JP2004238935A - ヘドロ改良方法並びにヘドロ改良装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ヘドロ層を積極かつ計画的に圧密排水処理等して、掘削、運搬、捨て土または盛土や埋め戻しに転用可能な含水比と粘性強度を有する土質性状のヘドロに改良する。
【解決手段】ヘドロの含水比や強度を所定の値に設定し、かつ所定の期間にヘドロを所期の土質性状(含水比、強度、密度)に改良できるように圧密時間を設定する。そして、これらの設定値を基にして、ヘドロ層上に敷設した排水層上に、盛土によるヘドロ層の滑り破壊が生じないように、平面的、かつ段階的に盛土を行い、この盛土荷重によりヘドロ層を圧密沈下させてヘドロ層の強度を徐々に増加させることにより、掘削、運搬、捨て土または盛土や埋め戻しに転用可能な含水比と粘性強度を有する土質性状のヘドロに改良する。
【選択図】 図1
【解決手段】ヘドロの含水比や強度を所定の値に設定し、かつ所定の期間にヘドロを所期の土質性状(含水比、強度、密度)に改良できるように圧密時間を設定する。そして、これらの設定値を基にして、ヘドロ層上に敷設した排水層上に、盛土によるヘドロ層の滑り破壊が生じないように、平面的、かつ段階的に盛土を行い、この盛土荷重によりヘドロ層を圧密沈下させてヘドロ層の強度を徐々に増加させることにより、掘削、運搬、捨て土または盛土や埋め戻しに転用可能な含水比と粘性強度を有する土質性状のヘドロに改良する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、河川や湖沼などの水域にまたは人工的に構築したピットなどの溜めに沈降・堆積又は流入、投入されたヘドロ(またはこれに類する超軟弱粘性土)に含まれる水をヘドロの堆積場所で圧密排水などをして含水比を低下させ、希望する所要の土質性状に改良するヘドロ改良方法並びにヘドロ改良装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
河川、湖沼、池、海岸などの底部に沈降、堆積した淡水域ヘドロや海域ヘドロ、または上下水処理時に沈殿したヘドロ、あるいは建設工事の地下掘削や造成工事などの施工時に発生するヘドロの改良方法としては、ヘドロに固化剤を添加し攪拌して、ヘドロ自体を固化状態する方法、沈殿したヘドロの上部の水を排水し、ヘドロを振動フルイ機やフィルタープレスなどにより処理する方法、または合成樹脂製の線条材からなるネットの裏面に、水が透過させるものの、ヘドロ粒子等の土粒子の透過を阻止する不織布を固定した封止シートを、湖底や海底等に堆積しているヘドロ層の上面に敷設し、この封止シートの上面に圧密用土層を形成することにより、ヘドロを封じ込める方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−212929号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来のヘドロ固化方法では、ヘドロ固化剤が添加される関係上、固化処理されたヘドロは化学的に有害物質または産業廃棄物として認定されることがある。このため、この固化処理されたヘドロを撤去するために所定の場所に運搬したり、または他への転用(リサイクル)したり、あるいは土捨て(敷き均し、転圧)する場合に種々の問題が生じる。
また、固化処理されたヘドロ上に水を溜めたり、雨水等が固化処理されたヘドロ内に浸透したり、あるいは雨水が固化処理されたヘドロの表面を流れたりすると、水に溶け込んだ固化剤が地下水や地表水、河川、溜水などを汚染するおそれがある。特に、固化剤で汚染された水が混入する溜水や河川の水を農業用水として利用した場合には、育成される植物に有害物質が蓄積されるなどの悪影響が発生し、かつ、水中に生息する生物にも悪影響を及ぼすほか、土壌が汚染される懸念もある。
【0005】
また、上記特許文献1に示す従来のヘドロ処理方法は、湖沼、池、海岸などの水底に沈降・堆積した淡水域ヘドロや海域ヘドロ層上に封止シートを敷設し、この封止シート上に圧密荷重用土層を形成することによりヘドロを封じ込め、これにより、ヘドロの液状化や舞い上がりを防止し、かつ圧密荷重用土層の著しい沈下を防止するためのものであって、ヘドロ層を圧密排水または脱水処理によりヘドロの含水比を低下させて、ヘドロ自体の強度を高めるものではない。このため、ヘドロ自体は、依然として液状化のし易い、かつ舞い上がり易い土性値を有しており、ヘドロの掘削、運搬、捨て土などの処理は、ほとんど不可能であった。
また、振動フルイ機やフィルタープレスによって改良された改良ヘドロは一般に含水比が高く、強度が弱いため、法律により産業廃棄物に指定されることが多い。また、経済性が悪い場合も多い。
【0006】
本発明の目的は、ヘドロ層を積極かつ計画的に圧密排水処理等を行うことにより、掘削、運搬、捨て土または土地造成のための盛土や埋め戻しに転用可能な含水比と強度などを有する土質性状のヘドロに改良できるようにしたヘドロ改良方法並びヘドロ改良装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、海域、河川、湖沼、池等に堆積されたヘドロや溜め内に沈降・堆積されたヘドロ層を圧密排水して所要の土質性状に改良するヘドロ改良方法であって、圧密排水前の堆積ヘドロ層に対する改良後の力学特性値(強度、支持力等)、物理特性値(含水比、密度等)の目標値と前記堆積ヘドロ層をこれら目標値に到達させるのに必要な圧密荷重、期間をそれぞれ設定する目標設定工程と、前記ヘドロ層中のヘドロ粒子の流入を阻止し、かつ水の流入を許すとともに該流入した水を排出する所要の排水能力を有する排水シートを前記ヘドロ層の上面の少なくとも一部及び該ヘドロ層の上面から外れた周辺領域の少なくとも一部が覆われるように少なくとも1層に敷設して排水層を構築する排水層敷設工程と、圧密排水前の前記堆積ヘドロ層の厚さとその力学特性値及び物理特性値を基に該ヘドロ層が盛土荷重で滑り破壊されることなく支持し得る初期支持力と前記排水層が盛土荷重で破壊されることなく支持し得る支持力との総和又はそれ以下の荷重に相当する盛土を前記ヘドロ層の周辺領域を除く前記排水層上に載荷してヘドロ層の圧密排水を行う初期盛土工程と、前記初期盛土工程での盛土荷重によりヘドロ層が前記排水層を通して圧密排水されることで圧密沈下される該ヘドロ層の圧密沈下量(圧密度)を求め、この圧密沈下量(圧密度)から各圧密段階での圧密進行に伴う該ヘドロ層の強度増加を考慮した該ヘドロ層の力学特性値及び物理特性値値が目標値に到達したかを判断するとともに該ヘドロ層の力学特性値及び物理特性値値が目標値に到達しない時は圧密時間を延長するか又は前記排水層上に載荷される盛土の厚さをヘドロ層に滑り破壊が生じない程度に逐次増加し、当該盛土の増加工程を前記ヘドロ層の力学特性値および物理特性値値が目標値に達するまで繰り返し行う盛土繰り返し工程とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明にかかるヘドロ改良方法においては、ヘドロの力学特性値、圧密特性値(体積圧縮係数、圧密係数、強度増加係数など)、物理特性値を所定の値に設定し、かつ所定の期間にヘドロを所期の土質性状(含水比、強度、密度など)に改良できるように盛土荷重と圧密時間を設定し、そして、これらの設定値を基にして、ヘドロ層上に敷設した排水層上に、盛土によるヘドロ層の滑り破壊が生じないように、平面的、かつ段階的に盛土を行い、この盛土荷重によりヘドロ層を圧密沈下させてヘドロ層の含水比を低減し、且つその強度を徐々に増加させる。
これにより、ヘドロ層を積極かつ計画的に圧密排水処理できるとともに、ヘドロ上に所定高の盛土の構築が可能であり、かつ、ヘドロを掘削、運搬、捨て土または盛土や埋め戻しに転用可能な含水比と強度などを有する土質性状のヘドロに改良することができる。
【0009】
また、本発明は、ヘドロを所要の土性値に改良するヘドロ改良装置であって、人工的に構築されたピットと、前記ピット内の側壁面及び底面の少なくとも側壁面に沿い敷設され、ヘドロ中のヘドロ粒子の流入を阻止するとともに水の流入を許し、かつ流入した水を排出する所要の排水能力を有する第1排水層と、前記ピット内にヘドロが所定の高さに貯留した後の該ヘドロ層の上面の少なくとも一部が覆われるように、かつ前記第1排水層に連接するようにして敷設され、ヘドロ中のヘドロ粒子の流入を阻止するとともに水の流入を許し、かつ流入した水を排出する所要の排水能力を有する第2排水層と、前記第2排水層の上方から前記ヘドロ層に圧密荷重をかけて該ヘドロ層の間隙水を前記第1及び第2排水層から前記ピット外へ排出して該ヘドロ層を所要の圧密度(強度、含水比など)を持つ土質性状に変質させる圧密荷重手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明にかかるヘドロ改良装置においては、ピットの側壁面及び底面の少なくとも側壁面に沿い第1排水層を敷設し、このピット内に貯留堆積させたヘドロ層の上面に第2排水層を敷設した後、所定の厚さに盛土を行い、この盛土荷重によりヘドロ層を圧密沈下させてヘドロ層の含水比を低減し、且つその強度を増加させる。
これにより、ヘドロ層を積極かつ計画的に圧密排水処理でき、ヘドロを掘削、運搬、捨て土または盛土や埋め戻しに転用可能な含水比と強度など有する土質性状のヘドロに改良できる。
【0011】
また、本発明は、ヘドロを所要の土性値に改良するヘドロ改良装置であって、側壁面及び底面に多数の排水孔がそれぞれ形成され上面が開口されたヘドロ収容体と、前記ヘドロ収容体内の側壁面及び底面に沿い敷設され、ヘドロ中のヘドロ粒子の流入を阻止するとともに水の流入を許す所要の排水能力を有する第1排水層と、前記ヘドロ収容体内にヘドロが所定の高さに貯留した後の該ヘドロ層の上面の少なくとも一部が覆われるように、かつ前記第1排水層に連接するようにして敷設され、ヘドロ中のヘドロ粒子の流入を阻止するとともに水の流入を許し、かつ流入した水を排出する所定の排水能力を有する第2排水層と、前記第2排水層の上面を覆う非通気性の防水シートと、前記ヘドロ収容体の上面開口を気密状態に閉鎖する蓋体と、前記蓋体で閉鎖された前記ヘドロ収容体の上部閉鎖空間に圧縮空気などを供給することにより前記防水シートを含む第2排水層の上方から前記ヘドロ層を圧縮荷重して該ヘドロ層の圧密水を前記第1及び第2排水層から前記ヘドロ収容体外へ排出して該ヘドロ層を所要の圧密度(強度、含水比など)を持つ土質性状に変質させる圧密荷重手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明にかかるヘドロ改良装置においては、多数の排水孔を有するヘドロ収容体の側壁面及び底面に沿い第1排水層を敷設し、このヘドロ収容体に貯留堆積させたヘドロ層の上面に第2排水層を敷設した後、ヘドロ収容体の上面開口に加圧盤を嵌合し、この加圧盤を加圧手段により動作して、ヘドロ層を上面から第2排水層を介して圧縮荷重し、ヘドロ層を圧密沈下させることでヘドロ層の含水比を低減し、且つその強度を増加させる。
これにより、ヘドロ層を積極かつ計画的に圧密排水処理でき、ヘドロを掘削、運搬、捨て土または盛土や埋め戻しに転用可能な含水比と強度等を有する土質性状のヘドロに改良することができる。
【0013】
また、本発明は、ヘドロを所要の土性値に改良するヘドロ改良装置であって、側壁面及び底面に多数の排水孔がそれぞれ形成され上面が全開状態に開口されたヘドロ収容体と、前記ヘドロ収容体内の側壁面及び底面に沿い敷設され、ヘドロ中のヘドロ粒子の流入を阻止するとともに水の流入を許す所要の排水能力を有するの第1排水層と、前記ヘドロ収容体内にヘドロが所定の高さに貯留した後の該ヘドロ層の上面全域が覆われるように、かつ前記第1排水層に連接するようにして敷設され、ヘドロ中のヘドロ粒子の流入を阻止するとともに水の流入を許し、かつ流入した水を排出する所定の排水能力を有するの第2排水層と、前記ヘドロ収容体の開口に上下動可能に嵌合された加圧盤と、前記加圧盤を上方から下方に向けて動作させることにより前記第2排水層の上方から前記ヘドロ層を圧縮荷重して該ヘドロ層の圧密水を前記第1及び第2排水層から前記ヘドロ収容体外へ排出して該ヘドロ層を所要の圧密度(強度、含水比など)を持つ土質性状に変質させる加圧手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
本発明にかかるヘドロ改良装置においては、多数の排水孔を有するヘドロ収容体の側壁面及び底面に沿い第1排水層を敷設し、このヘドロ収容体に貯留堆積させたヘドロ層の上面に第2排水層を敷設した後、ヘドロ収容体の上面開口に加圧盤を嵌合し、この加圧盤を加圧手段により動作して、ヘドロ層を上面から第2排水層を介して圧縮荷重し、ヘドロ層を圧密沈下させることでヘドロ層の含水比を低減し、且つその強度を増加させる。
これにより、ヘドロ層を積極かつ計画的に圧密排水処理でき、ヘドロを掘削、運搬、捨て土または盛土や埋め戻しに転用可能な含水比と強度などを有する土質性状のヘドロに改良することができる。
【0015】
また、本発明は、ヘドロを所要の土性値に改良するヘドロ改良装置であって、ヘドロ投入チャンバーと、前記ヘドロ投入チャンバーから所定の距離離して設けられた改良ヘドロ排出チャンバーと、前記ヘドロ投入チャンバーと改良ヘドロ排出チャンバーとの間に差し渡し状態に配設され、多数の排水孔が外周壁の全域に亘り形成された所定長さの内部筒体と、前記内部筒体の外周に所定の隙間をおいて同心に、かつ前記ヘドロ投入チャンバーと改良ヘドロ排出チャンバーとの間に差し渡し状態に配設され、多数の排水孔が外周壁の全域に亘り形成された所定長さの外部筒体と、前記内部筒体の外周壁面と前記外部筒体の内周壁面との間に形成される隙間内に該隙間内が充填されるように両筒体の全長に亘り設けられ、ヘドロ中のヘドロ粒子の流入を阻止するとともに水の流入を許す排水層と、前記ヘドロ投入チャンバーから前記内部筒体内を通して前記改良ヘドロ排出チャンバーに達する長さを有するとともに前記内部筒体の軸線を中心にして回転可能に支持され、かつ前記ヘドロ投入チャンバーから前記改良ヘドロ排出チャンバーに行くに従いピッチが順次小さくなる螺旋羽根を有するヘドロ圧密用スクリューと、前記ヘドロ圧密用スクリューを駆動する駆動手段とを備えることを特徴とする。
【0016】
本発明にかかるヘドロ改良装置においては、ヘドロ圧密用スクリューを低速回転することにより、ヘドロ投入チャンバー内のヘドロを内部筒体に沿って改良ヘドロ排出チャンバー側へ徐々に移動し、これと同時に内部筒体内のヘドロを改良ヘドロ排出チャンバー側へ行くに従いヘドロに作用する圧縮力が徐々に増大して、その圧密度を増大させるとともに、ヘドロ中の間隙水圧を上昇することにより、ヘドロ中の圧密された水を内部筒体の排水孔を通して排水層に流入し、この流入水を排水層から外部筒体の排水孔を通して排出する。
これにより、所要の強度と含水比等を有するヘドロに連続して改良処理できるとともに、ヘドロを掘削、運搬、捨て土または盛土や埋め戻しに転用可能な含水比と強度等を有する土性値のヘドロに改良することができる。
【0017】
また、本発明は、海域、河川、湖沼、池等に堆積されたヘドロや溜め内に沈降・堆積されたヘドロ層を圧密排水して所要の土質性状に改良するヘドロ改良方法であって、前記ヘドロ層中のヘドロ粒子の流入を阻止し、かつ水の流入を許すとともに該流入水をヘドロ層上面へ誘導する排水ドレーン部材を前記ヘドロ層の全堆積領域の任意複数箇所に少なくともヘドロ層の上面から前記湖沼、池、溜め等の底部に達するように鉛直に敷設する排水ドレーン部材敷設工程と、前記ヘドロ層中のヘドロ粒子の流入を阻止し、かつ水の流入を許すとともに該流入水をヘドロ層外へ排出する所要の排水能力を有する排水シートを前記ヘドロ層の上面の少なくとも一部及び該ヘドロ層の上面から外れた周辺領域の少なくとも一部が覆われるように少なくとも1層に敷設して排水層を構築する排水層敷設工程と、前記ヘドロ層の周辺領域を除く前記排水層上に盛土してヘドロ層中の間隙水を前記排水ドレーン部材及び排水層を通し圧密排水するとともに該圧密排水によるヘドロ層の圧密沈下量(圧密度)に応じて前記排水層上に載荷される盛土の厚さをヘドロ層に滑り破壊が生じない程度に逐次増加させる盛土工程とを備えることを特徴とする。
【0018】
本発明にかかるヘドロ改良方法においては、排水ドレーン部材をヘドロ層の全堆積領域の任意複数箇所に所定の間隔を離して鉛直に敷設し、さらに、このヘドロ層上に敷設した排水層上に、ヘドロ層の滑り破壊が生じないように盛土を行うことにより、この盛土荷重でヘドロ層を圧密沈下させ、そして、この圧密沈下に伴うヘドロ層中の間隙水を排水ドレーン部材及び排水層を通してヘドロ層外へ排出することにより含水比を低減し、その強度を増加させる。
これにより、ヘドロ層を積極かつ計画的に圧密排水処理できるとともに、ヘドロ上に所定高の盛土の構築が可能であり、かつ、ヘドロを掘削、運搬、捨て土または盛土や埋め戻しに転用可能な含水比と強度などを有する土質性状のヘドロに改良することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明にかかるヘドロ改良方法の工程手順を示す工程説明図、図2は本発明方法によるヘドロの改良過程を示す説明用断面図である。
【0020】
図2において、12は地山13に構築されている農業用水などの溜池、14Aは溜池12の底面に層状に堆積されたヘドロ層(またはこれに類する超軟弱粘性土)であり、このヘドロ層14Aを本発明方法により改良する場合について、図1〜図4を参照して説明する。
【0021】
溜池12の底面に堆積されたヘドロ層14Aを所要の土性値に改良するに際しては、まず、溜池12の底面に堆積されたヘドロ層14A上に貯まっている水を排出し、図2(A)に示すように、ヘドロ層14Aの天端が露出される程度の水位にまで下げる。
次に、図1に示す測定工程100において、溜池12に堆積されている改良前のヘドロ層14Aの堆積厚さ及び力学特性値(強度、支持力等)、物理特性値(含水比等)、圧密特性(体積圧縮係数、圧密係数、強度増加係数等)及び、ヘドロ層14Aの下方に堆積する排水層と見なし得る透水層の有無とその位置をヘドロ層の室内試験及び現場で測定又は、観察により設定する。次の目標設定工程101では、前記測定工程100でのヘドロ層14Aの厚さ及び土性値(強度、含水比など)の設定値(初期の)を基に、改良後のヘドロ層の支持力(強度)、含水比及び密度等がヘドロの掘削、運搬、転用、土捨てなどに必要な土質性状になるようにヘドロ層の支持力及び含水比等の目標値を予め設定し、かつ堆積ヘドロ層14Aをこれら目標値に到達させるのに必要な圧密荷重、圧密期間を設定する。この場合、荷重が大きいと期間が短くなる。期間に制約がある場合が多いので荷重を調節する場合が多い。
【0022】
次いで、図1に示す排水層敷設工程102では、図2(B)に示すように、ヘドロ層14A中のヘドロ粒子の流入を阻止し、かつ水の流入を許すとともに該流入した水を排出する所要の排水能力(透水係数×層厚×動水勾配)の排水シート151をヘドロ層14Aの上面全域14D及び該ヘドロ層14Aの上面から外れた周辺領域14E(地山13に相当する領域)が覆われるように少なくとも1層敷設して、厚さが10mm程度の排水層15を構築する。
【0023】
ここで、排水層15を、例えば上下2層の排水シート151により構築する場合は、下層の排水シート151と上層の排水シート151とを互いに直交する方向に重ねて敷設する。
また、このヘドロ層14Aの圧密排水に使用する排水層15の設計に際しては、排水シート151の透水係数と排水シート151の一層当りの残留層厚と排水シート151の層数とから通水性能(透水係数×層厚)を算定し、排水層での動水勾配(排水シート内の間隙水圧を排水距離で除した値)を乗じて排水層15の排水能力を算定し、この排水能力が圧密排水されるヘドロ層14Aからの総流入水量以上になるように、盛土荷重(応力)とヘドロ層14Aの圧密特性を考慮し、かつヘドロから排水層15に流入する単位面積・単位時間当りの排水量を考慮して、排水層15を構築する排水シート151の排水材の種類の選定とその厚さ及び積層枚数を設定する。
また、排水層15の排水シート151には、不織布系、その他のジオテキスタイル等、またはジオテキスタイル構造の場合、織布、不織布、有孔膜体、板状フィルタの単体またはこれらの複合体からなるものが使用される。
【0024】
次に、図1に示す初期盛土工程(第1層の盛土工程)103において、図2(C)に示すように、圧密排水前の堆積ヘドロ層14Aの 初期支持力と排水層15の引張抵抗による支持力との総和が盛土荷重で破壊されることなく支持し得る荷重に相当する盛土16Aをヘドロ層14Aの周辺領域14Eを除く排水層15上に載荷してヘドロ層14Aの圧密排水を行う。
なお、排水層15は、圧密排水された後の改良ヘドロ中から排水層15を引き抜く時に、この引張り力に耐え得る強度のものにすることが望ましい。
この初期盛土工程103では、まず、図2(C)に示すように、排水層15によるハンモック効果を発揮できるように、排水層15の上面に部分的に分けて盛土を行い、しかる後、盛土の施されていない箇所の排水層15上に逐次盛土を行う。これにより、排水層15上に第1層目の盛土16Aが行われる。この場合、図2(C)に示す数字は、部分的に逐次行われる盛土16Aの施工順序を表している。また、第1層目の盛土16Aの厚さは30〜50cm程度である。
【0025】
