JP2004238518A - 調整塗料、澱粉加工紙及び包装体 - Google Patents

調整塗料、澱粉加工紙及び包装体 Download PDF

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Abstract

【課題】100℃以上の高温でも、優れた耐油性と安全性を有する澱粉加工紙及び包装体を提供する。
【解決手段】澱粉を多量に含む調整塗料を紙基材に塗工して澱粉加工紙を製造し、この澱粉加工紙から包装体を作成する。ここで、調整塗料は、塗料総固形分の12.5〜100重量%の澱粉が水分散された塗料を用いる。これにより、澱粉の優れた耐油性及び安全性を紙基材に付与し、優れた耐油性及び安全性を有する澱粉加工紙及び包装体を実現する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば油性食品の包装材料に用いられる調整塗料、澱粉加工紙及び包装体に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、油揚げ食品等の油性食品は、耐油性をもつクッキングペーパー、紙製包装紙、更には紙製包装材料全般について、直接接触するように配置又は包装される。この種のクッキングペーパーや紙製包装紙等は、防油、撥油性、耐水、撥水性などの必要な機能がフッ素樹脂(以下、フッ素剤という)により付与されてきた。
【0003】
しかしながら、近年、フッ素剤の「100℃以上の高温下の使用において、生物を含む環境蓄積性のあるフッ素化合物ガスの発生」が報告された。
【0004】
この報告により、フッ素剤メーカーでは、フッ素剤の新たな生産供給を中止し、既存の供給先の紙メーカー及び加工メーカーに使用自粛を呼びかけている。
【0005】
また、フッ素剤メーカーは、製紙メーカーにも同様に、安全が確認されるまでの使用の自粛、供給の自粛を呼びかけている。これらの自粛は、特に、100℃以上の高温下でも使用される加工紙や紙製包装材料を対象にしている。かかる加工紙や紙製包装材料には、揚げたての油揚げ食品に直接接触したり、電子レンジ等で再加熱される可能性のある耐油性紙や耐油性包装材料がある。そこで、これらの耐油性紙や耐油性包装材料は、使用自粛の他に、代替材料への切替が呼びかけられている。
【0006】
このような状況の下、本発明者は、特に食品接触の可能性に配慮し、100℃以上の高温における素材の安全性を最重要課題として、食用可能な天然物を中心とした材料探索、研究を継続している。
【0007】
かかる研究は、その成果の一部として、ラックカイガラ虫が分泌する酸エステル樹脂状物質を精製してなる生物産生天然樹脂(セラック樹脂)を見出している(例えば、特許文献1を参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−172728号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者の検討によれば、セラック樹脂以外にも、100℃以上の高温でも耐油性と安全性に優れた素材が存在する可能性があると考えられる。
【0010】
本発明は上記実情を考慮してなされたもので、100℃以上の高温でも、優れた耐油性と安全性を有する澱粉加工紙及び包装体を提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明の他の目的は、この澱粉加工紙を製造するための調整塗料を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1に対応する発明は、第1調整材料が水分散された調整塗料であって、前記第1調整材料としては、塗料総固形分の12.5〜100重量%の範囲で含まれる澱粉である調整塗料である。
【0013】
また、請求項2に対応する発明は、第1及び第2調整材料が水分散された調整塗料であって、前記第1調整材料としては、塗料総固形分の25〜37.5重量%の範囲で含まれる澱粉であり、前記第2調整材料としては、塗料総固形分の25〜37.5重量%の範囲で含まれるラテックス樹脂である調整塗料である。
