JP2004226186A - 3次元形状計測装置および3次元形状計測方法 - Google Patents
3次元形状計測装置および3次元形状計測方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】反射率の低い対象物を計測対象にする場合にも、安定したパターンのエッジ抽出が可能となる。
【解決手段】プロジェクタ11によりストライプパターンを対象物10上に投影し、これをカメラ12で撮影する。ストライプパターンは、5種類の階調を有するストライプの組み合わせた部分パターンを繰り返したものである。このストライプパターンにおいては隣接するストライプとの境界近傍にストライプ間の濃度差を強調するためのエッジ強調処理を施す。エッジ強調処理をほどこされた多値パターン光を対象物10に照射し、投光系と主点を異なる位置に配置した撮像手段であるカメラ12にて、対象物10上のパターン投影像を撮像し、投射パターン光とパターン投影像にて対応づけを行う。この対応づけに基づいて三角測量により距離計算を行う。
【選択図】 図4
【解決手段】プロジェクタ11によりストライプパターンを対象物10上に投影し、これをカメラ12で撮影する。ストライプパターンは、5種類の階調を有するストライプの組み合わせた部分パターンを繰り返したものである。このストライプパターンにおいては隣接するストライプとの境界近傍にストライプ間の濃度差を強調するためのエッジ強調処理を施す。エッジ強調処理をほどこされた多値パターン光を対象物10に照射し、投光系と主点を異なる位置に配置した撮像手段であるカメラ12にて、対象物10上のパターン投影像を撮像し、投射パターン光とパターン投影像にて対応づけを行う。この対応づけに基づいて三角測量により距離計算を行う。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は測定対象に対してパターン光を照射することによって得られるパターン投影像を、撮像手段により異なる方向から撮像し距離情報を得る三角測量法に基づく3次元形状計測装置および3次元形状計測方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
3次元形状を取得する手法には、アクティブ手法(Active vision)とパッシブ手法(Passive vision)がある。アクティブ手法は、(1)レーザ光等を発して、対象物からの反射光量や到達時間を計測し、奥行き情報を抽出するレーザ手法や、(2)スリット光などの特殊なパターン光源を用いて、対象表面パターンの幾何学的変形等の画像情報により対象形状を推定するパターン投影方法や、(3)光学的処理によってモアレ縞により等高線を形成させて、3次元情報を得る方法などがある。一方、パッシブ手法は、対象物の見え方、光源、照明、影情報等に関する情報を利用して、一枚の画像から3次元情報を推定する単眼立体視や、三角測量の原理で各画素の奥行き情報を推定する二眼立体視等がある。
【0003】
上述した種々の計測手法の中でアクティブ手法の一つであるパターン投影法は、簡易な装置で高精度に3次元情報を取得できる手法である。これを更に詳しく説明する。パターン投影法は、対象とする物体に基準となるパターン光を投影し、パターン投影像の撮像を投影された方向とは異なる方向から行う手法である。撮像されたパターン像は、物体の形状によって変形を受けたものとなる。撮像された変形パターンと投影したパターンとの対応づけを行うことで、物体の3次元計測を行う。具体的な計測手法として、光切断法や空間コード化法がある。光切断法は一本のスリットパターンを対象物に投影し、スリットパターンを計測したい対象物領域に渡り走査することにより、対象物の3次元情報を取得する手法である。空間コード化法は、空間解像度の違う2値パターンを複数用意し、これを順番に対象物に投影することにより、光切断法のスリット光の走査を省き、短時間で対象物の3次元情報を取得する手法である。計測の高精度化と高信頼性を図るために光切断法では、撮像されたストライプ画像の重心(座標)を求める処理を行い、空間コード化法では、撮像されたパターン画像の2値化処理を行っている。このように計測の精度や信頼性においては優れた手法といえるが、問題点としてスリット光の走査や複数回のパターン投影を行わなければならないため計測時間がかかり、計測対象が静止物体に限られ、用途が限定されるという問題があった。
【0004】
