JP2004242457A - 架空配電線の絶縁保護管用ハンガー - Google Patents

架空配電線の絶縁保護管用ハンガー Download PDF

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Abstract

【課題】多数本の絶縁保護管を容易に安定良く吊り掛け得る安全なハンガーとして提供する。
【解決手段】高所作業車(V)におけるバケット(B)の開口縁部(12)へ係止し得る側面視のほぼ倒立J字型に成形された電気絶縁性のハンガー本体板(25)と、そのハンガー本体板の下部から後向き一体的に張り出して、上記バケットの壁面へ押し付けられる接支脚座(27)と、同じくハンガー本体板の垂直な二等分線(Y−Y)を中心とする正面視のほぼ左右対称形態として、そのハンガー本体板の中途高さ位置から前向き一体的に張り出す絶縁保護管用受け棚(28)とを備え、上記バケットの開口縁部とほぼ平行に延在する左右振り分け状態として、その受け棚に切り欠き列設された複数条の櫛目(S1)(S2)へ、架空配電線(11)の絶縁保護管(C)を吊り下がり状態に差し込み係止させるように定めた。
【選択図】 図23

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は架空配電線の絶縁保護管を高所作業車のバケットへ吊り掛けるためのハンガーに関する。
【0002】
【従来の技術】
電柱上の架空配電線が各種造営物や樹木、建設機械などに触れる危険を予防するため、その付近の架空配電線に対して、ポリエチレン樹脂製の絶縁保護管(通称−ポリ管)を被覆させる活線作業が行なわれており、その場合一度に多数本の絶縁保護管を高所作業車のバケットへ吊り掛けることが必要となる。
【0003】
そのために使用されている従来のハンガーは、図26、27のようなほぼS字型に屈曲する2本の金属線材(M1)(M2)を、その中途交点部において1本のボルト(1)とナット(2)により締結一体化した手作り品である。
【0004】
そして、その上端側のほぼ平行状態に狭く揃った第1フック部(3a)(3b)を、高所作業車におけるバケット(B)の開口縁部(4)へ係止させると共に、残る下端側の広く開脚された状態にある第2フック部(5a)(5b)の各個へ、絶縁保護管(C)の継手(6)に付属している吊り環(7)を通し込み係止させるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このようなハンガーは金属の線材(M1)(M2)とボルト(1)並びにナット(2)から成り、導電性を有するため、作業者の安全性を確保できないばかりでなく、その金属線材(M1)(M2)やボルト(1)の径大な頭部(1a)によって、合成樹脂製バケット(B)の表面に見苦しい摺り傷を与えてしまう問題もある。
【0006】
又、上記金属線材(M1)(M2)の屈曲した第1フック部(3a)(3b)では、バケット(B)の開口縁部(4)へフィットした状態に安定良く係止せず、仮令ボルト(1)の径大な頭部(1a)がバケット(B)の表面に接支するとしても、そのバケット(B)の旋回やブームの反動を受けて、容易に振れ動き変向したり、或いは樹木などに若干触れただけでも、バケット(B)から脱落したりするおそれがある。
【0007】
更に、絶縁保護管(C)の上記吊り環(7)を金属線材(M1)(M2)の第2フック部(5a)(5b)へ、地面上から順次通し込み係止させる作業は甚だ煩らわしく、絶縁保護管(C)の係止状態としても、その方向性や姿勢が著しく不整列・アンバランスとなり、バケット(B)上から全体を通覧し難い。
【0008】
それにもまして、絶縁保護管(C)の重量が細い吊り環(7)に集中作用するため、その吊り環(7)の切損や第2フック部(5a)(5b)の降伏を生じやすく、そうなるともはやハンガーへ絶縁保護管(C)を吊り掛け使用することが不可能であり、その意味からも絶縁保護管(C)の吊り掛け本数が少なく制限されることになる。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明はこのような諸問題の抜本的な解決を企図しており、そのために役立つ架空配電線の絶縁保護管用ハンガーとして、その構成上上部が高所作業車におけるバケットの開口縁部へ係止し得る係止フックとして、繊維強化樹脂などの電気絶縁材料から側面視のほぼ倒立J字型に成形されたハンガー本体板と、
