JP2004245075A - パルスデトネーションエンジン及びパルスデトネーション燃焼方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】デトネーション起こし易い燃料を搭載することが容易であるパルスデトネーションエンジンを提供することを目的とする。
【解決手段】衝撃波を伴う爆発的燃焼のデトネーションを間歇的に発生可能なパルスデトネーションエンジン1において、デトネーションを起こし易く、有機溶剤に溶解している燃料を使用する。
【選択図】 図1
【解決手段】衝撃波を伴う爆発的燃焼のデトネーションを間歇的に発生可能なパルスデトネーションエンジン1において、デトネーションを起こし易く、有機溶剤に溶解している燃料を使用する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、衝撃波を伴う爆発的燃焼のデトネーションを間歇的に発生可能なパルスデトネーションエンジンに係り、特に、有機溶剤に溶けているアセチレン等を燃料として使用するパルスデトネーションエンジンおよびパルスデトネーション燃焼方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図2は、従来のパルスデトネーションエンジンの概略を示す図である。
【0003】
パルスデトネーションエンジンは、図2に示すように、一端部側が閉じられ他端部側が開放されている筒状のデトネーション管を具備し、このデトネーション管の閉端側に溜められた燃料に着火すると、この着火された燃料が開口端に向けて燃焼しデトネーションに発展するものである。
【0004】
図3は、上記デトネーション管で発生したデトネーション波が、管長の0.8の位置に達した瞬間の圧力、比体積、温度状態を示す図である。
【0005】
たとえばデトネーション管の長手方向の長さを1メートルとした場合、図3に示すように、閉口端から0.8メートル付近SWでデトネーションの衝撃波等による圧力は突出している(ノイマンスパイクという。)。一方、デトネーション管の閉口端から0.8メートル付近〜開口端である1メートル付近は初期状態Aを保っている。また、閉口端〜閉口端から0.4メートル付近の管内膨張後の状態Bでは、管内の温度、圧力等は一定の値になる。
【0006】
図4は、上述の状態でのデトネーション管の圧力、比体積、温度等の変化を示している。
【0007】
デトネーション波が超音速で伝播する性質から、通常の燃焼に比べて非常に高い圧力と温度を発生できる。
【0008】
以上の特徴を持ったパルスデトネーションエンジンは、ターボファン、ターボジェット、ラムジェット、ロケットなどの推進機関にとって代わるような可能性を秘めたエンジンである(たとえば特許文献1参照)。
【0009】
【特許文献1】
特願2001−097814
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、上記パルスデトネーションエンジンに使用される可能性のある各燃料と常温常圧空気とのデトネーション特性値を図5に示す。
【0011】
ここで、図5に示す「セルサイズ」とは、デトネーションのし易さの指標であり、この値が小さいほど反応性が高い。すなわち、デトネーションを起こし易い。なお、パルスデトネーションエンジンの燃料として使用するためには、セルサイズが「20mm」以下であることが望ましい。
【0012】
また、「DDT距離」とは、デトネーションの開始距離をいい、この値が小さいほど、パルスデトネーションエンジンの燃料として使用し易く、DDT距離は「0.2m」以下であることが望ましい。
【0013】
すなわち、図5に示す各燃料で、パルスデトネーションエンジンの燃料として望ましいものは、水素、エチレン、アセチレンであり、その他の燃料(たとえば、ケロシン;JetA−1やJP−10)のみをそのままパルスデトネーションエンジンの燃料として使用することは難しい。もしも、上記その他の燃料を使用する場合には、別途イニシエータ(Initiator;起爆装置)が必要である。なお、上記イニシエータとして、水素、エチレン、アセチレン等が使用される。
【0014】
ところで、上記水素、エチレン、アセチレン等は、これらのみで、パルスデトネーションエンジンの燃料として使用することができるが、水素、エチレン、アセチレン等はガス燃料である。したがって、格納しておくための格納装置の構成が煩雑になり、パルスデトネーションエンジンを航空用として使用する場合、燃料の搭載が困難であるという問題がある。
