JP2004230530A - 宇宙ロボットの姿勢制御方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アーム動作の反作用によってベースの位置や姿勢が変動する浮遊型宇宙ロボットの姿勢制御において、ロボットのアームが有するn個(n≧2)の駆動関節のうち2つを姿勢制御(方向転換)用の関節として選抜し、残りの関節は姿勢制御時にはある基準値に固定し、2つの関節の動作は関節平面上の3つの閉経路とそれらを結ぶ開経路の組み合わせにより計算する。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アーム動作の反作用によってベースの位置や姿勢が変動する浮遊型宇宙ロボットの姿勢制御方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の宇宙ロボットの姿勢制御方法としては、宇宙ロボットにスラスタ(補助推進装置)やモーメントジャイロ等を装備し、姿勢変動が大きいときはスラスタ等を使用し、姿勢変動が小さいときはモーメントジャイロ等を使用する技術が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。スラスタは、ロボット本体外に推薬を噴射してその推力からトルクを得るものであり、モーメントジャイロは、ロボット本体内でトルクを発生させるもので、高速で回転しているジャイロから復元トルクを得るものである。
【0003】
また、近年、宇宙ロボットに代表されるフリーフライングロボット(以下、「宇宙ロボット」として話を進める。)の姿勢制御に関する研究が数多くなされているが、宇宙ロボットは、系の運動拘束となる角運動量保存則が非ホロノミックな拘束であるため、動作前後でアームの形状が同じであっても、ベースの姿勢を変更することができる。しかしながら、アーム形状とベース姿勢を同時に所望の値に到達させる関節の動作軌道を得るのは容易ではない。
【0004】
宇宙ロボットの姿勢制御計画については、大きく分けて次の2つの研究が知られている。すなわち、宇宙ロボットの駆動関節部の操作により姿勢を制御する方法として、(1)解軌道をフーリエ級数やべき級数に限定してその係数最適化問題に帰着させて関節動作を計画する方法、(2)関節空間上の微小な閉経路、または、定められた閉経路を繰り返し辿る関節動作を計画する方法、がある。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−198585号公報
【特許文献2】
特開平7−178687号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、宇宙ロボットにスラスタやモーメントジャイロ等を装備して姿勢を制御する方法では、次のような問題点がある。すなわち、スラスタ等の外力装置は推薬を噴射するもので、推薬のストック量は有限であるため、これを使い果たすと姿勢制御が不能になる。また、コントロールモーメントジャイロ等の付加装置を用いると、ロボットが大型化・大重量化する。しかも、有限燃料や付加装置が必要となると、コストが高くなる。
【0007】
一方、駆動関節部の操作により姿勢を制御する方法のうち、解軌道をフーリエ級数やべき級数に限定してその係数最適化問題に帰着させて関節動作を計画する方法を用いると、解を得るのに長時間を要する。
また、駆動関節部の操作により姿勢を制御する方法のうち、関節空間上の微小な閉経路、または、定められた閉経路を繰り返し辿る関節動作を計画する方法を用いると、どのような型のロボットにも適用できるわけではなく、また、非能率的な動作が計画されてしまう。
【0008】
