【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高強度を維持しながら半導電性を有するジルコニア焼結体に関するものであり、具体的には、半導体装置、磁気ヘッド、電子部品等の製造工程で使用する治工具や、テープガイド、画像形成装置に用いられる分離爪などの静電気除去作用を必要とする用途に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、構造部品材料として使用されているアルミナ、ジルコニア、窒化珪素、炭化珪素等を主成分とするセラミック焼結体は、高強度でかつ高硬度を有するとともに、耐熱性や耐食性に優れることから、様々な分野で使用されているが、特に優れた機械的強度や摺動特性が要求されるような用途ではジルコニア焼結体が用いられている。
【0003】
ところで、ジルコニア焼結体は高絶縁材料であるため、半導体製造装置等で使用される搬送アームやウェハ把持用ピンセット、あるいはプリンタなどの画像形成装置において使用される分離爪、さらには磁気テープなどのテープ状体を搬送、案内するのに用いられるテープガイド、電子部品のテーピング包装装置の駆動キャリヤなど、静電気の除去作用が必要とされる用途に使用するには、ジルコニア焼結体の体積固有抵抗値を「105〜1010Ω・cm」とする必要があり、その為、ジルコニア焼結体に導電性付与剤を含有させ、抵抗値を小さくすることが試みられている。
【0004】
例えば、Y2 O3 ,MgO,CaO,CeO等で安定化したZrO2 を主体とし、これに導電性付与剤としてFe,Co,Ni,Crの酸化物のうち少なくとも1種以上を含有してなり、体積固有抵抗値を「105〜109Ω・cm」とした半導電性ジルコニア焼結体が開示されている。(特許文献1参照)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記半導電性ジルコニア焼結体は、添加する導電性付与剤としてのFe,Co,Ni,Crの酸化物の影響と思われるが、黒色系の発色を有する。この焼結体を、例えば、HDD用磁気ヘッドの様な黒褐色のワークと接する加工用治具とした場合には、ワークの光学的検査においてワークと色調が同じであることから、検査精度が劣る恐れを有していた。
【0006】
本発明の目的は、例えば、ジルコニア焼結体を治具として利用した場合、黒色系のワークに適用した場合でも光学的検査の精度向上が図れるコントラストが明確になる色を有し、かつ、ジルコニア焼結体のもつ機械的特性を大きく低下させることなく、静電気を適度な速度で逃がすことが可能なジルコニア焼結体を提供することにある。
【0007】
【特許文献1】
特開平10−297968号公報
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題に鑑み、本発明のジルコニア焼結体は、安定化剤を含むZrO2 を60〜80重量%と、導電性付与剤として軽金属酸化物である、ZnOを20〜40重量%含有とを少なくとも含有し、体積固有抵抗値が105〜1010 Ω・cmであることを特徴とするジルコニア焼結体とする。
【0009】
即ち、本発明のジルコニア焼結体は、導電性付与剤として、ZnOを含有させることにより、これらの導電性付与剤がジルコニアと分散した状態でありながらZnOの粒結合を構成し、ジルコニアのもつ強度を大きく低下させることなく焼結体の体積固有抵抗値を105〜1010Ω・cmの静電気を適度な速度で逃がすことができる半導電性を持たせることができることを見出したものである。
【0010】
静電気を適度な速度で逃がすことができるため、ジルコニア焼結体と当接する物体が電気的な影響を受け易いものであっても、破壊することなく静電気を除去することができる。
【0011】
また、ジルコニア焼結体は、ZrO2とZnOの結晶粒子の分散構造であり、ZrO2結晶粒子間にZnOの結晶粒子が鎖状に繋がって、絶縁材料であるZrO2を母材としながらZnOが半導電性を呈していると思われる。
【0012】
また、前記ジルコニア焼結体の弾性率が、180Gpa以下とすることで、例えば、焼結体を半導体や磁気ヘッドなどの加工用治具などに利用した際に、被加工物を治具で支えるよう際、治具側が若干変形し、被加工物にならうようになるため、治具は被加工物を確実にささえることができ、加工精度を高めることができる。
また、素材の色調が、従来の重金属を利用したものでは、黒色系に対し、黄白色系であるため、HDD用磁気ヘッドの様な黒褐色のワークと接する加工用治具では、ワークの光学的検査において色調のコントラストが明確になることから、検査精度を向上させることができる。
【0013】
また、少なくとも安定化剤を含むZrO2を60〜80重量%と、導電性付与剤として、ZnOを20〜40重量%とを有する原料を用いて成形する工程と、成形後の成形体を酸化雰囲気で1300〜1400℃で焼成することを特徴とするジルコニア焼結体の製造方法とする。
【0014】
本発明によれば、ZnOを添加物として利用し、また、酸化焼成を行うことで、静電気適度な速度で逃がすことができる積固有抵抗値105〜1010Ω・cmの適正範囲に調整でき、且つ、ジルコニア焼結体の色調が黄白色であるため、例えば、治具としては、製造工程で製品との区別が容易である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に説明する。
【0016】
