JP2004204760A - 地熱蒸気タービンロータ - Google Patents
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Abstract
【課題】水素脆性による長期耐久性の低下の問題の解消を図れる地熱蒸気タービンロータを提供する。
【解決手段】この発明による地熱蒸気タービンロータ1は、外周部に複数の翼溝3が形成されたロータシャフト2と,翼溝3と嵌り合うクリスマスツリー形の翼脚6をそれぞれの基部に有する複数の動翼5とを備え、翼溝3,翼脚6は地熱蒸気の腐食性液の腐食性成分に対する防食層4,7で覆われている。この防食層4,7は、薄い鱗片状の二硫化モリブデン粉末とエポキシ樹脂の結合剤との混合材が用いられた20μm〜50μmの膜厚の内側防食層41,71と、前記腐食性成分の進入経路に関して内側防食層の手前側に配置され、ふっ素ゴム樹脂材が用いられた50μm〜100μmの膜厚の外側防食層42,72とを有している。
【選択図】図3
【解決手段】この発明による地熱蒸気タービンロータ1は、外周部に複数の翼溝3が形成されたロータシャフト2と,翼溝3と嵌り合うクリスマスツリー形の翼脚6をそれぞれの基部に有する複数の動翼5とを備え、翼溝3,翼脚6は地熱蒸気の腐食性液の腐食性成分に対する防食層4,7で覆われている。この防食層4,7は、薄い鱗片状の二硫化モリブデン粉末とエポキシ樹脂の結合剤との混合材が用いられた20μm〜50μmの膜厚の内側防食層41,71と、前記腐食性成分の進入経路に関して内側防食層の手前側に配置され、ふっ素ゴム樹脂材が用いられた50μm〜100μmの膜厚の外側防食層42,72とを有している。
【選択図】図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は地熱蒸気タービンにおけるタービンロータに係わり、地熱蒸気から生成された腐食性液に対する翼脚部および翼溝部の防食構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の地熱蒸気タービンにおけるタービンロータ(以下では「地熱蒸気タービンロータ」と称する)では、腐食性液(地熱蒸気に含まれる微量の塩素・硫化水素などの腐食性成分が濃縮されて含まれる地熱蒸気の凝縮液)による腐食あるいはこれ等が主因での亀裂や割れの発生などから、動翼の装着用にロータシャフトに形成された翼溝やこの翼溝と嵌り合う動翼の翼脚の部位を保護するために、翼溝や翼脚の部位を耐熱,耐食性の合成樹脂材(ふっ素ゴム樹脂,シリコーン樹脂など)の塗布膜で覆っている(例えば、特許文献1参照。)。また、腐食性液に対するロータシャフトの全面防食を行うために、ロータシャフト全面をブラスト処理した上でふっ素樹脂の焼成成形皮膜などで覆っている(例えば、特許文献2参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−77008号公報(第2,3頁、第1,2図)
【特許文献2】
特開平8−128302号公報(第2頁、第1,2図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来技術による地熱蒸気の腐食性液に対する地熱蒸気タービンロータの翼脚および翼溝の防食構成では、これ等の部位を腐食性液の腐食から保護する防食皮膜にふっ素系樹脂材やシリコーン樹脂材などの合成樹脂材が用いられているので、合成樹脂材が持つ優れた耐食性,電気絶縁性などにより腐食性液に含まれる塩素などの腐食生成成分から翼脚,翼溝の部位を保護することができている。しかしながら発明者らが調査したところでは、従来の前記防食皮膜では地熱蒸気の腐食性液に含まれる硫化水素が徐々にではあるが防食皮膜を貫通し、翼脚,翼溝の表面部に到達してしまうことが確認された。この硫化水素は、翼脚,翼溝に用いられている金属材と化学反応して水素を発生させる。
【0005】
地熱蒸気タービンロータでは、動翼には13%クロム鋼系の鋼材が,また,ロータシャフトには1%クロム鋼系の鋼材が一般に用いられているが、化学反応により発生した前記水素はこれ等金属材に入り込みその結晶格子を歪ませるなどにより、金属材に水素脆性を発生させ、応力腐食割れの発生や疲労強度の低下などによる長期耐久性の低下をもたらす。そうして、13%クロム鋼系の鋼材は1%クロム鋼系などの鋼材と比較して水素脆性に弱い材料であるので、水素脆性への対策が特に望まれている。この発明は、前述の従来技術の問題点に鑑みなされ、その目的は、水素脆性による長期耐久性の低下の問題の解消を図れる地熱蒸気タービンロータを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明では前述の目的は、
