JP2004232474A - ポンプ用羽根車の間隙調整装置 - Google Patents

Abstract

【目的】羽根板前縁とサクションカバー内面との間の間隙が、サクションカバーの取外しを必要とすることなく、簡単な操作によって無段階に調整でき微調整も可能で且つ弛み止め機能にも優れ、しかも構造簡潔でローコストなポンプ用羽根車の間隙調整装置を提供する。
【構成】ポンプ軸１の導下部外周に雄ネジを刻設し、該雄ネジと螺合する後部ネジ孔４を羽根車ボス部３の後端面から穿設し、外周面に雄ネジを刻設した定着用ネジ栓６と螺合する前部ネジ孔５を羽根車ボス部３の前端面から穿設して前記後部ネジ孔４と導通させ、ポンプ軸１の導下部外周を後部ネジ孔４へネジ込ませそのネジ込み深さを増減させることにより、羽根板７の前縁とサクションカバー８の内面との間の間隙Ｇを調整し、且つ該前部ネジ孔５に定着用ネジ栓６をネジ込んでその後端面をポンプ軸１の前端面へ圧接させる。
【選択図】 図１

Description

【０００１】
【発明の技術分野】
本発明は、ポンプ用羽根車の間隙調整装置、更に詳しくは、ポンプ用羽根車の羽根板前縁とサクションカバー内面との間の間隙を調整するための装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
軸推力をスラストベアリングで受けるポンプの背面ギャップを調整するため、回転体であるシャフトに固定したアジャストメントリングの厚みによる位置決めと、静止体であるエンドカバーのスラストベアリング接触面による位置決めで調整することは、従来から行われている（例えば、特許文献１参照。）。このような背面ギャップの調整ではなく、アジャストメントリングの厚みによって羽根板前縁とサクションカバー内面との間の間隙を調整することで、ポンプの運転時に必要な吐出量の調整を行うことも慣用技術として一般に行われている。文献記載による公知の技術としては、オープン型ポンプケーシングの開口下面部へ接合される吸込カバーが、一面を浅く他面を深く形成させてあり、該吸込カバーの取付面を表裏に変更することで羽根車のギャップ変更を行わせるものが存在する（例えば、特許文献２参照。）。また、大型の排水ポンプ用として、羽根車に対向させて設けられたライナーを油圧装置によって昇降させることで羽根車のギャップ調整を行わせるという装置が公知である（例えば、特許文献３参照。）。
【０００３】
【特許文献１】
特開平５−１９５９８６号公報 （段落番号０００２）
【特許文献２】
実開平６−５３７９８号公報 （第５−６図）
【特許文献３】
実開昭６４−２７５００号公報 （図面）
【０００４】
【発明が解決しょうとする課題】
特許文献１のようなアジャストメントリングを用いたり、特許文献２のように吸込カバーを裏返しするようなものでは、調整の度に吸込カバーを取外さなければならないという煩わしさを伴うだけでなく、無段階な微調整は不可能であるという欠点がある。また、特許文献３のものは複雑かつ大掛りな装置で高価なものとなり、小型のポンプには到底適用し得ないもんである。
【０００５】
本発明の目的は、ポンプの運転時に必要な吐出量の調整が、サクションカバーの取外しを必要とすることなく、簡単な操作によって無段階に調整でき微調整も可能で且つ弛み止め機能にも優れ、しかも構造簡潔でローコストなポンプ用羽根車の間隙調整装置を提供することにある。
【０００６】
【問題を解決するための手段】
本発明に係る請求項１記載のポンプ用羽根車の間隙調整装置では、ポンプ軸の導下部外周に雄ネジを刻設し、該雄ネジと螺合する後部ネジ孔を羽根車ボス部の後端面から穿設し、外周面に雄ネジを刻設した定着用ネジ栓と螺合する前部ネジ孔を羽根車ボス部の前端面から穿設し、該前部ネジ孔の終端部と前記後部ネジ孔の終端部を導通させ、ポンプ軸の導下部外周を後部ネジ孔へネジ込ませ、該後部ネジ孔へのネジ込み深さを増減させることにより、羽根板前縁とサクションカバー内面との間の間隙を調整し、且つ、前部ネジ孔に定着用ネジ栓をネジ込んでその後端面をポンプ軸の前端面へ圧接させる。また、請求項２記載のポンプ用羽根車の間隙調整装置では、請求項１記載の構成を前提として、ポンプ軸の導下部外周に刻設される雄ネジが、ポンプ軸の回転方向と同一方向回りに旋回しつつ先端方向へ導延された態様で後部ネジ孔と螺合し、且つ、定着用ネジ栓の外周面に刻設される雄ネジが、ポンプ軸の回転方向と同一方向回りに旋回しつつ後端方向へ導延された態様で前部ネジ孔と螺合するよう構成した。
【０００７】
【実施例】
以下図１および図２の実施例により説明をする。
【０００８】
１はポンプ軸であり、その導下部外周には雄ネジを刻設されているが、該雄ネジの刻設態様としては、ポンプ軸１の回転方向と同一方向回りに旋回しつつ先端方向へ導延されていることが望ましい。つまり、ポンプ軸１が原動機側から見て右回転の場合は右ネジとし、左回転の場合は左ネジとする。３は羽根車ボス部の後端面から穿設された後部ネジ孔であり、内周面には前記ポンプ軸１の導下部外周における雄ネジと螺合する雌ネジが刻設されている。５は羽根車ボス部３の前端面から穿設された前部ネジ孔であり、該前部ネジ孔５の終端部は前記後端部ネジ孔４の終端部と導通している。６は定着用ネジ栓であり、その外周面には前部ネジ孔５の雌ネジと螺合する雄ネジが刻設されているが、該雄ネジの刻設態様としては、ポンプ軸１の回転方向と同一方向回りに旋回しつつ後端方向へ導延されれていることが望ましく、且つ、該定着用ネジ栓６の前端部はレンチ等螺回工具の係入に供するため、例えば前端面中心に角孔を設け、或いは外周面の前端部付近を多角形に形成しておくものとする。
【０００９】
ポンプ軸１の導下部外周を後部ネジ孔４へネジ込ませることにより羽根車２を装着すのであるが、羽根車３における後部ネジ孔４へのポンプ軸１のネジ込み深さを増減されることにより、羽根板７の下縁とサクションカバー８の上面との間の間隙Ｇを所定の値に調整したのち、定着用ネジ栓６を前部ネジ孔５にネジ込んでその後端面をポンプ軸１の導下先端面へ圧接させれば、羽根車ボス部３の前後両方向からのネジ込み作用に伴う強大なネジ込みトルクによって強力なダブルナット効果を生じ羽根車ボス部３が強固に固定されることになる。
【００１０】
そして、ポンプ軸１の導下部外周に刻設される雄ネジがポンプ軸１の回転方向と同一方向回りに旋回しつつ先端方向へ導延された態様で後部ネジ孔４と螺合し、且つ、定着用ネジ栓６の外周面に刻設される雄ネジがポンプ軸１の回転方向と同一方向回りに旋回しつつ後端方向へ導延された態様で前部ネジ孔５と螺合するよう構成した場合には、ポンプ駆動時に羽根車２の受ける水抵抗等によりポンプ軸１と後部ネジ孔４との螺合面で径方向へ僅かなズレを生じて後方への強大な推力を発生させると共に、定着用ネジ栓６と前部ネジ孔５との間にも後方向への推力を生じ、これらの推力が相俟って定着用ネジ栓６の後端面がポンプ軸１の前端面へ強力に圧接することになり、羽根車ボス部３が一層強固に固定されることになる。
【００１１】
【発明の効果】
本発明によれば、ポンプの運転時に必要な吐出量の調整要因とされる羽根板前縁とサクションカバー内面との間の間隙が、サクションカバーの取外しを必要とすることなく、簡単な操作によって無段階に調整でき微調整も可能で且つ弛み止め機能にも優れ、しかも構造簡潔でローコストなポンプ用羽根車の間隙調整装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明装置を備えたポンプ用羽根車の要部縦断側面図であって、羽根板前縁とサクションカバー内面との間の間隙を広く調整した状態を示す。
【図２】本発明装置を備えたポンプ用羽根車の要部縦断側面図であって、羽根板前縁とサクションカバー内面との間の間隙を狭く調整した状態を示す。
【符号の説明】
１ ポンプ軸
２ 羽根車ボス部
４ 後部ネジ孔
５ 前部ネジ孔
６ 定着用ネジ栓
７ 羽根板
８ サクションカバー
Ｇ 間隙

