JP2004210645A - 有害な植物寄生性線虫防除方法 - Google Patents
有害な植物寄生性線虫防除方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004210645A JP2004210645A JP2002378876A JP2002378876A JP2004210645A JP 2004210645 A JP2004210645 A JP 2004210645A JP 2002378876 A JP2002378876 A JP 2002378876A JP 2002378876 A JP2002378876 A JP 2002378876A JP 2004210645 A JP2004210645 A JP 2004210645A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- nematode
- nematodes
- culture
- harmful plant
- parasitic
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)
Abstract
【課題】線虫防除における化学農薬を補完でき、又は、代わりうるような効果的な線虫防除方法等を提供すること。
【解決手段】線虫に寄生するパスツーリア属細菌(Pasteuria spp.)と、糸状菌であるミロテシウム・べルカリア(Myrothecium verrucaria)を培養して得られる抗線虫活性を有する培養物又はその等価物との両者としての有効量を、保護すべき作物、有害な植物寄生性線虫又は有害な植物寄生性線虫の生息場所に施用することを特徴とする有害な植物寄生性線虫防除方法等。
【選択図】 なし
【解決手段】線虫に寄生するパスツーリア属細菌(Pasteuria spp.)と、糸状菌であるミロテシウム・べルカリア(Myrothecium verrucaria)を培養して得られる抗線虫活性を有する培養物又はその等価物との両者としての有効量を、保護すべき作物、有害な植物寄生性線虫又は有害な植物寄生性線虫の生息場所に施用することを特徴とする有害な植物寄生性線虫防除方法等。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有害な植物寄生性線虫防除方法等に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
有害な植物寄生性線虫(以下、単に線虫と記すこともある。)とは、高等植物に栄養を依存しながら生育する線虫類を指し、これらは、人間生活にとって重要な農作物や園芸作物等に寄生する。その寄生範囲は極めて広く、高等植物の殆ど総てに渡るために、世界中で農業上重大な被害を与えている。
【0003】
現在、農業分野における線虫による被害の除去や抑制には、一般的には、クロロピクリン、メチルブロマイド、ダゾメット、アルディカーブ、オキサミル、ホスチアゼート等の化学農薬による防除方法が主として利用されているが、これらの化学農薬だけでは、必ずしも十分な線虫防除が実施できない場合があり、線虫防除における化学農薬を補完でき、又は、代わり得るような他の効果的な線虫防除方法の開発が求められていた。
このような要望に応えるための一つの候補技術として、線虫に寄生するパスツーリア属細菌(Pasteuria spp.)が有害な植物寄生性線虫による作物の被害を軽減しうることがすでに知られている(例えば、非特許文献1参照。)。しかしながら、パスツーリア属細菌は、線虫絶対寄生菌であるために人工培地による大量増殖ができないことから、安価に大量な菌体を得ることは容易ではなく、如何なる場面においても容易に利用できるものではなかった。
【0004】
一方、他の一つの候補技術として、糸状菌であるミロテシウム・ベルカリア(Myrothecium verrucaria)ATCC 46474菌株を培養して得られる抗線虫活性を有する培養物が、有害な植物寄生性線虫に対して防除効果を示すことが知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、上記の培養物だけでは、上記の防除効力が必ずしも十分であるとは言えない場合があった。
【0005】
【特許文献1】
米国特許第5,051,255号
【非特許文献1】
Phytopathology, Vol.74, pp.55-60 (1984)
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる状況のもと鋭意検討した結果、線虫に寄生するパスツーリア属細菌(Pasteuria spp.)と、糸状菌であるミロテシウム・べルカリア(Myrothecium verrucaria)を培養して得られる抗線虫活性を有する培養物又はその等価物との組み合わせ使用が有害な植物寄生性線虫防除のために極めて有効な手段であることを見出し、さらには、線虫に寄生するパスツーリア属細菌(Pasteuria spp.)の使用量を低減させることに成功し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は、
1.線虫に寄生するパスツーリア属細菌(Pasteuria spp.)と、糸状菌であるミロテシウム・べルカリア(Myrothecium verrucaria)を培養して得られる抗線虫活性を有する培養物又はその等価物との両者としての有効量を、保護すべき作物、有害な植物寄生性線虫又は有害な植物寄生性線虫の生息場所に施用することを特徴とする有害な植物寄生性線虫防除方法(以下、本発明方法と記すこともある。);
2.有害な植物寄生性線虫防除のための、線虫に寄生するパスツーリア属細菌(Pasteuria spp.)と、糸状菌であるミロテシウム・べルカリア(Myrothecium verrucaria)を培養して得られる抗線虫活性を有する培養物又はその等価物との組み合わせ使用(以下、本発明使用と記すこともある。);
3.線虫に寄生するパスツーリア属細菌(Pasteuria spp.)と、糸状菌であるミロテシウム・べルカリア(Myrothecium verrucaria)を培養して得られる抗線虫活性を有する培養物又はその等価とを含有することを特徴とする有害な植物寄生性線虫防除剤(以下、本発明防除剤と記すこともある。);
