【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は艶消し、透湿性、断熱性、軽量化等の機能を有する塗膜を形成することが可能な溶剤微粒子を含む水性塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
近年、塗料組成物として環境に対する配慮から水性化が求められている。かかる水性塗料をコンクリート建造物等、建築物外壁用等に適用する際には、被塗物の保護、美粧という本来の目的以外に、水蒸気透過性(以下透湿性と記する)、断熱性、軽量化、艶消し等の付加機能も求められている。例えば、透湿性を有する塗膜を形成する場合、リシン塗料と呼ばれる砂壁状吹付け材を適用したり、塗料に砂を混入させたり、顔料濃度を高くしたりする等の手法を用いて形成塗膜の樹脂層が部分的に不連続になるようにして形成塗膜の透湿性を確保している。
【0003】
しかしながら、このような塗料による塗膜は不連続な膜であることから、塗膜の耐久性に乏しく、5〜10年で塗りかえ時期が来て、不経済的となるばかりでなく、塗り替えする塗料系も同じような塗装系に限定されたり、防水性の点からも好ましくはない。そこで透湿性塗膜を形成させる方法として種々の提案がされている。(例えば特許文献1など)
【特許文献1】特開平11−92708号公報
しかしながら該方法によれば透湿性が十分とは言えない場合があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記した課題を解決するために鋭意検討した結果、水性塗料に特定の粒子を添加することにより透湿性、艶消し、断熱性、軽量化等の機能を有する塗膜が形成されることを見いだし、本発明に到達した。
すなわち本発明は
1. 水及び乳化剤の存在下で、有機溶剤(a)を分散することにより得られる溶剤微粒子(I)を水性塗料(II)に配合することにより得られる水性塗料組成物、
2. 有機溶剤(a)が、水溶解度が10重量%以下であることを特徴とする1項に記載の水性塗料組成物、
3. 有機溶剤(a)の量が、溶剤微粒子(I)中の水と有機溶剤(a)の合計100重量部に対して20〜80重量部である1項または2項に記載の水性塗料組成物、
4. 溶剤微粒子(I)が、高エネルギーせん断能力を有する分散機を用いて得られるものである1項ないし3項のいずれか1項に記載の水性塗料組成物、
5. 被塗面に1項ないし4項のいずれか1項に記載の水性塗料組成物を塗装して塗膜を形成する方法、
6. 5項に記載の方法により塗装された塗装物品、
に関する。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明でいう溶剤微粒子(I)とは、水を連続相とし、有機溶剤(a)を非連続相とする乳化物であって、水、乳化剤の存在下で有機溶剤(a)を分散することにより得られる粒子である。
【0006】
有機溶剤(a)としては、例えばn−ヘキサン、n−オクタン、2,2,2−トリメチルペンタン、イソオクタン、n−ノナン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;ミネラルスピリット、「スワゾール100」(丸善石油化学(株)製品)、石油エーテル、石油ベンゼン、石油ナフサ等の石油系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸ブチル等のエステル系溶剤;等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上適宜選択して使用してもよい。
【0007】
本発明においては、上記有機溶剤(a)として、水溶解度が10重量%以下、好ましくは1重量%以下の範囲内の溶剤が好適である。本発明における水溶解度とは、25℃の水に対する有機溶剤(a)の飽和水溶液中における有機溶剤(a)の濃度(重量%)である。
【0008】
上記溶剤微粒子(I)における水及び有機溶剤(a)の割合は、水と有機溶剤(a)の合計100重量部に対して有機溶剤(a)の量が20〜80重量部、好ましくは30〜70重量部が好適である。
【0009】
有機溶剤(a)の量が20重量部未満では、溶剤微粒子(I)の粒子の形成が困難になることがあり、一方80重量部を超えても粒子形成が困難になり、乳化を容易にするために多量の乳化剤を要することがある。
【0010】
乳化剤としては、公知のアニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤が使用できる。アニオン性乳化剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアリルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩等が挙げられる。ノニオン性乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体等が挙げられる。本発明においては有機溶剤(a)の種類によりHLBの異なる乳化剤を適宜使用すればよいが、特にノニオン性乳化剤を使用することが望ましい。
【0011】
上記乳化剤の量は、有機溶剤(a)、水及び乳化剤の合計100重量部に対して0.1〜30重量部、好ましくは0.5〜20重量部が好適である。
【0012】
