JP2004233625A - 定着用ゴムロールおよび定着装置および画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】剛体芯ロールの周面に固着形成したゴム層の端面部およびその近傍のゴム層が剛体芯ロールの周面から剥離するのを防止するとともに、単純な工程にして、また、製法不安定要因を排除して安価に製造する。
【解決手段】大径部51aの両端に連続して小径部51bを形成した剛体芯ロール51と、前記大径部の周面と大径部から連続して小径部を形成する側面部51cと前記小径部の周面の一部に渡って固着されたゴム層52とを備える構成。
【選択図】図2
【解決手段】大径部51aの両端に連続して小径部51bを形成した剛体芯ロール51と、前記大径部の周面と大径部から連続して小径部を形成する側面部51cと前記小径部の周面の一部に渡って固着されたゴム層52とを備える構成。
【選択図】図2
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、複写機やプリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関わり、特に定着用ゴムロールおよび該ゴムロールを用いた定着装置および該定着装置を搭載した画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
定着装置は、通常、加熱ロールと加圧ロールの少なくとも一方を弾性体、すなわちゴムロールとし、加熱ロールに加圧ロールを所定の圧力で圧接させてニップを形成し、加熱ロールと加圧ロールの間に未定着トナー像を有する転写材を通過させてトナー像を加熱定着するものであり、前記ゴムロールは、一般にゴムを剛体、即ち金属芯ロール周面に所定の厚さで熱加硫成形と同時に接着したものである。
【0003】
しかしながら、上記ゴムロールは、対向ロールに圧接して回転している関係上、その圧力によってゴムロール両端面が膨出変形し、長期の使用により端面およびその近傍のゴム層が芯ロール周面から剥がれるという問題がある。
【0004】
この問題を解決するために、特公平1−20745号公報においては、ゴムロールのゴム層端部から所定の長さ分だけテーパー形状に加工して形成し、対向配置したロールと圧接して回転させた場合に、このテーパー形状部が対向ロールと接触しないか又はロールの長手方向でこのテーパー形状部の内側での接触圧力に比較して軽微な接触圧力となって、ゴム層の端面部に作用する膨出変形圧力が軽減され、当該端面部およびその近傍のゴム層が剛体芯ロールの周面から剥離するという不具合を防止している。
【0005】
【特許文献1】特公平1−20745号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特公平1−20745号公報の方式は、ゴムロールの端面部およびその近傍のゴム層が剛体芯ロールの周面から剥離する不具合を防止するのには有効であるが、剛体芯ロール周面にゴム層をプレス加硫によって形成して所定の長さに切断し、そのゴム層端部から所定の長さ分だけテーパー形状に加工するための加工工程が複雑であるばかりでなく、弾性体のゴム層の加工は難易なものであり加工精度も好ましくないため、これを追求するとコストが増大するという問題を有している。
【0007】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであって、剛体芯ロールの周面に固着形成したゴム層の端面部およびその近傍のゴム層が剛体芯ロールの周面から剥離するのを防止するとともに、単純な工程にして、また、製法不安定要因を排除した安価な定着用ゴムロールおよび該ゴムロールを用いた定着装置および該定着装置を搭載した画像形成装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の定着用ゴムロールは、大径部の両端に連続して小径部を形成した剛体芯ロールの周面にゴム層を有する定着用ゴムロールにおいて、前記ゴム層は、前記大径部の周面と大径部から連続して小径部を形成する側面部と前記小径部の周面の一部に渡って固着したことを特徴とする。
また、前記ゴム層の端面部は、大径部の周面と側面部から軸方向に突出して形成するとともに、少なくとも軸方向に直角な平面部を有するように固着したことを特徴とする。
また、前記剛体芯ロールの大径部および小径部と側面部の間の変曲部の形状を滑らかな面で形成したことを特徴とする。
また、前記大径部の両端に連続して小径部を形成した剛体芯ロールは、金属パイプ材に対してバルジ加工によって拡大するか、または絞り加工によって縮小させる塑性加工によって形成することを特徴とする。
また、前記大径部の両端に連続して小径部を形成した剛体芯ロールは、前記小径部の一部を切削または研削またはバニッシュ手段等の機械加工を施して形成するとともに、ゴム層の端部を、機械加工を施して形成した一部を含むように固着したことを特徴とする。
また、加熱源を内蔵した熱定着ロールと、該熱定着ロールに押圧される加圧ロールとを備え、該熱定着ロールと加圧ロールとで形成するニップ部にシート材を通過させ、該シート材上に形成した未定着トナー像を定着する定着装置において、前記熱定着ロールおよび加圧ロールの少なくとも一方は、前記記載の定着用ゴムロールを用いることを特徴とする。
また、加熱源を内蔵した熱定着ロールと、該熱定着ロールに押圧される加圧ロールと、該加圧ロールの外周に捲着され前記熱定着ロールとの間に挟持されて移動する耐熱ベルトと、該耐熱ベルトを張架するベルト張架部材とを備え、前記熱定着ロールと耐熱ベルトとで形成するニップ部にシート材を通過させ、該シート材上に形成した未定着トナー像を定着する定着装置において、前記熱定着ロールおよび加圧ロールの少なくとも一方は、前記定着用ゴムロールを用いることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明に係る定着装置の1実施形態を示す断面図、図2および図3は、図1のA−A線に沿って矢印方向に見た一部断面図であり、図2は停止時の状態を示し図3は回転時の状態を示し、図4は図2の熱定着ロールの一部拡大断面図、図5は図2の加圧ロールの一部拡大断面図である。なお、図2および図3においては装置の右側部分を省略しているが、概略左右対称となっている。
【0010】
図1において、定着装置50は、概略、熱定着ロール1、加圧ロール2、耐熱ベルト3、ベルト張架部材4から構成されている。熱定着ロール1は、外径25mm程度、肉厚0.7mm程度の金属パイプ材を剛体芯ロール51として、その外周面に厚み0.4mm程度のゴム層52を固着して形成し、剛体芯ロール51の内部に加熱源53として1050W、2本の柱状ハロゲンランプを内蔵したものである。加圧ロール2は、外径25mm程度、肉厚0.7mm程度の金属パイプ材を剛体芯ロール51として、その外周面に厚み0.2mm程度のゴム層52を固着して形成し、熱定着ロール1と加圧ロール2の圧接力を10kg以下、ニップ長を10mm程度で構成し、熱定着ロール1に対向して配置し、図示矢印方向に回転可能にした構造になっている。
【0011】
本例によれば、熱定着ロール1および加圧ロール2の外径を25mm程度の小径に構成しているため、定着後のシート材が熱定着ロール1または耐熱ベルト3に巻き付くこともないので、シート材を強制的に剥がすための手段を不要にしている。また、熱定着ロール1のゴム層52の表層には約30μmのPFA層を設ければ、その分だけ剛性が向上してゴム層の厚みは異なるが、略均一な弾性変形をして所謂水平ニップが形成されて熱定着ロール1の周速に対して耐熱ベルト3またはシート材5の搬送速度に差異が生じることもなく、極めて安定した画像定着が可能となる。
【0012】
本例においては、熱定着ロール1の内部に2本の加熱源53を内蔵しており、このハロゲンランプの発熱エレメントを異なった配置に構成して選択的に点灯すると、後述する耐熱ベルト3が熱定着ロール1に巻き付いた定着ニップ部位とベルト張架部材4が熱定着ロール1に摺接する部位のような異なった条件や、幅の広いシート材と幅の狭いシート材とのように異なった条件下での温度コントロールを容易に行うことができる。
【0013】
耐熱ベルト3は、熱定着ロール1と加圧ロール2との間に挟持されて加圧ロール2とベルト張架部材4の外周に張架され移動可能になったエンドレスのベルトであり、0.03mm以上の厚みを有するステンレス管やニッケル電鋳管等の金属管、ポリイミドやシリコン等の耐熱樹脂等管で構成される。
【0014】
