JP2004220775A - 光記録媒体および記録再生方法 - Google Patents
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Abstract
【構成】 溝が形成された透明基板上に、誘電体層、相変化型記録層、誘電体層、金属反射層を順次積層した構成からなり、前記溝上とランド上の両方を記録領域として用い、700nm以下の波長のレーザー光を照射することによって情報の記録、消去、再生を行なう光記録媒体であって、
溝幅が0.3μm以上0.8μm以下、ランド幅が0.3μm以上0.8μm以下で、かつ溝深さdがλ/7n<d<λ/5nとされており、
(λ:照射光の波長、n:基板の屈折率、d:溝の深さ)
定義される未記録領域からの反射光と記録領域からの反射光の反射率、未記録領域と記録領域からの反射光の位相差を特定した光記録媒体。
【選択図】 図1
Description
こうした記録媒体への高容量化、高密度化への要求は、膨大な画像情報や音声信号を扱う上で記録媒体と記録装置に課せられた時代の必然であり、デジタル変調技術及びデータ圧縮技術の進歩と歩調をあわせてその進歩はまさに日進月歩である。
Velocity)、マーク始端と後端に情報をのせるマークエッジ記録などが開発、利用されており、今後に向けてさらなる高密度化の手法が模索されているのが現状である。
通常、案内溝相互間もしくは案内溝内にレーザー光が集光されることによって、情報信号の記録、再生又は消去が行われる。
現在市販されている一般的な光ディスクにおいては、通常案内溝相互間もしくは案内溝内のどちらか一方にのみ情報信号が記録され、他方は隣接トラックを分離して信号の漏れ込みを防ぐための境界の役割を果たしているに過ぎない。
以下、案内溝をグルーブ、案内溝相互間をランド、ランド部とグルーブ部の両方に情報を記録する方法をL&G記録と記述することにする。
すなわち、前述の特公昭63−57859号記載のL&G記録では、あるトラックの記録マーク列とそれと隣合うトラックの記録マーク列同士の間隔が収束ビーム径の半分になるため、再生したい記録マーク列の隣の記録マーク列まで収束ビーム径が重なる。
このクロストークを低減させるため、例えば、SPIE Vol.1316 Optical Data Storage(1990)pp.35にあるように、光ディスク再生装置に特別の光学系とクロストークキャンセル回路を設けてクロストークを低減しようとする手法がある。
再生クロストーク低減のための特別な光学系や信号処理回路を特に設けることをせずに、クロストークを低減する方法として、グルーブ(案内溝)とランド(案内溝相互間)の幅を等しくし、グルーブ深さを再生光波長に対応したある範囲内とすることが効果的であるとの提案がある。(Jpn.J.Appl.Phys.Vol32 (1993)pp.5324−5328)。
このことは特開平5−282705号にも記されている。
この論文に記載されているCN比(キャリア/ノイズ比)、クロストークのグルーブ深さ依存性によれば、溝深さを最適値とすることでクロストークの低減効果がみられるが、ランド部とグルーブ部でのCN比がアンバランスとなってしまっている。
一方、高密度のために、トラックピッチをつめる場合、通常は、クロストークの量が所定のレベル以下となるように、トラックピッチ及び溝形状等を選べば良いのであるが、相変化媒体においては、もう一つ考慮しなければならない問題がある。
その理由は必ずしも明らかではないが、隣接トラックの記録時の集束光ビームの強度分布の裾野の部分の弱いレーザー光によって隣接トラックが昇温され、非晶質ビット部の温度が結晶化温度以上に加熱されるためであると考えられる。
例えば、繰り返しオーバーライト1万回で、隣接トラックのC/N比(キャリアー対ノイズ比)が初期55dBあったものが、50dB未満にまで低下するということがある。
さらに、我々が鋭意検討を進めた結果、グルーブとランドの幅を1:1に保ったままグルーブ幅を狭くして狭トラックピッチ化による高密度化を進めると、繰り返しオーバーライト後の前マークの消え残りや記録マークのジッタの悪化の点でランド部での特性悪化が著しいことが判明した。
また、再生光の波長と同じ波長を有するコヒーレント光に対する未記録領域からの反射光の反射率と記録領域からの反射光の反射率の比率を規定しているために、ランド部の記録マークのキャリアレベルとグルーブ部のキャリアレベルの間の好ましからざる差を解消できる。
