JP2004206039A - 透過型回折光学素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】TE偏波モードにおける回折効率及びTM偏波モードにおける回折効率をより一層高めることが可能な透過型回折光学素子を得ること。
【解決手段】透過型回折光学素子1は、屈折率n2の材料からなる透明平板10を有し、この透明平板10が屈折率n1の媒質に接している。透明平板10の第1面10a側には、凸条20が周期Lにて多数配列されている。この凸条20は、その断面形状が高さHで幅Wの矩形となっている。透明平板10の他方の第2面10bには反射防止層30が成膜されて設けられている。この透過型回折光学素子1は、一方の第1面10aに波長λの光L1が入射角θで入射するときに、「(2n1L/λ)sinθ=1」及び「n2/n1≦3sinθ」を満たし、且つ、透過1次回折光L31のTE偏波モードにおける回折効率及びTM偏波モードにおける回折効率が0.8以上である。
【選択図】 図1
【解決手段】透過型回折光学素子1は、屈折率n2の材料からなる透明平板10を有し、この透明平板10が屈折率n1の媒質に接している。透明平板10の第1面10a側には、凸条20が周期Lにて多数配列されている。この凸条20は、その断面形状が高さHで幅Wの矩形となっている。透明平板10の他方の第2面10bには反射防止層30が成膜されて設けられている。この透過型回折光学素子1は、一方の第1面10aに波長λの光L1が入射角θで入射するときに、「(2n1L/λ)sinθ=1」及び「n2/n1≦3sinθ」を満たし、且つ、透過1次回折光L31のTE偏波モードにおける回折効率及びTM偏波モードにおける回折効率が0.8以上である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、透過型回折光学素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
回折光学素子は、一般に光の波長を分波・合波するために用いられる。透過型回折光学素子として、マルチレベル周期格子が設けられた回折光学素子を用い、厳密結合波解析法(Rigorous Coupled−Wave Analysis、以下ではRCWA法と略す。)により、この回折光学素子に入射する光の回折効率を、TE偏波モード及びTM偏波モードに分けて評価したものが知られている(例えば非特許文献1を参照)。
【0003】
【非特許文献1】
岡恵子、外2名、”厳密結合波理論(RCWA)による波長オーダを持つ微細回折光学素子の解析”、日本女子大学紀要、理学部、第10号(2002)、第99頁〜第107頁
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、非特許文献1に記載された透過型回折光学素子では、回折格子の周期Lが入射光の波長λと同程度の場合(L/λ<4.0)、TE偏波モードにおける回折効率は0.8以上となるものの、TM偏波モードにおける回折効率は0.8に満たず、実用的には不充分なレベルであった。
【0005】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、TE偏波モードおよびTM偏波モードの双方における回折効率をより一層高めることが可能な透過型回折光学素子を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、TE偏波モードにおける回折効率及びTM偏波モードにおける回折効率の向上を可能とする透過型回折光学素子について鋭意研究を行った結果、以下のような事実を新たに見出した。
【0007】
透過型回折光学素子において0次回折光及び1次回折光のみが発生する条件下で、種々のパラメータを変更しながら透過型回折光学素子における回折光の回折効率をRCWA法に基づき解析したところ、透過1次回折光のTE偏波モードにおける回折効率及びTM偏波モードにおける回折効率の双方が0.8以上となるパラメータの組み合わせが存在することを新たに見出した。かかる研究結果を踏まえて、本発明を想到するに至った。
【0008】
本発明に係る透過型回折光学素子は、互いに平行な第1面および第2面を有する透明平板に回折格子が形成された透過型回折光学素子であって、第1面が媒質に接していて、第1面に回折格子が形成され、第2面に反射防止膜が設けられ、媒質の屈折率をn1とし、透明平板の第1面における屈折率をn2(ただし、n1<n2)とし、回折格子の周期をLとして、媒質から透明平板の第1面に光が入射したときに、「(2n1L/λ)sinθ=1」および「n2/n1≦3sinθ」なる関係式を満たす光の波長λおよび入射角θが存在し、これら波長λおよび入射角θにおいて、TE偏波モードの透過1次回折光の回折効率ηTEが0.8以上であり、TM偏波モードの透過1次回折光の回折効率ηTMが0.8以上であることを特徴とする。また、波長λが所定波長帯域に含まれ、この所定波長帯域の全域において回折効率ηTEおよび回折効率ηTMそれぞれが0.8以上であるのが好適である。なお、本明細書および図面において、波長は、真空中での波長を意味している。
【0009】
波長λおよび入射角θにおいて回折効率ηTEおよび回折効率ηTMそれぞれが0.85以上であるのが好適である。また、波長λが所定波長帯域に含まれ、この所定波長帯域の全域において回折効率ηTEおよび回折効率ηTMそれぞれが0.85以上であるのが好適である。
【0010】
波長λおよび入射角θにおいて回折効率ηTEおよび回折効率ηTMそれぞれが0.9以上であるのが好適である。また、波長λが所定波長帯域に含まれ、この所定波長帯域の全域において回折効率ηTEおよび回折効率ηTMそれぞれが0.9以上であるのが好適である。
【0011】
波長λおよび入射角θにおいて回折効率ηTEと回折効率ηTMとの差が0.05以下であるのが好適である。また、波長λが所定波長帯域に含まれ、この所定波長帯域の全域において回折効率ηTEおよび回折効率ηTMの最大値と最小値との差が0.05以下であるのが好適である。
【0012】
波長λおよび入射角θにおいて回折効率ηTEと回折効率ηTMとの差が0.025以下であるのが好適である。また、波長λが所定波長帯域に含まれ、この所定波長帯域の全域において回折効率ηTEおよび回折効率ηTMの最大値と最小値と差が0.025以下であるのが好適である。
【0013】
なお、上記所定波長帯域がCバンドを含むのが好適であり、或いは、上記所定波長帯域がLバンドを含むのが好適であり、或いは、上記所定波長帯域がCバンドおよびLバンドの双方を含むのが好適である。
【0014】
回折格子の周期Lが2.5μm以下であるのが好適である。また、波長λが波長帯域1.26μm〜1.675μm内に含まれるのが好適である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0016】
まず、図1に基づいて本実施形態の透過型回折光学素子1の構成を説明する。図1は、本実施形態の透過型回折光学素子1の断面構成を示す概略図である。透過型回折光学素子1は、互いに平行な第1面10aおよび第2面10bを有する透明平板10を備える。この透明平板10は、屈折率n2の材料(例えば、ガラス、半導体、有機材料等)からなり、第1面10a上に多数の凸条20が周期Lで配置されていて、これにより回折格子が形成されている。この凸条20は、その断面形状が高さHで幅Wの矩形となっている。透明平板10の第2面10b(上記第1面10aの裏面)には反射防止層(以下、AR層と称する。)30が成膜されて設けられている。第1面10aおよびAR層30それぞれは、屈折率n1(<n2)の媒質(例えば、真空、大気等の気体、液体、有機材料等)に接している。
【0017】
この透過型回折光学素子1において、媒質から透明平板10の第1面10aに波長λの光L1が入射角θで入射するとする。このとき、透明平板10内部からAR層30に対して回折光が複数の入射角で入射すると、AR層30は予め設定された一つの入射角で入射した回折光のみの反射を防止するので、これ以外の入射角でAR層30に入射した回折光は、AR層30で反射され、第1面10aと第2面10bとの間で多重反射を生じ、回折効率に悪影響を及ぼす。そのため、AR層30での反射防止性を維持するためには次に示すような2条件が必要となる。
【0018】
まず、AR層30での反射防止性を維持するためには、0次回折光L20と1次回折光L21の回折角とが等しくなることが必要であり、そのための条件は次式で与えられる。
(2n1L/λ)sinθ=1 …(1)
【0019】
さらに、AR層30での反射防止性を維持するためには、屈折率n2の透明平板10中において、0次回折光L20と1次回折光L21以外の回折光が発生しないことが必要であり、そのための条件は次式で与えられる。
n2/n1≦3sinθ …(2)
【0020】
ここで、(2)式を満たす最大屈折率比率(n2/n1)を入射角θ毎に表1に示す。
【表1】
【0021】
(1)式及び(2)式の双方を満たすようにθ、n2/n1及びn1L/λを調整することにより、透過型回折光学素子1に光L1が入射した際に、反射0次回折光(不図示)、反射1次回折光(不図示)、0次回折光L20及び1次回折光L21のみが発生することとなり、AR層30での反射防止性が維持される。
【0022】
本発明者らは、このような透過型回折光学素子1を用い、(1)式および(2)式の双方を満たす条件下で、RCWA法によるシミュレーションを行い、透過1次回折光L31のTE偏波モードにおける回折効率及びTM偏波モードにおける回折効率を求めた。
【0023】
RCWA法のシミュレーションに用いるパラメータとして、入射角θ、透明平板10と媒質との屈折率の比率n2/n1、凸条20の高さHと光L1の波長λとの比率n1H/λ、及び、凸条20の幅Wと周期Lとの比率W/Lを選定した。
【0024】
ここで、n2/n1,W/L及びn1H/λは回折効率に密接な関係を有する。n2/n1及びW/Lを変更することで、凸条20が形成された領域に入射光が入射した後の光の分布を制御できる。また、n1H/λを変更することで、凸条20が形成された領域に入射光が入射した後の光の位相を制御できる。
【0025】
また、入射角θは、波長λの分離・合成性能に密接な関係を有している。入射角θが大きくなるほど波長λの分離・合成性能が大きくなる。このことより、入射角θは、必要な波長分離・合成性能に合わせて適当に設定されればよい。
【0026】
また、波長λに関しては、透過型回折光学素子1の長さの次元を持つパラメータ(L,H,W)と相似則が成り立つ。例えば、波長λが2倍となった場合に、L,H,Wを2倍すれば、回折効率は変化しない。そこで、本実施形態においては、長さの次元を有する凸条20の高さHを媒質中での波長λ/n1にて規格化して(除して)用いている。
【0027】
ここで、波長λは、波長帯域1.26〜1.675μm内に含まれることが好ましい。波長λがこの範囲であれば、透過型回折光学素子1を光通信における波長分離素子として好適に用いることが可能となる。
【0028】
以下にこのシミュレーションの詳細を記す。尚、以下のシミュレーションにおいては、任意の値X,Y,Z,…の中から最小値を出力する演算を「min(X,Y,Z,…)」と記述し、任意の値X,Y,Z,…の中から最大値を出力する演算を「max(X,Y,Z,…)」と記述する。
【0029】
(シミュレーションA)
シミュレーションAにおいては、各パラメータ(n2/n1、n1H/λ、W/L、θ)を次に示すように変更して、RCWA法を用いてシミュレーションを行い、透過1次回折光L31のTE偏波モードにおける回折効率ηTE及びTM偏波モードにおける回折効率ηTMを求めた。すなわち、n2/n1については1.05〜3.00の範囲において0.05間隔で変更した。n1H/λについては0〜5.00の範囲において0.05間隔で変更した。W/Lについては0〜1.00の範囲において0.02間隔で変更した。また、θについては25°〜80°の範囲において5°間隔で変更した。
【0030】
そして、(1)式及び(2)式の双方を満たすパラメータの範囲において、ηTEとηTMとが0.8以上となるパラメータの組み合わせを求めた。その結果の一部を図2〜図6に回折効率のコンター図として示す。
【0031】
これらの図面において、縦軸はW/L(0〜1.00)である。この縦軸においては、上端がW/L=0を示し、下端がW/L=1.00を示している。また、横軸はn1H/λ(0〜5.00)である。この横軸において、左端がn1H/λ=0を示し、右端はn1H/λ=5.00を示している。さらに、図面の下部に記載された数値は、左側が入射角θを示し、右側がn2/n1を示している。
【0032】
図2〜図4それぞれは、θを50°としてn2/n1を1.05から2.25まで0.20間隔で変更した場合のηTEとηTMとのコンター図である。図中の白色で表される部分(以下、白色部と称する。)は、ηTEとηTMとが0.8以上となる領域を示している。つまり、図中の白色部は、「min(ηTE,ηTM)≧0.8」という条件を満たしている。一方、図中のハッチングを付した部分(以下、斜線部と称する。)は、「min(ηTE,ηTM)≧0.8」という条件を満たしていない。
