JP2004236682A - 脳波による文字入力方法、及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】コンピューターなどへの脳波による文字入力において、γ帯域脳波の時空間同期現象に基づく処理を行うことで、高精度な文字入力機能を実現することを目的とする。
【解決手段】コンピューターなどの装置に対する文字入力過程において、使用者の脳波を検出する工程1と、検出された脳波信号のγ帯域(30〜80Hz)の一部または全部を含む信号の時空間同期分布を算出する処理工程と、前記信号処理の結果を基に使用者が入力を意図する文字を判別する処理工程とから構成される。
【選択図】 図1
【解決手段】コンピューターなどの装置に対する文字入力過程において、使用者の脳波を検出する工程1と、検出された脳波信号のγ帯域(30〜80Hz)の一部または全部を含む信号の時空間同期分布を算出する処理工程と、前記信号処理の結果を基に使用者が入力を意図する文字を判別する処理工程とから構成される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンピューターなどの装置における文字入力の手段である脳波による文字入力方法、及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、コンピューターなどにおける文字入力に際しては、一般的にキーボードを使用し、使用者が入力を意図する文字をキーボードのキーを押すことで入力する方法がとられている。
【0003】
また近年では、これに変わる手法として、使用者が入力を意図する文字を音声として発話してそれをマイクで検出し、さらに検出された音声信号を音声認識技術により入力文字として判別し、コンピューターなどに入力する手法が開発され実用化されている。
【0004】
また最近では、上記手法に変わる全く新しい文字入力手法として、ヒトの脳波を用いた手法の研究も行われている。
【0005】
脳波を用いた手法には、CRT上に文字刺激を提示し、それによって誘発された事象関連電位P300を利用する方法、または文字の想起と同時に、発声を伴わずに文字を読み上げて口を動かした時の自発脳波を利用する方法などが報告されている(例えば、非特許文献1、非特許文献2参照)。
【0006】
【非特許文献1】
L.Farwell and E.Donchin著「Talking off the top of your head」、Electroencephalography and Clinical Neurophysiology, vol.70, pp.510−523, 1988.)
【非特許文献2】
渡辺浩志、長谷川孝明著「頭皮表面電位による想起母音の識別について」信学技報MBE92−111(1993−02)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
キーボードによる文字の入力方法は、初心者にとってコンピューターを操作する際の大きな負担であり、また熟練者にとっても両手がふさがることによる不自由性が指摘されている。
【0008】
また近年では、キーボード操作による疲労の問題も顕著になっている。
【0009】
また音声による入力方法は、キーボードによる入力方法における問題点はクリアしているものの、文字を音声として発話する必要があるため、静かなオフィスや公共の場所での使用は制限される。
【0010】
また脳波を用いた手法に関しては、前記の課題はクリアしているものの、脳内での高次な認知過程のメカニズムに基づいてはいないため、認識精度が十分で無いという問題がある。
【0011】
特に、近年の研究で明らかにされつつある、認知過程におけるγ帯域脳波の時空間同期現象(Eugenio Rodriguez, et al.「Perception’s shadow: long−distance synchronization of human brain activity」Nature Vol.397, 1999)を利用した文字の入力方法は存在しなかった。
【0012】
本発明は、脳内でのより高次な認知過程メカニズムである、γ帯域脳波の時空間同期現象を観測することにより、発声を伴わない想起による文字音声の認知過程を検出し、この検出結果に基づいてコンピューター等の文字入力を行う方法を提供することを目的としている。
【0013】
なお、ここで「発声を伴わない想起による文字音声の認知過程」と述べているのは、文字を音として発声すること無く、頭の中だけでその文字の音声化を行うことを指す。
【0014】
またこれには、発声時の口の動きを全く行わないものと、実際の音は発声していないが口の動きは発声時と同様に行うケースの両方を含む。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の脳波による文字入力方法においては、検出された脳波信号のγ帯域(30〜80Hz)の一部または全部を含む信号の時空間同期分布を基にして、使用者が入力を意図する文字を判別する処理工程、を有するものである。
【0016】
また前記文字入力方法において、使用者から検出する筋電を用いることができる。
【0017】
またその際には、使用者から検出する筋電は、使用者の口周辺部から検出したものであることが効果的である。
【0018】
また上記目的を達成するために、脳波による文字入力装置においては、検出された脳波信号のγ帯域(30〜80Hz)の一部または全部を含む信号の時空間同期分布を基にして、使用者が入力を意図する文字を判別する処理手段、を有するものである。
【0019】
また前記文字入力装置は、使用者から検出する筋電を処理する手段を有することができる。
【0020】
またその際には、使用者から検出する筋電は、使用者の口周辺部から検出したものであることが効果的である。
【0021】
なお、さらに詳細に説明すれば、本発明は下記の構成によって前記課題を解決できた。
【0022】