また、本発明の光記録媒体の記録層がアモルファス状態の場合に記録層に吸収される照射光の光の割合と、前記記録層が結晶状態の場合に記録層に吸収される照射光の光の割合
の比率、すなわち、記録層がアモルファス相である場合をAa 、記録層が結晶状態である場合をAc としたとき、結晶状態とアモルファス状態の吸収率の比Ac /Aaを
さらに、本発明の光記録媒体を用いることにより、溝上と溝間の両方を記録領域として用い、いずれの領域にも700nm以下の波長のレーザーの1ビームオーバーライトによって記録、消去、再生せしめることを特徴とする記録再生方法を提供することができる。
図1〜図4にL&G用光ディスクのランド上またはグルーブ上に再生光ビームが照射されている場合を模式図として示した。
図を見やすくするために記録層2以外の層は省略した。
再生光ビームは対物レンズなどを用いて集光され、基板1側からディスクに照射されているとし、以下、収束ビームと呼ぶ。
図1と図3は未記録領域に収束ビーム5が存在する場合を示し、図2と図4は記録マーク8上に収束ビーム6が存在する場合を示している。
後に実施例で示すように、実際には記録マークが収束ビーム径よりも短くても何ら問題はない。
ここでは、未記録時の記録層の状態を結晶状態、記録時の記録層の状態をアモルファス状態と定義する。
ランド3の幅(ランド幅)とグルーブ4の幅(グルーブ幅)は等しく、かつ、ビーム径の半分の長さであると仮定し、ランド3とグルーブ4の間の段差をdとする。
収束ビームは基板側から照射されるので、紙面の向こう側から入射して反射する。
グルーブ面を位相の基準にとるとランド部からの反射光はグルーブ部からの反射光よりも2π・2nd/λだけ位相が遅れる。
ただし、nは基板の屈折率、dは溝(グルーブ)の深さ、λは収束ビームの波長である。
ここでは、アモルファス領域からの反射光が結晶領域からの反射光よりも2παだけ位相が遅れると仮定する。
以下、グルーブ面を位相の基準にとって収束ビームの振幅反射率を必要に応じてαを用
いながら定式化することにする。
図1のようにアモルファス記録マークのないランド部3に収束ビーム5がある場合の振幅反射率φ1 は次式で表すことができる。
図2のようにアモルファス記録マークのあるランド部に収束ビーム5がある場合の振幅反射率φ2 は次式で表すことができる。
図3のようにアモルファス記録マークのないグルーブ部に収束ビーム5がある場合の振幅反射率φ3 は次式で表すことができる。
図4のようにアモルファス記録マークのあるグルーブ部に収束ビーム5がある場合の振幅反射率φ4 は次式で表すことができる。
ここで、ランド幅=グルーブ幅で、その幅は収束ビーム径の半分と仮定しているので、0<β<1とおくと、
Rc =Rc1+Rc2、Ra =Ra1+Ra2とおいて式(e)と式(f)を整理すると、
式(g)〜式(j)を式(a)〜式(d)に代入して整理すると、
また、同様にしてグルーブ部に記録した場合、再生キャリアレベルは
ランド部とグルーブ部のキャリアレベルの差が生じないということは、式(o)と式(p)との差が0になるということに他ならない。
式(k)〜式(n)を式(o)と式(p)に代入して差を計算し、その差が0になる必要条件を求めると、2πα=mπ(ただしmは整数)となる。
これに反して、我々は相転移間の位相差のある層構成のディスクを意図的に作製し、鋭意検討を進めてきた。
この条件とは、記録層が結晶状態のときのディスクの鏡面部の反射率Rc とアモルファス状態のときのディスクの鏡面部反射率Ra の比率がある範囲内に限定するというものである。
すなわち、Rc とRa のうち反射率の大きい方をRhigh、反射率の小さい方をRlow とすると、Rlow がRhighに比べて十分小さければ、いかに位相差が生じようとも実質的に
は干渉によるランドとグルーブの反射光量の差異は十分小さい。
基板の溝深さについては、Jpn.J.Appl.Phys.Vol32 (1993)pp.5324−5328に記載されているように、グルーブ深さがλ/7n〜λ/5n(λ:再生光波長、n:基板の屈折率)のときに隣接トラックからのクロストークが低減されるため、この範囲にあることが望ましい。
従って、本発明における溝形状は矩形からずれた場合であっても適用される。
ランド又はグルーブのいずれのトラックに記録しても高い信号品質を保証する。
て作成することが望ましい。
