JP2004215182A - 変調方法及び変調装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の変調方式よりも周波数利用効率を向上させることができる変調方法及び変調装置を提供すること。
【解決手段】2系統のデータ3、4をパーシャルレスポンスフィルタ5、6により0以下又は0近傍のロールオフ率で帯域制限し、帯域制限信号7、8を直交変調器9で直交変調する。この結果、例えばロールオフ率を0とした場合には、データ周期の180°区間に1周期の帯域制限後の波を配置することができ、I軸上及びQ軸上にそれぞれ2つの帯域制限後の波を配置できるようになる。これにより、帯域制限後の波が本来の信号点に加えて、正負の極性をもつことができるようになるので、信号点距離を小さくすることなく同一の周波数帯域で従来の2倍のデータを伝送できるようになる。
【選択図】 図4
【解決手段】2系統のデータ3、4をパーシャルレスポンスフィルタ5、6により0以下又は0近傍のロールオフ率で帯域制限し、帯域制限信号7、8を直交変調器9で直交変調する。この結果、例えばロールオフ率を0とした場合には、データ周期の180°区間に1周期の帯域制限後の波を配置することができ、I軸上及びQ軸上にそれぞれ2つの帯域制限後の波を配置できるようになる。これにより、帯域制限後の波が本来の信号点に加えて、正負の極性をもつことができるようになるので、信号点距離を小さくすることなく同一の周波数帯域で従来の2倍のデータを伝送できるようになる。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は変調方法及び変調装置に関し、例えば移動通信に適用し得る。
【0002】
【従来の技術】
近年情報処理技術の普及といわゆるIT(Information Technology)化社会の急速な進展により、情報通信に対する要求と拡大は目覚しいものがある。社会と社会の間は当然のことながら、さらには個人と社会をつなぐ通信インフラについても、高速化と無線化が望まれている。こうした移動通信に対する一層の需要は、豊富な周波数資源をも枯渇させてしまう。
【0003】
現在、この課題の解決に対してMIMO(MultiInput Multi Output)と呼ばれる自然空間における空間多重通信が研究されている。しかし、時々刻々変化する伝搬環境を利用しての通信高度化は、基地局のみならず個人の持つ端末機器においても多大の信号処理を行う必要があり、消費電力の増大や装置の重厚長大化、しいてはコスト増加を招くものである。したがって本質的な解決方法としては、ベースバンドにおける変調効率の向上が切望されるところである。
【0004】
現在の移動通信の変調方式は、いわゆるディジタル通信といわれる直交位相変調を基調とするもので、現在のところ最も高い周波数利用効率が得られるものである。その頂点にあるものが直交位相振幅変調(QAM)である。この変調方式を用いて移動環境下で通信を行う場合、高速変動を伴うマルチパスフェージングの下では16QAMが最大であり、4bit/sec/Hzが頂点となっている。
【0005】
この通信を複数のアンテナを用いて複数の伝播経路を用いることにより、可能な限りの独立性を確保してさらなる周波数利用効率を求める研究がなされている。例えば垂直偏波と水平偏波を用いれば同一の周波数上で別々の情報を送ることが可能になり、それぞれに16QAMを用いることにより、最大で8bit/sec/Hzになるという目論見である。しかし、反射波や移動環境において垂直偏波と水平偏波の直交性(独立性)を受信側で完全に生かすための信号処理は、これまでの装置を2倍持つ以上に大きな負担となる。
【0006】
同様にN本のアンテナを用いて、N倍の伝送速度を追求する研究もなされているが、N本の伝搬路の独立性を完全に確保することは困難なことは言うまでもない。
【0007】
したがって時々刻々変化する伝搬環境を利用するのではなく、基本的には自由空間に放射するベースバンドにおける変調効率の向上を図ることが先決である。
【0008】
これまで周波数利用効率を高めた技術基盤はナイキスト理論、パーシャルレスポンスあるいはウェーブレットといわれる隣接信号波と直交性の高い(隣接信号シンボルと干渉性の低い)独立信号波である。
【0009】
最も代表的な例は、sin(x)/xで示される。この信号を表す関数をsinc関数という。sinc関数は、孤立波であるとともに、隣接信号波の信号点においてはゼロクロスになるので、お互いに干渉しない。
【0010】
従来の通信では、sin(x)/xのxを、時間軸変数としたものが位相変調(PSK)なり直交振幅変調(QAM)であり、周波数軸変数としたものが直交周波数多重通信(OFDM)である。時間軸と周波数軸は物理的には直交するので、これらはさらに一方を一次変調とし他方を二次変調として例えば16QAM−OFDMとすることが可能であり、高い周波数利用効率の維持と移動通信能力の確保を実現するなど、高度の通信効果を得ている。
【0011】
ここで従来のディジタル変調技術について詳しく説明する。ディジタル変調は高い周波数利用効率を実現することが主たる目的の一つである。その技術を帯域制限技術という。すなわち与えられた周波数帯域幅内で可能が限りの高い情報伝送を実現する技術のことである。アナログ伝送では情報量そのもので変調を行うために冗長であるだけでなく圧縮や高能率化変調を行う余地が少ない。
