JP2004234131A - 作業リスク評価システム及び作業リスク評価プログラム - Google Patents

作業リスク評価システム及び作業リスク評価プログラム Download PDF

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JP2004234131A JP2003019443A JP2003019443A JP2004234131A JP 2004234131 A JP2004234131 A JP 2004234131A JP 2003019443 A JP2003019443 A JP 2003019443A JP 2003019443 A JP2003019443 A JP 2003019443A JP 2004234131 A JP2004234131 A JP 2004234131A
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Yumeko Miyaji
由芽子 宮地
Takafumi Inoue
貴文 井上
Keiko Kioka
恵子 喜岡
Hajime Akatsuka
肇 赤塚
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Abstract

【課題】事故に繋がる可能性の高い種々の作業を簡単にリスク評価することができる作業リスク評価システム及び作業リスク評価プログラムを提供する。
【解決手段】作業階層化部2bは、事故に繋がる可能性のある種々の作業の各要素をレベル毎に階層化する。作業階層化部2bは、運転係員のレベル1と、設備条件のレベル2と、業務モードのレベル3と、業務状況のレベル4と、作業内容のレベル5とに作業条件を階層化するとともに、これらの作業によって発生する可能性のあるエラーの各要素をレベル毎に階層化する。例えば、レベル6は、レベル5の要素A51によって発生する可能性のあるエラー行動の要素B61,B62を提示し、レベル7はエラー行動の要素B61が発生する原因(エラー原因)となる要素B71,B72,…などを提示する。このように、作業階層化部2bは、レベル1〜7毎に作業の各要素とエラーの各要素とを階層化して階層構造図を生成する。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、事故に繋がる可能性のある種々の作業を階層モデルによって分析しリスク評価する作業リスク評価システム及び事故に繋がる可能性のある種々の作業を階層モデルによって分析しリスク評価するための作業リスク評価プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、リスク評価は、客観的指標として発生した事故件数を利用し事故の発生頻度を求めることが多く、作業やエラーに起因する事故の発生が極めて少ない場合は、統計的分析によって安定性や信頼性のある結果を算出することが困難になっていた。また、事故の被害の大きさをリスクの指標とする場合でも、その指標は死亡者数、傷害者数、影響列車数、乗客数、遅延時間など様々であり、これらの指標は尺度間隔が対応していないため、一次元量としてリスク評価値を算出するのが困難であった。さらに、各種の事故の原因となる作業やエラーは多様であるため、これらの作業やエラーを階層化せずに評価することは、評価者に多大な負担を強いている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
近年、運転士などのヒューマンエラーに対する運転保安設備の進歩などによって鉄道運転システムが改善しており、運転関係従事員の作業やエラーに繋がる可能性などが変化している。その結果、求められる安全管理の内容やレベル、求められる運転関係従事員の特性の内容やレベルが従来とは異なってきている可能性がある。このため、運転保安設備条件の現状を考慮した安全管理や運転関係従事員の特性を再構築する際に、鉄道システムの実態を逐次反映できるシステム及びプログラムが望まれている。
【0004】
この発明の課題は、事故に繋がる可能性の高い種々の作業を簡単にリスク評価することができる作業リスク評価システム及び作業リスク評価プログラムを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
なお、この発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、この実施形態に限定するものではない。
請求項1の発明は、事故に繋がる可能性のある種々の作業を階層モデルによって分析しリスク評価する作業リスク評価システムであって、前記種々の作業の各要素をレベル毎に階層化する作業階層化部(2b)と、前記レベル毎の各要素間の一対比較によりこのレベル毎の各要素の重み付けを演算して前記種々の作業の重み付けを演算する演算部(2c)と、前記演算部の演算結果に基づいて前記事故に繋がる可能性のある種々の作業をリスク評価する評価部(2d)とを備える作業リスク評価システム(1)である。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載の作業リスク評価システムにおいて、前記作業階層化部は、前記種々の作業によって発生する可能性のあるエラーの各要素をこれらの作業とともにレベル毎に階層化することを特徴とする作業リスク評価システムである。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の作業リスク評価システムにおいて、前記作業階層化部は、運転係員に関するレベルと、設備条件のレベルと、業務状況のレベルとに前記種々の作業を階層化することを特徴とする作業リスク評価システムである。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の作業リスク評価システムにおいて、前記作業階層化部は、業務モードのレベルと、作業内容のレベルと、エラー行動のレベルと、エラー原因のレベルとに前記種々の作業を階層化することを特徴とする作業リスク評価システムである。