(1)使用者の脳波を検出してコンピューターなどの装置に対して文字入力を行う過程において、検出された脳波信号のγ帯域(30〜80Hz)の一部または全部を含む信号の時空間同期分布を基にして、使用者が入力を意図する文字を判別する処理工程、を有することを特徴とする脳波による文字入力方法。
【0023】
(2)コンピューターなどの装置に対する文字入力過程において、使用者から検出する筋電を用いることを特徴とする前記(1)に記載の脳波による文字入力方法。
【0024】
(3)使用者から検出する筋電は、使用者の口周辺部から検出したものであることを特徴とする前記(2)に記載の脳波による文字入力方法。
【0025】
(4)使用者の脳波を検出してコンピューターなどの装置に対して文字入力を行う装置において、検出された脳波信号のγ帯域(30〜80Hz)の一部または全部を含む信号の時空間同期分布を基にして、使用者が入力を意図する文字を判別する処理手段、を有することを特徴とする脳波による文字入力装置。
【0026】
(5)コンピューターなどの装置に対する文字入力装置において、使用者から検出する筋電を処理する手段を有することを特徴とする前記(4)に記載の脳波による文字入力装置。
【0027】
(6)使用者から検出する筋電は、使用者の口周辺部から検出したものであることを特徴とする前記(5)に記載の脳波による文字入力装置。
【0028】
【発明の実施の形態】
上記のように構成された脳波による文字入力方法及び装置は、脳内でのより高次な認知過程メカニズムである、γ帯域脳波の時空間同期現象を観測することで、発声を伴わない想起による文字音声の認知過程を検出し、この検出結果に基づいた高精度なコンピューター等への文字入力を達成するように機能する。
【0029】
また、使用者が文字を想起すると同時に、実際の音は発声していないが口の動きは発声時と同様に行う際の、口周辺部から検出した筋電を利用して、脳内での文字想起の認知過程をより反映した脳波の時系列データを特定することで、文字判別精度の向上、および演算装置の負荷低減を達成する様に機能する。
【0030】
【実施例】
本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0031】
まず、第一の実施例について説明する。
【0032】
この第一の実施例は図1に示すように、コンピューター等の機器に文字を入力する使用者(以下使用者)頭部の複数位置での脳波信号を複数端子により検出する工程1と、複数端子で検出した脳波信号からγ帯域(30〜80Hz)の一部または全部を含む帯域(以下γ帯域脳波信号)の同期度を算出する工程2と、算出されたγ帯域脳波信号の同期度の時空間的な分布パターンから使用者が想起した文字音声を判別する工程3と、判別された文字情報をコンピューターに入力する工程4とから構成されている。
【0033】
また、複数端子で検出した脳波信号からγ帯域脳波信号の同期度を算出する工程2は、複数端子により検出した脳波信号からそれぞれの位相スペクトルを算出する下位工程5と、算出した位相スペクトルにおいてγ帯域脳波信号の平均位相値の時間変動列を算出する下位工程6と、算出された平均位相値の複数端子間での差を算出する下位工程7とから構成される。
【0034】
まず、使用者頭部の複数位置での脳波信号を複数端子により検出する工程1について、説明する。
【0035】
使用者の頭部には、図2に示すように10個の電極8をペースト9を介して装着している。なお、電極8の装着位置は、国際脳波学会標準法(10/20法)における測定点から10点を任意に選択して設定した。
【0036】
これらの電極8により検出される脳波信号例を図3に示す。
【0037】
続いて、検出された脳波信号を、図4に示すブロック図におけるプリアンプ及びメインアンプ11で所定のレベルまで増幅した後に、A/D変換部12によりデジタル信号に変換し、順次データ保持部13に記録する。
【0038】
このA/D変換処理におけるサンプリング周波数は、本実施の形態においては2.4KHzとした。
【0039】
なお、脳波検出方法に関しては、本発明の主眼とする所ではないので、これ以上の説明は省略するが、本発明で必要となるγ帯域脳波信号を含む信号を検出することができる方法であれば、その他の方法を用いても構わない。
【0040】
ここで、検出されたデジタル信号に変換された時系列脳波信号を以下のように表す。
【0041】
Xm=Xm1+Xm2+Xm3+……+Xmn
(サンプルステップ:t=1,2,3…n)
(電極番号:m=1,2,3,…10)
添え字mは、使用者の頭部から脳波を検出する際の電極の番号を示す。すなわち本実施例では、前述したようにmの取る値は1,2,3,…10となる。
【0042】
続いて、複数端子により検出した脳波信号から、演算装置14によりγ帯域(30〜80Hz)の一部または全部を含む帯域(以下γ帯域脳波信号)の同期度を算出する工程について説明する。
【0043】
本工程は、図1に示すように次の下位工程により構成される。
【0044】
すなわち、複数端子により検出した脳波信号からそれぞれの位相スペクトルを算出する下位工程5と、算出した位相スペクトルにおいてγ帯域脳波信号の平均位相値の時間変動列を算出する下位工程6と、算出された平均位相値の複数端子間での差を算出する下位工程7である。
【0045】
そこで、それぞれの下位工程の処理を図5を用いて詳しく説明していく。
【0046】
まず、複数端子により検出した脳波信号からそれぞれの位相スペクトルを算出する下位工程5では、抽出されたデジタル信号に変換された脳波信号Xmに対して、事前に任意の算出時間間隔を設定する。
【0047】
本実施例では、前記の任意の算出時間間隔を3秒と設定した。
【0048】
従って、データ点数としては7200個に相当する。
【0049】
次に、それぞれの電極ごとの脳波信号Xmから、その時間幅に相当するデータ17を切り出し、演算装置15により位相スペクトル18を算出する。
【0050】
ここで演算装置は、一般的なFFTアルゴリズムに基づいて位相スペクトル18を算出している。
【0051】
そしてさらに、上記の演算により算出された位相スペクトルにおいて、事前に設定されたγ帯域の一部または全部を含む帯域(本実施例では30〜50Hz)の位相値Θmの加算平均θm19を算出する。