【0033】
また、図5〜図6は、n2/n1を1.45に固定してθを30°から80°まで10°間隔で変更した場合のηTEとηTMとのコンター図である。図の白色部は「min(ηTE,ηTM)≧0.8」を満たす領域である。
【0034】
図2〜図6に示した以外のパラメータ(n2/n1、n1H/λ、W/L、θ)の組み合わせについても、(1)式及び(2)式の双方を満たす条件下で、ηTEとηTMとが0.8以上となる領域が存在している。これらの領域において、min(ηTE,ηTM)が最大値を取る際の各パラメータn2/n1、n1H/λ、W/L、θの値及びηTE,ηTMの値を図7〜図10に示した。
【0035】
このように、シミュレーションAでは、透過1次回折光L31のTE偏波モードにおける回折効率及びTM偏波モードにおける回折効率が0.8以上となるパラメータの組み合わせを見出した。
【0036】
(シミュレーションB)
シミュレーションBでは、シミュレーションAにおける「min(ηTE,ηTM)≧0.8」の条件に、更にηTEとηTMとの回折効率の差が0.05以下となる条件を加えて、これらの両条件を満たすパラメータ(n2/n1、n1H/λ、W/L、θ)の組み合わせを求めた。具体的には、「min(ηTE,ηTM)≧0.8」且つ「|ηTE−ηTM|≦0.05」となるパラメータの組み合わせを、シミュレーションAと同じパラメータ範囲で調査した。その結果の一部を図11〜図15に回折効率のコンター図として示す。
【0037】
図11〜図13は、θを50°としてn2/n1を1.05から2.25まで0.20間隔で変更した場合のηTEとηTMとのコンター図である。図中の白色部は、「min(ηTE,ηTM)≧0.8」且つ「|ηTE−ηTM|≦0.05」を満たす領域を示している。一方、図中の斜線部は、上記条件(「min(ηTE,ηTM)≧0.8」且つ「|ηTE−ηTM|≦0.05」)を満たさない領域を示している。
【0038】
また、図14〜図15は、n2/n1を1.45に固定してθを30°から80°まで10°間隔で変更した場合のηTEとηTMとのコンター図である。図中の白色部は上記条件(「min(ηTE,ηTM)≧0.8」且つ「|ηTE−ηTM|≦0.05」)を満たす領域を示している。
【0039】
図11〜図15に示した以外のパラメータ(n2/n1、n1H/λ、W/L、θ)の組み合わせについても、(1)式及び(2)式の双方を満たす条件下で、上記条件(「min(ηTE,ηTM)≧0.8」且つ「|ηTE−ηTM|≦0.05」)を満足する領域が存在している。これらの領域中で、「max(1−min(ηTE,ηTM),4|ηTE−ηTM|)」が最小値を取る際の各パラメータn2/n1、n1H/λ、W/L、θの値及びηTE,ηTMの値を図16〜図19に示した。
【0040】
ここで、|ηTE−ηTM|に乗ぜられている係数値4は、|ηTE−ηTM|の値(0〜0.05)を「1−min(ηTE,ηTM)」の値(0〜0.2)と同範囲に変換し、両者を比較可能とするためのものである。
【0041】
このように、シミュレーションBでは、透過1次回折光L31におけるTE偏波モードにおける回折効率及びTM偏波モードにおける回折効率が0.8以上であって、両モードにおける回折効率の差が0.05以下となるパラメータの組み合わせを見出した。
【0042】
例えば、この透過型回折光学素子1を光通信システムの構成部品(例えば、分波器や合波器)として用いる場合、透過型回折光学素子1における回折効率の偏波依存性が小さくなるため、あらゆる偏波状態に対し、通信エラーを低減できる。
【0043】
(シミュレーションC)
シミュレーションCでは、パラメータ(n2/n1、n1H/λ、W/L、θ)をシミュレーションAと同様に変更した。更に、光L1が、波長λを中心波長としてλ±0.016λの波長帯域を有するものとして、RCWA法を用いてシミュレーションを行い、透過1次回折光L31のTE偏波モードにおける回折効率ηTE及びTM偏波モードにおける回折効率ηTMを求めた。
【0044】
ηTE1〜ηTE33及びηTM1〜ηTM33それぞれは、波長帯域(λ−0.016λ〜λ+0.016λ)において、波長を0.001λずつ変更することで得られた33個の値である。そして、これらの値(ηTE1〜ηTE33及びηTM1〜ηTM33)の最大値ηmaxと最小値ηminとを求めた。ここで、最小値ηminはmin(ηTE1,ηTE2,…,ηTE33,ηTM1,ηTM2,…,ηTM33)で与えられ、最大値ηmaxはmax(ηTE1,ηTE2,…,ηTE33,ηTM1,ηTM2,…,ηTM33)で与えられる。
【0045】
更に、(1)式及び(2)式の双方を満たすパラメータの範囲において、ηminが0.8以上(ηmin≧0.8)となり、且つ、ηmaxとηminとの差が0.05以下(|ηmax−ηmin|≦0.05)となるパラメータの組み合わせを調査した。その結果の一部を図20〜図24に回折効率のコンター図として示す。
【0046】
図20〜図22は、θを50°に固定するとともに、光L1が波長λを中心波長としてλ±0.016λの波長帯域を有するものとし、且つ、n2/n1を1.05から2.25まで0.20間隔で変更した場合のηminとηmaxとのコンター図である。図中の白色部は、「ηmin≧0.8」且つ「|ηmax−ηmin|≦0.05」を満たした領域を示している。一方、図中の斜線部は、上記条件(「ηmin≧0.8」且つ「|ηmax−ηmin|≦0.05」)を満たさない領域を示している。
【0047】
また、図23〜図24は、n2/n1を1.45に固定して、光L1が波長λを中心波長としてλ±0.016λの波長帯域を有するものとし、且つ、θを30°から80°まで10°間隔で変更した場合のηminとηmaxとのコンター図である。図中の白色部は上記条件(「ηmin≧0.8」且つ「|ηmax−ηmin|≦0.05」)を満たす領域を示している。
【0048】
図20〜図24に示した以外のパラメータ(n2/n1、n1H/λ、W/L、θ)の組み合わせについても、(1)式及び(2)式の双方を満たす条件下で、上記条件(「ηmin≧0.8」且つ「|ηmax−ηmin|≦0.05」)を満足する領域が存在している。これらの領域中で、max(1−ηmin,4|ηmax−ηmin|)が最小値を取る際の各パラメータn2/n1、n1H/λ、W/L、θの値及びηmin,ηmaxの値を図25〜図26に示した。
【0049】
ここで、|ηmax−ηmin|に乗ぜられている係数値4は、|ηmax−ηmin|の値(0〜0.05)を「1−ηmin」の値(0〜0.2)と同範囲に変換し、両者を比較可能とするためのものである。
【0050】
このようにシミュレーションCでは、波長λを中心波長とした波長帯域λ±0.016λの範囲内において、TE偏波モードにおける回折効率及びTM偏波モードにおける回折効率が0.8以上であって、TE偏波モードにおける回折効率及びTM偏波モードにおける回折効率の最大値と最小値との差が0.05以下となる透過型回折光学素子1の設計条件(パラメータの組み合わせ)を見出した。
【0051】
表2には、No.8(図25)およびNo.55(図26)それぞれにおける波長λでの全回折効率を示す。
【表2】
【0052】
表2に示したように、本実施形態の透過型回折光学素子1は、パラメータ(θ、n2/n1、n1L/λ)を(1)式及び(2)式の双方を満たすように設定しているので、反射0次回折光、反射1次回折光、透過0次回折光L30及び透過1次回折光L31以外の高次の回折光が発生しない。
【0053】
また、図27(a)には、No.8(図25)における、ηTEと波長との関係、及び、ηTMと波長との関係を示した。図の縦軸は回折効率を示し、図の横軸は光L1の波長を示している。本図においては、波長を±4%の範囲で変更して、回折効率を求めている。破線で示した範囲は、波長λを中心波長とした波長帯域λ±0.016λの範囲である。この範囲内(λ−0.016λ〜λ+0.016λ)において、ηTE及びηTMは0.8以上であり、ηmaxとηminとの差は0.05以下である。
【0054】
同様に、図27(b)には、No.55(図26)における、ηTEと波長との関係、及び、ηTMと波長との関係を示した。波長λを中心波長とした波長帯域λ±0.016λの範囲内において、ηTE及びηTMは0.8以上であり、ηmaxとηminとの差は0.05以下である。
【0055】
例えば、この透過型回折光学素子1を光通信システムに組み込む場合、回折効率すなわち透過型回折光学素子1における光損失の偏波依存性及び波長依存性が小さくなるため、あらゆる偏波及び波長帯域内の波長に対し通信エラーを低減できる。
【0056】
また、この透過型回折格子素子1を用いることにより、国際規格(ITU)で定められた波長帯域であるCバンド(波長1.53〜1.565μm)を全域、Lバンド(波長1.565〜1.625μm)の85%をカバーすることができる。
【0057】
なお、シミュレーションCでは帯域をλ±0.016λとしてシミュレーションを行なったが、これは、波長帯域を有する光に対する回折格子の設計方法の一例である。Cバンドで回折格子を用いる場合は帯域として1.53〜1.565μmを、Lバンドで回折格子を用いる場合は帯域として1.565〜1.625μmを、CバンドおよびLバンドの双方で回折格子を用いる場合は帯域として1.53〜1.625μmを、それぞれ設定して、シミュレーションCと同様な手法で設計すればよい。
【0058】
(シミュレーションD)
シミュレーションDでは、パラメータ(n2/n1、n1H/λ、W/L、θ)をシミュレーションAと同様に変更して、(1)式及び(2)式の双方を満たす条件下で、透過1次回折光L31のTE偏波モードにおける回折効率ηTE及びTM偏波モードにおける回折効率ηTMの双方が0.85以上または0.90以上となるパラメータの組み合わせを調べた。
【0059】
ηTE及びηTMの双方が0.85以上であってmin(ηTE,ηTM)が最大値を取る際の各パラメータn2/n1、n1H/λ、W/L、θの値及びηTE,ηTMの値を図28〜図30に示した。
【0060】
また、ηTE及びηTMの双方が0.90以上であってmin(ηTE,ηTM)が最大値を取る際の各パラメータn2/n1、n1H/λ、W/L、θの値及びηTE,ηTMの値を図31〜図32に示した。
【0061】
なお、ηTE及びηTMの双方が0.80以上であってmin(ηTE,ηTM)が最大値を取る際の各パラメータn2/n1、n1H/λ、W/L、θの値及びηTE,ηTMの値については既に図7〜図10に示した。
【0062】
このように、シミュレーションDでは、透過1次回折光L31のTE偏波モードにおける回折効率及びTM偏波モードにおける回折効率が0.85以上または0.90以上となるパラメータの組み合わせを見出した。
【0063】
(シミュレーションE)
シミュレーションEでは、シミュレーションBと略同様にして、パラメータ(n2/n1、n1H/λ、W/L、θ)をシミュレーションAと同様に変更し、「min(ηTE,ηTM)≧x」の条件に、更にηTEとηTMとの回折効率の差がy以下となる条件を加えて、これらの両条件を満たすパラメータ(n2/n1、n1H/λ、W/L、θ)の組み合わせを求めた。具体的には、「min(ηTE,ηTM)≧x」且つ「|ηTE−ηTM|≦y」となるパラメータの組み合わせを、シミュレーションAと同じパラメータ範囲で調査した。ここで、xは0.85または0,90であり、yは0.05または0.025である。
【0064】
条件(「min(ηTE,ηTM)≧0.85」且つ「|ηTE−ηTM|≦0.05」)を満足する領域中で、「max(1−min(ηTE,ηTM),3|ηTE−ηTM|)」が最小値を取る際の各パラメータn2/n1、n1H/λ、W/L、θの値及びηTE,ηTMの値を図33〜図35に示した。ここで、|ηTE−ηTM|に乗ぜられている係数値3は、|ηTE−ηTM|の値(0〜0.05)を「1−min(ηTE,ηTM)」の値(0〜0.15)と同範囲に変換し、両者を比較可能とするためのものである。
【0065】
また、条件(「min(ηTE,ηTM)≧0.90」且つ「|ηTE−ηTM|≦0.05」)を満足する領域中で、「max(1−min(ηTE,ηTM),2|ηTE−ηTM|)」が最小値を取る際の各パラメータn2/n1、n1H/λ、W/L、θの値及びηTE,ηTMの値を図36〜図37に示した。ここで、|ηTE−ηTM|に乗ぜられている係数値2は、|ηTE−ηTM|の値(0〜0.05)を「1−min(ηTE,ηTM)」の値(0〜0.1)と同範囲に変換し、両者を比較可能とするためのものである。
【0066】
また、条件(「min(ηTE,ηTM)≧0.90」且つ「|ηTE−ηTM|≦0.025」)を満足する領域中で、「max(1−min(ηTE,ηTM),4|ηTE−ηTM|)」が最小値を取る際の各パラメータn2/n1、n1H/λ、W/L、θの値及びηTE,ηTMの値を図38〜図39に示した。ここで、|ηTE−ηTM|に乗ぜられている係数値4は、|ηTE−ηTM|の値(0〜0.025)を「1−min(ηTE,ηTM)」の値(0〜0.10)と同範囲に変換し、両者を比較可能とするためのものである。