本発明は上記の諸点に鑑みなされたもので、本発明の目的は、ロボットのアームに内在する駆動関節の操作を利用する姿勢制御方法とすることで、付加装置を用いることなく、かつ、推薬などの有限燃料が不要となり、しかも、従来の関節動作の計画方法に比べて、姿勢制御のための能率的な動作を短時間で計算でき、どのような型のロボットにも適用することができる宇宙ロボットの姿勢制御方法及び装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の方法は、アーム動作の反作用によってベースの位置や姿勢が変動する浮遊型宇宙ロボットを、アームに内在する駆動関節部の操作により姿勢制御する方法において、ロボットのアームが有するn個(n≧2)の駆動関節のうち2つを姿勢制御(方向転換)用の関節として選抜し、残りの関節は姿勢制御時にはある基準値に固定し、2つの関節の動作は関節平面上の3つの閉経路とそれらを結ぶ開経路の組み合わせにより計算し、2関節の姿勢制御動作によりロボットの姿勢を所望値に制御するように構成されている。
【0010】
また、本発明の方法は、アーム動作の反作用によってベースの位置や姿勢が変動する浮遊型宇宙ロボットを、アームに内在する駆動関節部の操作により姿勢制御する方法において、ロボットのアームが有するn個(n≧2)の駆動関節のうち2つを姿勢制御(方向転換)用の関節として選抜し、残りの関節は姿勢制御時にはある基準値に固定し、2つの関節の動作は関節平面上の3つの閉経路とそれらを結ぶ開経路の組み合わせにより計算し、2関節の姿勢制御動作の後に残りの関節を所望値へと動作させることを特徴としている。
【0011】
本発明の装置は、アーム動作の反作用によってベースの位置や姿勢が変動する浮遊型宇宙ロボットを、アームに内在する駆動関節部の操作により姿勢制御する装置において、ロボットのアームが有するn個(n≧2)の駆動関節のうち2つを姿勢制御(方向転換)用の関節として選抜し、2つの関節の動作を関節平面上の3つの閉経路とそれらを結ぶ開経路の組み合わせにより計算する制御手段と、姿勢制御時には、姿勢制御用の2関節以外の関節はある基準値に固定し、制御手段で動作計画された2関節の姿勢制御動作によりロボットの姿勢を所望値に制御する駆動手段とを備えたことを特徴としている(図4参照)。
【0012】
上記の本発明の方法及び装置においては、姿勢制御用に選抜した2関節の動作計画を実施するに際し、姿勢制御用の2関節の変位平面上に、1つの基準点と3つの経由点、それらを結ぶ3つの開経路、及び経由点を通る3つの閉経路幾何形状を予め設定し、所望の姿勢変換量に応じて、閉経路幾何形状のサイズパラメータを決定し、定められた順路でそれらの動作を組み合わせることで、関節動作を計画する。
【0013】
また、上記の本発明の方法及び装置においては、大変量を要する第一段階の姿勢制御を上記方法により実施し、小変量で高精度な第二段階の制御は小容量のスラスタや小型のモーメントジャイロ等により実施するという構成にしてもよい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は下記の実施の形態に何ら限定されるものではなく、適宜変更して実施することが可能なものである。まず、宇宙環境で使用されるロボットの姿勢制御計画を考察する際には、システムが可制御となるための最少の自由度を明らかにしておくことが必要である。可制御とは「ベース姿勢とアーム形状を同時に任意の値に到達させる関節軌道が存在する」ことであり、自由度とは「駆動関節の数」である。少ない自由度で系の一般化座標すべてを制御できれば、運動計画や制御則の考察が平易化できる。2自由度のロボットの場合、角運動量保存則は非ホロノミック系であるため、可制御となり得る。本発明者らは、3次元の宇宙ロボットの可制御最少自由度は2であることを、研究により明らかにしている。したがって、2自由度系に対する姿勢制御の計画法を構築し、それを一般のn自由度系に対して拡張すればよい。n自由度系は、(n−2)自由度を固定すれば2自由度系とみなせるため、本発明の方法は可制御最少自由度系の利点、つまり、考察の平易性を最大に生かした計画方法である。
【0015】
(1)宇宙ロボットの運動拘束式
図1に示すようなn自由度リンク系を考える。また、本実施の形態で用いる主な記号を以下に示す。
ΣU :慣性座標系
Σi :リンクiに固定された座標系
Rij :座標系jから座標系iへの変換行列
(z−y−xオイラー角で定義する)
mi :リンクiの質量
Ji :リンクiの慣性テンソル
ai :関節i−1からのリンクiの重心位置
bi :リンクiの重心からの関節iの位置
li :関節iからの関節i+1の位置
p0 :慣性座標系原点からのリンク0の重心位置
