JP2004207909A - 画像処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ディジタルカメラの撮像素子の画素数は年々増大する傾向にあり、当然、ディジタル写真のデータ量も増大する傾向にある。まして、非圧縮モードで撮影された画像のデータ量はさらに大きい。電子アルバムに画像をアップロードする際は、画像データのデータ量に比例したアップロード時間を必要とする。
【解決手段】電子アルバムを提供するサーバに画像データをアップロードする際に、画像データのコンポーネントを上位および下位ビットプレーン部に分け(S11、S15)、上位のビットプレーン部をサーバにアップロードし、下位のビットプレーン部はアップロードせずに保持する(S13、S17)。
【選択図】図13
【解決手段】電子アルバムを提供するサーバに画像データをアップロードする際に、画像データのコンポーネントを上位および下位ビットプレーン部に分け(S11、S15)、上位のビットプレーン部をサーバにアップロードし、下位のビットプレーン部はアップロードせずに保持する(S13、S17)。
【選択図】図13
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は画像処理方法に関し、例えば、電子アルバムに画像をアップロードする画像処理に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディジタルカメラやインターネットの普及に伴い、Webページにディジタル写真をアルバムのように保存し、閲覧することが可能になった。インターネット上の所謂電子アルバムは、知人などに写真をみせる時に非常に便利な仕組みである。
【0003】
電子アルバムを提供する企業などは、ディジタル写真を登録するためのページを用意しているので、そのページの指示に従ってディジタル写真のデータファイルを指定することで、容易にディジタル写真をWebページへアップロードすることができる。
【0004】
ディジタル写真の画像フォーマットには、通常、JPEG圧縮が使用されるが、JPEG圧縮は画像を非可逆に圧縮したり、画像のビット深さを8ビットに制限したりするなどによって画像のデータ量を圧縮するものであるから、ディジタル写真本来の画質を損なうことになる。そこで、一部のディジタルカメラは、非圧縮または可逆に圧縮して、ビット深さも撮像素子の出力ビット数(例えば12ビット/画素)のままで、ディジタル写真を記録する。この場合、ディジタル写真のデータ量はJPEG圧縮に比べて増大するが、プロ用のディジタルカメラなどで利用されている。
【0005】
近年、JPEGにとって代わる性能を提供することを目的とした新しい画像フォーマットJPEG 2000がISO/IECで策定されている。JPEG 2000は可逆圧縮および非可逆圧縮に対応し、ビット深さもコンポーネント当り38ビットまで対応可能で、先に述べたプロ用のディジタルカメラの画像の保存形式として最適である。また、今後、ディジタルカメラは高解像度や高ビット精度による高画質化が進むものと予想され、JPEG 2000の採用が期待される。
【0006】
ディジタルカメラの撮像素子の画素数は年々増大する傾向にあり、当然、ディジタル写真のデータ量も増大する傾向にある。まして、非圧縮モードで撮影された画像のデータ量はさらに大きい。電子アルバムに画像をアップロードする際は、画像データのデータ量に比例したアップロード時間を必要とする。そのため、上記のようなデータ量が大きいディジタル写真のアップロードは、ユーザとって不便であると言わざるを得ない。
【0007】
非圧縮モードの代わりにJPEG 2000の可逆圧縮を利用することが考えられる。この場合、画質を落とさずに、ディジタル写真のデータ量を小さくすることができるから、アップロード時間の短縮が可能になる。しかし、写真アルバムのWebページを閲覧する際に利用される機器はパソコンや携帯電話などで、これら機器の画面表示は、一般に、RGB各8ビットである。従って、たとえJPEG 2000で圧縮した12ビット/画素のディジタル写真を電子アルバムに登録したとしても、そのうち8ビット/画素のデータしか生かされないことになる。
【0008】
また、電子アルバムに登録した画像をプリントするサービスも存在する。画像の閲覧には8ビット/画素のデータでも充分であるが、プリントを行う場合はより深いビット数の方がきれいな画像がプリントされる。言い換えれば、元々は12ビット/画素のディジタル写真を、画面表示を考慮して8ビット/画素にすれば、折角の画質を無駄にしたプリントしか得られないという問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述の問題を個々にまたはまとめて解決するためのもので、画像のアップロード時間を短縮することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記の目的を達成する一手段として、以下の構成を備える。
【0011】
本発明にかかる画像処理方法は、電子アルバムを提供するサーバに画像データをアップロードする画像処理方法であって、画像データのコンポーネントを上位および下位ビットプレーン部に分け、前記上位のビットプレーン部を前記サーバにアップロードし、前記下位のビットプレーン部はアップロードせずに保持することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0013】
[概要]
電子アルバムに画像をアップロードする際に、そのアップロード時間の短縮を図るために、実施形態は、電子アルバムを提供するサーバに画像データをアップロードする際に画像データのコンポーネントを上位および下位ビットプレーン部に分け、上位のビットプレーン部をサーバにアップロードし、下位のビットプレーン部はアップロードせずに保持する装置および方法を開示する。その際、画像データは、幾つかのビットプレーン単位に符号化された符号列が構成され、ビットプレーン部は、その符号化単位に基づき分割される。
【0014】
また、実施形態は、電子アルバムの画像のプリントが注文された場合、つまり、サーバにアップロードされた上位ビットプレーンによって表示される画像のプリントが指示されると、下位のビットプレーン部がサーバにアップロードする装置および方法を開示する。下位ビットプレーン部のアップロードは、サーバにビットプレーン部を分割する前の画像データを復元させるためである。なお、上位および下位のビットプレーン部は、互いに、相手を識別するための識別情報を有する。
【0015】
[画像アップロードシステム]
図1は実施形態の画像アップロードシステムの一例を示す図である。
【0016】
インターネット3を介して、パーソナルコンピュータなどの機器(PC)2とWebサーバ1とが接続されているので、PC 2のユーザは、インターネット3を経由して、電子アルバムが設置されたWebサーバ1にアクセスすることで、電子アルバムの機能を利用することができる。
【0017】
図2は電子アルバムを閲覧する際のPC 2の画面例を示す図である。
【0018】
電子アルバムは、図2に示すように、複数枚の写真を一度にPC 2の画面に表示させること(ブラウズ機能)もできるし、ユーザが望む画像をクリックすることで、その画像のみを拡大表示すること(拡大表示機能)もできる。PC 2のユーザが自分の電子アルバムを作成する時は、電子アルバムが提供する機能を利用して、画面を構成したり、画像ファイルを指定してアップロードしたりする。これらの機能は公知であるから、ここでは詳細を説明しない。また、画像アップロードシステムの動作は後述する。
【0019】
[JPEG 2000の説明]
ここで、JPEG 2000の構造を説明する。図4はJPEG 2000の符号化部分、すなわちエンコーダを説明をする図である。
【0020】
画像入力部401を介して、符号化対象の画像を構成する画素がラスタスキャン順に離散ウェーブレット変換部402に入力される。なお、以降の説明では、モノクロ多値画像を例に説明するが、カラー画像など、複数の色成分を有する画像を符号化する場合は、RGBの各色成分単位に、または、輝度および色度成分単位に圧縮を行えばよい。
【0021】
離散ウェーブレット変換部402は、入力される画像信号に対して二次元の離散ウェーブレット変換を行い、その変換係数を出力する。図5Aは離散ウェーブレット変換部402の構成を表す図で、入力された画像信号はメモリ501に記憶され、処理部502により順次読み出されて変換された後、再びメモリ501に書き込まれる。