等を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明における「パスツーリア属細菌(Pasteuria spp.)」とは、例えば、二叉分枝により内生胞子(endospore)を形成するグラム陽性の細菌であって、当該細菌は高等植物に栄養を依存しながら生育する線虫類に絶対寄生する性質を有している。代表的なものとしては、例えば、ネコブセンチュウに寄生するパスツーリア・ペネトランス(Pasteuria penetrans)、シストセンチュウに寄生するパスツーリア・ニシザワエ(Pasteuria nishizawae)、ネグサレセンチュウに寄生するパスツーリア・ソンネイ(Pasteuria thornei)等のパスツーリア属細菌をあげることができる。さらに具体的には、例えば、パスツーリア・ペネトランスの場合、当該細菌は、直径が1〜2μmの球状粒子で、3〜4μmの広いつば(副側胞子繊維)を持ち、円盤状の外観を持つ細菌であって、内生胞子の状態で土壌中に生息する性質を有している。当該細菌の生育適温は、17℃以上で、好ましくは28℃〜35℃である。
【0009】
本発明で用いられるパスツーリア属細菌は、例えば、下記のような方法により容易に取得・調製することができる。
まず、線虫が着生した植物根より線虫を採取し、当該線虫の体内にパスツーリア属細菌が多量に増殖しているか否か(即ち、パスツーリア属細菌による罹病の有無)を検定することにより、当該細菌による罹病線虫を取得する。取得された罹病線虫を、例えば、無菌状態の毛状根等に着生させることにより、罹病線虫を人工的に増殖させた毛状根等を製造し、製造された毛状根等を乾燥した後、これを粉末状態にしたものとしてパスツーリア属細菌を調製することができる。勿論、製造された毛状根等を通常の方法により破壊し、当該破壊物からパスツーリア属細菌を抽出することにより、細菌自体として調製することもできる。
また、上記の罹病線虫が採取された植物根を採取し、採取された植物根を乾燥した後、これを粉末状態にしたものとしてパスツーリア属細菌を調製することもできるし、勿論、採取された植物根を通常の方法により破壊し、当該破壊物からパスツーリア属細菌を抽出することにより、細菌自体として調製することもできる。
さらにまた、商業的に製造されたパスツーリア属細菌を購入し、これを用いてもよい。例えば、商品名:パストリア水和剤(株式会社ネマテック社製)等のパスツーリア・ペネトランス細菌の製品が知られているが、これらに限定されるものではない。
【0010】
本発明で用いられるパスツーリア属細菌は、単独な種からなるパスツーリア属細菌を用いてもよいし、複数種からなるパスツーリア属細菌(組み合わせ混合)を用いてもよい。
【0011】
本発明における「糸状菌であるミロテシウム・べルカリア(Myrothecium verrucaria)を培養して得られる抗線虫活性を有する培養物又はその等価物」(以下、総じて本培養物と記すこともある。)とは、ミロテシウム・ベルカリア(M. verrucaria)菌を、例えば、後述のような培養条件下において培養することにより得られる抗線虫活性を有する培養物(例えば、菌糸体を含む培養後の全培地)及びこれらの加熱殺菌物、或いは、当該培養物からの抽出物、部分精製物、精製物及びこれらの加熱殺菌物であって、抗線虫活性を有するもの(即ち、当該培養物の等価物)である。代表的なものとしては、例えば、ミロテシウム・ベルカリアATCC 46474菌株を培養して得られる培養物を加熱殺菌することにより得られた調製物(米国特許第5,051,255号参照)等をあげることができる。
【0012】
ここで、「糸状菌であるミロテシウム・ベルカリア(Myrothecium verrucaria)」とは、例えば、下記の特徴を有する糸状菌である。
(1)糸状不完全菌網(Hyphomycetes)に属し、分生子殻(pycnidia)、分生子層(acervuli)を形成しない。
(2)分生子柄(conidiophore)は、無色、隔壁を有し、ガラス質である。
(3)分生子は紡錘状、単胞、暗オリーブ〜暗緑色、大きさは2.0μm〜3.0μm×7.0μm〜8.0μmである。
(4)生育はポテト−グルコース培地で、8℃〜40℃の温度で可能だが、最適温度は約25℃前後である。
(5)菌糸は無色で薄い隔壁を有し、大きさは約1.5μm×3.0μm程度である。
【0013】
代表的なものとしては、例えば、ミロテシウム・ベルカリア(Myrothecium verrucaria)ATCC 46474菌株をあげることができ、当該菌株は、American Type Culture Collection(Parklawn Drive 12301, Rockville, Md. USA.)の永久保存菌株として登録済みである。
【0014】
本発明で用いられる本培養物は、例えば、下記のような方法により容易に取得・調製することができる。
まず、例えば、ミロテシウム・ベルカリアATCC 46474菌株等のミロテシウム・ベルカリア(Myrothecium verrucaria)を滅菌処理されたポテト−デキストロース液体培地に接種し、これを25℃にて3〜4週間前培養することにより、本培養接種源を調製する。調製された本培養接種源0.1mlを、滅菌処理された液体培地(培地組成:グルコース2g、スターチ15g、酵母エキス2g、硫酸マグネシウム水和物0.3g、炭酸カルシウム1g、ネオペプトン5g、蒸留水1000ml、pH7.0)100mlに接種し、これを25℃、5日間振とう培養する。培養後、得られた培養物をオートクレーブ(120℃、1.2気圧、20分間)にて殺菌処理することにより、本培養物を調製することができる。また、このようにして調製された本培養物をアセトン等の適切な溶媒を用いて抗線虫活性成分を抽出することにより、等価物としての本培養物を調製することもできる。さらにまた、このような本培養物を凍結乾燥した後、これを粉末状態にすることにより、粉体としての本培養物を調製することもできる。また、商業的に製造された本培養物を購入し、これを用いてもよい。例えば、商品名:DiTera(Valent Biosciences Corporation 社製)等の本培養物の製品が知られているが、これらに限定されるものではない。
【0015】
本発明において防除対象となるうる有害な植物寄生性線虫としては、例えば、下記に示すものがあげられる。
【0016】
