JP2004242836A - 超音波診断装置及び超音波診断装置における画像処理方法 - Google Patents

超音波診断装置及び超音波診断装置における画像処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】スムージング処理及びエッジ強調処理を対象物のあり様に応じて適応的に行い、常に良好な超音波断層像を得ることが可能な超音波診断装置などを提供すること。
【解決手段】被検体内の各部の位置における反射信号の強さに関して、表示する各点に対して、その点を通って異なる方向の分散値を求め、この分散値のうちの最小分散値を求め、その直交方向の直交分散値を求め、この値が所定値より大きいか否か判定し、直交分散値が前記所定値より大きいとき前記最小分散値の方向に辺縁があると判定して、この辺縁方向にスムージング処理を行うとともにこの辺縁方向と垂直な方向にエッジ強調処理を行う。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波診断装置に係り、特にBモード画像の表示を行う超音波診断装置などに関する。
【0002】
【従来の技術】
Bモード画像の表示を行う超音波診断装置では、従来から画質を改善する手段として、スペックル(speckle)やノイズを平滑化するためのスムージング処理や、辺縁のエッジを強調するためにエッジ強調処理がなされてきた。
【0003】
例えば図7に示す超音波診断装置において、超音波プローブ71により送信され受信された反射信号を、送受信回路72により電気的に処理を行いビームフォーマ73で遅延加算を行い、得られた高周波信号を検波回路74で検波し、対数圧縮回路75で対数圧縮した後、画像処理部76において、画像信号の平滑化及びエッジ強調処理を行い、その後デジタルスキャンコンバータ77でビデオ出力フォーマットに変換し、モニタ78に表示される。
【0004】
このとき、上述のスムージング処理やエッジ強調処理は画像処理部76で行われるが、通常、スムージング処理及びエッジ強調処理は超音波送受信方向、即ち距離方向に、及びこれに対して垂直な方向、即ち走査(方位)方向になされていた。
【0005】
超音波診断の対象たる臓器の境界が距離方向に垂直にある場合は、走査方向にスムージング処理を行い、距離方向にエッジ強調されれば、臓器の良好な画像が得られる。しかし、実際には生体内の臓器は様々な方向を向いており、深さ方向及び走査方向に画一的にスムージング処理及びエッジ強調処理を行うことは良好な画像を得るためには必ずしも好ましくない場合もある。
【0006】
なお、異なる時刻における複数画像の動きベクトルを求めその差により、超音波反射像における異物体間の境界を検出する装置が知られている(特許文献1参照)が、良好な画像を得るためのものではない。
【0007】
【特許文献1】
・特開2001−175875号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述のような従来のBモード断層像を得る超音波診断装置の問題点に鑑みてなされたもので、スムージング処理及びエッジ強調処理を対象物のあり様に応じて適応的に行い、常に良好な超音波断層像を得ることが可能な超音波診断装置などを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1によれば、超音波プローブにより受信した被検体からの反射信号をBモード画像として表示する超音波診断装置であって、被検体内の各部の位置における反射信号の強さに関して、表示する各点に対して、その点を通って異なる方向の分散値を求める分散値算定手段と、この分散値算定手段により得られた分散値のうちの最小分散値を求める最小分散値抽出手段と、この最小分散値抽出手段により得られた最小分散値の直交方向の直交分散値を求める直交分散値算定手段と、前記直交分散値が所定値より大きいか否か判定する直交分散値比較手段と、この直交分散値比較手段により前記直交分散値が前記所定値より大きいとき前記最小分散値の方向に辺縁があると判定する辺縁点判定手段と、この辺縁方向にスムージング処理を行うとともにこの辺縁方向と垂直な方向にエッジ強調処理を行う画像処理手段とを有することを特徴とする超音波診断装置を提供する。
【0010】
本発明の請求項4によれば、超音波プローブと、この超音波プローブに電気信号を供給すると共に、この超音波プローブにより受信した信号を処理する送受信回路と、前記超音波プローブにより受信した信号を整相加算するビームフォーマと、このビームフォーマにより加算された信号を検波する検波回路と、被検体内の各部の位置における反射信号の強さを表示する各点に対してその点を通る辺縁があるか否か判定する辺縁ベクトル検出部と、この辺縁ベクトル検出部により辺縁ベクトルが検出されたときこの辺縁ベクトルの方向にスムージング処理を行いこの方向と垂直の方向にエッジ強調処理を行う画像処理部と、この画像処理部において処理された信号をビデオ映像信号に変換するデジタルスキャンコンバータと、このデジタルスキャンコンバータにより変換された信号を被検体のBモード像として表示するモニタ装置を有することを特徴とする超音波診断装置を提供する。