乳化剤量が0.1重量部未満では、溶剤微粒子(I)の粒子の安定性が不十分な場合があり、一方30重量部を超えても添加に見合う乳化効果が得られないことがある。
【0013】
本発明においては、上記溶剤微粒子(I)の貯蔵安定性を向上せしめるために、溶剤微粒子(I)中にアクリル樹脂を含むことが好適である。該アクリル樹脂はアクリルモノマーを有機溶剤の存在下でラジカル重合開始剤によりラジカル重合して得られるものである。該アクリルモノマーとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート及びステアリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、シクロヘキシル(メタ)アクリレート及びイソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等のアリール(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート及び2−エトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、並びにヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸パーフルオロアルキル、グリシジル(メタ)アクリレート、並びにN,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン及び、α−メチルスチレン、並びにビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン及びγ−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0014】
また、特に溶剤微粒子(I)の平均粒子径が大きい場合等、溶剤微粒子(I)の粒子の安定性を向上させるために増粘剤を添加することが望ましい。
【0015】
本発明において溶剤微粒子(I)は、上記以外の成分の他に必要に応じて消泡剤、防腐剤、凍結防止剤等の塗料用添加剤を含んでもよい。
【0016】
上記溶剤微粒子(I)の製造方法としては、有機溶剤(a)と乳化剤と必要に応じて配合される成分との混合物をディスパー等で攪拌しながら徐々に水を加えて行く方法、有機溶剤と必要に応じて配合される他の成分との混合物をディスパー等で攪拌しながら、あらかじめ乳化剤を溶解させた乳化剤水溶液を加えていく方法等が挙げられる。
【0017】
本発明においては、上記のようにして製造した溶剤微粒子(I)をさらに、粒子径をさらに小さくそろえる目的で、高エネルギーせん断能力を有する分散機を用いて乳化することが望ましい。例えば、上記方法にて予備乳化をした溶剤微粒子(I)を10MPa〜500MPa好ましくは40〜240MPa程度の圧力で乳化する方法等が好適である。ここで圧力が500MPaを超えると乳化剤の油水界面への吸着量が不足することがあり、また、処理時の分散機が発熱して溶剤微粒子の安定性に影響を及ぼすことがある。仕込まれる溶剤微粒子(I)は、分散工程を実施する装置で1回処理されるか、又は複数回繰り返し処理をしてもよい。
【0018】
上記のようにして製造された溶剤微粒子(I)の平均粒子径はレーザー回折式粒度分布測定装置の測定によれば、0.01〜100μm、特に0.05〜15μmの範囲内である。
【0019】
また、ブルックフィールド粘度計(RVDV−I+)を用いて測定した溶剤微粒子(I)の20℃での粘度は50〜1000cps、特に100〜500cps程度である。
【0020】
本発明の水性塗料組成物においては、上記の通り得られる溶剤微粒子(I)を水性塗料(II)に配合することにより得られるものであるが、該水性塗料(II)としては特に制限はなく、架橋系、非架橋系のいずれであってもよく、従来公知の水分散性樹脂や水溶性樹脂をビヒクル成分として含む組成物が使用できる。該水分散性樹脂や水溶性樹脂としては、例えば特開平4−249587号、特開平7−11193号公報に開示されているようなカルボニル基とヒドラジド基による架橋系樹脂エマルション、特開平10−219190号公報に開示されているような水酸基とイソシアネート基による架橋系樹脂エマルション、特開2002−167517号公報に開示されているようなカルボニル基とヒドラジド基による架橋系とマレイミド基による光硬化系との組み合わせのエマルション、さらにはこれら以外の架橋系アクリル樹脂エマルション、酢酸ビニルエマルション、酢酸ビニル−アクリル樹脂エマルション、エチレン−酢酸ビニルエマルション、アクリルシリコンエマルション、エポキシ樹脂エマルション、アルキド樹脂エマルション、ウレタン樹脂エマルション、水溶性アクリル樹脂、ポリビニルアルコ−ル、天然もしくは合成ゴムラテックス等が挙げられる。
【0021】
上記水性塗料(II)としては、クリヤー系でもエナメル系であってもよく、また艶消し塗料でも艶あり塗料でも下地調整用塗料あってもよい。該水性塗料(II)は着色顔料、体質顔料、オルガノシリケート、ポリアルキレングリコール等で変性した変性オルガノシリケート等の低汚染化剤、界面活性剤、分散剤、消泡剤、増粘剤、造膜助剤、防腐剤、凍結防止剤などを必要に応じて包含する。
【0022】