サツマイモネコブセンチュウ(Meloidogyne incognita)、ジャワネコブセンチュウ(Meloidogyne javanica)、キタネコブセンチュウ(Meloidogyne hapla)、アレナリアネコブセンチュウ(Meloidogyne arenaria)等のMeloidogyne属線虫類、イモグサレセンチュウ(Ditylelenchus destructor)、ナミクキセンチュウ(Ditylelenchus dipsaci)等のDitylelenchus属線虫類、キタネグサレセンチュウ(Pratylenchus penetrans)、キクネグサレセンチュウ(Pratylenchus fallax)、ミナミネグサレセンチュウ(Pratylenchus cffeae)、クルミネグサレセンチュウ(Pratylenchus vulnus)等のPratylenchus属線虫類、ジャガイモシストセンチュウ(Globodera rostochiensis)、ジャガイモシロシストセンチュウ(Globodera pallida)等のGlobodera属線虫類、ダイズシストセンチュウ(Heterodera glycines)、テンサイシストセンチュウ(Heterodera shachtoii)等のHeterodera属線虫類、ニセネグサレセンチュウ(Aphelenchus avenae)等のAphelenchus属線虫類、ミカンネモグリセンチュウ(Radopholus similis)等のRadopholus属線虫類等があげられるが、これらに限定されるものではない。
【0017】
本発明は、線虫に寄生するパスツーリア属細菌(Pasteuria spp.)と、糸状菌であるミロテシウム・べルカリア(Myrothecium verrucaria)を培養して得られる抗線虫活性を有する培養物又はその等価物(即ち、本培養物)との組み合わせ使用が特徴であるが、その組み合わせの混合割合又は併用割合としては、例えば、パスツーリア属細菌の胞子約1×1010個に対して、本培養物0.2g〜5000g程度、好ましくは、0.5g〜1000g程度の割合をあげることができる。
【0018】
本発明防除剤は、線虫に寄生するパスツーリア属細菌(Pasteuria spp.)と、糸状菌であるミロテシウム・べルカリア(Myrothecium verrucaria)を培養して得られる抗線虫活性を有する培養物又はその等価(即ち、本培養物)との混合物そのものであってもよいが、通常、さらに固体担体又は液体担体を混合し、必要により界面活性剤、その他の製剤用補助剤等を添加することにより、油剤、乳剤、水和剤、顆粒水和剤、フロアブル剤(水中懸濁剤、水中乳濁剤等)、粉剤、粒剤、マイクロカプセル剤等に製剤化される。
これらの製剤には、パスツーリア属細菌と本培養物とを、これら両者の合計量として、通常、0.01重量%〜95重量%含有する。
【0019】
製剤化の際に用いられる固体坦体としては、例えば、粘土類(カオリンクレー、珪藻土、ベントナイト、フバサミクレー、酸性白土等)、合成含水酸化珪素、タルク、セラミック、その他の無機鉱物(セリサイト、石英、硫黄、活性炭、炭酸カルシウム、水和シリカ等)、化学肥料(硫安、燐安、硝安、尿素、塩安等)等の微粉末及び粒状物をあげることができる。
液体坦体としては、例えば、水、アルコール類(メタノール、エタノール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メチルナフタレン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、シクロヘキサン、灯油、軽油等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、ニトリル類(アセトニトリル、イソブチロニトリル等)、エーテル類(ジイソプロピルエーテル、1,4−ジオキサン等)、酸アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、ハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン、トリクロロエタン、四塩化炭素等)、ジメチルスルホキシド及び植物油(大豆油、綿実油等)等があげられる。
【0020】
界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸エステル塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルアリールエーテル類及びそのポリオキシエチレン化合物、ポリエチレングリコールエーテル類、多価アルコールエステル類並びに糖アルコール誘導体等をあげることができる。
【0021】
その他の製剤用補助剤としては、例えば、固着剤、分散剤及び安定剤等、具体的には、カゼイン、ゼラチン、多糖類(澱粉、アラビアガム、セルロース誘導体、アルギン酸等)、リグニン誘導体、ベントナイト、糖類、合成水溶性高分子(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸類等)、PAP(酸性リン酸イソプロピル)、BHT(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、BHA(2−tert−ブチル−4−メトキシフェノールと3−tert−ブチル−4−メトキシフェノールとの混合物)、鉱物油、脂肪酸及び脂肪酸エステル等があげられる。
【0022】
本発明防除剤は、その製剤形態によっては、パスツーリア属細菌を予め製剤化したものと、本培養物を予め製剤化したものとを混合することにより調製してもよく、また、両者を施用時に混用又は併用することもできる。
【0023】
本発明では、例えば、本発明を農林業分野の有害な植物寄生性線虫防除に利用する場合、その有効量又は施用量は、1000m2当たりパスツーリア属細菌の胞子の有効量又は施用量として、通常、約1×1010個〜約1×1014個の胞子である。尚、粒剤、粉剤等は、通常、そのままで上記の有効量又は施用量となるように施用すればよい。また、乳剤、水和剤、顆粒水和剤、フロアブル剤等を水に希釈して施用する場合でも、上記の有効量又は施用量となるように水で希釈して施用すればよい。
本発明では、例えば、本発明製剤を、保護すべき作物、有害な植物寄生性線虫又は有害な植物寄生性線虫の生息場所(例えば、生息又は侵入が予想される土壌)に施用することにより、有害な植物寄生性線虫を防除することができる。
【0024】
上記の有効量又は施用量は、いずれも製剤の種類、施用時期、施用場所、施用方法、害虫の種類、被害程度等の状況によって異なり、上記の範囲に関わることなく増減して適宜選択することができる。
【0025】
【実施例】
以下、本発明を製剤例及び試験例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。尚、製剤例中、部は重量部を表す。
【0026】
製剤例1
パスツーリア属細菌の胞子1010個を含む毛状根乾燥粉末物10部と、ミロテシウム・ベルカリアATCC 46474菌株を培養して得られる培養物を加熱殺菌することにより得られた調製物20部との両者を、綿実油20部及びN,N−ジメチルホルムアミド20部に混合攪拌し、これにポリエチレングリコール10部及びドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム10部を加え、よく攪拌混合懸濁して、乳剤を得る。
【0027】
製剤例2