【0010】
そのハンガー本体板の下部から後向き一体的に張り出して、上記バケットの壁面へ押し付けられる接支脚座と、
【0011】
同じくハンガー本体板の垂直な二等分線を中心とする正面視のほぼ左右対称形態として、そのハンガー本体板の中途高さ位置から前向き一体的に張り出す絶縁保護管用受け棚とを備え、
【0012】
上記バケットの開口縁部とほぼ平行に延在する左右振り分け状態として、その受け棚に切り欠き列設された複数条の櫛目へ、架空配電線の絶縁保護管を吊り下がり状態に差し込み係止させるように定めたことを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基いて本発明を詳述すると、図1は高所作業車(V)を示しており、その伸縮ブーム(10)の先端部に装備されているバケット(B)の内部へ、作業者が立ち乗って、電柱上の架空配電線(11)に対する絶縁保護管(C)の被覆作業や、その取りはずし作業を行なうことになる。
【0014】
上記バケット(B)自体は公知のように、繊維強化樹脂(FRP)から平面視の四角形に一体成形されており、その後壁面において伸縮ブーム(10)の先端部へ、旋回作動自在に枢着されている。
【0015】
又、バケット(B)の開口縁部(12)は図2のように、フラットな補強フランジとして外向き連続的に張り出しており、その後壁面を除く三壁面の補強フランジには、上方から複数づつの固定ボルト(13)とナット(図示省略)によって、やはり硬質な合成樹脂からのほぼカマボコ型をなすライナープロテクター(14)が取り付け一体化されている。
【0016】
他方、上記架空配電線(11)の絶縁保護管(C)も公知であって、図3〜7のようなポリエチレン樹脂を主材料とするストレートな管本体(15)と、その基端側へ延長状態に被着一体化されたソケット型の継手(16)とから成り、例えば約3mや約5mの全体長さを有する。但し、その管本体(15)と継手(16)との何れにも、長手方向に沿って延在する連続的な割り鰭(17)(18)が列設されており、ここから強制的に押し開くことができるようになっている。
【0017】
(19)は上記継手(16)の基端縁部をなすラッパ状の拡開フランジ、(20)はこれと連続する吊り環、(21)は同じく継手(16)の先端縁部から張り出す係止フランジであって、上記管本体(15)の直径(D1)よりも大きな直径(D2)を備えていることは、言うまでもない。
【0018】
又、(22)は上記継手(16)の中途部に区成された円形の凹周溝であり、管本体(15)の先端縁部から張り出す楔フランジ(23)と対応する。そのため、複数本の絶縁保護管(C)について図5の鎖線で示唆する如く、その隣り合う一方における管本体(15)の楔フランジ(23)を、同じく他方における継手(16)の凹周溝(22)内へ差し込み係止させることにより、直列状態に接続使用することもできるようになっている。尚、(24)は上記継手(16)を補強する複数の環状リブである。
【0019】
本発明の絶縁保護管用ハンガー(A)は上記絶縁保護管(C)の多数本を図1のように、高所作業車(V)のバケット(B)へ吊り掛けるための活線作業用具として、その構成部品の悉く電気絶縁材料から次の通り製作されている。
【0020】
即ち、図8〜23は本発明に係るハンガー(A)とそのバケット(B)への取り付け使用状態を詳しく示しており、(25)は上記高所作業車(V)のバケット(B)と同様な繊維強化樹脂(FRP)から一定の背丈(H1)(例えば約324mm)を有する側面視のほぼ倒立J字型に一体成形されたハンガー本体板であって、一定長さ(L1)(例えば約215mm)の帯板状態をなすことにより、その上部に屈曲する係止フック(26)が上記バケット(B)のライナープロテクター(14)を備えた開口縁部(12)と対応して、その開口縁部(12)へ図21〜23のようなフィット状態に安定良く係止されるようになっている。そのバケット(B)に対する係止フック(26)の係止深さ(オーバーハング量)(H2)は、例えば約99mmである。