【0052】
続いて図6に示すように、上記の計算過程を事前に設定した所定の時間幅に相当するデータ数分ずらして逐次行う。
【0053】
本実施例では、前記の所定の時間幅を0.1秒と設定した。
【0054】
従って、データ点数としては240個に相当する。
【0055】
以上の計算過程を続けることにより、各電極におけるγ帯域の平均位相値の時系列データθTm(T:算出ステップ)22を得ることができる。
【0056】
続いて、上記の工程によりえられた算出ステップTにおけるγ帯域の平均位相値の時系列データθTmを用いて、図7に示すように全ての2つの電極の組合わせ間の位相差を次の式により、算出する。
ΔθTij=θTi−θTj (i<j)
【0057】
以上の演算を平均位相値の時系列データに対して各算出ステップTごとに繰り返すことにより、2つの電極の間の平均位相差を示す、m×(m−1)/2種類の時系列データを得ることができる。
【0058】
なお、本実施例ではm=10であるため、時系列データは45種類となる。
【0059】
続いて、以上のように得られたγ帯域脳波信号の同期度の空間的な分布パターンから、使用者が想起した文字音声を判別する工程3について説明する。
【0060】
本実施例では、2つの電極の間の平均位相差の時系列データから、使用者が想起した文字を判別するために、例えば図8に示すような、45×26×26の三層型ニューラル・ネット(以下ニューラル・ネット)を使用する。
【0061】
まず使用者は、ニューラル・ネットによって2つの電極の間の平均位相差の時系列データから使用者が想起した文字を判別できるようにするため、事前にニューラル・ネットを学習させることが必要となる。
【0062】
この際には、例えば使用者が想起する文字であるアルファベット26文字それぞれを各出力端子に割り当て、使用者が想起した文字と一致する端子の出力値のみが1に近い数値となり、他の端子が0に近い数値を持つように各ニューロン間の結合係数w及びkを更新する。
【0063】
すなわち、前記学習を行うことにより、結果として入力値としてのγ帯域脳波の空間的な同期分布がニューラル・ネットの結合係数w及びkに記憶される。
【0064】
そして学習後に入力される2つの電極の間の平均位相差の時系列データ、すなわちγ帯域脳波の時空間同期分布に対して、それに対応する適切な文字の判別が可能となる。
【0065】
なお、上記のニューラル・ネットの学習過程は、一般的な手法を用いたものであり、本発明の主眼とする所では無いので、詳しい説明は省略する。
【0066】
また、ニューラル・ネットの形態は、入力する2つの電極の間の平均位相差の時系列データから、学習によって得られた各ニューロン間の結合係数に基づいて使用者が想起した文字を判別できるものであれば、本実施例で用いた形態以外のものであっても構わない。
【0067】
また本実施例では、各使用者ごとの、文字の想起に伴う2つの電極の間の平均位相差の時系列データパターンの判別にニューラル・ネットを用いたが、本目的を達成できるものであれば、これ以外の手法を用いても構わない。
【0068】
これらの、一般的なデータパターンから情報を判別する手法に関しては、本発明の主眼とする所では無いので、その他の手法に関する説明は省略する。
【0069】
続いて、学習後の演算装置14によって判別された文字の情報は(本実施例では、ニューラル・ネットの出力端子の出力値)、文字信号発生装置15に送られ、文字信号発生装置15では、判別した文字に対応する、例えば一般的なキーボードで同様の文字キーを押した場合と同じ信号を発生し、その信号をコンピューターのキーボード接続端子からコンピューター16に入力することにより、判別した文字を入力することが可能となる。
【0070】
なお、文字信号発生装置15における文字信号の出力においては、演算装置14から入力された信号、すなわちニューラル・ネットの出力値26種類のうち、ある一つの文字に対応する値が0.9以上であり、かつその他の文字に対応する値が0.1以下である場合のみ、使用者が想起した文字の判別に成功したとみなして、コンピューターに信号を出力する。
【0071】
また、使用者が想起した1文字を連続して入力してしまうのを防ぐために、文字信号発生装置は、ある1文字の入力信号をコンピューターに出力するごとに、一定の時間、信号の出力を停止する。
【0072】
本実施例では、この一定時間を1秒に設定した。
【0073】
なおこの一定時間は、演算装置などの計算速度によって決定されるものであり、使用者は、適正な入力が行われるように、この一定時間に対応して入力する文字の想起時間を調節する必要がある。
【0074】
以上の様に、使用者が想起した文字列を判別した後、図4に示した文字信号発生装置により、例えば一般的なキーボードで対応する文字キーを押した場合と同じ信号を発生し、コンピューターのキーボード接続端子から入力することにより、判別した文字をコンピューター16に入力することが可能となる。
【0075】
以上の処理工程をまとめて述べる。
【0076】
まず使用者は、入力を意図する文字を想起する。
【0077】
続いて、文字を想起中の使用者の脳波を電極により検出する。
【0078】
検出した脳波は、デジタル信号に変換されて保持された後、演算装置に入力され、2つの電極間のγ帯域脳波の平均位相値の差の時系列データが算出される。
【0079】
すなわちこれは、脳内での文字想起の認知過程におけるγ帯域脳波の時空間同期現象の抽出に相当している。
【0080】
続いて、以上のように算出された2つの電極間のγ帯域脳波の平均位相値の差のデータ列を事前に学習を行ったニューラル・ネットに入力し、使用者が想起した文字の判別を行う。
【0081】
文字の判別が完了したら、対応する文字の入力信号を文字信号発生装置により生成し、キーボード入力端子からコンピューターなどの装置に入力する。
【0082】
このように、γ帯域脳波の時空間同期現象に基づく処理を行うことにより、より高精度な、脳波による文字入力を達成することができる。
【0083】
本実施例では、各文字ごとに5000回の学習を行うことにより、最終的に約90%の文字判別精度を得ることができた。