【0067】
なお、条件(「min(ηTE,ηTM)≧0.80」且つ「|ηTE−ηTM|≦0.05」)を満足する領域中で、「max(1−min(ηTE,ηTM),4|ηTE−ηTM|)」が最小値を取る際の各パラメータn2/n1、n1H/λ、W/L、θの値及びηTE,ηTMの値については既に図16〜図19に示した。
【0068】
このように、シミュレーションEでは、透過1次回折光L31におけるTE偏波モードにおける回折効率及びTM偏波モードにおける回折効率が0.85以上または0,90以上であって、両モードにおける回折効率の差が0.05以下または0.025以下となるパラメータの組み合わせを見出した。
【0069】
(シミュレーションF)
シミュレーションFでは、シミュレーションCと略同様にして、パラメータ(n2/n1、n1H/λ、W/L、θ)をシミュレーションAと同様に変更し、更に、光L1が、波長λを中心波長としてλ±0.016λの波長帯域を有するものとして、RCWA法を用いてシミュレーションを行い、透過1次回折光L31のTE偏波モードにおける回折効率ηTE及びTM偏波モードにおける回折効率ηTMを求めた。
【0070】
ηTE1〜ηTE33及びηTM1〜ηTM33それぞれは、波長帯域(λ−0.016λ〜λ+0.016λ)において、波長を0.001λずつ変更することで得られた33個の値である。そして、これらの値(ηTE1〜ηTE33及びηTM1〜ηTM33)の最大値ηmaxと最小値ηminとを求めた。ここで、最小値ηminはmin(ηTE1,ηTE2,…,ηTE33,ηTM1,ηTM2,…,ηTM33)で与えられ、最大値ηmaxはmax(ηTE1,ηTE2,…,ηTE33,ηTM1,ηTM2,…,ηTM33)で与えられる。
【0071】
条件(「ηmin≧0.85」且つ「|ηmax−ηmin|≦0.05」)を満足する領域中で、max(1−ηmin,3|ηmax−ηmin|)が最小値を取る際の各パラメータn2/n1、n1H/λ、W/L、θの値及びηmin,ηmaxの値を図40〜図41に示した。ここで、|ηmax−ηmin|に乗ぜられている係数値3は、|ηmax−ηmin|の値(0〜0.05)を「1−ηmin」の値(0〜0.15)と同範囲に変換し、両者を比較可能とするためのものである。
【0072】
また、条件(「ηmin≧0.90」且つ「|ηmax−ηmin|≦0.05」)を満足する領域中で、max(1−ηmin,2|ηmax−ηmin|)が最小値を取る際の各パラメータn2/n1、n1H/λ、W/L、θの値及びηmin,ηmaxの値を図42に示した。ここで、|ηmax−ηmin|に乗ぜられている係数値2は、|ηmax−ηmin|の値(0〜0.05)を「1−ηmin」の値(0〜0.10)と同範囲に変換し、両者を比較可能とするためのものである。
【0073】
また、条件(「ηmin≧0.90」且つ「|ηmax−ηmin|≦0.025」)を満足する領域中で、max(1−ηmin,4|ηmax−ηmin|)が最小値を取る際の各パラメータn2/n1、n1H/λ、W/L、θの値及びηmin,ηmaxの値を図43に示した。ここで、|ηmax−ηmin|に乗ぜられている係数値4は、|ηmax−ηmin|の値(0〜0.025)を「1−ηmin」の値(0〜0.10)と同範囲に変換し、両者を比較可能とするためのものである。
【0074】
なお、条件(「ηmin≧0.80」且つ「|ηmax−ηmin|≦0.05」)を満足する領域中で、max(1−ηmin,4|ηmax−ηmin|)が最小値を取る際の各パラメータn2/n1、n1H/λ、W/L、θの値及びηmin,ηmaxの値については既に図25〜図26に示した。
【0075】
このようにシミュレーションFでは、波長λを中心波長とした波長帯域λ±0.016λの範囲内において、TE偏波モードにおける回折効率及びTM偏波モードにおける回折効率が0.85以上または0,90以上であって、TE偏波モードにおける回折効率及びTM偏波モードにおける回折効率の最大値と最小値との差が0.05以下または0.025以下となる透過型回折光学素子1の設計条件(パラメータの組み合わせ)を見出した。
【0076】
(シミュレーションG)
シミュレーションGでは、シミュレーションCと略同様にして、パラメータ(n2/n1、n1H/λ、W/L、θ)をシミュレーションAと同様に変更し、更に、光L1が、Cバンドの帯域を有するものとして、RCWA法を用いてシミュレーションを行い、透過1次回折光L31のTE偏波モードにおける回折効率ηTE及びTM偏波モードにおける回折効率ηTMを求めた。CバンドにおけるηTEおよびηTMの最大値ηmaxと最小値ηminとを求めた。
【0077】
条件(「ηmin≧0.80」且つ「|ηmax−ηmin|≦0.05」)を満足する領域中で、max(1−ηmin,4|ηmax−ηmin|)が最小値を取る際の各パラメータn2/n1、n1H/λ、W/L、θの値及びηmin,ηmaxの値を図44〜図45に示した。ここで、|ηmax−ηmin|に乗ぜられている係数値4は、|ηmax−ηmin|の値(0〜0.05)を「1−ηmin」の値(0〜0.20)と同範囲に変換し、両者を比較可能とするためのものである。
【0078】
また、条件(「ηmin≧0.85」且つ「|ηmax−ηmin|≦0.05」)を満足する領域中で、max(1−ηmin,3|ηmax−ηmin|)が最小値を取る際の各パラメータn2/n1、n1H/λ、W/L、θの値及びηmin,ηmaxの値を図46〜図47に示した。ここで、|ηmax−ηmin|に乗ぜられている係数値3は、|ηmax−ηmin|の値(0〜0.05)を「1−ηmin」の値(0〜0.15)と同範囲に変換し、両者を比較可能とするためのものである。
【0079】
また、条件(「ηmin≧0.90」且つ「|ηmax−ηmin|≦0.05」)を満足する領域中で、max(1−ηmin,2|ηmax−ηmin|)が最小値を取る際の各パラメータn2/n1、n1H/λ、W/L、θの値及びηmin,ηmaxの値を図48に示した。ここで、|ηmax−ηmin|に乗ぜられている係数値2は、|ηmax−ηmin|の値(0〜0.05)を「1−ηmin」の値(0〜0.10)と同範囲に変換し、両者を比較可能とするためのものである。
【0080】
また、条件(「ηmin≧0.90」且つ「|ηmax−ηmin|≦0.025」)を満足する領域中で、max(1−ηmin,4|ηmax−ηmin|)が最小値を取る際の各パラメータn2/n1、n1H/λ、W/L、θの値及びηmin,ηmaxの値を図49に示した。ここで、|ηmax−ηmin|に乗ぜられている係数値4は、|ηmax−ηmin|の値(0〜0.025)を「1−ηmin」の値(0〜0.10)と同範囲に変換し、両者を比較可能とするためのものである。
【0081】
このようにシミュレーションGでは、Cバンド内において、TE偏波モードにおける回折効率及びTM偏波モードにおける回折効率が0.80以上,0.85以上または0,90以上であって、TE偏波モードにおける回折効率及びTM偏波モードにおける回折効率の最大値と最小値との差が0.05以下または0.025以下となる透過型回折光学素子1の設計条件(パラメータの組み合わせ)を見出した。
【0082】
(シミュレーションH)
シミュレーションHでは、シミュレーションCと略同様にして、パラメータ(n2/n1、n1H/λ、W/L、θ)をシミュレーションAと同様に変更し、更に、光L1が、Lバンドの帯域を有するものとして、RCWA法を用いてシミュレーションを行い、透過1次回折光L31のTE偏波モードにおける回折効率ηTE及びTM偏波モードにおける回折効率ηTMを求めた。LバンドにおけるηTEおよびηTMの最大値ηmaxと最小値ηminとを求めた。
【0083】
条件(「ηmin≧0.80」且つ「|ηmax−ηmin|≦0.05」)を満足する領域中で、max(1−ηmin,4|ηmax−ηmin|)が最小値を取る際の各パラメータn2/n1、n1H/λ、W/L、θの値及びηmin,ηmaxの値を図50〜図51に示した。ここで、|ηmax−ηmin|に乗ぜられている係数値4は、|ηmax−ηmin|の値(0〜0.05)を「1−ηmin」の値(0〜0.20)と同範囲に変換し、両者を比較可能とするためのものである。
【0084】
また、条件(「ηmin≧0.85」且つ「|ηmax−ηmin|≦0.05」)を満足する領域中で、max(1−ηmin,3|ηmax−ηmin|)が最小値を取る際の各パラメータn2/n1、n1H/λ、W/L、θの値及びηmin,ηmaxの値を図52〜図53に示した。ここで、|ηmax−ηmin|に乗ぜられている係数値3は、|ηmax−ηmin|の値(0〜0.05)を「1−ηmin」の値(0〜0.15)と同範囲に変換し、両者を比較可能とするためのものである。
【0085】
また、条件(「ηmin≧0.90」且つ「|ηmax−ηmin|≦0.05」)を満足する領域中で、max(1−ηmin,2|ηmax−ηmin|)が最小値を取る際の各パラメータn2/n1、n1H/λ、W/L、θの値及びηmin,ηmaxの値を図54に示した。ここで、|ηmax−ηmin|に乗ぜられている係数値2は、|ηmax−ηmin|の値(0〜0.05)を「1−ηmin」の値(0〜0.10)と同範囲に変換し、両者を比較可能とするためのものである。
【0086】
また、条件(「ηmin≧0.90」且つ「|ηmax−ηmin|≦0.025」)を満足する領域中で、max(1−ηmin,4|ηmax−ηmin|)が最小値を取る際の各パラメータn2/n1、n1H/λ、W/L、θの値及びηmin,ηmaxの値を図55に示した。ここで、|ηmax−ηmin|に乗ぜられている係数値4は、|ηmax−ηmin|の値(0〜0.025)を「1−ηmin」の値(0〜0.10)と同範囲に変換し、両者を比較可能とするためのものである。
【0087】
このようにシミュレーションHでは、Lバンド内において、TE偏波モードにおける回折効率及びTM偏波モードにおける回折効率が0.80以上,0.85以上または0,90以上であって、TE偏波モードにおける回折効率及びTM偏波モードにおける回折効率の最大値と最小値との差が0.05以下または0.025以下となる透過型回折光学素子1の設計条件(パラメータの組み合わせ)を見出した。
【0088】
(シミュレーションI)
シミュレーションIでは、シミュレーションCと略同様にして、パラメータ(n2/n1、n1H/λ、W/L、θ)をシミュレーションAと同様に変更し、更に、光L1が、CバンドおよびLバンドの双方の帯域を有するものとして、RCWA法を用いてシミュレーションを行い、透過1次回折光L31のTE偏波モードにおける回折効率ηTE及びTM偏波モードにおける回折効率ηTMを求めた。CバンドおよびLバンドにおけるηTEおよびηTMの最大値ηmaxと最小値ηminとを求めた。
【0089】
条件(「ηmin≧0.80」且つ「|ηmax−ηmin|≦0.05」)を満足する領域中で、max(1−ηmin,4|ηmax−ηmin|)が最小値を取る際の各パラメータn2/n1、n1H/λ、W/L、θの値及びηmin,ηmaxの値を図56に示した。ここで、|ηmax−ηmin|に乗ぜられている係数値4は、|ηmax−ηmin|の値(0〜0.05)を「1−ηmin」の値(0〜0.20)と同範囲に変換し、両者を比較可能とするためのものである。
【0090】
また、条件(「ηmin≧0.85」且つ「|ηmax−ηmin|≦0.05」)を満足する領域中で、max(1−ηmin,3|ηmax−ηmin|)が最小値を取る際の各パラメータn2/n1、n1H/λ、W/L、θの値及びηmin,ηmaxの値を図57に示した。ここで、|ηmax−ηmin|に乗ぜられている係数値3は、|ηmax−ηmin|の値(0〜0.05)を「1−ηmin」の値(0〜0.15)と同範囲に変換し、両者を比較可能とするためのものである。
【0091】
また、条件(「ηmin≧0.90」且つ「|ηmax−ηmin|≦0.05」)を満足する領域中で、max(1−ηmin,2|ηmax−ηmin|)が最小値を取る際の各パラメータn2/n1、n1H/λ、W/L、θの値及びηmin,ηmaxの値を図58に示した。ここで、|ηmax−ηmin|に乗ぜられている係数値2は、|ηmax−ηmin|の値(0〜0.05)を「1−ηmin」の値(0〜0.10)と同範囲に変換し、両者を比較可能とするためのものである。
【0092】
また、条件(「ηmin≧0.90」且つ「|ηmax−ηmin|≦0.025」)を満足する領域中で、max(1−ηmin,4|ηmax−ηmin|)が最小値を取る際の各パラメータn2/n1、n1H/λ、W/L、θの値及びηmin,ηmaxの値を図59に示した。ここで、|ηmax−ηmin|に乗ぜられている係数値4は、|ηmax−ηmin|の値(0〜0.025)を「1−ηmin」の値(0〜0.10)と同範囲に変換し、両者を比較可能とするためのものである。
【0093】