ベルト張架部材4は、熱定着ロール1と加圧ロール2のニップ部よりもシート材5搬送方向上流側に配設されるとともに、加圧ロール2の回転軸中心2aに対して矢印P方向に揺動可能に配設されている。ベルト張架部材4は、シート材5が定着ニップを非通過の状態において耐熱ベルト3を熱定着ロール1の接線方向に張架する構成にしている。シート材5が定着ニップに進入する初期位置で定着圧力が大きいと進入がスムーズに行われなくて、シート材先端に折れた状態で定着される場合があるが、耐熱ベルト3を熱定着ロール1の接線方向に張架する構成にすると、シート材5の進入がスムーズに成される導入口部が形成でき、安定したシート材の進入を可能にする。
【0015】
このベルト張架部材4は、耐熱ベルト3の内周に嵌挿して加圧ロール2と協働して耐熱ベルト3に張力fを付与すると共に、耐熱ベルト3を熱定着ロール1に巻き付けてニップを形成する位置に配置した、略半月状のベルト摺動部材(耐熱ベルト3はベルト張架部材4上を摺動する)である。ベルト張架部材4は、耐熱ベルト3が熱定着ロール1と加圧ロール2との押圧部接線Lより熱定着ロール1側に巻き付けてニップを形成する位置に配置される。突壁4aは、ベルト張架部材4の一端または両端に突設され、耐熱ベルト3が一方に寄った場合にこの突壁4aに当接して寄り規制を行うためのものである。突壁4aの熱定着ロール1と反対側端部と装置フレーム6間にスプリング7が配設され、これによりベルト張架部材4の突壁4aは熱定着ロール1に軽押圧され、ベルト張架部材4が熱定着ロール1に摺接して位置決めされる。
【0016】
耐熱ベルト3を加圧ロール2とベルト張架部材4により張架して加圧ロール2で安定して駆動するには、加圧ロール2と耐熱ベルト3との摩擦係数をベルト張架部材4と耐熱ベルト3との摩擦係数より大きく設定するとよいが、摩擦係数に関しては異物の侵入や摩耗などによって不安定になる場合がある。これに対し、加圧ロール2と耐熱ベルト3の巻き付け角よりベルト張架部材4と耐熱ベルト3の巻き付け角が小さくなるように、また、加圧ロール2の径よりベルト張架部材4の径が小さくなるように設定すると、耐熱ベルト3がベルト張架部材4を摺動する長さが短くなり、経時変化や外乱などに対する不安定要因から回避でき耐熱ベルト3を加圧ロールで安定して駆動することができる。
【0017】
クリーニング部材9は、加圧ロール2とベルト張架部材4との間に配置して、耐熱ベルト3の内周面に摺接して耐熱ベルト3の内周面の異物や摩耗粉等をクリーニングするものであり、このような異物や摩耗粉等をクリーニングすることで耐熱ベルト3をリフレッシュして不安定要因を除去している。
【0018】
シート材5は、ベルト張架部材4が熱定着ロール1に軽押圧される位置をニップ初期位置として耐熱ベルト3と熱定着ロール1との間を通過することで未定着トナー像5aが定着され、熱定着ロール1に加圧ロール2が押圧する位置をニップ終了位置として押圧部接線Lの方向に排出される。
【0019】
上記の定着装置50においては、耐熱ベルト3が必要最小限の経路で移動するので、耐熱ベルト3は、加熱源を内蔵して回転可能な熱定着ロール1とのニップ部で加熱され、所定の経路で移動する時に奪われる熱エネルギーを最小限に抑えることができると共に、周長が短いので、自然放熱による温度低下も少なく、電源オン時から所望の温度に到達して定着可能になるまでの所謂ウォーミングアップ時間の短縮が可能である。
【0020】
また、耐熱ベルト3は、加圧ロール2とベルト張架部材4の協働によって張力が付与されて熱定着ロール1に巻き付けてニップを形成しているので、容易にニップ長を長く構成することができ、構造が簡単になり小型で安価にすることができる。
【0021】
また、シート材5の上に形成した未定着トナー像5aを安定して定着するには、未定着トナー像5aを十分に溶融して定着することが必須であり、所望の温度と溶融時間を必要とするが、本発明による構成では、ニップ長を長く構成するために熱定着ロール1の表面に被覆した弾性体を大きく歪ませてニップ長を長くするような手段は必要ないので、弾性体の厚みは薄く構成可能である。しかも、弾性体を歪ませるために加圧ロール2の圧接圧力を大きく設定する必要もなく、未定着トナー像5aを担持したシート材5が熱定着ロール1と耐熱ベルト3の間を通過するときに通過するシート材5へのストレスが小さいので、未定着トナー像5aの定着後に排出されるシート材5に皺発生などのシート材変形が抑制される。
【0022】
したがって、熱ロール型定着装置の機械的剛性アップは不要であるばかりでなく、熱定着ロール1の薄肉厚化が可能であり、加熱源から耐熱ベルト3を加熱する加熱速度が向上する。また、加圧ロール2も同様に薄肉厚化が可能であり、熱容量を小さく構成できるので、耐熱ベルト3からの熱エネルギー吸収が小さく、電源オン時から所望の温度に到達して定着可能になるまでの所謂ウォーミングアップ時間の短縮が可能である。
【0023】
次に、図2により、熱定着ロール1と加圧ロール2の支持構造について説明する。なお、以下の説明において、各図面間で同一の構成については同一番号を付けて説明を省略する場合がある。
熱定着ロール1および加圧ロール2の剛体芯ロール51は、耐熱ベルト3の幅よりも大きい幅を有する大径部51aと、この大径部51aの両端に形成され大径部51aよりも小径の小径部51bと、大径部51aと小径部51b間に連続するように形成された側面部51cを有するように形成されている。
【0024】
熱定着ロール1および加圧ロール2の小径部51bには、ストップリング54が固定され、このストップリング54とゴム層52の間に断熱ブッシュ55が固定されている。そして、断熱ブッシュ55とフレーム6間にはベアリング56が配設され、これにより熱定着ロール1および加圧ロール2が回転自在に構成されている。
【0025】
加圧ロール2の小径部51bには、駆動ギヤ57が固定されるとともに、弾性接触部材59が固定され、一方、熱定着ロール1の小径部51bにも弾性接触部材60が固定され、駆動ギヤ57を図示しない駆動源に回転させることにより、加圧ロール2を回転させ、更に弾性接触部材59、60を経て熱定着ロール1を回転させる構成となっている。
【0026】
次に、図2〜図5により、定着用ゴムロールの構造について説明する。以下、熱定着ロール1と加圧ロール2を定着用ゴムロールという。定着用ゴムロールのゴム層52は、大径部51aの周面と、大径部51aから連続して小径部51bを形成する側面部51cと、小径部51bの周面の一部に渡って固着されている。これにより、従来のように大径部51aの周面のみにゴム層を固着した場合と比較して、固着強度を上げるばかりではなく、運転状態では図3のXに示すように、ゴム層52の厚みが大きくなるので膨出変形しやすくなり、従って、対向配置したロールと圧接して回転した場合に、当該端部のゴム層52の端面部52aに作用する膨出変形応力が軽減され、当該端面部およびその近傍のゴム層52が剛体芯ロール51の周面から剥離するのを防止することができる。
【0027】
定着用ゴムロールは、約200℃レベルの高温にして未定着トナー像を定着させる機能を必要とし、両端部を回転支持部56で支持して高温に加熱すると、シート材サイズがA3の場合で軸方向に1mm前後の伸びを生じ、剛体芯ロール51をガイドして回転支持する場合に、予めこの伸び分だけ軸方向にクリアランスを設けた支持構造に構成する必要がある。そこで、本実施形態においては、ゴム層52の端面部52aは、大径部51aの周面と側面部51cから軸方向に突出して形成するとともに、少なくとも軸方向に直角な平面部を有するように固着し、この平面部を基準として回転支持するように構成している。これにより、大きなクリアランスを設けなくても軸方向に伸びた分はゴム層端面部52aが圧縮されて吸収するので安定した支持が可能となる。
【0028】
また、図2および図4、図5に示すように、剛体芯ロール51の大径部51aと側面部51cの間の変曲部51d並びに側面部51cと小径部51bの間の変曲部51eの変曲部形状を、R形状または面取り形状等の滑らかな面で形成している。これにより、ゴム層52と剛体芯ロール51の固着関係において、大径部51aと小径部51bを連続して形成する側面部51cの面で固着強度が向上するばかりでなく、滑らかな面で形成した変曲部51dではゴム層52が膨出変形した時に剛体芯ロール51とゴム層52の固着関係が安定するので対向配置したロールと圧接回転した場合に、当該端部のゴム層52の端面部52aおよびその近傍のゴム層が剛体芯ロール51の周面から剥離するのを防止することができる。
【0029】