前記初期盛土工程103において、ヘドロ層14A上に排水層15を介して第1層目の盛土16Aが載荷されると、この初期盛土による荷重力でヘドロ層14A中の間隙水圧が上昇する。これにより、ヘドロ層14A中の間隙水は排水層15に流入し、盛土16Aの載荷領域から外れたヘドロ層14Aの周辺領域14Eと対向する排水層15の部分からヘドロ層14A外へ排水される。また、ヘドロ層14A中の圧密水の一部は、ヘドロ層14Aの下層に排水層となる砂や礫層が堆積する場合にはこの排水層に排出される。これにより、ヘドロ層14A中の間隙水の量と水圧は時間の経過と共に減少し、ヘドロ層14A自体は図2(D)に示すように圧密沈下される。このように圧密沈下されたヘドロ層14Bは、その圧密度が上昇し、かつヘドロ粒子間の有効応力が増加するため、このヘドロ層14Bの強度(支持力)はヘドロ層14Aのそれよりも増大する。この時のヘドロの強度増加量は、ヘドロの種類により異なるものの、盛土による増加応力の圧密完了応力分(増加応力×圧密度)の0.3〜0.5倍程度となる。
【0026】
次に、図1に示す圧密沈下量測定・判定工程104に移行して、前記初期盛土荷重により圧密排水されたヘドロ層14Bの圧密沈下量(圧密度)を測定し、この圧密沈下量からヘドロ層14Bの土性値(強度、支持力、含水比等)が目標値に到達したかを判断する。ここで、ヘドロ層14Bの土性値(強度、支持力、含水比等)が目標値に到達しない場合は、ヘドロ層14Bの圧密度が所定の値まで進行するまで圧密時間を延長するか、又は次の盛土増加工程105において、排水層15上に載荷される盛土の高さを増加させる。
すなわち、図2(E)に示すように、第1層目の盛土16Aの上に、前記初期盛土荷重時の圧密により支持力の増加されたヘドロ層14Bに滑り破壊が生じない程度の高さに第2層目の盛土16Bを積み上げて載荷し、ヘドロ層14Bへの盛土荷重を増加させる。これにより、ヘドロ層14B中の間隙水は時間の経過と共に更に減少し、ヘドロ層14B自体も図2(F)に示すように更に圧密沈下される。このように圧密沈下されたヘドロ層14Cの圧密度が更に上昇し、その強度(支持力)等もヘドロ層14Bのそれよりも増大する。
【0027】
次に、図1に示す圧密沈下量測定・判定工程104に移行し、第2層目の盛土16Bを載荷した後のヘドロ層14Bの圧密沈下量(圧密度)を測定し、この圧密沈下量からヘドロ層14Bの土性値(強度、支持力、含水比等)、が目標値に到達したかを判断する。ここで、ヘドロ層14Bの土性値(強度、支持力、含水比等)、が目標値に到達しない場合は、再度、盛土増加工程105に移行し、排水層15上に載荷される盛土の高さを更に増加させる。
すなわち、図2(F)に示すように、第2層目の盛土16Bの上に、この盛土16Bによる圧密排水で強度、支持力等の増大されたヘドロ層14Cに滑り破壊が生じない程度の高さまで第3層目の盛土16Cを積み上げて載荷し、ヘドロ層14Cへの盛土荷重を増加させてヘドロ層14Cを更に圧密沈下させる。
【0028】
以下同様にして、ヘドロ層に対し、その土性値(強度、支持力、含水比等)が目標値に到達するまで、上記圧密沈下量測定・判定工程104と盛土増加工程105を繰り返し実施する。そして、ヘドロ層の土性値(強度、支持力、含水比等)が目標値に到達したならば、ヘドロの改良処理が終了する。
なお、上記圧密沈下量測定・判定工程104と盛土増加工程105は、請求項に記載した盛土繰り返し工程を構成する。
また、本発明における圧密沈下量は、ヘドロ層の圧密沈下量を直接測定する方式に限らず、ヘドロ層の圧密特性を予め試験で設定し、この圧密特性と圧密理論に基づいて算定した圧密時間から圧密沈下量を求め、これにより、各段階盛土後の所定目標値に達したか否かを予測することが可能である。
また、目標値設定工程において、堆積ヘドロ層の圧密特性(体積圧縮係数、圧密係数、強度増加係数、等)を設定し、各盛土荷重の圧密沈下速度、圧密時間並びに、各盛土荷重の圧密段階(圧密度)におけるヘドロ層の強度などを予め予測することが可能である。
【0029】
このように本実施の形態におけるヘドロ改良方法では、ヘドロの含水比や強度等を所定の値に設定し、かつ所定の期間にヘドロを所期の土性値(含水比、強度、密度等)に改良できるように圧密時間を設定し、そして、これらの設定値を基にして、ヘドロ層上に敷設した排水層15上に、盛土によるヘドロ層の滑り破壊が生じないように、平面的、かつ断面的に段階的に盛土を行い、この盛土荷重によりヘドロ層を圧密沈下させてヘドロ層の強度を徐々に増加させるようにしたので、ヘドロを掘削、運搬、捨て土または盛土や埋め戻しに転用可能な含水比と強度等を有する土質性状のヘドロに改良することができる。
なお、この発明のヘドロ改良方法において、ヘドロ層上に敷設される排水層15は、ヘドロ層の上面全域に敷設する必要がなく、排水層15をヘドロ層の上面に部分的に敷設する方式でもよい。
【0030】
次に、本発明方法によるヘドロ改良の実施例について述べる。
溜池12の底部に1.0mの厚さに堆積されたヘドロ層14Aを盛土荷重により圧密排水して、掘削、運搬、捨て土または盛土や埋め戻しに転用可能な含水比と粘性強度を有する土性値のヘドロに改良する場合は、ヘドロ層14Aの厚さ1.0mの時、その層厚の20%の圧密沈下が生じると設定し、ヘドロ層14Aの最終沈下量を20cmとした。
【0031】
また、この時のヘドロ層14Aの圧密時間は、ヘドロ層14Aの厚さが1.0mの場合、その圧密沈下時間tは次式与えられる。
t=Tv・(H2)/Cv
ここで、Tv;時間係数、H;ヘドロ層厚、Cv;圧密係数である。また、へドロの土質から、Cv=1000〜1500cm2/dayであることから安全側の値を設定して、Cv=1000cm2/dayを設定する。そして、ヘドロ層14Aの下層に排水層となり得る土層が無かったのでヘドロ層は片面排水条件とした。また、圧密度90%を考えると、Tv=0.85となり、
となる。
【0032】
また、圧密度90%と設定した理由は、盛土の許容残留沈下量を3cm以下に設定したとき、圧密度U=(20−3)/20×100=85%<90%になるからである。したがって、ヘドロ層14A上に排水層15を介して盛られる盛土の高さを次のように設定した。
ここで、プレロード荷重p=16.5×0.6≒10KN/m2である。
【0033】
以上の結果から、厚さ1.0mのヘドロ層を盛土荷重による圧密排水で圧密沈下する場合の盛土高さ、ヘドロ層の最終沈下量及び90%圧密時間はそれぞれ下記のように設定される。
盛土高さ 2m
最終沈下量 20cm
90%圧密時間 10日
【0034】
このような設定値を基にして、本発明のヘドロ改良方法により、厚さ1.0mのヘドロ層を盛土荷重により圧密沈下させた時の方法を実行した時のヘドロ層の最終沈下量、沈下時間及び圧密度の実測値はそれぞれ下記のようになった。
最終沈下量 20cm(沈下データより双曲線法により算定)
沈下時間 12日
圧密度 97%(残留沈下量0.6cm)
【0035】
以上のことから、ヘドロを所定の期間に所要の土性値(含水比、強度、密度等)に改良し、この改良ヘドロを掘削して撤去するために所定の場所に運搬し、または他への転用(リサイクル)や土捨て(敷き均し、転圧)が可能となる。この場合、掘削、運搬、転用、土捨てを行うために必要な土性値で、かつ改良ヘドロは産業廃棄物の規定に抵触しない土性値に設定できる。これによって、改良ヘドロの経済的、かつ効果的な捨て土や転用などが可能になり、かつ堆積した改良ヘドロを効率的に撤去することが可能になる。
また、このような改良したヘドロ上に盛土を行うことにより、土地造成を合理的、経済的に行うことができるほか、改良したヘドロの堆積地域におけるヘドロ層の封じ込めによる環境の向上や環境機能の回復、水の浄化を効率的に行うことができる。
また、盛土、圧密の繰返しの各段階において、ヘドロ層(盛土)の沈下量の測定やヘドロ層の土質試験、または圧密時間によりヘドロ層の圧密度(強度、含水比等)を施工管理として実施することで、設計値と現場での土性値との対比、確認が可能であり、合理的且つ、計画的な管理ができる。
【0036】
次に、本発明のヘドロ改良方法に適用される排水層の実施の形態について図面を参照して説明する。
図3は本発明のヘドロ改良方法に適用される排水層の第2の実施の形態を示す一部の説明用拡大断面図である。
この図3に示す排水層15は、排水層15の厚さ方向に中間部、例えば下層排水シート151aと上層排水シート151bとの間に、合成樹脂製等の線条体またはこの線条体を網目状に編んだネット、不織布、織布、割繊維不織布などからなる張力増強材152を排水層15に全域に亘り平面状に配設したものである。
【0037】
このような第2の実施の形態を示す排水層15においては、排水層15自体の盛土荷重に対する支持力が増強され、同時にヘドロ層の支持力も増大されるため、この排水層15を介してヘドロ層上に載荷される1回の盛土の厚さを大きくできる。これに伴い、ヘドロ層を目標の圧密度及び土性値(強度、含水比、等)に改良させるための盛土の回数を削減できるとともに、沈下時間も短縮することができる。
【0038】
図4は本発明のヘドロ改良方法に適用される排水層の第3の実施の形態を示す一部の説明用拡大断面図である。
この図4に示す排水層15は、これを構成する排水シート151の上面に、合成樹脂製等の線条体またはこの線条体を網目状に編んだネット、織布、不織布、割繊維不織布などからなる張力増強材153を排水シート151に全域に亘り平面状に配設し、これにより、排水層15の盛土荷重に対する支持力を増強するように構成したものである。
このような第3の実施の形態に示す排水層においても、上記第2の実施の形態と同様な作用効果が得られる。
【0039】
図5は本発明のヘドロ改良方法に適用される排水層の第4の実施の形態を示す一部の説明用拡大断面図である。
この図5に示す排水層15は、これを構成する排水シート151の下面に、合成樹脂製等の線条体またはこの線条体を網目状に編んだネット、織布、不織布、割繊維不織布などからなる張力増強材154を排水シート151に全域に亘り平面状に配設し、これにより、排水層15の盛土荷重に対する支持力を増強するように構成したものである。
このような第4の実施の形態に示す排水層においても、上記第2の実施の形態と同様な作用効果が得られる。
【0040】
図6は本発明のヘドロ改良方法に適用される排水層の第5の実施の形態を示す一部の説明用拡大断面図である。
この図6に示す排水層15は、これを構成する排水シート151の上下両面に、合成樹脂製等の線条体またはこの線条体を網目状に編んだネット、織布、不織布、割繊維不織布などからなる張力増強材155,156を排水シート151に全域に亘り平面状に配設し、これにより、排水層15の盛土荷重に対する支持力を増強するように構成したものである。
このような第5の実施の形態に示す排水層においても、上記第2の実施の形態と同様な作用効果が得られる。
なお、図3〜図6に示す排水層15は、引張り増強材と排水シートとを予め組み合わせることで構成する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、現地において、引張り増強材及び排水シートを別々に敷設することにより、排水層15を構成するようにしてもよい。
【0041】
次に、図7及び図8により本発明のヘドロ改良方法に適用される排水層の第6の実施の形態について説明する。
図7は本発明の第6の実施の形態における排水層の一部を示す説明用平面図、図8は図7のA−A線に沿う拡大断面図である。
この図7及び図8に示す排水層15は、上下2層に重ね合わせた、ジオテキスタイルなどからなる上層排水シート157a及び下層排水シート157bと、この上層排水シート157aと下層排水シート157bとの間にその長尺方向の全長に亘り延在するように排水シートの短尺方向に所定の間隔離して配設された可撓性の有孔排水パイプ158とから構成される。この有孔排水パイプ158には、ヘドロ層からの圧密水が流入される多数の圧密水流入孔が有孔排水パイプ158の全域に亘り形成されている。
なお、この場合、有孔排水パイプ158に代えて、通水性の大きいジオテキスタイル等の排水路等を排水層15内に配設するようにしてもよい。
【0042】
このように構成された排水層15において、盛土荷重によるヘドロ層14への圧密作用によりヘドロ層14から湧出する圧密水は、図8の矢印81に示すように排水層15内に流入し、この流入水のほとんどは排水層15内を図8の矢印82に示す平面方向に流動して有孔排水パイプ158内に流入し、この有孔排水パイプ158を通してヘドロ層14外へ排出される。さらに、排水層15への流入水の一部は排水層15内を図7の矢印84(図8の矢印85)に流動して排水層15からヘドロ層14外へ排出される。
【0043】
このような排水層15では、有孔排水パイプ158を有することにより、排水層15の排水能力を向上できる。また、有孔排水パイプ158の配置間隔及び径(又は排水路の通水性能)を変えることにより、排水層の排水能力を調整することができる。
なお、この図7及び図8に示す排水層15においても、上記図3ないし図6に示す場合と同様に張力増強材を設けるようにしてもよい。
また、上記図7及び図8では、排水層15を上層排水シート157aと下層排水シート157bの二層構造にし、この排水層15を上層排水シート157aと下層排水シート157bとの間に有孔排水パイプ158を配設した場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、有孔排水パイプ158を排水シートの上面または下面に配置し、この有孔排水パイプ158を含む有孔排水パイプ配置領域のみを、盛土やヘドロの土粒子が流入しないように排水シートで覆うようにしてもよい。
【0044】
次に、本発明にかかるヘドロ改良装置の実施の形態について図面を参照して説明する。
図9は本発明にかかるヘドロ改良装置の第1の実施の形態を示す説明用断面図である。
この第2の実施の形態に示すヘドロ改良装置90は、建設現場等から発生するヘドロを現場において、直接所要の土性値に改良できるようにした汎用タイプのヘドロ改良プラントであり、地山91に人工的に構築されたヘドロ処理用のピット92と、このピット92の垂直四周壁を構築するコンクリート製などの土止め壁921及びピット92の底面を構築するコンクリート製などの底部922の全域が覆われるように敷設された第1排水層93と、第1排水層93が敷設されたピット92内の貯留ヘドロの中間に水平方向に延在して敷設される中間排水層94(請求項の第3排水層に相当する)と、前記第1排水層93に連接され、ピット92内の貯留ヘドロの上面を覆うように敷設される第2排水層95と、ピット92内の貯留ヘドロ層を所要の圧密度と強度、含水比等を持つ土性値に変質させるように第2排水層95上に載荷される盛土96とから構成される。
また、ピット92の底面はコンクリート製に限らず、他の材料又は地盤面であってもよい。
【0045】
なお、前記盛土96は、請求項に示す圧密荷重手段を構成するものである。また、前記第1排水層93、第2排水層95及び中間排水層94はジオテキスタイルなどからなり、ヘドロ中のヘドロ粒子の流入を阻止するとともに水の流入を許し、かつ流入した水をピット92外へ誘導排出するものである。
【0046】
このようなヘドロ改良装置90を利用して、建設現場等から発生するヘドロを所要の土性値に改良する場合について説明する。
この場合は、まず、ピット92内の側壁面及び底面に第1排水層93を全域に亘り敷設する。次に、内側を第1排水層93で覆ったピット92内に建設現場等から発生するヘドロを所定のレベルまで投入する。その後、このヘドロ層97Aの上面全域に中間排水層94をヘドロ層97Aの水平方向に延在して、ピット92の側壁面に対向する第1排水層93に連通するように敷設する。次いで、上記中間排水層94上に更にヘドロを所定のレベルまで投入し、このヘドロ層97Bの上面全域が覆われるように、第1排水層93と連接された第2排水層95を折り返すことで敷設する。次に、上記第2排水層95上に所定の高さに盛土96を施して、ヘドロ層97A,97Bの圧密荷重とする。
【0047】
ヘドロ層97A,97B上に第2排水層95を介して盛土96が載荷されると、この盛土96による荷重力でヘドロ層97A,97B中の間隙水が上昇する。これにより、ヘドロ層97A,97B中の圧密された水は中間排水層94、第2排水層95及び第1排水層93にそれぞれ流入し、この中間排水層94、第2排水層95及び第1排水層93を通して、ピット92の土止め壁921の上部に設けた排水口98からピット92外へ排水される。
したがって、盛土96を載荷した後のヘドロ層97A,97Bの圧密沈下量(圧密度)を測定し、この圧密沈下量(または圧密時間、ヘドロ層97Bの強度測定、含水比測定等)からヘドロ層97A,97Bの強度及び含水比等が目標値に到達したかを確認する。そして、ヘドロ層97A,97Bの強度及び含水比等が目標値に到達した状態では、盛土96を除去した後、ピット92内の改良ヘドロを掘り出して、これを捨て土または盛土や埋め戻しなどに利用する。この時、第1及び第2排水層93,95は破損されない限り再利用する。
【0048】
このような第1の実施の形態に示すヘドロ改良装置90によれば、盛土荷重によりヘドロ層を圧密沈下させてヘドロ層の強度を増加させるようにしたので、掘削、運搬、捨て土または盛土や埋め戻しに転用可能な含水比と強度等を有する土性値のヘドロに改良することができる。
また、このようなヘドロ改良装置は、ヘドロの発生する建設現場等において、ヘドロ改良プラントとして簡便に構築することができる。これにより、建設現場等から発生するヘドロを効率よく処理できるほか、ヘドロによる環境等への被害を未然に防止できる。
なお、上記第1、第2排水層93,95及び中間排水層94に、上記図7及び図8に示す可撓性の有孔排水パイプ、又は通水性の大きいジオテキスタイルなどからなる排水路等を配設するとこができる。
また、上記第1、第2排水層93,95及び中間排水層94は、ヘドロ層の表面全域に敷設する必要がなく、部分的に敷設するようにしてもよい。
【0049】
次に、図10により本発明にかかるヘドロ改良装置の第2の実施の形態について説明する。
この第2の実施の形態に示すヘドロ改良装置110は、建設現場等から発生するヘドロを現場において、直接所要の土性値に改良できるようにした汎用タイプのヘドロ改良プラントであり、地山111を逆台形状に掘削することにより構築されたヘドロ処理用のピット112と、このピット112の傾斜四周壁面及び底面の全域が覆われるように敷設された第1排水層113と、第1排水層113が敷設されたピット112内の貯留ヘドロの中間に水平方向に延在して敷設される中間排水層114(請求項の第3排水層に相当する)と、ピット112内の貯留ヘドロの上面全域が覆われるように、かつ第1排水層113に連接して敷設される第2排水層115と、ピット112内の貯留ヘドロ層を所要の圧密度と強度、含水比等を持つ土質性状に変質させるように第2排水層115上に載荷される盛土116とから構成される。
【0050】
なお、前記盛土116は、請求項に示す圧密荷重手段を構成するものである。また、前記第1排水層113、第2排水層115及び中間排水層114はジオテキスタイルなどからなり、ヘドロ中のヘドロ粒子の流入を阻止するとともに水の流入を許し、かつ流入した水をピット112外へ誘導排出するものである。
【0051】
このようなヘドロ改良装置110を利用して、建設現場等から発生するヘドロを所要の土性値に改良する場合について説明する。
まず、ピット112内の傾斜側壁面及び底面に第1排水層113を全域に亘り敷設する。次に、内側を第1排水層113で覆ったピット112内に建設現場等から発生するヘドロを所定のレベルまで投入する。その後、このヘドロ層117Aの上面全域に中間排水層114をヘドロ層117Aの水平方向に延在して、ピット112の側壁面に対向する第1排水層113に連通するように敷設する。次いで、上記中間排水層114上に更にヘドロを所定のレベルまで投入し、このヘドロ層117Bの上面全域が覆われるように、第1排水層113と連接された第2排水層115を折り返すことで敷設する。次に、上記第2排水層115上に所定の高さに盛土116を施して、ヘドロ層117A,117Bの圧密荷重とする。
【0052】
ヘドロ層117A,117B上に第2排水層115を介して盛土116が載荷されると、この盛土116による荷重力でヘドロ層117A,117B中の間隙水圧が上昇する。これにより、ヘドロ層117A,117B中の圧密された水は中間排水層114、第2排水層115及び第1排水層113にそれぞれ流入し、この中間排水層114、第2排水層115及び第1排水層113を通して、ピット112の上部からピット112外へ排水される。
したがって、盛土116を載荷した後のヘドロ層117A,117Bの圧密沈下量(圧密度)を測定し、この圧密沈下量(または圧密時間、ヘドロ層117Bの強度測定、含水比測定等)からヘドロ層117A,117Bの強度及び含水比等が目標値に到達したかを確認する。そして、ヘドロ層117A,117Bの強度及び含水比等が目標値に到達した状態では、盛土116を除去した後、ピット112内の改良ヘドロを掘り出して、これを捨て土または盛土や埋め戻しなどに利用する。この場合、第1及び第2排水層113,115は破損されない限り再利用する。
【0053】
このような第2の実施の形態に示すヘドロ改良装置110によれば、上記図9に示す第1の実施の形態と同様な作用効果が得られるほか、ヘドロ処理用のピット112は地山111を逆台形状に掘削するだけで構築できるため、建設現場等におけるヘドロ改良プラントの構築が更に簡便になる。