【0012】
ディジタル変調の帯域制限技術には大別してナイキストフィルタによる方法と、パーシャルレスポンスによる方法とがある。
【0013】
ナイキストフィルタによる方法は、シンボルにナイキスト特性を与えることにより時間軸上の信号(シンボル)間干渉を低減して密度の高いシンボル埋め込みを図る方法である。
【0014】
信号間干渉を防ぐにはシンボル区間周期毎にゼロクロスしなければならない。これをナイキスト第1基準という。これを満たすフィルタをナイキストフィルタと呼ぶ。このナイキストフィルタを実現する代表例が、sinc関数である。シンボル周期をTとするときのsinc関数h(t)は下式で表される。
【0015】
h(t) = sin(πt/T) / (πt/T) ……… (1)
ディジタルフィルタで、このナイキストフィルタを構成する場合は、ベースバンド入力信号(シンボル)を4倍のオーバサンプリングで取り込む。
【0016】
ここで、ナイキストフィルタにより帯域制限される度合いは、ロールオフ率で定められる。ロールオフ率は0から1までの値を取る。例えばロールオフ率が0.5の場合は、所要帯域幅が伝送速度の1.5倍となる。このため周波数利用効率を高めるためには、ロールオフ率を0にすることが望まれる。しかし、ロールオフ率0のフィルタは理想フィルタと呼ばれ、実際には実現困難である。
【0017】
これに対して、パーシャルレスポンスフィルタは、符号間干渉を完全にゼロにすることよりも帯域制限効果をねらうことを目的の一つにしたものである。パーシャルレスポンスは、通信だけでなく磁気記録システムにも多く用いられる。サンプリング点(信号点)で除去可能な符号間干渉を許容することによって、送信信号の電力スペクトルの狭帯域化を図り、ナイキスト帯域幅での伝送を可能にする変調方式である。代表的なものにデュオバイナリ(Duobinary)とモディファイド・デュオバイナリ(Modified Duobinary)がある。モディファイド・デュオバイナリは、直流周波数成分が除去されるので、直流信号が記録できない磁気記録システムの帯域制限フィルタとしてよく用いられる。
【0018】
デュオバイナリシステムのパーシャルレスポンスは次式で表される。
h1(t) = sin(πt/T) / (πt/T) + sin(πt/T−π) / (πt/T−π)…… (2)
モディファイド・デュオバイナリのパーシャルレスポンスは次式で表される。
h1(t) = sin(πt/T) / (πt/T) − sin(πt/T− 2π) / (πt/T− 2π)……(3)
いずれもsinc関数の線形関数として表される。
【0019】
図8に、従来のパーシャルレスポンス波による直交変調の様子を示す。詳細は例えば特公平7−14171号公報で開示されている。簡単に説明すると、図8において、直交変調の2系統の信号をI軸、Q軸とすると、それぞれの信号を表すパーシャルレスポンス波は図8(a)、(b)で示される。ここではパーシャルレスポンス波の主要部のゼロクロス点間の周期はベースバンド帯域周波数の周期に等しい。このため、I軸の信号は正負の値は取れるが、位相はゼロに固定される。同様に、図9に示すように、Q軸の信号は正負の値は取れるが、位相は180度に固定されており、他の位相を取ることはできない。I軸信号もQ軸信号も、それぞれに正負およびゼロの値を取れるので、I−Q平面上に組み合わせをプロットすると図8(d)のようなコンスタレーション図が書けるが、同図が示すような位相点に位相制御できているわけではない。
【0020】
この図8(d)から、ゼロ点を除いた4点がいわゆるQPSKの信号点であり、ビット数にして2となる。16QAMにおいては、振幅の多値化を加えることで、各軸上に+2,+1,−1,−2なる4座標を設けることにより、I−Q平面上にプロットすると16の信号点を設けることができる。この場合、振幅を変えるだけであるので、周波数帯域は変わらない。これにより周波数利用効率がQPSKよりも2bit増強できる。
【0021】
【特許文献1】
特公平7−14171号公報
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、現在のところ、高速移動の環境下では16QAMが実際上最も周波数利用効率の良い変調方式となっている。しかしながら、限られた周波数資源のもとで、さらに多くの情報を伝送するためには、一段と周波数利用効率の良い変調方式の実現が望まれる。
【0023】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、従来の変調方式よりも周波数利用効率を向上させることができる変調方法及び変調装置を提供することを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため本発明の変調方法は、データを0近傍のロールオフ率で帯域制限することにより、位相周期区間に複数個の信号シンボルを挿入するようにする。
【0025】
本発明の変調方法は、2系統のデータをそれぞれ0近傍のロールオフ率で帯域制限することにより、2系統のデータそれぞれについて位相周期区間に複数個の信号シンボルを挿入するようにした後、当該2系統のデータを直交変調する。
【0026】