【0009】
請求項5の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の作業リスク評価システムにおいて、前記要素を追加及び/又は削除したときにこの要素の追加及び/又は削除によって影響を受ける全ての要素を抽出する抽出部を備え、前記演算部は、抽出後の前記レベル毎の各要素間の一対比較による重み付けを再度演算することを特徴とする作業リスク評価システムである。
【0010】
請求項6の発明は、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の作業リスク評価システムにおいて、前記要素の重み付けを変更したときにこの要素の重み付けの変更によって影響を受ける全ての要素を抽出する抽出部を備え、前記演算部は、抽出後の前記レベル毎の各要素間を一対比較して重み付けを再度演算することを特徴とする作業リスク評価システムである。
【0011】
請求項7の発明は、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の作業リスク評価システムにおいて、前記レベル毎の各要素とその重み付けとを記憶する記憶部を備えることを特徴とする作業リスク評価システムである。
【0012】
請求項8の発明は、事故に繋がる可能性のある種々の作業を階層モデルによって分析しリスク評価するための作業リスク評価プログラムであって、前記種々の作業の各要素をレベル毎に階層化する作業階層化手順(S300)と、前記レベル毎の各要素間の一対比較によりこのレベル毎の各要素の重み付けを演算して前記種々の作業の重み付けを演算する演算手順(S400)と、前記演算手順における演算結果に基づいて前記事故に繋がる可能性のある種々の作業をリスク評価する評価手順(S500)とをコンピュータに実行させるための作業リスク評価プログラムである。
【0013】
請求項9の発明は、請求項8に記載の作業リスク評価プログラムにおいて、
前記作業階層化手順は、前記種々の作業によって発生する可能性のあるエラーの各要素をこれらの作業とともにレベル毎に階層化する手順(S360)を含むことを特徴とする作業リスク評価プログラムである。
【0014】
請求項10の発明は、請求項8又は請求項9に記載の作業リスク評価プログラムにおいて、前記作業階層化手順は、運転係員のレベルと、設備条件のレベルと、業務状況のレベルとに前記種々の作業を階層化する手順(S310〜S350)を含むことを特徴とする作業リスク評価プログラムである。
【0015】
請求項11の発明は、請求項8から請求項10までのいずれか1項に記載の作業リスク評価プログラムにおいて、前記作業階層化手順は、業務モードのレベルと、作業内容のレベルと、エラー行動のレベルと、エラー原因のレベルとに前記種々の作業を階層化する手順(S310〜S360)を含むことを特徴とする作業リスク評価プログラムである。
【0016】
請求項12の発明は、請求項8から請求項11までのいずれか1項に記載の作業リスク評価プログラムにおいて、前記要素を追加及び/又は削除したときにこの要素の追加及び/又は削除によって影響を受ける全ての要素を抽出する抽出手順(S800)を含み、前記演算手順は、抽出後の前記レベル毎の各要素間の一対比較による重み付けを再度演算する手順(S400)を含むことを特徴とする作業リスク評価プログラムである。
【0017】
請求項13の発明は、請求項8から請求項12までのいずれか1項に記載の作業リスク評価プログラムにおいて、前記要素の重み付けを変更したときにこの要素の重み付けの変更によって影響を受ける全ての要素を抽出する抽出手順(S1000)を含み、前記演算手順は、抽出後の前記レベル毎の各要素間の一対比較による重み付けを再度演算する手順(S400)を含むことを特徴とする作業リスク評価プログラムである。
【0018】
請求項14の発明は、請求項8から請求項13までのいずれか1項に記載の作業リスク評価プログラムにおいて、前記レベル毎の各要素とその重み付けとを記憶する記憶手順(S370,S410)を含むことを特徴とする作業リスク評価プログラムである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、この発明の実施形態に係る作業リスク評価システムの構成図である。図2は、この発明の実施形態に係る作業リスク評価システムの中央処理装置の構成図である。以下では、鉄道運転士の運転取扱作業をリスク評価する場合を例に挙げて説明する。
【0020】
作業リスク評価システム1は、事故に繋がる可能性のある種々の作業を階層分析法による階層モデルによって分析してリスク評価するシステムである。ここで、階層分析法(AHP:Analytic Hierarchy Process)とは、不確定な状況や多様な評価基準における問題解決型意思決定手法である。この階層分析法では、問題の要素を最終目標、評価基準及び代替案の関係からなる階層モデル(階層構造図)が生成されて、最終目標から見て評価基準の重要度が求められ、次に各評価基準から見て代替案の重要度が評価され、最後にこれらが最終目標から見た代替案の評価に換算される。作業リスク評価システム1は、図1に示すように、中央処理装置2と、読取装置3と、記憶装置4と、表示装置5と、入力装置6と、補助入力装置7と、印刷装置8とを備えている。作業リスク評価システム1は、パーソナルコンピュータなどを中心として構成されており、作業リスク評価プログラムに従って所定の処理を実行する。作業リスク評価システム1は、鉄道運転士の運転取扱作業をリスク評価しリスクの高い作業やエラーを順位付けする。ここで、リスクとは、事故の発生頻度又は発生確率だけではなく、これらと事故の被害の大きさとの2つの要素の組み合わせで危険性を評価する指標である。
【0021】
