JP2004238426A - エチレン共重合体樹脂の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高圧重合法によるエチレン共重合体樹脂を製造する方法において、柔軟性、耐熱性、強度等の相反する物性を用途に応じて満足させるエチレン共重合体樹脂を提供する。
【解決手段】高圧重合法によるエチレン共重合体樹脂を製造する方法において、反応器の少なくとも2箇所以上に原料ガス供給部分を設け、各原料ガス供給部分よりそれぞれ異なる(メタ)アクリル酸エステル濃度の、エチレンと(メタ)アクリル酸エステルの混合ガスを供給することを特徴とするエチレン共重合体樹脂の製造方法。好ましくは、前記各原料供給部分における(メタ)アクリル酸エステル濃度が、0≦α≦30(但しαは(メタ)アクリル酸エステル濃度%)である製造方法。
【選択図】 図1
【解決手段】高圧重合法によるエチレン共重合体樹脂を製造する方法において、反応器の少なくとも2箇所以上に原料ガス供給部分を設け、各原料ガス供給部分よりそれぞれ異なる(メタ)アクリル酸エステル濃度の、エチレンと(メタ)アクリル酸エステルの混合ガスを供給することを特徴とするエチレン共重合体樹脂の製造方法。好ましくは、前記各原料供給部分における(メタ)アクリル酸エステル濃度が、0≦α≦30(但しαは(メタ)アクリル酸エステル濃度%)である製造方法。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高圧重合法によるエチレン共重合体樹脂を製造する方法であって、同一のコモノマー含有量であっても耐熱性あるいは強度の異なるエチレン共重合体樹脂の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エチレン共重合体樹脂は、エチレンに共重合させるコモノマーの量や種類によって応力緩和性、風合い、カット性、高周波シール性、柔軟性、耐熱性、透明性、カレンダー加工性、耐寒衝撃性等種々の物性を付与することが可能であり、かつハロゲンを含有しない環境にやさしい樹脂であることから、広く接着剤、建築材料、文具・雑貨シート等への応用が試みられている。
【0003】
このような反応性の高いコモノマーを使用したエチレン共重合体樹脂の製造方法としては、少量の重合禁止剤を添加して配管中における局部的な単独重合反応を防止を行う等の方法(特許文献1参照。)が開示されていたに過ぎず、コモノマー量を増やすと柔軟性は増加するものの耐熱性、強度が低下するなど、相反する物性のバランスを樹脂の用途に応じて制御することが可能なエチレン共重合体樹脂の製造方法の確立が望まれていた。
【0004】
【特許文献1】
特公平3−26688号公報(第1頁〜第3頁)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
かかる状況において、本発明が解決しようとする課題は、高圧重合法によるエチレン共重合体樹脂を製造する方法において、柔軟性、耐熱性、強度等の相反する物性を用途に応じて満足させるエチレン共重合体樹脂の製造方法を提供する点にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、エチレン共重合体樹脂を高圧重合法により製造する場合において、エチレンより反応性の高い(メタ)アクリル酸エステルをコモノマーとして用いる場合は、反応器の各原料ガス供給部分における(メタ)アクリル酸エステル濃度の差をつけることにより、得られるエチレン共重合体樹脂の耐熱性が変化することを見出し本発明を完成した。
すなわち本発明は、高圧重合法によるエチレン共重合体樹脂を製造する方法において、反応器の少なくとも2箇所以上に原料ガス供給部分を設け、各原料ガス供給部分よりそれぞれ異なる(メタ)アクリル酸エステル濃度の、エチレンと(メタ)アクリル酸エステルの混合ガスを供給することを特徴とするエチレン共重合体樹脂の製造方法に係るものである。前記各原料供給部分における(メタ)アクリル酸エステル濃度を、0≦α≦30(但しαは(メタ)アクリル酸エステル濃度%)の範囲で任意に濃度を変化させてそれぞれ異なる反応器の原料ガス供給部分に供給するエチレン共重合体樹脂の製造方法、また前記(メタ)アクリル酸エステルが、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、グリシジルメタクリレートよりなる群から選ばれる1または2の組み合わせでエチレンと共重合させるエチレン共重合体樹脂の製造方法、かくして得られるエチレン共重合体樹脂が、エチレン−メチルアクリレート2元共重合体樹脂、エチレン−メチルメタクリレート2元共重合体樹脂、エチレン−エチルアクリレート2元共重合体樹脂、エチレン−ブチルアクリレート2元共重合体樹脂、エチレン−グリシジルメタクリレート2元共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル−メチルアクリレート3元共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル−メチルメタクリレート3元共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル−グリシジルメタクリレート3元共重合体樹脂、エチレン−メチルアクリレート−グリシジルメタクリレート3元共重合体樹脂よりなる群から選ばれる1であるエチレン共重合体樹脂の製造方法は、本発明の好ましい実施の態様である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の製造方法の1例を示すフロー図1に基づいて説明する。図1は、反応器に原料ガス供給部分を2箇所設けた例である。必要に応じてさらに多数の原料ガス供給部分を設けることができる。
【0008】
高圧重合法によるエチレン共重合体樹脂を製造する方法において、原料エチレンガス1は圧縮機2を用いて100から300MPaの圧力まで昇圧される。次に昇圧された原料ガスは、原料ガス供給部分A6a、原料ガス供給部分B6bより反応器6へ供給される。この際、重合開始剤供給部分8より重合開始剤である過酸化物を供給することにより、原料ガスは重合反応し、その一部がエチレン共重合体樹脂へと転化する。
【0009】
コモノマーは、コモノマー用フィードポンプA3a、コモノマー用フィードポンプB3bによりコモノマー混合位置A4a、コモノマー混合位置B4bにおいてエチレンガスと混合される。この場合、コモノマーを製造目的の共重合体樹脂の物性に応じて原料ガス供給部分A5a、原料ガス供給部分B5bまたは更に必要に応じて増設した原料ガス供給部分(図示せず)のいずれの部分からも反応器へ供給できるように、コモノマー用フィードポンプは複数設置することができる。
【0010】
従来の製造方法では、圧縮機2の入口のコモノマー混合位置4aにコモノマー用フィードポンプ3aによりコモノマーを混合する方法であったが、この方法では反応器6の各原料ガス混合部分における混合ガス組成を制御することができなかった。本発明の方法においては、圧縮機2の出口の各原料ガス混合部分の入口にコモノマー用フィードポンプおよびコモノマー混合位置を複数設け、反応器6の任意の原料ガス供給部分におけるガス組成を制御することができるようにしたことにより、得られる共重合体樹脂の物性を制御することを可能にしたものである。反応器6で得られた液状のエチレン共重合体樹脂は高圧分離器8、更に低圧分離器9へ送られ、そこで未反応ガスと分離される。得られた共重合樹脂は、単軸造粒押出機10、チャンバー11を経て水中にてペレット状にカッティングされる。
【0011】
エチレンと共重合させるコモノマーとしては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、グリシジルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルが用いられ、これらの1または2の組み合わせでエチレンと共重合させてエチレン共重合体樹脂が得られる。酢酸ビニルもコモノマーとして用いられるが、通常は圧縮機2の入口のコモノマー混合位置A4aに供給される。
【0012】
かくして得られるエチレン共重合体樹脂としては、エチレン−メチルアクリレート2元共重合体樹脂、エチレン−メチルメタクリレート2元共重合体樹脂、エチレン−エチルアクリレート2元共重合体樹脂、エチレン−ブチルアクリレート2元共重合体樹脂、エチレン−グリシジルメタクリレート2元共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル−メチルアクリレート3元共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル−メチルメタクリレート3元共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル−グリシジルメタクリレート3元共重合体樹脂、エチレン−メチルアクリレート−グリシジルメタクリレート3元共重合体樹脂等が挙げられる。
【0013】
重合開始剤は、通常の高圧法エチレン重合に用いられるターシャリーブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエートやターシャリーブチルパーオキシピバレート等の有機過酸化物が好適に用いられる。
【0014】
各原料ガス供給部分より供給されるエチレンと(メタ)アクリル酸エステルの混合ガスの濃度の差としては1〜30%が好ましく、5〜25%がさらに好ましく、10〜20%が最も好ましい。
【0015】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、もとより本発明はこれらに限定されるものではない。
