JP2004233321A - 水素残量検出方法及びその装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】水素貯蔵物質が膜状又はタンクへの収容状態で単独に備えられ、この水素貯蔵物質の水素貯蔵に伴う体積変化を水素貯蔵量に変換するものであり、水素貯蔵物質の粉粒が連結・保形されていないため、長期間にわたつて正確な水素残量を測定することが困難である。
【解決手段】検出用水素貯蔵物質16aと水素透過性を有するゴム質弾性体16bとを混合して成形されて水素貯蔵タンク1側に固定され、先端側に指針37を有する混合成形体16と、水素貯蔵タンク1側に固定する目盛部材38とを有する水素残量検出装置を用い、混合成形体16を水素貯蔵タンク1内に設け、水素吸蔵量に応じて混合成形体16を膨張・収縮させ、移動する指針37が指示する目盛部材38の目盛りを読み取ることにより、水素貯蔵タンク1内の水素貯蔵物質2の水素残量を検出する。
【選択図】 図1
【解決手段】検出用水素貯蔵物質16aと水素透過性を有するゴム質弾性体16bとを混合して成形されて水素貯蔵タンク1側に固定され、先端側に指針37を有する混合成形体16と、水素貯蔵タンク1側に固定する目盛部材38とを有する水素残量検出装置を用い、混合成形体16を水素貯蔵タンク1内に設け、水素吸蔵量に応じて混合成形体16を膨張・収縮させ、移動する指針37が指示する目盛部材38の目盛りを読み取ることにより、水素貯蔵タンク1内の水素貯蔵物質2の水素残量を検出する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水素残量検出方法及びその装置に関するものであり、詳しくは水素貯蔵タンクに収容した水素貯蔵物質の水素残量を検出する方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術及びその課題】
この種の従来の水素残量検出装置として、膜状の水素貯蔵物質と歪ゲージとを絶縁体としてのポリアミド樹脂層を介して連結させて設け、水素貯蔵物質が水素濃度に応じて体積変化することを歪ゲージの歪量として電気的又は機械的に変換して測定するものが知られている(特開平1−307636)。
【0003】
これは、水素貯蔵物質が水素を吸蔵するに従つて体積膨張し、歪ゲージに歪力として作用し、歪ゲージが電気的出力又は機械的出力を示すことを利用するものである。この歪ゲージによる出力は水素貯蔵物質の水素吸蔵量と相関関係を有しているから、出力と水素吸蔵量(水素濃度)の基準データと照会することにより、雰囲気の水素濃度が判定される、としている。
【0004】
また、従来の水素残量検出装置として、水素貯蔵物質を収容する水素貯蔵タンクの外壁に歪ゲージを貼り付け、残存水素量に応じた水素貯蔵物質の体積変化に伴う水素貯蔵タンクの外壁の応力、歪みの変化から残存水素量を測定するものも知られている(特開平6−66787)。
【0005】
これらの従来の水素残量検出装置は、水素貯蔵物質が膜状又はタンクへの収容状態で単独に備えられ、この水素貯蔵物質の水素貯蔵に伴う体積変化から水素貯蔵量を求めるものであり、水素貯蔵物質の粉粒同士を弾性的に連結して保形させていないため、長期間にわたつて正確な水素残量を測定することが困難であるという技術的課題を有している。
【0006】
すなわち、水素貯蔵物質は水素の吸収によつて単位格子の体積が20〜30%膨張することに起因して、微粉化現象が生じ、また、その粒度は吸放出の繰り返しによつて次第に細かくなることが知られている。そして、水素の繰り返し吸放出に伴う粒度変化は、水素貯蔵物質の膜状の維持を困難とし、或いはタンク内で体積が増える現象を引き起こす。このため、単純な水素吸蔵による体積膨張だけを検出することができなくなり、長期間にわたつて正確な水素残量を測定することができない。
【0007】
長期間にわたつて水素残量を正確に測定するためには、膜状の水素貯蔵物質を使用するものにあつては歪ゲージと共に新たなものと交換する必要があり、また、水素貯蔵タンクの外壁に歪ゲージを貼り付けるものにあつては水素貯蔵物質の微粉化に伴う体積増加による水素貯蔵タンクの外壁の応力、歪みの変化を補正する必要があり、水素残量が零のときにリセットするなどの作業を伴う。なお、特開平5−223012、特許2737082及び特開平6−249777に記載される水素残量検出方法にあつても水素貯蔵物質の水素吸蔵に伴う体積変化から水素貯蔵量を求めるものであり、同様の技術的課題を有している。
【0008】
また、従来の水素残量検出装置として、水素貯蔵時の水素貯蔵物質自体の電気抵抗の変化を貯蔵量に変換する方法(特開平4−104037)、水素貯蔵時の水素貯蔵物質の温度変化を貯蔵量に変換する方法(特開平2−198346)、及び水素貯蔵タンクの圧力変化を直接読み取る方法(特開平6−193480)、水素貯蔵物質の水素吸蔵に伴う体積変化を光ファイバーのつぶれ量として検出し、水素貯蔵量に変換するもの(特開平6−249777)も知られている。
【0009】
しかしながら、水素貯蔵物質自体の電気抵抗の変化を貯蔵量に変換する方法にあつては、一定電流が流れるように水素貯蔵物質の薄膜等からなる抵抗体が反復使用できる連続体でなければならないが、水素貯蔵物質は水素の吸・放出を繰り返すと体積膨張により微粉化し連続性が次第に失われてしまう。これにより、電気抵抗を正確に測定できなくなり、著しい場合には断線状態になつたり、電極の剥離が起こることで電流が流れなくなるという不具合が生じてしまう。水素貯蔵物質の表面に水素透過性金属箔を凝着させたとしても、金属箔の内部で体積膨張及び微粉化を生じ水素貯蔵物質自体の良好な連続性が失われてしまう。
【0010】
水素貯蔵時の水素貯蔵物質の温度変化を貯蔵量に変換する方法にあつては、水素貯蔵物質が水素を吸収するときに発熱し、放出するときに放熱するため、これらのときには温度変化が明確に起こるが、ある温度で放出を止めれば反応が起こらなくなり温度変化も生じなくなる。従つて、水素貯蔵物質中の水素を連続的に吸・放出しているときには温度によつて水素残量をモニターできるが、スタート・ストップを繰り返すような場合にはモニターできなくなり、発熱量を積算するなどの工夫が必要となり、好ましくない。
【0011】
また、水素貯蔵タンクの圧力変化を直接読み取る方法にあつては、水素貯蔵物質が固溶状態から水素化物を除々に生成していく過程で固溶と水素化物相とが混在した状態のとき、所定の圧力で平衡圧が一定となる長いプラトー領域をもつことから、その範囲では圧力が一定となり、検出できなくなる。このため、圧力変化が顕著になるプラトー圧の両側、つまりほぼ水素化物のみとなる満タン状態の検出とほぼ固溶のみとなる残量が少ない状態の検出しかできない。但し、水素貯蔵物質の組成を少し変えるなどしてこのプラトー圧に傾きを与えた場合には、プラトー領域においても直接水素残量を検出可能になるが、傾きが少ない場合には検出に精度が求められ、逆に傾きが多い場合には水素貯蔵物質の性能悪化になるのであまり好ましくない。
【0012】
また、水素貯蔵物質の水素吸蔵に伴う体積変化を光ファイバーのつぶれ量として検出し、水素貯蔵量に変換するもの(特開平6−249777)にあつては、焼結フィルターの内部に、外周をゴムによつて被覆した光ファイバーを挿入し、このゴムと焼結フィルターとで区画される収納空間に水素貯蔵物質粒子を貯蔵するものである。従つて、水素貯蔵物質の水素吸蔵に伴う体積変化から水素貯蔵量を求めるものであり、水素貯蔵物質の微粉化に伴う体積増加を生じると共に、水素貯蔵物質の粉粒同士を弾性的に連結して保形させていないため、長期間にわたつて正確な水素残量を測定することが困難であるという上記の技術的課題を有している。
【0013】
本発明は、上記のような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、検出用水素貯蔵物質と水素透過性を有するゴム質弾性体とを混合して成形させた混合成形体を用い、検出用水素貯蔵物質の水素吸蔵に伴う混合成形体の膨張・収縮量(体積変化)を機械量又は電気量の変化として利用することにより、耐久性及び精度に優れる水素残量検出方法及びその装置を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような従来の技術的課題に鑑みてなされたもので、その構成は、次の通りである。
請求項1の発明は、水素貯蔵タンク1の内部に収容され、水素を吸蔵・放出する水素貯蔵物質2の水素残量検出方法であつて、
検出用水素貯蔵物質16aと水素透過性を有するゴム質弾性体16bとを混合して成形されて水素貯蔵タンク1側に固定され、先端側に指針37を有する混合成形体16と、水素貯蔵タンク1側に設ける目盛部材38とを有する水素残量検出装置を用い、
混合成形体16を該水素貯蔵タンク1内に設け、混合成形体16による水素吸蔵量に応じて混合成形体16を膨張・収縮させ、移動する指針37が指示する目盛部材38の目盛りを読み取ることにより、該水素貯蔵タンク1内の水素貯蔵物質2の水素残量を検出することを特徴とする水素残量検出方法である。
