクが急激に増加し、その後は次第に減少する。このように、従来のロータリエンジンは、爆発の瞬間にモーメントアームMaがゼロとなって出力が出ず、4サイクルのレシプロエンジンと比べて燃焼効率が悪いという問題があった。
【0009】
本願発明は、上記の問題点に鑑み、爆発の瞬間からモーメントアームが生じて大きな回転トルクを発生させ、燃焼効率を良くしたロータリエンジンを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、トロコイド内周面をもつロータハウジング1とその両側のサイドハウジング2とで形成される空間内を、ロータハウジング内周面1aとの間にそれぞれ作動室4を形成する三つの周辺面3aをもつ略三角形のロータ3がその頂部をロータハウジング内周面1aに摺接させながら遊星回転運動するロータリエンジンにおいて、トロコイドの長軸Wで区切られるロータハウジング1の一方の側には、ロータ外周面に弾接して圧縮行程の作動室4をロータ回転方向前後に分割する分割シール10を設けると共に、分割シール10より進み側に点火プラグ7を設け、各ロータ周辺面3aの前部側には、分割シール10で分割された作動室4の後部室4bから前部室4aにガスを導入するガス導入路11を設け、ロータハウジング内周面1aには分割シール10からその遅れ側にわたって、前記作動室4の後部室4bをその後方の後部室4bと連通させるガス連通路12を設け、作動室4の前部室4aが後部室4bと隔絶された時点で前部室4aの圧縮ガスのみを爆発させるようにしたことを特徴とする。
【0011】
請求項2は、請求項1に記載のロータリエンジンにおいて、前記ロータハウジング1の内周面1aには分割シール10からその遅れ側にわたって、この分割シール10で分割された作動室4の後部室4bをその後方の作動室4と連通させるガス連通路12を設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項3は、請求項1又は2に記載のロータリエンジンにおいて、前記分割シール10は、トロコイドの短軸Vに沿った位置に設けられていることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1〜図4に示す本発明に係るロータリエンジンにおいて、ロータハウジング1は、トロコイド曲線からなる内周面1aを有し、サイドハウジング2(図には片側の一つのみを示す)により両端を閉じられていて、これらハウジング1,2によって形成される空間内を、外方へ湾曲する3つの周辺面をもつ略三角形のロータ3が、その頂部をそれぞれロータハウジング1の内周面1aに摺接させながら、例えば各図の矢印で示す時計回り方向に遊星回転運動、即ち自転及び公転を行なうようになっている。略三角形のロータ3は、外向き凸状に湾曲する3つの周辺面3aを有し、各周辺面3aとその両端たる頂部とハウジング1,2の対応する部分とによってそれぞれ作動室4が区画形成される。ロータ3の頂部には、先端部を円弧状に形成したシール部材9が、ロータハウジング1の内周面1aを適当な圧力で押し付けるように取り付けられている。図において、Oは出力軸8の中心、Gはロータ3の中心を示す。
【0014】
図1〜図4に示すように、トロコイドの長軸Wで区切られる一方の側(右側)において、サイドハウジング2には短軸Vよりも進み側に吸気ポート5が、またロータハウジング1には短軸Vより遅れ側にあって短軸Vを挟んで吸気ポート5と対称位置に排気ポート6が設けられている。そして、トロコイドの長軸Wで区切られるロータハウジング1の他方の側(左側)には、短軸Vより進み側に点火プラグ7が設けられると共に、短軸Vに沿った位置(トロコイド曲線のくびれた位置)に、ロータ3の外周面に弾接して圧縮行程の作動室4をロータ回転方向前後に分割するための分割シール10が設けられている。
【0015】
各ロータ周辺面3aの回転方向前部側には、図2から分かるように、混合ガスの圧縮中に分割シール10で分割された作動室4の後部室4bから前部室4aに混合ガスを導入するガス導入路11が設けられ、そしてロータハウジング1の内周面1aには分割シール10の設けられた地点からその遅れ側に亘って、分割シール10で分割された作動室4の後部室4bをその後方の作動室4と連通させるためのガス連通路12が設けられている。