中央処理装置2は、作業リスク評価システム1の種々の動作を制御する装置(CPU)である。中央処理装置2は、図2に示すように、制御部2aと、作業階層化部2bと、演算部2cと、評価部2dと、抽出部2eとを備えている。中央処理装置2には、図1に示すように、読取装置3と、記憶装置4と、表示装置5と、入力装置6と、補助入力装置7と、印刷装置8とが接続されている。
【0022】
制御部2aは、作業リスク評価プログラムに従って種々の動作を指令する部分である。制御部2aは、記憶装置4から作業リスク評価プログラムを読み出して作業階層化部2bなどに所定の処理を実行させる。制御部2aには、作業階層化部2bと、演算部2cと、評価部2dと、抽出部2eとが相互に通信可能なように接続されている。
【0023】
図3は、この発明の実施形態に係る作業リスク評価システムにおける階層構造図の一例である。
作業階層化部2bは、種々の作業の各要素をレベル毎に階層化する部分である。作業階層化部2bは、図3に示すように、運転係員のレベル1と、設備条件のレベル2と、業務モードのレベル3と、業務状況のレベル4と、作業内容のレベル5とに作業条件を階層化し、エラー行動のレベル6とエラー原因のレベル7とにエラーを階層化する。レベル1は、1つの要素(最終目標)A11からなる階層の最上層であり、要素A11は「鉄道運転士の運転取扱作業」である。レベル2は、レベル1の要素A11の下に4つの要素(評価基準)A21,…,A24を含む。要素A21,…,A24は、鉄道運転士の運転保安設備である「新幹線ATC」、「在来線ATS−P」、「在来線ATS−S」及び「在来線(バックアップ設備なし)」である。ここで、「新幹線ATC」は、新幹線等で運用されている運転保安設備(AutomaticTrain Control)で、地上からの信号・速度情報により自動的にブレーキが動作・緩解し列車速度が制御されることにより、運転士の作業をバックアップするシステムである。「在来線ATS−P」とは、在来線等で運用されている運転保安設備(Automatic Train Stop−P type)で、信号手前で停止するための速度照査パターンと運転士が制御する列車速度を比較し、超過の場合に自動的にブレーキが動作し制御されることにより、運転士の作業をバックアップするシステムである。「在来線ATS−S」とは、在来線等で運用されている運転保安設備(Automatic TrainStop−S type)で、信号手前で警報ベルを発し、運転士が所定の操作をしないと直ちにブレーキが動作することで、運転士の作業をバックアップするシステムである。
【0024】
作業階層化部2bは、種々の作業によって発生する可能性のあるエラーの各要素をこれらの作業とともにレベル毎に階層化する。例えば、レベル6は、レベル5の要素A51によって発生する可能性のあるエラー行動の要素B61,B62を提示する。レベル7は、階層の最下層でありエラー行動の要素B61が発生する原因(エラー原因)となる要素B71,B72,…と、エラー行動の要素B62が発生する原因となる要素B76,B77,…とを提示する。このように、作業階層化部2bは、図3に示すようにレベル1〜5毎に作業を階層化するとともに、レベル5の作業内容によって発生するエラーをレベル6,7毎に階層化して階層構造図を生成する。
【0025】
図4は、この発明の実施形態に係る作業リスク評価システムにおける一対比較表を示す図である。
演算部2cは、レベル1 〜5毎の各要素間の一対比較によりこのレベル1〜5毎の各要素の重み付けを演算して種々の作業の重み付けを演算する部分である。ここで、一対比較とは、同一レベルの要素間同士を一つ上のレベルの要素を評価基準として、どちらがどのくらい重要かを判断する比較方法である。この一対比較では、あるレベルの要素数がnであるときに、意思決定者がn(n−1)/2個の比較をすることになる。例えば、同一レベルの要素A,…,A間同士を一つ上のレベルの要素を評価基準として、ある要素と他の要素とがどちらがどれだけ重要であるかが意思決定者によって判断される。重要性の尺度は、以下に示す表1で定義される。
【0026】
【表1】
Figure 2004234131
【0027】
ここで、この一対比較で用いられる値は、1/9,1/8,…,1/2,1,2,…,8,9である。演算部2cは、例えば、あるレベルの要素A,…,Aのすぐ上のレベルの要素に対する重みw,…,wを演算する。ここで、aのaに対する重要度をaijとすると、要素A,…,Aの一対比較行列A=〔aij〕となる。演算部2cは、表1に示す重みw,…,wが既知であるため、以下に示す数1によって一対比較行列A=〔aij〕を演算する。但し、重要度aij,aji及び重みベクトルwは、以下の数2に示す通りである。
【0028】
【数1】
Figure 2004234131
【0029】
【数2】
Figure 2004234131
【0030】
この一対比較行列Aに重みベクトルwを掛けるとA・w=n・wとなり、この式は固有値問題(A−n・I)・w=0に変形できる。ここで、w≠0が成り立つためにはnが一対比較行列Aの固有値になる必要があり、この場合には重みベクトルwが一対比較行列Aの固有ベクトルとなる。また、一対比較行列Aのランクは1であるため、固有値λ(i=1,…,n)は一つだけがゼロではなく他はゼロとなる。一対比較行列Aの主対角要素の和はnであるため、ただ一つゼロではないλをλmax とすると、λ=0,λmax =n(λ≠λmax )となる。従って、要素A,…,Aに対する重みベクトルwは、一対比較行列Aの最大固有値λmax に対する正規化した(Σw=1)固有ベクトルW(添字Tはベクトルの転置を表す)となる。線形代数では、全てのi,j,kについてaik=aij・ajkが成り立つときに行列Aは整合性があるため、完全に整合性があるときにはλmax =nが成り立つ。演算部2cは、以下の数3に示すように、完全に整合性がある場合と整合性がない場合とのずれ(λmax −n)を行列の大きさを示す(n−1)で割った値である整合度(コンシステンシー指数(ConsistencyIndex))CIを演算する。