本発明で誘電体層に用いる誘電体としては、種々の組合せが可能であり、屈折率、熱伝導率、化学的安定性、機械的強度、密着性等に留意して決定される。
一般的には透明性が高く高融点であるMg、Ca、Sr、Y、La、Ce、Ho、Er、Yb、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Zn、Al、Si、Ge、Pb等の酸化物、硫化物、窒化物やCa、Mg、Li等のフッ化物を用いることができる。
ディスクは片面のみを利用した単板仕様として使用できるほか、2枚のディスクを基板と反対側の面を向い合わせにして貼り合わせることにより容量を倍増することができる。
これはレーザー照射側と反対側に磁石を必要とする光磁気型ディスクでは行うことのできない重要な特徴である。
本発明のディスクを設計するには、相変化前後の反射光の位相差を正確に把握する必要がある。
位相差の測定についてはレーザー干渉顕微鏡などによって実測することができる。
Ac /Aa は多層構造の中の記録層のみの吸収率比であるため、直接測定して知ることができない。
計算方法は「分光の基礎と方法」(工藤恵栄著、オーム社、1985)3章に詳しく述べられている。
本実施例及び比較例における位相差、吸収率比の計算値はこの文献に記載された方法に基づいて計算を行った。
本発明の光ディスクの記録・消去・再生は対物レンズで集光した1ビームのレーザーを使用し、回転する光ディスクの基板側から照射する。
記録及び消去時にはパルス状に変調したレーザービームを回転するディスクに照射し、記録層を結晶状態又はアモルファス状態の2つの可逆的な状態に相変化させ、記録状態又は消去状態(未記録状態)とする。
再生時には記録及び消去時のレーザーパワーよりも低いパワーのレーザー光を回転するディスクに照射する。
このとき、再生直前の記録層の相状態を変化させてはならない。
反射光の強度変化をフォトディテクタで検知して、記録又は未記録状態を判定することにより再生を行なう。
ランドの幅がこの範囲内よりも狭いと、ランド上に記録マークを繰り返しオーバーライトした場合に前マークの消え残りが顕著になり、記録マークのジッタが著しく悪化する。
ランドの幅がこの範囲より大きい場合にはランドの繰り返しオーバーライト特性に何ら問題はなく、良好な特性を得られるが、高密度記録という観点から無意味にランド幅を広げて記録密度を低下させるのは得策でない。
光ビームスポット径はλ/NAに比例するから、許容可能最小ピッチはλ/NAに比例するとみなせる。
実際本発明者らが種々検討を行ったところ、L&G記録の溝ピッチについては1.2 (λ/NA)より大とすれば104 回オーバーライト後のC/N比(キャリア対ノイズ比)の低下を3dB未満とでき実用上問題のないレベルとできる。
L&G記録の実質的な記録トラックピッチは溝ピッチ(グルーブピッチ)の半分であるから、最小記録トラックピッチを0.6 (λ/NA)より大とすれば、クロスイレーズによる隣接トラックの信号劣化を防止できることが実験的にも確認された。
すなわち、収束光ビーム10は図5に示すような形をしており、回折効果により強度分布(図5の11が強度分布を示す図)にサブピークが現れる。
中央スポットの直径は、ほぼ1.2 (λ/NA)で表される。
また、この中の光強度分布は一様ではなく強度が1/e2 (eは自然対数の底)となる直径は、0.82 (λ/NA)と表される。
トラック1の最小ピッチは、エリアーディスクの半径に対応していることから、クロス
イレーズ現象は、第1近似として図5に示すような集束光ビームスポットのエアリーディスクの裾野の部分の、弱いレーザー光によって隣接するトラックが昇温されるためという物理的意味あいも明確になった。
そして、記録に要する10〜100ナノ秒オーダーでは実質的に断熱的であるからである。
ただし、繰り返しオーバーライト1万回以上でのクロスイレーズを若干であるが、さらに低減するのは、記録媒体の層構成や記録層物性の制限によっても達成できる。
実際、Ge1 Sb2 Te4 あるいはGe2 Sb2 Ts 組成近傍では、融点が600〜620℃、結晶化温度が150〜170℃である。
また、Ag0.11In0.11Te0.20Sb0.55では、融点が約550℃、結晶化温度は約230℃である。
Tgが150℃より低いと、非晶質状態の安定性が悪くクロスイレーズされやすい。
層構成については、記録層膜厚が30nmを越えると、記録感度が低下し、また、記録時に隣接トラックへ熱が逃げ出しやすいためクロスイレーズが起きやすい。
