JP2004230927A - 自動車外装部品製造用樹脂組成物 - Google Patents

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Kiyoji Takagi
喜代次 高木
Mitsuru Nakamura
充 中村
Mitsuji Iwaki
光地 岩木
Takeshi Sekito
武士 関藤
Kenichi Yasunaga
賢一 安永
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Toyota Motor Corp
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Mitsubishi Engineering Plastics Corp
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Abstract

【目的】耐衝撃性、流動性、寸法安定性、導電性、外観および塗装密着性などに優れた自動車外装部品製造用樹脂組成物を提供すること。
【構成】PPE(A1)、SEBSの水素添加物(A2)、比表面積の小さい導電性カーボンブラック(A3)、および不飽和酸無水物および/または不飽和酸(A4)を溶融状態で反応させて得た変性樹脂(A)10〜60重量部、特定の物性を有するポリアミド6(B)を10〜60重量部、比表面積の大きい導電性カーボンブラック(C1)とポリアミド6(C2)とを溶融混練したペレット(C)10〜40重量部、特定の物性を有するメタ珪酸カルシュウム(D)8〜20重量部を、あらかじめ溶融混練してペレット化した組成物95〜100重量部に対し、エチレン−ビニルアルコール共重合体(E)を0.2〜5重量部ドライブレンドしてなり、特定のミクロ構造を呈する樹脂組成物を特徴とする。
【効果】上記目的が達成される。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車外装部品製造用樹脂組に関する。さらに詳しくは、耐衝撃性、流動性、寸法安定性、導電性、外観および塗装密着性に優れた自動車外装部品製造用樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車外装部品製造用として、金属材料に代って多くの樹脂材料が使用されてきているが、最近、フェイシア、フェンダーおよびドアパネルなどの自動車外装部品製造用樹脂は、従来の樹脂と比較してさらに高い性能が要求されるようになってきた。例えば、(a)耐衝撃性:衝突時のエネルギーを変形することによって吸収し、その後回復する特性や、低温時の衝撃破壊が延性を示す特性である。(b)寸法安定性(低線膨張率):塗料塗装後の樹脂製部品が高温環境下に曝される際に、塗装膜と素地の樹脂部分との熱膨張の度合が異なるために、塗装膜の剥離や塗装面に微細な亀裂が生じ、外観や意匠性が悪化するケースが多発する。また、樹脂製大型部品を他の材質、例えば木材、金属などの部品と併用する場合、高温使用環境下では材料間の熱膨張の度合が異なるために、寸法差や噛み合い不良などの問題が生じる。
【0003】
さらに、(c)導電性:導電性を付与した樹脂製板状体(パネル)に通電し、それと反対の電荷を帯電させた塗料を樹脂製板状体表面に吹き付ける、いわゆる「静電塗装」技術が適用可能な優れた導電性を発揮する樹脂材料が要求されている。これは、樹脂製板状体表面と塗料とに反対の電荷を付与することによって、相互に引き合う性質を利用し、塗料の付着率を向上させるものである。(d)塗装密着性:鋼板用塗料を塗布した際、樹脂製板状体表面と塗装膜との密着性が、鋼板表面と塗装膜との密着性と同等であることが要求されている。
【0004】
上記(a)〜(d)の特性を満足する樹脂材料、すなわち、耐衝撃強度が優れている、高温における寸法安定性が優れている、静電塗装技術が適用できるほど導電性が優れている、鋼板用塗料との密着性が優れている、などの特性を具えていることが要求されている。これらの特性を具えた樹脂材料として、ポリフェニレンエーテルとポリアミド樹脂との樹脂組成物(ポリマーアロイ)が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。しかしながら、耐衝撃性、導電性、寸法安定性、塗装密着性の総てを同時に満たすことは困難であった。特に、(d)塗装密着性を鋼板と同等にすることは困難であり、このため樹脂材料は大型外装部品製造用として使用が制限されている。
【0005】
そこで、樹脂製外装部品の(d)塗装密着性を改良する方法として、(1)樹脂製外装部品へのプライマーの塗布、(2)塗料自体の改良、(3)樹脂成分自体の改良、などの試みがなされてきた。(1)の樹脂製外装部品へのプライマーの塗布法では、塗装工程が増えるのでコストが嵩み好ましくなく、(2)の塗料自体の改良法では、耐候性、衝撃性などの本来塗料に要求される特徴が失われ好ましくなかった。また、(3)の樹脂成分自体の改良では、塗装改良剤を添加する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、最終的に得られる樹脂組成物の流動性、靭性の低下、滞留成形による外観などの点から不十分であり、現時点では十分満足できる自動車外板製造用樹脂組成物は得られていない。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−206054号公報
【特許文献2】
特開2002−206054号公報
【特許文献2】