【0015】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、デトネーション起こし易い燃料を搭載することが容易であるパルスデトネーションエンジンを提供することを目的とする。
【0016】
また、本発明は、パルスデトネーション燃焼方法において、搭載性の良い状態で格納されたデトネーションを起し易い燃料を、使用可能なパルスデトネーション燃焼方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明は、衝撃波を伴う爆発的燃焼のデトネーションを間歇的に発生可能なパルスデトネーションエンジンにおいて、デトネーションを起こし易く、有機溶剤に溶解している燃料を使用するパルスデトネーションエンジンである。
【0018】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載のパルスデトネーションエンジンにおいて、上記燃料はアセチレンまたはエチレンであり、上記有機溶剤はアルコールまたはケトンであるパルスデトネーションエンジンである。
【0019】
請求項3に記載の本発明は、請求項1または請求項2に記載のパルスデトネーションエンジンにおいて、上記燃料をイニシエータとして使用することによって、ケロシン系燃料を使用可能であるパルスデトネーションエンジンである。
【0020】
請求項4に記載の本発明は、衝撃波を伴う爆発的燃焼のデトネーションを間歇的に発生可能なパルスデトネーション燃焼方法において、デトネーションを起こし易く、有機溶剤に溶解している燃料を、上記有機溶剤と共に、デトネーション管内に供給する工程と、上記デトネーション管内に供給された燃料に点火する工程とを有するパルスデトネーション燃焼方法である。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の形態に係るパルスデトネーションエンジン1の概略構成を示す図である。
【0022】
パルスデトネーションエンジン1は、衝撃波を伴う爆発的燃焼のデトネーションを間歇的に発生可能なものであり、一端部3A側が閉じられ他端部3B側が開放されている筒状のデトネーション管3を具備し、このデトネーション管3に溜められた燃料に、たとえば閉端(一端部)3A側で着火すると、この着火された燃料が開口端(他端部)3B側に向け燃焼しデトネーションに発展するものである。
【0023】
上記デトネーション管3の閉端3A側には、上記デトネーション管3に空気を供給するための供給路5が設けられており、この供給路5の一端部5A側が上記デトネーション管3に接続され、上記供給路5の中間部には、上記空気を上記デトネーション管3内に間歇的に供給するためのバルブ7が設けられ、さらに、上記デトネーション管3内には、供給された空気と燃料との混合物に着火し、デトネーションを発生させるための点火プラグ(点火栓)6が設けられている点は、従来のパルスデトネーションエンジンと同様に構成されている。
【0024】
また、上記デトネーション管3の閉端3A側には、燃料としてのアセチレンを供給するための第1燃料供給路13と、ケロシン系の燃料を供給するための第2燃料供給路15とが設けられている。
【0025】
上記第1燃料供給路13の中間部には、上記デトネーション管3内に間歇的に上記アセチレンを供給するためのバルブ17が設けられ、上記第1燃料供給路13の他端部は、アセチレンを格納自在な第1燃料格納装置19に接続されている。
【0026】
上記第2燃料供給路15の中間部には、上記デトネーション管3内に間歇的に上記ケロシン系燃料を供給するためのバルブ21が設けられ、上記第2燃料供給路15の他端部は、上記ケロシン系燃料を格納自在な第2燃料格納装置23に接続されている。
【0027】
ここで、上記第1燃料格納装置19は、アセチレンとアセトンとを格納可能であり、上記第1燃料格納装置19に格納された状態では、高圧下で上記アセチレンは上記アセトンに溶解している。
【0028】
なお、アセチレンは、単独で存在していると、酸素が存在しなくても自己分解する傾向が強いが、上述のようにアセトンに溶解していることにより、自己分解を起こすおそれがなくなる。
【0029】
次に、パルスデトネーションエンジン1の動作について説明する。