なお、上記第1、第2排水層113,115及び中間排水層114に、上記図7及び図8に示す可撓性の有孔排水パイプ、又は通水性の大きいジオテキスタイルなどからなる排水路等を配設するとこができる。
【0054】
次に、図11により本発明にかかるヘドロ改良装置の第3の実施の形態について説明する。
この第3の実施の形態に示すヘドロ改良装置120は、建設現場等から発生するヘドロを現場において、直接所要の土性値に改良できるようにした汎用タイプのヘドロ改良プラントであり、地山121に人工的に構築されたヘドロ処理用のピット122と、このピット122の垂直四周壁を構築するコンクリート製などの土止め壁122a及びピット122の底面を構築するコンクリート製底部122bの全域を覆うように敷設された第1排水層123と、第1排水層123が敷設されたピット122内の貯留ヘドロの中間に水平に延在して敷設される中間排水層124(請求項の第3排水層に相当する)と、ピット122内の貯留ヘドロの上面全域が覆われるるように、第1排水層123に連接するように敷設される第2排水層125と、第2排水層125の上方に位置するピット122の開口を気密に閉塞するとともにピット122内の貯留ヘドロ層を圧密する空気遮断シート126と、この空気遮断シート126の内側を負圧にして貯留ヘドロ層を圧密排水するバキューム装置127とから構成される。
【0055】
なお、前記空気遮断シート126とバキューム装置127は、請求項に示す圧密荷重手段を構成するものである。また、前記第1排水層123、第2排水層125及び中間排水層124はジオテキスタイルなどからなり、ヘドロ中のヘドロ粒子の流入を阻止するとともに水の流入を許し、かつ流入した水をピット92外へ誘導排出するものである。
【0056】
次に、このようなヘドロ改良装置120を利用して、建設現場等から発生するヘドロを所要の土性値に改良する場合について説明する。
まず、ピット122内の側壁面及び底面に第1排水層123を全域に亘り敷設する。次に、内側を第1排水層123で覆ったピット122内に建設現場等から発生するヘドロを所定のレベルまで投入する。その後、このヘドロ層128Aの上面全域に中間排水層124をヘドロ層128Aの水平方向に延在して、ピット122の側壁面に対向する第1排水層123に連通するように敷設する。次いで、上記中間排水層124上に更にヘドロを所定のレベルまで投入し、このヘドロ層128Bの上面全域が覆われるように、第1排水層123と連接された第2排水層125を折り返すことで敷設する。次に、空気遮断シート126をピット122の開口が気密に閉塞されるように装着し、バキューム装置127を起動して空気遮断シート126の内側を負圧にすることにより、この空気遮断シート126を第2排水層125に押し付けるととともにヘドロ層128A及び128Bを上方からの圧密荷重とする。
【0057】
ヘドロ層128A及び128Bがバキューム装置127の吸引による負圧で加圧されると、この荷重力でヘドロ層128A及び128B中の間隙水圧が低下し負圧となる。これにより、ヘドロ層128A及び128B中の間隙水は中間排水層124、第2排水層125及び第1排水層123にそれぞれ流入し、この中間排水層124、第2排水層125及び第1排水層123を通して、ピット122外へバキューム装置127により排水される。
したがって、バキューム装置127によりピット122内を所定時間負圧状態に保持した後のヘドロ層128A,128Bの圧密沈下量(圧密度)を測定し、この圧密沈下量(または圧密時間、ヘドロ層128Bの強度測定、含水比測定等)からヘドロ層128A,128Bの強度及び含水比等が目標値に到達したかを確認する。そして、ヘドロ層128A,128Bの強度及び含水比等が目標値に到達した状態では、バキューム装置127を停止し、空気遮断シート126をピット122から取り外した後、ピット122内の改良ヘドロを掘り出して、これを捨て土または盛土や埋め戻しなどに利用する。この場合、第1及び第2排水層123,125は再利用する。
【0058】
このような第3の実施の形態に示すヘドロ改良装置によれば、上記図9に示す第1の実施の形態と同様な作用効果が得られる。
なお、上記第1、第2排水層123,125及び中間排水層124に、上記図7及び図8に示す可撓性の有孔排水パイプ、又は通水性の大きいジオテキスタイルなどからなる排水路等を配設するとこができる。
また、上記第1、第2排水層123,125及び中間排水層124は、ヘドロ層の表面全域に敷設する必要がなく、部分的に敷設するようにしてもよい。
【0059】
次に、図12により本発明にかかるヘドロ改良装置の第4の実施の形態について説明する。
この第4の実施の形態に示すヘドロ改良装置130は、建設現場等から発生するヘドロを現場において、直接所要の土性値に改良できるようにした可搬式のヘドロ改良プラントであり、多数の排水孔131a及び131bがそれぞれ形成されたほぼ垂直な四側壁面131A及び底面131Bを有する上面開口のヘドロ収容体131と、このヘドロ収容体131内に四側壁面131A及び底面131Bの全域が覆われるように敷設された第1排水層132と、第1排水層132が敷設されたヘドロ収容体131内の貯留ヘドロの中間に水平方向に延在して敷設される中間排水層133(請求項の第3排水層に相当する)と、ヘドロ収容体131内の貯留ヘドロの上面全域が覆われるように、かつ第1排水層132に連接して敷設される第2排水層134と、第2排水層134の上面を覆う非通気性の防水シート135と、ヘドロ収容体131の上面開口を気密状態に閉鎖する蓋体136と、蓋体136で閉鎖されたヘドロ収容体131の上部閉鎖空間137に圧縮空気を供給して防水シート135を含む第2排水層134の上方からヘドロ収容体131内の貯留ヘドロを圧縮荷重する圧縮空気供給装置138(請求項に記載した圧密荷重手段に相当する)とから構成される。
【0060】
なお、前記第1排水層132、第2排水層134及び中間排水層133はジオテキスタイルなどからなり、ヘドロ中のヘドロ粒子の流入を阻止するとともに水の流入を許し、かつ流入した水をヘドロ収容体131の排水孔131a及び131bへ誘導排出するものである。
【0061】
次に、このようなヘドロ改良装置130を利用して、建設現場等から発生するヘドロを所要の土性値に改良する場合について説明する。
まず、四側壁面131A及び底面131Bの内側にその全域が覆われるように第1排水層132を敷設したヘドロ収容体131を建設現場に設置する。次に、このヘドロ収容体131内に作業現場等から発生するヘドロを所定のレベルまで投入する。その後、このヘドロ層139Aの上面全域に中間排水層133をヘドロ層139Aの水平方向に延在して、ヘドロ収容体131の側壁面に対向する第1排水層132に連通するように敷設する。次いで、上記中間排水層133上に更にヘドロを所定のレベルまで投入し、このヘドロ層139Bの上面全域が覆われるように、第1排水層132と連接された第2排水層134を折り返すことで敷設する。次に、第2排水層134の上面を防水シート135により覆い、しかる後、ヘドロ収容体131の開口を蓋体136により気密に閉塞する。かかる状態で、圧縮空気供給装置138を起動してヘドロ収容体131の上部閉鎖空間137に圧縮空気を供給し、この上部閉鎖空間137の圧力を上昇させる。これにより、防水シート135が第2排水層132に押し付けるととともにヘドロ層139A及び139Bを上方からの圧密荷重とする。
【0062】
ヘドロ層139A及び139Bが圧縮空気供給装置138からの圧縮空気により加圧されると、この荷重力でヘドロ層139A及び139B中の間隙水圧が上昇する。これにより、ヘドロ層139A及び139B中の圧密された水は中間排水層133、第2排水層134及び第1排水層132にそれぞれ流入し、この中間排水層133、第2排水層134及び第1排水層132を通して、ヘドロ収容体131の排水孔131a及び131bからヘドロ収容体131外へ排水される。
したがって、圧縮空気供給装置138によるヘドロ層139A、139Bの圧密加圧状態を所定時間保持することにより、ヘドロ層139A、139Bの圧密沈下量(圧密度)を測定し、この圧密沈下量(または圧密時間、ヘドロ層139Bの強度測定、含水比測定等)からヘドロ層139A、139Bの強度及び含水比等が目標値に到達したかを確認する。そして、ヘドロ層139A、139Bの強度及び含水比等が目標値に到達した状態では、圧縮空気供給装置138を停止し、蓋体136を開いて防水シート135及び第2排水層134を取り除いた後、ヘドロ収容体131内の改良ヘドロを掘り出して、これを捨て土または盛土や埋め戻しなどに利用する。この場合、第1及び第2排水層132,134及び防水シート135は破損されない限り再利用する。
【0063】
このような第4の実施の形態に示すヘドロ改良装置によれば、圧縮空気供給装置138からの圧縮空気を利用してヘドロ層を圧密沈下させ、ヘドロ層の強度を増加させるようにしたので、掘削、運搬、捨て土または盛土や埋め戻しに転用可能な含水比と強度等を有する土性値のヘドロに改良することができる。
また、このようなヘドロ改良装置130は、ヘドロの発生する建設現場等に搬送して設置できるため、可搬式のヘドロ改良プラントとして簡便に構築することができるとともに、建設現場等から発生するヘドロを効率よく処理でき、ヘドロによる環境等への被害も未然に防止できる。
なお、上記第1、第2排水層132,134及び中間排水層133に、上記図7及び図8に示す可撓性の有孔排水パイプ、又は通水性の大きいジオテキスタイルなどからなる排水路等を配設するとこができる。
また、上記第1、第2排水層132,134及び中間排水層133は、ヘドロ層の表面全域に敷設する必要がなく、部分的に敷設するようにしてもよい。
【0064】
次に、図13により本発明にかかるヘドロ改良装置の第5の実施の形態について説明する。
この第5の実施の形態に示すヘドロ改良装置140は、建設現場等から発生するヘドロを現場において、直接所要の土性値に改良できるようにした可搬式のヘドロ改良プラントであり、多数の排水孔141a及び141bがそれぞれ形成されたほぼ垂直な四側壁面141A及び底面141Bを有する上面開口のヘドロ収容体141と、このヘドロ収容体141内に四側壁面141A及び底面141Bの全域が覆われるように敷設された第1排水層142と、第1排水層142が敷設されたヘドロ収容体141内の貯留ヘドロの中間に水平方向に延在して敷設される中間排水層143(請求項の第3排水層に相当する)と、第1排水層141に連接され、ヘドロ収容体141内の貯留ヘドロの上面が覆われるように敷設される第2排水層144と、ヘドロ収容体141の開口141Aに上下動可能に嵌合される四角状の加圧盤145と、この加圧盤145を上方から下方に向けて動作させることによりヘドロ収容体141内の貯留ヘドロを圧縮荷重する流体圧シリンダ等からなる加圧手段146と、ヘドロ収容体141全体を収容する圧密水受け容器147とから構成される。また、ヘドロ収容体141は載置台148を介して圧密水受け容器147に収容される構成になっている。
【0065】
なお、前記第1排水層142、第2排水層144及び中間排水層143はジオテキスタイルなどからなり、ヘドロ中のヘドロ粒子の流入を阻止するとともに水の流入を許し、かつ流入した水をヘドロ収容体141の排水孔141a及び141bへ誘導排出するものである。
【0066】
次に、このようなヘドロ改良装置140を利用して、建設現場等から発生するヘドロを所要の土性値に改良する場合について説明する。
まず、圧密水受け容器147を建設現場に設置し、この圧密水受け容器147内に、四側壁面141A及び底面141Bの内側にその全域が覆われるように第1排水層142を敷設したヘドロ収容体141を収納し設置する。次に、このヘドロ収容体141内に作業現場等から発生するヘドロを所定のレベルまで投入する。その後、このヘドロ層149Aの上面全域に中間排水層143をヘドロ層149Aの水平方向に延在して、ヘドロ収容体141の側壁面に対向する第1排水層142に連通するように敷設する。次いで、上記中間排水層143上に更にヘドロを所定のレベルまで投入し、このヘドロ層149Bの上面全域が覆われるように、第1排水層142と連接された第2排水層144を折り返すことで敷設する。しかる後、ヘドロ収容体141の開口に、加圧手段146に連結した加圧盤145を嵌合する。かかる状態で、加圧手段146を起動して加圧盤145を下降動作することにより、第2排水層142を介してヘドロ層149A及び149Bを圧密荷重する。
【0067】
ヘドロ層149A及び149Bが加圧盤145により圧縮方向に加圧されると、この荷重力でヘドロ層149A及び149B中の間隙水圧が上昇する。これによって、ヘドロ層149A及び149B中の圧密された水は中間排水層143、第2排水層144及び第1排水層142にそれぞれ流入し、この中間排水層143、第2排水層144及び第1排水層142を通して、ヘドロ収容体141の排水孔141a及び141bから圧密水受け容器147内に排出され、さらに、圧密水受け容器147に設けた排水口147aから圧密水受け容器147外に排水される。
【0068】
したがって、加圧手段146と加圧盤145によるヘドロ層149A、149Bの圧密加圧状態を所定時間保持することにより、ヘドロ層149A、149Bの圧密沈下量(圧密度)等を測定し、この圧密沈下量等からヘドロ層149A、149Bの強度及び含水比等が目標値に到達したかを確認する。ヘドロ層149A、149Bの強度及び含水比等が目標値に到達した状態では、加圧手段146を停止した後、加圧手段146を後退動作させて加圧盤145をヘドロ収容体141の開口から退避させる。または、ヘドロ収容体141と圧密水受け容器147を加圧手段146から離れた位置へ移動させる。そして、第2排水層144を取り除いた後、ヘドロ収容体141内の改良ヘドロを掘り出して、これを捨て土または盛土や埋め戻しなどに利用する。この場合、第1及び第2排水層142,144は破損されない限り再利用する。
【0069】
このような第5の実施の形態に示すヘドロ改良装置によれば、上記図12に示す第4の実施の形態と同様な作用効果が得られる。
なお、上記第1、第2排水層142,144及び中間排水層143に、上記図7及び図8に示す可撓性の有孔排水パイプ、又は通水性の大きいジオテキスタイルなどからなる排水路等を配設するとこができる。
また、第5の実施の形態に示すヘドロ収容体141は四側壁面を有する形状のものに限定されず、円筒形状のものであってもよい。
【0070】
次に、図14及び図15により本発明にかかるヘドロ改良装置の第6の実施の形態について説明する。
この第6の実施の形態に示すヘドロ改良装置160は、建設現場等から発生するヘドロを現場において、連続的に所要の土性値に改良できるようにしたヘドロ改良プラントであり、建設現場に構築され、または、建設現場に搬入設置可能なもので、建設現場から発生するヘドロが投入貯留されるヘドロ投入チャンバー161と、このヘドロ投入チャンバー161から所定の距離離して、かつヘドロ投入チャンバー161に対して所定の落差をつけて設けられた改良ヘドロ排出チャンバー162と、このヘドロ投入チャンバー161と改良ヘドロ排出チャンバー162との間に差し渡し状態に傾斜して配設され、多数の排水孔163aが外周壁の全域に亘り形成された所定長さの内部筒体163と、この内部筒体163の外周に所定の隙間をおいて同心に、かつヘドロ投入チャンバー161と改良ヘドロ排出チャンバー162との間に差し渡し状態に配設され、多数の排水孔164aが外周壁の全域に亘り形成された所定長さの外部筒体164と、この内部筒体163の外周壁面と外部筒体164の内周壁面との間に形成される隙間内に該隙間内が充填されるように両筒体の全長に亘り設けられた、ジオテキスタイルなどからなる排水層165と、ヘドロ投入チャンバー161から内部筒体163内を通して改良ヘドロ排出チャンバー162に達する長さを有するとともに内部筒体163の軸線を中心にして、両端部がヘドロ投入チャンバー161と改良ヘドロ排出チャンバー162の側壁に回転可能に支持され、かつヘドロ投入チャンバー161から改良ヘドロ排出チャンバー162に行くに従いピッチが順次小さくなる螺旋羽根166aを有するヘドロ圧密用スクリュー166と、ヘドロ投入チャンバー161側に設けられ、ヘドロ圧密用スクリュー166を駆動する駆動手段167とから構成される。
【0071】
また、図14において、168は改良ヘドロ排出チャンバー162の底部に形成したヘドロ排出口162aを開閉する開閉蓋であり、この開閉蓋168を図示省略の流体圧シリンダ等により開閉駆動されるように構成されている。
また、外部筒体164は、図15に示すように、筒体を半円形状に分割した2つの半割体164A、164Bから構成され、この半割体164Aと164Bをその接合縁部164C,164Dをボルトナット等により分離可能に結合されている。
また、排水層165は、ヘドロ中のヘドロ粒子の流入を阻止するとともに水の流入を許すものである。
【0072】
次に、このようなヘドロ改良装置160を利用して、建設現場等から発生するヘドロを所要の土性値に改良する場合について説明する。
まず、建設現場から発生するヘドロ169Aをヘドロ投入チャンバー161内に投入し貯留する。この状態で、駆動手段167を起動して、ヘドロ圧密用スクリュー166を所定の速度(例えば、10回/分程度)で低速回転させる。
ヘドロ圧密用スクリュー166が回転されると、ヘドロ投入チャンバー161内のヘドロ169Aは螺旋羽根166aによって内部筒体163内を改良ヘドロ排出チャンバー162側へ徐々に移動されると同時に、内部筒体163内のヘドロに作用する圧縮力が改良ヘドロ排出チャンバー162側へ行くに従い徐々に増大して、その圧密度を増大させるとともに、ヘドロ中の間隙水圧を上昇することにより、ヘドロの圧密度を改良ヘドロ排出チャンバー162側へ行くにつれ増大させる。
【0073】
一方、内部筒体163内のヘドロがヘドロ圧密用スクリュー166により圧密されると、そのヘドロ169B中の間隙水圧が上昇するため、このヘドロ169B中の圧密された水は内部筒体163の排水孔163aを通して排水層165に流入し、さらに、この流入水は排水層165から外部筒体164の排水孔164aを通して外部筒体164外に排水される。
【0074】
すなわち、ヘドロ圧密用スクリュー166の低速回転に伴い、内部筒体163内のヘドロ169Bが内部筒体163の下端から改良ヘドロ排出チャンバー162に押し出されると、このヘドロ169Bは内部筒体163内で圧密(圧縮)され、その間隙水が排水孔163a、排水層165及び排水孔164aを通して外部へ排水されるので、改良ヘドロ排出チャンバー162に押し出された改良ヘドロ169Cの含水比は、ヘドロ投入チャンバー161に投入されたヘドロに比して低下する。また、改良ヘドロ排出チャンバー162に押し出された改良ヘドロ169Cは、開閉蓋168を開くことにより、ヘドロ排出口162aから装置外へ排出される。
この場合、改良ヘドロ169Cの含水比、強度等の測定値又は観測値が目標値に到達していれば、改良ヘドロ169Cは装置外へ連続して排出されることになる。
【0075】
一方、改良ヘドロ169Cの含水比、強度等の測定値又は観測値が目標値に到達していない場合には、開閉蓋168を閉じて、改良ヘドロ169Cの装置外への排出を一時的に停止させる。
すなわち、開閉蓋168が閉じられると、ヘドロ圧密用スクリュー166の低速回転に伴って、改良ヘドロ排出チャンバー162に押し出された改良ヘドロ169Cは改良ヘドロ排出チャンバー162内に順次蓄積される。そして、改良ヘドロ排出チャンバー162内が改良ヘドロ169Cで充満されてくると、改良ヘドロ169Cの改良ヘドロ排出チャンバー162への押し出し量が抑制されるため、内部筒体163内のヘドロ169Bは、改良ヘドロ排出チャンバー162のヘドロ排出口162aが開いている場合に比べ、より強い力で圧密(圧縮)されると同時に、その含水比も、より低下する。
その結果、ヘドロの種類や状態によって異なるものの、開閉蓋168を閉鎖しておく時間を、例えば数10秒〜数分に設定することにより、より一層含水比の低下した改良ヘドロ169Cを排出できる。
【0076】
したがって、改良ヘドロ169Cの含水比、強度等が目標値に達していれば、この改良ヘドロ169Cは、開閉蓋168を開くことにより、装置外へ連続して排出される。ここで、再び改良ヘドロ169Cの含水比、強度等が目標値に達しなくなった場合は、再び開閉蓋168を所定時間閉じて、内部筒体163内のヘドロ169Bに対する圧密度合を大きくすればよい。
また、この場合、ヘドロ排出口162aに対する開閉蓋168の開き度合を調節することにより、内部筒体163内のヘドロ169Bに対する圧密度合を調節することができる。
また、ヘドロ排出口162aから装置外へ排出される。また、この改良ヘドロ169Cは捨て土または土地造成のための盛土や埋め戻しなどに利用できる。
【0077】
このような第6の実施の形態に示すヘドロ改良装置160によれば、ヘドロ圧密用スクリュー166を低速回転させることにより、ヘドロ投入チャンバー161内のヘドロ169Aは内部筒体163に沿って改良ヘドロ排出チャンバー162側へ徐々に移動し、これと同時に内部筒体163内のヘドロを改良ヘドロ排出チャンバー162側へ行くに従いヘドロの作用する圧縮力が徐々に増大して、その圧密度を増大させ、その間隙水圧を上昇することにより、このヘドロ中の圧密された水を内部筒体163の排水孔163aを通して排水層165に流入し、この流入水は排水層165から外部筒体164の排水孔164aを通して外部筒体164外に排水する構成にしたので、所要の強度と含水比等を有するヘドロに連続して改良処理できるとともに、ヘドロを掘削、運搬、捨て土または盛土や埋め戻しに転用可能な含水比と強度等を有する土質性状のヘドロに改良することができる。