特開平2−208356号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、かかる状況にあって、ポリフェニレンエーテルとポリアミドとの樹脂組成物の耐衝撃性、流動性、寸法安定性、導電性、外観および塗装密着性などに優れた自動車外装部品製造用樹脂組成物を提供することを目的として、鋭意検討した結果、本発明を完成するに至ったものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、固有粘度が0.25〜0.45のポリフェニレンエーテル(A1)14〜85重量%、ビニル芳香族化合物の重合体ブロックAと共役ジエン系化合物の重合体ブロックBとが、A−B−A型の構造を呈したブロック共重合弾性体の水素添加物(A2)14〜85重量%、比表面積が600m/g未満の導電性カーボンブラック(A3)5〜20重量%との混合物と、不飽和酸無水物および/または不飽和酸(A4)1〜10重量部とを、溶融状態で反応させてなる変性樹脂{成分(A)}10〜60重量部、相対粘度が3.0dl/g以下のポリアミド6{成分(B)}10〜60重量部、比表面積が600m/g以上の導電性カーボンブラック(C1)5〜20重量%と相対粘度3.0dl/g以下のポリアミド6(C2)95〜80重量%を予め溶融混練してペレット化した組成物{成分(C)}10〜40重量部、平均繊維径(d)が4μ以下であり、かつ、平均繊維長(l)との比{(d)/(l)}が6以上であるメタ珪酸カルシュウム繊維{成分(D)}8〜20重量部を溶融混練してペレット化した組成物合計100重量部に対し、エチレン−ビニルアルコール共重合体{成分(E)}0.2〜3重量%をドライブレンドしてなる組成物であって、成分(A)と成分(B)によって構成されるミクロ形態が、海−島構造を呈し、海相が成分(B)で、島相が成分(A)であり、比表面積が600m/g以上の導電性カーボンブラック(C1)が主に海相に存在し、比表面積が600m/g未満の導電性カーボンブラック(A3)が主に島相に存在しているものである、ことを特徴とする自動車外装部品製造用樹脂組成物を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
(1)成分(A)
本発明において成分(A)とは、固有粘度が0.25〜0.45のポリフェニレンエーテル(A1)と、ビニル芳香族化合物の重合体ブロックAと共役ジエン系化合物の重合体ブロックBとが、A−B−A型の構造を呈したブロック共重合弾性体の水素添加物(A2)との混合物と、不飽和酸無水物および/または不飽和酸(A3)とを溶融状態で反応させてなる変性樹脂である。
【0010】
本発明においてポリフェニレンエーテル(A1)とは、下記一般式[I]で表される構造を有する単独重合体または共重合体である。
【0011】
【化1】
Figure 2004230927
【0012】
一般式[I]において、Qはハロゲン原子、第一級もしくは第二級アルキル基、アリール基、アミノアルキル基、炭化水素オキシ基またはハロ炭化水素オキシ基を表し、Qは水素原子、ハロゲン原子、第一級もしくは第二級アルキル基、アリール基、ハロアルキル基、炭化水素オキシ基またはハロ炭化水素オキシ基を表し、mは10以上の数を表す。
【0013】
一般式[I]におけるQおよびQの第一級アルキル基の好適な例は、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−アミル、イソアミル、2−メチルブチル、n−ヘキシル、2,3−ジメチルブチル、2−、3−もしくは4−メチルペンチルまたはヘプチルである。第二級アルキル基の好適な例は、イソプロピル、sec−ブチルまたは1−エチルプロピルである。多くの場合、Qはアルキル基またはフェニル基、特に炭素数1〜4のアルキル基であり、Qは水素原子である。
【0014】
好適なポリフェニレンエーテル(A1)の単独重合体としては、例えば、2,6―ジメチル―1,4―フェニレンエーテル単位からなるものである。好適な共重合体としては、上記単位と2,3,6―トリメチル―1,4―フェニレンエーテル単位との組合せからなるランダム共重合体である。多くの好適な単独重合体またはランダム共重合体、例えば、分子量、溶融粘度および/または耐衝撃強度などの特性を改良する分子構成部分を含むポリフェニレンエーテルなどが、多くの特許および文献などに記載され、提案されている。
【0015】
なお、ポリフェニレンエーテル(A1)は、クロロホルム中、温度30℃で測定した固有粘度が、0.25〜0.45dl/gの範囲のものが好ましい。固有粘度が0.25dl/g未満であると、最終樹脂組成物は耐衝撃性が不足し、0.45dl/gを越えると成形性が不満足であり、いずれも好ましくない。固有粘度の好ましい範囲は0.3〜0.45dl/gであり、中でも好ましいのは0.35〜0.4dl/gである。
【0016】
本発明において、ビニル芳香族化合物重合体ブロックAと共役ジエン化合物重合体Bとからなるブロック共重合体の水素添加物(A2)とは、ビニル芳香族化合物に由来する連鎖ブロック「A」と、共役ジエンに由来する連鎖ブロック「B」とを、各々少なくとも一個有する構造のビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体であり、ブロックBの脂肪族不飽和基が水素化されて減少したブロック共重合体をいう。
ブロック共重合弾性体の水素添加物(A2)は、最終樹脂組成物の機械的強度と成形加工性を適性値に維持する。ブロックAおよびブロックBの配列は、線状構造、分岐構造(ラジカルテレブロック)のいずれであってもよい。また、これら構造のうちの一部に、ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物とのランダム共重合部分に由来するランダム鎖を含んでいてもよい。これらのうちでは、配列が線状構造のものが好ましく、中でもジブロック構造のものがより好ましい。
【0017】