【0014】
さらに、請求項3に対応する発明は、第1及び第3調整材料が水分散された調整塗料であって、前記第1調整材料としては、塗料総固形分のX重量%(但し、25≦X≦75)の範囲で含まれる澱粉であり、前記第3調整材料としては、塗料総固形分の(100−X)重量%の範囲で含まれる無機剤である調整塗料である。
【0015】
また、請求項4に対応する発明は、第1乃至第3調整材料が水分散された調整塗料であって、前記第1調整材料としては、塗料総固形分のY重量%(但し、12.5≦Y≦37.5)の範囲で含まれる澱粉であり、前記第2調整材料としては、塗料総固形分のZ重量%(但し、12.5≦Z≦37.5)の範囲で含まれるラテックス樹脂であり、前記第3調整材料としては、塗料総固形分の(100−Y−Z)重量%の範囲で含まれる無機剤である調整塗料である。
【0016】
さらに、請求項5に対応する発明は、請求項1〜4のいずれかに対応する調整塗料を用いて製造された澱粉加工紙において、単層抄き又は多層抄き合わせのパルプ材からなり、前記パルプ材の少なくとも一層に前記調整塗料が添加された澱粉加工紙である。
【0017】
また、請求項6に対応する発明は、請求項1〜4のいずれかに対応する調整塗料を用いて製造された澱粉加工紙において、前記調整塗料が紙基材の片面又は両面に塗工量3.5〜32g/mの範囲で塗工された澱粉加工紙である。
【0018】
さらに、請求項7に対応する発明は、請求項5,6に対応する澱粉加工紙を備えた包装体であって、前記澱粉加工紙としては、少なくとも被包装物に直接接触する部分に設けられた包装体である。
【0019】
(作用)
従って、請求項1に対応する発明は以上のような手段を講じたことにより、調整塗料が澱粉を多量に含むので、この調整塗料を紙の製造に用いることにより、澱粉の持つ優れた耐油性及び安全性が紙に付与される。よって、100℃以上の高温でも、優れた耐油性と安全性を有する澱粉加工紙及び包装体を提供することができる。
【0020】
また、請求項2に対応する発明は、調整塗料が多量の澱粉に加え、ラテックス樹脂を含むので、請求項1に対応する作用に加え、ラテックス樹脂により、耐水性を向上させることができる。
【0021】
さらに、請求項3に対応する発明は、調整塗料が多量の澱粉に加え、無機剤を含むので、請求項1に対応する作用に加え、無機剤により、油分の吸着性能、水蒸気の吸着あるいは蒸気透過性能を得ることができる。
【0022】
また、請求項4に対応する発明は、調整塗料が多量の澱粉に加え、ラテックス樹脂及び無機剤を含むので、請求項1〜3に対応する作用を同時に得ることができる。
【0023】
さらに、請求項5に対応する発明は、上記調整塗料を抄紙工程でのパルプ材に添加して製造した澱粉加工紙であるので、請求項1〜4に対応する作用と同様の作用を奏する澱粉加工紙を提供することができる。
【0024】
また、請求項6に対応する発明は、上記調整塗料を紙基材に塗工して製造した澱粉加工紙であるので、請求項1〜4に対応する作用と同様の作用を奏する澱粉加工紙を提供することができる。
【0025】
さらに、請求項7に対応する発明は、上記澱粉加工紙を少なくとも被包装物に直接接触する部分に設けた包装体であるので、請求項5,6に対応する作用を奏する包装体を提供することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
第1の実施形態としては、100℃以上の高温でも優れた耐油性と安全性を有する澱粉加工紙を製造するための調整塗料とその澱粉加工紙及びこの澱粉加工紙から作製される包装体について説明する。
【0027】
ここで、調整塗料は、第1調整材料としての澱粉が水分散された塗料である。澱粉は、塗料総固形分の12.5〜100重量%の範囲で調整塗料に含まれており、好ましくは塗料総固形分の20重量%以上で用いられる。
【0028】