これら方法によれば、例えばロールオフ率を0とした場合には、データ周期の180°区間に1周期の帯域制限後の波を配置することができ、I軸上及びQ軸上にそれぞれ2つの帯域制限後の波を配置できるようになる。この結果、帯域制限後の波が正の極性をとる場合に4点の信号点をとることができると共に負の極性をとる場合に4点の信号点をとることができるようになり(図2)、各位相点で独立に正負の値を持つことが可能となるので、同一の周波数帯域で伝送可能なデータ量を従来の変調方式の2倍とすることができるようになる。
【0027】
本発明の変調方法は、上記2系統のデータはそれぞれ多値信号で成るようにする。
【0028】
この方法によれば、直交変調後の出力は、極性を正負にもつ多値の値をもつようになり、同一の周波数帯域で伝送可能なデータ量を一段と増加させることができるようになる。
【0029】
本発明の変調装置は、2系統のデータをそれぞれ0近傍のロールオフ率で帯域制限することにより位相周期区間に複数個の信号シンボルを挿入する帯域制限手段と、帯域制限後の2系統のデータに対して直交変調を施す直交変調手段とを具備する構成を採る。
【0030】
この構成によれば、各位相点で独立に正負の値を持つことが可能となるので、同一の周波数帯域で伝送可能なデータ量を従来の変調方式よりも1ビット分増やすことができるようになる。
【0031】
本発明の変調装置は、上記帯域制限手段がパーシャルレスポンスフィルタである構成を採る。
【0032】
この構成によれば、0近傍のロールオフ率で帯域制限することにより位相周期区間に複数個の信号シンボルを挿入するといった処理を良好に行うことができるようになる。
【0033】
本発明の無線基地局装置は、上記変調装置を具備する構成を採る。
【0034】
本発明の通信端末装置は、上記変調装置を具備する構成を採る。
【0035】
これらの構成によれば、周波数利用効率の向上が非常に求められている移動体通信システムにおいて、有効に周波数利用効率を向上させることができ、限られた周波数帯域で大容量のデータを伝送できるようになる。
【0036】
【発明の実施の形態】
本発明の骨子は、ナイキスト理論の優れた点を、これまでは想起もされなかったところの位相軸に展開するものである。すなわち、位相点上に独立に存在する孤立波を設ける。これにより従来は振幅極性が位相で表現されていた点を抜本的に排し、すべての位相点上に正負の振幅を表現することを可能にする。
【0037】
この方法により、すべての位相点は、すべて1bitを表現できるものとなり、例えばπ/2を分割単位とする4分円型では位相点を4個所とすることができる。したがって、この場合において情報量は4bitを伝送可能となる。従来のQAMでは16QAMが4bit伝送であるが、信号間距離は極めて近く、所要C/NはQPSKに比し劣化する。これに対して本発明の方式による4bit伝送においては所要C/Nは原理的にはQPSKに等しく、軽微の劣化で済むようになる。
【0038】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0039】
(実施の形態の原理)
図1は本実施の形態の原理を示したものである。図1(a)および図1(b)に直交するパーシャルレスポンス信号を示す。パーシャルレスポンス信号は、ナイキスト信号のロールオフ率0に相当する周波数利用効率を実現することが可能な信号である。その条件下においては、ゼロクロス点間の周期は情報伝送速度の周期の1分の1となる。すなわち、180°区間に1周期のパーシャルレスポンス波を挿入することができる。この実施の形態では、この点に着眼して、I軸上、Q軸上にそれぞれ2つのパーシャルレスポンス波を配置した。図1(d)は、この結果により生成される4点のI−Q平面上の位相座標を示したものである。同図のとおり、パーシャルレスポンス波が正の極性を取る場合に4点の信号点を取ることができ、図2に示すようにパーシャルレスポンス波が負の極性を取る場合に新たに4点の信号点を取ることができることが分かる。因みに、図1においてz軸は極性を表すものとする。
【0040】
すなわちこの実施の形態の方式によれば、パーシャルレスポンス波は、位相各点においてそれぞれ独立に正負の値を持つことが可能であり、すなわち、各位相点で1ビットの情報を表現できるものである。QPSKに見える図1の場合において、情報量は4ビットを確保できる。この場合、信号点距離は、原点から見てすべて等距離かつ等角度差にあり、図3に示すように信号点位置により信号点距離も角度も異なる16QAMと比べて、明らかに所要Eb/Noが低く抑えられる。
【0041】
(実施の形態1)
図4に本発明の実施の形態1に係る変調装置の構成を示す。変調装置100は、送信データ1をマッピング処理部2に入力する。マッピング処理部2は、送信データ1に対して並列(分流)化処理と誤り訂正符号化を施す。マッピング処理により得られたマッピング信号3、4はそれぞれ、帯域制限手段としてのパーシャルレスポンスフィルタ(FL)5、6に送出される。
【0042】
パーシャルレスポンスフィルタ5、6はそれぞれ入力信号を0以下のロールオフ率で帯域制限し、帯域制限信号7、8を直交変調器9に送出する。直交変調器9は、帯域制限信号7、8に対して搬送周波数ωo及びπ/2だけ位相シフトした搬送周波数ωoを乗じた後、それらを加算することにより、直交変調信号10を得る。
【0043】