ビニル芳香族化合物として、好ましくはスチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレンなどが挙げられる。この中で特に好ましいのは、スチレンである。共役ジエン化合物としては、好ましくは1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエンなどが挙げられる。
【0018】
ビニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体の水素添加物(A2)において、ブロックAの繰り返し単位の占める割合は、10〜80重量%の範囲が好ましく、15〜60重量%の範囲がより好ましい。これらブロック共重合体における脂肪族鎖部分のうち、ブロックBに由来し、水素添加されずに残存している不飽和結合の割合は20%以下が好ましく、10%以下がより好ましい。また、ブロックAに由来する芳香族性不飽和結合の約25%以下が水素添加されていてもよい。
【0019】
これらの水素添加ブロック共重合体(A2)は、それらの分子量の目安として、25℃における濃度15重量%のトルエン溶液粘度の値が10〜30000cpsの範囲のものが好ましい。溶液粘度が10cpsより小さい値の範囲では、最終樹脂組成物の機械的強度が低下し、また30000cpsより大きい値の範囲では、最終樹脂組成物の成形加工性に難点を生じ、いずれも好ましくない。溶液粘度のより好ましい範囲は、30〜10000cpsである。
【0020】
導電性カーボンブラック(A3)は、最終樹脂組成物に導電性を発揮させる。導電性カーボンブラック(A3)は、ペイントなどに着色目的で使用される顔料用カーボンブラックとは違って、樹脂材料に溶融混練して組成物とした際、最終樹脂組成物が導電性を発揮するカーボンブラックをいう。導電性カーボンブラック(A3)は、比表面積が600m2/g未満のものとする。比表面積が600m/g以上であると、最終樹脂組成物の流動性および機械的強度が低下し、好ましくない。比表面積の好ましい範囲は、10m/g〜450m/gであり、中でも好ましいのは10m/g〜100m/gである。また、ASTM D2414に準拠して測定されるジブチルフタレート(DBP)吸油量が200ml/100g未満のものであり、さらに好ましくは150ml/100g未満のものである。このような物性を備えたカーボンブラックとしては、アセチレンガスを熱分解して得られるアセチレンブラックを挙げることができる。
【0021】
本発明において、不飽和酸無水物および/または不飽和酸(A4)としては、マレイン酸、マレイン酸モノメチルエステル、無水マレイン酸、イタコン酸、イタコン酸モノメチルエステル、無水イタコン酸、フマル酸などのα,β−不飽和ジカルボン酸、または、エンド−ビシクロ[2,2,1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸若しくはこれらの誘導体などの脂環式カルボン酸が挙げられる。
【0022】
変性物の成分(A)に占める各成分の割合は、次のとおりとする。成分(A) 中に占めるポリフェニレンエーテル(A1)の割合は、15〜85重量%とする。15重量%未満では、機械的強度、耐熱性が不満足であり、85重量%を超えると、最終樹脂組成物の衝撃性、流動性が不十分であり、いずれも好ましくない。ブロック共重合弾性体の水素添加物(A2)の割合は15〜85重量%とする。15重量%未満では、最終樹脂組成物の耐衝撃性、成形性が不満足であり、85重量部を超えると、最終樹脂組成物の耐熱性が不十分であり、いずれも好ましくない。
【0023】
成分(A)中に占める導電性カーボンブラック(A3)の割合は、5〜20重量%とする。5重量%未満では、最終樹脂組成物の導電性、剛性が不満足であり、20重量%を超えると、最終樹脂組成物の流動性、衝撃性が不満足であり、いずれも好ましくない。不飽和酸無水物および/または不飽和酸(A4)の割合は、1〜10重量%とする。1重量%未満では、最終樹脂組成物の耐衝撃性が不満足であり、10重量%を越えると、成形時の滞留安定性が不満足である
【0024】
成分(A)中に占める各成分の好ましい割合は、次のとおりである。ポリフェニレンエーテル(A1)は、20〜75重量部であり、中でも特に好ましいのは30〜60重量部である。ブロック共重合弾性体の水素添加物(A2)は、25〜80重量部であり、中でも特に好ましいのは40〜70重量部である。導電性カーボンブラック(A3)は、7〜18重量部であり、中でも特に好ましいのは10〜15重量部である。不飽和酸無水物および/または不飽和酸(A4)は、1.5〜5重量部であり、中でも特に好ましいのは2〜4重量部である。
【0025】
成分(A)としての変性樹脂は、ポリフェニレンエーテル(A1)と、水素添加ブロック共重合体(A2)、導電性カーボンブラック(A3)との混合物に、不飽和酸無水物および/または不飽和酸(A4)を添加して均一に混合し、得られた混合物を溶融状態で反応させることによって製造することができる。これら成分を溶融状態で反応させるには、(a)
(A1)、(A2)、(A3)との混合物に不飽和酸無水物および/または不飽和酸(A4)を、タンブラー、ブレンダーなどを使用して混合し、ついで得られた混合物を溶融反応させる方法が挙げられる。
【0026】
さらには、(b)溶融状態にある(A1)と(A2)との混合物に、不飽和酸無水物および/または不飽和酸(A3)を混合し反応させ、(A3)を混練する方法、(c)不飽和酸無水物および/または不飽和酸(A3)を、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレンおよびこれらの誘導体などの溶媒に溶解または分散させ、水素添加ブロック共重合体(A2)に混合して溶媒を飛散させ、これをポリフェニレンエーテル(A1)と混合して溶融反応させ、ついで(A3)を混練する方法などが挙げられる。
【0027】
上記混合物を溶融反応させるには、各種の溶融混練機、例えば、一軸押出機、多軸押出機、バンバリーミキサー、加熱ロール、ブラベンダープラストグラムなどが挙げられる。溶融反応させる際の温度、加熱時間などは、各成分の種類・割合、使用する混練機の種類・性能などにより変わるが、温度は150〜250℃の範囲、加熱時間は10秒〜5分の範囲で選ぶことができる。溶融混練する際、有機過酸化物を少量添加することができる。有機過酸化物は、あらかじめ上記原料成分の一種または混合物に均一に混合もしくは含浸させるか、溶融状態にある原料成分に混合し添加し均一に混合するのが好ましい。
【0028】
上記方法によって(A1)、(A2)、(A3)を溶融混練するのは、導電性カーボンブラック(A3)を最終樹脂組成物に均一に分散し易くし、最終樹脂組成物中で主に島相に分散させるためである。
【0029】
(2)成分(B)
成分(B)としてのポリアミド6は、末端カルボン酸含量[B1]が70μeq/g以下で、末端カルボン酸量と末端アミン量[B2]との比{[B2]/[B1]}が1〜4の範囲で、温度23℃、98%硫酸中で測定した相対粘度が3.0dl/g以下のものである。成分(B)の比{[B2]/[B1]}が1〜4の範囲で、相対粘度が3.0dl/g以下であると、成分(A)と成分(B)との相溶性に優れ、最終樹脂組成物の機械的強度が低下しないので好ましい。好ましい成分(B)は、末端カルボン酸含量[B1]が50μeq/g以下で、末端カルボン酸量と末端アミン量[B2との比{[B2]/[B1]}が1〜4の範囲で、温度23℃、98%硫酸中で測定した相対粘度が2.5dl/g以下のものである。
【0030】
(3)成分(C)
本発明において成分(C)とは、比表面積が600m/g以上の導電性カーボンブラック(C1) 5〜20重量%と、相対粘度3.0dl/g以下のポリアミド6(C2)95〜80重量%を予め溶融混練してペレット化した組成物をいう。ポリアミド6(C2)とあらかじめ溶融混練するのは、導電性カーボンブラック(C1)を最終樹脂組成物に均一に分散し易くし、最終樹脂組成物中で主に海相に分散させるためである。成分(C)は、最終樹脂組成物に導電性を付与する。ポリアミド6(C2)は、上記成分(B)と同様の特性を有するものとする。上記成分(B)と同様の特性のものとすると、成分(A)、成分(B)との相溶性に優れ、最終樹脂組成物に優れた物性を発揮させることができる。
【0031】
導電性カーボンブラック(C1)は、微細な粒子がぶどうの房状に連なった形態のもので、樹脂材料に溶融混練して組成物とした際、最終樹脂組成物が導電性を発揮するカーボンブラックをいう。その比表面積が600m/g未満であると、最終樹脂組成物に導電性を付与し難く、好ましくない。導電性カーボンブラック(C1)の比表面積は、750m/g〜1300m/gの範囲が好ましい。また、DBP吸油量(上で定義)が200ml/100g未満のものであり、さらに好ましくは150ml/100g未満のものである。このような物性を備えたカーボンブラックとしては、原油をファーネス式不完全燃焼させて製造したケッチェンブラックを挙げることができる。
【0032】
成分(C)中に占める導電性カーボンブラック(C1)が5重量%未満では、最終樹脂組成物が充分な導電性を発揮せず、20重量%を超えると導電性にばらつきがあり、いずれも好ましくない。導電性カーボンブラック(C1)とポリアミド6(C2)とのペレット化した組成物を得るには、予め溶融混練してペレット化するには、一軸押出機、多軸押出機、溶融したポリアミド6(C2)に導電性カーボンブラック(C1)を混練する方法によるのが好ましい。溶融混練機としては、バンバリーミキサー、加熱ロール、ブラベンダープラストグラムなどが挙げられる。
【0033】
(4)成分(D)
本発明において成分(D)とは、平均繊維径(d)が4μ以下であり、かつ平均繊維長(l)との比{(l)/(d)}が6以上であるメタ珪酸カルシュウム繊維をいう。成分(D)は、最終樹脂組成物から得られる製品の寸法安定性、耐衝撃性、耐熱性などを向上させる。平均繊維径(d)が4μを超えると最終樹脂組成物が低下し、比{(l)/(d)}が6未満であると耐熱性が低下する。成分(D)の平均繊維径(d)は好ましくは3.5μ以下であり、さらに好ましくは3μ以下である。また、両者の比{(l)/(d)}は好ましくは7以上であり、さらに好ましくは9以上である。なお、本発明において、平均繊維径(d)および平均繊維長(l)とは、電子顕微鏡による観察によって測定されるメタ珪酸カルシュウムを画像解析して得られる。具体的には、2000倍で撮影したメタ珪酸カルシュムを100〜200個測定し、それらの平均値を示す。
【0034】
メタ珪酸カルシュウムとは、針状結晶をもつ天然白色鉱物であり、化学式CaSiOで表され、通常SiOが50重量%、CaOが47重量%、その他FeO、Alなどを含有しており、比重は2.9である。かかるメタ珪酸カルシュウムを主成分とする繊維状無機充填剤は、通常、ワラストナイトと呼称されているものである。ワラストナイトは、川鉄鉱業社から、PH330、PH450という商品名で、ナイコ社から、ナイグロス4、ナイグロス5という商品名でそれぞれ市販されており、容易に入手できる。
【0035】
上記メタ珪酸カルシュウムは、カップリング剤によって表面処理されたものが好ましい。カップリング剤としては、シラン系、クローム系、チタン系などのカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤には、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ―クロロプロピルトリメトキシシラン、γ―アミノプロピルトリメトキシシラン、γ―メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β―(3,4―エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。チタンカップリング剤には、例えばイソプロピルトリイソスチアロイルチタネート、イソプロピルトリラウリルミリスチルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジメタクリルチタネート、イソプロピルトリジイソオクチルフォスフェートチタネートなどが挙げられる。
