JP2004240736A - エネルギー需要の価格感度の分析装置及びそのプログラム - Google Patents

エネルギー需要の価格感度の分析装置及びそのプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】コンジョイント分析を活用して、過去に無い料金水準における価格感度の分析や消費者ターゲットを絞った価格感度の分析が可能なエネルギー需要の価格感度の分析装置を提供する。
【解決手段】少なくともエネルギー消費機器に対するエネルギー価格が属性レベルとして設定され、前記属性レベルとはトレードオフの関係を有する他の属性レベルを含むプロファイルに対する被験者からの反応データに基づいて各属性レベルの効用値を演算導出するコンジョイント分析手段1と、被験者毎のコンジョイント分析で得られた任意の属性レベルに対する効用値などに基づいてエネルギー価格の変動に対するエネルギー需要量の変動をシミュレートする第二分析手段2と、その結果に基づいてエネルギー消費者集団のエネルギー価格に対する需要変化を推定演算する第三分析手段3とを備えて構成する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスや電力などに関するエネルギー需要の価格感度の分析装置及びそのプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、エネルギー需要の価格感度の分析装置として、データベースに格納された家庭用のエネルギー需要全体などのマクロな観点で収集された過去の時系列実績データに基づいて、価格と需要量の相関関係から価格感度を分析する方法などがあった。
【0003】
【非特許文献1】
村越千春「東京都における家庭用都市ガスの価格弾性値の分析」第12回エネルギーシステム・経済コンファレンス公演論文集、1996年2月、P99−104
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した従来の分析装置によれば、過去の時系列のマクロデータによる分析となり、エネルギー価格感度の全体的な傾向を知るには有効な手法であるが、主として過去に変化のあった価格範囲内でのマクロな分析となるため、新料金体系など過去に無い料金水準における価格感度の分析や、特定機器所有者やエネルギー使用量の大小など注目したい任意の消費者にターゲットを絞った価格感度の分析目的には適さない面もあり、これらの詳細なニーズに応えるためには別の観点からのアプローチが必要であった。
【0005】
一方、マーケティングサイエンスの分野では、車や家電製品などの一般消費財の新製品を市場投入する際に、製品仕様や価格設定を検討するための消費者意識調査方法として、多くの要因の組み合わせから構成される商品などの好き嫌いの程度が順序関係で与えられたときに、個々の要因の効果及びその同時結合尺度を同時に推定するコンジョイント分析方法が使用されていたが、これは個別の消費財に対する分析方法であり、エネルギーのようなストック財に対する利用料金を対象とするものではなくその活用は容易ではなかった。
【0006】
本発明は上述した従来の問題点に鑑みてなされたものであり、コンジョイント分析を活用して、過去に無い料金水準における価格感度の分析や消費者ターゲットを絞った価格感度の分析が可能なエネルギー需要の価格感度の分析装置及びそのプログラムを提供する点にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、本発明によるエネルギー需要の価格感度の分析装置の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項1に記載した通り、少なくともエネルギー消費機器に対するエネルギー価格が属性レベルとして設定され、前記属性レベルとはトレードオフの関係を有する他の属性レベルを含むプロファイルに対する被験者からの反応データに基づいて各属性レベルの効用値を演算導出するコンジョイント分析手段と、前記コンジョイント分析手段による被験者毎のコンジョイント分析で得られた任意の属性レベルに対する効用値に基づいてエネルギー価格の変動に対する他の属性の効用値を演算導出するとともに、演算導出された効用値に基づいてエネルギー価格の変動に対するエネルギー需要量の変動をシミュレートする第二分析手段と、前記第二分析手段による被験者毎のシミュレート結果に基づいてエネルギー消費者集団のエネルギー価格に対する需要変化を推定演算する第三分析手段と、を備えて構成してある点にある。