なお、澱粉は、以下のような構造をもつ(“室井宗一著、「紙塗工」、第1版第1刷、(株)高分子刊行会、1986年9月20日、p.72(pp.70−74)”に基づく)。すなわち、澱粉の構成単位は、D−グルコピラノースである。このピラノースリングが、α1−4結合により直鎖状に連なったアミロースと、アミロースの一部でα1−6結合の分岐構造を持つアミロペクチンから、一つの粒を形成し、澱粉を構成する。
【0029】
澱粉の種類としては、天然材料の澱粉と、化学変成させた変成澱粉とがあり、両者とも使用可能となっている。
ここで、天然材料の澱粉は、自然界に産生する澱粉であり、地上茎澱粉及び地下茎澱粉がある。地上茎澱粉は、地上の貯蔵器官に貯えられる澱粉であり、例えばコーンスターチ、小麦澱粉などが該当する。地下茎澱粉は、地下の貯蔵器官に貯えられる澱粉であり、例えば馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉などが該当する。
【0030】
これら地上茎澱粉及び地下茎澱粉は、種類に応じて、アミロースとアミロペクチンの比率、結晶化度、形態などの特性が異なる。なお、アミロース及びアミロペクチン自体は、図3に示す特徴が挙げられる。また、澱粉の性状は、例えば図4に示す内容が挙げられる。
【0031】
一方、変成澱粉は、特性や性能を調整するために化学変性させた澱粉であり、例えばデキストリン、酸化澱粉、α澱粉、誘導体及びハイアミロース等がある。ここで、誘導体としては、例えば酢酸エステル化澱粉、燐酸エステル化澱粉、アルキルエーテル化澱粉、カチオンエーテル化澱粉、架橋エーテル化澱粉などがある。
【0032】
なお、変成澱粉の基本特性は、変成前の澱粉の性質を強く引き継いでおり、具体的には図5に示すように、常温糊化・溶解、加熱不溶化・疎水化、保水・粘弾性、電気特性、乳化保護コロイド、耐老化性、耐薬品・機械性、高濃度利用、皮膜性、接着・粘着、熱可塑性、溶剤可溶性、生理活性、ゲル化性などが挙げられる。
【0033】
一方、澱粉加工紙は、以上のような調整塗料を塗布又は内添して製造された紙である。澱粉加工紙の種類としては、紙又は板紙があり、具体的には例えば用途、品目分類における印刷・情報用紙、包装用紙、衛生用紙、工業用紙、家庭用雑種紙、段ボール原紙、白板紙、建材原紙、その他用紙が該当する。
【0034】
包装体は、このような澱粉加工紙を備えたものであり、澱粉加工紙が少なくとも被包装物に直接接触する部分に設けられている。この種の包装体としては、例えば、紙皿、紙箱、紙袋などの紙製包装容器があり、また、紙製包装容器内に敷かれる中敷き紙などがある。
【0035】
次に、以上のように構成された調整塗料、澱粉加工紙及び包装体の作用について説明する。
【0036】
(調整塗料の準備)
始めに、調整塗料が準備される。調整塗料は、塗料総固形分の12.5〜100重量%となるように配合され、水分散されて作製される。
【0037】
(澱粉加工紙の製造)
次に、準備した調整塗料を用いた澱粉加工紙の製造工程について説明する。
【0038】
始めに、パルプ調整工程が行なわれた後、紙料調整工程が行なわれる。
【0039】
紙料調整工程では、所望の紙の物性に応じたパルプ配合と、叩解度とを調整する。例えば、紙力剤(カチオン澱粉、PAAMなど)、濾水向上剤、歩留まり向上剤、定着剤などの内添薬剤、また炭酸カルシウム、カオリンなどの填料を加え、通常、1.0%程度の紙料を調製する。なお、この紙料調整工程では、本発明の調整塗料とは無関係に、従来から澱粉が内添薬剤の乳化、定着剤として使用される。
【0040】
この紙料調整工程の後、抄紙工程が行なわれる。抄紙工程は、紙層形成工程、搾水工程、一次乾燥工程、表面処理工程からなる。
【0041】
紙層形成工程では、移動するワイヤーネットシート上に、調整した紙料を流下させ、重力脱水、吸引脱水により紙層を形成する。
【0042】
板紙の場合、紙層形成工程での調製紙料流下を連続的に繰り返すことのできる抄紙設備で、複数層の抄き合わせとすることで紙層が形成される。
【0043】
この際、抄き合わせする紙層の層間の接着剤として澱粉液がスプレーされる。
