I.スクリーニングアッセイ法
本発明は、体重を調節するために、例えば体重障害を治療するために用いることができる化合物を同定する方法(本明細書において「スクリーニングアッセイ法」とも呼ばれる)を提供する。方法は、配列#115に結合する、および/または配列#115の活性もしくは発現に対して刺激もしくは阻害作用を有する、候補または被験化合物または物質(例えば、ペプチド、ペプチド模倣体、低分子、または他の薬物)を同定する段階、さらに配列#115に結合する、または配列#115の活性もしくは発現に対して、刺激もしくは阻害作用を有する化合物のうちどれが、インビボアッセイ法において哺乳類(例えば、マウスまたはラット)の摂食挙動、体重、または代謝速度に影響を及ぼすかを決定する段階を伴う。
このように本発明は、a)被験化合物を哺乳類の配列#115に接触させる段階;b)被験化合物が哺乳類の配列#115に結合するか否かを決定する段階;およびc)哺乳類の配列#115に結合する化合物を、体重を調節するために有用な化合物として同定する段階を含む、体重を調節するために有用な化合物を同定する方法を提供する。
本発明はまた、a)被験化合物の存在下および非存在下で、配列#115リガンドを哺乳類の配列#115に接触させる段階;b)被験化合物が、哺乳類の配列#115への配列#115リガンドの結合を変化させるか否かを決定する段階;およびc)哺乳類の配列#115への配列#115リガンドの結合を変化させる化合物を、体重を調節するために有用な化合物として同定する段階を含む、体重を調節するために有用な化合物を同定する方法に関する。
上述した方法の好ましい態様において、哺乳類の配列#115は、組換え細胞の表面上に発現される。上記の方法のより好ましい態様において、組換え細胞は真核細胞である。
配列#115に結合する、および/または配列#115の活性もしくは発現に対して刺激もしくは阻害作用を有する、候補または被験化合物もしくは物質は、ある型の配列#115を発現する細胞を用いるアッセイ法(細胞系アッセイ法)、または単離された配列#115(無細胞アッセイ法)のいずれかにおいて同定される。様々なアッセイ法は、多様な型の配列#115(例えば、完全長の配列#115、配列#115の生物活性断片、または配列#115の全てもしくは一部を含む融合タンパク質)を用いることができる。その上、配列#115は、適した任意の哺乳類種(例えば、ヒト配列#115、ラット配列#115(Q9QXI3とも呼ばれる)、またはマウス配列#115)に由来しうる。アッセイ法は、配列#115への被験化合物または既知の配列#115リガンドの結合を直接または間接的に測定する段階を伴う、結合アッセイ法でありうる。アッセイ法はまた、配列#115の活性の直接または間接的な測定を伴う、活性アッセイ法でありうる。アッセイ法はまた、配列#115の発現(例えば、mRNAをコードする配列#115または配列#115タンパク質)の直接または間接的な測定を伴う、発現アッセイ法でありうる。様々なスクリーニングアッセイ法を、哺乳類(例えば、マウスまたはラット)の摂食挙動、体重、または代謝速度に及ぼす被験化合物の影響を調べる段階を伴うインビボアッセイ法と組み合わせる。
一つの態様において、本発明は、配列#115の膜結合型(細胞表面発現型)に結合する、またはその活性を調節する、候補または被験化合物をスクリーニングするアッセイ法を提供する。そのようなアッセイ法では、完全長の配列#115、配列#115の生物活性断片、または配列#115の全てもしくは一部を含む融合タンパク質を用いることができる。下記により詳細に記述するように、被験化合物は、適した任意の手段によって、例えば従来の化合物ライブラリから得ることができる。被験化合物が配列#115の膜結合型に結合できるか否かの決定は、例えば、配列#115発現細胞への被験化合物の結合を、複合体における標識化合物の検出により測定することができるように、放射性同位元素または酵素標識に被験化合物を結合させることによって達成することができる。例えば、被験化合物は、125I、35S、14C、または3Hによって直接または間接的に標識することができ、放射性同位元素は放射線放出の直接計数またはシンチレーション計数によって検出することができる。または被験化合物は、例えば西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、またはルシフェラーゼによって酵素標識することができ、酵素標識は、適した基質の生成への変換を測定することによって検出することができる。
競合的結合方式において、アッセイ法は、配列#115発現細胞を配列#115に結合する既知化合物に接触させてアッセイ混合物を形成する段階、アッセイ混合物を被験化合物に接触させる段階、および被験化合物が配列#115発現細胞と相互作用する能力を判断する段階を含み、ここで被験化合物が配列#115発現細胞と相互作用する能力を判断する段階が、既知化合物と比較して、被験化合物が配列#115発現細胞に選択的に結合する能力を判断する段階を含む。
もう一つの態様において、アッセイ法は、細胞表面上で発現された配列#115(例えば、完全長の配列#115、配列#115の生物活性断片、または配列#115の全てもしくは一部を含む融合タンパク質)の膜結合型を発現する細胞を、被験化合物に接触させる段階、および被験化合物が配列#115の膜結合型の活性を調節する(例えば、刺激または阻害する)能力を判断する段階を含む、細胞系アッセイ法である。被験化合物が、配列#115の膜結合型の活性を調節する能力の判断は、配列#115の活性を測定するために適した任意の方法、例えば、Gタンパク質共役受容体または他の7回膜貫通型受容体(下記により詳細に記載)の活性を測定するために適した任意の方法によって、行うことができる。7回膜貫通型受容体の活性は、多様な方法で測定することができ、必ずしもその全てが任意の受容体にとって適しているわけではない。活性の測定には、細胞内Ca2+濃度の変化、ホスホリパーゼCの活性化、細胞内イノシトール三リン酸(IP3)濃度の変化、細胞内ジアシルグリセロール(DAG)濃度の変化、および細胞内アデノシン環状3',5'一リン酸(cAMP)濃度の変化が含まれる。
本発明はまた、以下を含む、体重を調節するために有用な化合物を同定する方法に関する:a)哺乳類の配列#115を発現する細胞に被験化合物を接触させる段階;b)被験化合物が哺乳類の配列#115の活性を変化させるか否かを決定する段階;およびc)哺乳類の配列#115の活性を変化させる化合物を、体重を調節するために有用な化合物として同定する段階。
好ましい態様において、哺乳類の配列#115の活性は、細胞におけるcAMPのレベルを測定することによって決定される。もう一つの好ましい態様において、哺乳類の配列#115の活性は、細胞において細胞質Ca2+のレベルを測定することによって決定される。もう一つの好ましい態様において、哺乳類の配列#115の活性は、細胞内イノシトール1,4,5-三リン酸(IP3)を測定することによって測定される。もう一つの好ましい態様において、哺乳類の配列#115の活性は、細胞内1,2-ジアシルグリセロール(DAG)を測定することによって測定される。より好ましい態様において、細胞はさらに、cAMP応答配列に機能的に結合したレポーター遺伝子を含み、cAMPレベルは、レポーター遺伝子の発現を測定することによって測定する。最も好ましい態様において、レポーター遺伝子は、アルカリホスファターゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、ルシフェラーゼ、グルクロニドシンターゼ、成長ホルモン、または胎盤のアルカリホスファターゼである。
本明細書に記載した任意の方法の最も好ましい態様において、哺乳類はマウスである。
被験化合物が配列#115の活性を調節する能力を判断することは、例えば、配列115が標的分子に結合する、または相互作用する能力を判断することによって達成できる。標的分子は、配列#115が本来結合するか、または相互作用する分子、例えば配列#115を発現する細胞の表面上の分子、第二の細胞の表面上の分子、細胞外環境に存在する分子、細胞膜の内部表面に結合している分子、または細胞質分子でありうる。標的分子は、細胞膜を通じて、細胞内への細胞外シグナル(例えば、配列#115リガンドの結合によって生じたシグナル)の伝達を促進するシグナル伝達経路の成分でありうる。標的分子は、例えば、触媒活性を有する第二の細胞内タンパク質、または下流のシグナル伝達分子と配列#115との結合を促進するタンパク質でありうる。
配列#115ポリペプチドが標的分子と結合または相互作用する能力を判断することは、直接的な結合を決定するために上述した方法の一つによって行うことができる。一つの態様において、本発明のポリペプチドが標的分子と結合または相互作用する能力の判断は、標的分子の活性を決定することによって行うことができる。例えば、標的分子の活性は、標的の細胞内二次伝達物質(例えば、細胞内Ca2+、ジアシルグリセロール、IP3等)の誘導を検出することによって、適当な基質上の標的の触媒/酵素活性を検出することによって、レポーター遺伝子(例えば、検出可能なマーカー、例えばルシフェラーゼをコードする核酸に、機能的に結合した本発明のポリペプチドに対して反応性である調節要素)の誘導を検出することによって、または細胞反応を検出することによって、決定することができる。
本発明にはまた、無細胞アッセイ法も含まれる。そのようなアッセイ法は、ある型の配列#115(例えば、完全長の配列#115、配列#115の生物活性断片、または配列#115の全てもしくは一部を含む融合タンパク質)を被験化合物に接触させる段階、および被験化合物が配列#115ポリペプチドに結合する能力を判断する段階を含む。配列#115ポリペプチドへの被験化合物の結合は、上記のように直接または間接的に測定することができる。一つの態様において、アッセイ法は、配列#115ポリペプチドを、配列#115ポリペプチドに結合する既知化合物に接触させてアッセイ混合物を形成する段階、アッセイ混合物を被験化合物に接触させる段階、および被験化合物が配列#115ポリペプチドと相互作用する能力を判断する段階を含み、ここで被験化合物が配列#115ポリペプチドと相互作用する能力の判断は、既知化合物と比較して、被験化合物が配列#115ポリペプチドに選択的に結合する能力を判断する段階を含む。
本発明の無細胞アッセイ法は、配列#115ポリペプチドの膜結合型またはその可溶性断片のいずれかを用いるのに適する。ポリペプチドの膜結合型を含む無細胞アッセイ法の場合、ポリペプチドの膜結合型が溶液中で維持されるように、可溶化剤を利用することが望ましい可能性がある。そのような可溶化剤の例には、n-オクチルグルコシド、n-ドデシルグルコシド、n-ドデシルマルトシド、オクタノイル-N-メチルグルカミド、デカノイル-N-メチルグルカミド、トライトンX-100、トライトンX-114、テシット(Thesit)、イソトリデシポリ(エチレングリコールエーテル)n、3-[(3-クロルアミドプロピル)ジメチルアミニオ]-1-プロパンスルホネート(CHAPS)、3-[(3-クロルアミドプロピル)ジメチルアミニオ]-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホネート(CHAPSO)、またはN-ドデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホネートのような、非イオン性界面活性剤が含まれる。
本発明の上記のアッセイ法の様々な態様において、一つまたは双方のタンパク質の非複合体型から複合体型の分離を容易にするため、ならびにアッセイ法の自動化を適合させるために、配列#115ポリペプチド(または配列#115標的分子)を固定することが望ましい可能性がある。候補化合物の存在下および非存在下における、配列#115ポリペプチドへの被験化合物の結合、または標的分子と配列#115ポリペプチドとの相互作用は、反応物を含むのに適した任意の容器において行うことができる。そのような容器の例には、マイクロタイタープレート、試験管、および微量遠心管が含まれる。一つの態様において、一つまたは複数のタンパク質をマトリクスに結合させるドメインを付加する融合タンパク質を提供することができる。例えば、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ融合タンパク質を、グルタチオンセファロースビーズ(シグマケミカル、セントルイス、ミズーリ州)またはグルタチオン誘導体化マイクロタイタープレートに吸着させることができ、これらを次に、被験化合物、または被験化合物と非吸着標的タンパク質もしくは配列#115ポリペプチド、および複合体形成を助ける条件(例えば、塩およびpHに関して生理的条件)下でインキュベートした混合物と組み合わせる。インキュベーション後、ビーズまたはマイクロタイターウェルを洗浄して、あらゆる未結合の成分を除去して、複合体形成を、例えば上記のように直接または間接的に測定する。または、複合体をマトリクスから解離させることができ、配列#115ポリペプチドの結合または活性レベルを標準的な技術を用いて決定することができる。
マトリクス上にタンパク質を固定する他の技術も同様に、本発明のスクリーニングアッセイ法において用いることができる。例えば、配列#115ポリペプチドまたはその標的分子のいずれかを、ビオチンおよびストレプトアビジンの結合を利用して固定することができる。本発明のビオチン化ポリペプチドまたは標的分子は、当技術分野で周知の技術(例えば、ビオチン化キット、ピアスケミカル(Pierce Chemical)、ロックフォード、イリノイ州)を用いてビオチン-NHS(N-ヒドロキシ-スクシニミド)から調製して、ストレプトアビジンコーティング96ウェルプレート(ピアスケミカル)のウェルに対して固定することができる。または、配列#115または標的分子と反応するが、本発明のポリペプチドとその標的分子との結合を妨害しない抗体を、プレートのウェルにおいて誘導体化することができる。未結合の標的または本発明のポリペプチドは、抗体結合によってウェルに捕捉される。GST-固定化複合体に関する上記の方法に加えて、そのような複合体を検出する方法には、配列#115または標的分子と反応する抗体を用いる複合体の免疫検出、ならびに配列#115または標的分子と結合した酵素活性の検出に依存する、酵素結合アッセイ法が含まれる。