【0084】
次に第二の実施例について説明する。この第二の実施例は図9に示すように、図1に示す第一の実施例の処理工程とほぼ同様に構成されており、脳波検出工程24において筋電検出工程23の情報を用いる点に関してのみ、第1の実施例と異なっている。
【0085】
そこで、本実施例に関しては、第一の実施例と異なる、筋電検出工程23と脳波検出工程24に関して説明を行い、これ以外の処理過程は第一の実施例と同様であるとして省略する。
【0086】
図10は本実施例における筋電センサー25の装着状態を示す。
【0087】
本実施例では、使用者は入力を意図する文字を想起すると同時に、発声を伴わないで文字を読み上げる際と同様に口を動かす。
【0088】
その際に発生した筋電が筋電センサー25により検出され、図11に示す筋電検出装置26に入力される。
【0089】
筋電検出装置26で検出された筋電の振幅が事前に設定した閾値を越えた場合、トリガ発生装置27はトリガ信号をデータ保持部13に入力する。
【0090】
データ保持部13では、第一の実施例と同様に、デジタル化された脳波信号の保持を行うのであるが、本実施例では保持動作をトリガが入力された瞬間に開始し、一定時間後(本実施例では1秒後)に終了することとする。
【0091】
上記の処理を行うことにより、位相スペクトルの算出に用いられた脳波信号は、使用者が想起した文字の認知過程をより強く反映することとなり、結果として使用者が想起した文字の判別精度が向上する。
【0092】
また、第一の実施例の様に常にデータの保持・演算を行う必要がなくなるため、演算装置の負荷を低減することができる。
【0093】
以上のように、文字の想起と同時に動かされた口の筋電を脳波信号保持動作のトリガとして用いることにより、脳内での文字想起の認知過程をより反映した脳波の時系列データを特定することが可能となり、最終的な文字判別精度の向上、および演算装置の負荷低減を達成することができる。
【0094】
以上、第一、第二の実施例によれば、コンピューターなどへの脳波による文字入力において、γ帯域脳波の時空間同期現象に基づく処理を行うことで、高精度な文字判別を実現することができる。
【0095】
また、使用者が文字を想起すると同時に動かした口の筋電を脳波信号保持動作のトリガとして利用することにより、より高精度な文字判別を実現することができる。
【0096】
【発明の効果】
以上説明したように、コンピューターなどへの脳波による文字入力において、γ帯域脳波の時空間同期現象に基づく処理を行うことで、高精度な文字判別を実現することが可能となる。
【0097】
また、使用者が文字を想起すると同時に動かした口の筋電を脳波信号保持動作のトリガとして利用することにより、より高精度な文字判別を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一の実施例における処理工程の説明図である。
【図2】第一の実施例における脳波の検出方法の説明図である。
【図3】第一の実施例における測定された脳波信号例である。
【図4】第一実施例における処理装置のブロック回路構成図である。
【図5】第一実施例におけるγ帯域平均位相値の算出過程の説明図である。
【図6】第一実施例におけるγ帯域平均位相値の時系列データ算出過程の説明図である。
【図7】第一実施例におけるγ帯域平均位相値の差を算出する電極の組合わせを示す説明図である。
【図8】第一実施例におけるニューラル・ネットを示す説明図である。
【図9】第二の実施例における処理工程の説明図である。
【図10】第二の実施例における筋電センサの装着位置を示す説明図である。
【図11】第二実施例における処理装置のブロック回路構成図である。
【符号の説明】
1 脳波検出工程
2 γ帯域脳波信号の同期度算出工程
3 文字判別工程
4 コンピューターなどへの入力工程
5 位相スペクトル算出下位工程
6 γ帯域脳波信号の平均位相値算出下位工程
7 端子間平均位相値差の算出下位工程
8 電極端子
9 ペースト
10 脳波検出装置
11 プリ・メインアンプ
12 A/D変換部
13 データ保持部
14 演算装置
15 文字信号発生装置
16 コンピューター
17 時系列脳波信号
18 位相スペクトル:Θm
19 γ帯域位相値加算平均:θm
20 時系列脳波信号
21 位相スペクトル:ΘTm
22 位相加算平均値:θTm
23 筋電検出工程
24 脳波検出工程
25 筋電センサー
26 筋電検出装置
27 トリガ発生装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンピューターなどの装置における文字入力の手段である脳波による文字入力方法、及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、コンピューターなどにおける文字入力に際しては、一般的にキーボードを使用し、使用者が入力を意図する文字をキーボードのキーを押すことで入力する方法がとられている。
【0003】
また近年では、これに変わる手法として、使用者が入力を意図する文字を音声として発話してそれをマイクで検出し、さらに検出された音声信号を音声認識技術により入力文字として判別し、コンピューターなどに入力する手法が開発され実用化されている。
【0004】
また最近では、上記手法に変わる全く新しい文字入力手法として、ヒトの脳波を用いた手法の研究も行われている。
【0005】
脳波を用いた手法には、CRT上に文字刺激を提示し、それによって誘発された事象関連電位P300を利用する方法、または文字の想起と同時に、発声を伴わずに文字を読み上げて口を動かした時の自発脳波を利用する方法などが報告されている(例えば、非特許文献1、非特許文献2参照)。
【0006】
【非特許文献1】
L.Farwell and E.Donchin著「Talking off the top of your head」、Electroencephalography and Clinical Neurophysiology, vol.70, pp.510−523, 1988.)