【0036】
カップリング剤をメタ珪酸カルシュウムに表面処理する方法として、乾式、湿式、インテグラルなどの方法があるが、いずれの方法によってもよい。中でも、湿式処理が好ましい。カップリング剤によって表面処理する際、非イオン・陽イオン・陰イオン型などの各種の界面活性剤や、脂肪酸・金属石鹸・各種樹脂などの分散剤による処理を併せて行うと、混練性向上、最終樹脂組成物の機械的強度向上などの観点から、好ましい。
【0037】
(5)成分(E)
本発明において成分(E)とは、エチレン−ビニルアルコール共重合体をいう。成分(E)は、最終樹脂組成物の塗装性を向上させる。成分(E)のエチレン−ビニルアルコール共重合体は、エチレンとビニルアルコールのランダム共重合させることによって得られる。共重合体は、最終樹脂組成物の滞留熱安定性と塗装性の観点から、エチレンの共重合比率が20〜60モル%のものが好ましく、40〜50モル%のものがさらに好ましい。エチレン−ビニルアルコール共重合体は、市販されておりクラレ社の「エバール」(商品名)が代表的である。
【0038】
(6)その他の成分
本発明に係る樹脂組成物には、必要に応じて、紫外線吸収剤、酸化防止剤などの安定剤、顔料、染料、滑剤、難燃剤、離型剤などの添加剤、ガラス繊維、ガラスフレーク、チタン酸カリウム、タルク、マイカなどの無機強化剤、導電性物質などを添加することができる。さらに、耐衝撃改良剤としてのエラストマーを、添加することもできる。
【0039】
(7)各成分の割合と配合方法
(7−1) 四成分の割合
本発明に係る樹脂組成物は、上記の五成分を必須とするが、各成分の割合は、つぎのようにする。まず、成分(A)〜成分(D)の四成分を溶融混練してペレットを調製し、ついで、成分(E)をドライブレンドする。成分(A)〜成分(D)の四成分合計100重量部中に占める成分(A)の割合は、10〜60重量部の範囲とする。成分(A)が10重量部未満では、最終樹脂組成物の機械的強度、成形性が不満足であり、60重量部を超えると導電性、流動性が不十分であり、いずれも好ましくない。四成分合計100重量部中に占める成分(B)の割合は、10〜60重量部の範囲とする。成分(B)が10重量部未満では、最終樹脂組成物の機械的強度、成形性が不満足であり、60重量部超では導電性が不十分であり、いずれも好ましくない。
【0040】
四成分合計100重量部中に占める成分(C)の割合は、10〜40重量部の範囲とする。成分(C)が10重量部未満では、最終樹脂組成物の塗装性、導電性が不満足であり、40重量部を越えると成形時の流動性が不満足であり、いずれも好ましくない。四成分合計100重量部中に占める成分(D)の割合は、8〜20重量部の範囲とする。成分(D)の割合が8重量部未満では、最終樹脂組成物の塗装性、導電性が不満足であり、20重量部を越えると成形時の滞留安定性が不満足であり、いずれも好ましくない。
【0041】
四成分合計100重量部中に占める各成分のより好ましい範囲は、成分(A) は15〜50重量部であり、中でも特に好ましいのは20〜40重量部である。成分(B)は12〜50重量部であり、中でも特に好ましいのは15〜30重量部である。成分(C)は15〜35重量部であり、中でも特に好ましいのは25〜30重量部である。成分(D)は10〜18重量部であり、中でも特に好ましいのは12〜16重量部である。
【0042】
(7−2)四成分の混合方法
上記四成分を混合するには、溶融混練する方法が挙げられる。溶融混練するには、一軸押出機、多軸押出機、バンバリーミキサー、加熱ロール、ブラベンダープラストグラムなどの従来から知られている各種混練機の中から、樹脂組成物の混練に適したものを選択すればよい。溶融混練する際の温度・混練時間などの混練条件は、混練機の種類・性能、樹脂組成物を構成する各成分の性質・割合などに応じて適宜決定することができる。
【0043】
混合方法は、(1) 成分(A)〜成分(D)の四成分をあらかじめ混合し、四成分の混合物を溶融混練する方法、(2)押出機を使用し、押出機のホッパーで成分(A)を、上流〜中流部分で成分(B)および成分(C)を、下流部分で成分(D)をそれぞれ添加し、溶融混練する方法、などが挙げられる。
【0044】
(7−3) 成分(E)の割合と配合方法
四成分より構成される樹脂組成物100重量部に対し、成分(E)を0.2〜5重量部配合する。成分(E)が0.2重量部未満では、最終樹脂組成物の塗装性、導電性が不満足であり、5重量部を越えると、成形時の滞留安定性が不満足で、いずれも好ましくない。成分(E)の好ましい範囲は0.5〜4重量部であり、中でも好ましいのは1〜3重量部である。
【0045】
本発明に係る樹脂組成物は、上記四成分より構成される樹脂組成物に、上記成分(F)をドライブレンドしたものである。ドライブレンド物は、そのまま自動車用外装部品製造用樹脂材料として使用できる。ドライブレンド物を溶融混練してペレット化して成形材料とすることもできるが、ペレット化すると樹脂組成物を構成する各成分を溶融混練する工程が増えるので経済的でなく、また熱履歴も増えるので最終樹脂組成物の熱安定性の観点から、好ましくない。
【0046】
(8)ミクロ形態(モルフォロジー)の特徴
