JP2004215038A - 車両内通信システム、車両内通信方法及び周波数設定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】搬送波の輻射ノイズにより放送電波の受信器に生じる受信障害を低減する。
【解決手段】通信用ECU11は、ROM11aに記憶した周波数テーブルに基づきGPS装置16が検出した車両位置を含む地域に対応する放送電波の周波数を特定すると共に、特定した周波数より分周数を算出し、放送電波の周波数及び分周数と相異する搬送波の変調用周波数を設定する。設定した変調用周波数は通信用ECU11から左右ドアECU12、13へ伝送する。左ドアECU12は伝送された変調用周波数の搬送波を生成し、送信用の信号を重畳して右ドアECU13へ送信する。右ドアECU13は受信した信号を伝送された変調用周波数に基づき復調する。
【選択図】 図2
【解決手段】通信用ECU11は、ROM11aに記憶した周波数テーブルに基づきGPS装置16が検出した車両位置を含む地域に対応する放送電波の周波数を特定すると共に、特定した周波数より分周数を算出し、放送電波の周波数及び分周数と相異する搬送波の変調用周波数を設定する。設定した変調用周波数は通信用ECU11から左右ドアECU12、13へ伝送する。左ドアECU12は伝送された変調用周波数の搬送波を生成し、送信用の信号を重畳して右ドアECU13へ送信する。右ドアECU13は受信した信号を伝送された変調用周波数に基づき復調する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両内通信システム、車両内通信方法及び周波数設定装置に関し、信号を変調して車載機器間を通信する場合、変調による搬送波の輻射ノイズの悪影響を防止する車両内通信システム、車両内通信方法及び周波数設定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両には制御系機器及び情報系機器と云った各種機器が多数搭載されており、これら車載機器は信号線で接続され、各種信号の送受信により各車載機器の作動及び制御等を行う。また、通信速度の向上及び通信の安定性等を高めるため、信号を変調して送信すると共に受信した信号を復調する処理を行うことがある。さらに、このような変復調による通信は、各車載機器へ電力を供給する給電線で信号を送受信する電力線搬送による多重通信でも用いられる。
【0003】
図10は、電力線搬送を行う車両内通信システム1の要部を示し、第1車載機器2及び第2車載機器3は給電線4で接続されており、第1車載機器2から第2車載機器3へ給電線4を通じて信号を送信する際に必要な各部を表している。この車両内通信システム1では、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重方式)を用いており、複数の夫々直交する搬送波に信号を重畳して変調を行う。
【0004】
第1車載機器2は、直並列変換部2aでデジタルの送信用信号をシリアルからパラレルへ変換し、逆フーリエ変換部2bでパラレルの信号を時系列信号に変換し、並直列変換部2dでパラレルの時系列信号をシリアルの信号に戻し、D/A変換部2dでアナログに変換しベースバンド時系列信号を生成する。生成されたベースバンド時系列信号はローパスフィルタ2eを通過し、搬送波生成部2gで生成したOFDMの各搬送波へ重畳して送信用バンドパスフィルタ2fより給電線4を通じて第2車載機器3へ送信される。
【0005】
第2車載機器3では、受信した信号を受信用バンドパスフィルタ3jを通過させて発信器3qで生成されたクロックに基づいて信号の復調を行い、以下、A/D変換部3k、直並列変換部3m、フーリエ変換部3n及び並直列変換部3pを通過させて元のデジタルのシリアル信号に戻す処理を行う。なお、接続した各車載機器間の通信に関しては、以下の特許文献1でも開示されている。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−152244号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように信号を変調して送信すると、変調に係る各搬送波の基本波及び高調波が輻射ノイズとなり給電線4から外部へ漏洩する。この漏洩する輻射ノイズの周波数が、ラジオ用の放送電波の周波数帯域(0.5MHz〜100MHz)、及び、テレビジョン用の放送電波の周波数帯域(100MHz〜640MHz)と重複した場合、車両に搭載されるラジオ受信器、テレビ受信器に受信障害が発生すると云う問題がある。
【0008】
なお、輻射ノイズの周波数がラジオ用、テレビジョン用の放送電波の周波数と一致しない場合でも、放送電波の周波数を整数で除した商の数値と一致する場合も、ラジオ受信器及びテレビ受信器に受信障害は生じる。また、このような輻射ノイズによる受信障害は、電力線搬送の場合だけでなく、信号を変復調して通信する他の形態の車両内通信システムで生じる。
【0009】
一方、輻射ノイズの影響を低減するには、輻射ノイズの発生源である給電線4からラジオ受信器、テレビ受信器及び受信アンテナを遠ざけることが有効であるが、車両内では各機器の搭載スペース及び位置が限定されるため、輻射ノイズの影響を低減できる程の距離を輻射ノイズの発生源と各受信器との間に確保できない。また、給電線4にシールド線を適用することで、輻射ノイズが外部へ漏洩する程度を低減できるが、シールド線は高価なため、容易にシールド線を適用できない問題もある。
【0010】
さらに、輻射ノイズの低減には、各搬送波の周波数がラジオ及びテレビジョン用の周波数帯域と重複しないように、搬送波の周波数を下げることも有効であるが、搬送波の周波数を下げた場合、1つの搬送波で搬送できる信号量は減少するため、高速通信が不可能となり現実的に採用できない。
【0011】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、データを変調して送信する場合でも、放送電波の周波数帯域を考慮して、搬送波の周波数を設定することで、放送電波の受信器に対する輻射ノイズの影響を低減する車両内通信システム、車両内通信方法及び周波数設定装置を提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、車両の位置に応じて重複が生じる可能性のある放送電波の周波数を考慮して搬送波の周波数を設定することで、受信器に対する輻射ノイズの影響を低減する車両内通信システム及び周波数設定装置を提供することを目的とする。
【0013】
さらに、本発明は、受信中の放送電波の周波数を考慮して搬送波の周波数を設定することで、受信器に対する輻射ノイズの影響を低減する車両内通信システム及び車両内通信方法を提供することを目的とする。
さらに、また、本発明は放送電波の周波数を整数で除した商の値も考慮して、搬送波の周波数を設定することで、受信器に対する輻射ノイズの影響を低減する車両内通信システム、車両内通信方法及び周波数設定装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
第1発明に係る車両内通信システムは、変調手段で変調した信号を送信する送信側車載機器及び受信した信号を復調手段で復調する受信側車載機器を備える車両内通信システムにおいて、放送電波の周波数を記憶する記憶手段と、前記周波数を整数で除して商を算出する算出手段と、前記周波数及び商と相異する変調用周波数を設定する設定手段と、該設定手段が設定した変調用周波数を前記変調手段へ伝送する伝送手段とを備え、前記変調手段は、前記伝送手段が伝送した変調用周波数で信号を変調する手段を備えることを特徴とする。
【0015】
第2発明に係る車両内通信システムは、変調手段で変調した信号を送信する送信側車載機器及び受信した信号を復調手段で復調する受信側車載機器を備える車両内通信システムにおいて、車両の位置を検出する車両位置検出手段と、放送電波の周波数及び該周波数の放送電波の受信に応じた地域を対応させた周波数テーブルと、前記車両位置検出手段が検出した位置を含む地域を特定する地域特定手段と、該地域特定手段が特定した地域に対応する周波数を前記周波数テーブルに基づいて特定する特定手段と、該特定手段が特定した周波数を整数で除して商を算出する算出手段と、前記周波数及び商と相異する変調用周波数を設定する設定手段と、該設定手段が設定した変調用周波数を前記変調手段へ伝送する伝送手段とを備え、前記変調手段は、前記伝送手段が伝送した変調用周波数で信号を変調する手段を備えることを特徴とする。
【0016】
第3発明に係る車両内通信システムは、変調手段で変調した信号を送信する送信側車載機器及び受信した信号を復調手段で復調する受信側車載機器を備える車両内通信システムにおいて、放送電波の周波数及び該周波数の放送電波の受信に応じた地域を対応させた周波数テーブルと、地域の設定を受け付ける地域受付手段と、該地域受付手段が受け付けた地域に対応する周波数を前記周波数テーブルに基づいて特定する特定手段と、該特定手段が特定した周波数を整数で除して商を算出する算出手段と、前記周波数及び商と相異する変調用周波数を設定する設定手段と、該設定手段が設定した変調用周波数を前記変調手段へ伝送する伝送手段とを備え、前記変調手段は、前記伝送手段が伝送した変調用周波数で信号を変調する手段を備えることを特徴とする。
【0017】
第4発明に係る車両内通信システムは、放送電波の受信器と、該受信器が作動状態であるか否かを検出する検出手段とを更に備え、前記設定手段は、前記検出手段が前記受信器の作動状態を検出した場合、変調用周波数を設定する手段を備えることを特徴とする。
【0018】
第5発明に係る車両内通信システムは、変調手段で変調した信号を送信する送信側車載機器及び受信した信号を復調手段で復調する受信側車載機器を備える車両内通信システムにおいて、放送電波の受信器と、該受信器が放送電波の受信状態であるか否かを検出する検出手段と、該検出手段が受信状態を検出した場合、受信する放送電波の周波数を検出する周波数検出手段と、該周波数検出手段が検出した周波数を整数で除して商を算出する算出手段と、前記周波数及び商と相異する変調用周波数を設定する設定手段と、該設定手段が設定した変調用周波数を前記変調手段へ伝送する伝送手段とを備え、前記変調手段は、前記伝送手段が伝送した変調用周波数で信号を変調する手段を備えることを特徴とする。
【0019】
第6発明に係る車両内通信システムは、前記整数は連続する数であり、該整数の中で最大の整数の設定を受け付ける最大整数受付手段を更に備えることを特徴とする。
第7発明に係る車両内通信システムは、前記整数は連続する数であり、前記受信器の放送電波の受信強度を検出する受信強度検出手段と、該受信強度検出手段が検知した受信強度に応じて前記整数の中で最大の整数の設定を行う最大整数設定手段とを更に備えることを特徴とする。
【0020】
第8発明に係る車両内通信システムは、前記設定手段が設定した変調用周波数を前記復調手段へ伝送する周波数伝送手段を更に備え、前記復調手段は、前記周波数伝送手段が伝送した変調用周波数に基づき信号を復調する手段を備えることを特徴とする。
【0021】
第9発明に係る車両内通信方法は、送信側車載機器が変調手段で変調した信号を送信し、送信された信号を受信側車載機器が受信して復調手段で復調する車両内通信方法において、放送電波の周波数を整数で除して商を算出し、前記周波数及び商と相異する変調用周波数を設定し、該変調用周波数を前記変調手段へ伝送し、前記変調手段は、伝送された変調用周波数で信号を変調することを特徴とする。