【非特許文献2】
渡辺浩志、長谷川孝明著「頭皮表面電位による想起母音の識別について」信学技報MBE92−111(1993−02)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
キーボードによる文字の入力方法は、初心者にとってコンピューターを操作する際の大きな負担であり、また熟練者にとっても両手がふさがることによる不自由性が指摘されている。
【0008】
また近年では、キーボード操作による疲労の問題も顕著になっている。
【0009】
また音声による入力方法は、キーボードによる入力方法における問題点はクリアしているものの、文字を音声として発話する必要があるため、静かなオフィスや公共の場所での使用は制限される。
【0010】
また脳波を用いた手法に関しては、前記の課題はクリアしているものの、脳内での高次な認知過程のメカニズムに基づいてはいないため、認識精度が十分で無いという問題がある。
【0011】
特に、近年の研究で明らかにされつつある、認知過程におけるγ帯域脳波の時空間同期現象(Eugenio Rodriguez, et al.「Perception’s shadow: long−distance synchronization of human brain activity」Nature Vol.397, 1999)を利用した文字の入力方法は存在しなかった。
【0012】
本発明は、脳内でのより高次な認知過程メカニズムである、γ帯域脳波の時空間同期現象を観測することにより、発声を伴わない想起による文字音声の認知過程を検出し、この検出結果に基づいてコンピューター等の文字入力を行う方法を提供することを目的としている。
【0013】
なお、ここで「発声を伴わない想起による文字音声の認知過程」と述べているのは、文字を音として発声すること無く、頭の中だけでその文字の音声化を行うことを指す。
【0014】
またこれには、発声時の口の動きを全く行わないものと、実際の音は発声していないが口の動きは発声時と同様に行うケースの両方を含む。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の脳波による文字入力方法においては、検出された脳波信号のγ帯域(30〜80Hz)の一部または全部を含む信号の時空間同期分布を基にして、使用者が入力を意図する文字を判別する処理工程、を有するものである。
【0016】
また前記文字入力方法において、使用者から検出する筋電を用いることができる。
【0017】
またその際には、使用者から検出する筋電は、使用者の口周辺部から検出したものであることが効果的である。
【0018】
また上記目的を達成するために、脳波による文字入力装置においては、検出された脳波信号のγ帯域(30〜80Hz)の一部または全部を含む信号の時空間同期分布を基にして、使用者が入力を意図する文字を判別する処理手段、を有するものである。
【0019】
また前記文字入力装置は、使用者から検出する筋電を処理する手段を有することができる。
【0020】
またその際には、使用者から検出する筋電は、使用者の口周辺部から検出したものであることが効果的である。
【0021】
なお、さらに詳細に説明すれば、本発明は下記の構成によって前記課題を解決できた。
【0022】
(1)使用者の脳波を検出してコンピューターなどの装置に対して文字入力を行う過程において、検出された脳波信号のγ帯域(30〜80Hz)の一部または全部を含む信号の時空間同期分布を基にして、使用者が入力を意図する文字を判別する処理工程、を有することを特徴とする脳波による文字入力方法。
【0023】
(2)コンピューターなどの装置に対する文字入力過程において、使用者から検出する筋電を用いることを特徴とする前記(1)に記載の脳波による文字入力方法。
【0024】
(3)使用者から検出する筋電は、使用者の口周辺部から検出したものであることを特徴とする前記(2)に記載の脳波による文字入力方法。
【0025】
(4)使用者の脳波を検出してコンピューターなどの装置に対して文字入力を行う装置において、検出された脳波信号のγ帯域(30〜80Hz)の一部または全部を含む信号の時空間同期分布を基にして、使用者が入力を意図する文字を判別する処理手段、を有することを特徴とする脳波による文字入力装置。
【0026】
(5)コンピューターなどの装置に対する文字入力装置において、使用者から検出する筋電を処理する手段を有することを特徴とする前記(4)に記載の脳波による文字入力装置。
【0027】
(6)使用者から検出する筋電は、使用者の口周辺部から検出したものであることを特徴とする前記(5)に記載の脳波による文字入力装置。
【0028】
【発明の実施の形態】
上記のように構成された脳波による文字入力方法及び装置は、脳内でのより高次な認知過程メカニズムである、γ帯域脳波の時空間同期現象を観測することで、発声を伴わない想起による文字音声の認知過程を検出し、この検出結果に基づいた高精度なコンピューター等への文字入力を達成するように機能する。
【0029】
また、使用者が文字を想起すると同時に、実際の音は発声していないが口の動きは発声時と同様に行う際の、口周辺部から検出した筋電を利用して、脳内での文字想起の認知過程をより反映した脳波の時系列データを特定することで、文字判別精度の向上、および演算装置の負荷低減を達成する様に機能する。
【0030】
【実施例】
本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0031】
まず、第一の実施例について説明する。
【0032】
