JP2004206192A - 建築設計工程並列実行方法 - Google Patents

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浩文 山本
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健二 遠藤
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健 吉井
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Abstract

【課題】建築物の確認申請図を作図する工程と外装及び内部仕上げの詳細設計を行う工程とを並列に実行する方法を提供し,設計時間の短縮を可能にする。
【解決手段】スケッチプラン作成工程1において建築物の躯体等を3次元CADシステム7を用い,建物内部の間仕切等を2次元CADシステム6を用いて作図してスケッチプランデータを生成し,スケッチプランデータに基づいて確認申請図作成工程2において確認申請図を作成し,外装詳細設計工程3において3次元CADシステム7を用いて外装の詳細設計を行い,並行して内部仕上げ詳細設計工程4において3次元CADシステム7を用いて建築物の内部仕上げの詳細設計を行い,詳細図作成工程5において外装の詳細設計と内部仕上げの詳細設計の図面データとに基づいて詳細図を作成する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,CADシステムに関し,特に,建築設計において,確認申請を行うための図面を作成する工程と建築物の外装および内部仕上げの詳細設計を行う工程とを並列に実行する建築設計工程並列実行方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の建築設計フローは,図12に示すように,企画設計,基本設計を経て,実施設計(1)において建物が建築基準法に照らし合わせて合法であるか判断するための図面である確認申請図を作成した後,施工者側に渡す詳細情報を付加した図面を作成する工程である実施設計(2)を行っていた。そして,施工者側は実施設計(2)後の図面を受け取り,実際に施工するための施工図を作成していた。
【0003】
また,上記従来の建築設計フローにおいて,以前は図12の点線で囲まれた企画設計から実施設計(2)までの工程において,2次元CADを用いて設計図を描き,その後,施工段階で詳細な設計図を2次元の図面を基に別途作成していたが,3次元CADの普及に従い,3次元CADが持つパラメトリックな機能を利用して最初から作図すれば逐次情報を加えることができるので,川上における設計図を基に施工者側でさらに詳細なデータに加工することができる。
【0004】
このように,設計の最初から全て3次元CADを用いて作図すれば,施工図の段階で新たに作図する必要がなくなり,また,川上のデータが有効利用できるので,全体としての省力化が図れ,かつ設計図としての整合性も確保できるという利点がある。なお上記従来の建築設計技術について記載した文献は特に見当たらない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし,上記従来の建築設計フローにおいて,最初から全て3次元CADを用いて作図すると,3次元CADは2次元CADに比較して入力項目が多いため,2次元CADを用いた作図と比べて作図に多大な労力と時間がかかる。従って,決められた設計スケジュールに対応するのが難しいのでなかなか作図作業の実務に使用されないできた。すなわち,3次元CADを用いて最初から全て作図を始めると,時間がかかるため,確認申請図の作成工程が遅れるという問題点があった。確認申請が遅れると,着工の時期も遅れるため,竣工時も遅れ,竣工時が決まっている場合は,工期を短縮せざるを得ず,施工上様々な問題を生じることになる。
【0006】
本発明は,上記従来技術の問題点を解決し,実施設計(1)における確認申請図を作図する工程と実施設計(2)における建築物の外装および内部仕上げの詳細設計を行う工程とを並列に実行し,工期の短縮を可能とする建築設計工程並列実行方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため,本発明は,実施設計(1)における最初の作図工程であるスケッチプラン作成工程において,建築物の躯体と躯体に取り付く建具を3次元CADで作成し,内部仕上げを2次元で作成する。これにより,その後の確認申請図を作図する工程と実施設計(2)における外装の詳細設計を行う工程とで建築物の外装の3次元データを共通データとして持つ。なお,ここでいう内部仕上げは,建物内部の間仕切,建具,キッチン,設備什器等を含むものである。