【0022】
図5Bは処理部502の構成例を示す図である。図5Bにおいて、入力された画像信号は、遅延素子(delay)503およびダウンサンプラ504、505の組み合わせにより、偶数アドレスおよび奇数アドレスの信号に分離され、二つのフィルタpおよびuによりフィルタ処理される。処理部502の出力sおよびdは、それぞれ一次元の画像信号に対して1レベルの分解を行った際のローパス係数およびハイパス係数を表し、次式により計算されるものとする。
d(n) = x(2n + 1) - {x(2n) + x(2n + 2)}/2 …(1)
s(n) = x(2n) + {d(n - 1) + d(n)}/4 …(2)
ここで、x(n)は変換対象の画像信号
【0023】
以上の処理により、画像信号に対する一次元の離散ウェーブレット変換が行われる。二次元の離散ウェーブレット変換は、一次元の変換を画像の水平・垂直方向に対して順次行うもので、公知であるからその詳細な説明は省略する。
【0024】
図5Cは二次元の変換処理によって得られる2レベルの変換係数群の構成を示す図で、画像信号は異なる周波数帯域の係数列HH1、HL1、LH1、…、LLに分解される。なお、以降の説明では、これら係数列をサブバンドと呼ぶ。各サブバンドの係数は後続の量子化部403に出力される。
【0025】
量子化部403は、入力される係数を所定の量子化ステップによって量子化し、その量子化値に対するインデックスを出力する。ここで、量子化は次式により行われる。
q = sign(c)・|c|/Δ …(3)
c ≧ 0 ならば sign(c) = 1 …(4)
c < 0 ならば sign(c) = -1 …(5)
ここで、cは量子化対象の係数
【0026】
本実施形態は、式(3)においてΔ=1を含むものとする。その場合、量子化は行われず、量子化部403に入力された変換係数はそのまま後続のエントロピ符号化部404に出力される。
【0027】
エントロピ符号化部404は、入力される量子化インデックスをビットプレーンに分解し、ビットプレーンを単位に二値算術符号化を行って、コードストリームを出力する。図6はエントロピ符号化部404の動作を説明する図である。図6に示す例では、4×4の大きさをもつサブバンド内の領域において、非零の量子化インデックスが三つ存在し、それぞれ+13、-6、+3の値をもつ。エントロピ符号化部404は、この領域を走査して最大値Mを求め、次式により、最大の量子化インデックスを表現するために必要なビット数Sを計算する。
S = ceil(log2|M|) …(6)
ここで、ceil(x):x以上の整数の中で最も小さい整数値を表す
【0028】
図6においては、最大の係数値は「13」であるからビット数Sは「4」になり、シーケンス中の16個の量子化インデックスは、図6(b)に示すように四つのビットプレーンを単位として処理が行われる。最初に、エントロピ符号化部404は、最上位ビットプレーン(MSB)の各ビットを二値算術符号化し、ビットストリームとして出力する。次にビットプレーンを1レベル下げ、以下同様に、対象のビットプレーンが最下位ビットプレーン(LSB)に至るまで、ビットプレーン内の各ビットを符号化し符号出力部405に出力する。このとき、各量子化インデックスの符号は、ビットプレーン走査において最初の非零のビットが検出されるた直後に、エントロピ符号化される。
【0029】
図7Aから7Dは、上記のようにして生成され出力される符号列の構成を示す図である。図7Aは符号列の全体の構成を示し、MHはメインヘッダ、THnはタイルヘッダ、BSnはTHnに対応するビットストリームである。メインヘッダMHは、図7Bに示すように、符号化対象になる画像のサイズ(水平および垂直方向の画素数)、画像を複数の矩形領域であるタイルに分割した際のサイズ、各色成分数を表すコンポーネント数、各成分の大きさおよびビット精度を表すコンポーネント情報から構成される。なお、画像をタイル分割しない場合はタイルサイズと画像サイズは同じ値をとり、対象画像がモノクロ多値画像の場合はコンポーネント数は「1」になる。
【0030】
図7CはタイルヘッダTHの構成を示す図で、タイルヘッダTHは、当該タイルのビットストリーム長とヘッダ長を含むタイル長、および、当該タイルに対する符号化パラメータから構成される。符号化パラメータには、離散ウェーブレット変換のレベル、フィルタの種別などが含まれる。
【0031】
図7Dは本実施形態におけるビットストリームの構成を示す図である。ビットストリームは、ビットプレーンを単位にまとめられ、上位ビットプレーンから下位ビットプレーンに向かって配置される。各ビットプレーンには、各サブバンドにおける量子化インデックスの当該ビットプレーンのビットを符号化した結果が順次サブバンド単位に配置されている。図7Dにおいて、Sは最大の量子化インデックスを表現するために必要なビット数である。このようにして生成された符号列は、符号出力部5に出力される。
【0032】
なお、上記の符号配列とすることで、後述する図11に示すような階層的復号を行うことが可能になる。
【0033】
上述した符号化において、符号化対象の画像の圧縮率は量子化ステップΔを変更することで制御可能である。また、エントロピ符号化部404において、符号化するビットプレーンの下位ビットを必要な圧縮率に応じて制限(廃棄)することも可能であ、この場合は、すべてのビットプレーンは符号化されず、上位ビットプレーンから所望の圧縮率に応じた数のビットプレーンまでが符号化されて、最終的な符号列に含まれることになる。
【0034】
次に、符号列(ビットストリーム)を復号する方法を説明する。図8は復号部、つまりデコーダの構成例を示すブロック図である。
【0035】
符号入力部806は、符号列を入力し、それに含まれるヘッダを解析して後続の処理に必要なパラメータを抽出し、必要な場合は処理の流れを制御、あるいは、後続の処理ユニットに対して該当するパラメータを送出する。また、符号列に含まれるビットストリームをエントロピ復号部807に出力する。
【0036】
エントロピ復号部807は、ビットストリームをビットプレーン単位に復号して、その復号結果を出力する。図9は復号手順を説明する図である。つまり、復号対象のサブバンドの一領域をビットプレーン単位に順次復号し(図9(a))、最終的に量子化インデックスを復元する(図9(b))。図9(a)に示す矢印はビットプレーンの復号順を示す。復元された量子化インデックスは逆量子化器808に出力される。
【0037】
逆量子化器808は、入力される量子化インデックスから、次式に基づき、離散ウェーブレット変換係数を復元する。
q ≠ 0 ならば c' = Δ×q …(7)
q = 0 ならば c' = 0 …(8)
ここで、qは量子化インデックス
Δは量子化ステップ(符号化時と同じ値)
【0038】
上式に示すc'は、復元された変換係数であり、符号化時にはsまたはdで表される係数に相当する。変換係数c'は、後続の逆離散ウェーブレット変換部809に出力される。
【0039】
図10Aおよび10Bは逆離散ウェーブレット変換部809の構成および処理を説明する図である。図10Aにおいて、入力される変換係数はメモリ1001に記憶される。処理部1002は一次元の逆離散ウェーブレット変換を行い、メモリ1001から順次変換係数を読み出して処理することで、二次元の逆離散ウェーブレット変換を行う。二次元の逆離散ウェーブレット変換は、順変換と逆の手順により実行されるが、その詳細は公知であるから説明を省略する。
【0040】
図10Bは処理部1002の処理を説明する図で、入力された変換係数はuおよびpの二つのフィルタ処理を施され、アップサンプラ1003および1004によってアップサンプリングされシフタ(shift)1005によりシフトされた後に重ね合わされて画像信号x'が出力される。これらの処理は次式によって表される。
x'(2n) = s'(n) - {d'(n - 1)+ d'(n)}/4 …(9)
x'(2n + 1) = d'(n) + {x'(2n) + x'(2n + 2)}/2 …(10)
【0041】
ここで、式(1)(2)(9)および(10)による順方向および逆方向の離散ウェーブレット変換は完全再構成条件を満たすため、量子化ステップΔ=1、かつ、ビットプレーンの廃棄がなければ、復元される画像信号x'は元の画像信号xと一致する。
【0042】
