JP2004204116A - 微小うねり低減剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】2個以上のイオン性親水基を有する界面活性剤からなる精密部品用基板研磨用の微小うねり低減剤、該微小うねり低減剤、研磨材及び水を含有する精密部品用基板用研磨液組成物、該研磨液組成物を用いて精密部品用基板の微小うねりを低減する方法、並びに前記研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程を有する基板の製造方法。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、精密部品用基板研磨用の微小うねり低減剤に関する。更には、該微小うねり低減剤を用いる研磨液組成物、該研磨液組成物を用いる精密部品用基板の微小うねりを低減する方法、及び基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ハードディスクは、最小記録面積を小さくし高容量化を推進するために、磁気ヘッドの浮上量を小さくすることが求められている。かかるヘッドの浮上量を小さくするためにはハードディスク基板の研磨工程で表面粗さの低減とともに、微小うねり(表面粗さよりも波長の長い表面の凹凸であり、ここでは波長が0.5〜5mmのうねりをいう)の低減が強く求められてきている。このような微小うねりを低減した基板を製造するため、研磨材の粒径を小さくしながら段階的に研磨を行う多段研磨の検討や、研磨パッドの硬さを硬くする、研磨荷重、回転数を制御するといった機械的条件が検討されている。しかしながら、砥粒の微粒化では、加工時間を長時間必要としたり、機械的条件では目的とした微小うねりまで低減できないのが現状である。また、水溶性の鉄化合物を含有した研磨液組成物での研磨による微小うねり等が検討されている(例えば、特許文献1を参照)が、この方法でも、微小うねりを充分に低減しえるとは言い切れないのが現状である。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−204416号公報(請求項1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、基板の微小うねりを効率よく低減し得る微小うねり低減剤、該微小うねり低減剤を含有する研磨液組成物、該研磨液組成物を用いる精密部品用基板のうねり低減方法及び前記研磨液組成物を用いた基板の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明の要旨は、
〔1〕 2個以上のイオン性親水基を有する界面活性剤からなる精密部品用基板研磨用の微小うねり低減剤、
〔2〕 前記〔1〕記載の微小うねり低減剤、研磨材及び水を含有する精密部品用基板用研磨液組成物、
〔3〕 前記〔2〕記載の研磨液組成物を用いて精密部品用基板の微小うねりを低減する方法、並びに
〔4〕 前記〔2〕記載の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程を有する基板の製造方法
に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の微小うねり低減剤は、2個以上のイオン性親水基を持つ界面活性剤を有することに大きな特徴があり、かかる特徴を有する微小うねり低減剤を用いて研磨を行うことで、精密部品用基板等の被研磨基板の微小うねりを有意に低減することができ、単位面積当たりの記憶容量を増加できる基板を生産できるという顕著な効果が発現される。
【0007】
本発明中の微小うねりとは、うねり波長が0.5 〜5mm の平均うねり(Wa)を指し、そのWaは、非接触式3次元表面構造解析顕微鏡(Canon販売株式会社製、商品名「ZygoNew−View200」)によって測定される。さらに具体的には、対物レンズとしてMichelson2.5倍レンズ、ズーム比0.5として、分解能320×240で測定し、Cylinder近似処理し、0.5〜5mmで「FFT FIXED」としたバンドパスフィルターで処理して求めることができる。
【0008】
本発明の対象である精密部品用基板は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等の磁気記録媒体の基板、フォトマスク基板、光学レンズ、光学ミラー、光学プリズム、半導体基板等の研磨に適している。半導体基板としては、シリコンウェハ(ベアウェハ)、埋め込み素子分離膜、層間絶縁膜、埋め込み金属配線、埋め込みキャパシタ等を含む基板を挙げることができる。