また、このようなヘドロ改良装置160によれば、ヘドロの発生する建設現場等において、ヘドロ改良プラントとして構築することができ、これにより、建設現場等から発生するヘドロを効率よく処理できるほか、ヘドロによる環境等への被害を未然に防止できる。
【0078】
また、このようなヘドロ改良装置160によれば、改良ヘドロ排出チャンバー162に設けた開閉蓋168を閉じて、ヘドロ圧密用スクリュー166により改良ヘドロ排出チャンバー162に押し出された改良ヘドロ169Cの装置外への排出を一時的に停止し、または、開閉蓋168の開閉度合を調節して、改良ヘドロ排出チャンバー162から装置外へ排出される改良ヘドロ169Cの排出量を加減することにより、内部筒体163内でのヘドロに作用する圧縮力を調整することができる。
【0079】
なお、上記ヘドロ改良装置160では、ヘドロ圧密用スクリュー166を含む内部筒体163及び外部筒体164が改良ヘドロ排出チャンバー162側へ下り勾配に傾斜する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、内部筒体163及び外部筒体164が水平またはヘドロ投入チャンバー161側へ下り勾配に傾斜するようにしてもよい。
また、本発明においては、上記第6の実施の形態に示す開閉蓋168を省略してもよい。
また、本発明におけるヘドロ圧密用スクリュー166は、上記図14及び図15に示す構造のものに限定されない。
【0080】
次に、図16〜図18により本発明にかかるヘドロ改良方法の他の実施例について説明する。
図16は本発明にかかるヘドロ改良方法の工程手順を示す工程説明図、図17は本発明方法によるヘドロ層への排水ドレーン部材及び排水層の敷設状態を示す一部の説明図、図18は図17のC−C線に沿う説明用断面図である。
【0081】
図17において、172は地山に構築されている農業用水などの溜池、174は溜池172の底面に層状に堆積されたヘドロ層(またはこれに類する超軟弱粘性土)であり、このヘドロ層174を本発明方法により改良する場合について、図16〜図18を参照して説明する。
【0082】
溜池172の底面に堆積されたヘドロ層174を所要の土性値に改良するに際しては、まず、溜池172の底面に堆積されたヘドロ層174上に貯まっている水を排出し、ヘドロ層174の天端が露出される程度の水位にまで下げる。
次に、図16に示す排水ドレーン部材敷設工程200において、堆積されたヘドロ層174の全堆積領域の任意複数箇所に、図17及び図18に示すように、ヘドロ層174中のヘドロ粒子の流入を阻止し、かつ水の流入を許すとともに該流入水をヘドロ層174の上面へ誘導する排水ドレーン部材175をヘドロ層174の全堆積領域の任意複数箇所に所定の間隔を離して鉛直に敷設する。この時の各排水ドレーン部材175の下端部は溜池172の底部(粘性土層172A)に所定深さまで達するように埋設され、また、各排水ドレーン部材175の上端部174Aはヘドロ層174の上面から突出され、そして、その突出上端部174Aはヘドロ層174の上面に沿う折り曲げ状態に保持されている。
【0083】
前記排水ドレーン部材175は、例えば、織布、通水性不織布、有孔膜体等からなるチューブ体内に砂その他のフィルタ材を充填してなるチューブ状ドレーン体、またはジオテキスタイルなどの細幅の排水シートを複数枚積層してなるシート状とレーン体などから構成されている。
【0084】
次いで、図16に示す排水層敷設工程201では、図17及び図18に示すように、ヘドロ層174中のヘドロ粒子の流入を阻止し、かつ水の流入を許すとともに該流入水を排出する所要の排水能力(透水係数×層厚×動水勾配)の排水シート176Aをヘドロ層174の上面に複数層に重ねて敷設することにより、10mm程度の厚さの排水層176を構築する。
【0085】
ここで、排水層176を、例えば上下2層の排水シート176Aにより構築する場合は、下層の排水シート176Aと上層の排水シート176Aとを互いに直交する方向に重ねて敷設する。
また、ヘドロ層174の圧密排水に使用する排水層176の設計に際しては、排水シート176Aの透水係数と排水シート176Aの一層当りの残留層厚と排水シート176Aの層数とから通水性能(透水係数×層厚)を算定し、排水層での動水勾配(排水シート内の間隙水圧を排水距離で除した値)を乗じて排水層176の排水能力を算定し、この排水能力が圧密排水されるヘドロ層174からの総流入水量以上になるように、盛土荷重(応力)とヘドロ層174の圧密特性を考慮し、かつヘドロから排水層176に流入する単位面積・単位時間当りの排水量を考慮して、排水層176を構築する排水シート176Aの排水材の種類の選定とその厚さ及び積層枚数を設定する。
また、排水層176の排水シート176Aには、不織布系、その他のジオテキスタイル等、またはジオテキスタイル構造の場合、織布、不織布、有孔膜体、板状フィルタの単体またはこれらの複合体からなるものが使用される。
【0086】
次に、図16に示す盛土工程202において、ヘドロ層174の周辺領域を除く排水層176上に盛土178を行い、この盛土荷重によりヘドロ層174中の間隙水筈17及び図18の矢印に示すように排水ドレーン部材175及び排水層176を通し圧密排水されるとともに、この圧密排水によるヘドロ層175の圧密沈下量(圧密度)に応じて、排水層176上に載荷される盛土178の厚さをヘドロ層174に滑り破壊が生じない程度に逐次増加させる。
これにより、ヘドロ層174中の間隙水は時間の経過と共に更に減少し、ヘドロ層174自体も更に圧密沈下される。その結果、ヘドロ層174の圧密度が更に上昇し、その強度(支持力)等も増大する。そして、ヘドロ層174の土性値(強度、支持力、含水比等)が目標値に到達したならば、ヘドロの改良処理が終了する。
【0087】
このように本実施の形態におけるヘドロ改良方法では、排水ドレーン部材175をヘドロ層174の全堆積領域の任意複数箇所に所定の間隔を離して鉛直に敷設し、さらに、このヘドロ層174上に敷設した排水層176上に、ヘドロ層174の滑り破壊が生じないように盛土178を行うことにより、この盛土荷重でヘドロ層174を圧密沈下させ、そして、この圧密沈下に伴うヘドロ層中の間隙水を排水ドレーン部材175及び排水層176を通してヘドロ層174外へ排出することにより含水比を低減し、その強度を増加させるように構成したので、ヘドロ層を積極かつ計画的に圧密排水処理できるとともに、ヘドロ上に所定高の盛土の構築が可能であり、かつ、ヘドロを掘削、運搬、捨て土または盛土や埋め戻しに転用可能な含水比と強度などを有する土質性状のヘドロに改良することができる。
なお、この発明のヘドロ改良方法において、ヘドロ層174上に敷設される排水層176は、ヘドロ層174の上面全域に敷設する必要がなく、排水層176をヘドロ層174の上面に部分的に敷設する方式でもよい。
【0088】
【発明の効果】
以上説明したように本発明にかかるヘドロ改良方法によれば、ヘドロの力学特性値、圧密特性(体積圧縮係数、圧密係数、強度増加係数など)、物理特性値を所定の値に設定し、かつ所定の期間にヘドロを所期の土質性状(含水比、強度、密度等)に改良できるように盛土荷重と圧密時間を設定し、そして、これらの設定値を基にして、ヘドロ層上に敷設した排水層上に、盛土によるヘドロ層の滑り破壊が生じないように、平面的、かつ段階的に盛土を行い、この盛土荷重によりヘドロ層を圧密沈下させてヘドロ層の含水比を低減し、且つその強度を徐々に増加させるようにしたので、ヘドロ層を積極かつ計画的に圧密排水処理できとともに、ヘドロ上に所定高の盛土の構築が可能であり、かつ、ヘドロを掘削、運搬、捨て土または盛土や埋め戻しに転用可能な含水比と強度等を有する土質性状のヘドロに改良することができる。
また、本発明にかかるヘドロ改良方法によれば、改良したヘドロ上に盛土を行うことにより、土地造成が可能になるほか、改良したヘドロの堆積地域における環境の向上や環境機能の回復、水の浄化を効率的に行うことができる。
【0089】
また、本発明にかかるヘドロ改良装置によれば、ピットの側壁面及び底面の少なくとも側壁面に沿い第1排水層を敷設し、このピット内に貯留堆積させたヘドロ層の上面に第2排水層を敷設した後、所定の厚さに盛土を行い、この盛土荷重によりヘドロ層を圧密沈下させてヘドロ層の含水比を低減し、かつ、その強度を増加させるようにしたので、ヘドロ層を積極かつ計画的に圧密排水処理でき、掘削、運搬、捨て土または盛土や埋め戻しに転用可能な含水比と強度等を有する土質性状のヘドロに改良することができる。
また、このようなヘドロ改良装置によれば、ヘドロの発生する建設現場等において、ヘドロ改良プラントとして簡便に構築することができ、建設現場等から発生するヘドロを効率よく処理できるほか、ヘドロによる環境等への被害を未然に防止できる。
【0090】
また、本発明にかかるヘドロ改良装置によれば、多数の排水孔を有するヘドロ収容体の側壁面及び底面に沿い第1排水層を敷設し、このヘドロ収容体に貯留堆積させたヘドロ層の上面に第2排水層を敷設するとともに防水シートで覆った後、ヘドロ収容体の上面開口を蓋体で気密に閉鎖し、このヘドロ収容体の上部閉鎖空間に圧縮空気を供給することにより、ヘドロ層を上面から防水シート及び第2排水層を介して圧縮荷重し、ヘドロ層を圧密沈下させることでヘドロ層の含水比を低減し、かつ、その強度を増加させるようにしたので、ヘドロ層を積極かつ計画的に圧密排水処理でき、ヘドロを掘削、運搬、捨て土または盛土や埋め戻しに転用可能な含水比と強度等を有する土質性状のヘドロに改良することができる。
また、このようなヘドロ改良装置によれば、ヘドロの発生する建設現場等において、ヘドロ改良プラントとして簡便に構築することができ、建設現場等から発生するヘドロを効率よく処理できるほか、ヘドロによる環境等への被害を未然に防止できる。
【0091】
また、本発明にかかるヘドロ改良装置によれば、多数の排水孔を有するヘドロ収容体の側壁面及び底面に沿い第1排水層を敷設し、このヘドロ収容体に貯留堆積させたヘドロ層の上面に第2排水層を敷設した後、ヘドロ収容体の上面開口に加圧盤を嵌合し、この加圧盤を加圧手段により動作して、ヘドロ層を上面から第2排水層を介して圧縮荷重し、ヘドロ層を圧密沈下させることでヘドロ層の含水比を低減し、かつ、その強度を増加させるようにしたので、ヘドロ層を積極かつ計画的に圧密排水処理でき、ヘドロを掘削、運搬、捨て土または盛土や埋め戻しに転用可能な含水比と粘性強度を有する土性値のヘドロに改良することができる。
また、このようなヘドロ改良装置によれば、ヘドロの発生する建設現場等において、ヘドロ改良プラントとして簡便に構築することができ、建設現場等から発生するヘドロを効率よく処理できるほか、ヘドロによる環境等への被害を未然に防止できる。
【0092】
また、本発明にかかるヘドロ改良装置によれば、ヘドロ圧密用スクリューを低速回転することにより、ヘドロ投入チャンバー内のヘドロを内部筒体に沿って改良ヘドロ排出チャンバー側へ徐々に移動し、これと同時に内部筒体内のヘドロを改良ヘドロ排出チャンバー側へ行くに従いヘドロに作用する圧縮を徐々に増大して、その圧密度を増大させるとともに、ヘドロ中の間隙水圧を上昇することにより、ヘドロ中の圧密された水を内部筒体の排水孔を通して排水層に流入し、この流入水を排水層から外部筒体の排水孔を通して排出するように構成にしたので、所要の強度と含水比等を有するヘドロに連続して改良処理できるとともに、ヘドロを掘削、運搬、捨て土または盛土や埋め戻しに転用可能な含水比と強度を有する土性値のヘドロに改良することができる。
また、このようなヘドロ改良装置によれば、ヘドロの発生する建設現場等において、ヘドロ改良プラントとして構築することができ、これにより、建設現場等から発生するヘドロを効率よく処理できるほか、ヘドロによる環境等への被害を未然に防止できる。
【0093】
また、本発明にかかるヘドロ改良方法によれば、排水ドレーン部材をヘドロ層の全堆積領域の任意複数箇所に所定の間隔を離して鉛直に敷設し、さらに、このヘドロ層上に敷設した排水層上に、ヘドロ層の滑り破壊が生じないように盛土を行うことにより、この盛土荷重でヘドロ層を圧密沈下させ、そして、この圧密沈下に伴うヘドロ層中の間隙水を排水ドレーン部材及び排水層を通してヘドロ層外へ排出することにより含水比を低減し、その強度を増加させるようにしたので、ヘドロ層を積極かつ計画的に圧密排水処理できるとともに、ヘドロ上に所定高の盛土の構築が可能であり、かつ、ヘドロを掘削、運搬、捨て土または盛土や埋め戻しに転用可能な含水比と強度などを有する土質性状のヘドロに改良することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるヘドロ改良方法の工程手順を示す工程説明図である。
【図2】本発明方法によるヘドロの改良過程を示す説明用断面図である。
【図3】本発明のヘドロ改良方法に適用される排水層の第2の実施の形態を示す一部の説明用拡大断面図である。
【図4】本発明のヘドロ改良方法に適用される排水層の第3の実施の形態を示す一部の説明用拡大断面図である。
【図5】本発明のヘドロ改良方法に適用される排水層の第4の実施の形態を示す一部の説明用拡大断面図である。
【図6】本発明のヘドロ改良方法に適用される排水層の第5の実施の形態を示す一部の説明用拡大断面図である。
【図7】本発明の第6の実施の形態における排水層の一部を示す説明用平面図である。
【図8】図7のA−A線に沿う拡大断面図である。
【図9】本発明にかかるヘドロ改良装置の第1の実施の形態を示す説明用断面図である。
【図10】本発明にかかるヘドロ改良装置の第2の実施の形態を示す説明用断面図である。
【図11】本発明にかかるヘドロ改良装置の第3の実施の形態を示す説明用断面図である。
【図12】本発明にかかるヘドロ改良装置の第4の実施の形態を示す説明用断面図である。
【図13】本発明にかかるヘドロ改良装置の第5の実施の形態を示す説明用断面図である。
【図14】本発明にかかるヘドロ改良装置の第6の実施の形態を示す説明用断面図である。
【図15】図14のB−B線に沿う断面図である。
【図16】本発明にかかるヘドロ改良方法の工程手順を示す工程説明図である。
【図17】本発明方法によるヘドロ層への排水ドレーン部材及び排水層の敷設状態を示す一部の説明図である。
【図18】図17のC−C線に沿う説明用断面図である。
【符号の説明】
14、14A、14B……ヘドロ層、15……盛土、151,157a,157b……排水シート、90……ヘドロ改良装置、92……ピット、93……第1排水層、94……中間排水層、95……第2排水層、110……ヘドロ改良装置、112……ピット、113……第1排水層、114……中間排水層、115……第2排水層、116……盛土、120……ヘドロ改良装置、122……ピット、123……第1排水層、124……中間排水層、125……第2排水層、127……バキューム装置、130……ヘドロ改良装置、131……ヘドロ収容体、132……第1排水層、133……中間排水層、134……第2排水層、135……防水シート、138……圧縮空気供給装置、140……ヘドロ改良装置、141……ヘドロ収容体、142……第1排水層、143……中間排水層、144……第2排水層、145……加圧盤、146……加圧手段、160……ヘドロ改良装置、161……ヘドロ投入チャンバー、162……改良ヘドロ排出チャンバー、163……内部筒体、164……外部筒体、165……排水層、166……ヘドロ圧密用スクリュー、174……ヘドロ層、175……排水ドレーン部材、176……排水層。
【発明の属する技術分野】
本発明は、河川や湖沼などの水域にまたは人工的に構築したピットなどの溜めに沈降・堆積又は流入、投入されたヘドロ(またはこれに類する超軟弱粘性土)に含まれる水をヘドロの堆積場所で圧密排水などをして含水比を低下させ、希望する所要の土質性状に改良するヘドロ改良方法並びにヘドロ改良装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
河川、湖沼、池、海岸などの底部に沈降、堆積した淡水域ヘドロや海域ヘドロ、または上下水処理時に沈殿したヘドロ、あるいは建設工事の地下掘削や造成工事などの施工時に発生するヘドロの改良方法としては、ヘドロに固化剤を添加し攪拌して、ヘドロ自体を固化状態する方法、沈殿したヘドロの上部の水を排水し、ヘドロを振動フルイ機やフィルタープレスなどにより処理する方法、または合成樹脂製の線条材からなるネットの裏面に、水が透過させるものの、ヘドロ粒子等の土粒子の透過を阻止する不織布を固定した封止シートを、湖底や海底等に堆積しているヘドロ層の上面に敷設し、この封止シートの上面に圧密用土層を形成することにより、ヘドロを封じ込める方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−212929号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来のヘドロ固化方法では、ヘドロ固化剤が添加される関係上、固化処理されたヘドロは化学的に有害物質または産業廃棄物として認定されることがある。このため、この固化処理されたヘドロを撤去するために所定の場所に運搬したり、または他への転用(リサイクル)したり、あるいは土捨て(敷き均し、転圧)する場合に種々の問題が生じる。
また、固化処理されたヘドロ上に水を溜めたり、雨水等が固化処理されたヘドロ内に浸透したり、あるいは雨水が固化処理されたヘドロの表面を流れたりすると、水に溶け込んだ固化剤が地下水や地表水、河川、溜水などを汚染するおそれがある。特に、固化剤で汚染された水が混入する溜水や河川の水を農業用水として利用した場合には、育成される植物に有害物質が蓄積されるなどの悪影響が発生し、かつ、水中に生息する生物にも悪影響を及ぼすほか、土壌が汚染される懸念もある。
【0005】
また、上記特許文献1に示す従来のヘドロ処理方法は、湖沼、池、海岸などの水底に沈降・堆積した淡水域ヘドロや海域ヘドロ層上に封止シートを敷設し、この封止シート上に圧密荷重用土層を形成することによりヘドロを封じ込め、これにより、ヘドロの液状化や舞い上がりを防止し、かつ圧密荷重用土層の著しい沈下を防止するためのものであって、ヘドロ層を圧密排水または脱水処理によりヘドロの含水比を低下させて、ヘドロ自体の強度を高めるものではない。このため、ヘドロ自体は、依然として液状化のし易い、かつ舞い上がり易い土性値を有しており、ヘドロの掘削、運搬、捨て土などの処理は、ほとんど不可能であった。
また、振動フルイ機やフィルタープレスによって改良された改良ヘドロは一般に含水比が高く、強度が弱いため、法律により産業廃棄物に指定されることが多い。また、経済性が悪い場合も多い。
【0006】
本発明の目的は、ヘドロ層を積極かつ計画的に圧密排水処理等を行うことにより、掘削、運搬、捨て土または土地造成のための盛土や埋め戻しに転用可能な含水比と強度などを有する土質性状のヘドロに改良できるようにしたヘドロ改良方法並びヘドロ改良装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、海域、河川、湖沼、池等に堆積されたヘドロや溜め内に沈降・堆積されたヘドロ層を圧密排水して所要の土質性状に改良するヘドロ改良方法であって、圧密排水前の堆積ヘドロ層に対する改良後の力学特性値(強度、支持力等)、物理特性値(含水比、密度等)の目標値と前記堆積ヘドロ層をこれら目標値に到達させるのに必要な圧密荷重、期間をそれぞれ設定する目標設定工程と、前記ヘドロ層中のヘドロ粒子の流入を阻止し、かつ水の流入を許すとともに該流入した水を排出する所要の排水能力を有する排水シートを前記ヘドロ層の上面の少なくとも一部及び該ヘドロ層の上面から外れた周辺領域の少なくとも一部が覆われるように少なくとも1層に敷設して排水層を構築する排水層敷設工程と、圧密排水前の前記堆積ヘドロ層の厚さとその力学特性値及び物理特性値を基に該ヘドロ層が盛土荷重で滑り破壊されることなく支持し得る初期支持力と前記排水層が盛土荷重で破壊されることなく支持し得る支持力との総和又はそれ以下の荷重に相当する盛土を前記ヘドロ層の周辺領域を除く前記排水層上に載荷してヘドロ層の圧密排水を行う初期盛土工程と、前記初期盛土工程での盛土荷重によりヘドロ層が前記排水層を通して圧密排水されることで圧密沈下される該ヘドロ層の圧密沈下量(圧密度)を求め、この圧密沈下量(圧密度)から各圧密段階での圧密進行に伴う該ヘドロ層の強度増加を考慮した該ヘドロ層の力学特性値及び物理特性値値が目標値に到達したかを判断するとともに該ヘドロ層の力学特性値及び物理特性値値が目標値に到達しない時は圧密時間を延長するか又は前記排水層上に載荷される盛土の厚さをヘドロ層に滑り破壊が生じない程度に逐次増加し、当該盛土の増加工程を前記ヘドロ層の力学特性値および物理特性値値が目標値に達するまで繰り返し行う盛土繰り返し工程とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明にかかるヘドロ改良方法においては、ヘドロの力学特性値、圧密特性値(体積圧縮係数、圧密係数、強度増加係数など)、物理特性値を所定の値に設定し、かつ所定の期間にヘドロを所期の土質性状(含水比、強度、密度など)に改良できるように盛土荷重と圧密時間を設定し、そして、これらの設定値を基にして、ヘドロ層上に敷設した排水層上に、盛土によるヘドロ層の滑り破壊が生じないように、平面的、かつ段階的に盛土を行い、この盛土荷重によりヘドロ層を圧密沈下させてヘドロ層の含水比を低減し、且つその強度を徐々に増加させる。
