JP2004238643A - 冷却液組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】金属材料に対する腐食防止効果を向上させることができる冷却液組成物を提供する。
【解決手段】冷却液組成物は、酢酸、プロピレングリコール及び水を主成分とし、腐食防止剤を含有している。又は、酢酸、プロピオン酸及び水を主成分としている。冷却液組成物は、酢酸、プロピオン酸、プロピレングリコール及び水を主成分とするのが好ましく、腐食防止剤は安息香酸塩、亜硝酸塩、リン酸塩、トリアゾール化合物、チアゾール化合物、チアベンダゾール及びカルボン酸類から選ばれる少なくとも一種が好ましい。そして、酢酸、プロピレングリコール及びプロピオン酸によって冷却液組成物の不凍性を向上させる。さらに、プロピレングリコール及びプロピオン酸によって腐食防止剤の溶解性を向上させることにより、冷却液組成物の金属材料に対する腐食防止効果を向上させる。
【選択図】 なし
【解決手段】冷却液組成物は、酢酸、プロピレングリコール及び水を主成分とし、腐食防止剤を含有している。又は、酢酸、プロピオン酸及び水を主成分としている。冷却液組成物は、酢酸、プロピオン酸、プロピレングリコール及び水を主成分とするのが好ましく、腐食防止剤は安息香酸塩、亜硝酸塩、リン酸塩、トリアゾール化合物、チアゾール化合物、チアベンダゾール及びカルボン酸類から選ばれる少なくとも一種が好ましい。そして、酢酸、プロピレングリコール及びプロピオン酸によって冷却液組成物の不凍性を向上させる。さらに、プロピレングリコール及びプロピオン酸によって腐食防止剤の溶解性を向上させることにより、冷却液組成物の金属材料に対する腐食防止効果を向上させる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、暖房用不凍液として用いられたり、冷凍機や製氷機等の保冷用機器、ロードヒーティングシステム、融雪システム、ソーラーシステム、自動車エンジン等の冷却系統に用いられる冷却液組成物に関するものである。より詳しくは、金属材料に対する腐食防止効果を向上させることができる冷却液組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、保冷用機器等の冷却系統に用いられる冷却液組成物は、3〜6重量部の水、0.5〜1.5重量部の尿素、多くて1.5重量部のエチレングリコール、1〜2重量部のギ酸ナトリウム及び1〜2重量部の酢酸ナトリウムを主成分として含有する。また、4〜7重量部の酢酸カリウム、多くて1.5重量部のギ酸カリウム及び3〜9重量部の水を主成分として含有する。さらに、安息香酸ナトリウム等の抵抗腐食防止剤を0.1〜10重量%含有する(例えば特許文献1参照。)。そして、水により保冷用機器等を冷却し、エチレングリコール等によって水の凝固点を降下させることにより冷却液組成物の凝固点を降下させてその不凍性を向上させる。さらに、抵抗腐食防止剤により、冷却系統を構成する金属材料製の循環配管等の冷却液組成物による腐食を防止する。
【0003】
【特許文献1】
特開平1−103684号公報(第1〜4頁)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前者の冷却液組成物においては、エチレングリコールは酢酸やギ酸によって徐々に分解されるために、冷却液組成物はそのpHがエチレングリコールの分解に伴い低下して金属材料に対する腐食性が増大する。このため、抵抗腐食防止剤による冷却液組成物の金属材料に対する腐食防止効果が低下するという問題があった。一方、後者の冷却液組成物においては、水には酢酸カリウム及びギ酸カリウムが溶解されているために、抵抗腐食防止剤の水に対する溶解性は低い。このため、冷却液組成物の金属材料に対する腐食防止効果が十分に発揮されていないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、金属材料に対する腐食防止効果を向上させることができる冷却液組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の冷却液組成物は、酢酸、プロピレングリコール及び水を主成分とし、金属材料に対する腐食防止剤を含有するものである。
【0007】
請求項2に記載の発明の冷却液組成物は、酢酸、プロピオン酸及び水を主成分とし、金属材料に対する腐食防止剤を含有するものである。
請求項3に記載の発明の冷却液組成物は、請求項2に記載の発明において、酢酸、プロピオン酸、プロピレングリコール及び水を主成分とするものである。
【0008】
請求項4に記載の発明の冷却液組成物は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記腐食防止剤は、安息香酸塩、亜硝酸塩、リン酸塩、トリアゾール化合物、チアゾール化合物、チアベンダゾール及びカルボン酸類から選ばれる少なくとも一種である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施形態について詳細に説明する。