【0022】
第10発明に係る車両内通信方法は、放送電波の受信器を備える車両内で、送信側車載機器が変調手段で変調した信号を送信し、送信した信号を受信側車載機器が受信して復調手段で復調する車両内通信方法において、前記受信器が放送電波の受信状態であるか否かを検出し、受信状態を検出した場合、受信する放送電波の周波数を検出し、検出した周波数を整数で除して商を算出し、前記周波数及び商と相異する変調用周波数を設定し、該変調用周波数を前記変調手段へ伝送し、前記変調手段は、伝送された変調用周波数で信号を変調することを特徴とする。
【0023】
第11発明に係る周波数設定装置は、放送電波の周波数を記憶する記憶手段と、前記周波数を整数で除して商を算出する算出手段と、前記周波数及び商と相異する変調用周波数を設定する設定手段と、該設定手段が設定した変調用周波数を外部へ伝送する伝送手段とを備えることを特徴とする。
【0024】
第12発明に係る周波数設定装置は、放送電波の周波数並びに該周波数の放送電波の受信に応じた地域を対応させた周波数テーブルと、地域の設定を受け付ける地域受付手段と、該地域受付手段が受け付けた地域に対応する周波数を前記周波数テーブルに基づいて特定する特定手段と、該特定手段が特定した周波数を整数で除して商を算出する算出手段と、前記周波数及び商と相異する変調用周波数を設定する設定手段と、該設定手段が設定した変調用周波数を外部へ伝送する伝送手段とを備えることを特徴とする。
【0025】
第1発明、第9発明及び第11発明にあっては、放送電波の周波数及び該周波数を整数で除した商と相異する変調用周波数を設定するので、搬送波の周波数である変調用周波数と、放送電波の周波数及び商の値とが重複することが無くなり放送電波の受信に当たり搬送波の輻射ノイズによる影響を低減できる。
【0026】
第2発明にあっては、車両の位置に応じて周波数テーブルに基づき放送電波の周波数を特定すると共に、この特定した周波数を整数で除して商を算出するので、周波数及び商の数が絞り込まれ、変調用周波数として設定対象となる周波数の個数を増加でき、輻射ノイズの影響及び通信速度の両方を考慮して最適な変調用周波数を選択できる。なお、車両位置検出手段にはGPS(Global Positioning System)装置の適用が可能であり、第2発明では検出した位置から地域を特定できる検出精度で充分であり、高精度の位置検出を行うGPS装置は要求されない。
【0027】
第3発明及び第12発明にあっては、車両が位置する地域の設定を地域受付手段が受け付けるため、受け付けた位置に応じて放送電波の周波数を特定すると共に商の値を算出し、変調用周波数の設定対象の周波数の個数を増加させて最適な変調用周波数を設定できる。また、地域受付手段を設けているので、GPS装置のような車両位置検出手段を設ける必要もなくなり、車両位置検出に係るシステムの処理負担を軽減できる。
【0028】
なお、地域受付手段としては、例えば、「近畿」「東海」「四国」等の各地域に対応したスイッチを備えた装置が該当し、このような装置を車室に設けて、車両の搭乗者が前記スイッチを操作することで、現在の地域を容易に設定できる。よって、このようにスイッチ操作の設定で受け付けた地域に対応する周波数を、放送電波の周波数と地域とを対応させた周波数テーブルを参照することで容易に特定できる。
【0029】
第4発明にあっては、ラジオ受信器、テレビ受信器のような受信器が作動状態である場合のみ変調用周波数の設定を行うので、輻射ノイズの影響低減及び通信速度の低下抑制の両立を図れる。即ち、受信器が作動状態の場合は、変調用周波数を設定すると共に設定した変調用周波数で信号を変調して送信するので、輻射ノイズの影響を低減できる。一方、受信器が非作動状態の場合は、受信器による受信障害が生じないので通信速度を優先とした変調が可能となり、通信速度の低下を防止できる。
【0030】
第5発明及び第10発明にあっては、受信器が放送電波の受信状態である場合、受信中の放送電波の周波数及び該周波数を整数で除した商の値のみを除いて変調用周波数を設定するので、変調用の周波数帯域に残存する設定対象の周波数の個数を更に多くでき、通信速度の低下を最小限に抑えた上で輻射ノイズの影響を低減できる。
【0031】
第6発明にあっては、商を算出する整数を適宜設定できるので、輻射ノイズの影響低減及び通信速度の低下等のバランスを考慮して最適な変調用周波数を設定できる。即ち、車両でラジオ及びテレビジョンの音声を聞く場合、ロードノイズ及び風切り音等の影響から、音声に多少ノイズが混在しても支障はない。
【0032】
この支障が生じないレベルは、車両の種類、グレード、走行箇所及び気象条件等の諸般の事情により変化し、例えば、元来発生するノイズが多い車両では、低いレベルで変調用周波数と商の値とが一致しても、音声の聞き取りに影響は生じない。一方、元来発生するノイズが小さい車両では、低いレベルでも変調用周波数と商の値とが一致すれば、音声の聞き取りに影響を生じる。よって、連続する整数の最大の値が7〜9程度の範囲とした場合、発生するノイズが多い車両では、最大の値を小さくして「7」と設定することが好ましく、発生するノイズが小さい車両では最大の値を大きくして「9」と設定することが好ましい。
【0033】
第7発明にあっては、放送電波の強度に応じて最大の整数を設定するので、受信状態に応じた商の値の算出が可能になる。即ち、放送電波の受信強度が強い場合、電波レベルが高いため輻射ノイズによる影響の比率が低くなり、低いレベルで変調用周波数と商の値とが一致しても、輻射ノイズによる受信障害の影響は低くなる。一方、放送電波の受信強度が弱い場合、電波レベルが低いため輻射ノイズによる影響の比率も高くなり、低いレベルでも変調用周波数が商の値と一致すると、輻射ノイズによる受信障害の影響は高くなる。
【0034】
よって、連続する整数の最大の値が7〜9程度の範囲とした場合、放送電波の受信強度が強いときは、最大の整数として範囲の中で最も小さい「7」を設定し、放送電波の受信強度が弱い場合は、最大の整数として範囲の中で最も大きい「9」を設定する。このような設定を行うことで、放送電波の受信強度が強い場合は、設定対象として残存する変調用周波数の個数が多くなり、通信速度の低下を抑えた設定が可能になる。また、放送電波の受信強度が弱い場合、低いレベルまで変調用周波数と商の値とが重複しないようにして確実に輻射ノイズの影響を低減できる。
【0035】
第8発明にあっては、変調用周波数を復調手段へ伝送するので、復調手段は使用されていない変調用周波数の数値を認識でき、この認識した数値に基づいた復調処理を実現でき、復調処理の精度を向上できる。なお、変調調周波数の復調手段への伝送は、バスリセット時、システムリセット時、受信器の放送電波の受信開始時、受信器の放送電波の受信終了時、最大の整数を変更した時、及び、通信を行う前となるシステム起動時等に行うことが好ましく、通信に使用する全周波数帯域を用いて一度に伝送することが効率的である。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る車両内通信システム1の全体的な構成を示している。車両内通信システム1は車両Sに構築されており、第1実施形態では、車載機器として通信用ECU11、左ドアECU12及び右ドアECU13をバッテリ17からの給電用である給電線14で接続し、この給電線14を通じて各ECU11〜13の間で電力線搬送による多重通信を行っている。
【0037】
また、車両Sにはラジオ用の放送電波を受信するラジオ受信器15及び車両Sの位置を検出するGPS装置16が搭載してある。ラジオ受信器15は第1信号線18により通信用ECU11と接続されており、図示しない作動スイッチがオンされて作動状態である時は、第1信号線18を通じて通信用ECU11へ作動通知信号を送出している。この作動通知信号にはラジオ受信器15が受信する放送電波の受信強度に係る情報も含まれており、本実施形態では「強」「普通」「弱」の3段階の受信強度に応じた情報を含ませている。
【0038】
一方、GPS装置16は車両位置検出手段に相当し、第2信号線19により通信用ECU11と接続されており、第2信号線19を通じて検出した位置に係る緯度及び経度データを通信用ECU11へ送出している。
【0039】
通信用ECU11は、周波数設定装置に相当し、電力線搬送による多重通信の搬送波の周波数である変調用周波数を、ラジオ受信器15が受信障害を起こさないように設定している。
【0040】
図2に示すように、通信用ECU11は、ROM11a、RAM11b及びCPU11cを備えており、給電線14、第1信号線18及び第2信号線19との接続用に通信インタフェース部11d、第1コネクタ部11e及び第2コネクタ部11fを有している。
【0041】
ROM11aは記憶手段に相当し、CPU11cに後述する各種手段として機能させるためのプログラム及び図3に示す周波数テーブル21を記憶している。周波数テーブル21は、AM及びFMのラジオ用の放送電波の周波数と、該周波数の放送電波を受信できる地域を対応させたものである。例えば、地域として「近畿」に対応する周波数として、AM(kHz)では558〜1557の計14個の周波数が記録してあり、FM(MHz)では76.5〜89.9の計9個の周波数が記録してある。
【0042】
また、ROM11aは、周波数テーブル21に記載された「北海道」及び「東北」等の各地域に対して、地域の境界に係る緯度及び経度のデータも記憶している。
RAM11bは、CPU11cが行う各種処理に係るデータ及びファイル等を一時的に記憶するものである。
【0043】
CPU11cは、ラジオ受信器15が作動状態であるか否かを検出する検出手段、ラジオ受信器15の放送電波の受信強度を検知する受信強度検出手段、現在の車両Sが位置する地域を特定する地域特定手段、地域に対応する周波数を特定する特定手段、商の値を算出する際の最大の整数の設定を行う最大整数設定手段、商を算出する算出手段、及び、変調用周波数を設定する設定手段として機能する。
【0044】
CPU11cの検出手段は、第1信号線18との接続を行う第1コネクタ部11eを介してラジオ受信器15からの作動通知信号を受け付けるか否かでラジオ受信器15が受信状態であるかを検出している。
CPU11cの受信強度検出手段は、第1コネクタ部11eで受け付けた作動通知信号に含まれる「強」「普通」「弱」と云う受信強度の3段階のレベルを検出している。
【0045】
CPU11cの地域特定手段は、第2コネクタ部11fで受け付けたGPS装置16からの緯度及び経度データを、ROM11aに記憶されている各地域の境界に係る緯度及び経度のデータと比較して、現在の車両Sの位置がいずれの地域に含まれるかを特定している。
【0046】
CPU11cの特定手段は、上述したように地域特定手段により特定された地域に対応する周波数をROM11aに記憶された図3に示す周波数テーブル21に基づいて特定している。例えば、地域特定手段により現在の車両Sは「近畿」に位置すると特定された場合、「近畿」に対応する周波数として周波数テーブル21からAM用及びFM用を併せて計23個の周波数を特定する。
【0047】
CPU11cの最大整数設定手段は、後述する算出手段で特定手段が特定した周波数を除算する連続する整数の中で最大の値を設定するものである。ラジオ受信器15に受信障害を生じさせる可能性のある変調用周波数は、図3の周波数テーブル21に記載された各周波数に加えて、各周波数を整数で除した商の値(以下、分周数と称す)と同一場合にも受信障害を生じさせるため、分周数も変調用周波数と相異させる必要がある。
【0048】