【0021】
他方、上記ハンガー本体板(25)の下部はバケット(B)への接支脚座(27)として、そのハンガー本体板(25)から後向き一体的に張り出しており、上記係止フック(26)がバケット(B)の開口縁部(12)へ係止された使用時、そのバケット(B)の壁面に押し付けられて、上記ハンガー本体板(25)をほぼ垂直の安定な姿勢状態に保つ。
【0022】
この点、図例では上記接支脚座(27)をハンガー本体板(25)の一定長さ(L1)だけ延在する断面コ字型の1条として、そのハンガー本体板(25)の下部から後向き張り出し状態に一体成形しているが、例えば別個なゴムやその他の電気絶縁材料から成る接支脚座(図示省略)の複数を、上記ハンガー本体板(25)の背後面へ点在分布状態に取り付け固定して、上記機能を発揮させても良い。
【0023】
(28)は上記ハンガー本体板(25)の垂直な二等分線(Y−Y)を中心とする正面視のほぼ左右対称形態として、そのハンガー本体板(25)の中途高さ位置から逆な前向き一体的に張り出された絶縁保護管用受け棚であり、一定な幅(W1)(例えば約296mm)と長さ(L2)(例えば約745mm)の長方形な平面輪郭形状を備え、ハンガー本体板(25)から左右の両横方向へほぼ等しい一定長さ(L3)(例えば約265mm)だけ張り出す関係状態に延在している。
【0024】
しかも、その受け棚(28)は平面視の櫛型をなすものとして、これには複数条(図例では合計8条)の櫛目(S1)(S2)が左右振り分け状態に切り欠き列設されており、その切り欠きとの相対的に残存する櫛歯部分が、好ましくは断面ほぼ倒立U字型の仕切り桟(28a)(28b)として造形されているのである。上記受け棚(28)の櫛目(S1)(S2)とその仕切り桟(28a)(28b)はバケット(B)に対するハンガー本体板(25)の係止使用時、そのバケット(B)の開口縁部(12)とほぼ平行に延在することとなる。
【0025】
茲に、各仕切り桟(28a)(28b)は中実な棒形態であってもさしつかえないが、これを特に図14のような断面ほぼ倒立U字型に成形するならば、上記受け棚(28)のそれ自体を軽量化しつつも、その剛性を昂めることができ、耐久強度に富むハンガー(A)を得られる利点がある。
【0026】
(29)は受け棚(28)を下方から支持するため、その櫛目(S1)(S2)の左右振り分け中心線(X−X)に沿って、上記ハンガー本体板(25)の下部からやはり前向き一体的に張り出された補強ステーであり、その下端縁部が図14、15のような前上がり傾斜辺となる側面視のほぼ直角三角形を呈している。
【0027】
上記絶縁保護管用受け棚(28)の櫛目(S1)(S2)につき、図10ではその左右一対づつを横一直線上での正しく向かい合う対称な位置関係として、合計4列の平行状態に切り欠いているが、図10と対応する図11の変形例に示す如く、その左右一対づつの交互に位相変化した千鳥配列形態として切り欠いても良く、要するに全体的な左右均衡状態を保つことができれば足りる。
【0028】
何れにしても、各櫛目(S1)(S2)の切り欠き開口幅(W2)は上記絶縁保護管(C)における管本体(15)の直径(D1)よりも大きく、且つ同じく継手(16)の先端縁部から張り出す上記係止フランジ(21)の直径(D2)よりも小さく寸法化されている。
【0029】
又、各櫛目(S1)(S2)の切り欠き開口長さ(L4)は例えば約352mmとして、上記受け棚(28)の長手方向に沿う延在状態にあり、そのハンガー本体板(25)から左右の両横方向へ張り出す先端が絶縁保護管(C)の入口部となる一方、上記左右振り分け中心線(X−X)へ接近した基端が絶縁保護管(C)の受け止め奥部として、その管本体(15)の円周面と対応する平面視の凹曲面に造形されている。
【0030】
更に、上記受け棚(28)におけるハンガー本体板(25)から左右の両横方向へ張り出す各仕切り桟(28a)(28b)の先端は、その各櫛目(S1)(S2)内からの絶縁保護管用抜け止めストッパー(30a)(30b)として、一定高さ(H3)(例えば約30mm)だけ上向くほぼ直角に隆起されており、その絶縁保護管(C)における継手(16)の係止フランジ(21)を受け止めるようになっている。