以上の構成において、パーシャルレスポンスフィルタ5、6により0以下のロールオフ率で帯域制限された帯域制限信号7、8の信号波形は図1(a)、(b)に示すようになり、直交変調信号10をI−Q平面で表現すると図1(d)に示すようになる。この結果、ロールオフ率を0とした場合には、データ周期の180°区間に1周期の帯域制限後の波を配置することができ、I軸上及びQ軸上にそれぞれ2つの帯域制限後の波を配置できるようになる。これにより、図2に示すように、帯域制限後の波が正の極性をとる場合に4点の信号点をとることができると共に負の極性をとる場合に4点の信号点をとることができるようになり、各位相点で独立に正負の値を持つことが可能となる。したがって、帯域制限後の波が本来の信号点に加えて、正負の極性をもつことができるようになるので、信号点距離を小さくすることなく同一の周波数帯域で従来の2倍のデータを伝送できるようになる。
【0044】
かくして以上の構成によれば、非常に簡易な装置にて従来の2倍以上の周波数利用効率の変調信号を生成し得る変調装置100を実現できる。
【0045】
(実施の形態2)
図5に本発明の実施の形態2に係る変調装置の構成を示す。変調装置200は、送信データ11をマッピング処理部12に入力する。マッピング処理部12は、送信データ11に対して並列(分流)化処理と誤り訂正符号化を施す。
【0046】
ここでマッピング処理部12は、実施の形態1のマッピング処理部2がそれぞれ1ビット線の並列データをマッピング信号3、4として出力したのに対して、それぞれnビット線の並列データをマッピング信号13、14として出力するようになされている。換言すれば、マッピング処理部12は、マッピング信号13、14としてそれぞれ多値信号を出力するようになっている。この実施の形態では、nの値を2とする。
【0047】
マッピング信号13、14はそれぞれ、帯域制限手段としてのパーシャルレスポンスフィルタ(FL)15、16に送出される。
【0048】
パーシャルレスポンスフィルタ15、16はそれぞれマッピング信号13、14を0以下のロールオフ率で帯域制限し、帯域制限後の信号17、18を直交変調器9に送出する。直交変調器9は、帯域制限信号17、18から直交変調信号20を得る。
【0049】
以上の構成において、マッピング信号13、14は、各々2ビットなので、このマッピング信号13、14は4段階のレベルをもつ多値信号となる。そしてこの多値信号がパーシャルレスポンスフィルタ15、16により0以下のロールオフ率で帯域制限された帯域制限信号17、18の信号波形は図6に示すようになる。
【0050】
また直交変調信号20をI−Q平面で表現すると図7に示すようになり、直交変調信号20は極性を正負にもつ多値の値をもつ。つまり、z軸方向に多値化したコンスタレーションを示すものとなる。z軸方向にはビットが真数化するので、この場合は4点の信号点となる。
【0051】
かくして以上の構成によれば、それぞれ多値信号である2系統のデータをそれぞれ0以下のロールオフ率で帯域制限することで2系統のデータそれぞれについて位相周期区間に複数個の信号シンボルを挿入するようにした後、当該2系統のデータを直交変調するようにしたことにより、実施の形態1よりも一段と周波数利用効率の良い変調信号を生成し得る変調装置200を実現できる。
【0052】
なお上述した実施の形態では、帯域制限手段としてパーシャルレスポンスフィルタ5、6、15、16を用いた場合について述べたが、本発明の帯域制限手段はこれに限らず、要は入力信号波形を0以下のロールオフ率で帯域制限できるものであればよい。
【0053】
また上述した実施の形態では、0以下のロールオフ率で帯域制限する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、多少0を超えるようなロールオフ率で帯域制限しても従来の変調方式と比べると格段に周波数利用効率を向上させることができ、要は0近傍のロールオフ率で帯域制限すればよい。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、データを0近傍のロールオフ率で帯域制限して位相周期区間に複数個の信号シンボルを挿入することで、従来は振幅極性が位相で表現されていた点を抜本的に排し、すべての位相点上に正負の振幅を表現するようにしたことにより、従来の変調方式よりも周波数利用効率を向上させることができる変調方法及び変調装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るパーシャルレスポンス波を用いた変調方式の波形及び信号点位置の説明に供する図
【図2】本発明の実施の形態に係るパーシャルレスポンス波を用いた変調方式の波形及び信号点位置の説明に供する図
【図3】実施の形態の変調方式による信号点位置と従来の変調方式の信号点位置との比較説明に供する図
【図4】実施の形態1による変調装置の構成を示す図
【図5】実施の形態2による変調装置の構成を示す図
【図6】実施の形態2のパーシャルレスポンス波の波形を示す図
【図7】実施の形態2の変調信号の信号点位置を示す図
【図8】従来のパーシャルレスポンス波による直交変調の様子を示す図
【図9】従来のパーシャルレスポンス波による直交変調とコンスタレーション図との対応の説明に供する図
【符号の説明】
100、200 変調装置
1、11 送信データ
2、12 マッピング処理部
3、4、13、14 マッピング信号
5、6、15、16 パーシャルレスポンスフィルタ(FL)
7、8、17、18 帯域制限信号
9 直交変調器
10、20 直交変調信号
【発明の属する技術分野】
