JP2004241812A - パケット交換網の高負荷判定方法及びその装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】高負荷判定装置1は、入力部11が所定期間にわたり平均負荷量と品質を複数回測定し、分布推定部13が負荷量と品質の関係を表す関係式と平均負荷量と品質とから平均負荷量と平均負荷量より高い設定負荷量ρmaxと平均負荷量より低い設定負荷量ρminのそれぞれに対して確率分布に基づく頻度を推定し、分布の重畳部14が所定期間内の複数の平均負荷量及び品質に対して求められた平均負荷量、設定負荷量ρmax及び設定負荷量ρminの頻度を負荷量に対して予め設定されたデータ区間毎に重畳し、所定期間内のデータ区間毎の頻度分布を算出し、負荷量区間毎の頻度分布から前記関係式に基づいて所定期間内の品質の度数分布を算出し、劣化時間率算出部15と高負荷判定部16が連携して所定期間内の品質の度数分布から所定期間内に高負荷が発生したか否かを判定する。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インターネット等のパケット交換網を使用したコンテンツ配信等のサービスにおけるネットワークおよびサーバ等を管理する技術に関するものであり、特に、パケット交換網の負荷状況を判定する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、インターネットなどのパケット交換網を介してユーザにコンテンツ提供サービスを行うサービス提供者は、提供するサービスがユーザの満足が得られる品質で提供されているか否かを確認するため、パケット交換網のリソースに対する負荷状況を監視している。従来、このような負荷状況の監視は、管理対象のパケット交換網に回線負荷の計測装置を設置して行うことが一般的であった。しかしながら、この方法は設備費用がかかるため、これに代わるものとしてパケット交換網のノードを構成するルータやスイッチなどからMIB(Management Information Base)情報を取得し、パケット交換網のリソースに対する負荷状況を監視する方法が提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
【非特許文献1】
千葉、徳久、能上、阿部,「MIB情報による管理対象ネットワーク内ボトルネック判定の一方法」,2002年電子情報通信学会通信ソサイエティ大会,B−7−71,p231
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、MIB情報によって得られる情報は測定期間中の平均値であるため、短時間の品質劣化を見逃す可能性があった。例えば、音声や映像などのコンテンツを配信する場合、声や映像が途切れないようにするためには数ミリ秒〜数秒の短時間のトラヒック変動を検出できなければならないが、従来のMIB情報測定による情報収集間隔は数分〜数時間ごとであるため、このような短時間のトラヒック変動による品質劣化を検出することはできなかった。
【0005】
この問題を解決しようとして、MIB情報を短時間間隔で取得しようとすると、MIB情報取得のために管理対象リソースへのポーリングパケットを短時間間隔で送出することになりネットワーク負荷が増加するという問題や、ポーリングパケットを受け取ったリソースがそれに応答してMIB値を回答する処理が増加するという問題が生じる。また、前回のポーリングで得られた値との差分で測定項目を算出しているMIB情報では短時間間隔で測定を行うと、MIB値を運ぶパケットがネットワークの負荷状態によって損失したり、転送完了にかかる時間が揺らいだりするために起きる誤差が無視できなくなり精度が悪くなるという問題が生じる。このため、短時間間隔でのMIB情報測定は現実的な解決策とはならない。