この第一の実施例は図1に示すように、コンピューター等の機器に文字を入力する使用者(以下使用者)頭部の複数位置での脳波信号を複数端子により検出する工程1と、複数端子で検出した脳波信号からγ帯域(30〜80Hz)の一部または全部を含む帯域(以下γ帯域脳波信号)の同期度を算出する工程2と、算出されたγ帯域脳波信号の同期度の時空間的な分布パターンから使用者が想起した文字音声を判別する工程3と、判別された文字情報をコンピューターに入力する工程4とから構成されている。
【0033】
また、複数端子で検出した脳波信号からγ帯域脳波信号の同期度を算出する工程2は、複数端子により検出した脳波信号からそれぞれの位相スペクトルを算出する下位工程5と、算出した位相スペクトルにおいてγ帯域脳波信号の平均位相値の時間変動列を算出する下位工程6と、算出された平均位相値の複数端子間での差を算出する下位工程7とから構成される。
【0034】
まず、使用者頭部の複数位置での脳波信号を複数端子により検出する工程1について、説明する。
【0035】
使用者の頭部には、図2に示すように10個の電極8をペースト9を介して装着している。なお、電極8の装着位置は、国際脳波学会標準法(10/20法)における測定点から10点を任意に選択して設定した。
【0036】
これらの電極8により検出される脳波信号例を図3に示す。
【0037】
続いて、検出された脳波信号を、図4に示すブロック図におけるプリアンプ及びメインアンプ11で所定のレベルまで増幅した後に、A/D変換部12によりデジタル信号に変換し、順次データ保持部13に記録する。
【0038】
このA/D変換処理におけるサンプリング周波数は、本実施の形態においては2.4KHzとした。
【0039】
なお、脳波検出方法に関しては、本発明の主眼とする所ではないので、これ以上の説明は省略するが、本発明で必要となるγ帯域脳波信号を含む信号を検出することができる方法であれば、その他の方法を用いても構わない。
【0040】
ここで、検出されたデジタル信号に変換された時系列脳波信号を以下のように表す。
【0041】
Xm=Xm1+Xm2+Xm3+……+Xmn
(サンプルステップ:t=1,2,3…n)
(電極番号:m=1,2,3,…10)
添え字mは、使用者の頭部から脳波を検出する際の電極の番号を示す。すなわち本実施例では、前述したようにmの取る値は1,2,3,…10となる。
【0042】
続いて、複数端子により検出した脳波信号から、演算装置14によりγ帯域(30〜80Hz)の一部または全部を含む帯域(以下γ帯域脳波信号)の同期度を算出する工程について説明する。
【0043】
本工程は、図1に示すように次の下位工程により構成される。
【0044】
すなわち、複数端子により検出した脳波信号からそれぞれの位相スペクトルを算出する下位工程5と、算出した位相スペクトルにおいてγ帯域脳波信号の平均位相値の時間変動列を算出する下位工程6と、算出された平均位相値の複数端子間での差を算出する下位工程7である。
【0045】
そこで、それぞれの下位工程の処理を図5を用いて詳しく説明していく。
【0046】
まず、複数端子により検出した脳波信号からそれぞれの位相スペクトルを算出する下位工程5では、抽出されたデジタル信号に変換された脳波信号Xmに対して、事前に任意の算出時間間隔を設定する。
【0047】
本実施例では、前記の任意の算出時間間隔を3秒と設定した。
【0048】
従って、データ点数としては7200個に相当する。
【0049】
次に、それぞれの電極ごとの脳波信号Xmから、その時間幅に相当するデータ17を切り出し、演算装置15により位相スペクトル18を算出する。
【0050】
ここで演算装置は、一般的なFFTアルゴリズムに基づいて位相スペクトル18を算出している。
【0051】
そしてさらに、上記の演算により算出された位相スペクトルにおいて、事前に設定されたγ帯域の一部または全部を含む帯域(本実施例では30〜50Hz)の位相値Θmの加算平均θm19を算出する。
【0052】
続いて図6に示すように、上記の計算過程を事前に設定した所定の時間幅に相当するデータ数分ずらして逐次行う。
【0053】
本実施例では、前記の所定の時間幅を0.1秒と設定した。
【0054】
従って、データ点数としては240個に相当する。
【0055】
以上の計算過程を続けることにより、各電極におけるγ帯域の平均位相値の時系列データθTm(T:算出ステップ)22を得ることができる。
【0056】
続いて、上記の工程によりえられた算出ステップTにおけるγ帯域の平均位相値の時系列データθTmを用いて、図7に示すように全ての2つの電極の組合わせ間の位相差を次の式により、算出する。
ΔθTij=θTi−θTj (i<j)
【0057】
以上の演算を平均位相値の時系列データに対して各算出ステップTごとに繰り返すことにより、2つの電極の間の平均位相差を示す、m×(m−1)/2種類の時系列データを得ることができる。
【0058】
なお、本実施例ではm=10であるため、時系列データは45種類となる。
【0059】
続いて、以上のように得られたγ帯域脳波信号の同期度の空間的な分布パターンから、使用者が想起した文字音声を判別する工程3について説明する。
【0060】
本実施例では、2つの電極の間の平均位相差の時系列データから、使用者が想起した文字を判別するために、例えば図8に示すような、45×26×26の三層型ニューラル・ネット(以下ニューラル・ネット)を使用する。
【0061】
まず使用者は、ニューラル・ネットによって2つの電極の間の平均位相差の時系列データから使用者が想起した文字を判別できるようにするため、事前にニューラル・ネットを学習させることが必要となる。
【0062】
この際には、例えば使用者が想起する文字であるアルファベット26文字それぞれを各出力端子に割り当て、使用者が想起した文字と一致する端子の出力値のみが1に近い数値となり、他の端子が0に近い数値を持つように各ニューロン間の結合係数w及びkを更新する。