【0016】
実施例で製造したエチレン共重合体樹脂の評価方法を以下に示す。
(1)メルトフローレート(MFR)
JIS K6760(1981)に規定された方法に従った。荷重21.18N、温度は190℃である。
(2)メチルメタクリレート(MMA)含有量の測定
プレスシートを作成し、測定した赤外線吸収スペクトルの1700cm−1前後に現れるカルボニル(C=O)基の特性吸収の吸光度を厚みで補正して、検量線法によりMMA含有量を求めた。
(3)引張破断強度(US)、引張破断伸び(UE)
JIS K6251(1993)に規定された方法に従い、ダンベル形状3号形により引張破断強度(US)および引張破断伸び(UE)を測定した。
(4)融点
耐熱性の指標として、示差走査熱量計(セイコー電子工業(株)製DSC RDC220)を用い以下の条件で測定した。
(i)試料約5mgを室温から30℃/分の昇温速度で200℃まで昇温し、昇温完了後、5分間保持する。
(ii)次いで、200℃から10℃/分の降温速度で−100℃まで降温する。
(iii)上記の降温完了後、5分間、保持した後、−100℃から10℃/分の昇温速度で200℃まで昇温する。この(iii)で観察されるピークの温度を測定
し、融点とする。
(5)硬度
JIS K7215−1986に従い、硬度を測定した。
(6)Haze、Gloss
得られたポリマーをインフレーション加工機で、加工温度150℃で厚み50μのチューブ型のフィルムを作成した。このフィルムをチューブ型に重ねたまま100μの厚みでフィルム物性を測定した。HazeはASTM D1003−61に従い測定を実施した。値が小さいほど透明性が高い。GlossはASTM D523−67に従い測定を行った。値が大きいほど光沢に優れる。
(7)ジェロメーターA法、D法
ASTM D2240に従い、硬度を測定した。
【0017】
実施例1
図1に示すフローの設備を用いてエチレン共重合体樹脂の製造を行った。エチレンを、コモノマー混合位置A4aにはコモノマーを供給せず、コモノマーとして、メチルメタアクリレート(MMA)をコモノマー混合位置B4bにコモノマー用フィードポンプB3bを用いて混合し、原料ガス供給部分5aに供給した。原料ガス供給部分A5aの原料ガス中のMMA濃度は13%、原料ガス供給部分5bの原料ガス中のMMA濃度は0%であり、メチルメタアクリレートの濃度差としては13%であった。
得られたエチレン共重合体樹脂の物性測定結果を表1に示した。
【0018】
比較例1
コモノマー用フィードポンプA3aのみを用いて、コモノマー混合位置A4aにMMAを供給し、原料ガス供給部分B5bにはMMAの供給を行わなかったほかは実施例1と同様に行った。原料供給部分5a、原料供給部分5bにおけるMMA濃度は3%でいずれも同じあり、メチルメタアクリレートの濃度差としては0%であった。
得られたエチレン共重合体樹脂の物性測定結果を表1に示した。
【0019】
【表1】
【0020】
前記の如く、一般にコモノマー量を増やすと柔軟性は増加するものの耐熱性、強度が低下するなど、相反する物性があり、用途展開の際の課題となっていた。しかるに本発明の実施例によれば、ほぼ同一のMMA濃度で柔軟性は同じであるにもかかわらず、実施例1で得られたエチレン共重合体樹脂は、比較例1で得られた樹脂に比べ、融点は約5℃高く、耐熱性が向上し、かつ引張破断強度(US)、引張破断伸び(UE)ともに高く高強度である結果を得た。また、フィルムとして重要な物性である、透明性(Haze)及び光沢(Gloss)はともに優れている。
【0021】
【発明の効果】
本発明により、高圧重合法によるエチレン共重合体樹脂を製造する方法において、柔軟性、耐熱性、強度等の相反する物性を用途に応じて満足させるエチレン共重合体樹脂の提供が可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法の1例を示すフロー図である。
【符号の説明】
1:エチレン入口
2:圧縮機
3a:コモノマー用フィードポンプA
3b:コモノマー用フィードポンプB
4a:コモノマー混合位置A
4b:コモノマー混合位置B
5a:原料ガス供給部分A
5b:原料ガス供給部分B
6 :反応器
7 :重合開始剤供給部分
8 :高圧分離器(モノマー、ポリマー分離器)
9 :低圧分離器(モノマー、ポリマー分離器)
10:単軸造粒押出機
11:チャンバー
12:ペレット
【発明の属する技術分野】
本発明は、高圧重合法によるエチレン共重合体樹脂を製造する方法であって、同一のコモノマー含有量であっても耐熱性あるいは強度の異なるエチレン共重合体樹脂の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エチレン共重合体樹脂は、エチレンに共重合させるコモノマーの量や種類によって応力緩和性、風合い、カット性、高周波シール性、柔軟性、耐熱性、透明性、カレンダー加工性、耐寒衝撃性等種々の物性を付与することが可能であり、かつハロゲンを含有しない環境にやさしい樹脂であることから、広く接着剤、建築材料、文具・雑貨シート等への応用が試みられている。