このような問題を解決する手段として,Chu−Song Chenらは、多値パターン投影法を提案している(例えば非特許文献1)。多値パターン投影法は、光切断法や空間コード化法の2値パターンに対し多階調のパターンを対象物の投射し、1回の撮像にて対象物の3次元情報を取得する手法である。これを図6および図7を用いて説明する。図6は、従来型の多値パターン投影法による3次元形状計測装置の概観図であり、図7は、使用される多値パターンを表した図である。図7に示す複数色C1、C2、C3・・・Cnを使用し、それぞれの階調のストライプパターンの間にブラックストライプを介在させた多値パターン光を、図6に示す投光系により対象物に投射する。対象物上の光学像を投光系と別視点に配置した2台のカメラにて撮像し、得られたパターン像を比較し同一と思われる個所を探索する。ここで、パターン像間にて同一個所を探索するまでのフローは以下の通りである。
【0005】
[ステップ1]:2つのパターン撮像画像それぞれのエッジを抽出する。
[ステップ2]:エッジ両側の画素情報(輝度値、色相)をそれぞれ取得する。
[ステップ3]:エピポーラライン上にて同じ画素情報を持つ画素を対応点であると判断し、三角測量の原理から距離を算出する。
【0006】
ストライプパターンC1、C2、C3・・・Cnそれぞれの間にブラックストライプを介在させたのは、隣接するパターン間においてコントラストを上昇させステップ1におけるエッジ抽出精度を向上させるのが目的である。しかしながら、反射率の低い対象物(濃い色の対象物など)を計測対象にする場合、隣接するパターン間におけるコントラストが低下し、エッジが抽出できない場合があった。エッジが抽出できない個所は、距離計測ができず大きな問題となっていた。
【0007】
【非特許文献1】
Chu−Song Chen,Range data acquisition using color structure light and stereo vision,image vision computing 15(1997)445−456
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を解決することを目的としてなされたものであり、多値パターンを投射してもエッジ抽出を精度良く行うことができる信頼性の高い3次元形状計測装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の一側面によれば、上述の目的を達成するために、複数の濃度を有するストライプの組み合わせで構成されたパターンを対象物に投光する投光手段と、該投光手段と主点を異なる位置に配置した一乃至複数の撮像手段とから構成される3次元形状測定装置において、該ストライプに対し、隣接するストライプとのエッジ近傍にストライプ間の濃度差を強調するためのエッジ強調処理を施すようにしている。
【0010】
エッジ強調処理は、例えば隣接するストライプについて階調が大きい方のストライプのエッジ近傍の階調をより大きくし、階調が小さい方のストライプのエッジ近傍の階調をより小さくする処理である。あるいは、隣接するストライプについて階調が大きい方のストライプのエッジ近傍の階調をより大きくする処理や、隣接するストライプについて階調が小さい方のストライプのエッジ近傍の階調をより小さくする処理である。このような処理は一般にエッジ強調処理と呼ばれるが、エッジの近傍の階調をエッジ周囲の画像に応じて修正してエッジを鮮明にする処理であり、どのように呼ばれているかに左右されない。
【0011】
なお、すべてについて同様な処理が行われる必要はなく、例えば、上限、下限の階調で表現されたストライプについては階調を修正できないが、そのような場合も、他の部分であるいは隣接するストライプでエッジ強調処理を施すことにより本発明が適用される。
【0012】
この構成においては、エッジ強調処理を施すことにより、隣接するストライプ間の境界部の濃度差を強調することができ、対象物の濃度が大きな場合でも確実にエッジを検出して対象物との間の距離を正確に測定できる。
【0013】
エッジ強調処理はストライプパターンを投影する直前に行われていも良いし、予めエッジ強調処理を施した画像を用意しておいても良い。
【0014】
本発明の上述の側面および本発明の他の側面は、特許請求の範囲に記載され、以下に実施例を用いて詳細に説明される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら実施例に基づいて、本発明を具体的に説明する。
【0016】
[第1の実施例]
図1は、本発明の第1の実施例を示す構成図である。複数のストライプパターンを対象物10に投光する投光手段である投光系にプロジェクタ11を用い、投光系と主点を異なる位置に配置した撮像手段であるカメラ12にて、対象物10上のパターン投影像を撮像する。投光系にて投射される複数のストライプパターンは、図2にて示されるように、それぞれが異なる輝度を有する多値のストライプパターン光である。本実施例では、モノクロの5種類の輝度を持った多値のストライプを使用した。モノクロの輝度値を256階調で現し、ストライプ1から5を以下の階調に割り付けた。