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、短時間間隔でのデータ取得を行うことなく短時間品質劣化を見逃さずにパケット交換網の高負荷判定が可能な方法および装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、本発明の高負荷判定方法は、パケット交換網のノードにおける測定期間ごとの平均負荷量と品質とに基づいて、測定期間より短い期間における高負荷発生の有無を判定するパケット交換網の高負荷判定方法であって、所定期間にわたり、ノードにおける平均負荷量と品質とを複数回測定するステップと、ノードにおける負荷量と品質との関係を表す関係式と平均負荷量と品質とから平均負荷量と平均負荷量より高い第1の設定負荷量と平均負荷量より低い第2の設定負荷量のそれぞれに対して確率分布に基づく頻度を推定するステップと、所定期間内における複数の平均負荷量および品質に対して求められた平均負荷量、第1の設定負荷量および第2の設定負荷量の頻度を負荷量に対してあらかじめ設定された負荷量区間ごとに重畳し、所定期間内における負荷量区間ごとの頻度分布を算出するステップと、負荷量区間ごとの頻度分布から前記関係式に基づいて所定期間内の品質の度数分布を算出するステップと、所定期間内の品質の度数分布から所定期間内に高負荷が発生したか否かを判定するステップとを有することによって特徴づけられる。
【0007】
この場合、前記関係式の一例は、ノードでの処理過程を待ち行列モデルでモデル化したものである。また、前記関係式の別の例は、事前に得られる品質および負荷量に関するデータを基に回帰分析を行って得られた回帰曲線を表すものである。確率分布に基づく頻度を推定するステップは、推定された頻度が0以上1以下の範囲にない場合、あらかじめ設定された頻度に置き換える。第1の設定負荷量として品質劣化が所定の許容限界値となる負荷量を設定し、第2の設定負荷量として前記品質劣化が生じない負荷量を設定する。所定期間内に高負荷が発生したか否かを判定するステップの一例は、所定期間内の品質の度数分布からあらかじめ設定された品質目標値より品質が劣化する時間割合を算出するステップと、前記時間割合をあらかじめ設定された閾値と比較し高負荷か否かを判定するステップとからなる。
【0008】
本発明の高負荷判定装置は、パケット交換網のノードにおける測定期間ごとの平均負荷量と品質とに基づいて、測定期間より短い期間における高負荷発生の有無を判定するパケット交換網の高負荷判定装置であって、所定期間にわたり、ノードにおける平均負荷量と品質とを複数回測定する手段と、ノードにおける負荷量と品質との関係を表す関係式と平均負荷量と品質とから平均負荷量と平均負荷量より高い第1の設定負荷量と平均負荷量より低い第2の設定負荷量のそれぞれに対して確率分布に基づく頻度を推定する手段と、所定期間内における複数の平均負荷量および品質に対して求められた平均負荷量、第1の設定負荷量および第2の設定負荷量の頻度を負荷量に対してあらかじめ設定された負荷量区間ごとに重畳し、所定期間内における負荷量区間ごとの頻度分布を算出する手段と、負荷量区間ごとの頻度分布から前記関係式に基づいて所定期間内の品質の度数分布を算出する手段と、所定期間内の品質の度数分布から所定期間内に高負荷が発生したか否かを判定する手段とを有することによって特徴づけられる。
【0009】
この場合、前記関係式の一例は、ノードでの処理過程を待ち行列モデルでモデル化したものである。また、前記関係式の別の例は、事前に得られる品質および負荷量に関するデータを基に回帰分析を行って得られた回帰曲線を表すものである。確率分布に基づく頻度を推定する手段は、推定された頻度が0以上1以下の範囲にない場合、あらかじめ設定された頻度に置き換える。所定期間内に高負荷が発生したか否かを判定する手段の一構成例は、所定期間内の品質の度数分布からあらかじめ設定された品質目標値より品質が劣化する時間割合を算出する手段と、前記時間割合をあらかじめ設定された閾値と比較し高負荷か否かを判定する手段とからなる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に図を用いて発明の実施の形態を説明する。