主体をなすZrO2は、Y2O3MgO、CaO、CeO等の安定化剤で部分安定化したものとし、微量のAl2O3を焼結助剤として使用する。
【0017】
具体的には、安定化剤としてY2O3を用いる時には、ZrO2 に対して2〜5mol%の範囲で添加するが、この範囲で安定化剤を添加すれば、結晶状態として全ジルコニア量に対する正方晶のジルコニア量を90%以上とすることができるため、導電性付与剤を含有したことによる強度低下を抑え、曲げ強度450MPa以上、ビッカース硬度8GPa以上の高硬度を実現することができる。この時の安定化剤を含むZrO2としては、60〜80重量%とする。60重量%より少ないと体積固有抵抗値が104Ω・cm台となり、80重量%より多いと体積固有抵抗値が1011Ω・cm台となって、静電気除去対策の点で望ましくない。
【0018】
即ち、ジルコニアの結晶状態には立方晶、正方晶、単斜晶の3つの状態があり、特に、正方晶ジルコニアは外部応力に対し、応力誘軌変態を受けて単斜晶ジルコニアに相変態し、この時に生じる体積膨張によってジルコニアの周囲に微小なマイクロクラックを形成して外部応力の進行を阻止できるため、ジルコニア焼結体の強度を高めることができる。
【0019】
そのため、このジルコニア焼結体により半導体製造装置等で使用される薄肉の搬送アームやウェハ把持用ピンセット、あるいはプリンタなどの画像形成装置において紙をローラから分離するのに使用される分離爪、さらには磁気テープなどのテープ状体を搬送、案内するのに用いられるテープガイド、電子部品のテーピング包装装置の駆動キャリヤなどを形成すれば、短期間で摩耗したり、破損することがないため、長期間にわたって好適に使用することができる。
【0020】
次に、導電性付与剤であるZnOの含有量としては、20〜40重量%、好ましくは25〜30重量%とすることで、静電気除去の必要な体積固有抵抗値範囲を有するジルコニア焼結体を提供できる。
【0021】
上記導電性付与剤の含有量が20重量%未満となると、抵抗値を下げる効果が小さく、逆に、40重量%より多くなると、抵抗値が「105Ω・cm未満」となり、静電気が一気に逃げ易くなるために、大気摩擦による超高電圧の放電が発生する恐れがあるとともに、焼結体の機械的特性(曲げ強度、硬度など)が大きく低下するため、ジルコニア本来の機械的特性を発揮できなくなる。また、原料粉末中や製造工程中において、Al2O3,MnO,SiO2,Na,Fe等が不純物として混入する恐れがあるが、これらは6.0重量%以下の範囲であれば含有していても良い。
【0022】
一方、このような半導電性ジルコニア焼結体を製造するには、平均粒子径が0.3〜1.5μmのZrO2粉末と安定化剤としてのY2O3の粉末、及び導電性付与剤として平均粒径が0.2〜1.5μmのZnO を用いて調合し、これらを湿式で混合を行い化成品バインダーを添加の後、スプレードライヤー等で乾燥造粒して顆粒を製作する。
【0023】
そして、乾式による原料粉末や湿式による顆粒を型内に充填し、メカプレス成形法やラバープレス成形法等の公知の成形手段により所定の形状に成形するか、あるいは湿式による泥漿を押出成形法や射出成形法、テープ成形法等の公知の成形手段により所定の形状に成形したのち、酸化雰囲気中にて最高温度域で2〜4時間程度焼成する。この時、焼成温度が1300℃未満であると完全に焼結させることができず、1400℃より高くなるとZrO2とZnOとが分離するシンターオーバーとなるために、静電気除去作用を必要とする固有体積抵抗率「105〜1010Ω・cm」にすることができない。
そのため、1300〜1400℃の温度で焼成することが重要である。
【0024】
このような条件にて製作すれば、全ジルコニア量に対する正方晶のジルコニア量が90%以上であり、曲げ強度450MPa以上、ビッカース(Hv)硬度8GPa以上を有するとともに、常温にて、湿度10〜70%の範囲における湿度変化の影響も極めて少なく「105〜1010Ω・cm」の体積固有抵抗値を有するジルコニア焼結体を得ることができる。また、ジルコニア焼結体の機械的特徴でもある低弾性(通常、弾性率200GP程度)に比較しても、本発明のジルコニア焼結体の弾性率は、180Gpa以下となり、ステンレス材に近似する弾性の素材特性を有しているため、低弾性機構を有するセラミック商品にも活用できる。
【0025】
次に、焼結体の製造方法について説明する。
平均粒子径0.4〜0.8μmのZrO2粉末に対し、Y2O3 末を2〜5mol%添加するとともに、導電性付与剤として、平均粒子径0.4〜1.0 μmのZnO粉末を25〜30重量%添加し、さらにバインダーと溶媒を加えて混練乾燥することにより顆粒を製作した。そして、この顆粒を金型中に充填してメカプレス成形法により1.0ton/cm2 のプレス圧にて所定の形状に成形し、しかるのち、1350℃の大気雰囲気中にて2時間程度焼成を行うことでジルコニア焼結体を得た。
【0026】
得られたジルコニア焼結体を走査型電子顕微鏡で観察した結果を模式的に図1に示す。図1に示すようにZrO2とZnOの結晶粒子が分散され、ZrO2の結晶粒子間にZnOの結晶粒子が鎖状に繋がった構造を取っていることで半導電性を呈していると思われる。
【0027】
そして、このジルコニア焼結体をX線回折により単斜晶ジルコニアのX線回折強度と正方晶ジルコニア及び立方晶ジルコニアのX線回折強度をそれぞれ測定し、全ジルコニア量に対する単斜晶以外のジルコニア量を算出したところ99%が正方晶のジルコニアであった。
【0028】