請求項2の発明は、水素貯蔵タンク1の内部に収容され、水素を吸蔵・放出する水素貯蔵物質2の水素残量検出装置であつて、
該水素残量検出装置が、水素貯蔵タンク1内に設けられ、検出用水素貯蔵物質16aと水素透過性を有するゴム質弾性体16bとを混合して成形されて水素貯蔵タンク1側に固定される混合成形体16と、混合成形体16の先端側に設ける指針37と、水素貯蔵タンク1側に設ける目盛部材38とを有し、
水素吸蔵量に応じた混合成形体16の膨張・収縮量によつて変位する指針37の指示により、目盛部材38の目盛りを読み取つて該水素貯蔵タンク1内の水素貯蔵物質2の水素残量を検出することを特徴とする水素残量検出装置である。
請求項3の発明は、前記混合成形体16が、水素貯蔵タンク1の内部に連通する通孔Pを有し、弾性的変形が可能な容器35a,35b,35c,35d内に充填され、かつ、指針37が容器35a,35b,35c,35dに設けられていることを特徴とする請求項2の水素残量検出装置である。
請求項4の発明は、前記混合成形体16と指針37との間に拡大機構(40,42)が介在され、混合成形体16の膨張・収縮量が拡大されて指針37に伝達されることを特徴とする請求項2又は3の水素残量検出装置である。
なお、検出用水素貯蔵物質16aは、水素貯蔵タンク1に収容する水素貯蔵物質2と同一種類であつても良いし、水素貯蔵タンク1に収容する水素貯蔵物質2と異なる種類であつても良い。
請求項5の発明は、水素貯蔵タンク1の内部に収容され、水素を吸蔵・放出する水素貯蔵物質2の水素残量検出方法であつて、
検出用水素貯蔵物質16aと水素透過性を有するゴム質弾性体16bとを混合して成形させた混合成形体16を該水素貯蔵タンク1内に設け、水素吸蔵量に応じた混合成形体16の膨張・収縮量を変換装置53に作用させて電気量に変換し、該電気量の値から、該水素貯蔵タンク1内の水素貯蔵物質2の水素残量を検出することを特徴とする水素残量検出方法である。
請求項6の発明は、水素貯蔵タンク1の内部に収容され、水素を吸蔵・放出する水素貯蔵物質2の水素残量検出装置であつて、
該水素残量検出装置が、水素貯蔵タンク1内に設けられ、検出用水素貯蔵物質16aと水素透過性を有するゴム質弾性体16bとを混合して成形させた混合成形体16と、水素吸蔵量に応じた混合成形体16の膨張・収縮量を作用させて電気量に変換する変換装置53とを有し、
該変換装置53に基づく電気量の値から、該水素貯蔵タンク1内の水素貯蔵物質2の水素残量を検出することを特徴とする水素残量検出装置である。
請求項7の発明は、前記変換装置53が歪ゲージ51を有し、歪ゲージ51に基づく電気量の値から、前記水素貯蔵タンク1内の水素貯蔵物質2の水素残量を検出することを特徴とする請求項6の水素残量検出装置である。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1〜図7は、本発明に係る水素残量検出装置の第1実施の形態を示す。図1中において符号1は水素貯蔵タンクを示し、タンク1の内部には、粉粒状の合金からなる水素貯蔵物質2が所定量収容され、一部(図上で上部)に空間部1aを形成している。水素貯蔵タンク1には、空間部1aに位置させて、バルブ4及びレギュレータ24を備える水素流入ライン5並びにバルブ7及びレギュレータ27を備える水素放出ライン8の一端が接続されている。バルブ7の開放によつて水素放出ライン8から流出した水素ガスは、レギュレータ27によつて圧力(又は流量)が調節されながら水素利用装置9、例えば燃料電池、エンジン等に供給されて消費される。水素流入ライン5の他端は、水素ボンベや炭化水素の改質システム等からなる水素源10に接続され、バルブ4の開放により、水素源10内の水素ガスがレギュレータ24によつて圧力(又は流量)が調節されながら水素流入ライン5を通じてタンク1内に流入し、水素貯蔵物質2に補給される。
【0016】
このため、水素貯蔵タンク1には内部を可及的均一に加熱及び冷却する加熱・冷却手段12が付属され、加熱・冷却手段12によつて水素貯蔵物質2を所定温度に加熱することにより、水素貯蔵物質2から水素を放出させ、また、加熱・冷却手段12によつて水素貯蔵物質2を所定温度に冷却することにより、水素貯蔵物質2に水素を吸蔵させることができるようになつている。但し、水素貯蔵物質2が、大気との熱交換で水素放出の熱量がまかなえる場合は、加熱手段を省略することができ、また、大気との熱交換で水素吸蔵の熱量がまかなえる場合は、冷却手段を省略することができる。
【0017】
この水素貯蔵タンク1の空間部1aには、水素貯蔵物質2と常時、つまり水素貯蔵物質2が充分に水素を吸蔵して結晶格子が膨張して体積が増加した状態であつても、非接触状態となるように水素残量検出装置34を設ける。
【0018】
水素残量検出装置34は、基端が水素貯蔵タンク1の内壁側に固定され、水素吸蔵量(水素残量)に応じて膨張・収縮する混合成形体16と、混合成形体16の先端側に取付けた指針37と、水素貯蔵タンク1の内壁側に取付けた目盛部材38とを有する。目盛部材38は、水素貯蔵物質2の水素残量に応じた目盛りを有している。目盛部材38の目盛り(数値)に対応する箇所のタンク1は、透明壁部1bによつて形成され、指針37が指示する目盛部材38の目盛りを透明壁部1bを通して外部から目視することができるようになつている。
【0019】
混合成形体16は、検出用水素貯蔵物質16aと水素透過性を有するゴム質弾性体16bとを混合し、その後、所定形状に成形したものである。すなわち、混合成形体16は、粉粒状の合金からなる検出用水素貯蔵物質16aと水素透過性を有するゴム質弾性体16bの原料とを混合させて棒状に形成したものであり、水素透過性を有するエラストマー又は天然ゴムの少なくとも一方に水素貯蔵物質2と同種の検出用水素貯蔵物質16aを混合させて練り合わせ、成形・固化させてある。従つて、検出用水素貯蔵物質16aの粉粒は、図2に拡大して示すようにゴム質弾性体16bによつて弾性的に連結され、ほぼ1粒毎にゴム質弾性体16bに弾性的に保持されている。
【0020】
ゴム質弾性体16bとしては、水素透過性の点からシリコーンゴムが適しているが、エラストマー又は天然ゴムを広く採用することができる。ゴム質弾性体16bは、連通孔を有する多孔質体からなるものとして、水素ガスとの接触面積を増加させることも可能であり、ゴム質弾性体16bの原料に粉粒状の合金からなる検出用水素貯蔵物質16aを混合させて練り合わせた後に発泡させ、可及的に小さな連通孔を有する多孔質体からなるゴム質弾性体16bを成形・固化させ、検出用水素貯蔵物質16aに至る水素透過を促してもよい。また、混合成形体16は、同一種類のものを複数個束ね、検出用水素貯蔵物質16aに至る水素透過を促すと共に、強度を向上させることも可能である。この混合成形体16は、水素残量検出装置34の本体を構成している。
【0021】
次に、作用について説明する。水素貯蔵タンク1内の水素貯蔵物質2に充分に水素ガスが吸蔵された状態で、加熱・冷却手段12によつて水素貯蔵物質2を所定温度に加熱して水素貯蔵物質2から水素を放出させ、水素放出ライン8から水素利用装置9に水素ガスを供給し、水素が消費されると、水素貯蔵物質2の水素吸蔵量が次第に減少する。このとき、加熱・冷却手段12によつて水素貯蔵タンク1内が可及的均一な所定温度に加熱されているから、空間部1aに位置する水素残量検出装置34の検出用水素貯蔵物質16aもほぼ同様の温度環境下にある。従つて、水素貯蔵物質2の水素吸蔵量が減少すると、水素貯蔵タンク1の空間部1aに配置した水素残量検出装置34の検出用水素貯蔵物質16aも水素を放出し、その水素吸蔵量も同様に減少する。
【0022】
これにより、検出用水素貯蔵物質16aの体積が減少し、ゴム質弾性体16bが固化時に戻るように弾性的に収縮するので、混合成形体16が収縮し、混合成形体16の先端に取付けた指針37の位置が移動する。図1上で混合成形体16は左端を水素貯蔵タンク1の内壁に固設し、右側の自由端に指針37を取付けてあるので、指針37の位置が左方に移動する。なお、例えば単位時間当たりの消費が少ない燃料電池に水素を供給する場合には、水素貯蔵物質2の体積変動が緩徐になされるため、水素透過性を有するゴム質弾性体16bを介してなされる検出用水素貯蔵物質16aの体積変動も、時間的遅れをほとんど生ずることなく、良好に追従してなされる。
【0023】
加熱・冷却手段12によつて水素貯蔵物質2を所定温度に冷却しながら、水素源10内の水素ガスを水素流入ライン5を通じて水素貯蔵タンク1内の水素貯蔵物質2に補給すれば、水素貯蔵物質2の水素吸蔵量が次第に増加し、水素貯蔵タンク1の空間部1aに配置した水素残量検出装置34の検出用水素貯蔵物質16aの水素吸蔵量も同様に増加する。これにより、検出用水素貯蔵物質16aの体積が増大し、ゴム質弾性体16bが弾性的に膨張するので、混合成形体16が膨張し、混合成形体16の先端に取付けた指針37の位置が移動する。
