JP2004240178A - 液晶表示装置および電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】電極の断線等を生じることなく広視野角の表示が可能な信頼性の高い液晶表示装置を提供する。
【解決手段】本発明の液晶表示装置は、一対の基板10A,25A間に液晶層50を挟持してなり、液晶層50は、初期配向状態が垂直配向を呈する誘電異方性が負の液晶からなるとともに、一対の基板10A,25Aの液晶層50側には透明電極9,31が設けられ、そのうちの電極9が、基板平面内の所定領域毎に電気伝導度が異なる構成とされていることを特徴とする。
【選択図】 図3
【解決手段】本発明の液晶表示装置は、一対の基板10A,25A間に液晶層50を挟持してなり、液晶層50は、初期配向状態が垂直配向を呈する誘電異方性が負の液晶からなるとともに、一対の基板10A,25Aの液晶層50側には透明電極9,31が設けられ、そのうちの電極9が、基板平面内の所定領域毎に電気伝導度が異なる構成とされていることを特徴とする。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置および電子機器に関し、特に垂直配向型の液晶を用いた液晶表示装置において一層広視野角の表示が得られる技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置として反射モードと透過モードとを兼ね備えた半透過反射型液晶表示装置が知られている。このような半透過反射型液晶表示装置としては、上基板と下基板との間に液晶層が挟持されるとともに、例えばアルミニウム等の金属膜に光透過用の窓部を形成した反射膜を下基板の内面に備え、この反射膜を半透過反射板として機能させるものが提案されている。この場合、反射モードでは上基板側から入射した外光が、液晶層を通過した後に下基板の内面の反射膜で反射され、再び液晶層を通過して上基板側から出射され、表示に寄与する。一方、透過モードでは下基板側から入射したバックライトからの光が、反射膜の窓部から液晶層を通過した後、上基板側から外部に出射され、表示に寄与する。したがって、反射膜の形成領域のうち、窓部が形成された領域が透過表示領域、その他の領域が反射表示領域となる。
【0003】
ところが、従来の半透過反射型液晶装置には、透過表示での視角が狭いという課題があった。これは、視差が生じないよう液晶セルの内面に半透過反射板を設けている関係で、観察者側に備えた1枚の偏光板だけで反射表示を行わなければならないという制約があり、光学設計の自由度が小さいためである。そこで、この課題を解決するために、Jisakiらは、下記の非特許文献1において、垂直配向液晶を用いる新しい液晶表示装置を提案した。その特徴は、以下の3つである。
(1)誘電異方性が負の液晶を基板に垂直に配向させ、電圧印加によってこれを倒す「VA(Vertical Alignment)モード」を採用している点。
(2)透過表示領域と反射表示領域の液晶層厚(セルギャップ)が異なる「マルチギャップ構造」を採用している点(この点については、例えば特許文献1参照)。
(3)透過表示領域を正八角形とし、この領域内で液晶が8方向に倒れるように対向基板上の透過表示領域の中央に突起を設けている点。すなわち、「配向分割構造」を採用している点。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−242226号公報
【特許文献2】
特開2002−350853号公報
【非特許文献1】
”Development of transflective LCD for high contrast and wide viewing angle by using homeotropic alignment”, M.Jisaki et al., Asia Display/IDW’01, p.133−136(2001)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記の特許文献2においては、電極にスリットを形成することにより、若しくは液晶層の挟持面に突起を形成することにより、電圧印加時の液晶の配向方向の制御を行っている。しかしながら、電極にスリットを入れる場合には、該電極の断線が生じたり、スリット間の導通部分で液晶の配向不良(ディスクリネーション)が起こり、表示不良発生の原因となる場合があった。またスリットを設けた領域内では液晶の配向を制御することができないため、表示に寄与することなく無駄になっていた。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、垂直配向型の液晶を用いた液晶表示装置において、電極の断線等を生じることなく広視野角の表示が可能な信頼性の高い液晶表示装置を提供することを目的とする。また、垂直配向型の液晶を用い、特に半透過反射型の構成を具備した液晶表示装置について一層広視野角の表示を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の液晶表示装置は、一対の基板間に液晶層を挟持してなる液晶表示装置であって、前記液晶層は、初期配向状態が垂直配向を呈する誘電異方性が負の液晶からなるとともに、前記一対の基板の液晶層側には透明電極が設けられ、そのうちの少なくとも一方の基板側の透明電極が、基板平面内の所定領域毎に電気伝導度が異なる構成とされていることを特徴とする。
【0008】
このように透明電極を基板平面内で所定領域毎に電気伝導度の異なるように設計すれば、電圧印加時に、相対的に電気伝導度の小さい透明電極(第1電極)よりも、相対的に電気伝導度の大きい透明電極(第2電極)側から電界が立ち上がるものとなる。したがって、まず第2電極の形成領域から液晶分子が倒れることとなるが、第2電極から他方の基板側に形成された透明電極に対しては斜め電界が生じることとなるため、その斜め電界方向に交わる方向に液晶分子の倒れる方向が規制される。その結果、第2電極側の電界立ち上がり時に、該第2電極形成領域の液晶分子の傾倒方向が規制された後、第1電極の電界立ち上がり時には、該第1電極形成領域の液晶分子が第2電極形成領域の液晶分子の傾倒方向に倣って倒れることとなる。これにより垂直配向型の液晶層を具備した液晶表示装置において、電圧印加時の液晶分子の配向規制がなされ、広視野角の表示を提供することが可能となる。また、従来の技術の項で説明したような電極にスリットを設ける方式とは異なり、第1電極と第2電極とを繋ぐ導通部を形成する必要がないため断線の心配もなく、ディスクリネーションも発生し難いものとなる。
【0009】
次に、上記の目的を達成するために、本発明の液晶表示装置は、その異なる構成として、一対の基板間に液晶層を挟持してなり、1つのドット領域内に透過表示を行う透過表示領域と反射表示を行う反射表示領域とが設けられた液晶表示装置であって、前記液晶層は、初期配向状態が垂直配向を呈する誘電異方性が負の液晶からなり、前記一対の基板のうちの少なくとも一方の基板と前記液晶層との間には、前記反射表示領域と前記透過表示領域とで前記液晶層の層厚を異ならせる液晶層厚調整層が少なくとも前記反射表示領域に設けられ、前記一対の基板の液晶層側には透明電極が設けられ、そのうちの少なくとも一方の透明電極が、基板平面内の所定領域毎に電気伝導度が異なる構成とされていることを特徴とする。
【0010】
この場合も、相対的に電気伝導度の大きい透明電極(第2電極)側の電界立ち上がり時に、該第2電極形成領域の液晶分子の傾倒方向が規制された後、相対的に電気伝導度の小さい透明電極(第1電極)の電界立ち上がり時には、該第1電極形成領域の液晶分子が第2電極形成領域の液晶分子の傾倒方向に倣って倒れることとなる。これにより反射表示と透過表示と可能な半透過反射型の液晶表示装置であって、垂直配向型の液晶層を具備した液晶表示装置において、電圧印加時の液晶分子の配向規制がなされるため、反射表示及び透過表示の双方において広視野角の表示を提供することが可能となる。また、液晶層厚調整層の存在によって反射表示領域の液晶層の厚みを透過表示領域の液晶層の厚みよりも小さくすることができるので、反射表示領域におけるリタデーションと透過表示領域におけるリタデーションを充分に近づける、もしくは略等しくすることができ、これによりコントラストの向上を図ることもでき、一層信頼性の高い液晶表示装置を提供することができるようになる。さらに、従来の技術の項で説明したような電極にスリットを設ける方式とは異なり、第1電極と第2電極とを繋ぐ導通部を形成する必要がないため断線の心配もなく、ディスクリネーションも発生し難いものとなる。