冷却液組成物は、酢酸、プロピレングリコール及び水を主成分とし、金属材料に対する腐食防止剤を含有する。そして、暖房用不凍液として用いられたり、冷凍機や製氷機等の保冷用機器、ロードヒーティングシステム、融雪システム、ソーラーシステム、自動車エンジン等の冷却系統に用いられる。
【0010】
酢酸は、水に溶解してその凝固点を降下させることにより、冷却液組成物の凝固点を降下させてその不凍性を向上させる。さらに、プロピレングリコールによって冷却液組成物の粘性が高くなるのを抑制し、冷却液組成物の流動性を向上させる。プロピレングリコールは、前記酢酸と同様に冷却液組成物の凝固点を降下させてその不凍性を向上させるとともに、腐食防止剤を水だけでなくプロピレングリコールにも溶解させることによって腐食防止剤の溶解性を向上させて冷却液組成物の金属材料に対する腐食防止効果を向上させる。
【0011】
ここで、エチレングリコール等の炭素数がプロピレングリコールよりも少ないグリコール類は、プロピレングリコールに比べて酢酸等の酸による分解性が高い。このため、プロピレングリコールよりも炭素数が少ないグリコール類を主成分として含有する冷却液組成物は、プロピレングリコールを主成分として含有する冷却液組成物に比べて冷却液組成物の不凍性及び腐食防止効果の向上を維持することができない。一方、ブチレングリコール等の炭素数がプロピレングリコールよりも多いグリコール類は、プロピレングリコールに比べて粘性が高い。このため、プロピレングリコールよりも炭素数が多いグリコール類を主成分として含有する冷却液組成物は、プロピレングリコールを主成分として含有する冷却液組成物に比べて流動性が低下する。
【0012】
水はエタノール等の液体に比べて比熱容量及び熱伝導率が高く、冷却液組成物の冷却性能を向上させる。ここで、冷却液組成物が酢酸及び水のみを主成分とするときは、酢酸により冷却液組成物のpHが低下してその金属材料に対する腐食性が増大するとともに腐食防止剤の溶解性が低下することにより、冷却液組成物の金属材料に対する腐食防止効果が低下する。また、プロピレングリコール及び水のみを主成分とするときは、プロピレングリコールは粘性を有するために冷却液組成物の粘性が高くなってその流動性が低下する。一方、酢酸及びプロピレングリコールのみを主成分とするときは、冷却液組成物の比熱容量や熱伝導率が低下してその冷却性能が低下するとともに、冷却液組成物の粘性が高くなってその流動性が低下する。
【0013】
従って、冷却液組成物は酢酸、プロピレングリコール及び水を主成分とする、即ち冷却液組成物中のこれら成分の含有量の合計は50重量%以上である必要がある。よって、冷却液組成物中の酢酸の含有量は好ましくは10〜30重量%であるとともにプロピレングリコールの含有量は好ましくは1〜10重量%であり、水の含有量は好ましくは40〜80重量%である。
【0014】
酢酸の含有量が10重量%未満では、冷却液組成物の粘性を低下させる効果が低く、冷却液組成物の流動性が低下するおそれがある。一方、30重量%を超えると、酢酸の含有量が高いために冷却液組成物のpHが低下し、冷却液組成物の金属材料に対する腐食性が増大するおそれがある。プロピレングリコールの含有量が1重量%未満では、腐食防止剤の溶解性を向上させる効果が低く、冷却液組成物の金属材料に対する腐食防止効果を向上させるのが困難になる。一方、10重量%を超えると、冷却液組成物の粘性が高くなってその流動性が低下するおそれがある。水の含有量が40重量%未満では、水の含有量が低いために冷却液組成物の冷却性能が低下する。一方、80重量%を超えると、酢酸及びプロピレングリコールによる凝固点降下の程度が低くなり、冷却液組成物はその不凍性が低下して−40℃等の低温で凍結するおそれがある。
【0015】
冷却液組成物は、プロピレングリコールの代わりにプロピオン酸を主成分として含有してもよい。さらに、酢酸、プロピオン酸、プロピレングリコール及び水を主成分とするのが好ましい。プロピオン酸は、前記酢酸と同様に冷却液組成物の凝固点を降下させてその不凍性を向上させるとともに、腐食防止剤の水に対する溶解性を向上させる。
【0016】
冷却液組成物中のプロピオン酸の含有量は好ましくは1〜10重量%である。プロピオン酸の含有量が1重量%未満では、腐食防止剤の溶解性を向上させる効果が低く、冷却液組成物の金属材料に対する腐食防止効果を十分に向上させることができない。一方、10重量%を超えると、プロピオン酸は粘性を有するために冷却液組成物の粘性が高くなってその流動性が低下するおそれがある。
【0017】
腐食防止剤は、冷却液組成物の金属材料に対する腐食防止効果を向上させることにより、冷却系統を構成する金属材料製の循環配管等が冷却液組成物によって腐食されるのを防止する。金属材料の具体例としては、銅、黄銅、鋼鉄、鋳鉄、アルミニウム鋳物等が挙げられる。
【0018】
腐食防止剤の具体例としては、安息香酸塩、亜硝酸塩、リン酸塩、トリアゾール化合物、チアゾール化合物、チアベンダゾール、カルボン酸類、ホウ酸類、モリブデン酸類等が挙げられる。これらは単独で含有してもよいし、二種以上を組み合わせて含有してもよい。これらの中でも、溶解性が高いために安息香酸塩、亜硝酸塩、リン酸塩、トリアゾール化合物、チアゾール化合物、チアベンダゾール及びカルボン酸類から選ばれる少なくとも一種が好ましい。