このようにシミュレーションIでは、CバンドおよびLバンドの双方の帯域内において、TE偏波モードにおける回折効率及びTM偏波モードにおける回折効率が0.80以上,0.85以上または0,90以上であって、TE偏波モードにおける回折効率及びTM偏波モードにおける回折効率の最大値と最小値との差が0.05以下または0.025以下となる透過型回折光学素子1の設計条件(パラメータの組み合わせ)を見出した。
【0094】
シミュレーションA〜Iより明らかなように、本実施形態の透過型回折光学素子1においては、透過1次回折光L31のTE偏波モードにおける回折効率ηTE及びTM偏波モードにおける回折効率ηTMを0.8以上(さらに、0.85以上、0.90以上)にまで高めることが可能となるとともに、透過型回折光学素子1の偏波依存性及び波長依存性を低減することができる。
【0095】
なお、透過型回折光学素子は、レンズや光ファイバ等とともに用いられ、また、レンズ収差や光ファイバの位置ずれ等を補正する為に更に他のレンズも用いられる場合がある。例えば、光ファイバの端面から出射した光がレンズによりコリメートされ、そのコリメートされた光が透過型回折光学素子により波長に応じて回折され、その回折された各波長の光が他のレンズにより集光されて他の光ファイバの端面に入射する。このとき、光は、レンズにおいて損失を被り、また、光ファイバ端面における入出射の際にも損失を被る。このような場合に、透過型回折光学素子の回折効率ηTE及びηTMが0.85以上または0.90以上であるのが好適である。
【0096】
また、透過型回折光学素子は、ミラー等とともに用いられる場合がある。例えば、透過型回折光学素子により回折された光がミラーにより反射され、その反射された光が再び透過型回折光学素子により回折される。このとき、光は透過型回折光学素子を2回通過することにより、偏波モード間の回折効率の差が大きくなる。このような場合に、透過型回折光学素子の回折効率ηTE及びηTMが0.90以上であるのが好適であって、回折効率ηTEとηTMとの差が0.025以下であるのが好適である。
【0097】
さらに、透過型回折光学素子における透過1次回折光の角分散Dは大きいほど好ましく、この場合、透過型回折光学素子における波長分離が大きく、透過型回折光学素子および他の光学素子(例えば、回折光を受光する受光素子や光ファイバ)を含む光学装置を小型化することができる。このことから、回折格子の周期Lは短いほど好ましく、周期Lが2.5μm以下であるのが好適である。これについて以下に説明する。透過型回折光学素子における透過1次回折光の角分散Dは、回折角φを波長λで微分したものであり、次式で表される。ここで、θは入射角である。
D=|dφ/dλ|=|2tanθ/λ| …(3)
【0098】
Cバンドにおける光周波数間隔50GHz(波長間隔0.4nm)の波長分割多重光通信において、媒質が空気(屈折率n1=1)であって、上記の他の光学素子の配置のピッチが0.125mmであるとする。入射角θが30°であると、角分散Dは0.043°/nmであり、透過型回折光学素子と他の光学素子との間の距離は420mm程度が必要である。これに対して、入射角θが50°であれば、透過型回折光学素子と他の光学素子との間の距離は200mm程度でよく、透過型回折光学素子および他の光学素子を含む光学装置を小型化することができる。
【0099】
上記(1)式から判るように、回折格子の周期Lが短いほど、入射角θが大きく、したがって、角分散Dも大きい。波長λがUバンド(1625nm〜1675nm)の上限波長以下であると、上記(1)式および(2)式の双方を満たす周期Lは2.5μm以下である。つまり、透過型回折光学素子は、周期Lが2.5μm以下であれば、上記(1)式および(2)式の双方を満たしつつ、高い角分散で1675nm以下の光を回折することができる。
【0100】
非特許文献1にも触れられているが、RCWA法とは、1次元透過型回折格子の設計・評価に用いられる理論の一つである。格子の周期が入射光の波長よりも充分に大きい場合には、スカラー波近似の理論が成り立つが、格子の周期が入射光の波長に近づくと、スカラー波近似が成り立たなくなり、入射光をベクトル波として取り扱う必要が生じる。RCWA法は、周期構造を深さ方向にスライスして、各層における結合波方程式を作り、連続条件を付加して、入射/反射領域、透過領域、出射領域におけるそれぞれの解を求めるものである。
【0101】
尚、本実施形態においては、光L1は、透明平板10の第1面10a側(凸条20が設けられている側)に入射しているが、光L1が透明平板10の他方の第2面10b側(AR層30が成膜されている側)に入射しても同様の効果が得られる。また、本実施形態の透過型回折光学素子1においては、第1面10a側に凸条20を設けているが、凸条20の代わりに凹溝を設けても構わない。
【0102】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したとおり、本発明によれば、TE偏波モードにおける回折効率及びTM偏波モードにおける回折効率を0.8以上にまで高めることが可能な透過型回折光学素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る透過型回折光学素子の断面構成を示す概略図である。
【図2】シミュレーションAの結果を示すコンター図である。
【図3】シミュレーションAの結果を示すコンター図である。
【図4】シミュレーションAの結果を示すコンター図である。
【図5】シミュレーションAの結果を示すコンター図である。
【図6】シミュレーションAの結果を示すコンター図である。
【図7】シミュレーションAにより得られたTE偏波モードにおける回折効率ηTE及びTM偏波モードにおける回折効率ηTMを示す図表である。
【図8】シミュレーションAにより得られたTE偏波モードにおける回折効率ηTE及びTM偏波モードにおける回折効率ηTMを示す図表である。
【図9】シミュレーションAにより得られたTE偏波モードにおける回折効率ηTE及びTM偏波モードにおける回折効率ηTMを示す図表である。
【図10】シミュレーションAにより得られたTE偏波モードにおける回折効率ηTE及びTM偏波モードにおける回折効率ηTMを示す図表である。
【図11】シミュレーションBの結果を示すコンター図である。
【図12】シミュレーションBの結果を示すコンター図である。
【図13】シミュレーションBの結果を示すコンター図である。
【図14】シミュレーションBの結果を示すコンター図である。
【図15】シミュレーションBの結果を示すコンター図である。
【図16】シミュレーションBにより得られたTE偏波モードにおける回折効率ηTE及びTM偏波モードにおける回折効率ηTMを示す図表である。
【図17】シミュレーションBにより得られたTE偏波モードにおける回折効率ηTE及びTM偏波モードにおける回折効率ηTMを示す図表である。
【図18】シミュレーションBにより得られたTE偏波モードにおける回折効率ηTE及びTM偏波モードにおける回折効率ηTMを示す図表である。
【図19】シミュレーションBにより得られたTE偏波モードにおける回折効率ηTE及びTM偏波モードにおける回折効率ηTMを示す図表である。
【図20】シミュレーションCの結果を示すコンター図である。
【図21】シミュレーションCの結果を示すコンター図である。
【図22】シミュレーションCの結果を示すコンター図である。
【図23】シミュレーションCの結果を示すコンター図である。
【図24】シミュレーションCの結果を示すコンター図である。
【図25】シミュレーションCにより得られた回折効率の最大値ηmax及び回折効率の最小値ηminを示す図表である。
【図26】シミュレーションCにより得られた回折効率の最大値ηmax及び回折効率の最小値ηminを示す図表である。
【図27】(a)はシミュレーションCにおけるNo.8のηTE,ηTMと波長との関係を示すグラフであり、(b)はシミュレーションCにおけるNo.55のηTE,ηTMと波長との関係を示すグラフである。
【図28】シミュレーションDにより得られたTE偏波モードにおける回折効率ηTE及びTM偏波モードにおける回折効率ηTMを示す図表である。
【図29】シミュレーションDにより得られたTE偏波モードにおける回折効率ηTE及びTM偏波モードにおける回折効率ηTMを示す図表である。
【図30】シミュレーションDにより得られたTE偏波モードにおける回折効率ηTE及びTM偏波モードにおける回折効率ηTMを示す図表である。
【図31】シミュレーションDにより得られたTE偏波モードにおける回折効率ηTE及びTM偏波モードにおける回折効率ηTMを示す図表である。
【図32】シミュレーションDにより得られたTE偏波モードにおける回折効率ηTE及びTM偏波モードにおける回折効率ηTMを示す図表である。
【図33】シミュレーションEにより得られたTE偏波モードにおける回折効率ηTE及びTM偏波モードにおける回折効率ηTMを示す図表である。
【図34】シミュレーションEにより得られたTE偏波モードにおける回折効率ηTE及びTM偏波モードにおける回折効率ηTMを示す図表である。
【図35】シミュレーションEにより得られたTE偏波モードにおける回折効率ηTE及びTM偏波モードにおける回折効率ηTMを示す図表である。
【図36】シミュレーションEにより得られたTE偏波モードにおける回折効率ηTE及びTM偏波モードにおける回折効率ηTMを示す図表である。
【図37】シミュレーションEにより得られたTE偏波モードにおける回折効率ηTE及びTM偏波モードにおける回折効率ηTMを示す図表である。
【図38】シミュレーションEにより得られたTE偏波モードにおける回折効率ηTE及びTM偏波モードにおける回折効率ηTMを示す図表である。
【図39】シミュレーションEにより得られたTE偏波モードにおける回折効率ηTE及びTM偏波モードにおける回折効率ηTMを示す図表である。
【図40】シミュレーションFにより得られた回折効率の最大値ηmax及び回折効率の最小値ηminを示す図表である。
【図41】シミュレーションFにより得られた回折効率の最大値ηmax及び回折効率の最小値ηminを示す図表である。
【図42】シミュレーションFにより得られた回折効率の最大値ηmax及び回折効率の最小値ηminを示す図表である。
【図43】シミュレーションFにより得られた回折効率の最大値ηmax及び回折効率の最小値ηminを示す図表である。
【図44】シミュレーションGにより得られた回折効率の最大値ηmax及び回折効率の最小値ηminを示す図表である。
【図45】シミュレーションGにより得られた回折効率の最大値ηmax及び回折効率の最小値ηminを示す図表である。
【図46】シミュレーションGにより得られた回折効率の最大値ηmax及び回折効率の最小値ηminを示す図表である。
【図47】シミュレーションGにより得られた回折効率の最大値ηmax及び回折効率の最小値ηminを示す図表である。
【図48】シミュレーションGにより得られた回折効率の最大値ηmax及び回折効率の最小値ηminを示す図表である。
【図49】シミュレーションGにより得られた回折効率の最大値ηmax及び回折効率の最小値ηminを示す図表である。
【図50】シミュレーションHにより得られた回折効率の最大値ηmax及び回折効率の最小値ηminを示す図表である。
【図51】シミュレーションHにより得られた回折効率の最大値ηmax及び回折効率の最小値ηminを示す図表である。
【図52】シミュレーションHにより得られた回折効率の最大値ηmax及び回折効率の最小値ηminを示す図表である。
【図53】シミュレーションHにより得られた回折効率の最大値ηmax及び回折効率の最小値ηminを示す図表である。
【図54】シミュレーションHにより得られた回折効率の最大値ηmax及び回折効率の最小値ηminを示す図表である。
【図55】シミュレーションHにより得られた回折効率の最大値ηmax及び回折効率の最小値ηminを示す図表である。
【図56】シミュレーションIにより得られた回折効率の最大値ηmax及び回折効率の最小値ηminを示す図表である。
【図57】シミュレーションIにより得られた回折効率の最大値ηmax及び回折効率の最小値ηminを示す図表である。
【図58】シミュレーションIにより得られた回折効率の最大値ηmax及び回折効率の最小値ηminを示す図表である。
【図59】シミュレーションIにより得られた回折効率の最大値ηmax及び回折効率の最小値ηminを示す図表である。
【符号の説明】
1…透過型回折光学素子、10…透明平板、20…凸条、30…反射防止層。
【発明の属する技術分野】
本発明は、透過型回折光学素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
回折光学素子は、一般に光の波長を分波・合波するために用いられる。透過型回折光学素子として、マルチレベル周期格子が設けられた回折光学素子を用い、厳密結合波解析法(Rigorous Coupled−Wave Analysis、以下ではRCWA法と略す。)により、この回折光学素子に入射する光の回折効率を、TE偏波モード及びTM偏波モードに分けて評価したものが知られている(例えば非特許文献1を参照)。
【0003】
【非特許文献1】
岡恵子、外2名、”厳密結合波理論(RCWA)による波長オーダを持つ微細回折光学素子の解析”、日本女子大学紀要、理学部、第10号(2002)、第99頁〜第107頁