スクリーニングアッセイ法は、配列#115の発現をモニターする段階を含みうる。例えば、配列#115の発現の調節物質は、細胞を候補化合物と接触させて、配列#115タンパク質またはmRNAの発現を決定する方法において、同定することができる。候補化合物の存在下での配列#115タンパク質またはmRNAの発現レベルを、候補化合物の非存在下での配列#115タンパク質またはmRNAの発現レベルと比較する。次に、この比較に基づいて、候補化合物を配列#115の発現の調節物質として同定することができる。例えば、配列#115タンパク質またはmRNAタンパク質の発現レベルが、候補化合物の存在下では非存在下より高い(統計学的に有意に高い)場合、候補化合物は、配列#115タンパク質またはmRNA発現の刺激物質として同定される。または、配列#115タンパク質またはmRNAの発現レベルが候補化合物の存在下では非存在下より低い(統計学的に有意に低い)場合、候補化合物は、配列#115タンパク質またはmRNA発現の阻害剤として同定される。細胞における配列#115タンパク質またはmRNA発現レベルは、下記の方法によって決定することができる。
II.被験化合物
本発明のスクリーニングアッセイ法において用いるのに適した被験化合物は、適した任意の供給源、例えば、従来の化合物ライブラリから得ることができる。被験化合物はまた、生物ライブラリ;空間的に位置特定可能な(spatially addressable)平行固相または液相ライブラリ;逆重畳積分を必要とする合成ライブラリ法;「1ビーズ1化合物(one-bead one-compound)」ライブラリ法;およびアフィニティクロマトグラフィー選択を用いる合成ライブラリ法を含む、当技術分野で公知の組み合わせライブラリ法における、多数の任意のアプローチを用いて得ることができる。生物ライブラリアプローチは、ペプチドライブラリに限定されるが、他の四つのアプローチはペプチド、非ペプチドオリゴマー、または化合物の低分子ライブラリに適用可能である(Lam(1997)Anticancer Drug Des. 12:145)。
分子ライブラリを合成するための方法の例は、例えば、DeWittら(1993、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6909;Erbら(1994)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:11422;Zuckermannら(1994)、J. Med. Chem. 37:2678;Choら(1993)Science 261:1303;Carrellら(1994)Angew Chem. Int. Ed. Engl. 33:2059;Carrellら(1994)Angew Chem. Int. Ed. Engi 33:2061;およびGallopら(1994)、J. Med. Chem. 37:1233に認めることができる。
化合物のライブラリは、溶液中(例えば、Houghten(1992)、BioTechniques 13:412〜421)、またはビーズ上(Lam(1991)、Nature 354:82〜84)、チップ(Fodor(1993)、Nature 364:555〜556)、細菌(米国特許第5,223,409号)、胞子(米国特許第5,571,698号;第5,403,484号;および第5,223,409号)、プラスミド(Cullら(1992)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:1865〜1869)、またはファージ(ScottおよびSmith(1990)、Science 249:386〜390;Devlin(1990)、Science 249:404〜406;Cwirlaら(1990)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:6378〜6382;ならびにFelici(1991)、J. Mol. Biol. 222:301〜310)に存在してもよい。
本発明は、下記の任意の方法によって同定される化合物を提供する。
III.調節物質のモデリング
コンピューターモデリングおよび検索技術によって、配列#115の発現または活性を調節することができる化合物を同定する、または既に同定されている化合物を改良することができる。そのような化合物または組成物が同定されれば、活性部位または領域が同定される。そのような活性部位は典型的に、任意の内因性リガンドと配列#115との相互作用ドメインのような、リガンド結合部位であってもよい。活性部位は、例えば、ペプチドのアミノ酸配列から、核酸のヌクレオチド配列から、または関連化合物もしくは組成物とその天然のリガンドとの複合体の研究からを含む、当技術分野で公知の方法を用いて同定することができる。後者の場合、化学的またはX-線結晶学的方法を用いて、複合体化リガンドが要素上のどこで見出されるかを発見することによって活性部位を見出すことができる。
次に、活性部位の三次元構造を決定する。これは、完全な分子構造を決定することができる、X線結晶学を含む公知の方法によって行うことができる。一方、固相または液相NMRを用いて、特定の分子内距離を決定することができる。構造決定のための他の任意の実験方法を用いて、部分的または完全な幾何学的構造を得ることができる。幾何学的構造は、天然または人工の複合体化リガンドについて測定してもよく、これによって決定される活性部位構造の精度が増加する可能性がある。
精度が不完全または不十分な構造が決定されれば、コンピューターに基づく数値モデリングの方法を用いて、構造を完全にする、またはその精度を改善することができる。タンパク質または核酸のような特定の生体高分子に対して特異的なパラメータ表示モデル、分子運動計算に基づく分子動態モデル、熱集合(ensemble)または複合モデルに基づく統計メカニクスモデルを含む、認識された任意のモデリング法を用いてもよい。ほとんどのタイプのモデルに関して、構成原子と基のあいだの力を表す標準的な分子の力場が必要であり、これらは物理化学における既知の力場から選択することができる。不完全またはあまり正確でない実験的構造は、これらのモデリング法によって計算された、完全かつより正確な構造に対する制約として作用しうる。
最後に、活性部位の構造を実験、モデリング、またはその組み合わせのいずれかによって決定すると、候補となる調節化合物を、その分子構造に関する情報と共に化合物を含むデータベースを検索することによって、同定することができる。そのような検索は、規定の活性部位構造とマッチする、および活性部位を規定する基と相互作用する構造を有する化合物を探す。そのような検索は、手動でもよいが、好ましくはコンピューターによる補助を受ける。この検索によって発見されたこれらの化合物は、配列#115調節化合物である可能性がある。
または、これらの方法を用いて、既知の調節化合物またはリガンド由来の、改善された調節化合物を同定することができる。公知の化合物の組成は改変することができ、改変の構造への影響は、新しい組成物に適用される、上記の実験方法およびコンピューターモデリング法を用いて決定することができる。次に、改変した構造を化合物の活性部位構造と比較して、改善された適当な結果または相互作用が得られるか否かを決定する。このように、側鎖の変化によるような、組成物における体系的な変更を迅速に評価して、改善された特異性または活性を有する改変された調節化合物またはリガンドを得ることができる。
Kaul(1998、Pro. Drug. Res. 50:9〜105)は、受容体リガンドと薬物を設計するためのモデリング技術の総説を提供する。化学物質をスクリーニングしてグラフ表示するコンピュータープログラムは、バイオデザインインク(BioDesign, Inc.)(パサデナ、カリフォルニア州)、オックスフォードモレキュラーデザイン(オックスフォード、イギリス)、およびハイパーキューブインク(Hypercube, Inc.)(ケンブリッジ、オンタリオ州)のような企業から入手可能である。結合を変化させうる化合物の設計および作製に関しては上述したが、阻害剤または活性化剤である化合物に関して、天然物または合成化学物質、およびタンパク質を含む生物活性材料を含む、公知の化合物のライブラリも同様にスクリーニングすることができる。
IV.単離された核酸分子
本発明の一つの局面は、マウス配列#115またはその生物活性部分をコードする単離された核酸分子、ならびにマウス配列#115をコードする核酸分子を同定するためのハイブリダイゼーションプローブとして用いるのに十分な核酸分子、および核酸分子の増幅または変異のためのPCRプライマーとして用いるために適した、そのような核酸分子の断片に関する。本明細書において用いられるように、「核酸分子」という用語は、DNA分子(例えば、cDNAまたはゲノムDNA)、RNA分子(例えば、mRNA)およびヌクレオチド類似体を用いて作製されたDNAまたはRNAの類似体が含まれると意図される。核酸分子は、一本鎖または二本鎖でありうるが、好ましくは二本鎖DNAである。この章では、マウス配列#115核酸ならびにそのような核酸を作製および使用する方法について記述する。しかし、ヒト配列#115核酸を作製および使用するために、同じ技術を用いることができる。
「単離された」核酸分子は、核酸分子の天然の供給源に存在する他の核酸分子とは分離されている分子である。好ましくは、「単離された」核酸分子は、核酸が由来する生物のゲノムDNAにおいて、核酸分子に本来隣接する(すなわち核酸の5'および3'末端に存在する)配列(好ましくは配列をコードするタンパク質)を含まない。例えば、様々な態様において、単離された核酸分子は、核酸が由来する細胞のゲノムDNAにおいて、核酸分子に本来隣接するヌクレオチド配列の約5 kb、4 kb、3 kb、2 kb、1 kb、0.5 kb、または0.1 kb未満を含みうる。その上、cDNA分子のような「単離された」核酸分子は、他の細胞材料を実質的に含まないか、もしくは組換え技術によって産生される場合には培養培地を実質的に含まないか、または化学合成される場合には化学前駆物質もしくは他の化学物質を実質的に含まない。
本発明の核酸分子、例えばGPCR#115のヌクレオチド配列を有する核酸分子は、標準的な分子生物学的技術、および本明細書に提供される配列情報を用いて単離することができる。GPCR#115の核酸配列の全てまたは一部をハイブリダイゼーションプローブとして用いて、本発明の核酸分子を、標準的なハイブリダイゼーションおよびクローニング技術(例えば、Sambrookら編、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」、第2版、コールドスプリングハーバー研究所、コールドスプリングハーバー研究所出版、コールドスプリングハーバー、ニューヨーク、1989に記載されるように)を用いて単離することができる。
本発明の核酸分子は、標準的なPCR増幅技術に従って、鋳型としてcDNA、mRNA、またはゲノムDNAを用い、適当なオリゴヌクレオチドプライマーを用いて増幅することができる。そのように増幅された核酸は、適当なベクターにクローニングして、DNA配列分析によって特徴づけることができる。さらに、本発明の核酸分子の全てまたは一部に対応するオリゴヌクレオチドは、標準的な合成技術、例えば、自動DNA合成機を用いて調製することができる。
さらに、本発明の核酸分子は、マウス配列#115をコードする核酸配列の一部のみ、例えばプローブもしくはプライマーとして用いることができる断片、またはマウス配列#115の生物活性部分をコードする断片を含みうる。一つの遺伝子のクローニングから決定されたヌクレオチド配列によって、配列#115の対立遺伝子変種、および配列#115の他の変種の同定および/またはクローニングに用いるために設計した、プローブおよびプライマーを作製することができる。プローブ/プライマーは、典型的には実質的に精製されたオリゴヌクレオチドを含む。オリゴヌクレオチドは典型的に、ストリンジェントな条件下で、配列#115の天然に存在する変異体または配列#115の対立遺伝子変種の、センスまたはアンチセンス配列の少なくとも約12個、好ましくは約25個、より好ましくは約50個、75個、100個、125個、150個、175個、200個、250個、300個、350個、または400個の連続ヌクレオチドにハイブリダイズするヌクレオチド配列の領域を含む。
本発明の核酸分子の配列に基づくプローブを用いて、選択された核酸分子によってコードされる、同じタンパク質分子をコードする転写物またはゲノム配列を検出することができる。プローブは、それに結合した標識基、例えば、放射性同位元素、蛍光化合物、酵素、または酵素補因子を含む。そのようなプローブは、被験者からの細胞試料においてタンパク質をコードする核酸分子レベルを測定することによって、例えば、mRNAレベルを検出することによって、またはタンパク質をコードする遺伝子が変異もしくは欠失しているかを決定することによって、タンパク質を誤って発現する細胞または組織を同定するための、診断試験キットの一部として用いることができる。
マウスの配列#115の「生物活性部分」をコードする核酸断片は、生物活性を有するポリペプチドをコードする配列#115の一部を単離し、ポリペプチドタンパク質のコードされた部分を発現し(例えば、インビトロでの組換え発現によって)、かつポリペプチドのコードされた部分の活性を評価することによって、調製することができる。
本発明は遺伝子コードの縮重によりGPCR#115のヌクレオチド配列とは異なり、このように配列#115に示されるヌクレオチド配列によってコードされるのと同じタンパク質をコードする核酸分子をさらに含む。