【0031】
そのため、上記受け棚(28)に切り欠き列設された各櫛目(S1)(S2)の内部へ、その入口部から順次絶縁保護管(C)の管本体(15)を自由自在に差し込むことができ、そうすれば図21〜23から明白なように、その複数本(図例では5〜6本)づつ整列する絶縁保護管(C)の上記係止フランジ(21)が、櫛歯部分に相当する各仕切り桟(28a)(28b)へ跨がる状態に係止して、バランス良く安定に吊り下がることとなり、その各仕切り桟(28a)(28b)の上記抜け止めストッパー(30a)(30b)によって、受け棚(28)から不慮に脱落するおそれもない。
【0032】
各仕切り桟(28a)(28b)の抜け止めストッパー(30a)(30b)により、絶縁保護管(C)が脱落しない吊り下がり状態を確保できるならば、上記受け棚(28)の全体を水平状態として、ハンガー本体板(25)から前向き一体的に張り出し形成してもさしつかえないが、図例ではこれを正面視の緩やかに屈曲するV字型として、そのハンガー本体板(25)の垂直な二等分線(Y−Y)から左右両端部へ行く程、徐々に上向き隆起する一定角度(θ)(例えば約30度)の横上がり傾斜状態に造形している。
【0033】
これによれば、各櫛目(S1)(S2)の入口部から受け止め奥部へ、絶縁保護管(C)の複数本づつを順次に滑り移動する如く差し込んで、その自づと詰まる図21のような整列状態に吊り下げることができ、しかも絶縁保護管(C)の抜け止め効果をますます向上させ得る利点があり、高所作業車(V)のバケット(B)に対する吊り掛け用として、著しく優れる。
【0034】
又、図例の場合上記受け棚(28)の櫛目(S1)(S2)を、左右4列づつの合計8条として切り欠き、そのうちハンガー本体板(25)から最も遠ざかる最前列の左右一対については、上記櫛目(S1)(S2)の切り欠き開口幅(W2)を残余のそれよりも広大に寸法化している。
【0035】
これによれば、図21〜23から併せて明白な如く、管本体(15)の直径(D1)が大きい絶縁保護管(C)を、その受け棚(28)における最前列の櫛目(S1)(S2)に差し込む一方、同じく管本体(15)の直径(D1)が小さい絶縁保護管(C)を、残余の櫛目(S1)(S2)に差し込むことにより、その直径(D1)が相違変化する絶縁保護管(C)の数種を、一挙に吊り下げ使用できる効果があり、利便性の向上に役立つ。但し、最後列に並ぶ左右一対の櫛目(S1)(S2)について、その切り欠き開口幅(W2)を残余のそれより広く寸法化しても勿論良い。
【0036】
尚、上記受け棚(28)の櫛目(S1)(S2)に差し込み係止された絶縁保護管(C)の多数本(図例では合計46本)を、作業者が高所作業車(V)のバケット(B)上から支障なく抜き出せる限り、上記ハンガー本体板(25)から前向きに張り出す受け棚(28)の大きさ(面積)や、その櫛目(S1)(S2)の切り欠き個数、切り欠き開口幅(W2)、切り欠き開口長さ(L4)などは、絶縁保護管(C)との関係を考慮して適当に選定することができる。
【0037】
次に、図8〜23の引き続く符号(31)は上記バケット(B)の開口縁部(12)に対するハンガー本体板(25)の突っ支え板(逆止弁板)を示しており、そのハンガー本体板(25)とほぼ等しい一定長さ(L1)のウレタンゴムやその他の電気絶縁弾性材料から、側面視のほぼヘ字型として鈍角に屈曲形成されている。(P)はその屈曲稜線であり、起伏的な開閉作用の支点となる。
【0038】
そして、突っ支え板(31)の約下半部は上記ハンガー本体板(25)の中途高さ位置へ背後から接合された上、複数のボルト(32)とナット(33)によって取り付け固定されている一方、その突っ支え板(31)の屈曲稜線(P)から後上がり傾斜姿勢状態に延長した上端部には、ベークライトや硬質な合成樹脂などのライナープレート(34)が貼り合わせ一体化されている。尚、そのボルト(32)とナット(33)もポリカーボネート樹脂やABS樹脂などの電気絶縁材料から成る。
【0039】