【0024】
かくして、各混合成形体16の所定の体積変化状態において、指針37が指し示す目盛部材38の目盛り(数値)を水素貯蔵タンク1の透明壁部1bを通して目視にて読み取ることにより、水素貯蔵物質2の水素残量を知ることができる。
なお、ゴム質弾性体16bに連通孔を設ける場合には、検出用水素貯蔵物質16aの体積増大に伴うゴム質弾性体16bの弾性的膨張(図1上での右方向への伸張)を完全には阻害しない程度に設ける。
【0025】
ガス透過性に優れるゴム質弾性体16bは、検出用水素貯蔵物質16aの粉粒同士を弾性的に連結し、検出用水素貯蔵物質16aの粉粒体に対してゴム質の保形材として機能する。このため、水素吸蔵に伴う検出用水素貯蔵物質16aの膨張を原因とする崩壊現象(微粉化現象)は、見かけ上、物質16aのヒビ割れのようになつて止まるので、検出用水素貯蔵物質16aが堆積して密集状態にないこととも相まつて、嵩密度の変化は実質的に生じない。従つて、再現性良く体積膨張・収縮を繰り返し生じ、指針37の示度により、水素残量を精度良く長期間にわたつて検出できるようになる。指針37が指し示す目盛部材38の目盛りから、水素貯蔵物質2の吸蔵水素量を知つて、水素貯蔵物質2への水素補充時期に達したか否かを知り、水素貯蔵物質2から水素が放出されつくす前に、水素ガスを補充することができる。
【0026】
水素貯蔵タンク1内の水素貯蔵物質2の水素残量(%)と水素残量検出装置34の指針37による指示値とは、図3に実線Aで示す関係を与えることができ、水素残量の減少に従つて指示値が小さくなるので、指針37によつて水素残量を連続的に検出することができる。従つて、指針37による示度から、水素貯蔵物質2の水素残量が減少して補給時期がきたことを適時に知つて、水素源10内の水素ガスを水素流入ライン5を通じて水素貯蔵タンク1内の水素貯蔵物質2に補給することができる。これにより、水素残量が零になり、水素利用装置9に水素が供給されなくなるという不測の事態を回避することができる。
【0027】
図3に示す破線Bは、水素貯蔵タンク1内に連続的に水素を供給したときの水素貯蔵タンク1内の水素圧力と水素貯蔵物質2の水素残量(%)との関係を示す。なお、水素透過性を有するゴム質弾性体16bは、水素圧力に応じて水素を溶解し、それに伴い膨張する。従つて、混合成形体16の膨張は、検出用水素貯蔵物質16aの膨張のみでなく、ゴム質弾性体16bの膨張との合計になるため、指針37の変位量が大きくなり、水素貯蔵物質2の水素残量を精度良く検出することができるようになる。
【0028】
図4(a)〜(d)は、圧力を変位に変換する機構の受圧部に混合成形体16を組み込んだ構造例を示し、混合成形体16を弾性的変形が可能な容器35a,35b,35c,35dに収容して、水素残量検出装置34の本体を構成している。これらの構造例において、水素残量検出装置34の本体は、少なくとも1箇所に水素透過用の通孔Pを有する中空状の容器35a,35b,35c,35dの内部に水素吸蔵量に応じて膨張・収縮する混合成形体16を密接に収容して構成され、容器35a,35b,35c,35dの先端に取付けた指針37が、容器35a,35b,35c,35dの基部(39)と一体をなす目盛部材38a(図4(a)にのみ示す)の目盛りを指示する。
【0029】
水素貯蔵タンク1内の水素貯蔵物質2中の水素貯蔵量(水素残量)に応じて、混合成形体16が水素を吸蔵し、その吸蔵量に応じて膨張・収縮(体積変化)して容器35a,35b,35c,35d内に応力を生じ、容器35a,35b,35c,35dが弾性的に変形するので、指針37による示度によつて水素貯蔵物質2の水素残量を知ることができる。これによれば、電気式に比して、安価で電気的ノイズ等の影響を受けることも無く、また、水素貯蔵タンク1内にリード線を入れる必要もなく、安全である。容器35a,35b,35c,35dは、混合成形体16の外形を所定形状に保形すると共に、混合成形体16の水素吸蔵量に応じた膨張・収縮量を内圧に変換する機能を有する。内圧の変動により、容器35a,35b,35c,35dが弾性的に変形し、指針37の変位量に安定的に変換する。
【0030】
実際には、図4(a)に示すように水素貯蔵タンク1の内壁を貫通させて気密に取り付ける枠部材39を有し、この枠部材39に、容器35a,35b,35c,35dの基端及び目盛部材38aが固着され、指針37が目盛部材38aの所定位置を指示する。図4(a)〜(d)において、符号Pは水素透過用の通孔を示す。通孔Pが水素貯蔵タンク1の内部に開口するように容器35a,35b,35c,35dをタンク1に気密に取付けることにより、水素貯蔵タンク1内に実質的に設けた混合成形体16により、指針37及び目盛部材38aをタンク1の外部に配置して、水素貯蔵物質2の水素残量を検出することができる。
【0031】
混合成形体16は、上記したと同様に水素透過性を有するエラストマー又は天然ゴムの少なくとも一方からなるゴム質弾性体16bと検出用水素貯蔵物質16aを混合させて練り合わせ、それを容器35a,35b,35c,35dの内部に充填し、成形・固化させてある。ゴム質弾性体16bは、水素透過用の通孔Pの部分を除き、容器35a,35b,35c,35dの内面に接着させて一体化させても良い。
【0032】
図4(a)は、C形のブルドン管からなる容器35aの内部に水素吸蔵量に応じて膨張・収縮する混合成形体16を収容した第1構造例である。混合成形体16ひいては容器35aの伸縮により、指針37によつて目盛部材38aの所定位置を指示することができるので、水素貯蔵タンク1内の水素貯蔵物質2の水素残量を検出することができる。ブルドン管は、半円形又は楕円形に潰した金属管を円弧状に形成したもので先端は溶接などにより密封されて管先(図示せず)が付けられている。
【0033】
図4(b)は、スパイラル形のブルドン管からなる容器35bの内部に水素吸蔵量に応じて膨張・収縮する混合成形体16を収容した第2構造例である。水素透過用の通孔Pは、水素貯蔵タンク1の内部に適宜に開口させる。第2構造例によれば、第1構造例と比較してブルドン管が渦巻き形をなして長尺化する分、指針37の移動量が増大する。
【0034】
図4(c)は、ヘリカル形のブルドン管からなる容器35cの内部に水素吸蔵量に応じて膨張・収縮する混合成形体16を収容した第3構造例である。容器35c及び混合成形体16の伸縮により、指針37の示度を変化させ、同様に水素残量を検出することができる。
【0035】
図4(d)は、ベローズからなる容器35dの内部に水素吸蔵量に応じて膨張・収縮する混合成形体16を収容した第4構造例である。指針37は、U字状をなす弾性線材36の一端を延長させて形成され、弾性線材36によつて容器35dを挟持させてある。容器35d及び混合成形体16の上下方向の伸縮により、指針37を拡大させて変位させながら、同様に水素残量を検出することができる。この拡大機構として機能する弾性線材36も、混合成形体16と指針37との間に介在されている。
【0036】
図5〜図7は、第1構造例に係る圧力を変位に変換する機構を要部とする水素残量検出装置34の具体例を示し、C形のブルドン管からなる容器35aの通孔Pを水素貯蔵タンク1の内部として、枠部材39のねじ部をタンク1にねじ込んで気密に取り付ける。また、容器35aの膨張・収縮に伴う変位を拡大して指針37に伝達する拡大機構(40,42)を備える。
【0037】
すなわち、枠部材39にC形のブルドン管からなる容器35aの基端部が気密に固着され、容器35aの自由端となる先端44(管先)には、揺動自在なロッド41及び拡大機構として機能するセクターホイール40及びピニオン42を介して指針37が接続している。図5に示す符号45は下板であり、枠部材39に取り付けたケース46と一体をなし、セクターホイール40及びピニオン42を回動自在に支持している。目盛部材38aは、ケース46に取付け、ケース46に取付ける透明な窓46によつて覆う。従つて、目盛部材38aは、ケース46及び枠部材39を介してタンク1に固設される。47はヘール(ひげぜんまい)であり、セクターホイール40、ピニオン42からなる歯車のバックラッシ及びリンク機構部の隙間によるガタ付きを除去する。
【0038】
容器35aから指針37に至る間の基本構造は、図6に示すようであり、枠部材39に基端を固着する容器35aの先端44(管先)が、揺動自在なロッド41を介してセクターホイール40に揺動自在に連結され、セクターホイール40に噛合するピニオン42に指針37が取付けられている。セクターホイール40は、ピン48によつてケース46及び下板45に回動自在に支持され、ピニオン42は、ピン49によつてケース46及び下板45に回動自在に支持されている。なお、指針37は、ピニオン41と一体のピン49に取付けられている。
【0039】