上記溶剤微粒子(I)の水性塗料(II)に対する配合量は、本発明の水性塗料組成物の使用目的によって変動することもあるが、一般的に水性塗料(II)100重量部に対して1〜30重量部の範囲内である。1重量部未満では、溶剤微粒子(I)の添加効果が発揮できないことがあり、一方30重量部を超えると溶剤微粒子添加により水性塗料(II)そのものの塗膜特性が失われる可能性がある。溶剤微粒子(a)の水性塗料(II)への添加はあらかじめ行っておいてもよいし塗装直前に行ってもよい
本発明においては、被塗面に上記の通り得られる水性塗料組成物を塗装して塗膜を形成する方法も提供する。
【0023】
また、本発明においては、溶剤微粒子(I)の平均粒子径と水性塗料(II)に対する配合量を調整することにより、形成塗膜の光沢、透湿度及び熱伝導率を制御することが可能である。
【0024】
例えば、平均粒子径が0.1〜0.5μmの範囲内の溶剤微粒子(I)を水性塗料(II)100重量部に対して2〜25重量部の範囲内で配合することにより得られる水性塗料組成物により、光沢が60°グロスで60〜80の範囲内であって、透湿度が90〜120g/m2・dayの範囲内で、熱伝導率が0.22〜0.29W/m・Kの範囲内である塗膜を形成することができる。
【0025】
一方、平均粒子径が0.5〜5.0μmの範囲内の溶剤微粒子(I)を水性塗料(II)100重量部に対して2〜25重量部の範囲内で配合することにより得られる水性塗料組成物により、光沢が60°グロスで30〜70の範囲内の低光沢塗膜を得ることができる。
【0026】
また、平均粒子径が0.1〜0.5μmの範囲内の溶剤微粒子(I)を艶消し水性塗料又は下地調整用水性塗料100重量部に対して2〜25重量部の範囲内で配合することにより得られる水性塗料組成物により、透湿度が110〜150g/m2・dayである塗膜を形成することができる。
【0027】
上記、光沢、透湿度は、乾燥膜厚が0.3mmの場合の数値であり、熱伝導度は、乾燥膜厚が1mmの場合の数値である。測定方法にしては後述する。
【0028】
上記の通り得られる本発明の水性塗料組成物は、常温で乾燥、あるいは硬化することが可能であり、塗装方法としては特に限定されず、目的に応じて刷毛塗り、スプレー塗装、ローラー塗装、ロールコーター、フローコーター、吹付け塗り等、公知の塗装方法を用いることができる。
【0029】
被塗面としては、コンクリート、モルタル、スレート、スレート瓦等のアルカリ性を有する基材、窯業系建材、金属、プラスチックなどの素材面やそれらに塗装されてなる旧塗膜面などが挙げられる。該被塗面には、水性又は溶剤型の下塗り材を必要に応じて塗布でき、該下塗り材を塗布した後、上記水性塗料組成物を上塗り材として塗布することができる。このような下塗り材としては、例えばアクリル樹脂系、アクリルゴム系、塩化ゴム系、スチレン−ブタジエンゴム系、エポキシ系などのシーラーやプライマー、またセメント部分を含む下地補修材、さらに下地調整材、厚付け材などが挙げられる。一方、上記水性塗料組成物を下塗り材として塗布した後、従来公知の水性上塗り材を塗布することも可能である。
【0030】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。尚、「部」及び「%」は「重量部」及び「重量%」を示す。
【0031】
溶剤微粒子の作成
製造例1〜3
容器に、表1の組成に示される配合物の混合物をディスパーで攪拌しながら徐々に上水を加え、5分間均一になるまで攪拌をし乳化を行った。その後、高エネルギーせん断能力を有する分散機により分散を行い、表1に記載の平均粒子径を有する各溶剤微粒子を得た。その後各々について貯蔵安定性を下記評価基準にて評価した。結果を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
(注1)ミネラルスピリット:芳香族系/炭化水素系混合溶剤、水溶解度0.1%未満
(注2)「DKS NL−50」:商品名、第一工業製薬社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル
(注3) 「アデカノール UH−420」:商品名、アデカ社製、増粘剤
水性塗料組成物の作成
実施例1〜6及び比較例1〜2
容器に、表2の組成(B)に示される各配合物を順次仕込み、ディスパーで30分間均一になるまで攪拌を続け顔料ペーストを得た。その後、表1の組成(C)に示される各配合物を該顔料ペーストに順次添加した。各々に対して表2の記載に従って各溶剤微粒子を配合し、各水性塗料組成物を得た。またこれらを下記性能試験に供した。結果を表2に示す。
【0034】
【表2】
【0035】
(注4)「ノプコスパース44C」:商品名、サンノプコ社製、顔料分散剤
(注5)「アデカネートB−154K」:商品名、旭電化工業製、消泡剤
(注6)「バイオサイド」:商品名、大日本インキ化学社製、防腐剤
(注7)「TITONE R−32」:商品名、堺化学工業製、チタン白
(注8)「サンライトSL−500」:商品名、竹原産業社製、体質顔料
(注9)「タンカルMC−75」:商品名、旭鉱末社製、体質顔料
(注10)55%アクリル樹脂:カルボニル基とヒドラジド基による架橋系樹脂エマルション
(注11)「ヨドゾールKA−10K」:商品名、日本エヌエスシー社製、増粘剤。
【0036】
性能試験方法