【0031】
【数3】
Figure 2004234131
【0032】
ここで、整合度CIの値が0.1(場合によっては0.15)を超えた場合に一対比較の判断を見直す必要がある。このように、演算部2cは、各レベルの一対比較行列Aに基づいて、各レベルの要素間の重み(重みベクトルw)を演算する。演算部2cは、固有ベクトルWと重みベクトルwとに基づいて種々の作業(階層全体)の重みwを演算する。
【0033】
評価部2dは、演算部2cの演算結果に基づいて事故に繋がる可能性のある種々の作業をリスク評価する部分である。評価部2dは、演算部2cが演算した種々の作業毎の重み付けに基づいて、総合目的に対する各代替案の定量的な選択基準を作成して各代替案の優先順位を決定する。
【0034】
抽出部2eは、要素を追加及び/又は削除したときにこの要素の追加及び/又は削除によって影響を受ける全ての要素を抽出するとともに、要素の重み付けを変更したときにこの要素の重み付けの変更によって影響を受ける全ての要素を抽出する部分である。抽出部2eは、例えば、図3に示すレベル2に要素A25を追加したりレベル2から要素A21を削除した場合や、図4に示す重みw,…,wを変更したときに、これらの変更によって影響を受ける要素を抽出する。
【0035】
図1に示す読取装置3は、情報記録媒体9に記録された作業リスク評価プログラムを読み取る装置である。読取装置3は、例えば、CD−ROMドライバ、DVD−ROMドライバ、FDドライバであり、情報記録媒体9から読み取った作業リスク評価プログラムを中央処理装置2の制御部2aに出力する。
【0036】
記憶装置4は、種々の情報を記憶する部分である。記憶装置4は、作業リスク評価プログラムや、図3及び図4に示すレベル毎の各要素とその重み付けなどを記憶する。記憶装置4は、予め安全管理部門のエキスパートが運転取扱規程類やマニュアル類などを参照して鉄道運転士による作業を網羅的に抽出し整理した情報を作業条件に関する要素として記憶している。また、記憶装置4は、予め安全管理部門のエキスパートが列車衝突や列車脱線事故に繋がる可能性の有無と作業頻度との2つの指標に基づいて個々に評価し抽出した情報をエラーに関する要素として記憶している。
【0037】
表示装置5は、種々の情報を表示する装置である。表示装置5は、入力装置6や補助入力装置7によってこの画面上に意思決定者が作業を分解して要素を入力可能なように図6に示す階層構造図を画面に表示したり、図4に示す一対比較表などを画面上に表示する。
【0038】
入力装置6は、表示装置5が表示する階層構造図や一対比較表などに所定の情報を入力するためのキーボードなどであり、補助入力装置7は表示装置5が表示するメニュー画面から所定の項目を選択するためのマウスなどである。印刷装置8は、表示装置5が表示する階層構造図やリスク評価の結果などを印刷する装置である。情報記録媒体9は、事故に繋がる可能性のある種々の作業を階層モデルによって分析しリスク評価するための作業リスク評価プログラムを記憶するCD−ROM、DVD−ROM、FDなどである。
【0039】
次に、この発明の実施形態に係る作業リスク評価システムの動作を説明する。
図5は、この発明の実施形態に係る作業リスク評価システムの中央処理装置の動作を説明するためのフローチャートである。
ステップ(以下Sとする)100において、作業リスク評価プログラムが読み込まれる。作業リスク評価プログラムを記憶装置4から制御部2aが読み込むと、表示装置5がメニュー画面を表示する。このメニュー画面には、例えば、階層構造図を初めて作成する初期設定モードと、既存の階層構造図から要素を追加及び/又は削除する要素変更モードと、既存の階層構造図の要素の重み付けを変更する重み付け変更モードとが表示される。
【0040】
S200において、初期設定モードが選択されたか否かが判断される。例えば、図1に示す入力装置6や補助入力装置7を使用して初期設定モードを意思決定者が選択すると、作業リスク評価プログラムの初期設定モードに関する処理を制御部2aが開始する。
【0041】
S300において、作業階層化処理が実行される。作業階層化処理の実行を制御部2aが作業階層化部2bに指令すると、種々の作業の各要素をレベル毎に階層化した階層構造図を作業階層化部2bが生成する。図3に示すように、作業階層化部2bは、例えば、「鉄道運転士の運転取扱作業において平常時の本線運転で停車場出発の際、信号の表示内容が進行であることを確認してから出発」という作業条件を「鉄道運転士の運転取扱作業」、「平常時」、「本線運転」、「停車場出発の際、信号の表示内容が進行であることを確認してから出発」という要素に分解してレベル1〜5毎に階層化した階層構造図を生成する。また、作業階層化部2bは、例えば、「鉄道運転士の運転取扱作業において平常時の本線運転で停車場出発の際、信号の表示内容が進行であることを確認してから出発」という作業によって発生する可能性のある「違う信号機を確認して出発」のようなエラー行動と、「見るべき信号機を知識として知っているがその時点では異なった信号機を正しいと思い込んでいる」のようなエラー原因とを提示する。このように、鉄道運転士の運転取扱作業が各要素に分解されてレベル毎に入力される。
【0042】
図6は、この発明の実施形態に係る作業リスク評価システムにおける作業階層化処理のフローチャートである。
S310において、カウント値Nが1に設定される。制御部2aは、図3に示すレベル1〜5をカウントするためのカウント値N=1に設定する。
【0043】
S320において、レベルNに分類される要素の候補が表示される。制御部2aは、意思決定者がレベル1に要素を容易に分類可能なように、レベル1に分類されるべき要素の候補を記憶装置4から読み出して表示装置5の画面上に表示させる。意思決定者は、入力装置6や補助入力装置7を使用して表示装置5に表示された要素の候補を選択し入力する。意思決定者は、レベルNに入力するべき要素の候補が表示装置5の画面上に存在しないときには、入力装置6を使用してレベルNに要素をマニュアル入力する。作業階層化部2bは、レベルNに設定された要素に関する情報を制御部2aに出力する。