本発明は変調方法及び変調装置に関し、例えば移動通信に適用し得る。
【0002】
【従来の技術】
近年情報処理技術の普及といわゆるIT(Information Technology)化社会の急速な進展により、情報通信に対する要求と拡大は目覚しいものがある。社会と社会の間は当然のことながら、さらには個人と社会をつなぐ通信インフラについても、高速化と無線化が望まれている。こうした移動通信に対する一層の需要は、豊富な周波数資源をも枯渇させてしまう。
【0003】
現在、この課題の解決に対してMIMO(MultiInput Multi Output)と呼ばれる自然空間における空間多重通信が研究されている。しかし、時々刻々変化する伝搬環境を利用しての通信高度化は、基地局のみならず個人の持つ端末機器においても多大の信号処理を行う必要があり、消費電力の増大や装置の重厚長大化、しいてはコスト増加を招くものである。したがって本質的な解決方法としては、ベースバンドにおける変調効率の向上が切望されるところである。
【0004】
現在の移動通信の変調方式は、いわゆるディジタル通信といわれる直交位相変調を基調とするもので、現在のところ最も高い周波数利用効率が得られるものである。その頂点にあるものが直交位相振幅変調(QAM)である。この変調方式を用いて移動環境下で通信を行う場合、高速変動を伴うマルチパスフェージングの下では16QAMが最大であり、4bit/sec/Hzが頂点となっている。
【0005】
この通信を複数のアンテナを用いて複数の伝播経路を用いることにより、可能な限りの独立性を確保してさらなる周波数利用効率を求める研究がなされている。例えば垂直偏波と水平偏波を用いれば同一の周波数上で別々の情報を送ることが可能になり、それぞれに16QAMを用いることにより、最大で8bit/sec/Hzになるという目論見である。しかし、反射波や移動環境において垂直偏波と水平偏波の直交性(独立性)を受信側で完全に生かすための信号処理は、これまでの装置を2倍持つ以上に大きな負担となる。
【0006】
同様にN本のアンテナを用いて、N倍の伝送速度を追求する研究もなされているが、N本の伝搬路の独立性を完全に確保することは困難なことは言うまでもない。
【0007】
したがって時々刻々変化する伝搬環境を利用するのではなく、基本的には自由空間に放射するベースバンドにおける変調効率の向上を図ることが先決である。
【0008】
これまで周波数利用効率を高めた技術基盤はナイキスト理論、パーシャルレスポンスあるいはウェーブレットといわれる隣接信号波と直交性の高い(隣接信号シンボルと干渉性の低い)独立信号波である。
【0009】
最も代表的な例は、sin(x)/xで示される。この信号を表す関数をsinc関数という。sinc関数は、孤立波であるとともに、隣接信号波の信号点においてはゼロクロスになるので、お互いに干渉しない。
【0010】
従来の通信では、sin(x)/xのxを、時間軸変数としたものが位相変調(PSK)なり直交振幅変調(QAM)であり、周波数軸変数としたものが直交周波数多重通信(OFDM)である。時間軸と周波数軸は物理的には直交するので、これらはさらに一方を一次変調とし他方を二次変調として例えば16QAM−OFDMとすることが可能であり、高い周波数利用効率の維持と移動通信能力の確保を実現するなど、高度の通信効果を得ている。
【0011】
ここで従来のディジタル変調技術について詳しく説明する。ディジタル変調は高い周波数利用効率を実現することが主たる目的の一つである。その技術を帯域制限技術という。すなわち与えられた周波数帯域幅内で可能が限りの高い情報伝送を実現する技術のことである。アナログ伝送では情報量そのもので変調を行うために冗長であるだけでなく圧縮や高能率化変調を行う余地が少ない。
【0012】
ディジタル変調の帯域制限技術には大別してナイキストフィルタによる方法と、パーシャルレスポンスによる方法とがある。
【0013】
ナイキストフィルタによる方法は、シンボルにナイキスト特性を与えることにより時間軸上の信号(シンボル)間干渉を低減して密度の高いシンボル埋め込みを図る方法である。
【0014】
信号間干渉を防ぐにはシンボル区間周期毎にゼロクロスしなければならない。これをナイキスト第1基準という。これを満たすフィルタをナイキストフィルタと呼ぶ。このナイキストフィルタを実現する代表例が、sinc関数である。シンボル周期をTとするときのsinc関数h(t)は下式で表される。
【0015】
h(t) = sin(πt/T) / (πt/T) ……… (1)
ディジタルフィルタで、このナイキストフィルタを構成する場合は、ベースバンド入力信号(シンボル)を4倍のオーバサンプリングで取り込む。
【0016】
ここで、ナイキストフィルタにより帯域制限される度合いは、ロールオフ率で定められる。ロールオフ率は0から1までの値を取る。例えばロールオフ率が0.5の場合は、所要帯域幅が伝送速度の1.5倍となる。このため周波数利用効率を高めるためには、ロールオフ率を0にすることが望まれる。しかし、ロールオフ率0のフィルタは理想フィルタと呼ばれ、実際には実現困難である。
【0017】