【0019】
安息香酸塩は主に鉄系金属材料の腐食を防止し、その具体例としては安息香酸ナトリウム等が挙げられる。冷却液組成物中の安息香酸塩の含有量は好ましくは0.01〜5.0重量%である。亜硝酸塩は主に鉄系金属材料の腐食を防止し、その具体例としては亜硝酸ナトリウム等が挙げられる。冷却液組成物中の亜硝酸塩の含有量は好ましくは0.01〜3.0重量%である。
【0020】
リン酸塩は主に鉄系、銅系及びアルミニウム系金属材料の腐食を防止し、その具体例としてはリン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウム等が挙げられる。冷却液組成物中のリン酸塩の含有量は好ましくは0.01〜1.0重量%である。トリアゾール化合物は主に銅系金属材料の腐食を防止し、その具体例としてはベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、メルカプトベンゾトリアゾール等が挙げられる。冷却液組成物中のトリアゾール化合物の含有量は好ましくは0.01〜1.0重量%である。
【0021】
チアゾール化合物は主に銅系金属材料の腐食を防止し、その具体例としてはメルカプトベンゾチアゾール、メルカプトベンゾチアゾールのナトリウム塩又はカリウム塩等が挙げられる。冷却液組成物中のチアゾール化合物の含有量は好ましくは0.01〜1.0重量%である。チアベンダゾールは主に銅系金属材料の腐食を防止し、冷却液組成物中のチアベンダゾールの含有量は好ましくは0.01〜0.05重量%である。カルボン酸類は主に鉄系、銅系及びアルミニウム系金属材料の腐食を防止し、その具体例としてはコハク酸、セバシン酸、カプリル酸、グルコン酸等が挙げられる。冷却液組成物中のカルボン酸類の含有量は好ましくは0.1〜4重量%である。
【0022】
ホウ酸類は主に鉄系金属材料の腐食を防止し、その具体例としてはホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム等が挙げられる。冷却液組成物中のホウ酸類の含有量は好ましくは0.01〜1.0重量%である。モリブデン酸類は主として鉄系金属材料の腐食を防止し、その具体例としてはモリブデン酸、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム等が挙げられる。冷却液組成物中のモリブデン酸類の含有量は好ましくは0.01〜1.0重量%である。
【0023】
冷却液組成物中の腐食防止剤の含有量が前記範囲未満では、冷却液組成物の金属材料に対する腐食防止効果を十分に向上させることができない。一方、前記範囲を超えると、−40℃等の低温において冷却液組成物に溶解している腐食防止剤の一部が析出し、循環配管等に目詰まりが発生しやすい。さらに、冷却液組成物を調製するときに腐食防止剤が完全に溶解せず、冷却液組成部物の金属材料に対する腐食防止効果のさらなる向上が期待できないために不経済となりやすい。
【0024】
冷却液組成物には、その他の添加成分として、食用黄色4号等の着色剤、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、高分子アルコール系消泡剤等の消泡剤、デナトニュームベンゾエート等の誤飲防止のための苦み剤等を含有させてもよい。冷却液組成物中のその他の添加成分の含有量は冷却液組成物の常法に従う。
【0025】
冷却液組成物の金属材料に対する腐食防止効果の向上には、冷却液組成物中の各成分の含有量を前記範囲に設定する等の他に、冷却液組成物のpHが要因となっている。このため、冷却液組成物は水酸化カリウム等によりそのpHが7〜11に調整されるのが好ましい。冷却液組成物のpHが7未満では、冷却液組成物は酸性を有するためにその金属材料に対する腐食性が増大するおそれがある。一方、11を超えると、冷却液組成物のアルカリ性が強くなってその金属材料に対する腐食性が増大するおそれがある。
【0026】
冷却液組成物は、水に他の成分を混合して各成分を分散又は溶解させることにより調製される。ここで、水に対する他の成分の混合順序は限定されない。
さて、冷却液組成物を例えば冷却系統に用いるときは、冷却系統を構成する熱交換器や循環配管内に冷却液組成物を流通させる。ここで、冷却液組成物は、主成分である酢酸、プロピレングリコール及びプロピオン酸により水の凝固点が降下され、−40℃の低温においても凍結せず−40〜100℃の温度範囲において流動性が低下することなく冷却系統内を流通することができる。
【0027】
さらに、プロピレングリコールやプロピオン酸によって腐食防止剤の溶解性を向上させることにより、冷却液組成物の金属材料に対する腐食防止効果を向上させることができる。このため、金属材料製の熱交換器や循環配管等の冷却液組成物による腐食を防止することができる。これらに加えて、冷却液組成物中の各成分は不燃性を有している。このため、冷却系統の設計及び製造を容易に行なうことができる。