図1は、本実施の形態にかかる高負荷判定装置を用いたパケット交換網の高負荷判定システムの一構成例を示す概念図である。同図において、高負荷判定装置1は、管理対象のパケット交換網2のノードを構成する複数のルータ3からそれぞれ所定の通信網を介してMIB(Management Information Base)情報を収集するように構成されている。この場合、パケット交換網2は、複数のIP(internet protocol)ルータ3とこれらを接続するリンクとからなるIP網である。
【0011】
このような構成において、本実施の形態にかかる高負荷判定装置1は、例えば1日〜数週間程度の所定期間、SNMP(Simple Network Management Protocol)によりルータ3からMIBに格納された5分〜1時間程度の測定期間の平均負荷量と品質のデータを含む測定データ4を収集することにより、数ミリ秒〜数秒程度の短時間内で品質の劣化が生じるような高負荷が発生したか否かを判定するものである。ここで、「品質の劣化」とは管理対象のパケット交換網2を介して提供されるサービスにユーザにとって許容できない時間の中断や遅延が生じる状態をいい、この状態が生じる負荷量を高負荷と定義する。
【0012】
図2は、本実施の形態にかかる高負荷判定装置の機能構成を示すブロック図である。図2に示すように、この高負荷判定装置1は、入力部11、条件設定部12、分布推定部13、分布の重畳部14、劣化時間率算出部15および高負荷判定部16を有する。
【0013】
入力部11は、所定期間中、所定の時間間隔でルータ3から測定期間内の平均負荷量ρiと品質Liのデータを収集し、分布推定部13に入力する機能を有する。ここで、ρiとLiは、それぞれ所定期間中におけるi番目の測定期間の平均負荷量と品質の測定値を示し、i=1〜n(nは測定回数を示す自然数)である。この入力部11はSNMP(Simple Network Management Protocol)によりルータ3からMIBに格納された測定データ4を収集することにより、所定期間にわたり、ノードにおける平均負荷量と品質とを複数回測定する手段として作用する。本実施の形態では平均負荷量ρiのデータとして回線使用率を、品質Liのデータとしてパケット損失率を用いた場合を例にして説明する。
【0014】
条件設定部12は、後述する分布推定に使用する関数データ5および設定負荷量データ6を設定する機能と、設定されたこれらのデータを分布推定部13に入力する機能とを有する。この場合、関数データ5は、パケット交換網2のルータ3における数ミリ秒〜数秒程度の短時間内での負荷量と品質との関係を表す関係式であり、負荷量をρ、品質をLとしたときに、L=F(ρ)で表される。
【0015】
この関数データ5には、ルータ3での処理過程を、例えばM/M/1/Kなどの待ち行列モデルでモデル化して求めた関係式を用いてもよいし、あらかじめ短時間内での負荷量と品質を測定する測定装置(図示せず)を用いて測定しておいたルータ3における負荷量と品質に関するデータを基に回帰分析を行って得られた回帰曲線を表す関係式を用いてもよい。このようにして求めた関係式の示すグラフを図3に示す。図3は、負荷量と品質との関係を表す関係式の示すグラフであり、負荷量ρを表す指標を回線使用率とし、品質Lを表す指標をパケット損失率としたときの関数Fを示す。
【0016】
設定負荷量データ6は、あらかじめ定めた許容値以上の品質劣化が発生する平均負荷量より高い第1の設定負荷量ρmaxと、品質劣化の発生しない平均負荷量より低い第2の設定負荷量ρminとからなる設定値であり、あらかじめ、短時間内での負荷量と品質を測定する測定装置を用いて測定しておいたルータ3における負荷量と品質に関するデータに基づいて設定する。これらの関数データ5や設定負荷量データ6は、図示しない入力手段を介して条件設定部12に入力される。この場合の入力手段は、キーボードなどのマン・マシンインタフェースでもよいし、短時間内での負荷量と品質を測定する測定装置と接続して当該装置の出力するデータを受信し、条件設定部12へ受信したデータを入力する通信インタフェースでもよい。
【0017】