(*1)粒径:各溶剤微粒子の平均粒子径を、島津レーザ回析式粒度分布測定装置SALD−3100回分セルモデルにより測定した。
(*2)貯蔵安定性:各溶剤微粒子を、メスシリンダーに約100g計り取り、40℃で30日貯蔵した後、その溶液状態を下記基準で評価した。
○:容器の中の溶液状態が均一である、△:分離が見られる
(*3)60°グロス:各水性塗料組成物を、乾燥膜厚が0.3mmとなるようにガラス板に塗装し、気温20℃・相対湿度60%の条件下で乾燥させて1日後の各塗板の光沢度をJIS K5600 4.7に準じて測定した。
(*4)透湿度:各水性塗料組成物を乾燥膜厚が0.3mmとなるように塗装し、気温20℃・相対湿度60%の条件下で2週間乾燥させて各塗膜を得た。このものをJIS K5400 8.17水蒸気透過度試験法に準じて試験し、透湿度を測定した。
(*5)熱伝導率:各水性塗料組成物を乾燥膜厚が1mmとなるように塗装し、気温20℃・相対湿度60%の条件下で2週間乾燥させて各塗膜を得た。京都電子工業(株)製熱伝導率計(QTM−D3)にて試験し、熱伝導率を測定した。
【0037】
【発明の効果】
本発明の水性塗料組成物によれば、塗料中の貯蔵安定性は良好でありながら、塗膜形成後に塗膜内の溶剤が揮発して、微細な空孔が塗膜内に均一に生じ、透湿性、断熱性等の多機能を有する塗膜を形成することができる。また、該組成物によれば低光沢塗膜を形成することもできる。また、本発明の水性塗料組成物、及び該組成物による塗膜中には、微細な空孔を有することから塗料や塗膜の軽量化にも役立つものである。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to an aqueous coating composition containing solvent fine particles capable of forming a coating film having functions such as matting, moisture permeability, heat insulation, and weight reduction.
[0002]
Problems to be solved by the prior art and the invention
In recent years, there has been a demand for water-based coating compositions from the viewpoint of the environment. When such a water-based paint is applied to a concrete building or the like, for an exterior wall of a building, etc., in addition to the original purpose of protection and beauty of the object to be coated, water vapor permeability (hereinafter referred to as moisture permeability), heat insulation, Additional functions such as weight reduction and matting are also required. For example, when forming a coating film having moisture permeability, a method such as applying a sand wall spraying material called lysine paint, mixing sand into the paint, or increasing the pigment concentration is used. By making the resin layer of the film partially discontinuous, the moisture permeability of the formed coating film is secured.
[0003]
However, since the coating film of such a paint is a discontinuous film, the durability of the coating film is poor, and the recoating time comes in 5 to 10 years, which is not only uneconomical, but also requires repainting. The coating system is not limited to the same coating system or is not preferable from the viewpoint of waterproofness. Therefore, various proposals have been made as a method for forming a moisture-permeable coating film. (For example, Patent Document 1 etc.)