【0008】
コンジョイント分析手段により演算導出された属性レベルの効用値、例えば、任意のエネルギー価格の好適度を示す数値データに基づいて、第二分析手段が被験者毎にエネルギー価格が現状から変化した場合のエネルギー需要量の変動をシミュレートし、第三分析手段がその結果に基づいてエネルギー消費者集団全体のエネルギー価格に対する需要変化を推定演算することで、過去に無い料金水準における価格感度の分析が可能となるのである。
【0009】
同第二から第四の特徴構成は、同欄請求項2から4に記載した通り、上述の第一の特徴構成に加えて、前記プロファイルは、エネルギー消費機器に対するエネルギー価格と機器使用頻度を属性レベルとする第一プロファイルと、エネルギー種別の異なるエネルギー消費機器とそれらに対するエネルギー価格を属性レベルとする第二プロファイルと、エネルギー消費機器に対するエネルギー価格と機器と機器価格とを属性レベルとする第三プロファイルの何れか一つまたは全てを備えている点にある。
【0010】
第一プロファイルによる場合には、エネルギー価格が変動した場合の消費者のエネルギー節約傾向や使用促進傾向をエネルギー消費機器の使用頻度(時間や回数)の変動により、エネルギー価格に対する需要変化が分析でき、第二プロファイルによる場合には、例えばガスファンヒータと電気エアコンなど種別の異なるエネルギーを使用する機器の併用状態における使用配分率が、エネルギー価格が変動することによりどのように変化するかにより、エネルギー価格に対する需要変化が分析でき、第三プロファイルによる場合には、エネルギー価格の変動によるエネルギー消費機器の購入選択の行動変化により、エネルギー価格に対する需要変化が推定できるのである。つまり、エネルギー消費活動につながる機器使用、種別の異なるエネルギーの機器併用、機器購入の三大要素について分析が可能となるのであり、少なくともこれらの一プロファイルを備えることにより好適な分析が可能となるのである。
【0011】
同第五の特徴構成は、同欄請求項5に記載した通り、上述した第二の特徴構成に加えて、前記第二分析手段は、前記第一プロファイルにおいて、現在エネルギー価格に対する価格効用値と使用頻度効用値の所定の関係に基づいて異なる価格効用値に対する使用頻度効用値を導出する演算手段を備えている点にある。
【0012】
エネルギー価格と使用頻度の効用値の関係は一般に明らかではないが、エネルギー価格が変動したときの使用頻度の効用値を、所定の関係に基づいて求めることにより、以降の分析結果と現実との整合性が確保できることが見出されたのである。ここで、所定の関係とは、現在エネルギー価格に対する価格効用値と価格変動したときの価格効用値の差と使用頻度効用値の差が等しい関係や、現在エネルギー価格に対する価格効用値とその使用頻度効用値の比が一定であるといった関係をいい、価格効用値の変動と使用頻度効用値の変動との一定の相関関係をいう。
【0013】
同第六の特徴構成は、同欄請求項6に記載した通り、上述した第一から第五のいずれかの特徴構成に加えて、前記第三分析手段は、前記第二分析手段により得られた被験者毎のエネルギー需要量の変動を被験者の特性に応じて重み付け補正する補正手段を備えてある点にある。
【0014】
エネルギー消費者集団全体のエネルギー価格変動に対する需要変化を分析するに際して、被験者の特性が標準的な特性とずれている場合には分析結果に偏りが生じる虞がある。そこで、補正手段により被験者の特性に応じて重み付け補正することにより正確な需要変化の分析が可能となるのである。
【0015】