配列#115に示すヌクレオチド配列に加えて、アミノ酸配列の変化をもたらすDNA配列多形が集団に存在する可能性があることは、当業者に認識されるであろう。そのような遺伝子多形は、天然の対立遺伝子変種のために集団内の個体に存在する可能性がある。対立遺伝子は、所与の遺伝子座で二者択一的に起こる遺伝子群の一つである。本明細書において用いられるように、「対立遺伝子変種」という句は、所与の座に生じるヌクレオチド配列、またはヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドを意味する。そのような天然の対立遺伝子変動によって典型的に、所定の遺伝子のヌクレオチド配列において1%〜5%の変動が起こりうる。もう一つの対立遺伝子は、異なる多数の個体において対象の遺伝子の配列決定をすることによって同定することができる。これは、多様な個体において同じ遺伝子座を同定するためにハイブリダイゼーションプローブを用いることによって、容易に行うことができる。天然の対立遺伝子変種の結果であって、機能的活性を変化させない、そのようなヌクレオチド変種および得られるアミノ酸多形または変種の、任意のものおよび全ては、本発明の範囲内であると意図される。
したがって、もう一つの態様において、本発明の単離された核酸分子は、長さが少なくとも300(325、350、375、400、425、450、500、550、600、650、700、800、900、1000、または1290)ヌクレオチドであり、ストリンジェントな条件下でヌクレオチド配列、好ましくはGPCR#115のコード配列を含む核酸分子にハイブリダイズし、マウス配列#115の対立遺伝子変種または変異体をコードする。
本明細書において用いられるように、「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする」という用語は、互いに少なくとも60%(65%、70%、好ましくは75%)同一であるヌクレオチド配列が、典型的に互いにハイブリダイズしたままである、ハイブリダイゼーションおよび洗浄の条件を記述すると意図される。そのようなストリンジェントな条件は、当業者に公知であり、「Current Protocols in Molecular Biology」、ジョンウィリー&サンズ、ニューヨーク(1989)、6.3.1〜6.3.6に見ることができる。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の好ましい非制限的な例は、約45℃で6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中でのハイブリダイゼーションの後に、50℃〜65℃で0.2×SSC、0.1%SDS中での1回または複数回の洗浄である。好ましくは、GPCR#115の任意の配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、本発明の単離された核酸分子は、天然に存在する核酸分子に対応する。本明細書において用いられるように、「天然に存在する」核酸分子は、天然に存在する(例えば、天然のタンパク質をコードする)ヌクレオチド配列を有するRNAまたはDNA分子を意味する。
配列#115の天然に存在する対立遺伝子変種の他に、当業者はさらに、変異によって変化を導入することができ、それによってタンパク質の生物活性を変化させることなく、コードされるタンパク質のアミノ酸配列の変化をもたらすことをさらに認識するであろう。例えば、「非必須」アミノ酸残基においてアミノ酸の置換をもたらすヌクレオチド置換を作製することができる。「非必須」アミノ酸残基は、生物活性を変化させずに野生型配列から改変させることができる残基であるのに対し、「必須」アミノ酸残基は、生物活性にとって必要である。例えば、様々な種の相同体において保存されていない、または半保存されているに過ぎないアミノ酸残基は、活性にとって必須でない可能性があり、このように変更の標的となる可能性が高い。または、様々な種の相同体において保存されているアミノ酸残基(例えば、マウスおよびヒト)は、活性にとって必須である可能性があり、このようにおそらく変更の標的ではないであろう。
したがって、本発明のもう一つの局面は、活性にとって必須ではないアミノ酸残基の変化を含む、マウス配列#115をコードする核酸分子に関する。そのようなポリペプチドは、配列#115とはアミノ酸配列が異なるが、生物活性を保持している。一つの態様において、単離された核酸分子には、配列#115のアミノ酸配列と少なくとも約85%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする、ヌクレオチド配列が含まれる。
変種タンパク質をコードする単離された核酸分子は、一つまたは複数のアミノ酸置換、付加、または欠失が、コードされるタンパク質に導入されるように、配列#115のヌクレオチド配列に一つまたは複数のヌクレオチド置換、付加または欠失を導入することによって作製することができる。変異は、部位特異的変異誘発およびPCR媒介変異誘発のような、標準的な技術によって導入することができる。好ましくは、保存的アミノ酸置換は、一つまたは複数の予想される非必須アミノ酸残基で行われる。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸が類似の側鎖を有するアミノ酸残基に置換される置換である。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当技術分野で規定されている。これらのファミリーには、塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分岐側鎖を有するアミノ酸(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)、および芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が含まれる。または、飽和変異誘発によるような、コード配列の全てまたは一部に沿って変異を無作為に導入することができ、得られた変異体を、活性を保持する変異体を同定するために生物活性に関してスクリーニングすることができる。変異誘発の後、コードされるタンパク質を組換えによって発現させることができ、タンパク質の活性を決定することができる。
一つの態様において、マウス配列#115の変種である変異体ポリペプチドは、(1)マウス配列#115のシグナル伝達経路において、タンパク質とタンパク質-タンパク質相互作用を形成する能力;(2)配列#115のリガンドと結合する能力;または(3)配列#115の細胞内標的タンパク質に結合する能力に関してアッセイすることができる。もう一つの態様において、変異体ポリペプチドは、摂食挙動、体重、または代謝の変化を媒介する能力に関してアッセイすることができる。
本発明は、アンチセンス核酸分子、すなわちマウス配列#115をコードするセンス核酸と相補的な分子、例えば、二本鎖cDNA分子のコード鎖と相補的な、またはmRNA配列と相補的な分子を含む。したがって、アンチセンス核酸は、センス核酸に水素結合しうる。アンチセンス核酸は、完全なコード鎖、またはそのごく一部、例えばタンパク質コード領域(またはオープンリーディングフレーム)の全てまたは一部と相補的でありうる。アンチセンス核酸分子は、マウス配列#115をコードするヌクレオチド配列のコード鎖の非コード領域の全てまたは一部に対してアンチセンスでありうる。非コード領域(「5'および3'非翻訳領域」)は、コード領域に隣接してアミノ酸に翻訳されない、5'および3'配列である。
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、長さが約5、10、15、20、25、30、35、40、45、または50ヌクレオチドでありうる。本発明のアンチセンス核酸は、当技術分野で既知の技法を用いて、化学合成および酵素ライゲーション反応を用いて構築することができる。例えば、アンチセンス核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)は、分子の生物学的安定性を増大させるように、またはアンチセンス核酸とセンス核酸のあいだに形成された二本鎖の、物理的安定性を増大させるように設計された、天然に存在するヌクレオチドまたは様々な改変ヌクレオチドを用いて化学合成することができ、例えばホスホロチオエート誘導体およびアクリジン置換ヌクレオチドを用いることができる。アンチセンス核酸を作製するために用いることができる改変ヌクレオチドの例には、以下が含まれる:5-フルオロウラシル、5-ブロモウラシル、5-クロロウラシル、5-ヨードウラシル、ヒポキサンチンキサンチン、4-アセチルシトシン、5-(カルボキシヒドロキシメチル)ウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウリジン、5-カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、β-D-ガラクトシルケオシン、イノシン、N6-イソペンテニルアデニン、1-メチルグアニン、1-メチルイノシン、2,2-ジメチルグアニン、2-メチルアデニン、2-メチルグアニン、3-メチルシトシン、5-メチルシトシン、N6-アデニン、7-メチルグアニン、5-メチルアミノメチルウラシル、5-メトキシアミノメチル-2-チオウラシル、β-D-マンノシルケオシン、5'-メトキシカルボキシメチルウラシル、5-メトキシウラシル、ウラシル-5-オキシ酢酸(v)、ワイブトキソシン(wybutoxosine)、シュードウラシル、ケオシン(queosine)、2-チオシトシン、5-メチル-2-チオウラシル、2-チオウラシル、4-チオウラシル、5-メチルウラシル、ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル-5-オキシ酢酸(v)、5-メチル-2-チオチラシル(thiotiracil)、3-(3-アミノ-3-N-2-カルボキシプロピル)チラシル、(acp3)w、および2,6-ジアミノプリン。または、アンチセンス核酸は、核酸がアンチセンス方向にサブクローニングされている(すなわち、挿入された核酸から転写されたRNAは、後の章に詳しく記述するように、対象の標的核酸に対してアンチセンス方向である)発現ベクターを用いて、生物学的に作製することができる。
本発明のアンチセンス核酸分子は、典型的にそれらがウラシルをコードする細胞mRNAおよび/またはゲノムDNAにハイブリダイズまたは結合して、それによって、例えば転写および/または翻訳を阻害することによって、発現を阻害するように、被験者に投与されるか、またはインサイチューで生成される。ハイブリダイゼーションは、安定な二本鎖を形成するために従来のヌクレオチド相補性によって、または例えば、DNA二本鎖に結合するアンチセンス核酸分子の場合、二本鎖の主要な溝における特異的相互作用によって起こりうる。本発明のアンチセンス核酸分子の投与の例には、組織部位での直接注射が含まれる。または、アンチセンス核酸分子は、選択された細胞を標的とするように改変した後、全身投与することができる。例えば、全身投与の場合、アンチセンス分子は、例えば、アンチセンス核酸分子を、細胞表面受容体または抗原に結合するペプチドまたは抗体に連結することによって、それらが選択された細胞表面上に発現される受容体または抗原に特異的に結合するように改変することができる。アンチセンス核酸分子はまた、本明細書に記載のベクターを用いて細胞に輸送することができる。アンチセンス分子の十分な細胞内濃度を得るために、アンチセンス核酸分子が強いpol IIまたはpol IIIプロモーターの制御下に置かれるベクター構築物が好ましい。
本発明のアンチセンス核酸分子は、αアノマー核酸分子でありうる。α-アノマー核酸分子は、通常のα単位とは反対に、鎖が互いに平行である相補的RNAと、特異的二本鎖ハイブリッドを形成する(Gaultierら(1987)、Nucleic Acids Res. 15:6625〜6641)。アンチセンス核酸分子はまた、2'-o-メチルリボヌクレオチド(Inolleら(1987)、Nucleic Acids Res. 15:6131〜6148)、またはキメラRNA-DNA類似体(Inoueら(1987)、FEBS Lett. 215:327〜330)を含みうる。
本発明はまた、リボザイムを含む。リボザイムは、mRNAのような、それに対して相補性領域を有する一本鎖核酸を切断することができる、リボヌクレアーゼ活性を有する触媒RNA分子である。このように、リボザイム(例えば、ハンマーヘッドリボザイム(HaselhoffおよびGerlach(1988)、Nature 334:585〜591)を用いて、mRNA転写物を触媒的に切断することができ、それによりmRNAによってコードされたタンパク質の翻訳を阻害することができる。マウス配列#115をコードする核酸分子に対して特異性を有するリボザイムは、本明細書に開示のcDNAのヌクレオチド配列に基づいて設計することができる。例えば、活性部位のヌクレオチド配列が、切断されるヌクレオチド配列と相補的である、テトラヒメナL-19 JVS RNAの誘導体を構築することができる。Cechら、米国特許第4,987,071号;およびCechら、米国特許第5,116,742号。または、マウス配列#115をコードするmRNAを用いて、RNA分子のプールから特異的リボヌクレアーゼ活性を有する触媒RNAを選択することができる。例えば、BartelおよびS7〜stak(1993)、Science 261:1411〜1418を参照されたい。
本発明はまた、三重らせん構造を形成する核酸分子を含む。例えば、マウス配列#115の発現は、ポリペプチド(例えば、プロモーターおよび/またはエンハンサー)をコードする遺伝子の調節領域に相補的なヌクレオチド配列を標的として、標的細胞における遺伝子の転写を防止する三重らせん構造を形成することによって、阻害することができる。一般的に、Helene(1991)Anticancer Drug Des. 6(6):569〜84;Helene(1992)、Ann. N.Y. Acad. Sci. 660:27〜36;およびMaher(1992)、Bioassays 14(12):807〜15を参照されたい。