【0017】
ストライプ1 : 輝度値255
ストライプ2 : 輝度値192
ストライプ3 : 輝度値128
ストライプ4 : 輝度値64
ストライプ5 : 輝度値0
【0018】
これらを、同じ繰り返しがないように配列を行う。図3に用いた配列を示す。この配列は5種類の階調を有するストライプの組み合わせよりなり、この組み合わせを基本ユニットとして、プロジェクタ11で投光するサイズに応じこの配列を繰り返してパターンを形成する。但し、これは一つの例であり、他の階調割り付けおよび配列においても本発明の効果は同様に得られるものである。ここで、おのおののストライプに対し、図4に示すごとく、隣接するストライプとの境界近傍にストライプ間の濃度差を強調するためのエッジ強調処理を施す。図4に示したエッジ強調処理をほどこされた多値パターン光を対象物10に照射し、投光系と主点を異なる位置に配置した撮像手段であるカメラ12にて、対象物10上のパターン投影像を撮像し、投射パターン光とパターン投影像にて対応づけを行う。なお、エッジ強調処理により、図4に示すように、隣接するストライプにおいて、階調が大きい方のストライプのエッジ近傍の階調がより大きくなり、階調が小さい方のストライプのエッジ近傍の階調がより小さくなる。もちろん、隣接するストライプについて階調が大きい方のストライプのエッジ近傍の階調をより大きくする処理のみであってもよいし、隣接するストライプについて階調が小さい方のストライプのエッジ近傍の階調をより小さくする処理のみであってもよい。また部分的にエッジ強調が行われない場合や、あるいは部分的に行うことができない場合(階調が「0」、「256」の限界値であるため)もある。また、エッジ強調処理は、事前に行っておき、静的なエッジ強調処理済のストライプパターンを用いても良いし、図3のエッジ強調処理のない画像をパターン投影前にエッジ強調処理して投影を行うようにしても良い。この場合、ストライプパターンを動的に変えることができる。
【0019】
ここで、距離算出までのフローは以下の通りである。
【0020】
・フロー1
[ステップ1]:パターン撮像画像のエッジを抽出する。
[ステップ2]:エッジ両側の、エッジ強調処理により輝度値が変調されていないエッジ近傍の画素情報(輝度値)を取得する。
[ステップ3]:パターン撮像画像と同じ画素情報を持つ投射パターン光を探索、決定し、三角測量の原理から距離を算出する。
【0021】
その他に以下のフローにても,距離算出が可能である。
【0022】
・フロー2
[ステップ1]:パターン撮像画像のエッジを抽出する。
[ステップ2]:エッジ両側の、エッジ強調処理により輝度値が変調されていないエッジ近傍の画素情報(輝度値)を取得する。
[ステップ3]:エッジ両側の、エッジ強調処理により輝度値が変調されていないエッジ近傍の画素情報(輝度値)の一部、あるいは、全ての配列から投射パターン光の配列を予測し、投射パターン光とパターン撮像画像の対応づけを行い、三角測量の原理から距離を算出する。
【0023】
パターン撮像画像は、個々のストライプ間にエッジ強調処理が施してあるため、ストライプ間のコントラストが高く、ステップ1にて行うエッジ抽出の精度が飛躍的に向上する。これは特に反射率の低い対象物(濃い色の対象物など)を計測対象にする場合に有効であり、安定したエッジ抽出が可能となり、信頼性の高い距離計測が可能となる。
【0024】
[第2の実施例]
つぎに本発明の第2の実施例について説明する。
【0025】
図5は、本発明の第2の実施例を示す構成図である。複数のストライプパターンを対象物10に投光する投光手段である投光系にプロジェクタ11を用い、投光系と主点を異なる位置に配置した撮像手段である2台のカメラ12、13にて、対象物10上のパターン投影像を撮像する。投光系にて投射される複数のストライプパターンは、図2にて示されるように、それぞれが異なる輝度を有する多値のストライプパターン光である。
【0026】
本実施例では、モノクロの5種類の輝度を持った多値のストライプを使用した。モノクロの輝度値を256階調で現し、ストライプ1から5を以下の階調に割り付けた。
【0027】
ストライプ1 : 輝度値255
ストライプ2 : 輝度値192
ストライプ3 : 輝度値128
ストライプ4 : 輝度値64
ストライプ5 : 輝度値0
【0028】