このような水素残量検出装置34によれば、混合成形体16の膨張・収縮によつて容器35aの内圧が増減変化するので、容器35aの先端44が移動し、ロッド41を介してセクターホイール40をピン48の周りに回動させ、ピニオン42及びピン49を回動させるので、指針37が目盛部材38aの所定の回転位置を指示することになる。C形のブルドン管からなる容器35aは、混合成形体16による水素吸蔵により、断面が円形に戻ろうとし、また、全体の曲がりは直線に戻ろうとする。図6に示す水素吸蔵前で水素残量が0%の収縮状態から水素を吸蔵させれば、混合成形体16が膨張して指針37が回動し、図7に示すように水素貯蔵タンク1内の水素貯蔵物質2の水素残量が50%のとき、図5に示す目盛部材38aの50%の位置を指示する。
【0040】
このように、容器35aの先端44が内部応力に比例して弾性変位をするので、指針37による示度によつて水素貯蔵タンク1内の水素貯蔵物質2の水素残量を検出することができる。水素貯蔵タンク1の外部に位置する容器35aの外部は大気圧に維持された状態で、容器35aの内部応力により、容器35aが良好に変形する。なお、目盛部材38aの目盛りはパーセント表示としてあるが、標準状態での水素ガスの容積表示とすることもできる。
【0041】
図8は、本発明に係る水素残量検出装置の第2実施の形態を示し、第1実施の形態と同一機能部分には同一符号を付してそれらの説明は省略する。第2実施の形態にあつては、第1実施の形態と同様に、水素貯蔵タンク1の空間部1aに、水素貯蔵物質2と常時、つまり水素貯蔵物質2が充分に水素を吸蔵して結晶格子が膨張して体積が増加した状態であつても、非接触状態となるように水素残量検出装置34を設ける。
【0042】
この水素残量検出装置34は、混合成形体16及び変換装置53を直列に配置して構成され、水素貯蔵タンク1の内壁側と水素貯蔵タンク1に固設する支持部材55との間に配置してある。すなわち、混合成形体16の基端を水素貯蔵タンク1の内壁に固着し、変換装置53の先端を支持部材55に固着して支持してある。変換装置53は、検出用水素貯蔵物質16aによる水素吸蔵量に応じた混合成形体16の膨張・収縮量を各種の電気的諸量に変換する。従つて、変換装置53によつて得られる電気量の値から、水素貯蔵タンク1内の水素貯蔵物質2の水素残量を検出することができる。
【0043】
この変換装置53は、具体的には応力を受けて弾性変形する被歪部材52に歪ゲージ(ロード・セル)51を接着させて構成され、歪ゲージ51によつて圧縮による歪量を検出するようになつている。
【0044】
歪ゲージ51には、リード線19によつて接続する検出手段18を介して表示部20が接続され、歪ゲージ51による電気抵抗の変化を検出回路18によつて検出し、水素残量に変換する演算を行なつた後、水素貯蔵物質2に吸蔵された水素の残量として表示部20に表示する。リード線19は、気密を保持して水素貯蔵タンク1を貫通している。
【0045】
かくして、混合成形体16の所定の体積変化状態での歪ゲージ51による電気量の検出値から、水素残量を知ることができる。歪ゲージ51は、通常、検出回路18に設けたホイストンブリッジ回路の一辺に組み込んで、電気抵抗の変化を検出する。
【0046】
ところで、上記第1,第2実施の形態にあつては、検出用水素貯蔵物質16aとして水素貯蔵物質2と同種の物質(水素吸蔵合金)を使用したが、検出用水素貯蔵物質16aは、水素貯蔵物質2の吸蔵水素量に比例して水素を吸蔵できるものが採用可能であり、水素貯蔵物質2と異なる種類の物質(合金)を使用することも可能である。また、図1及び図8に示す水素残量検出装置34は、水素貯蔵タンク1の空間部1aに配置したが、水素貯蔵物質2と非接触状態で配設すれば良く、水素貯蔵タンク1に補助タンク(図示せず)を連通状態で設け、この水素貯蔵タンク1内に含まれる補助タンク内に水素残量検出装置34を配設し、水素貯蔵タンク1内の水素残量を同様に検出することも可能である。
【0047】
【発明の効果】
以上の説明によつて理解されるように、本発明に係る水素残量検出方法及びその装置によれば、次の効果を奏することができる。
独立請求項1,2,7及び9によれば、水素残量検出装置が、検出用水素貯蔵物質と水素透過性を有するゴム質弾性体とを混合して成形される混合成形体を要部とする。これにより、検出用水素貯蔵物質の粉粒同士がゴム質弾性体によつて弾性的に連結・保持されて嵩密度の変化が良好に防止されているので、水素貯蔵物質の微粉化による体積増加の影響をほとんど受けることなく、安定した体積変化によつて水素残量を検出することができる。その結果、検出用水素貯蔵物質の微粉化による影響の補正のためにリセットするなどの作業を伴うことなく、長期間、精度良く水素貯蔵タンク内の水素貯蔵物質の水素の吸蔵量を検出し、残量を知ることができる。
【0048】
加えて、水素残量検出装置は、水素貯蔵タンク内に収容する水素貯蔵物質と非接触状態で配設するようになるので、水素残量検出装置を水素貯蔵物質と接触状態で配設するものと比較して、接触させることに伴う不具合の全てが解消する。
すなわち、水素貯蔵タンク内に収容する水素貯蔵物質の微粉化による体積増加の影響を受けることなく、水素残量を検出することができる。その結果、水素貯蔵タンク内に収容する水素貯蔵物質の微粉化による影響の補正のためにリセットするなどの作業を伴うことなく、長期間、精度良く水素の吸蔵量を検出し、残量を知ることができる。
【0049】
更に、水素残量検出装置は、水素貯蔵タンク内に収容する水素貯蔵物質と非接触状態で配設するようになるので、水素貯蔵物質を収容する水素貯蔵タンクの空間部に自由に配置することができるのみならず、水素貯蔵タンクに連通状態で設けた補助タンク内に配設し、水素貯蔵タンク内の水素残量を同様に検出することが可能である。勿論、請求項3に記載するように、混合成形体を充填させる容器を水素貯蔵タンクに連通状態で設けることも可能である。その場合、水素貯蔵タンク内に収容する水素貯蔵物質を制限して、所要の空間部を確保しなくともよく、水素残量検出装置を設ける設計自由度が向上する。
【0050】
請求項1〜6に係る発明のように、混合成形体の膨張・収縮量を指針によつて指示させることにより、水素貯蔵物質を内部に収容する水素貯蔵タンクにおいて、水素貯蔵物質に貯蔵されている水素の残量を、リアルタイムで、かつ、電力を消費することなく、精度良く検出することが可能になつた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施の形態に係る水素残量検出装置を備える水素貯蔵タンクを示す断面図。
【図2】同じく混合成形体を拡大して示す断面図。
【図3】同じく指針指示値及びタンク内の水素圧力−水素残量特性を示す線図。
【図4】同じく圧力を変位に変換する機構の受圧部に混合成形体を組み込んだ構造例を示し、図4(a)はC形のブルドン管からなる容器の内部に混合成形体を収容した第1構造例を示す断面図、図4(b)はスパイラル形のブルドン管からなる容器の内部に混合成形体を収容した第2構造例を示す図、図4(c)はヘリカル形のブルドン管からなる容器の内部に混合成形体を収容した第3構造例を示す図、図4(d)はベローズからなる容器の内部に混合成形体を収容した第4構造例を示す断面図。
【図5】同じく第1構造例に係る圧力を変位に変換する機構を備える水素残量検出装置の具体例を分解して示す斜視図。
【図6】同じく第1構造例に係る圧力を変位に変換する機構を備える水素残量検出装置の具体例の要部を示す図。
【図7】同じく第1構造例に係る圧力を変位に変換する機構を備える水素残量検出装置の具体例の作用説明図。
【図8】本発明の第2実施の形態に係る水素残量検出装置を備える水素貯蔵タンクを示す断面図。
【符号の説明】
1:水素貯蔵タンク、1a:空間部、2:水素貯蔵物質、9:水素利用装置、10:水素源、16:混合成形体、16a:検出用水素貯蔵物質、16b:ゴム質弾性体、35a,35b,35c,35d:容器、37:指針、38:目盛部材、40:セクターホイール(拡大機構)、42:ピニオン(拡大機構)、51:歪ゲージ、53:変換装置、P:通孔。
【発明の属する技術分野】
本発明は、水素残量検出方法及びその装置に関するものであり、詳しくは水素貯蔵タンクに収容した水素貯蔵物質の水素残量を検出する方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術及びその課題】
この種の従来の水素残量検出装置として、膜状の水素貯蔵物質と歪ゲージとを絶縁体としてのポリアミド樹脂層を介して連結させて設け、水素貯蔵物質が水素濃度に応じて体積変化することを歪ゲージの歪量として電気的又は機械的に変換して測定するものが知られている(特開平1−307636)。
【0003】
これは、水素貯蔵物質が水素を吸蔵するに従つて体積膨張し、歪ゲージに歪力として作用し、歪ゲージが電気的出力又は機械的出力を示すことを利用するものである。この歪ゲージによる出力は水素貯蔵物質の水素吸蔵量と相関関係を有しているから、出力と水素吸蔵量(水素濃度)の基準データと照会することにより、雰囲気の水素濃度が判定される、としている。