1)動翼を嵌め込む翼溝の複数が外周部に形成されたロータシャフトと、前記翼溝と嵌り合う翼脚を基部に有する動翼の複数とを備えた地熱蒸気タービンロータにおいて、前記翼脚および前記翼溝は、地熱蒸気から生成された腐食性液に含まれる腐食性成分に耐性を持つと共にこの腐食性成分に含まれる硫化水素の貫通を防止できる材料が用いられた内側防食層と、ゴム弾性を有すると共に前記腐食性成分に耐性を持つ合成樹脂材が用いられて前記内側防食層を外力から保護する外側防食層とを有する防食層で覆われ、前記内側防食層および/または前記外側防食層に用いられる前記材料は単独または両者を総合することで硫化水素を除く前記腐食成分の貫通も防止できる材料であること、または、2)前記1項に記載の手段において、前記内側防食層はその材料に鱗片状の二硫化モリブデン粉末と前記腐食性成分に耐性を持つ結合剤との混合材が用いられると共に、前記二硫化モリブデン粉末の層が前記腐食性成分の進入方向に対してほぼ直交する関係で配置されること、または、3)前記1項に記載の手段において、前記外側防食層にはふっ素ゴム樹脂材が用いられること、または、4)前記2項または3項に記載の手段において、前記内側防食層の層厚は20μm程度を越え、前記外側防食層の層厚は50μm程度を越えること、さらにまたは、5)前記1項から4項までのいずれかに記載の手段において、前記防食層の外面側にシリコーン樹脂系のグリスを用いた潤滑剤層が配置されることにより達成される。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下この発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。図1はこの発明の実施の形態の一例による地熱蒸気タービンロータの要部を示す一部破断した概略構成図であり、図2は図1におけるP部の詳細図であり、図3は図2におけるR部の模式化して示した断面図である。図1〜図3において、1は、外周部に複数の翼溝3が形成されたロータシャフト2と、翼溝3と嵌り合うクリスマスツリー形の翼脚6をそれぞれの基部に有する複数の動翼5とを備えたこの発明による地熱蒸気タービンロータである。この事例の場合には、ロータシャフト2には1%クロム鋼系の鋼材が用いられ、動翼5には13%クロム鋼系の鋼材が用いられている。
【0008】
翼溝3および翼脚6の表面側は、地熱蒸気(図示せず)から生成された腐食性液(図示せず)に含まれる塩素・硫化水素などの腐食性成分から翼溝3と翼脚6の部位をそれぞれに保護する防食層4および7で覆われている。それぞれの防食層4,7はこの発明による特徴により、内側防食層41,71と腐食性液の腐食性成分の進入経路に関して内側防食層の手前側に配置された外側防食層42,72とを有している。内側防食層41,71には、薄い(例えば、1μm程度)鱗片状の二硫化モリブデン粉末と,前記腐食性成分に耐性を持つ結合剤(エポキシ樹脂など)との混合材〔例えば、モリコート乾性被膜潤滑剤3400A、ダウ コーニング アジア (株)商品名〕が用いられている。この混合材を必要により濃度調整などを行ったうえで、はけ塗り法など適宜の方法により翼溝3や翼脚6の部位に塗布し、例えば大気中で常温硬化させて、20μm〜50μm程度の膜厚の内側防食層41,71を形成する。
【0009】
この塗布工程の際、薄い膜厚の塗布膜に分けて何回も塗り重ねるようにすることで、薄い鱗片状の二硫化モリブデン粉末が、翼溝3や翼脚6の部位(以降、塗布対象物と呼ぶ場合がある)の表面に沿って層状に積層されるようにしている。塗布膜の膜厚が薄い場合には、鱗片状の二硫化モリブデン粉末は、液状の結合剤の表面張力などにより、鱗片状粉末の面が塗布対象物や既に塗布対象物に付着済みの前記混合材の表面に付着されるので、鱗片状の二硫化モリブデン粉末は容易に層状に積層される。このように形成された内側防食層41,71では、鱗片状の二硫化モリブデン粉末の層は腐食性成分の進入方向に対してほぼ直交する関係で配置されることになる。
【0010】
外側防食層42,72には、ゴム弾性を有すると共に腐食性液の腐食性成分に耐性を持つ合成樹脂材であるふっ素ゴム樹脂材〔例えば、常温硬化弗素ゴム(F.R.コート材)、東京硝子器械(株)商品名〕が用いられている。このふっ素ゴム樹脂材を必要により濃度調整などを行ったうえで、はけ塗り法など適宜の方法により内側防食層41,71の上側に塗布し、例えば大気中で常温硬化させて、50μm〜100μm程度の膜厚の外側防食層42,72を形成する。この外側防食層42,72に用いられる前記ふっ素ゴム樹脂材の常温硬化後の塗膜は、モジュラスが70kN/m2程度と柔軟でありゴム弾性にも富んでいる。そうして、外側防食層42,72の外面側には必要に応じて潤滑剤層8を、腐食性液の腐食性成分に化学的に安定で耐性を持つグリスであるシリコーン樹脂系のグリスを手塗り法などにより塗布することで形成する。なお、ロータシャフト2および動翼5の防食層4,7を形成する部位は、内側防食層41,71を形成する前の事前処理の一環として、特許文献2に記述されているブラスト処理やショットピーニング処理などを行うことも可能である。