これらを、同じ繰り返しがないように配列を行う。図3に用いた配列を示す。この配列は5種類の階調を有するストライプの組み合わせよりなり、この組み合わせを基本ユニットとして、プロジェクタ11で投光するサイズに応じこの配列を繰り返してパターンを形成する。但し、これは一つの例であり、他の階調割り付けおよび配列においても本発明の効果は同様に得られるものである。ここで、おのおののストライプに対し、図4に示すごとく、隣接するストライプとの境界近傍にストライプ間の濃度差を強調するためのエッジ強調処理を施す。図4に示したエッジ強調処理をほどこされた多値パターン光を対象物10に照射し、投光系と主点を異なる位置に配置した撮像手段であるカメラ12、13にて、対象物10上のパターン投影像を撮像し、投射パターン光とパターン投影像にて対応づけを行う。ここで、距離算出までのフローは以下の通りである。
【0029】
・フロー1
[ステップ1]:2つのパターン撮像画像それぞれのエッジを抽出する。
[ステップ2]:エッジ両側の、エッジ強調処理により輝度値が変調されていないエッジ近傍の画素情報(輝度値)をそれぞれ取得する。
[ステップ3]:エピポーラライン上にて、同じ画素情報を持つ画素を対応点であると判断し、三角測量の原理から距離を算出する。
【0030】
その他に以下のフローにても,距離算出が可能である。
【0031】
・フロー2
[ステップ1]:2つのパターン撮像画像のエッジを抽出する。
[ステップ2]:エッジ両側の、エッジ強調処理により輝度値が変調されていないエッジ近傍の画素情報(輝度値)を取得する。
[ステップ3]:エッジ両側の、エッジ強調処理により輝度値が変調されていないエッジ近傍の画素情報(輝度値)の一部、あるいは、全ての配列から投射パターン光の配列を予測し、投射パターン光とパターン撮像画像の対応づけを行い、三角測量の原理から距離を算出する。
【0032】
パターン撮像画像は、個々のストライプ間の境界線が強調されており、ストライプ間のコントラストが高い状態であるため、ステップ1にて行うエッジ抽出の精度が飛躍的に向上する。これは特に反射率の低い対象物(濃い色の対象物など)を計測対象にする場合に有効であり、安定したエッジ抽出が可能となり、信頼性の高い距離計測が可能となる。また本実施例では、2台のカメラ12、13により撮像を行っており、計測フロー1においては、パターン撮像画像間の比較により距離計測を行うものである。この利点として、対象物上での反射率による誤対応を防止できることが挙げられ、第1の実施例に比べて、より信頼性の高い距離計測が可能となる。
【0033】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、反射率の低い対象物(濃い色の対象物など)を計測対象にする場合にも、安定したパターンのエッジ抽出が可能となり、1回の撮像で信頼性の高い距離計測が可能となる。もちろん複数回の撮像を行うことを制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる3次元形状計測装置の第1の実施例を示した図である。
【図2】本発明の投射ストライプを説明する図である。
【図3】本発明の投射ストライプパターン光の配列を示した図である。
【図4】本発明のエッジ強調処理を施したストライプパターンを示した図である。
【図5】本発明に係わる3次元形状計測装置の第2の実施例を示した図である。
【図6】従来の3次元形状計測装置の構成を示した図である。
【図7】従来の3次元形状計測装置の投射パターン光を説明する図である。
【符号の説明】
10 対象物
11 プロジェクタ
12、13 カメラ
【発明の属する技術分野】
本発明は測定対象に対してパターン光を照射することによって得られるパターン投影像を、撮像手段により異なる方向から撮像し距離情報を得る三角測量法に基づく3次元形状計測装置および3次元形状計測方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
3次元形状を取得する手法には、アクティブ手法(Active vision)とパッシブ手法(Passive vision)がある。アクティブ手法は、(1)レーザ光等を発して、対象物からの反射光量や到達時間を計測し、奥行き情報を抽出するレーザ手法や、(2)スリット光などの特殊なパターン光源を用いて、対象表面パターンの幾何学的変形等の画像情報により対象形状を推定するパターン投影方法や、(3)光学的処理によってモアレ縞により等高線を形成させて、3次元情報を得る方法などがある。一方、パッシブ手法は、対象物の見え方、光源、照明、影情報等に関する情報を利用して、一枚の画像から3次元情報を推定する単眼立体視や、三角測量の原理で各画素の奥行き情報を推定する二眼立体視等がある。