【0044】
S330において、レベルNの要素が記憶される。意思決定者によってレベルNに要素が設定されたときには、この要素に関する情報を制御部2aが記憶装置4に出力し記憶させる。例えば、図6に示すレベル1には、意思決定者によって「鉄道運転士の運転取扱作業」が設定される。
【0045】
S340において、カウント値N=5であるか否かが判断される。制御部2aは、カウント値Nが5に達していないと判断したときには一つ下のレベルの要素を設定するためにS350に進み、カウント値Nが5に達したと判断したときにはレベル1からレベル5までの全てのレベルに要素が分類されたと判断してS360に進む。
【0046】
S350において、カウント値N=N+1に設定される。制御部2aは、レベル1からレベル5までの全てのレベルに要素が分類されていないためカウント値を1つインクリメントしてS320に戻る。その結果、制御部2aは、一つ下のレベルに分類されるべき要素の候補を画面上に表示するように表示装置5に指令し、カウント値Nが5に達するまで作業階層化部2bに作業階層化処理を継続させる。
【0047】
S360において、レベル6,7の要素が読み込まれる。レベル1からレベル5までの全ての要素が分類されるとレベル5に対応するレベル6,7の各要素を制御部2aが記憶装置4から読み出す。制御部2aは、例えば、図3に示すレベル5の要素A51と対応するレベル6の要素B61,B62を記憶装置4から読み出すとともに、このレベル6の要素B61と対応するレベル7の要素B71,…とレベル6の要素B62と対応するレベル7の要素B76,…とを記憶装置4から読み出す。
【0048】
S370において、階層構造図が記憶される。作業階層化部2bは、図3に示すような階層構造図を生成してこの階層構造図に関する情報を制御部2aに出力し、制御部2aがこの情報を記憶装置4に記憶させる。
【0049】
S380において、カウント値N=0に設定される。制御部2aは、作業階層化部2bが階層構造図の作成を終了したときには、カウント値Nをリセットして作業階層化処理を終了する。
【0050】
図5に示すS400において、演算処理が実行される。演算処理の実行を制御部2aが演算部2cに指令すると、レベル1〜5毎の各要素間の一対比較による重み付けを演算部2cが演算する。
【0051】
図7は、この発明の実施形態に係る作業リスク評価システムにおける演算処理のフローチャートである。図8は、この発明の実施形態に係る作業リスク評価システムにおける調査票の一例を示す図である。図9は、この発明の実施形態に係る作業リスク評価システムにおける一対比較表の一例を示す図である。
図7に示すS410において、レベル毎の各要素間の一対比較による重み付けが演算される。レベル毎の各要素間を一対比較するための評価表(調査票)の表示を制御部2aが表示装置5に指令すると、図8に示すような評価票を表示装置5が画面上に表示する。意思決定者は、図8に示す左右の項目について「どちらのエラーが総合的にリスクが高いか」を一対比較し、補助入力装置7を使用していずれか一方のチェック欄を選択する。図8に示す評価票は、「鉄道運転士の運転取扱作業(レベル1)において在来線ATS−S(レベル2)による平常時(レベル3)の本線運転(レベル4)で停車場出発時の信号現示確認(レベル5)」という作業で、「信号を確認しない」と「異なった信号機の現示を確認」(レベル6)というエラー行動があるときに、「どちらのエラー行動がどの程度総合的なリスクが大きいか」を判断するためのものである。意思決定者は、「いつも進行現示なので見なくても大丈夫」、「見るべき信号機を知識として知っているがその時点では異なった信号機を正しいと思い込んでいる」などのエラー原因(レベル7)を考慮したうえで、「信号を確認しない」と「異なった信号機の現示を確認する」(レベル6)とを一対比較する。例えば、意思決定者は、最初に、図3に示すレベル5(作業内容)の要素A51におけるレベル6(エラー行動)の要素B61,B62間の一対比較をレベル7(エラー原因)を考慮して行う。次に、意思決定者は、一つ上位の階層に移りレベル4(業務状況)の要素A41におけるレベル5(業務内容)の要素A51,A52間の一対比較をレベル6(エラー行動)及びレベル7(エラー原因)を考慮して行う。このように、意思決定者は、下位のレベルから上位のレベルに向かって階層毎にリスク判断を行って、最終的にはレベル2(運転係員)の要素A21,…,A24間の一対比較をレベル2からレベル5までを考慮して行う。
【0052】
全てのレベル1〜5の要素の一対比較が完了すると、制御部2aが重み付けの演算を演算部2cに指令するとともに、図9に示すような一対比較表を画面上に表示するように表示装置5に指令する。演算部2cは、数1、数2及び表1に基づいて全てのレベル1〜5の各要素間の重み付けを演算する。ここで、図9に示す一対比較表は、レベル2の要素A21,…,A24の比較結果であり、例えば1行2列は「在来線(バックアップ設備なし)は、新幹線ATCに比べてリスクが非常に高い(表1に示す重要性の尺度7)」という意味である。制御部2aは、レベル毎の各要素の重み付けを記憶装置4に記憶させる。
【0053】
S420において、整合度CIが演算される。演算部2cが重み付けの演算を終了すると制御部2aが演算部2cに整合度CIの演算を指令して、演算部2cが数3に基づいて整合度CIを演算する。
【0054】
S430において、整合度CIが0.15以下であるか否かが判断される。制御部2aは、整合度CIが0.15以下であるときには有効性があると判断して演算処理を終了し、整合度CIが0.15を超えるときには有効性がないと判断してS410に戻り一対比較をやり直させる。
【0055】