特定の態様において、本発明の核酸分子は、例えば、分子の安定性、ハイブリダイゼーション、または溶解度を改善するために、基底部、糖部分、またはリン酸骨格で改変することができる。例えば、核酸のデオキシリボースリン酸骨格を改変して、ペプチド核酸を作製することができる(Hyrupら(1996)、Bioorganic & Medicinal Chemistry 4(1):5〜23を参照されたい)。本明細書において用いられるように、「ペプチド核酸」または「PNA」という用語は、デオキシリボースリン酸骨格がシュードペプチド骨格に置換され、天然の核酸塩基が4個だけ保持されている核酸模倣体、例えばDNA模倣体を意味する。PNAの中性骨格により、低イオン強度条件でのDNAおよびRNAに対する特異的ハイブリダイゼーションが可能となることが示されている。PNAオリゴマーの合成は、Hyrupら(1996)、上記;Perry-O'Keefeら(1996)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:14670〜675に記述されるように、標準的な固相ペプチド合成プロトコールを用いて行うことができる。PNAは、治療的および診断的適用に用いることができる。例えば、PNAは、例えば、転写もしくは翻訳の停止を誘導することによって、または複製を阻害することによって、遺伝子発現の配列特異的調節のためにアンチセンスまたはアンチジーン物質として用いることができる。PNAはまた、例えば遺伝子における1塩基対変異の分析において、PNAに向けたPCRクランピング(clamping)によって;他の酵素、例えば51ヌクレアーゼと組み合わせて用いる場合には人工の制限酵素として(Hyrup(1996)、上記)、またはDNA配列決定およびハイブリダイゼーションのためのプローブおよびプライマーとして(Hyrup(1996)、上記;Perry-O'Keefeら(1996)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:1467〜675)用いることができる。
もう一つの態様において、PNAは、例えば親油性もしくは他のヘルパー基をPNAに結合することによって、PNA-DNAキメラを形成することによって、または当技術分野で公知のリポソームもしくは薬物輸送に関する他の技術を用いることによって、その安定性または細胞性の取り込みを増強するように改変することができる。例えば、PNAとDNAの都合のよい特性を組み合わせるPNA-DNAキメラを作製することができる。そのようなキメラによって、DNA認識酵素、例えば、RNA分解酵素HおよびDNAポリメラーゼがDNA部分と相互作用できるようになり、PNA部分は高い結合親和性および特異性を提供するであろう。PNA-DNAキメラは、塩基スタッキング、核酸塩基間の結合数、および方向(Hyrup(1996)、上記)に関して選択される、適当な長さのリンカーを用いて連結することができる。PNA-DNAキメラの合成は、Hyrup(1996)、上記およびFinnら(1996)、Nucleic Acids Res. 24(17):3357〜63に記載されるように行うことができる。例えば、DNA鎖は、標準的なホスホラミダイト結合化学および改変ヌクレオシド類似体を用いて、固相支持体上で合成することができる。5'-(4-メトキシトリチル)アミノ-5'-デオキシ-チミジンホスホラミダイトのような化合物を、PNAとDNAの5'末端との連結として用いることができる(Magら(1989)、Nucleic Acids Res. 17:5973〜88)。次に、PNA単量体を段階的に結合させて、5' PNAセグメントと3' DNAセグメントとを有するキメラ分子を作製する(Finnら(1996)、Nucleic Acids Res. 24(17):3357〜63)。または、5' DNAセグメントと3' PNAセグメントとを有するキメラ分子を合成することができる(Petersenら(1975)、Bioorganic Med. Chem. Lett. 5:1119〜11124)。
他の態様において、オリゴヌクレオチドは、ペプチド(例えば、インビボで宿主細胞受容体を標的とするため)または細胞膜(例えば、Letsingerら(1989)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:6553〜6556;Lemaitreら(1987)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:648〜652;PCT国際公開公報第88/09810号を参照されたい)もしくは血液脳関門(例えば、PCT国際公開公報第89110134号を参照されたい)を通過する輸送を促進する物質のような、他の付属基を含んでもよい。さらに、オリゴヌクレオチドは、ハイブリダイゼーション誘発切断物質(例えば、Krolら(1988)、BioTechniques 6:958〜976を参照されたい)またはインターカレート剤(例えば、Zon(1988)Pharm. Res. 5:539〜549を参照されたい)によって改変することができる。この目的のため、オリゴヌクレオチドを、もう一つの分子、例えばペプチド、ハイブリダイゼーション誘発架橋剤、輸送物質、ハイブリダイゼーション誘発切断物質等に結合してもよい。
V.単離されたタンパク質と抗体
本発明の一つの局面は、単離されたタンパク質、およびその生物活性断片、ならびにマウス配列#115に対する抗体を作製するための免疫原として用いるのに適したポリペプチド断片に関する。一つの態様において、未変性の配列#115を、標準的なタンパク質精製技術を用いる適当な精製スキームによって、細胞または組織源から単離することができる。もう一つの態様において、本発明のポリペプチドは、組換えDNA技術によって作製される。組換え発現の他に、マウス配列#115は、標準的なペプチド合成技術を用いて化学合成することができる。この章は、マウス配列#115ポリペプチド、マウス配列#115に対する抗体、ならびにそのようなポリペプチドおよび抗体を作製および使用する方法を記述する。しかし、同じ技術を用いて、ヒト配列#115ポリペプチドおよび抗ヒト配列#115抗体を作製および使用することができる。
「単離された」または「精製された」タンパク質またはその生物活性断片は、タンパク質が由来する細胞もしくは組織源からの細胞材料もしくは他の混入タンパク質を実質的に含まない、または化学合成した場合には化学前駆体もしくは他の化学物質を実質的に含まない。「細胞材料を実質的に含まない」という用語には、タンパク質がそこから単離されたまたは組換えによって産生された、細胞の細胞成分から分離されているタンパク質の調製物が含まれる。このように、細胞材料を実質的に含まないタンパク質には、異種タンパク質(本明細書において「混入タンパク質」とも呼ぶ)を約30%、20%、10%、または5%未満(乾燥重量)有するタンパク質の調製物が含まれる。タンパク質またはその生物活性部分が組換えによって産生される場合も同様に、タンパク質は好ましくは培養培地を実質的に含まない、すなわち培養培地は、タンパク質調製物の容積の約20%、10%、または5%未満である。タンパク質を化学合成によって産生する場合、タンパク質は好ましくは化学前駆体または他の化学物質を実質的に含まない、すなわちタンパク質の合成に関与する化学前駆体または他の化学物質から分離されている。したがって、そのような調製物は化学前駆体または非配列#115化学物質を約30%、20%、10%、5%(乾燥重量)未満、有する。
マウス配列#115の生物活性部分には、タンパク質のアミノ酸配列と十分に同一であるか、またはタンパク質のアミノ酸配列に由来するアミノ酸配列(例えば、完全長のタンパク質より少ないアミノ酸を含み、対応する完全長のタンパク質の少なくとも一つの活性を示す配列#115において示されるアミノ酸配列)を含むポリペプチドが含まれる。典型的に、生物活性部分は、対応する部分の少なくとも一つの活性を有するドメインまたはモチーフを含む。本発明の生物活性部分は、例えば、長さが10個、25個、50個、100個のアミノ酸、またはそれ以上であるポリペプチドでありうる。その上、タンパク質の他の領域が欠失している他の生物活性部分を組換え技術によって調製して、未変性型のマウス配列#115の機能的活性の一つまたは複数に関して評価することができる。
有用なポリペプチドは、配列#115のアミノ酸配列を有するポリペプチドである。他の有用なタンパク質は、任意の配列#115に対して実質的に同一(例えば、少なくとも約96%、97%、98%、99%、または99.5%)であり、対応する天然に存在するタンパク質の機能的活性を保持しているが、天然の対立遺伝子変種または変異誘発によりアミノ酸配列が異なる。二つのアミノ酸配列または二つの核酸配列の同一性%を決定するために、配列を、最適な比較目的に関して配置する(例えば、第二のアミノ酸または核酸配列との最適なアラインメントが得られるように、第一のアミノ酸の配列または核酸配列にギャップを導入することができる)。次に、対応するアミノ酸の位置またはヌクレオチドの位置でアミノ酸残基またはヌクレオチドを比較する。第一の配列の位置が第二の配列における対応する部分と同じアミノ酸残基またはヌクレオチドによって占有されている場合、分子はその位置で同一である。二つの配列間の同一性%は、配列によって共有される同一位置の数の関数である(すなわち、同一性%=同一位置数/位置の総数(例えば、部分的に重なる位置)×100)。好ましくは、二つの配列は同じ長さである。
二つの配列間の相同性%の決定は、数学的アルゴリズムを用いて行うことができる。二つの配列を比較するために利用される数学的アルゴリズムの非制限的な例は、KarlinおよびAltschul(1993)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873〜5877において改変された、KarlinおよびAltschul(1990)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2264〜2268のアルゴリズムである。そのようなアルゴリズムは、Altschulら(1990)、J. Mol. Biol. 215:403〜10のNBLASTおよびXBLASTプログラムに組み入れられている。BLASTヌクレオチド検索は、本発明のマウス配列#115核酸分子に相同なヌクレオチド配列を得るために、NBLASTプログラム、スコア=100、ワード長=12によって行うことができる。BLASTタンパク質検索は、本発明のマウス配列#115タンパク質分子に相同なアミノ酸配列を得るために、XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長=3によって行うことができる。比較目的のためにギャップを挿入したアラインメントを得るために、Altschulら(1997)Nucleic Acids Res. 25:3389〜3402に記載されるギャップド(Gapped)BLASTを利用することができる。または、PSI-Blastを用いて、分子間の遠い関係を検出する反復検索を行うことができる。同上。BLAST、ギャップドBLAST、およびPSI-Blasプログラムを用いる場合、それぞれのプログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST)のデフォルトパラメータを用いることができる。http://www.ncbi.nlm.nih.govを参照されたい。配列を比較するために用いられる数学的アルゴリズムのもう一つの非制限的な例は、MyersおよびMiller(1988)CABIOS 4:11〜17のアルゴリズムである。そのようなアルゴリズムは、GCG配列アラインメントソフトウェアパッケージの一部である、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み入れられている。アミノ酸配列を比較するためにALIGNプログラムを利用する場合、PAM12O加重残余表(weight residue table)、ギャップ長ペナルティ12、およびギャップペナルティ4を用いることができる。
二つの配列間の同一性%は、上記と類似の技術を用いて、ギャップを導入して、または導入せずに決定することができる。同一性%を計算する場合、正確なマッチのみを計数する。
本発明はまた、キメラまたは融合タンパク質を提供する。本明細書において用いられるように、「キメラタンパク質」または「融合タンパク質」は、異種ポリペプチド(すなわち本発明の同じポリペプチド以外のポリペプチド)に機能的に結合したマウス配列MOUSEGN:CHR7-36867の全てまたは一部(例えば、生物活性断片)を含む。融合タンパク質において、「機能的に結合した」という用語は、本発明のポリペプチドと異種ポリペプチドとがインフレームで互いに融合していることを示すと意図される。異種ポリペプチドは、配列#115ポリペプチドのN末端またはC末端に融合することができる。
一つの有用な融合タンパク質は、配列#115の全てまたは一部がGST配列のC末端に融合されているGST融合タンパク質である。そのような融合タンパク質は、組換えポリペプチドの精製を促進することができる。他の有用な融合タンパク質には、FLAGTM、lacZの一部、GST、カルモジュリン結合ペプチド、His6、またはHAにとの融合物が含まれる。そのような融合タンパク質を調製するためのベクターは、クロンテック(パロアルト、カリフォルニア州)およびストラタジーン(ラホヤ、カリフォルニア州)から入手可能である。
もう一つの態様において、融合タンパク質は、そのN末端で10個の異種シグナル配列を含む。例えば、マウス配列#115の本来のシグナル配列を除去して、もう一つのタンパク質からのシグナル配列に置換することができる。例えば、バキュロウイルスエンベロープタンパク質のgp67分泌配列を、異種シグナル配列として用いることができる(Current Protocols in Molecular Biology、Ausubelら編、ジョンウィリー&サンズ、1992)。真核細胞の異種シグナル配列の他の例には、メリチンおよびヒト胎盤アルカリホスファターゼの分泌配列(ストラタジーン、ラホヤ、カリフォルニア州)が含まれる。なおもう一つの例において、有用な原核細胞の異種シグナル配列の例には、phoA分泌シグナル(Sambrookら、上記)およびプロテインA分泌シグナル(ファルマシア・バイオテク;ピスカタウェイ、ニュージャージー州)が含まれる。