また、受信障害は「40」、「50」等の整数で除算を行った分周数でも生じるが、人間が実感できるレベルは、一般に最大の整数が7〜9の範囲であり、本実施形態の最大整数設定手段は、受信強度に応じて7〜9の範囲に対して最大の整数を設定している。具体的には、受け付けた作動通知信号に含まれる受信強度の情報が「強」のときは最大の整数を「7」に設定し、受信強度の情報が「普通」のときは最大の整数を「8」に設定し、受信強度の情報が「弱」のときは最大の整数を「9」に設定する。
【0049】
CPU11cの算出手段は、上述したように特定手段により特定された各周波数を最大整数設定手段が設定した最大の整数まで連続する整数で除算を行うことで分周数を算出するものである。例えば、車両Sが「近畿」に位置すると特定されると共に最大の整数が「7」に設定された場合、「近畿」に対応する周波数の中の1つである558kHzに対して2〜7の連続する整数で順次除算を行うことで、計6個の分周数を算出する。以降、「近畿」に対応する残りの22個の周波数に対しても同様に分周数を算出し、結局、最大の整数が「7」に設定された場合では、「近畿」の各周波数に対する分周数の数は、138個になる。
【0050】
CPU11cの設定手段は、電力線搬送による搬送波の変調用周波数を設定するものである。第1実施形態では変調用の周波数帯域として0.5MHz〜700MHzを用意しており、特定手段が特定した周波数及び分周数と変調用周波数とが相異するように、前記周波数帯域から特定された周波数及び分周数を除き、除かれた中から搬送波の変調用周波数を設定している。
【0051】
よって、上述した例のように、車両Sが「近畿」に位置する場合は、先ず、0.5MHz〜700MHzの周波数帯域から23個の周波数及び138個の分周数が除かれて、これらの数値が除かれた上記周波数帯域の中からOFDM用の複数の搬送波毎に変調用周波数を設定している。このように変調用周波数を設定することで、変調用周波数とラジオ用の放送電波の周波数及びラジオ用周波数の分周数が受信影響を感じられるレベルで重複することが無くなり、搬送波の輻射ノイズがラジオ受信器15の受信に影響を及ぼすことを解消している。
【0052】
なお、設定手段は、ラジオ用の周波数及び該周波数の分周数が除かれた周波数帯域の中から変調用周波数を設定する場合、通信速度及び安定した通信性等を考慮して、できるだけ大きい数値を変調用周波数として設定するようにしている。また、設定手段は、上述したCPU11cの検出手段が、ラジオ受信器15は作動状態でないと検出したとき、周波数帯域からラジオ用の周波数及び分周数を除くことなく、全周波数帯域から最適な変調用周波数を選択して設定するようにしている。
【0053】
上述したようにCPU11cの設定手段が設定した各変調用周波数は、伝送手段及び周波数伝送手段に相当する通信インタフェース部11dに渡されて、通信インタフェース部11dにより、電力線搬送に係る処理を経て給電線14を通じて左ドアECU12及び右ドアECU13へ伝達される。よって、通信インタフェース部11dは、電力線搬送に対応するため、図2に示す左ドアECU12の送信に必要な各部(直並列変換部から送信用バンドパスフィルタ)を備える。
【0054】
左ドアECU12及び右ドアECU13は、車両Sの左右ドアのロック、ロック解除及び窓ガラスの開閉等と云ったドア関係の各種作動の制御を行う車載機器であり、制御に伴う信号を左ドアECU12と右ドアECU13との間で送受信する。各ドアECU12、13は信号の送信方向に応じて送信側及び受信側の両方になり得るため、通信に係る部分は左ドアECU12と右ドアECU13とも同様の構成にしており、以下、各ドアECU12、13の内部構成を左ドアECU12で代表して説明する。
【0055】
図4は、左ドアECU12の内部構成を示しており、図10の第1車載機器2の送信側の構成及び第2車載機器3の受信側の構成と相異する点として周波数処理部12rを設けていることが挙げられる。周波数処理部12rは、通信用ECU11が伝送した変調用周波数を左ドアECU12の内部で変調手段である搬送波生成部12g及び復調手段である発振器12qに伝達する処理を行う。
【0056】
なお、通信用ECU11から電力線搬送により伝送され変調用周波数に係る信号は、左ドアECU12のコネクタ12hを通じて受信用バンドパスフィルタ12jから並直列変換部12pへ至る復調処理を経てから内部信号線12sを通じて周波数処理部12rへ伝達される。さらに、周波数処理部12rは、図示しない内部メモリに信号処理用のレジスタを確保しており、送信処理に係る直並列変換部12a、逆フーリエ変換部12b及び並直列変換部12c、並びに、受信側の直並列変換部12m、フーリエ変換部12n及び並直列変換部12pと接続されて各種処理に係るデータを一時的に記憶することも行う。
【0057】
また、左ドアECU12は、送信処理を行うために、シリアルの送信用デジタル信号をパラレルに変換する直並列変換部12a、パラレルの信号を時間軸に係る時系列信号に変換する逆フーリエ変換部12b、時系列信号をシリアルに変換する並直列変換部12d、デジタル信号をアナログ信号に変換するD/A変換部12d、アナログ信号から高周波ノイズを除去するローパスフィルタ12e、搬送波生成部12g及び送信用バンドフィルタ12を備えている。
【0058】
搬送波生成部12gは、変調用の搬送波を生成するものであり、本実施形態ではOFDM用の夫々直交する複数の搬送波の生成を行う。これら各搬送波の周波数には、周波数処理部12rから伝達される変調用周波数の数値を用いており、生成した各搬送波に、上述したローパスフィルタ12eを通過した送信用の信号を重畳して変調を行う。なお、このように変調された信号は送信用バンドパスフィルタ12fを通過して、コネクタ12hより外部へ送出される。
【0059】
さらに、左ドアECU12は、受信処理を行うために、外部から電力線搬送されてコネクタ12hを通じて受け付けた信号に対してフィルタ処理を行う受信用バンドパスフィルタ12j、フィルタ処理が行われた信号に復調処理を行う発振器12qを備える。発振器12qは、周波数処理部12rから伝達された各変調用周波数に基づいて復調処理を行う。
【0060】
また、左ドアECU12は、他の受信処理を行うために、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換部12k、シリアルのデジタル信号をパラレルに変換する直並列変換部12m、パラレルの信号に対して時間的に変化する波形の周波数成分を抽出するフーリエ変換部12n、及び、パラレルの信号をシリアルに変換して信号を元の状態に戻す並直列変換部12pを備えている。
【0061】
なお、並直列変換部12pは、元の状態に戻した信号が通信用ECU11から送出された変調用周波数に係るものである場合、内部信号線12sを通じて周波数処理部12rへ伝達し、右ドアECU13からの信号である場合、左ドアECU12の図示しない内部の信号処理部へ伝達する。
【0062】
また、図2に示す左ドアECU12では、信号を送信する際に必要な各部分12a、12b等のみを示しており、右ドアECU13では、信号を受信する際に必要な各部分13h、13j等のみを示している。
【0063】
次に、第1実施形態の車両内通信システム10の変調用周波数の設定、設定された変調用周波数に基づく通信に至る車両内通信方法に係る一連の処理を図5、6の第1フローチャート及び第2フローチャートに基づいて説明する。
【0064】
図5の第1フローチャートは、車両内通信システム10における通信用ECU11の変調用周波数の設定に係る処理を示しており、先ず、通信用ECU11は、ラジオ受信器15が作動中であるか否かを、作動通知信号の有無で判断している(S1)。ラジオ受信器15が作動中であると判断した場合(S1:YES)、GPS装置16が検出した車両Sの位置を含む地域を特定し(S2)、特定した地域に応じたラジオ用の放送電波の周波数を図3の周波数テーブル21に基づき特定する(S3)。
【0065】
次に、特定した周波数を整数で除して分周数を算出し(S4)、変調用の周波数帯域より上記特定した周波数及び分周数を除外し(S5)。除外された周波数帯域の中からOFDM用の搬送波の変調用周波数を設定する(S6)。一方、最初の段階(S1)で、通信用ECU11が、ラジオ受信器15が作動中でないと判断した場合(S1:NO)は、変調用の周波数帯域から特定の周波数を除外することなく、周波数帯域の全域の中から変調用周波数を設定する(S8)。なお、通信用ECU11は、良好な通信性を確保するために、できるだけ通信速度が高くなるように各変調用周波数を設定する。
【0066】
最後に、通信用ECU11は上述した段階(S6又はS8)で設定した変調用周波数を左ドアECU12及び右ドアECU13へ伝送する(S7)。このように設定した変調用周波数を各ドアECU12、13へ伝送することで、各ドアECU12、13は設定された変調用周波数に基づき変復調が可能となる。
【0067】
図6の第2フローチャートは、車両内通信システム10における左ドアECU12から右ドアECU13へ信号を送信する場合の通信処理を示している。先ず、左ドアECU12及び右ドアECU13は、通信用ECU11から伝送された変調用周波数の受付を行う(S10)。次に、左ドアECU12は、OFDM用の搬送波を受け付けた変調用周波数に基づいて生成し(S11)、送信用の信号を搬送波に重畳して変調し、電力線搬送で送信する(S12)。
【0068】
一方、右ドアECU13は、左ドアECU12から送信された信号の受付を行い(S13)、受け付けた信号を変調用周波数に基づいて復調し(S14)、A/D変換、直並列変換及びフーリエ変換等を経て元の信号を得ている。このように車両内通信システム10では、ラジオ受信器15が受信中の場合は、ラジオ用の周波数及び該周波数の分周数を除外して設定した変調用周波数の搬送波を用いるため、ラジオ受信器15に受信障害が生じることなく通信を行える。
【0069】
また、ラジオ受信器15が作動スイッチのオフにより非作動状態である場合は、ラジオ用周波数を考慮することなく、変調用の周波数帯域の全体から変調用周波数を設定するため、通信速度及び通信の安定性等を優先にした設定の通信が可能となる。
【0070】
なお、車両内通信システム10は、右ドアECU13から左ドアECU12へ信号を送信する場合も、左ドアECU12から右ドアECU13へ信号を送信する場合の処理を逆にすることで行うことができる。また、車両内通信システム10、車両内通信方法及び通信用ECU11等は上述した形態に限定されるものではなく、種々の変形例の適用が可能である。
【0071】
例えば、本発明は、電力線搬送による多重通信以外の他の形態の通信にも適用可能であり、振幅変調、位相変調、周波数変調及び多値変調等で通信を行う場合にも、放送電波の周波数及び該周波数の分周数と一致しないように搬送波の変調用周波数を設定できる。また、第1実施形態は、ラジオ受信器15を備える車両Sに対して説明したが、各地域に対応したテレビジョン用の放送電波の周波数を記録した周波数テーブルを通信用ECU11のROM11aに記憶させることで、テレビ受信器だけを備える車両、並びに、ラジオ受信器及びテレビ受信器の両方を備える車両に対しても本発明を適用できる。
【0072】
また、第1実施形態では、ラジオ受信器15が作動状態の場合に、周波数及び分周数を除外した中から変調用周波数を設定しているが、ラジオ受信器15の作動状態に関係なく、常に周波数及び分周数を除外した中から変調用周波数を設定するようにしてもよい。このようにすることで搬送波の変調用周波数は常時ラジオ用の放送電波の各周波数及び各分周数と相異し、安定した通信が可能になると共に、ラジオ受信器の作動及び非作動毎に変調用周波数を変更することもなくなりシステムの処理負担も軽減できる。