【0030】
なお、前提条件として、第1燃料格納装置19には、アセトンに溶解した状態でアセチレンが格納されており、第2燃料格納装置23にはケロシン系燃料が格納されているものとする。また、デトネーション管3の内部には、前回のデトネーションにより発生した燃焼後のガスの一部が残留しているものとする。
【0031】
まず、パルスデトネーションエンジン1は、バルブ7とバルブ21とを開いて、空気とケロシン系燃料とを上記デトネーション管3の内部に供給する。なお、上記デトネーション管3の内部で上記ケロシン系燃料が気化する。
【0032】
そして、空気とケロシン系燃料とが、上記デトネーション管3の内部空間を所定の割合だけ満たした状態で、バルブ21を閉じ、バルブ7とバルブ17とを開いて、空気とアセチレンとを、このアセチレンの溶剤であるアセトンと共に、上記第1燃料格納装置19から上記デトネーション管3の内部に供給する。なお、上記デトネーション管3の内部の圧力は、第1燃料格納装置19内部よりも低いので、上記デトネーション管3の内部で上記アセトンに溶解していたアセチレンが気化する。
【0033】
続いて、先に供給された空気とケロシン系燃料、後から供給されているアセチレン、アセトン、空気とで、上記デトネーション管3の内部のほぼ全領域が満たされるまで、空気、アセトン、アセチレンを供給し、その後、バルブ7、17を閉じる。
【0034】
なお、上記ケロシン系燃料、アセトン、アセチレン、空気を、デトネーション管3の内部に供給し終えた状態では、上記残留していた燃焼ガスは、開口端3Bを通って、上記デトネーション管3の外部に搬出され、上記デトネーション管3の内部は、閉端3A側では、空気、アセチレン、アセトンが気体の状態で混合して存在しており、開口端3B側では、空気、ケロシン系燃料が気体の状態で混合して存在している状態になっている。
【0035】
また、上記供給に際して、供給される空気、供給されるアセトン・アセチレン、供給されるケロシン系燃料の圧力が、デトネーション管3の内部に残留している燃焼ガスよりも高くなっており、各バルブ7、17、21を適宜開けば、デトネーション管3の内部に、空気や燃料が供給されるようになっている。
【0036】
続いて、上記デトネーション管3の内部であって、閉端3A側に設けられた点火プラグ6で、上記デトネーション管3の内部に供給されたガスに着火すると、まず、閉端3A側に存在している空気とアセチレンとの混合気体に着火し、上記アセチレンがイニシエータ(起爆装置)となって、上記空気とアセトン、空気とケロシン系燃料とに着火し、上記デトネーション管3の内部でデトネーションが発生し、上記デトネーション管3の開口3Bから燃焼ガスが噴出する。
【0037】
この、噴出したガスが、たとえば、ミサイルの推進装置等、航空用の推進装置に利用される。また、上記噴出したガスを用いて、発電用のタービンを回転させ、また、削岩等を行うこともできる。
【0038】
なお、上記パルスデトネーションエンジン1では、たとえば、1秒間に30回上記動作を繰り返し、継続的にエネルギーを発生するようになっている。
【0039】
上述のような動作によって、搭載性の良い状態で格納されたデトネーションを起こし易い燃料(アセチレン)を使用することができる。
【0040】
パルスデトネーションエンジン1によれば、デトネーションを起こし易く、アセトンに溶解しているアセチレンを燃料として使用するので、デトネーションを起こし易いアセチレンを安定した状態(たとえば気体ではない状態)で第1燃料格納装置19に容易に格納することができ、すなわち、上記第1燃料格納装置19の構造を簡素にして軽量化することができ、上記パルスデトネーションエンジン1を、たとえば、飛翔体、航空機やロケット等の航空用に使用する場合、上記アセチレンを搭載することが容易になる。そして、航空用のパルスデトネーションエンジンの実用化が可能になる。
【0041】
また、パルスデトネーションエンジン1によれば、デトネーションを起こしやすいアセチレンをイニシエータ(起爆装置)として使用して、アセチレンよりも安価なケロシン系燃料を使用可能になっているので、燃料費を削減することができる。
【0042】
また、パルスデトネーションエンジン1から、第1燃料供給路15、バルブ21、第2燃料格納装置23を除き、第1燃料格納装置19に格納されているアセチレン、アセトンのみを燃料として使用するようにしてもよい。