分布推定部13は、条件設定部12から入力された設定負荷量データ6、すなわちρmax,ρminおよび短時間内での負荷量ρaverageと、それらの確率分布を表す確率分布モデルを仮定して、関数データ5(F)を考慮した、ρmin,ρaverage,ρmaxに対する確率分布α,β,γと、実測された平均負荷量ρiと品質Liとの関係を表す関係モデルに入力部11から入力された測定データ(ρi,Li)を代入してこの測定データから推定された分布形のパラメータ(αi,βi,γi)を算出する機能を有する。ここで、分布推定部13はノードにおける負荷量と品質との関係を表す関係式Fと平均負荷量と品質とから平均負荷量と平均負荷量より高い第1の設定負荷量と平均負荷量より低い第2の設定負荷量のそれぞれに対して確率分布に基づく頻度を推定する手段として作用する。
【0018】
ここで、上記確率分布モデルの例を図4に示す。ρmin,ρaverage,ρmaxに対する頻度(確率分布)α,β,γは、α+β+γ=1を満たすものである。このような確率分布モデルを仮定すると、所定期間におけるi番目の測定期間での測定データ(ρi,Li)と、品質劣化の発生しない第2の設定負荷量ρminの頻度αiと、平均負荷量ρiの頻度βiと、あらかじめ定めた許容値以上の品質劣化が発生する第1の設定負荷量ρmaxの頻度γiとの関係は、以下に示す式(1)で表される。
【0019】
【数1】
【0020】
式(1)において、ρiは入力部11から入力されたルータ3のi番目の測定期間内の平均負荷量であり回線使用率を示す。Liは入力部11から入力されたルータ3のi番目の測定期間内の品質でありパケット損失率を示す。また、F(ρmax)は設定負荷量ρmaxにおける品質(パケット損失率)、F(ρmin)は設定負荷量ρminにおける品質(パケット損失率)、F(ρi)は平均負荷量ρiにおける品質(パケット損失率)である。
【0021】
したがって、分布推定部13は、式(1)に入力部11から入力されたρiとLiを代入して式(1)を解き、頻度αi,βi,γiを算出する。この場合、頻度αi,βi,γiは局所的な変動を示す。分布推定部13は、算出したαi,βi,γiについて、それぞれ0以上1以下の範囲にあるか否か確認し、否のときはαi=0、βi=1、γi=0とするか、あるいはあらかじめ設定した値a,b,cに置き換え、αi=a、βi=b、γi=cとする。これらa,b,cは、相対度数設定データ7として図示しない入力手段を介して分布推定部13にデータ設定される。入力手段としては、例えばキーボードなどのマン・マシンインタフェースを用いることができる。この場合、a,b,cは、それぞれ0以上1以下の実数であり、かつa+b+c=1である。この分布推定部13は、測定された平均負荷量ρi及び品質Liと算出した頻度αi,βi,γiを分布の重畳部14へ入力する。
【0022】
この分布推定部13は、入力部11から入力された測定値(ρi,Li)に対して、平均負荷量ρiを測定期間内で図4に示すような短時間内での負荷量ρの確率分布モデルに従って変動する確率変数、品質Liを関数データ5の関数FによりL=F(ρ)で与えられる確率変数とみなし、測定値(ρi,Li)がLi=(ρi)を満たさない状態を、前記確率分布モデル(図4)を用いることにより、測定期間内の平均値に対しては(Lの平均)=F((ρの平均))となるように、推定している。
【0023】
分布の重畳部14は、所定期間内における複数の平均負荷量(ρ1〜ρn)および品質(L1〜Ln)に対して求められた品質劣化の発生しない第2の設定負荷量ρmin、平均負荷量ρiおよびあらかじめ定めた許容値以上の品質劣化が発生する第1の設定負荷量ρmaxの頻度(αi,βi,γi)を負荷量に対してあらかじめ設定された負荷量区間ごとに重畳し、所定期間内における負荷量区間ごとの頻度分布を算出する手段として作用する。
【0024】