【0044】
以上は周知の紙層形成工程である。
【0045】
しかしながら、本実施形態では、この紙層形成工程において、澱粉からなる調整塗料を、単層抄き又は多層抄き合わせのパルプ材のうち、少なくとも一層以上のパルプ材の抄紙添料として用い、紙層に添加する。この澱粉からなる調整塗料の内添は本発明の工程である。
【0046】
これにより、本実施形態の澱粉加工紙となる紙層が形成される。
【0047】
次に、搾水工程が行われる。
【0048】
搾水工程においては、ドライヤーによる一次乾燥直前に、プレスパートと呼ばれる工程により、紙層形成された紙料を複数のロール間を通過させて紙層の水を搾る。これにより、湿紙水分を低下させ、乾燥効率の向上を図り、同時に、製品の強度、平滑性を改善する。
【0049】
一次乾燥工程においては、搾水された澱粉加工紙を、多筒式又はヤンキー式ドライヤーにより乾燥させる。
【0050】
一次乾燥工程の後、表面処理工程が行われる。
【0051】
表面処理工程においては、サイズプレス又はゲートロールと呼ばれる複数のロール間に澱粉加工紙を通過させ、ロールと澱粉加工紙の間に溜められた澱粉、その他の薬品を澱粉加工紙に塗布する。これにより、製品の表面強度や、印刷適性など、主として紙の表面性を改善する。なお、この表面処理工程で塗布する澱粉は、本発明の調整塗料とは無関係であり、従来から、サイズ剤などの乳化、定着剤などとして使用されているものである。
【0052】
以上のような抄紙工程の後、仕上げ加工(紙への加工)工程が行われる。仕上げ加工工程は、二次乾燥工程、表面仕上げ工程、調薬工程、表面コート工程、乾燥工程、カレンダー工程、最終仕上げ工程からなる。
【0053】
二次乾燥工程では、澱粉加工紙を乾燥させる。これにより、表面処理工程で上昇した澱粉加工紙の水分を平衡水分値まで戻す。
【0054】
表面仕上げ工程では、特に、平滑性を要求される紙の場合、サイズプレス後、乾燥されただけの紙を、数段の鏡面をもつロールの間を通すことにより、表面の平滑性を向上させる。
【0055】
調薬工程では、表面サイズだけでは不足する印刷適性などを向上させるため、上質紙や中性紙などの片面あるいは両面にピグメントコート(塗工カラーコート)を行う。
【0056】
この塗工カラー薬品として、クレー、カオリン、炭酸カルシウム、酸化チタン、分散剤、ラテックス、澱粉バインダー、潤滑剤、耐水化剤、保水剤などの各種薬品を、商品特性、塗工設備にあわせ調合する。なお、この調薬工程でも澱粉が用いられる。但し、この調薬工程で用いられる澱粉は、本発明の調整塗料ではなく、従来から、塗工カラーのバインダーとして、また、耐水化剤の乳化、分散、定着剤などとして使用されているものである。
【0057】
表面コート工程では、調薬された塗工カラーを澱粉加工紙の表面に塗布(1〜2g/m)する。塗工設備としては塗工部の構造によりブレード、ビルブレード、ツインロール、エアーナイフなどがある。
【0058】
なお、この表面コート工程は周知のものである。しかしながら、本実施形態では、前述した紙層形成工程で調整塗料を添加しなかった場合に、この表面コート工程において、澱粉からなる調整塗料を紙基材の片面又は両面に塗工量3.5〜32g/mの範囲で塗工することができる。この澱粉からなる調整塗料の塗工は本発明の工程である。調整塗料が塗工された澱粉加工紙は、後述するカレンダー加工を施すこともできる。
【0059】
塗工は、1回で塗工しても、数回の塗工でもよく、それぞれの塗工において、調整塗料の成分比率を変えることにより、塗工表面の耐油性、耐水性を、また水蒸気の透過量、水の吸水量を調整できる。
【0060】
塗工の方法は、ロールコート、グラビアコート、カーテンコート、スプレーコート、ブレードコート、ロッド(バー)コート、コンマコート、エアーブレードコート、ダイコート、キャストコートなどほとんど全てのコート方法で塗布できる。なお、抄紙工程の表面処理工程で使用されるサイズプレスコートで調整塗料を塗布してもよい。
【0061】