【0003】
上述した種々の計測手法の中でアクティブ手法の一つであるパターン投影法は、簡易な装置で高精度に3次元情報を取得できる手法である。これを更に詳しく説明する。パターン投影法は、対象とする物体に基準となるパターン光を投影し、パターン投影像の撮像を投影された方向とは異なる方向から行う手法である。撮像されたパターン像は、物体の形状によって変形を受けたものとなる。撮像された変形パターンと投影したパターンとの対応づけを行うことで、物体の3次元計測を行う。具体的な計測手法として、光切断法や空間コード化法がある。光切断法は一本のスリットパターンを対象物に投影し、スリットパターンを計測したい対象物領域に渡り走査することにより、対象物の3次元情報を取得する手法である。空間コード化法は、空間解像度の違う2値パターンを複数用意し、これを順番に対象物に投影することにより、光切断法のスリット光の走査を省き、短時間で対象物の3次元情報を取得する手法である。計測の高精度化と高信頼性を図るために光切断法では、撮像されたストライプ画像の重心(座標)を求める処理を行い、空間コード化法では、撮像されたパターン画像の2値化処理を行っている。このように計測の精度や信頼性においては優れた手法といえるが、問題点としてスリット光の走査や複数回のパターン投影を行わなければならないため計測時間がかかり、計測対象が静止物体に限られ、用途が限定されるという問題があった。
【0004】
このような問題を解決する手段として,Chu−Song Chenらは、多値パターン投影法を提案している(例えば非特許文献1)。多値パターン投影法は、光切断法や空間コード化法の2値パターンに対し多階調のパターンを対象物の投射し、1回の撮像にて対象物の3次元情報を取得する手法である。これを図6および図7を用いて説明する。図6は、従来型の多値パターン投影法による3次元形状計測装置の概観図であり、図7は、使用される多値パターンを表した図である。図7に示す複数色C1、C2、C3・・・Cnを使用し、それぞれの階調のストライプパターンの間にブラックストライプを介在させた多値パターン光を、図6に示す投光系により対象物に投射する。対象物上の光学像を投光系と別視点に配置した2台のカメラにて撮像し、得られたパターン像を比較し同一と思われる個所を探索する。ここで、パターン像間にて同一個所を探索するまでのフローは以下の通りである。
【0005】
[ステップ1]:2つのパターン撮像画像それぞれのエッジを抽出する。
[ステップ2]:エッジ両側の画素情報(輝度値、色相)をそれぞれ取得する。
[ステップ3]:エピポーラライン上にて同じ画素情報を持つ画素を対応点であると判断し、三角測量の原理から距離を算出する。
【0006】
ストライプパターンC1、C2、C3・・・Cnそれぞれの間にブラックストライプを介在させたのは、隣接するパターン間においてコントラストを上昇させステップ1におけるエッジ抽出精度を向上させるのが目的である。しかしながら、反射率の低い対象物(濃い色の対象物など)を計測対象にする場合、隣接するパターン間におけるコントラストが低下し、エッジが抽出できない場合があった。エッジが抽出できない個所は、距離計測ができず大きな問題となっていた。
【0007】
【非特許文献1】
Chu−Song Chen,Range data acquisition using color structure light and stereo vision,image vision computing 15(1997)445−456
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を解決することを目的としてなされたものであり、多値パターンを投射してもエッジ抽出を精度良く行うことができる信頼性の高い3次元形状計測装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の一側面によれば、上述の目的を達成するために、複数の濃度を有するストライプの組み合わせで構成されたパターンを対象物に投光する投光手段と、該投光手段と主点を異なる位置に配置した一乃至複数の撮像手段とから構成される3次元形状測定装置において、該ストライプに対し、隣接するストライプとのエッジ近傍にストライプ間の濃度差を強調するためのエッジ強調処理を施すようにしている。
【0010】