パスツーリア属細菌の胞子1010個を含む植物根粉砕物10部と、ミロテシウム・ベルカリアATCC 46474菌株を培養して得られる培養物を加熱殺菌することにより得られた調製物60部との両者を、ラウリル硫酸ナトリウム4部、リグニンスルホン酸カルシウム2部、合成含水酸化珪素微粉末12部及び珪藻土12部を混合した中に加え、よく攪拌混合して水和剤を得る。
【0028】
製剤例3
パスツーリア属細菌の胞子1010個を含む毛状根粉砕物10部、ミロテシウム・ベルカリアATCC 46474菌株を培養して得られる培養物を加熱殺菌することにより得られた調製物10部、合成含水酸化珪素微粉末5部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5部、ベントナイト30部及びクレー40部の全てをよく攪拌混合し、次いでこれらの混合物に適当量の水を加え、さらに攪拌し、増粒機で製粒し、通風乾燥して粒剤を得る。
【0029】
試験例
市販されるパスツーリア属細菌の製剤(1.0×109個胞子/g、商品名:パストリア水和剤、株式会社ネマテック社製、以下、比較剤Aと記す。)と、市販される本培養物(ミロテシウム・ベルカリアATCC46474菌株を培養して得られる培養物を加熱殺菌することにより得られた調製物95重量%を含む顆粒水和製剤、商品名:DiTera WDG、Valent Biosciences Corporation社製、以下、比較剤Bと記す。)との両者を、水100mlに対して所定の濃度になるよう希釈することにょり、試験用薬液を調製した。
サツマイモネコブセンチュウ(Meloidogyne incognita)汚染土壌5kgに、所定濃度に希釈された各試験用薬液(100ml)を施用した後、当該土壌をよく混和した。混和された各試験用薬液施用土壌500gを穴空きプラスチックカップ(860ml、直径約10cm、高さ約11cm)に入れ、これにキュウリ苗(播種14日後)を移植した(2株/カップ、10反復)。移植後は、ガラス温室内で当該植物を育苗した。
移植41日後、育苗された植物の根を水で洗浄してから、当該根におけるネコブ着生程度を観察することにより、植物20株当たりの平均ネコブ着生程度を算出した。結果を表1に示した。尚、ネコブ着生程度は下記のように判定した。
4:多数のコブが根全体に認められ、連なった大きなコブを形成している。
3:コブの形成が根全体に認められ、一部に大きなコブを形成している。
2:コブの形成が一部に認められ、連なったコブもあるが、大きなコブは無い。
1:コブの形成が僅かに認められる。
0:コブの形成は全く認められない。
【0030】
【表1】
【0031】
【発明の効果】
本発明は、線虫防除における化学農薬を補完でき、又は、代わりうるような効果的な線虫防除方法等を提供可能とする。
【発明の属する技術分野】
本発明は、有害な植物寄生性線虫防除方法等に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
有害な植物寄生性線虫(以下、単に線虫と記すこともある。)とは、高等植物に栄養を依存しながら生育する線虫類を指し、これらは、人間生活にとって重要な農作物や園芸作物等に寄生する。その寄生範囲は極めて広く、高等植物の殆ど総てに渡るために、世界中で農業上重大な被害を与えている。
【0003】
現在、農業分野における線虫による被害の除去や抑制には、一般的には、クロロピクリン、メチルブロマイド、ダゾメット、アルディカーブ、オキサミル、ホスチアゼート等の化学農薬による防除方法が主として利用されているが、これらの化学農薬だけでは、必ずしも十分な線虫防除が実施できない場合があり、線虫防除における化学農薬を補完でき、又は、代わり得るような他の効果的な線虫防除方法の開発が求められていた。
このような要望に応えるための一つの候補技術として、線虫に寄生するパスツーリア属細菌(Pasteuria spp.)が有害な植物寄生性線虫による作物の被害を軽減しうることがすでに知られている(例えば、非特許文献1参照。)。しかしながら、パスツーリア属細菌は、線虫絶対寄生菌であるために人工培地による大量増殖ができないことから、安価に大量な菌体を得ることは容易ではなく、如何なる場面においても容易に利用できるものではなかった。
【0004】
一方、他の一つの候補技術として、糸状菌であるミロテシウム・ベルカリア(Myrothecium verrucaria)ATCC 46474菌株を培養して得られる抗線虫活性を有する培養物が、有害な植物寄生性線虫に対して防除効果を示すことが知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、上記の培養物だけでは、上記の防除効力が必ずしも十分であるとは言えない場合があった。
【0005】
【特許文献1】
米国特許第5,051,255号
【非特許文献1】
Phytopathology, Vol.74, pp.55-60 (1984)
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる状況のもと鋭意検討した結果、線虫に寄生するパスツーリア属細菌(Pasteuria spp.)と、糸状菌であるミロテシウム・べルカリア(Myrothecium verrucaria)を培養して得られる抗線虫活性を有する培養物又はその等価物との組み合わせ使用が有害な植物寄生性線虫防除のために極めて有効な手段であることを見出し、さらには、線虫に寄生するパスツーリア属細菌(Pasteuria spp.)の使用量を低減させることに成功し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は、
1.線虫に寄生するパスツーリア属細菌(Pasteuria spp.)と、糸状菌であるミロテシウム・べルカリア(Myrothecium verrucaria)を培養して得られる抗線虫活性を有する培養物又はその等価物との両者としての有効量を、保護すべき作物、有害な植物寄生性線虫又は有害な植物寄生性線虫の生息場所に施用することを特徴とする有害な植物寄生性線虫防除方法(以下、本発明方法と記すこともある。);
2.有害な植物寄生性線虫防除のための、線虫に寄生するパスツーリア属細菌(Pasteuria spp.)と、糸状菌であるミロテシウム・べルカリア(Myrothecium verrucaria)を培養して得られる抗線虫活性を有する培養物又はその等価物との組み合わせ使用(以下、本発明使用と記すこともある。);
3.線虫に寄生するパスツーリア属細菌(Pasteuria spp.)と、糸状菌であるミロテシウム・べルカリア(Myrothecium verrucaria)を培養して得られる抗線虫活性を有する培養物又はその等価とを含有することを特徴とする有害な植物寄生性線虫防除剤(以下、本発明防除剤と記すこともある。);