また、上記ジルコニア焼結体を曲げ強度測定片「3mm×4mm×40mm」、弾性率測定片「1mm×4mm×40mm」の角柱状に切削したあと、表面を中心線平均粗さ0.2a以下に研削して試料を作製し、この試料をJIS R1601に基づく3点曲げ試験により曲げ強度と、JIS R1602に基づく静的弾性率を測定したところ、曲げ強度598MPa、弾性率166GPaを有していた。 なお、弾性率は、以下の計算式にて求めた。
W:最大荷重[dyn] L:支持ロール中心間距離[cm]
h:試験片の幅[cm] δ:たわみ量[cm] b:試験片の厚さ[cm]
E:弾性率[dyn/cm2]
E = W×(L)3/4×δ×W×(b)3
なお、通常のY2O3が3モル%含有したジルコニア焼結体では、この弾性率は、200〜210Gpa程度である。
【0029】
また、上記と同じ原料にて別の試料を用意し、ビッカース硬度(Hv)を測定したところ8GPaを有しており、さらに別の試料にて体積固有抵抗値を測定したところ、107〜108Ω・cmであった。
【0030】
そこで、静電気の除去具合を見るために、「50.8mm×50.8mm×5mm」の角状板をしたジルコニア焼結体を用意し、一方端に1000Vの電圧を印加し、他方端における電圧値が100Vとなるまでの降下時間を測定したところ、0.1〜20秒の時間を要し、大気摩擦による放電を生じることなく適度な速度で静電気を逃がすことができ良好であった。
【0031】
上記実施形態におけるジルコニア焼結体において、導電性付与剤であるZnOの含有量を変化させた時の機械的特性(曲げ強度、ビッカース硬度、弾性率)と、電気的特性(体積抵抗値)について測定した。なお、機械的特性及び電気的特性については前記実施形態と同様の方法にて測定した。
【0032】
それぞれの結果は表1に示す通りである。 尚、ZnOを添加したジルコニア焼結体は、全て黄白色系の色を呈した。
【0033】
【表1】
【0034】
この結果、ZnOの含有量が20重量%未満である試料は、ジルコニアの持つ優れた機械的特性を有していたものの、体積固有抵抗値が1011Ω・cm以上と絶縁性が高いために、静電気の除去効果が得られなかった。
【0035】
また、ZnOの含有量が40重量%より多い45重量%の試料では、機械的特性の低下が見られたものの、曲げ強度380MPa以上、ビッカース硬度(Hv)7GPa以上を有していた。しかしながら、ZnOの含有量が多すぎるために、体積固有抵抗値が104Ω・cmにまで低下した結果、静電気が一気に逃げてしまうといった問題があった。
【0036】
これに対し、ZnOの含有量が20〜40重量%の範囲にある試料は、いずれも曲げ強度450MPa以上、ビッカース硬度(Hv)8GPa以上と優れた機械的特性を有していた。
しかも、表面及び固有体積抵抗値を「105〜1010Ω・cm」とすることができるため、静電気を適度な速度で逃がすことができ、優れた静電気除去効果も有していた。
【0037】
この結果、導電性付与剤であるZnOを20〜40重量%の範囲で含有すれば、ジルコニアの持つ機械的特性を大きく低下させることなく、優れた静電気除去効果を有する半導電性ジルコニア焼結体が得られることが判る。
【0038】
【発明の効果】
以上のように、本発明の半導電性ジルコニア焼結体は、安定化剤を含むZrO2 を60〜80重量%と、導電性付与剤として、ZnOを20〜40重量%とからなり、その体積固有抵抗値を「105〜1010Ω・cm」としたことから、治具として利用した場合のワークとのコントラストが明確になる黄白色系の発色し、ジルコニアの持つ機械的特性を大きく低下させることなく、静電気を適度な速度で逃がすことができる。その為、この半導電性ジルコニア焼結体により、半導体製造装置で使用される搬送アームやウェハ把持用ピンセット、あるいはプリンタなどの画像形成装置において使用される分離爪、さらには磁気テープなどのテープ状体を搬送、案内するのに用いられるテープガイド、電子部品のテーピング包装装置の駆動キャリヤ等など、静電気による悪影響を受けることがなく、また、短期間で摩耗したり、破損することがないため、長期間にわたって好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のジルコニア焼結体を構成する結晶粒子の模式図を示す。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a zirconia sintered body having semi-conductivity while maintaining high strength, and specifically, a jig and a tool used in a manufacturing process of a semiconductor device, a magnetic head, an electronic component, and the like, and a tape guide. It is suitable for applications requiring an action of removing static electricity, such as a separation claw used in an image forming apparatus.