【0016】
しかして、この発明のロータリエンジンでは、図3に示すように、圧縮行程においてロータ周辺面3aのガス導入路11が分割シール10を通過した時点で圧縮上死点に達し、この圧縮上死点で作動室4の前部室4aが後部室4bと隔絶されるが、この圧縮上死点の直前、即ち前部室4aが後部室4bと隔絶される直前に点火プラグ7を点火させることによって、後部室4bの圧縮ガスは燃焼させないで、前部室4aの圧縮ガスのみを爆発させるように構成したもので、この点が本発明の大きな特徴である。
【0017】
各ロータ周辺面3aのガス導入路11は、点火プラグ7によって前部室4aの圧縮ガスに点火された直後にこの前部室4aと後部室4bとが完全に隔絶されて別室となる位置に設けてある。また、ロータハウジング1のガス連通路12は、圧縮行程にある作動室4の後部室4bと、ロータ3の偏心回転によって次に圧縮室となる後方の作動室4とを、前記点火プラグ7による点火の直前に連通させる位置に設けられている。
【0018】
次に、上記のような構成よりなるロータリエンジンの作用について、図5の▲1▼〜▲6▼に従って説明する。図5の▲1▼〜▲6▼は、ロータ3を図1に示す位置から少しずつ時計回り方向に偏心回転させた状態を示すもので、図1は図5の▲1▼に対応し、図2は▲2▼と▲3▼との中間位置に対応し、図3は▲4▼に対応し、そして図4は▲5▼と対応する。
【0019】
図5の▲1▼に示すように、作動室4がaの状態にある時に、作動室4の容積は最小となる。この位置が吸入行程上死点で、この位置から吸入行程が開始される。ロータ3の偏心回転に伴い、サイドハウジング2の吸気ポート5が次第に開かれて混合ガスを吸い込み、作動室4は、▲2▼のb→▲3▼のc→▲4▼のdと容積を増し、▲5▼のeで最大となり、この時のロータ3の位置が吸入下死点である。
【0020】
作動室4が▲5▼のeの状態を過ぎると、吸気ポート5はロータ3の側面で覆われて閉じ、混合ガスの吸入を終え、作動室4の容積を次第に縮小して、吸入した混合ガスを圧縮する圧縮行程に移る。ロータ3の回転に伴い、作動室4の容積が▲6▼のf→▲1▼のg→▲2▼のh→▲3▼のiと次第に縮小されて混合ガスを圧縮すると共に、図2から分かるようにロータ3の外周面に弾接している分割シール10によって圧縮行程の作動室4が前部室4aと後部室4bとに分割される。
【0021】
こうして圧縮行程の作動室4が分割シール10により分割される時に、この作動室4の後部室4b内の圧縮ガスがロータ周辺面3aのガス導入路11を通って前部室4aへ移動する。また、このガス導入路11がロータ3の回転に伴って分割シール10を通り過ぎた瞬間に、この作動室4は、図3に示すように、前部室4aと後部室4bとに完全に隔絶された状態に分割されると同時に、その後部室4bは、ロータハウジング1側のガス連通路12によって、次の圧縮室となる後方の作動室4と連通する。
【0022】
この場合、ロータハウジング1の内周面1aにガス連通路12を設けていることにより、ガスが燃焼する直前から後部室4bがなくなるまでの間、後部室4bの圧縮ガスが、次に圧縮室となる後方の作動室4へ移動するので、後部室4b内の圧力上昇を避け、出力軸8の出力回転トルク(正の回転トルク)に対する負の回転トルクが増加することを防いでいる。図5において、▲4▼のjは最大限圧縮された前部室4aの状態を示し、この時が圧縮上死点である。
【0023】
しかして、ロータ3側のガス導入路11がロータハウジング1側の分割シール10を通過して作動室4の前部室4aが後部室4bと隔絶した時点で、最大限圧縮された前部室4aの混合ガスを点火プラグ7により点火して燃焼爆発させる。このようにロータハウジング1側に分割シール10を設けて圧縮行程の作動室4を前部室4aと後部室4bとに分割すると共に、後部室4bのガスは燃焼させないで前部室4aのガスだけを燃焼爆発させることによって、その燃焼爆発の瞬間からモーメントアームMaが生じる(図3参照)。
【0024】