大径部51aの両端に連続して小径部51bを形成した剛体芯ロール51は、金属パイプ材に対してバルジ加工によって拡大するか、または絞り加工によって縮小させる塑性加工によって形成する。この方法によると大径部51aと側面部51cの間の変曲部51dの形状が不安定になる場合があるが、本実施形態のよに、ゴム層52を大径部51aの周面と大径部51aから連続して小径部51bを形成する側面部51cと小径部51bの周面の一部に渡って固着して構成すると、変曲部51d、51eは全てゴム層52の中に埋まってしまうので形状の制約が無い。
【0030】
定着用ゴムロールは、回転支持部51fとゴム層52を同心にして安定した回転をさせシート材の搬送スピードの安定性を確保することが重要であり、この回転支持部51fの精度を確保するために小径部51bの一部を切削または研削またはバニッシュ手段等の機械加工を施して仕上げることが好ましい。しかしながら、上記のような機械加工を施す場合に小径部51bから大径部51aに向かって連続した側面部51cの形状や変曲部51eの位置が不均一であると、上記機械加工の加工仕上がりの形状や位置が不安定になる場合がある。図4および図5において、51gは機械加工の仕上がり位置を示している。
【0031】
そこで、本実施形態のように、ゴム層52の端部を、少なくとも機械加工の仕上がり位置51gを含むように固着すると、当該不安定部は全てゴム層52の中に埋まってしまうので、ゴム層形成の制約条件がなくて極めて構造を簡単にすることができ、更に、製造上の管理要素がないので安価に製造することができる。
【0032】
なお、上記実施形態においては、熱定着ロール1および加圧ロール2をゴムロールとしているが、熱定着ロール1または加圧ロール2の少なくとも一つをゴムロールとしてもよい。また、上記実施形態においては耐熱ベルト3を備える定着装置に適用しているが、熱定着ロール1と加圧ロール2を直接、対向圧接する方式の定着装置にも適用してもよい。
【0033】
次に、図6により、上記の定着装置を搭載した画像形成装置の1実施形態について説明する。図中、10は画像形成装置、10aはハウジング、10bは扉体、11は紙搬送ユニット、15はクリーニング手段、17は像担持体、18は画像転写搬送手段、20は現像手段、21はスキャナ手段、30は給紙ユニット、50は定着手段、Wは露光ユニット、Dは画像形成ユニットを示す。
【0034】
図6において、画像形成装置10は、ハウジング10aと、ハウジング10aの上部に形成された排紙トレイ10cと、ハウジング10aの前面に開閉自在に装着された扉体10bを有し、ハウジング10a内には、露光ユニット(露光手段)W、画像形成ユニットD、画像転写搬送手段18を有する転写ベルトユニット29、給紙ユニット30が配設され、扉体10b内には紙搬送ユニット11が配設されている。各ユニットは、本体に対して着脱可能な構成であり、メンテナンス時等には一体的に取り外して修理または交換を行うことが可能な構成になっている。
【0035】
画像形成ユニットDは、複数(本実施形態では4つ)の異なる色の画像を形成する画像形成ステーションY(イェロー用),M(マゼンタ用),C(シアン用),K(ブラック用)を備えている。そして、各画像形成ステーションY,M,C,Kには、それぞれ、感光ドラムからなる像担持体17と、像担持体17の周囲に配設された、コロナ帯電手段からなる帯電手段19および現像手段20を有する。これら各画像形成ステーションY,M,C,Kは、転写ベルトユニット29の下側に斜めアーチ状のラインに沿って像担持体17が上向きになるように並列配置されている。なお、各画像形成ステーションY,M,C,Kの配置順序は任意である。
【0036】
転写ベルトユニット29は、ハウジング10aの下側に配設され図示しない駆動源により回転駆動される駆動ロール12と、駆動ロール12の斜め上方に配設される従動ロール13と、テンションロール14と、これら3本、少なくとも2本のロール間に張架されて図示矢印方向へ循環駆動される中間転写ベルトからなる画像転写搬送手段18と、画像転写搬送手段18の表面に当接するクリーニング手段15とを備えている。従動ロール13、テンションロール14および画像転写搬送手段18は、駆動ロール12に対して図で左側に傾斜する方向に配設され、これにより画像転写搬送手段18駆動時のベルト搬送方向が下向きになるベルト面18aが下方に位置し、搬送方向が上向きになるベルト面18bが上方に位置するようにされている。
【0037】
したがって、各画像形成ステーションY,M,C,Kも駆動ロール12に対して図で左側に傾斜する方向に配設されることになる。そして、像担持体17は、アーチ状のラインに沿って画像転写搬送手段18の搬送方向下向きのベルト面18aに接触され、図示矢印に示すように画像転写搬送手段18の搬送方向に回転駆動される。可撓性を有する無端スリーブ状の画像転写搬送手段18は、像担持体17に対して上側から被せるように略同一の巻き付け角度で接触させるため、像担持体17と画像転写搬送手段18との間の接触圧やニップ幅は、テンションロール14により画像転写搬送手段18に付与される張力、像担持体17の配置間隔、巻き付け角度(アーチの曲率)などを制御することにより調整することができる。
【0038】
駆動ロール12は、2次転写ロール39のバックアップロールを兼ねている。駆動ロール12の周面には、例えば厚さ3mm程度、体積抵抗率が105 Ω・cm以下のゴム層が形成されており、金属製の軸を介して接地することにより、2次転写ロール39を介して供給される2次転写バイアスの導電経路としている。このように駆動ロール12に高摩擦かつ衝撃吸収性を有するゴム層を設けることにより、2次転写部へシート材が進入する際の衝撃が画像転写搬送手段18に伝達しにくく、画質の劣化を防止することができる。また、駆動ロール12は、その径を従動ロール13、バックアップロール14の径より小さくすることにより、2次転写後のシート材がシート材自身の弾性力で剥離し易くすることができる。また、従動ロール13を後述するクリーニング手段15のバックアップロールとして兼用させている。
【0039】
なお、画像転写搬送手段18を駆動ロール12に対して図で右側に傾斜する方向に配設し、これに対応して各画像形成ステーションY,M,C,Kも駆動ロール12に対して図で右側に傾斜する方向に斜めアーチ状に沿って配設してもよい。
【0040】
クリーニング手段15は、搬送方向下向きのベルト面18a側に設けられ、二次転写後に画像転写搬送手段18の表面に残留しているトナーを除去するクリーニングブレード15aと、回収したトナーを搬送するトナー搬送部材15bを備えている。クリーニングブレード15aは、従動ロール13への画像転写搬送手段18の巻きかけ部において画像転写搬送手段18に当接されている。また、画像転写搬送手段18の裏面には、後述する各画像形成ステーションY,M,C,Kの像担持体17に対向して1次転写部材16が当接され、1次転写部材16には転写バイアスが印加されている。
【0041】
露光手段Wは、斜め方向に配設された画像形成ユニットDの斜め下方に形成された空間に配設されている。また、露光手段Wの下部でハウジング10aの底部には給紙ユニット30が配設されている。露光手段Wは、全体がケースに収納され、ケースは、搬送方向下向きのベルト面の斜め下方に形成される空間に配設されている。ケースの底部には、ポリゴンミラーモータ21a、ポリゴンミラー(回転多面鏡)21bからなる単一のスキャナ手段21を水平に配設されるとともに、各色の画像信号により変調される複数のレーザ光源23からのレーザビームをポリゴンミラー21bで反射させ各像担持体上に偏向走査する光学系Bには、単一のf−θレンズ22および各色の走査光路が像担持体17にそれぞれ非平行になって折り返すように複数の反射ミラー24が配設されている。
【0042】
上記構成からなる露光手段Wにおいては、ポリゴンミラー21bから各色に対応した画像信号が、共通のデータクロック周波数に基づいて変調形成されたレーザビームで射出され、f−θレンズ22、反射ミラー24を経て、各画像形成ステーションY,M,C,Kの像担持体17に照射され、潜像が形成される。反射ミラー24を設けることにより走査光路を屈曲させ、ケースの高さを低くすることが可能となり光学系のコンパクト化が可能となる。しかも、各画像形成ステーションY,M,C,Kの像担持体17への走査光路長は同一の長さになるように反射ミラー24が配置されている。このように各画像形成ユニットDに対する露光手段Wのポリゴンミラー21bから像担持体17までの光路の長さ(光路長)が略同一の長さになるように構成することにより、各光路で走査された光ビームの走査幅も略同一になり、画像信号の形成にも特別な構成を必要としない。したがって、レーザ光源は、それぞれ異なる画像信号によってそれぞれ異なった色の画像に対応して変調されるにも関わらず、共通のデータクロック周波数に基づいて変調形成可能であり、共通の反射面を用いるため副走査方向の相対差から生じる色ずれを防止し、構造が簡単で安価なカラー画像形成装置を構成できる。