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, ceramic sintered bodies mainly composed of alumina, zirconia, silicon nitride, silicon carbide, etc. used as structural component materials have high strength and high hardness, and are excellent in heat resistance and corrosion resistance. Although it is used in various fields, zirconia sintered bodies are used particularly in applications requiring excellent mechanical strength and sliding characteristics.
[0003]
By the way, since the zirconia sintered body is a highly insulating material, a transfer arm used in a semiconductor manufacturing apparatus or the like, a forceps for holding a wafer, a separation claw used in an image forming apparatus such as a printer, and a magnetic tape or the like. For use in applications requiring static electricity elimination, such as tape guides used to transport and guide tapes and drive carriers for taping and packaging equipment for electronic components, the volume resistivity of zirconia sintered bodies It is necessary to set the value to “10 5 to 10 10 Ω · cm”. Therefore, it has been attempted to reduce the resistance by adding a conductivity-imparting agent to the zirconia sintered body.
[0004]
For example, it is mainly composed of ZrO 2 stabilized with Y 2 O 3 , MgO, CaO, CeO or the like, and contains at least one of Fe, Co, Ni, and Cr oxides as a conductivity-imparting agent. A semiconductive zirconia sintered body having a volume resistivity value of “10 5 to 10 9 Ω · cm” is disclosed. (See Patent Document 1)
[0005]
[Problems to be solved by the invention]
The semiconductive zirconia sintered body has a black coloration though it is considered to be affected by the oxides of Fe, Co, Ni and Cr as the added conductivity imparting agent. When this sintered body is used as a processing jig which comes into contact with a black-brown work such as a magnetic head for an HDD, for example, the inspection is inferior in optical inspection of the work because the color tone is the same as that of the work. Had fear.
[0006]
An object of the present invention is, for example, when a zirconia sintered body is used as a jig, a color having a clear contrast for improving the accuracy of optical inspection even when applied to a black-based work, and a zirconia An object of the present invention is to provide a zirconia sintered body capable of releasing static electricity at an appropriate speed without significantly lowering the mechanical properties of the sintered body.