【0011】
なお、一対の基板として上基板と下基板とを含み、前記下基板の液晶層と反対側には透過表示用のバックライトが設けられるとともに、該下基板の液晶層側には前記反射表示領域のみに選択的に形成された反射膜が設けられているものとすることができる。このような構成により半透過反射型の液晶表示装置を簡便に構成することが可能となる。
【0012】
なお、前記第2電極を具備する領域の基板平面方向の面積が、前記第1電極を具備する領域の基板平面方向の面積よりも小さく構成されていることが好ましい。先に電界が立ち上がる第2電極では、斜め電界によって液晶分子が配向規制されるが、該第2電極形成領域においては鉛直方向の電界が発生する領域も含まれ、この領域では液晶の配向乱れ(ディスクリネーション)が生じる惧れがある。したがって、第1電極に比してディスクリネーションが発生する可能性が高いため、該第2電極形成領域の面積を小さくすることが好ましい。
【0013】
また、前記透明電極は、前記反射表示領域と前記透過表示領域とで電気伝導度が異なるものとすることができる。この場合、反射表示領域に配設する電極としては、例えば反射膜を兼ねた光反射性金属材料を用いることができ、一方、透過表示領域に配設する電極としては、例えば金属材料よりも電気伝導度の相対的に低い金属酸化物からなる導電材料を用いることができる。この場合、反射膜を別途設ける必要がないためコスト削減に繋がることとなる。
【0014】
次に、本発明の電子機器は、上記液晶表示装置を備えたことを特徴とする。このような電子機器によると、通電不良等が生じ難く信頼性の高い、広視野角の表示を供することが可能な表示部を備えた電子機器を提供することができるようになる。
【0015】
【発明の実施の形態】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の第1の実施の形態を図面を参照して説明する。
本実施の形態の液晶表示装置は、スイッチング素子として薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor, 以下、TFTと略記する)を用いたアクティブマトリクス型の液晶表示装置の例である。
【0016】
図1は本実施の形態の液晶表示装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に配置された複数のドットの等価回路図、図2はTFTアレイ基板の相隣接する複数のドットの構造を示す平面図、図3は同、液晶装置の構造を示す平面図(上段)及び断面図(下段)である。なお、以下の各図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならせてある。
【0017】
本実施の形態の液晶表示装置において、図1に示すように、画像表示領域を構成するマトリクス状に配置された複数のドットには、画素電極9と当該画素電極9を制御するためのスイッチング素子であるTFT30がそれぞれ形成されており、画像信号が供給されるデータ線6aが当該TFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画像信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次に供給されるか、あるいは相隣接する複数のデータ線6aに対してグループ毎に供給される。また、走査線3aがTFT30のゲートに電気的に接続されており、複数の走査線3aに対して走査信号G1、G2、…、Gmが所定のタイミングでパルス的に線順次で印加される。また、画素電極9はTFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけオンすることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、…、Snを所定のタイミングで書き込む。
【0018】
画素電極9を介して液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、後述する共通電極との間で一定期間保持される。液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能にする。ここで、保持された画像信号がリークすることを防止するために、画素電極9と共通電極との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70が付加されている。なお、符号3bは容量線である。
【0019】
次に、図2に基づいて、本実施の形態の液晶装置を構成するTFTアレイ基板の平面構造について説明する。
図2に示すように、TFTアレイ基板上に、複数の矩形状の画素電極9(点線部9Aにより輪郭を示す)がマトリクス状に設けられており、画素電極9の縦横の境界に各々沿ってデータ線6a、走査線3aおよび容量線3bが設けられている。本実施の形態において、各画素電極9および各画素電極9を囲むように配設されたデータ線6a、走査線3a、容量線3b等が形成された領域の内側が一つのドット領域であり、マトリクス状に配置された各ドット領域毎に表示が可能な構造になっている。
【0020】
データ線6aは、TFT30を構成する、例えばポリシリコン膜からなる半導体層1aのうち、後述のソース領域にコンタクトホール5を介して電気的に接続されており、画素電極9は、半導体層1aのうち、後述のドレイン領域にコンタクトホール8を介して電気的に接続されている。また、半導体層1aのうち、チャネル領域(図中左上がりの斜線の領域)に対向するように走査線3aが配置されており、走査線3aはチャネル領域に対向する部分でゲート電極として機能する。
【0021】
容量線3bは、走査線3aに沿って略直線状に延びる本線部(すなわち、平面的に見て、走査線3aに沿って形成された第1領域)と、データ線6aと交差する箇所からデータ線6aに沿って前段側(図中上向き)に突出した突出部(すなわち、平面的に見て、データ線6aに沿って延設された第2領域)とを有する。そして、図2中、右上がりの斜線で示した領域には、複数の第1遮光膜11aが設けられている。
【0022】
より具体的には、第1遮光膜11aは、各々、半導体層1aのチャネル領域を含むTFT30をTFTアレイ基板側から見て覆う位置に設けられており、さらに、容量線3bの本線部に対向して走査線3aに沿って直線状に延びる本線部と、データ線6aと交差する箇所からデータ線6aに沿って隣接する後段側(すなわち、図中下向き)に突出した突出部とを有する。第1遮光膜11aの各段(画素行)における下向きの突出部の先端は、データ線6a下において次段における容量線3bの上向きの突出部の先端と重なっている。この重なった箇所には、第1遮光膜11aと容量線3bとを相互に電気的に接続するコンタクトホール13が設けられている。すなわち、本実施の形態では、第1遮光膜11aは、コンタクトホール13によって前段あるいは後段の容量線3bに電気的に接続されている。
【0023】
また、図2に示すように、一つのドット領域内には反射膜20が形成されており、この反射膜20が形成された領域が反射表示領域Rとなり、その反射膜20が形成されていない領域、すなわち反射膜20の開口部21内が透過表示領域Tとなる。
【0024】
次に、図3に基づいて本実施の形態の液晶表示装置の平面構造及び断面構造について説明する。図3(a)は本実施の形態の液晶表示装置に備えられたカラーフィルタ層の平面構造を示す平面模式図で、図3(b)は図3(a)の平面図のうち赤色の着色層に対応する部分の断面模式図である。
【0025】
本実施の形態の液晶表示装置は、図2に示したようにデータ線6a、走査線3a、容量線3b等にて囲まれた領域の内側に画素電極9を備えてなるドット領域を有している。このドット領域内には、図3(a)に示すように一のドット領域に対応して3原色のうちの一の着色層が配設され、3つのドット領域(D1,D2,D3)で各着色層22B(青色),22G(緑色),22R(赤色)を含む画素を形成している。