本発明に係る樹脂組成物は、成分(A)と成分(B)によって構成されるミクロ形態が、海−島構造を呈し、海相が成分(B)で、島相が成分(A)であり、比表面積が600m/g以上の導電性カーボンブラック(C1)が主に海相に存在し、比表面積が600m/g未満の導電性カーボンブラック(A3)が主に島相に存在する。比表面積が異なる導電カーボンブラックを併用し、上のように分散させることによって、熱可塑性樹脂組成物は、流動性を極端に低下させることがない。
【0047】
なお、本発明において海−島構造とは、マトリックスのミクロ形態(モルフォロジー)を電子顕微鏡で観察した際に、連続したマトリックスの中に不連続の島を形成している構造を意味する。海−島構造は、溶融混練によって得られたペレットから小片を切り出し、その表面をRuO(酸化ルテニウム)またはOsRuO(酸化オスミウム)によって染色した後、ウルトラミクロトーム(ライヘルト社製、ウルトラカット)を用いて超薄切片を作成し、透過型電子顕微鏡(日本電子社製、NJEM100CX)によって観察することができる。
【0048】
海相が成分(B)で、島相が成分(A)であり、比表面積が600m/g以上の導電性カーボンブラック(C1)が主に海相{成分(B)}に存在し、比表面積が600m/g未満の導電性カーボンブラック(A3)が主に島相{成分(A)}に存在させるには、成分(A)および
成分(B)をそれぞれ前記した方法で調製し、(7−2)に記載した混合方法によって混合すればよい。
【0049】
本発明に係る樹脂組成物を材料として自動車用外装部品を製造する方法は、特に限定されるものでなく、熱可塑性樹脂組成物について一般に採用されている成形法、例えば、射出成形法、中空成形法、押出成形法、回転成形法、積層成形法、シート成形法、熱成形法などの成形法が適用できる。
【0050】
従来、樹脂製外装部品と鋼板とが一体化された製品を、静電塗装装置で塗装する検討が行われていたが、樹脂製外装部品は、耐衝撃性、流動性、寸法安定性、耐熱性、導電性、外観および塗装密着性などの物性の総てを同時に満たすことは困難であったので、実用化されるまでに至っていない。本発明に係る樹脂組成物は、耐衝撃性、流動性、寸法安定性、導電性、外観および塗装密着性などに優れているので、自動車外装部品製造用の樹脂材料として好適である。得られた自動車外装部品は鋼板と一体化した製品として、鋼板用の静電塗装装置に移送し、150〜170℃の温度範囲で塗装することができる。
【0051】
本発明に係る樹脂組成物を材料として製造される自動車用外装部品としては、フロントフェンダー、リアフェンダー、フューエルリッド、ドアパネル、テールゲートパネル、ライセンスガーニッシュ、トランクリッド、ロッカーモールなどが挙げられる。
【0052】
【実施例】
以下に本発明を実施例によって、詳しく説明するが、本発明は以下の記載例に限定されるものではない。なお、以下に記載の例において、使用した各成分の名称、物性などの詳細は次のとおりであり、また以下に記載の実施例、比較例において得られた最終樹脂組成物についての評価試験は、以下に記載の方法で行ったものである。
【0053】
[使用した各成分の略称、物性など]
A)成分(A)(変性樹脂)
(A1)PPE1:ポリフェニレンエーテル(ポリ−2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)であって、温度30℃のクロロホルム中で測定したときの固有粘度が、0.40dl/gのものである。
(A2)SEBS:スチレン−ブチレンースチレンブロック共重合体の水素添加物水素添加(シェル化学社製、商品名:クレイトンG1650)である。
(A31)導電性CB1:比表面積28m/g、DBP吸油量65ml/100gの導電性カーボンブラック(ライオン社製、商品名:SRFカーボン)である。
(A32) 導電性CB2:比表面積1270m/g、DBP吸油量495ml/100gの導電性カーボンブラック(ライオン社製、商品名:ケッチェンブラック60OJD)である。
(A4)無水マレイン酸:市販されている試薬(1級)である。
【0054】
<成分(A)の調製>
上記(A1)PPE1、(A2)SEBS、(A31) 導電性CB1、(A32) 導電性CB2および(A4)無水マレイン酸を、表―1に示す割合で秤量し、タンブラーミキサーによって均一に混合した。得られた混合物を、二軸押出機(日本製鋼社製、型式:TEX30XCT、30mmφ)を用いて、シリンダー温度280℃、スクリュー回転数250rpmの条件下で溶融混練して反応させ、ペレット化した成分(A)(変性樹脂)を得た。
【0055】
B)成分(B)(ポリアミド6)
(B1)PA1:末端カルボン酸量[B1]が126μeq/gで、末端アミン量[B2]との比{[B1]/[B2]}が4.8で、温度23℃、98%硫酸中で測定したときの相対粘度が2.0dl/gのポリアミド6である。
(B2)PA2:末端をステアリン酸とステアリルアミンで封鎖し、末端カルボン酸含量[B1]が49μeq/gで、末端カルボン酸と末端アミン量[B2]との比{[B1]/[B2]}が3.5で、温度23℃、98%硫酸中で測定したときの相対粘度が2.1dl/gのポリアミド6である。
【0056】
C)成分(C)(導電性カーボンブラックとポリアミド6との組成物)
(CB1)導電性CB1:比表面積28m/g、DBP吸油量65ml/100gの導電性カーボンブラック(ライオン社製、商品名:SRFカーボン)であり、(A31)と同種である。
(CB2)導電性CB2:比表面積1270m/g、DBP吸油量495ml/100g導電性カーボンブラック(ライオン社製、商品名:ケッチェンブラック60OJD)であり、(A32)と同種である。
【0057】
<成分(C)の調製>
(C1)CB1/PA1:導電性CB1を12重量%と、PA1を88重量%それぞれ秤量し、ブレンダーで混合し、得られた混合物を二軸押出機(日本製鋼社製、型式:TEX30XCT、30mmφ)を用いて、シリンダー温度280℃、スクリュー回転数250rpmの条件下で溶融混練し、ペレット化して成分(C1)を得た。