[0007]
[Patent Document 1]
JP-A-10-297968
[Means for Solving the Problems]
In view of the above problems, the zirconia sintered body of the present invention, and the ZrO 2 60-80% by weight and a stabilizing agent, a light metal oxide as a conductive agent, and containing 20 to 40 wt% of ZnO A zirconia sintered body characterized by containing at least and having a volume resistivity of 10 5 to 10 10 Ω · cm.
[0009]
That is, the zirconia sintered body of the present invention, by containing ZnO as a conductivity-imparting agent, constitutes a grain bond of ZnO while these conductivity-imparting agents are dispersed with zirconia, and has zirconia. It has been found that the volume resistivity of the sintered body can be made semiconductive so that static electricity of 10 5 to 10 10 Ω · cm can be released at an appropriate speed without significantly lowering the strength. .
[0010]
Since static electricity can be released at an appropriate speed, even if an object in contact with the zirconia sintered body is easily susceptible to electrical influence, the static electricity can be removed without breaking.
[0011]
The zirconia sintered body has a dispersed structure of ZrO 2 and ZnO crystal particles. ZnO crystal particles are connected in a chain between the ZrO 2 crystal particles, and ZnO 2 is used as a base material. Seems to exhibit semiconductivity.
[0012]
Further, when the elastic modulus of the zirconia sintered body is set to 180 Gpa or less, for example, when the sintered body is used for a processing jig such as a semiconductor or a magnetic head, the workpiece is supported by the jig. At this time, the jig side is slightly deformed and follows the workpiece, so that the jig can surely hold the workpiece and improve the processing accuracy.
Further, in the case where the color tone of the material using a conventional heavy metal is yellowish-white based on black, the processing jig such as a magnetic head for an HDD, which is in contact with a black-brown workpiece, has an optical property of the workpiece. Since the contrast of the color tone becomes clear in the inspection, the inspection accuracy can be improved.
[0013]
A step of molding using a raw material having at least 60 to 80% by weight of ZrO 2 containing at least a stabilizer and 20 to 40% by weight of ZnO as a conductivity-imparting agent; A method for producing a zirconia sintered body characterized by firing at 1300 to 1400 ° C. in an atmosphere.
[0014]
According to the present invention, by using ZnO as an additive and performing oxidizing and firing, it is possible to adjust the product specific resistance to an appropriate range of 10 5 Ω · cm to 10 10 Ω · cm at which static electricity can be released at an appropriate speed. In addition, since the color tone of the zirconia sintered body is yellowish white, for example, a jig can be easily distinguished from a product in a manufacturing process.
[0015]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, the present invention will be further described.
[0016]
ZrO 2 as the main component is partially stabilized with a stabilizer such as Y 2 O 3 MgO, CaO, CeO, etc., and a small amount of Al 2 O 3 is used as a sintering aid.
[0017]
More specifically, when Y 2 O 3 is used as a stabilizer, it is added in a range of 2 to 5 mol% based on ZrO 2 . Since the amount of tetragonal zirconia can be 90% or more, the decrease in strength due to the inclusion of the conductivity-imparting agent can be suppressed, and a high hardness of 450 MPa or more in bending strength and 8 GPa or more in Vickers hardness can be realized. At this time, the amount of ZrO 2 containing a stabilizer is set to 60 to 80% by weight. If it is less than 60% by weight, the volume resistivity is on the order of 10 4 Ω · cm, and if it is more than 80% by weight, the volume resistivity is on the order of 10 11 Ω · cm, which is not desirable in terms of measures for removing static electricity.
[0018]
That is, zirconia has three crystal states, cubic, tetragonal, and monoclinic. In particular, tetragonal zirconia undergoes stress-induced transformation to external stress and undergoes phase transformation to monoclinic zirconia. In addition, since micro-cracks are formed around the zirconia due to the volume expansion generated at this time, the progress of external stress can be prevented, so that the strength of the zirconia sintered body can be increased.
[0019]
For this reason, this zirconia sintered body has a thin transfer arm or a wafer gripping tweezer used in a semiconductor manufacturing apparatus or the like, or a separation claw used to separate paper from a roller in an image forming apparatus such as a printer, By forming a tape guide used to convey and guide a tape-shaped body such as a magnetic tape, and a drive carrier of a taping and packaging device for electronic components, it will not wear or break in a short period of time, Can be suitably used.
[0020]
Next, the content of ZnO as a conductivity-imparting agent is set to 20 to 40% by weight, preferably 25 to 30% by weight, so that a zirconia sintered body having a volume resistivity range required for static elimination is provided. Can be provided.