上記のように作動室4の前部室4aが図5の▲4▼にjで示す最大圧縮状態で点火された混合ガスは燃焼するにつれて体積を増し、そしてこの作動室4は、▲5▼のk→▲6▼のl→▲1▼のmと膨張を続ける。これが膨張行程で、この間に混合ガスの燃焼エネルギーがロータ周辺面3aに圧力を加えて、出力軸8に回転トルクを発生させる。膨張を終えた燃焼ガスは、▲3▼のo→▲4▼のp→▲5▼のq→▲6▼のrと作動室4の容積が縮小するにつれて、排気ポート6から排気される。これが排気行程で、この排気が終わると、▲1▼の状態にかえって再び同じサイクルを繰り返す。
【0025】
上記回転トルクの発生のメカニズムを図3によって説明すると、この図3は、分割シール10で作動室4の後部室4bと隔絶された前部室4aが燃焼爆発した瞬間の状態を示している。この燃焼により、ロータ周辺面3aの前部側半分に作用しているガス総合圧力Poが、ロータ周辺面3aに対する分割シール10の接点イと、ロータハウジング1の内周面1aに対する接点ロとを結ぶ直線13から垂直方向にロータ3を押している。出力軸8の中心Oからガス総合圧力Poの方向線までの、これと直交する方向の距離14がモーメントアームMaとなって、前部室4aの圧縮ガスが燃焼した瞬間から、このモーメントアームMaとガス総合圧力Poとの積に相当する回転トルクが出力軸8に発生する。pはロータ3の周辺面3aの前部側半分に作用する単位面積当たりの圧力を示す。
【0026】
一つの作動室4が、吸入、圧縮、膨張及び排気の4行程を一巡する間に回転トルクの発生する時間は、膨張行程、即ちガスが燃焼爆発する瞬間から膨張終了までの間である。この回転トルクが発生する間の、ガス総合圧力Po、モーメントアームMa及び回転トルクTの値の変化を、従来のロータリエンジンと比較して図6に示す。この図6では、本発明のロータリエンジンによるガス総合圧力Poを太い一点鎖線で示し、従来のロータリエンジンによるガス総合圧力Poを細い一点鎖線で示す。また本発明のロータリエンジンによるモーメントアームMaを太い実線で示し、従来のロータリエンジンによるモーメントアームMaを細い実線で示す。また本発明のロータリエンジンによる回転トルクTを太い二点鎖線で示し、従来のロータリエンジンによる回転トルクTを細い二点鎖線で示す。
【0027】
図6において、ガス総合圧力Poは、本発明の方が後部室4bのガスを燃焼させないため従来のものより小さいが、何れの場合もガスの燃焼後、ガスが膨張するに従って次第に減少する。モーメントアームMaは、従来のロータリエンジンにあっては、爆発の瞬間ゼロとなり、従って爆発した瞬間の回転トルクTはゼロであって、その後図7〜図9によって説明したようにロータ23の回転に伴い前方回転力P1 が後方回転力P2 より大きくなって、回転トルクTが急激に増加し、その後は次第に減少する。
【0028】
これに対し、本発明のロータリエンジンによると、モーメントアームMaは、ガスが燃焼した瞬間に大きな値を生じし、その後は次第に小さくなる。また、回転トルクTは、ガス総合圧力PoとモーメントアームMaとの積であるので、ガスの燃焼と同時に極めて大きく発生し、その後は次第に小さくなる。
【0029】
このように本発明によるロータリエンジンの構成によれば、ガスが燃焼した瞬間から大きなモーメントアームMaを生じるため、効率良くガス総合圧力Poを回転トルクTとして出力軸8から取り出すことができ、従って燃焼効率の良いロータリエンジンを提供することができる。
【0030】
また、分割シール10は、トロコイドの長軸Wで区切られるロータハウジング1の一方の側(例えば図3の左側)における短軸Vに沿った位置に設けられているから、圧縮上死点でロータ周辺面3aの周方向中央部に位置して作動室4の前部室4aと後部室4bとを均等に分割し、それによりモーメントアームMaを最大限大きくすることができる。
【0031】
【発明の効果】
請求項1に係る発明のロータリエンジンによると、ガスが燃焼した瞬間から大きなモーメントアームを生じることにより、効率良くガス総合圧力を回転トルクとして出力軸から取り出すことができるので、燃焼効率の良いロータリエンジンを得ることができる。
【0032】