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、非特許文献1に記載された透過型回折光学素子では、回折格子の周期Lが入射光の波長λと同程度の場合(L/λ<4.0)、TE偏波モードにおける回折効率は0.8以上となるものの、TM偏波モードにおける回折効率は0.8に満たず、実用的には不充分なレベルであった。
【0005】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、TE偏波モードおよびTM偏波モードの双方における回折効率をより一層高めることが可能な透過型回折光学素子を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、TE偏波モードにおける回折効率及びTM偏波モードにおける回折効率の向上を可能とする透過型回折光学素子について鋭意研究を行った結果、以下のような事実を新たに見出した。
【0007】
透過型回折光学素子において0次回折光及び1次回折光のみが発生する条件下で、種々のパラメータを変更しながら透過型回折光学素子における回折光の回折効率をRCWA法に基づき解析したところ、透過1次回折光のTE偏波モードにおける回折効率及びTM偏波モードにおける回折効率の双方が0.8以上となるパラメータの組み合わせが存在することを新たに見出した。かかる研究結果を踏まえて、本発明を想到するに至った。
【0008】
本発明に係る透過型回折光学素子は、互いに平行な第1面および第2面を有する透明平板に回折格子が形成された透過型回折光学素子であって、第1面が媒質に接していて、第1面に回折格子が形成され、第2面に反射防止膜が設けられ、媒質の屈折率をn1とし、透明平板の第1面における屈折率をn2(ただし、n1<n2)とし、回折格子の周期をLとして、媒質から透明平板の第1面に光が入射したときに、「(2n1L/λ)sinθ=1」および「n2/n1≦3sinθ」なる関係式を満たす光の波長λおよび入射角θが存在し、これら波長λおよび入射角θにおいて、TE偏波モードの透過1次回折光の回折効率ηTEが0.8以上であり、TM偏波モードの透過1次回折光の回折効率ηTMが0.8以上であることを特徴とする。また、波長λが所定波長帯域に含まれ、この所定波長帯域の全域において回折効率ηTEおよび回折効率ηTMそれぞれが0.8以上であるのが好適である。なお、本明細書および図面において、波長は、真空中での波長を意味している。
【0009】
波長λおよび入射角θにおいて回折効率ηTEおよび回折効率ηTMそれぞれが0.85以上であるのが好適である。また、波長λが所定波長帯域に含まれ、この所定波長帯域の全域において回折効率ηTEおよび回折効率ηTMそれぞれが0.85以上であるのが好適である。
【0010】
波長λおよび入射角θにおいて回折効率ηTEおよび回折効率ηTMそれぞれが0.9以上であるのが好適である。また、波長λが所定波長帯域に含まれ、この所定波長帯域の全域において回折効率ηTEおよび回折効率ηTMそれぞれが0.9以上であるのが好適である。
【0011】
波長λおよび入射角θにおいて回折効率ηTEと回折効率ηTMとの差が0.05以下であるのが好適である。また、波長λが所定波長帯域に含まれ、この所定波長帯域の全域において回折効率ηTEおよび回折効率ηTMの最大値と最小値との差が0.05以下であるのが好適である。
【0012】
波長λおよび入射角θにおいて回折効率ηTEと回折効率ηTMとの差が0.025以下であるのが好適である。また、波長λが所定波長帯域に含まれ、この所定波長帯域の全域において回折効率ηTEおよび回折効率ηTMの最大値と最小値と差が0.025以下であるのが好適である。
【0013】
なお、上記所定波長帯域がCバンドを含むのが好適であり、或いは、上記所定波長帯域がLバンドを含むのが好適であり、或いは、上記所定波長帯域がCバンドおよびLバンドの双方を含むのが好適である。
【0014】
回折格子の周期Lが2.5μm以下であるのが好適である。また、波長λが波長帯域1.26μm〜1.675μm内に含まれるのが好適である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0016】
まず、図1に基づいて本実施形態の透過型回折光学素子1の構成を説明する。図1は、本実施形態の透過型回折光学素子1の断面構成を示す概略図である。透過型回折光学素子1は、互いに平行な第1面10aおよび第2面10bを有する透明平板10を備える。この透明平板10は、屈折率n2の材料(例えば、ガラス、半導体、有機材料等)からなり、第1面10a上に多数の凸条20が周期Lで配置されていて、これにより回折格子が形成されている。この凸条20は、その断面形状が高さHで幅Wの矩形となっている。透明平板10の第2面10b(上記第1面10aの裏面)には反射防止層(以下、AR層と称する。)30が成膜されて設けられている。第1面10aおよびAR層30それぞれは、屈折率n1(<n2)の媒質(例えば、真空、大気等の気体、液体、有機材料等)に接している。
【0017】
この透過型回折光学素子1において、媒質から透明平板10の第1面10aに波長λの光L1が入射角θで入射するとする。このとき、透明平板10内部からAR層30に対して回折光が複数の入射角で入射すると、AR層30は予め設定された一つの入射角で入射した回折光のみの反射を防止するので、これ以外の入射角でAR層30に入射した回折光は、AR層30で反射され、第1面10aと第2面10bとの間で多重反射を生じ、回折効率に悪影響を及ぼす。そのため、AR層30での反射防止性を維持するためには次に示すような2条件が必要となる。
【0018】
まず、AR層30での反射防止性を維持するためには、0次回折光L20と1次回折光L21の回折角とが等しくなることが必要であり、そのための条件は次式で与えられる。
(2n1L/λ)sinθ=1 …(1)
【0019】
さらに、AR層30での反射防止性を維持するためには、屈折率n2の透明平板10中において、0次回折光L20と1次回折光L21以外の回折光が発生しないことが必要であり、そのための条件は次式で与えられる。
n2/n1≦3sinθ …(2)
【0020】
ここで、(2)式を満たす最大屈折率比率(n2/n1)を入射角θ毎に表1に示す。
【表1】
【0021】
(1)式及び(2)式の双方を満たすようにθ、n2/n1及びn1L/λを調整することにより、透過型回折光学素子1に光L1が入射した際に、反射0次回折光(不図示)、反射1次回折光(不図示)、0次回折光L20及び1次回折光L21のみが発生することとなり、AR層30での反射防止性が維持される。
【0022】
本発明者らは、このような透過型回折光学素子1を用い、(1)式および(2)式の双方を満たす条件下で、RCWA法によるシミュレーションを行い、透過1次回折光L31のTE偏波モードにおける回折効率及びTM偏波モードにおける回折効率を求めた。
【0023】
RCWA法のシミュレーションに用いるパラメータとして、入射角θ、透明平板10と媒質との屈折率の比率n2/n1、凸条20の高さHと光L1の波長λとの比率n1H/λ、及び、凸条20の幅Wと周期Lとの比率W/Lを選定した。
【0024】
ここで、n2/n1,W/L及びn1H/λは回折効率に密接な関係を有する。n2/n1及びW/Lを変更することで、凸条20が形成された領域に入射光が入射した後の光の分布を制御できる。また、n1H/λを変更することで、凸条20が形成された領域に入射光が入射した後の光の位相を制御できる。
【0025】
また、入射角θは、波長λの分離・合成性能に密接な関係を有している。入射角θが大きくなるほど波長λの分離・合成性能が大きくなる。このことより、入射角θは、必要な波長分離・合成性能に合わせて適当に設定されればよい。
【0026】
また、波長λに関しては、透過型回折光学素子1の長さの次元を持つパラメータ(L,H,W)と相似則が成り立つ。例えば、波長λが2倍となった場合に、L,H,Wを2倍すれば、回折効率は変化しない。そこで、本実施形態においては、長さの次元を有する凸条20の高さHを媒質中での波長λ/n1にて規格化して(除して)用いている。
【0027】
ここで、波長λは、波長帯域1.26〜1.675μm内に含まれることが好ましい。波長λがこの範囲であれば、透過型回折光学素子1を光通信における波長分離素子として好適に用いることが可能となる。
【0028】
以下にこのシミュレーションの詳細を記す。尚、以下のシミュレーションにおいては、任意の値X,Y,Z,…の中から最小値を出力する演算を「min(X,Y,Z,…)」と記述し、任意の値X,Y,Z,…の中から最大値を出力する演算を「max(X,Y,Z,…)」と記述する。
【0029】
(シミュレーションA)
シミュレーションAにおいては、各パラメータ(n2/n1、n1H/λ、W/L、θ)を次に示すように変更して、RCWA法を用いてシミュレーションを行い、透過1次回折光L31のTE偏波モードにおける回折効率ηTE及びTM偏波モードにおける回折効率ηTMを求めた。すなわち、n2/n1については1.05〜3.00の範囲において0.05間隔で変更した。n1H/λについては0〜5.00の範囲において0.05間隔で変更した。W/Lについては0〜1.00の範囲において0.02間隔で変更した。また、θについては25°〜80°の範囲において5°間隔で変更した。
【0030】
そして、(1)式及び(2)式の双方を満たすパラメータの範囲において、ηTEとηTMとが0.8以上となるパラメータの組み合わせを求めた。その結果の一部を図2〜図6に回折効率のコンター図として示す。
【0031】
これらの図面において、縦軸はW/L(0〜1.00)である。この縦軸においては、上端がW/L=0を示し、下端がW/L=1.00を示している。また、横軸はn1H/λ(0〜5.00)である。この横軸において、左端がn1H/λ=0を示し、右端はn1H/λ=5.00を示している。さらに、図面の下部に記載された数値は、左側が入射角θを示し、右側がn2/n1を示している。
【0032】
図2〜図4それぞれは、θを50°としてn2/n1を1.05から2.25まで0.20間隔で変更した場合のηTEとηTMとのコンター図である。図中の白色で表される部分(以下、白色部と称する。)は、ηTEとηTMとが0.8以上となる領域を示している。つまり、図中の白色部は、「min(ηTE,ηTM)≧0.8」という条件を満たしている。一方、図中のハッチングを付した部分(以下、斜線部と称する。)は、「min(ηTE,ηTM)≧0.8」という条件を満たしていない。
【0033】
また、図5〜図6は、n2/n1を1.45に固定してθを30°から80°まで10°間隔で変更した場合のηTEとηTMとのコンター図である。図の白色部は「min(ηTE,ηTM)≧0.8」を満たす領域である。
【0034】
図2〜図6に示した以外のパラメータ(n2/n1、n1H/λ、W/L、θ)の組み合わせについても、(1)式及び(2)式の双方を満たす条件下で、ηTEとηTMとが0.8以上となる領域が存在している。これらの領域において、min(ηTE,ηTM)が最大値を取る際の各パラメータn2/n1、n1H/λ、W/L、θの値及びηTE,ηTMの値を図7〜図10に示した。
【0035】
このように、シミュレーションAでは、透過1次回折光L31のTE偏波モードにおける回折効率及びTM偏波モードにおける回折効率が0.8以上となるパラメータの組み合わせを見出した。
【0036】
(シミュレーションB)
シミュレーションBでは、シミュレーションAにおける「min(ηTE,ηTM)≧0.8」の条件に、更にηTEとηTMとの回折効率の差が0.05以下となる条件を加えて、これらの両条件を満たすパラメータ(n2/n1、n1H/λ、W/L、θ)の組み合わせを求めた。具体的には、「min(ηTE,ηTM)≧0.8」且つ「|ηTE−ηTM|≦0.05」となるパラメータの組み合わせを、シミュレーションAと同じパラメータ範囲で調査した。その結果の一部を図11〜図15に回折効率のコンター図として示す。
【0037】
図11〜図13は、θを50°としてn2/n1を1.05から2.25まで0.20間隔で変更した場合のηTEとηTMとのコンター図である。図中の白色部は、「min(ηTE,ηTM)≧0.8」且つ「|ηTE−ηTM|≦0.05」を満たす領域を示している。一方、図中の斜線部は、上記条件(「min(ηTE,ηTM)≧0.8」且つ「|ηTE−ηTM|≦0.05」)を満たさない領域を示している。
【0038】
また、図14〜図15は、n2/n1を1.45に固定してθを30°から80°まで10°間隔で変更した場合のηTEとηTMとのコンター図である。図中の白色部は上記条件(「min(ηTE,ηTM)≧0.8」且つ「|ηTE−ηTM|≦0.05」)を満たす領域を示している。
【0039】
図11〜図15に示した以外のパラメータ(n2/n1、n1H/λ、W/L、θ)の組み合わせについても、(1)式及び(2)式の双方を満たす条件下で、上記条件(「min(ηTE,ηTM)≧0.8」且つ「|ηTE−ηTM|≦0.05」)を満足する領域が存在している。これらの領域中で、「max(1−min(ηTE,ηTM),4|ηTE−ηTM|)」が最小値を取る際の各パラメータn2/n1、n1H/λ、W/L、θの値及びηTE,ηTMの値を図16〜図19に示した。