本発明によるエネルギー需要の価格感度の分析プログラムの特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項7に記載した通り、コンピュータを、少なくともエネルギー消費機器に対するエネルギー価格が属性レベルとして設定され、前記属性レベルとはトレードオフの関係を有する他の属性レベルを含むプロファイルに対する被験者からの反応データに基づいて各属性レベルの効用値を演算導出するコンジョイント分析手段と、前記コンジョイント分析手段による被験者毎のコンジョイント分析で得られた任意の属性レベルに対する効用値に基づいてエネルギー価格の変動に対する他の属性の効用値を演算導出するとともに、演算導出された効用値に基づいてエネルギー価格の変動に対するエネルギー需要量の変動をシミュレートする第二分析手段と、前記第二分析手段による被験者毎のシミュレート結果に基づいてエネルギー消費者集団のエネルギー価格に対する需要変化を推定演算する第三分析手段と、して機能させる点にある。そして、前記プロファイルは、エネルギー消費機器に対するエネルギー価格と機器使用頻度を属性レベルとする第一プロファイルと、エネルギー種別の異なるエネルギー消費機器とそれらに対するエネルギー価格を属性レベルとする第二プロファイルと、エネルギー消費機器に対するエネルギー価格と機器と機器価格とを属性レベルとする第三プロファイルの何れか一つまたは全てを備えていることが好ましい。
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を説明する。エネルギー需要の価格感度の分析装置は、図1の機能ブロック構成図に示すように、少なくともエネルギー消費機器に対するエネルギー価格を属性レベルとし、前記属性レベルとはトレードオフの関係を有する他の属性レベルを含むプロファイルに対する被験者からの反応データに基づいて各属性レベルの効用値を導出するコンジョイント分析手段1と、前記コンジョイント分析手段1による被験者毎のコンジョイント分析で得られた任意の属性レベルに対する効用値に基づいてエネルギー価格の変動に対する他の属性の効用値をシミュレートする第二分析手段2と、前記第二分析手段2による個々のシミュレート結果に基づいてエネルギー消費者集団のエネルギー価格に対する需要変化を推定する第三分析手段3とから構成され、それぞれの機能ブロックは、コンピュータ本体4にキーボードやマウスなどの入力機器5、液晶やCRTで構成された表示機器6、データ記憶媒体であるハードディスクなどの記憶装置7が接続されたコンピュータシステム上に構成される。
【0016】
以下、前記エネルギー需要の価格感度の分析装置による分析実行を含む全体の流れを、図2に示すフローチャートに基づいて説明する。先ず、調査対象者(ここでは被験者とも表現する)を消費者全体とするのか、特定のエネルギー消費機器所有者とするのか等、目的により異なる特定の被験者集団を決定し、その中から無作為抽出などにより被験者を選定する(S1)。次に、被験者に提示されるプロファイルの属性及び属性レベルを現在の実態と調査意向範囲を勘案して決定する(S2)。
【0017】
一般消費財の場合、価格変化による消費者の製品購入選択行動の変化をコンジョイント分析することにより価格感度を分析できるが、エネルギーのようなストック財を対象とする場合には、ガスファンヒータや石油ファンヒータなど消費エネルギーを異にするエネルギー消費機器の購入選択や、購入後のエネルギー消費機器の個別の稼働率や併用の程度が、エネルギー価格により影響される重要な因子となる。
【0018】
そこで、本発明では、前記プロファイルとして、エネルギー消費機器に対するエネルギー価格と機器使用頻度を属性レベルとする第一プロファイルと、エネルギーの異なるエネルギー消費機器とそれらに対するエネルギー価格を属性レベルとする第二プロファイルと、エネルギー消費機器に対するエネルギー価格と機器と機器価格とを属性レベルとする第三プロファイルが準備され、それぞれ複数の属性レベルの組み合わせが被験者に提示されて、点数が付けられる。提示される組み合わせは、直交計画などに基づきあまり数が多くならずに各属性レベルの違いによる点数の差異が計測できる数とされる。点数の付け方として種々の組み合わせを一度に提示して、好ましさで順位付けする方法もしくは最も好ましいものを選ぶ方法でも良いが、ここでは、二組ずつ提示して、いずれがどの程度好ましいかを回答可能な一対比較様式によるものとする。尚、第一から第三プロファイルは全て備えるものとして説明するが、それらの一つまたは組み合わせによるものでもよい。