これにより、ヘドロ層を積極かつ計画的に圧密排水処理できるとともに、ヘドロ上に所定高の盛土の構築が可能であり、かつ、ヘドロを掘削、運搬、捨て土または盛土や埋め戻しに転用可能な含水比と強度などを有する土質性状のヘドロに改良することができる。
【0009】
また、本発明は、ヘドロを所要の土性値に改良するヘドロ改良装置であって、人工的に構築されたピットと、前記ピット内の側壁面及び底面の少なくとも側壁面に沿い敷設され、ヘドロ中のヘドロ粒子の流入を阻止するとともに水の流入を許し、かつ流入した水を排出する所要の排水能力を有する第1排水層と、前記ピット内にヘドロが所定の高さに貯留した後の該ヘドロ層の上面の少なくとも一部が覆われるように、かつ前記第1排水層に連接するようにして敷設され、ヘドロ中のヘドロ粒子の流入を阻止するとともに水の流入を許し、かつ流入した水を排出する所要の排水能力を有する第2排水層と、前記第2排水層の上方から前記ヘドロ層に圧密荷重をかけて該ヘドロ層の間隙水を前記第1及び第2排水層から前記ピット外へ排出して該ヘドロ層を所要の圧密度(強度、含水比など)を持つ土質性状に変質させる圧密荷重手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明にかかるヘドロ改良装置においては、ピットの側壁面及び底面の少なくとも側壁面に沿い第1排水層を敷設し、このピット内に貯留堆積させたヘドロ層の上面に第2排水層を敷設した後、所定の厚さに盛土を行い、この盛土荷重によりヘドロ層を圧密沈下させてヘドロ層の含水比を低減し、且つその強度を増加させる。
これにより、ヘドロ層を積極かつ計画的に圧密排水処理でき、ヘドロを掘削、運搬、捨て土または盛土や埋め戻しに転用可能な含水比と強度など有する土質性状のヘドロに改良できる。
【0011】
また、本発明は、ヘドロを所要の土性値に改良するヘドロ改良装置であって、側壁面及び底面に多数の排水孔がそれぞれ形成され上面が開口されたヘドロ収容体と、前記ヘドロ収容体内の側壁面及び底面に沿い敷設され、ヘドロ中のヘドロ粒子の流入を阻止するとともに水の流入を許す所要の排水能力を有する第1排水層と、前記ヘドロ収容体内にヘドロが所定の高さに貯留した後の該ヘドロ層の上面の少なくとも一部が覆われるように、かつ前記第1排水層に連接するようにして敷設され、ヘドロ中のヘドロ粒子の流入を阻止するとともに水の流入を許し、かつ流入した水を排出する所定の排水能力を有する第2排水層と、前記第2排水層の上面を覆う非通気性の防水シートと、前記ヘドロ収容体の上面開口を気密状態に閉鎖する蓋体と、前記蓋体で閉鎖された前記ヘドロ収容体の上部閉鎖空間に圧縮空気などを供給することにより前記防水シートを含む第2排水層の上方から前記ヘドロ層を圧縮荷重して該ヘドロ層の圧密水を前記第1及び第2排水層から前記ヘドロ収容体外へ排出して該ヘドロ層を所要の圧密度(強度、含水比など)を持つ土質性状に変質させる圧密荷重手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明にかかるヘドロ改良装置においては、多数の排水孔を有するヘドロ収容体の側壁面及び底面に沿い第1排水層を敷設し、このヘドロ収容体に貯留堆積させたヘドロ層の上面に第2排水層を敷設した後、ヘドロ収容体の上面開口に加圧盤を嵌合し、この加圧盤を加圧手段により動作して、ヘドロ層を上面から第2排水層を介して圧縮荷重し、ヘドロ層を圧密沈下させることでヘドロ層の含水比を低減し、且つその強度を増加させる。
これにより、ヘドロ層を積極かつ計画的に圧密排水処理でき、ヘドロを掘削、運搬、捨て土または盛土や埋め戻しに転用可能な含水比と強度等を有する土質性状のヘドロに改良することができる。
【0013】
また、本発明は、ヘドロを所要の土性値に改良するヘドロ改良装置であって、側壁面及び底面に多数の排水孔がそれぞれ形成され上面が全開状態に開口されたヘドロ収容体と、前記ヘドロ収容体内の側壁面及び底面に沿い敷設され、ヘドロ中のヘドロ粒子の流入を阻止するとともに水の流入を許す所要の排水能力を有するの第1排水層と、前記ヘドロ収容体内にヘドロが所定の高さに貯留した後の該ヘドロ層の上面全域が覆われるように、かつ前記第1排水層に連接するようにして敷設され、ヘドロ中のヘドロ粒子の流入を阻止するとともに水の流入を許し、かつ流入した水を排出する所定の排水能力を有するの第2排水層と、前記ヘドロ収容体の開口に上下動可能に嵌合された加圧盤と、前記加圧盤を上方から下方に向けて動作させることにより前記第2排水層の上方から前記ヘドロ層を圧縮荷重して該ヘドロ層の圧密水を前記第1及び第2排水層から前記ヘドロ収容体外へ排出して該ヘドロ層を所要の圧密度(強度、含水比など)を持つ土質性状に変質させる加圧手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
本発明にかかるヘドロ改良装置においては、多数の排水孔を有するヘドロ収容体の側壁面及び底面に沿い第1排水層を敷設し、このヘドロ収容体に貯留堆積させたヘドロ層の上面に第2排水層を敷設した後、ヘドロ収容体の上面開口に加圧盤を嵌合し、この加圧盤を加圧手段により動作して、ヘドロ層を上面から第2排水層を介して圧縮荷重し、ヘドロ層を圧密沈下させることでヘドロ層の含水比を低減し、且つその強度を増加させる。
これにより、ヘドロ層を積極かつ計画的に圧密排水処理でき、ヘドロを掘削、運搬、捨て土または盛土や埋め戻しに転用可能な含水比と強度などを有する土質性状のヘドロに改良することができる。
【0015】
また、本発明は、ヘドロを所要の土性値に改良するヘドロ改良装置であって、ヘドロ投入チャンバーと、前記ヘドロ投入チャンバーから所定の距離離して設けられた改良ヘドロ排出チャンバーと、前記ヘドロ投入チャンバーと改良ヘドロ排出チャンバーとの間に差し渡し状態に配設され、多数の排水孔が外周壁の全域に亘り形成された所定長さの内部筒体と、前記内部筒体の外周に所定の隙間をおいて同心に、かつ前記ヘドロ投入チャンバーと改良ヘドロ排出チャンバーとの間に差し渡し状態に配設され、多数の排水孔が外周壁の全域に亘り形成された所定長さの外部筒体と、前記内部筒体の外周壁面と前記外部筒体の内周壁面との間に形成される隙間内に該隙間内が充填されるように両筒体の全長に亘り設けられ、ヘドロ中のヘドロ粒子の流入を阻止するとともに水の流入を許す排水層と、前記ヘドロ投入チャンバーから前記内部筒体内を通して前記改良ヘドロ排出チャンバーに達する長さを有するとともに前記内部筒体の軸線を中心にして回転可能に支持され、かつ前記ヘドロ投入チャンバーから前記改良ヘドロ排出チャンバーに行くに従いピッチが順次小さくなる螺旋羽根を有するヘドロ圧密用スクリューと、前記ヘドロ圧密用スクリューを駆動する駆動手段とを備えることを特徴とする。
【0016】
本発明にかかるヘドロ改良装置においては、ヘドロ圧密用スクリューを低速回転することにより、ヘドロ投入チャンバー内のヘドロを内部筒体に沿って改良ヘドロ排出チャンバー側へ徐々に移動し、これと同時に内部筒体内のヘドロを改良ヘドロ排出チャンバー側へ行くに従いヘドロに作用する圧縮力が徐々に増大して、その圧密度を増大させるとともに、ヘドロ中の間隙水圧を上昇することにより、ヘドロ中の圧密された水を内部筒体の排水孔を通して排水層に流入し、この流入水を排水層から外部筒体の排水孔を通して排出する。
これにより、所要の強度と含水比等を有するヘドロに連続して改良処理できるとともに、ヘドロを掘削、運搬、捨て土または盛土や埋め戻しに転用可能な含水比と強度等を有する土性値のヘドロに改良することができる。
【0017】
また、本発明は、海域、河川、湖沼、池等に堆積されたヘドロや溜め内に沈降・堆積されたヘドロ層を圧密排水して所要の土質性状に改良するヘドロ改良方法であって、前記ヘドロ層中のヘドロ粒子の流入を阻止し、かつ水の流入を許すとともに該流入水をヘドロ層上面へ誘導する排水ドレーン部材を前記ヘドロ層の全堆積領域の任意複数箇所に少なくともヘドロ層の上面から前記湖沼、池、溜め等の底部に達するように鉛直に敷設する排水ドレーン部材敷設工程と、前記ヘドロ層中のヘドロ粒子の流入を阻止し、かつ水の流入を許すとともに該流入水をヘドロ層外へ排出する所要の排水能力を有する排水シートを前記ヘドロ層の上面の少なくとも一部及び該ヘドロ層の上面から外れた周辺領域の少なくとも一部が覆われるように少なくとも1層に敷設して排水層を構築する排水層敷設工程と、前記ヘドロ層の周辺領域を除く前記排水層上に盛土してヘドロ層中の間隙水を前記排水ドレーン部材及び排水層を通し圧密排水するとともに該圧密排水によるヘドロ層の圧密沈下量(圧密度)に応じて前記排水層上に載荷される盛土の厚さをヘドロ層に滑り破壊が生じない程度に逐次増加させる盛土工程とを備えることを特徴とする。
【0018】
本発明にかかるヘドロ改良方法においては、排水ドレーン部材をヘドロ層の全堆積領域の任意複数箇所に所定の間隔を離して鉛直に敷設し、さらに、このヘドロ層上に敷設した排水層上に、ヘドロ層の滑り破壊が生じないように盛土を行うことにより、この盛土荷重でヘドロ層を圧密沈下させ、そして、この圧密沈下に伴うヘドロ層中の間隙水を排水ドレーン部材及び排水層を通してヘドロ層外へ排出することにより含水比を低減し、その強度を増加させる。
これにより、ヘドロ層を積極かつ計画的に圧密排水処理できるとともに、ヘドロ上に所定高の盛土の構築が可能であり、かつ、ヘドロを掘削、運搬、捨て土または盛土や埋め戻しに転用可能な含水比と強度などを有する土質性状のヘドロに改良することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明にかかるヘドロ改良方法の工程手順を示す工程説明図、図2は本発明方法によるヘドロの改良過程を示す説明用断面図である。
【0020】
図2において、12は地山13に構築されている農業用水などの溜池、14Aは溜池12の底面に層状に堆積されたヘドロ層(またはこれに類する超軟弱粘性土)であり、このヘドロ層14Aを本発明方法により改良する場合について、図1〜図4を参照して説明する。
【0021】
溜池12の底面に堆積されたヘドロ層14Aを所要の土性値に改良するに際しては、まず、溜池12の底面に堆積されたヘドロ層14A上に貯まっている水を排出し、図2(A)に示すように、ヘドロ層14Aの天端が露出される程度の水位にまで下げる。
次に、図1に示す測定工程100において、溜池12に堆積されている改良前のヘドロ層14Aの堆積厚さ及び力学特性値(強度、支持力等)、物理特性値(含水比等)、圧密特性(体積圧縮係数、圧密係数、強度増加係数等)及び、ヘドロ層14Aの下方に堆積する排水層と見なし得る透水層の有無とその位置をヘドロ層の室内試験及び現場で測定又は、観察により設定する。次の目標設定工程101では、前記測定工程100でのヘドロ層14Aの厚さ及び土性値(強度、含水比など)の設定値(初期の)を基に、改良後のヘドロ層の支持力(強度)、含水比及び密度等がヘドロの掘削、運搬、転用、土捨てなどに必要な土質性状になるようにヘドロ層の支持力及び含水比等の目標値を予め設定し、かつ堆積ヘドロ層14Aをこれら目標値に到達させるのに必要な圧密荷重、圧密期間を設定する。この場合、荷重が大きいと期間が短くなる。期間に制約がある場合が多いので荷重を調節する場合が多い。
【0022】
次いで、図1に示す排水層敷設工程102では、図2(B)に示すように、ヘドロ層14A中のヘドロ粒子の流入を阻止し、かつ水の流入を許すとともに該流入した水を排出する所要の排水能力(透水係数×層厚×動水勾配)の排水シート151をヘドロ層14Aの上面全域14D及び該ヘドロ層14Aの上面から外れた周辺領域14E(地山13に相当する領域)が覆われるように少なくとも1層敷設して、厚さが10mm程度の排水層15を構築する。
【0023】
ここで、排水層15を、例えば上下2層の排水シート151により構築する場合は、下層の排水シート151と上層の排水シート151とを互いに直交する方向に重ねて敷設する。
また、このヘドロ層14Aの圧密排水に使用する排水層15の設計に際しては、排水シート151の透水係数と排水シート151の一層当りの残留層厚と排水シート151の層数とから通水性能(透水係数×層厚)を算定し、排水層での動水勾配(排水シート内の間隙水圧を排水距離で除した値)を乗じて排水層15の排水能力を算定し、この排水能力が圧密排水されるヘドロ層14Aからの総流入水量以上になるように、盛土荷重(応力)とヘドロ層14Aの圧密特性を考慮し、かつヘドロから排水層15に流入する単位面積・単位時間当りの排水量を考慮して、排水層15を構築する排水シート151の排水材の種類の選定とその厚さ及び積層枚数を設定する。
また、排水層15の排水シート151には、不織布系、その他のジオテキスタイル等、またはジオテキスタイル構造の場合、織布、不織布、有孔膜体、板状フィルタの単体またはこれらの複合体からなるものが使用される。
【0024】
次に、図1に示す初期盛土工程(第1層の盛土工程)103において、図2(C)に示すように、圧密排水前の堆積ヘドロ層14Aの 初期支持力と排水層15の引張抵抗による支持力との総和が盛土荷重で破壊されることなく支持し得る荷重に相当する盛土16Aをヘドロ層14Aの周辺領域14Eを除く排水層15上に載荷してヘドロ層14Aの圧密排水を行う。
なお、排水層15は、圧密排水された後の改良ヘドロ中から排水層15を引き抜く時に、この引張り力に耐え得る強度のものにすることが望ましい。
この初期盛土工程103では、まず、図2(C)に示すように、排水層15によるハンモック効果を発揮できるように、排水層15の上面に部分的に分けて盛土を行い、しかる後、盛土の施されていない箇所の排水層15上に逐次盛土を行う。これにより、排水層15上に第1層目の盛土16Aが行われる。この場合、図2(C)に示す数字は、部分的に逐次行われる盛土16Aの施工順序を表している。また、第1層目の盛土16Aの厚さは30〜50cm程度である。
【0025】
前記初期盛土工程103において、ヘドロ層14A上に排水層15を介して第1層目の盛土16Aが載荷されると、この初期盛土による荷重力でヘドロ層14A中の間隙水圧が上昇する。これにより、ヘドロ層14A中の間隙水は排水層15に流入し、盛土16Aの載荷領域から外れたヘドロ層14Aの周辺領域14Eと対向する排水層15の部分からヘドロ層14A外へ排水される。また、ヘドロ層14A中の圧密水の一部は、ヘドロ層14Aの下層に排水層となる砂や礫層が堆積する場合にはこの排水層に排出される。これにより、ヘドロ層14A中の間隙水の量と水圧は時間の経過と共に減少し、ヘドロ層14A自体は図2(D)に示すように圧密沈下される。このように圧密沈下されたヘドロ層14Bは、その圧密度が上昇し、かつヘドロ粒子間の有効応力が増加するため、このヘドロ層14Bの強度(支持力)はヘドロ層14Aのそれよりも増大する。この時のヘドロの強度増加量は、ヘドロの種類により異なるものの、盛土による増加応力の圧密完了応力分(増加応力×圧密度)の0.3〜0.5倍程度となる。
【0026】
次に、図1に示す圧密沈下量測定・判定工程104に移行して、前記初期盛土荷重により圧密排水されたヘドロ層14Bの圧密沈下量(圧密度)を測定し、この圧密沈下量からヘドロ層14Bの土性値(強度、支持力、含水比等)が目標値に到達したかを判断する。ここで、ヘドロ層14Bの土性値(強度、支持力、含水比等)が目標値に到達しない場合は、ヘドロ層14Bの圧密度が所定の値まで進行するまで圧密時間を延長するか、又は次の盛土増加工程105において、排水層15上に載荷される盛土の高さを増加させる。
すなわち、図2(E)に示すように、第1層目の盛土16Aの上に、前記初期盛土荷重時の圧密により支持力の増加されたヘドロ層14Bに滑り破壊が生じない程度の高さに第2層目の盛土16Bを積み上げて載荷し、ヘドロ層14Bへの盛土荷重を増加させる。これにより、ヘドロ層14B中の間隙水は時間の経過と共に更に減少し、ヘドロ層14B自体も図2(F)に示すように更に圧密沈下される。このように圧密沈下されたヘドロ層14Cの圧密度が更に上昇し、その強度(支持力)等もヘドロ層14Bのそれよりも増大する。
【0027】
次に、図1に示す圧密沈下量測定・判定工程104に移行し、第2層目の盛土16Bを載荷した後のヘドロ層14Bの圧密沈下量(圧密度)を測定し、この圧密沈下量からヘドロ層14Bの土性値(強度、支持力、含水比等)、が目標値に到達したかを判断する。ここで、ヘドロ層14Bの土性値(強度、支持力、含水比等)、が目標値に到達しない場合は、再度、盛土増加工程105に移行し、排水層15上に載荷される盛土の高さを更に増加させる。
すなわち、図2(F)に示すように、第2層目の盛土16Bの上に、この盛土16Bによる圧密排水で強度、支持力等の増大されたヘドロ層14Cに滑り破壊が生じない程度の高さまで第3層目の盛土16Cを積み上げて載荷し、ヘドロ層14Cへの盛土荷重を増加させてヘドロ層14Cを更に圧密沈下させる。
【0028】
以下同様にして、ヘドロ層に対し、その土性値(強度、支持力、含水比等)が目標値に到達するまで、上記圧密沈下量測定・判定工程104と盛土増加工程105を繰り返し実施する。そして、ヘドロ層の土性値(強度、支持力、含水比等)が目標値に到達したならば、ヘドロの改良処理が終了する。
なお、上記圧密沈下量測定・判定工程104と盛土増加工程105は、請求項に記載した盛土繰り返し工程を構成する。
また、本発明における圧密沈下量は、ヘドロ層の圧密沈下量を直接測定する方式に限らず、ヘドロ層の圧密特性を予め試験で設定し、この圧密特性と圧密理論に基づいて算定した圧密時間から圧密沈下量を求め、これにより、各段階盛土後の所定目標値に達したか否かを予測することが可能である。
また、目標値設定工程において、堆積ヘドロ層の圧密特性(体積圧縮係数、圧密係数、強度増加係数、等)を設定し、各盛土荷重の圧密沈下速度、圧密時間並びに、各盛土荷重の圧密段階(圧密度)におけるヘドロ層の強度などを予め予測することが可能である。
【0029】
このように本実施の形態におけるヘドロ改良方法では、ヘドロの含水比や強度等を所定の値に設定し、かつ所定の期間にヘドロを所期の土性値(含水比、強度、密度等)に改良できるように圧密時間を設定し、そして、これらの設定値を基にして、ヘドロ層上に敷設した排水層15上に、盛土によるヘドロ層の滑り破壊が生じないように、平面的、かつ断面的に段階的に盛土を行い、この盛土荷重によりヘドロ層を圧密沈下させてヘドロ層の強度を徐々に増加させるようにしたので、ヘドロを掘削、運搬、捨て土または盛土や埋め戻しに転用可能な含水比と強度等を有する土質性状のヘドロに改良することができる。
なお、この発明のヘドロ改良方法において、ヘドロ層上に敷設される排水層15は、ヘドロ層の上面全域に敷設する必要がなく、排水層15をヘドロ層の上面に部分的に敷設する方式でもよい。
【0030】
次に、本発明方法によるヘドロ改良の実施例について述べる。
溜池12の底部に1.0mの厚さに堆積されたヘドロ層14Aを盛土荷重により圧密排水して、掘削、運搬、捨て土または盛土や埋め戻しに転用可能な含水比と粘性強度を有する土性値のヘドロに改良する場合は、ヘドロ層14Aの厚さ1.0mの時、その層厚の20%の圧密沈下が生じると設定し、ヘドロ層14Aの最終沈下量を20cmとした。
【0031】
また、この時のヘドロ層14Aの圧密時間は、ヘドロ層14Aの厚さが1.0mの場合、その圧密沈下時間tは次式与えられる。
t=Tv・(H2)/Cv
ここで、Tv;時間係数、H;ヘドロ層厚、Cv;圧密係数である。また、へドロの土質から、Cv=1000〜1500cm2/dayであることから安全側の値を設定して、Cv=1000cm2/dayを設定する。そして、ヘドロ層14Aの下層に排水層となり得る土層が無かったのでヘドロ層は片面排水条件とした。また、圧密度90%を考えると、Tv=0.85となり、
となる。
【0032】
また、圧密度90%と設定した理由は、盛土の許容残留沈下量を3cm以下に設定したとき、圧密度U=(20−3)/20×100=85%<90%になるからである。したがって、ヘドロ層14A上に排水層15を介して盛られる盛土の高さを次のように設定した。
ここで、プレロード荷重p=16.5×0.6≒10KN/m2である。
【0033】
以上の結果から、厚さ1.0mのヘドロ層を盛土荷重による圧密排水で圧密沈下する場合の盛土高さ、ヘドロ層の最終沈下量及び90%圧密時間はそれぞれ下記のように設定される。
盛土高さ 2m
最終沈下量 20cm
90%圧密時間 10日
【0034】
このような設定値を基にして、本発明のヘドロ改良方法により、厚さ1.0mのヘドロ層を盛土荷重により圧密沈下させた時の方法を実行した時のヘドロ層の最終沈下量、沈下時間及び圧密度の実測値はそれぞれ下記のようになった。
最終沈下量 20cm(沈下データより双曲線法により算定)
沈下時間 12日
圧密度 97%(残留沈下量0.6cm)
【0035】
以上のことから、ヘドロを所定の期間に所要の土性値(含水比、強度、密度等)に改良し、この改良ヘドロを掘削して撤去するために所定の場所に運搬し、または他への転用(リサイクル)や土捨て(敷き均し、転圧)が可能となる。この場合、掘削、運搬、転用、土捨てを行うために必要な土性値で、かつ改良ヘドロは産業廃棄物の規定に抵触しない土性値に設定できる。これによって、改良ヘドロの経済的、かつ効果的な捨て土や転用などが可能になり、かつ堆積した改良ヘドロを効率的に撤去することが可能になる。