この場合、分布の重畳部14は、図5に示すように、負荷量ρの分布をあらかじめ指定されたデータ区間(D1〜Dm、mは自然数)での相対度数分布とし、各測定値の相対度数分布をデータ区間ごとに重畳し、図6に示すような負荷量ρの重畳分布を求める。ここで、データ区間D1はρminを含むように指定され、データ区間Dmはρmaxを含むように指定される。このデータ区間(D1〜Dm)は、図示しない入力手段を介して分布の重畳部14にデータ設定される。入力手段としては、例えばキーボードなどのマン・マシンインタフェースを用いることができる。なお、各データ区間の区間幅は等幅であってもよいし、異なる幅であってもよい。
【0025】
図6の重畳分布を求めるための計算は、以下の各データ区間の負荷量の相対度数を求める計算式により行う。すなわち、ρminを含むデータ区間[D1]については式(2)により、ρmaxを含むデータ区間[Dm]については式(3)により、その他のデータ区間[D2〜D(m−1)]については式(4)により求める。なお、式(2)〜式(4)において、jは所定期間におけるj番目の測定期間を示し、j=1〜nである。ここで、nは所定期間における測定回数である。
【0026】
【数2】
【0027】
【数3】
【0028】
【数4】
【0029】
また、分布の重畳部14は、負荷量区間ごとの頻度分布からノードにおける負荷量と品質との関係を表す関係式に基づいて所定期間内の品質の度数分布を算出する手段として作用する。この場合、分布の重畳部14は、負荷量ρの重畳分布を求めた後、負荷量ρの重畳分布に基づいて品質Lの重畳分布を求める。分布の重畳部14は、各データ区間の負荷量ρの重畳分布に基づいて、前述した負荷量ρと品質Lの関係式L=F(ρ)により各データ区間の負荷量ρjをそれぞれ品質F(ρj)に変換し、対応するデータ区間の相対度数と関連づけることにより、図7に示すような所定期間内の品質の度数分布を示す品質分布G(x)を得、この品質分布G(x)を劣化時間率算出部15へ入力する。
【0030】
劣化時間率算出部15は、所定期間内の品質の度数分布からあらかじめ設定された品質目標値より品質が劣化する時間割合を算出する手段として作用する。この場合、劣化時間率算出部15は、分布推定部13で得られた品質分布G(x)の相対度数の総数に対する、あらかじめ設定した劣化時間率閾値データ9(閾値B)を超過した品質の相対度数の割合を劣化時間率Tとして算出し、高負荷判定部16に出力する。
【0031】
ここで、閾値Bは劣化時間率判定の基準値であり、図示しない入力手段を介して劣化時間率算出部15にデータ設定される。入力手段としては、例えばキーボードなどのマン・マシンインタフェースを用いることができる。本実施の形態において、品質はパケット損失率であるから、閾値Bはパケット損失率の許容値として示される。すなわち、劣化時間率算出部15は、総測定数に対するパケット損失率が許容値(閾値B)を超えた測定数の割合を劣化時間率Tとして出力する。図7のグラフの斜線部分がこのパケット損失率が許容値(閾値B)を超えた測定数に相当する。
【0032】
高負荷判定部16は、品質が劣化する時間割合をあらかじめ設定された閾値と比較し高負荷か否かを判定する手段として作用する。この場合、高負荷判定部16は、劣化時間率算出部15から入力された劣化時間率Tをあらかじめ設定された負荷判定閾値データ10(閾値A)と比較し、ルータ3に加わる負荷が高負荷か否かを判定する。ここで、閾値Aは高負荷判定の基準値であり、図示しない入力手段を介して高負荷判定部16にデータ設定される。入力手段としては、例えばキーボードなどのマン・マシンインタフェースを用いることができる。この高負荷判定部16は、判定結果を判定結果データ17として表示装置(図示せず)に出力する。
【0033】
次に、本実施の形態にかかる高負荷判定装置を用いた高負荷判定方法について図2と図8を参照して説明する。図8は、本実施の形態にかかる高負荷判定装置を用いたパケット交換網の高負荷判定方法を説明するフローチャートである。この場合、測定対象のパケット交換網2と、MIB情報を収集する1つ以上のルータ3はあらかじめ決められており、本実施の形態にかかる高負荷判定装置1は測定対象のパケット交換網2に接続されてこれらのルータ3からSNMPによりMIB情報を収集するものとする。
【0034】