【0073】
なお、上述したようにラジオ受信器15の作動状態を検出しない場合は、ラジオ受信器15から作動通知信号を出力する機能を省略して、ラジオ受信器15を車両内通信システム10から切り離すと共に、通信用ECU11のラジオ受信器15の作動状態の検出に係る機能を省略することも可能になる。
【0074】
さらに、設定された変調用周波数は通信用ECU11から受信側となるドアECUへ伝送する以外に、最初に通信用ECU11が送信側となるドアECUへ変調用周波数を伝送してから、送信側のドアECUから受信側となるドアECUへ送信するようにしてもよい。さらに、また、伝送する内容は、設定された変調用周波数ではなく、ラジオ用の放送電波の各周波数及び各分周数を伝送して、伝送された側で変調用周波数を設定するようにしてもよい。
【0075】
また、分周数を算出する整数の設定は、ラジオ受信器15の受信強度に応じて設定するのではなく、図7に示すタッチパネル機能を備えたモニタ装置22を通信用ECU11に接続すると共に、画面22aに「0」〜「9」の整数の入力設定を受け付けるようにして、受け付けた整数を最大整数として通信用ECU11へ伝送するようにしてもよい。このようにモニタ装置22を最大整数受付手段として機能させることで、放送電波の受信強度以外の他の要因を考慮して一段と詳細に分周数を算出することが可能となり、輻射ノイズの影響をより確実に抑えることができる。
【0076】
図8は、本発明の第2実施形態に係る車両内通信システムに適用されるタッチパネル機能を備えたモニタ装置23を示している。第2実施形態の車両内通信システムは、図1に示す第1実施形態に係る車両内通信システム10において、GPS装置16の代わりにモニタ装置23を接続した以外は略同等の構成にしている。このため、以下の説明では、モニタ装置23以外は、第1実施形態と同様の符号を用いて説明する。
【0077】
モニタ装置23は地域の設定を受け付ける地域受付手段として機能し、画面23aに地域毎の各スイッチ24を表示するようにしている。各スイッチ24のいずれかが触れられて選択されると、選択された地域の設定が受け付けられて、設定対象の地域が第2信号線19を通じて通信用ECU11へ伝送される。
【0078】
通信用ECU11の構成及び処理は第1実施形態と基本的に同様であり、CPU11cの特定手段が、モニタ装置23が設定を受け付けた地域に応じて周波数を特定することのみが相異する。即ち、CPU11cの特定手段は、モニタ装置23から伝送された地域を第2コネクタ部11fを介して受け付けて、地域に対応するラジオ用の放送電波の周波数を図3に示す周波数テーブル21に基づいて特定する。
【0079】
このようにモニタ装置23で地域を特定することで、GPS装置とGPS用の人工衛星との通信が不確実な場所でも地域の特定を確実に行うことが可能になり、また、地域の特定に係る処理負担も低減できる。なお、上述した箇所以外は第1実施形態と同様に処理されて変調用周波数が設定されて、この設定された変調用周波数の搬送波により通信が行われる。また、第1実施形態における各種変形例も第2実施形態の発明に適用可能である。
【0080】
図9の第3フローチャートは、本発明の第3実施形態に係る車両内通信システムにおける通信用ECUの変調用周波数の設定の処理を示している。第3実施形態の車両内通信システムは、図1に示す第1実施形態に係る車両内通信システム10において、GPS装置16を省略した以外は略同等の構成にしている。このため、以下の説明では、第1実施形態と同様の符号を用いて説明する。
【0081】
第3実施形態のラジオ受信器15は、ラジオ用の放送電波の受信中に受信状態である受信通知信号を通信用ECU11へ伝送し、この受信通知信号に受信中の放送電波の周波数を含ませる仕様にしている。一方、通信用ECU11は、ROM11aには図3に示すような周波数テーブル21を記憶しておらず、CPU11cは、ラジオ受信器15からの受信通知信号の有無によりラジオ受信器15が放送電波の受信状態であるか否かを検出する検出手段、及び、受信通知信号に含まれた受信中の周波数を検出する周波数検出手段として機能している。
【0082】
また、CPU11cの算出手段は検出された周波数に対して分周数を算出し、さらに、CPU11cの設定手段は、前記周波数及び分周数と相異するように変調用周波数を設定するようにしている。上述した箇所以外は、第1実施形態と同様な処理を行う。
【0083】
次に、図9の第3フローチャートに基づいて、第3実施形態の車両内通信システムの通信用ECU11が行う一連の処理を説明する。
先ず、通信用ECU11は、ラジオ受信器15が受信中であるか否かを受信通知信号の有無で判断し(S20)。受信中であると判断した場合(S20:YES)、受信通知信号に含まれる受信中のラジオの周波数を検出する(S21)。この検出した周波数を整数で除して分周数を算出し(S22)、変調用の周波数帯域より上記検出した周波数及び分周数を除外し(S23)、除外された周波数帯域の中から搬送波の変調用周波数を設定する(S24)。
【0084】
一方、最初の段階(S20)でラジオ受信器15が受信中でないと判断した場合(S20:NO)は、変調用の周波数帯域から特定の周波数を除外することなく、周波数帯域の全域の中から変調用周波数を設定する(S26)。最後に、通信用ECU11は上述した段階(S24又はS26)で設定した変調用周波数を左ドアECU12及び右ドアECU13へ伝送する(S25)。なお、上述した箇所以外は第1実施形態と同様に処理されて変調用周波数が設定されて、この設定された変調用周波数の搬送波により通信が行われる。
【0085】
このように第3実施形態では、実際に受信中の周波数のみに対して除外する対象の数を決定するので、除外される数が僅かとなり、変調用周波数を設定できる対象が増加し、ラジオ受信器15が受信中であっても、通信速度の低下及び通信安定性等が不受信中に比べてできるだけ悪化しないように配慮して変調用周波数を設定できる。また、第1実施形態における各種変形例も第3実施形態の発明に適用可能である。
【0086】
【発明の効果】
以上に詳述した如く、第1発明、第9発明及び第11発明にあっては、放送電波の周波数及び分周数と相異する変調用周波数の搬送波で通信を行うので、搬送波の輻射ノイズによる影響を低減できる。
第2発明にあっては、車両の位置に応じて周波数テーブルに基づき放送電波の周波数を特定するので、変調用周波数の設定対象となる数値を絞り込むことができ、変調用周波数を設定する自由度が向上し、通信速度及び通信安定性等を考慮した設定が可能になる。
【0087】
第3発明及び第12発明にあっては、車両が位置する地域の設定を受け付けるため、車両位置の検出が困難な状況でも確実に地域に応じた放送電波の周波数を特定でき、変調用周波数の設定対象の周波数の個数を増加させて最適な変調用周波数の設定を可能にすると共に、車両位置検出に係るシステムの処理負担を軽減できる。
第4発明にあっては、受信器が作動状態である場合のみに変調周波数の設定を行うので、確実に輻射ノイズの影響を低減できると共に、受信器が非作動状態である場合は、通信速度及び通信安定性を優先にした変調用周波数の設定が可能になる。
【0088】
第5発明及び第10発明にあっては、受信器が放送電波の受信状態である場合、受信中の放送電波の周波数及び該周波数の分周数を除いて変調用周波数を設定するので、変調周波数の設定対象の個数を多くでき、通信速度の低下を最小限に抑えた上で輻射ノイズの影響も低減できる。
【0089】
第6発明にあっては、分周数を算出する整数を適宜設定できるので、車両周囲の状況及び通信状況等を考慮して最適な変調用周波数を設定できる。
第7発明にあっては、放送電波の強度に応じて最適な変調用周波数を設定できる。
第8発明にあっては、変調用周波数を復調手段へ伝送するので、設定された変調用周波数に基づいて効率的に復調処理を行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る車両内通信システムの全体構成図である。
【図2】第1実施形態の車両内通信システムの機器同士の接続状況、及び、各機器の内部の要部構成を示す概略図である。
【図3】周波数テーブルの概略図である。
【図4】左ドアECUの内部構成図である。
【図5】変調用周波数の設定に係る第1フローチャートである。
【図6】通信に係る第2フローチャートである。
【図7】最大の整数の設定を受け付けるモニタ装置の概略図である。
【図8】第2実施形態に係るモニタ装置の概略図である。
【図9】第3実施形態の変調用周波数の設定に係る第3フローチャートである。
【図10】従来の車両内通信システムに係る概略図である。
【符号の説明】
10 車両内通信システム
11 通信用ECU
11a ROM
11c CPU
12 左ドアECU
12g 搬送波生成部
12r 周波数処理部
13 右ドアECU
13q 発振器
13r 周波数処理部
14 給電線
15 ラジオ受信器
16 GPS装置
21 周波数テーブル
22、23 モニタ装置
S 車両
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両内通信システム、車両内通信方法及び周波数設定装置に関し、信号を変調して車載機器間を通信する場合、変調による搬送波の輻射ノイズの悪影響を防止する車両内通信システム、車両内通信方法及び周波数設定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両には制御系機器及び情報系機器と云った各種機器が多数搭載されており、これら車載機器は信号線で接続され、各種信号の送受信により各車載機器の作動及び制御等を行う。また、通信速度の向上及び通信の安定性等を高めるため、信号を変調して送信すると共に受信した信号を復調する処理を行うことがある。さらに、このような変復調による通信は、各車載機器へ電力を供給する給電線で信号を送受信する電力線搬送による多重通信でも用いられる。
【0003】
図10は、電力線搬送を行う車両内通信システム1の要部を示し、第1車載機器2及び第2車載機器3は給電線4で接続されており、第1車載機器2から第2車載機器3へ給電線4を通じて信号を送信する際に必要な各部を表している。この車両内通信システム1では、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重方式)を用いており、複数の夫々直交する搬送波に信号を重畳して変調を行う。
【0004】
第1車載機器2は、直並列変換部2aでデジタルの送信用信号をシリアルからパラレルへ変換し、逆フーリエ変換部2bでパラレルの信号を時系列信号に変換し、並直列変換部2dでパラレルの時系列信号をシリアルの信号に戻し、D/A変換部2dでアナログに変換しベースバンド時系列信号を生成する。生成されたベースバンド時系列信号はローパスフィルタ2eを通過し、搬送波生成部2gで生成したOFDMの各搬送波へ重畳して送信用バンドパスフィルタ2fより給電線4を通じて第2車載機器3へ送信される。
【0005】