乾燥工程では、塗工直後のコート層を乾燥し、澱粉加工紙を平衡水分値6%程度まで乾燥させる。
【0062】
カレンダー工程では、塗工カラーを塗布した澱粉加工紙を、数段の鏡面をもつロールの間を通し、塗工紙表面を平滑にし、白紙光沢、印刷光沢などの各種印刷適性を向上させる。
【0063】
最終仕上げ工程では、印刷やその他加工の寸法に合わせた、巻取りや、平判に裁断加工を行なう。これにより、澱粉加工紙の製造が完了し、この澱粉加工紙は出荷される。
【0064】
(包装体)
以上のように、紙層形成工程又は表面コート工程にて、調整塗料が添加又は塗工された澱粉加工紙は、周知の加工工程により、紙皿、紙箱又は紙袋等の包装体に加工される。
【0065】
この包装体は、澱粉加工紙が少なくとも被包装物に直接接触する部分に設けられる。従って、100℃以上の高温の被包装物(例、油揚げ食品等)を包装した場合でも、澱粉の持つ優れた耐油性及び安全性により、油分を浸透させずに被包装物を保持することができる。
【0066】
また、澱粉は、古くから食用とされてきたように安全な素材であり、被包装物が澱粉加工紙に直接接触しても、有毒成分を発生させる心配がない。
【0067】
上述したように本実施形態によれば、フッ素剤の代替として、澱粉の機能を積極的に利用し、澱粉を高い比率で紙に含有させる構成により、100℃以上の高温でも、優れた耐油性と安全性を有する澱粉加工紙及び包装体を製造でき、包装等に用いることができる。
【0068】
また、これら調整塗料、澱粉加工紙及び包装体は、自然産生の澱粉を用いるために安全であり、また、容易にリサイクル再生することができる。
【0069】
次に、本実施形態の効果について補足的に説明する。従来から、工業用途における澱粉は、主に糊材として、製紙工業、紙加工工業などを中心に利用されている。
【0070】
従来の製紙工業において、澱粉は、種々の製紙用薬剤と共に各工程で使用される。しかしながら、従来の澱粉は、抄紙紙層間の接着剤(糊材)などの場合を除き、そのほとんどが補助剤として利用される。
【0071】
具体的には例えば、従来の澱粉は、紙や繊維のサイズ剤、耐水化剤として使用されるAKD(アルキルケテンダイマー)、ASA(オクテニル無水コハク酸)、ZAC(炭酸ジルコニウムアンモニウム)などの乳化、定着の補助剤として利用される。
【0072】
また、従来の澱粉は、紙力増強剤、微細繊維、填料などの歩留り向上剤、凝集剤、紙塗工カラーであるクレーのバインダー等、といった補助剤として利用される。
【0073】
また、従来の製紙工業において、澱粉の使用量は、紙、板紙を構成するパルプ材に対し、重量比でごく僅かな量であり、補助的な成分である。
【0074】
しかしながら、本実施形態では、澱粉からなる調整塗料を内添又は塗工したように、澱粉を主要な成分とした調整塗料を用い、澱粉の持つ耐油性及び安全性を積極的に利用している。
【0075】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
本実施形態は、第1の実施形態の変形例であり、前述した調整塗料の配合を変えることにより、耐水性の向上を図るものである。
【0076】
ここで、本実施形態に係る調整塗料は、第1及び第2調整材料としての澱粉及びラテックス樹脂が水分散された塗料である。
【0077】
澱粉は、塗料総固形分の25〜37.5重量%の範囲で調整塗料に含まれる。
【0078】
ラテックス樹脂は、塗料総固形分の20〜40重量%の範囲で、好ましくは塗料総固形分の25〜37.5重量%の範囲で調整塗料に含まれ、例えば、天然チクル又はSBRなどが使用される。
【0079】
すなわち、本実施形態は、このように調整塗料の配合を変えた構成である。以下、前述同様に澱粉加工紙及び包装体が製造され、包装体が包装に使用される。
【0080】
以上のような構成により、第1の実施形態の効果に加え、ラテックス樹脂により、澱粉加工紙及び包装体の耐水性を向上させることができる。
【0081】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