以上の処理により、画像が復元され、画像出力部810に出力される。なお、画像出力部810は、モニタなどの画像表示装置であってもよいし、あるいは、磁気ディスクなどの記憶装置であってもよい。
【0043】
[画像の表示形態]
上述した手順により画像を復元し表示する際の、画像の表示形態を説明する。
【0044】
図11Aは符号列を示す図で、基本的な構成は図7に基づくが、画像全体が1タイルと設して定されているから、符号列には、唯一つのタイルヘッダおよびビットストリームが含まれる。ビットストリームBS0は、図に示すように、最も上位のビットプレーンから下位のビットプレーンに向かって符号が配置されている。
【0045】
復号装置はこのビットストリームを順次読み込み、各ビットプレーンの符号を復号した時点で画像を出力する。図11Bは上位のビットプレーンから順次復号された際に表示される画像の画質変化の示す図である。上位のビットプレーンのみが復号された状態では、画像の全体的な特徴のみが表示される(図11B(a))が、下位のビットプレーンが復号されるに従い、段階的に画質が向上する(図11B(b)および(c))。量子化ステップΔ=1の場合、すべてのビットプレーンが復号された段階で、表示画像は元の画像と全く同じになる。
【0046】
[圧縮率の制御]
エントロピ符号化部404で符号化する下位ビットプレーンを制限(破棄)する例は上述したが、エントロピ復号部807においても、復号する下位ビットプレーンを制限(無視)することで受信または処理する符号のデータ量を減少させ、結果的に圧縮率を制御することが可能である。
【0047】
また、復号時の下位ビットプレーンの制限に代わりに、符号化の終えたデータから、上位のビットプレーンのみを取り出して、新たな符号化を行わずに、圧縮率の異なる別のデータを生成することも可能である。すなわち、JPEG 2000には、一度圧縮したデータを再圧縮することなく、新たなデータを生成できるという利点がある。
【0048】
この場合、二つの方法が考えられる。第一の方法は、レイヤ構造を利用する方法である。レイヤとはビットプレーンを幾つかに分けて、それぞれをパケット化したものである。このレイヤ構造は、エンコード時にエンコ−ダが選択することによって実現される。この場合、復号をレイヤ単位でまとめて行うことで、画像再生時の画質向上のプログレッシブが実現できる。
【0049】
図12Aはレイヤ構造の符号列を示す図で、幾つかのビットプレーンをまとめた単位でパケットが構成されている。また、それらのパケットがまとまって一つの画像データの符号列を構成し、このパケット単位でレイヤが構成される。
【0050】
図12Bはレイヤの概念を示す図で、上位ビットプレーンからレイヤ1、2、3へ組み込まれる。従って、圧縮率の異なる別のデータは、上位からレイヤを選択することで容易に生成することができる。この場合、パケット単位に付加されているヘッダ情報もそのまま利用できる。ただし、ファイルとしての情報は変わるので、ファイルフォーマットの情報は書き換えなければならない。
【0051】
第二の方法は、ビットプレーン単位に任意のビットプレーンを取り出す方法である。この場合、元のデータがレイヤ構造である必要はない。すなわち、レイヤが一つしかない場合でも可能である。しかし、新たなパケットを構成することになるので、パケットのヘッダ情報を書き換える必要があるし、ファイルフォーマットの情報を書き換えるのは第一の方法と同じである。
【0052】
[画像アップロードシステムの動作]
図3は画像アップロードシステムの動作を説明するフローチャートで、PC 2を利用してユーザがアップロードしたい画像を指定するとPC 2またはWebサーバ1によって実行される。電子アルバムを実現するソフトウェアは様々な形態が考えられる。例えば、PC 2上ではブラウザのみが動作し、電子アルバムの機能はWebサーバ1から提供されるものであってもよいし、Webサーバから一時的にダウンロードされるJava(登録商標)などのアプリケーションプログラムで実現してもよい。また、PC 2に電子アルバムの機能を提供するアプリケーションプログラムがインストールされていてもよく、電子アルバムの機能を実現する方法は問わない。
【0053】
まず、アップロードする画像のフォーマットが確認される(S1)。画像フォーマットがJPEG 2000以外の場合は従来の方法で画像をアップロードするので、その説明を省略する。
【0054】
上述したように、JPEG 2000のデータには、レイヤ構造をもつものと、もたない(1レイヤ)ものがあるので、アップロードするデータのレイヤ構造を確認する(S2)。レイヤ構造をもつ場合は、必要な画質を維持するのに必要なレイヤを選択し、そのレイヤを取り出す(S3)。また、1レイヤの場合は、必要な画質を維持するために必要なビットプレーンを選択し、そのビットプレーンに相当するデータを取り出し(S4)、取り出したデータに付加するヘッダ情報を書き換える(S5)。続いて、ファイルフォーマットの情報を新しいデータに合わせて書き換えてデータに付加し(S6)、アップロードするファイル(画像)が完成する。
【0055】
なお、上記では、画像データのフォーマットとしてJPEG 2000の例を示したが、ビットプレーン単位に符号化する画像データのフォーマットであれば、本実施形態を適用可能である。
【0056】
[プリントを考慮する場合の動作]
図13は、電子アルバムに登録した画像をプリントする際の便宜を考慮する場合のアップロード方法を説明するフローチャートである。なお、図3と同じ処理は、同一符号を付して、詳細説明を省略する。
【0057】
アップロードするJPEG 2000のデータがレイヤ構造をもつ場合、サーバに設定されている電子アルバムの各画像の解像度等に関する情報を受信して、その情報に応じてアップロードが必要な上位レイヤと、それ以外の下位レイヤとに、データを分ける(S11)。上位、下位の分け方は、ユーザの設定情報(アップロードする画像のビット深さ、解像度または画像サイズ、あるいは、アップロード時間の制限)に基づき行うこともできるし、実施形態のように電子アルバムの仕様(表示または格納ビット深さ、解像度、画像サイズ、あるいは、データ量の上限)などの情報に基づき行うこともできる。
【0058】
続いて、分けたデータを後に合体することが可能になるように、分けたデータに共通のIDを付加する(S12)。この共通IDにより、上位レイヤのデータに対応する下位レイヤのデータを見付けたり、逆に、下位レイヤのデータに対応する上位レイヤのデータを見付けることが可能になる。ただし、付加するIDは全く同一のIDである必要はなく、互いに相手のデータを検索可能なIDであればよい。例えば「共通ID」+「下位レイヤのデータ識別子」「共通ID」+「上位レイヤのデータ識別子」などでもよい。
【0059】
次に、下位レイヤのデータを取り出して独立ファイルとしてPC 2の記憶部(例えばハードディスクなど)に保存する(S13)。このときのファイルフォーマットやデータ構造の何処へ共通IDを組み込むかなどについて様々な形態が考えられるが、その形態は問わない。
【0060】
続いて、上位レイヤのデータを取り出し(S14)、そして、ファイルフォーマットの情報を新しいデータに合わせて書き換えてデータに付加し(S6)、アップロードするファイル(画像)が完成する。なお、共通IDは、ファイルフォーマットデータの拡張領域に設けた格納場所に格納すればよい。
【0061】
一方、1レイヤの場合は、上記と同様の基準を用いて、アップロードが必要な上位ビットプレーンと、それ以外の下位ビットプレーンとに、データを分ける(S15)。そして、分けたデータを後に合体することが可能になるように、上記と同様の共通IDを付加する(S16)。共通IDは、上位ビットプレーンのデータに対応する下位ビットプレーンのデータを見付けたり、逆に、下位ビットプレーンのデータに対応する上位ビットプレーンのデータを見付けるためのものである。
【0062】
続いて、下位ビットプレーンのデータを取り出して、ステップS13と同様に、独立ファイルとしてPC 2の記憶部に保存する(S17)。
【0063】
次に、上位ビットプレーンのデータを取り出し(S18)、取り出したデータに付加するヘッダ情報を書き換え(S5)、ファイルフォーマットの情報を新しいデータに合わせて書き換えてデータに付加し(S6)、アップロードするファイル(画像)が完成する。なお、共通IDは、ファイルフォーマットデータの拡張領域に設けた格納場所に格納すればよい。
【0064】
図14は、ユーザが、電子アルバムに登録した画像のプリントを注文する際の動作を説明するフローチャートである。