[Patent Document 1] Japanese Patent Application Laid-Open No. 11-92708 However, in some cases, this method does not have sufficient moisture permeability.
[0004]
[Means for Solving the Problems]
The present inventors have conducted intensive studies to solve the above-described problems, and as a result, by adding specific particles to the water-based paint, a coating film having functions such as moisture permeability, matting, heat insulation, and weight reduction is formed. And arrived at the present invention.
That is, the present invention provides: An aqueous coating composition obtained by mixing solvent fine particles (I) obtained by dispersing an organic solvent (a) in an aqueous coating composition (II) in the presence of water and an emulsifier,
2. 2. The aqueous coating composition according to claim 1, wherein the organic solvent (a) has a water solubility of 10% by weight or less,
3. 3. The aqueous coating composition according to claim 1, wherein the amount of the organic solvent (a) is 20 to 80 parts by weight based on 100 parts by weight of the total of water and the organic solvent (a) in the solvent fine particles (I). ,
4. The aqueous coating composition according to any one of items 1 to 3, wherein the solvent fine particles (I) are obtained using a disperser having a high energy shearing ability.
5. A method for forming a coating film by applying the aqueous coating composition according to any one of Items 1 to 4 to a surface to be coated,
6. A coated article coated by the method according to item 5,
About.
[0005]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, the present invention will be described in detail.
The solvent fine particles (I) referred to in the present invention are emulsions containing water as a continuous phase and an organic solvent (a) as a discontinuous phase, and disperse the organic solvent (a) in the presence of water and an emulsifier. Particles obtained by the above method.
[0006]
Examples of the organic solvent (a) include aliphatic hydrocarbon solvents such as n-hexane, n-octane, 2,2,2-trimethylpentane, isooctane, n-nonane, cyclohexane and methylcyclohexane; and toluene and xylene. Aromatic solvents; mineral spirits, "Swazol 100" (manufactured by Maruzen Petrochemical Co., Ltd.), petroleum solvents such as petroleum ether, petroleum benzene, petroleum naphtha; ketone solvents such as methyl ethyl ketone and methyl isobutyl ketone; butyl acetate Ester solvents; and the like. These may be used alone, or two or more kinds may be appropriately selected and used.
[0007]
In the present invention, as the organic solvent (a), a solvent having a water solubility of 10% by weight or less, preferably 1% by weight or less is suitable. The water solubility in the present invention is the concentration (% by weight) of the organic solvent (a) in a saturated aqueous solution of the organic solvent (a) in water at 25 ° C.
[0008]
The ratio of water and the organic solvent (a) in the solvent fine particles (I) is such that the amount of the organic solvent (a) is 20 to 80 parts by weight, preferably 30 to 100 parts by weight in total of the water and the organic solvent (a). ~ 70 parts by weight are preferred.
[0009]
When the amount of the organic solvent (a) is less than 20 parts by weight, it may be difficult to form the particles of the solvent fine particles (I). On the other hand, when the amount exceeds 80 parts by weight, the particle formation becomes difficult, and the emulsification becomes easy. A large amount of emulsifier may be required to achieve this.
[0010]
As the emulsifier, known anionic emulsifiers and nonionic emulsifiers can be used. Examples of the anionic emulsifier include sodium alkylbenzene sulfonate, sodium dialkyl sulfosuccinate, sodium dodecylbenzene sulfonate, sodium lauryl sulfate, polyoxyethylene alkyl ether sulfate, polyoxyethylene polycyclic phenyl ether sulfate, polyoxyethylene allyl ether sulfate. And polyoxyethylene alkylphenyl ether sulfate. Examples of the nonionic emulsifier include polyoxyethylene alkylphenyl ether, polyoxyethylene alkyl ether, polyoxyethylene-polyoxypropylene block copolymer, and the like. In the present invention, an emulsifier having a different HLB may be appropriately used depending on the type of the organic solvent (a), but it is particularly preferable to use a nonionic emulsifier.
[0011]
The amount of the emulsifier is 0.1 to 30 parts by weight, preferably 0.5 to 20 parts by weight, based on 100 parts by weight of the total of the organic solvent (a), water and the emulsifier.
[0012]
If the amount of the emulsifier is less than 0.1 part by weight, the stability of the particles of the solvent fine particles (I) may be insufficient. On the other hand, if the amount exceeds 30 parts by weight, an emulsifying effect commensurate with the addition may not be obtained.