【0004】
また、従来の水素残量検出装置として、水素貯蔵物質を収容する水素貯蔵タンクの外壁に歪ゲージを貼り付け、残存水素量に応じた水素貯蔵物質の体積変化に伴う水素貯蔵タンクの外壁の応力、歪みの変化から残存水素量を測定するものも知られている(特開平6−66787)。
【0005】
これらの従来の水素残量検出装置は、水素貯蔵物質が膜状又はタンクへの収容状態で単独に備えられ、この水素貯蔵物質の水素貯蔵に伴う体積変化から水素貯蔵量を求めるものであり、水素貯蔵物質の粉粒同士を弾性的に連結して保形させていないため、長期間にわたつて正確な水素残量を測定することが困難であるという技術的課題を有している。
【0006】
すなわち、水素貯蔵物質は水素の吸収によつて単位格子の体積が20〜30%膨張することに起因して、微粉化現象が生じ、また、その粒度は吸放出の繰り返しによつて次第に細かくなることが知られている。そして、水素の繰り返し吸放出に伴う粒度変化は、水素貯蔵物質の膜状の維持を困難とし、或いはタンク内で体積が増える現象を引き起こす。このため、単純な水素吸蔵による体積膨張だけを検出することができなくなり、長期間にわたつて正確な水素残量を測定することができない。
【0007】
長期間にわたつて水素残量を正確に測定するためには、膜状の水素貯蔵物質を使用するものにあつては歪ゲージと共に新たなものと交換する必要があり、また、水素貯蔵タンクの外壁に歪ゲージを貼り付けるものにあつては水素貯蔵物質の微粉化に伴う体積増加による水素貯蔵タンクの外壁の応力、歪みの変化を補正する必要があり、水素残量が零のときにリセットするなどの作業を伴う。なお、特開平5−223012、特許2737082及び特開平6−249777に記載される水素残量検出方法にあつても水素貯蔵物質の水素吸蔵に伴う体積変化から水素貯蔵量を求めるものであり、同様の技術的課題を有している。
【0008】
また、従来の水素残量検出装置として、水素貯蔵時の水素貯蔵物質自体の電気抵抗の変化を貯蔵量に変換する方法(特開平4−104037)、水素貯蔵時の水素貯蔵物質の温度変化を貯蔵量に変換する方法(特開平2−198346)、及び水素貯蔵タンクの圧力変化を直接読み取る方法(特開平6−193480)、水素貯蔵物質の水素吸蔵に伴う体積変化を光ファイバーのつぶれ量として検出し、水素貯蔵量に変換するもの(特開平6−249777)も知られている。
【0009】
しかしながら、水素貯蔵物質自体の電気抵抗の変化を貯蔵量に変換する方法にあつては、一定電流が流れるように水素貯蔵物質の薄膜等からなる抵抗体が反復使用できる連続体でなければならないが、水素貯蔵物質は水素の吸・放出を繰り返すと体積膨張により微粉化し連続性が次第に失われてしまう。これにより、電気抵抗を正確に測定できなくなり、著しい場合には断線状態になつたり、電極の剥離が起こることで電流が流れなくなるという不具合が生じてしまう。水素貯蔵物質の表面に水素透過性金属箔を凝着させたとしても、金属箔の内部で体積膨張及び微粉化を生じ水素貯蔵物質自体の良好な連続性が失われてしまう。
【0010】
水素貯蔵時の水素貯蔵物質の温度変化を貯蔵量に変換する方法にあつては、水素貯蔵物質が水素を吸収するときに発熱し、放出するときに放熱するため、これらのときには温度変化が明確に起こるが、ある温度で放出を止めれば反応が起こらなくなり温度変化も生じなくなる。従つて、水素貯蔵物質中の水素を連続的に吸・放出しているときには温度によつて水素残量をモニターできるが、スタート・ストップを繰り返すような場合にはモニターできなくなり、発熱量を積算するなどの工夫が必要となり、好ましくない。
【0011】
また、水素貯蔵タンクの圧力変化を直接読み取る方法にあつては、水素貯蔵物質が固溶状態から水素化物を除々に生成していく過程で固溶と水素化物相とが混在した状態のとき、所定の圧力で平衡圧が一定となる長いプラトー領域をもつことから、その範囲では圧力が一定となり、検出できなくなる。このため、圧力変化が顕著になるプラトー圧の両側、つまりほぼ水素化物のみとなる満タン状態の検出とほぼ固溶のみとなる残量が少ない状態の検出しかできない。但し、水素貯蔵物質の組成を少し変えるなどしてこのプラトー圧に傾きを与えた場合には、プラトー領域においても直接水素残量を検出可能になるが、傾きが少ない場合には検出に精度が求められ、逆に傾きが多い場合には水素貯蔵物質の性能悪化になるのであまり好ましくない。
【0012】
また、水素貯蔵物質の水素吸蔵に伴う体積変化を光ファイバーのつぶれ量として検出し、水素貯蔵量に変換するもの(特開平6−249777)にあつては、焼結フィルターの内部に、外周をゴムによつて被覆した光ファイバーを挿入し、このゴムと焼結フィルターとで区画される収納空間に水素貯蔵物質粒子を貯蔵するものである。従つて、水素貯蔵物質の水素吸蔵に伴う体積変化から水素貯蔵量を求めるものであり、水素貯蔵物質の微粉化に伴う体積増加を生じると共に、水素貯蔵物質の粉粒同士を弾性的に連結して保形させていないため、長期間にわたつて正確な水素残量を測定することが困難であるという上記の技術的課題を有している。
【0013】
本発明は、上記のような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、検出用水素貯蔵物質と水素透過性を有するゴム質弾性体とを混合して成形させた混合成形体を用い、検出用水素貯蔵物質の水素吸蔵に伴う混合成形体の膨張・収縮量(体積変化)を機械量又は電気量の変化として利用することにより、耐久性及び精度に優れる水素残量検出方法及びその装置を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような従来の技術的課題に鑑みてなされたもので、その構成は、次の通りである。
請求項1の発明は、水素貯蔵タンク1の内部に収容され、水素を吸蔵・放出する水素貯蔵物質2の水素残量検出方法であつて、
検出用水素貯蔵物質16aと水素透過性を有するゴム質弾性体16bとを混合して成形されて水素貯蔵タンク1側に固定され、先端側に指針37を有する混合成形体16と、水素貯蔵タンク1側に設ける目盛部材38とを有する水素残量検出装置を用い、
混合成形体16を該水素貯蔵タンク1内に設け、混合成形体16による水素吸蔵量に応じて混合成形体16を膨張・収縮させ、移動する指針37が指示する目盛部材38の目盛りを読み取ることにより、該水素貯蔵タンク1内の水素貯蔵物質2の水素残量を検出することを特徴とする水素残量検出方法である。
請求項2の発明は、水素貯蔵タンク1の内部に収容され、水素を吸蔵・放出する水素貯蔵物質2の水素残量検出装置であつて、
該水素残量検出装置が、水素貯蔵タンク1内に設けられ、検出用水素貯蔵物質16aと水素透過性を有するゴム質弾性体16bとを混合して成形されて水素貯蔵タンク1側に固定される混合成形体16と、混合成形体16の先端側に設ける指針37と、水素貯蔵タンク1側に設ける目盛部材38とを有し、
水素吸蔵量に応じた混合成形体16の膨張・収縮量によつて変位する指針37の指示により、目盛部材38の目盛りを読み取つて該水素貯蔵タンク1内の水素貯蔵物質2の水素残量を検出することを特徴とする水素残量検出装置である。
請求項3の発明は、前記混合成形体16が、水素貯蔵タンク1の内部に連通する通孔Pを有し、弾性的変形が可能な容器35a,35b,35c,35d内に充填され、かつ、指針37が容器35a,35b,35c,35dに設けられていることを特徴とする請求項2の水素残量検出装置である。
請求項4の発明は、前記混合成形体16と指針37との間に拡大機構(40,42)が介在され、混合成形体16の膨張・収縮量が拡大されて指針37に伝達されることを特徴とする請求項2又は3の水素残量検出装置である。
なお、検出用水素貯蔵物質16aは、水素貯蔵タンク1に収容する水素貯蔵物質2と同一種類であつても良いし、水素貯蔵タンク1に収容する水素貯蔵物質2と異なる種類であつても良い。
請求項5の発明は、水素貯蔵タンク1の内部に収容され、水素を吸蔵・放出する水素貯蔵物質2の水素残量検出方法であつて、
検出用水素貯蔵物質16aと水素透過性を有するゴム質弾性体16bとを混合して成形させた混合成形体16を該水素貯蔵タンク1内に設け、水素吸蔵量に応じた混合成形体16の膨張・収縮量を変換装置53に作用させて電気量に変換し、該電気量の値から、該水素貯蔵タンク1内の水素貯蔵物質2の水素残量を検出することを特徴とする水素残量検出方法である。
請求項6の発明は、水素貯蔵タンク1の内部に収容され、水素を吸蔵・放出する水素貯蔵物質2の水素残量検出装置であつて、
該水素残量検出装置が、水素貯蔵タンク1内に設けられ、検出用水素貯蔵物質16aと水素透過性を有するゴム質弾性体16bとを混合して成形させた混合成形体16と、水素吸蔵量に応じた混合成形体16の膨張・収縮量を作用させて電気量に変換する変換装置53とを有し、
該変換装置53に基づく電気量の値から、該水素貯蔵タンク1内の水素貯蔵物質2の水素残量を検出することを特徴とする水素残量検出装置である。