【0043】
このように構成されたパルスデトネーションエンジンによれば、デトネーションを起こし易いアセチレンを燃料として使用するので、デトネーションしにくいケロシン系燃料を併せて使用する場合に比べ、パルスデトネーションエンジンの構成が簡素になる。また、ケロシン系燃料を使用していなくても、アセチレン以外に、アセチレンよりも安価なアセトンを燃料として使用することになるので、燃料費を削減することができる。
【0044】
なお、本実施形態の各パルスデトネーションエンジンでは、アセチレンをアセトンに溶解させて使用しているが、アセチレンの代わりにエチレン等のデトネーションを起こし易いガス燃料を、アセトン等のケトンやアルコール等の有機溶剤に溶解させて用いてもよい。
【0045】
【発明の効果】
請求項1〜請求項3に記載の発明によれば、デトネーションを起こし易い燃料を搭載することが容易であるパルスデトネーションエンジンを提供することができるという効果を奏する。
【0046】
請求項4に記載の発明によれば、搭載性の良い状態で格納されたデトネーションを起こし易い燃料を、使用可能なパルスデトネーション燃焼方法を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るパルスデトネーションエンジンの概略構成を示す図である。
【図2】従来のパルスデトネーションエンジンの概略を示す図である。
【図3】デトネーション管で発生したデトネーション波が、管長の0.8の位置に達した瞬間の圧力、比体積、温度状態を示す図である。
【図4】デトネーション管内の各瞬間の状態でのデトネーション管の圧力、体積、温度等の変化を示す図である。
【図5】パルスデトネーションエンジンに使用される可能性のある各燃料と常温常圧空気とのデトネーション特性値示す図である。
【符号の説明】
1 パルスデトネーションエンジン
3 デトネーション管
19 第1燃料格納装置
23 第2燃料格納装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、衝撃波を伴う爆発的燃焼のデトネーションを間歇的に発生可能なパルスデトネーションエンジンに係り、特に、有機溶剤に溶けているアセチレン等を燃料として使用するパルスデトネーションエンジンおよびパルスデトネーション燃焼方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図2は、従来のパルスデトネーションエンジンの概略を示す図である。
【0003】
パルスデトネーションエンジンは、図2に示すように、一端部側が閉じられ他端部側が開放されている筒状のデトネーション管を具備し、このデトネーション管の閉端側に溜められた燃料に着火すると、この着火された燃料が開口端に向けて燃焼しデトネーションに発展するものである。
【0004】
図3は、上記デトネーション管で発生したデトネーション波が、管長の0.8の位置に達した瞬間の圧力、比体積、温度状態を示す図である。
【0005】
たとえばデトネーション管の長手方向の長さを1メートルとした場合、図3に示すように、閉口端から0.8メートル付近SWでデトネーションの衝撃波等による圧力は突出している(ノイマンスパイクという。)。一方、デトネーション管の閉口端から0.8メートル付近〜開口端である1メートル付近は初期状態Aを保っている。また、閉口端〜閉口端から0.4メートル付近の管内膨張後の状態Bでは、管内の温度、圧力等は一定の値になる。
【0006】
図4は、上述の状態でのデトネーション管の圧力、比体積、温度等の変化を示している。
【0007】
デトネーション波が超音速で伝播する性質から、通常の燃焼に比べて非常に高い圧力と温度を発生できる。
【0008】
以上の特徴を持ったパルスデトネーションエンジンは、ターボファン、ターボジェット、ラムジェット、ロケットなどの推進機関にとって代わるような可能性を秘めたエンジンである(たとえば特許文献1参照)。
【0009】
【特許文献1】
特願2001−097814
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、上記パルスデトネーションエンジンに使用される可能性のある各燃料と常温常圧空気とのデトネーション特性値を図5に示す。
【0011】