【0028】
以上詳述した本実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
・ 本実施形態の冷却液組成物は、酢酸、プロピレングリコール及び水を主成分としている。又は酢酸、プロピオン酸及び水を主成分としている。プロピレングリコールは腐食防止剤の溶解性を向上させるとともにエチレングリコールに比べて酢酸等の酸による分解性が低いために、エチレングリコールを含有する冷却液組成物に比べて金属材料に対する腐食防止効果を長期間にわたって向上させることができる。一方、プロピオン酸は、腐食防止剤の水に対する溶解性を向上させることにより、冷却液組成物の金属材料に対する腐食防止効果を向上させることができる。
【0029】
さらに、酢酸及びプロピレングリコールはギ酸及びエチレングリコールに比べて環境等に与える影響が低い。このため、冷却液組成物が排出される又は冷却系統等から漏出したときには従来の冷却液組成物に比べて環境等に与える影響を抑えることができ、冷却液組成物の取扱い性を向上させることができる。
【0030】
ここで、酢酸及びプロピオン酸は、プロピレングリコールに比べて環境に与える影響がさらに低い。このため、冷却液組成物は、酢酸及びプロピレングリコールを主成分とするときには、酢酸を主成分として含有することによりプロピレングリコールの含有量を低減させ、プロピレングリコール及び水のみを主成分とする冷却液組成物に比べてその取扱い性をより向上させることができる。さらに、酢酸及びプロピオン酸を主成分とすることにより、プロピレングリコールを主成分として含有する冷却液組成物に比べてその取扱い性をさらに向上させることができる。
【0031】
・ 腐食防止剤は安息香酸塩、亜硝酸塩、リン酸塩、トリアゾール化合物、チアゾール化合物、チアベンダゾール、カルボン酸類から選ばれる少なくとも一種が好ましい。この場合、金属材料の種類に対応して腐食防止剤の種類を変更することにより、冷却液組成物の金属材料に対する腐食防止効果をより向上させることができる。
【0032】
・ 冷却液組成物は、酢酸、プロピオン酸、プロピレングリコール及び水を主成分とするのが好ましい。この場合、腐食防止剤の水に対する溶解性を向上させるとともにプロピレングリコールに溶解させることにより、冷却液組成物の腐食防止効果をさらに向上させることができる。
【0033】
尚、前記実施形態を次のように変更して構成することもできる。
・ 冷却液組成物を、濃縮された状態で調製及び保管されるとともに、冷却系統等に用いられるときには水が混合されて希釈されるように構成してもよい。このように構成した場合は、冷却液組成物の管理を容易にするとともにその輸送効率を向上させることができる。
【0034】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。
(実施例1〜8及び比較例1〜6)
実施例1〜8及び比較例1〜6においては、各表に示す各成分を混合して冷却液組成物を調製した。各表において、各成分の数値は重量%を示す。次いで、各冷却液組成物について、JIS K 2234に記載の方法に準じて金属試験片の腐食量をそれぞれ測定した。ここで、試験片の材質は、銅、黄銅、鋼鉄、鋳鉄又はアルミニウム鋳物とし、試験温度を88℃とするとともに試験時間を336時間とした。さらに、各冷却液組成物の化学的酸素要求量(COD)及び−40℃における粘度を測定し、JIS K 2265に従って各冷却液組成物の引火点をそれぞれ測定した。それらの結果を各表に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
表1及び表2に示すように、実施例1〜8の冷却液組成物においては、各試験片に対して腐食量が低い結果となった。さらに、−40℃における粘性が低く、引火点がなかった。このため、各実施例の冷却液組成物は、腐食防止効果が高いとともに低温においても流動性が低下せず、不燃性を有していた。
【0038】
一方、表3に示すように、比較例1及び比較例5においては、酢酸、プロピレングリコール及びプロピオン酸を含有していないために、鉄系金属材料製の試験片等に対して腐食量が高い値となった。比較例2〜4においては、プロピレングリコール及びプロピオン酸を含有していないために、各試験片に対して腐食量が高い値となった。比較例6においては、ギ酸、酢酸、エチレングリコール及び水を主成分としているために、各試験片に対して腐食量が高い値となった。
【0039】
次に、前記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
(1)pHが7〜11に調整されている請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の冷却液組成物。この構成によれば、金属材料に対する腐食防止効果をより向上させることができる。
【0040】