その場合、図23から明白なように、上記バケット(B)の開口縁部(12)へハンガー本体板(25)の係止フック(26)を係止させた使用時、その開口縁部(12)と上記突っ支え板(31)における上端部との上下相互間隔(H4)が、同じく開口縁部(12)に対する上記係止フック(26)の係止深さ(オーバーハング量)(H2)よりも、言わば浅く短小な寸法に関係設定されており、上記突っ支え板(31)がバケット(B)の開口縁部(12)へ下方から一早く衝当することによって、そのバケット(B)の開口縁部(12)から上記ハンガー本体板(25)の係止フック(26)が決して脱落しないようになっている。
【0040】
但し、上記突っ支え板(31)は屈曲稜線(P)からの起伏的な開閉作用を行なえ、その後上がり傾斜姿勢状態にある突っ支え板(31)の上端部を、上記ハンガー本体板(25)の前方から人為強制的に引き起して、そのハンガー本体板(25)の背後面へ弾力的に密着させることにより、上記ハンガー本体板(25)の係止フック(26)をバケット(B)の開口縁部(12)へ、支障なく係脱操作することもできるようになっている。
【0041】
(35)はそのために上記ライナープレート(34)を言わば支持ベースとして、突っ支え板(31)の上端部中央へほぼ直交する前上がり傾斜姿勢状態に植え付け固定された1本の硬質な合成樹脂製皿ビスであり、そのネジ軸部の前端にはやはり硬質な合成樹脂製のナット(36)を介して、上記突っ支え板(31)の起伏的な開閉操作用把手(37)が締結されている。
【0042】
その把手(37)は正面視の長方形や楕円形として、これも硬質な合成樹脂から成形されており、そのボス部に上記ナット(36)が空転不能に埋設されている一方、上記皿ビス(35)の円錐頭部も突っ支え板(31)のライナープレート(34)と固着一体化されているため、その皿ビス(35)に対して上記把手(37)を回動することができる。(38)は上記皿ビス(35)のネジ軸部に係留された引っ張り操作用ベルトである。
【0043】
更に、(39)は突っ支え板(31)の起伏的な開閉操作用把手(37)と対応して、上記ハンガー本体板(25)における中途高さ位置の中央部に切り欠かれた把手用出没窓であり、その細長い把手(37)の長辺よりも広大な長辺(E1)と、同じく把手(37)の長辺よりも狭小で且つ把手(37)の短辺よりも広大な短辺(E2)とを備えた正面視の長方形な輪郭形状に開口している。そして、上記ベルト(38)がその出没窓(39)を通じて、常時ハンガー本体板(25)の前方へ導出されている。
【0044】
つまり、上記突っ支え板(31)がハンガー本体板(25)の係止フック(26)をバケット(B)の開口縁部(12)から脱落しないように保つべく、その図17や図23のような後上がり傾斜姿勢に屈曲した状態から、作業者が上記ベルト(38)を前方へ引っ張ることにより、上記把手(37)を図18のようにハンガー本体板(25)の出没窓(39)から前方へ導出させた上、その把手(37)を図19のように約90度だけ回動操作して、ハンガー本体板(25)の出没窓(39)へ施蓋状態に係止させるのである。
【0045】
そうすれば、上記突っ支え板(31)は図20に示す如く、その屈曲稜線(P)からほぼ垂直な姿勢状態に引き起されて、ハンガー本体板(25)の背後面へ弾力的に密着することとなるため、そのハンガー本体板(25)の係止フック(26)を上記バケット(B)の開口縁部(12)から、支障なく取りはずすことができる。
【0046】
又、これと同様な突っ支え板(31)の引き起し姿勢状態において、そのハンガー本体板(25)の係止フック(26)をバケット(B)の開口縁部(12)へ係止させた後、上記把手(37)を逆方向へ約90度だけ回動操作して、そのハンガー本体板(25)の出没窓(39)に対する把手(37)の係止状態を解除すれば、上記突っ支え板(31)が当初の後上がり傾斜姿勢状態に復帰する結果、図23のようなバケット(B)の開口縁部(12)に対するハンガー本体板(25)の脱落防止効果を得られることは、言うまでもない。
【0047】