S440において、全ての作業の重み付けが演算される。レベル1〜5毎に各要素の重み付けの演算が完了すると、制御部2aが全ての作業(階層全体)の重み付けの演算を演算部2cに指令し、種々の作業毎に重み付けを数3に基づいて演算部2cが演算する。
【0056】
図5に示すS500において、評価処理が実行される。評価処理の実行を制御部2aが評価部2dに指令すると、事故に繋がる可能性のある種々の作業を評価部2dが評価してリスクの高い作業から順に明らかにする。
【0057】
図10は、この発明の実施形態に係る作業リスク評価システムにおける評価処理のフローチャートである。図11は、この発明の実施形態に係る作業リスク評価システムにおける作業番号とリスク評価値との関係を一例として示すグラフである。図12は、この発明の実施形態に係る作業リスク評価システムにおけるリスク評価の結果を一例として示す図である。
S510において、各作業のリスクがランク付けされる。全ての作業の重み付け(リスク評価値)の演算が完了すると、制御部2aが各作業のリスクをランク付けする。図11に示す縦軸は、鉄道運転士の運転取扱作業のうちATS−Sをリスク評価したときのリスク評価値w(×10)であり、横軸は作業番号である。このリスク評価値wが大きいほどリスクが高いことを意味し、全ての作業のリスク評価値wの総和は1になる。制御部2aは、図11に示すように、リスク評価値wが大きく低下する箇所をリスクランクの境界(しきい値Th)に設定し、このしきい値Thの大きさに応じてリスクランクA〜Eに分類する。制御部2aは、例えば、リスク評価値wがTh=1300を超えるときにはリスクランクAと判断し、リスク評価値wがTh=900を超えTh=1300以下であるときにはリスクランクBと判断し、リスク評価値wがTh=600を超えTh=900以下であるときにはリスクランクCと判断し、リスク評価値wがTh=300を超えTh=600以下であるときにはリスクランクDと判断し、リスク評価値wがTh=300以下であるときにはリスクランクEと判断する。制御部2aは、作業毎のリスクランクの結果を記憶装置4に記憶させる。
【0058】
S520において、リスクの高い順に各作業が並べ替えられる。リスク評価値wの演算が終了すると、制御部2aがリスクの高い順に各作業を並べ替える。制御部2aは、図12に示すように、業務モード(レベル3)、業務状況(レベル4)、作業内容(レベル5)、エラー行動(レベル6)及びエラー原因(レベル7)をリスクランクとともに記憶装置4から読み出して、作業番号順に各作業を並べ替える。制御部2aは、図11及び図12に示すように、リスク評価値wの高い作業から順に作業番号を付与しており、作業番号の順が事故に繋がる可能性の高い作業となる。制御部2aは、これらの評価結果を記憶装置4に記憶させるとともに表示装置5や印刷装置8に出力する。なお、この実施形態では、「在来線(バックアップ設備なし)」、「在来線ATS−S」、「在来線ATS−P」、「新幹線ATC」の順にリスク評価値wが高かった。
【0059】
図5に示すS600において、階層構造図が読み込まれる。S200において初期設定モードを意思決定者が選択しなかったときには、作業階層化部2bによって過去に作成された階層構造図を制御部2aが記憶装置4から読み出す。
【0060】
S700において、要素変更モードが選択されたか否かが判断される。制御部2aは、図1に示す入力装置6や補助入力装置7を使用して表示装置5のメニュー画面上から要素変更モードが意思決定者によって選択されたか否かを判断し、要素変更モードが選択されたときにはS800に進む。
【0061】
S800において、要素抽出処理Aが実行される。例えば、新しい保安設備を導入したり既存の保安設備を更新したような場合には、これらの設備条件下で事故に繋がる作業をリスク評価する必要がある。この場合には、過去に作成された階層構造図に新たな要素を追加したり既存の要素を削除したりして再度リスク評価する必要がある。例えば、図3に示すレベル2に在来線ATS−Sの改良型である「在来線ATS−SN」を新たな要素A25として追加したり、既存の「在来線(バックアップ設備なし)」の要素A21を削除した場合には、これらの要素A21,A25の追加や削除によって影響を受ける全ての要素を抽出して各要素間を改めて一対比較する必要がある。このため、図1に示す入力装置6や補助入力装置7を使用して意思決定者が表示画面上に新たな要素を追加したり既存の要素を削除したときには、制御部2aが抽出部2eに要素抽出処理Aの実行を指令する。その結果、抽出部2eは、要素の追加及び/又は削除によって影響を受ける全ての要素を抽出する。要素抽出処理Aを終了した後にはS400に進み、抽出後のレベル毎の各要素間の一対比較による重み付けを演算部2cが再度演算する。
【0062】
S900において、重み付け変更モードが選択されたか否かが判断される。制御部2aは、表示装置5のメニュー画面上から重み付け変更モードが意思決定者によって選択されたか否かを判断し、重み付け変更モードが選択されたときにはS1000に進み、重み付け変更モードが選択されなかったには一連の処理を終了する。
【0063】
S1000において、要素抽出処理Bが実行される。例えば、事故対策上の必要性からある保安設備を改善したような場合には、改善後の事故に繋がる作業をリスク評価する必要がある。この場合には、過去に作成された階層構造図に基づいて要素間を再度一対比較してリスク評価する必要がある。例えば、図3に示すレベル2の「在来線ATS−S」を改善した場合には、この要素A12の重み付けの変更によって影響を受ける全ての要素を抽出して各要素間を改めて一対比較する必要がある。このため、意思決定者が重み付けを変更したときには、制御部2aが抽出部2eに要素抽出処理Bの実行を指令し、重み付けの変更によって影響を受ける全ての要素を抽出部2eが抽出する。要素抽出処理Bを終了した後にはS400に進み、抽出後のレベル毎の各要素間の一対比較により重み付けを演算部2cが再度演算する。