Claims (2)

1. ポンプ軸の導下部外周に雄ネジを刻設し、該雄ネジと螺合する後部ネジ孔を羽根車ボス部の後端面から穿設し、外周面に雄ネジを刻設した定着用ネジ栓と螺合する前部ネジ孔を羽根車ボス部の前端面から穿設し、該前部ネジ孔の終端部と前記後部ネジ孔の終端部を導通させ、ポンプ軸の導下部外周を後部ネジ孔へネジ込ませ、該後部ネジ孔へのネジ込み深さを増減させることにより、羽根板前縁とサクションカバー内面との間の間隙を調整し、且つ、前部ネジ孔に定着用ネジ栓をネジ込んでその後端面をポンプ軸の前端面へ圧接させることを特徴とする、ポンプ用羽根車の間隙調整装置。
2. ポンプ軸の導下部外周に刻設される雄ネジが、ポンプ軸の回転方向と同一方向回りに旋回しつつ先端方向へ導延された態様で後部ネジ孔と螺合し、且つ、定着用ネジ栓の外周面に刻設される雄ネジが、ポンプ軸の回転方向と同一方向回りに旋回しつつ後端方向へ導延された態様で前部ネジ孔と螺合するよう構成したことを特徴とする、請求項１記載のポンプ用羽根車の間隙調整装置。

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