(2)濃縮された状態で調製及び保管されるとともに、使用されるときには水が加えられて希釈されるように構成されている請求項1から請求項4及び上記(1)のいずれか一項に記載の冷却液組成物。この構成によれば、容易に管理することができるとともに、輸送効率を向上させることができる。
【0041】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
請求項1から請求項4に記載の発明の冷却液組成物によれば、金属材料に対する腐食防止効果を向上させることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、暖房用不凍液として用いられたり、冷凍機や製氷機等の保冷用機器、ロードヒーティングシステム、融雪システム、ソーラーシステム、自動車エンジン等の冷却系統に用いられる冷却液組成物に関するものである。より詳しくは、金属材料に対する腐食防止効果を向上させることができる冷却液組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、保冷用機器等の冷却系統に用いられる冷却液組成物は、3〜6重量部の水、0.5〜1.5重量部の尿素、多くて1.5重量部のエチレングリコール、1〜2重量部のギ酸ナトリウム及び1〜2重量部の酢酸ナトリウムを主成分として含有する。また、4〜7重量部の酢酸カリウム、多くて1.5重量部のギ酸カリウム及び3〜9重量部の水を主成分として含有する。さらに、安息香酸ナトリウム等の抵抗腐食防止剤を0.1〜10重量%含有する(例えば特許文献1参照。)。そして、水により保冷用機器等を冷却し、エチレングリコール等によって水の凝固点を降下させることにより冷却液組成物の凝固点を降下させてその不凍性を向上させる。さらに、抵抗腐食防止剤により、冷却系統を構成する金属材料製の循環配管等の冷却液組成物による腐食を防止する。
【0003】
【特許文献1】
特開平1−103684号公報(第1〜4頁)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前者の冷却液組成物においては、エチレングリコールは酢酸やギ酸によって徐々に分解されるために、冷却液組成物はそのpHがエチレングリコールの分解に伴い低下して金属材料に対する腐食性が増大する。このため、抵抗腐食防止剤による冷却液組成物の金属材料に対する腐食防止効果が低下するという問題があった。一方、後者の冷却液組成物においては、水には酢酸カリウム及びギ酸カリウムが溶解されているために、抵抗腐食防止剤の水に対する溶解性は低い。このため、冷却液組成物の金属材料に対する腐食防止効果が十分に発揮されていないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、金属材料に対する腐食防止効果を向上させることができる冷却液組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の冷却液組成物は、酢酸、プロピレングリコール及び水を主成分とし、金属材料に対する腐食防止剤を含有するものである。
【0007】
請求項2に記載の発明の冷却液組成物は、酢酸、プロピオン酸及び水を主成分とし、金属材料に対する腐食防止剤を含有するものである。
請求項3に記載の発明の冷却液組成物は、請求項2に記載の発明において、酢酸、プロピオン酸、プロピレングリコール及び水を主成分とするものである。
【0008】
請求項4に記載の発明の冷却液組成物は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記腐食防止剤は、安息香酸塩、亜硝酸塩、リン酸塩、トリアゾール化合物、チアゾール化合物、チアベンダゾール及びカルボン酸類から選ばれる少なくとも一種である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施形態について詳細に説明する。
冷却液組成物は、酢酸、プロピレングリコール及び水を主成分とし、金属材料に対する腐食防止剤を含有する。そして、暖房用不凍液として用いられたり、冷凍機や製氷機等の保冷用機器、ロードヒーティングシステム、融雪システム、ソーラーシステム、自動車エンジン等の冷却系統に用いられる。
【0010】
酢酸は、水に溶解してその凝固点を降下させることにより、冷却液組成物の凝固点を降下させてその不凍性を向上させる。さらに、プロピレングリコールによって冷却液組成物の粘性が高くなるのを抑制し、冷却液組成物の流動性を向上させる。プロピレングリコールは、前記酢酸と同様に冷却液組成物の凝固点を降下させてその不凍性を向上させるとともに、腐食防止剤を水だけでなくプロピレングリコールにも溶解させることによって腐食防止剤の溶解性を向上させて冷却液組成物の金属材料に対する腐食防止効果を向上させる。
【0011】