以下に実施例を示すが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
基板としてポリカーボネート樹脂基板を射出成形により得た。
基板は、溝(グルーブ)ピッチを1.3μm〜1.6μmまでほぼ0.05μmきざみで変えたものを複数枚用意した。
従って、実質的な記録トラックピッチは0.65〜0.8μmとなる。得られた基板に下部保護層として(ZnS)80(SiO2 )20を2100Å、記録層としてGe22Sb23.5Te54.5を200Å、上部保護層として(ZnS)80(SiO2 )20を200Å、反射層としてAl97.5Ta2.5 を1000Åスパッタにより形成した。反射層の上に更に紫外線硬化樹脂を保護コートとして設けた。
光ヘッドは、波長680nm、NA=0.55のものを用いた。線速度は3m/sとし、Pw=8〜9mW、Pe=4.5mWとした。また記録パワーは、周波数2.24MHz、デューティー25%の単一パターンで変調した。
溝上に記録を行った場合は隣接両溝間に繰り返しオーバーライトを行って、最初に溝に
記録された信号のC/N比の低下を測定した。
溝ピッチが1.5μm(記録トラックピッチ0.75μm)より大であれば、1万回オーバーライト後の隣接溝または溝間のC/N比の低下を3dB未満とでき、実用上問題のないレベルであった。
一方、680nm、NA=0.6のヘッドを用いて同様の実験を行うと、溝ピッチ1.4μm(記録トラックピッチ0.7μm)まで問題なかった。
これは、(680/0.6)×0.6=0.680μmという最小記録トラックピッチ条件を満たしている。
さらに、ランド上に繰り返しオーバーライトし、その溝間上の信号のマーク長ジッタを測定した。この場合、λ=680nm、NA=0.55のヘッドでのみ測定を行った。溝ピッチ1.6μm(ランド幅≒0.8μm)の場合にのみ、103 回のオーバーライトに対するジッター増加はほとんどなかった(20%程度の増加のみ)。この場合、ランド幅は、0.62λ/NA≒0.77μmより広く、本発明の要件をみたす。一方、溝ピッチ1.4μm(ランド幅0.7μm)では、ジッターの増加が著しく、103 回のオーバーライトで、2倍以上となった。
2 記録層
3 ランド部
4 グルーブ部
5 収束ビーム
6 ランドに照射された収束ビームの領域
7 グルーブに照射された収束ビームの領域
8 記録マーク
9 レンズ
10 収束光
11 強度分布
12 エアリーディスク
Claims (7)
- 溝が形成された透明基板上に、誘電体層、相変化型記録層、誘電体層、金属反射層を順次積層した構成からなり、前記溝上とランド上の両方を記録領域として用い、700nm以下の波長のレーザー光を照射することによって情報の記録、消去、再生を行なう光記録媒体であって、
(1)溝幅が0.3μm以上0.8μm以下、ランド幅が0.3μm以上0.8μm以下で、溝幅とランド幅がほぼ等しく、かつ溝深さdが以下に示す不等式を満たし、
(2)下記で定義される未記録領域からの反射光と記録領域からの反射光のうち、反射率の大きい方をRhigh(%)、低い方をRlow (%)とし、未記録領域と記録領域からの反射光の位相差を2παとすると、以下に示す式を満たし、
2πα=(未記録領域からの反射光の位相)−(記録領域からの反射光の位相)
ことを特徴とする光記録媒体。 - 記録層が、Ge、Sb、Teを主成分とする合金からなり、厚みが20±5nmである請求項1〜3のいずれかに記載の光記録媒体。
- 反射層がAlとTiまたはTaの合金であり、TiまたはTaの含有量が0.5〜3.5at%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光記録媒体。
- 下部誘電体保護層と上部誘電体保護層のうちの一方かまたは両方が、ZnSとSiO2 またはY2 O3 のうちのいずれか一方との混合膜であり、SiO2 またはY2 O3 の含量が5〜40mol%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光記録媒体。
- 請求項1に記載の光記録媒体を用い、溝上と溝間の両方を記録領域として用い、いずれの領域にも700nm以下の波長のレーザーの1ビームオーバーライトによって記録、消去、再生せしめることを特徴とする記録再生方法。
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