本実施形態は、第1の実施形態の変形例であり、前述した調整塗料の配合を変えることにより、油分の吸着性、水蒸気の吸着性又は水蒸気の透過性といった特性の向上を図るものである。
【0082】
ここで、本実施形態に係る調整塗料は、第1及び第3調整材料としての澱粉及び無機剤が水分散された塗料である。
【0083】
澱粉は、塗料総固形分のX重量%(但し、25≦X≦75)の範囲で調整塗料に含まれる。
無機剤は、塗料総固形分の(100−X)重量%の範囲で調整塗料に含まれ、例えば、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、カオリン又はタルクなどが使用される。
【0084】
すなわち、本実施形態は、このように調整塗料の配合を変えた構成である。以下、前述同様に澱粉加工紙及び包装体が製造され、包装体が包装に使用される。
【0085】
以上のような構成により、第1の実施形態の効果に加え、無機剤により、油分の吸着性、水蒸気の吸着性又は水蒸気の透過性を向上させることができる。
【0086】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
本実施形態は、第1〜第3の実施形態の組合せ例であり、前述した調整塗料の配合を変えることにより、第1〜第3の実施形態の効果を同時に得るものである。
【0087】
ここで、本実施形態に係る調整塗料は、第1〜第3調整材料としての澱粉、ラテックス樹脂及び無機剤が水分散された塗料である。
澱粉は、塗料総固形分のY重量%(但し、12.5≦Y≦37.5)の範囲で調整塗料に含まれる。
【0088】
ラテックス樹脂は、塗料総固形分のZ重量%(但し、12.5≦Z≦37.5)の範囲で調整塗料に含まれる。
【0089】
無機剤は、塗料総固形分の(100−Y−Z)重量%の範囲で、好ましくは25重量%近傍(例、25±5重量%)の範囲で調整塗料に含まれる。
【0090】
すなわち、本実施形態は、このように調整塗料の配合を変えた構成である。以下、前述同様に澱粉加工紙及び包装体が製造され、包装体が包装に使用される。
【0091】
以上のような構成によれば、澱粉、ラテックス樹脂及び無機剤により、第1〜第3の実施形態の効果を同時に得ることができる。
なお、本願発明は、上記各実施形態に限定されるものでなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合、組み合わされた効果が得られる。さらに、上記各実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が省略されることで発明が抽出された場合には、その抽出された発明を実施する場合には省略部分が周知慣用技術で適宜補われるものである。
【0092】
その他、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【0093】
【実施例】
以下、各実施例により説明する。
(実施例1)
実施例1は、調整塗料を用いて製造した板紙の耐油試験、耐水試験である。
【0094】
[調整塗料] 調整塗料は、澱粉(化工澱粉)、ラテックス樹脂、無機スリップ剤を調整配合し、微量適量の分散剤を加え、その後、加温糊化して作製した。
【0095】
[塗工用紙] 白コートボール板紙 384 g/mを用いた。
【0096】
[塗料塗工試験片の作成] 塗工用紙に、調整塗料を数種のコーティングロッド(ミヤバー)で目標塗工量に塗工した。塗工後の用紙を、150℃熱風式乾燥器で約30秒乾燥後、熱ロールで塗料面を簡単にプレス処理し、試験片とした。
【0097】
[評価試験]
(1)撥油度(耐油度)試験
JAPAN TAPPI No.41 紙及び板紙の撥油度試験(キット試験)。
【0098】
このキット試験は、1.0〜16.0までのキット番号により撥油度が評価される。キット番号は、数値の大きさに比例して高い撥油度を表している。
【0099】
(2)耐水試験
蒸留水によるキット法と同様の試験で評価した(着水15秒)。