【0026】
一方、図3(b)に示すように、本実施の形態の液晶表示装置は、TFTアレイ基板10とこれに対向配置された対向基板25との間に初期配向状態が垂直配向をとる液晶、すなわち誘電率異方性が負の液晶材料からなる液晶層50が挟持されている。TFTアレイ基板10は、石英、ガラス等の透光性材料からなる基板本体10Aの表面にアルミニウム、銀等の反射率の高い金属膜からなる反射膜20が絶縁膜24を介して部分的に形成された構成をなしている。上述したように、反射膜20の形成領域が反射表示領域Rとなり、反射膜20の非形成領域、すなわち反射膜20の開口部21内が透過表示領域Tとなる。このように本実施の形態の液晶表示装置は、垂直配向型の液晶層50を備える垂直配向型液晶表示装置であって、反射表示及び透過表示を可能にした半透過反射型の液晶表示装置である。
【0027】
基板本体10A上に形成された絶縁膜24は、その表面に凹凸形状24aを具備してなり、その凹凸形状24aに倣って反射膜20の表面は凹凸部を有する。このような凹凸により反射光が散乱されるため、外部からの映り込みが防止され、広視野角の表示を得ることが可能とされている。
【0028】
また、反射膜20上には、反射表示領域Rに対応する位置に絶縁膜26が形成されている。すなわち、反射膜20の上方に位置するように選択的に絶縁膜26が形成され、該絶縁膜26の形成に伴って液晶層50の層厚を反射表示領域Rと透過表示領域Tとで異ならしめている。絶縁膜26は例えば膜厚が2〜3μm程度のアクリル樹脂等の有機膜からなり、反射表示領域Rと透過表示領域Tとの境界付近において、自身の層厚が連続的に変化するべく傾斜面26aを備えた傾斜領域を有している。絶縁膜26が存在しない部分の液晶層50の厚みが4〜6μm程度とされ、反射表示領域Rにおける液晶層50の厚みは透過表示領域Tにおける液晶層50の厚みの約半分とされている。
【0029】
このように絶縁膜26は、自身の膜厚によって反射表示領域Rと透過表示領域Tとの液晶層50の層厚を異ならせる液晶層厚調整層(液晶層厚制御層)として機能するものである。また、本実施の形態の場合、絶縁膜26の上部の平坦面の縁と反射膜20(反射表示領域)の縁とが略一致しており、絶縁膜26の傾斜領域は透過表示領域Tに含まれることになる。
【0030】
そして、絶縁膜26の表面を含むTFTアレイ基板10の表面には、画素電極9として、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide, 以下、ITOと略記する)からなる第2電極92が反射表示領域Rに選択的に配設され、第2電極92上にはポリイミド等からなる配向膜27が形成されている。なお、本実施の形態では、反射膜20と画素電極9とを別個に設けて積層したが、反射表示領域Rにおいては金属膜からなる反射膜を第2電極として用いることも可能である。
【0031】
一方、透過表示領域Tにおいては、基板本体10A上に、画素電極9として、インジウム亜鉛酸化物(Indium zinc Oxide, 以下、IZOと略記する)からなる第1電極91が透過表示領域Tに選択的に配設され、第1電極91上にはポリイミド等からなる配向膜27が形成されている。
【0032】
ここで、画素電極9を構成する第1電極91及び第2電極92は、それぞれ電気伝導度が異なり、第2電極92が相対的に高い電気伝導度を具備して構成されている。したがって、本実施の形態の画素電極9は、TFTアレイ基板10の平面内において、電気伝導度が異なる領域(電極)を複数含む構成とされている。
【0033】
次に、対向基板25側は、ガラスや石英等の透光性材料からなる基板本体25A上(基板本体25Aの液晶層側)に、カラーフィルタ22(図3(b)では赤色着色層22R)が設けられた構成を具備している。ここで、着色層22Rの周縁はブラックマトリクスBMにて囲まれ、ブラックマトリクスBMにより各ドット領域D1,D2、D3の境界が形成されている(図3(a)参照)。
【0034】
そして、カラーフィルタ22の液晶層側には、ITO等の透明導電膜からなる共通電極31、ポリイミド等からなる配向膜33が形成されている。なお、本実施の形態では、TFTアレイ基板10、対向基板25の双方の配向膜27,33に対して、ともに垂直配向処理が施されている。
【0035】
次に、TFTアレイ基板10の外面側(液晶層50を挟持する面とは異なる側)には位相差板18及び偏光板19が、対向基板25の外面側にも位相差板16及び偏光板17が形成されており、基板内面側(液晶層50側)に円偏光を入射可能に構成されており、これら位相差板18及び偏光板19、位相差板16及び偏光板17が、それぞれ円偏光板を構成している。
【0036】
偏光板17(19)は、所定方向の偏光軸を備えた直線偏光のみを透過させる構成とされ、位相差板16(18)としてはλ/4位相差板が採用されている。なお、TFTアレイ基板10に形成された偏光板19の外側には透過表示用の光源たるバックライト15が設けられている。
【0037】
以上のような本実施の形態の液晶表示装置が発現する効果について図4及び図5を参照しつつ説明する。なお、図4は、電極9,31間の構成を拡大して示す要部拡大断面模式図、図5は画素電極9の平面構成を液晶分子の構成とともに模式的に示す説明図である。
【0038】
本実施の形態の液晶表示装置によると、液晶層50を挟持する基板の内面側(液晶層側)に形成した画素電極9及び共通電極31のうち、画素電極9を基板平面内で所定領域毎に電気伝導度の異なる電極(すなわち第1電極91及び第2電極92)にて構成したため、電圧印加時に、画素電極9において領域毎に電界の立ち上がり時間が異なるものとなる。この場合、まず第2電極92から電界が立ち上がるため、図4に示すように、第2電極92から第1電極91が形成された領域の共通電極31に対して斜め電界が生じることとなる。このような斜め電界が生じると、垂直配向していた液晶分子LC(図4中破線で示す)は、その斜め電界方向に交わる方向に倒れる方向(傾倒方向)が規制される。その結果、第2電極92の電界立ち上がり時には、該第2電極92が形成された領域の液晶分子LCは傾倒方向が斜め電界に沿って規制されることとなる。
【0039】
一方、第2電極92の電界立ち上がり後、第1電極91が立ち上がる際には、図5に示すように、該第1電極91が形成された領域の液晶分子LC2が、第2電極92が形成された領域の液晶分子LC1の傾倒方向に倣って倒れることとなる。これにより垂直配向型の液晶層50を具備した液晶表示装置において、電圧印加時の液晶分子の配向規制がなされ、確実に配向分割構造を実現することができるようになり、広視野角の表示を提供することが可能となる。
【0040】
したがって、本実施の形態の液晶表示装置では、電圧印加時の液晶分子の配向規制がなされるため、反射表示及び透過表示の双方において広視野角の表示を提供することが可能となる。また、液晶層厚調整層の存在によって反射表示領域の液晶層の厚みを透過表示領域の液晶層の厚みよりも小さくすることができるので、反射表示領域におけるリタデーションと透過表示領域におけるリタデーションを充分に近づける、もしくは略等しくすることができ、これによりコントラストの向上を図ることもでき、一層信頼性の高い液晶表示装置を提供することができるようになる。
【0041】
なお、画素電極9を第1電極91と第2電極92とにより構成することで、上述した液晶分子の配向規制を実現することは、本実施形態のような半透過反射型の液晶表示装置に限らず、透過型の液晶表示装置若しくは反射型の液晶表示装置についても適用可能で、垂直配向型の液晶層を具備していれば良い。また、液晶層厚調整層を有していない液晶表示装置についても、垂直配向型の液晶層を具備していれば、上述した液晶分子の配向規制を実現することが可能である。
【0042】
また、第1電極91と第2電極92との構成については、電気伝導度の違いがあれば良く、例えば同一材料のITOから構成し、インジウムと錫の含有率、若しくは酸素の含有率、または結晶性を適宜異ならせることで、電気伝導度をそれぞれ異ならしめることも可能である。さらに、第2電極92を反射表示領域Rに形成し、第1電極91を透過表示領域Tに形成する場合には、第2電極92として反射膜を兼ねた光反射性金属材料(例えばアルミニウム)を用いることができ、一方、第1電極91として該金属材料よりも電気伝導度の相対的に低い金属酸化物からなる導電材料(例えばITO)を用いることができる。この場合、反射膜を別途設ける必要がないためコスト削減に繋がることとなる。