【0009】
精密部品用基板の材質は、例えば、シリコン、アルミニウム、ニッケル、タングステン、銅、タンタル、チタン等の金属又は半金属、及びこれらの金属を主成分とした合金、ガラス、ガラス状カーボン、アモルファスカーボン等のガラス状物質、アルミナ、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、窒化タンタル、窒化チタン等のセラミック材料、ポリイミド樹脂等の樹脂等が挙げられる。これらの中では、アルミニウム、ニッケル、タングステン、銅等の金属及びこれらの金属を主成分とする合金が被研磨物であるか、又はそれらの金属を含んだ半導体素子等の半導体基板が被研磨物であることが好ましい。更には磁気ディスク基板等の表面が金属である精密部品用基板が好適に用いられ、さらにその表面がNi−P合金層である基板、たとえばNi−Pメッキされたアルミニウム合金やガラス等の基板が好ましく、ハードディスク基板であるものが特に好ましい。特に本発明の微小うねり低減剤は、Ni-Pメッキされた基板の研磨でのアルミナ粒子を用いた研磨において好適に用いられる。
【0010】
これらの被研磨物の形状には特に制限がなく、例えば、ディスク状、プレート状、スラブ状、プリズム状等の平面部を有する形状や、レンズ等の曲面部を有する形状が本発明の研磨液組成物を用いた研磨の対象となる。その中でも、ディスク状の被研磨物の研磨に特に優れている。
【0011】
本発明での界面活性剤は研磨材や研磨クズ等の分散質の界面に作用し、分散質の分散媒への分散性を向上させる作用を有する。なお、本発明の2個以上のイオン性親水基を有する界面活性剤の微小うねりの低減作用機構については、詳細なことは不明であるが以下のことが推定される。即ち、本発明の2個以上のイオン性親水基を有する界面活性剤は分散性、逆に言えば研磨クズ、研磨材の凝集抑制力が特に強く、凝集粒子による精密部品用基板表面の凹部での研磨が著しく少なくなり、結果として凸部の選択的研磨の促進がより大きくなり、基板の微小うねりの低減ができるものと推定している。特に、Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板表面においては、ノジュールとよばれるメッキ工程で発生する突起や、Ni−Pメッキ前のアルミニウム合金基板がもつスクラッチ等に起因する凹みを除去する能力に優れ、微小うねりを低減する効果が高いことから、この微小うねり低減剤は、ノジュール低減剤としての機能も有する。
【0012】
微小うねり低減剤として使用する界面活性剤のイオン性親水基の数は、微小うねり低減の観点から2以上、好ましくは10以上であり、3000以下が好ましい。イオン性親水基の数は、好ましくは10〜2000、更に好ましくは20〜1500、特に好ましくは20〜1000である。
【0013】
イオン性親水基の種類としては、カルボン酸基、スルフォン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基、ホスホン酸基等に代表されるアニオン性基、4級アンモニウム塩に代表されるカチオン性基が挙げられる。これらの中で、さらに微小うねり低減の観点から、好ましくは親水基としてアニオン性基を持つものが好ましく、更に好ましくはカルボン酸基を持つ物が好ましい。
【0014】
界面活性剤の分子量としては、うねり低減の観点から、300 以上が好ましく、より好ましくは300 〜100 万、さらに好ましくは500 〜50万、特に好ましくは1000〜10万、最も好ましくは1000〜5万である。尚、分子量とは、界面活性剤が高分子化合物、や重合物である場合は、ゲル浸透クロマトグラフィーでのポリスチレンスルフォン酸換算の重量平均分子量をいう。
【0015】
本発明に用いられる界面活性剤としては、具体的に以下のような界面活性剤を挙げることができる。尚、かぎ括弧で表した名称は、いずれも商品名を示す。
【0016】