ここで、図5に示す「セルサイズ」とは、デトネーションのし易さの指標であり、この値が小さいほど反応性が高い。すなわち、デトネーションを起こし易い。なお、パルスデトネーションエンジンの燃料として使用するためには、セルサイズが「20mm」以下であることが望ましい。
【0012】
また、「DDT距離」とは、デトネーションの開始距離をいい、この値が小さいほど、パルスデトネーションエンジンの燃料として使用し易く、DDT距離は「0.2m」以下であることが望ましい。
【0013】
すなわち、図5に示す各燃料で、パルスデトネーションエンジンの燃料として望ましいものは、水素、エチレン、アセチレンであり、その他の燃料(たとえば、ケロシン;JetA−1やJP−10)のみをそのままパルスデトネーションエンジンの燃料として使用することは難しい。もしも、上記その他の燃料を使用する場合には、別途イニシエータ(Initiator;起爆装置)が必要である。なお、上記イニシエータとして、水素、エチレン、アセチレン等が使用される。
【0014】
ところで、上記水素、エチレン、アセチレン等は、これらのみで、パルスデトネーションエンジンの燃料として使用することができるが、水素、エチレン、アセチレン等はガス燃料である。したがって、格納しておくための格納装置の構成が煩雑になり、パルスデトネーションエンジンを航空用として使用する場合、燃料の搭載が困難であるという問題がある。
【0015】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、デトネーション起こし易い燃料を搭載することが容易であるパルスデトネーションエンジンを提供することを目的とする。
【0016】
また、本発明は、パルスデトネーション燃焼方法において、搭載性の良い状態で格納されたデトネーションを起し易い燃料を、使用可能なパルスデトネーション燃焼方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明は、衝撃波を伴う爆発的燃焼のデトネーションを間歇的に発生可能なパルスデトネーションエンジンにおいて、デトネーションを起こし易く、有機溶剤に溶解している燃料を使用するパルスデトネーションエンジンである。
【0018】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載のパルスデトネーションエンジンにおいて、上記燃料はアセチレンまたはエチレンであり、上記有機溶剤はアルコールまたはケトンであるパルスデトネーションエンジンである。
【0019】
請求項3に記載の本発明は、請求項1または請求項2に記載のパルスデトネーションエンジンにおいて、上記燃料をイニシエータとして使用することによって、ケロシン系燃料を使用可能であるパルスデトネーションエンジンである。
【0020】
請求項4に記載の本発明は、衝撃波を伴う爆発的燃焼のデトネーションを間歇的に発生可能なパルスデトネーション燃焼方法において、デトネーションを起こし易く、有機溶剤に溶解している燃料を、上記有機溶剤と共に、デトネーション管内に供給する工程と、上記デトネーション管内に供給された燃料に点火する工程とを有するパルスデトネーション燃焼方法である。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の形態に係るパルスデトネーションエンジン1の概略構成を示す図である。
【0022】
パルスデトネーションエンジン1は、衝撃波を伴う爆発的燃焼のデトネーションを間歇的に発生可能なものであり、一端部3A側が閉じられ他端部3B側が開放されている筒状のデトネーション管3を具備し、このデトネーション管3に溜められた燃料に、たとえば閉端(一端部)3A側で着火すると、この着火された燃料が開口端(他端部)3B側に向け燃焼しデトネーションに発展するものである。
【0023】
上記デトネーション管3の閉端3A側には、上記デトネーション管3に空気を供給するための供給路5が設けられており、この供給路5の一端部5A側が上記デトネーション管3に接続され、上記供給路5の中間部には、上記空気を上記デトネーション管3内に間歇的に供給するためのバルブ7が設けられ、さらに、上記デトネーション管3内には、供給された空気と燃料との混合物に着火し、デトネーションを発生させるための点火プラグ(点火栓)6が設けられている点は、従来のパルスデトネーションエンジンと同様に構成されている。
【0024】