【0011】
図1〜図3に示すこの発明の実施の形態の一例による地熱蒸気タービンロータ1では前述の構成としたので、前記腐食性成分は、外側防食層42,72→内側防食層41,71→ロータシャフト2,動翼5を形成する金属材、の経路でこの金属材に進入しようとするが、まず、外側防食層42,72が特許文献1に記述されているとおりに金属材の腐食性成分用の防食層としてある程度有効に機能する。しかしこの外側防食層に用いられているふっ素ゴム樹脂材などの合成樹脂材は、「発明が解決しようとする課題」の項で説明したように、徐々にではあるが硫化水素を貫通させる。内側防食層41,71に用いられている二硫化モリブデンは合成樹脂材よりも化学的に安定でしかも緻密な材料なので、腐食性成分に優れた耐性を持つと共に,硫化水素を貫通させない性質を持つ。
【0012】
また、この二硫化モリブデンは1μm程度の厚さの極めて薄い鱗片状粉末として使用されており、この鱗片状粉末は前記したところにより20μm程度の膜厚の内側防食層41,71の場合であっても、10層程度を越える多重層として積層される。このために、二硫化モリブデン粉末の外周に沿って前記結合材内を通過しようとする硫化水素の通過経路は極めて経路長の長いじぐざぐな経路になり、したがって、外側防食層42,72を貫通した硫化水素の前記金属材への到達は、内側防食層41,71により確実に阻止できる。こうした理由により、地熱蒸気タービンロータ1では、金属材に13%クロム鋼系の鋼材が用いられていたとしても、水素脆性の発生を実質的に解消できる。鱗片状の二硫化モリブデン粉末を用いた防食層の場合、前記したところにより、この防食層だけで硫化水素を含む腐食性液の腐食性成分からロータシャフトや動翼を構成している金属材を保護することができる。
【0013】
しかしながら鱗片状粉末がその鱗片状の面に平行な面に沿って劈開し易い性質を持つので、鱗片状の二硫化モリブデン粉末を用いた防食層では、動翼をロータシャフトに嵌め込む作業の際の防食層に加わる局部的衝撃力や,タービンロータ運転時に発生が予想されるロータシャフトの振動により防食層に働く衝撃力などによって、鱗片状粉末が損傷を受けないように備える必要がある。このためにこの発明の場合に備えられたのが外側防食層42,72であり、ふっ素ゴム樹脂材のようなゴム弾性に富む材料を用いることで、内側防食層41,71に加わろうとする衝撃力や応力を緩和し、内側防食層41,71の鱗片状の二硫化モリブデン粉末を機械的外力から保護する。なお、内側防食層41,71の層厚が20μm程度を下回ると、鱗片状の二硫化モリブデン粉末層による硫化水素の進入の阻止能力が低下してくるので、内側防食層41,71の層厚は20μm程度以上であることが好ましい。
【0014】
また、外側防食層42,72の層厚が50μm程度を下回るとピンホールの生成が見られるようになることなどから、外側防食層42,72の層厚は50μm程度以上であることが好ましい。ところで蒸気タービンロータに全般的に言えることであるが、翼脚6が翼溝3に嵌り合うことで互いに対向し合うことになる面の相互間隔、すなわち、翼脚6と翼溝3との間隙(片側間隙)の値は、動翼5をロータシャフト2に強固に装着するための必要から、0.1〜0.15mm程度以内に設定されることが一般である。したがって、防食層4と防食層7との合計層厚は、この片側間隙値を限度とする制約を受ける。内側防食層41,71の厚い側の層厚の寸法を50μm程度とし、外側防食層42,72の厚い側の層厚の寸法を100μm程度としている理由はここに有る。すなわち、防食層4および7は、翼脚6,翼溝3の間隙が0.1〜0.15mm程度以内であるとする制約条件に適合できている。
【0015】
そうして地熱蒸気タービンロータ1の場合には、翼脚6と翼溝3との間隙のほとんどが防食層4と防食層7とで占められてしまうことから、外側防食層42,72の外面側には必要に応じて潤滑剤層8を形成して、翼脚6を翼溝3に嵌め込む作業を容易にしている。発明者らは前記したこの発明による防食層4,7の地熱蒸気の腐食性液に対する防食効果を従来例の防食層と比較評価するために、丸棒状のテスト用のサンプルを作成し、水素脆性が主因で発生する応力腐食割れについての評価実験を実施した。サンプルに用いた金属材は水素脆性に比較的に弱い13%クロム鋼系の鋼材である。比較対象である従来例の防食層を持つサンプルの防食層は、ふっ素ゴム樹脂材を用いた約100μm厚さのもの(特許文献1で実施例の一つとして記載されている構造のもの)である。この発明による構成の防食層を持つサンプルの防食層は内側防食層が約30μm厚さ,外側防食層が約70μm厚さとしている。