請求項7の発明は、前記変換装置53が歪ゲージ51を有し、歪ゲージ51に基づく電気量の値から、前記水素貯蔵タンク1内の水素貯蔵物質2の水素残量を検出することを特徴とする請求項6の水素残量検出装置である。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1〜図7は、本発明に係る水素残量検出装置の第1実施の形態を示す。図1中において符号1は水素貯蔵タンクを示し、タンク1の内部には、粉粒状の合金からなる水素貯蔵物質2が所定量収容され、一部(図上で上部)に空間部1aを形成している。水素貯蔵タンク1には、空間部1aに位置させて、バルブ4及びレギュレータ24を備える水素流入ライン5並びにバルブ7及びレギュレータ27を備える水素放出ライン8の一端が接続されている。バルブ7の開放によつて水素放出ライン8から流出した水素ガスは、レギュレータ27によつて圧力(又は流量)が調節されながら水素利用装置9、例えば燃料電池、エンジン等に供給されて消費される。水素流入ライン5の他端は、水素ボンベや炭化水素の改質システム等からなる水素源10に接続され、バルブ4の開放により、水素源10内の水素ガスがレギュレータ24によつて圧力(又は流量)が調節されながら水素流入ライン5を通じてタンク1内に流入し、水素貯蔵物質2に補給される。
【0016】
このため、水素貯蔵タンク1には内部を可及的均一に加熱及び冷却する加熱・冷却手段12が付属され、加熱・冷却手段12によつて水素貯蔵物質2を所定温度に加熱することにより、水素貯蔵物質2から水素を放出させ、また、加熱・冷却手段12によつて水素貯蔵物質2を所定温度に冷却することにより、水素貯蔵物質2に水素を吸蔵させることができるようになつている。但し、水素貯蔵物質2が、大気との熱交換で水素放出の熱量がまかなえる場合は、加熱手段を省略することができ、また、大気との熱交換で水素吸蔵の熱量がまかなえる場合は、冷却手段を省略することができる。
【0017】
この水素貯蔵タンク1の空間部1aには、水素貯蔵物質2と常時、つまり水素貯蔵物質2が充分に水素を吸蔵して結晶格子が膨張して体積が増加した状態であつても、非接触状態となるように水素残量検出装置34を設ける。
【0018】
水素残量検出装置34は、基端が水素貯蔵タンク1の内壁側に固定され、水素吸蔵量(水素残量)に応じて膨張・収縮する混合成形体16と、混合成形体16の先端側に取付けた指針37と、水素貯蔵タンク1の内壁側に取付けた目盛部材38とを有する。目盛部材38は、水素貯蔵物質2の水素残量に応じた目盛りを有している。目盛部材38の目盛り(数値)に対応する箇所のタンク1は、透明壁部1bによつて形成され、指針37が指示する目盛部材38の目盛りを透明壁部1bを通して外部から目視することができるようになつている。
【0019】
混合成形体16は、検出用水素貯蔵物質16aと水素透過性を有するゴム質弾性体16bとを混合し、その後、所定形状に成形したものである。すなわち、混合成形体16は、粉粒状の合金からなる検出用水素貯蔵物質16aと水素透過性を有するゴム質弾性体16bの原料とを混合させて棒状に形成したものであり、水素透過性を有するエラストマー又は天然ゴムの少なくとも一方に水素貯蔵物質2と同種の検出用水素貯蔵物質16aを混合させて練り合わせ、成形・固化させてある。従つて、検出用水素貯蔵物質16aの粉粒は、図2に拡大して示すようにゴム質弾性体16bによつて弾性的に連結され、ほぼ1粒毎にゴム質弾性体16bに弾性的に保持されている。
【0020】
ゴム質弾性体16bとしては、水素透過性の点からシリコーンゴムが適しているが、エラストマー又は天然ゴムを広く採用することができる。ゴム質弾性体16bは、連通孔を有する多孔質体からなるものとして、水素ガスとの接触面積を増加させることも可能であり、ゴム質弾性体16bの原料に粉粒状の合金からなる検出用水素貯蔵物質16aを混合させて練り合わせた後に発泡させ、可及的に小さな連通孔を有する多孔質体からなるゴム質弾性体16bを成形・固化させ、検出用水素貯蔵物質16aに至る水素透過を促してもよい。また、混合成形体16は、同一種類のものを複数個束ね、検出用水素貯蔵物質16aに至る水素透過を促すと共に、強度を向上させることも可能である。この混合成形体16は、水素残量検出装置34の本体を構成している。
【0021】
次に、作用について説明する。水素貯蔵タンク1内の水素貯蔵物質2に充分に水素ガスが吸蔵された状態で、加熱・冷却手段12によつて水素貯蔵物質2を所定温度に加熱して水素貯蔵物質2から水素を放出させ、水素放出ライン8から水素利用装置9に水素ガスを供給し、水素が消費されると、水素貯蔵物質2の水素吸蔵量が次第に減少する。このとき、加熱・冷却手段12によつて水素貯蔵タンク1内が可及的均一な所定温度に加熱されているから、空間部1aに位置する水素残量検出装置34の検出用水素貯蔵物質16aもほぼ同様の温度環境下にある。従つて、水素貯蔵物質2の水素吸蔵量が減少すると、水素貯蔵タンク1の空間部1aに配置した水素残量検出装置34の検出用水素貯蔵物質16aも水素を放出し、その水素吸蔵量も同様に減少する。
【0022】
これにより、検出用水素貯蔵物質16aの体積が減少し、ゴム質弾性体16bが固化時に戻るように弾性的に収縮するので、混合成形体16が収縮し、混合成形体16の先端に取付けた指針37の位置が移動する。図1上で混合成形体16は左端を水素貯蔵タンク1の内壁に固設し、右側の自由端に指針37を取付けてあるので、指針37の位置が左方に移動する。なお、例えば単位時間当たりの消費が少ない燃料電池に水素を供給する場合には、水素貯蔵物質2の体積変動が緩徐になされるため、水素透過性を有するゴム質弾性体16bを介してなされる検出用水素貯蔵物質16aの体積変動も、時間的遅れをほとんど生ずることなく、良好に追従してなされる。
【0023】
加熱・冷却手段12によつて水素貯蔵物質2を所定温度に冷却しながら、水素源10内の水素ガスを水素流入ライン5を通じて水素貯蔵タンク1内の水素貯蔵物質2に補給すれば、水素貯蔵物質2の水素吸蔵量が次第に増加し、水素貯蔵タンク1の空間部1aに配置した水素残量検出装置34の検出用水素貯蔵物質16aの水素吸蔵量も同様に増加する。これにより、検出用水素貯蔵物質16aの体積が増大し、ゴム質弾性体16bが弾性的に膨張するので、混合成形体16が膨張し、混合成形体16の先端に取付けた指針37の位置が移動する。
【0024】
かくして、各混合成形体16の所定の体積変化状態において、指針37が指し示す目盛部材38の目盛り(数値)を水素貯蔵タンク1の透明壁部1bを通して目視にて読み取ることにより、水素貯蔵物質2の水素残量を知ることができる。
なお、ゴム質弾性体16bに連通孔を設ける場合には、検出用水素貯蔵物質16aの体積増大に伴うゴム質弾性体16bの弾性的膨張(図1上での右方向への伸張)を完全には阻害しない程度に設ける。
【0025】
ガス透過性に優れるゴム質弾性体16bは、検出用水素貯蔵物質16aの粉粒同士を弾性的に連結し、検出用水素貯蔵物質16aの粉粒体に対してゴム質の保形材として機能する。このため、水素吸蔵に伴う検出用水素貯蔵物質16aの膨張を原因とする崩壊現象(微粉化現象)は、見かけ上、物質16aのヒビ割れのようになつて止まるので、検出用水素貯蔵物質16aが堆積して密集状態にないこととも相まつて、嵩密度の変化は実質的に生じない。従つて、再現性良く体積膨張・収縮を繰り返し生じ、指針37の示度により、水素残量を精度良く長期間にわたつて検出できるようになる。指針37が指し示す目盛部材38の目盛りから、水素貯蔵物質2の吸蔵水素量を知つて、水素貯蔵物質2への水素補充時期に達したか否かを知り、水素貯蔵物質2から水素が放出されつくす前に、水素ガスを補充することができる。
【0026】
水素貯蔵タンク1内の水素貯蔵物質2の水素残量(%)と水素残量検出装置34の指針37による指示値とは、図3に実線Aで示す関係を与えることができ、水素残量の減少に従つて指示値が小さくなるので、指針37によつて水素残量を連続的に検出することができる。従つて、指針37による示度から、水素貯蔵物質2の水素残量が減少して補給時期がきたことを適時に知つて、水素源10内の水素ガスを水素流入ライン5を通じて水素貯蔵タンク1内の水素貯蔵物質2に補給することができる。これにより、水素残量が零になり、水素利用装置9に水素が供給されなくなるという不測の事態を回避することができる。
【0027】
図3に示す破線Bは、水素貯蔵タンク1内に連続的に水素を供給したときの水素貯蔵タンク1内の水素圧力と水素貯蔵物質2の水素残量(%)との関係を示す。なお、水素透過性を有するゴム質弾性体16bは、水素圧力に応じて水素を溶解し、それに伴い膨張する。従つて、混合成形体16の膨張は、検出用水素貯蔵物質16aの膨張のみでなく、ゴム質弾性体16bの膨張との合計になるため、指針37の変位量が大きくなり、水素貯蔵物質2の水素残量を精度良く検出することができるようになる。