【0043】
また、本実施形態においては、装置下方に走査光学系を配置することにより、画像形成手段の駆動系が装置を支持するフレームへ与える振動による走査光学系の振動を最小限にすることができ、画質の劣化を防止することができる。とくに、スキャナ手段21をケースの底部に配置することにより、ポリゴンモータ21a自身がケース全体に与える振動を最小限にすることができ、画質の劣化を防止することができる。また、振動源であるポリゴンモータ21aの数を一つにすることによりケース全体に与える振動を最小限にすることができる。
【0044】
給紙ユニット30は、シート材が積層保持されている給紙カセット35と、給紙カセット35からシート材を一枚ずつ給送するピックアップロール36を備えている。紙搬送ユニット11は、二次転写部へのシート材の給紙タイミングを規定するゲートロール対37(一方のロールはハウジング10a側に設けられている)と、駆動ロール12および画像転写搬送手段18に圧接される二次転写手段としての二次転写ロール39と、主記録媒体搬送路38と、定着手段50と、排紙ロール対41と、両面プリント用搬送路42を備えている。
【0045】
シート材に2次転写された2次画像(未定着トナー像)は、定着手段50の形成するニップ部で所定の温度で定着される。本例においては、転写ベルトの搬送方向上向きのベルト面18bの斜め上方に形成される空間、換言すれば、転写ベルトに対して画像形成ステーションと反対側の空間に定着手段50を配設することが可能になり、露光手段W、画像転写搬送手段18、画像形成手段への熱伝達を低減することができ、各色の色ずれ補正動作を行う頻度を少なくすることができる。特に、露光手段Wは、定着手段50から最も離れた位置にあり、走査光学系部品の熱による変位を最小限にすることができ、色ズレを防ぐことができる。
【0046】
本実施形態においては、画像転写搬送手段18を駆動ロール12に対して傾斜する方向に配設しているため、図で右側空間に広いスペースが生じその空間に定着手段50を配設することができ、コンパクト化を実現することができると共に、定着手段50で発生する熱が、左側に位置する露光ユニットW、画像転写搬送手段18および各画像形成ステーションY,M,C,Kへ伝達されるのを防止することができる。また、画像形成ユニットDの左側下部の空間に露光ユニットWを配置することができるため、画像形成手段の駆動系がハウジング10aへ与える振動による、露光ユニットWの走査光学系の振動を最小限に抑えることができ、画質の劣化を防止することができる。
【0047】
また、クリーニング手段を設置しないことに伴い、帯電手段としてはコロナ帯電手段19を採用している。帯電手段がロールである場合は、微量ではあるが像担持体17上に存在する1次転写残りトナーがロール上に堆積して帯電不良が発生するが、非接触帯電手段であるコロナ帯電手段19はトナーが付着しにくく、帯電不良の発生を防ぐことができる。
【0048】
また、本実施形態では、中間転写ベルトを画像転写搬送手段18として像担持体17に接触させる構成としたが、表面にシート材を吸着して搬送移動し、該シート材の表面にトナー像を順次重ねて転写して画像を形成搬送するシート材搬送ベルトを画像転写搬送手段18として像担持体17に接触させる構成としてもよい。この場合、画像転写搬送手段18であるシート材搬送ベルトのベルト搬送方向が像担持体17に接触する下面で逆方向の上向きになる。
【0049】
以上のような画像形成装置全体の作動の概要は次の通りである。
(1)図示しないホストコンピュータ等(パーソナルコンピュータ等)からの印字指令信号(画像形成信号)が画像形成装置10の制御ユニットに入力されると、各画像形成ステーションY,M,C,Kの像担持体17、現像手段20の各ロール、および画像転写搬送手段18が回転駆動される。
(2)像担持体17の外周面が帯電手段19によって一様に帯電される。
(3)各画像形成ステーションY,M,C,Kにおいて一様に帯電した像担持体17の外周面に、露光ユニットWによって各色の画像情報に応じた選択的な露光がなされ、各色用の静電潜像が形成される。
(4)それぞれの像担持体17に形成された静電潜像が現像手段20によりトナー像が現像される。
(5)画像転写搬送手段18の1次転写部材16には、トナーの帯電極性と逆極性の一次転写電圧が印加され、像担持体17上に形成されたトナー像が一次転写部において画像転写搬送手段18の移動に伴って順次、画像転写搬送手段18上に重ねて転写される。
(7)この1次画像を1次転写した画像転写搬送手段18の移動に同期して、給紙カセット35に収納されたシート材が、レジストロール対37を経て2次転写ロール39に給送される。
(8)1次転写画像は、2次転写部位でシート材と同期合流し、図示省略した押圧機構によって画像転写搬送手段18の駆動ロール12に向かって押圧された2次転写ロール39で、1次転写画像とは逆極性のバイアスが印加され、画像転写搬送手段18上に形成された1次転写画像は、同期給送されたシート材に2次転写される。
(9)2次転写に於ける転写残りのトナーは、従動ロール13方向へと搬送されて、このロール13に対向して配置したクリーニング手段15によって掻き取られ、そして、画像転写搬送手段18はリフレッシュされて再び上記サイクルの繰り返しを可能にされる。
(10)シート材が定着手段50を通過することによってシート材上のトナー像が定着し、その後、シート材が所定の位置に向け(両面印刷でない場合には排紙トレイ10cに向け、両面印刷の場合には両面プリント用搬送路42に向け)搬送される。
【0050】
以上、本発明の画像形成装置の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、従来公知または周知の画像形成装置に適用することが可能である。
【0051】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、剛体芯ロールの周面に固着形成したゴム層の端面部およびその近傍のゴム層が剛体芯ロールの周面から剥離するのを防止するとともに、単純な工程にして、また、製法不安定要因を排除して安価に製造することができる。
なお、本発明の効果は、これに限定されるものではなく、発明の詳細な説明全体の記載からも容易に推測することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る定着装置の1実施形態を示す断面図である。
【図2】図1のA−A線に沿って矢印方向に見た一部断面図である。
【図3】図2の回転時の状態を示す図である。
【図4】図2の熱定着ロールの一部拡大断面図である。
【図5】図2の加圧ロールの一部拡大断面図である。
【図6】本発明の画像形成装置の1実施形態を示す模式的断面図である。
【符号の説明】
1…熱定着ロール、2…加圧ロール、3…耐熱ベルト、4…ベルト張架部材
5…シート材、51…剛体芯ロール、51a…大径部、51b…小径部
51c…側面部、51d、51e…変曲部、52…ゴム層、52a…端面部
【産業上の利用分野】
本発明は、複写機やプリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関わり、特に定着用ゴムロールおよび該ゴムロールを用いた定着装置および該定着装置を搭載した画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
定着装置は、通常、加熱ロールと加圧ロールの少なくとも一方を弾性体、すなわちゴムロールとし、加熱ロールに加圧ロールを所定の圧力で圧接させてニップを形成し、加熱ロールと加圧ロールの間に未定着トナー像を有する転写材を通過させてトナー像を加熱定着するものであり、前記ゴムロールは、一般にゴムを剛体、即ち金属芯ロール周面に所定の厚さで熱加硫成形と同時に接着したものである。
【0003】
しかしながら、上記ゴムロールは、対向ロールに圧接して回転している関係上、その圧力によってゴムロール両端面が膨出変形し、長期の使用により端面およびその近傍のゴム層が芯ロール周面から剥がれるという問題がある。
【0004】
この問題を解決するために、特公平1−20745号公報においては、ゴムロールのゴム層端部から所定の長さ分だけテーパー形状に加工して形成し、対向配置したロールと圧接して回転させた場合に、このテーパー形状部が対向ロールと接触しないか又はロールの長手方向でこのテーパー形状部の内側での接触圧力に比較して軽微な接触圧力となって、ゴム層の端面部に作用する膨出変形圧力が軽減され、当該端面部およびその近傍のゴム層が剛体芯ロールの周面から剥離するという不具合を防止している。