【0011】
本発明の請求項6によれば、超音波プローブにより受信した被検体からの反射信号をBモード画像として表示する超音波診断装置における画像処理方法であって、被検体内の各部の位置における反射信号の強さに関して、表示する各点に対して、その点を通って異なる方向の分散値を求める分散値算定ステップと、この分散値算定ステップにより得られた分散のうちの最小分散値を求める最小分散値抽出ステップと、この最小分散値抽出ステップにより得られた最小分散値の直交方向の直交分散値を求める直交分散値算定ステップと、前記直交分散値が所定値より大きいか否か判定する直交分散値比較ステップと、この直交分散値比較ステップにより前記直交分散値が前記所定値より大きいとき前記最小分散値の方向に辺縁があると判定する辺縁点判定ステップと、この辺縁方向にスムージング処理を行うとともにこの辺縁方向と垂直な方向にエッジ強調処理を行う画像処理ステップとを有することを特徴とする超音波診断装置における画像処理方法を提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1に、本発明の一実施形態の超音波診断装置の構成例を示す。この超音波診断装置10は、2値化処理部11と辺縁点判定部12と平均処理部13とから成る辺縁ベクトル検出処理部14を有する点が特徴である。超音波診断装置10は、超音波の送受信を行う超音波プローブ16とこの超音波プローブ16への駆動パルスを供給し、受信した超音波を信号処理する送受信回路17と、受信した各信号を相対的に遅延加算して超音波ビームとするビームフォーマ18と、それらの信号を検波する検波回路19と、信号を対数圧縮する対数圧縮回路20と、上述の辺縁ベクトル検出処理部14と、この辺縁ベクトル検出部14でスムージング処理及びエッジ強調処理がなされた信号を画像信号とするための処理を行う画像処理部21と、この画像処理部21で画像処理された信号をビデオ出力フォーマットに変換するデジタルスキャンコンバータ22と、その変換された信号を表示するモニタ装置23とから成る。
【0013】
送受信回路17は、超音波プローブ16に対して送信信号を発生すると共に、超音波プローブ16で受信した被検体からの超音波反射信号の信号増幅などを行う。ビームフォーマ18は受信信号の整相加算を行うと共に、超音波ビームの電子走査制御を行う。検波回路19はビームフォーマ18において整相加算された高周波(RF)信号を検波し、この検波信号を対数圧縮回路20にて対数圧縮する。
【0014】
辺縁べクトル検出処理部14は、後で詳しく述べるように各部位において辺縁ベクトルがあるかどうか調べ、この辺縁ベクトルに応じて画像処理部21において、スムージングやエッジ強調などの画像処理を行う。
【0015】
ここで、辺縁ベクトル検出処理部14にて行われる、辺縁ベクトル検出の原理について説明する。図2のステップS21に示すように、超音波反射信号の空間的な、ある1点Aijに着目し、この点に辺縁ベクトルがあるかを判定する。
【0016】
この点を中心にした周囲の各点の超音波反射信号の強さEが空間的に図3に示すようになっているとする。サフィックスのiは方位方向のアドレスであり、jは距離方向のアドレスであって、iとjにより、1点が特定される。図3において、横(左から右)方向は(1,0)方向、縦(上から下)方向は(0,1)方向、左下から右上方向は(1,−1)方向、左上から右下方向は(1,1)方向の各ベクトルとする。
【0017】
次にステップS22で、2値化処理部11において図3に示した各点における反射信号Eの値を2値化する。この処理により実質的に反射がある部分と血液などの反射のない部分の分離を図り、臓器など構造物の辺縁処理能力を上げることができる。2値化された出力信号は辺縁点判定部12おいて、次に述べるようにその点が辺縁点であるか判定される。
【0018】
なお、ここでいうベクトルは向きを有せず方向のみを有するものである。
【0019】
行うことは、まず各方向のベクトルの分散を求め、これの値の中で最も小さい値(最小分散値)を求める。これは反射信号のデータの連続性が高い方向を検知することを意味し、このベクトルの直交方向のベクトルの分散値を抽出し、これが所定値αより大きいか調べる。直交分散値がこの値αより大きければその方向に一定以上、反射信号の変化があったことを意味し、この場合にその位置に辺縁ベクトルがあったことになる。
【0020】