【0019】
前記第一プロファイル(以下、「機器使用時間プロファイル」とも記す。)は、表1に示すように、エネルギー消費機器に対するエネルギー価格と、エネルギー価格の変化に伴って生じるエネルギー消費機器の使用頻度、つまり、使用時間又は使用回数を属性レベルとして規定するもので、前記エネルギー価格と前記エネルギー価格の属性レベルとはトレードオフの関係を有する使用頻度としての使用時間又は使用回数(ここでは、暖房機器であるので暖房時間と記してある。)の属性レベルを二組ずつ示して、いずれがどの程度好ましいかを回答可能な一対比較様式による提示手段を介して被験者に提示する。質問の提示様式として、属性レベルの組み合わせを左右に提示し、5段階の回答選択肢を用意する場合は、最も左が好ましいと思うときは1、最も右が好ましいと思うときは5、その中間の場合は度合いに応じて2から4の数値を被験者に回答させる。例えば、エネルギー価格5円/hrと比較的安いが2hr/日しか使用できないプロファイルと、8hr/日使用できるがエネルギー価格20円/hrと高いプロファイルのうち、被験者がエネルギー価格と使用時間にどの程度の効用の高さを認識しているかが求まる。
【0020】
【表1】
Figure 2004240736
【0021】
前記第二プロファイル(以下、「機器使用配分プロファイル」とも記す。)は、表2に示すように、エネルギーの異なるエネルギー消費機器に対するエネルギー価格と、エネルギー消費機器(ここでは、使用機器と表現し、ガスファンヒータ、電気エアコン、石油ファンヒータ、などの暖房機器を属性レベルとして例示する。)を属性レベルとして規定するもので、上述と同様に、前記エネルギー価格の属性レベルとはトレードオフの関係を有する使用機器の属性レベルを二組ずつ示して、いずれがどの程度好ましいかを回答可能な一対比較様式による提示手段を介して被験者に提示する。
【0022】
【表2】
Figure 2004240736
【0023】
前記第三プロファイル(以下、「機器購入選択プロファイル」とも記す。)は、表3に示すように、エネルギー消費機器に対するエネルギー価格とエネルギー消費機器(ここでは、使用機器と表現し、ガスファンヒータ、電気エアコン、石油ファンヒータ、などの暖房機器を属性レベルとして例示する。)と機器価格とを属性レベルとして規定するもので、上述と同様に、前記エネルギー価格の属性レベルとはトレードオフの関係を有する使用機器の属性レベルを二組ずつ示して、いずれがどの程度好ましいかを回答可能な一対比較様式による提示手段を介して被験者に提示する。
【0024】
ここに、提示手段は、前記表示機器6と前記表示機器6に上述した一対比較様式による提示内容を表示処理するコンジョイント分析手段1とから構成されるものであるが、提示内容は紙などのカード媒体で構成することも可能である。
【0025】
【表3】
Figure 2004240736
【0026】
前記第二、第三プロファイルは、いずれも使用機器そのものが属性レベルとなっており、被験者の使用機器に対するイメージや経験による選り好みが測定される。
【0027】
前記コンジョイント分析手段1は、前記第一から第三プロファイルに対する被験者からの回答データが前記入力機器5を介して入力されると、その内容を前記記憶装置7に取り込み、取り込まれたデータに基づいて効用値の導出演算を実行する。詳述すると、質問Xiと回答Yiの間に〔数1〕の関係を想定して、被験者毎に効用値Uiを最小二乗法(他に、属性レベル間の効用値に単調性が規定できるときには単調回帰法が採用できる)を用いた演算処理により推定値として出力する(S3)。
【0028】
【数1】
Figure 2004240736
【0029】
ここで、エネルギー価格、使用時間などは離散値で扱われるが、エネルギー価格感度を任意の変動幅で推定する場合には、連続値で扱う必要があるので、求める属性レベルを挟み上述の方法により推定された2値の間を線形補間して効用値が求められる。