【0003】
このような反応性の高いコモノマーを使用したエチレン共重合体樹脂の製造方法としては、少量の重合禁止剤を添加して配管中における局部的な単独重合反応を防止を行う等の方法(特許文献1参照。)が開示されていたに過ぎず、コモノマー量を増やすと柔軟性は増加するものの耐熱性、強度が低下するなど、相反する物性のバランスを樹脂の用途に応じて制御することが可能なエチレン共重合体樹脂の製造方法の確立が望まれていた。
【0004】
【特許文献1】
特公平3−26688号公報(第1頁〜第3頁)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
かかる状況において、本発明が解決しようとする課題は、高圧重合法によるエチレン共重合体樹脂を製造する方法において、柔軟性、耐熱性、強度等の相反する物性を用途に応じて満足させるエチレン共重合体樹脂の製造方法を提供する点にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、エチレン共重合体樹脂を高圧重合法により製造する場合において、エチレンより反応性の高い(メタ)アクリル酸エステルをコモノマーとして用いる場合は、反応器の各原料ガス供給部分における(メタ)アクリル酸エステル濃度の差をつけることにより、得られるエチレン共重合体樹脂の耐熱性が変化することを見出し本発明を完成した。
すなわち本発明は、高圧重合法によるエチレン共重合体樹脂を製造する方法において、反応器の少なくとも2箇所以上に原料ガス供給部分を設け、各原料ガス供給部分よりそれぞれ異なる(メタ)アクリル酸エステル濃度の、エチレンと(メタ)アクリル酸エステルの混合ガスを供給することを特徴とするエチレン共重合体樹脂の製造方法に係るものである。前記各原料供給部分における(メタ)アクリル酸エステル濃度を、0≦α≦30(但しαは(メタ)アクリル酸エステル濃度%)の範囲で任意に濃度を変化させてそれぞれ異なる反応器の原料ガス供給部分に供給するエチレン共重合体樹脂の製造方法、また前記(メタ)アクリル酸エステルが、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、グリシジルメタクリレートよりなる群から選ばれる1または2の組み合わせでエチレンと共重合させるエチレン共重合体樹脂の製造方法、かくして得られるエチレン共重合体樹脂が、エチレン−メチルアクリレート2元共重合体樹脂、エチレン−メチルメタクリレート2元共重合体樹脂、エチレン−エチルアクリレート2元共重合体樹脂、エチレン−ブチルアクリレート2元共重合体樹脂、エチレン−グリシジルメタクリレート2元共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル−メチルアクリレート3元共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル−メチルメタクリレート3元共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル−グリシジルメタクリレート3元共重合体樹脂、エチレン−メチルアクリレート−グリシジルメタクリレート3元共重合体樹脂よりなる群から選ばれる1であるエチレン共重合体樹脂の製造方法は、本発明の好ましい実施の態様である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の製造方法の1例を示すフロー図1に基づいて説明する。図1は、反応器に原料ガス供給部分を2箇所設けた例である。必要に応じてさらに多数の原料ガス供給部分を設けることができる。
【0008】
高圧重合法によるエチレン共重合体樹脂を製造する方法において、原料エチレンガス1は圧縮機2を用いて100から300MPaの圧力まで昇圧される。次に昇圧された原料ガスは、原料ガス供給部分A6a、原料ガス供給部分B6bより反応器6へ供給される。この際、重合開始剤供給部分8より重合開始剤である過酸化物を供給することにより、原料ガスは重合反応し、その一部がエチレン共重合体樹脂へと転化する。
【0009】
コモノマーは、コモノマー用フィードポンプA3a、コモノマー用フィードポンプB3bによりコモノマー混合位置A4a、コモノマー混合位置B4bにおいてエチレンガスと混合される。この場合、コモノマーを製造目的の共重合体樹脂の物性に応じて原料ガス供給部分A5a、原料ガス供給部分B5bまたは更に必要に応じて増設した原料ガス供給部分(図示せず)のいずれの部分からも反応器へ供給できるように、コモノマー用フィードポンプは複数設置することができる。
【0010】