また、このような改良したヘドロ上に盛土を行うことにより、土地造成を合理的、経済的に行うことができるほか、改良したヘドロの堆積地域におけるヘドロ層の封じ込めによる環境の向上や環境機能の回復、水の浄化を効率的に行うことができる。
また、盛土、圧密の繰返しの各段階において、ヘドロ層(盛土)の沈下量の測定やヘドロ層の土質試験、または圧密時間によりヘドロ層の圧密度(強度、含水比等)を施工管理として実施することで、設計値と現場での土性値との対比、確認が可能であり、合理的且つ、計画的な管理ができる。
【0036】
次に、本発明のヘドロ改良方法に適用される排水層の実施の形態について図面を参照して説明する。
図3は本発明のヘドロ改良方法に適用される排水層の第2の実施の形態を示す一部の説明用拡大断面図である。
この図3に示す排水層15は、排水層15の厚さ方向に中間部、例えば下層排水シート151aと上層排水シート151bとの間に、合成樹脂製等の線条体またはこの線条体を網目状に編んだネット、不織布、織布、割繊維不織布などからなる張力増強材152を排水層15に全域に亘り平面状に配設したものである。
【0037】
このような第2の実施の形態を示す排水層15においては、排水層15自体の盛土荷重に対する支持力が増強され、同時にヘドロ層の支持力も増大されるため、この排水層15を介してヘドロ層上に載荷される1回の盛土の厚さを大きくできる。これに伴い、ヘドロ層を目標の圧密度及び土性値(強度、含水比、等)に改良させるための盛土の回数を削減できるとともに、沈下時間も短縮することができる。
【0038】
図4は本発明のヘドロ改良方法に適用される排水層の第3の実施の形態を示す一部の説明用拡大断面図である。
この図4に示す排水層15は、これを構成する排水シート151の上面に、合成樹脂製等の線条体またはこの線条体を網目状に編んだネット、織布、不織布、割繊維不織布などからなる張力増強材153を排水シート151に全域に亘り平面状に配設し、これにより、排水層15の盛土荷重に対する支持力を増強するように構成したものである。
このような第3の実施の形態に示す排水層においても、上記第2の実施の形態と同様な作用効果が得られる。
【0039】
図5は本発明のヘドロ改良方法に適用される排水層の第4の実施の形態を示す一部の説明用拡大断面図である。
この図5に示す排水層15は、これを構成する排水シート151の下面に、合成樹脂製等の線条体またはこの線条体を網目状に編んだネット、織布、不織布、割繊維不織布などからなる張力増強材154を排水シート151に全域に亘り平面状に配設し、これにより、排水層15の盛土荷重に対する支持力を増強するように構成したものである。
このような第4の実施の形態に示す排水層においても、上記第2の実施の形態と同様な作用効果が得られる。
【0040】
図6は本発明のヘドロ改良方法に適用される排水層の第5の実施の形態を示す一部の説明用拡大断面図である。
この図6に示す排水層15は、これを構成する排水シート151の上下両面に、合成樹脂製等の線条体またはこの線条体を網目状に編んだネット、織布、不織布、割繊維不織布などからなる張力増強材155,156を排水シート151に全域に亘り平面状に配設し、これにより、排水層15の盛土荷重に対する支持力を増強するように構成したものである。
このような第5の実施の形態に示す排水層においても、上記第2の実施の形態と同様な作用効果が得られる。
なお、図3〜図6に示す排水層15は、引張り増強材と排水シートとを予め組み合わせることで構成する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、現地において、引張り増強材及び排水シートを別々に敷設することにより、排水層15を構成するようにしてもよい。
【0041】
次に、図7及び図8により本発明のヘドロ改良方法に適用される排水層の第6の実施の形態について説明する。
図7は本発明の第6の実施の形態における排水層の一部を示す説明用平面図、図8は図7のA−A線に沿う拡大断面図である。
この図7及び図8に示す排水層15は、上下2層に重ね合わせた、ジオテキスタイルなどからなる上層排水シート157a及び下層排水シート157bと、この上層排水シート157aと下層排水シート157bとの間にその長尺方向の全長に亘り延在するように排水シートの短尺方向に所定の間隔離して配設された可撓性の有孔排水パイプ158とから構成される。この有孔排水パイプ158には、ヘドロ層からの圧密水が流入される多数の圧密水流入孔が有孔排水パイプ158の全域に亘り形成されている。
なお、この場合、有孔排水パイプ158に代えて、通水性の大きいジオテキスタイル等の排水路等を排水層15内に配設するようにしてもよい。
【0042】
このように構成された排水層15において、盛土荷重によるヘドロ層14への圧密作用によりヘドロ層14から湧出する圧密水は、図8の矢印81に示すように排水層15内に流入し、この流入水のほとんどは排水層15内を図8の矢印82に示す平面方向に流動して有孔排水パイプ158内に流入し、この有孔排水パイプ158を通してヘドロ層14外へ排出される。さらに、排水層15への流入水の一部は排水層15内を図7の矢印84(図8の矢印85)に流動して排水層15からヘドロ層14外へ排出される。
【0043】
このような排水層15では、有孔排水パイプ158を有することにより、排水層15の排水能力を向上できる。また、有孔排水パイプ158の配置間隔及び径(又は排水路の通水性能)を変えることにより、排水層の排水能力を調整することができる。
なお、この図7及び図8に示す排水層15においても、上記図3ないし図6に示す場合と同様に張力増強材を設けるようにしてもよい。
また、上記図7及び図8では、排水層15を上層排水シート157aと下層排水シート157bの二層構造にし、この排水層15を上層排水シート157aと下層排水シート157bとの間に有孔排水パイプ158を配設した場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、有孔排水パイプ158を排水シートの上面または下面に配置し、この有孔排水パイプ158を含む有孔排水パイプ配置領域のみを、盛土やヘドロの土粒子が流入しないように排水シートで覆うようにしてもよい。
【0044】
次に、本発明にかかるヘドロ改良装置の実施の形態について図面を参照して説明する。
図9は本発明にかかるヘドロ改良装置の第1の実施の形態を示す説明用断面図である。
この第2の実施の形態に示すヘドロ改良装置90は、建設現場等から発生するヘドロを現場において、直接所要の土性値に改良できるようにした汎用タイプのヘドロ改良プラントであり、地山91に人工的に構築されたヘドロ処理用のピット92と、このピット92の垂直四周壁を構築するコンクリート製などの土止め壁921及びピット92の底面を構築するコンクリート製などの底部922の全域が覆われるように敷設された第1排水層93と、第1排水層93が敷設されたピット92内の貯留ヘドロの中間に水平方向に延在して敷設される中間排水層94(請求項の第3排水層に相当する)と、前記第1排水層93に連接され、ピット92内の貯留ヘドロの上面を覆うように敷設される第2排水層95と、ピット92内の貯留ヘドロ層を所要の圧密度と強度、含水比等を持つ土性値に変質させるように第2排水層95上に載荷される盛土96とから構成される。
また、ピット92の底面はコンクリート製に限らず、他の材料又は地盤面であってもよい。
【0045】
なお、前記盛土96は、請求項に示す圧密荷重手段を構成するものである。また、前記第1排水層93、第2排水層95及び中間排水層94はジオテキスタイルなどからなり、ヘドロ中のヘドロ粒子の流入を阻止するとともに水の流入を許し、かつ流入した水をピット92外へ誘導排出するものである。
【0046】
このようなヘドロ改良装置90を利用して、建設現場等から発生するヘドロを所要の土性値に改良する場合について説明する。
この場合は、まず、ピット92内の側壁面及び底面に第1排水層93を全域に亘り敷設する。次に、内側を第1排水層93で覆ったピット92内に建設現場等から発生するヘドロを所定のレベルまで投入する。その後、このヘドロ層97Aの上面全域に中間排水層94をヘドロ層97Aの水平方向に延在して、ピット92の側壁面に対向する第1排水層93に連通するように敷設する。次いで、上記中間排水層94上に更にヘドロを所定のレベルまで投入し、このヘドロ層97Bの上面全域が覆われるように、第1排水層93と連接された第2排水層95を折り返すことで敷設する。次に、上記第2排水層95上に所定の高さに盛土96を施して、ヘドロ層97A,97Bの圧密荷重とする。
【0047】
ヘドロ層97A,97B上に第2排水層95を介して盛土96が載荷されると、この盛土96による荷重力でヘドロ層97A,97B中の間隙水が上昇する。これにより、ヘドロ層97A,97B中の圧密された水は中間排水層94、第2排水層95及び第1排水層93にそれぞれ流入し、この中間排水層94、第2排水層95及び第1排水層93を通して、ピット92の土止め壁921の上部に設けた排水口98からピット92外へ排水される。
したがって、盛土96を載荷した後のヘドロ層97A,97Bの圧密沈下量(圧密度)を測定し、この圧密沈下量(または圧密時間、ヘドロ層97Bの強度測定、含水比測定等)からヘドロ層97A,97Bの強度及び含水比等が目標値に到達したかを確認する。そして、ヘドロ層97A,97Bの強度及び含水比等が目標値に到達した状態では、盛土96を除去した後、ピット92内の改良ヘドロを掘り出して、これを捨て土または盛土や埋め戻しなどに利用する。この時、第1及び第2排水層93,95は破損されない限り再利用する。
【0048】
このような第1の実施の形態に示すヘドロ改良装置90によれば、盛土荷重によりヘドロ層を圧密沈下させてヘドロ層の強度を増加させるようにしたので、掘削、運搬、捨て土または盛土や埋め戻しに転用可能な含水比と強度等を有する土性値のヘドロに改良することができる。
また、このようなヘドロ改良装置は、ヘドロの発生する建設現場等において、ヘドロ改良プラントとして簡便に構築することができる。これにより、建設現場等から発生するヘドロを効率よく処理できるほか、ヘドロによる環境等への被害を未然に防止できる。
なお、上記第1、第2排水層93,95及び中間排水層94に、上記図7及び図8に示す可撓性の有孔排水パイプ、又は通水性の大きいジオテキスタイルなどからなる排水路等を配設するとこができる。
また、上記第1、第2排水層93,95及び中間排水層94は、ヘドロ層の表面全域に敷設する必要がなく、部分的に敷設するようにしてもよい。
【0049】
次に、図10により本発明にかかるヘドロ改良装置の第2の実施の形態について説明する。
この第2の実施の形態に示すヘドロ改良装置110は、建設現場等から発生するヘドロを現場において、直接所要の土性値に改良できるようにした汎用タイプのヘドロ改良プラントであり、地山111を逆台形状に掘削することにより構築されたヘドロ処理用のピット112と、このピット112の傾斜四周壁面及び底面の全域が覆われるように敷設された第1排水層113と、第1排水層113が敷設されたピット112内の貯留ヘドロの中間に水平方向に延在して敷設される中間排水層114(請求項の第3排水層に相当する)と、ピット112内の貯留ヘドロの上面全域が覆われるように、かつ第1排水層113に連接して敷設される第2排水層115と、ピット112内の貯留ヘドロ層を所要の圧密度と強度、含水比等を持つ土質性状に変質させるように第2排水層115上に載荷される盛土116とから構成される。
【0050】
なお、前記盛土116は、請求項に示す圧密荷重手段を構成するものである。また、前記第1排水層113、第2排水層115及び中間排水層114はジオテキスタイルなどからなり、ヘドロ中のヘドロ粒子の流入を阻止するとともに水の流入を許し、かつ流入した水をピット112外へ誘導排出するものである。
【0051】
このようなヘドロ改良装置110を利用して、建設現場等から発生するヘドロを所要の土性値に改良する場合について説明する。
まず、ピット112内の傾斜側壁面及び底面に第1排水層113を全域に亘り敷設する。次に、内側を第1排水層113で覆ったピット112内に建設現場等から発生するヘドロを所定のレベルまで投入する。その後、このヘドロ層117Aの上面全域に中間排水層114をヘドロ層117Aの水平方向に延在して、ピット112の側壁面に対向する第1排水層113に連通するように敷設する。次いで、上記中間排水層114上に更にヘドロを所定のレベルまで投入し、このヘドロ層117Bの上面全域が覆われるように、第1排水層113と連接された第2排水層115を折り返すことで敷設する。次に、上記第2排水層115上に所定の高さに盛土116を施して、ヘドロ層117A,117Bの圧密荷重とする。
【0052】
ヘドロ層117A,117B上に第2排水層115を介して盛土116が載荷されると、この盛土116による荷重力でヘドロ層117A,117B中の間隙水圧が上昇する。これにより、ヘドロ層117A,117B中の圧密された水は中間排水層114、第2排水層115及び第1排水層113にそれぞれ流入し、この中間排水層114、第2排水層115及び第1排水層113を通して、ピット112の上部からピット112外へ排水される。
したがって、盛土116を載荷した後のヘドロ層117A,117Bの圧密沈下量(圧密度)を測定し、この圧密沈下量(または圧密時間、ヘドロ層117Bの強度測定、含水比測定等)からヘドロ層117A,117Bの強度及び含水比等が目標値に到達したかを確認する。そして、ヘドロ層117A,117Bの強度及び含水比等が目標値に到達した状態では、盛土116を除去した後、ピット112内の改良ヘドロを掘り出して、これを捨て土または盛土や埋め戻しなどに利用する。この場合、第1及び第2排水層113,115は破損されない限り再利用する。
【0053】
このような第2の実施の形態に示すヘドロ改良装置110によれば、上記図9に示す第1の実施の形態と同様な作用効果が得られるほか、ヘドロ処理用のピット112は地山111を逆台形状に掘削するだけで構築できるため、建設現場等におけるヘドロ改良プラントの構築が更に簡便になる。
なお、上記第1、第2排水層113,115及び中間排水層114に、上記図7及び図8に示す可撓性の有孔排水パイプ、又は通水性の大きいジオテキスタイルなどからなる排水路等を配設するとこができる。
【0054】
次に、図11により本発明にかかるヘドロ改良装置の第3の実施の形態について説明する。
この第3の実施の形態に示すヘドロ改良装置120は、建設現場等から発生するヘドロを現場において、直接所要の土性値に改良できるようにした汎用タイプのヘドロ改良プラントであり、地山121に人工的に構築されたヘドロ処理用のピット122と、このピット122の垂直四周壁を構築するコンクリート製などの土止め壁122a及びピット122の底面を構築するコンクリート製底部122bの全域を覆うように敷設された第1排水層123と、第1排水層123が敷設されたピット122内の貯留ヘドロの中間に水平に延在して敷設される中間排水層124(請求項の第3排水層に相当する)と、ピット122内の貯留ヘドロの上面全域が覆われるるように、第1排水層123に連接するように敷設される第2排水層125と、第2排水層125の上方に位置するピット122の開口を気密に閉塞するとともにピット122内の貯留ヘドロ層を圧密する空気遮断シート126と、この空気遮断シート126の内側を負圧にして貯留ヘドロ層を圧密排水するバキューム装置127とから構成される。
【0055】
なお、前記空気遮断シート126とバキューム装置127は、請求項に示す圧密荷重手段を構成するものである。また、前記第1排水層123、第2排水層125及び中間排水層124はジオテキスタイルなどからなり、ヘドロ中のヘドロ粒子の流入を阻止するとともに水の流入を許し、かつ流入した水をピット92外へ誘導排出するものである。
【0056】
次に、このようなヘドロ改良装置120を利用して、建設現場等から発生するヘドロを所要の土性値に改良する場合について説明する。
まず、ピット122内の側壁面及び底面に第1排水層123を全域に亘り敷設する。次に、内側を第1排水層123で覆ったピット122内に建設現場等から発生するヘドロを所定のレベルまで投入する。その後、このヘドロ層128Aの上面全域に中間排水層124をヘドロ層128Aの水平方向に延在して、ピット122の側壁面に対向する第1排水層123に連通するように敷設する。次いで、上記中間排水層124上に更にヘドロを所定のレベルまで投入し、このヘドロ層128Bの上面全域が覆われるように、第1排水層123と連接された第2排水層125を折り返すことで敷設する。次に、空気遮断シート126をピット122の開口が気密に閉塞されるように装着し、バキューム装置127を起動して空気遮断シート126の内側を負圧にすることにより、この空気遮断シート126を第2排水層125に押し付けるととともにヘドロ層128A及び128Bを上方からの圧密荷重とする。
【0057】
ヘドロ層128A及び128Bがバキューム装置127の吸引による負圧で加圧されると、この荷重力でヘドロ層128A及び128B中の間隙水圧が低下し負圧となる。これにより、ヘドロ層128A及び128B中の間隙水は中間排水層124、第2排水層125及び第1排水層123にそれぞれ流入し、この中間排水層124、第2排水層125及び第1排水層123を通して、ピット122外へバキューム装置127により排水される。
したがって、バキューム装置127によりピット122内を所定時間負圧状態に保持した後のヘドロ層128A,128Bの圧密沈下量(圧密度)を測定し、この圧密沈下量(または圧密時間、ヘドロ層128Bの強度測定、含水比測定等)からヘドロ層128A,128Bの強度及び含水比等が目標値に到達したかを確認する。そして、ヘドロ層128A,128Bの強度及び含水比等が目標値に到達した状態では、バキューム装置127を停止し、空気遮断シート126をピット122から取り外した後、ピット122内の改良ヘドロを掘り出して、これを捨て土または盛土や埋め戻しなどに利用する。この場合、第1及び第2排水層123,125は再利用する。
【0058】
このような第3の実施の形態に示すヘドロ改良装置によれば、上記図9に示す第1の実施の形態と同様な作用効果が得られる。
なお、上記第1、第2排水層123,125及び中間排水層124に、上記図7及び図8に示す可撓性の有孔排水パイプ、又は通水性の大きいジオテキスタイルなどからなる排水路等を配設するとこができる。
また、上記第1、第2排水層123,125及び中間排水層124は、ヘドロ層の表面全域に敷設する必要がなく、部分的に敷設するようにしてもよい。
【0059】
次に、図12により本発明にかかるヘドロ改良装置の第4の実施の形態について説明する。
この第4の実施の形態に示すヘドロ改良装置130は、建設現場等から発生するヘドロを現場において、直接所要の土性値に改良できるようにした可搬式のヘドロ改良プラントであり、多数の排水孔131a及び131bがそれぞれ形成されたほぼ垂直な四側壁面131A及び底面131Bを有する上面開口のヘドロ収容体131と、このヘドロ収容体131内に四側壁面131A及び底面131Bの全域が覆われるように敷設された第1排水層132と、第1排水層132が敷設されたヘドロ収容体131内の貯留ヘドロの中間に水平方向に延在して敷設される中間排水層133(請求項の第3排水層に相当する)と、ヘドロ収容体131内の貯留ヘドロの上面全域が覆われるように、かつ第1排水層132に連接して敷設される第2排水層134と、第2排水層134の上面を覆う非通気性の防水シート135と、ヘドロ収容体131の上面開口を気密状態に閉鎖する蓋体136と、蓋体136で閉鎖されたヘドロ収容体131の上部閉鎖空間137に圧縮空気を供給して防水シート135を含む第2排水層134の上方からヘドロ収容体131内の貯留ヘドロを圧縮荷重する圧縮空気供給装置138(請求項に記載した圧密荷重手段に相当する)とから構成される。
【0060】
なお、前記第1排水層132、第2排水層134及び中間排水層133はジオテキスタイルなどからなり、ヘドロ中のヘドロ粒子の流入を阻止するとともに水の流入を許し、かつ流入した水をヘドロ収容体131の排水孔131a及び131bへ誘導排出するものである。
【0061】
次に、このようなヘドロ改良装置130を利用して、建設現場等から発生するヘドロを所要の土性値に改良する場合について説明する。
まず、四側壁面131A及び底面131Bの内側にその全域が覆われるように第1排水層132を敷設したヘドロ収容体131を建設現場に設置する。次に、このヘドロ収容体131内に作業現場等から発生するヘドロを所定のレベルまで投入する。その後、このヘドロ層139Aの上面全域に中間排水層133をヘドロ層139Aの水平方向に延在して、ヘドロ収容体131の側壁面に対向する第1排水層132に連通するように敷設する。次いで、上記中間排水層133上に更にヘドロを所定のレベルまで投入し、このヘドロ層139Bの上面全域が覆われるように、第1排水層132と連接された第2排水層134を折り返すことで敷設する。次に、第2排水層134の上面を防水シート135により覆い、しかる後、ヘドロ収容体131の開口を蓋体136により気密に閉塞する。かかる状態で、圧縮空気供給装置138を起動してヘドロ収容体131の上部閉鎖空間137に圧縮空気を供給し、この上部閉鎖空間137の圧力を上昇させる。これにより、防水シート135が第2排水層132に押し付けるととともにヘドロ層139A及び139Bを上方からの圧密荷重とする。
【0062】