【0065】
ユーザは、PC 2を操作して電子アルバムがあるWebサーバ1にアクセスし(S21)、図2に示す電子アルバムのブラウズ機能を利用するなどしてプリントする写真(画像)を選択する(S22)。Webサーバ1は、選択された画像のファイルフォーマットを参照して、その拡張領域に共通IDが格納されているか否かを調べる(S23)。共通IDが見付かると、Webサーバ1は、その共通IDをPC 2に送信する。
【0066】
PC 2は、共通IDを受信すると、共通IDに対応する下位レイヤまたはビットプレーンのファイルデータを検索し(S24)、検索されたデータファイルをWebサーバ1に送信する(S25)。ここで検索され送信されるデータファイルは、図13のステップS13またはS17でPC 2の記憶部に保存されたデータファイルであることは言うまでもない。
【0067】
Webサーバ1は、ユーザが選択した画像のデータと、PC 2から受信したデータとを結合して、元のデータ(符号列)を復元する(S26)。Webサーバ1は、このようにして復元したデータを印刷所、プリントセンタ、DPEなどに送り、元の画質の画像のプリントが可能になる。
【0068】
このように、電子アルバムに登録する画像のデータ量を抑えることができる一方、電子アルバムを利用してプリントを注文する際は、必要な追加データのみをPC 2からWebサーバ1に送信することで、元の画質の画像によるプリントの注文が可能になり、より高画質のプリントを得ることができる。
【0069】
勿論、ファイルを復元する際にファイルフォーマットのデータも復元するように、下位レイヤまたはビットプレーンのデータファイルに、元のファイルフォーマットのデータを格納しておくことも可能である。さらに、メタデータや色空間に関する情報を下位レイヤまたはビットプレーンのデータファイルに格納しておき、プリント時の設定に利用することもできる。
【0070】
とくに、各画像について、電子アルバムが必要とするデータ量以上の過剰なデータの送出を防止して、ネットワークのトラフィックを減少させることができる。サーバにおいては、過剰なデータ部分を削除したり、縮小等の処理を不要になり、計算処理が低減される。さらに、ユーザ側においても、サーバの設定に合わせて縮小処理等をせずに上位ビットと下位ビットに分けるだけで済むので、計算処理を軽減して、適切なデータ量の画像を送信することができる。
【0071】
[他のユーザによるプリントの注文]
以下では、電子アルバムに登録された写真(画像)のプリントを、その写真を登録した以外のユーザが注文する例を説明する。この場合、電子アルバムに登録された画像のデータファイルには、その下位のレイヤまたはビットプレーンのデータファイルが存在する場所、具体的には写真をアップロードしたユーザ(以下では「登録者」と呼ぶ)のPC 2などを示すIPアドレスやメールアドレスなどの登録者情報が記録されている必要がある。なお、登録者情報は、写真のデータファイルとは別の、Webサーバ1がアクセス可能なデータベースに、写真のアップロード時に登録されていてもよい。
【0072】
図15は、登録者以外のユーザがプリントを注文する場合の動作を説明するフローチャートである。なお、図14と同じ処理には、同一符号を付して、その詳細説明を省略する。
【0073】
ユーザが、他の登録者の写真のプリントを指示すると、Webサーバ1は、登録者情報に基づき、下位のレイヤまたはビットプレーンのデータファイルがある場所をユーザに通知する(S31)。ユーザは、通知された場所にアクセスして、登録者に画像のプリントの許可を申請する(S32)。
【0074】
登録者は、その申請に対して許可するか却下するかを判断するが、申請があるごとに判断してもよいし、あるいは、許可する申請者を設定しておき、それらのユーザから申請があると自動的に許可を発行する、などの仕組みを利用することもできる。もし、許可しない場合は、申請者にその旨が通知され、当該画像のプリント注文は行われない。
【0075】
登録者から許可が得られると(S33)、登録者のPC 2からWebサーバ1に下位のレイヤまたはビットプレーンのデータファイルが送信され(S34)、Webサーバ1は、ユーザが選択した画像のデータと、PC 2から受信したデータとを結合して、元のデータ(符号列)を復元する(S26)。Webサーバ1は、このようにして復元したデータを印刷所、プリントセンタ、DPEなどに送り、元の画質の画像のプリントが可能になる。
【0076】
このように、登録者以外でも、電子アルバムに登録された画像を、元の画質の画像としてプリントすることが可能になる。また、Webサーバ1は、登録者と、画像をプリントするユーザとを区分して管理するので、電子アルバムに登録された画像の著作権保護などにも役立つ。
【0077】
上述した実施形態によれば、電子アルバムに画像をアップロードするときに、必要なデータのみを送ることで、アップロードに時間を短縮することができる。また、アップロードされた画像をオンライン注文で印刷する場合、追加のファイルを必要に応じてアップロードすることで、よりきれいな画像のプリントを得ることができる。さらに、このようなオンライン注文を画像の登録者以外のユーザが行う場合に、登録者の許可により、追加のファイルのアップロードおよびプリントを行うことで、登録画像を保護する。
【0078】
【他の実施形態】
なお、本発明は、複数の機器(例えばホストコンピュータ、インタフェイス機器、リーダ、プリンタなど)から構成されるシステムに適用しても、一つの機器からなる装置(例えば、複写機、ファクシミリ装置など)に適用してもよい。
【0079】
また、本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体(または記録媒体)を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0080】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0081】
本発明を上記記憶媒体に適用する場合、その記憶媒体には、先に説明したフローチャートに対応するプログラムコードが格納されることになる。
【0082】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、画像のアップロード時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の画像アップロードシステムの一例を示す図、
【図2】電子アルバムを閲覧する際のPCの画面例を示す図、
【図3】画像アップロードシステムの動作を説明するフローチャート、
【図4】JPEG 2000の符号化部分、すなわちエンコーダを説明をする図、
【図5A】離散ウェーブレット変換部の構成を表す図、
【図5B】処理部の構成例を示す図、
【図5C】二次元の変換処理によって得られる2レベルの変換係数群の構成を示す図、
【図6】エントロピ符号化部404の動作を説明する図、
【図7A】符号列の構成を示す図、
【図7B】符号列の構成を示す図、
【図7C】符号列の構成を示す図、
【図7D】符号列の構成を示す図、
【図8】図8は復号部、つまりデコーダの構成例を示すブロック図、
【図9】復号手順を説明する図、
【図10A】逆離散ウェーブレット変換部の構成および処理を説明する図、
【図10B】逆離散ウェーブレット変換部の構成および処理を説明する図、
【図11A】符号列を示す図、
【図11B】上位のビットプレーンから順次復号された際に表示される画像の画質変化の示す図、
【図12A】レイヤ構造の符号列を示す図、
【図12B】レイヤの概念を示す図、
【図13】電子アルバムに登録した画像をプリントする際の便宜を考慮する場合のアップロード方法を説明するフローチャート、
【図14】ユーザが、電子アルバムに登録した画像のプリントを注文する際の動作を説明するフローチャート、
【図15】登録者以外のユーザがプリントを注文する場合の動作を説明するフローチャートである。
【発明の属する技術分野】
本発明は画像処理方法に関し、例えば、電子アルバムに画像をアップロードする画像処理に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディジタルカメラやインターネットの普及に伴い、Webページにディジタル写真をアルバムのように保存し、閲覧することが可能になった。インターネット上の所謂電子アルバムは、知人などに写真をみせる時に非常に便利な仕組みである。