【0016】
【表1】
その実験結果を表1に示す。表1の試験応力はテスト用のサンプルに加えた引張応力値であり、1.96,3.92および5.88MN/m2の3種類を設定した。また各サンプルは、地熱蒸気の凝縮液とほぼ同等の成分比率の腐食性成分を、実際の地熱蒸気の凝縮液の場合よりも濃厚になるように調整して蒸留水と混合して作成した試験液に浸漬し、前記試験応力を1000時間連続して加え続けた。表1には1000時間の連続応力印加でも破断しなかったサンプルは未破断と記載し、1000時間未満で破断したサンプルは、破断までに要した時間を記載した上で破断と記載してある。表1を視察することで、この発明による構成の防食層は、5.88MN/m2の試験応力値で従来例よりも約20倍も長い応力腐食割れ寿命が得られていることが分かる。この実験結果は、この発明の防食層4,7が従来例の防食層よりも地熱蒸気の腐食性液に対する防食効果が優れており、内側防食層41,71によって硫化水素の進入を阻止できることで、金属材に水素脆性が実質的に生じないことを実証するものである。
【0017】
前述の説明では、動翼5が有する翼脚6の形状はクリスマスツリー形であるとしてきたが、これに限定されるものではなく、T字形など適宜の形状を採用できる。また前述の説明では、内側防食層41,71には薄い鱗片状の二硫化モリブデン粉末と,エポキシ樹脂との混合材が用いられるとしてきたが、これに限定されるものではなく、例えば外側防食層が硫化水素を除く腐食性成分の進入を防止できることを前提にした場合に、腐食性液の腐食性成分に耐性を持つと共にこの腐食性成分に含まれる硫化水素の貫通を防止できる材料であるならば、適宜の材料を内側防食層に採用できる。なおまた前述の説明では、外側防食層42,72には常温硬化形のふっ素ゴム樹脂材が用いられるとしてきたが、これに限定されるものではなく、例えば内側防食層が硫化水素を含む全ての腐食性成分の進入を防止できることを前提にした場合に、ゴム弾性を有すると共に腐食性液の腐食性成分に耐性を持つ合成樹脂材であるならば、適宜の材料を外側防食層に採用できる。
【0018】
【発明の効果】
この発明による地熱蒸気タービンロータでは、前記課題を解決するための手段の項で述べた構成とすることで、次記する効果を得られる。
▲1▼前記課題を解決するための手段の項の第(1)項〜第(3)項による構成とすることで、この発明の防食層4および7は翼脚6,翼溝3の間隙が0.1〜0.
15mm程度以内であるとする制約条件に適合させながら、地熱蒸気の腐食性液の硫化水素を含む腐食性成分の翼脚6,翼溝3への進入を確実に阻止する。これにより、翼脚6,翼溝3での水素脆性の発生を防止して、水素脆性が主因で発生する応力腐食割れに関する寿命を,5.88MN/m2の引張応力値において従来例の場合よりも約20倍も延長することが可能になる。また、
▲2▼前記課題を解決するための手段の項の第(4)項による構成とすることで、前記▲1▼項による効果を確実に得ることが可能になる。さらにまた、
▲3▼前記課題を解決するための手段の項の第(5)項による構成とすることで、前記▲1▼項,▲2▼項による効果を得ながら、動翼5のロータシャフト2への組み込み作業を容易にすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態の一例による地熱蒸気タービンロータの要部を示す一部破断した概略構成図
【図2】図1におけるP部の詳細図
【図3】図2におけるR部の模式化して示した断面図
【符号の説明】
1 地熱蒸気タービンロータ
2 ロータシャフト
3 翼溝
4 防食層
41 内側防食層
42 外側防食層
5 動翼
6 翼脚
7 防食層
71 内側防食層
72 外側防食層
【発明の属する技術分野】
この発明は地熱蒸気タービンにおけるタービンロータに係わり、地熱蒸気から生成された腐食性液に対する翼脚部および翼溝部の防食構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の地熱蒸気タービンにおけるタービンロータ(以下では「地熱蒸気タービンロータ」と称する)では、腐食性液(地熱蒸気に含まれる微量の塩素・硫化水素などの腐食性成分が濃縮されて含まれる地熱蒸気の凝縮液)による腐食あるいはこれ等が主因での亀裂や割れの発生などから、動翼の装着用にロータシャフトに形成された翼溝やこの翼溝と嵌り合う動翼の翼脚の部位を保護するために、翼溝や翼脚の部位を耐熱,耐食性の合成樹脂材(ふっ素ゴム樹脂,シリコーン樹脂など)の塗布膜で覆っている(例えば、特許文献1参照。)。また、腐食性液に対するロータシャフトの全面防食を行うために、ロータシャフト全面をブラスト処理した上でふっ素樹脂の焼成成形皮膜などで覆っている(例えば、特許文献2参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−77008号公報(第2,3頁、第1,2図)