【0043】
[第2の実施の形態]
以下、本発明の第2の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図6は、第2の実施の形態の液晶表示装置について、平面図及び断面図を示すもので第1の実施の形態の図3に相当する模式図である。本実施の形態の液晶表示装置の基本構成は第1の実施の形態と同様であり、画素電極9において第2電極92と第1電極91の占有面積がそれぞれ相違する点が第1の実施の形態と異なっている。したがって、図6においては図3と共通の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0044】
本実施の形態の場合、図6に示すように、第2電極92を具備する領域(反射表示領域R)の基板平面方向の面積が、第1電極91を具備する領域(透過表示領域T)の基板平面方向の面積よりも小さく構成されている。電気伝導度の高い第2電極92では、先に電界が立ち上がり、斜め電界によって液晶分子が配向規制されるが、該第2電極92の形成領域においては鉛直方向の電界が発生する領域も含まれ、この領域では液晶の配向乱れ(ディスクリネーション)が生じる惧れがある。したがって、本実施の形態のように、第2電極92の形成領域の占有面積を相対的に小さくすることで、ディスクリネーションの発生を一層抑制することが可能となる。
【0045】
[第3の実施の形態]
以下、本発明の第3の実施の形態を説明する。
図7は、第3の実施の形態の液晶表示装置について、平面図及び断面図を示すもので第1の実施の形態の図3に相当する模式図である。本実施の形態の液晶表示装置の基本構成は第1の実施の形態と同様であり、画素電極9を一の導電材料にて構成し、共通電極31を第1電極31a及び第2電極31bにて構成した点が異なっている。したがって、図7においては図3と共通の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0046】
本実施の形態の場合、図7に示すように、画素電極9を単一の電極材料(この場合、ITO)にて構成する一方、対向基板25側に配設した共通電極31を第1電極31a及び第2電極31bにて構成した。この場合、第2電極31bは相対的に電気伝導度の高い酸化亜鉛(ZnO)にて構成され、第1電極31aは相対的に電気伝導度の低いITOにて構成されており、第2電極31bは画素内において平面視渦巻状に第1電極31a内に組み込まれた形にて形成されている。したがって、反射表示領域Rと透過表示領域Tとにおいて異なる電極を配設した第1の実施の形態とは異なり、各領域R,T内においてそれぞれ異なる電気伝導度の電極を具備した構成となっている。
【0047】
このような構成の液晶表示装置においても、図8及び図9に示すように第1の実施の形態と同様な液晶分子の配向規制が行われる。なお、図8は、電極9,31(31a,31b)間の構成を拡大して示す要部拡大断面模式図、図9は画素電極9の平面構成を液晶分子の構成とともに模式的に示す説明図である。
【0048】
すなわち本実施の形態の液晶表示装置では、共通電極31を基板平面内で所定領域毎に電気伝導度の異なる電極(すなわち第1電極31a及び第2電極31b)にて構成したため、電圧印加時に、共通電極31において領域毎に電界の立ち上がり時間が異なるものとなる。なお、本実施の形態では、第1電極31aと第2電極31bは電気伝導度に大きな相違はないが、界面において異種材料による結晶性の乱れに起因する抵抗が存在するため第2電極31b側の電界が先に立ち上がることとなる。
【0049】
このように、まず第2電極31bから電界が立ち上がるため、図8に示すように、第2電極31bから第1電極31aが形成された領域の画素電極9に対して斜め電界が生じることとなる。このような斜め電界が生じると、垂直配向していた液晶分子LC(図8中破線で示す)は、その斜め電界方向に交わる方向に倒れる方向(傾倒方向)が規制される。その結果、第2電極31bの電界立ち上がり時には、該第2電極31bが形成された領域の液晶分子LCは傾倒方向が斜め電界に沿って規制されることとなる。
【0050】
一方、第2電極31bの電界立ち上がり後、第1電極31aが立ち上がる際には、図9に示すように、該第1電極31aが形成された領域の液晶分子LC2が、第2電極31bが形成された領域の液晶分子LC1の傾倒方向に倣って倒れることとなる。これにより、垂直配向型の液晶分子について電圧印加時の配向規制がなされ、確実に配向分割構造を実現することができるようになり、広視野角の表示を提供することが可能となる。
【0051】
[電子機器]
次に、本発明の上記実施の形態の液晶表示装置を備えた電子機器の具体例について説明する。
図10は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図10において、符号1000は携帯電話本体を示し、符号1001は上記液晶表示装置を用いた表示部を示している。このような携帯電話等の電子機器の表示部に、上記実施の形態の液晶表示装置を用いた場合、使用環境によらずに明るく、コントラストが高く、広視野角の液晶表示部を備えた電子機器を実現することができる。
【0052】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば上記実施の形態ではTFTをスイッチング素子としたアクティブマトリクス型液晶表示装置に本発明を適用した例を示したが、薄膜ダイオード(Thin Film Diode,TFD)をスイッチング素子としたアクティブマトリクス型液晶表示装置、パッシブマトリクス型液晶表示装置などに本発明を適用することも可能である。その他、各種構成要素の材料、寸法、形状等に関する具体的な記載は、適宜変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の液晶表示装置の等価回路図。
【図2】同、液晶表示装置のドットの構造を示す平面図。
【図3】同、液晶表示装置の要部を示す平面模式図及び断面模式図。
【図4】同、液晶表示装置の液晶層の構成を拡大して示す模式図。
【図5】同、液晶表示装置の画素電極の平面構成を示す説明図。
【図6】第2の実施の形態の液晶表示装置の要部を示す平面模式図及び断面模式図。
【図7】第3の実施の形態の液晶表示装置の要部を示す平面模式図及び断面模式図。
【図8】図7の液晶表示装置について液晶層の構成を拡大して示す模式図。
【図9】図7の液晶表示装置について画素電極の平面構成を示す説明図。
【図10】本発明の電子機器の一例を示す斜視図。
【符号の説明】
9…画素電極(透明電極)、10…TFTアレイ基板、20…反射膜、25…対向基板、31…共通電極(透明電極)、50…液晶層、91,31a…第1電極、92,31b…第2電極、R…反射表示領域、T…透過表示領域
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置および電子機器に関し、特に垂直配向型の液晶を用いた液晶表示装置において一層広視野角の表示が得られる技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置として反射モードと透過モードとを兼ね備えた半透過反射型液晶表示装置が知られている。このような半透過反射型液晶表示装置としては、上基板と下基板との間に液晶層が挟持されるとともに、例えばアルミニウム等の金属膜に光透過用の窓部を形成した反射膜を下基板の内面に備え、この反射膜を半透過反射板として機能させるものが提案されている。この場合、反射モードでは上基板側から入射した外光が、液晶層を通過した後に下基板の内面の反射膜で反射され、再び液晶層を通過して上基板側から出射され、表示に寄与する。一方、透過モードでは下基板側から入射したバックライトからの光が、反射膜の窓部から液晶層を通過した後、上基板側から外部に出射され、表示に寄与する。したがって、反射膜の形成領域のうち、窓部が形成された領域が透過表示領域、その他の領域が反射表示領域となる。