さらにもう一つの態様において、融合タンパク質は、配列#115の全てまたは一部が免疫グロブリンタンパク質ファミリーのメンバーに由来する配列に融合している、25免疫グロブリン融合タンパク質である。本発明の免疫グロブリン融合タンパク質を薬学的組成物に組み入れて、リガンド(可溶性または膜結合型)と細胞表面上のタンパク質(受容体)との相互作用を阻害して、それによってインビボでシグナル伝達を抑制するために、被験者に投与することができる。免疫グロブリン融合タンパク質を用いて、配列#115の同族のリガンドの生物学的利用性に影響を及ぼすことができる。リガンド/受容体相互作用の阻害は、摂食挙動、体重、および/または代謝速度を調節するために、治療的に有用となる可能性がある。その上、本発明の免疫グロブリン融合タンパク質は、被験者において配列#115に対する抗体を産生するため、リガンドを精製するため、そしてスクリーニングアッセイ法において受容体とリガンドとの相互作用を阻害する分子を同定するために、免疫原として用いることができる。
本発明のキメラおよび融合タンパク質は、標準的な組換えDNA技術によって作製することができる。もう一つの態様において、融合遺伝子は、自動DNA合成機を含む通常の技術によって合成することができる。または、二つの連続した遺伝子断片のあいだに相補的オーバーハングを生じるアンカープライマーを用いて、遺伝子断片のPCR増幅を行うことができ、これを次にアニーリングして、再増幅するとキメラ遺伝子配列を得ることができる(例えば、Ausubelら、上記を参照されたい)。その上、既に融合部分(例えば、GSJポリペプチド)をコードする多くの発現ベクターが市販されている。配列#115をコードする核酸を、融合部分が本発明のポリペプチドにインフレームで連結されるように、そのような発現ベクターにクローニングすることができる。
本発明はまた、配列#115の変種にも関する。そのような変種は、アゴニスト(模倣体)またはアンタゴニストのいずれかとして機能しうる変化したアミノ酸配列を有する。変種は、変異誘発、例えば、不連続の点突然変異または切断によって作製することができる。アゴニストは、タンパク質の天然に存在する型と実質的に同じまたはサブセットの生物活性を保持しうる。タンパク質のアンタゴニストは、例えば、対象のタンパク質を含む細胞のシグナル伝達カスケードの下流または上流のメンバーを競合的に阻害することによって、タンパク質の天然に存在する型の活性の一つまたは複数を阻害することができる。このように、機能が限定された変種による処置によって、特定の生物作用を誘発することができる。タンパク質の天然に存在する型の生物活性のサブセットを有する変種によって被験者を処置すると、タンパク質の天然に存在する型による処置と比較して被験者における副作用はより少なくなりうる。
アゴニスト(模倣体)またはアンタゴニストのいずれかとして機能する本発明のタンパク質の変種は、本発明のタンパク質の変異体、例えば、切断変異体の組み合わせライブラリをアゴニストまたはアンタゴニスト活性に関してスクリーニングすることによって、同定することができる。一つの態様において、多様な変種のライブラリは、核酸レベルで組み合わせ変異誘発によって生成され、多様な遺伝子ライブラリによってコードされる。多様な変種のライブラリは、例えば、可能性があるタンパク質配列の縮重セットが個々のポリペプチドとして、またはより大きな融合タンパク質の組として(例えば、ファージディスプレイに関して)発現されうるように、合成オリゴヌクレオチドの混合物を遺伝子配列へと酵素的にライゲーションすることによって、作製することができる。縮重オリゴヌクレオチド配列から、本発明のポリペプチドの可能な変種のライブラリを作製するために用いることができる多様な方法がある。縮重オリゴヌクレオチドを合成する方法は、当技術分野で公知である(例えば、Narang(1983)、Tetrahedron 39:3;Itakuraら(1984)、Arniu. Rev. Biochem. 53:323;Itakuraら(1984)、Science 198:1056;Ikeら(1983)、Nucleic Acid Res. 11:477を参照されたい)。
さらに、配列#115のコード配列の断片のライブラリを用いて、変種のスクリーニングおよびその後の選択のために、多様なポリペプチド集団を作製することができる。例えば、コード配列断片のライブラリは、対象のコード配列の二本鎖PCR断片を、ニックが1分子あたり1回限り生じる条件でヌクレアーゼによって処理する段階、二本鎖DNAを変性させる段階、DNAを復元して異なるニックが入った産物からのセンス/アンチセンス対を含みうる二本鎖DNAを形成する段階、SIヌクレアーゼによる処理によって、修正された二本鎖から一本鎖部分を除去する段階、および得られた断片のライブラリを発現ベクターにライゲーションする段階によって作製することができる。この方法によって、対象のタンパク質の様々な大きさのN末端および内部断片をコードする、発現ライブラリを誘導することができる。
点突然変異または切断によって作製された組み合わせライブラリの遺伝子産物をスクリーニングするための、および選択された特性を有する遺伝子産物のcDNAライブラリをスクリーニングするための、いくつかの技術が当技術分野で公知である。多数の遺伝子ライブラリをスクリーニングするためにハイスループット分析を行うことができる最も広く用いられる技術には、複製可能な発現ベクターに遺伝子ライブラリをクローニングすること、得られたベクターのライブラリによって適当な細胞を形質転換すること、および所望の活性の検出によって、その産物が検出される遺伝子をコードするベクターの単離が促進される条件下で、組み合わせ遺伝子を発現させることが含まれる。
ライブラリにおける機能的変異体の頻度を増加させる技術である、帰納的集合変異誘発(recursive ensemble mutagenesis: REM)を、スクリーニングアッセイ法と併用して、本発明のタンパク質の変種を同定することができる(ArkinおよびYollrvall(1992)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:7811〜7815;Delgraveら(1993)、Protein Engineering 6(3):327〜331)。
単離された配列#115ポリペプチドは、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体の調製に関する標準的な技術を用いて、抗体を作製するための免疫原として用いることができる。完全長のポリペプチドもしくはタンパク質を用いることができるか、または本発明は免疫原として用いるための抗原性ペプチド断片を提供する。本発明のタンパク質の抗原性ペプチドは、配列#115のアミノ酸配列のアミノ酸残基を少なくとも8個、好ましくは10個、15個、20個、または30個を含み、ペプチドに対する抗体がタンパク質と特異的免疫複合体を形成するように、タンパク質のエピトープを含む。抗原性ペプチドによって含まれる有用なエピトープは、しばしばタンパク質の表面に存在する領域、例えば親水性領域であるが、必ずしもこれに限定されない。
免疫原は典型的に、適した被験者(例えば、ウサギ、ヤギ、マウス、または他の哺乳類)を免疫することによって、抗体を調製するために用いられる。適当な免疫原性調製物は、例えば、組換えによって発現された化学合成ポリペプチドを含みうる。調製物はさらに、フロイントの完全もしくは不完全アジュバントのようなアジュバント、または類似の免疫刺激物質を含みうる。
したがって、本発明のもう一つの局面は、配列#115に対する抗体に関する。本明細書において用いられる「抗体」という用語は、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的活性部分、すなわち、マウス配列#115のような抗原に特異的に結合する抗原結合部位を含む分子を意味する。本発明の所与のポリペプチドに特異的に結合する分子は、ポリペプチドに結合するが、ポリペプチドを本来含む試料、例えば生体試料中の、他の分子には実質的に結合しない分子である。免疫グロブリン分子の免疫学的活性部分の例には、ペプシンのような酵素によって抗体を処理することによって作製することができる、F(ab)およびF(ab')2断片が含まれる。本発明は、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を提供する。本明細書において用いられる「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」という用語は、特定のエピトープと免疫反応することができる抗原結合部位を唯一の種含む抗体分子集団を意味する。
ポリクローナル抗体は、免疫原としてマウス配列#115によって適した被験者を免疫することによって、上記のように調製することができる。免疫した被験者における抗体力価は、固定したポリペプチドを用いる酵素結合免疫吸着アッセイ法(ELISA)のような標準的な技術によって、経時的にモニターすることができる。所望ならば、抗体分子を哺乳類(例えば、血液)から単離して、pro cm Aクロマトグラフィーのような周知の技術によってさらに精製し、IgG分画を得ることができる。免疫後の適当な時間、例えば、特異的な抗体力価が最高である時間で、抗体産生細胞を被験者から得て、これを用いて最初にKohlerおよびMilstein(1975)Nature 256:495〜497によって記述されたハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozborら(1983)、Immunol. Today 4:72)、EBVハイブリドーマ技術(Coleら(1985)、「Monoclonal AntibodiesおよびCancer Therapy」、アランR.リス、77〜96頁)、またはトリオーマ技術のような標準的な技術によって、モノクローナル抗体を調製することができる。ハイブリドーマを作製する技術は周知である(一般的に、「Current Protocols in Immunology」(1994)、Coliganら編、ジョンウィリー&サンズ、ニューヨーク、ニューヨーク州を参照されたい)。本発明のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞は、例えば、標準的なELISAアッセイ法を用いて、対象のポリペプチドに結合する抗体に関して、ハイブリドーマ培養上清をスクリーニングすることによって検出する。
モノクローナル抗体分泌ハイブリドーマを調製するもう一つの方法として、マウス配列#115に対するモノクローナル抗体は、対象のポリペプチドによって組換え型組み合わせ免疫グロブリンライブラリ(例えば、抗体ファージディスプレイライブラリ)をスクリーニングすることによって、同定および単離することができる。ファージディスプレイライブラリを作製およびスクリーニングするためのキットは、市販されている(例えば、ファルマシア組換えファージ抗体システム、カタログ番号27-9400-01;およびストラタジーンSurfZAPTMファージディスプレイキット、カタログ番号240612)。さらに、抗体ディスプレイライブラリの作製およびスクリーニングでの使用に特に適用される方法および試薬の例は、例えば、米国特許第5,223,409号;PCT国際公開公報第92/18619号;PCT国際公開公報第91/17271号;PCT国際公開公報第92/20791号;PCT国際公開公報第92/15679号;PCT国際公開公報第93/01288号;PCT国際公開公報第92/01047号;PCT国際公開公報第92/09690号;PCT国際公開公報第90/02809号;Fuchsら(1991)Bio/Technology 9:1370〜1372;Hayら(1992)、Hum. Antihod. Hybridomas 3:81〜85;Huseら(1989)、Science 246:1275〜1281;Griffithsら(1993)、EMBO J. 12:725〜734に見ることができる。
さらに、標準的な組換えDNA技術を用いて作製することができる、キメラおよびヒト化モノクローナル抗体のような、ヒトおよびヒト以外の部分の双方を含む組換え抗体も本発明の範囲内である。そのようなキメラおよびヒト化モノクローナル抗体は、例えば、PCT国際公開公報第87/02671号;欧州特許出願第184,187号;欧州特許出願第171,496号;欧州特許出願第173,494号;PCT国際公開公報第86/01533号;米国特許第4,816,567号;欧州特許出願第125,023号;Betterら(1988)、Science 240:1041〜1043;Liuら(1987)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:3439〜3443;Liuら(1987)、J. Immunol. 139:3521〜3526;Sunら(1987)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:214〜218;Nishimuraら(1987)、Cane. Res. 47:999〜1005;Woodら(1985)、Nature 314:446〜449;およびShawら(1988)、J. Natl. Cancer Inst. 80:1553〜1559;Morrison(1985)、Science 229:1202〜1207;Oiら(1986)、BioTechniques 4:214;米国特許第5,225,539号;Jonesら(1986)、Nature 321:552〜525;Verhoeyanら(1988)、Science 239:1534;ならびにBeidlerら(1988)、J. Immunol. 141:4053〜4060に記載される方法を用いて、当技術分野において公知の組換えDNA技術によって作製することができる。