【0063】
すなわち、前記学習を行うことにより、結果として入力値としてのγ帯域脳波の空間的な同期分布がニューラル・ネットの結合係数w及びkに記憶される。
【0064】
そして学習後に入力される2つの電極の間の平均位相差の時系列データ、すなわちγ帯域脳波の時空間同期分布に対して、それに対応する適切な文字の判別が可能となる。
【0065】
なお、上記のニューラル・ネットの学習過程は、一般的な手法を用いたものであり、本発明の主眼とする所では無いので、詳しい説明は省略する。
【0066】
また、ニューラル・ネットの形態は、入力する2つの電極の間の平均位相差の時系列データから、学習によって得られた各ニューロン間の結合係数に基づいて使用者が想起した文字を判別できるものであれば、本実施例で用いた形態以外のものであっても構わない。
【0067】
また本実施例では、各使用者ごとの、文字の想起に伴う2つの電極の間の平均位相差の時系列データパターンの判別にニューラル・ネットを用いたが、本目的を達成できるものであれば、これ以外の手法を用いても構わない。
【0068】
これらの、一般的なデータパターンから情報を判別する手法に関しては、本発明の主眼とする所では無いので、その他の手法に関する説明は省略する。
【0069】
続いて、学習後の演算装置14によって判別された文字の情報は(本実施例では、ニューラル・ネットの出力端子の出力値)、文字信号発生装置15に送られ、文字信号発生装置15では、判別した文字に対応する、例えば一般的なキーボードで同様の文字キーを押した場合と同じ信号を発生し、その信号をコンピューターのキーボード接続端子からコンピューター16に入力することにより、判別した文字を入力することが可能となる。
【0070】
なお、文字信号発生装置15における文字信号の出力においては、演算装置14から入力された信号、すなわちニューラル・ネットの出力値26種類のうち、ある一つの文字に対応する値が0.9以上であり、かつその他の文字に対応する値が0.1以下である場合のみ、使用者が想起した文字の判別に成功したとみなして、コンピューターに信号を出力する。
【0071】
また、使用者が想起した1文字を連続して入力してしまうのを防ぐために、文字信号発生装置は、ある1文字の入力信号をコンピューターに出力するごとに、一定の時間、信号の出力を停止する。
【0072】
本実施例では、この一定時間を1秒に設定した。
【0073】
なおこの一定時間は、演算装置などの計算速度によって決定されるものであり、使用者は、適正な入力が行われるように、この一定時間に対応して入力する文字の想起時間を調節する必要がある。
【0074】
以上の様に、使用者が想起した文字列を判別した後、図4に示した文字信号発生装置により、例えば一般的なキーボードで対応する文字キーを押した場合と同じ信号を発生し、コンピューターのキーボード接続端子から入力することにより、判別した文字をコンピューター16に入力することが可能となる。
【0075】
以上の処理工程をまとめて述べる。
【0076】
まず使用者は、入力を意図する文字を想起する。
【0077】
続いて、文字を想起中の使用者の脳波を電極により検出する。
【0078】
検出した脳波は、デジタル信号に変換されて保持された後、演算装置に入力され、2つの電極間のγ帯域脳波の平均位相値の差の時系列データが算出される。
【0079】
すなわちこれは、脳内での文字想起の認知過程におけるγ帯域脳波の時空間同期現象の抽出に相当している。
【0080】
続いて、以上のように算出された2つの電極間のγ帯域脳波の平均位相値の差のデータ列を事前に学習を行ったニューラル・ネットに入力し、使用者が想起した文字の判別を行う。
【0081】
文字の判別が完了したら、対応する文字の入力信号を文字信号発生装置により生成し、キーボード入力端子からコンピューターなどの装置に入力する。
【0082】
このように、γ帯域脳波の時空間同期現象に基づく処理を行うことにより、より高精度な、脳波による文字入力を達成することができる。
【0083】
本実施例では、各文字ごとに5000回の学習を行うことにより、最終的に約90%の文字判別精度を得ることができた。
【0084】
次に第二の実施例について説明する。この第二の実施例は図9に示すように、図1に示す第一の実施例の処理工程とほぼ同様に構成されており、脳波検出工程24において筋電検出工程23の情報を用いる点に関してのみ、第1の実施例と異なっている。
【0085】
そこで、本実施例に関しては、第一の実施例と異なる、筋電検出工程23と脳波検出工程24に関して説明を行い、これ以外の処理過程は第一の実施例と同様であるとして省略する。
【0086】
図10は本実施例における筋電センサー25の装着状態を示す。
【0087】
本実施例では、使用者は入力を意図する文字を想起すると同時に、発声を伴わないで文字を読み上げる際と同様に口を動かす。
【0088】
その際に発生した筋電が筋電センサー25により検出され、図11に示す筋電検出装置26に入力される。
【0089】
筋電検出装置26で検出された筋電の振幅が事前に設定した閾値を越えた場合、トリガ発生装置27はトリガ信号をデータ保持部13に入力する。
【0090】
データ保持部13では、第一の実施例と同様に、デジタル化された脳波信号の保持を行うのであるが、本実施例では保持動作をトリガが入力された瞬間に開始し、一定時間後(本実施例では1秒後)に終了することとする。
【0091】
上記の処理を行うことにより、位相スペクトルの算出に用いられた脳波信号は、使用者が想起した文字の認知過程をより強く反映することとなり、結果として使用者が想起した文字の判別精度が向上する。