φi :関節iの変位
θk :ベースのk軸の姿勢角(z−y−xオイラー角で定義)
ここで、ai,bi,li,Jiは、リンク座標系Σiで表記される。
系の拘束条件は、運動量保存則と角運動量保存則である。このうち、運動量保存則は完全積分可能であり、系の独立な一般化座標の数を減らすことができる。つまり、p0は他の一般化座標(θk,φi)で表現可能となる。一方、角運動量保存則は、積分不可能であり、その拘束式は下記の数1に示す式のような微分方程式となる。
【0016】
【数1】
【0017】
ここで、系の初期の運動量、角運動量の値はともに0とした。
今、系の一般化座標の全体ベクトルx=(θT φT)T、下記の数2に示す入力を明示的に表現する変数uを用いて上記の数1に示す式を表現し直すと、下記の数3に示す式のようになる。この拘束式は対称アフィンシステムである。また、hi(x)は一般化座標の状態空間上の点xにおける拘束接超平面の基底である。
【0018】
【数2】
【0019】
【数3】
【0020】
(2)宇宙ロボットの可制御性
ロボットのベース姿勢とアーム形状を同時に任意の値に到達させる関節軌道が存在すること、つまり、上記の数3に示す式の拘束の下で、n次元一般化座標xを任意な初期点から別の任意な終端点へと到達させる入力軌道uが存在することを示せれば、本実施の形態でいう可制御性を示せたことになる。
2自由度系の可制御性を判別するためには、可接近空間(accessibility distribution)のランクが5となる点を一つでも見つければよい。そこで、可接近空間の候補を下記の数4に示す式のように選定する。ただし、拘束接超平面の基底はh1,h2のみであり、h3,h4,h5は接超平面外の基底である。ΔH(x)の成分は下記の数5に示す式のようである。
【0021】
【数4】
【0022】
【数5】
【0023】
したがって、rank(ΔH(x))=5を示すためには、rank(ΔK(x))=3を示せば十分である。今、θ=0とする。θ=0でフルランクを示せれば可制御である。詳細な説明は省略するが、考え得るすべての2自由度機構について、数値的な考察を行ったところ、これらのシステムでは可接近空間ΔK(x)がフルランクを満たす点を少なくとも一つ有していることが確認できた。よって、2自由度系は可制御である。以上のように、宇宙ロボットが可制御となり得る最少の自由度は2であることから、2自由度により宇宙ロボットの姿勢制御が可能である。
【0024】
(3)宇宙ロボットの姿勢制御計画
A)2自由度系の姿勢制御計画
本実施の形態で考察する姿勢制御問題を以下のように定式化する。
「初期のアーム形状をφd=(φ1d φ2d)Tとし、ベース姿勢をθ0=(000)Tからθd=(θzd θyd θxd)Tへと到達させ得る、関節空間の閉経路Φsat(τ)を求める。」
τは関節空間における経路の行程パラメータである。関節空間上ではφdをΦdと表記する。また、閉経路とは終端点が初期点に等しい閉じた経路である。
ここで、アーム形状の初期値φ(0)が目標値φdと異なる場合や、ベース姿勢の初期値θ0が(000)Tでない場合の問題は、アーム形状を任意の動作で目標値φdに一致させ、そのときのベース姿勢を(000)Tとして座標系を取り直せば、上の問題に帰着できる。
【0025】
本発明における計画法の基本的な手順は、関節空間上に3つの経由点を設定し、各経由点で必要な姿勢変動量を与える閉経路を求め、そして、それらを往路と復路が同じ開経路で組み合わせて、所望の関節経路を得る方法である。また、本発明の計画法は、Lie括弧積の等高線図より姿勢制御に効率的な経由点を選定し、各経由点での閉経路の決定は姿勢変動近似関数を用いて行う。そのため、どのような型のロボットに対しても、繰り返しの少ない効率的な動作を与える解を、計算機に負担をかけることなく得ることができる。姿勢変動近似関数は、システムの機構と構造に対して一度設計していればよく、毎回の姿勢制御計画においては短時間に所望の関節経路を得ることができる。
姿勢変動近似関数の設計手順と姿勢制御の計画手順を以下に定式化する。なお、記述に要する各記号の概念図を図2に示す。
【0026】
姿勢変動近似関数の設計手順