高負荷判定を行うのに際し、最初に高負荷判定装置に判定条件を設定する(ステップS01)。ここで設定する判定条件は、分布推定部13に入力する相対度数設定データ7、分布の重畳部14に入力するデータ区間設定データ8、劣化時間率算出部15に入力する劣化時間率閾値データ9(閾値B)および高負荷判定部16に入力する負荷判定閾値データ10(閾値A)である。
【0035】
次に、条件設定部12において分布推定に使用する関数データ5(関数F)を設定する(ステップS02)。ここで設定する関数データ5は、パケット交換網2のルータ3における数ミリ秒〜数秒程度の短時間内での負荷量と品質との関係を表す関係式であり、負荷量を表す指標をρ、品質を表す指標をLとしたときに、L=F(ρ)として表される。
【0036】
続いて、条件設定部12において分布推定に使用する設定負荷量データ6を設定する(ステップS03)。ここで設定する設定負荷量データ6は、あらかじめ定めた許容値以上の品質劣化が発生する設定負荷量ρmaxと、品質劣化の発生しない設定負荷量ρminとからなる設定値であり、あらかじめ短時間内での回線使用率とパケット損失率とを測定する測定装置(図示せず)を用いて測定しておいたルータ3における回線使用率とパケット損失率に関するデータに基づいて設定する。
【0037】
次に、条件設定部12に設定された関数データ5と設定負荷量データ6とを分布推定部13に入力し、負荷量ρの分布モデルを生成する(ステップS04)。ここでは、前述した式(1)で表される分布モデルが生成される。次に、分布推定部13が入力部11から入力される測定データ4に基づいて短時間内の負荷量ρの確率分布を推定する(ステップS05)。ここで、短時間内の負荷量ρの確率分布の推定は、式(1)のρiとLiに測定データ4の回線使用率とパケット損失率を代入してステップS04で生成した分布モデルのパラメータαi,βi,γiを算出することにより行う。
【0038】
分布推定部13は、所定期間中に測定された測定データ4について、ステップS05を繰り返し行い、測定データ4ごとに短時間内の負荷量ρの確率分布データを生成する。この場合、測定データ4は、5分〜1時間程度のあらかじめ定められた測定期間で測定されたものが1日〜数週間程度のあらかじめ定められた所定期間に渡って入力される。所定期間が終了した後(ステップS07−Yes)、分布推定部13は測定データ4ごとに求めた短時間内の負荷量ρの確率分布データを全て重畳し、所定期間内の負荷量ρの頻度分布を算出する(ステップS07)。所定期間内の負荷量ρの頻度分布算出は、図5と図6で示したように、所定期間中に測定した測定データごとにステップS01で設定されたデータ区間設定データ8で指定されるデータ区間(D1〜Dm)にρmax、ρminおよびρiを配置した後、前述した式(2)〜式(4)により、これらの測定データをデータ区間ごとに重畳することにより行う。
【0039】
次に、分布推定部13は、所定期間内の負荷量ρの頻度分布に基づいて、所定期間内の品質Lの度数分布を算出する(ステップS08)。所定期間内の品質Lの度数分布算出は、前述したように、負荷量ρと品質Lの関係式L=F(ρ)により各データ区間の負荷量ρjをそれぞれ品質F(ρj)に変換し、対応するデータ区間の相対度数と関連づけることにより行う。
【0040】
次に、劣化時間率算出部15が分布推定部13の算出した所定期間内の品質Lの度数分布に基づいて、所定期間内の品質Lの劣化時間率Tを算出する(ステップS09)。所定期間内の品質Lの劣化時間率算出は、前述したように、品質分布G(x)の相対度数の総数に対する、あらかじめ設定した劣化時間率閾値データ9(閾値B)を超過した品質の相対度数の割合を算出することにより行う。
【0041】
次に、高負荷判定部16が劣化時間率算出部15の算出した所定期間内の品質Lの劣化時間率Tに基づいて、パケット通信網が高負荷か否かを判定する(ステップS10)。この場合、高負荷判定部16は劣化時間率Tをあらかじめ設定された負荷判定閾値データ10(閾値A)と比較し、劣化時間率Tが閾値Aを超えた場合に高負荷と判定する。判定結果は、高負荷判定装置1の表示装置(図示せず)に表示する。
【0042】