第2車載機器3では、受信した信号を受信用バンドパスフィルタ3jを通過させて発信器3qで生成されたクロックに基づいて信号の復調を行い、以下、A/D変換部3k、直並列変換部3m、フーリエ変換部3n及び並直列変換部3pを通過させて元のデジタルのシリアル信号に戻す処理を行う。なお、接続した各車載機器間の通信に関しては、以下の特許文献1でも開示されている。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−152244号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように信号を変調して送信すると、変調に係る各搬送波の基本波及び高調波が輻射ノイズとなり給電線4から外部へ漏洩する。この漏洩する輻射ノイズの周波数が、ラジオ用の放送電波の周波数帯域(0.5MHz〜100MHz)、及び、テレビジョン用の放送電波の周波数帯域(100MHz〜640MHz)と重複した場合、車両に搭載されるラジオ受信器、テレビ受信器に受信障害が発生すると云う問題がある。
【0008】
なお、輻射ノイズの周波数がラジオ用、テレビジョン用の放送電波の周波数と一致しない場合でも、放送電波の周波数を整数で除した商の数値と一致する場合も、ラジオ受信器及びテレビ受信器に受信障害は生じる。また、このような輻射ノイズによる受信障害は、電力線搬送の場合だけでなく、信号を変復調して通信する他の形態の車両内通信システムで生じる。
【0009】
一方、輻射ノイズの影響を低減するには、輻射ノイズの発生源である給電線4からラジオ受信器、テレビ受信器及び受信アンテナを遠ざけることが有効であるが、車両内では各機器の搭載スペース及び位置が限定されるため、輻射ノイズの影響を低減できる程の距離を輻射ノイズの発生源と各受信器との間に確保できない。また、給電線4にシールド線を適用することで、輻射ノイズが外部へ漏洩する程度を低減できるが、シールド線は高価なため、容易にシールド線を適用できない問題もある。
【0010】
さらに、輻射ノイズの低減には、各搬送波の周波数がラジオ及びテレビジョン用の周波数帯域と重複しないように、搬送波の周波数を下げることも有効であるが、搬送波の周波数を下げた場合、1つの搬送波で搬送できる信号量は減少するため、高速通信が不可能となり現実的に採用できない。
【0011】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、データを変調して送信する場合でも、放送電波の周波数帯域を考慮して、搬送波の周波数を設定することで、放送電波の受信器に対する輻射ノイズの影響を低減する車両内通信システム、車両内通信方法及び周波数設定装置を提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、車両の位置に応じて重複が生じる可能性のある放送電波の周波数を考慮して搬送波の周波数を設定することで、受信器に対する輻射ノイズの影響を低減する車両内通信システム及び周波数設定装置を提供することを目的とする。
【0013】
さらに、本発明は、受信中の放送電波の周波数を考慮して搬送波の周波数を設定することで、受信器に対する輻射ノイズの影響を低減する車両内通信システム及び車両内通信方法を提供することを目的とする。
さらに、また、本発明は放送電波の周波数を整数で除した商の値も考慮して、搬送波の周波数を設定することで、受信器に対する輻射ノイズの影響を低減する車両内通信システム、車両内通信方法及び周波数設定装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
第1発明に係る車両内通信システムは、変調手段で変調した信号を送信する送信側車載機器及び受信した信号を復調手段で復調する受信側車載機器を備える車両内通信システムにおいて、放送電波の周波数を記憶する記憶手段と、前記周波数を整数で除して商を算出する算出手段と、前記周波数及び商と相異する変調用周波数を設定する設定手段と、該設定手段が設定した変調用周波数を前記変調手段へ伝送する伝送手段とを備え、前記変調手段は、前記伝送手段が伝送した変調用周波数で信号を変調する手段を備えることを特徴とする。
【0015】
第2発明に係る車両内通信システムは、変調手段で変調した信号を送信する送信側車載機器及び受信した信号を復調手段で復調する受信側車載機器を備える車両内通信システムにおいて、車両の位置を検出する車両位置検出手段と、放送電波の周波数及び該周波数の放送電波の受信に応じた地域を対応させた周波数テーブルと、前記車両位置検出手段が検出した位置を含む地域を特定する地域特定手段と、該地域特定手段が特定した地域に対応する周波数を前記周波数テーブルに基づいて特定する特定手段と、該特定手段が特定した周波数を整数で除して商を算出する算出手段と、前記周波数及び商と相異する変調用周波数を設定する設定手段と、該設定手段が設定した変調用周波数を前記変調手段へ伝送する伝送手段とを備え、前記変調手段は、前記伝送手段が伝送した変調用周波数で信号を変調する手段を備えることを特徴とする。
【0016】
第3発明に係る車両内通信システムは、変調手段で変調した信号を送信する送信側車載機器及び受信した信号を復調手段で復調する受信側車載機器を備える車両内通信システムにおいて、放送電波の周波数及び該周波数の放送電波の受信に応じた地域を対応させた周波数テーブルと、地域の設定を受け付ける地域受付手段と、該地域受付手段が受け付けた地域に対応する周波数を前記周波数テーブルに基づいて特定する特定手段と、該特定手段が特定した周波数を整数で除して商を算出する算出手段と、前記周波数及び商と相異する変調用周波数を設定する設定手段と、該設定手段が設定した変調用周波数を前記変調手段へ伝送する伝送手段とを備え、前記変調手段は、前記伝送手段が伝送した変調用周波数で信号を変調する手段を備えることを特徴とする。
【0017】
第4発明に係る車両内通信システムは、放送電波の受信器と、該受信器が作動状態であるか否かを検出する検出手段とを更に備え、前記設定手段は、前記検出手段が前記受信器の作動状態を検出した場合、変調用周波数を設定する手段を備えることを特徴とする。
【0018】
第5発明に係る車両内通信システムは、変調手段で変調した信号を送信する送信側車載機器及び受信した信号を復調手段で復調する受信側車載機器を備える車両内通信システムにおいて、放送電波の受信器と、該受信器が放送電波の受信状態であるか否かを検出する検出手段と、該検出手段が受信状態を検出した場合、受信する放送電波の周波数を検出する周波数検出手段と、該周波数検出手段が検出した周波数を整数で除して商を算出する算出手段と、前記周波数及び商と相異する変調用周波数を設定する設定手段と、該設定手段が設定した変調用周波数を前記変調手段へ伝送する伝送手段とを備え、前記変調手段は、前記伝送手段が伝送した変調用周波数で信号を変調する手段を備えることを特徴とする。
【0019】
第6発明に係る車両内通信システムは、前記整数は連続する数であり、該整数の中で最大の整数の設定を受け付ける最大整数受付手段を更に備えることを特徴とする。
第7発明に係る車両内通信システムは、前記整数は連続する数であり、前記受信器の放送電波の受信強度を検出する受信強度検出手段と、該受信強度検出手段が検知した受信強度に応じて前記整数の中で最大の整数の設定を行う最大整数設定手段とを更に備えることを特徴とする。
【0020】
第8発明に係る車両内通信システムは、前記設定手段が設定した変調用周波数を前記復調手段へ伝送する周波数伝送手段を更に備え、前記復調手段は、前記周波数伝送手段が伝送した変調用周波数に基づき信号を復調する手段を備えることを特徴とする。
【0021】
第9発明に係る車両内通信方法は、送信側車載機器が変調手段で変調した信号を送信し、送信された信号を受信側車載機器が受信して復調手段で復調する車両内通信方法において、放送電波の周波数を整数で除して商を算出し、前記周波数及び商と相異する変調用周波数を設定し、該変調用周波数を前記変調手段へ伝送し、前記変調手段は、伝送された変調用周波数で信号を変調することを特徴とする。
【0022】
第10発明に係る車両内通信方法は、放送電波の受信器を備える車両内で、送信側車載機器が変調手段で変調した信号を送信し、送信した信号を受信側車載機器が受信して復調手段で復調する車両内通信方法において、前記受信器が放送電波の受信状態であるか否かを検出し、受信状態を検出した場合、受信する放送電波の周波数を検出し、検出した周波数を整数で除して商を算出し、前記周波数及び商と相異する変調用周波数を設定し、該変調用周波数を前記変調手段へ伝送し、前記変調手段は、伝送された変調用周波数で信号を変調することを特徴とする。
【0023】
第11発明に係る周波数設定装置は、放送電波の周波数を記憶する記憶手段と、前記周波数を整数で除して商を算出する算出手段と、前記周波数及び商と相異する変調用周波数を設定する設定手段と、該設定手段が設定した変調用周波数を外部へ伝送する伝送手段とを備えることを特徴とする。
【0024】
第12発明に係る周波数設定装置は、放送電波の周波数並びに該周波数の放送電波の受信に応じた地域を対応させた周波数テーブルと、地域の設定を受け付ける地域受付手段と、該地域受付手段が受け付けた地域に対応する周波数を前記周波数テーブルに基づいて特定する特定手段と、該特定手段が特定した周波数を整数で除して商を算出する算出手段と、前記周波数及び商と相異する変調用周波数を設定する設定手段と、該設定手段が設定した変調用周波数を外部へ伝送する伝送手段とを備えることを特徴とする。
【0025】
第1発明、第9発明及び第11発明にあっては、放送電波の周波数及び該周波数を整数で除した商と相異する変調用周波数を設定するので、搬送波の周波数である変調用周波数と、放送電波の周波数及び商の値とが重複することが無くなり放送電波の受信に当たり搬送波の輻射ノイズによる影響を低減できる。
【0026】
第2発明にあっては、車両の位置に応じて周波数テーブルに基づき放送電波の周波数を特定すると共に、この特定した周波数を整数で除して商を算出するので、周波数及び商の数が絞り込まれ、変調用周波数として設定対象となる周波数の個数を増加でき、輻射ノイズの影響及び通信速度の両方を考慮して最適な変調用周波数を選択できる。なお、車両位置検出手段にはGPS(Global Positioning System)装置の適用が可能であり、第2発明では検出した位置から地域を特定できる検出精度で充分であり、高精度の位置検出を行うGPS装置は要求されない。
【0027】
第3発明及び第12発明にあっては、車両が位置する地域の設定を地域受付手段が受け付けるため、受け付けた位置に応じて放送電波の周波数を特定すると共に商の値を算出し、変調用周波数の設定対象の周波数の個数を増加させて最適な変調用周波数を設定できる。また、地域受付手段を設けているので、GPS装置のような車両位置検出手段を設ける必要もなくなり、車両位置検出に係るシステムの処理負担を軽減できる。
【0028】
なお、地域受付手段としては、例えば、「近畿」「東海」「四国」等の各地域に対応したスイッチを備えた装置が該当し、このような装置を車室に設けて、車両の搭乗者が前記スイッチを操作することで、現在の地域を容易に設定できる。よって、このようにスイッチ操作の設定で受け付けた地域に対応する周波数を、放送電波の周波数と地域とを対応させた周波数テーブルを参照することで容易に特定できる。
【0029】
第4発明にあっては、ラジオ受信器、テレビ受信器のような受信器が作動状態である場合のみ変調用周波数の設定を行うので、輻射ノイズの影響低減及び通信速度の低下抑制の両立を図れる。即ち、受信器が作動状態の場合は、変調用周波数を設定すると共に設定した変調用周波数で信号を変調して送信するので、輻射ノイズの影響を低減できる。一方、受信器が非作動状態の場合は、受信器による受信障害が生じないので通信速度を優先とした変調が可能となり、通信速度の低下を防止できる。