ここで、エチレングリコール等の炭素数がプロピレングリコールよりも少ないグリコール類は、プロピレングリコールに比べて酢酸等の酸による分解性が高い。このため、プロピレングリコールよりも炭素数が少ないグリコール類を主成分として含有する冷却液組成物は、プロピレングリコールを主成分として含有する冷却液組成物に比べて冷却液組成物の不凍性及び腐食防止効果の向上を維持することができない。一方、ブチレングリコール等の炭素数がプロピレングリコールよりも多いグリコール類は、プロピレングリコールに比べて粘性が高い。このため、プロピレングリコールよりも炭素数が多いグリコール類を主成分として含有する冷却液組成物は、プロピレングリコールを主成分として含有する冷却液組成物に比べて流動性が低下する。
【0012】
水はエタノール等の液体に比べて比熱容量及び熱伝導率が高く、冷却液組成物の冷却性能を向上させる。ここで、冷却液組成物が酢酸及び水のみを主成分とするときは、酢酸により冷却液組成物のpHが低下してその金属材料に対する腐食性が増大するとともに腐食防止剤の溶解性が低下することにより、冷却液組成物の金属材料に対する腐食防止効果が低下する。また、プロピレングリコール及び水のみを主成分とするときは、プロピレングリコールは粘性を有するために冷却液組成物の粘性が高くなってその流動性が低下する。一方、酢酸及びプロピレングリコールのみを主成分とするときは、冷却液組成物の比熱容量や熱伝導率が低下してその冷却性能が低下するとともに、冷却液組成物の粘性が高くなってその流動性が低下する。
【0013】
従って、冷却液組成物は酢酸、プロピレングリコール及び水を主成分とする、即ち冷却液組成物中のこれら成分の含有量の合計は50重量%以上である必要がある。よって、冷却液組成物中の酢酸の含有量は好ましくは10〜30重量%であるとともにプロピレングリコールの含有量は好ましくは1〜10重量%であり、水の含有量は好ましくは40〜80重量%である。
【0014】
酢酸の含有量が10重量%未満では、冷却液組成物の粘性を低下させる効果が低く、冷却液組成物の流動性が低下するおそれがある。一方、30重量%を超えると、酢酸の含有量が高いために冷却液組成物のpHが低下し、冷却液組成物の金属材料に対する腐食性が増大するおそれがある。プロピレングリコールの含有量が1重量%未満では、腐食防止剤の溶解性を向上させる効果が低く、冷却液組成物の金属材料に対する腐食防止効果を向上させるのが困難になる。一方、10重量%を超えると、冷却液組成物の粘性が高くなってその流動性が低下するおそれがある。水の含有量が40重量%未満では、水の含有量が低いために冷却液組成物の冷却性能が低下する。一方、80重量%を超えると、酢酸及びプロピレングリコールによる凝固点降下の程度が低くなり、冷却液組成物はその不凍性が低下して−40℃等の低温で凍結するおそれがある。
【0015】
冷却液組成物は、プロピレングリコールの代わりにプロピオン酸を主成分として含有してもよい。さらに、酢酸、プロピオン酸、プロピレングリコール及び水を主成分とするのが好ましい。プロピオン酸は、前記酢酸と同様に冷却液組成物の凝固点を降下させてその不凍性を向上させるとともに、腐食防止剤の水に対する溶解性を向上させる。
【0016】
冷却液組成物中のプロピオン酸の含有量は好ましくは1〜10重量%である。プロピオン酸の含有量が1重量%未満では、腐食防止剤の溶解性を向上させる効果が低く、冷却液組成物の金属材料に対する腐食防止効果を十分に向上させることができない。一方、10重量%を超えると、プロピオン酸は粘性を有するために冷却液組成物の粘性が高くなってその流動性が低下するおそれがある。
【0017】
腐食防止剤は、冷却液組成物の金属材料に対する腐食防止効果を向上させることにより、冷却系統を構成する金属材料製の循環配管等が冷却液組成物によって腐食されるのを防止する。金属材料の具体例としては、銅、黄銅、鋼鉄、鋳鉄、アルミニウム鋳物等が挙げられる。
【0018】
腐食防止剤の具体例としては、安息香酸塩、亜硝酸塩、リン酸塩、トリアゾール化合物、チアゾール化合物、チアベンダゾール、カルボン酸類、ホウ酸類、モリブデン酸類等が挙げられる。これらは単独で含有してもよいし、二種以上を組み合わせて含有してもよい。これらの中でも、溶解性が高いために安息香酸塩、亜硝酸塩、リン酸塩、トリアゾール化合物、チアゾール化合物、チアベンダゾール及びカルボン酸類から選ばれる少なくとも一種が好ましい。
【0019】
安息香酸塩は主に鉄系金属材料の腐食を防止し、その具体例としては安息香酸ナトリウム等が挙げられる。冷却液組成物中の安息香酸塩の含有量は好ましくは0.01〜5.0重量%である。亜硝酸塩は主に鉄系金属材料の腐食を防止し、その具体例としては亜硝酸ナトリウム等が挙げられる。冷却液組成物中の亜硝酸塩の含有量は好ましくは0.01〜3.0重量%である。
【0020】
リン酸塩は主に鉄系、銅系及びアルミニウム系金属材料の腐食を防止し、その具体例としてはリン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウム等が挙げられる。冷却液組成物中のリン酸塩の含有量は好ましくは0.01〜1.0重量%である。トリアゾール化合物は主に銅系金属材料の腐食を防止し、その具体例としてはベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、メルカプトベンゾトリアゾール等が挙げられる。冷却液組成物中のトリアゾール化合物の含有量は好ましくは0.01〜1.0重量%である。