エッジ強調処理は、例えば隣接するストライプについて階調が大きい方のストライプのエッジ近傍の階調をより大きくし、階調が小さい方のストライプのエッジ近傍の階調をより小さくする処理である。あるいは、隣接するストライプについて階調が大きい方のストライプのエッジ近傍の階調をより大きくする処理や、隣接するストライプについて階調が小さい方のストライプのエッジ近傍の階調をより小さくする処理である。このような処理は一般にエッジ強調処理と呼ばれるが、エッジの近傍の階調をエッジ周囲の画像に応じて修正してエッジを鮮明にする処理であり、どのように呼ばれているかに左右されない。
【0011】
なお、すべてについて同様な処理が行われる必要はなく、例えば、上限、下限の階調で表現されたストライプについては階調を修正できないが、そのような場合も、他の部分であるいは隣接するストライプでエッジ強調処理を施すことにより本発明が適用される。
【0012】
この構成においては、エッジ強調処理を施すことにより、隣接するストライプ間の境界部の濃度差を強調することができ、対象物の濃度が大きな場合でも確実にエッジを検出して対象物との間の距離を正確に測定できる。
【0013】
エッジ強調処理はストライプパターンを投影する直前に行われていも良いし、予めエッジ強調処理を施した画像を用意しておいても良い。
【0014】
本発明の上述の側面および本発明の他の側面は、特許請求の範囲に記載され、以下に実施例を用いて詳細に説明される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら実施例に基づいて、本発明を具体的に説明する。
【0016】
[第1の実施例]
図1は、本発明の第1の実施例を示す構成図である。複数のストライプパターンを対象物10に投光する投光手段である投光系にプロジェクタ11を用い、投光系と主点を異なる位置に配置した撮像手段であるカメラ12にて、対象物10上のパターン投影像を撮像する。投光系にて投射される複数のストライプパターンは、図2にて示されるように、それぞれが異なる輝度を有する多値のストライプパターン光である。本実施例では、モノクロの5種類の輝度を持った多値のストライプを使用した。モノクロの輝度値を256階調で現し、ストライプ1から5を以下の階調に割り付けた。
【0017】
ストライプ1 : 輝度値255
ストライプ2 : 輝度値192
ストライプ3 : 輝度値128
ストライプ4 : 輝度値64
ストライプ5 : 輝度値0
【0018】
これらを、同じ繰り返しがないように配列を行う。図3に用いた配列を示す。この配列は5種類の階調を有するストライプの組み合わせよりなり、この組み合わせを基本ユニットとして、プロジェクタ11で投光するサイズに応じこの配列を繰り返してパターンを形成する。但し、これは一つの例であり、他の階調割り付けおよび配列においても本発明の効果は同様に得られるものである。ここで、おのおののストライプに対し、図4に示すごとく、隣接するストライプとの境界近傍にストライプ間の濃度差を強調するためのエッジ強調処理を施す。図4に示したエッジ強調処理をほどこされた多値パターン光を対象物10に照射し、投光系と主点を異なる位置に配置した撮像手段であるカメラ12にて、対象物10上のパターン投影像を撮像し、投射パターン光とパターン投影像にて対応づけを行う。なお、エッジ強調処理により、図4に示すように、隣接するストライプにおいて、階調が大きい方のストライプのエッジ近傍の階調がより大きくなり、階調が小さい方のストライプのエッジ近傍の階調がより小さくなる。もちろん、隣接するストライプについて階調が大きい方のストライプのエッジ近傍の階調をより大きくする処理のみであってもよいし、隣接するストライプについて階調が小さい方のストライプのエッジ近傍の階調をより小さくする処理のみであってもよい。また部分的にエッジ強調が行われない場合や、あるいは部分的に行うことができない場合(階調が「0」、「256」の限界値であるため)もある。また、エッジ強調処理は、事前に行っておき、静的なエッジ強調処理済のストライプパターンを用いても良いし、図3のエッジ強調処理のない画像をパターン投影前にエッジ強調処理して投影を行うようにしても良い。この場合、ストライプパターンを動的に変えることができる。
【0019】
ここで、距離算出までのフローは以下の通りである。
【0020】
・フロー1
[ステップ1]:パターン撮像画像のエッジを抽出する。
[ステップ2]:エッジ両側の、エッジ強調処理により輝度値が変調されていないエッジ近傍の画素情報(輝度値)を取得する。
[ステップ3]:パターン撮像画像と同じ画素情報を持つ投射パターン光を探索、決定し、三角測量の原理から距離を算出する。
【0021】
その他に以下のフローにても,距離算出が可能である。
【0022】
・フロー2
[ステップ1]:パターン撮像画像のエッジを抽出する。