従来の製造方法では、圧縮機2の入口のコモノマー混合位置4aにコモノマー用フィードポンプ3aによりコモノマーを混合する方法であったが、この方法では反応器6の各原料ガス混合部分における混合ガス組成を制御することができなかった。本発明の方法においては、圧縮機2の出口の各原料ガス混合部分の入口にコモノマー用フィードポンプおよびコモノマー混合位置を複数設け、反応器6の任意の原料ガス供給部分におけるガス組成を制御することができるようにしたことにより、得られる共重合体樹脂の物性を制御することを可能にしたものである。反応器6で得られた液状のエチレン共重合体樹脂は高圧分離器8、更に低圧分離器9へ送られ、そこで未反応ガスと分離される。得られた共重合樹脂は、単軸造粒押出機10、チャンバー11を経て水中にてペレット状にカッティングされる。
【0011】
エチレンと共重合させるコモノマーとしては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、グリシジルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルが用いられ、これらの1または2の組み合わせでエチレンと共重合させてエチレン共重合体樹脂が得られる。酢酸ビニルもコモノマーとして用いられるが、通常は圧縮機2の入口のコモノマー混合位置A4aに供給される。
【0012】
かくして得られるエチレン共重合体樹脂としては、エチレン−メチルアクリレート2元共重合体樹脂、エチレン−メチルメタクリレート2元共重合体樹脂、エチレン−エチルアクリレート2元共重合体樹脂、エチレン−ブチルアクリレート2元共重合体樹脂、エチレン−グリシジルメタクリレート2元共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル−メチルアクリレート3元共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル−メチルメタクリレート3元共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル−グリシジルメタクリレート3元共重合体樹脂、エチレン−メチルアクリレート−グリシジルメタクリレート3元共重合体樹脂等が挙げられる。
【0013】
重合開始剤は、通常の高圧法エチレン重合に用いられるターシャリーブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエートやターシャリーブチルパーオキシピバレート等の有機過酸化物が好適に用いられる。
【0014】
各原料ガス供給部分より供給されるエチレンと(メタ)アクリル酸エステルの混合ガスの濃度の差としては1〜30%が好ましく、5〜25%がさらに好ましく、10〜20%が最も好ましい。
【0015】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、もとより本発明はこれらに限定されるものではない。
【0016】
実施例で製造したエチレン共重合体樹脂の評価方法を以下に示す。
(1)メルトフローレート(MFR)
JIS K6760(1981)に規定された方法に従った。荷重21.18N、温度は190℃である。
(2)メチルメタクリレート(MMA)含有量の測定
プレスシートを作成し、測定した赤外線吸収スペクトルの1700cm−1前後に現れるカルボニル(C=O)基の特性吸収の吸光度を厚みで補正して、検量線法によりMMA含有量を求めた。
(3)引張破断強度(US)、引張破断伸び(UE)
JIS K6251(1993)に規定された方法に従い、ダンベル形状3号形により引張破断強度(US)および引張破断伸び(UE)を測定した。
(4)融点
耐熱性の指標として、示差走査熱量計(セイコー電子工業(株)製DSC RDC220)を用い以下の条件で測定した。
(i)試料約5mgを室温から30℃/分の昇温速度で200℃まで昇温し、昇温完了後、5分間保持する。
(ii)次いで、200℃から10℃/分の降温速度で−100℃まで降温する。
(iii)上記の降温完了後、5分間、保持した後、−100℃から10℃/分の昇温速度で200℃まで昇温する。この(iii)で観察されるピークの温度を測定
し、融点とする。
(5)硬度
JIS K7215−1986に従い、硬度を測定した。
(6)Haze、Gloss
得られたポリマーをインフレーション加工機で、加工温度150℃で厚み50μのチューブ型のフィルムを作成した。このフィルムをチューブ型に重ねたまま100μの厚みでフィルム物性を測定した。HazeはASTM D1003−61に従い測定を実施した。値が小さいほど透明性が高い。GlossはASTM D523−67に従い測定を行った。値が大きいほど光沢に優れる。
(7)ジェロメーターA法、D法
ASTM D2240に従い、硬度を測定した。
【0017】
実施例1