【0021】
チアゾール化合物は主に銅系金属材料の腐食を防止し、その具体例としてはメルカプトベンゾチアゾール、メルカプトベンゾチアゾールのナトリウム塩又はカリウム塩等が挙げられる。冷却液組成物中のチアゾール化合物の含有量は好ましくは0.01〜1.0重量%である。チアベンダゾールは主に銅系金属材料の腐食を防止し、冷却液組成物中のチアベンダゾールの含有量は好ましくは0.01〜0.05重量%である。カルボン酸類は主に鉄系、銅系及びアルミニウム系金属材料の腐食を防止し、その具体例としてはコハク酸、セバシン酸、カプリル酸、グルコン酸等が挙げられる。冷却液組成物中のカルボン酸類の含有量は好ましくは0.1〜4重量%である。
【0022】
ホウ酸類は主に鉄系金属材料の腐食を防止し、その具体例としてはホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム等が挙げられる。冷却液組成物中のホウ酸類の含有量は好ましくは0.01〜1.0重量%である。モリブデン酸類は主として鉄系金属材料の腐食を防止し、その具体例としてはモリブデン酸、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム等が挙げられる。冷却液組成物中のモリブデン酸類の含有量は好ましくは0.01〜1.0重量%である。
【0023】
冷却液組成物中の腐食防止剤の含有量が前記範囲未満では、冷却液組成物の金属材料に対する腐食防止効果を十分に向上させることができない。一方、前記範囲を超えると、−40℃等の低温において冷却液組成物に溶解している腐食防止剤の一部が析出し、循環配管等に目詰まりが発生しやすい。さらに、冷却液組成物を調製するときに腐食防止剤が完全に溶解せず、冷却液組成部物の金属材料に対する腐食防止効果のさらなる向上が期待できないために不経済となりやすい。
【0024】
冷却液組成物には、その他の添加成分として、食用黄色4号等の着色剤、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、高分子アルコール系消泡剤等の消泡剤、デナトニュームベンゾエート等の誤飲防止のための苦み剤等を含有させてもよい。冷却液組成物中のその他の添加成分の含有量は冷却液組成物の常法に従う。
【0025】
冷却液組成物の金属材料に対する腐食防止効果の向上には、冷却液組成物中の各成分の含有量を前記範囲に設定する等の他に、冷却液組成物のpHが要因となっている。このため、冷却液組成物は水酸化カリウム等によりそのpHが7〜11に調整されるのが好ましい。冷却液組成物のpHが7未満では、冷却液組成物は酸性を有するためにその金属材料に対する腐食性が増大するおそれがある。一方、11を超えると、冷却液組成物のアルカリ性が強くなってその金属材料に対する腐食性が増大するおそれがある。
【0026】
冷却液組成物は、水に他の成分を混合して各成分を分散又は溶解させることにより調製される。ここで、水に対する他の成分の混合順序は限定されない。
さて、冷却液組成物を例えば冷却系統に用いるときは、冷却系統を構成する熱交換器や循環配管内に冷却液組成物を流通させる。ここで、冷却液組成物は、主成分である酢酸、プロピレングリコール及びプロピオン酸により水の凝固点が降下され、−40℃の低温においても凍結せず−40〜100℃の温度範囲において流動性が低下することなく冷却系統内を流通することができる。
【0027】
さらに、プロピレングリコールやプロピオン酸によって腐食防止剤の溶解性を向上させることにより、冷却液組成物の金属材料に対する腐食防止効果を向上させることができる。このため、金属材料製の熱交換器や循環配管等の冷却液組成物による腐食を防止することができる。これらに加えて、冷却液組成物中の各成分は不燃性を有している。このため、冷却系統の設計及び製造を容易に行なうことができる。
【0028】
以上詳述した本実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
・ 本実施形態の冷却液組成物は、酢酸、プロピレングリコール及び水を主成分としている。又は酢酸、プロピオン酸及び水を主成分としている。プロピレングリコールは腐食防止剤の溶解性を向上させるとともにエチレングリコールに比べて酢酸等の酸による分解性が低いために、エチレングリコールを含有する冷却液組成物に比べて金属材料に対する腐食防止効果を長期間にわたって向上させることができる。一方、プロピオン酸は、腐食防止剤の水に対する溶解性を向上させることにより、冷却液組成物の金属材料に対する腐食防止効果を向上させることができる。
【0029】
さらに、酢酸及びプロピレングリコールはギ酸及びエチレングリコールに比べて環境等に与える影響が低い。このため、冷却液組成物が排出される又は冷却系統等から漏出したときには従来の冷却液組成物に比べて環境等に与える影響を抑えることができ、冷却液組成物の取扱い性を向上させることができる。
【0030】