[ステップ2]:エッジ両側の、エッジ強調処理により輝度値が変調されていないエッジ近傍の画素情報(輝度値)を取得する。
[ステップ3]:エッジ両側の、エッジ強調処理により輝度値が変調されていないエッジ近傍の画素情報(輝度値)の一部、あるいは、全ての配列から投射パターン光の配列を予測し、投射パターン光とパターン撮像画像の対応づけを行い、三角測量の原理から距離を算出する。
【0023】
パターン撮像画像は、個々のストライプ間にエッジ強調処理が施してあるため、ストライプ間のコントラストが高く、ステップ1にて行うエッジ抽出の精度が飛躍的に向上する。これは特に反射率の低い対象物(濃い色の対象物など)を計測対象にする場合に有効であり、安定したエッジ抽出が可能となり、信頼性の高い距離計測が可能となる。
【0024】
[第2の実施例]
つぎに本発明の第2の実施例について説明する。
【0025】
図5は、本発明の第2の実施例を示す構成図である。複数のストライプパターンを対象物10に投光する投光手段である投光系にプロジェクタ11を用い、投光系と主点を異なる位置に配置した撮像手段である2台のカメラ12、13にて、対象物10上のパターン投影像を撮像する。投光系にて投射される複数のストライプパターンは、図2にて示されるように、それぞれが異なる輝度を有する多値のストライプパターン光である。
【0026】
本実施例では、モノクロの5種類の輝度を持った多値のストライプを使用した。モノクロの輝度値を256階調で現し、ストライプ1から5を以下の階調に割り付けた。
【0027】
ストライプ1 : 輝度値255
ストライプ2 : 輝度値192
ストライプ3 : 輝度値128
ストライプ4 : 輝度値64
ストライプ5 : 輝度値0
【0028】
これらを、同じ繰り返しがないように配列を行う。図3に用いた配列を示す。この配列は5種類の階調を有するストライプの組み合わせよりなり、この組み合わせを基本ユニットとして、プロジェクタ11で投光するサイズに応じこの配列を繰り返してパターンを形成する。但し、これは一つの例であり、他の階調割り付けおよび配列においても本発明の効果は同様に得られるものである。ここで、おのおののストライプに対し、図4に示すごとく、隣接するストライプとの境界近傍にストライプ間の濃度差を強調するためのエッジ強調処理を施す。図4に示したエッジ強調処理をほどこされた多値パターン光を対象物10に照射し、投光系と主点を異なる位置に配置した撮像手段であるカメラ12、13にて、対象物10上のパターン投影像を撮像し、投射パターン光とパターン投影像にて対応づけを行う。ここで、距離算出までのフローは以下の通りである。
【0029】
・フロー1
[ステップ1]:2つのパターン撮像画像それぞれのエッジを抽出する。
[ステップ2]:エッジ両側の、エッジ強調処理により輝度値が変調されていないエッジ近傍の画素情報(輝度値)をそれぞれ取得する。
[ステップ3]:エピポーラライン上にて、同じ画素情報を持つ画素を対応点であると判断し、三角測量の原理から距離を算出する。
【0030】
その他に以下のフローにても,距離算出が可能である。
【0031】
・フロー2
[ステップ1]:2つのパターン撮像画像のエッジを抽出する。
[ステップ2]:エッジ両側の、エッジ強調処理により輝度値が変調されていないエッジ近傍の画素情報(輝度値)を取得する。
[ステップ3]:エッジ両側の、エッジ強調処理により輝度値が変調されていないエッジ近傍の画素情報(輝度値)の一部、あるいは、全ての配列から投射パターン光の配列を予測し、投射パターン光とパターン撮像画像の対応づけを行い、三角測量の原理から距離を算出する。
【0032】
パターン撮像画像は、個々のストライプ間の境界線が強調されており、ストライプ間のコントラストが高い状態であるため、ステップ1にて行うエッジ抽出の精度が飛躍的に向上する。これは特に反射率の低い対象物(濃い色の対象物など)を計測対象にする場合に有効であり、安定したエッジ抽出が可能となり、信頼性の高い距離計測が可能となる。また本実施例では、2台のカメラ12、13により撮像を行っており、計測フロー1においては、パターン撮像画像間の比較により距離計測を行うものである。この利点として、対象物上での反射率による誤対応を防止できることが挙げられ、第1の実施例に比べて、より信頼性の高い距離計測が可能となる。
【0033】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、反射率の低い対象物(濃い色の対象物など)を計測対象にする場合にも、安定したパターンのエッジ抽出が可能となり、1回の撮像で信頼性の高い距離計測が可能となる。もちろん複数回の撮像を行うことを制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる3次元形状計測装置の第1の実施例を示した図である。