ヒト患者の治療的治療にとって、完全なヒト抗体が特に望ましい。そのような抗体は、内因性の免疫グロブリン重鎖および軽鎖遺伝子を発現することができないが、ヒト重鎖および軽鎖遺伝子を発現することができるトランスジェニックマウスを用いて作製することができる。トランスジェニックマウスは、選択した抗原、例えばマウス配列#115の全てまたは一部によって通常のように免疫する。抗原に対するモノクローナル抗体は、通常のハイブリドーマ技術を用いて得ることができる。トランスジェニックマウスが有するヒト免疫グロブリン導入遺伝子は、B細胞分化の際に再配列して、その後クラススイッチおよび体細胞変異を受ける。このように、そのような技術を用いて、治療的に有用なIgG、IgA、およびIgE抗体を産生することが可能である。ヒト抗体を産生するためのこの技術の概要に関して、LonbergおよびHuszar(1995、Int. Rev. Immunol. 13:65〜93)を参照されたい。ヒト抗体とヒトモノクローナル抗体を産生するためのこの技術、およびそのような抗体を産生するためのプロトコールに関する詳細な考察に関しては、例えば、米国特許第5,625,126号;米国特許第5,633,425号;米国特許第5,569,825号;米国特許第5,661,016号;および米国特許第5,545,806号を参照されたい。さらに、アブジェニクス(Abgenix, Inc.、フリーモント、カリフォルニア州)のような企業は、上記と類似の技術を用いて選択された抗原に対するヒト抗体の提供に従事しうる。選択されたエピトープを認識する完全なヒト抗体は、「誘導選択(guided selection)」と呼ばれる技術を用いて作製することができる。このアプローチにおいて、選択された非ヒトモノクローナル抗体、例えば、マウス抗体を用いて、同じエピトープを認識する完全なヒト抗体の選択を誘導する。
マウス配列#115に対する抗体(例えば、モノクローナル抗体)を用いて、アフィニティクロマトグラフィーまたは免疫沈殿のような、標準的な技術によってポリペプチドを単離することができる。その上、そのような抗体は、ポリペプチド発現の量およびパターンを評価するために、タンパク質(例えば、細胞溶解物または細胞上清)を検出するために用いることができる。抗体はまた、臨床での試験技法の一部として組織におけるタンパク質レベルをモニターするために、例えば、所与の治療法の有効性を決定するために、診断的に用いることができる。検出は、検出可能な物質に抗体を結合することによって容易にすることができる。検出可能な物質の例には、様々な酵素、補欠分子団、蛍光材料、発光材料、生物発光材料、および放射性材料が含まれる。適した酵素の例には、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、α-ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼが含まれ;適した補欠分子団の例には、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンが含まれ;適した蛍光材料の例には、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミン・フルオレセイン、塩化ダンシル、またはフィコエリスリンが含まれ;発光材料の例には、ルミノールが含まれ;生体発光材料の例には、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、およびエクオリンが含まれ;ならびに適した放射性材料の例には、125I、131I、35Sまたは3Hが含まれる。
VI.組換え発現ベクターおよび宿主細胞
本発明のもう一つの局面は、マウス配列#115(またはその一部)をコードする核酸を含むベクター(例えば、発現ベクター)に関する。本明細書において用いられるように、「ベクター」は、それが結合されているもう一つの核酸を輸送することができる、核酸分子を意味する。ベクターの一つのタイプは、「プラスミド」であり、これはその中にさらなるDNAセグメントをライゲーションすることができる、環状の二本鎖DNAループを意味する。もう一つのタイプのベクターは、さらなるDNAセグメントをウイルスゲノム中にライゲーションすることができる、ウイルスベクターである。特定のベクターは、それらが導入される宿主細胞において自律複製することができる(例えば、細菌の複製開始点を有する細菌ベクター、およびエピソーム哺乳類ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳類ベクター)は、宿主細胞に導入されると宿主細胞のゲノムに組み入れられ、それによって宿主ゲノムと共に複製される。さらに、特定のベクター、発現ベクターは、それらが機能的に結合する遺伝子の発現を指示することができる。一般的に、組換えDNA技術において有用な発現ベクターはしばしば、プラスミド(ベクター)の形である。しかし、本発明には、同等の機能を提供するウイルスベクター(例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルス、およびアデノ随伴ウイルス)のようなそのような他の形の発現ベクターが含まれると意図される。この章では、マウス配列#115核酸およびその変種を有するベクターおよび宿主細胞、ならびにその産生および使用のための方法を記述する。しかし、同じ技術を用いて、ヒト配列#115核酸を有するベクターおよび宿主細胞を作製して用いることができる。
本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞における核酸の発現に適した形で本発明の核酸を含む。これは、組換え発現ベクターが、発現のために用いられる宿主細胞に基づいて選択され、発現される核酸配列に機能的に結合した一つまたは複数の調節配列を含むことを意味する。組換え発現ベクターにおいて、「機能的に結合した」とは、対象のヌクレオチド配列が、ヌクレオチド配列の発現を可能にするように、調節配列に結合していることを意味すると意図される(例えば、インビトロ転写/翻訳系において、またはベクターが宿主細胞に導入される場合には宿主細胞において)。「調節配列」という用語には、プロモーター、エンハンサー、および他の発現制御要素(例えば、ポリアデニル化シグナル)が含まれると意図される。そのような調節配列は、例えば、Goeddel、Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185、アカデミック出版、サンディエゴ、カリフォルニア州(1990)に記載されている。調節配列には、多くのタイプの宿主細胞においてヌクレオチド配列の構成的発現を指示する配列、および特定の宿主細胞においてのみ、ヌクレオチド配列の構成的発現を指示する配列(例えば、組織特異的調節配列)が含まれる。発現ベクターの設計が、形質転換する宿主細胞の選択、所望のタンパク質の発現レベル等のような要因に依存しうることは、当業者によって認識されるであろう。本発明の発現ベクターを宿主細胞に導入して、それによって本明細書に記載される核酸によってコードされる融合タンパク質またはペプチドを含む、タンパク質またはペプチドを産生することができる。
本発明の組換え発現ベクターは、原核細胞または真核細胞、例えば、大腸菌(E. coli)のような細菌細胞、昆虫細胞(バキュロウイルス発現ベクターを用いて)、酵母細胞、または哺乳類細胞においてマウス配列#115を発現するように設計することができる。適した宿主細胞は、上記のGoeddelらにおいてさらに考察されている。または、組換え発現ベクターを、例えばT7プロモーター調節配列およびT7ポリメラーゼを用いて、インビトロで転写および翻訳することができる。原核細胞におけるタンパク質の発現は、融合タンパク質または非融合タンパク質のいずれかの発現を指示する、構成的または誘導型プロモーターを含むベクターによって、大腸菌(E. coli)において行われることが最も多い。融合ベクターは、そこでコードされるタンパク質、通常は、組換えタンパク質のアミノ末端に、多くのアミノ酸を付加する。そのような融合ベクターは典型的に三つの目的にかなう:1)組換えタンパク質の発現を増加させる;2)組換えタンパク質の溶解度を増加させる;および3)アフィニティ精製におけるリガンドとして作用することによって、組換えタンパク質の精製を補助する。しばしば、融合発現ベクターにおいて、タンパク質分解切断部位を、融合部分と組換えタンパク質との接合部に導入して、組換えタンパク質を融合部分から分離し、その後融合タンパク質を精製することができる。そのような酵素、およびその同族の認識配列には、第Xa因子、トロンビン、およびエンテロキナーゼが含まれる。典型的な融合発現ベクターには、グルタチオン5-トランスフェラーゼ(GST)、マルトースE結合タンパク質、またはプロテインAをそれぞれ標的組換えタンパク質に融合する、PGEX(ファルマシア・バイオテック;SmithおよびJohnson(1988)、Gene 67:31〜40)、pMAL(ニューイングランドバイオラボ、ビバリー、マサチューセッツ州)、およびpRIT5(ファルマシア、ピスカタウェイ、ニュージャージー州)が含まれる。
適した誘導型の非融合大腸菌(E. coli)発現ベクターの例には、pTrc(Amannら(1988)、Gene 69:301〜315)およびpET lid(Studierら、Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185、アカデミック出版、サンディエゴ、カリフォルニア州(1990)60〜9)が含まれる。pTrcベクターからの標的遺伝子発現は、ハイブリッドtrp-lac融合プロモーターからの宿主RNAポリメラーゼ転写に依存する。pET lidベクターからの標的遺伝子発現は、同時発現されるウイルスRNAポリメラーゼ(T7 gn1)によって媒介される、T7 gn10-lac融合プロモーターからの転写に依存する。ウイルスポリメラーゼは、lacUV 5プロモーターの転写制御下で、T7 gn1遺伝子を有する常在プロファージ由来の宿主株BL21(DE3)またはHM5174(DE3)によって供給される。
大腸菌(E. coli)における組換えタンパク質発現を最大限にする一つの戦略は、組換えタンパク質をタンパク質分解によって切断することができないタンパク質を、宿主細菌において発現することである(Gottesman、Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185、アカデミック出版、サンディエゴ、カリフォルニア州(1990)、119〜128)。もう一つの戦略は、それぞれのアミノ酸に関する個々のコドンが、大腸菌(E. coli)において選択的に利用されるように、発現ベクターに挿入される核酸の核酸配列を変化させることである(Wadaら(1992)、Nucleic Acids Res. 20:2111〜2118)。本発明の核酸配列のそのような変化は、標準的なDNA合成技術によって行うことができる。
もう一つの態様において、発現ベクターは酵母発現ベクターである。出芽酵母(S. cerevisiae)における発現のためのベクターの例には、pYepSecl(Baldariら(1987)、EMBO J. 6:229〜234)、pMFa(KurjanおよびHerskowitz(1982)、Cell 30:933〜943)、pJRY88(Schultzら(1987)、Gene 54:113〜123)、pYES2(インビトロジェン、サンディエゴ、カリフォルニア州)、およびpPicZ(インビトロジェン、サンディエゴ、15カリフォルニア州)が含まれる。
または、発現ベクターは、バキュロウイルス発現ベクターである。培養昆虫細胞(例えば、Sf9細胞)におけるタンパク質の発現のために利用可能なバキュロウイルスベクターには、pAcシリーズ(Smithら(1983)、Mol. Cell Biol. 203:2156〜2165)およびpVLシリーズ(LucklowおよびSummers(1989)、Virology 170:31〜39)が含まれる。
さらにもう一つの態様において、本発明の核酸は、哺乳類の発現ベクターを用いて哺乳類細胞において発現される。哺乳類発現ベクターの例には、pCDM8(Seed(1987)、Nature 329:840)およびpMT2PC(Kaufmanら(1987)EMBO J. 6:187〜195)が含まれる。哺乳類細胞において用いる場合、発現ベクターの制御機能はしばしば、ウイルス調節要素によって提供される。例えば、一般的に用いられるプロモーターは、ポリオーマ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルス、およびシミアンウイルス40に由来する。原核細胞と真核細胞の双方に関する他の適した発現系に関しては、上記のSambrookらの第16章および17章を参照されたい。
もう一つの態様において、組換え哺乳類35発現ベクターは、特定の細胞型(例えば、組織特異的調節要素は、核酸を発現するために用いられる)において選択的に核酸の発現を指示することができる。組織特異的調節要素は当技術分野で公知である。適した組織特異的プロモーターの非制限的な例には、アルブミンプロモーター(肝特異的;Pinkertら(1987)、Genes Dev. 1:268〜277)、リンパ特異的プロモーター(CalameおよびEaton(1988)、Adv. Immunol. 43:235〜275)、特にT細胞受容体のプロモーター(WinotoおよびBaltimore(1989)、EMBO J. 8:729〜733)、および免疫グロブリン(Banerjiら(1983)、Cell 33:729〜740;QueenおよびBaltimore(1983)、Cell 33:741〜748)、ニューロン特異的プロモーター(例えば、ニューロフィラメントプロモーター;ByrneおよびRuddle(1989)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:5473〜5477)、膵臓特異的プロモーター(Edlundら(1985)、Science 230:912〜916)、および乳腺特異的プロモーター(例えば、乳清プロモーター;米国特許第4,873,316号および欧州特許出願第264,166号)が含まれる。発達的に調節されるプロモーターも同様に含まれ、例えば、マウスhoxプロモーター(KesselおよびGruss(1990)、Science 249:374〜379)およびCL-フェトプロテインプロモーター(CampesおよびTilghman(1989)Genes Dev. 3:537〜546)が含まれる。