【特許文献2】
特開平8−128302号公報(第2頁、第1,2図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来技術による地熱蒸気の腐食性液に対する地熱蒸気タービンロータの翼脚および翼溝の防食構成では、これ等の部位を腐食性液の腐食から保護する防食皮膜にふっ素系樹脂材やシリコーン樹脂材などの合成樹脂材が用いられているので、合成樹脂材が持つ優れた耐食性,電気絶縁性などにより腐食性液に含まれる塩素などの腐食生成成分から翼脚,翼溝の部位を保護することができている。しかしながら発明者らが調査したところでは、従来の前記防食皮膜では地熱蒸気の腐食性液に含まれる硫化水素が徐々にではあるが防食皮膜を貫通し、翼脚,翼溝の表面部に到達してしまうことが確認された。この硫化水素は、翼脚,翼溝に用いられている金属材と化学反応して水素を発生させる。
【0005】
地熱蒸気タービンロータでは、動翼には13%クロム鋼系の鋼材が,また,ロータシャフトには1%クロム鋼系の鋼材が一般に用いられているが、化学反応により発生した前記水素はこれ等金属材に入り込みその結晶格子を歪ませるなどにより、金属材に水素脆性を発生させ、応力腐食割れの発生や疲労強度の低下などによる長期耐久性の低下をもたらす。そうして、13%クロム鋼系の鋼材は1%クロム鋼系などの鋼材と比較して水素脆性に弱い材料であるので、水素脆性への対策が特に望まれている。この発明は、前述の従来技術の問題点に鑑みなされ、その目的は、水素脆性による長期耐久性の低下の問題の解消を図れる地熱蒸気タービンロータを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明では前述の目的は、
1)動翼を嵌め込む翼溝の複数が外周部に形成されたロータシャフトと、前記翼溝と嵌り合う翼脚を基部に有する動翼の複数とを備えた地熱蒸気タービンロータにおいて、前記翼脚および前記翼溝は、地熱蒸気から生成された腐食性液に含まれる腐食性成分に耐性を持つと共にこの腐食性成分に含まれる硫化水素の貫通を防止できる材料が用いられた内側防食層と、ゴム弾性を有すると共に前記腐食性成分に耐性を持つ合成樹脂材が用いられて前記内側防食層を外力から保護する外側防食層とを有する防食層で覆われ、前記内側防食層および/または前記外側防食層に用いられる前記材料は単独または両者を総合することで硫化水素を除く前記腐食成分の貫通も防止できる材料であること、または、2)前記1項に記載の手段において、前記内側防食層はその材料に鱗片状の二硫化モリブデン粉末と前記腐食性成分に耐性を持つ結合剤との混合材が用いられると共に、前記二硫化モリブデン粉末の層が前記腐食性成分の進入方向に対してほぼ直交する関係で配置されること、または、3)前記1項に記載の手段において、前記外側防食層にはふっ素ゴム樹脂材が用いられること、または、4)前記2項または3項に記載の手段において、前記内側防食層の層厚は20μm程度を越え、前記外側防食層の層厚は50μm程度を越えること、さらにまたは、5)前記1項から4項までのいずれかに記載の手段において、前記防食層の外面側にシリコーン樹脂系のグリスを用いた潤滑剤層が配置されることにより達成される。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下この発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。図1はこの発明の実施の形態の一例による地熱蒸気タービンロータの要部を示す一部破断した概略構成図であり、図2は図1におけるP部の詳細図であり、図3は図2におけるR部の模式化して示した断面図である。図1〜図3において、1は、外周部に複数の翼溝3が形成されたロータシャフト2と、翼溝3と嵌り合うクリスマスツリー形の翼脚6をそれぞれの基部に有する複数の動翼5とを備えたこの発明による地熱蒸気タービンロータである。この事例の場合には、ロータシャフト2には1%クロム鋼系の鋼材が用いられ、動翼5には13%クロム鋼系の鋼材が用いられている。
【0008】