【0028】
図4(a)〜(d)は、圧力を変位に変換する機構の受圧部に混合成形体16を組み込んだ構造例を示し、混合成形体16を弾性的変形が可能な容器35a,35b,35c,35dに収容して、水素残量検出装置34の本体を構成している。これらの構造例において、水素残量検出装置34の本体は、少なくとも1箇所に水素透過用の通孔Pを有する中空状の容器35a,35b,35c,35dの内部に水素吸蔵量に応じて膨張・収縮する混合成形体16を密接に収容して構成され、容器35a,35b,35c,35dの先端に取付けた指針37が、容器35a,35b,35c,35dの基部(39)と一体をなす目盛部材38a(図4(a)にのみ示す)の目盛りを指示する。
【0029】
水素貯蔵タンク1内の水素貯蔵物質2中の水素貯蔵量(水素残量)に応じて、混合成形体16が水素を吸蔵し、その吸蔵量に応じて膨張・収縮(体積変化)して容器35a,35b,35c,35d内に応力を生じ、容器35a,35b,35c,35dが弾性的に変形するので、指針37による示度によつて水素貯蔵物質2の水素残量を知ることができる。これによれば、電気式に比して、安価で電気的ノイズ等の影響を受けることも無く、また、水素貯蔵タンク1内にリード線を入れる必要もなく、安全である。容器35a,35b,35c,35dは、混合成形体16の外形を所定形状に保形すると共に、混合成形体16の水素吸蔵量に応じた膨張・収縮量を内圧に変換する機能を有する。内圧の変動により、容器35a,35b,35c,35dが弾性的に変形し、指針37の変位量に安定的に変換する。
【0030】
実際には、図4(a)に示すように水素貯蔵タンク1の内壁を貫通させて気密に取り付ける枠部材39を有し、この枠部材39に、容器35a,35b,35c,35dの基端及び目盛部材38aが固着され、指針37が目盛部材38aの所定位置を指示する。図4(a)〜(d)において、符号Pは水素透過用の通孔を示す。通孔Pが水素貯蔵タンク1の内部に開口するように容器35a,35b,35c,35dをタンク1に気密に取付けることにより、水素貯蔵タンク1内に実質的に設けた混合成形体16により、指針37及び目盛部材38aをタンク1の外部に配置して、水素貯蔵物質2の水素残量を検出することができる。
【0031】
混合成形体16は、上記したと同様に水素透過性を有するエラストマー又は天然ゴムの少なくとも一方からなるゴム質弾性体16bと検出用水素貯蔵物質16aを混合させて練り合わせ、それを容器35a,35b,35c,35dの内部に充填し、成形・固化させてある。ゴム質弾性体16bは、水素透過用の通孔Pの部分を除き、容器35a,35b,35c,35dの内面に接着させて一体化させても良い。
【0032】
図4(a)は、C形のブルドン管からなる容器35aの内部に水素吸蔵量に応じて膨張・収縮する混合成形体16を収容した第1構造例である。混合成形体16ひいては容器35aの伸縮により、指針37によつて目盛部材38aの所定位置を指示することができるので、水素貯蔵タンク1内の水素貯蔵物質2の水素残量を検出することができる。ブルドン管は、半円形又は楕円形に潰した金属管を円弧状に形成したもので先端は溶接などにより密封されて管先(図示せず)が付けられている。
【0033】
図4(b)は、スパイラル形のブルドン管からなる容器35bの内部に水素吸蔵量に応じて膨張・収縮する混合成形体16を収容した第2構造例である。水素透過用の通孔Pは、水素貯蔵タンク1の内部に適宜に開口させる。第2構造例によれば、第1構造例と比較してブルドン管が渦巻き形をなして長尺化する分、指針37の移動量が増大する。
【0034】
図4(c)は、ヘリカル形のブルドン管からなる容器35cの内部に水素吸蔵量に応じて膨張・収縮する混合成形体16を収容した第3構造例である。容器35c及び混合成形体16の伸縮により、指針37の示度を変化させ、同様に水素残量を検出することができる。
【0035】
図4(d)は、ベローズからなる容器35dの内部に水素吸蔵量に応じて膨張・収縮する混合成形体16を収容した第4構造例である。指針37は、U字状をなす弾性線材36の一端を延長させて形成され、弾性線材36によつて容器35dを挟持させてある。容器35d及び混合成形体16の上下方向の伸縮により、指針37を拡大させて変位させながら、同様に水素残量を検出することができる。この拡大機構として機能する弾性線材36も、混合成形体16と指針37との間に介在されている。
【0036】
図5〜図7は、第1構造例に係る圧力を変位に変換する機構を要部とする水素残量検出装置34の具体例を示し、C形のブルドン管からなる容器35aの通孔Pを水素貯蔵タンク1の内部として、枠部材39のねじ部をタンク1にねじ込んで気密に取り付ける。また、容器35aの膨張・収縮に伴う変位を拡大して指針37に伝達する拡大機構(40,42)を備える。
【0037】
すなわち、枠部材39にC形のブルドン管からなる容器35aの基端部が気密に固着され、容器35aの自由端となる先端44(管先)には、揺動自在なロッド41及び拡大機構として機能するセクターホイール40及びピニオン42を介して指針37が接続している。図5に示す符号45は下板であり、枠部材39に取り付けたケース46と一体をなし、セクターホイール40及びピニオン42を回動自在に支持している。目盛部材38aは、ケース46に取付け、ケース46に取付ける透明な窓46によつて覆う。従つて、目盛部材38aは、ケース46及び枠部材39を介してタンク1に固設される。47はヘール(ひげぜんまい)であり、セクターホイール40、ピニオン42からなる歯車のバックラッシ及びリンク機構部の隙間によるガタ付きを除去する。
【0038】
容器35aから指針37に至る間の基本構造は、図6に示すようであり、枠部材39に基端を固着する容器35aの先端44(管先)が、揺動自在なロッド41を介してセクターホイール40に揺動自在に連結され、セクターホイール40に噛合するピニオン42に指針37が取付けられている。セクターホイール40は、ピン48によつてケース46及び下板45に回動自在に支持され、ピニオン42は、ピン49によつてケース46及び下板45に回動自在に支持されている。なお、指針37は、ピニオン41と一体のピン49に取付けられている。
【0039】
このような水素残量検出装置34によれば、混合成形体16の膨張・収縮によつて容器35aの内圧が増減変化するので、容器35aの先端44が移動し、ロッド41を介してセクターホイール40をピン48の周りに回動させ、ピニオン42及びピン49を回動させるので、指針37が目盛部材38aの所定の回転位置を指示することになる。C形のブルドン管からなる容器35aは、混合成形体16による水素吸蔵により、断面が円形に戻ろうとし、また、全体の曲がりは直線に戻ろうとする。図6に示す水素吸蔵前で水素残量が0%の収縮状態から水素を吸蔵させれば、混合成形体16が膨張して指針37が回動し、図7に示すように水素貯蔵タンク1内の水素貯蔵物質2の水素残量が50%のとき、図5に示す目盛部材38aの50%の位置を指示する。
【0040】
このように、容器35aの先端44が内部応力に比例して弾性変位をするので、指針37による示度によつて水素貯蔵タンク1内の水素貯蔵物質2の水素残量を検出することができる。水素貯蔵タンク1の外部に位置する容器35aの外部は大気圧に維持された状態で、容器35aの内部応力により、容器35aが良好に変形する。なお、目盛部材38aの目盛りはパーセント表示としてあるが、標準状態での水素ガスの容積表示とすることもできる。
【0041】
図8は、本発明に係る水素残量検出装置の第2実施の形態を示し、第1実施の形態と同一機能部分には同一符号を付してそれらの説明は省略する。第2実施の形態にあつては、第1実施の形態と同様に、水素貯蔵タンク1の空間部1aに、水素貯蔵物質2と常時、つまり水素貯蔵物質2が充分に水素を吸蔵して結晶格子が膨張して体積が増加した状態であつても、非接触状態となるように水素残量検出装置34を設ける。
【0042】
この水素残量検出装置34は、混合成形体16及び変換装置53を直列に配置して構成され、水素貯蔵タンク1の内壁側と水素貯蔵タンク1に固設する支持部材55との間に配置してある。すなわち、混合成形体16の基端を水素貯蔵タンク1の内壁に固着し、変換装置53の先端を支持部材55に固着して支持してある。変換装置53は、検出用水素貯蔵物質16aによる水素吸蔵量に応じた混合成形体16の膨張・収縮量を各種の電気的諸量に変換する。従つて、変換装置53によつて得られる電気量の値から、水素貯蔵タンク1内の水素貯蔵物質2の水素残量を検出することができる。
【0043】
この変換装置53は、具体的には応力を受けて弾性変形する被歪部材52に歪ゲージ(ロード・セル)51を接着させて構成され、歪ゲージ51によつて圧縮による歪量を検出するようになつている。
【0044】