▲1▼ 関節平面上に、基準点ΦOと3つの経由点ΦA,ΦB,ΦCと、さらにΦOとΦA,ΦB,ΦCとをそれぞれ結ぶ経路PA,PB,PCを選択する。
▲2▼ 大きさを表すパラメータをsA,sB,sCとして、各代表点ΦA,ΦB,ΦCを通るそれぞれの閉経路ΓA,ΓB,ΓCの幾何形状を決定する。
▲3▼ φ=ΦOでθ=(000)Tとして、φがΦOからPA,B,Cを通ってΦA,B,Cに達したときの、姿勢変動量ROA,OB,OCを求める。
▲4▼ φ=ΦA,B,Cでθ=(000)Tとして、φがΦA,B,Cから反時計回りに大きさsA,B,CのΓA,B,Cを通って再びΦA,B,Cに戻ってきたときの、姿勢変動量ΔθA,B,Cを求める。sA,B,Cを順次変更し、同様にΔθA,B,Cを求める。
▲5▼ 得られたΔθA,B,CのデータをsA,B,Cの近似関数(下記の数6)で補間する。ただし、この近似関数はsA,B,Cの奇関数とする。
【0027】
【数6】
【0028】
関節経路の計画
▲1▼ 関節角φをΦdから関節空間上の任意の経路POを通り、ΦOに到達させる。このときの姿勢変動量RdOを求める。
▲2▼ nA=nB=nC=1として、下記の数7に示す方程式を満たす、sA,sB,sCの値を求める。得られたsA,sB,sCの絶対値が、その限界値sAmax,sBmax,sCmaxを超える場合には、nA=nB=nC=2として、数7に示す方程式を解き直す。sA,sB,sCの絶対値が限界値以内になるまで、nA,nB,nCを順次増加させていく。
【0029】
【数7】
【0030】
▲3▼ 所望の関節経路Φsatは、以下の経路(下記の数8)で得る。ここで、「Φi→(Pk)→Φj」は「関節平面上の点ΦiからPkを通ってΦjに行き着く」ことを表し、(Γis)×niは大きさsiの閉経路Γiをni回辿ることを表している。また、siの符号が正ならばΓisを反時計回りに、負ならば時計回りに辿る。
【0031】
【数8】
【0032】
B)n自由度系の姿勢制御計画
2自由度系の姿勢制御方法を3自由度以上の系に拡張することは容易である。まず、n個の関節変数を(φ1 φ2 … φn)Tとして、このうちの二つを姿勢制御用の自由度として選択する。ここでは、仮にφ=(φ1 φ2)Tを選択する。残りの自由度(下記の数9)を姿勢制御時には、ある基準点(下記の数9)に固定しておけば、n自由度システムも見かけ上2自由度系として扱える。姿勢変動近似関数は下記の数10に示す式で求める。
【0033】
【数9】
【0034】
【数10】
【0035】
姿勢制御の計画手順は以下の通りである。初期状態(下記の数11)から残りの自由度(上記の数9)を任意の経路(下記の数11)を通りその基準点(上記の数9)に移動する。そこで、RdO *を求め、次に、現在のベース姿勢と目標ベース姿勢を初期化する。以降は、上述した2自由度系の姿勢制御計画に帰着する。所望の関節経路は、以下の経路(下記の数12)で得る。
【0036】
【数11】
【0037】
【数12】
【0038】
本実施の形態で説明したn自由度系の姿勢制御方法は、図3に示すような手順で実施される。また、姿勢制御装置としては、図4に示すように、上述したような姿勢制御計画に基づいて数値計算、制御等を行う制御装置(CPU)10と、制御装置10からの指令に基づいてアームの駆動関節を操作しアーム形状を移動させる駆動装置12とを備えた構成とする。
また、本発明においては、大変量を要する第一段階の姿勢制御を上記方法により行い、小変量で高精度な第二段階の制御は小容量のスラスタや小型のモーメントジャイロ等により実施するということも可能である。この場合、スラスタやモーメントジャイロ等は小容量・小型のものでよく、装置の大型化・重量化は問題にならない。
【0039】
次に、図5に示すような2自由度機構のロボットを用いて、シミュレーションを実施した。その条件は下記に示す通りである。
ケース1 :θd[deg]=(0 10 0)T φd[deg]=(0 0)T
ケース2 :θd[deg]=(30 0 0)T φd[deg]=(0 0)T
【0040】