翼溝3および翼脚6の表面側は、地熱蒸気(図示せず)から生成された腐食性液(図示せず)に含まれる塩素・硫化水素などの腐食性成分から翼溝3と翼脚6の部位をそれぞれに保護する防食層4および7で覆われている。それぞれの防食層4,7はこの発明による特徴により、内側防食層41,71と腐食性液の腐食性成分の進入経路に関して内側防食層の手前側に配置された外側防食層42,72とを有している。内側防食層41,71には、薄い(例えば、1μm程度)鱗片状の二硫化モリブデン粉末と,前記腐食性成分に耐性を持つ結合剤(エポキシ樹脂など)との混合材〔例えば、モリコート乾性被膜潤滑剤3400A、ダウ コーニング アジア (株)商品名〕が用いられている。この混合材を必要により濃度調整などを行ったうえで、はけ塗り法など適宜の方法により翼溝3や翼脚6の部位に塗布し、例えば大気中で常温硬化させて、20μm〜50μm程度の膜厚の内側防食層41,71を形成する。
【0009】
この塗布工程の際、薄い膜厚の塗布膜に分けて何回も塗り重ねるようにすることで、薄い鱗片状の二硫化モリブデン粉末が、翼溝3や翼脚6の部位(以降、塗布対象物と呼ぶ場合がある)の表面に沿って層状に積層されるようにしている。塗布膜の膜厚が薄い場合には、鱗片状の二硫化モリブデン粉末は、液状の結合剤の表面張力などにより、鱗片状粉末の面が塗布対象物や既に塗布対象物に付着済みの前記混合材の表面に付着されるので、鱗片状の二硫化モリブデン粉末は容易に層状に積層される。このように形成された内側防食層41,71では、鱗片状の二硫化モリブデン粉末の層は腐食性成分の進入方向に対してほぼ直交する関係で配置されることになる。
【0010】
外側防食層42,72には、ゴム弾性を有すると共に腐食性液の腐食性成分に耐性を持つ合成樹脂材であるふっ素ゴム樹脂材〔例えば、常温硬化弗素ゴム(F.R.コート材)、東京硝子器械(株)商品名〕が用いられている。このふっ素ゴム樹脂材を必要により濃度調整などを行ったうえで、はけ塗り法など適宜の方法により内側防食層41,71の上側に塗布し、例えば大気中で常温硬化させて、50μm〜100μm程度の膜厚の外側防食層42,72を形成する。この外側防食層42,72に用いられる前記ふっ素ゴム樹脂材の常温硬化後の塗膜は、モジュラスが70kN/m2程度と柔軟でありゴム弾性にも富んでいる。そうして、外側防食層42,72の外面側には必要に応じて潤滑剤層8を、腐食性液の腐食性成分に化学的に安定で耐性を持つグリスであるシリコーン樹脂系のグリスを手塗り法などにより塗布することで形成する。なお、ロータシャフト2および動翼5の防食層4,7を形成する部位は、内側防食層41,71を形成する前の事前処理の一環として、特許文献2に記述されているブラスト処理やショットピーニング処理などを行うことも可能である。
【0011】
図1〜図3に示すこの発明の実施の形態の一例による地熱蒸気タービンロータ1では前述の構成としたので、前記腐食性成分は、外側防食層42,72→内側防食層41,71→ロータシャフト2,動翼5を形成する金属材、の経路でこの金属材に進入しようとするが、まず、外側防食層42,72が特許文献1に記述されているとおりに金属材の腐食性成分用の防食層としてある程度有効に機能する。しかしこの外側防食層に用いられているふっ素ゴム樹脂材などの合成樹脂材は、「発明が解決しようとする課題」の項で説明したように、徐々にではあるが硫化水素を貫通させる。内側防食層41,71に用いられている二硫化モリブデンは合成樹脂材よりも化学的に安定でしかも緻密な材料なので、腐食性成分に優れた耐性を持つと共に,硫化水素を貫通させない性質を持つ。
【0012】
また、この二硫化モリブデンは1μm程度の厚さの極めて薄い鱗片状粉末として使用されており、この鱗片状粉末は前記したところにより20μm程度の膜厚の内側防食層41,71の場合であっても、10層程度を越える多重層として積層される。このために、二硫化モリブデン粉末の外周に沿って前記結合材内を通過しようとする硫化水素の通過経路は極めて経路長の長いじぐざぐな経路になり、したがって、外側防食層42,72を貫通した硫化水素の前記金属材への到達は、内側防食層41,71により確実に阻止できる。こうした理由により、地熱蒸気タービンロータ1では、金属材に13%クロム鋼系の鋼材が用いられていたとしても、水素脆性の発生を実質的に解消できる。鱗片状の二硫化モリブデン粉末を用いた防食層の場合、前記したところにより、この防食層だけで硫化水素を含む腐食性液の腐食性成分からロータシャフトや動翼を構成している金属材を保護することができる。
【0013】
しかしながら鱗片状粉末がその鱗片状の面に平行な面に沿って劈開し易い性質を持つので、鱗片状の二硫化モリブデン粉末を用いた防食層では、動翼をロータシャフトに嵌め込む作業の際の防食層に加わる局部的衝撃力や,タービンロータ運転時に発生が予想されるロータシャフトの振動により防食層に働く衝撃力などによって、鱗片状粉末が損傷を受けないように備える必要がある。このためにこの発明の場合に備えられたのが外側防食層42,72であり、ふっ素ゴム樹脂材のようなゴム弾性に富む材料を用いることで、内側防食層41,71に加わろうとする衝撃力や応力を緩和し、内側防食層41,71の鱗片状の二硫化モリブデン粉末を機械的外力から保護する。なお、内側防食層41,71の層厚が20μm程度を下回ると、鱗片状の二硫化モリブデン粉末層による硫化水素の進入の阻止能力が低下してくるので、内側防食層41,71の層厚は20μm程度以上であることが好ましい。