【0100】
優◎、良○、普通○、可△、劣×、の5段階評価とし、原紙(白コートボール)のコート面を「普通(○)」として評価した。
【0101】
調整塗料1による試験内容及び結果を図1に示す。
【0102】
図1は本発明の実施例1a〜1g及び比較例1h〜1kの調整塗料の配合比、塗工量に対する耐油試験及び耐水試験の結果を一覧して示す図である。
【0103】
ここで、実施例1aは第1の実施形態(澱粉のみ)に対応し、実施例1b〜1dは第3の実施形態(澱粉と無機剤)に対応している。実施例1e〜1gは第2及び第4の実施形態(澱粉、ラテックス樹脂、無機剤)に対応している。
【0104】
図示するように、各実施例1a〜1gは、いずれも澱粉を含むため、耐油性を有することを確認できた。また、実施例1e〜1gは、さらにラテックス樹脂をも含むため、耐水性を向上できたことを確認できた。
【0105】
一方、比較例1h〜1kは、いずれも澱粉を含まないため、耐油性が無いものであった。
【0106】
(実施例2)
実施例2は、実施例1aの調整塗料(澱粉100%)に対し、製紙用サイズ剤、耐水化剤を添加した場合の板紙の耐油試験、耐水試験である。
【0107】
[調整塗料] 調整塗料は、澱粉(加工澱粉)に対し、AKD(アルキルケテンダイマー)、ASA(オクテニル無水コハク酸)、ZAC(炭酸ジルコニウムアンモニウム)を調整配合し、微量適量の分散剤を加え、その後、加温糊化して作製した。
【0108】
[塗工用紙]、[塗料塗工試験片の作成]及び[評価試験]は実施例1と同じである。
【0109】
調整塗料による試験内容及び結果を図2に示す。
【0110】
図2の実施例2a〜2cに示すように、耐水性が向上されていないことが確認された。すなわち、実施例2a〜2cにより、サイズ剤、耐水化剤としてのAKD(アルキルケテンダイマー)、ASA(オクテニル無水コハク酸)、ZAC(炭酸ジルコニウムアンモニウム)の添加効果が無いことが確認された。
【0111】
(実施例3〜8)
次に、実施例3〜8について述べる。各実施例3〜8は、実際に高温の被包装体(例、油揚げ食品)を用いた場合の耐油性等を観察したものである。
【0112】
(実施例3)
実施例1a〜1g及び実施例2a〜2cに用いた各調整塗料を102g/mの純白紙に塗工し、それぞれ澱粉加工紙を得た。これらの澱粉加工紙にそれぞれ高温のフライドチキンをのせ、約6時間放置した。その後、紙裏側への油染みを観察したが、いずれの澱粉加工紙にも油染みは認められなかった。
【0113】
(実施例4)
実施例3の澱粉加工紙のうち数種類を、塗料面を内側となるよう袋状に折り、その中に同じ(実施例3で使用したフライドチキン)を入れ、袋の口を折り畳んで包装体とした。
【0114】
この袋状の包装体を500Wの家庭用電子レンジで2分加熱し、電子レンジから取り出した直後と、約10分放置後との2回にわたり、包装体の内側及び外側を観察した。加熱直後、約10分放置後のいずれも袋内面の異常や袋外面の油染みは、認められなかった。
【0115】
(実施例5)
実施例3の純白紙に代えて、白コートボール板紙384g/mを用い、同様に各実施例1a〜1g及び実施例2a〜2cに用いた各調整塗料を塗工して、それぞれ澱粉加工紙を得た。
【0116】
実施例3のフライドチキンに代えて、高温のフライドポテトを用い、同様に、各澱粉加工紙にそれぞれ高温のフライドポテトをのせ、約6時間放置した。その後、紙裏側への油染みを観察したが、いずれの澱粉加工紙にも油染みは認められなかった。
【0117】
(実施例6)
実施例3の用紙のうち数種類を、塗料面を内側となるよう円錐状に曲げ、その先端を折り曲げ容器とし、その中に同じ(実施例5で使用したフライドポテト)を入れ、開口部を閉じて包装体とした。
【0118】
この円錐状の包装体を500Wの家庭用電子レンジで2分加熱し、電子レンジから取り出した直後と、約10分放置後との2回ににわたり、包装体の内側及び外側を観察した。加熱直後、約10分放置後のいずれも袋内面の異常や袋外面の油染みは、認められなかった。