歪ゲージ51には、リード線19によつて接続する検出手段18を介して表示部20が接続され、歪ゲージ51による電気抵抗の変化を検出回路18によつて検出し、水素残量に変換する演算を行なつた後、水素貯蔵物質2に吸蔵された水素の残量として表示部20に表示する。リード線19は、気密を保持して水素貯蔵タンク1を貫通している。
【0045】
かくして、混合成形体16の所定の体積変化状態での歪ゲージ51による電気量の検出値から、水素残量を知ることができる。歪ゲージ51は、通常、検出回路18に設けたホイストンブリッジ回路の一辺に組み込んで、電気抵抗の変化を検出する。
【0046】
ところで、上記第1,第2実施の形態にあつては、検出用水素貯蔵物質16aとして水素貯蔵物質2と同種の物質(水素吸蔵合金)を使用したが、検出用水素貯蔵物質16aは、水素貯蔵物質2の吸蔵水素量に比例して水素を吸蔵できるものが採用可能であり、水素貯蔵物質2と異なる種類の物質(合金)を使用することも可能である。また、図1及び図8に示す水素残量検出装置34は、水素貯蔵タンク1の空間部1aに配置したが、水素貯蔵物質2と非接触状態で配設すれば良く、水素貯蔵タンク1に補助タンク(図示せず)を連通状態で設け、この水素貯蔵タンク1内に含まれる補助タンク内に水素残量検出装置34を配設し、水素貯蔵タンク1内の水素残量を同様に検出することも可能である。
【0047】
【発明の効果】
以上の説明によつて理解されるように、本発明に係る水素残量検出方法及びその装置によれば、次の効果を奏することができる。
独立請求項1,2,7及び9によれば、水素残量検出装置が、検出用水素貯蔵物質と水素透過性を有するゴム質弾性体とを混合して成形される混合成形体を要部とする。これにより、検出用水素貯蔵物質の粉粒同士がゴム質弾性体によつて弾性的に連結・保持されて嵩密度の変化が良好に防止されているので、水素貯蔵物質の微粉化による体積増加の影響をほとんど受けることなく、安定した体積変化によつて水素残量を検出することができる。その結果、検出用水素貯蔵物質の微粉化による影響の補正のためにリセットするなどの作業を伴うことなく、長期間、精度良く水素貯蔵タンク内の水素貯蔵物質の水素の吸蔵量を検出し、残量を知ることができる。
【0048】
加えて、水素残量検出装置は、水素貯蔵タンク内に収容する水素貯蔵物質と非接触状態で配設するようになるので、水素残量検出装置を水素貯蔵物質と接触状態で配設するものと比較して、接触させることに伴う不具合の全てが解消する。
すなわち、水素貯蔵タンク内に収容する水素貯蔵物質の微粉化による体積増加の影響を受けることなく、水素残量を検出することができる。その結果、水素貯蔵タンク内に収容する水素貯蔵物質の微粉化による影響の補正のためにリセットするなどの作業を伴うことなく、長期間、精度良く水素の吸蔵量を検出し、残量を知ることができる。
【0049】
更に、水素残量検出装置は、水素貯蔵タンク内に収容する水素貯蔵物質と非接触状態で配設するようになるので、水素貯蔵物質を収容する水素貯蔵タンクの空間部に自由に配置することができるのみならず、水素貯蔵タンクに連通状態で設けた補助タンク内に配設し、水素貯蔵タンク内の水素残量を同様に検出することが可能である。勿論、請求項3に記載するように、混合成形体を充填させる容器を水素貯蔵タンクに連通状態で設けることも可能である。その場合、水素貯蔵タンク内に収容する水素貯蔵物質を制限して、所要の空間部を確保しなくともよく、水素残量検出装置を設ける設計自由度が向上する。
【0050】
請求項1〜6に係る発明のように、混合成形体の膨張・収縮量を指針によつて指示させることにより、水素貯蔵物質を内部に収容する水素貯蔵タンクにおいて、水素貯蔵物質に貯蔵されている水素の残量を、リアルタイムで、かつ、電力を消費することなく、精度良く検出することが可能になつた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施の形態に係る水素残量検出装置を備える水素貯蔵タンクを示す断面図。
【図2】同じく混合成形体を拡大して示す断面図。
【図3】同じく指針指示値及びタンク内の水素圧力−水素残量特性を示す線図。
【図4】同じく圧力を変位に変換する機構の受圧部に混合成形体を組み込んだ構造例を示し、図4(a)はC形のブルドン管からなる容器の内部に混合成形体を収容した第1構造例を示す断面図、図4(b)はスパイラル形のブルドン管からなる容器の内部に混合成形体を収容した第2構造例を示す図、図4(c)はヘリカル形のブルドン管からなる容器の内部に混合成形体を収容した第3構造例を示す図、図4(d)はベローズからなる容器の内部に混合成形体を収容した第4構造例を示す断面図。
【図5】同じく第1構造例に係る圧力を変位に変換する機構を備える水素残量検出装置の具体例を分解して示す斜視図。
【図6】同じく第1構造例に係る圧力を変位に変換する機構を備える水素残量検出装置の具体例の要部を示す図。
【図7】同じく第1構造例に係る圧力を変位に変換する機構を備える水素残量検出装置の具体例の作用説明図。
【図8】本発明の第2実施の形態に係る水素残量検出装置を備える水素貯蔵タンクを示す断面図。
【符号の説明】
1:水素貯蔵タンク、1a:空間部、2:水素貯蔵物質、9:水素利用装置、10:水素源、16:混合成形体、16a:検出用水素貯蔵物質、16b:ゴム質弾性体、35a,35b,35c,35d:容器、37:指針、38:目盛部材、40:セクターホイール(拡大機構)、42:ピニオン(拡大機構)、51:歪ゲージ、53:変換装置、P:通孔。
Claims (7)
- 水素貯蔵タンク(1)の内部に収容され、水素を吸蔵・放出する水素貯蔵物質(2)の水素残量検出方法であつて、
検出用水素貯蔵物質(16a)と水素透過性を有するゴム質弾性体(16b)とを混合して成形されて水素貯蔵タンク(1)側に固定され、先端側に指針(37)を有する混合成形体(16)と、水素貯蔵タンク(1)側に設ける目盛部材(38)とを有する水素残量検出装置を用い、
混合成形体(16)を該水素貯蔵タンク(1)内に設け、混合成形体(16)による水素吸蔵量に応じて混合成形体(16)を膨張・収縮させ、移動する指針(37)が指示する目盛部材(38)の目盛りを読み取ることにより、該水素貯蔵タンク(1)内の水素貯蔵物質(2)の水素残量を検出することを特徴とする水素残量検出方法。 - 水素貯蔵タンク(1)の内部に収容され、水素を吸蔵・放出する水素貯蔵物質(2)の水素残量検出装置であつて、
該水素残量検出装置が、水素貯蔵タンク(1)内に設けられ、検出用水素貯蔵物質(16a)と水素透過性を有するゴム質弾性体(16b)とを混合して成形されて水素貯蔵タンク(1)側に固定される混合成形体(16)と、混合成形体(16)の先端側に設ける指針(37)と、水素貯蔵タンク(1)側に設ける目盛部材(38)とを有し、
水素吸蔵量に応じた混合成形体(16)の膨張・収縮量によつて変位する指針(37)の指示により、目盛部材(38)の目盛りを読み取つて該水素貯蔵タンク(1)内の水素貯蔵物質(2)の水素残量を検出することを特徴とする水素残量検出装置。 - 前記混合成形体(16)が、水素貯蔵タンク(1)の内部に連通する通孔(P)を有し、弾性的変形が可能な容器(35a,35b,35c,35d)内に充填され、かつ、指針(37)が容器(35a,35b,35c,35d)に設けられていることを特徴とする請求項2の水素残量検出装置。
- 前記混合成形体(16)と指針37との間に拡大機構(40,42)が介在され、混合成形体(16)の膨張・収縮量が拡大されて指針37に伝達されることを特徴とする請求項2又は3の水素残量検出装置。
- 水素貯蔵タンク(1)の内部に収容され、水素を吸蔵・放出する水素貯蔵物質(2)の水素残量検出方法であつて、
検出用水素貯蔵物質(16a)と水素透過性を有するゴム質弾性体(16b)とを混合して成形させた混合成形体(16)を該水素貯蔵タンク(1)内に設け、水素吸蔵量に応じた混合成形体(16)の膨張・収縮量を変換装置(53)に作用させて電気量に変換し、該電気量の値から、該水素貯蔵タンク(1)内の水素貯蔵物質(2)の水素残量を検出することを特徴とする水素残量検出方法。 - 水素貯蔵タンク(1)の内部に収容され、水素を吸蔵・放出する水素貯蔵物質(2)の水素残量検出装置であつて、
該水素残量検出装置が、水素貯蔵タンク(1)内に設けられ、検出用水素貯蔵物質(16a)と水素透過性を有するゴム質弾性体(16b)とを混合して成形させた混合成形体(16)と、水素吸蔵量に応じた混合成形体(16)の膨張・収縮量を作用させて電気量に変換する変換装置(53)とを有し、
該変換装置(53)に基づく電気量の値から、該水素貯蔵タンク(1)内の水素貯蔵物質(2)の水素残量を検出することを特徴とする水素残量検出装置。 - 前記変換装置(53)が歪ゲージ(51)を有し、歪ゲージ(51)に基づく電気量の値から、前記水素貯蔵タンク(1)内の水素貯蔵物質(2)の水素残量を検出することを特徴とする請求項6の水素残量検出装置。
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