【0003】
ところが、従来の半透過反射型液晶装置には、透過表示での視角が狭いという課題があった。これは、視差が生じないよう液晶セルの内面に半透過反射板を設けている関係で、観察者側に備えた1枚の偏光板だけで反射表示を行わなければならないという制約があり、光学設計の自由度が小さいためである。そこで、この課題を解決するために、Jisakiらは、下記の非特許文献1において、垂直配向液晶を用いる新しい液晶表示装置を提案した。その特徴は、以下の3つである。
(1)誘電異方性が負の液晶を基板に垂直に配向させ、電圧印加によってこれを倒す「VA(Vertical Alignment)モード」を採用している点。
(2)透過表示領域と反射表示領域の液晶層厚(セルギャップ)が異なる「マルチギャップ構造」を採用している点(この点については、例えば特許文献1参照)。
(3)透過表示領域を正八角形とし、この領域内で液晶が8方向に倒れるように対向基板上の透過表示領域の中央に突起を設けている点。すなわち、「配向分割構造」を採用している点。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−242226号公報
【特許文献2】
特開2002−350853号公報
【非特許文献1】
”Development of transflective LCD for high contrast and wide viewing angle by using homeotropic alignment”, M.Jisaki et al., Asia Display/IDW’01, p.133−136(2001)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記の特許文献2においては、電極にスリットを形成することにより、若しくは液晶層の挟持面に突起を形成することにより、電圧印加時の液晶の配向方向の制御を行っている。しかしながら、電極にスリットを入れる場合には、該電極の断線が生じたり、スリット間の導通部分で液晶の配向不良(ディスクリネーション)が起こり、表示不良発生の原因となる場合があった。またスリットを設けた領域内では液晶の配向を制御することができないため、表示に寄与することなく無駄になっていた。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、垂直配向型の液晶を用いた液晶表示装置において、電極の断線等を生じることなく広視野角の表示が可能な信頼性の高い液晶表示装置を提供することを目的とする。また、垂直配向型の液晶を用い、特に半透過反射型の構成を具備した液晶表示装置について一層広視野角の表示を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の液晶表示装置は、一対の基板間に液晶層を挟持してなる液晶表示装置であって、前記液晶層は、初期配向状態が垂直配向を呈する誘電異方性が負の液晶からなるとともに、前記一対の基板の液晶層側には透明電極が設けられ、そのうちの少なくとも一方の基板側の透明電極が、基板平面内の所定領域毎に電気伝導度が異なる構成とされていることを特徴とする。
【0008】
このように透明電極を基板平面内で所定領域毎に電気伝導度の異なるように設計すれば、電圧印加時に、相対的に電気伝導度の小さい透明電極(第1電極)よりも、相対的に電気伝導度の大きい透明電極(第2電極)側から電界が立ち上がるものとなる。したがって、まず第2電極の形成領域から液晶分子が倒れることとなるが、第2電極から他方の基板側に形成された透明電極に対しては斜め電界が生じることとなるため、その斜め電界方向に交わる方向に液晶分子の倒れる方向が規制される。その結果、第2電極側の電界立ち上がり時に、該第2電極形成領域の液晶分子の傾倒方向が規制された後、第1電極の電界立ち上がり時には、該第1電極形成領域の液晶分子が第2電極形成領域の液晶分子の傾倒方向に倣って倒れることとなる。これにより垂直配向型の液晶層を具備した液晶表示装置において、電圧印加時の液晶分子の配向規制がなされ、広視野角の表示を提供することが可能となる。また、従来の技術の項で説明したような電極にスリットを設ける方式とは異なり、第1電極と第2電極とを繋ぐ導通部を形成する必要がないため断線の心配もなく、ディスクリネーションも発生し難いものとなる。
【0009】
次に、上記の目的を達成するために、本発明の液晶表示装置は、その異なる構成として、一対の基板間に液晶層を挟持してなり、1つのドット領域内に透過表示を行う透過表示領域と反射表示を行う反射表示領域とが設けられた液晶表示装置であって、前記液晶層は、初期配向状態が垂直配向を呈する誘電異方性が負の液晶からなり、前記一対の基板のうちの少なくとも一方の基板と前記液晶層との間には、前記反射表示領域と前記透過表示領域とで前記液晶層の層厚を異ならせる液晶層厚調整層が少なくとも前記反射表示領域に設けられ、前記一対の基板の液晶層側には透明電極が設けられ、そのうちの少なくとも一方の透明電極が、基板平面内の所定領域毎に電気伝導度が異なる構成とされていることを特徴とする。
【0010】
この場合も、相対的に電気伝導度の大きい透明電極(第2電極)側の電界立ち上がり時に、該第2電極形成領域の液晶分子の傾倒方向が規制された後、相対的に電気伝導度の小さい透明電極(第1電極)の電界立ち上がり時には、該第1電極形成領域の液晶分子が第2電極形成領域の液晶分子の傾倒方向に倣って倒れることとなる。これにより反射表示と透過表示と可能な半透過反射型の液晶表示装置であって、垂直配向型の液晶層を具備した液晶表示装置において、電圧印加時の液晶分子の配向規制がなされるため、反射表示及び透過表示の双方において広視野角の表示を提供することが可能となる。また、液晶層厚調整層の存在によって反射表示領域の液晶層の厚みを透過表示領域の液晶層の厚みよりも小さくすることができるので、反射表示領域におけるリタデーションと透過表示領域におけるリタデーションを充分に近づける、もしくは略等しくすることができ、これによりコントラストの向上を図ることもでき、一層信頼性の高い液晶表示装置を提供することができるようになる。さらに、従来の技術の項で説明したような電極にスリットを設ける方式とは異なり、第1電極と第2電極とを繋ぐ導通部を形成する必要がないため断線の心配もなく、ディスクリネーションも発生し難いものとなる。
【0011】
なお、一対の基板として上基板と下基板とを含み、前記下基板の液晶層と反対側には透過表示用のバックライトが設けられるとともに、該下基板の液晶層側には前記反射表示領域のみに選択的に形成された反射膜が設けられているものとすることができる。このような構成により半透過反射型の液晶表示装置を簡便に構成することが可能となる。
【0012】
なお、前記第2電極を具備する領域の基板平面方向の面積が、前記第1電極を具備する領域の基板平面方向の面積よりも小さく構成されていることが好ましい。先に電界が立ち上がる第2電極では、斜め電界によって液晶分子が配向規制されるが、該第2電極形成領域においては鉛直方向の電界が発生する領域も含まれ、この領域では液晶の配向乱れ(ディスクリネーション)が生じる惧れがある。したがって、第1電極に比してディスクリネーションが発生する可能性が高いため、該第2電極形成領域の面積を小さくすることが好ましい。
【0013】
また、前記透明電極は、前記反射表示領域と前記透過表示領域とで電気伝導度が異なるものとすることができる。この場合、反射表示領域に配設する電極としては、例えば反射膜を兼ねた光反射性金属材料を用いることができ、一方、透過表示領域に配設する電極としては、例えば金属材料よりも電気伝導度の相対的に低い金属酸化物からなる導電材料を用いることができる。この場合、反射膜を別途設ける必要がないためコスト削減に繋がることとなる。
【0014】
次に、本発明の電子機器は、上記液晶表示装置を備えたことを特徴とする。このような電子機器によると、通電不良等が生じ難く信頼性の高い、広視野角の表示を供することが可能な表示部を備えた電子機器を提供することができるようになる。
【0015】
【発明の実施の形態】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の第1の実施の形態を図面を参照して説明する。