【0005】
【特許文献1】特公平1−20745号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特公平1−20745号公報の方式は、ゴムロールの端面部およびその近傍のゴム層が剛体芯ロールの周面から剥離する不具合を防止するのには有効であるが、剛体芯ロール周面にゴム層をプレス加硫によって形成して所定の長さに切断し、そのゴム層端部から所定の長さ分だけテーパー形状に加工するための加工工程が複雑であるばかりでなく、弾性体のゴム層の加工は難易なものであり加工精度も好ましくないため、これを追求するとコストが増大するという問題を有している。
【0007】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであって、剛体芯ロールの周面に固着形成したゴム層の端面部およびその近傍のゴム層が剛体芯ロールの周面から剥離するのを防止するとともに、単純な工程にして、また、製法不安定要因を排除した安価な定着用ゴムロールおよび該ゴムロールを用いた定着装置および該定着装置を搭載した画像形成装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の定着用ゴムロールは、大径部の両端に連続して小径部を形成した剛体芯ロールの周面にゴム層を有する定着用ゴムロールにおいて、前記ゴム層は、前記大径部の周面と大径部から連続して小径部を形成する側面部と前記小径部の周面の一部に渡って固着したことを特徴とする。
また、前記ゴム層の端面部は、大径部の周面と側面部から軸方向に突出して形成するとともに、少なくとも軸方向に直角な平面部を有するように固着したことを特徴とする。
また、前記剛体芯ロールの大径部および小径部と側面部の間の変曲部の形状を滑らかな面で形成したことを特徴とする。
また、前記大径部の両端に連続して小径部を形成した剛体芯ロールは、金属パイプ材に対してバルジ加工によって拡大するか、または絞り加工によって縮小させる塑性加工によって形成することを特徴とする。
また、前記大径部の両端に連続して小径部を形成した剛体芯ロールは、前記小径部の一部を切削または研削またはバニッシュ手段等の機械加工を施して形成するとともに、ゴム層の端部を、機械加工を施して形成した一部を含むように固着したことを特徴とする。
また、加熱源を内蔵した熱定着ロールと、該熱定着ロールに押圧される加圧ロールとを備え、該熱定着ロールと加圧ロールとで形成するニップ部にシート材を通過させ、該シート材上に形成した未定着トナー像を定着する定着装置において、前記熱定着ロールおよび加圧ロールの少なくとも一方は、前記記載の定着用ゴムロールを用いることを特徴とする。
また、加熱源を内蔵した熱定着ロールと、該熱定着ロールに押圧される加圧ロールと、該加圧ロールの外周に捲着され前記熱定着ロールとの間に挟持されて移動する耐熱ベルトと、該耐熱ベルトを張架するベルト張架部材とを備え、前記熱定着ロールと耐熱ベルトとで形成するニップ部にシート材を通過させ、該シート材上に形成した未定着トナー像を定着する定着装置において、前記熱定着ロールおよび加圧ロールの少なくとも一方は、前記定着用ゴムロールを用いることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明に係る定着装置の1実施形態を示す断面図、図2および図3は、図1のA−A線に沿って矢印方向に見た一部断面図であり、図2は停止時の状態を示し図3は回転時の状態を示し、図4は図2の熱定着ロールの一部拡大断面図、図5は図2の加圧ロールの一部拡大断面図である。なお、図2および図3においては装置の右側部分を省略しているが、概略左右対称となっている。
【0010】
図1において、定着装置50は、概略、熱定着ロール1、加圧ロール2、耐熱ベルト3、ベルト張架部材4から構成されている。熱定着ロール1は、外径25mm程度、肉厚0.7mm程度の金属パイプ材を剛体芯ロール51として、その外周面に厚み0.4mm程度のゴム層52を固着して形成し、剛体芯ロール51の内部に加熱源53として1050W、2本の柱状ハロゲンランプを内蔵したものである。加圧ロール2は、外径25mm程度、肉厚0.7mm程度の金属パイプ材を剛体芯ロール51として、その外周面に厚み0.2mm程度のゴム層52を固着して形成し、熱定着ロール1と加圧ロール2の圧接力を10kg以下、ニップ長を10mm程度で構成し、熱定着ロール1に対向して配置し、図示矢印方向に回転可能にした構造になっている。
【0011】
本例によれば、熱定着ロール1および加圧ロール2の外径を25mm程度の小径に構成しているため、定着後のシート材が熱定着ロール1または耐熱ベルト3に巻き付くこともないので、シート材を強制的に剥がすための手段を不要にしている。また、熱定着ロール1のゴム層52の表層には約30μmのPFA層を設ければ、その分だけ剛性が向上してゴム層の厚みは異なるが、略均一な弾性変形をして所謂水平ニップが形成されて熱定着ロール1の周速に対して耐熱ベルト3またはシート材5の搬送速度に差異が生じることもなく、極めて安定した画像定着が可能となる。
【0012】
本例においては、熱定着ロール1の内部に2本の加熱源53を内蔵しており、このハロゲンランプの発熱エレメントを異なった配置に構成して選択的に点灯すると、後述する耐熱ベルト3が熱定着ロール1に巻き付いた定着ニップ部位とベルト張架部材4が熱定着ロール1に摺接する部位のような異なった条件や、幅の広いシート材と幅の狭いシート材とのように異なった条件下での温度コントロールを容易に行うことができる。
【0013】
耐熱ベルト3は、熱定着ロール1と加圧ロール2との間に挟持されて加圧ロール2とベルト張架部材4の外周に張架され移動可能になったエンドレスのベルトであり、0.03mm以上の厚みを有するステンレス管やニッケル電鋳管等の金属管、ポリイミドやシリコン等の耐熱樹脂等管で構成される。
【0014】
ベルト張架部材4は、熱定着ロール1と加圧ロール2のニップ部よりもシート材5搬送方向上流側に配設されるとともに、加圧ロール2の回転軸中心2aに対して矢印P方向に揺動可能に配設されている。ベルト張架部材4は、シート材5が定着ニップを非通過の状態において耐熱ベルト3を熱定着ロール1の接線方向に張架する構成にしている。シート材5が定着ニップに進入する初期位置で定着圧力が大きいと進入がスムーズに行われなくて、シート材先端に折れた状態で定着される場合があるが、耐熱ベルト3を熱定着ロール1の接線方向に張架する構成にすると、シート材5の進入がスムーズに成される導入口部が形成でき、安定したシート材の進入を可能にする。
【0015】
このベルト張架部材4は、耐熱ベルト3の内周に嵌挿して加圧ロール2と協働して耐熱ベルト3に張力fを付与すると共に、耐熱ベルト3を熱定着ロール1に巻き付けてニップを形成する位置に配置した、略半月状のベルト摺動部材(耐熱ベルト3はベルト張架部材4上を摺動する)である。ベルト張架部材4は、耐熱ベルト3が熱定着ロール1と加圧ロール2との押圧部接線Lより熱定着ロール1側に巻き付けてニップを形成する位置に配置される。突壁4aは、ベルト張架部材4の一端または両端に突設され、耐熱ベルト3が一方に寄った場合にこの突壁4aに当接して寄り規制を行うためのものである。突壁4aの熱定着ロール1と反対側端部と装置フレーム6間にスプリング7が配設され、これによりベルト張架部材4の突壁4aは熱定着ロール1に軽押圧され、ベルト張架部材4が熱定着ロール1に摺接して位置決めされる。
【0016】
耐熱ベルト3を加圧ロール2とベルト張架部材4により張架して加圧ロール2で安定して駆動するには、加圧ロール2と耐熱ベルト3との摩擦係数をベルト張架部材4と耐熱ベルト3との摩擦係数より大きく設定するとよいが、摩擦係数に関しては異物の侵入や摩耗などによって不安定になる場合がある。これに対し、加圧ロール2と耐熱ベルト3の巻き付け角よりベルト張架部材4と耐熱ベルト3の巻き付け角が小さくなるように、また、加圧ロール2の径よりベルト張架部材4の径が小さくなるように設定すると、耐熱ベルト3がベルト張架部材4を摺動する長さが短くなり、経時変化や外乱などに対する不安定要因から回避でき耐熱ベルト3を加圧ロールで安定して駆動することができる。
【0017】
クリーニング部材9は、加圧ロール2とベルト張架部材4との間に配置して、耐熱ベルト3の内周面に摺接して耐熱ベルト3の内周面の異物や摩耗粉等をクリーニングするものであり、このような異物や摩耗粉等をクリーニングすることで耐熱ベルト3をリフレッシュして不安定要因を除去している。