尚、先の図8〜23では絶縁保護管用受け棚(28)も、その支持補強ステー(29)や接支脚座(27)と同じく、繊維強化樹脂(FRP)からハンガー本体板(25)と連続一体に成形したハンガー(A)を示しているが、図24、25の変形実施形態から明白なように、上記絶縁保護管用受け棚(28)をその下方からの支持補強ステー(29)が連続一体に付属する状態として、ハンガー本体板(25)と予じめ別個独立に成形した上、複数の金属製タッピングネジ(40)によりハンガー本体板(25)の前面へ固定一体化し、これを電気絶縁のため繊維強化樹脂やエポキシ樹脂などにより被覆化粧したハンガー(A)として仕上げることも可能であり、本発明の範疇に属する。
【0048】
上記バケット(B)の接支脚座(27)がハンガー本体板(25)に付属するものとして、これから後向きの連続一体に張り出していることは言うまでもない。その他の構成は上記図8〜23に示したそれと実質的に同一であるため、その図24、25に図8〜23との対応符号を記入するにとどめて、その詳細な説明を省略する。
【0049】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る架空配電線の絶縁保護管用ハンガー(A)では、上部が高所作業車(V)におけるバケット(B)の開口縁部(12)へ係止し得る係止フック(26)として、繊維強化樹脂などの電気絶縁材料から側面視のほぼ倒立J字型に成形されたハンガー本体板(25)と、
【0050】
そのハンガー本体板(25)の下部から後向き一体的に張り出して、上記バケット(B)の壁面へ押し付けられる接支脚座(27)と、
【0051】
同じくハンガー本体板(25)の垂直な二等分線(Y−Y)を中心とする正面視のほぼ左右対称形態として、そのハンガー本体板(25)の中途高さ位置から前向き一体的に張り出す絶縁保護管用受け棚(28)とを備え、
【0052】
上記バケット(B)の開口縁部(12)とほぼ平行に延在する左右振り分け状態として、その受け棚(28)に切り欠き列設された複数条の櫛目(S1)(S2)へ、架空配電線(11)の絶縁保護管(C)を吊り下がり状態に差し込み係止させるように定めてあるため、図26、27に基き冒頭に説示した従来技術の諸問題を悉く解決できる効果がある。
【0053】
即ち、本発明の上記構成によれば、繊維強化樹脂(FRP)などの電気絶縁材料から成形されたハンガー本体板(25)が、その上部の係止フック(26)も含む一定長さ(L1)の帯板状態をなし、高所作業車(V)におけるバケット(B)の開口縁部(12)と対応するため、そのバケット(B)の開口縁部(12)へ安定なフィット状態に係止し、不慮に振れ動き変向したり、バケット(B)に傷付きを与えたり、ましてそのバケット(B)から脱落したりするおそれはない。
【0054】
しかも、このようなハンガー本体板(25)から前向き一体的に張り出す絶縁保護管用受け棚(28)は、そのハンガー本体板(25)の垂直な二等分線(Y−Y)を中心とする正面視のほぼ左右対称形態にあり、これには複数条の櫛目(S1)(S2)が左右振り分け状態として、上記バケット(B)の開口縁部(12)とほぼ平行に切り欠き列設されているため、その受け棚(28)の櫛目(S1)(S2)へ極力多数本の絶縁保護管(C)を容易に整然と、且つ左右均衡状態に安定良く差し込み係止させることができ、その全体をバケット(B)上から支障なく抜き出すことも可能である。
【0055】
特に、請求項2の構成を採用するならば、上記受け棚(28)の櫛目(S1)(S2)を言わば傾斜シュートとして、その内奥部へ絶縁保護管(C)を順次円滑に差し込むことができ、それにも拘らず櫛目(S1)(S2)から抜け出さない安定な吊り下がり状態を得られる効果がある。
【0056】
請求項3の構成を採用するならば、櫛目(S1)(S2)の入口部から絶縁保護管(C)の管本体(15)を順次差し込むことができ、そうすると絶縁保護管(C)における継手(16)の係止フランジ(21)が、櫛歯部分に相当する仕切り桟(28a)(28b)に受け止められるため、その絶縁保護管(C)の吊り環(19)が従来技術のように万一折損したとしても、又その吊り環(19)を予じめ具備しない絶縁保護管(C)であっても、本発明のハンガー(A)へ支障なく吊り掛け使用し得る効果がある。
【0057】