【0030】
次に、第一プロファイルに関する前記第二分析手段2、第三分析手段3の動作を説明する。前記第二分析手段2には、前記第一プロファイルにおいて所定の関係、ここでは一例として現在エネルギー価格に対する価格効用値とその使用頻度効用値の比に基づいて異なる価格効用値に対する使用頻度効用値を導出する演算手段を備えてあり、現在エネルギー価格の効用値に対する使用頻度効用値の比が一定として異なる価格効用値に対する使用頻度効用値を導出する。前記コンジョイント分析手段で、例えば、エネルギー価格p1で使用時間t1の暖房を行なっている消費者がいるとすると、図3に示すように、エネルギー価格がp1’となったときの使用時間はt1’と推定され、エネルギー価格がp1’’となったときの使用時間はt1’’と推定される。
【0031】
この関係をコンピュータで実行される演算の基礎となる数式モデルで表現する。この消費者の現状価格p1における使用時間がt1、変化後の価格がp1´、それぞれの効用値をUip1、Uit1、Uip1´としたとき、価格変化後の使用時間の効用値Uit1´は〔数2〕を満足すると仮定して、使用時間は、Uit1´に対応するt1´に変化すると推定する。
【0032】
【数2】
Uit1´= Uit1/Uip1×Uip1´
【0033】
今、単位時間当たりの暖房消費量(J/hr)をhiとすると、現状の需要量Di、需要量変化δDiは、〔数3〕で表される。ここに、暖房消費量は、測定により得られた個別の被験者の平均的な1時間の消費量、又はカタログ記載値等平均的運転環境(部屋の断熱性等)を想定した下での実験により得られた1時間あたりの消費量が採用される。
【0034】
【数3】
Figure 2004240736
【0035】
第二分析手段2は、この推計処理を被験者毎に実行して(S4)、第三分析手段3は、その結果を積み上げて全消費者の平均的な需要変化率、価格感度(価格弾性値ともいう)を推定演算して導出する(S5)。
【0036】
即ち、第三分析手段3は、需要変化率:δD/D=ΣδDi/ΣDiと、価格変化率:δP/P=(p1´−p1)/p1とを演算導出して、それらから価格感度(価格弾性値):σ=(δD/D)/(δP/P)を求めるのである。尚、需要変化が消費者タイプにより異なり、且つ、調査サンプルと市場全体の消費者タイプ別構成が異なっている場合は、〔数4〕に示すように、構成比を補正するためのウェイトwiで重み付け処理してもよい。つまり、前記第二分析手段により得られた被験者毎のエネルギー需要量の変動を被験者の特性(年齢、家族構成、住居形態)に応じて重み付け補正する補正手段となる。
【0037】
【数4】
δD/D=Σ(δDi×wi)/Σ(Di×wi)
【0038】
次に、第二プロファイルに関する前記第二分析手段2、第三分析手段3の動作を説明する。第二分析手段2は、現在のエネルギー価格に対する価格効用値と使用機器の効用値から使用機器毎の総合効用値を導出し、導出した使用機器に対する総合効用値の比を現実の使用配分割合に基づいて補正した値に基づいてエネルギー価格の変動に対するエネルギー需要量の変動をシミュレートする。
【0039】
この関係を数式モデルで表現する。機器a1の現状のエネルギー価格をp1、機器a2の現状のエネルギー価格をp2、それぞれの効用値をUia1,Uip1,Uia2,Uip2とすると、現状で機器a1を使用することの効用はUia1+Uip1、機器a2を使用することの効用はUia2+Uip2となり、現状での使用配分は、(Uia1+Uip1):(Uia2+Uip2)となる。ここで、現実の使用配分率がSia1:Sia2(Sia1+Sia2=1)であるなら、〔数5〕のように補正する。
【0040】
【数5】
Figure 2004240736
【0041】
エネルギー価格p1´の効用値をUip1´とし、機器a1のエネルギー価格のみがp1´に変化したとすると、使用配分比率Sia1´:Sia2´(Sia1´+Sia2´=1)は〔数6〕のように推定される。
【0042】
【数6】