【0030】
第5発明及び第10発明にあっては、受信器が放送電波の受信状態である場合、受信中の放送電波の周波数及び該周波数を整数で除した商の値のみを除いて変調用周波数を設定するので、変調用の周波数帯域に残存する設定対象の周波数の個数を更に多くでき、通信速度の低下を最小限に抑えた上で輻射ノイズの影響を低減できる。
【0031】
第6発明にあっては、商を算出する整数を適宜設定できるので、輻射ノイズの影響低減及び通信速度の低下等のバランスを考慮して最適な変調用周波数を設定できる。即ち、車両でラジオ及びテレビジョンの音声を聞く場合、ロードノイズ及び風切り音等の影響から、音声に多少ノイズが混在しても支障はない。
【0032】
この支障が生じないレベルは、車両の種類、グレード、走行箇所及び気象条件等の諸般の事情により変化し、例えば、元来発生するノイズが多い車両では、低いレベルで変調用周波数と商の値とが一致しても、音声の聞き取りに影響は生じない。一方、元来発生するノイズが小さい車両では、低いレベルでも変調用周波数と商の値とが一致すれば、音声の聞き取りに影響を生じる。よって、連続する整数の最大の値が7〜9程度の範囲とした場合、発生するノイズが多い車両では、最大の値を小さくして「7」と設定することが好ましく、発生するノイズが小さい車両では最大の値を大きくして「9」と設定することが好ましい。
【0033】
第7発明にあっては、放送電波の強度に応じて最大の整数を設定するので、受信状態に応じた商の値の算出が可能になる。即ち、放送電波の受信強度が強い場合、電波レベルが高いため輻射ノイズによる影響の比率が低くなり、低いレベルで変調用周波数と商の値とが一致しても、輻射ノイズによる受信障害の影響は低くなる。一方、放送電波の受信強度が弱い場合、電波レベルが低いため輻射ノイズによる影響の比率も高くなり、低いレベルでも変調用周波数が商の値と一致すると、輻射ノイズによる受信障害の影響は高くなる。
【0034】
よって、連続する整数の最大の値が7〜9程度の範囲とした場合、放送電波の受信強度が強いときは、最大の整数として範囲の中で最も小さい「7」を設定し、放送電波の受信強度が弱い場合は、最大の整数として範囲の中で最も大きい「9」を設定する。このような設定を行うことで、放送電波の受信強度が強い場合は、設定対象として残存する変調用周波数の個数が多くなり、通信速度の低下を抑えた設定が可能になる。また、放送電波の受信強度が弱い場合、低いレベルまで変調用周波数と商の値とが重複しないようにして確実に輻射ノイズの影響を低減できる。
【0035】
第8発明にあっては、変調用周波数を復調手段へ伝送するので、復調手段は使用されていない変調用周波数の数値を認識でき、この認識した数値に基づいた復調処理を実現でき、復調処理の精度を向上できる。なお、変調調周波数の復調手段への伝送は、バスリセット時、システムリセット時、受信器の放送電波の受信開始時、受信器の放送電波の受信終了時、最大の整数を変更した時、及び、通信を行う前となるシステム起動時等に行うことが好ましく、通信に使用する全周波数帯域を用いて一度に伝送することが効率的である。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る車両内通信システム1の全体的な構成を示している。車両内通信システム1は車両Sに構築されており、第1実施形態では、車載機器として通信用ECU11、左ドアECU12及び右ドアECU13をバッテリ17からの給電用である給電線14で接続し、この給電線14を通じて各ECU11〜13の間で電力線搬送による多重通信を行っている。
【0037】
また、車両Sにはラジオ用の放送電波を受信するラジオ受信器15及び車両Sの位置を検出するGPS装置16が搭載してある。ラジオ受信器15は第1信号線18により通信用ECU11と接続されており、図示しない作動スイッチがオンされて作動状態である時は、第1信号線18を通じて通信用ECU11へ作動通知信号を送出している。この作動通知信号にはラジオ受信器15が受信する放送電波の受信強度に係る情報も含まれており、本実施形態では「強」「普通」「弱」の3段階の受信強度に応じた情報を含ませている。
【0038】
一方、GPS装置16は車両位置検出手段に相当し、第2信号線19により通信用ECU11と接続されており、第2信号線19を通じて検出した位置に係る緯度及び経度データを通信用ECU11へ送出している。
【0039】
通信用ECU11は、周波数設定装置に相当し、電力線搬送による多重通信の搬送波の周波数である変調用周波数を、ラジオ受信器15が受信障害を起こさないように設定している。
【0040】
図2に示すように、通信用ECU11は、ROM11a、RAM11b及びCPU11cを備えており、給電線14、第1信号線18及び第2信号線19との接続用に通信インタフェース部11d、第1コネクタ部11e及び第2コネクタ部11fを有している。
【0041】
ROM11aは記憶手段に相当し、CPU11cに後述する各種手段として機能させるためのプログラム及び図3に示す周波数テーブル21を記憶している。周波数テーブル21は、AM及びFMのラジオ用の放送電波の周波数と、該周波数の放送電波を受信できる地域を対応させたものである。例えば、地域として「近畿」に対応する周波数として、AM(kHz)では558〜1557の計14個の周波数が記録してあり、FM(MHz)では76.5〜89.9の計9個の周波数が記録してある。
【0042】
また、ROM11aは、周波数テーブル21に記載された「北海道」及び「東北」等の各地域に対して、地域の境界に係る緯度及び経度のデータも記憶している。
RAM11bは、CPU11cが行う各種処理に係るデータ及びファイル等を一時的に記憶するものである。
【0043】
CPU11cは、ラジオ受信器15が作動状態であるか否かを検出する検出手段、ラジオ受信器15の放送電波の受信強度を検知する受信強度検出手段、現在の車両Sが位置する地域を特定する地域特定手段、地域に対応する周波数を特定する特定手段、商の値を算出する際の最大の整数の設定を行う最大整数設定手段、商を算出する算出手段、及び、変調用周波数を設定する設定手段として機能する。
【0044】
CPU11cの検出手段は、第1信号線18との接続を行う第1コネクタ部11eを介してラジオ受信器15からの作動通知信号を受け付けるか否かでラジオ受信器15が受信状態であるかを検出している。
CPU11cの受信強度検出手段は、第1コネクタ部11eで受け付けた作動通知信号に含まれる「強」「普通」「弱」と云う受信強度の3段階のレベルを検出している。
【0045】
CPU11cの地域特定手段は、第2コネクタ部11fで受け付けたGPS装置16からの緯度及び経度データを、ROM11aに記憶されている各地域の境界に係る緯度及び経度のデータと比較して、現在の車両Sの位置がいずれの地域に含まれるかを特定している。
【0046】
CPU11cの特定手段は、上述したように地域特定手段により特定された地域に対応する周波数をROM11aに記憶された図3に示す周波数テーブル21に基づいて特定している。例えば、地域特定手段により現在の車両Sは「近畿」に位置すると特定された場合、「近畿」に対応する周波数として周波数テーブル21からAM用及びFM用を併せて計23個の周波数を特定する。
【0047】
CPU11cの最大整数設定手段は、後述する算出手段で特定手段が特定した周波数を除算する連続する整数の中で最大の値を設定するものである。ラジオ受信器15に受信障害を生じさせる可能性のある変調用周波数は、図3の周波数テーブル21に記載された各周波数に加えて、各周波数を整数で除した商の値(以下、分周数と称す)と同一場合にも受信障害を生じさせるため、分周数も変調用周波数と相異させる必要がある。
【0048】
また、受信障害は「40」、「50」等の整数で除算を行った分周数でも生じるが、人間が実感できるレベルは、一般に最大の整数が7〜9の範囲であり、本実施形態の最大整数設定手段は、受信強度に応じて7〜9の範囲に対して最大の整数を設定している。具体的には、受け付けた作動通知信号に含まれる受信強度の情報が「強」のときは最大の整数を「7」に設定し、受信強度の情報が「普通」のときは最大の整数を「8」に設定し、受信強度の情報が「弱」のときは最大の整数を「9」に設定する。
【0049】
CPU11cの算出手段は、上述したように特定手段により特定された各周波数を最大整数設定手段が設定した最大の整数まで連続する整数で除算を行うことで分周数を算出するものである。例えば、車両Sが「近畿」に位置すると特定されると共に最大の整数が「7」に設定された場合、「近畿」に対応する周波数の中の1つである558kHzに対して2〜7の連続する整数で順次除算を行うことで、計6個の分周数を算出する。以降、「近畿」に対応する残りの22個の周波数に対しても同様に分周数を算出し、結局、最大の整数が「7」に設定された場合では、「近畿」の各周波数に対する分周数の数は、138個になる。
【0050】
CPU11cの設定手段は、電力線搬送による搬送波の変調用周波数を設定するものである。第1実施形態では変調用の周波数帯域として0.5MHz〜700MHzを用意しており、特定手段が特定した周波数及び分周数と変調用周波数とが相異するように、前記周波数帯域から特定された周波数及び分周数を除き、除かれた中から搬送波の変調用周波数を設定している。
【0051】
よって、上述した例のように、車両Sが「近畿」に位置する場合は、先ず、0.5MHz〜700MHzの周波数帯域から23個の周波数及び138個の分周数が除かれて、これらの数値が除かれた上記周波数帯域の中からOFDM用の複数の搬送波毎に変調用周波数を設定している。このように変調用周波数を設定することで、変調用周波数とラジオ用の放送電波の周波数及びラジオ用周波数の分周数が受信影響を感じられるレベルで重複することが無くなり、搬送波の輻射ノイズがラジオ受信器15の受信に影響を及ぼすことを解消している。
【0052】
なお、設定手段は、ラジオ用の周波数及び該周波数の分周数が除かれた周波数帯域の中から変調用周波数を設定する場合、通信速度及び安定した通信性等を考慮して、できるだけ大きい数値を変調用周波数として設定するようにしている。また、設定手段は、上述したCPU11cの検出手段が、ラジオ受信器15は作動状態でないと検出したとき、周波数帯域からラジオ用の周波数及び分周数を除くことなく、全周波数帯域から最適な変調用周波数を選択して設定するようにしている。
【0053】
上述したようにCPU11cの設定手段が設定した各変調用周波数は、伝送手段及び周波数伝送手段に相当する通信インタフェース部11dに渡されて、通信インタフェース部11dにより、電力線搬送に係る処理を経て給電線14を通じて左ドアECU12及び右ドアECU13へ伝達される。よって、通信インタフェース部11dは、電力線搬送に対応するため、図2に示す左ドアECU12の送信に必要な各部(直並列変換部から送信用バンドパスフィルタ)を備える。
【0054】
左ドアECU12及び右ドアECU13は、車両Sの左右ドアのロック、ロック解除及び窓ガラスの開閉等と云ったドア関係の各種作動の制御を行う車載機器であり、制御に伴う信号を左ドアECU12と右ドアECU13との間で送受信する。各ドアECU12、13は信号の送信方向に応じて送信側及び受信側の両方になり得るため、通信に係る部分は左ドアECU12と右ドアECU13とも同様の構成にしており、以下、各ドアECU12、13の内部構成を左ドアECU12で代表して説明する。
【0055】