親水基がアニオン性基である界面活性剤の例としては、炭素数14〜30のアルケニルコハク酸カリウム、スピクリスポール酸に代表されるアルキル多価カルボン酸又はその塩、「UC3120」(東亜合成化学(株)製)、「ポイズ521」(花王(株)製)、「アロンA6016 」(東亜合成化学(株)製)、「FC-900」(日本触媒化学(株)製)に代表される(メタ)アクリル酸重合体、その共重合体及びその塩、「デモールST」(花王(株)製)、「デモールEP」(花王(株)製)等に代表されるマレイン酸重合体、その共重合体及びその塩、酢酸ビニルとイタコン酸との共重合体、アクリル酸とイタコン酸との共重合体等に代表されるイタコン酸重合体、その共重合体及びその塩、「デモールN」(花王(株)製)、「デモールAS」(花王(株)製)等に代表されるポリナフタレンスルフォン酸とその塩、「メルフロー」(三井化学(株))に代表されるポリメラミンスルフォン酸、スルフォン化スチレン重合体、その共重合物及びその塩、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースに代表される多糖類及びその誘導体とその塩、「KL318 」(クラレ(株)製)、「SS2217」(クラレ(株)製)等に代表されるアニオン性親水基単量体変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。親水基がカチオン性基である界面活性剤の例としては、「マーコート100 」(マツモト交商(株)製)、「マーコート550」(マツモト交商(株)製)、「マーコート280 」(マツモト交商(株)製)に代表される4級アンモニウム単量体の重合体、その共重合体及びその塩、(トリメチルアンモニウムクロライド)エチル(メタ)アクリル酸エステル類の重合体、その共重合体及びその塩、「C-506 」(クラレ(株)製)、「CM-308」(クラレ(株)製)に代表されるカチオン性親水基単量体変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。
【0017】
これらのなかで、好ましくは、アルキル多価カルボン酸や(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等のカルボン酸単量体の重合体、カルボン酸単量体と共重合可能な単量体との共重合体及びその塩であり、更に好ましくは、アルケニルコハク酸、マレイン酸共重合体、イタコン酸共重合体等のようなα、β―ジカルボン酸ユニットを持つ化合物の重合物、該化合物と共重合可能な化合物との共重合体及びその塩であり、最も好ましくはマレイン酸重合体、その共重合体及びその塩である。これらの中で、好ましくは、アルキル多価カルボン酸や(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等のカルボン酸単量体の重合体及びその共重合体とその塩であり、さらに好ましくは、アルケニルコハク酸やマレイン酸共重合体、イタコン酸共重合体のようなα、β−ジカルボン酸ユニットを持つ化合物であり、最も好ましくはマレイン酸重合体及び共重合体とその塩である。以上の好ましい化合物の内、共重合体の場合に用いられる単量体の種類としては、特に限定はないが、具体例としては、オレフィン系炭化水素類、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸アミド類、ポリアルキレンオキサイドアルキレンエーテル類、アルキル酸ビニルエステル類等が挙げられる。
【0018】
また、これらのアニオン性基を有する界面活性剤の塩を用いる場合の対イオンとしては、特に限定はなく、具体的には、金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム、有機アミン等との塩が挙げられる。金属の具体例としては、周期律表(長周期型)1A、1B、2A、2B、3A、3B、4A、6A、7A又は8族に属する金属が挙げられる。これらの金属の中でも、うねり低減の観点から1A、3B、又は8族に属する金属が好ましく、1A族に属するナトリウム及びカリウムが最も好ましい。
【0019】
アルキルアンモニウムの具体例としては、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等が挙げられる。
【0020】
有機アミン等の具体例としては、ジメチルアミン、トリメチルアミン、アルカノールアミン等が挙げられる。
【0021】
これらの塩の中では、アンモニウム塩、ナトリウム塩及びカリウム塩が特に好ましい。
【0022】
本発明の研磨液組成物は、前記微小うねり低減剤、研磨材及び水を含有してなるものである。
【0023】
本発明の研磨液組成物中の微小うねり低減剤の含有量は、微小うねり低減の観点から、0.0001重量%以上が好ましく、また、発泡の観点から、5 重量%以下が好ましい。より好ましくは0.0005〜3 重量%、さらに好ましくは0.001 〜1.5 重量%、もっとも好ましくは0.005 〜0.5 重量%である。なお、界面活性剤は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0024】