【0003】
電子アルバムを提供する企業などは、ディジタル写真を登録するためのページを用意しているので、そのページの指示に従ってディジタル写真のデータファイルを指定することで、容易にディジタル写真をWebページへアップロードすることができる。
【0004】
ディジタル写真の画像フォーマットには、通常、JPEG圧縮が使用されるが、JPEG圧縮は画像を非可逆に圧縮したり、画像のビット深さを8ビットに制限したりするなどによって画像のデータ量を圧縮するものであるから、ディジタル写真本来の画質を損なうことになる。そこで、一部のディジタルカメラは、非圧縮または可逆に圧縮して、ビット深さも撮像素子の出力ビット数(例えば12ビット/画素)のままで、ディジタル写真を記録する。この場合、ディジタル写真のデータ量はJPEG圧縮に比べて増大するが、プロ用のディジタルカメラなどで利用されている。
【0005】
近年、JPEGにとって代わる性能を提供することを目的とした新しい画像フォーマットJPEG 2000がISO/IECで策定されている。JPEG 2000は可逆圧縮および非可逆圧縮に対応し、ビット深さもコンポーネント当り38ビットまで対応可能で、先に述べたプロ用のディジタルカメラの画像の保存形式として最適である。また、今後、ディジタルカメラは高解像度や高ビット精度による高画質化が進むものと予想され、JPEG 2000の採用が期待される。
【0006】
ディジタルカメラの撮像素子の画素数は年々増大する傾向にあり、当然、ディジタル写真のデータ量も増大する傾向にある。まして、非圧縮モードで撮影された画像のデータ量はさらに大きい。電子アルバムに画像をアップロードする際は、画像データのデータ量に比例したアップロード時間を必要とする。そのため、上記のようなデータ量が大きいディジタル写真のアップロードは、ユーザとって不便であると言わざるを得ない。
【0007】
非圧縮モードの代わりにJPEG 2000の可逆圧縮を利用することが考えられる。この場合、画質を落とさずに、ディジタル写真のデータ量を小さくすることができるから、アップロード時間の短縮が可能になる。しかし、写真アルバムのWebページを閲覧する際に利用される機器はパソコンや携帯電話などで、これら機器の画面表示は、一般に、RGB各8ビットである。従って、たとえJPEG 2000で圧縮した12ビット/画素のディジタル写真を電子アルバムに登録したとしても、そのうち8ビット/画素のデータしか生かされないことになる。
【0008】
また、電子アルバムに登録した画像をプリントするサービスも存在する。画像の閲覧には8ビット/画素のデータでも充分であるが、プリントを行う場合はより深いビット数の方がきれいな画像がプリントされる。言い換えれば、元々は12ビット/画素のディジタル写真を、画面表示を考慮して8ビット/画素にすれば、折角の画質を無駄にしたプリントしか得られないという問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述の問題を個々にまたはまとめて解決するためのもので、画像のアップロード時間を短縮することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記の目的を達成する一手段として、以下の構成を備える。
【0011】
本発明にかかる画像処理方法は、電子アルバムを提供するサーバに画像データをアップロードする画像処理方法であって、画像データのコンポーネントを上位および下位ビットプレーン部に分け、前記上位のビットプレーン部を前記サーバにアップロードし、前記下位のビットプレーン部はアップロードせずに保持することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0013】
[概要]
電子アルバムに画像をアップロードする際に、そのアップロード時間の短縮を図るために、実施形態は、電子アルバムを提供するサーバに画像データをアップロードする際に画像データのコンポーネントを上位および下位ビットプレーン部に分け、上位のビットプレーン部をサーバにアップロードし、下位のビットプレーン部はアップロードせずに保持する装置および方法を開示する。その際、画像データは、幾つかのビットプレーン単位に符号化された符号列が構成され、ビットプレーン部は、その符号化単位に基づき分割される。
【0014】
また、実施形態は、電子アルバムの画像のプリントが注文された場合、つまり、サーバにアップロードされた上位ビットプレーンによって表示される画像のプリントが指示されると、下位のビットプレーン部がサーバにアップロードする装置および方法を開示する。下位ビットプレーン部のアップロードは、サーバにビットプレーン部を分割する前の画像データを復元させるためである。なお、上位および下位のビットプレーン部は、互いに、相手を識別するための識別情報を有する。
【0015】
[画像アップロードシステム]
図1は実施形態の画像アップロードシステムの一例を示す図である。
【0016】
インターネット3を介して、パーソナルコンピュータなどの機器(PC)2とWebサーバ1とが接続されているので、PC 2のユーザは、インターネット3を経由して、電子アルバムが設置されたWebサーバ1にアクセスすることで、電子アルバムの機能を利用することができる。
【0017】
図2は電子アルバムを閲覧する際のPC 2の画面例を示す図である。
【0018】
電子アルバムは、図2に示すように、複数枚の写真を一度にPC 2の画面に表示させること(ブラウズ機能)もできるし、ユーザが望む画像をクリックすることで、その画像のみを拡大表示すること(拡大表示機能)もできる。PC 2のユーザが自分の電子アルバムを作成する時は、電子アルバムが提供する機能を利用して、画面を構成したり、画像ファイルを指定してアップロードしたりする。これらの機能は公知であるから、ここでは詳細を説明しない。また、画像アップロードシステムの動作は後述する。
【0019】
[JPEG 2000の説明]
ここで、JPEG 2000の構造を説明する。図4はJPEG 2000の符号化部分、すなわちエンコーダを説明をする図である。
【0020】
画像入力部401を介して、符号化対象の画像を構成する画素がラスタスキャン順に離散ウェーブレット変換部402に入力される。なお、以降の説明では、モノクロ多値画像を例に説明するが、カラー画像など、複数の色成分を有する画像を符号化する場合は、RGBの各色成分単位に、または、輝度および色度成分単位に圧縮を行えばよい。
【0021】
離散ウェーブレット変換部402は、入力される画像信号に対して二次元の離散ウェーブレット変換を行い、その変換係数を出力する。図5Aは離散ウェーブレット変換部402の構成を表す図で、入力された画像信号はメモリ501に記憶され、処理部502により順次読み出されて変換された後、再びメモリ501に書き込まれる。
【0022】
図5Bは処理部502の構成例を示す図である。図5Bにおいて、入力された画像信号は、遅延素子(delay)503およびダウンサンプラ504、505の組み合わせにより、偶数アドレスおよび奇数アドレスの信号に分離され、二つのフィルタpおよびuによりフィルタ処理される。処理部502の出力sおよびdは、それぞれ一次元の画像信号に対して1レベルの分解を行った際のローパス係数およびハイパス係数を表し、次式により計算されるものとする。
d(n) = x(2n + 1) - {x(2n) + x(2n + 2)}/2 …(1)
s(n) = x(2n) + {d(n - 1) + d(n)}/4 …(2)
ここで、x(n)は変換対象の画像信号
【0023】
以上の処理により、画像信号に対する一次元の離散ウェーブレット変換が行われる。二次元の離散ウェーブレット変換は、一次元の変換を画像の水平・垂直方向に対して順次行うもので、公知であるからその詳細な説明は省略する。
【0024】
図5Cは二次元の変換処理によって得られる2レベルの変換係数群の構成を示す図で、画像信号は異なる周波数帯域の係数列HH1、HL1、LH1、…、LLに分解される。なお、以降の説明では、これら係数列をサブバンドと呼ぶ。各サブバンドの係数は後続の量子化部403に出力される。
【0025】
量子化部403は、入力される係数を所定の量子化ステップによって量子化し、その量子化値に対するインデックスを出力する。ここで、量子化は次式により行われる。
q = sign(c)・|c|/Δ …(3)
c ≧ 0 ならば sign(c) = 1 …(4)
c < 0 ならば sign(c) = -1 …(5)