【0058】
(C2)CB2/PA1:導電性CB2を12重量%と、PA1を88重量%それぞれ秤量し、ブレンダーで混合し、得られた混合物を二軸押出機(日本製鋼社製、型式:TEX30XCT、30mmφ)を用いて、シリンダー温度280℃、スクリュー回転数250rpmの条件下で溶融混練し、ペレット化して成分(C2)を得た。
【0059】
D)成分(D)(メタ珪酸カルシュム)
(D)ワラストナイト1:平均繊維径(d)が2.2μ、平均繊維長(l)が20.9μで、平均{(l)/(d)}が9.5のワラストナイト(川鉄鉱業社製、商品名:PH330)である。
【0060】
E)成分(E)(エチレン−ビニルアルコール共重合体)
(E)EVOH:エチレン含量が47モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体(クラレ社製、商品名:エバールG165A)である。
【0061】
[各種物性の評価方法]
(1)衝撃強度(単位:J):100mmφ円盤シートについて、ハイレート衝撃試験機(島津製作所製)を用いて行う衝撃試験方法である。ポンチの径は1/2インチ、サポート径は3インチ、打ち抜き速度を1m/sとし、その吸収エネルギーを測定する方法である。この値が大きいほど、耐衝撃性に優れている。
【0062】
(2)流動性(単位:mm):射出成形機(東芝機械社製、型式:IS150)を使用し、シリンダー温度280℃、金型温度80℃、射出圧力1000kg/cm、射出時間10秒、冷却時間30秒の条件下で、バーフローを測定する方法である。この値が大きいほど、流動性に優れている。
(3)耐熱性(単位:℃):ASTM D648に準拠して、0.45MPaの荷重条件試験する方法である。
【0063】
(4)帯電特性(Ω/cm): 射出成形機(東芝機械社製、型式:IS150)を使用し、シリンダー温度280℃、金型温度80℃の条件下で成形した、縦150mm×横150mm×厚さ3mmの平板状試験片について、表面抵抗測定器(三菱化学社製、商品名:ハイレスタ)によって、任意の3ヶ所について表面抵抗値を測定する方法である。
【0064】
(5)塗装性:上記(4)と同種の平板状試験片について、以下条件で評価を行った。塗装用スプレーハンドガン(デビルビス社製、型式名:JGA502IIIエアキャップ43FF)を使用し、まず試験片の表面に自動車外板用中塗り塗料(関西ペイント社製、商品名:TP−65−2グレー、日本ペイント社製、商品名:ORGA P−30 8105グレー)を塗布し、130℃で12分間焼き付けたあと、ベース塗料(関西ペイント社製、商品名:マジクロンTB516)、およびクリヤー塗料(関西ペイント社製、商品名:KINO−1200TW)を塗布し、140℃で18分間焼き付けた。塗料の塗布面に、一辺が1mm幅で碁盤目状のスリットを刻設し、この上にセロハンテープを貼着した後、セロハンテープを剥離する方法である。塗料の塗布面が全く剥離しないものを◎、スリットのエッジ部のみが剥離したものを○、碁盤目の1〜4個まで剥離したものを△、碁盤目の5個以上が剥離したものを×、と表示した。
【0065】
(6)塗装外観:上記(4)と同種の平板状試験片について、以下条件で評価を行った。まず、試験片の表面に自動車外板用中塗り塗料{上記(5)におけると同種}を塗布し、130℃で12分間焼き付けた後、上塗り塗料{上記(5)におけると同種}、およびクリヤー塗料{上記(5)におけると同種}を塗布し、140℃で18分間焼き付けた。塗料の塗布面について、目視観察して塗装外観を評価する方法である。塗装外観が、静電塗装付鋼板と同等以上のものを◎、同等のものを○、劣るものを×、と表示した。
【0066】
(7) 滞留成形後の外観
射出成形機(東芝機械社製、型式:IS150)を使用し、シリンダー温度280℃、シリンダー滞留時間を20分とし、金型温度80℃の条件下で、縦150mm×横150mm×厚さ3mmの平板状試験片を成形した。得られた平板状試験片につき、表面外観を目視観察し、外観を判定する方法である。判定基準は次のとおりとした。平板状試験片表面に、分解ガスによるシルバーストリークなどの外観不良が観察されないものを◎、外観不良が平板状試験片表面の10%未満のものを○、10〜60%未満のものを△、60%以上のものを×とした。
【0067】
(8)寸法安定性(単位:1/℃):ASTM D696に準拠して線膨張係数を測定し、寸法安定性を評価した。ただし、測定温度範囲は23〜80℃とした。
【0068】
[実施例1〜実施例2]
(1)四成分{成分(A)〜成分(E)}の配合・混練
まず、成分(A)〜成分(D)を表−1に示す量をそれぞれ秤量し、ついで、成分(A)〜成分(D)をブレンダーミキサーで混合した。得られた混合物を、シリンダー温度280℃、スクリュー回転数350rpmの条件に設定した二軸押出機(日本製鋼社製、型式:TEX30XCT、30mmφ)のホッパーに供給し、溶融混練せながら移送させつつ、押出機の下流部で成分(D)を添加し溶融混練させて、四成分を含むペレットを得た。
【0069】
(2)最終樹脂組成物の調製
上記の方法で調製した四成分を含むペレットと成分(E)とを、表−1に示す割合で秤量し、ブレンダーミキサーによって混合してドライブレンド物を得た。
【0070】
(3)試験片の作成、評価試験
上記のドライブレンド物を成形材料とし、射出成形機(東芝機械社製、型式:IS150、型締め力150T)を使用し、シリンダー温度280℃、金型温度80℃、成形サイクル30秒の成形条件下で、物性評価用試験片(ASTM)、および100mmφの円盤状試験片を作成し、これら試験片につき上記の評価試験を行った。評価結果を、表−1に示す。
【0071】
[比較例1]