本発明に用いられる研磨材は、研磨用に一般に使用されている研磨材を使用することができる。該研磨材の例としては、金属;金属又は半金属の炭化物、窒化物、酸化物、ホウ化物;ダイヤモンド等が挙げられる。金属又は半金属元素は、周期律表(長周期型)の2A、2B、3A、3B、4A、4B、5A、6A、7A又は8族由来のものである。研磨材の具体例として、α−アルミナ粒子、中間アルミナ粒子、炭化ケイ素粒子、ダイヤモンド粒子、酸化マグネシウム粒子、酸化亜鉛粒子、酸化セリウム粒子、酸化ジルコニウム粒子、コロイダルシリカ粒子、ヒュームドシリカ粒子等が挙げられ、これらを1種以上使用することは、研磨速度を向上させる観点から好ましい。また、研磨特性の必要性に応じてこれらを2種以上混合して使用しても良い。研磨材用途別ではNi-Pメッキされた基板の研磨はアルミナ粒子やシリカ粒子が速度向上、表面欠陥防止の観点から好ましい。特にアルミナ粒子の場合、微小うねり低減、表面粗さ低減、速度向上、表面欠陥防止の観点からアルミナとしての純度が95%以上のアルミナが好ましく、より好ましくは結晶型としてα−アルミナ粒子、γ−アルミナ粒子、δ−アルミナ粒子、θ―アルミナ粒子、η−アルミナ粒子及びκ−アルミナ粒子であり、更にはα−アルミナ粒子、γ−アルミナ粒子、δ−アルミナ粒子及びθ―アルミナ粒子が好ましく、特に好ましくはα−アルミナ粒子、θ−アルミナ粒子であり、α−アルミナ粒子とθ−アルミナ粒子とを組み合わせることが最も好ましい。また、ガラス材質の研磨には酸化セリウム粒子及びアルミナ粒子が好ましい。半導体ウェハや半導体素子等の研磨では酸化セリウム粒子、アルミナ粒子及びシリカ粒子が好ましい。
【0025】
研磨材の一次粒子の平均粒径は、微小うねり低減の観点から、好ましくは0.001 〜3 μm であり、一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合は、同様に微小うねり低減の観点から、その二次粒子の平均粒径は、好ましくは0.01〜3 μm である。特に研磨材がアルミナ粒子である場合、一次粒子の平均粒径は0.005 〜0.8 μm がより好ましく、特に好ましくは0.01〜0. 5μm であり、二次粒子の平均粒径は0.05〜2 μm がより好ましく、さらに好ましくは0.1 〜1.5 μm 、特に好ましくは0.1 〜0.5 μm である。また、研磨材がシリカ粒子の場合、一次粒子の平均粒径は0.01〜0.2 μm がより好ましく、特に好ましくは0.02〜0.1 μm であり、二次粒子の平均粒径は0.03〜2 μm がより好ましく、特に好ましくは0.1 〜1.2 μm である。研磨材の一次粒子の平均粒径は、走査型電子顕微鏡で観察(好適には3000〜30000 倍)又は透過型電子顕微鏡で観察(好適には10000 〜300000倍)して画像解析を行い、粒径を測定することにより求めることができる。また、二次粒子の平均粒径はレーザー光回折法を用いて体積平均粒径として測定することができる。
【0026】
研磨材の比重は、分散性及び研磨装置への供給性や回収再利用性の観点から、その比重は2〜6であることが好ましく、2〜5であることがより好ましい。
【0027】
研磨材の含有量は、微小うねり低減及び経済性の観点から、研磨液組成物中において好ましくは1 〜40重量%、より好ましくは2 〜30重量%、さらに好ましくは3 〜25重量%である。
【0028】
本発明の研磨液組成物中の水は、媒体として使用されるものであり、その含有量は被研磨物を効率良く研磨する観点から、好ましくは55〜98.5重量%、より好ましくは60〜97重量%、さらに好ましくは70〜95重量%である。
【0029】
また、本発明の研磨液組成物には、目的に応じて他の成分を配合することができる。その剤としては、有機酸及びその塩、無機酸及びその塩、酸化剤、増粘剤、防錆剤、塩基性物質等が挙げられる。特に効果的に微小うねりを低減するためには有機酸及びその塩の併用が好ましい。有機酸及びその塩の具体例としては蟻酸、酢酸、オクタン酸、グリコール酸、グリシン等に代表されるモノカルボン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、シトラコン酸、イタコン酸、リンゴ酸、酒石酸等に代表される2価カルボン酸、クエン酸、トリカルバル酸、ニトロトリ酢酸、エチレンジアミンテトラ酢酸、多価カルボン酸等が挙げられる。