【0092】
また、第一の実施例の様に常にデータの保持・演算を行う必要がなくなるため、演算装置の負荷を低減することができる。
【0093】
以上のように、文字の想起と同時に動かされた口の筋電を脳波信号保持動作のトリガとして用いることにより、脳内での文字想起の認知過程をより反映した脳波の時系列データを特定することが可能となり、最終的な文字判別精度の向上、および演算装置の負荷低減を達成することができる。
【0094】
以上、第一、第二の実施例によれば、コンピューターなどへの脳波による文字入力において、γ帯域脳波の時空間同期現象に基づく処理を行うことで、高精度な文字判別を実現することができる。
【0095】
また、使用者が文字を想起すると同時に動かした口の筋電を脳波信号保持動作のトリガとして利用することにより、より高精度な文字判別を実現することができる。
【0096】
【発明の効果】
以上説明したように、コンピューターなどへの脳波による文字入力において、γ帯域脳波の時空間同期現象に基づく処理を行うことで、高精度な文字判別を実現することが可能となる。
【0097】
また、使用者が文字を想起すると同時に動かした口の筋電を脳波信号保持動作のトリガとして利用することにより、より高精度な文字判別を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一の実施例における処理工程の説明図である。
【図2】第一の実施例における脳波の検出方法の説明図である。
【図3】第一の実施例における測定された脳波信号例である。
【図4】第一実施例における処理装置のブロック回路構成図である。
【図5】第一実施例におけるγ帯域平均位相値の算出過程の説明図である。
【図6】第一実施例におけるγ帯域平均位相値の時系列データ算出過程の説明図である。
【図7】第一実施例におけるγ帯域平均位相値の差を算出する電極の組合わせを示す説明図である。
【図8】第一実施例におけるニューラル・ネットを示す説明図である。
【図9】第二の実施例における処理工程の説明図である。
【図10】第二の実施例における筋電センサの装着位置を示す説明図である。
【図11】第二実施例における処理装置のブロック回路構成図である。
【符号の説明】
1 脳波検出工程
2 γ帯域脳波信号の同期度算出工程
3 文字判別工程
4 コンピューターなどへの入力工程
5 位相スペクトル算出下位工程
6 γ帯域脳波信号の平均位相値算出下位工程
7 端子間平均位相値差の算出下位工程
8 電極端子
9 ペースト
10 脳波検出装置
11 プリ・メインアンプ
12 A/D変換部
13 データ保持部
14 演算装置
15 文字信号発生装置
16 コンピューター
17 時系列脳波信号
18 位相スペクトル:Θm
19 γ帯域位相値加算平均:θm
20 時系列脳波信号
21 位相スペクトル:ΘTm
22 位相加算平均値:θTm
23 筋電検出工程
24 脳波検出工程
25 筋電センサー
26 筋電検出装置
27 トリガ発生装置
Claims (6)
- 使用者の脳波を検出してコンピューターなどの装置に対して文字入力を行う過程において、
検出された脳波信号のγ帯域(30〜80Hz)の一部または全部を含む信号の時空間同期分布を基にして、使用者が入力を意図する文字を判別する処理工程、を有することを特徴とする脳波による文字入力方法。 - コンピューターなどの装置に対する文字入力過程において、使用者から検出する筋電を用いることを特徴とする請求項1に記載の脳波による文字入力方法。
- 使用者から検出する筋電は、使用者の口周辺部から検出したものであることを特徴とする請求項2に記載の脳波による文字入力方法。
- 使用者の脳波を検出してコンピューターなどの装置に対して文字入力を行う装置において、
検出された脳波信号のγ帯域(30〜80Hz)の一部または全部を含む信号の時空間同期分布を基にして、使用者が入力を意図する文字を判別する処理手段、を有することを特徴とする脳波による文字入力装置。 - コンピューターなどの装置に対する文字入力装置において、使用者から検出する筋電を処理する手段を有することを特徴とする請求項4に記載の脳波による文字入力装置。
- 使用者から検出する筋電は、使用者の口周辺部から検出したものであることを特徴とする請求項5に記載の脳波による文字入力装置。
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2020072895A (ja) * | 2012-01-24 | 2020-05-14 | ニューロビジル インコーポレイテッド | 脳の状態の意図的および非意図的な変化と脳信号との関連付け |
WO2021215266A1 (ja) * | 2020-04-23 | 2021-10-28 | ソニーグループ株式会社 | 制御装置、及び制御方法 |
US12001606B2 (en) | 2020-04-23 | 2024-06-04 | Sony Group Corporation | Control device comprising detection unit configured to perform detection of brain wave and control method therefor |
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2003
- 2003-02-03 JP JP2003025893A patent/JP2004236682A/ja not_active Withdrawn
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