等を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明における「パスツーリア属細菌(Pasteuria spp.)」とは、例えば、二叉分枝により内生胞子(endospore)を形成するグラム陽性の細菌であって、当該細菌は高等植物に栄養を依存しながら生育する線虫類に絶対寄生する性質を有している。代表的なものとしては、例えば、ネコブセンチュウに寄生するパスツーリア・ペネトランス(Pasteuria penetrans)、シストセンチュウに寄生するパスツーリア・ニシザワエ(Pasteuria nishizawae)、ネグサレセンチュウに寄生するパスツーリア・ソンネイ(Pasteuria thornei)等のパスツーリア属細菌をあげることができる。さらに具体的には、例えば、パスツーリア・ペネトランスの場合、当該細菌は、直径が1〜2μmの球状粒子で、3〜4μmの広いつば(副側胞子繊維)を持ち、円盤状の外観を持つ細菌であって、内生胞子の状態で土壌中に生息する性質を有している。当該細菌の生育適温は、17℃以上で、好ましくは28℃〜35℃である。
【0009】
本発明で用いられるパスツーリア属細菌は、例えば、下記のような方法により容易に取得・調製することができる。
まず、線虫が着生した植物根より線虫を採取し、当該線虫の体内にパスツーリア属細菌が多量に増殖しているか否か(即ち、パスツーリア属細菌による罹病の有無)を検定することにより、当該細菌による罹病線虫を取得する。取得された罹病線虫を、例えば、無菌状態の毛状根等に着生させることにより、罹病線虫を人工的に増殖させた毛状根等を製造し、製造された毛状根等を乾燥した後、これを粉末状態にしたものとしてパスツーリア属細菌を調製することができる。勿論、製造された毛状根等を通常の方法により破壊し、当該破壊物からパスツーリア属細菌を抽出することにより、細菌自体として調製することもできる。
また、上記の罹病線虫が採取された植物根を採取し、採取された植物根を乾燥した後、これを粉末状態にしたものとしてパスツーリア属細菌を調製することもできるし、勿論、採取された植物根を通常の方法により破壊し、当該破壊物からパスツーリア属細菌を抽出することにより、細菌自体として調製することもできる。
さらにまた、商業的に製造されたパスツーリア属細菌を購入し、これを用いてもよい。例えば、商品名:パストリア水和剤(株式会社ネマテック社製)等のパスツーリア・ペネトランス細菌の製品が知られているが、これらに限定されるものではない。
【0010】
本発明で用いられるパスツーリア属細菌は、単独な種からなるパスツーリア属細菌を用いてもよいし、複数種からなるパスツーリア属細菌(組み合わせ混合)を用いてもよい。
【0011】
本発明における「糸状菌であるミロテシウム・べルカリア(Myrothecium verrucaria)を培養して得られる抗線虫活性を有する培養物又はその等価物」(以下、総じて本培養物と記すこともある。)とは、ミロテシウム・ベルカリア(M. verrucaria)菌を、例えば、後述のような培養条件下において培養することにより得られる抗線虫活性を有する培養物(例えば、菌糸体を含む培養後の全培地)及びこれらの加熱殺菌物、或いは、当該培養物からの抽出物、部分精製物、精製物及びこれらの加熱殺菌物であって、抗線虫活性を有するもの(即ち、当該培養物の等価物)である。代表的なものとしては、例えば、ミロテシウム・ベルカリアATCC 46474菌株を培養して得られる培養物を加熱殺菌することにより得られた調製物(米国特許第5,051,255号参照)等をあげることができる。
【0012】
ここで、「糸状菌であるミロテシウム・ベルカリア(Myrothecium verrucaria)」とは、例えば、下記の特徴を有する糸状菌である。
(1)糸状不完全菌網(Hyphomycetes)に属し、分生子殻(pycnidia)、分生子層(acervuli)を形成しない。
(2)分生子柄(conidiophore)は、無色、隔壁を有し、ガラス質である。
(3)分生子は紡錘状、単胞、暗オリーブ〜暗緑色、大きさは2.0μm〜3.0μm×7.0μm〜8.0μmである。
(4)生育はポテト−グルコース培地で、8℃〜40℃の温度で可能だが、最適温度は約25℃前後である。
(5)菌糸は無色で薄い隔壁を有し、大きさは約1.5μm×3.0μm程度である。
【0013】
代表的なものとしては、例えば、ミロテシウム・ベルカリア(Myrothecium verrucaria)ATCC 46474菌株をあげることができ、当該菌株は、American Type Culture Collection(Parklawn Drive 12301, Rockville, Md. USA.)の永久保存菌株として登録済みである。
【0014】
本発明で用いられる本培養物は、例えば、下記のような方法により容易に取得・調製することができる。
まず、例えば、ミロテシウム・ベルカリアATCC 46474菌株等のミロテシウム・ベルカリア(Myrothecium verrucaria)を滅菌処理されたポテト−デキストロース液体培地に接種し、これを25℃にて3〜4週間前培養することにより、本培養接種源を調製する。調製された本培養接種源0.1mlを、滅菌処理された液体培地(培地組成:グルコース2g、スターチ15g、酵母エキス2g、硫酸マグネシウム水和物0.3g、炭酸カルシウム1g、ネオペプトン5g、蒸留水1000ml、pH7.0)100mlに接種し、これを25℃、5日間振とう培養する。培養後、得られた培養物をオートクレーブ(120℃、1.2気圧、20分間)にて殺菌処理することにより、本培養物を調製することができる。また、このようにして調製された本培養物をアセトン等の適切な溶媒を用いて抗線虫活性成分を抽出することにより、等価物としての本培養物を調製することもできる。さらにまた、このような本培養物を凍結乾燥した後、これを粉末状態にすることにより、粉体としての本培養物を調製することもできる。また、商業的に製造された本培養物を購入し、これを用いてもよい。例えば、商品名:DiTera(Valent Biosciences Corporation 社製)等の本培養物の製品が知られているが、これらに限定されるものではない。
【0015】
本発明において防除対象となるうる有害な植物寄生性線虫としては、例えば、下記に示すものがあげられる。
【0016】