【0018】
シート材5は、ベルト張架部材4が熱定着ロール1に軽押圧される位置をニップ初期位置として耐熱ベルト3と熱定着ロール1との間を通過することで未定着トナー像5aが定着され、熱定着ロール1に加圧ロール2が押圧する位置をニップ終了位置として押圧部接線Lの方向に排出される。
【0019】
上記の定着装置50においては、耐熱ベルト3が必要最小限の経路で移動するので、耐熱ベルト3は、加熱源を内蔵して回転可能な熱定着ロール1とのニップ部で加熱され、所定の経路で移動する時に奪われる熱エネルギーを最小限に抑えることができると共に、周長が短いので、自然放熱による温度低下も少なく、電源オン時から所望の温度に到達して定着可能になるまでの所謂ウォーミングアップ時間の短縮が可能である。
【0020】
また、耐熱ベルト3は、加圧ロール2とベルト張架部材4の協働によって張力が付与されて熱定着ロール1に巻き付けてニップを形成しているので、容易にニップ長を長く構成することができ、構造が簡単になり小型で安価にすることができる。
【0021】
また、シート材5の上に形成した未定着トナー像5aを安定して定着するには、未定着トナー像5aを十分に溶融して定着することが必須であり、所望の温度と溶融時間を必要とするが、本発明による構成では、ニップ長を長く構成するために熱定着ロール1の表面に被覆した弾性体を大きく歪ませてニップ長を長くするような手段は必要ないので、弾性体の厚みは薄く構成可能である。しかも、弾性体を歪ませるために加圧ロール2の圧接圧力を大きく設定する必要もなく、未定着トナー像5aを担持したシート材5が熱定着ロール1と耐熱ベルト3の間を通過するときに通過するシート材5へのストレスが小さいので、未定着トナー像5aの定着後に排出されるシート材5に皺発生などのシート材変形が抑制される。
【0022】
したがって、熱ロール型定着装置の機械的剛性アップは不要であるばかりでなく、熱定着ロール1の薄肉厚化が可能であり、加熱源から耐熱ベルト3を加熱する加熱速度が向上する。また、加圧ロール2も同様に薄肉厚化が可能であり、熱容量を小さく構成できるので、耐熱ベルト3からの熱エネルギー吸収が小さく、電源オン時から所望の温度に到達して定着可能になるまでの所謂ウォーミングアップ時間の短縮が可能である。
【0023】
次に、図2により、熱定着ロール1と加圧ロール2の支持構造について説明する。なお、以下の説明において、各図面間で同一の構成については同一番号を付けて説明を省略する場合がある。
熱定着ロール1および加圧ロール2の剛体芯ロール51は、耐熱ベルト3の幅よりも大きい幅を有する大径部51aと、この大径部51aの両端に形成され大径部51aよりも小径の小径部51bと、大径部51aと小径部51b間に連続するように形成された側面部51cを有するように形成されている。
【0024】
熱定着ロール1および加圧ロール2の小径部51bには、ストップリング54が固定され、このストップリング54とゴム層52の間に断熱ブッシュ55が固定されている。そして、断熱ブッシュ55とフレーム6間にはベアリング56が配設され、これにより熱定着ロール1および加圧ロール2が回転自在に構成されている。
【0025】
加圧ロール2の小径部51bには、駆動ギヤ57が固定されるとともに、弾性接触部材59が固定され、一方、熱定着ロール1の小径部51bにも弾性接触部材60が固定され、駆動ギヤ57を図示しない駆動源に回転させることにより、加圧ロール2を回転させ、更に弾性接触部材59、60を経て熱定着ロール1を回転させる構成となっている。
【0026】
次に、図2〜図5により、定着用ゴムロールの構造について説明する。以下、熱定着ロール1と加圧ロール2を定着用ゴムロールという。定着用ゴムロールのゴム層52は、大径部51aの周面と、大径部51aから連続して小径部51bを形成する側面部51cと、小径部51bの周面の一部に渡って固着されている。これにより、従来のように大径部51aの周面のみにゴム層を固着した場合と比較して、固着強度を上げるばかりではなく、運転状態では図3のXに示すように、ゴム層52の厚みが大きくなるので膨出変形しやすくなり、従って、対向配置したロールと圧接して回転した場合に、当該端部のゴム層52の端面部52aに作用する膨出変形応力が軽減され、当該端面部およびその近傍のゴム層52が剛体芯ロール51の周面から剥離するのを防止することができる。
【0027】
定着用ゴムロールは、約200℃レベルの高温にして未定着トナー像を定着させる機能を必要とし、両端部を回転支持部56で支持して高温に加熱すると、シート材サイズがA3の場合で軸方向に1mm前後の伸びを生じ、剛体芯ロール51をガイドして回転支持する場合に、予めこの伸び分だけ軸方向にクリアランスを設けた支持構造に構成する必要がある。そこで、本実施形態においては、ゴム層52の端面部52aは、大径部51aの周面と側面部51cから軸方向に突出して形成するとともに、少なくとも軸方向に直角な平面部を有するように固着し、この平面部を基準として回転支持するように構成している。これにより、大きなクリアランスを設けなくても軸方向に伸びた分はゴム層端面部52aが圧縮されて吸収するので安定した支持が可能となる。
【0028】
また、図2および図4、図5に示すように、剛体芯ロール51の大径部51aと側面部51cの間の変曲部51d並びに側面部51cと小径部51bの間の変曲部51eの変曲部形状を、R形状または面取り形状等の滑らかな面で形成している。これにより、ゴム層52と剛体芯ロール51の固着関係において、大径部51aと小径部51bを連続して形成する側面部51cの面で固着強度が向上するばかりでなく、滑らかな面で形成した変曲部51dではゴム層52が膨出変形した時に剛体芯ロール51とゴム層52の固着関係が安定するので対向配置したロールと圧接回転した場合に、当該端部のゴム層52の端面部52aおよびその近傍のゴム層が剛体芯ロール51の周面から剥離するのを防止することができる。
【0029】
大径部51aの両端に連続して小径部51bを形成した剛体芯ロール51は、金属パイプ材に対してバルジ加工によって拡大するか、または絞り加工によって縮小させる塑性加工によって形成する。この方法によると大径部51aと側面部51cの間の変曲部51dの形状が不安定になる場合があるが、本実施形態のよに、ゴム層52を大径部51aの周面と大径部51aから連続して小径部51bを形成する側面部51cと小径部51bの周面の一部に渡って固着して構成すると、変曲部51d、51eは全てゴム層52の中に埋まってしまうので形状の制約が無い。
【0030】
定着用ゴムロールは、回転支持部51fとゴム層52を同心にして安定した回転をさせシート材の搬送スピードの安定性を確保することが重要であり、この回転支持部51fの精度を確保するために小径部51bの一部を切削または研削またはバニッシュ手段等の機械加工を施して仕上げることが好ましい。しかしながら、上記のような機械加工を施す場合に小径部51bから大径部51aに向かって連続した側面部51cの形状や変曲部51eの位置が不均一であると、上記機械加工の加工仕上がりの形状や位置が不安定になる場合がある。図4および図5において、51gは機械加工の仕上がり位置を示している。
【0031】
そこで、本実施形態のように、ゴム層52の端部を、少なくとも機械加工の仕上がり位置51gを含むように固着すると、当該不安定部は全てゴム層52の中に埋まってしまうので、ゴム層形成の制約条件がなくて極めて構造を簡単にすることができ、更に、製造上の管理要素がないので安価に製造することができる。
【0032】
なお、上記実施形態においては、熱定着ロール1および加圧ロール2をゴムロールとしているが、熱定着ロール1または加圧ロール2の少なくとも一つをゴムロールとしてもよい。また、上記実施形態においては耐熱ベルト3を備える定着装置に適用しているが、熱定着ロール1と加圧ロール2を直接、対向圧接する方式の定着装置にも適用してもよい。
【0033】
次に、図6により、上記の定着装置を搭載した画像形成装置の1実施形態について説明する。図中、10は画像形成装置、10aはハウジング、10bは扉体、11は紙搬送ユニット、15はクリーニング手段、17は像担持体、18は画像転写搬送手段、20は現像手段、21はスキャナ手段、30は給紙ユニット、50は定着手段、Wは露光ユニット、Dは画像形成ユニットを示す。
【0034】