Figure 2004240736
【0043】
従って、現状の機器a1の使用量をDia1としたとき、その需要変化δDia1は、〔数7〕で求まる。
【0044】
【数7】
δDia1=(Sia1´−Sia1)×Dia1
【0045】
第二分析手段2は、この推計処理を被験者毎に実行して(つまり、現在エネルギー価格に対する価格効用値と使用機器の効用値から使用機器毎の総合効用値を導出し、導出した使用機器に対する総合効用値の比を現実の使用配分割合に基づいて補正した値に基づいてエネルギー価格の変動に対するエネルギー需要量の変動をシミュレートする演算手段となる。)(S4)、第三分析手段3は、その結果を積み上げて全消費者の平均的な需要変化率、価格感度(価格弾性値)を推定導出する(S5)。
【0046】
即ち、需要変化率:δDa1/Da1=ΣδDia1/ΣDia1と、価格変化率:δP/P=(p1´−p1)/p1とから、価格感度(価格弾性値):σ=(δDa1/Da1)/(δP/P)が求まるのである。尚、需要変化が消費者タイプにより異なり、且つ、調査サンプルと市場全体の消費者タイプ別構成が異なっている場合は、〔数8〕に示すように、構成比を補正するためのウェイトwiで重み付けしてもよい。
【0047】
【数8】
δDa1/Da1=Σ(δDia1×wi)/Σ(Dia1×wi)
【0048】
最後に、第三プロファイルに関する前記第二分析手段2、第三分析手段3の動作を説明する。第二分析手段2は、エネルギー価格に対する価格効用値と使用機器の効用値と使用機器価格の効用値から使用機器毎の総合効用値を導出し、導出した使用機器に対する総合効用値の最も大きい機器を選択するものとし、エネルギー価格の変化に対する機器の選択変化によって当該機器使用によるエネルギー需要量の変化をシミュレートする。この方法は、新築や転居の際の機器の新規購入の選択の他、消費者がある機器を所有しており、その機器の燃料価格が上昇あるいは他燃料の価格が低下したことにより買い替えするか否かの選択場面にも適用できる。この場合、前記コンジョイント分析手段1により、所有機器の価格を0円/台として価格の効用値を求め、買い替え対象機器の総合効用値が所有機器の総合効用値を上回る場合に買い替えると推定出力する。
【0049】
この関係を数式モデルで表現する。機器a1の機器価格pa1、エネルギー価格P1、機器a2の現状の機器価格pa2、エネルギー価格P2に対する効用値をそれぞれUia1,Uipa1,Uip1,Uia2,Uipa2,Uip2とすると、機器a1を選択する総合効用は、Uia1+Uipa1+Uip1、機器a2を選択する総合効用は、Uia2+Uipa2+Uip2となる。
【0050】
新規購入の場合、機器a1と機器a2の総合効用の高い方の機器が購入対象として選択されると推定出力される。即ち、機器a1の現状価格における需要量Dia1、価格変化後の需要量Dia1´は、この消費者の暖房使用量(現在の暖房使用量又は新築住宅の平均的な暖房使用量)をHiとすると、機器a1の総合効用が機器a2の総合効用よりも高い場合はHi、そうでない場合は0となる。
【0051】
そして需要量変化は、〔数9〕の通り推定出力される。第二分析手段2は、この推計処理を被験者毎に実行して(S4)、第三分析手段3は、その結果を積み上げて全消費者の平均的な需要変化率、価格感度(価格弾性値)を推定導出する(S5)。
【0052】
【数9】
δDia1=Dia1´−Dia1
【0053】
即ち、需要変化率:δDa1/Da1=ΣδDia1/ΣDia1と、価格変化率:δP/P=(pi´−p1)/piとから、価格感度(価格弾性値):σ=(δDa1/Da1)/(δP/P)と求まるのである。尚、需要変化が消費者タイプにより異なり、且つ、調査サンプルと市場全体の消費者タイプ別構成が異なっている場合は、〔数10〕に示すように、構成比を補正するためのウェイトwiで重み付けしてもよい。
【0054】
【数10】
δDa1/Da1=Σ(δDia1×wi)/Σ(Dia1×wi)
【0055】