【0008】
図3は,本発明の建築設計フローの概略を示す図である。図3に示すように,本発明では,企画設計,基本設計の後,図3の点線で囲まれた実施設計(1)〜施工図設計において3次元CADシステムを用いて作図する。ここで,実施設計(1)においては,3次元CADシステムと2次元CADシステムとを組み合わせて建築物のラフスケッチ等を行ってスケッチプランを作成した後,確認申請図を作成する。実施設計(1)においては,躯体と躯体に取り付く建具のみ3次元で作成され,内部間仕切等の内部仕上げは2次元表現である。
【0009】
そして,実施設計(1)と並行して3次元CADシステムを用いて実施設計(2)を行う。実施設計(2)では,建築物の外装の詳細設計を行うとともに,スケッチプランのデータを用い,建築物の内部仕上げを3次元で作図する(内部仕上げの詳細設計)。そして,実施設計(2)において作成された図面データに基づいて,施工図を作成する。
【0010】
本発明は,実施設計(1)における確認申請図を作成する工程と実施設計(2)における外装の詳細設計を行う工程とを外装の3次元データを共通に持つことにより並行して実行することができ,また,スケッチプランの内部仕上げデータをもとに3次元化することで内部仕上げの詳細設計も並行して実行することができる。従って,図12に示す従来の設計フローに比べて作図時間を短縮することが可能となる。
【0011】
すなわち,本発明は,コンピュータを用いて建築設計の工程を並列に実行する方法であって,建築物の躯体と,躯体に取り付く建具を3次元CADシステムを用いて作図し,内部仕上げを2次元CADシステムを用いて作図し,3次元CADシステムを用いて作図した図面データに2次元CADシステムを用いて作図した図面データを貼り付けることによりスケッチプランを作成する工程と,前記スケッチプランの図面データに基づいて,2次元CADシステムを用いて作図した図面データを貼り付けた3次元CADシステムの図面データを用いて確認申請図を作成する工程と,前記スケッチプランを作成する工程で作図した図面データを利用し,3次元CADシステムを用いて外装の詳細設計を行う工程と,前記建築物の内部仕上げを3次元CADシステムを用いて作図することにより内部仕上げの詳細設計を行う工程と,前記仕上げ情報を含んだ外装の詳細設計の図面データと前記内部仕上げの詳細設計の図面データとに基づいて詳細図を作成する工程とを有し,前記確認申請図を作成する工程と前記外装および内部仕上げの詳細設計を行う工程とを並列に実行することを特徴とする。
【0012】
本発明を用いることにより,確認申請図を作図する工程と外装および内部仕上げの詳細設計を行う工程とを並列に実行することができるため,建築設計上の工期を短縮することが可能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に,本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。図1は,本発明に係る建築設計工程並列実行方法を示す図である。1は建築物の躯体および躯体に取り付く建具を3次元CADシステムを用いて作図し,建築物の内部仕上げを2次元CADシステムを用いて作図することによりスケッチプランを作成するスケッチプラン作成工程,2はスケッチプランの図面データに基づいて3次元CADシステムを用いて確認申請図を作成する確認申請図作成工程である。
【0014】
また,3はスケッチプランの図面データに基づいて3次元CADシステムを用いて外装の詳細設計を行う外装詳細設計工程,4はスケッチプランの図面データに基づいて,建築物の内部仕上げを3次元CADを用いて作図することにより内部仕上げの詳細設計を行う内部仕上げ詳細設計工程,5は仕上げ情報を含んだ外装の詳細設計の図面データと内部仕上げの詳細設計の図面データとに基づいて詳細図を作成する詳細図作成工程,6は2次元CADシステム,7は3次元CADシステムである。
【0015】