本発明はさらに、アンチセンス方向に発現ベクターをクローニングした本発明のDNA分子を含む、組換え発現ベクターを提供する。すなわち、DNA分子は、マウス配列#115をコードするmRNAに対してアンチセンスであるRNA分子が発現されるように(DNA分子の転写によって)、調節配列に機能的に結合する。多様な細胞型においてアンチセンスRNA分子の連続的な発現を指示する、アンチセンス方向にクローニングした核酸に機能的に結合した調節配列、例えばウイルスプロモーターおよび/またはエンハンサーを選択することができ、またはアンチセンスRNAの構成的、組織特異的、または細胞型特異的発現を指示する調節配列を選択することができる。アンチセンス発現ベクターは、その中でアンチセンス核酸が効率の高い調節領域の制御下で産生され、その活性がベクターが導入される細胞型によって決定されうる、組換えプラスミド、ファージミド、または弱毒化ウイルス状でありうる。アンチセンス遺伝子を用いる遺伝子発現の調節のための考察に関しては、Weintraubら(Reviews-Trends in Genetics、第1巻(1)1986)を参照されたい。
本発明のもう一つの局面は、本発明の組換え発現ベクターが導入される宿主細胞に関する。「宿主細胞」および「組換え宿主細胞」という用語は、本明細書において互換的に用いられる。そのような用語は、特定の被験細胞のみならず、そのような細胞の子孫または潜在的な子孫を意味すると理解される。変異または環境の影響により、特定の改変がその後の世代に起こる可能性があるため、そのような子孫は、実際には親細胞とは同一でない可能性があるが、それでもなお本明細書において用いられる用語の範囲に含まれる。
宿主細胞は、任意の原核細胞または真核細胞(例えば、大腸菌(E. coli)、昆虫細胞、酵母または哺乳類細胞)でありうる。ベクターDNAは、従来の形質転換またはトランスフェクション技術によって、原核細胞または真核細胞内に導入することができる。本明細書において用いられるように、「形質転換」および「トランスフェクション」という用語は、リン酸カルシウムもしくは塩化カルシウム共沈殿、DEAE-デキストラン媒介トランスフェクション、リポフェクション、またはエレクトロポレーションを含む、宿主細胞に外来核酸を導入するための、当技術分野で認識された多様な技術を意味すると意図される。宿主細胞を形質転換またはトランスフェクトする適した方法は、Sambrookら(上記)および他の実験マニュアルに見出すことができる。
哺乳類細胞の安定なトランスフェクションのために、用いる発現ベクターおよびトランスフェクション技術に応じて、細胞のごく一部の分画が外来DNAをそのゲノムに組み入れる可能性があることが知られている。これらの組み込み体を同定および選択するために、選択マーカー(例えば、抗生物質に対する耐性)をコードする遺伝子を、一般的に対象の遺伝子と共に宿主細胞に導入する。有用な選択可能なマーカーには、G418、ヒグロマイシン、およびメトトレキセートのような、薬物に対する耐性を付与するマーカーが含まれる。導入された核酸により安定にトランスフェクトされた細胞は、薬物選択によって同定することができる(例えば、選択マーカー遺伝子を組み入れた細胞は生存するが、他の細胞は死滅する)。
培養原核細胞または真核宿主細胞のような本発明の宿主細胞は、配列#115を産生するために用いることができる。したがって、本発明はさらに、本発明の宿主細胞を用いて配列#115を産生する方法を提供する。一つの態様において、方法は、ポリペプチドが産生されるように、適した培地において本発明の宿主細胞(その中に配列#115をコードする組換え発現ベクターが導入されている)を培養することを含む。もう一つの態様において、方法はさらに、培地または宿主細胞からポリペプチドを単離することを含む。
本発明の宿主細胞はまた、ヒト以外のトランスジェニック動物を作製するために用いることができる。例えば、一つの態様において、本発明の宿主細胞は、配列#115をコードする配列が導入されている受精卵母細胞または胚幹細胞である。次に、そのような宿主細胞を用いて、マウス配列#115をコードする外因性の配列がそのゲノムに導入されている、非ヒトトランスジェニック動物、または内因性のコード配列#115配列が変化している相同組換え動物を作製することができる。そのような動物は、ポリペプチドの機能および/または活性を調べるために、そしてポリペプチド活性の調節物質を同定および/または評価するために有用である。本明細書において用いられるように、「トランスジェニック動物」は、例えば哺乳類、特に動物の細胞の一つまたは複数が導入遺伝子を含む、ヒト以外の動物、例えば、ラットまたはマウスのような齧歯類である。トランスジェニック動物の他の例には、ヒト以外の霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ヤギ、ニワトリ、両生類等が含まれる。導入遺伝子は、そこからトランスジェニック動物が発生して、成熟動物のゲノムに残り、それによってトランスジェニック動物の一つまたは複数の細胞型または組織において、コードされる遺伝子産物の発現を指示する、細胞のゲノムに組み入れられる外因性のDNAである。本明細書において用いられるように、「相同組換え動物」は、内因性遺伝子と動物の細胞、例えば動物の発生前の動物の胚細胞に導入された外因性DNA分子とのあいだの、相同組換えによって内因性遺伝子が変化している、非ヒト動物、例えば哺乳類、特にマウスである。
本発明のトランスジェニック動物は、マウス配列#115(またはその相同体)をコードする核酸を受精卵の雄性前核に、例えばマイクロインジェクション、レトロウイルス感染によって導入して、卵母細胞を偽妊娠雌性育成動物において発生させることによって作製することができる。イントロン配列およびポリアデニル化シグナルも同様に、導入遺伝子の発現効率を増加させるために導入遺伝子に含めることができる。特定の細胞に対して本発明のポリペプチドの発現を指示するために、組織特異的調節配列を導入遺伝子に機能的に結合させることができる。胚の操作およびマイクロインジェクションによってトランスジェニック動物、特にマウスのような動物を作製する方法は、当技術分野で慣習となり、例えば米国特許第4,736,866号および第4,870,009号、米国特許第4,873,191号、ならびにHogan、「Manipulating the mouse Embryo」、(コールドスプリングハーバー研究所出版、コールドスプリングハーバー、ニューヨーク州、1986)に記載されている。他のトランスジェニック動物を作製するために類似の方法が用いられる。トランスジェニック初代(founder)動物は、そのゲノムにおける導入遺伝子の存在、および/または動物の組織もしくは細胞における導入遺伝子をコードするmRNAの発現に基づいて、同定することができる。次に、トランスジェニック初代動物を用いて、導入遺伝子を有するさらなる動物と交配させることができる。その上導入遺伝子を有するトランスジェニック動物を、他の導入遺伝子を有する他のトランスジェニック動物とさらに交配させることができる。
相同組換え動物を作製するために、その中に欠失、付加、または置換が導入され、それによって遺伝子を変化させる、例えば、機能的に破壊する、マウス配列#115をコードする遺伝子の少なくとも一部を含むベクターを調製する。一つの態様において、ベクターは、相同組換えの際に、内因性の遺伝子が機能的に破壊されている(すなわち、もはや機能的タンパク質をコードしない;「ノックアウト」ベクターとも呼ばれる)ように設計される。または、ベクターは、相同組換えの際に、内因性遺伝子が変異しているか、またはそうでなければ変化しているがなおも機能的タンパク質をコードしている(すなわち、上流の調節領域が変化して、それによって内因性タンパク質の発現が変化する)ように設計することができる。相同組換えベクターにおいて、遺伝子の変化した部分は、胚幹細胞において、ベクターが有する外因性遺伝子と内因性遺伝子とのあいだで相同組換えが起こるように、遺伝子のさらなる核酸がその5'および3'末端に隣接している。さらに隣接する核酸配列は、内因性遺伝子との相同組換えが成功するために十分な長さである。典型的に、隣接するDNA(5'および3'末端の双方)の数キロベースがベクターに含まれる(相同組換えベクターの記述に関して、例えば、ThomasおよびCapecchi(1987)、Cell 51:503を参照されたい)。ベクターは、胚幹細胞株(例えば、エレクトロポレーション)に導入され、かつ導入された遺伝子が内因性遺伝子と相同的に組換えられている細胞が選択される(例えば、Liら(1992)、Cell 69:915を参照)。次に、選択された細胞を動物(例えば、マウス)の胚盤胞に注入して、凝集キメラを形成する(例えば、Bradley、「TeratocarcinomasおよびEmbryonic Stem Cells:A Practical Approach」、Robertson編(IRL、オックスフォード、1987)、pp.113〜152を参照されたい)。次に、キメラ胚を適した偽妊娠雌性育成動物に移植して、胚を期日まで発育させる。その生殖細胞に相同組換えDNAを有する子孫を用いて、導入遺伝子の生殖系列伝幡によって、動物の全細胞が相同組換えDNAを含む動物と交配させることができる。相同組換えベクターおよび相同組換え動物を構築する方法は、Bradley(1991)、Current Opinion in BioTechnology 2:823〜829、およびPCT国際公開公報第90/11354号、国際公開公報第91/01140号、国際公開公報第92/0968号、および国際公開公報第93/04169号に詳しく記述されている。
もう一つの態様において、導入遺伝子の発現を調節することができる選択された系を含む。非ヒトトランスジェニック動物を作製することができる。そのような系の一つの例は、バクテリオファージP1のcre/loxPリコンビナーゼ系である。cre/loxPリコンビナーゼ系に関する記述については、例えばLaskoら(1992)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:6232〜6236を参照されたい。リコンビナーゼ系のもう一つの例は、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)のFLPリコンビナーゼ系(O'Gormanら(1991)、Science 251:1351〜1355)である。cre/loxPリコンビナーゼ系を用いて、導入遺伝子の発現を調節する場合、Creリコンビナーゼと選択されたタンパク質との双方をコードする導入遺伝子を含む動物が必要である。そのような動物は、例えば、1匹が選択されたタンパク質をコードする導入遺伝子を含み、もう1匹がリコンビナーゼをコードする導入遺伝子を含む、2匹のトランスジェニック動物を交配させることによる、「二重」トランスジェニック動物の作製によって提供されうる。
本明細書において記述される非ヒトトランスジェニック動物のクローンもまた、Wilmutら(1997)、Nature 385:810〜813、ならびにPCT国際公開公報第97/07668号および国際公開公報第97/07669号に記載される方法に従って、産生することができる。
VII.治療方法
本発明は、例えば、摂食挙動または代謝速度を変化させることによって、体重を調節するための予防法および治療法の双方を提供する。
一つの局面において、本発明は、配列#115の活性を調節する物質を投与することによって、体重を調節する方法を提供する。そのような方法は、配列#115の異常な発現もしくは活性を有する患者、または配列#115の活性を調節する物質の投与によって利典を得るであろう他の患者の双方において、体重を調節するために有用である。患者の必要性に応じて、被験者を治療するために配列#115アゴニストまたはアンタゴニストを用いることができる。
配列#115活性のアゴニストまたは配列#115の発現を増加させる化合物は、それらが体重を減少させるために用いられうることから、高体重、例えば肥満を治療するために有用である。同様に、配列#115シグナル伝達経路におけるタンパク質の活性または発現を増加させる化合物も、高体重の治療にとって有用である。逆に、配列#115活性のアンタゴニスト、または配列#115の発現を減少させる化合物は、それらが体重を増加させるために用いられうることから、低体重、例えばカヘキシーを治療するために有用である。配列#115シグナル伝達経路におけるタンパク質の活性または発現を減少させる化合物は、低体重を治療するために有用である。
本発明の調節法は、配列#115の活性の一つまたは複数を調節する物質を細胞に接触させることを含む。活性を調節する物質は、核酸もしくはタンパク質、ポリペプチドの天然に存在する同族のリガンド、ペプチド、ペプチド模倣体、または他の低分子のような、本明細書に記載される物質でありうる。一つの態様において、物質は、配列#115の生物活性の一つまたは複数を刺激する。そのような刺激物質の例には、活性な配列#115ポリペプチドおよび配列#115の一部をコードする核酸分子が含まれる。もう一つの態様において、物質は、配列#115の生物活性の一つまたは複数を阻害する。そのような阻害物質の例には、アンチセンス核酸分子および抗体が含まれる。これらの調節法は、インビトロで(例えば、細胞を物質と共に培養することによって)、またはインビボで(例えば、物質を被験者に投与することによって)行うことができる。そのため、本発明は、配列#115または配列#115シグナル伝達経路におけるタンパク質の、望ましくない発現または活性を特徴とする疾患または障害に罹患した個体を治療する方法を提供する。一つの態様において、方法は、物質(例えば、本明細書に記載されるスクリーニングアッセイ法によって同定された物質)、または配列#115もしくは配列#115シグナル伝達経路におけるタンパク質の発現もしくは活性を調節する(例えば、上方制御または下方制御する)物質の組み合わせを投与することを含む。もう一つの態様において、方法は、配列#115または配列#115シグナル伝達経路におけるタンパク質の発現または活性の、減少または望ましくない低下を埋め合わせるための治療として、配列#115の調節物質を投与することを含む。