ここで、cは量子化対象の係数
【0026】
本実施形態は、式(3)においてΔ=1を含むものとする。その場合、量子化は行われず、量子化部403に入力された変換係数はそのまま後続のエントロピ符号化部404に出力される。
【0027】
エントロピ符号化部404は、入力される量子化インデックスをビットプレーンに分解し、ビットプレーンを単位に二値算術符号化を行って、コードストリームを出力する。図6はエントロピ符号化部404の動作を説明する図である。図6に示す例では、4×4の大きさをもつサブバンド内の領域において、非零の量子化インデックスが三つ存在し、それぞれ+13、-6、+3の値をもつ。エントロピ符号化部404は、この領域を走査して最大値Mを求め、次式により、最大の量子化インデックスを表現するために必要なビット数Sを計算する。
S = ceil(log2|M|) …(6)
ここで、ceil(x):x以上の整数の中で最も小さい整数値を表す
【0028】
図6においては、最大の係数値は「13」であるからビット数Sは「4」になり、シーケンス中の16個の量子化インデックスは、図6(b)に示すように四つのビットプレーンを単位として処理が行われる。最初に、エントロピ符号化部404は、最上位ビットプレーン(MSB)の各ビットを二値算術符号化し、ビットストリームとして出力する。次にビットプレーンを1レベル下げ、以下同様に、対象のビットプレーンが最下位ビットプレーン(LSB)に至るまで、ビットプレーン内の各ビットを符号化し符号出力部405に出力する。このとき、各量子化インデックスの符号は、ビットプレーン走査において最初の非零のビットが検出されるた直後に、エントロピ符号化される。
【0029】
図7Aから7Dは、上記のようにして生成され出力される符号列の構成を示す図である。図7Aは符号列の全体の構成を示し、MHはメインヘッダ、THnはタイルヘッダ、BSnはTHnに対応するビットストリームである。メインヘッダMHは、図7Bに示すように、符号化対象になる画像のサイズ(水平および垂直方向の画素数)、画像を複数の矩形領域であるタイルに分割した際のサイズ、各色成分数を表すコンポーネント数、各成分の大きさおよびビット精度を表すコンポーネント情報から構成される。なお、画像をタイル分割しない場合はタイルサイズと画像サイズは同じ値をとり、対象画像がモノクロ多値画像の場合はコンポーネント数は「1」になる。
【0030】
図7CはタイルヘッダTHの構成を示す図で、タイルヘッダTHは、当該タイルのビットストリーム長とヘッダ長を含むタイル長、および、当該タイルに対する符号化パラメータから構成される。符号化パラメータには、離散ウェーブレット変換のレベル、フィルタの種別などが含まれる。
【0031】
図7Dは本実施形態におけるビットストリームの構成を示す図である。ビットストリームは、ビットプレーンを単位にまとめられ、上位ビットプレーンから下位ビットプレーンに向かって配置される。各ビットプレーンには、各サブバンドにおける量子化インデックスの当該ビットプレーンのビットを符号化した結果が順次サブバンド単位に配置されている。図7Dにおいて、Sは最大の量子化インデックスを表現するために必要なビット数である。このようにして生成された符号列は、符号出力部5に出力される。
【0032】
なお、上記の符号配列とすることで、後述する図11に示すような階層的復号を行うことが可能になる。
【0033】
上述した符号化において、符号化対象の画像の圧縮率は量子化ステップΔを変更することで制御可能である。また、エントロピ符号化部404において、符号化するビットプレーンの下位ビットを必要な圧縮率に応じて制限(廃棄)することも可能であ、この場合は、すべてのビットプレーンは符号化されず、上位ビットプレーンから所望の圧縮率に応じた数のビットプレーンまでが符号化されて、最終的な符号列に含まれることになる。
【0034】
次に、符号列(ビットストリーム)を復号する方法を説明する。図8は復号部、つまりデコーダの構成例を示すブロック図である。
【0035】
符号入力部806は、符号列を入力し、それに含まれるヘッダを解析して後続の処理に必要なパラメータを抽出し、必要な場合は処理の流れを制御、あるいは、後続の処理ユニットに対して該当するパラメータを送出する。また、符号列に含まれるビットストリームをエントロピ復号部807に出力する。
【0036】
エントロピ復号部807は、ビットストリームをビットプレーン単位に復号して、その復号結果を出力する。図9は復号手順を説明する図である。つまり、復号対象のサブバンドの一領域をビットプレーン単位に順次復号し(図9(a))、最終的に量子化インデックスを復元する(図9(b))。図9(a)に示す矢印はビットプレーンの復号順を示す。復元された量子化インデックスは逆量子化器808に出力される。
【0037】
逆量子化器808は、入力される量子化インデックスから、次式に基づき、離散ウェーブレット変換係数を復元する。
q ≠ 0 ならば c' = Δ×q …(7)
q = 0 ならば c' = 0 …(8)
ここで、qは量子化インデックス
Δは量子化ステップ(符号化時と同じ値)
【0038】
上式に示すc'は、復元された変換係数であり、符号化時にはsまたはdで表される係数に相当する。変換係数c'は、後続の逆離散ウェーブレット変換部809に出力される。
【0039】
図10Aおよび10Bは逆離散ウェーブレット変換部809の構成および処理を説明する図である。図10Aにおいて、入力される変換係数はメモリ1001に記憶される。処理部1002は一次元の逆離散ウェーブレット変換を行い、メモリ1001から順次変換係数を読み出して処理することで、二次元の逆離散ウェーブレット変換を行う。二次元の逆離散ウェーブレット変換は、順変換と逆の手順により実行されるが、その詳細は公知であるから説明を省略する。
【0040】
図10Bは処理部1002の処理を説明する図で、入力された変換係数はuおよびpの二つのフィルタ処理を施され、アップサンプラ1003および1004によってアップサンプリングされシフタ(shift)1005によりシフトされた後に重ね合わされて画像信号x'が出力される。これらの処理は次式によって表される。
x'(2n) = s'(n) - {d'(n - 1)+ d'(n)}/4 …(9)
x'(2n + 1) = d'(n) + {x'(2n) + x'(2n + 2)}/2 …(10)
【0041】
ここで、式(1)(2)(9)および(10)による順方向および逆方向の離散ウェーブレット変換は完全再構成条件を満たすため、量子化ステップΔ=1、かつ、ビットプレーンの廃棄がなければ、復元される画像信号x'は元の画像信号xと一致する。
【0042】
以上の処理により、画像が復元され、画像出力部810に出力される。なお、画像出力部810は、モニタなどの画像表示装置であってもよいし、あるいは、磁気ディスクなどの記憶装置であってもよい。
【0043】
[画像の表示形態]
上述した手順により画像を復元し表示する際の、画像の表示形態を説明する。
【0044】
図11Aは符号列を示す図で、基本的な構成は図7に基づくが、画像全体が1タイルと設して定されているから、符号列には、唯一つのタイルヘッダおよびビットストリームが含まれる。ビットストリームBS0は、図に示すように、最も上位のビットプレーンから下位のビットプレーンに向かって符号が配置されている。
【0045】
復号装置はこのビットストリームを順次読み込み、各ビットプレーンの符号を復号した時点で画像を出力する。図11Bは上位のビットプレーンから順次復号された際に表示される画像の画質変化の示す図である。上位のビットプレーンのみが復号された状態では、画像の全体的な特徴のみが表示される(図11B(a))が、下位のビットプレーンが復号されるに従い、段階的に画質が向上する(図11B(b)および(c))。量子化ステップΔ=1の場合、すべてのビットプレーンが復号された段階で、表示画像は元の画像と全く同じになる。
【0046】
[圧縮率の制御]
エントロピ符号化部404で符号化する下位ビットプレーンを制限(破棄)する例は上述したが、エントロピ復号部807においても、復号する下位ビットプレーンを制限(無視)することで受信または処理する符号のデータ量を減少させ、結果的に圧縮率を制御することが可能である。
【0047】
また、復号時の下位ビットプレーンの制限に代わりに、符号化の終えたデータから、上位のビットプレーンのみを取り出して、新たな符号化を行わずに、圧縮率の異なる別のデータを生成することも可能である。すなわち、JPEG 2000には、一度圧縮したデータを再圧縮することなく、新たなデータを生成できるという利点がある。