また、上記デトネーション管3の閉端3A側には、燃料としてのアセチレンを供給するための第1燃料供給路13と、ケロシン系の燃料を供給するための第2燃料供給路15とが設けられている。
【0025】
上記第1燃料供給路13の中間部には、上記デトネーション管3内に間歇的に上記アセチレンを供給するためのバルブ17が設けられ、上記第1燃料供給路13の他端部は、アセチレンを格納自在な第1燃料格納装置19に接続されている。
【0026】
上記第2燃料供給路15の中間部には、上記デトネーション管3内に間歇的に上記ケロシン系燃料を供給するためのバルブ21が設けられ、上記第2燃料供給路15の他端部は、上記ケロシン系燃料を格納自在な第2燃料格納装置23に接続されている。
【0027】
ここで、上記第1燃料格納装置19は、アセチレンとアセトンとを格納可能であり、上記第1燃料格納装置19に格納された状態では、高圧下で上記アセチレンは上記アセトンに溶解している。
【0028】
なお、アセチレンは、単独で存在していると、酸素が存在しなくても自己分解する傾向が強いが、上述のようにアセトンに溶解していることにより、自己分解を起こすおそれがなくなる。
【0029】
次に、パルスデトネーションエンジン1の動作について説明する。
【0030】
なお、前提条件として、第1燃料格納装置19には、アセトンに溶解した状態でアセチレンが格納されており、第2燃料格納装置23にはケロシン系燃料が格納されているものとする。また、デトネーション管3の内部には、前回のデトネーションにより発生した燃焼後のガスの一部が残留しているものとする。
【0031】
まず、パルスデトネーションエンジン1は、バルブ7とバルブ21とを開いて、空気とケロシン系燃料とを上記デトネーション管3の内部に供給する。なお、上記デトネーション管3の内部で上記ケロシン系燃料が気化する。
【0032】
そして、空気とケロシン系燃料とが、上記デトネーション管3の内部空間を所定の割合だけ満たした状態で、バルブ21を閉じ、バルブ7とバルブ17とを開いて、空気とアセチレンとを、このアセチレンの溶剤であるアセトンと共に、上記第1燃料格納装置19から上記デトネーション管3の内部に供給する。なお、上記デトネーション管3の内部の圧力は、第1燃料格納装置19内部よりも低いので、上記デトネーション管3の内部で上記アセトンに溶解していたアセチレンが気化する。
【0033】
続いて、先に供給された空気とケロシン系燃料、後から供給されているアセチレン、アセトン、空気とで、上記デトネーション管3の内部のほぼ全領域が満たされるまで、空気、アセトン、アセチレンを供給し、その後、バルブ7、17を閉じる。
【0034】
なお、上記ケロシン系燃料、アセトン、アセチレン、空気を、デトネーション管3の内部に供給し終えた状態では、上記残留していた燃焼ガスは、開口端3Bを通って、上記デトネーション管3の外部に搬出され、上記デトネーション管3の内部は、閉端3A側では、空気、アセチレン、アセトンが気体の状態で混合して存在しており、開口端3B側では、空気、ケロシン系燃料が気体の状態で混合して存在している状態になっている。
【0035】
また、上記供給に際して、供給される空気、供給されるアセトン・アセチレン、供給されるケロシン系燃料の圧力が、デトネーション管3の内部に残留している燃焼ガスよりも高くなっており、各バルブ7、17、21を適宜開けば、デトネーション管3の内部に、空気や燃料が供給されるようになっている。
【0036】
続いて、上記デトネーション管3の内部であって、閉端3A側に設けられた点火プラグ6で、上記デトネーション管3の内部に供給されたガスに着火すると、まず、閉端3A側に存在している空気とアセチレンとの混合気体に着火し、上記アセチレンがイニシエータ(起爆装置)となって、上記空気とアセトン、空気とケロシン系燃料とに着火し、上記デトネーション管3の内部でデトネーションが発生し、上記デトネーション管3の開口3Bから燃焼ガスが噴出する。
【0037】
この、噴出したガスが、たとえば、ミサイルの推進装置等、航空用の推進装置に利用される。また、上記噴出したガスを用いて、発電用のタービンを回転させ、また、削岩等を行うこともできる。
【0038】
なお、上記パルスデトネーションエンジン1では、たとえば、1秒間に30回上記動作を繰り返し、継続的にエネルギーを発生するようになっている。
【0039】