これに対して、パーシャルレスポンスフィルタは、符号間干渉を完全にゼロにすることよりも帯域制限効果をねらうことを目的の一つにしたものである。パーシャルレスポンスは、通信だけでなく磁気記録システムにも多く用いられる。サンプリング点(信号点)で除去可能な符号間干渉を許容することによって、送信信号の電力スペクトルの狭帯域化を図り、ナイキスト帯域幅での伝送を可能にする変調方式である。代表的なものにデュオバイナリ(Duobinary)とモディファイド・デュオバイナリ(Modified Duobinary)がある。モディファイド・デュオバイナリは、直流周波数成分が除去されるので、直流信号が記録できない磁気記録システムの帯域制限フィルタとしてよく用いられる。
【0018】
デュオバイナリシステムのパーシャルレスポンスは次式で表される。
h1(t) = sin(πt/T) / (πt/T) + sin(πt/T−π) / (πt/T−π)…… (2)
モディファイド・デュオバイナリのパーシャルレスポンスは次式で表される。
h1(t) = sin(πt/T) / (πt/T) − sin(πt/T− 2π) / (πt/T− 2π)……(3)
いずれもsinc関数の線形関数として表される。
【0019】
図8に、従来のパーシャルレスポンス波による直交変調の様子を示す。詳細は例えば特公平7−14171号公報で開示されている。簡単に説明すると、図8において、直交変調の2系統の信号をI軸、Q軸とすると、それぞれの信号を表すパーシャルレスポンス波は図8(a)、(b)で示される。ここではパーシャルレスポンス波の主要部のゼロクロス点間の周期はベースバンド帯域周波数の周期に等しい。このため、I軸の信号は正負の値は取れるが、位相はゼロに固定される。同様に、図9に示すように、Q軸の信号は正負の値は取れるが、位相は180度に固定されており、他の位相を取ることはできない。I軸信号もQ軸信号も、それぞれに正負およびゼロの値を取れるので、I−Q平面上に組み合わせをプロットすると図8(d)のようなコンスタレーション図が書けるが、同図が示すような位相点に位相制御できているわけではない。
【0020】
この図8(d)から、ゼロ点を除いた4点がいわゆるQPSKの信号点であり、ビット数にして2となる。16QAMにおいては、振幅の多値化を加えることで、各軸上に+2,+1,−1,−2なる4座標を設けることにより、I−Q平面上にプロットすると16の信号点を設けることができる。この場合、振幅を変えるだけであるので、周波数帯域は変わらない。これにより周波数利用効率がQPSKよりも2bit増強できる。
【0021】
【特許文献1】
特公平7−14171号公報
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、現在のところ、高速移動の環境下では16QAMが実際上最も周波数利用効率の良い変調方式となっている。しかしながら、限られた周波数資源のもとで、さらに多くの情報を伝送するためには、一段と周波数利用効率の良い変調方式の実現が望まれる。
【0023】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、従来の変調方式よりも周波数利用効率を向上させることができる変調方法及び変調装置を提供することを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため本発明の変調方法は、データを0近傍のロールオフ率で帯域制限することにより、位相周期区間に複数個の信号シンボルを挿入するようにする。
【0025】
本発明の変調方法は、2系統のデータをそれぞれ0近傍のロールオフ率で帯域制限することにより、2系統のデータそれぞれについて位相周期区間に複数個の信号シンボルを挿入するようにした後、当該2系統のデータを直交変調する。
【0026】
これら方法によれば、例えばロールオフ率を0とした場合には、データ周期の180°区間に1周期の帯域制限後の波を配置することができ、I軸上及びQ軸上にそれぞれ2つの帯域制限後の波を配置できるようになる。この結果、帯域制限後の波が正の極性をとる場合に4点の信号点をとることができると共に負の極性をとる場合に4点の信号点をとることができるようになり(図2)、各位相点で独立に正負の値を持つことが可能となるので、同一の周波数帯域で伝送可能なデータ量を従来の変調方式の2倍とすることができるようになる。
【0027】
本発明の変調方法は、上記2系統のデータはそれぞれ多値信号で成るようにする。
【0028】
この方法によれば、直交変調後の出力は、極性を正負にもつ多値の値をもつようになり、同一の周波数帯域で伝送可能なデータ量を一段と増加させることができるようになる。
【0029】
本発明の変調装置は、2系統のデータをそれぞれ0近傍のロールオフ率で帯域制限することにより位相周期区間に複数個の信号シンボルを挿入する帯域制限手段と、帯域制限後の2系統のデータに対して直交変調を施す直交変調手段とを具備する構成を採る。
【0030】
この構成によれば、各位相点で独立に正負の値を持つことが可能となるので、同一の周波数帯域で伝送可能なデータ量を従来の変調方式よりも1ビット分増やすことができるようになる。
【0031】
本発明の変調装置は、上記帯域制限手段がパーシャルレスポンスフィルタである構成を採る。
【0032】
この構成によれば、0近傍のロールオフ率で帯域制限することにより位相周期区間に複数個の信号シンボルを挿入するといった処理を良好に行うことができるようになる。
【0033】
本発明の無線基地局装置は、上記変調装置を具備する構成を採る。
【0034】
本発明の通信端末装置は、上記変調装置を具備する構成を採る。