【0064】
この発明の実施形態に係る作業リスク評価システムには、以下に記載するような効果がある。
(1) この実施形態では、事故に繋がる可能性のある種々の作業の各要素を作業階層化部2bがレベル毎に階層化し、レベル毎の各要素間の一対比較によりこのレベル毎の各要素の重み付けを演算して種々の作業の重み付けを演算部2cが演算し、この演算部2cの演算結果に基づいて事故に繋がる可能性のある種々の作業をリスク評価する。このため、複雑で多岐にわたる作業を階層分析法によってレベル毎の階層モデルに整理し、事故に繋がる可能性のある種々の作業を簡単にリスク評価することができる。その結果、作業やエラーによる事故の発生が極めて少ないため統計的な分析が困難な場合であっても、客観的な事故指標の単位に依存することなく、エキスパートの判断による一対比較法によって簡単にリスク評価することができる。また、この実施形態では、リスクの高い作業から順に評価部2dが作業を順位付けする。このため、リスクの高い作業やエラーから優先的に事故防止策を検討したり作業要領の盲点などを抽出して、ヒューマンエラーに起因する事故防止のためのリスク管理に役立てることができる。
【0065】
(2) この実施形態では、種々の作業によって発生する可能性のあるエラーの各要素をこれらの作業とともにレベル毎に作業階層化部2bが階層化する。その結果、作業内容と関連付けてエラーの具体例を提示することができるとともに、このエラーの具体例を参考にしてレベル毎の各要素間を容易に一対比較することができる。
【0066】
(3) この実施形態では、運転係員のレベル1と、設備条件のレベル2と、業務モードのレベル3と、業務状況のレベル4と、作業内容のレベル5と、エラー行動のレベル6と、エラー原因のレベル7とに作業階層化部2bが種々の作業を階層化する。その結果、複雑で多岐にわたる鉄道取扱作業の要素を予め定められた7つのレベル1〜7に簡単に分解することができる。特に、鉄道の運転取扱規程類やマニュアル類の章立てに基づいてレベル化されているため作業を各要素に簡単に整理することができる。
【0067】
(4) この実施形態では、要素を追加及び/又は削除したときにこの要素の追加及び/又は削除によって影響を受ける全ての要素を抽出部2eが抽出する。その結果、新しい事故事例などを検討するときなどに要素を変更して事故防止効果や改善効果を容易にシミュレーションすることができる。また、この実施形態では、要素の重み付けを変更したときにこの要素の重み付けの変更によって影響を受ける全ての要素を抽出部2eが抽出する。その結果、エラー防止対策により要素の重み付けが変化したときにこのエラー防止対策の効果や有効性を容易に検討することができる。さらに、この実施形態では、抽出後のレベル毎の各要素間の一対比較による重み付けを演算部2cが再度演算する。その結果、要素の変更や重み付けの変更によって影響を受ける要素のみを一対比較するときに、図8に示すような評価票を簡単に作成することができる。
【0068】
(5) この実施形態では、レベル毎の各要素とその重み付けとを記憶装置4が記憶する。このため、作業階層化部2bによって作成された階層構造図を必要に応じて修正して階層構造図を常に最新の状態に更新することができる。
【0069】
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この実施形態では、事故に繋がる可能性のある種々の作業として鉄道取扱作業を例に挙げて説明したがこれに限定するものではなく、プラントや工場などにおける作業についてもこの発明を適用することができる。また、この実施形態では、作業の各要素を5つのレベル1〜5に分解しエラーを2つのレベル6,7に分解した場合を例に挙げて説明したが、階層構造を7つに限定するものではなくレベルの個数や順序を任意に設定することができる。例えば、図3に示すレベル3とレベル4とを一つのレベルにまとめることもできる。さらに、この実施形態では、作業リスク評価システム1によって2つの要素をそれぞれ評価した後に統括したり両方を含めて評価したりすることもできる。
【0070】
(2) この実施形態では、レベル1からレベル5までの作業の各要素を一対比較しているがレベル1からレベル7までの作業及びエラーの各要素を一対比較してリスク評価することもできる。また、この実施形態では、「鉄道運転士の運転取扱作業」をリスク評価する場合を例に挙げて説明したが、鉄道運転士以外の運転係員による取扱作業をリスク評価することもできる。
【0071】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によると、事故に繋がる可能性の高い作業を簡単にリスク評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態に係る作業リスク評価システムの構成図である。
【図2】この発明の実施形態に係る作業リスク評価システムの中央処理装置の構成図である。
【図3】この発明の実施形態に係る作業リスク評価システムにおける階層構造図の一例である。
【図4】この発明の実施形態に係る作業リスク評価システムにおける一対比較表を示す図である。
【図5】この発明の実施形態に係る作業リスク評価システムの中央処理装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】この発明の実施形態に係る作業リスク評価システムにおける作業階層化処理のフローチャートである。
【図7】この発明の実施形態に係る作業リスク評価システムにおける演算処理のフローチャートである。
【図8】この発明の実施形態に係る作業リスク評価システムにおける調査票の一例を示す図である。
【図9】この発明の実施形態に係る作業リスク評価システムにおける一対比較表の一例を示す図である。
【図10】この発明の実施形態に係る作業リスク評価システムにおける評価処理のフローチャートである。
【図11】この発明の実施形態に係る作業リスク評価システムにおける作業番号とリスク評価値との関係を一例として示すグラフである。