微小うねりの観点から、イタコン酸、マレイン酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸及びクエン酸がより好ましく、更に好ましくはイタコン酸、コハク酸、リンゴ酸及びクエン酸である。これらの有機酸成分は単独で用いても良いし、2種類以上混合して用いても良い。無機酸及びその塩、並びに酸化剤の具体例としては、特開昭62-25187号公報2 頁右上欄3 〜11行目、特開昭63-251163 号公報2頁左下欄7行〜14行、特開平1-205973号公報3 頁左上欄11行〜右上欄2 行、特開平3-115383号公報2 頁右下欄16行〜3 頁左上欄11行、特開平4-275387号公報2 頁右欄27行〜3 頁左欄12行等に記載されているものが挙げられる。それぞれの機能を発現させる観点から、これらの成分は単独で用いても良いし、2種類以上混合して用いても良い。また、その含有量は、それぞれの機能を発現させる観点及び経済性の観点から、好ましくは研磨液組成物中0.05〜20重量%、より好ましくは0.05〜15重量%、さらに好ましくは0.05〜10重量%である。
【0030】
さらに、他の成分として必要に応じて殺菌剤や抗菌剤等を配合することができる。これらの殺菌剤及び抗菌剤の含有量は、殺菌作用及び抗菌作用を発揮する観点、研磨性能への影響、経済面の観点から、研磨液組成物中0.0001〜0.1 重量% が好ましく、より好ましくは0.001 〜0.05重量%、さらに好ましくは0.002 〜0.02重量%である。
【0031】
尚、本発明の基板製造法に使用する研磨液組成物の各成分濃度は、研磨する際の好ましい濃度であるが、該組成物の製造時の濃度であって良い。通常、組成物は濃縮液として組成物は製造され、これを使用時に希釈して用いる場合が多い。
【0032】
研磨液組成物は、前記微小うねり低減剤、研磨材、水及びその他の成分を任意の方法で添加、混合して製造することができる。
【0033】
研磨液組成物のpHは、被研磨物の種類や要求品質等に応じて適宜決定することが好ましい。例えば、研磨液組成物のpHは、被研磨物の洗浄性及び加工機械の腐食防止性、作業者の安全性の観点から、2 〜12が好ましい。また、被研磨物がNi-Pメッキされたアルミニウム合金基板等の金属を主対象とした精密部品基板である場合、研磨速度向上と表面品質の向上の観点からpHは2〜10が好ましく、2〜9がより好ましく、さらに2〜7が好ましく、特に2〜5が好ましい。さらに、半導体ウェハや半導体素子等の研磨、特にシリコン基板、ポリシリコン膜、SiO2膜等の研磨に用いる場合は、研磨速度の向上と表面品質の向上の観点から、7 〜12が好ましく、8 〜11がより好ましく、9 〜11が特に好ましい。該pHは、必要により、硝酸、硫酸等の無機酸、オキシカルボン酸、多価カルボン酸やアミノポリカルボン酸、アミノ酸等の有機酸、及びその金属塩やアンモニウム塩、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アミン等の塩基性物質を適宜、所望量で配合することで調整することができる。
【0034】
本発明の基板の製造方法は、前記研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程を有している。
【0035】
なお、被研磨基板に代表される被研磨物の材質としては、精密部品用基板に通常使用されるものであれば特に限定はなく、例えば、前記のものであればよい。
【0036】
研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する方法としては、通常公知の方法であればよい。例えば、多孔質の有機高分子系の研磨布等の研磨パッド等を貼り付けた研磨盤で基板を挟み込み、本発明の研磨液組成物を研磨面に供給し、圧力を加えながら研磨盤や基板を動かすことにより、微小うねりを低減した基板を製造することができる。したがって、本発明は、研磨液組成物を用いる微小うねりの低減方法にも関する。
【0037】
また、本発明の製造方法としては、研磨パッドを使用するポリッシング工程において特に効果があるが、これを使用しないラッピング工程等にも同様に適用することができる。
【0038】
【実施例】
実施例1〜7、比較例1〜2
[研磨液配合方法]
・配合方法1