図4は、左ドアECU12の内部構成を示しており、図10の第1車載機器2の送信側の構成及び第2車載機器3の受信側の構成と相異する点として周波数処理部12rを設けていることが挙げられる。周波数処理部12rは、通信用ECU11が伝送した変調用周波数を左ドアECU12の内部で変調手段である搬送波生成部12g及び復調手段である発振器12qに伝達する処理を行う。
【0056】
なお、通信用ECU11から電力線搬送により伝送され変調用周波数に係る信号は、左ドアECU12のコネクタ12hを通じて受信用バンドパスフィルタ12jから並直列変換部12pへ至る復調処理を経てから内部信号線12sを通じて周波数処理部12rへ伝達される。さらに、周波数処理部12rは、図示しない内部メモリに信号処理用のレジスタを確保しており、送信処理に係る直並列変換部12a、逆フーリエ変換部12b及び並直列変換部12c、並びに、受信側の直並列変換部12m、フーリエ変換部12n及び並直列変換部12pと接続されて各種処理に係るデータを一時的に記憶することも行う。
【0057】
また、左ドアECU12は、送信処理を行うために、シリアルの送信用デジタル信号をパラレルに変換する直並列変換部12a、パラレルの信号を時間軸に係る時系列信号に変換する逆フーリエ変換部12b、時系列信号をシリアルに変換する並直列変換部12d、デジタル信号をアナログ信号に変換するD/A変換部12d、アナログ信号から高周波ノイズを除去するローパスフィルタ12e、搬送波生成部12g及び送信用バンドフィルタ12を備えている。
【0058】
搬送波生成部12gは、変調用の搬送波を生成するものであり、本実施形態ではOFDM用の夫々直交する複数の搬送波の生成を行う。これら各搬送波の周波数には、周波数処理部12rから伝達される変調用周波数の数値を用いており、生成した各搬送波に、上述したローパスフィルタ12eを通過した送信用の信号を重畳して変調を行う。なお、このように変調された信号は送信用バンドパスフィルタ12fを通過して、コネクタ12hより外部へ送出される。
【0059】
さらに、左ドアECU12は、受信処理を行うために、外部から電力線搬送されてコネクタ12hを通じて受け付けた信号に対してフィルタ処理を行う受信用バンドパスフィルタ12j、フィルタ処理が行われた信号に復調処理を行う発振器12qを備える。発振器12qは、周波数処理部12rから伝達された各変調用周波数に基づいて復調処理を行う。
【0060】
また、左ドアECU12は、他の受信処理を行うために、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換部12k、シリアルのデジタル信号をパラレルに変換する直並列変換部12m、パラレルの信号に対して時間的に変化する波形の周波数成分を抽出するフーリエ変換部12n、及び、パラレルの信号をシリアルに変換して信号を元の状態に戻す並直列変換部12pを備えている。
【0061】
なお、並直列変換部12pは、元の状態に戻した信号が通信用ECU11から送出された変調用周波数に係るものである場合、内部信号線12sを通じて周波数処理部12rへ伝達し、右ドアECU13からの信号である場合、左ドアECU12の図示しない内部の信号処理部へ伝達する。
【0062】
また、図2に示す左ドアECU12では、信号を送信する際に必要な各部分12a、12b等のみを示しており、右ドアECU13では、信号を受信する際に必要な各部分13h、13j等のみを示している。
【0063】
次に、第1実施形態の車両内通信システム10の変調用周波数の設定、設定された変調用周波数に基づく通信に至る車両内通信方法に係る一連の処理を図5、6の第1フローチャート及び第2フローチャートに基づいて説明する。
【0064】
図5の第1フローチャートは、車両内通信システム10における通信用ECU11の変調用周波数の設定に係る処理を示しており、先ず、通信用ECU11は、ラジオ受信器15が作動中であるか否かを、作動通知信号の有無で判断している(S1)。ラジオ受信器15が作動中であると判断した場合(S1:YES)、GPS装置16が検出した車両Sの位置を含む地域を特定し(S2)、特定した地域に応じたラジオ用の放送電波の周波数を図3の周波数テーブル21に基づき特定する(S3)。
【0065】
次に、特定した周波数を整数で除して分周数を算出し(S4)、変調用の周波数帯域より上記特定した周波数及び分周数を除外し(S5)。除外された周波数帯域の中からOFDM用の搬送波の変調用周波数を設定する(S6)。一方、最初の段階(S1)で、通信用ECU11が、ラジオ受信器15が作動中でないと判断した場合(S1:NO)は、変調用の周波数帯域から特定の周波数を除外することなく、周波数帯域の全域の中から変調用周波数を設定する(S8)。なお、通信用ECU11は、良好な通信性を確保するために、できるだけ通信速度が高くなるように各変調用周波数を設定する。
【0066】
最後に、通信用ECU11は上述した段階(S6又はS8)で設定した変調用周波数を左ドアECU12及び右ドアECU13へ伝送する(S7)。このように設定した変調用周波数を各ドアECU12、13へ伝送することで、各ドアECU12、13は設定された変調用周波数に基づき変復調が可能となる。
【0067】
図6の第2フローチャートは、車両内通信システム10における左ドアECU12から右ドアECU13へ信号を送信する場合の通信処理を示している。先ず、左ドアECU12及び右ドアECU13は、通信用ECU11から伝送された変調用周波数の受付を行う(S10)。次に、左ドアECU12は、OFDM用の搬送波を受け付けた変調用周波数に基づいて生成し(S11)、送信用の信号を搬送波に重畳して変調し、電力線搬送で送信する(S12)。
【0068】
一方、右ドアECU13は、左ドアECU12から送信された信号の受付を行い(S13)、受け付けた信号を変調用周波数に基づいて復調し(S14)、A/D変換、直並列変換及びフーリエ変換等を経て元の信号を得ている。このように車両内通信システム10では、ラジオ受信器15が受信中の場合は、ラジオ用の周波数及び該周波数の分周数を除外して設定した変調用周波数の搬送波を用いるため、ラジオ受信器15に受信障害が生じることなく通信を行える。
【0069】
また、ラジオ受信器15が作動スイッチのオフにより非作動状態である場合は、ラジオ用周波数を考慮することなく、変調用の周波数帯域の全体から変調用周波数を設定するため、通信速度及び通信の安定性等を優先にした設定の通信が可能となる。
【0070】
なお、車両内通信システム10は、右ドアECU13から左ドアECU12へ信号を送信する場合も、左ドアECU12から右ドアECU13へ信号を送信する場合の処理を逆にすることで行うことができる。また、車両内通信システム10、車両内通信方法及び通信用ECU11等は上述した形態に限定されるものではなく、種々の変形例の適用が可能である。
【0071】
例えば、本発明は、電力線搬送による多重通信以外の他の形態の通信にも適用可能であり、振幅変調、位相変調、周波数変調及び多値変調等で通信を行う場合にも、放送電波の周波数及び該周波数の分周数と一致しないように搬送波の変調用周波数を設定できる。また、第1実施形態は、ラジオ受信器15を備える車両Sに対して説明したが、各地域に対応したテレビジョン用の放送電波の周波数を記録した周波数テーブルを通信用ECU11のROM11aに記憶させることで、テレビ受信器だけを備える車両、並びに、ラジオ受信器及びテレビ受信器の両方を備える車両に対しても本発明を適用できる。
【0072】
また、第1実施形態では、ラジオ受信器15が作動状態の場合に、周波数及び分周数を除外した中から変調用周波数を設定しているが、ラジオ受信器15の作動状態に関係なく、常に周波数及び分周数を除外した中から変調用周波数を設定するようにしてもよい。このようにすることで搬送波の変調用周波数は常時ラジオ用の放送電波の各周波数及び各分周数と相異し、安定した通信が可能になると共に、ラジオ受信器の作動及び非作動毎に変調用周波数を変更することもなくなりシステムの処理負担も軽減できる。
【0073】
なお、上述したようにラジオ受信器15の作動状態を検出しない場合は、ラジオ受信器15から作動通知信号を出力する機能を省略して、ラジオ受信器15を車両内通信システム10から切り離すと共に、通信用ECU11のラジオ受信器15の作動状態の検出に係る機能を省略することも可能になる。
【0074】
さらに、設定された変調用周波数は通信用ECU11から受信側となるドアECUへ伝送する以外に、最初に通信用ECU11が送信側となるドアECUへ変調用周波数を伝送してから、送信側のドアECUから受信側となるドアECUへ送信するようにしてもよい。さらに、また、伝送する内容は、設定された変調用周波数ではなく、ラジオ用の放送電波の各周波数及び各分周数を伝送して、伝送された側で変調用周波数を設定するようにしてもよい。
【0075】
また、分周数を算出する整数の設定は、ラジオ受信器15の受信強度に応じて設定するのではなく、図7に示すタッチパネル機能を備えたモニタ装置22を通信用ECU11に接続すると共に、画面22aに「0」〜「9」の整数の入力設定を受け付けるようにして、受け付けた整数を最大整数として通信用ECU11へ伝送するようにしてもよい。このようにモニタ装置22を最大整数受付手段として機能させることで、放送電波の受信強度以外の他の要因を考慮して一段と詳細に分周数を算出することが可能となり、輻射ノイズの影響をより確実に抑えることができる。
【0076】
図8は、本発明の第2実施形態に係る車両内通信システムに適用されるタッチパネル機能を備えたモニタ装置23を示している。第2実施形態の車両内通信システムは、図1に示す第1実施形態に係る車両内通信システム10において、GPS装置16の代わりにモニタ装置23を接続した以外は略同等の構成にしている。このため、以下の説明では、モニタ装置23以外は、第1実施形態と同様の符号を用いて説明する。
【0077】
モニタ装置23は地域の設定を受け付ける地域受付手段として機能し、画面23aに地域毎の各スイッチ24を表示するようにしている。各スイッチ24のいずれかが触れられて選択されると、選択された地域の設定が受け付けられて、設定対象の地域が第2信号線19を通じて通信用ECU11へ伝送される。
【0078】
通信用ECU11の構成及び処理は第1実施形態と基本的に同様であり、CPU11cの特定手段が、モニタ装置23が設定を受け付けた地域に応じて周波数を特定することのみが相異する。即ち、CPU11cの特定手段は、モニタ装置23から伝送された地域を第2コネクタ部11fを介して受け付けて、地域に対応するラジオ用の放送電波の周波数を図3に示す周波数テーブル21に基づいて特定する。
【0079】
このようにモニタ装置23で地域を特定することで、GPS装置とGPS用の人工衛星との通信が不確実な場所でも地域の特定を確実に行うことが可能になり、また、地域の特定に係る処理負担も低減できる。なお、上述した箇所以外は第1実施形態と同様に処理されて変調用周波数が設定されて、この設定された変調用周波数の搬送波により通信が行われる。また、第1実施形態における各種変形例も第2実施形態の発明に適用可能である。
【0080】
図9の第3フローチャートは、本発明の第3実施形態に係る車両内通信システムにおける通信用ECUの変調用周波数の設定の処理を示している。第3実施形態の車両内通信システムは、図1に示す第1実施形態に係る車両内通信システム10において、GPS装置16を省略した以外は略同等の構成にしている。このため、以下の説明では、第1実施形態と同様の符号を用いて説明する。
【0081】