【図12】この発明の実施形態に係る作業リスク評価システムにおけるリスク評価の結果を一例として示す図である。
【符号の説明】
1 作業リスク評価システム
2 中央処理装置
2a 制御部
2b 作業階層化部
2c 演算部
2d 評価部
2e 抽出部
4 記憶装置

Claims (14)

  1. 事故に繋がる可能性のある種々の作業を階層モデルによって分析しリスク評価する作業リスク評価システムであって、
    前記種々の作業の各要素をレベル毎に階層化する作業階層化部と、
    前記レベル毎の各要素間の一対比較によりこのレベル毎の各要素の重み付けを演算して前記種々の作業の重み付けを演算する演算部と、
    前記演算部の演算結果に基づいて前記事故に繋がる可能性のある種々の作業をリスク評価する評価部と、
    を備える作業リスク評価システム。
  2. 請求項1に記載の作業リスク評価システムにおいて、
    前記作業階層化部は、前記種々の作業によって発生する可能性のあるエラーの各要素をこれらの作業とともにレベル毎に階層化すること、
    を特徴とする作業リスク評価システム。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の作業リスク評価システムにおいて、
    前記作業階層化部は、運転係員に関するレベルと、設備条件のレベルと、業務状況のレベルとに前記種々の作業を階層化すること、
    を特徴とする作業リスク評価システム。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の作業リスク評価システムにおいて、
    前記作業階層化部は、業務モードのレベルと、作業内容のレベルと、エラー行動のレベルと、エラー原因のレベルとに前記種々の作業を階層化すること、
    を特徴とする作業リスク評価システム。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の作業リスク評価システムにおいて、
    前記要素を追加及び/又は削除したときにこの要素の追加及び/又は削除によって影響を受ける全ての要素を抽出する抽出部を備え、
    前記演算部は、抽出後の前記レベル毎の各要素間の一対比較による重み付けを再度演算すること、
    を特徴とする作業リスク評価システム。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の作業リスク評価システムにおいて、
    前記要素の重み付けを変更したときにこの要素の重み付けの変更によって影響を受ける全ての要素を抽出する抽出部を備え、
    前記演算部は、抽出後の前記レベル毎の各要素間を一対比較して重み付けを再度演算すること、
    を特徴とする作業リスク評価システム。
  7. 請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の作業リスク評価システムにおいて、
    前記レベル毎の各要素とその重み付けとを記憶する記憶部を備えること、
    を特徴とする作業リスク評価システム。
  8. 事故に繋がる可能性のある種々の作業を階層モデルによって分析しリスク評価するための作業リスク評価プログラムであって、
    前記種々の作業の各要素をレベル毎に階層化する作業階層化手順と、
    前記レベル毎の各要素間の一対比較によりこのレベル毎の各要素の重み付けを演算して前記種々の作業の重み付けを演算する演算手順と、
    前記演算手順における演算結果に基づいて前記事故に繋がる可能性のある種々の作業をリスク評価する評価手順と、
    をコンピュータに実行させるための作業リスク評価プログラム。
  9. 請求項8に記載の作業リスク評価プログラムにおいて、
    前記作業階層化部は、前記種々の作業によって発生する可能性のあるエラーの各要素をこれらの作業とともにレベル毎に階層化する手順を含むこと、
    を特徴とする作業リスク評価プログラム。
  10. 請求項8又は請求項9に記載の作業リスク評価プログラムにおいて、
    前記作業階層化手順は、運転係員のレベルと、設備条件のレベルと、業務状況のレベルとに前記種々の作業を階層化する手順を含むこと、
    を特徴とする作業リスク評価プログラム。
  11. 請求項8から請求項10までのいずれか1項に記載の作業リスク評価プログラムにおいて、
    前記作業階層化手順は、業務モードのレベルと、作業内容のレベルと、エラー行動のレベルと、エラー原因のレベルとに前記種々の作業を階層化する手順を含むこと、
    を特徴とする作業リスク評価プログラム。
  12. 請求項8から請求項11までのいずれか1項に記載の作業リスク評価プログラムにおいて、
    前記要素を追加及び/又は削除したときにこの要素の追加及び/又は削除によって影響を受ける全ての要素を抽出する抽出手順を含み、
    前記演算手順は、抽出後の前記レベル毎の各要素間の一対比較による重み付けを再度演算する手順を含むこと、
    を特徴とする作業リスク評価プログラム。
  13. 請求項8から請求項12までのいずれか1項に記載の作業リスク評価プログラムにおいて、
    前記要素の重み付けを変更したときにこの要素の重み付けの変更によって影響を受ける全ての要素を抽出する抽出手順を含み、
    前記演算手順は、抽出後の前記レベル毎の各要素間の一対比較による重み付けを再度演算する手順を含むこと、
    を特徴とする作業リスク評価プログラム。
  14. 請求項8から請求項13までのいずれか1項に記載の作業リスク評価プログラムにおいて、
    前記レベル毎の各要素とその重み付けとを記憶する記憶手順を含むこと、
    を特徴とする作業リスク評価プログラム。
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