本実施の形態の液晶表示装置は、スイッチング素子として薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor, 以下、TFTと略記する)を用いたアクティブマトリクス型の液晶表示装置の例である。
【0016】
図1は本実施の形態の液晶表示装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に配置された複数のドットの等価回路図、図2はTFTアレイ基板の相隣接する複数のドットの構造を示す平面図、図3は同、液晶装置の構造を示す平面図(上段)及び断面図(下段)である。なお、以下の各図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならせてある。
【0017】
本実施の形態の液晶表示装置において、図1に示すように、画像表示領域を構成するマトリクス状に配置された複数のドットには、画素電極9と当該画素電極9を制御するためのスイッチング素子であるTFT30がそれぞれ形成されており、画像信号が供給されるデータ線6aが当該TFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画像信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次に供給されるか、あるいは相隣接する複数のデータ線6aに対してグループ毎に供給される。また、走査線3aがTFT30のゲートに電気的に接続されており、複数の走査線3aに対して走査信号G1、G2、…、Gmが所定のタイミングでパルス的に線順次で印加される。また、画素電極9はTFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけオンすることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、…、Snを所定のタイミングで書き込む。
【0018】
画素電極9を介して液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、後述する共通電極との間で一定期間保持される。液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能にする。ここで、保持された画像信号がリークすることを防止するために、画素電極9と共通電極との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70が付加されている。なお、符号3bは容量線である。
【0019】
次に、図2に基づいて、本実施の形態の液晶装置を構成するTFTアレイ基板の平面構造について説明する。
図2に示すように、TFTアレイ基板上に、複数の矩形状の画素電極9(点線部9Aにより輪郭を示す)がマトリクス状に設けられており、画素電極9の縦横の境界に各々沿ってデータ線6a、走査線3aおよび容量線3bが設けられている。本実施の形態において、各画素電極9および各画素電極9を囲むように配設されたデータ線6a、走査線3a、容量線3b等が形成された領域の内側が一つのドット領域であり、マトリクス状に配置された各ドット領域毎に表示が可能な構造になっている。
【0020】
データ線6aは、TFT30を構成する、例えばポリシリコン膜からなる半導体層1aのうち、後述のソース領域にコンタクトホール5を介して電気的に接続されており、画素電極9は、半導体層1aのうち、後述のドレイン領域にコンタクトホール8を介して電気的に接続されている。また、半導体層1aのうち、チャネル領域(図中左上がりの斜線の領域)に対向するように走査線3aが配置されており、走査線3aはチャネル領域に対向する部分でゲート電極として機能する。
【0021】
容量線3bは、走査線3aに沿って略直線状に延びる本線部(すなわち、平面的に見て、走査線3aに沿って形成された第1領域)と、データ線6aと交差する箇所からデータ線6aに沿って前段側(図中上向き)に突出した突出部(すなわち、平面的に見て、データ線6aに沿って延設された第2領域)とを有する。そして、図2中、右上がりの斜線で示した領域には、複数の第1遮光膜11aが設けられている。
【0022】
より具体的には、第1遮光膜11aは、各々、半導体層1aのチャネル領域を含むTFT30をTFTアレイ基板側から見て覆う位置に設けられており、さらに、容量線3bの本線部に対向して走査線3aに沿って直線状に延びる本線部と、データ線6aと交差する箇所からデータ線6aに沿って隣接する後段側(すなわち、図中下向き)に突出した突出部とを有する。第1遮光膜11aの各段(画素行)における下向きの突出部の先端は、データ線6a下において次段における容量線3bの上向きの突出部の先端と重なっている。この重なった箇所には、第1遮光膜11aと容量線3bとを相互に電気的に接続するコンタクトホール13が設けられている。すなわち、本実施の形態では、第1遮光膜11aは、コンタクトホール13によって前段あるいは後段の容量線3bに電気的に接続されている。
【0023】
また、図2に示すように、一つのドット領域内には反射膜20が形成されており、この反射膜20が形成された領域が反射表示領域Rとなり、その反射膜20が形成されていない領域、すなわち反射膜20の開口部21内が透過表示領域Tとなる。
【0024】
次に、図3に基づいて本実施の形態の液晶表示装置の平面構造及び断面構造について説明する。図3(a)は本実施の形態の液晶表示装置に備えられたカラーフィルタ層の平面構造を示す平面模式図で、図3(b)は図3(a)の平面図のうち赤色の着色層に対応する部分の断面模式図である。
【0025】
本実施の形態の液晶表示装置は、図2に示したようにデータ線6a、走査線3a、容量線3b等にて囲まれた領域の内側に画素電極9を備えてなるドット領域を有している。このドット領域内には、図3(a)に示すように一のドット領域に対応して3原色のうちの一の着色層が配設され、3つのドット領域(D1,D2,D3)で各着色層22B(青色),22G(緑色),22R(赤色)を含む画素を形成している。
【0026】
一方、図3(b)に示すように、本実施の形態の液晶表示装置は、TFTアレイ基板10とこれに対向配置された対向基板25との間に初期配向状態が垂直配向をとる液晶、すなわち誘電率異方性が負の液晶材料からなる液晶層50が挟持されている。TFTアレイ基板10は、石英、ガラス等の透光性材料からなる基板本体10Aの表面にアルミニウム、銀等の反射率の高い金属膜からなる反射膜20が絶縁膜24を介して部分的に形成された構成をなしている。上述したように、反射膜20の形成領域が反射表示領域Rとなり、反射膜20の非形成領域、すなわち反射膜20の開口部21内が透過表示領域Tとなる。このように本実施の形態の液晶表示装置は、垂直配向型の液晶層50を備える垂直配向型液晶表示装置であって、反射表示及び透過表示を可能にした半透過反射型の液晶表示装置である。
【0027】
基板本体10A上に形成された絶縁膜24は、その表面に凹凸形状24aを具備してなり、その凹凸形状24aに倣って反射膜20の表面は凹凸部を有する。このような凹凸により反射光が散乱されるため、外部からの映り込みが防止され、広視野角の表示を得ることが可能とされている。
【0028】
また、反射膜20上には、反射表示領域Rに対応する位置に絶縁膜26が形成されている。すなわち、反射膜20の上方に位置するように選択的に絶縁膜26が形成され、該絶縁膜26の形成に伴って液晶層50の層厚を反射表示領域Rと透過表示領域Tとで異ならしめている。絶縁膜26は例えば膜厚が2〜3μm程度のアクリル樹脂等の有機膜からなり、反射表示領域Rと透過表示領域Tとの境界付近において、自身の層厚が連続的に変化するべく傾斜面26aを備えた傾斜領域を有している。絶縁膜26が存在しない部分の液晶層50の厚みが4〜6μm程度とされ、反射表示領域Rにおける液晶層50の厚みは透過表示領域Tにおける液晶層50の厚みの約半分とされている。
【0029】