【0040】
ここで、|ηTE−ηTM|に乗ぜられている係数値4は、|ηTE−ηTM|の値(0〜0.05)を「1−min(ηTE,ηTM)」の値(0〜0.2)と同範囲に変換し、両者を比較可能とするためのものである。
【0041】
このように、シミュレーションBでは、透過1次回折光L31におけるTE偏波モードにおける回折効率及びTM偏波モードにおける回折効率が0.8以上であって、両モードにおける回折効率の差が0.05以下となるパラメータの組み合わせを見出した。
【0042】
例えば、この透過型回折光学素子1を光通信システムの構成部品(例えば、分波器や合波器)として用いる場合、透過型回折光学素子1における回折効率の偏波依存性が小さくなるため、あらゆる偏波状態に対し、通信エラーを低減できる。
【0043】
(シミュレーションC)
シミュレーションCでは、パラメータ(n2/n1、n1H/λ、W/L、θ)をシミュレーションAと同様に変更した。更に、光L1が、波長λを中心波長としてλ±0.016λの波長帯域を有するものとして、RCWA法を用いてシミュレーションを行い、透過1次回折光L31のTE偏波モードにおける回折効率ηTE及びTM偏波モードにおける回折効率ηTMを求めた。
【0044】
ηTE1〜ηTE33及びηTM1〜ηTM33それぞれは、波長帯域(λ−0.016λ〜λ+0.016λ)において、波長を0.001λずつ変更することで得られた33個の値である。そして、これらの値(ηTE1〜ηTE33及びηTM1〜ηTM33)の最大値ηmaxと最小値ηminとを求めた。ここで、最小値ηminはmin(ηTE1,ηTE2,…,ηTE33,ηTM1,ηTM2,…,ηTM33)で与えられ、最大値ηmaxはmax(ηTE1,ηTE2,…,ηTE33,ηTM1,ηTM2,…,ηTM33)で与えられる。
【0045】
更に、(1)式及び(2)式の双方を満たすパラメータの範囲において、ηminが0.8以上(ηmin≧0.8)となり、且つ、ηmaxとηminとの差が0.05以下(|ηmax−ηmin|≦0.05)となるパラメータの組み合わせを調査した。その結果の一部を図20〜図24に回折効率のコンター図として示す。
【0046】
図20〜図22は、θを50°に固定するとともに、光L1が波長λを中心波長としてλ±0.016λの波長帯域を有するものとし、且つ、n2/n1を1.05から2.25まで0.20間隔で変更した場合のηminとηmaxとのコンター図である。図中の白色部は、「ηmin≧0.8」且つ「|ηmax−ηmin|≦0.05」を満たした領域を示している。一方、図中の斜線部は、上記条件(「ηmin≧0.8」且つ「|ηmax−ηmin|≦0.05」)を満たさない領域を示している。
【0047】
また、図23〜図24は、n2/n1を1.45に固定して、光L1が波長λを中心波長としてλ±0.016λの波長帯域を有するものとし、且つ、θを30°から80°まで10°間隔で変更した場合のηminとηmaxとのコンター図である。図中の白色部は上記条件(「ηmin≧0.8」且つ「|ηmax−ηmin|≦0.05」)を満たす領域を示している。
【0048】
図20〜図24に示した以外のパラメータ(n2/n1、n1H/λ、W/L、θ)の組み合わせについても、(1)式及び(2)式の双方を満たす条件下で、上記条件(「ηmin≧0.8」且つ「|ηmax−ηmin|≦0.05」)を満足する領域が存在している。これらの領域中で、max(1−ηmin,4|ηmax−ηmin|)が最小値を取る際の各パラメータn2/n1、n1H/λ、W/L、θの値及びηmin,ηmaxの値を図25〜図26に示した。
【0049】
ここで、|ηmax−ηmin|に乗ぜられている係数値4は、|ηmax−ηmin|の値(0〜0.05)を「1−ηmin」の値(0〜0.2)と同範囲に変換し、両者を比較可能とするためのものである。
【0050】
このようにシミュレーションCでは、波長λを中心波長とした波長帯域λ±0.016λの範囲内において、TE偏波モードにおける回折効率及びTM偏波モードにおける回折効率が0.8以上であって、TE偏波モードにおける回折効率及びTM偏波モードにおける回折効率の最大値と最小値との差が0.05以下となる透過型回折光学素子1の設計条件(パラメータの組み合わせ)を見出した。
【0051】
表2には、No.8(図25)およびNo.55(図26)それぞれにおける波長λでの全回折効率を示す。
【表2】
【0052】
表2に示したように、本実施形態の透過型回折光学素子1は、パラメータ(θ、n2/n1、n1L/λ)を(1)式及び(2)式の双方を満たすように設定しているので、反射0次回折光、反射1次回折光、透過0次回折光L30及び透過1次回折光L31以外の高次の回折光が発生しない。
【0053】
また、図27(a)には、No.8(図25)における、ηTEと波長との関係、及び、ηTMと波長との関係を示した。図の縦軸は回折効率を示し、図の横軸は光L1の波長を示している。本図においては、波長を±4%の範囲で変更して、回折効率を求めている。破線で示した範囲は、波長λを中心波長とした波長帯域λ±0.016λの範囲である。この範囲内(λ−0.016λ〜λ+0.016λ)において、ηTE及びηTMは0.8以上であり、ηmaxとηminとの差は0.05以下である。
【0054】
同様に、図27(b)には、No.55(図26)における、ηTEと波長との関係、及び、ηTMと波長との関係を示した。波長λを中心波長とした波長帯域λ±0.016λの範囲内において、ηTE及びηTMは0.8以上であり、ηmaxとηminとの差は0.05以下である。
【0055】
例えば、この透過型回折光学素子1を光通信システムに組み込む場合、回折効率すなわち透過型回折光学素子1における光損失の偏波依存性及び波長依存性が小さくなるため、あらゆる偏波及び波長帯域内の波長に対し通信エラーを低減できる。
【0056】
また、この透過型回折格子素子1を用いることにより、国際規格(ITU)で定められた波長帯域であるCバンド(波長1.53〜1.565μm)を全域、Lバンド(波長1.565〜1.625μm)の85%をカバーすることができる。
【0057】
なお、シミュレーションCでは帯域をλ±0.016λとしてシミュレーションを行なったが、これは、波長帯域を有する光に対する回折格子の設計方法の一例である。Cバンドで回折格子を用いる場合は帯域として1.53〜1.565μmを、Lバンドで回折格子を用いる場合は帯域として1.565〜1.625μmを、CバンドおよびLバンドの双方で回折格子を用いる場合は帯域として1.53〜1.625μmを、それぞれ設定して、シミュレーションCと同様な手法で設計すればよい。
【0058】
(シミュレーションD)
シミュレーションDでは、パラメータ(n2/n1、n1H/λ、W/L、θ)をシミュレーションAと同様に変更して、(1)式及び(2)式の双方を満たす条件下で、透過1次回折光L31のTE偏波モードにおける回折効率ηTE及びTM偏波モードにおける回折効率ηTMの双方が0.85以上または0.90以上となるパラメータの組み合わせを調べた。
【0059】
ηTE及びηTMの双方が0.85以上であってmin(ηTE,ηTM)が最大値を取る際の各パラメータn2/n1、n1H/λ、W/L、θの値及びηTE,ηTMの値を図28〜図30に示した。
【0060】
また、ηTE及びηTMの双方が0.90以上であってmin(ηTE,ηTM)が最大値を取る際の各パラメータn2/n1、n1H/λ、W/L、θの値及びηTE,ηTMの値を図31〜図32に示した。
【0061】
なお、ηTE及びηTMの双方が0.80以上であってmin(ηTE,ηTM)が最大値を取る際の各パラメータn2/n1、n1H/λ、W/L、θの値及びηTE,ηTMの値については既に図7〜図10に示した。
【0062】
このように、シミュレーションDでは、透過1次回折光L31のTE偏波モードにおける回折効率及びTM偏波モードにおける回折効率が0.85以上または0.90以上となるパラメータの組み合わせを見出した。
【0063】
(シミュレーションE)
シミュレーションEでは、シミュレーションBと略同様にして、パラメータ(n2/n1、n1H/λ、W/L、θ)をシミュレーションAと同様に変更し、「min(ηTE,ηTM)≧x」の条件に、更にηTEとηTMとの回折効率の差がy以下となる条件を加えて、これらの両条件を満たすパラメータ(n2/n1、n1H/λ、W/L、θ)の組み合わせを求めた。具体的には、「min(ηTE,ηTM)≧x」且つ「|ηTE−ηTM|≦y」となるパラメータの組み合わせを、シミュレーションAと同じパラメータ範囲で調査した。ここで、xは0.85または0,90であり、yは0.05または0.025である。
【0064】
条件(「min(ηTE,ηTM)≧0.85」且つ「|ηTE−ηTM|≦0.05」)を満足する領域中で、「max(1−min(ηTE,ηTM),3|ηTE−ηTM|)」が最小値を取る際の各パラメータn2/n1、n1H/λ、W/L、θの値及びηTE,ηTMの値を図33〜図35に示した。ここで、|ηTE−ηTM|に乗ぜられている係数値3は、|ηTE−ηTM|の値(0〜0.05)を「1−min(ηTE,ηTM)」の値(0〜0.15)と同範囲に変換し、両者を比較可能とするためのものである。
【0065】
また、条件(「min(ηTE,ηTM)≧0.90」且つ「|ηTE−ηTM|≦0.05」)を満足する領域中で、「max(1−min(ηTE,ηTM),2|ηTE−ηTM|)」が最小値を取る際の各パラメータn2/n1、n1H/λ、W/L、θの値及びηTE,ηTMの値を図36〜図37に示した。ここで、|ηTE−ηTM|に乗ぜられている係数値2は、|ηTE−ηTM|の値(0〜0.05)を「1−min(ηTE,ηTM)」の値(0〜0.1)と同範囲に変換し、両者を比較可能とするためのものである。
【0066】
また、条件(「min(ηTE,ηTM)≧0.90」且つ「|ηTE−ηTM|≦0.025」)を満足する領域中で、「max(1−min(ηTE,ηTM),4|ηTE−ηTM|)」が最小値を取る際の各パラメータn2/n1、n1H/λ、W/L、θの値及びηTE,ηTMの値を図38〜図39に示した。ここで、|ηTE−ηTM|に乗ぜられている係数値4は、|ηTE−ηTM|の値(0〜0.025)を「1−min(ηTE,ηTM)」の値(0〜0.10)と同範囲に変換し、両者を比較可能とするためのものである。
【0067】
なお、条件(「min(ηTE,ηTM)≧0.80」且つ「|ηTE−ηTM|≦0.05」)を満足する領域中で、「max(1−min(ηTE,ηTM),4|ηTE−ηTM|)」が最小値を取る際の各パラメータn2/n1、n1H/λ、W/L、θの値及びηTE,ηTMの値については既に図16〜図19に示した。
【0068】
このように、シミュレーションEでは、透過1次回折光L31におけるTE偏波モードにおける回折効率及びTM偏波モードにおける回折効率が0.85以上または0,90以上であって、両モードにおける回折効率の差が0.05以下または0.025以下となるパラメータの組み合わせを見出した。
【0069】
(シミュレーションF)
シミュレーションFでは、シミュレーションCと略同様にして、パラメータ(n2/n1、n1H/λ、W/L、θ)をシミュレーションAと同様に変更し、更に、光L1が、波長λを中心波長としてλ±0.016λの波長帯域を有するものとして、RCWA法を用いてシミュレーションを行い、透過1次回折光L31のTE偏波モードにおける回折効率ηTE及びTM偏波モードにおける回折効率ηTMを求めた。
【0070】
ηTE1〜ηTE33及びηTM1〜ηTM33それぞれは、波長帯域(λ−0.016λ〜λ+0.016λ)において、波長を0.001λずつ変更することで得られた33個の値である。そして、これらの値(ηTE1〜ηTE33及びηTM1〜ηTM33)の最大値ηmaxと最小値ηminとを求めた。ここで、最小値ηminはmin(ηTE1,ηTE2,…,ηTE33,ηTM1,ηTM2,…,ηTM33)で与えられ、最大値ηmaxはmax(ηTE1,ηTE2,…,ηTE33,ηTM1,ηTM2,…,ηTM33)で与えられる。
【0071】
条件(「ηmin≧0.85」且つ「|ηmax−ηmin|≦0.05」)を満足する領域中で、max(1−ηmin,3|ηmax−ηmin|)が最小値を取る際の各パラメータn2/n1、n1H/λ、W/L、θの値及びηmin,ηmaxの値を図40〜図41に示した。ここで、|ηmax−ηmin|に乗ぜられている係数値3は、|ηmax−ηmin|の値(0〜0.05)を「1−ηmin」の値(0〜0.15)と同範囲に変換し、両者を比較可能とするためのものである。
【0072】
また、条件(「ηmin≧0.90」且つ「|ηmax−ηmin|≦0.05」)を満足する領域中で、max(1−ηmin,2|ηmax−ηmin|)が最小値を取る際の各パラメータn2/n1、n1H/λ、W/L、θの値及びηmin,ηmaxの値を図42に示した。ここで、|ηmax−ηmin|に乗ぜられている係数値2は、|ηmax−ηmin|の値(0〜0.05)を「1−ηmin」の値(0〜0.10)と同範囲に変換し、両者を比較可能とするためのものである。