【0014】
また、外側防食層42,72の層厚が50μm程度を下回るとピンホールの生成が見られるようになることなどから、外側防食層42,72の層厚は50μm程度以上であることが好ましい。ところで蒸気タービンロータに全般的に言えることであるが、翼脚6が翼溝3に嵌り合うことで互いに対向し合うことになる面の相互間隔、すなわち、翼脚6と翼溝3との間隙(片側間隙)の値は、動翼5をロータシャフト2に強固に装着するための必要から、0.1〜0.15mm程度以内に設定されることが一般である。したがって、防食層4と防食層7との合計層厚は、この片側間隙値を限度とする制約を受ける。内側防食層41,71の厚い側の層厚の寸法を50μm程度とし、外側防食層42,72の厚い側の層厚の寸法を100μm程度としている理由はここに有る。すなわち、防食層4および7は、翼脚6,翼溝3の間隙が0.1〜0.15mm程度以内であるとする制約条件に適合できている。
【0015】
そうして地熱蒸気タービンロータ1の場合には、翼脚6と翼溝3との間隙のほとんどが防食層4と防食層7とで占められてしまうことから、外側防食層42,72の外面側には必要に応じて潤滑剤層8を形成して、翼脚6を翼溝3に嵌め込む作業を容易にしている。発明者らは前記したこの発明による防食層4,7の地熱蒸気の腐食性液に対する防食効果を従来例の防食層と比較評価するために、丸棒状のテスト用のサンプルを作成し、水素脆性が主因で発生する応力腐食割れについての評価実験を実施した。サンプルに用いた金属材は水素脆性に比較的に弱い13%クロム鋼系の鋼材である。比較対象である従来例の防食層を持つサンプルの防食層は、ふっ素ゴム樹脂材を用いた約100μm厚さのもの(特許文献1で実施例の一つとして記載されている構造のもの)である。この発明による構成の防食層を持つサンプルの防食層は内側防食層が約30μm厚さ,外側防食層が約70μm厚さとしている。
【0016】
【表1】
その実験結果を表1に示す。表1の試験応力はテスト用のサンプルに加えた引張応力値であり、1.96,3.92および5.88MN/m2の3種類を設定した。また各サンプルは、地熱蒸気の凝縮液とほぼ同等の成分比率の腐食性成分を、実際の地熱蒸気の凝縮液の場合よりも濃厚になるように調整して蒸留水と混合して作成した試験液に浸漬し、前記試験応力を1000時間連続して加え続けた。表1には1000時間の連続応力印加でも破断しなかったサンプルは未破断と記載し、1000時間未満で破断したサンプルは、破断までに要した時間を記載した上で破断と記載してある。表1を視察することで、この発明による構成の防食層は、5.88MN/m2の試験応力値で従来例よりも約20倍も長い応力腐食割れ寿命が得られていることが分かる。この実験結果は、この発明の防食層4,7が従来例の防食層よりも地熱蒸気の腐食性液に対する防食効果が優れており、内側防食層41,71によって硫化水素の進入を阻止できることで、金属材に水素脆性が実質的に生じないことを実証するものである。
【0017】
前述の説明では、動翼5が有する翼脚6の形状はクリスマスツリー形であるとしてきたが、これに限定されるものではなく、T字形など適宜の形状を採用できる。また前述の説明では、内側防食層41,71には薄い鱗片状の二硫化モリブデン粉末と,エポキシ樹脂との混合材が用いられるとしてきたが、これに限定されるものではなく、例えば外側防食層が硫化水素を除く腐食性成分の進入を防止できることを前提にした場合に、腐食性液の腐食性成分に耐性を持つと共にこの腐食性成分に含まれる硫化水素の貫通を防止できる材料であるならば、適宜の材料を内側防食層に採用できる。なおまた前述の説明では、外側防食層42,72には常温硬化形のふっ素ゴム樹脂材が用いられるとしてきたが、これに限定されるものではなく、例えば内側防食層が硫化水素を含む全ての腐食性成分の進入を防止できることを前提にした場合に、ゴム弾性を有すると共に腐食性液の腐食性成分に耐性を持つ合成樹脂材であるならば、適宜の材料を外側防食層に採用できる。
【0018】
【発明の効果】
この発明による地熱蒸気タービンロータでは、前記課題を解決するための手段の項で述べた構成とすることで、次記する効果を得られる。
▲1▼前記課題を解決するための手段の項の第(1)項〜第(3)項による構成とすることで、この発明の防食層4および7は翼脚6,翼溝3の間隙が0.1〜0.