このように絶縁膜26は、自身の膜厚によって反射表示領域Rと透過表示領域Tとの液晶層50の層厚を異ならせる液晶層厚調整層(液晶層厚制御層)として機能するものである。また、本実施の形態の場合、絶縁膜26の上部の平坦面の縁と反射膜20(反射表示領域)の縁とが略一致しており、絶縁膜26の傾斜領域は透過表示領域Tに含まれることになる。
【0030】
そして、絶縁膜26の表面を含むTFTアレイ基板10の表面には、画素電極9として、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide, 以下、ITOと略記する)からなる第2電極92が反射表示領域Rに選択的に配設され、第2電極92上にはポリイミド等からなる配向膜27が形成されている。なお、本実施の形態では、反射膜20と画素電極9とを別個に設けて積層したが、反射表示領域Rにおいては金属膜からなる反射膜を第2電極として用いることも可能である。
【0031】
一方、透過表示領域Tにおいては、基板本体10A上に、画素電極9として、インジウム亜鉛酸化物(Indium zinc Oxide, 以下、IZOと略記する)からなる第1電極91が透過表示領域Tに選択的に配設され、第1電極91上にはポリイミド等からなる配向膜27が形成されている。
【0032】
ここで、画素電極9を構成する第1電極91及び第2電極92は、それぞれ電気伝導度が異なり、第2電極92が相対的に高い電気伝導度を具備して構成されている。したがって、本実施の形態の画素電極9は、TFTアレイ基板10の平面内において、電気伝導度が異なる領域(電極)を複数含む構成とされている。
【0033】
次に、対向基板25側は、ガラスや石英等の透光性材料からなる基板本体25A上(基板本体25Aの液晶層側)に、カラーフィルタ22(図3(b)では赤色着色層22R)が設けられた構成を具備している。ここで、着色層22Rの周縁はブラックマトリクスBMにて囲まれ、ブラックマトリクスBMにより各ドット領域D1,D2、D3の境界が形成されている(図3(a)参照)。
【0034】
そして、カラーフィルタ22の液晶層側には、ITO等の透明導電膜からなる共通電極31、ポリイミド等からなる配向膜33が形成されている。なお、本実施の形態では、TFTアレイ基板10、対向基板25の双方の配向膜27,33に対して、ともに垂直配向処理が施されている。
【0035】
次に、TFTアレイ基板10の外面側(液晶層50を挟持する面とは異なる側)には位相差板18及び偏光板19が、対向基板25の外面側にも位相差板16及び偏光板17が形成されており、基板内面側(液晶層50側)に円偏光を入射可能に構成されており、これら位相差板18及び偏光板19、位相差板16及び偏光板17が、それぞれ円偏光板を構成している。
【0036】
偏光板17(19)は、所定方向の偏光軸を備えた直線偏光のみを透過させる構成とされ、位相差板16(18)としてはλ/4位相差板が採用されている。なお、TFTアレイ基板10に形成された偏光板19の外側には透過表示用の光源たるバックライト15が設けられている。
【0037】
以上のような本実施の形態の液晶表示装置が発現する効果について図4及び図5を参照しつつ説明する。なお、図4は、電極9,31間の構成を拡大して示す要部拡大断面模式図、図5は画素電極9の平面構成を液晶分子の構成とともに模式的に示す説明図である。
【0038】
本実施の形態の液晶表示装置によると、液晶層50を挟持する基板の内面側(液晶層側)に形成した画素電極9及び共通電極31のうち、画素電極9を基板平面内で所定領域毎に電気伝導度の異なる電極(すなわち第1電極91及び第2電極92)にて構成したため、電圧印加時に、画素電極9において領域毎に電界の立ち上がり時間が異なるものとなる。この場合、まず第2電極92から電界が立ち上がるため、図4に示すように、第2電極92から第1電極91が形成された領域の共通電極31に対して斜め電界が生じることとなる。このような斜め電界が生じると、垂直配向していた液晶分子LC(図4中破線で示す)は、その斜め電界方向に交わる方向に倒れる方向(傾倒方向)が規制される。その結果、第2電極92の電界立ち上がり時には、該第2電極92が形成された領域の液晶分子LCは傾倒方向が斜め電界に沿って規制されることとなる。
【0039】
一方、第2電極92の電界立ち上がり後、第1電極91が立ち上がる際には、図5に示すように、該第1電極91が形成された領域の液晶分子LC2が、第2電極92が形成された領域の液晶分子LC1の傾倒方向に倣って倒れることとなる。これにより垂直配向型の液晶層50を具備した液晶表示装置において、電圧印加時の液晶分子の配向規制がなされ、確実に配向分割構造を実現することができるようになり、広視野角の表示を提供することが可能となる。
【0040】
したがって、本実施の形態の液晶表示装置では、電圧印加時の液晶分子の配向規制がなされるため、反射表示及び透過表示の双方において広視野角の表示を提供することが可能となる。また、液晶層厚調整層の存在によって反射表示領域の液晶層の厚みを透過表示領域の液晶層の厚みよりも小さくすることができるので、反射表示領域におけるリタデーションと透過表示領域におけるリタデーションを充分に近づける、もしくは略等しくすることができ、これによりコントラストの向上を図ることもでき、一層信頼性の高い液晶表示装置を提供することができるようになる。
【0041】
なお、画素電極9を第1電極91と第2電極92とにより構成することで、上述した液晶分子の配向規制を実現することは、本実施形態のような半透過反射型の液晶表示装置に限らず、透過型の液晶表示装置若しくは反射型の液晶表示装置についても適用可能で、垂直配向型の液晶層を具備していれば良い。また、液晶層厚調整層を有していない液晶表示装置についても、垂直配向型の液晶層を具備していれば、上述した液晶分子の配向規制を実現することが可能である。
【0042】
また、第1電極91と第2電極92との構成については、電気伝導度の違いがあれば良く、例えば同一材料のITOから構成し、インジウムと錫の含有率、若しくは酸素の含有率、または結晶性を適宜異ならせることで、電気伝導度をそれぞれ異ならしめることも可能である。さらに、第2電極92を反射表示領域Rに形成し、第1電極91を透過表示領域Tに形成する場合には、第2電極92として反射膜を兼ねた光反射性金属材料(例えばアルミニウム)を用いることができ、一方、第1電極91として該金属材料よりも電気伝導度の相対的に低い金属酸化物からなる導電材料(例えばITO)を用いることができる。この場合、反射膜を別途設ける必要がないためコスト削減に繋がることとなる。
【0043】
[第2の実施の形態]
以下、本発明の第2の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図6は、第2の実施の形態の液晶表示装置について、平面図及び断面図を示すもので第1の実施の形態の図3に相当する模式図である。本実施の形態の液晶表示装置の基本構成は第1の実施の形態と同様であり、画素電極9において第2電極92と第1電極91の占有面積がそれぞれ相違する点が第1の実施の形態と異なっている。したがって、図6においては図3と共通の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0044】
本実施の形態の場合、図6に示すように、第2電極92を具備する領域(反射表示領域R)の基板平面方向の面積が、第1電極91を具備する領域(透過表示領域T)の基板平面方向の面積よりも小さく構成されている。電気伝導度の高い第2電極92では、先に電界が立ち上がり、斜め電界によって液晶分子が配向規制されるが、該第2電極92の形成領域においては鉛直方向の電界が発生する領域も含まれ、この領域では液晶の配向乱れ(ディスクリネーション)が生じる惧れがある。したがって、本実施の形態のように、第2電極92の形成領域の占有面積を相対的に小さくすることで、ディスクリネーションの発生を一層抑制することが可能となる。
【0045】
[第3の実施の形態]
以下、本発明の第3の実施の形態を説明する。
図7は、第3の実施の形態の液晶表示装置について、平面図及び断面図を示すもので第1の実施の形態の図3に相当する模式図である。本実施の形態の液晶表示装置の基本構成は第1の実施の形態と同様であり、画素電極9を一の導電材料にて構成し、共通電極31を第1電極31a及び第2電極31bにて構成した点が異なっている。したがって、図7においては図3と共通の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0046】