【0073】
また、条件(「ηmin≧0.90」且つ「|ηmax−ηmin|≦0.025」)を満足する領域中で、max(1−ηmin,4|ηmax−ηmin|)が最小値を取る際の各パラメータn2/n1、n1H/λ、W/L、θの値及びηmin,ηmaxの値を図43に示した。ここで、|ηmax−ηmin|に乗ぜられている係数値4は、|ηmax−ηmin|の値(0〜0.025)を「1−ηmin」の値(0〜0.10)と同範囲に変換し、両者を比較可能とするためのものである。
【0074】
なお、条件(「ηmin≧0.80」且つ「|ηmax−ηmin|≦0.05」)を満足する領域中で、max(1−ηmin,4|ηmax−ηmin|)が最小値を取る際の各パラメータn2/n1、n1H/λ、W/L、θの値及びηmin,ηmaxの値については既に図25〜図26に示した。
【0075】
このようにシミュレーションFでは、波長λを中心波長とした波長帯域λ±0.016λの範囲内において、TE偏波モードにおける回折効率及びTM偏波モードにおける回折効率が0.85以上または0,90以上であって、TE偏波モードにおける回折効率及びTM偏波モードにおける回折効率の最大値と最小値との差が0.05以下または0.025以下となる透過型回折光学素子1の設計条件(パラメータの組み合わせ)を見出した。
【0076】
(シミュレーションG)
シミュレーションGでは、シミュレーションCと略同様にして、パラメータ(n2/n1、n1H/λ、W/L、θ)をシミュレーションAと同様に変更し、更に、光L1が、Cバンドの帯域を有するものとして、RCWA法を用いてシミュレーションを行い、透過1次回折光L31のTE偏波モードにおける回折効率ηTE及びTM偏波モードにおける回折効率ηTMを求めた。CバンドにおけるηTEおよびηTMの最大値ηmaxと最小値ηminとを求めた。
【0077】
条件(「ηmin≧0.80」且つ「|ηmax−ηmin|≦0.05」)を満足する領域中で、max(1−ηmin,4|ηmax−ηmin|)が最小値を取る際の各パラメータn2/n1、n1H/λ、W/L、θの値及びηmin,ηmaxの値を図44〜図45に示した。ここで、|ηmax−ηmin|に乗ぜられている係数値4は、|ηmax−ηmin|の値(0〜0.05)を「1−ηmin」の値(0〜0.20)と同範囲に変換し、両者を比較可能とするためのものである。
【0078】
また、条件(「ηmin≧0.85」且つ「|ηmax−ηmin|≦0.05」)を満足する領域中で、max(1−ηmin,3|ηmax−ηmin|)が最小値を取る際の各パラメータn2/n1、n1H/λ、W/L、θの値及びηmin,ηmaxの値を図46〜図47に示した。ここで、|ηmax−ηmin|に乗ぜられている係数値3は、|ηmax−ηmin|の値(0〜0.05)を「1−ηmin」の値(0〜0.15)と同範囲に変換し、両者を比較可能とするためのものである。
【0079】
また、条件(「ηmin≧0.90」且つ「|ηmax−ηmin|≦0.05」)を満足する領域中で、max(1−ηmin,2|ηmax−ηmin|)が最小値を取る際の各パラメータn2/n1、n1H/λ、W/L、θの値及びηmin,ηmaxの値を図48に示した。ここで、|ηmax−ηmin|に乗ぜられている係数値2は、|ηmax−ηmin|の値(0〜0.05)を「1−ηmin」の値(0〜0.10)と同範囲に変換し、両者を比較可能とするためのものである。
【0080】
また、条件(「ηmin≧0.90」且つ「|ηmax−ηmin|≦0.025」)を満足する領域中で、max(1−ηmin,4|ηmax−ηmin|)が最小値を取る際の各パラメータn2/n1、n1H/λ、W/L、θの値及びηmin,ηmaxの値を図49に示した。ここで、|ηmax−ηmin|に乗ぜられている係数値4は、|ηmax−ηmin|の値(0〜0.025)を「1−ηmin」の値(0〜0.10)と同範囲に変換し、両者を比較可能とするためのものである。
【0081】
このようにシミュレーションGでは、Cバンド内において、TE偏波モードにおける回折効率及びTM偏波モードにおける回折効率が0.80以上,0.85以上または0,90以上であって、TE偏波モードにおける回折効率及びTM偏波モードにおける回折効率の最大値と最小値との差が0.05以下または0.025以下となる透過型回折光学素子1の設計条件(パラメータの組み合わせ)を見出した。
【0082】
(シミュレーションH)
シミュレーションHでは、シミュレーションCと略同様にして、パラメータ(n2/n1、n1H/λ、W/L、θ)をシミュレーションAと同様に変更し、更に、光L1が、Lバンドの帯域を有するものとして、RCWA法を用いてシミュレーションを行い、透過1次回折光L31のTE偏波モードにおける回折効率ηTE及びTM偏波モードにおける回折効率ηTMを求めた。LバンドにおけるηTEおよびηTMの最大値ηmaxと最小値ηminとを求めた。
【0083】
条件(「ηmin≧0.80」且つ「|ηmax−ηmin|≦0.05」)を満足する領域中で、max(1−ηmin,4|ηmax−ηmin|)が最小値を取る際の各パラメータn2/n1、n1H/λ、W/L、θの値及びηmin,ηmaxの値を図50〜図51に示した。ここで、|ηmax−ηmin|に乗ぜられている係数値4は、|ηmax−ηmin|の値(0〜0.05)を「1−ηmin」の値(0〜0.20)と同範囲に変換し、両者を比較可能とするためのものである。
【0084】
また、条件(「ηmin≧0.85」且つ「|ηmax−ηmin|≦0.05」)を満足する領域中で、max(1−ηmin,3|ηmax−ηmin|)が最小値を取る際の各パラメータn2/n1、n1H/λ、W/L、θの値及びηmin,ηmaxの値を図52〜図53に示した。ここで、|ηmax−ηmin|に乗ぜられている係数値3は、|ηmax−ηmin|の値(0〜0.05)を「1−ηmin」の値(0〜0.15)と同範囲に変換し、両者を比較可能とするためのものである。
【0085】
また、条件(「ηmin≧0.90」且つ「|ηmax−ηmin|≦0.05」)を満足する領域中で、max(1−ηmin,2|ηmax−ηmin|)が最小値を取る際の各パラメータn2/n1、n1H/λ、W/L、θの値及びηmin,ηmaxの値を図54に示した。ここで、|ηmax−ηmin|に乗ぜられている係数値2は、|ηmax−ηmin|の値(0〜0.05)を「1−ηmin」の値(0〜0.10)と同範囲に変換し、両者を比較可能とするためのものである。
【0086】
また、条件(「ηmin≧0.90」且つ「|ηmax−ηmin|≦0.025」)を満足する領域中で、max(1−ηmin,4|ηmax−ηmin|)が最小値を取る際の各パラメータn2/n1、n1H/λ、W/L、θの値及びηmin,ηmaxの値を図55に示した。ここで、|ηmax−ηmin|に乗ぜられている係数値4は、|ηmax−ηmin|の値(0〜0.025)を「1−ηmin」の値(0〜0.10)と同範囲に変換し、両者を比較可能とするためのものである。
【0087】
このようにシミュレーションHでは、Lバンド内において、TE偏波モードにおける回折効率及びTM偏波モードにおける回折効率が0.80以上,0.85以上または0,90以上であって、TE偏波モードにおける回折効率及びTM偏波モードにおける回折効率の最大値と最小値との差が0.05以下または0.025以下となる透過型回折光学素子1の設計条件(パラメータの組み合わせ)を見出した。
【0088】
(シミュレーションI)
シミュレーションIでは、シミュレーションCと略同様にして、パラメータ(n2/n1、n1H/λ、W/L、θ)をシミュレーションAと同様に変更し、更に、光L1が、CバンドおよびLバンドの双方の帯域を有するものとして、RCWA法を用いてシミュレーションを行い、透過1次回折光L31のTE偏波モードにおける回折効率ηTE及びTM偏波モードにおける回折効率ηTMを求めた。CバンドおよびLバンドにおけるηTEおよびηTMの最大値ηmaxと最小値ηminとを求めた。
【0089】
条件(「ηmin≧0.80」且つ「|ηmax−ηmin|≦0.05」)を満足する領域中で、max(1−ηmin,4|ηmax−ηmin|)が最小値を取る際の各パラメータn2/n1、n1H/λ、W/L、θの値及びηmin,ηmaxの値を図56に示した。ここで、|ηmax−ηmin|に乗ぜられている係数値4は、|ηmax−ηmin|の値(0〜0.05)を「1−ηmin」の値(0〜0.20)と同範囲に変換し、両者を比較可能とするためのものである。
【0090】
また、条件(「ηmin≧0.85」且つ「|ηmax−ηmin|≦0.05」)を満足する領域中で、max(1−ηmin,3|ηmax−ηmin|)が最小値を取る際の各パラメータn2/n1、n1H/λ、W/L、θの値及びηmin,ηmaxの値を図57に示した。ここで、|ηmax−ηmin|に乗ぜられている係数値3は、|ηmax−ηmin|の値(0〜0.05)を「1−ηmin」の値(0〜0.15)と同範囲に変換し、両者を比較可能とするためのものである。
【0091】
また、条件(「ηmin≧0.90」且つ「|ηmax−ηmin|≦0.05」)を満足する領域中で、max(1−ηmin,2|ηmax−ηmin|)が最小値を取る際の各パラメータn2/n1、n1H/λ、W/L、θの値及びηmin,ηmaxの値を図58に示した。ここで、|ηmax−ηmin|に乗ぜられている係数値2は、|ηmax−ηmin|の値(0〜0.05)を「1−ηmin」の値(0〜0.10)と同範囲に変換し、両者を比較可能とするためのものである。
【0092】
また、条件(「ηmin≧0.90」且つ「|ηmax−ηmin|≦0.025」)を満足する領域中で、max(1−ηmin,4|ηmax−ηmin|)が最小値を取る際の各パラメータn2/n1、n1H/λ、W/L、θの値及びηmin,ηmaxの値を図59に示した。ここで、|ηmax−ηmin|に乗ぜられている係数値4は、|ηmax−ηmin|の値(0〜0.025)を「1−ηmin」の値(0〜0.10)と同範囲に変換し、両者を比較可能とするためのものである。
【0093】
このようにシミュレーションIでは、CバンドおよびLバンドの双方の帯域内において、TE偏波モードにおける回折効率及びTM偏波モードにおける回折効率が0.80以上,0.85以上または0,90以上であって、TE偏波モードにおける回折効率及びTM偏波モードにおける回折効率の最大値と最小値との差が0.05以下または0.025以下となる透過型回折光学素子1の設計条件(パラメータの組み合わせ)を見出した。
【0094】
シミュレーションA〜Iより明らかなように、本実施形態の透過型回折光学素子1においては、透過1次回折光L31のTE偏波モードにおける回折効率ηTE及びTM偏波モードにおける回折効率ηTMを0.8以上(さらに、0.85以上、0.90以上)にまで高めることが可能となるとともに、透過型回折光学素子1の偏波依存性及び波長依存性を低減することができる。
【0095】
なお、透過型回折光学素子は、レンズや光ファイバ等とともに用いられ、また、レンズ収差や光ファイバの位置ずれ等を補正する為に更に他のレンズも用いられる場合がある。例えば、光ファイバの端面から出射した光がレンズによりコリメートされ、そのコリメートされた光が透過型回折光学素子により波長に応じて回折され、その回折された各波長の光が他のレンズにより集光されて他の光ファイバの端面に入射する。このとき、光は、レンズにおいて損失を被り、また、光ファイバ端面における入出射の際にも損失を被る。このような場合に、透過型回折光学素子の回折効率ηTE及びηTMが0.85以上または0.90以上であるのが好適である。
【0096】
また、透過型回折光学素子は、ミラー等とともに用いられる場合がある。例えば、透過型回折光学素子により回折された光がミラーにより反射され、その反射された光が再び透過型回折光学素子により回折される。このとき、光は透過型回折光学素子を2回通過することにより、偏波モード間の回折効率の差が大きくなる。このような場合に、透過型回折光学素子の回折効率ηTE及びηTMが0.90以上であるのが好適であって、回折効率ηTEとηTMとの差が0.025以下であるのが好適である。
【0097】
さらに、透過型回折光学素子における透過1次回折光の角分散Dは大きいほど好ましく、この場合、透過型回折光学素子における波長分離が大きく、透過型回折光学素子および他の光学素子(例えば、回折光を受光する受光素子や光ファイバ)を含む光学装置を小型化することができる。このことから、回折格子の周期Lは短いほど好ましく、周期Lが2.5μm以下であるのが好適である。これについて以下に説明する。透過型回折光学素子における透過1次回折光の角分散Dは、回折角φを波長λで微分したものであり、次式で表される。ここで、θは入射角である。
D=|dφ/dλ|=|2tanθ/λ| …(3)
【0098】