【0119】
(実施例7)
実施例3〜6による観察において、無機スリップ剤(無機フィラー)を含む塗料膜の表面の油滴は、無機剤に多少染み込み傾向にあり、油分の吸着性能が認められた。
【0120】
(実施例8)
各実施例3〜6における澱粉加工紙の調整塗料の塗工面に、沸騰水蒸気を約30秒直接当て、その表面を観察した。
【0121】
無機スリップ剤を含有する調整塗料の塗工面の方が、無機スリップ剤を含有しない調整塗料の塗工面に比べ、水滴が少なく、無機剤による水蒸気の吸着、あるいは、蒸気透過が認められた。
【0122】
これにより、油性食品が包装された状態で加熱された際にも、包装材が内容物油脂の透過を防止しつつ、内容物水分の蒸気を適度に吸収、透過し、包装内の水滴溜まり、べとつきを防止できることを確認できた。
【0123】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、100℃以上の高温でも、優れた耐油性と安全性を有する澱粉加工紙及び包装体を提供できる。また、この澱粉加工紙を製造するための調整塗料を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1及び比較例を一覧して示す図である。
【図2】本発明の実施例2及び比較例を一覧して示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る調整塗料に適用される澱粉を構成するアミロース及びアミロペクチンを説明するための図である。
【図4】同実施形態における澱粉の性状を説明するための図である。
【図5】同実施形態における変成澱粉を説明するための図である

Claims (7)

  1. 第1調整材料が水分散された調整塗料であって、
    前記第1調整材料は、塗料総固形分の12.5〜100重量%の範囲で含まれる澱粉であることを特徴とする調整塗料。
  2. 第1及び第2調整材料が水分散された調整塗料であって、
    前記第1調整材料は、塗料総固形分の25〜37.5重量%の範囲で含まれる澱粉であり、
    前記第2調整材料は、塗料総固形分の25〜37.5重量%の範囲で含まれるラテックス樹脂であることを特徴とする調整塗料。
  3. 第1及び第3調整材料が水分散された調整塗料であって、
    前記第1調整材料は、塗料総固形分のX重量%(但し、25≦X≦75)の範囲で含まれる澱粉であり、
    前記第3調整材料は、塗料総固形分の(100−X)重量%の範囲で含まれる無機剤であることを特徴とする調整塗料。
  4. 第1乃至第3調整材料が水分散された調整塗料であって、
    前記第1調整材料は、塗料総固形分のY重量%(但し、12.5≦Y≦37.5)の範囲で含まれる澱粉であり、
    前記第2調整材料は、塗料総固形分のZ重量%(但し、12.5≦Z≦37.5)の範囲で含まれるラテックス樹脂であり、
    前記第3調整材料は、塗料総固形分の(100−Y−Z)重量%の範囲で含まれる無機剤であることを特徴とする調整塗料。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の調整塗料を用いて製造された澱粉加工紙において、
    単層抄き又は多層抄き合わせのパルプ材からなり、前記パルプ材の少なくとも一層に前記調整塗料が添加されたことを特徴とする澱粉加工紙。
  6. 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の調整塗料を用いて製造された澱粉加工紙において、
    前記調整塗料が紙基材の片面又は両面に塗工量3.5〜32g/mの範囲で塗工されたことを特徴とする澱粉加工紙。
  7. 請求項5又は請求項6に記載の澱粉加工紙を備えた包装体であって、
    前記澱粉加工紙は、少なくとも被包装物に直接接触する部分に設けられたことを特徴とする包装体。
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