ケース1の結果と従来手法とを比較する。姿勢変動近似関数を利用して所望の経路Φsat(τ)を計画した。その後、Φsat(τ)を移動する経路行程速度を15[deg/s]として、関節軌道と姿勢軌道を計算した。それぞれの変数の軌道を図6に示す。動作の終了時刻に、姿勢角(θz θy θx)Tは目標値へ十分な精度で到達していることが確認できる。
一方、前述した従来手法のうち、(2)関節空間上の微小な閉経路、または、定められた閉経路を繰り返し辿る関節動作を計画する方法、で姿勢制御計画を行った。具体的には、微小振幅周期動作(Small Cyclic Motion:SCM)による計画方法で姿勢制御計画を実施した。同じ経路行程速度で姿勢角の軌道を求め、図7に示す結果を得た。動作終了時刻には、3つの姿勢角(θz θy θx)Tとも目標値へ十分な精度で到達しているが、姿勢制御動作の終了時刻は上記の姿勢変動近似関数によって計画された軌道に比べ、実に20倍以上遅い時刻となっている。SCM計画法で得た経路では一連の閉経路動作の繰り返しが46回あるのに対し、本発明の姿勢変動近似関数を用いた計画法で得た経路では1回のみであった。
このように、本発明の方法を用いれば、所望の姿勢変換を実現するより効率的な関節動作を得ることができる。
【0041】
つづいて、ケース2の結果と従来手法とを比較する。姿勢変動近似関数を利用して所望の経路Φsat(τ)を計画し、得られた経路Φsat(τ)を図8(実線)に示す。また、同じ条件で、前述した従来手法のうち、(1)解軌道をフーリエ級数やべき級数に限定してその係数最適化問題に帰着させて関節動作を計画する方法、でも計算を行った。具体的には、フーリエ基底係数最適化法(Fourier Basis Algorithm:FBA)で計算を行った。FBAでは、各軸の入力を18個のフーリエ基底の線形和で近似した。得られた関節経路を図8(破線)に併せて示す。
【0042】
本発明の姿勢変動近似関数によって計画された経路は、ΓAを反時計回りに3回、ΓBを反時計回りに2回、ΓCを時計回りに1回を辿る経路であり、FBAによって得られた経路に比べれば、あまり効率的な動作とは言えない。しかし、FBAによって得られた経路は、Φ=(0 170)T近辺への動作が必要となっている。これは明らかに関節の可動範囲を超えている。そのため、場合によっては関節の可動範囲内の経路を繰り返し辿る動作の方が好ましいこともある。FBAやその他の解軌道を限定してパラメータ最適化問題に帰着させる方法に、関節の可動範囲を考慮したより複雑な動作をも計画可能にしようとすると、フーリエ基底を増やすなどして限定する解の領域を拡大する必要がある。しかし、姿勢制御の量によっては少ないフーリエ基底で十分に計画可能な場合もあり、毎回の計算を多めのフーリエ基底を用いて行うのは賢明でない。一方、本発明の方法では、関節の可動範囲を考慮して姿勢変動近似関数の限界値simaxを設定すれば、可動範囲内の関節経路だけを得ることが可能である。さらに、必要な場合だけ計算量が増大することになり、能率的である。
【0043】
また、解を得るまでに要した計算時間は、コンピュータ(733[MHz]のペンティアム(登録商標)III)で31秒であった。これは、入念に重みを調整したときのFBAの場合に比べ、6分の1の時間であった。
このように、本発明の方法では、所望の解を短時間で得ることができ、また、関節の動作条件を考慮した解を簡単に得ることもできる。そのため、実装を想定したときに、有効な計画法である。
【0044】
【発明の効果】
本発明は上記のように構成されているので、つぎのような効果を奏する。
(1) ロボットのアームに内在する駆動関節の操作を利用する姿勢制御方法であるため、付加装置を必要とせず、ロボットのコスト低減や小型化・軽量化が可能となる。
(2) 宇宙ロボットの関節の動作は、例えば、太陽熱エネルギーを燃料とするため、姿勢制御に際しても推薬などの有限燃料を必要としない。したがって、有限燃料を節約することができる。
(3) 従来の計画方法に比べて、姿勢制御のための能率の良い関節動作を短時間で得ることができ、また、どのような型のロボットにも適用することができ、実用的で有用な方法である。
(4) 従来の姿勢制御方法(スラスタやコントロールモーメントジャイロ等)と併用する場合にも、姿勢変動量は小量でよいため、装置が大型化・重量化するのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】n自由度を有する宇宙ロボットの概要を示す模式図である。