【図2】本発明の投射ストライプを説明する図である。
【図3】本発明の投射ストライプパターン光の配列を示した図である。
【図4】本発明のエッジ強調処理を施したストライプパターンを示した図である。
【図5】本発明に係わる3次元形状計測装置の第2の実施例を示した図である。
【図6】従来の3次元形状計測装置の構成を示した図である。
【図7】従来の3次元形状計測装置の投射パターン光を説明する図である。
【符号の説明】
10 対象物
11 プロジェクタ
12、13 カメラ
Claims (5)
- 複数の濃度を有するストライプの組み合わせで構成されたパターンを対象物に投光する投光手段と、該投光手段と主点を異なる位置に配置した一乃至複数の撮像手段とから構成される3次元形状測定装置において、該ストライプに対し、隣接するストライプとのエッジ近傍にストライプ間の濃度差を強調するためのエッジ強調処理を施したことを特徴とする3次元形状計測装置。
- 上記エッジ強調処理は、隣接するストライプについて階調が大きい方のストライプのエッジ近傍の階調をより大きくし、階調が小さい方のストライプのエッジ近傍の階調をより小さくする処理である請求項1記載の3次元形状計測装置。
- 上記エッジ強調処理は、隣接するストライプについて階調が大きい方のストライプのエッジ近傍の階調をより大きくする処理である請求項1記載の3次元形状計測装置。
- 上記エッジ強調処理は、隣接するストライプについて階調が小さい方のストライプのエッジ近傍の階調をより小さくする処理である請求項1記載の3次元形状計測装置。
- 投光装置により複数の濃度を有するストライプの組み合わせで構成されたパターンを対象物に投光し、該投光装置と主点を異なる位置に配置した一乃至複数の撮像装置により上記パターンを撮像し、撮像されたパターンに基づいて3次元形状を計測する3次元形状計測方法において、該ストライプに対し、隣接するストライプとのエッジ近傍にストライプ間の濃度差を強調するためのエッジ強調処理を施したことを特徴とする3次元形状計測方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003013114A JP2004226186A (ja) | 2003-01-22 | 2003-01-22 | 3次元形状計測装置および3次元形状計測方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003013114A JP2004226186A (ja) | 2003-01-22 | 2003-01-22 | 3次元形状計測装置および3次元形状計測方法 |
Publications (1)
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JP2004226186A true JP2004226186A (ja) | 2004-08-12 |
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ID=32901530
Family Applications (1)
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JP2003013114A Pending JP2004226186A (ja) | 2003-01-22 | 2003-01-22 | 3次元形状計測装置および3次元形状計測方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2004226186A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006058092A (ja) * | 2004-08-18 | 2006-03-02 | Fuji Xerox Co Ltd | 3次元形状測定装置および方法 |
US10066934B2 (en) | 2012-12-12 | 2018-09-04 | Canon Kabushiki Kaisha | Three-dimensional shape measuring apparatus and control method thereof |
-
2003
- 2003-01-22 JP JP2003013114A patent/JP2004226186A/ja active Pending
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