【0035】
これらの構成によれば、周波数利用効率の向上が非常に求められている移動体通信システムにおいて、有効に周波数利用効率を向上させることができ、限られた周波数帯域で大容量のデータを伝送できるようになる。
【0036】
【発明の実施の形態】
本発明の骨子は、ナイキスト理論の優れた点を、これまでは想起もされなかったところの位相軸に展開するものである。すなわち、位相点上に独立に存在する孤立波を設ける。これにより従来は振幅極性が位相で表現されていた点を抜本的に排し、すべての位相点上に正負の振幅を表現することを可能にする。
【0037】
この方法により、すべての位相点は、すべて1bitを表現できるものとなり、例えばπ/2を分割単位とする4分円型では位相点を4個所とすることができる。したがって、この場合において情報量は4bitを伝送可能となる。従来のQAMでは16QAMが4bit伝送であるが、信号間距離は極めて近く、所要C/NはQPSKに比し劣化する。これに対して本発明の方式による4bit伝送においては所要C/Nは原理的にはQPSKに等しく、軽微の劣化で済むようになる。
【0038】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0039】
(実施の形態の原理)
図1は本実施の形態の原理を示したものである。図1(a)および図1(b)に直交するパーシャルレスポンス信号を示す。パーシャルレスポンス信号は、ナイキスト信号のロールオフ率0に相当する周波数利用効率を実現することが可能な信号である。その条件下においては、ゼロクロス点間の周期は情報伝送速度の周期の1分の1となる。すなわち、180°区間に1周期のパーシャルレスポンス波を挿入することができる。この実施の形態では、この点に着眼して、I軸上、Q軸上にそれぞれ2つのパーシャルレスポンス波を配置した。図1(d)は、この結果により生成される4点のI−Q平面上の位相座標を示したものである。同図のとおり、パーシャルレスポンス波が正の極性を取る場合に4点の信号点を取ることができ、図2に示すようにパーシャルレスポンス波が負の極性を取る場合に新たに4点の信号点を取ることができることが分かる。因みに、図1においてz軸は極性を表すものとする。
【0040】
すなわちこの実施の形態の方式によれば、パーシャルレスポンス波は、位相各点においてそれぞれ独立に正負の値を持つことが可能であり、すなわち、各位相点で1ビットの情報を表現できるものである。QPSKに見える図1の場合において、情報量は4ビットを確保できる。この場合、信号点距離は、原点から見てすべて等距離かつ等角度差にあり、図3に示すように信号点位置により信号点距離も角度も異なる16QAMと比べて、明らかに所要Eb/Noが低く抑えられる。
【0041】
(実施の形態1)
図4に本発明の実施の形態1に係る変調装置の構成を示す。変調装置100は、送信データ1をマッピング処理部2に入力する。マッピング処理部2は、送信データ1に対して並列(分流)化処理と誤り訂正符号化を施す。マッピング処理により得られたマッピング信号3、4はそれぞれ、帯域制限手段としてのパーシャルレスポンスフィルタ(FL)5、6に送出される。
【0042】
パーシャルレスポンスフィルタ5、6はそれぞれ入力信号を0以下のロールオフ率で帯域制限し、帯域制限信号7、8を直交変調器9に送出する。直交変調器9は、帯域制限信号7、8に対して搬送周波数ωo及びπ/2だけ位相シフトした搬送周波数ωoを乗じた後、それらを加算することにより、直交変調信号10を得る。
【0043】
以上の構成において、パーシャルレスポンスフィルタ5、6により0以下のロールオフ率で帯域制限された帯域制限信号7、8の信号波形は図1(a)、(b)に示すようになり、直交変調信号10をI−Q平面で表現すると図1(d)に示すようになる。この結果、ロールオフ率を0とした場合には、データ周期の180°区間に1周期の帯域制限後の波を配置することができ、I軸上及びQ軸上にそれぞれ2つの帯域制限後の波を配置できるようになる。これにより、図2に示すように、帯域制限後の波が正の極性をとる場合に4点の信号点をとることができると共に負の極性をとる場合に4点の信号点をとることができるようになり、各位相点で独立に正負の値を持つことが可能となる。したがって、帯域制限後の波が本来の信号点に加えて、正負の極性をもつことができるようになるので、信号点距離を小さくすることなく同一の周波数帯域で従来の2倍のデータを伝送できるようになる。
【0044】
かくして以上の構成によれば、非常に簡易な装置にて従来の2倍以上の周波数利用効率の変調信号を生成し得る変調装置100を実現できる。
【0045】
(実施の形態2)
図5に本発明の実施の形態2に係る変調装置の構成を示す。変調装置200は、送信データ11をマッピング処理部12に入力する。マッピング処理部12は、送信データ11に対して並列(分流)化処理と誤り訂正符号化を施す。
【0046】
ここでマッピング処理部12は、実施の形態1のマッピング処理部2がそれぞれ1ビット線の並列データをマッピング信号3、4として出力したのに対して、それぞれnビット線の並列データをマッピング信号13、14として出力するようになされている。換言すれば、マッピング処理部12は、マッピング信号13、14としてそれぞれ多値信号を出力するようになっている。この実施の形態では、nの値を2とする。
【0047】