本実施の形態の場合、図7に示すように、画素電極9を単一の電極材料(この場合、ITO)にて構成する一方、対向基板25側に配設した共通電極31を第1電極31a及び第2電極31bにて構成した。この場合、第2電極31bは相対的に電気伝導度の高い酸化亜鉛(ZnO)にて構成され、第1電極31aは相対的に電気伝導度の低いITOにて構成されており、第2電極31bは画素内において平面視渦巻状に第1電極31a内に組み込まれた形にて形成されている。したがって、反射表示領域Rと透過表示領域Tとにおいて異なる電極を配設した第1の実施の形態とは異なり、各領域R,T内においてそれぞれ異なる電気伝導度の電極を具備した構成となっている。
【0047】
このような構成の液晶表示装置においても、図8及び図9に示すように第1の実施の形態と同様な液晶分子の配向規制が行われる。なお、図8は、電極9,31(31a,31b)間の構成を拡大して示す要部拡大断面模式図、図9は画素電極9の平面構成を液晶分子の構成とともに模式的に示す説明図である。
【0048】
すなわち本実施の形態の液晶表示装置では、共通電極31を基板平面内で所定領域毎に電気伝導度の異なる電極(すなわち第1電極31a及び第2電極31b)にて構成したため、電圧印加時に、共通電極31において領域毎に電界の立ち上がり時間が異なるものとなる。なお、本実施の形態では、第1電極31aと第2電極31bは電気伝導度に大きな相違はないが、界面において異種材料による結晶性の乱れに起因する抵抗が存在するため第2電極31b側の電界が先に立ち上がることとなる。
【0049】
このように、まず第2電極31bから電界が立ち上がるため、図8に示すように、第2電極31bから第1電極31aが形成された領域の画素電極9に対して斜め電界が生じることとなる。このような斜め電界が生じると、垂直配向していた液晶分子LC(図8中破線で示す)は、その斜め電界方向に交わる方向に倒れる方向(傾倒方向)が規制される。その結果、第2電極31bの電界立ち上がり時には、該第2電極31bが形成された領域の液晶分子LCは傾倒方向が斜め電界に沿って規制されることとなる。
【0050】
一方、第2電極31bの電界立ち上がり後、第1電極31aが立ち上がる際には、図9に示すように、該第1電極31aが形成された領域の液晶分子LC2が、第2電極31bが形成された領域の液晶分子LC1の傾倒方向に倣って倒れることとなる。これにより、垂直配向型の液晶分子について電圧印加時の配向規制がなされ、確実に配向分割構造を実現することができるようになり、広視野角の表示を提供することが可能となる。
【0051】
[電子機器]
次に、本発明の上記実施の形態の液晶表示装置を備えた電子機器の具体例について説明する。
図10は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図10において、符号1000は携帯電話本体を示し、符号1001は上記液晶表示装置を用いた表示部を示している。このような携帯電話等の電子機器の表示部に、上記実施の形態の液晶表示装置を用いた場合、使用環境によらずに明るく、コントラストが高く、広視野角の液晶表示部を備えた電子機器を実現することができる。
【0052】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば上記実施の形態ではTFTをスイッチング素子としたアクティブマトリクス型液晶表示装置に本発明を適用した例を示したが、薄膜ダイオード(Thin Film Diode,TFD)をスイッチング素子としたアクティブマトリクス型液晶表示装置、パッシブマトリクス型液晶表示装置などに本発明を適用することも可能である。その他、各種構成要素の材料、寸法、形状等に関する具体的な記載は、適宜変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の液晶表示装置の等価回路図。
【図2】同、液晶表示装置のドットの構造を示す平面図。
【図3】同、液晶表示装置の要部を示す平面模式図及び断面模式図。
【図4】同、液晶表示装置の液晶層の構成を拡大して示す模式図。
【図5】同、液晶表示装置の画素電極の平面構成を示す説明図。
【図6】第2の実施の形態の液晶表示装置の要部を示す平面模式図及び断面模式図。
【図7】第3の実施の形態の液晶表示装置の要部を示す平面模式図及び断面模式図。
【図8】図7の液晶表示装置について液晶層の構成を拡大して示す模式図。
【図9】図7の液晶表示装置について画素電極の平面構成を示す説明図。
【図10】本発明の電子機器の一例を示す斜視図。
【符号の説明】
9…画素電極(透明電極)、10…TFTアレイ基板、20…反射膜、25…対向基板、31…共通電極(透明電極)、50…液晶層、91,31a…第1電極、92,31b…第2電極、R…反射表示領域、T…透過表示領域
Claims (6)
- 一対の基板間に液晶層を挟持してなる液晶表示装置であって、前記液晶層は、初期配向状態が垂直配向を呈する誘電異方性が負の液晶からなるとともに、前記一対の基板の液晶層側には透明電極が設けられ、そのうちの少なくとも一方の基板側の透明電極が、基板平面内の所定領域毎に電気伝導度が異なる構成とされていることを特徴とする液晶表示装置。
- 一対の基板間に液晶層を挟持してなり、1つのドット領域内に透過表示を行う透過表示領域と反射表示を行う反射表示領域とが設けられた液晶表示装置であって、
前記液晶層は、初期配向状態が垂直配向を呈する誘電異方性が負の液晶からなり、前記一対の基板のうちの少なくとも一方の基板と前記液晶層との間には、前記反射表示領域と前記透過表示領域とで前記液晶層の層厚を異ならせる液晶層厚調整層が少なくとも前記反射表示領域に設けられ、
前記一対の基板の液晶層側には透明電極が設けられ、そのうちの少なくとも一方の基板側の透明電極が、基板平面内の所定領域毎に電気伝導度が異なる構成とされていることを特徴とする液晶表示装置。 - 一対の基板間に液晶層を挟持してなり、1つのドット領域内に透過表示を行う透過表示領域と反射表示を行う反射表示領域とが設けられた液晶表示装置であって、
前記液晶層は、初期配向状態が垂直配向を呈する誘電異方性が負の液晶からなり、前記一対の基板のうちの少なくとも一方の基板と前記液晶層との間には、前記反射表示領域と前記透過表示領域とで前記液晶層の層厚を異ならせる液晶層厚調整層が少なくとも前記反射表示領域に設けられ、
前記一対の基板の液晶層側には透明電極が設けられ、そのうちの少なくとも一方の基板側の透明電極が、基板平面内の異なる領域毎に、電気伝導度が相対的に小さい第1電極と、電気伝導度が相対的に大きい第2電極とを含んでなり、該第1電極と第2電極とが異なる電極材料にて構成されていることを特徴とする液晶表示装置。 - 前記第2電極を具備する領域の基板平面方向の面積が、前記第1電極を具備する領域の基板平面方向の面積よりも小さく構成されていることを特徴とする請求項3に記載の液晶表示装置。
- 前記透明電極は、前記反射表示領域と前記透過表示領域とにおいて電気伝導度が異なることを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
- 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の液晶表示装置を備えたことを特徴とする電子機器。
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JP2003029417A JP2004240178A (ja) | 2003-02-06 | 2003-02-06 | 液晶表示装置および電子機器 |
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JP (1) | JP2004240178A (ja) |
-
2003
- 2003-02-06 JP JP2003029417A patent/JP2004240178A/ja active Pending
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