まず、ステップS23で上記各方向のベクトル毎に分散を算出する。例えば距離方向、即ち(0,1)方向ベクトルの分散σ01を求めるとする。反射信号の値Eの2値化された値も同じ記号を使うとすると、この方向の値はEij−2,Eij−1,Eij,Eij+1,Eij+2となる。これらの値の平均値Mを図4(a)に示すように、M=(Eij−2+Eij−1+Eij+Eij+1+Eij+2)/5と置けば、同図(b)に示すように、(0,1)方向ベクトルの分散σ01={(M−Eij−2+(M−Eij−1+(M−E +)+(M−Eij+1+)+(M−Eij+2}/5 となる。
【0021】
同様にして、(1,0)方向、(1,1)方向、(1、−1)方向の各ベクトルの分散σ10、σ11、σ1−1が求められる。次にステップS24で、これらの分散σ10、σ01、σ11、σ1−1の値が最小となる分散値が求められ、ステップS25において、この最小分散値のベクトルに直交するベクトルの直交分散値が求められる。例えば最小分散値がσ01であったとすると、直交分散値はσ10となる。ステップS26においてこの値σ10が所定値αより大きいか判定される。
【0022】
なお、所定値αは、その点で境界があったこととするかどうかの限界を示す値であり、予め初期値として設定されており、操作者がこの値を変えることができるようになっている。そのときの直交分散値σ10が所定値αより大きかったとすると、ステップS27に進み、その最小分散値σ01から辺縁ベクトルがあると判定され、次のステップS28で、その点AijにおけるベクトルVijが(0,1)方向の辺縁ベクトル、すなわちVij=(0,1)とされる。図6では各点におけるベクトルを示しており、これらのベクトルが辺縁ベクトルかどうか調べられる。
【0023】
一方、直交分散値σ10が所定値αより大きくないと、ステップS26からステップS29に移り、この点Aijは辺縁点でないとされ、ステップS30において点AijのベクトルVijは辺縁ベクトルでないことになる。辺縁ベクトルでない場合には(0,0)と表示される。このようにして、各点が辺縁点であるか即ち、その点のベクトルが辺縁ベクトルであるか否かが辺縁点判定部12において判定される。したがって、空間的にはところどころ向きの異なる辺縁ベクトルが置かれることになる。
【0024】
辺縁ベクトル検出処理部14の平均処理部13では、上記各アドレスに対して設定されたベクトルを、注目点を中心とする領域、例えば図6に示す5×5のマトリクスで平均化処理を行い、注目点の辺縁ベクトルとする。各点が細かすぎる場合にはこのように領域を大きくして、その位置の辺縁ベクトルを決める。各点が十分粗い場合には、平均処理を行うことなく、その点例えばAijのVijをそのままその点のベクトルとすることが可能である。このように平均処理を行うか否かは画像の密度との関係で決めることができる。
【0025】
画像処理部21では、辺縁ベクトル検出処理部14で得られたベクトルに応じて、辺縁ベクトルがある部分ではその方向にスムージング処理を行い、これと垂直の方向にはエッジ強調処理を行う。ベクトルVijが(0,0)である点においては、スムージング処理が行われる。
【0026】
このような処理が行われた後の画像信号は、デジタルスキャンコンバータ22でビデオ映像信号に変換され、モニタ装置23の画面上に超音波のBモード像が表示される。
【0027】
上記実施形態では、5×5の点から成るブロックについて辺縁点の判定を行ったが、本発明はこれに限られず、これ以上あるいはこれよりも小さいブロックを辺縁点の判定に用いることもできる。
【0028】
また、上記実施形態では映像信号のデジタルスキャンコンバータによる変換前に、スムージング及びエッジ強調処理を行っているが、デジタルスキャンコンバータによって変換した後に、上記処理を行うようにすることもできる。
【0029】
本発明は上述の実施形態に限られず、本発明の技術思想の範囲内で種々変形して実施可能である。
【0030】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、スムージング処理及びエッジ強調処理を対象物のあり様に応じて適応的に行い、常に良好な超音波断層像を得ることが可能な超音波診断装置などを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明一実施形態の構成例を示す図。
【図2】本発明一実施形態において辺縁ベクトル検出部における処理を説明するための図。
【図3】本発明一実施形態において各点における反射信号の強さを説明するための図。
【図4】本発明一実施形態において1点の分散を求める式を説明するための。
【図5】本発明一実施形態において、各方向のベクトルと対応するデータ群及びその方向の分散の関係を示す図。