又、請求項4の構成を採用するならば、管本体(15)の直径(D1)が相違変化する絶縁保護管(C)の数種を、上記受け棚(28)の櫛目(S1)(S2)へ一挙同時に差し込み係止できるため、架空配電線(11)を被覆させる活線作業上の利便性に優れる。
【0058】
請求項5の構成を採用するならば、その櫛目(S1)(S2)の仕切り桟(28a)(28b)が断面ほぼ倒立U字型に造形されているため、これにより受け棚(28)自体の軽量化と耐久強度を併せて発揮させることができるほか、その各仕切り桟(28a)(28b)の左右両端部から一定高さ(H3)だけ隆起する抜け止めストッパー(30a)(30b)により、上記櫛目(S1)(S2)から絶縁保護管(C)が抜け出すおそれを完全に防止し得る効果もある。
【0059】
請求項6の構成を採用するならば、上記受け棚(28)を可及的に大型として、これに多数の櫛目(S1)(S2)を切り欠き列設しつつも、その耐久強度が低下するおそれを、櫛目(S1)(S2)の左右振り分け中心線(X−X)上に沿って延在する補強ステー(29)により、下方から合理的に安定良く支持できる効果がある。
【0060】
更に、請求項7の構成を採用するならば、ハンガー本体板(25)の係止フック(26)がバケット(B)の旋回や伸縮ブーム(10)の反動を受けて、万一バケット(B)の開口縁部(12)から脱落するおそれを、そのハンガー本体板(25)の突っ支え板(31)によって確実に予防することができ、高所での活線作業を安心裡に行なえる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の使用による絶縁保護管の吊り下がり状態を示す全体概略正面図である。
【図2】本発明のハンガーを高所作業車のバケットへ係止させた状態を示す斜面図である。
【図3】架空配電線の絶縁保護管を抽出して示す正面図である。
【図4】図3の側面図である。
【図5】図3の5−5線断面図である。
【図6】図3の6−6線に沿う拡大断面図である。
【図7】図3の7−7線に沿う拡大断面図である。
【図8】本発明のハンガーを抽出して示す正面図である。
【図9】図8の背面図である。
【図10】図8の平面図である。
【図11】図10に対応する変形例を示す平面図である。
【図12】図10の12−12線断面図である。
【図13】図10の13−13線断面図である。
【図14】図8の14−14線断面図である。
【図15】図8の15−15線断面図である。
【図16】図15の16−16線に沿う拡大断面図である。
【図17】ハンガー本体板の出没窓を抽出して示す部分拡大斜面図である。
【図18】図17から前方へ把手を引っ張り操作した状態の斜面図である。
【図19】図18から把手を回動させて出没窓に係止させた状態の斜面図である。
【図20】図19の全体的な側断面図であって、図15に対応する。
【図21】受け棚の櫛目に対する絶縁保護管の差し込み係止状態を示す正面図である。
【図22】図21の平面図である。
【図23】図21の23−23線に沿う拡大断面図である。
【図24】ハンガーの変形実施形態を示す図9に対応する背面図である。
【図25】図24の25−25線に沿う拡大断面図である。
【図26】従来のハンガーをバケットに取り付けた状態の斜面図である。
【図27】図26の拡大側断面図である。
【符号の説明】
(10)・伸縮ブーム
(11)・架空配電線
(12)・開口縁部
(15)・管本体
(16)・継手
(20)・吊り環
(21)・係止フランジ
(25)・ハンガー本体板
(26)・係止フック
(27)・接支脚座
(28)・絶縁保護管用受け棚
(28a)(28b)・仕切り桟
(29)・補強ステー
(30a)(30b)・抜け止めストッパー
(31)・突っ支え板
(32)・ボルト
(33)・ナット
(34)・ライナープレート
(37)・把手
(38)・ベルト
(39)・出没窓
(40)・タッピングネジ
(A)・ハンガー
(B)・バケット
(C)・絶縁保護管
(V)・高所作業車
(D1)・管本体の直径
(D2)・係止フランジの直径
(H1)・ハンガー本体板の背丈
(L1)・ハンガー本体板の長さ
(L4)・櫛目の切り欠き開口長さ
(S1)(S2)・櫛目