ヘドロ層139A及び139Bが圧縮空気供給装置138からの圧縮空気により加圧されると、この荷重力でヘドロ層139A及び139B中の間隙水圧が上昇する。これにより、ヘドロ層139A及び139B中の圧密された水は中間排水層133、第2排水層134及び第1排水層132にそれぞれ流入し、この中間排水層133、第2排水層134及び第1排水層132を通して、ヘドロ収容体131の排水孔131a及び131bからヘドロ収容体131外へ排水される。
したがって、圧縮空気供給装置138によるヘドロ層139A、139Bの圧密加圧状態を所定時間保持することにより、ヘドロ層139A、139Bの圧密沈下量(圧密度)を測定し、この圧密沈下量(または圧密時間、ヘドロ層139Bの強度測定、含水比測定等)からヘドロ層139A、139Bの強度及び含水比等が目標値に到達したかを確認する。そして、ヘドロ層139A、139Bの強度及び含水比等が目標値に到達した状態では、圧縮空気供給装置138を停止し、蓋体136を開いて防水シート135及び第2排水層134を取り除いた後、ヘドロ収容体131内の改良ヘドロを掘り出して、これを捨て土または盛土や埋め戻しなどに利用する。この場合、第1及び第2排水層132,134及び防水シート135は破損されない限り再利用する。
【0063】
このような第4の実施の形態に示すヘドロ改良装置によれば、圧縮空気供給装置138からの圧縮空気を利用してヘドロ層を圧密沈下させ、ヘドロ層の強度を増加させるようにしたので、掘削、運搬、捨て土または盛土や埋め戻しに転用可能な含水比と強度等を有する土性値のヘドロに改良することができる。
また、このようなヘドロ改良装置130は、ヘドロの発生する建設現場等に搬送して設置できるため、可搬式のヘドロ改良プラントとして簡便に構築することができるとともに、建設現場等から発生するヘドロを効率よく処理でき、ヘドロによる環境等への被害も未然に防止できる。
なお、上記第1、第2排水層132,134及び中間排水層133に、上記図7及び図8に示す可撓性の有孔排水パイプ、又は通水性の大きいジオテキスタイルなどからなる排水路等を配設するとこができる。
また、上記第1、第2排水層132,134及び中間排水層133は、ヘドロ層の表面全域に敷設する必要がなく、部分的に敷設するようにしてもよい。
【0064】
次に、図13により本発明にかかるヘドロ改良装置の第5の実施の形態について説明する。
この第5の実施の形態に示すヘドロ改良装置140は、建設現場等から発生するヘドロを現場において、直接所要の土性値に改良できるようにした可搬式のヘドロ改良プラントであり、多数の排水孔141a及び141bがそれぞれ形成されたほぼ垂直な四側壁面141A及び底面141Bを有する上面開口のヘドロ収容体141と、このヘドロ収容体141内に四側壁面141A及び底面141Bの全域が覆われるように敷設された第1排水層142と、第1排水層142が敷設されたヘドロ収容体141内の貯留ヘドロの中間に水平方向に延在して敷設される中間排水層143(請求項の第3排水層に相当する)と、第1排水層141に連接され、ヘドロ収容体141内の貯留ヘドロの上面が覆われるように敷設される第2排水層144と、ヘドロ収容体141の開口141Aに上下動可能に嵌合される四角状の加圧盤145と、この加圧盤145を上方から下方に向けて動作させることによりヘドロ収容体141内の貯留ヘドロを圧縮荷重する流体圧シリンダ等からなる加圧手段146と、ヘドロ収容体141全体を収容する圧密水受け容器147とから構成される。また、ヘドロ収容体141は載置台148を介して圧密水受け容器147に収容される構成になっている。
【0065】
なお、前記第1排水層142、第2排水層144及び中間排水層143はジオテキスタイルなどからなり、ヘドロ中のヘドロ粒子の流入を阻止するとともに水の流入を許し、かつ流入した水をヘドロ収容体141の排水孔141a及び141bへ誘導排出するものである。
【0066】
次に、このようなヘドロ改良装置140を利用して、建設現場等から発生するヘドロを所要の土性値に改良する場合について説明する。
まず、圧密水受け容器147を建設現場に設置し、この圧密水受け容器147内に、四側壁面141A及び底面141Bの内側にその全域が覆われるように第1排水層142を敷設したヘドロ収容体141を収納し設置する。次に、このヘドロ収容体141内に作業現場等から発生するヘドロを所定のレベルまで投入する。その後、このヘドロ層149Aの上面全域に中間排水層143をヘドロ層149Aの水平方向に延在して、ヘドロ収容体141の側壁面に対向する第1排水層142に連通するように敷設する。次いで、上記中間排水層143上に更にヘドロを所定のレベルまで投入し、このヘドロ層149Bの上面全域が覆われるように、第1排水層142と連接された第2排水層144を折り返すことで敷設する。しかる後、ヘドロ収容体141の開口に、加圧手段146に連結した加圧盤145を嵌合する。かかる状態で、加圧手段146を起動して加圧盤145を下降動作することにより、第2排水層142を介してヘドロ層149A及び149Bを圧密荷重する。
【0067】
ヘドロ層149A及び149Bが加圧盤145により圧縮方向に加圧されると、この荷重力でヘドロ層149A及び149B中の間隙水圧が上昇する。これによって、ヘドロ層149A及び149B中の圧密された水は中間排水層143、第2排水層144及び第1排水層142にそれぞれ流入し、この中間排水層143、第2排水層144及び第1排水層142を通して、ヘドロ収容体141の排水孔141a及び141bから圧密水受け容器147内に排出され、さらに、圧密水受け容器147に設けた排水口147aから圧密水受け容器147外に排水される。
【0068】
したがって、加圧手段146と加圧盤145によるヘドロ層149A、149Bの圧密加圧状態を所定時間保持することにより、ヘドロ層149A、149Bの圧密沈下量(圧密度)等を測定し、この圧密沈下量等からヘドロ層149A、149Bの強度及び含水比等が目標値に到達したかを確認する。ヘドロ層149A、149Bの強度及び含水比等が目標値に到達した状態では、加圧手段146を停止した後、加圧手段146を後退動作させて加圧盤145をヘドロ収容体141の開口から退避させる。または、ヘドロ収容体141と圧密水受け容器147を加圧手段146から離れた位置へ移動させる。そして、第2排水層144を取り除いた後、ヘドロ収容体141内の改良ヘドロを掘り出して、これを捨て土または盛土や埋め戻しなどに利用する。この場合、第1及び第2排水層142,144は破損されない限り再利用する。
【0069】
このような第5の実施の形態に示すヘドロ改良装置によれば、上記図12に示す第4の実施の形態と同様な作用効果が得られる。
なお、上記第1、第2排水層142,144及び中間排水層143に、上記図7及び図8に示す可撓性の有孔排水パイプ、又は通水性の大きいジオテキスタイルなどからなる排水路等を配設するとこができる。
また、第5の実施の形態に示すヘドロ収容体141は四側壁面を有する形状のものに限定されず、円筒形状のものであってもよい。
【0070】
次に、図14及び図15により本発明にかかるヘドロ改良装置の第6の実施の形態について説明する。
この第6の実施の形態に示すヘドロ改良装置160は、建設現場等から発生するヘドロを現場において、連続的に所要の土性値に改良できるようにしたヘドロ改良プラントであり、建設現場に構築され、または、建設現場に搬入設置可能なもので、建設現場から発生するヘドロが投入貯留されるヘドロ投入チャンバー161と、このヘドロ投入チャンバー161から所定の距離離して、かつヘドロ投入チャンバー161に対して所定の落差をつけて設けられた改良ヘドロ排出チャンバー162と、このヘドロ投入チャンバー161と改良ヘドロ排出チャンバー162との間に差し渡し状態に傾斜して配設され、多数の排水孔163aが外周壁の全域に亘り形成された所定長さの内部筒体163と、この内部筒体163の外周に所定の隙間をおいて同心に、かつヘドロ投入チャンバー161と改良ヘドロ排出チャンバー162との間に差し渡し状態に配設され、多数の排水孔164aが外周壁の全域に亘り形成された所定長さの外部筒体164と、この内部筒体163の外周壁面と外部筒体164の内周壁面との間に形成される隙間内に該隙間内が充填されるように両筒体の全長に亘り設けられた、ジオテキスタイルなどからなる排水層165と、ヘドロ投入チャンバー161から内部筒体163内を通して改良ヘドロ排出チャンバー162に達する長さを有するとともに内部筒体163の軸線を中心にして、両端部がヘドロ投入チャンバー161と改良ヘドロ排出チャンバー162の側壁に回転可能に支持され、かつヘドロ投入チャンバー161から改良ヘドロ排出チャンバー162に行くに従いピッチが順次小さくなる螺旋羽根166aを有するヘドロ圧密用スクリュー166と、ヘドロ投入チャンバー161側に設けられ、ヘドロ圧密用スクリュー166を駆動する駆動手段167とから構成される。
【0071】
また、図14において、168は改良ヘドロ排出チャンバー162の底部に形成したヘドロ排出口162aを開閉する開閉蓋であり、この開閉蓋168を図示省略の流体圧シリンダ等により開閉駆動されるように構成されている。
また、外部筒体164は、図15に示すように、筒体を半円形状に分割した2つの半割体164A、164Bから構成され、この半割体164Aと164Bをその接合縁部164C,164Dをボルトナット等により分離可能に結合されている。
また、排水層165は、ヘドロ中のヘドロ粒子の流入を阻止するとともに水の流入を許すものである。
【0072】
次に、このようなヘドロ改良装置160を利用して、建設現場等から発生するヘドロを所要の土性値に改良する場合について説明する。
まず、建設現場から発生するヘドロ169Aをヘドロ投入チャンバー161内に投入し貯留する。この状態で、駆動手段167を起動して、ヘドロ圧密用スクリュー166を所定の速度(例えば、10回/分程度)で低速回転させる。
ヘドロ圧密用スクリュー166が回転されると、ヘドロ投入チャンバー161内のヘドロ169Aは螺旋羽根166aによって内部筒体163内を改良ヘドロ排出チャンバー162側へ徐々に移動されると同時に、内部筒体163内のヘドロに作用する圧縮力が改良ヘドロ排出チャンバー162側へ行くに従い徐々に増大して、その圧密度を増大させるとともに、ヘドロ中の間隙水圧を上昇することにより、ヘドロの圧密度を改良ヘドロ排出チャンバー162側へ行くにつれ増大させる。
【0073】
一方、内部筒体163内のヘドロがヘドロ圧密用スクリュー166により圧密されると、そのヘドロ169B中の間隙水圧が上昇するため、このヘドロ169B中の圧密された水は内部筒体163の排水孔163aを通して排水層165に流入し、さらに、この流入水は排水層165から外部筒体164の排水孔164aを通して外部筒体164外に排水される。
【0074】
すなわち、ヘドロ圧密用スクリュー166の低速回転に伴い、内部筒体163内のヘドロ169Bが内部筒体163の下端から改良ヘドロ排出チャンバー162に押し出されると、このヘドロ169Bは内部筒体163内で圧密(圧縮)され、その間隙水が排水孔163a、排水層165及び排水孔164aを通して外部へ排水されるので、改良ヘドロ排出チャンバー162に押し出された改良ヘドロ169Cの含水比は、ヘドロ投入チャンバー161に投入されたヘドロに比して低下する。また、改良ヘドロ排出チャンバー162に押し出された改良ヘドロ169Cは、開閉蓋168を開くことにより、ヘドロ排出口162aから装置外へ排出される。
この場合、改良ヘドロ169Cの含水比、強度等の測定値又は観測値が目標値に到達していれば、改良ヘドロ169Cは装置外へ連続して排出されることになる。
【0075】
一方、改良ヘドロ169Cの含水比、強度等の測定値又は観測値が目標値に到達していない場合には、開閉蓋168を閉じて、改良ヘドロ169Cの装置外への排出を一時的に停止させる。
すなわち、開閉蓋168が閉じられると、ヘドロ圧密用スクリュー166の低速回転に伴って、改良ヘドロ排出チャンバー162に押し出された改良ヘドロ169Cは改良ヘドロ排出チャンバー162内に順次蓄積される。そして、改良ヘドロ排出チャンバー162内が改良ヘドロ169Cで充満されてくると、改良ヘドロ169Cの改良ヘドロ排出チャンバー162への押し出し量が抑制されるため、内部筒体163内のヘドロ169Bは、改良ヘドロ排出チャンバー162のヘドロ排出口162aが開いている場合に比べ、より強い力で圧密(圧縮)されると同時に、その含水比も、より低下する。
その結果、ヘドロの種類や状態によって異なるものの、開閉蓋168を閉鎖しておく時間を、例えば数10秒〜数分に設定することにより、より一層含水比の低下した改良ヘドロ169Cを排出できる。
【0076】
したがって、改良ヘドロ169Cの含水比、強度等が目標値に達していれば、この改良ヘドロ169Cは、開閉蓋168を開くことにより、装置外へ連続して排出される。ここで、再び改良ヘドロ169Cの含水比、強度等が目標値に達しなくなった場合は、再び開閉蓋168を所定時間閉じて、内部筒体163内のヘドロ169Bに対する圧密度合を大きくすればよい。
また、この場合、ヘドロ排出口162aに対する開閉蓋168の開き度合を調節することにより、内部筒体163内のヘドロ169Bに対する圧密度合を調節することができる。
また、ヘドロ排出口162aから装置外へ排出される。また、この改良ヘドロ169Cは捨て土または土地造成のための盛土や埋め戻しなどに利用できる。
【0077】
このような第6の実施の形態に示すヘドロ改良装置160によれば、ヘドロ圧密用スクリュー166を低速回転させることにより、ヘドロ投入チャンバー161内のヘドロ169Aは内部筒体163に沿って改良ヘドロ排出チャンバー162側へ徐々に移動し、これと同時に内部筒体163内のヘドロを改良ヘドロ排出チャンバー162側へ行くに従いヘドロの作用する圧縮力が徐々に増大して、その圧密度を増大させ、その間隙水圧を上昇することにより、このヘドロ中の圧密された水を内部筒体163の排水孔163aを通して排水層165に流入し、この流入水は排水層165から外部筒体164の排水孔164aを通して外部筒体164外に排水する構成にしたので、所要の強度と含水比等を有するヘドロに連続して改良処理できるとともに、ヘドロを掘削、運搬、捨て土または盛土や埋め戻しに転用可能な含水比と強度等を有する土質性状のヘドロに改良することができる。
また、このようなヘドロ改良装置160によれば、ヘドロの発生する建設現場等において、ヘドロ改良プラントとして構築することができ、これにより、建設現場等から発生するヘドロを効率よく処理できるほか、ヘドロによる環境等への被害を未然に防止できる。
【0078】
また、このようなヘドロ改良装置160によれば、改良ヘドロ排出チャンバー162に設けた開閉蓋168を閉じて、ヘドロ圧密用スクリュー166により改良ヘドロ排出チャンバー162に押し出された改良ヘドロ169Cの装置外への排出を一時的に停止し、または、開閉蓋168の開閉度合を調節して、改良ヘドロ排出チャンバー162から装置外へ排出される改良ヘドロ169Cの排出量を加減することにより、内部筒体163内でのヘドロに作用する圧縮力を調整することができる。
【0079】
なお、上記ヘドロ改良装置160では、ヘドロ圧密用スクリュー166を含む内部筒体163及び外部筒体164が改良ヘドロ排出チャンバー162側へ下り勾配に傾斜する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、内部筒体163及び外部筒体164が水平またはヘドロ投入チャンバー161側へ下り勾配に傾斜するようにしてもよい。
また、本発明においては、上記第6の実施の形態に示す開閉蓋168を省略してもよい。
また、本発明におけるヘドロ圧密用スクリュー166は、上記図14及び図15に示す構造のものに限定されない。
【0080】
次に、図16〜図18により本発明にかかるヘドロ改良方法の他の実施例について説明する。
図16は本発明にかかるヘドロ改良方法の工程手順を示す工程説明図、図17は本発明方法によるヘドロ層への排水ドレーン部材及び排水層の敷設状態を示す一部の説明図、図18は図17のC−C線に沿う説明用断面図である。
【0081】
図17において、172は地山に構築されている農業用水などの溜池、174は溜池172の底面に層状に堆積されたヘドロ層(またはこれに類する超軟弱粘性土)であり、このヘドロ層174を本発明方法により改良する場合について、図16〜図18を参照して説明する。
【0082】
溜池172の底面に堆積されたヘドロ層174を所要の土性値に改良するに際しては、まず、溜池172の底面に堆積されたヘドロ層174上に貯まっている水を排出し、ヘドロ層174の天端が露出される程度の水位にまで下げる。
次に、図16に示す排水ドレーン部材敷設工程200において、堆積されたヘドロ層174の全堆積領域の任意複数箇所に、図17及び図18に示すように、ヘドロ層174中のヘドロ粒子の流入を阻止し、かつ水の流入を許すとともに該流入水をヘドロ層174の上面へ誘導する排水ドレーン部材175をヘドロ層174の全堆積領域の任意複数箇所に所定の間隔を離して鉛直に敷設する。この時の各排水ドレーン部材175の下端部は溜池172の底部(粘性土層172A)に所定深さまで達するように埋設され、また、各排水ドレーン部材175の上端部174Aはヘドロ層174の上面から突出され、そして、その突出上端部174Aはヘドロ層174の上面に沿う折り曲げ状態に保持されている。
【0083】
前記排水ドレーン部材175は、例えば、織布、通水性不織布、有孔膜体等からなるチューブ体内に砂その他のフィルタ材を充填してなるチューブ状ドレーン体、またはジオテキスタイルなどの細幅の排水シートを複数枚積層してなるシート状とレーン体などから構成されている。
【0084】
次いで、図16に示す排水層敷設工程201では、図17及び図18に示すように、ヘドロ層174中のヘドロ粒子の流入を阻止し、かつ水の流入を許すとともに該流入水を排出する所要の排水能力(透水係数×層厚×動水勾配)の排水シート176Aをヘドロ層174の上面に複数層に重ねて敷設することにより、10mm程度の厚さの排水層176を構築する。
【0085】
ここで、排水層176を、例えば上下2層の排水シート176Aにより構築する場合は、下層の排水シート176Aと上層の排水シート176Aとを互いに直交する方向に重ねて敷設する。
また、ヘドロ層174の圧密排水に使用する排水層176の設計に際しては、排水シート176Aの透水係数と排水シート176Aの一層当りの残留層厚と排水シート176Aの層数とから通水性能(透水係数×層厚)を算定し、排水層での動水勾配(排水シート内の間隙水圧を排水距離で除した値)を乗じて排水層176の排水能力を算定し、この排水能力が圧密排水されるヘドロ層174からの総流入水量以上になるように、盛土荷重(応力)とヘドロ層174の圧密特性を考慮し、かつヘドロから排水層176に流入する単位面積・単位時間当りの排水量を考慮して、排水層176を構築する排水シート176Aの排水材の種類の選定とその厚さ及び積層枚数を設定する。
また、排水層176の排水シート176Aには、不織布系、その他のジオテキスタイル等、またはジオテキスタイル構造の場合、織布、不織布、有孔膜体、板状フィルタの単体またはこれらの複合体からなるものが使用される。
【0086】
次に、図16に示す盛土工程202において、ヘドロ層174の周辺領域を除く排水層176上に盛土178を行い、この盛土荷重によりヘドロ層174中の間隙水筈17及び図18の矢印に示すように排水ドレーン部材175及び排水層176を通し圧密排水されるとともに、この圧密排水によるヘドロ層175の圧密沈下量(圧密度)に応じて、排水層176上に載荷される盛土178の厚さをヘドロ層174に滑り破壊が生じない程度に逐次増加させる。
これにより、ヘドロ層174中の間隙水は時間の経過と共に更に減少し、ヘドロ層174自体も更に圧密沈下される。その結果、ヘドロ層174の圧密度が更に上昇し、その強度(支持力)等も増大する。そして、ヘドロ層174の土性値(強度、支持力、含水比等)が目標値に到達したならば、ヘドロの改良処理が終了する。
【0087】
このように本実施の形態におけるヘドロ改良方法では、排水ドレーン部材175をヘドロ層174の全堆積領域の任意複数箇所に所定の間隔を離して鉛直に敷設し、さらに、このヘドロ層174上に敷設した排水層176上に、ヘドロ層174の滑り破壊が生じないように盛土178を行うことにより、この盛土荷重でヘドロ層174を圧密沈下させ、そして、この圧密沈下に伴うヘドロ層中の間隙水を排水ドレーン部材175及び排水層176を通してヘドロ層174外へ排出することにより含水比を低減し、その強度を増加させるように構成したので、ヘドロ層を積極かつ計画的に圧密排水処理できるとともに、ヘドロ上に所定高の盛土の構築が可能であり、かつ、ヘドロを掘削、運搬、捨て土または盛土や埋め戻しに転用可能な含水比と強度などを有する土質性状のヘドロに改良することができる。
なお、この発明のヘドロ改良方法において、ヘドロ層174上に敷設される排水層176は、ヘドロ層174の上面全域に敷設する必要がなく、排水層176をヘドロ層174の上面に部分的に敷設する方式でもよい。
【0088】
【発明の効果】