第3実施形態のラジオ受信器15は、ラジオ用の放送電波の受信中に受信状態である受信通知信号を通信用ECU11へ伝送し、この受信通知信号に受信中の放送電波の周波数を含ませる仕様にしている。一方、通信用ECU11は、ROM11aには図3に示すような周波数テーブル21を記憶しておらず、CPU11cは、ラジオ受信器15からの受信通知信号の有無によりラジオ受信器15が放送電波の受信状態であるか否かを検出する検出手段、及び、受信通知信号に含まれた受信中の周波数を検出する周波数検出手段として機能している。
【0082】
また、CPU11cの算出手段は検出された周波数に対して分周数を算出し、さらに、CPU11cの設定手段は、前記周波数及び分周数と相異するように変調用周波数を設定するようにしている。上述した箇所以外は、第1実施形態と同様な処理を行う。
【0083】
次に、図9の第3フローチャートに基づいて、第3実施形態の車両内通信システムの通信用ECU11が行う一連の処理を説明する。
先ず、通信用ECU11は、ラジオ受信器15が受信中であるか否かを受信通知信号の有無で判断し(S20)。受信中であると判断した場合(S20:YES)、受信通知信号に含まれる受信中のラジオの周波数を検出する(S21)。この検出した周波数を整数で除して分周数を算出し(S22)、変調用の周波数帯域より上記検出した周波数及び分周数を除外し(S23)、除外された周波数帯域の中から搬送波の変調用周波数を設定する(S24)。
【0084】
一方、最初の段階(S20)でラジオ受信器15が受信中でないと判断した場合(S20:NO)は、変調用の周波数帯域から特定の周波数を除外することなく、周波数帯域の全域の中から変調用周波数を設定する(S26)。最後に、通信用ECU11は上述した段階(S24又はS26)で設定した変調用周波数を左ドアECU12及び右ドアECU13へ伝送する(S25)。なお、上述した箇所以外は第1実施形態と同様に処理されて変調用周波数が設定されて、この設定された変調用周波数の搬送波により通信が行われる。
【0085】
このように第3実施形態では、実際に受信中の周波数のみに対して除外する対象の数を決定するので、除外される数が僅かとなり、変調用周波数を設定できる対象が増加し、ラジオ受信器15が受信中であっても、通信速度の低下及び通信安定性等が不受信中に比べてできるだけ悪化しないように配慮して変調用周波数を設定できる。また、第1実施形態における各種変形例も第3実施形態の発明に適用可能である。
【0086】
【発明の効果】
以上に詳述した如く、第1発明、第9発明及び第11発明にあっては、放送電波の周波数及び分周数と相異する変調用周波数の搬送波で通信を行うので、搬送波の輻射ノイズによる影響を低減できる。
第2発明にあっては、車両の位置に応じて周波数テーブルに基づき放送電波の周波数を特定するので、変調用周波数の設定対象となる数値を絞り込むことができ、変調用周波数を設定する自由度が向上し、通信速度及び通信安定性等を考慮した設定が可能になる。
【0087】
第3発明及び第12発明にあっては、車両が位置する地域の設定を受け付けるため、車両位置の検出が困難な状況でも確実に地域に応じた放送電波の周波数を特定でき、変調用周波数の設定対象の周波数の個数を増加させて最適な変調用周波数の設定を可能にすると共に、車両位置検出に係るシステムの処理負担を軽減できる。
第4発明にあっては、受信器が作動状態である場合のみに変調周波数の設定を行うので、確実に輻射ノイズの影響を低減できると共に、受信器が非作動状態である場合は、通信速度及び通信安定性を優先にした変調用周波数の設定が可能になる。
【0088】
第5発明及び第10発明にあっては、受信器が放送電波の受信状態である場合、受信中の放送電波の周波数及び該周波数の分周数を除いて変調用周波数を設定するので、変調周波数の設定対象の個数を多くでき、通信速度の低下を最小限に抑えた上で輻射ノイズの影響も低減できる。
【0089】
第6発明にあっては、分周数を算出する整数を適宜設定できるので、車両周囲の状況及び通信状況等を考慮して最適な変調用周波数を設定できる。
第7発明にあっては、放送電波の強度に応じて最適な変調用周波数を設定できる。
第8発明にあっては、変調用周波数を復調手段へ伝送するので、設定された変調用周波数に基づいて効率的に復調処理を行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る車両内通信システムの全体構成図である。
【図2】第1実施形態の車両内通信システムの機器同士の接続状況、及び、各機器の内部の要部構成を示す概略図である。
【図3】周波数テーブルの概略図である。
【図4】左ドアECUの内部構成図である。
【図5】変調用周波数の設定に係る第1フローチャートである。
【図6】通信に係る第2フローチャートである。
【図7】最大の整数の設定を受け付けるモニタ装置の概略図である。
【図8】第2実施形態に係るモニタ装置の概略図である。
【図9】第3実施形態の変調用周波数の設定に係る第3フローチャートである。
【図10】従来の車両内通信システムに係る概略図である。
【符号の説明】
10 車両内通信システム
11 通信用ECU
11a ROM
11c CPU
12 左ドアECU
12g 搬送波生成部
12r 周波数処理部
13 右ドアECU
13q 発振器
13r 周波数処理部
14 給電線
15 ラジオ受信器
16 GPS装置
21 周波数テーブル
22、23 モニタ装置
S 車両
Claims (12)
- 変調手段で変調した信号を送信する送信側車載機器及び受信した信号を復調手段で復調する受信側車載機器を備える車両内通信システムにおいて、
放送電波の周波数を記憶する記憶手段と、
前記周波数を整数で除して商を算出する算出手段と、
前記周波数及び商と相異する変調用周波数を設定する設定手段と、
該設定手段が設定した変調用周波数を前記変調手段へ伝送する伝送手段と
を備え、
前記変調手段は、
前記伝送手段が伝送した変調用周波数で信号を変調する手段を備えることを特徴とする車両内通信システム。 - 変調手段で変調した信号を送信する送信側車載機器及び受信した信号を復調手段で復調する受信側車載機器を備える車両内通信システムにおいて、
車両の位置を検出する車両位置検出手段と、
放送電波の周波数及び該周波数の放送電波の受信に応じた地域を対応させた周波数テーブルと、
前記車両位置検出手段が検出した位置を含む地域を特定する地域特定手段と、
該地域特定手段が特定した地域に対応する周波数を前記周波数テーブルに基づいて特定する特定手段と、
該特定手段が特定した周波数を整数で除して商を算出する算出手段と、
前記周波数及び商と相異する変調用周波数を設定する設定手段と、
該設定手段が設定した変調用周波数を前記変調手段へ伝送する伝送手段と
を備え、
前記変調手段は、
前記伝送手段が伝送した変調用周波数で信号を変調する手段を備えることを特徴とする車両内通信システム。 - 変調手段で変調した信号を送信する送信側車載機器及び受信した信号を復調手段で復調する受信側車載機器を備える車両内通信システムにおいて、
放送電波の周波数及び該周波数の放送電波の受信に応じた地域を対応させた周波数テーブルと、
地域の設定を受け付ける地域受付手段と、
該地域受付手段が受け付けた地域に対応する周波数を前記周波数テーブルに基づいて特定する特定手段と、
該特定手段が特定した周波数を整数で除して商を算出する算出手段と、
前記周波数及び商と相異する変調用周波数を設定する設定手段と、
該設定手段が設定した変調用周波数を前記変調手段へ伝送する伝送手段と
を備え、
前記変調手段は、
前記伝送手段が伝送した変調用周波数で信号を変調する手段を備えることを特徴とする車両内通信システム。 - 放送電波の受信器と、
該受信器が作動状態であるか否かを検出する検出手段と
を更に備え、
前記設定手段は、
前記検出手段が前記受信器の作動状態を検出した場合、変調用周波数を設定する手段を備える請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の車両内通信システム。 - 変調手段で変調した信号を送信する送信側車載機器及び受信した信号を復調手段で復調する受信側車載機器を備える車両内通信システムにおいて、
放送電波の受信器と、
該受信器が放送電波の受信状態であるか否かを検出する検出手段と、
該検出手段が受信状態を検出した場合、受信する放送電波の周波数を検出する周波数検出手段と、
該周波数検出手段が検出した周波数を整数で除して商を算出する算出手段と、
前記周波数及び商と相異する変調用周波数を設定する設定手段と、
該設定手段が設定した変調用周波数を前記変調手段へ伝送する伝送手段と
を備え、
前記変調手段は、
前記伝送手段が伝送した変調用周波数で信号を変調する手段を備えることを特徴とする車両内通信システム。 - 前記整数は連続する数であり、
該整数の中で最大の整数の設定を受け付ける最大整数受付手段を更に備える請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の車両内通信システム。 - 前記整数は連続する数であり、
前記受信器の放送電波の受信強度を検出する受信強度検出手段と、
該受信強度検出手段が検知した受信強度に応じて前記整数の中で最大の整数の設定を行う最大整数設定手段と
を更に備える請求項4又は請求項5に記載の車両内通信システム。 - 前記設定手段が設定した変調用周波数を前記復調手段へ伝送する周波数伝送手段を更に備え、
前記復調手段は、
前記周波数伝送手段が伝送した変調用周波数に基づき信号を復調する手段を備える請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の車両内通信システム。 - 送信側車載機器が変調手段で変調した信号を送信し、送信された信号を受信側車載機器が受信して復調手段で復調する車両内通信方法において、
放送電波の周波数を整数で除して商を算出し、
前記周波数及び商と相異する変調用周波数を設定し、
該変調用周波数を前記変調手段へ伝送し、
前記変調手段は、
伝送された変調用周波数で信号を変調することを特徴とする車両内通信方法。 - 放送電波の受信器を備える車両内で、送信側車載機器が変調手段で変調した信号を送信し、送信した信号を受信側車載機器が受信して復調手段で復調する車両内通信方法において、
前記受信器が放送電波の受信状態であるか否かを検出し、
受信状態を検出した場合、受信する放送電波の周波数を検出し、
検出した周波数を整数で除して商を算出し、
前記周波数及び商と相異する変調用周波数を設定し、
該変調用周波数を前記変調手段へ伝送し、
前記変調手段は、
伝送された変調用周波数で信号を変調することを特徴とする車両内通信方法。 - 放送電波の周波数を記憶する記憶手段と、
前記周波数を整数で除して商を算出する算出手段と、
前記周波数及び商と相異する変調用周波数を設定する設定手段と、
該設定手段が設定した変調用周波数を外部へ伝送する伝送手段と
を備えることを特徴とする周波数設定装置。 - 放送電波の周波数並びに該周波数の放送電波の受信に応じた地域を対応させた周波数テーブルと、
地域の設定を受け付ける地域受付手段と、
該地域受付手段が受け付けた地域に対応する周波数を前記周波数テーブルに基づいて特定する特定手段と、
該特定手段が特定した周波数を整数で除して商を算出する算出手段と、
前記周波数及び商と相異する変調用周波数を設定する設定手段と、
該設定手段が設定した変調用周波数を外部へ伝送する伝送手段と
を備えることを特徴とする周波数設定装置。
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