15mm程度以内であるとする制約条件に適合させながら、地熱蒸気の腐食性液の硫化水素を含む腐食性成分の翼脚6,翼溝3への進入を確実に阻止する。これにより、翼脚6,翼溝3での水素脆性の発生を防止して、水素脆性が主因で発生する応力腐食割れに関する寿命を,5.88MN/m2の引張応力値において従来例の場合よりも約20倍も延長することが可能になる。また、
▲2▼前記課題を解決するための手段の項の第(4)項による構成とすることで、前記▲1▼項による効果を確実に得ることが可能になる。さらにまた、
▲3▼前記課題を解決するための手段の項の第(5)項による構成とすることで、前記▲1▼項,▲2▼項による効果を得ながら、動翼5のロータシャフト2への組み込み作業を容易にすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態の一例による地熱蒸気タービンロータの要部を示す一部破断した概略構成図
【図2】図1におけるP部の詳細図
【図3】図2におけるR部の模式化して示した断面図
【符号の説明】
1 地熱蒸気タービンロータ
2 ロータシャフト
3 翼溝
4 防食層
41 内側防食層
42 外側防食層
5 動翼
6 翼脚
7 防食層
71 内側防食層
72 外側防食層
Claims (5)
- 動翼を嵌め込む翼溝の複数が外周部に形成されたロータシャフトと、前記翼溝と嵌り合う翼脚を基部に有する動翼の複数とを備えた地熱蒸気タービンロータにおいて、
前記翼脚および翼溝は、地熱蒸気から生成された腐食性液に含まれる腐食性成分に耐性を持つと共にこの腐食性成分に含まれる硫化水素の貫通を防止できる材料が用いられた内側防食層と、ゴム弾性を有すると共に前記腐食性成分に耐性を持つ合成樹脂材が用いられて前記内側防食層を外力から保護する外側防食層とを有する防食層で覆われ、前記内側防食層および/または前記外側防食層に用いられる前記材料は単独または両者を総合することで硫化水素を除く前記腐食成分の貫通も防止できる材料であることを特徴とする地熱蒸気タービンロータ。 - 請求項1に記載の地熱蒸気タービンロータにおいて、前記内側防食層はその材料に鱗片状の二硫化モリブデン粉末と前記腐食性成分に耐性を持つ結合剤との混合材が用いられると共に、前記二硫化モリブデン粉末の層が前記腐食性成分の進入方向に対してほぼ直交する関係で配置されることを特徴とする地熱蒸気タービンロータ。
- 請求項1に記載の地熱蒸気タービンロータにおいて、前記外側防食層にはふっ素ゴム樹脂材が用いられることを特徴とする地熱蒸気タービンロータ。
- 請求項2および3に記載の地熱蒸気タービンロータにおいて、前記内側防食層の層厚は20μm程度を越え、前記外側防食層の層厚は50μm程度を越えることを特徴とする地熱蒸気タービンロータ。
- 請求項1から4までのいずれかに記載の地熱蒸気タービンロータにおいて、前記防食層の外面側にシリコーン樹脂系のグリスを用いた潤滑剤層が配置されることを特徴とする地熱蒸気タービンロータ。
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JP2002374164A JP2004204760A (ja) | 2002-12-25 | 2002-12-25 | 地熱蒸気タービンロータ |
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JP2011149323A (ja) * | 2010-01-21 | 2011-08-04 | Fuji Electric Co Ltd | 蒸気タービンロータ及び蒸気タービンロータの製造方法 |
-
2002
- 2002-12-25 JP JP2002374164A patent/JP2004204760A/ja active Pending
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