[0013]
In the present invention, it is preferable that the solvent fine particles (I) contain an acrylic resin in order to improve the storage stability of the solvent fine particles (I). The acrylic resin is obtained by radical polymerization of an acrylic monomer with a radical polymerization initiator in the presence of an organic solvent. Examples of the acrylic monomer include methyl (meth) acrylate, ethyl (meth) acrylate, propyl (meth) acrylate, n-butyl (meth) acrylate, isobutyl (meth) acrylate, pentyl (meth) acrylate, and hexyl (meth) acrylate. (Meth) acrylic acid alkyl esters, such as 2-ethylhexyl (meth) acrylate, lauryl (meth) acrylate, and stearyl (meth) acrylate; alicyclic (meth) acrylates, such as cyclohexyl (meth) acrylate and isobornyl (meth) acrylate , An aryl (meth) acrylate such as benzyl (meth) acrylate, an alkoxyalkyl (meth) acrylate such as 2-methoxyethyl (meth) acrylate and 2-ethoxyethyl (meth) acrylate. And hydroxyalkyl (meth) acrylates such as hydroxyethyl (meth) acrylate and hydroxypropyl (meth) acrylate, perfluoroalkyl (meth) acrylate, glycidyl (meth) acrylate, and N, N-diethylaminoethyl (meth). A) acrylate, (meth) acrylic acid, (meth) acrylamide, (meth) acrylonitrile, vinyl acetate, vinyl propionate, styrene and α-methylstyrene, and vinyltrimethoxysilane, vinyltriethoxysilane, γ-methacryloyloxypropyl Trimethoxysilane and γ-methacryloyloxypropyltriethoxysilane.
[0014]
Also, it is desirable to add a thickener in order to improve the stability of the particles of the solvent fine particles (I), especially when the average particle diameter of the solvent fine particles (I) is large.
[0015]
In the present invention, the solvent fine particles (I) may further contain paint additives such as an antifoaming agent, a preservative, and an antifreezing agent, if necessary, in addition to the components other than those described above.
[0016]
As a method for producing the solvent fine particles (I), a method of gradually adding water while stirring a mixture of the organic solvent (a), the emulsifier, and a component to be blended as necessary with a disper or the like, A method of adding an aqueous solution of an emulsifier in which an emulsifier has been dissolved in advance while stirring a mixture with other components blended as necessary with a disper or the like may be used.
[0017]
In the present invention, it is desirable to emulsify the solvent fine particles (I) produced as described above using a disperser having a high energy shearing ability for the purpose of further reducing the particle diameter. For example, a method of emulsifying the solvent fine particles (I) preliminarily emulsified by the above method at a pressure of about 10 MPa to 500 MPa, preferably about 40 to 240 MPa is suitable. Here, if the pressure exceeds 500 MPa, the amount of the emulsifier adsorbed on the oil-water interface may be insufficient, and the disperser may generate heat during the treatment and affect the stability of the solvent fine particles. The solvent fine particles (I) to be charged may be treated once in an apparatus for performing a dispersion step, or may be repeatedly treated plural times.
[0018]
The average particle diameter of the solvent fine particles (I) produced as described above is in the range of 0.01 to 100 μm, particularly 0.05 to 15 μm according to the measurement by the laser diffraction type particle size distribution analyzer.
[0019]
Further, the viscosity of the solvent fine particles (I) at 20 ° C. measured using a Brookfield viscometer (RVDV-I +) is 50 to 1000 cps, particularly about 100 to 500 cps.
[0020]
The aqueous coating composition of the present invention is obtained by blending the solvent fine particles (I) obtained as described above with the aqueous coating composition (II), but the aqueous coating composition (II) is not particularly limited. Any of a cross-linking system and a non-cross-linking system may be used, and a conventionally known composition containing a water-dispersible resin or a water-soluble resin as a vehicle component can be used. Examples of the water-dispersible resin and the water-soluble resin include, for example, a crosslinked resin emulsion containing a carbonyl group and a hydrazide group as disclosed in JP-A-4-249587 and JP-A-7-11193, and JP-A-10-219190. No. 6,086,098, a crosslinked resin emulsion with a hydroxyl group and an isocyanate group as disclosed in JP-A-2002-167517, a crosslinked system with a carbonyl group and a hydrazide group as disclosed in JP-A-2002-167517, and a photocurable system with a maleimide group. Emulsions of combinations, further cross-linked acrylic resin emulsions, vinyl acetate emulsions, vinyl acetate-acrylic resin emulsions, ethylene-vinyl acetate emulsions, acrylic silicone emulsions, epoxy resin emulsions, alkyd resin emulsions, urethanes Fat emulsion, water-soluble acrylic resin, polyvinyl alcohol - le, natural or synthetic rubber latex.