上述のような動作によって、搭載性の良い状態で格納されたデトネーションを起こし易い燃料(アセチレン)を使用することができる。
【0040】
パルスデトネーションエンジン1によれば、デトネーションを起こし易く、アセトンに溶解しているアセチレンを燃料として使用するので、デトネーションを起こし易いアセチレンを安定した状態(たとえば気体ではない状態)で第1燃料格納装置19に容易に格納することができ、すなわち、上記第1燃料格納装置19の構造を簡素にして軽量化することができ、上記パルスデトネーションエンジン1を、たとえば、飛翔体、航空機やロケット等の航空用に使用する場合、上記アセチレンを搭載することが容易になる。そして、航空用のパルスデトネーションエンジンの実用化が可能になる。
【0041】
また、パルスデトネーションエンジン1によれば、デトネーションを起こしやすいアセチレンをイニシエータ(起爆装置)として使用して、アセチレンよりも安価なケロシン系燃料を使用可能になっているので、燃料費を削減することができる。
【0042】
また、パルスデトネーションエンジン1から、第1燃料供給路15、バルブ21、第2燃料格納装置23を除き、第1燃料格納装置19に格納されているアセチレン、アセトンのみを燃料として使用するようにしてもよい。
【0043】
このように構成されたパルスデトネーションエンジンによれば、デトネーションを起こし易いアセチレンを燃料として使用するので、デトネーションしにくいケロシン系燃料を併せて使用する場合に比べ、パルスデトネーションエンジンの構成が簡素になる。また、ケロシン系燃料を使用していなくても、アセチレン以外に、アセチレンよりも安価なアセトンを燃料として使用することになるので、燃料費を削減することができる。
【0044】
なお、本実施形態の各パルスデトネーションエンジンでは、アセチレンをアセトンに溶解させて使用しているが、アセチレンの代わりにエチレン等のデトネーションを起こし易いガス燃料を、アセトン等のケトンやアルコール等の有機溶剤に溶解させて用いてもよい。
【0045】
【発明の効果】
請求項1〜請求項3に記載の発明によれば、デトネーションを起こし易い燃料を搭載することが容易であるパルスデトネーションエンジンを提供することができるという効果を奏する。
【0046】
請求項4に記載の発明によれば、搭載性の良い状態で格納されたデトネーションを起こし易い燃料を、使用可能なパルスデトネーション燃焼方法を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るパルスデトネーションエンジンの概略構成を示す図である。
【図2】従来のパルスデトネーションエンジンの概略を示す図である。
【図3】デトネーション管で発生したデトネーション波が、管長の0.8の位置に達した瞬間の圧力、比体積、温度状態を示す図である。
【図4】デトネーション管内の各瞬間の状態でのデトネーション管の圧力、体積、温度等の変化を示す図である。
【図5】パルスデトネーションエンジンに使用される可能性のある各燃料と常温常圧空気とのデトネーション特性値示す図である。
【符号の説明】
1 パルスデトネーションエンジン
3 デトネーション管
19 第1燃料格納装置
23 第2燃料格納装置
Claims (4)
- 衝撃波を伴う爆発的燃焼のデトネーションを間歇的に発生可能なパルスデトネーションエンジンにおいて、
デトネーションを起こし易く、有機溶剤に溶解している燃料を使用することを特徴とするパルスデトネーションエンジン。 - 請求項1に記載のパルスデトネーションエンジンにおいて、
上記燃料はアセチレンまたはエチレンであり、上記有機溶剤はアルコールまたはケトンであることを特徴とするパルスデトネーションエンジン。 - 請求項1または請求項2に記載のパルスデトネーションエンジンにおいて、
上記燃料をイニシエータとして使用することによって、ケロシン系燃料を使用可能であることを特徴とするパルスデトネーションエンジン。 - 衝撃波を伴う爆発的燃焼のデトネーションを間歇的に発生可能なパルスデトネーション燃焼方法において、
デトネーションを起こし易く、有機溶剤に溶解している燃料を、上記有機溶剤と共に、デトネーション管内に供給する工程と;
上記デトネーション管内に供給された燃料に点火する工程と;
を有することを特徴とするパルスデトネーション燃焼方法。
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