以上説明したように本発明にかかるヘドロ改良方法によれば、ヘドロの力学特性値、圧密特性(体積圧縮係数、圧密係数、強度増加係数など)、物理特性値を所定の値に設定し、かつ所定の期間にヘドロを所期の土質性状(含水比、強度、密度等)に改良できるように盛土荷重と圧密時間を設定し、そして、これらの設定値を基にして、ヘドロ層上に敷設した排水層上に、盛土によるヘドロ層の滑り破壊が生じないように、平面的、かつ段階的に盛土を行い、この盛土荷重によりヘドロ層を圧密沈下させてヘドロ層の含水比を低減し、且つその強度を徐々に増加させるようにしたので、ヘドロ層を積極かつ計画的に圧密排水処理できとともに、ヘドロ上に所定高の盛土の構築が可能であり、かつ、ヘドロを掘削、運搬、捨て土または盛土や埋め戻しに転用可能な含水比と強度等を有する土質性状のヘドロに改良することができる。
また、本発明にかかるヘドロ改良方法によれば、改良したヘドロ上に盛土を行うことにより、土地造成が可能になるほか、改良したヘドロの堆積地域における環境の向上や環境機能の回復、水の浄化を効率的に行うことができる。
【0089】
また、本発明にかかるヘドロ改良装置によれば、ピットの側壁面及び底面の少なくとも側壁面に沿い第1排水層を敷設し、このピット内に貯留堆積させたヘドロ層の上面に第2排水層を敷設した後、所定の厚さに盛土を行い、この盛土荷重によりヘドロ層を圧密沈下させてヘドロ層の含水比を低減し、かつ、その強度を増加させるようにしたので、ヘドロ層を積極かつ計画的に圧密排水処理でき、掘削、運搬、捨て土または盛土や埋め戻しに転用可能な含水比と強度等を有する土質性状のヘドロに改良することができる。
また、このようなヘドロ改良装置によれば、ヘドロの発生する建設現場等において、ヘドロ改良プラントとして簡便に構築することができ、建設現場等から発生するヘドロを効率よく処理できるほか、ヘドロによる環境等への被害を未然に防止できる。
【0090】
また、本発明にかかるヘドロ改良装置によれば、多数の排水孔を有するヘドロ収容体の側壁面及び底面に沿い第1排水層を敷設し、このヘドロ収容体に貯留堆積させたヘドロ層の上面に第2排水層を敷設するとともに防水シートで覆った後、ヘドロ収容体の上面開口を蓋体で気密に閉鎖し、このヘドロ収容体の上部閉鎖空間に圧縮空気を供給することにより、ヘドロ層を上面から防水シート及び第2排水層を介して圧縮荷重し、ヘドロ層を圧密沈下させることでヘドロ層の含水比を低減し、かつ、その強度を増加させるようにしたので、ヘドロ層を積極かつ計画的に圧密排水処理でき、ヘドロを掘削、運搬、捨て土または盛土や埋め戻しに転用可能な含水比と強度等を有する土質性状のヘドロに改良することができる。
また、このようなヘドロ改良装置によれば、ヘドロの発生する建設現場等において、ヘドロ改良プラントとして簡便に構築することができ、建設現場等から発生するヘドロを効率よく処理できるほか、ヘドロによる環境等への被害を未然に防止できる。
【0091】
また、本発明にかかるヘドロ改良装置によれば、多数の排水孔を有するヘドロ収容体の側壁面及び底面に沿い第1排水層を敷設し、このヘドロ収容体に貯留堆積させたヘドロ層の上面に第2排水層を敷設した後、ヘドロ収容体の上面開口に加圧盤を嵌合し、この加圧盤を加圧手段により動作して、ヘドロ層を上面から第2排水層を介して圧縮荷重し、ヘドロ層を圧密沈下させることでヘドロ層の含水比を低減し、かつ、その強度を増加させるようにしたので、ヘドロ層を積極かつ計画的に圧密排水処理でき、ヘドロを掘削、運搬、捨て土または盛土や埋め戻しに転用可能な含水比と粘性強度を有する土性値のヘドロに改良することができる。
また、このようなヘドロ改良装置によれば、ヘドロの発生する建設現場等において、ヘドロ改良プラントとして簡便に構築することができ、建設現場等から発生するヘドロを効率よく処理できるほか、ヘドロによる環境等への被害を未然に防止できる。
【0092】
また、本発明にかかるヘドロ改良装置によれば、ヘドロ圧密用スクリューを低速回転することにより、ヘドロ投入チャンバー内のヘドロを内部筒体に沿って改良ヘドロ排出チャンバー側へ徐々に移動し、これと同時に内部筒体内のヘドロを改良ヘドロ排出チャンバー側へ行くに従いヘドロに作用する圧縮を徐々に増大して、その圧密度を増大させるとともに、ヘドロ中の間隙水圧を上昇することにより、ヘドロ中の圧密された水を内部筒体の排水孔を通して排水層に流入し、この流入水を排水層から外部筒体の排水孔を通して排出するように構成にしたので、所要の強度と含水比等を有するヘドロに連続して改良処理できるとともに、ヘドロを掘削、運搬、捨て土または盛土や埋め戻しに転用可能な含水比と強度を有する土性値のヘドロに改良することができる。
また、このようなヘドロ改良装置によれば、ヘドロの発生する建設現場等において、ヘドロ改良プラントとして構築することができ、これにより、建設現場等から発生するヘドロを効率よく処理できるほか、ヘドロによる環境等への被害を未然に防止できる。
【0093】
また、本発明にかかるヘドロ改良方法によれば、排水ドレーン部材をヘドロ層の全堆積領域の任意複数箇所に所定の間隔を離して鉛直に敷設し、さらに、このヘドロ層上に敷設した排水層上に、ヘドロ層の滑り破壊が生じないように盛土を行うことにより、この盛土荷重でヘドロ層を圧密沈下させ、そして、この圧密沈下に伴うヘドロ層中の間隙水を排水ドレーン部材及び排水層を通してヘドロ層外へ排出することにより含水比を低減し、その強度を増加させるようにしたので、ヘドロ層を積極かつ計画的に圧密排水処理できるとともに、ヘドロ上に所定高の盛土の構築が可能であり、かつ、ヘドロを掘削、運搬、捨て土または盛土や埋め戻しに転用可能な含水比と強度などを有する土質性状のヘドロに改良することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるヘドロ改良方法の工程手順を示す工程説明図である。
【図2】本発明方法によるヘドロの改良過程を示す説明用断面図である。
【図3】本発明のヘドロ改良方法に適用される排水層の第2の実施の形態を示す一部の説明用拡大断面図である。
【図4】本発明のヘドロ改良方法に適用される排水層の第3の実施の形態を示す一部の説明用拡大断面図である。
【図5】本発明のヘドロ改良方法に適用される排水層の第4の実施の形態を示す一部の説明用拡大断面図である。
【図6】本発明のヘドロ改良方法に適用される排水層の第5の実施の形態を示す一部の説明用拡大断面図である。
【図7】本発明の第6の実施の形態における排水層の一部を示す説明用平面図である。
【図8】図7のA−A線に沿う拡大断面図である。
【図9】本発明にかかるヘドロ改良装置の第1の実施の形態を示す説明用断面図である。
【図10】本発明にかかるヘドロ改良装置の第2の実施の形態を示す説明用断面図である。
【図11】本発明にかかるヘドロ改良装置の第3の実施の形態を示す説明用断面図である。
【図12】本発明にかかるヘドロ改良装置の第4の実施の形態を示す説明用断面図である。
【図13】本発明にかかるヘドロ改良装置の第5の実施の形態を示す説明用断面図である。
【図14】本発明にかかるヘドロ改良装置の第6の実施の形態を示す説明用断面図である。
【図15】図14のB−B線に沿う断面図である。
【図16】本発明にかかるヘドロ改良方法の工程手順を示す工程説明図である。
【図17】本発明方法によるヘドロ層への排水ドレーン部材及び排水層の敷設状態を示す一部の説明図である。
【図18】図17のC−C線に沿う説明用断面図である。
【符号の説明】
14、14A、14B……ヘドロ層、15……盛土、151,157a,157b……排水シート、90……ヘドロ改良装置、92……ピット、93……第1排水層、94……中間排水層、95……第2排水層、110……ヘドロ改良装置、112……ピット、113……第1排水層、114……中間排水層、115……第2排水層、116……盛土、120……ヘドロ改良装置、122……ピット、123……第1排水層、124……中間排水層、125……第2排水層、127……バキューム装置、130……ヘドロ改良装置、131……ヘドロ収容体、132……第1排水層、133……中間排水層、134……第2排水層、135……防水シート、138……圧縮空気供給装置、140……ヘドロ改良装置、141……ヘドロ収容体、142……第1排水層、143……中間排水層、144……第2排水層、145……加圧盤、146……加圧手段、160……ヘドロ改良装置、161……ヘドロ投入チャンバー、162……改良ヘドロ排出チャンバー、163……内部筒体、164……外部筒体、165……排水層、166……ヘドロ圧密用スクリュー、174……ヘドロ層、175……排水ドレーン部材、176……排水層。
Claims (28)
- 海域、河川、湖沼、池等に堆積されたヘドロや溜め内に沈降・堆積されたヘドロ層を圧密排水して所要の土質性状に改良するヘドロ改良方法であって、
圧密排水前の堆積ヘドロ層に対する改良後の力学特性値(強度、支持力等)、物理特性値(含水比、密度等)の目標値と前記堆積ヘドロ層をこれら目標値に到達させるのに必要な圧密荷重、期間をそれぞれ設定する目標設定工程と、
前記ヘドロ層中のヘドロ粒子の流入を阻止し、かつ水の流入を許すとともに該流入した水を排出する所要の排水能力を有する排水シートを前記ヘドロ層の上面の少なくとも一部及び該ヘドロ層の上面から外れた周辺領域の少なくとも一部が覆われるように少なくとも1層に敷設して排水層を構築する排水層敷設工程と、
圧密排水前の前記堆積ヘドロ層の厚さとその力学特性値及び物理特性値を基に該ヘドロ層が盛土荷重で滑り破壊されることなく支持し得る初期支持力と前記排水層が盛土荷重で破壊されることなく支持し得る支持力との総和又はそれ以下の荷重に相当する盛土を前記ヘドロ層の周辺領域を除く前記排水層上に載荷してヘドロ層の圧密排水を行う初期盛土工程と、
前記初期盛土工程での盛土荷重によりヘドロ層が前記排水層を通して圧密排水されることで圧密沈下される該ヘドロ層の圧密沈下量(圧密度)を求め、この圧密沈下量(圧密度)から各圧密段階での圧密進行に伴う該ヘドロ層の強度増加を考慮した該ヘドロ層の力学特性値及び物理特性値値が目標値に到達したかを判断するとともに該ヘドロ層の力学特性値及び物理特性値値が目標値に到達しない時は圧密時間を延長するか又は前記排水層上に載荷される盛土の厚さをヘドロ層に滑り破壊が生じない程度に逐次増加し、当該盛土の増加工程を前記ヘドロ層の力学特性値および物理特性値値が目標値に達するまで繰り返し行う盛土繰り返し工程と、
を備えることを特徴とするヘドロ改良方法。 - 前記初期盛土工程は、まず、前記排水層の上面に部分的に分けて盛土を行い、しかる後、盛土の施されていない箇所の排水層上に逐次盛土を行うようにしたことを特徴とする請求項1記載のヘドロ改良方法。
- 前記排水層を構築する排水シートは、ジオテキスタイルなどであることを特徴とする請求項1記載のヘドロ改良方法。
- 前記排水層は、該排水層の少なくとも一方の面もしくは内部に、排水層の支持力を増強するネットその他の張力増強材を有することを特徴とする請求項1または3記載のヘドロ改良方法。
- 前記排水層は、該排水層に流入する圧密水を集めて排水層外へ排出する可撓性の有孔排水パイプ又は通水性の大きいジオテキスタイルなどからなる排水路を備えることを特徴とする請求項1または4項に記載のヘドロ改良方法。
- 前記圧密沈下量(圧密度)は、前記ヘドロ層の圧密排水に伴うヘドロ層の実際の沈下量を測定により求めるか、もしくはヘドロ層の圧密特性を予め試験で設定し、この圧密特性と圧密理論に基づいて算定した圧密経過時間から求めることを特徴とする請求項1記載のヘドロ改良方法。
- ヘドロを所要の土性値に改良するヘドロ改良装置であって、
人工的に構築されたピットと、
前記ピット内の側壁面及び底面の少なくとも側壁面に沿い敷設され、ヘドロ中のヘドロ粒子の流入を阻止するとともに水の流入を許し、かつ流入した水を排出する所要の排水能力を有する第1排水層と、
前記ピット内にヘドロが所定の高さに貯留した後の該ヘドロ層の上面の少なくとも一部が覆われるように、かつ前記第1排水層に連接するようにして敷設され、ヘドロ中のヘドロ粒子の流入を阻止するとともに水の流入を許し、かつ流入した水を排出する所要の排水能力を有する第2排水層と、
前記第2排水層の上方から前記ヘドロ層に圧密荷重をかけて該ヘドロ層の間隙水を前記第1及び第2排水層から前記ピット外へ排出して該ヘドロ層を所要の圧密度(強度、含水比など)を持つ土質性状に変質させる圧密荷重手段と、
を備えることを特徴とするヘドロ改良装置。 - 前記圧密荷重手段は、盛土により前記ヘドロ層に作用させる圧密荷重とするか、または真空による負圧を利用して前記ヘドロ層の圧密荷重とすることを特徴とする請求項7記載のヘドロ改良装置。
- 前記ピットに貯留されたヘドロ層の内部には該ヘドロ層の水平方向に延在して敷設されるとともに前記第1排水層に連通する第3排水層がヘドロ層の厚さ方向に少なくとも1層設けられていることを特徴とする請求項7記載のヘドロ改良装置。
- 前記第1〜第3排水層は、ジオテキスタイルなどから構成されていることを特徴とする請求項7または9記載のヘドロ改良装置。
- 前記第1〜第3排水層は、該排水層に流入される圧密水を集めて排水層外へ排出する可撓性の有孔排水パイプ又は通水性の大きいジオテキスタイルなどからなる排水路を備えることを特徴とする請求項7または9記載のヘドロ改良装置。
- 前記第1〜第3排水層は、該排水層の少なくとも一方の面もしくは内部に、排水層の支持力を増強するネットその他の張力増強材を有することを特徴とする請求項7または10記載のヘドロ改良装置。
- ヘドロを所要の土性値に改良するヘドロ改良装置であって、
側壁面及び底面に多数の排水孔がそれぞれ形成され上面が開口されたヘドロ収容体と、
前記ヘドロ収容体内の側壁面及び底面に沿い敷設され、ヘドロ中のヘドロ粒子の流入を阻止するとともに水の流入を許す所要の排水能力を有する第1排水層と、
前記ヘドロ収容体内にヘドロが所定の高さに貯留した後の該ヘドロ層の上面の少なくとも一部が覆われるように、かつ前記第1排水層に連接するようにして敷設され、ヘドロ中のヘドロ粒子の流入を阻止するとともに水の流入を許し、かつ流入した水を排出する所定の排水能力を有する第2排水層と、
前記第2排水層の上面を覆う非通気性の防水シートと、
前記ヘドロ収容体の上面開口を気密状態に閉鎖する蓋体と、
前記蓋体で閉鎖された前記ヘドロ収容体の上部閉鎖空間に圧縮空気を供給することにより前記防水シートを含む第2排水層の上方から前記ヘドロ層を圧縮荷重して該ヘドロ層の圧密水を前記第1及び第2排水層から前記ヘドロ収容体外へ排出して該ヘドロ層を所要の圧密度(強度、含水比など)を持つ土質性状に変質させる圧密荷重手段と、
を備えることを特徴とするヘドロ改良装置。 - 前記ヘドロ収容体に貯留されたヘドロ層の内部には該ヘドロ層の水平方向に延在して敷設されるとともに前記第1排水層に連通する第3排水層がヘドロ層の厚さ方向に少なくとも1層設けられていることを特徴とする請求項13記載のヘドロ改良装置。
- 前記第1〜第3排水層は、ジオテキスタイルなどから構成されていることを特徴とする請求項13または14記載のヘドロ改良装置。
- 前記第1〜第3排水層は、該排水層に流入される圧密水を集めて排水層外へ排出する可撓性の有孔排水パイプ又は通水性の大きいジオテキスタイルなどからなる排水路を備えることを特徴とする請求項13または14記載のヘドロ改良装置。
- 前記第1〜第3排水層は、該排水層の少なくとも一方の面もしくは内部に、排水層の支持力を増強するネットその他の張力増強材を有することを特徴とする請求項13または15記載のヘドロ改良装置。
- ヘドロを所要の土性値に改良するヘドロ改良装置であって、
側壁面及び底面に多数の排水孔がそれぞれ形成され上面が全開状態に開口されたヘドロ収容体と、
前記ヘドロ収容体内の側壁面及び底面に沿い敷設され、ヘドロ中のヘドロ粒子の流入を阻止するとともに水の流入を許す所要の排水能力を有する第1排水層と、
前記ヘドロ収容体内にヘドロが所定の高さに貯留した後の該ヘドロ層の上面全域が覆われるように、かつ前記第1排水層に連接するようにして敷設され、ヘドロ中のヘドロ粒子の流入を阻止するとともに水の流入を許し、かつ流入した水を排出する所定の排水能力を有するの第2排水層と、
前記ヘドロ収容体の開口に上下動可能に嵌合された加圧盤と、
前記加圧盤を上方から下方に向けて動作させることにより前記第2排水層の上方から前記ヘドロ層を圧縮荷重して該ヘドロ層の圧密水を前記第1及び第2排水層から前記ヘドロ収容体外へ排出して該ヘドロ層を所要の圧密度(強度、含水比など)を持つ土質性状に変質させる加圧手段と、
を備えることを特徴とするヘドロ改良装置。 - 前記ヘドロ収容体に貯留されたヘドロ層の内部には該ヘドロ層の水平方向に延在して敷設されるとともに前記第1排水層に連通する第3排水層がヘドロ層の厚さ方向に少なくとも1層設けられていることを特徴とする請求項18記載のヘドロ改良装置。
- 前記第1〜第3排水層は、ジオテキスタイルなどから構成されていることを特徴とする請求項18または19記載のヘドロ改良装置。
- 前記第1〜第3排水層は、該排水層に流入される圧密水を集めて排水層外へ排出する可撓性の有孔排水パイプ又は通水性の大きいジオテキスタイルなどからなる排水路を備えることを特徴とする請求項17または18記載のヘドロ改良装置。
- 前記第1〜第3排水層は、該排水層の少なくとも一方の面もしくは内部に、排水層の支持力を増強するネットその他の張力増強材を有することを特徴とする請求項18または20記載のヘドロ改良装置。
- ヘドロを所要の土性値に改良するヘドロ改良装置であって、
ヘドロ投入チャンバーと、
前記ヘドロ投入チャンバーから所定の距離離して設けられた改良ヘドロ排出チャンバーと、
前記ヘドロ投入チャンバーと改良ヘドロ排出チャンバーとの間に差し渡し状態に配設され、多数の排水孔が外周壁の全域に亘り形成された所定長さの内部筒体と、
前記内部筒体の外周に所定の隙間をおいて同心に、かつ前記ヘドロ投入チャンバーと改良ヘドロ排出チャンバーとの間に差し渡し状態に配設され、多数の排水孔が外周壁の全域に亘り形成された所定長さの外部筒体と、
前記内部筒体の外周壁面と前記外部筒体の内周壁面との間に形成される隙間内に該隙間内が充填されるように両筒体の全長に亘り設けられ、ヘドロ中のヘドロ粒子の流入を阻止するとともに水の流入を許す排水層と、
前記ヘドロ投入チャンバーから前記内部筒体内を通して前記改良ヘドロ排出チャンバーに達する長さを有するとともに前記内部筒体の軸線を中心にして回転可能に支持され、かつ前記ヘドロ投入チャンバーから前記改良ヘドロ排出チャンバーに行くに従いピッチが順次小さくなる螺旋羽根を有するヘドロ圧密用スクリューと、
前記ヘドロ圧密用スクリューを駆動する駆動手段と、
を備えることを特徴とするヘドロ改良装置。 - 前記改良ヘドロ排出チャンバーは、前記ヘドロ圧密用スクリューにより改良ヘドロ排出チャンバーに押し出された改良ヘドロの装置外への排出を一時的に停止し、もしくは前記改良ヘドロ排出チャンバーから装置外へ排出される改良ヘドロの排出量を加減することにより、前記内部筒体内でのヘドロに作用する圧縮力を調整する開閉蓋を備えることを特徴とする請求項23記載のヘドロ改良装置。
- 海域、河川、湖沼、池等に堆積されたヘドロや溜め内に沈降・堆積されたヘドロ層を圧密排水して所要の土質性状に改良するヘドロ改良方法であって、
前記ヘドロ層中のヘドロ粒子の流入を阻止し、かつ水の流入を許すとともに該流入水をヘドロ層上面へ誘導する排水ドレーン部材を前記ヘドロ層の全堆積領域の任意複数箇所に少なくともヘドロ層の上面から前記湖沼、池、溜め等の底部に達するように鉛直に敷設する排水ドレーン部材敷設工程と、
前記ヘドロ層中のヘドロ粒子の流入を阻止し、かつ水の流入を許すとともに該流入水をヘドロ層外へ排出する所要の排水能力を有する排水シートを前記ヘドロ層の上面の少なくとも一部及び該ヘドロ層の上面から外れた周辺領域の少なくとも一部が覆われるように少なくとも1層に敷設して排水層を構築する排水層敷設工程と、
前記ヘドロ層の周辺領域を除く前記排水層上に盛土してヘドロ層中の間隙水を前記排水ドレーン部材及び排水層を通し圧密排水するとともに該圧密排水によるヘドロ層の圧密沈下量(圧密度)に応じて前記排水層上に載荷される盛土の厚さをヘドロ層に滑り破壊が生じない程度に逐次増加させる盛土工程と、
を備えることを特徴とするヘドロ改良方法。 - 前記排水層を構築する排水シートはジオテキスタイルなどであることを特徴とする請求項25記載のヘドロ改良方法。
- 前記排水層は、該排水層の少なくとも一方の面もしくは内部に、排水層の支持力を増強するネットその他の張力増強材を有することを特徴とする請求項25記載のヘドロ改良方法。
- 前記排水層は、該排水層に流入する圧密水を集めて排水層外へ排出する可撓性の有孔排水パイプ又は通水性の大きいジオテキスタイルなどからなる排水路を備えることを特徴とする請求項25記載のヘドロ改良方法。
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-
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- 2003-02-06 JP JP2003029623A patent/JP2004238935A/ja active Pending
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WO2015041003A1 (ja) * | 2013-09-17 | 2015-03-26 | 東亜建設工業株式会社 | 地盤の減容化方法 |
JP2015059311A (ja) * | 2013-09-17 | 2015-03-30 | 東亜建設工業株式会社 | 地盤の減容化方法 |
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