活性または発現の刺激は、活性または発現が異常に低く下方制御されている、および/または活性の増加が有用な作用を有する可能性が高い状況において、望ましい。逆に、活性または発現の阻害は、活性または発現が異常に高いまたは上方制御されている、および/または活性の減少が有用な作用を有する可能性が高い状況において、望ましい。本発明は、制限すると解釈されるべきではない、以下の実施例によってさらに説明する。本出願を通して引用した全ての参考文献、特許、および公表された特許出願の内容物は、参照として本明細書に組み入れられる。
本発明はまた、肥満の治療のための薬剤を調製するために上述した、任意の方法によって同定される化合物を用いることに関する。
さらに、本発明はまた、カヘキシーの治療のための薬剤を調製するために上述した、任意の方法によって同定される化合物を用いることにも関する。
VIII.薬学的組成物
本発明はさらに、上記のスクリーニングアッセイ法によって同定された新規物質、および本明細書に記載される治療のためのその使用法に関する。本発明の核酸分子、ポリペプチド、および抗体(本明細書において「活性化合物」とも呼ばれる)は、投与に適した薬学的組成物に組み入れることができる。そのような組成物は典型的に、核酸分子、タンパク質、または抗体、および薬学的に許容される担体を含む。本明細書において用いられるように、「薬学的に許容される担体」という用語は、薬学的投与に適合性の、任意のおよび全ての溶媒、分散培地、コーティング、抗菌および抗真菌剤、等張および吸収遅延剤等を含むと意図される。薬学的活性物質のためにそのような媒体および物質を用いることは、当技術分野で周知である。如何なる通常の培地または物質も活性化合物と不適合性である場合を除いて、組成物におけるその利用が企図される。補助活性化合物も同様に組成物に組み入れることができる。
本発明には、遺伝子配列#115発現または活性の調節物質(および/または配列#115シグナル伝達経路におけるタンパク質の活性または発現の調節物質)を含む薬学的組成物、ならびにそのような一つまたは複数の調節物質と薬学的に許容される担体とを組み合わせることによって、そのような組成物を調製する方法が含まれる。同様に、使用説明書と共に包装された、本発明のスクリーニングアッセイ法を用いて同定された調節物質を含む薬学的組成物も、本発明の範囲内である。配列#115活性のアンタゴニストである、または配列#115発現を減少させる調節物質の場合、説明書は低体重の治療のために(例えば、体重を増加させるために)薬学的組成物を用いることを明記するであろう。配列#115活性のアゴニストである、または配列#115発現を増加させる調節物質の場合、説明書は高体重の治療のために(すなわち、体重を減少させるために)薬学的組成物を用いることを明記するであろう。
本発明の薬学的組成物は、その意図する投与経路に適合性となるように調製される。投与経路の例には、非経口、例えば、静脈内、皮内、皮下、経口(例えば、吸入)、経皮(局所)、経粘膜、および直腸内投与が含まれる。非経口、皮内、または皮下適用のために用いられる溶液または懸濁液は、以下の成分を含みうる:注射用水、生理食塩液、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、または他の合成溶媒のような、滅菌希釈剤;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンのような抗菌剤;アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムのような抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸のようなキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩、またはリン酸塩のような緩衝剤、および塩化ナトリウムまたはデキストロースのような張性調節剤。pHは、塩酸または水酸化ナトリウムのような酸または塩基によって調節することができる。非経口調製物は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジ、または多数回投与バイアルに封入することができる。
注射での使用に適した薬学的組成物には、滅菌注射可能溶液または分散液の即時調合調製物のための滅菌水溶液(水溶性の場合)または分散液と滅菌粉末とが含まれる。静脈内投与の場合、適した担体には、生理食塩液、静菌水、Cremophor ELTM(BASF、パーシッパニー、ニュージャージー州)またはリン酸緩衝生理食塩液(PBS)が含まれる。全ての場合において、組成物は滅菌で、かつ容易な注入操作性(syringability)が存在する程度に流動性でなければならない。これは製造および保存条件で安定でなければならず、細菌および真菌のような微生物の混入から保護されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコール等)およびその適した混合物を含む、溶媒または分散培地でありうる。適当な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティングを用いることによって、分散剤の場合には必要な粒子径を維持することによって、および界面活性剤を用いることによって、維持することができる。微生物の作用の予防は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサール等によって行うことができる。多くの場合、等張物質、例えば、糖、マンニトールのような多価アルコール、ソルビトール、塩化ナトリウムを組成物に含めることが好ましい。注射用組成物の持続的な吸収は、吸収を遅らせる物質、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物に含めることによって得ることができる。
滅菌注射用溶液は、先に列挙した成分の一つまたは組み合わせによって、適当な溶媒に必要な量の活性化合物(例えば、ポリペプチドまたは抗体)を組み入れて、必要に応じて濾過滅菌することによって調製することができる。一般的に、分散剤は、基礎分散培地と先に列挙した必要な他の成分を含む滅菌溶媒に、活性化合物を組み入れることによって調製される。滅菌注射溶液を調製するための滅菌粉末の場合、好ましい調製法は、先に濾過滅菌したその溶液から、活性成分の粉末に加えてさらなる任意の所望の成分を生じる、真空乾燥および凍結乾燥である。
経口組成物は一般的に、不活性希釈剤または食用担体を含む。それらは、ゼラチンカプセルに封入または錠剤に圧縮することができる。経口での治療的投与の目的のために、活性化合物を賦形剤と共に組み入れて、錠剤、トローチ剤、またはカプセル剤の形で用いることができる。経口組成物はまた、液体担体中の化合物が口に含まれ、すすいでから口から出される、または飲み込まれる、マウスウォッシュとして用いるための流動性担体を用いて調製することができる。薬学的に適合性の結合物質、および/またはアジュバント材料は、組成物の一部として含めることができる。錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤等は、以下の任意の成分、または類似の性質の化合物を含みうる:微結晶セルロース、セルロース、トラガカントゴム、もしくはゼラチンのような結合剤;デンプンもしくは乳糖のような賦形剤;アルギン酸、プリモゲル(Primogel)、もしくはコーンスターチのような崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムもしくはステロート(Sterote)のような潤滑剤;二酸化珪素コロイドのような滑走剤(glidant);ショ糖もしくはサッカリンのような甘味料;またはペパーミント、サリチル酸メチル、もしくはオレンジ香料のような着香料。
吸入による投与に関して、化合物は、適した噴射剤、例えば二酸化炭素のようなガスを含む、加圧式容器もしくはディスペンサーによるエアロゾルスプレー、または噴霧器の形で輸送される。
全身投与も同様に、経粘膜または経皮手段によって行うことができる。経粘膜または経皮投与の場合、浸透すべき障壁に対して適当な浸透剤を製剤に用いる。そのような浸透剤は一般的に当技術分野で公知であり、例えば、経粘膜投与の場合、界面活性剤、胆汁塩、およびフシジン酸誘導体が含まれる。経粘膜投与は、鼻腔内スプレーまたは坐剤を用いることによって行うことができる。経皮投与の場合、活性化合物は、当技術分野で一般的に公知の軟膏、軟膏剤、ゲルまたはクリームへと製剤化される。
化合物はまた、直腸内輸送のための坐剤(例えば、カカオバターおよび他のグリセリドのような通常の坐剤基剤と共に)または貯留浣腸(retention enemas)の形で調製することができる。
一つの態様において、活性化合物は、インプラントおよび微小封入輸送系を含む徐放製剤のような、体内からの迅速な排泄に対して化合物を保護する担体と共に調製される。エチレン酢酸ビニル、多価無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸のような生体分解性で生体適合性のポリマーを用いることができる。そのような製剤を調製する方法は、当業者に明らかであろう。材料はまた、アルザ(Alza Corporation)およびノバ・ファーマシューティカルズ(Nova Pharmaceuticals, Inc.)から購入することができる。リポソーム懸濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体によって、感染細胞に標的化されるリポソームを含む)も同様に、薬学的に許容される担体として用いることができる。これらは、例えば、米国特許第4,522,811号に記載されるように、当業者に既知の方法に従って調製することができる。
投与の容易さおよび用量の均一性のために、単位投与剤形で経口または非経口組成物を調製することが特に都合がよい。本明細書において用いられる単位投与剤形は、治療される被験者に関して単位用量として適した物理的に個別の単位を意味する;それぞれの単位は、必要な薬学的担体と共に所望の治療効果を生じるように計算された規定量の活性化合物を含む。本発明の単位投与剤形に関する仕様は、活性化合物の独自の特徴および得られる特定の治療効果、ならびに個体を治療するためのそのような活性化合物を調合する際の当技術分野における固有の制限によって規定されるか、または直接依存する。
本発明の核酸分子は、ベクターに挿入して遺伝子治療ベクターとして用いることができる。遺伝子治療ベクターは、例えば静脈内注射、局所投与(米国特許第5,328,470号)、または定位固定注射(例えば、Chenら(1994)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:3054〜3057)によって被験者に輸送することができる。遺伝子治療ベクターの薬学的調製物は、許容される希釈剤中に遺伝子治療ベクターを含みうるか、または遺伝子輸送媒体が埋めこまれる徐放性マトリクスを含みうる。または、完全な遺伝子輸送ベクターが組換え細胞から無傷で産生されうる場合、例えばレトロウイルスベクターの場合、薬学的調製物は、遺伝子輸送系を生じる一つまたは複数の細胞を含めることができる。
薬学的組成物は、投与の説明書と共に容器、パック、またはディスペンサーに含めることができる。配列#115の活性のアンタゴニスト、配列#115の発現を減少させる化合物、または配列#115シグナル伝達経路におけるタンパク質の発現もしくは活性を減少させる化合物(またはそのいくつかの組み合わせ)を含む薬学的組成物の場合、投与説明書は、体重を増加させるための組成物の使用について明記する。配列#115の活性のアゴニスト、配列#115の発現を増加させる化合物、または配列#115シグナル伝達経路におけるタンパク質の発現もしくは活性を増加させる化合物(またはそのいくつかの組み合わせ)を含む薬学的組成物の場合、投与説明書は、体重を減少させるための組成物の使用について明記する。
本発明は、薬学的に許容される担体と混合した、哺乳類の配列#115の活性を調節する化合物を含む、体重を調節するための薬学的製剤を提供する。
本発明また、これまでに記述した薬学的製剤と、体重を調節する目的で薬学的製剤を投与するための説明書とを含むパッケージにも言及する。
本発明は、a)被験化合物を哺乳類の配列#115に接触させる段階;b)被験化合物が哺乳類の配列#115に結合するか否かを決定する段階;およびc)哺乳類の配列#115に結合する被験化合物を薬学的に許容される担体と組み合わせて、体重を調節するために有用な薬学的組成物を作製する段階、を含む、体重を調節するために有用な薬学的組成物を調製する方法に関する。
本発明は、a)被験化合物の存在下および非存在下で、配列#115リガンドを哺乳類の配列#115に接触させる段階;b)被験化合物が哺乳類の配列#115への配列#115リガンドの結合を変化させるか否かを決定する段階;およびc)哺乳類の配列#115への配列#115リガンドの結合を変化させる被験化合物を、薬学的に許容される担体と組み合わせて、体重を調節するために有用な薬学的組成物を作製する段階を含む、体重を調節するために有用な薬学的組成物を調製する方法を提供する。
先に記述した任意の方法の好ましい態様において、哺乳類配列#115はマウス配列#115である。
先に記述した任意の方法のもう一つの好ましい態様において、哺乳類配列#115はヒト配列#115である。
本発明はまた、配列番号:2のアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチドを認識する抗体に関する。
本発明はまた、配列番号:1のヌクレオチド配列を含む核酸分子によってコードされる、単離されたポリペプチドを認識する抗体を提供する。
これまでに実質的に記述してきた方法、化合物、組成物、パッケージ、用途、および抗体は、以下の実施例を特に参照して、同様に本発明によって提供される。