マッピング信号13、14はそれぞれ、帯域制限手段としてのパーシャルレスポンスフィルタ(FL)15、16に送出される。
【0048】
パーシャルレスポンスフィルタ15、16はそれぞれマッピング信号13、14を0以下のロールオフ率で帯域制限し、帯域制限後の信号17、18を直交変調器9に送出する。直交変調器9は、帯域制限信号17、18から直交変調信号20を得る。
【0049】
以上の構成において、マッピング信号13、14は、各々2ビットなので、このマッピング信号13、14は4段階のレベルをもつ多値信号となる。そしてこの多値信号がパーシャルレスポンスフィルタ15、16により0以下のロールオフ率で帯域制限された帯域制限信号17、18の信号波形は図6に示すようになる。
【0050】
また直交変調信号20をI−Q平面で表現すると図7に示すようになり、直交変調信号20は極性を正負にもつ多値の値をもつ。つまり、z軸方向に多値化したコンスタレーションを示すものとなる。z軸方向にはビットが真数化するので、この場合は4点の信号点となる。
【0051】
かくして以上の構成によれば、それぞれ多値信号である2系統のデータをそれぞれ0以下のロールオフ率で帯域制限することで2系統のデータそれぞれについて位相周期区間に複数個の信号シンボルを挿入するようにした後、当該2系統のデータを直交変調するようにしたことにより、実施の形態1よりも一段と周波数利用効率の良い変調信号を生成し得る変調装置200を実現できる。
【0052】
なお上述した実施の形態では、帯域制限手段としてパーシャルレスポンスフィルタ5、6、15、16を用いた場合について述べたが、本発明の帯域制限手段はこれに限らず、要は入力信号波形を0以下のロールオフ率で帯域制限できるものであればよい。
【0053】
また上述した実施の形態では、0以下のロールオフ率で帯域制限する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、多少0を超えるようなロールオフ率で帯域制限しても従来の変調方式と比べると格段に周波数利用効率を向上させることができ、要は0近傍のロールオフ率で帯域制限すればよい。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、データを0近傍のロールオフ率で帯域制限して位相周期区間に複数個の信号シンボルを挿入することで、従来は振幅極性が位相で表現されていた点を抜本的に排し、すべての位相点上に正負の振幅を表現するようにしたことにより、従来の変調方式よりも周波数利用効率を向上させることができる変調方法及び変調装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るパーシャルレスポンス波を用いた変調方式の波形及び信号点位置の説明に供する図
【図2】本発明の実施の形態に係るパーシャルレスポンス波を用いた変調方式の波形及び信号点位置の説明に供する図
【図3】実施の形態の変調方式による信号点位置と従来の変調方式の信号点位置との比較説明に供する図
【図4】実施の形態1による変調装置の構成を示す図
【図5】実施の形態2による変調装置の構成を示す図
【図6】実施の形態2のパーシャルレスポンス波の波形を示す図
【図7】実施の形態2の変調信号の信号点位置を示す図
【図8】従来のパーシャルレスポンス波による直交変調の様子を示す図
【図9】従来のパーシャルレスポンス波による直交変調とコンスタレーション図との対応の説明に供する図
【符号の説明】
100、200 変調装置
1、11 送信データ
2、12 マッピング処理部
3、4、13、14 マッピング信号
5、6、15、16 パーシャルレスポンスフィルタ(FL)
7、8、17、18 帯域制限信号
9 直交変調器
10、20 直交変調信号
Claims (7)
- データを0近傍のロールオフ率で帯域制限することにより、位相周期区間に複数個の信号シンボルを挿入するようにする、ことを特徴とする変調方法。
- 2系統のデータをそれぞれ0近傍のロールオフ率で帯域制限することにより、2系統のデータそれぞれについて位相周期区間に複数個の信号シンボルを挿入するようにした後、当該2系統のデータを直交変調する、ことを特徴とする変調方法。
- 前記2系統のデータはそれぞれ多値信号で成る、ことを特徴とする請求項2に記載の変調方法。
- 2系統のデータをそれぞれ0近傍のロールオフ率で帯域制限することにより位相周期区間に複数個の信号シンボルを挿入する帯域制限手段と、帯域制限後の2系統のデータに対して直交変調を施す直交変調手段と
を具備することを特徴とする変調装置。 - 前記帯域制限手段は、パーシャルレスポンスフィルタである、ことを特徴とする請求項4に記載の変調装置。
- 請求項4又は請求項5に記載の変調装置を具備する無線基地局装置。
- 請求項4又は請求項5に記載の変調装置を具備する通信端末装置。
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JPWO2005117313A1 (ja) * | 2004-05-25 | 2008-04-03 | 松下電器産業株式会社 | 変調装置、変調方法及び復調装置 |
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2003
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