請求項2に係る発明のロータリエンジンによれば、ロータハウジングの内周面に分割シールで分割された作動室の後部室をその後方の作動室と連通させるガス連通路を設けていることにより、ガスが燃焼する直前から後部室がなくなるまでの間、後部室の圧縮ガスが、次に圧縮室となる後方の作動室へと移動するので、後部室内の圧力上昇が避けられ、出力軸の出力回転トルク(正の回転トルク)に対する負の回転トルクの増加が防止される。
【0033】
請求項3に係る発明のロータリエンジンによれば、分割シールはトロコイドの短軸に沿った位置に設けられているから、圧縮上死点でロータ周辺面の周方向中央部に位置して作動室の前部室と後部室とを均等に分割し、それによりモーメントアームを最大限大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るロータリエンジンを示す縦断側面図で、吸入行程上死点にある状態を示す。
【図2】同ロータリエンジンの縦断側面図で、ロータが図1の状態から時計回り方向に少し回転した状態を示す。
【図3】ロータが図2の状態から更に時計回り方向に回転して吸入上死点となった状態を示す縦断側面図である。
【図4】ロータが図2の状態から更に時計回り方向に回転した状態を示す縦断側面図である。
【図5】本発明に係るロータリエンジンの全行程の作動状態を示す説明図である。
【図6】本発明に係るロータリエンジンのガス総合圧力、モーメントアーム及び回転トルクの値の変化を、従来のロータリエンジンと比較して示すグラフである。
【図7】従来のロータリエンジンを示す縦断側面図で、本発明を示す図1に対応する図面である。
【図8】従来のロータリエンジンを示す縦断側面図で、本発明を示す図3に対応する図面である。
【図9】従来のロータリエンジンの全行程の作動状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 ロータハウジング
1a ロータハウジングのトロコイド内周面
2 サイドハウジング
3 ロータ
3a ロータ周辺面
4 作動室
4a 前部室
4b 後部室
5 吸気ポート
6 排気ポート
7 点火プラグ
8 出力軸
10 分割シール
11 ガス導入路
12 ガス連通路
Claims (3)
- トロコイド内周面をもつロータハウジングとその両側のサイドハウジングとで形成される空間内を、ロータハウジング内周面との間にそれぞれ作動室を形成する三つの周辺面をもつ略三角形のロータがその頂部をロータハウジング内周面に摺接させながら遊星回転運動するロータリエンジンにおいて、トロコイドの長軸で区切られるロータハウジングの一方の側には、ロータ外周面に弾接して圧縮行程の作動室をロータ回転方向前後に分割する分割シールを設けると共に、分割シールより進み側に点火プラグを設け、各ロータ周辺面の前部側には、分割シールで分割された作動室の後部室から前部室にガスを導入するガス導入路を設け、作動室の前部室が後部室と隔絶された時点で前部室の圧縮ガスのみを爆発させるようにしたことを特徴とするロータリエンジン。
- 前記ロータハウジングの内周面には分割シールからその遅れ側にわたって、分割シールで分割された作動室の後部室をその後方の作動室と連通させるガス連通路を設けたことを特徴とする請求項1に記載のロータリエンジン。
- 前記分割シールは、トロコイドの短軸に沿った位置に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のロータリエンジン。
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JP2016098655A (ja) * | 2014-11-18 | 2016-05-30 | 平下 和志 | バンケル型ロータリーエンジンの燃焼方法 |
CN107313934A (zh) * | 2017-06-08 | 2017-11-03 | 中国石油大学(华东) | 一种无尖点的三角转子压缩机 |
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2003
- 2003-02-12 JP JP2003034191A patent/JP2004245093A/ja active Pending
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