サツマイモネコブセンチュウ(Meloidogyne incognita)、ジャワネコブセンチュウ(Meloidogyne javanica)、キタネコブセンチュウ(Meloidogyne hapla)、アレナリアネコブセンチュウ(Meloidogyne arenaria)等のMeloidogyne属線虫類、イモグサレセンチュウ(Ditylelenchus destructor)、ナミクキセンチュウ(Ditylelenchus dipsaci)等のDitylelenchus属線虫類、キタネグサレセンチュウ(Pratylenchus penetrans)、キクネグサレセンチュウ(Pratylenchus fallax)、ミナミネグサレセンチュウ(Pratylenchus cffeae)、クルミネグサレセンチュウ(Pratylenchus vulnus)等のPratylenchus属線虫類、ジャガイモシストセンチュウ(Globodera rostochiensis)、ジャガイモシロシストセンチュウ(Globodera pallida)等のGlobodera属線虫類、ダイズシストセンチュウ(Heterodera glycines)、テンサイシストセンチュウ(Heterodera shachtoii)等のHeterodera属線虫類、ニセネグサレセンチュウ(Aphelenchus avenae)等のAphelenchus属線虫類、ミカンネモグリセンチュウ(Radopholus similis)等のRadopholus属線虫類等があげられるが、これらに限定されるものではない。
【0017】
本発明は、線虫に寄生するパスツーリア属細菌(Pasteuria spp.)と、糸状菌であるミロテシウム・べルカリア(Myrothecium verrucaria)を培養して得られる抗線虫活性を有する培養物又はその等価物(即ち、本培養物)との組み合わせ使用が特徴であるが、その組み合わせの混合割合又は併用割合としては、例えば、パスツーリア属細菌の胞子約1×1010個に対して、本培養物0.2g〜5000g程度、好ましくは、0.5g〜1000g程度の割合をあげることができる。
【0018】
本発明防除剤は、線虫に寄生するパスツーリア属細菌(Pasteuria spp.)と、糸状菌であるミロテシウム・べルカリア(Myrothecium verrucaria)を培養して得られる抗線虫活性を有する培養物又はその等価(即ち、本培養物)との混合物そのものであってもよいが、通常、さらに固体担体又は液体担体を混合し、必要により界面活性剤、その他の製剤用補助剤等を添加することにより、油剤、乳剤、水和剤、顆粒水和剤、フロアブル剤(水中懸濁剤、水中乳濁剤等)、粉剤、粒剤、マイクロカプセル剤等に製剤化される。
これらの製剤には、パスツーリア属細菌と本培養物とを、これら両者の合計量として、通常、0.01重量%〜95重量%含有する。
【0019】
製剤化の際に用いられる固体坦体としては、例えば、粘土類(カオリンクレー、珪藻土、ベントナイト、フバサミクレー、酸性白土等)、合成含水酸化珪素、タルク、セラミック、その他の無機鉱物(セリサイト、石英、硫黄、活性炭、炭酸カルシウム、水和シリカ等)、化学肥料(硫安、燐安、硝安、尿素、塩安等)等の微粉末及び粒状物をあげることができる。
液体坦体としては、例えば、水、アルコール類(メタノール、エタノール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メチルナフタレン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、シクロヘキサン、灯油、軽油等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、ニトリル類(アセトニトリル、イソブチロニトリル等)、エーテル類(ジイソプロピルエーテル、1,4−ジオキサン等)、酸アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、ハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン、トリクロロエタン、四塩化炭素等)、ジメチルスルホキシド及び植物油(大豆油、綿実油等)等があげられる。
【0020】
界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸エステル塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルアリールエーテル類及びそのポリオキシエチレン化合物、ポリエチレングリコールエーテル類、多価アルコールエステル類並びに糖アルコール誘導体等をあげることができる。
【0021】
その他の製剤用補助剤としては、例えば、固着剤、分散剤及び安定剤等、具体的には、カゼイン、ゼラチン、多糖類(澱粉、アラビアガム、セルロース誘導体、アルギン酸等)、リグニン誘導体、ベントナイト、糖類、合成水溶性高分子(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸類等)、PAP(酸性リン酸イソプロピル)、BHT(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、BHA(2−tert−ブチル−4−メトキシフェノールと3−tert−ブチル−4−メトキシフェノールとの混合物)、鉱物油、脂肪酸及び脂肪酸エステル等があげられる。
【0022】
本発明防除剤は、その製剤形態によっては、パスツーリア属細菌を予め製剤化したものと、本培養物を予め製剤化したものとを混合することにより調製してもよく、また、両者を施用時に混用又は併用することもできる。
【0023】
本発明では、例えば、本発明を農林業分野の有害な植物寄生性線虫防除に利用する場合、その有効量又は施用量は、1000m2当たりパスツーリア属細菌の胞子の有効量又は施用量として、通常、約1×1010個〜約1×1014個の胞子である。尚、粒剤、粉剤等は、通常、そのままで上記の有効量又は施用量となるように施用すればよい。また、乳剤、水和剤、顆粒水和剤、フロアブル剤等を水に希釈して施用する場合でも、上記の有効量又は施用量となるように水で希釈して施用すればよい。
本発明では、例えば、本発明製剤を、保護すべき作物、有害な植物寄生性線虫又は有害な植物寄生性線虫の生息場所(例えば、生息又は侵入が予想される土壌)に施用することにより、有害な植物寄生性線虫を防除することができる。
【0024】
上記の有効量又は施用量は、いずれも製剤の種類、施用時期、施用場所、施用方法、害虫の種類、被害程度等の状況によって異なり、上記の範囲に関わることなく増減して適宜選択することができる。
【0025】
【実施例】
以下、本発明を製剤例及び試験例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。尚、製剤例中、部は重量部を表す。
【0026】
製剤例1