図6において、画像形成装置10は、ハウジング10aと、ハウジング10aの上部に形成された排紙トレイ10cと、ハウジング10aの前面に開閉自在に装着された扉体10bを有し、ハウジング10a内には、露光ユニット(露光手段)W、画像形成ユニットD、画像転写搬送手段18を有する転写ベルトユニット29、給紙ユニット30が配設され、扉体10b内には紙搬送ユニット11が配設されている。各ユニットは、本体に対して着脱可能な構成であり、メンテナンス時等には一体的に取り外して修理または交換を行うことが可能な構成になっている。
【0035】
画像形成ユニットDは、複数(本実施形態では4つ)の異なる色の画像を形成する画像形成ステーションY(イェロー用),M(マゼンタ用),C(シアン用),K(ブラック用)を備えている。そして、各画像形成ステーションY,M,C,Kには、それぞれ、感光ドラムからなる像担持体17と、像担持体17の周囲に配設された、コロナ帯電手段からなる帯電手段19および現像手段20を有する。これら各画像形成ステーションY,M,C,Kは、転写ベルトユニット29の下側に斜めアーチ状のラインに沿って像担持体17が上向きになるように並列配置されている。なお、各画像形成ステーションY,M,C,Kの配置順序は任意である。
【0036】
転写ベルトユニット29は、ハウジング10aの下側に配設され図示しない駆動源により回転駆動される駆動ロール12と、駆動ロール12の斜め上方に配設される従動ロール13と、テンションロール14と、これら3本、少なくとも2本のロール間に張架されて図示矢印方向へ循環駆動される中間転写ベルトからなる画像転写搬送手段18と、画像転写搬送手段18の表面に当接するクリーニング手段15とを備えている。従動ロール13、テンションロール14および画像転写搬送手段18は、駆動ロール12に対して図で左側に傾斜する方向に配設され、これにより画像転写搬送手段18駆動時のベルト搬送方向が下向きになるベルト面18aが下方に位置し、搬送方向が上向きになるベルト面18bが上方に位置するようにされている。
【0037】
したがって、各画像形成ステーションY,M,C,Kも駆動ロール12に対して図で左側に傾斜する方向に配設されることになる。そして、像担持体17は、アーチ状のラインに沿って画像転写搬送手段18の搬送方向下向きのベルト面18aに接触され、図示矢印に示すように画像転写搬送手段18の搬送方向に回転駆動される。可撓性を有する無端スリーブ状の画像転写搬送手段18は、像担持体17に対して上側から被せるように略同一の巻き付け角度で接触させるため、像担持体17と画像転写搬送手段18との間の接触圧やニップ幅は、テンションロール14により画像転写搬送手段18に付与される張力、像担持体17の配置間隔、巻き付け角度(アーチの曲率)などを制御することにより調整することができる。
【0038】
駆動ロール12は、2次転写ロール39のバックアップロールを兼ねている。駆動ロール12の周面には、例えば厚さ3mm程度、体積抵抗率が105 Ω・cm以下のゴム層が形成されており、金属製の軸を介して接地することにより、2次転写ロール39を介して供給される2次転写バイアスの導電経路としている。このように駆動ロール12に高摩擦かつ衝撃吸収性を有するゴム層を設けることにより、2次転写部へシート材が進入する際の衝撃が画像転写搬送手段18に伝達しにくく、画質の劣化を防止することができる。また、駆動ロール12は、その径を従動ロール13、バックアップロール14の径より小さくすることにより、2次転写後のシート材がシート材自身の弾性力で剥離し易くすることができる。また、従動ロール13を後述するクリーニング手段15のバックアップロールとして兼用させている。
【0039】
なお、画像転写搬送手段18を駆動ロール12に対して図で右側に傾斜する方向に配設し、これに対応して各画像形成ステーションY,M,C,Kも駆動ロール12に対して図で右側に傾斜する方向に斜めアーチ状に沿って配設してもよい。
【0040】
クリーニング手段15は、搬送方向下向きのベルト面18a側に設けられ、二次転写後に画像転写搬送手段18の表面に残留しているトナーを除去するクリーニングブレード15aと、回収したトナーを搬送するトナー搬送部材15bを備えている。クリーニングブレード15aは、従動ロール13への画像転写搬送手段18の巻きかけ部において画像転写搬送手段18に当接されている。また、画像転写搬送手段18の裏面には、後述する各画像形成ステーションY,M,C,Kの像担持体17に対向して1次転写部材16が当接され、1次転写部材16には転写バイアスが印加されている。
【0041】
露光手段Wは、斜め方向に配設された画像形成ユニットDの斜め下方に形成された空間に配設されている。また、露光手段Wの下部でハウジング10aの底部には給紙ユニット30が配設されている。露光手段Wは、全体がケースに収納され、ケースは、搬送方向下向きのベルト面の斜め下方に形成される空間に配設されている。ケースの底部には、ポリゴンミラーモータ21a、ポリゴンミラー(回転多面鏡)21bからなる単一のスキャナ手段21を水平に配設されるとともに、各色の画像信号により変調される複数のレーザ光源23からのレーザビームをポリゴンミラー21bで反射させ各像担持体上に偏向走査する光学系Bには、単一のf−θレンズ22および各色の走査光路が像担持体17にそれぞれ非平行になって折り返すように複数の反射ミラー24が配設されている。
【0042】
上記構成からなる露光手段Wにおいては、ポリゴンミラー21bから各色に対応した画像信号が、共通のデータクロック周波数に基づいて変調形成されたレーザビームで射出され、f−θレンズ22、反射ミラー24を経て、各画像形成ステーションY,M,C,Kの像担持体17に照射され、潜像が形成される。反射ミラー24を設けることにより走査光路を屈曲させ、ケースの高さを低くすることが可能となり光学系のコンパクト化が可能となる。しかも、各画像形成ステーションY,M,C,Kの像担持体17への走査光路長は同一の長さになるように反射ミラー24が配置されている。このように各画像形成ユニットDに対する露光手段Wのポリゴンミラー21bから像担持体17までの光路の長さ(光路長)が略同一の長さになるように構成することにより、各光路で走査された光ビームの走査幅も略同一になり、画像信号の形成にも特別な構成を必要としない。したがって、レーザ光源は、それぞれ異なる画像信号によってそれぞれ異なった色の画像に対応して変調されるにも関わらず、共通のデータクロック周波数に基づいて変調形成可能であり、共通の反射面を用いるため副走査方向の相対差から生じる色ずれを防止し、構造が簡単で安価なカラー画像形成装置を構成できる。
【0043】
また、本実施形態においては、装置下方に走査光学系を配置することにより、画像形成手段の駆動系が装置を支持するフレームへ与える振動による走査光学系の振動を最小限にすることができ、画質の劣化を防止することができる。とくに、スキャナ手段21をケースの底部に配置することにより、ポリゴンモータ21a自身がケース全体に与える振動を最小限にすることができ、画質の劣化を防止することができる。また、振動源であるポリゴンモータ21aの数を一つにすることによりケース全体に与える振動を最小限にすることができる。
【0044】
給紙ユニット30は、シート材が積層保持されている給紙カセット35と、給紙カセット35からシート材を一枚ずつ給送するピックアップロール36を備えている。紙搬送ユニット11は、二次転写部へのシート材の給紙タイミングを規定するゲートロール対37(一方のロールはハウジング10a側に設けられている)と、駆動ロール12および画像転写搬送手段18に圧接される二次転写手段としての二次転写ロール39と、主記録媒体搬送路38と、定着手段50と、排紙ロール対41と、両面プリント用搬送路42を備えている。
【0045】
シート材に2次転写された2次画像(未定着トナー像)は、定着手段50の形成するニップ部で所定の温度で定着される。本例においては、転写ベルトの搬送方向上向きのベルト面18bの斜め上方に形成される空間、換言すれば、転写ベルトに対して画像形成ステーションと反対側の空間に定着手段50を配設することが可能になり、露光手段W、画像転写搬送手段18、画像形成手段への熱伝達を低減することができ、各色の色ずれ補正動作を行う頻度を少なくすることができる。特に、露光手段Wは、定着手段50から最も離れた位置にあり、走査光学系部品の熱による変位を最小限にすることができ、色ズレを防ぐことができる。
【0046】