【図6】本発明一実施形態において各点のベクトルを説明するための図。
【図7】従来の超音波診断装置の構成例を示す図。
【符号の説明】
10・・・超音波診断装置、11・・・2値化処理部、12・・・辺縁点判定部、13・・・平均処理部、14・・・辺縁ベクトル検出処理部、16・・・超音波プローブ、17・・・送受信回路、18・・・ビームフォーマ、19・・・検波回路、20・・・対数圧縮回路、21・・・画像処理部、22・・・デジタルスキャンコンバータ、23・・・モニタ装置。

Claims (6)

  1. 超音波プローブにより受信した被検体からの反射信号をBモード画像として表示する超音波診断装置であって、
    被検体内の各部の位置における反射信号の強さに関して、表示する各点に対して、その点を通って異なる方向の分散値を求める分散値算定手段と、
    この分散値算定手段により得られた分散値のうちの最小分散値を求める最小分散値抽出手段と、
    この最小分散値抽出手段により得られた最小分散値の直交方向の直交分散値を求める直交分散値算定手段と、
    前記直交分散値が所定値より大きいか否か判定する直交分散値比較手段と、
    この直交分散値比較手段により前記直交分散値が前記所定値より大きいとき前記最小分散値の方向に辺縁があると判定する辺縁点判定手段と、
    この辺縁方向にスムージング処理を行うとともにこの辺縁方向と垂直な方向にエッジ強調処理を行う画像処理手段とを有することを特徴とする超音波診断装置。
  2. 前記分散値算定手段により分散を算定する、被検体内の各部の位置における反射信号の強さを2値化する2値化手段を更に有することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
  3. 前記辺縁点判定手段により、辺縁があるか否か判定された点を複数まとめて辺縁があるか否か判定し、辺縁があるとされた場合に前記画像処理手段により辺縁方向にスムージング処理を行うとともにこの辺縁方向と垂直な方向にエッジ強調処理を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の超音波診断装置。
  4. 超音波プローブと、
    この超音波プローブに電気信号を供給すると共に、この超音波プローブにより受信した信号を処理する送受信回路と、
    前記超音波プローブにより受信した信号を整相加算するビームフォーマと、
    このビームフォーマにより加算された信号を検波する検波回路と、
    被検体内の各部の位置における反射信号の強さを表示する各点に対してその点を通る辺縁があるか否か判定する辺縁ベクトル検出部と、
    この辺縁ベクトル検出部により辺縁ベクトルが検出されたときこの辺縁ベクトルの方向にスムージング処理を行いこの方向と垂直の方向にエッジ強調処理を行う画像処理部と、
    この画像処理部において処理された信号をビデオ映像信号に変換するデジタルスキャンコンバータと、
    このデジタルスキャンコンバータにより変換された信号を被検体のBモード像として表示するモニタ装置を有することを特徴とする超音波診断装置。
  5. 前記辺縁ベクトル検出部は、
    被検体内の各部の位置における反射信号の強さを2値化する2値化回路と、
    この2値化回路により2値化された反射信号の強さについて表示する各点に対して、その点を通って異なる方向の分散値を求めてそのうちの最小分散値を求めた後、その最小分散値の直交方向の直交分散値を求め、直交分散値が所定値より大きいか否か判定することにより前記最小分散値の方向に辺縁があるか判定する辺縁点判定部とを有することを特徴とする超音波診断装置。
  6. 超音波プローブにより受信した被検体からの反射信号をBモード画像として表示する超音波診断装置における画像処理方法であって、
    被検体内の各部の位置における反射信号の強さに関して、表示する各点に対して、その点を通って異なる方向の分散値を求める分散値算定ステップと、
    この分散値算定ステップにより得られた分散のうちの最小分散値を求める最小分散値抽出ステップと、
    この最小分散値抽出ステップにより得られた最小分散値の直交方向の直交分散値を求める直交分散値算定ステップと、
    前記直交分散値が所定値より大きいか否か判定する直交分散値比較ステップと、
    この直交分散値比較ステップにより前記直交分散値が前記所定値より大きいとき前記最小分散値の方向に辺縁があると判定する辺縁点判定ステップと、
    この辺縁方向にスムージング処理を行うとともにこの辺縁方向と垂直な方向にエッジ強調処理を行う画像処理ステップとを有することを特徴とする超音波診断装置における画像処理方法。
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