【0048】
この場合、二つの方法が考えられる。第一の方法は、レイヤ構造を利用する方法である。レイヤとはビットプレーンを幾つかに分けて、それぞれをパケット化したものである。このレイヤ構造は、エンコード時にエンコ−ダが選択することによって実現される。この場合、復号をレイヤ単位でまとめて行うことで、画像再生時の画質向上のプログレッシブが実現できる。
【0049】
図12Aはレイヤ構造の符号列を示す図で、幾つかのビットプレーンをまとめた単位でパケットが構成されている。また、それらのパケットがまとまって一つの画像データの符号列を構成し、このパケット単位でレイヤが構成される。
【0050】
図12Bはレイヤの概念を示す図で、上位ビットプレーンからレイヤ1、2、3へ組み込まれる。従って、圧縮率の異なる別のデータは、上位からレイヤを選択することで容易に生成することができる。この場合、パケット単位に付加されているヘッダ情報もそのまま利用できる。ただし、ファイルとしての情報は変わるので、ファイルフォーマットの情報は書き換えなければならない。
【0051】
第二の方法は、ビットプレーン単位に任意のビットプレーンを取り出す方法である。この場合、元のデータがレイヤ構造である必要はない。すなわち、レイヤが一つしかない場合でも可能である。しかし、新たなパケットを構成することになるので、パケットのヘッダ情報を書き換える必要があるし、ファイルフォーマットの情報を書き換えるのは第一の方法と同じである。
【0052】
[画像アップロードシステムの動作]
図3は画像アップロードシステムの動作を説明するフローチャートで、PC 2を利用してユーザがアップロードしたい画像を指定するとPC 2またはWebサーバ1によって実行される。電子アルバムを実現するソフトウェアは様々な形態が考えられる。例えば、PC 2上ではブラウザのみが動作し、電子アルバムの機能はWebサーバ1から提供されるものであってもよいし、Webサーバから一時的にダウンロードされるJava(登録商標)などのアプリケーションプログラムで実現してもよい。また、PC 2に電子アルバムの機能を提供するアプリケーションプログラムがインストールされていてもよく、電子アルバムの機能を実現する方法は問わない。
【0053】
まず、アップロードする画像のフォーマットが確認される(S1)。画像フォーマットがJPEG 2000以外の場合は従来の方法で画像をアップロードするので、その説明を省略する。
【0054】
上述したように、JPEG 2000のデータには、レイヤ構造をもつものと、もたない(1レイヤ)ものがあるので、アップロードするデータのレイヤ構造を確認する(S2)。レイヤ構造をもつ場合は、必要な画質を維持するのに必要なレイヤを選択し、そのレイヤを取り出す(S3)。また、1レイヤの場合は、必要な画質を維持するために必要なビットプレーンを選択し、そのビットプレーンに相当するデータを取り出し(S4)、取り出したデータに付加するヘッダ情報を書き換える(S5)。続いて、ファイルフォーマットの情報を新しいデータに合わせて書き換えてデータに付加し(S6)、アップロードするファイル(画像)が完成する。
【0055】
なお、上記では、画像データのフォーマットとしてJPEG 2000の例を示したが、ビットプレーン単位に符号化する画像データのフォーマットであれば、本実施形態を適用可能である。
【0056】
[プリントを考慮する場合の動作]
図13は、電子アルバムに登録した画像をプリントする際の便宜を考慮する場合のアップロード方法を説明するフローチャートである。なお、図3と同じ処理は、同一符号を付して、詳細説明を省略する。
【0057】
アップロードするJPEG 2000のデータがレイヤ構造をもつ場合、サーバに設定されている電子アルバムの各画像の解像度等に関する情報を受信して、その情報に応じてアップロードが必要な上位レイヤと、それ以外の下位レイヤとに、データを分ける(S11)。上位、下位の分け方は、ユーザの設定情報(アップロードする画像のビット深さ、解像度または画像サイズ、あるいは、アップロード時間の制限)に基づき行うこともできるし、実施形態のように電子アルバムの仕様(表示または格納ビット深さ、解像度、画像サイズ、あるいは、データ量の上限)などの情報に基づき行うこともできる。
【0058】
続いて、分けたデータを後に合体することが可能になるように、分けたデータに共通のIDを付加する(S12)。この共通IDにより、上位レイヤのデータに対応する下位レイヤのデータを見付けたり、逆に、下位レイヤのデータに対応する上位レイヤのデータを見付けることが可能になる。ただし、付加するIDは全く同一のIDである必要はなく、互いに相手のデータを検索可能なIDであればよい。例えば「共通ID」+「下位レイヤのデータ識別子」「共通ID」+「上位レイヤのデータ識別子」などでもよい。
【0059】
次に、下位レイヤのデータを取り出して独立ファイルとしてPC 2の記憶部(例えばハードディスクなど)に保存する(S13)。このときのファイルフォーマットやデータ構造の何処へ共通IDを組み込むかなどについて様々な形態が考えられるが、その形態は問わない。
【0060】
続いて、上位レイヤのデータを取り出し(S14)、そして、ファイルフォーマットの情報を新しいデータに合わせて書き換えてデータに付加し(S6)、アップロードするファイル(画像)が完成する。なお、共通IDは、ファイルフォーマットデータの拡張領域に設けた格納場所に格納すればよい。
【0061】
一方、1レイヤの場合は、上記と同様の基準を用いて、アップロードが必要な上位ビットプレーンと、それ以外の下位ビットプレーンとに、データを分ける(S15)。そして、分けたデータを後に合体することが可能になるように、上記と同様の共通IDを付加する(S16)。共通IDは、上位ビットプレーンのデータに対応する下位ビットプレーンのデータを見付けたり、逆に、下位ビットプレーンのデータに対応する上位ビットプレーンのデータを見付けるためのものである。
【0062】
続いて、下位ビットプレーンのデータを取り出して、ステップS13と同様に、独立ファイルとしてPC 2の記憶部に保存する(S17)。
【0063】
次に、上位ビットプレーンのデータを取り出し(S18)、取り出したデータに付加するヘッダ情報を書き換え(S5)、ファイルフォーマットの情報を新しいデータに合わせて書き換えてデータに付加し(S6)、アップロードするファイル(画像)が完成する。なお、共通IDは、ファイルフォーマットデータの拡張領域に設けた格納場所に格納すればよい。
【0064】
図14は、ユーザが、電子アルバムに登録した画像のプリントを注文する際の動作を説明するフローチャートである。
【0065】
ユーザは、PC 2を操作して電子アルバムがあるWebサーバ1にアクセスし(S21)、図2に示す電子アルバムのブラウズ機能を利用するなどしてプリントする写真(画像)を選択する(S22)。Webサーバ1は、選択された画像のファイルフォーマットを参照して、その拡張領域に共通IDが格納されているか否かを調べる(S23)。共通IDが見付かると、Webサーバ1は、その共通IDをPC 2に送信する。
【0066】
PC 2は、共通IDを受信すると、共通IDに対応する下位レイヤまたはビットプレーンのファイルデータを検索し(S24)、検索されたデータファイルをWebサーバ1に送信する(S25)。ここで検索され送信されるデータファイルは、図13のステップS13またはS17でPC 2の記憶部に保存されたデータファイルであることは言うまでもない。
【0067】
Webサーバ1は、ユーザが選択した画像のデータと、PC 2から受信したデータとを結合して、元のデータ(符号列)を復元する(S26)。Webサーバ1は、このようにして復元したデータを印刷所、プリントセンタ、DPEなどに送り、元の画質の画像のプリントが可能になる。
【0068】
このように、電子アルバムに登録する画像のデータ量を抑えることができる一方、電子アルバムを利用してプリントを注文する際は、必要な追加データのみをPC 2からWebサーバ1に送信することで、元の画質の画像によるプリントの注文が可能になり、より高画質のプリントを得ることができる。
【0069】