本実施形態においては、画像転写搬送手段18を駆動ロール12に対して傾斜する方向に配設しているため、図で右側空間に広いスペースが生じその空間に定着手段50を配設することができ、コンパクト化を実現することができると共に、定着手段50で発生する熱が、左側に位置する露光ユニットW、画像転写搬送手段18および各画像形成ステーションY,M,C,Kへ伝達されるのを防止することができる。また、画像形成ユニットDの左側下部の空間に露光ユニットWを配置することができるため、画像形成手段の駆動系がハウジング10aへ与える振動による、露光ユニットWの走査光学系の振動を最小限に抑えることができ、画質の劣化を防止することができる。
【0047】
また、クリーニング手段を設置しないことに伴い、帯電手段としてはコロナ帯電手段19を採用している。帯電手段がロールである場合は、微量ではあるが像担持体17上に存在する1次転写残りトナーがロール上に堆積して帯電不良が発生するが、非接触帯電手段であるコロナ帯電手段19はトナーが付着しにくく、帯電不良の発生を防ぐことができる。
【0048】
また、本実施形態では、中間転写ベルトを画像転写搬送手段18として像担持体17に接触させる構成としたが、表面にシート材を吸着して搬送移動し、該シート材の表面にトナー像を順次重ねて転写して画像を形成搬送するシート材搬送ベルトを画像転写搬送手段18として像担持体17に接触させる構成としてもよい。この場合、画像転写搬送手段18であるシート材搬送ベルトのベルト搬送方向が像担持体17に接触する下面で逆方向の上向きになる。
【0049】
以上のような画像形成装置全体の作動の概要は次の通りである。
(1)図示しないホストコンピュータ等(パーソナルコンピュータ等)からの印字指令信号(画像形成信号)が画像形成装置10の制御ユニットに入力されると、各画像形成ステーションY,M,C,Kの像担持体17、現像手段20の各ロール、および画像転写搬送手段18が回転駆動される。
(2)像担持体17の外周面が帯電手段19によって一様に帯電される。
(3)各画像形成ステーションY,M,C,Kにおいて一様に帯電した像担持体17の外周面に、露光ユニットWによって各色の画像情報に応じた選択的な露光がなされ、各色用の静電潜像が形成される。
(4)それぞれの像担持体17に形成された静電潜像が現像手段20によりトナー像が現像される。
(5)画像転写搬送手段18の1次転写部材16には、トナーの帯電極性と逆極性の一次転写電圧が印加され、像担持体17上に形成されたトナー像が一次転写部において画像転写搬送手段18の移動に伴って順次、画像転写搬送手段18上に重ねて転写される。
(7)この1次画像を1次転写した画像転写搬送手段18の移動に同期して、給紙カセット35に収納されたシート材が、レジストロール対37を経て2次転写ロール39に給送される。
(8)1次転写画像は、2次転写部位でシート材と同期合流し、図示省略した押圧機構によって画像転写搬送手段18の駆動ロール12に向かって押圧された2次転写ロール39で、1次転写画像とは逆極性のバイアスが印加され、画像転写搬送手段18上に形成された1次転写画像は、同期給送されたシート材に2次転写される。
(9)2次転写に於ける転写残りのトナーは、従動ロール13方向へと搬送されて、このロール13に対向して配置したクリーニング手段15によって掻き取られ、そして、画像転写搬送手段18はリフレッシュされて再び上記サイクルの繰り返しを可能にされる。
(10)シート材が定着手段50を通過することによってシート材上のトナー像が定着し、その後、シート材が所定の位置に向け(両面印刷でない場合には排紙トレイ10cに向け、両面印刷の場合には両面プリント用搬送路42に向け)搬送される。
【0050】
以上、本発明の画像形成装置の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、従来公知または周知の画像形成装置に適用することが可能である。
【0051】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、剛体芯ロールの周面に固着形成したゴム層の端面部およびその近傍のゴム層が剛体芯ロールの周面から剥離するのを防止するとともに、単純な工程にして、また、製法不安定要因を排除して安価に製造することができる。
なお、本発明の効果は、これに限定されるものではなく、発明の詳細な説明全体の記載からも容易に推測することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る定着装置の1実施形態を示す断面図である。
【図2】図1のA−A線に沿って矢印方向に見た一部断面図である。
【図3】図2の回転時の状態を示す図である。
【図4】図2の熱定着ロールの一部拡大断面図である。
【図5】図2の加圧ロールの一部拡大断面図である。
【図6】本発明の画像形成装置の1実施形態を示す模式的断面図である。
【符号の説明】
1…熱定着ロール、2…加圧ロール、3…耐熱ベルト、4…ベルト張架部材
5…シート材、51…剛体芯ロール、51a…大径部、51b…小径部
51c…側面部、51d、51e…変曲部、52…ゴム層、52a…端面部
Claims (8)
- 大径部の両端に連続して小径部を形成した剛体芯ロールの周面にゴム層を有する定着用ゴムロールにおいて、前記ゴム層は、前記大径部の周面と大径部から連続して小径部を形成する側面部と前記小径部の周面の一部に渡って固着したことを特徴とする定着用ゴムロール。
- 前記ゴム層の端面部は、大径部の周面と側面部から軸方向に突出して形成するとともに、少なくとも軸方向に直角な平面部を有するように固着したことを特徴とする請求項1記載の定着用ゴムロール。
- 前記剛体芯ロールの大径部および小径部と側面部の間の変曲部の形状を滑らかな面で形成したことを特徴とする請求項1または2記載の定着用ゴムロール。
- 前記大径部の両端に連続して小径部を形成した剛体芯ロールは、金属パイプ材に対してバルジ加工によって拡大するか、または絞り加工によって縮小させる塑性加工によって形成することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の定着用ゴムロール。
- 前記大径部の両端に連続して小径部を形成した剛体芯ロールは、前記小径部の一部を切削または研削またはバニッシュ手段等の機械加工を施して形成するとともに、ゴム層の端部を、機械加工を施して形成した部分の一部を含むように固着したことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の定着用ゴムロール。
- 加熱源を内蔵した熱定着ロールと、該熱定着ロールに押圧される加圧ロールとを備え、該熱定着ロールと加圧ロールとで形成するニップ部にシート材を通過させ、該シート材上に形成した未定着トナー像を定着する定着装置において、前記熱定着ロールおよび加圧ロールの少なくとも一方は、請求項1ないし5のいずれかに記載の定着用ゴムロールを用いることを特徴とする定着装置。
- 加熱源を内蔵した熱定着ロールと、該熱定着ロールに押圧される加圧ロールと、該加圧ロールの外周に捲着され前記熱定着ロールとの間に挟持されて移動する耐熱ベルトと、該耐熱ベルトを張架するベルト張架部材とを備え、前記熱定着ロールと耐熱ベルトとで形成するニップ部にシート材を通過させ、該シート材上に形成した未定着トナー像を定着する定着装置において、前記熱定着ロールおよび加圧ロールの少なくとも一方は、請求項1ないし5のいずれかに記載の定着用ゴムロールを用いることを特徴とする定着装置。
- 請求項6または7記載の定着装置を搭載した画像形成装置。
Priority Applications (2)
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US10/764,487 US7383008B2 (en) | 2003-01-28 | 2004-01-27 | Fixing rubber roller, fixing device and image forming apparatus incorporating the same |
Applications Claiming Priority (1)
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Family Applications (1)
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2009133984A (ja) * | 2007-11-29 | 2009-06-18 | Kyocera Mita Corp | ベルト式定着装置 |
-
2003
- 2003-01-30 JP JP2003021700A patent/JP2004233625A/ja active Pending
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