買い替えの場合では、〔数9〕において、Dia1´には、現在使用している機器の機器価格を0円として新規購入と同様の方法で推定した値、Dia1には被験者iが機器a1を使用している場合はDia1=Hi、a1以外の機器を使用している場合はDia1=0を当て嵌めることにより、需要量変化が推定出力される。
第二分析手段2は、この推計処理を被験者毎に実行して(S4)、第三分析手段3は、その結果を積み上げて全消費者の平均的な需要変化率、価格感度(価格弾性値)を推定導出する(S5)。
【0056】
即ち、需要変化率:δDa1/Da1=ΣδDia1/ΣDia1と、価格変化率:δP/P=(p1´−p1)/p1とから、価格感度(価格弾性値):σ=(δDa1/Da1)/(δP/P)が求まるのである。
【0057】
尚、需要変化が消費者タイプにより異なり、且つ、調査サンプルと市場全体の消費者タイプ別構成が異なっている場合は、〔数10〕に示すように、構成比を補正するためのウェイトwiで重み付けしてもよい。
【0058】
実際に家庭用暖房に対するエネルギー需要について、図4に示すように、機器A、機器Bをターゲットとして任意抽出された被験者から得られたデータに基づいて価格感度分析を実施した結果、第一プロファイルに対する全サンプル平均値を示す図5、6によれば、価格が低いほど価格効用が高く、時間が長いほど時間効用が高いことが確認され、機器により、その値が異なることが判明した。また、図7から図9は効用値を基にした価格感度の分析結果で、価格が低く(高く)なるほど需要が増加(減少)する傾向が見られ、経験則と整合する結果が得られている。さらに、機器使用時間変化、機器使用配分変化、機器購入選択変化のエネルギー価格に対する選択場面や、使用機器、エネルギー価格水準によって変化の傾きが異なることが窺えるなど、従来の分析手法では得られなかった知見を得ることができるようになった。
【0059】
上述したエネルギー需要の価格感度の分析装置は、前記記憶装置7にインストールされたプログラムの実行により構成されるもので、そのプログラムは、コンピュータを、少なくともエネルギー消費機器に対するエネルギー価格が属性レベルとして設定され、前記属性レベルとはトレードオフの関係を有する他の属性レベルを含むプロファイルに対する被験者からの反応データに基づいて各属性レベルの効用値を演算導出するコンジョイント分析手段と、前記コンジョイント分析手段による被験者毎のコンジョイント分析で得られた任意の属性レベルに対する効用値に基づいてエネルギー価格の変動に対する他の属性の効用値を演算導出するとともに、演算導出された効用値に基づいてエネルギー価格の変動に対するエネルギー需要量の変動をシミュレートする第二分析手段と、前記第二分析手段による被験者毎のシミュレート結果に基づいてエネルギー消費者集団のエネルギー価格に対する需要変化を推定演算する第三分析手段と、して機能させるためのエネルギー需要の価格感度の分析プログラムであり、前記プロファイルは、エネルギー消費機器に対するエネルギー価格と機器使用頻度を属性レベルとする第一プロファイルと、エネルギー種別の異なるエネルギー消費機器に対するエネルギー価格と使用機器を属性レベルとする第二プロファイルと、エネルギー消費機器に対するエネルギー価格と機器と機器価格とを属性レベルとする第三プロファイルの何れか一つまたは全てを備えている。
【0060】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明によれば、消費者である被験者に提示された三つの異なるプロファイルに示された種々の価格条件に対する回答に基づいてその条件に対する効用値を把握することができるため、過去に無い料金水準における価格感度の分析や消費者ターゲットを絞った価格感度の分析が可能なエネルギー需要の価格感度の分析装置を提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるエネルギー需要の価格感度の分析装置のブロック構成図
【図2】フローチャート
【図3】効用値推定の説明図
【図4】分析項目と対象サンプルの説明図
【図5】効用値推定結果の説明図
【図6】効用値推定結果の説明図
【図7】分析結果を説明するグラフ
【図8】分析結果を説明するグラフ