図2は,本発明の建築設計工程並列実行方法を実行するシステムのハードウェア構成の一例を示す図である。図2において,11はシステム全体を制御するCPU,12はキーボード,13はマウス,14はハードディスクからロードされた3次元CADソフトウェアまたは2次元CADソフトウェアなどのプログラムやデータが格納されるメモリ,15は作成したCAD図面を表示するディスプレイ,16はプリンタ,17は3次元CADソフトウェアおよび2次元CADソフトウェアが格納されているハードディスクである。
【0016】
以下に,図4乃至図11に基づいて,本発明の建築設計工程並列実行方法を説明する。図4は本発明に係るスケッチプラン作成処理および確認申請図作成処理フローの一例を示す図である。まず,各住戸の躯体および躯体に取り付く建具を3次元CADシステム7を用いて作図し,内部仕上げを2次元CADシステム6を用いて作図することによりスケッチプランデータを生成する(ステップS1)。
【0017】
例えば,図6(A)に示す実施設計(1)におけるスケッチプラン作成工程1において,Dタイプ,EタイプおよびFタイプの住戸プランを決定する場合,まず,太線で示す各住戸の躯体および躯体に係る建具から構成される壁を3次元CADシステム7で作図する。これにより,各建築設計工程におけるデータの流れを示す図7に示すように,外装3次元CADデータが入力される。
【0018】
そして,各住戸の内部間仕切等の内部仕上げを2次元CADシステム6で作図することにより,図7に示す内部仕上げ2次元CADデータが入力され,入力された内部仕上げ2次元CADデータを3次元CADシステム7に取り込み,3次元CADデータに貼り付けることにより,スケッチプランデータを生成する。
【0019】
次に,生成されたスケッチプランデータに基づいて3次元CADシステム7を用いて確認申請図を作成する(ステップS2)。
【0020】
具体的には,図6(B)に示すように,確認申請図作成工程2において,各住戸のスケッチプランを重ねて各階平面図とし,さらに高さ方向に重ねて建物モデルを完成して確認申請図を作成する。
【0021】
すなわち,図7に示すように,ステップS1で生成されたスケッチプランを加工することにより,確認申請図用データが生成される。図8は各住戸のスケッチプランを重ねて作成した各階平面図を示す図であり,図9は各階平面図を高さ方向に重ねた確認申請図の建物断面を示す図である。
【0022】
図5は,本発明に係る外装詳細設計から詳細図作成までの処理フローの一例を示す図である。まず,スケッチプラン作成工程1において生成されたスケッチプランデータに基づいて3次元CADシステム7を用いて外装の詳細設計を行う(ステップS11)。
【0023】
具体的には,図6(C)に示す実施設計(2)の外装詳細設計工程3において,矢印の先の円内に示すように,スケッチプランの外壁を仕上げ情報を含んだ複合構造の外壁に変換する。外装の詳細設計を行うことにより各住戸の外装が確定する。すなわち,図7に示すように,外装詳細設計工程3においては,スケッチプラン作成工程1で入力された外装3次元CADデータを加工することにより,外装詳細図データを生成する。
【0024】
なお,上記外装詳細図データに付随している属性データとしては,例えば,ふかし寸法を加味した外壁の厚さ,外壁の仕上げ寸法,仕上げ材,内部側の断熱材の寸法,窓の仕上げ材を考慮した開口寸法,窓の見込み寸法,ガラス厚,ガラス溝幅,仕上げを考慮した扉の寸法,枠見込み等が挙げられる。
【0025】
並行して,各住戸のスケッチプランの内部仕上げを3次元CADシステム7を用いて作図することにより内部仕上げの詳細設計を行う(ステップS12)。具体的には,図6(D)に示す内部仕上げ詳細設計工程4において,3次元CADシステム7を用いて各住戸のスケッチプランの内部間仕切等の内部仕上げを3次元データに変える。すなわち,図7に示すように,内部仕上げ詳細設計工程4においては,スケッチプラン作成工程1で生成されたスケッチプランデータを加工することにより,3次元の内部仕上げ詳細図データを生成する。
【0026】
そして,外装の詳細設計の図面データと内部仕上げの詳細設計の図面データとに基づいて詳細図を作成する(ステップS13)。具体的には,図6(E)に示すように,詳細図作成工程5において各階平面詳細図を作成した後,各階平面詳細図を高さ方向に重ねて建物モデルを完成させる。
【0027】