次に、本実施の形態にかかる高負荷判定装置1の実現手段について説明する。本実施の形態にかかる高負荷判定装置1は、コンピュータで実現することができる。このコンピュータは、CPUと、ROM(リードオンリーメモリ)と、RAM(ランダムアクセスメモリ)と、フレキシブルディスク装置等の補助記憶装置と、ハードディスク装置等の大容量の外部記憶装置と、ルータ3との間のインタフェース装置といった構成を有している。
【0043】
コンピュータを高負荷判定装置1として機能させるためのプログラムは、フレキシブルディスク、CD−ROM、メモリカード等の記録媒体に記録された状態で提供される。この記録媒体をコンピュータの補助記憶装置に挿入すると、媒体に記録されたプログラムが読み取られる。そして、CPUは、読み込んだプログラムをRAMあるいは外部記憶装置に書き込み、このプログラムに従って上記実施の形態で説明したような処理を実行する。これにより高負荷判定装置1が実現される。
【0044】
本実施の形態によれば、所定期間(1日〜数週間)にわたって数分〜数時間の測定期間ごとにMIB情報を収集することにより、短時間(数mSから数秒間)の品質劣化を見逃すことなく負荷判定を行うことが可能となる。これにより、音声や映像の配信のような短時間の品質劣化検出を必要とするコンテンツ配信サービスにおいても、低コストでサービス品質の向上を図ることが可能となる。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、比較的容易に収集可能なMIB情報の長時間間隔測定のみで短時間の品質劣化を見逃さずにパケット交換網のリソースの高負荷判定が可能となる。これにより、短時間の品質劣化検出を必要とするサービスにおいてもパケット交換網に計測装置を設置することなく高負荷検出を行うことが可能となるため、大規模なネットワークを介して提供されるサービスの品質管理コストを大幅に低減する効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態にかかる高負荷判定装置を用いたパケット交換網の高負荷判定システムの一構成例を示す概念図である。
【図2】本実施の形態にかかる高負荷判定装置の機能構成を示すブロック図である。
【図3】負荷量と品質との関係を表す関係式の示すグラフである。
【図4】短時間内での負荷量の確率分布モデルを示すグラフである。
【図5】各測定期間での負荷量の頻度分布の一例を示すグラフである。
【図6】所定期間内の負荷量の頻度分布を示すグラフである。
【図7】所定期間内の品質の度数分布を示すグラフである。
【図8】本実施の形態にかかる高負荷判定装置を用いたパケット交換網の高負荷判定方法を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1…高負荷判定装置、2…パケット交換網、3…ルータ、4…測定データ、5…関数設定データ、6…設定負荷量データ、7…相対度数設定データ、8…データ区間設定データ、9…劣化時間率閾値データ(閾値B)、10…負荷判定閾値データ(閾値A)、11…入力部、12…条件設定部、13…分布推定部、14…分布の重畳部、15…劣化時間率算出部、16…高負荷判定部、17…判定結果データ。
Claims (11)
- パケット交換網のノードにおける測定期間ごとの平均負荷量と品質とに基づいて、前記測定期間より短い期間における高負荷発生の有無を判定するパケット交換網の高負荷判定方法であって、
所定期間にわたり、前記ノードにおける平均負荷量と品質とを複数回測定するステップと、
前記ノードにおける負荷量と品質との関係を表す関係式と前記平均負荷量と前記品質とから平均負荷量と前記平均負荷量より高い第1の設定負荷量と前記平均負荷量より低い第2の設定負荷量のそれぞれに対して確率分布に基づく頻度を推定するステップと、
前記所定期間内における複数の平均負荷量および品質に対して求められた平均負荷量、前記第1の設定負荷量および前記第2の設定負荷量の頻度を負荷量に対してあらかじめ設定された負荷量区間ごとに重畳し、前記所定期間内における前記負荷量区間ごとの頻度分布を算出するステップと、