パスツーリア属細菌の胞子1010個を含む毛状根乾燥粉末物10部と、ミロテシウム・ベルカリアATCC 46474菌株を培養して得られる培養物を加熱殺菌することにより得られた調製物20部との両者を、綿実油20部及びN,N−ジメチルホルムアミド20部に混合攪拌し、これにポリエチレングリコール10部及びドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム10部を加え、よく攪拌混合懸濁して、乳剤を得る。
【0027】
製剤例2
パスツーリア属細菌の胞子1010個を含む植物根粉砕物10部と、ミロテシウム・ベルカリアATCC 46474菌株を培養して得られる培養物を加熱殺菌することにより得られた調製物60部との両者を、ラウリル硫酸ナトリウム4部、リグニンスルホン酸カルシウム2部、合成含水酸化珪素微粉末12部及び珪藻土12部を混合した中に加え、よく攪拌混合して水和剤を得る。
【0028】
製剤例3
パスツーリア属細菌の胞子1010個を含む毛状根粉砕物10部、ミロテシウム・ベルカリアATCC 46474菌株を培養して得られる培養物を加熱殺菌することにより得られた調製物10部、合成含水酸化珪素微粉末5部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5部、ベントナイト30部及びクレー40部の全てをよく攪拌混合し、次いでこれらの混合物に適当量の水を加え、さらに攪拌し、増粒機で製粒し、通風乾燥して粒剤を得る。
【0029】
試験例
市販されるパスツーリア属細菌の製剤(1.0×109個胞子/g、商品名:パストリア水和剤、株式会社ネマテック社製、以下、比較剤Aと記す。)と、市販される本培養物(ミロテシウム・ベルカリアATCC46474菌株を培養して得られる培養物を加熱殺菌することにより得られた調製物95重量%を含む顆粒水和製剤、商品名:DiTera WDG、Valent Biosciences Corporation社製、以下、比較剤Bと記す。)との両者を、水100mlに対して所定の濃度になるよう希釈することにょり、試験用薬液を調製した。
サツマイモネコブセンチュウ(Meloidogyne incognita)汚染土壌5kgに、所定濃度に希釈された各試験用薬液(100ml)を施用した後、当該土壌をよく混和した。混和された各試験用薬液施用土壌500gを穴空きプラスチックカップ(860ml、直径約10cm、高さ約11cm)に入れ、これにキュウリ苗(播種14日後)を移植した(2株/カップ、10反復)。移植後は、ガラス温室内で当該植物を育苗した。
移植41日後、育苗された植物の根を水で洗浄してから、当該根におけるネコブ着生程度を観察することにより、植物20株当たりの平均ネコブ着生程度を算出した。結果を表1に示した。尚、ネコブ着生程度は下記のように判定した。
4:多数のコブが根全体に認められ、連なった大きなコブを形成している。
3:コブの形成が根全体に認められ、一部に大きなコブを形成している。
2:コブの形成が一部に認められ、連なったコブもあるが、大きなコブは無い。
1:コブの形成が僅かに認められる。
0:コブの形成は全く認められない。
【0030】
【表1】
【0031】
【発明の効果】
本発明は、線虫防除における化学農薬を補完でき、又は、代わりうるような効果的な線虫防除方法等を提供可能とする。
Claims (3)
- 線虫に寄生するパスツーリア属細菌(Pasteuria spp.)と、糸状菌であるミロテシウム・べルカリア(Myrothecium verrucaria)を培養して得られる抗線虫活性を有する培養物又はその等価物との両者としての有効量を、保護すべき作物、有害な植物寄生性線虫又は有害な植物寄生性線虫の生息場所に施用することを特徴とする有害な植物寄生性線虫防除方法。
- 有害な植物寄生性線虫防除のための、線虫に寄生するパスツーリア属細菌(Pasteuria spp.)と、糸状菌であるミロテシウム・べルカリア(Myrothecium verrucaria)を培養して得られる抗線虫活性を有する培養物又はその等価物との組み合わせ使用。
- 線虫に寄生するパスツーリア属細菌(Pasteuria spp.)と、糸状菌であるミロテシウム・べルカリア(Myrothecium verrucaria)を培養して得られる抗線虫活性を有する培養物又はその等価とを含有することを特徴とする有害な植物寄生性線虫防除剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002378876A JP2004210645A (ja) | 2002-12-27 | 2002-12-27 | 有害な植物寄生性線虫防除方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002378876A JP2004210645A (ja) | 2002-12-27 | 2002-12-27 | 有害な植物寄生性線虫防除方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004210645A true JP2004210645A (ja) | 2004-07-29 |
Family
ID=32815563
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002378876A Pending JP2004210645A (ja) | 2002-12-27 | 2002-12-27 | 有害な植物寄生性線虫防除方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004210645A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN100560717C (zh) * | 2005-03-10 | 2009-11-18 | 中国科学院等离子体物理研究所 | 发根农杆菌转化植物发根培养植物寄生线虫的方法 |
WO2010080619A3 (en) * | 2008-12-19 | 2010-10-14 | Pasteuria Bioscience, Inc. | Materials and methods for controlling nematodes with pasteuria spores in seed coatings |
CN101899470B (zh) * | 2010-02-25 | 2012-05-30 | 杭州师范大学 | 一种利用转基因不定根繁殖根结线虫的方法 |
CN105238701A (zh) * | 2015-10-12 | 2016-01-13 | 广西大学 | 一株疣孢漆斑菌及其应用 |
-
2002