実施例1に記載の例において、成分(A)の比表面積が600m/g未満の導電性カーボンブラック{(A31)導電性CB1}を添加しなかった外は、実施例1と同様の手法で溶融混練し、同様の手法で成分(E)を添加して溶融混練させてペレット化した樹脂組成物を得た。このペレットから実施例1におけると同様の手順で試験片を作成し、これら試験片につき上記の評価試験を行った。評価結果を、表−1に示す。
【0072】
[比較例2]
実施例1に記載の例において、成分(A)の比表面積が600m/g未満の導電性カーボンブラック{(A31)導電性CB1}に代えて、比表面積が600m/g以上の(CB2)導電性CB2を添加した外は、実施例1と同様の手法で溶融混練し、同様の手法で成分(E)を添加して溶融混練させてペレット化した樹脂組成物を得た。このペレットから実施例1におけると同様の手順で試験片を作成し、これら試験片につき上記の評価試験を行った。評価結果を、表−1に示す。
【0073】
[比較例3]
実施例1に記載の例において、成分(E)をドライブレンドせず他成分と混合し、押出機(実施例1で使用したもの)で溶融混練ペレット化した。次いで、得られたペレットから、実施例1におけると同様の手順で試験片を作成し、得られた試験片について同様の評価試験を行った。評価結果を、表−1に示す。
【0074】
【表1】
Figure 2004230927
【0075】
表−1より、次のことが明らかとなる。
(1)本発明に係る樹脂組成物は、耐衝撃性、流動性、寸法安定性、導電性などに優れた成形品が得られる(実施例1〜実施例2参照)。
(2)本発明に係る樹脂組成物から得られる成形品は、塗料の塗布面が剥離し難く塗装密着性に優れている(実施例1〜実施例2参照)。
(3)本発明に係る樹脂組成物から得られら成形品は、鋼板と同様条件で塗料を塗布し、高温で焼き付け処理しても、塗装外観は静電塗装した鋼板と同等である(実施例1〜実施例2参照)。
(4)これに対して、成分(A)に比表面積が600m/g未満の導電性カーボンブラック{(A31)導電性CB1}を添加しなかった比較例1の樹脂組成物は、耐衝撃性、流動性、耐熱性、導電性、および滞留成形後の成形品の外観に劣る。
(5)また、(A31)導電性CB1に代えて比表面積が600m/g以上の導電性カーボンブラック{(CB2)導電性CB2}を添加した比較例2の樹脂組成物は、耐衝撃性、流動性、耐熱性、導電性、および滞留成形後の成形品の外観に劣る。
(6) 成分(F)をドライブレンドせずに成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)と溶融混練した比較例3の樹脂組成物は、耐衝撃性、流動性などに劣る。
【0076】
【発明の効果】
本発明は、以上詳細に説明したとおりであり、次のような特別に有利な効果を奏し、その産業上の利用価値はきわめて大である。
1.本発明に係る樹脂組成物は、耐衝撃性、流動性、寸法安定性導電性などに優れた成形品が得られる。
2.本発明に係る樹脂組成物は、成形時に高温で長時間溶融状態に曝されても、熱分解し難く、成形品の外観は劣化しない。
3.本発明に係る樹脂組成物から得られる成形品は、塗料の塗布面が剥離し難く、塗装密着性に優れている。
4.本発明に係る樹脂組成物から得られる成形品は、鋼板と同様の条件で塗料を塗布し、高温で焼き付け処理しても、塗装外観は静電塗装した鋼板と同等である。
5.本発明に係る樹脂組成物から製造した自動車用外装部品は、上記4項の効果を奏するので、鋼板塗装用装置をそのまま使用し、鋼板用塗料を塗布することができる。

Claims (3)

  1. 固有粘度が0.25〜0.45のポリフェニレンエーテル(A1)14〜85重量%、ビニル芳香族化合物の重合体ブロックAと共役ジエン系化合物の重合体ブロックBとが、A−B−A型の構造を呈したブロック共 重合弾性体の水素添加物(A2)14〜85重量%、 比表面積が600m/g未満の導電性カーボンブラック(A3)5〜20重量%と、不飽和酸無水物および/または不飽和酸(A4)1〜10重量部とを、溶融状態で反応させてなる変性樹脂{成分(A)}10〜60重量部、相対粘度が3.0dl/g以下のポリアミド6{成分(B)}10〜60重量部、比表面積が600m/g以上の導電性カーボンブラック(C1)5〜20重量%と相対粘度3.0dl/g以下のポリアミド6(C2)95〜80重量%を予め溶融混練してペレット化した組成物{成分(C)}10〜40重量部、平均繊維径(d)が4μ以下であり、かつ、平均繊維長(l)との比{(d)/(l)}が6以上であるメタ珪酸カルシュウム繊維{成分(D)}8〜20重量部を溶融混練してペレット化した組成物合計100重量部に対し、エチレン−ビニルアルコール共重合体{成分(E)}0.2〜5重量%をドライブレンドしてなる組成物であって、成分(A)と成分(B)によって構成されるミクロ形態が、海−島構造を呈し、海相が成分(B)で、島相が成分(A)であり、比表面積が600m/g以上の導電性カーボンブラック(C1)が主に海相に存在し、比表面積が600m/g未満の導電性カーボンブラック(A3)が主に島相に存在するものである、ことを特徴とする自動車外装部品製造用樹脂組成物。
  2. 成分(B)が、末端カルボン酸含量が50μeq/g以下、末端カルボン酸量[B1]と末端アミン量[B2]との比{[B1]/[B2]}が1〜4の範囲で、温度23℃、98%硫酸中で測定した相対粘度が2.5dl/g以下のポリアミド6である、請求項1に記載の自動車外装部品製造用樹脂組成物。
  3. 成分(E)が、エチレンの共重合比率が40〜60モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体である、請求項1または請求項2に記載の自動車外装部品製造用樹脂組成物。
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