すなわち,図7に示すように,詳細図作成工程5においては,外装詳細図データと内部仕上げ詳細図データとに基づいて詳細図データを生成する。図10はDタイプ,EタイプおよびFタイプの各住戸を重ねた各階平面詳細図を示す図であり,図11は,建物の3次元モデルを示す図である。
【0028】
本発明を用いることにより,確認申請図作成工程2と外装詳細設計工程3とで外装の3次元データを共通に有することができる。従って,本発明を用いることにより,確認申請図作成工程2と外装詳細設計工程3とを並列に実行することができ,また,スケッチプランの内部仕上げデータをもとに3次元化することで内部仕上げ詳細設計工程4も並行して実行することができる。
【0029】
【発明の効果】
上述したように,従来の建築設計フローでは,図12に示すように企画設計から施工図作成前の段階において2次元CADを用いて作図していたため,3次元データを利用して表現した図面を施工者に引き渡すことができなかった。
【0030】
一方,従来の建築設計フローを全て3次元CADを用いて作図すると,3次元CADは2次元CADに比べて入力項目が多いため2次元CADを用いた作図時間と比べさらに多くの時間を要する。
【0031】
本発明は,3次元CADの欠点である作図に時間がかかる点を新しい設計フローを導入することで解決し,3次元CADデータと2次元CADデータとを組み合わせることにより,付加価値の高い図面をより効率的にかつ従来の設計時間より短い時間で作成することが可能となる。
【0032】
すなわち,本発明を用いることにより,確認申請図を作成する工程と建築物の外装および内部仕上げの詳細設計を行う工程とを並列に実行することができるため,建築設計上の工期を短縮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】建築設計工程並列実行方法を示す図である。
【図2】3次元CADシステムおよび2次元CADシステムのハードウェア構成を示す図である。
【図3】本発明の建築設計フローの概略を示す図である。
【図4】スケッチプラン作成処理および確認申請図作成処理フローの一例を示す図である。
【図5】外装詳細設計から詳細図作成までの処理フローの一例を示す図である。
【図6】本発明の建築設計フローを示す図である。
【図7】各建築設計工程におけるデータの流れを示す図である。
【図8】各階平面図を示す図である。
【図9】確認申請図の建物断面を示す図である。
【図10】各階平面詳細図を示す図である。
【図11】建物の3次元モデルを示す図である。
【図12】従来の建築設計フローを示す図である。
【符号の説明】
1 スケッチプラン作成工程
2 確認申請図作成工程
3 外装詳細設計工程
4 内部仕上げ詳細設計工程
5 詳細図作成工程
6 2次元CADシステム
7 3次元CADシステム
11 CPU
12 キーボード
13 マウス
14 メモリ
15 ディスプレイ
16 プリンタ
17 ハードディスク

Claims (1)

  1. コンピュータを用いて建築設計の工程を並列に実行する方法であって,
    建築物の躯体と,躯体に取り付く建具を3次元CADシステムを用いて作図し,内部仕上げを2次元CADシステムを用いて作図し,3次元CADシステムを用いて作図した図面データに2次元CADシステムを用いて作図した図面データを貼り付けることによりスケッチプランを作成する工程と,
    前記スケッチプランの図面データに基づいて,2次元CADシステムを用いて作図した図面データを貼り付けた3次元CADシステムの図面データを用いて確認申請図を作成する工程と,
    前記スケッチプランを作成する工程で作図した図面データを利用し,3次元CADシステムを用いて外装の詳細設計を行う工程と,
    前記建築物の内部仕上げを3次元CADシステムを用いて作図することにより内部仕上げの詳細設計を行う工程と,
    前記仕上げ情報を含んだ外装の詳細設計の図面データと前記内部仕上げの詳細設計の図面データとに基づいて詳細図を作成する工程とを有し,
    前記確認申請図を作成する工程と前記外装および内部仕上げの詳細設計を行う工程とを並列に実行する
    ことを特徴とする建築設計工程並列実行方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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