Cバンドにおける光周波数間隔50GHz(波長間隔0.4nm)の波長分割多重光通信において、媒質が空気(屈折率n1=1)であって、上記の他の光学素子の配置のピッチが0.125mmであるとする。入射角θが30°であると、角分散Dは0.043°/nmであり、透過型回折光学素子と他の光学素子との間の距離は420mm程度が必要である。これに対して、入射角θが50°であれば、透過型回折光学素子と他の光学素子との間の距離は200mm程度でよく、透過型回折光学素子および他の光学素子を含む光学装置を小型化することができる。
【0099】
上記(1)式から判るように、回折格子の周期Lが短いほど、入射角θが大きく、したがって、角分散Dも大きい。波長λがUバンド(1625nm〜1675nm)の上限波長以下であると、上記(1)式および(2)式の双方を満たす周期Lは2.5μm以下である。つまり、透過型回折光学素子は、周期Lが2.5μm以下であれば、上記(1)式および(2)式の双方を満たしつつ、高い角分散で1675nm以下の光を回折することができる。
【0100】
非特許文献1にも触れられているが、RCWA法とは、1次元透過型回折格子の設計・評価に用いられる理論の一つである。格子の周期が入射光の波長よりも充分に大きい場合には、スカラー波近似の理論が成り立つが、格子の周期が入射光の波長に近づくと、スカラー波近似が成り立たなくなり、入射光をベクトル波として取り扱う必要が生じる。RCWA法は、周期構造を深さ方向にスライスして、各層における結合波方程式を作り、連続条件を付加して、入射/反射領域、透過領域、出射領域におけるそれぞれの解を求めるものである。
【0101】
尚、本実施形態においては、光L1は、透明平板10の第1面10a側(凸条20が設けられている側)に入射しているが、光L1が透明平板10の他方の第2面10b側(AR層30が成膜されている側)に入射しても同様の効果が得られる。また、本実施形態の透過型回折光学素子1においては、第1面10a側に凸条20を設けているが、凸条20の代わりに凹溝を設けても構わない。
【0102】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したとおり、本発明によれば、TE偏波モードにおける回折効率及びTM偏波モードにおける回折効率を0.8以上にまで高めることが可能な透過型回折光学素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る透過型回折光学素子の断面構成を示す概略図である。
【図2】シミュレーションAの結果を示すコンター図である。
【図3】シミュレーションAの結果を示すコンター図である。
【図4】シミュレーションAの結果を示すコンター図である。
【図5】シミュレーションAの結果を示すコンター図である。
【図6】シミュレーションAの結果を示すコンター図である。
【図7】シミュレーションAにより得られたTE偏波モードにおける回折効率ηTE及びTM偏波モードにおける回折効率ηTMを示す図表である。
【図8】シミュレーションAにより得られたTE偏波モードにおける回折効率ηTE及びTM偏波モードにおける回折効率ηTMを示す図表である。
【図9】シミュレーションAにより得られたTE偏波モードにおける回折効率ηTE及びTM偏波モードにおける回折効率ηTMを示す図表である。
【図10】シミュレーションAにより得られたTE偏波モードにおける回折効率ηTE及びTM偏波モードにおける回折効率ηTMを示す図表である。
【図11】シミュレーションBの結果を示すコンター図である。
【図12】シミュレーションBの結果を示すコンター図である。
【図13】シミュレーションBの結果を示すコンター図である。
【図14】シミュレーションBの結果を示すコンター図である。
【図15】シミュレーションBの結果を示すコンター図である。
【図16】シミュレーションBにより得られたTE偏波モードにおける回折効率ηTE及びTM偏波モードにおける回折効率ηTMを示す図表である。
【図17】シミュレーションBにより得られたTE偏波モードにおける回折効率ηTE及びTM偏波モードにおける回折効率ηTMを示す図表である。
【図18】シミュレーションBにより得られたTE偏波モードにおける回折効率ηTE及びTM偏波モードにおける回折効率ηTMを示す図表である。
【図19】シミュレーションBにより得られたTE偏波モードにおける回折効率ηTE及びTM偏波モードにおける回折効率ηTMを示す図表である。
【図20】シミュレーションCの結果を示すコンター図である。
【図21】シミュレーションCの結果を示すコンター図である。
【図22】シミュレーションCの結果を示すコンター図である。
【図23】シミュレーションCの結果を示すコンター図である。
【図24】シミュレーションCの結果を示すコンター図である。
【図25】シミュレーションCにより得られた回折効率の最大値ηmax及び回折効率の最小値ηminを示す図表である。
【図26】シミュレーションCにより得られた回折効率の最大値ηmax及び回折効率の最小値ηminを示す図表である。
【図27】(a)はシミュレーションCにおけるNo.8のηTE,ηTMと波長との関係を示すグラフであり、(b)はシミュレーションCにおけるNo.55のηTE,ηTMと波長との関係を示すグラフである。
【図28】シミュレーションDにより得られたTE偏波モードにおける回折効率ηTE及びTM偏波モードにおける回折効率ηTMを示す図表である。
【図29】シミュレーションDにより得られたTE偏波モードにおける回折効率ηTE及びTM偏波モードにおける回折効率ηTMを示す図表である。
【図30】シミュレーションDにより得られたTE偏波モードにおける回折効率ηTE及びTM偏波モードにおける回折効率ηTMを示す図表である。
【図31】シミュレーションDにより得られたTE偏波モードにおける回折効率ηTE及びTM偏波モードにおける回折効率ηTMを示す図表である。
【図32】シミュレーションDにより得られたTE偏波モードにおける回折効率ηTE及びTM偏波モードにおける回折効率ηTMを示す図表である。
【図33】シミュレーションEにより得られたTE偏波モードにおける回折効率ηTE及びTM偏波モードにおける回折効率ηTMを示す図表である。
【図34】シミュレーションEにより得られたTE偏波モードにおける回折効率ηTE及びTM偏波モードにおける回折効率ηTMを示す図表である。
【図35】シミュレーションEにより得られたTE偏波モードにおける回折効率ηTE及びTM偏波モードにおける回折効率ηTMを示す図表である。
【図36】シミュレーションEにより得られたTE偏波モードにおける回折効率ηTE及びTM偏波モードにおける回折効率ηTMを示す図表である。
【図37】シミュレーションEにより得られたTE偏波モードにおける回折効率ηTE及びTM偏波モードにおける回折効率ηTMを示す図表である。
【図38】シミュレーションEにより得られたTE偏波モードにおける回折効率ηTE及びTM偏波モードにおける回折効率ηTMを示す図表である。
【図39】シミュレーションEにより得られたTE偏波モードにおける回折効率ηTE及びTM偏波モードにおける回折効率ηTMを示す図表である。
【図40】シミュレーションFにより得られた回折効率の最大値ηmax及び回折効率の最小値ηminを示す図表である。
【図41】シミュレーションFにより得られた回折効率の最大値ηmax及び回折効率の最小値ηminを示す図表である。
【図42】シミュレーションFにより得られた回折効率の最大値ηmax及び回折効率の最小値ηminを示す図表である。
【図43】シミュレーションFにより得られた回折効率の最大値ηmax及び回折効率の最小値ηminを示す図表である。
【図44】シミュレーションGにより得られた回折効率の最大値ηmax及び回折効率の最小値ηminを示す図表である。
【図45】シミュレーションGにより得られた回折効率の最大値ηmax及び回折効率の最小値ηminを示す図表である。
【図46】シミュレーションGにより得られた回折効率の最大値ηmax及び回折効率の最小値ηminを示す図表である。
【図47】シミュレーションGにより得られた回折効率の最大値ηmax及び回折効率の最小値ηminを示す図表である。
【図48】シミュレーションGにより得られた回折効率の最大値ηmax及び回折効率の最小値ηminを示す図表である。
【図49】シミュレーションGにより得られた回折効率の最大値ηmax及び回折効率の最小値ηminを示す図表である。
【図50】シミュレーションHにより得られた回折効率の最大値ηmax及び回折効率の最小値ηminを示す図表である。
【図51】シミュレーションHにより得られた回折効率の最大値ηmax及び回折効率の最小値ηminを示す図表である。
【図52】シミュレーションHにより得られた回折効率の最大値ηmax及び回折効率の最小値ηminを示す図表である。
【図53】シミュレーションHにより得られた回折効率の最大値ηmax及び回折効率の最小値ηminを示す図表である。
【図54】シミュレーションHにより得られた回折効率の最大値ηmax及び回折効率の最小値ηminを示す図表である。
【図55】シミュレーションHにより得られた回折効率の最大値ηmax及び回折効率の最小値ηminを示す図表である。
【図56】シミュレーションIにより得られた回折効率の最大値ηmax及び回折効率の最小値ηminを示す図表である。
【図57】シミュレーションIにより得られた回折効率の最大値ηmax及び回折効率の最小値ηminを示す図表である。
【図58】シミュレーションIにより得られた回折効率の最大値ηmax及び回折効率の最小値ηminを示す図表である。
【図59】シミュレーションIにより得られた回折効率の最大値ηmax及び回折効率の最小値ηminを示す図表である。
【符号の説明】
1…透過型回折光学素子、10…透明平板、20…凸条、30…反射防止層。
Claims (15)
- 互いに平行な第1面および第2面を有する透明平板に回折格子が形成された透過型回折光学素子であって、
前記第1面が媒質に接していて、前記第1面に前記回折格子が形成され、前記第2面に反射防止膜が設けられ、
前記媒質の屈折率をn1とし、前記透明平板の前記第1面における屈折率をn2(ただし、n1<n2)とし、前記回折格子の周期をLとして、前記媒質から前記透明平板の前記第1面に光が入射したときに、「(2n1L/λ)sinθ=1」および「n2/n1≦3sinθ」なる関係式を満たす光の波長λおよび入射角θが存在し、
前記波長λおよび前記入射角θにおいて、TE偏波モードの透過1次回折光の回折効率ηTEが0.8以上であり、TM偏波モードの透過1次回折光の回折効率ηTMが0.8以上である、
ことを特徴とする透過型回折光学素子。 - 前記波長λが所定波長帯域に含まれ、この所定波長帯域の全域において回折効率ηTEおよび回折効率ηTMそれぞれが0.8以上である、ことを特徴とする請求項1記載の透過型回折光学素子。
- 前記波長λおよび前記入射角θにおいて回折効率ηTEおよび回折効率ηTMそれぞれが0.85以上であることを特徴とする請求項1記載の透過型回折光学素子。
- 前記波長λが所定波長帯域に含まれ、この所定波長帯域の全域において回折効率ηTEおよび回折効率ηTMそれぞれが0.85以上である、ことを特徴とする請求項3記載の透過型回折光学素子。
- 前記波長λおよび前記入射角θにおいて回折効率ηTEおよび回折効率ηTMそれぞれが0.9以上であることを特徴とする請求項1記載の透過型回折光学素子。
- 前記波長λが所定波長帯域に含まれ、この所定波長帯域の全域において回折効率ηTEおよび回折効率ηTMそれぞれが0.9以上である、ことを特徴とする請求項5記載の透過型回折光学素子。
- 前記波長λおよび前記入射角θにおいて回折効率ηTEと回折効率ηTMとの差が0.05以下であることを特徴とする請求項1記載の透過型回折光学素子。
- 前記波長λが所定波長帯域に含まれ、この所定波長帯域の全域において回折効率ηTEおよび回折効率ηTMの最大値と最小値との差が0.05以下である、ことを特徴とする請求項7記載の透過型回折光学素子。
- 前記波長λおよび前記入射角θにおいて回折効率ηTEと回折効率ηTMとの差が0.025以下であることを特徴とする請求項1記載の透過型回折光学素子。
- 前記波長λが所定波長帯域に含まれ、この所定波長帯域の全域において回折効率ηTEおよび回折効率ηTMの最大値と最小値との差が0.025以下である、ことを特徴とする請求項9記載の透過型回折光学素子。
- 前記所定波長帯域がCバンドを含むことを特徴とする請求項2,4,6,8および10の何れか1項に記載の透過型回折光学素子。
- 前記所定波長帯域がLバンドを含むことを特徴とする請求項2,4,6,8および10の何れか1項に記載の透過型回折光学素子。
- 前記所定波長帯域がCバンドおよびLバンドの双方を含むことを特徴とする請求項2,4,6,8および10の何れか1項に記載の透過型回折光学素子。
- 前記回折格子の周期Lが2.5μm以下であることを特徴とする請求項1記載の透過型回折光学素子。
- 前記波長λが波長帯域1.26μm〜1.675μm内に含まれることを特徴とする請求項1記載の透過型回折光学素子。
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