図1に示すフローの設備を用いてエチレン共重合体樹脂の製造を行った。エチレンを、コモノマー混合位置A4aにはコモノマーを供給せず、コモノマーとして、メチルメタアクリレート(MMA)をコモノマー混合位置B4bにコモノマー用フィードポンプB3bを用いて混合し、原料ガス供給部分5aに供給した。原料ガス供給部分A5aの原料ガス中のMMA濃度は13%、原料ガス供給部分5bの原料ガス中のMMA濃度は0%であり、メチルメタアクリレートの濃度差としては13%であった。
得られたエチレン共重合体樹脂の物性測定結果を表1に示した。
【0018】
比較例1
コモノマー用フィードポンプA3aのみを用いて、コモノマー混合位置A4aにMMAを供給し、原料ガス供給部分B5bにはMMAの供給を行わなかったほかは実施例1と同様に行った。原料供給部分5a、原料供給部分5bにおけるMMA濃度は3%でいずれも同じあり、メチルメタアクリレートの濃度差としては0%であった。
得られたエチレン共重合体樹脂の物性測定結果を表1に示した。
【0019】
【表1】
【0020】
前記の如く、一般にコモノマー量を増やすと柔軟性は増加するものの耐熱性、強度が低下するなど、相反する物性があり、用途展開の際の課題となっていた。しかるに本発明の実施例によれば、ほぼ同一のMMA濃度で柔軟性は同じであるにもかかわらず、実施例1で得られたエチレン共重合体樹脂は、比較例1で得られた樹脂に比べ、融点は約5℃高く、耐熱性が向上し、かつ引張破断強度(US)、引張破断伸び(UE)ともに高く高強度である結果を得た。また、フィルムとして重要な物性である、透明性(Haze)及び光沢(Gloss)はともに優れている。
【0021】
【発明の効果】
本発明により、高圧重合法によるエチレン共重合体樹脂を製造する方法において、柔軟性、耐熱性、強度等の相反する物性を用途に応じて満足させるエチレン共重合体樹脂の提供が可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法の1例を示すフロー図である。
【符号の説明】
1:エチレン入口
2:圧縮機
3a:コモノマー用フィードポンプA
3b:コモノマー用フィードポンプB
4a:コモノマー混合位置A
4b:コモノマー混合位置B
5a:原料ガス供給部分A
5b:原料ガス供給部分B
6 :反応器
7 :重合開始剤供給部分
8 :高圧分離器(モノマー、ポリマー分離器)
9 :低圧分離器(モノマー、ポリマー分離器)
10:単軸造粒押出機
11:チャンバー
12:ペレット
Claims (4)
- 高圧重合法によるエチレン共重合体樹脂を製造する方法において、反応器の少なくとも2箇所以上に原料ガス供給部分を設け、各原料ガス供給部分よりそれぞれ異なる(メタ)アクリル酸エステル濃度の、エチレンと(メタ)アクリル酸エステルの混合ガスを供給することを特徴とするエチレン共重合体樹脂の製造方法。
- 前記各原料供給部分における(メタ)アクリル酸エステル濃度が、0≦α≦30(但しαは(メタ)アクリル酸エステル濃度%)である請求項1記載のエチレン共重合体樹脂の製造方法。
- 前記(メタ)アクリル酸エステルが、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、グリシジルメタクリレートよりなる群から選ばれる1または2の組み合わせである請求項1または2記載のエチレン共重合体樹脂の製造方法。
- 前記エチレン共重合体樹脂が、エチレン−メチルアクリレート2元共重合体樹脂、エチレン−メチルメタクリレート2元共重合体樹脂、エチレン−エチルアクリレート2元共重合体樹脂、エチレン−ブチルアクリレート2元共重合体樹脂、エチレン−グリシジルメタクリレート2元共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル−メチルアクリレート3元共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル−メチルメタクリレート3元共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル−グリシジルメタクリレート3元共重合体樹脂、エチレン−メチルアクリレート−グリシジルメタクリレート3元共重合体樹脂よりなる群から選ばれる1である請求項1から3のいずれかに記載のエチレン共重合体樹脂の製造方法。
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JP2009528248A (ja) * | 2006-03-01 | 2009-08-06 | コーニング インコーポレイテッド | ファイバ作成中にファイバプリフォーム内の二元圧力制御を可能にする方法 |
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2003
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