勿論、ファイルを復元する際にファイルフォーマットのデータも復元するように、下位レイヤまたはビットプレーンのデータファイルに、元のファイルフォーマットのデータを格納しておくことも可能である。さらに、メタデータや色空間に関する情報を下位レイヤまたはビットプレーンのデータファイルに格納しておき、プリント時の設定に利用することもできる。
【0070】
とくに、各画像について、電子アルバムが必要とするデータ量以上の過剰なデータの送出を防止して、ネットワークのトラフィックを減少させることができる。サーバにおいては、過剰なデータ部分を削除したり、縮小等の処理を不要になり、計算処理が低減される。さらに、ユーザ側においても、サーバの設定に合わせて縮小処理等をせずに上位ビットと下位ビットに分けるだけで済むので、計算処理を軽減して、適切なデータ量の画像を送信することができる。
【0071】
[他のユーザによるプリントの注文]
以下では、電子アルバムに登録された写真(画像)のプリントを、その写真を登録した以外のユーザが注文する例を説明する。この場合、電子アルバムに登録された画像のデータファイルには、その下位のレイヤまたはビットプレーンのデータファイルが存在する場所、具体的には写真をアップロードしたユーザ(以下では「登録者」と呼ぶ)のPC 2などを示すIPアドレスやメールアドレスなどの登録者情報が記録されている必要がある。なお、登録者情報は、写真のデータファイルとは別の、Webサーバ1がアクセス可能なデータベースに、写真のアップロード時に登録されていてもよい。
【0072】
図15は、登録者以外のユーザがプリントを注文する場合の動作を説明するフローチャートである。なお、図14と同じ処理には、同一符号を付して、その詳細説明を省略する。
【0073】
ユーザが、他の登録者の写真のプリントを指示すると、Webサーバ1は、登録者情報に基づき、下位のレイヤまたはビットプレーンのデータファイルがある場所をユーザに通知する(S31)。ユーザは、通知された場所にアクセスして、登録者に画像のプリントの許可を申請する(S32)。
【0074】
登録者は、その申請に対して許可するか却下するかを判断するが、申請があるごとに判断してもよいし、あるいは、許可する申請者を設定しておき、それらのユーザから申請があると自動的に許可を発行する、などの仕組みを利用することもできる。もし、許可しない場合は、申請者にその旨が通知され、当該画像のプリント注文は行われない。
【0075】
登録者から許可が得られると(S33)、登録者のPC 2からWebサーバ1に下位のレイヤまたはビットプレーンのデータファイルが送信され(S34)、Webサーバ1は、ユーザが選択した画像のデータと、PC 2から受信したデータとを結合して、元のデータ(符号列)を復元する(S26)。Webサーバ1は、このようにして復元したデータを印刷所、プリントセンタ、DPEなどに送り、元の画質の画像のプリントが可能になる。
【0076】
このように、登録者以外でも、電子アルバムに登録された画像を、元の画質の画像としてプリントすることが可能になる。また、Webサーバ1は、登録者と、画像をプリントするユーザとを区分して管理するので、電子アルバムに登録された画像の著作権保護などにも役立つ。
【0077】
上述した実施形態によれば、電子アルバムに画像をアップロードするときに、必要なデータのみを送ることで、アップロードに時間を短縮することができる。また、アップロードされた画像をオンライン注文で印刷する場合、追加のファイルを必要に応じてアップロードすることで、よりきれいな画像のプリントを得ることができる。さらに、このようなオンライン注文を画像の登録者以外のユーザが行う場合に、登録者の許可により、追加のファイルのアップロードおよびプリントを行うことで、登録画像を保護する。
【0078】
【他の実施形態】
なお、本発明は、複数の機器(例えばホストコンピュータ、インタフェイス機器、リーダ、プリンタなど)から構成されるシステムに適用しても、一つの機器からなる装置(例えば、複写機、ファクシミリ装置など)に適用してもよい。
【0079】
また、本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体(または記録媒体)を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0080】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0081】
本発明を上記記憶媒体に適用する場合、その記憶媒体には、先に説明したフローチャートに対応するプログラムコードが格納されることになる。
【0082】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、画像のアップロード時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の画像アップロードシステムの一例を示す図、
【図2】電子アルバムを閲覧する際のPCの画面例を示す図、
【図3】画像アップロードシステムの動作を説明するフローチャート、
【図4】JPEG 2000の符号化部分、すなわちエンコーダを説明をする図、
【図5A】離散ウェーブレット変換部の構成を表す図、
【図5B】処理部の構成例を示す図、
【図5C】二次元の変換処理によって得られる2レベルの変換係数群の構成を示す図、
【図6】エントロピ符号化部404の動作を説明する図、
【図7A】符号列の構成を示す図、
【図7B】符号列の構成を示す図、
【図7C】符号列の構成を示す図、
【図7D】符号列の構成を示す図、
【図8】図8は復号部、つまりデコーダの構成例を示すブロック図、
【図9】復号手順を説明する図、
【図10A】逆離散ウェーブレット変換部の構成および処理を説明する図、
【図10B】逆離散ウェーブレット変換部の構成および処理を説明する図、
【図11A】符号列を示す図、
【図11B】上位のビットプレーンから順次復号された際に表示される画像の画質変化の示す図、
【図12A】レイヤ構造の符号列を示す図、
【図12B】レイヤの概念を示す図、
【図13】電子アルバムに登録した画像をプリントする際の便宜を考慮する場合のアップロード方法を説明するフローチャート、
【図14】ユーザが、電子アルバムに登録した画像のプリントを注文する際の動作を説明するフローチャート、
【図15】登録者以外のユーザがプリントを注文する場合の動作を説明するフローチャートである。
Claims (1)
- 電子アルバムを提供するサーバに画像データをアップロードする画像処理方法であって、
画像データのコンポーネントを上位および下位ビットプレーン部に分け、
前記上位のビットプレーン部を前記サーバにアップロードし、
前記下位のビットプレーン部はアップロードせずに保持することを特徴とする画像処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002373107A JP2004207909A (ja) | 2002-12-24 | 2002-12-24 | 画像処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2002373107A JP2004207909A (ja) | 2002-12-24 | 2002-12-24 | 画像処理方法 |
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ID=32811506
Family Applications (1)
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JP2002373107A Withdrawn JP2004207909A (ja) | 2002-12-24 | 2002-12-24 | 画像処理方法 |
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JP (1) | JP2004207909A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014174756A (ja) * | 2013-03-08 | 2014-09-22 | Canon Inc | コンテンツ管理システム、コンテンツ管理装置、コンテンツ管理方法及びプログラム |
-
2002
- 2002-12-24 JP JP2002373107A patent/JP2004207909A/ja not_active Withdrawn
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