[0021]
The water-based paint (II) may be a clear paint or an enamel paint, and may be a matte paint, a glossy paint, or a base adjustment paint. The water-based paint (II) is a low-contaminating agent such as a coloring pigment, an extender pigment, a modified organosilicate modified with an organosilicate, a polyalkylene glycol or the like, a surfactant, a dispersant, an antifoaming agent, a thickener, and a film forming agent. Auxiliaries, preservatives, antifreezing agents and the like are included as necessary.
[0022]
The amount of the solvent fine particles (I) to be added to the water-based coating composition (II) may vary depending on the intended use of the water-based coating composition of the present invention, but is generally 1 to 100 parts by weight of the water-based coating composition (II). It is in the range of 3030 parts by weight. If the amount is less than 1 part by weight, the effect of adding the solvent fine particles (I) may not be exhibited. On the other hand, if the amount exceeds 30 parts by weight, the coating properties of the water-based coating material (II) itself may be lost due to the addition of the solvent fine particles. The addition of the solvent fine particles (a) to the aqueous coating composition (II) may be performed in advance or may be performed immediately before coating. In the present invention, the aqueous coating composition obtained as described above is applied to the surface to be coated. A method for forming a coating film is also provided.
[0023]
Further, in the present invention, by adjusting the average particle diameter of the solvent fine particles (I) and the blending amount with respect to the water-based paint (II), it is possible to control the gloss, moisture permeability and thermal conductivity of the formed coating film. is there.
[0024]
For example, an aqueous solution obtained by blending solvent fine particles (I) having an average particle size in the range of 0.1 to 0.5 μm in an amount of 2 to 25 parts by weight with respect to 100 parts by weight of the aqueous coating material (II). Depending on the coating composition, the gloss is in the range of 60 to 80 at a gloss of 60 °, the moisture permeability is in the range of 90 to 120 g / m 2 · day, and the thermal conductivity is 0.22 to 0.29 W / m. -A coating film in the range of K can be formed.
[0025]
On the other hand, an aqueous solution obtained by blending solvent fine particles (I) having an average particle diameter in the range of 0.5 to 5.0 μm in an amount of 2 to 25 parts by weight with respect to 100 parts by weight of the aqueous paint (II). Depending on the coating composition, a low gloss coating film having a gloss of 60 ° and a range of 30 to 70 can be obtained.
[0026]
Further, the solvent fine particles (I) having an average particle diameter in the range of 0.1 to 0.5 μm are blended in an amount of 2 to 25 parts by weight with respect to 100 parts by weight of the matting water-based paint or the base adjustment water-based paint. The water-based coating composition thus obtained can form a coating film having a moisture permeability of 110 to 150 g / m 2 · day.
[0027]
The gloss and moisture permeability are numerical values when the dry film thickness is 0.3 mm, and the thermal conductivity is a numerical value when the dry film thickness is 1 mm. The measuring method will be described later.
[0028]
The aqueous coating composition of the present invention obtained as described above can be dried or cured at room temperature, and the coating method is not particularly limited, and may be brushed, spray-coated, roller-coated, or rolled according to the purpose. Known coating methods such as a coater, a flow coater, and spray coating can be used.
[0029]
Examples of the surface to be coated include a base material having alkalinity such as concrete, mortar, slate, and slate roof tile, a material surface such as a ceramic building material, a metal, and a plastic, and a surface of an old coating film coated on them. A water-based or solvent-type undercoat material can be applied to the surface to be coated, if necessary. After the undercoat material is applied, the aqueous coating composition can be applied as an overcoat material. Such undercoat materials include, for example, acrylic resin-based, acrylic rubber-based, chlorinated rubber-based, styrene-butadiene rubber-based, epoxy-based sealers and primers, a base repairing material including a cement part, a base adjusting material, and a thickness adjusting material. Additives and the like are included. On the other hand, after the aqueous coating composition is applied as an undercoat material, a conventionally known aqueous overcoat material can be applied.