ここで、酢酸及びプロピオン酸は、プロピレングリコールに比べて環境に与える影響がさらに低い。このため、冷却液組成物は、酢酸及びプロピレングリコールを主成分とするときには、酢酸を主成分として含有することによりプロピレングリコールの含有量を低減させ、プロピレングリコール及び水のみを主成分とする冷却液組成物に比べてその取扱い性をより向上させることができる。さらに、酢酸及びプロピオン酸を主成分とすることにより、プロピレングリコールを主成分として含有する冷却液組成物に比べてその取扱い性をさらに向上させることができる。
【0031】
・ 腐食防止剤は安息香酸塩、亜硝酸塩、リン酸塩、トリアゾール化合物、チアゾール化合物、チアベンダゾール、カルボン酸類から選ばれる少なくとも一種が好ましい。この場合、金属材料の種類に対応して腐食防止剤の種類を変更することにより、冷却液組成物の金属材料に対する腐食防止効果をより向上させることができる。
【0032】
・ 冷却液組成物は、酢酸、プロピオン酸、プロピレングリコール及び水を主成分とするのが好ましい。この場合、腐食防止剤の水に対する溶解性を向上させるとともにプロピレングリコールに溶解させることにより、冷却液組成物の腐食防止効果をさらに向上させることができる。
【0033】
尚、前記実施形態を次のように変更して構成することもできる。
・ 冷却液組成物を、濃縮された状態で調製及び保管されるとともに、冷却系統等に用いられるときには水が混合されて希釈されるように構成してもよい。このように構成した場合は、冷却液組成物の管理を容易にするとともにその輸送効率を向上させることができる。
【0034】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。
(実施例1〜8及び比較例1〜6)
実施例1〜8及び比較例1〜6においては、各表に示す各成分を混合して冷却液組成物を調製した。各表において、各成分の数値は重量%を示す。次いで、各冷却液組成物について、JIS K 2234に記載の方法に準じて金属試験片の腐食量をそれぞれ測定した。ここで、試験片の材質は、銅、黄銅、鋼鉄、鋳鉄又はアルミニウム鋳物とし、試験温度を88℃とするとともに試験時間を336時間とした。さらに、各冷却液組成物の化学的酸素要求量(COD)及び−40℃における粘度を測定し、JIS K 2265に従って各冷却液組成物の引火点をそれぞれ測定した。それらの結果を各表に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
表1及び表2に示すように、実施例1〜8の冷却液組成物においては、各試験片に対して腐食量が低い結果となった。さらに、−40℃における粘性が低く、引火点がなかった。このため、各実施例の冷却液組成物は、腐食防止効果が高いとともに低温においても流動性が低下せず、不燃性を有していた。
【0038】
一方、表3に示すように、比較例1及び比較例5においては、酢酸、プロピレングリコール及びプロピオン酸を含有していないために、鉄系金属材料製の試験片等に対して腐食量が高い値となった。比較例2〜4においては、プロピレングリコール及びプロピオン酸を含有していないために、各試験片に対して腐食量が高い値となった。比較例6においては、ギ酸、酢酸、エチレングリコール及び水を主成分としているために、各試験片に対して腐食量が高い値となった。
【0039】
次に、前記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
(1)pHが7〜11に調整されている請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の冷却液組成物。この構成によれば、金属材料に対する腐食防止効果をより向上させることができる。
【0040】
(2)濃縮された状態で調製及び保管されるとともに、使用されるときには水が加えられて希釈されるように構成されている請求項1から請求項4及び上記(1)のいずれか一項に記載の冷却液組成物。この構成によれば、容易に管理することができるとともに、輸送効率を向上させることができる。
【0041】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
請求項1から請求項4に記載の発明の冷却液組成物によれば、金属材料に対する腐食防止効果を向上させることができる。
Claims (4)
- 酢酸、プロピレングリコール及び水を主成分とし、金属材料に対する腐食防止剤を含有することを特徴とする冷却液組成物。
- 酢酸、プロピオン酸及び水を主成分とし、金属材料に対する腐食防止剤を含有することを特徴とする冷却液組成物。
- 酢酸、プロピオン酸、プロピレングリコール及び水を主成分とする請求項2に記載の冷却液組成物。
- 前記腐食防止剤は、安息香酸塩、亜硝酸塩、リン酸塩、トリアゾール化合物、チアゾール化合物、チアベンダゾール及びカルボン酸類から選ばれる少なくとも一種である請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の冷却液組成物。
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