【図2】本発明の実施の形態における姿勢変動近似関数の設計手順と姿勢制御の計画手順を説明するための概念図である。
【図3】本発明の実施の形態による宇宙ロボットの姿勢制御方法を実施する手順を示す説明図である。
【図4】本発明の実施の形態による宇宙ロボットの姿勢制御装置の概略構成を示す説明図である。
【図5】本発明の実施の形態において、シミュレーションで用いる2自由度機構のロボットを示す模式図である。
【図6】本発明の方法による関節軌道と姿勢軌道のシミュレーション結果である。
【図7】従来方法による姿勢軌道のシミュレーション結果である。
【図8】本発明の方法による関節経路(実線)と従来方法による関節経路(破線)のシミュレーション結果である。
【符号の説明】
10 制御装置(CPU)
12 駆動装置
Claims (7)
- アーム動作の反作用によってベースの位置及び/又は姿勢が変動する浮遊型宇宙ロボットを、アームに内在する駆動関節部の操作により姿勢制御する方法において、ロボットのアームが有するn個(n≧2)の駆動関節のうち2つを姿勢制御用の関節として選抜し、残りの関節は姿勢制御時にはある基準値に固定し、2つの関節の動作は関節平面上の3つの閉経路とそれらを結ぶ開経路の組み合わせにより計算し、2関節の姿勢制御動作によりロボットの姿勢を所望値に制御することを特徴とする宇宙ロボットの姿勢制御方法。
- アーム動作の反作用によってベースの位置及び/又は姿勢が変動する浮遊型宇宙ロボットを、アームに内在する駆動関節部の操作により姿勢制御する方法において、ロボットのアームが有するn個(n≧2)の駆動関節のうち2つを姿勢制御用の関節として選抜し、残りの関節は姿勢制御時にはある基準値に固定し、2つの関節の動作は関節平面上の3つの閉経路とそれらを結ぶ開経路の組み合わせにより計算し、2関節の姿勢制御動作の後に残りの関節を所望値へと動作させることを特徴とする宇宙ロボットの姿勢制御方法。
- 姿勢制御用に選抜した2関節の動作計画を実施するに際して、姿勢制御用の2関節の変位平面上に、1つの基準点と3つの経由点、それらを結ぶ3つの開経路、及び経由点を通る3つの閉経路幾何形状を予め設定し、所望の姿勢変換量に応じて、閉経路幾何形状のサイズパラメータを決定し、定められた順路でそれらの動作を組み合わせる請求項1又は2記載の宇宙ロボットの姿勢制御方法。
- 大変量を要する第一段階の姿勢制御を請求項1、2又は3記載の方法により実施した後、小変量で高精度な第二段階の制御を小容量のスラスタ又は/及び小型のモーメントジャイロにより実施することを特徴とする宇宙ロボットの姿勢制御方法。
- アーム動作の反作用によってベースの位置及び/又は姿勢が変動する浮遊型宇宙ロボットを、アームに内在する駆動関節部の操作により姿勢制御する装置において、
ロボットのアームが有するn個(n≧2)の駆動関節のうち2つを姿勢制御用の関節として選抜し、2つの関節の動作を関節平面上の3つの閉経路とそれらを結ぶ開経路の組み合わせにより計算する制御手段と、
姿勢制御時には、姿勢制御用の2関節以外の関節はある基準値に固定し、制御手段で動作計画された2関節の姿勢制御動作によりロボットの姿勢を所望値に制御する駆動手段とを備えたことを特徴とする宇宙ロボットの姿勢制御装置。 - 制御手段での動作計画が、姿勢制御用の2関節の変位平面上に、1つの基準点と3つの経由点、それらを結ぶ3つの開経路、及び経由点を通る3つの閉経路幾何形状を予め設定し、所望の姿勢変換量に応じて、閉経路幾何形状のサイズパラメータを決定し、定められた順路でそれらの動作を組み合わせるものである請求項5記載の宇宙ロボットの姿勢制御装置。
- 宇宙ロボットに小容量のスラスタ又は/及び小型のモーメントジャイロを装備して、大変量を要する第一段階の姿勢制御を請求項5又は6記載の装置により実施し、小変量で高精度な第二段階の制御をスラスタ又は/及びモーメントジャイロにより実施するようにしたことを特徴とする宇宙ロボットの姿勢制御装置。
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