【図9】分析結果を説明するグラフ
【符号の説明】
1: コンジョイント分析手段
2: 第二分析手段
3: 第三分析手段

Claims (8)

  1. 少なくともエネルギー消費機器に対するエネルギー価格が属性レベルとして設定され、前記属性レベルとはトレードオフの関係を有する他の属性レベルを含むプロファイルに対する被験者からの反応データに基づいて各属性レベルの効用値を演算導出するコンジョイント分析手段と、
    前記コンジョイント分析手段による被験者毎のコンジョイント分析で得られた任意の属性レベルに対する効用値に基づいてエネルギー価格の変動に対する他の属性の効用値を演算導出するとともに、演算導出された効用値に基づいてエネルギー価格の変動に対するエネルギー需要量の変動をシミュレートする第二分析手段と、
    前記第二分析手段による被験者毎のシミュレート結果に基づいてエネルギー消費者集団のエネルギー価格に対する需要変化を推定演算する第三分析手段と、
    を備えて構成してあるエネルギー需要の価格感度の分析装置。
  2. 前記プロファイルは、エネルギー消費機器に対するエネルギー価格と機器使用頻度を属性レベルとする第一プロファイルを備えている請求項1記載のエネルギー需要の価格感度の分析装置。
  3. 前記プロファイルは、エネルギー種別の異なるエネルギー消費機器とそれらに対するエネルギー価格を属性レベルとする第二プロファイルを備えている請求項1または2記載のエネルギー需要の価格感度の分析装置。
  4. 前記プロファイルは、エネルギー消費機器に対するエネルギー価格と機器と機器価格とを属性レベルとする第三プロファイルの何れか一つまたは全てを備えている請求項1から3のいずれかに記載のエネルギー需要の価格感度の分析装置。
  5. 前記第二分析手段は、前記第一プロファイルにおいて、現在エネルギー価格に対する価格効用値と使用頻度効用値の所定の関係に基づいて異なる価格効用値に対する使用頻度効用値を導出する演算手段を備えている請求項2記載のエネルギー需要の価格感度の分析装置。
  6. 前記第三分析手段は、前記第二分析手段により得られた被験者毎のエネルギー需要量の変動を被験者の特性に応じて重み付け補正する補正手段を備えてある請求項1から5の何れか1項記載のエネルギー需要の価格感度の分析装置。
  7. コンピュータを、
    少なくともエネルギー消費機器に対するエネルギー価格が属性レベルとして設定され、前記属性レベルとはトレードオフの関係を有する他の属性レベルを含むプロファイルに対する被験者からの反応データに基づいて各属性レベルの効用値を演算導出するコンジョイント分析手段と、
    前記コンジョイント分析手段による被験者毎のコンジョイント分析で得られた任意の属性レベルに対する効用値に基づいてエネルギー価格の変動に対する他の属性の効用値を演算導出するとともに、演算導出された効用値に基づいてエネルギー価格の変動に対するエネルギー需要量の変動をシミュレートする第二分析手段と、
    前記第二分析手段による被験者毎のシミュレート結果に基づいてエネルギー消費者集団のエネルギー価格に対する需要変化を推定演算する第三分析手段と、
    して機能させるためのエネルギー需要の価格感度の分析プログラム。
  8. 前記プロファイルは、エネルギー消費機器に対するエネルギー価格と機器使用頻度を属性レベルとする第一プロファイルと、エネルギー種別の異なるエネルギー消費機器とそれらに対するエネルギー価格を属性レベルとする第二プロファイルと、エネルギー消費機器に対するエネルギー価格と機器と機器価格とを属性レベルとする第三プロファイルの何れか一つまたは全てを備えている請求項7記載のエネルギー需要の価格感度の分析プログラム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014220971A (ja) * 2013-05-10 2014-11-20 富士電機株式会社 電力需要予測装置、電力需要予測方法および電力需要予測プログラム

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