- 2002-12-27 JP JP2002378876A patent/JP2004210645A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN100560717C (zh) * | 2005-03-10 | 2009-11-18 | 中国科学院等离子体物理研究所 | 发根农杆菌转化植物发根培养植物寄生线虫的方法 |
WO2010080619A3 (en) * | 2008-12-19 | 2010-10-14 | Pasteuria Bioscience, Inc. | Materials and methods for controlling nematodes with pasteuria spores in seed coatings |
US8598082B2 (en) | 2008-12-19 | 2013-12-03 | Pasteuria Biosicence, Inc. | Materials and methods for controlling nematodes with Pasteuria spores in seed coatings |
US9072307B2 (en) | 2008-12-19 | 2015-07-07 | Syngenta Crop Protection Ag | Materials and methods for controlling nematodes with Pasteuria spores in seed coatings |
CN101899470B (zh) * | 2010-02-25 | 2012-05-30 | 杭州师范大学 | 一种利用转基因不定根繁殖根结线虫的方法 |
CN105238701A (zh) * | 2015-10-12 | 2016-01-13 | 广西大学 | 一株疣孢漆斑菌及其应用 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US10716307B2 (en) | Methods and compositions for controlling root knot nematodes | |
US10506813B2 (en) | Compositions and methods for controlling plant-parasite nematode | |
Naz et al. | Biological control of root knot nematode, Meloidogyne incognita, in vitro, greenhouse and field in cucumber | |
US20200315181A1 (en) | Methods and Compositions for Controlling Root Lesion Nematodes | |
EP3209132B1 (en) | Bacteria with nematicidal activity and the ability to promote plant growth | |
EP2736340B1 (en) | Biocontrol of nematodes | |
US5932237A (en) | Steinernema Sp. nematode for suppression of Helicoverpa zea and Spodoptera frugiperda | |
EP2773214B1 (en) | Biocontrol of nematodes | |
Kim et al. | Sequential selection and efficacy of antagonistic rhizobacteria for controlling Phytophthora blight of pepper | |
Cafarchia et al. | Delivery and effectiveness of entomopathogenic fungi for mosquito and tick control: Current knowledge and research challenges | |
Stoleru et al. | Pest control in organic systems | |
WO2023107435A2 (en) | Compositions and methods for promoting soil microbials for plant health and stress tolerance | |
WO2022060252A1 (ru) | Штамм энтомопатогенного гриба beauveria bassiana для защиты сельскохозяйственных растений от насекомых и клещей-вредителей растений | |
JP2949218B2 (ja) | 菌食性線虫アフェレンクス・アベネの大量生産法 | |
KR101773339B1 (ko) | 이사리아 푸모소로세아 Pf212 균주 또는 이를 이용한 진딧물, 잘록병균 및 고추 탄저병균의 동시방제용 조성물 | |
US20220053769A1 (en) | Microbacterium esteraromaticum strain, composition comprising the same, and uses thereof | |
JP2004210645A (ja) | 有害な植物寄生性線虫防除方法 | |
CA3226097A1 (en) | Pheromone compositions, methods of making, and their uses | |
JP5455114B2 (ja) | 植物病害防除剤 | |
JP4644478B2 (ja) | バーティシリウム・レカニyk−920菌株およびそれを用いた害虫および植物病害の防除剤 | |
KR101666676B1 (ko) | 뿌리혹선충에 대한 살선충 활성을 가지는 스트렙토마이세스 네트롭시스 an110065 균주 및 이의 용도 | |
JP3898343B2 (ja) | 新規微生物及びそれを用いたコガネムシ科昆虫の防除方法 | |
US20040228844A1 (en) | Method for controlling harmful plant-parasitic nematodes | |
JP4670254B2 (ja) | 有害な植物寄生性線虫防除方法 | |
Al-Hazmi et al. | Population Dynamics of Meloidogyne incognita on Corn Grown in Soil in Fested with Arthrobotrys conoides |