研磨材(一次粒子の平均粒径0.23μm 、二次粒子の平均粒径0.45μm のα−アルミナ(アルミナ純度99.9%))16重量部、中間アルミナ(θ−アルミナ、平均粒径0.2μm 、比表面積150m2/g 、アルミナ純度99.9% )を4重量部、イタコン酸0.5重量部、クエン酸3重量部、表1に示す微小うねり低減剤を所定量、残分をイオン交換水として攪拌混合して研磨液組成物100重量部を得た。研磨時にはこの研磨液組成物を4倍量のイオン交換水にて希釈(vol/vol) して使用した。
【0039】
・配合方法2
研磨材(一次粒子の平均粒径0.1 μm 、二次粒子の平均粒径0.2 μm のα−アルミナ(アルミナ純度99.9%))16重量部、中間アルミナ(θ−アルミナ、平均粒径0.2μm 、比表面積150m2/g 、アルミナ純度99.9% )を4重量部、イタコン酸0.5重量部、クエン酸3重量部、表2に示す微小うねり低減剤を所定量、残分をイオン交換水として攪拌混合して研磨液組成物100重量部を得た。研磨時にはこの研磨液組成物を4倍量のイオン交換水にて希釈(vol/vol) して使用した。
【0040】
[研磨方法]
ランク・テーラーホブソン社製のタリーステップ(触針先端サイズ:25μm ×25μm 、ハイパスフィルター:80μm 、測定長さ:0.64mm)によって測定した中心線平均粗さRaが0.2 μm 、微小うねり3.5nm 、厚さ1.27 mm 、直径3.5 インチのNi-Pメッキされたアルミニウム合金からなる基板の表面を両面加工機により、1段目研磨の設定条件で片面の研磨量が1.5 〜2 μm になるように調整し、上記のようにして調製した研磨液組成物を用いて研磨して磁気記録媒体用基板として用いられるNi-Pメッキされたアルミニウム合金基板を得た。
【0041】
両面加工機の設定条件を下記に示す。
<両面加工機の設定条件>
両面加工機:スピードファーム(株)製、9B型両面加工機
加工圧力:9.8kPa
研磨パッド:カネボウ(株)製「N 0048」(商品名)
定盤回転数:50rpm
研磨液組成物供給流量:100ml/min
研磨時間:5min
投入した基板の枚数:10枚
【0042】
[微小うねり測定条件]
各研磨後の基板を下記の条件で測定した。
機器 :「Zygo New-View200」(Canon販売株式会社製製)
レンズ :2.5 倍 Micheison
ズーム比 :0.5
リムーブ :Cylinder
フィルター:FFT Fixed Band Pass 0.5 〜5mm
エリア :4.33mm×5.77mm
【0043】
表1に配合方法1を用いた場合の結果を示す。比較例1の研磨後の微小うねりを基準値1とした場合の各微小うねりの値を相対値で示す。本発明の微小うねり低減剤を添加した実施例1〜6では顕著に微小うねりが低減されていることがわかる。
【0044】
【表1】
【0045】
また、表2に配合方法2を用いた場合の結果を示す。比較例2の研磨後の微小うねりを基準値1とした場合の各微小うねりの値を相対値で示す。本発明の微小うねり低減剤を添加した実施例7では顕著に微小うねりが低減されていることがわかる。
【0046】
【表2】
【0047】
【発明の効果】
本発明の微小うねり低減剤を精密部品用基板等の研磨に用いることにより、微小うねりが低減した、単位面積あたりの記憶容量の大きな基板が製造できるという効果が奏される。
Claims (7)
- 2個以上のイオン性親水基を有する界面活性剤からなる精密部品用基板研磨用の微小うねり低減剤。
- 界面活性剤の分子量が300以上である請求項1記載の微小うねり低減剤。
- 界面活性剤のイオン性親水基がカルボン酸基である請求項1又は2記載の微小うねり低減剤。
- 界面活性剤がα、β―ジカルボン酸ユニットを持つ化合物の重合体、該化合物と共重合可能な化合物との共重合体又はそれらの塩である請求項1〜3いずれか記載の微小うねり低減剤。
- 請求項1〜4いずれか記載の微小うねり低減剤、研磨材及び水を含有する精密部品用基板用研磨液組成物。
- 請求項5記載の研磨液組成物を用いて精密部品用基板の微小うねりを低減する方法。
- 請求項5記載の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程を有する基板の製造方法。
Priority Applications (6)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002376430A JP2004204116A (ja) | 2002-12-26 | 2002-12-26 | 微小うねり低減剤 |
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