(W2)・櫛目の切り欠き開口幅
(θ)・傾斜角度
(X−X)・櫛目の左右振り分け中心線
(Y−Y)・ハンガー本体板の垂直二等分線

Claims (7)

  1. 上部が高所作業車(V)におけるバケット(B)の開口縁部(12)へ係止し得る係止フック(26)として、繊維強化樹脂などの電気絶縁材料から側面視のほぼ倒立J字型に成形されたハンガー本体板(25)と、
    そのハンガー本体板(25)の下部から後向き一体的に張り出して、上記バケット(B)の壁面へ押し付けられる接支脚座(27)と、
    同じくハンガー本体板(25)の垂直な二等分線(Y−Y)を中心とする正面視のほぼ左右対称形態として、そのハンガー本体板(25)の中途高さ位置から前向き一体的に張り出す絶縁保護管用受け棚(28)とを備え、
    上記バケット(B)の開口縁部(12)とほぼ平行に延在する左右振り分け状態として、その受け棚(28)に切り欠き列設された複数条の櫛目(S1)(S2)へ、架空配電線(11)の絶縁保護管(C)を吊り下がり状態に差し込み係止させるように定めたことを特徴とする架空配電線の絶縁保護管用ハンガー。
  2. 絶縁保護管用受け棚(28)を正面視のV字型として、そのハンガー本体板(25)の垂直な二等分線(Y−Y)から左右両端部へ行く程、徐々に上向き隆起する一定角度(θ)の横上がり傾斜状態に造形したことを特徴とする請求項1記載の架空配電線の絶縁保護管用ハンガー。
  3. 各櫛目(S1)(S2)の切り欠き開口幅(W2)を絶縁保護管(C)における管本体(15)の直径(D1)よりも大きく、且つその管本体(15)の基端側に被着一体化された継手(16)の先端縁部から張り出す係止フランジ(21)の直径(D2)よりも小さく寸法化して、
    上記櫛目(S1)(S2)における左右両端の入口部から絶縁保護管(C)の管本体(15)を吊り下がり状態に差し込み係止させるように定めたことを特徴とする請求項1記載の架空配電線の絶縁保護管用ハンガー。
  4. 絶縁保護管用受け棚(28)の櫛目(S1)(S2)を左右4列づつ合計8条として切り欠き列設すると共に、
    その最前列又は最後列に位置する左右一対の切り欠き開口幅(W2)を、残余のそれよりも広大に寸法化して、
    管本体(15)の直径(D1)が相違変化する絶縁保護管(C)の数種を、上記受け棚(28)の櫛目(S1)(S2)へ一挙に差し込み係止させ得るように定めたことを特徴とする請求項1記載の架空配電線の絶縁保護管用ハンガー。
  5. 絶縁保護管用受け棚(28)の櫛目(S1)(S2)を横一直線上での正しく向かい合う対称な左右一対づつとして、合計4列の平行状態に切り欠き列設すると共に、
    上記櫛目(S1)(S2)の切り欠きと相対的に残存する櫛歯部分を断面ほぼ倒立U字型の仕切り桟(28a)(28b)として、その各仕切り桟(28a)(28b)の左右両端部から絶縁保護管用抜け止めストッパー(30a)(30b)を一定高さ(H3)だけ上向きに隆起させたことを特徴とする請求項1記載の架空配電線の絶縁保護管用ハンガー。
  6. ハンガー本体板(25)の下部から絶縁保護管用受け棚(28)の支持補強ステー(29)を、その櫛目(S1)(S2)の左右振り分け中心線(X−X)に沿って前向き一体的に張り出したことを特徴とする請求項1記載の架空配電線の絶縁保護管用ハンガー。
  7. ウレタンゴムなどの電気絶縁弾性材料から側面視のほぼヘ字型に屈曲形成された突っ支え板(31)の約下半部を、ハンガー本体板(25)の中途高さ位置へ背後から取り付け固定して、常時後上がり傾斜姿勢状態に保つと共に、
    その突っ支え板(31)の上端部を上記ハンガー本体板(25)に対応形成された出没窓(39)から、前方へ人為強制的に引っ張り操作して、そのハンガー本体板(25)の背後面へ密着するほぼ垂直な姿勢状態に引き起すことにより、上記ハンガー本体板(25)の係止フック(26)をバケット(B)の開口縁部(12)へ、係脱自在に係止させ得るように定めたことを特徴とする請求項1記載の架空配電線の絶縁保護管用ハンガー。
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