[0030]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described in more detail with reference to examples. In addition, “part” and “%” indicate “part by weight” and “% by weight”.
[0031]
Preparation of solvent fine particles Production Examples 1 to 3
Water was gradually added to the mixture of the blends shown in Table 1 while stirring with a disper, and the mixture was stirred until uniform for 5 minutes to emulsify. Thereafter, dispersion was performed with a disperser having a high energy shearing ability to obtain each solvent fine particle having an average particle diameter shown in Table 1. Thereafter, the storage stability of each of them was evaluated according to the following evaluation criteria. Table 1 shows the results.
[0032]
[Table 1]
[0033]
(Note 1) Mineral spirit: Aromatic / hydrocarbon mixed solvent, water solubility less than 0.1% (Note 2) "DKS NL-50": trade name, manufactured by Daiichi Kogyo Seiyaku, polyoxyethylene lauryl ether (Note 3) "ADEKANOL UH-420": trade name, manufactured by ADEKA CORPORATION, thickener
Preparation of aqueous coating composition Examples 1 to 6 and Comparative Examples 1 and 2
Each of the components shown in the composition (B) in Table 2 was sequentially charged into a container, and the mixture was stirred with a disper for 30 minutes until the mixture became uniform to obtain a pigment paste. Thereafter, the respective components shown in the composition (C) of Table 1 were sequentially added to the pigment paste. Each solvent fine particle was blended with each according to the description in Table 2 to obtain each aqueous coating composition. These were subjected to the following performance tests. Table 2 shows the results.
[0034]
[Table 2]
[0035]
(Note 4) "Nopcosperse 44C": trade name, manufactured by San Nopco, pigment dispersant (Note 5) "Adecanate B-154K": trade name, manufactured by Asahi Denka Kogyo, defoamer (Note 6) "Bioside": Trade name, manufactured by Dainippon Ink and Chemicals, preservative (Note 7) "TITONE R-32": trade name, manufactured by Sakai Chemical Industry, titanium white (Note 8) "Sunlight SL-500": trade name, Takehara Sangyo Pigment extender (Note 9) "Tancar MC-75": trade name, extender pigment (Note 10) manufactured by Asahi Minesue Co., Ltd. 55% acrylic resin: Cross-linked resin emulsion (Note 11) with carbonyl group and hydrazide group Iodozol KA-10K ": trade name, manufactured by Nippon NSC, a thickener.
[0036]
Performance Test Method (* 1) Particle Size: The average particle size of each solvent fine particle was measured by a Shimadzu laser diffraction type particle size distribution analyzer SALD-3 100-cell cell model.
(* 2) Storage stability: After weighing about 100 g of each solvent fine particle in a measuring cylinder and storing it at 40 ° C. for 30 days, the solution state was evaluated according to the following criteria.
:: The solution state in the container is uniform, △: Separation is observed (* 3) 60 ° gloss: Each aqueous coating composition is applied to a glass plate so that the dry film thickness is 0.3 mm. After drying under the conditions of a temperature of 20 ° C. and a relative humidity of 60%, the glossiness of each coated plate after one day was measured according to JIS K5600 4.7.
(* 4) Moisture permeability: Each aqueous coating composition was applied to a dry film thickness of 0.3 mm and dried for 2 weeks at a temperature of 20 ° C. and a relative humidity of 60% to obtain each coating film. . This was tested according to JIS K5400, 8.17 Water Vapor Permeability Test Method, and the moisture permeability was measured.
(* 5) Thermal conductivity: Each aqueous coating composition was applied to a dry film thickness of 1 mm and dried for 2 weeks at a temperature of 20 ° C. and a relative humidity of 60% to obtain each coating film. The test was performed with a thermal conductivity meter (QTM-D3) manufactured by Kyoto Electronics Industry Co., Ltd., and the thermal conductivity was measured.
[0037]
【The invention's effect】
According to the aqueous coating composition of the present invention, while the storage stability in the coating is good, the solvent in the coating is volatilized after the coating is formed, and fine pores are uniformly generated in the coating, A coating film having multiple functions such as moisture permeability and heat insulation can be formed. Further, according to the composition, a low gloss coating film can be formed. In addition, the water-based coating composition of the present invention and the coating film formed from the composition have fine pores, which is useful for reducing the weight of the coating material and the coating film.