前記負荷量区間ごとの頻度分布から前記関係式に基づいて前記所定期間内の品質の度数分布を算出するステップと、
前記所定期間内の品質の度数分布から前記所定期間内に高負荷が発生したか否かを判定するステップと
を有することを特徴とするパケット交換網の高負荷判定方法。 - 請求項1記載のパケット交換網の高負荷判定方法において、
前記関係式は、
前記ノードでの処理過程を待ち行列モデルでモデル化したものである
ことを特徴とするパケット交換網の高負荷判定方法。 - 請求項1記載のパケット交換網の高負荷判定方法において、
前記関係式は、
事前に得られる品質および負荷量に関するデータを基に回帰分析を行って得られた回帰曲線を表すものである
ことを特徴とするパケット交換網の高負荷判定方法。 - 請求項1記載のパケット交換網の高負荷判定方法において、
前記確率分布に基づく頻度を推定するステップは、
推定された頻度が0以上1以下の範囲にない場合、あらかじめ設定された頻度に置き換える
ことを特徴とするパケット交換網の高負荷判定方法。 - 請求項1記載のパケット交換網の高負荷判定方法において、
前記第1の設定負荷量として品質劣化が所定の許容限界値となる負荷量を設定し、
前記第2の設定負荷量として前記品質劣化が生じない負荷量を設定する
ことを特徴とするパケット交換網の高負荷判定方法。 - 請求項1記載のパケット交換網の高負荷判定方法において、
前記所定期間内に高負荷が発生したか否かを判定するステップは、
前記所定期間内の品質の度数分布からあらかじめ設定された品質目標値より品質が劣化する時間割合を算出するステップと、
前記時間割合をあらかじめ設定された閾値と比較し高負荷か否かを判定するステップと
からなることを特徴とするパケット交換網の高負荷判定方法。 - パケット交換網のノードにおける測定期間ごとの平均負荷量と品質とに基づいて、前記測定期間より短い期間における高負荷発生の有無を判定するパケット交換網の高負荷判定装置であって、
所定期間にわたり、前記ノードにおける平均負荷量と品質とを複数回測定する手段と、
前記ノードにおける負荷量と品質との関係を表す関係式と前記平均負荷量と前記品質とから平均負荷量と前記平均負荷量より高い第1の設定負荷量と前記平均負荷量より低い第2の設定負荷量のそれぞれに対して確率分布に基づく頻度を推定する手段と、
前記所定期間内における複数の平均負荷量および品質に対して求められた平均負荷量、前記第1の設定負荷量および前記第2の設定負荷量の頻度を負荷量に対してあらかじめ設定された負荷量区間ごとに重畳し、前記所定期間内における前記負荷量区間ごとの頻度分布を算出する手段と、
前記負荷量区間ごとの頻度分布から前記関係式に基づいて前記所定期間内の品質の度数分布を算出する手段と、
前記所定期間内の品質の度数分布から前記所定期間内に高負荷が発生したか否かを判定する手段と
を有することを特徴とするパケット交換網の高負荷判定装置。 - 請求項7記載の高負荷判定装置において、
前記関係式は、
前記ノードでの処理過程を待ち行列モデルでモデル化したものである
ことを特徴とするパケット交換網の高負荷判定装置。 - 請求項7記載の高負荷判定装置において、
前記関係式は、
事前に得られる品質および負荷量に関するデータを基に回帰分析を行って得られた回帰曲線を表すものである
ことを特徴とするパケット交換網の高負荷判定装置。 - 請求項7記載の高負荷判定装置において、
前記確率分布に基づく頻度を推定する手段は、
推定された頻度が0以上1以下の範囲にない場合、あらかじめ設定された頻度に置き換える
ことを特徴とするパケット交換網の高負荷判定装置。 - 請求項7記載の高負荷判定装置において、
前記所定期間内に高負荷が発生したか否かを判定する手段は、
前記所定期間内の品質の度数分布からあらかじめ設定された品質目標値より品質が劣化する時間割合を算出する手段と、
前記時間割合をあらかじめ設定された閾値と比較し高負荷か否かを判定する手段と
からなることを特徴とするパケット交換網の高負荷判定装置。
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