[0021]
When the content of the conductivity-imparting agent is less than 20% by weight, the effect of lowering the resistance value is small. Conversely, when the content is more than 40% by weight, the resistance value becomes “less than 10 5 Ω · cm”, and the static electricity is reduced at once. Easily escaped, there is a danger that an ultra-high voltage discharge will occur due to atmospheric friction, and the mechanical properties (flexural strength, hardness, etc.) of the sintered body will be greatly reduced, thus exhibiting the original mechanical properties of zirconia become unable. Also, there is a possibility that Al 2 O 3 , MnO, SiO 2 , Na, Fe and the like may be mixed as impurities in the raw material powder and during the manufacturing process, but these may be contained in the range of 6.0% by weight or less. May be.
[0022]
On the other hand, in order to produce such a semiconductive zirconia sintered body, a ZrO 2 powder having an average particle diameter of 0.3 to 1.5 μm, a Y 2 O 3 powder as a stabilizer, The composition is prepared by using ZnO 2 having an average particle diameter of 0.2 to 1.5 μm as an agent, mixing them by a wet method, adding a chemical binder, and then dry-granulating with a spray drier or the like to produce granules.
[0023]
Then, the raw material powder by dry method or the granule by wet method is filled in a mold and molded into a predetermined shape by a known molding means such as a mechanical press molding method or a rubber press molding method, or wet slurry is extruded or injected. After being formed into a predetermined shape by a known forming method such as a forming method or a tape forming method, it is baked in an oxidizing atmosphere at a maximum temperature range for about 2 to 4 hours. At this time, if the sintering temperature is lower than 1300 ° C., the sintering cannot be completed, and if the sintering temperature is higher than 1400 ° C., ZrO 2 and ZnO are separated and sinter-over occurs. The resistivity cannot be set to “10 5 to 10 10 Ω · cm”.
Therefore, it is important to fire at a temperature of 1300 to 1400 ° C.
[0024]
If manufactured under such conditions, the amount of tetragonal zirconia with respect to the total amount of zirconia is 90% or more, the bending strength is 450 MPa or more, and the Vickers (Hv) hardness is 8 GPa or more. %, The influence of humidity change is very small, and a zirconia sintered body having a volume resistivity of “10 5 to 10 10 Ω · cm” can be obtained. Also, the elastic modulus of the zirconia sintered body of the present invention is 180 GPa or less, which is similar to the stainless steel material, even in comparison with the low elasticity (normally, elastic modulus of about 200 GP) which is also a mechanical characteristic of the zirconia sintered body. Since it has the material characteristics described above, it can be used for ceramic products having a low elasticity mechanism.
[0025]
Next, a method for manufacturing a sintered body will be described.
To ZrO 2 powder having an average particle diameter of 0.4~0.8Myuemu, with the addition of Y 2 O 3 powder the 2~5Mol%, as conductive agent, average particle diameter 0.4 to 1.0 [mu] m of ZnO Granules were prepared by adding 25 to 30% by weight of powder, further adding a binder and a solvent, kneading and drying. Then, the granules are filled in a mold and molded into a predetermined shape by a mechanical press molding method at a press pressure of 1.0 ton / cm 2, and then fired in an air atmosphere at 1350 ° C. for about 2 hours. Thus, a zirconia sintered body was obtained.
[0026]
FIG. 1 schematically shows the results of observing the obtained zirconia sintered body with a scanning electron microscope. As shown in FIG. 1, it is considered that ZrO 2 and ZnO crystal particles are dispersed, and a structure in which ZnO crystal particles are connected in a chain between the ZrO 2 crystal particles exhibits semiconductivity. .
[0027]
Then, the X-ray diffraction intensity of monoclinic zirconia and the X-ray diffraction intensity of tetragonal zirconia and cubic zirconia were measured by X-ray diffraction of this zirconia sintered body, and the amount of zirconia other than monoclinic relative to the total amount of zirconia was measured. As a result, 99% was tetragonal zirconia.
[0028]
Also, after cutting the zirconia sintered body into a prismatic shape of a bending strength measuring piece “3 mm × 4 mm × 40 mm” and an elastic modulus measuring piece “1 mm × 4 mm × 40 mm”, the center line average roughness is 0.2a or less. When the bending strength and the static elastic modulus based on JIS R1602 were measured by a three-point bending test based on JIS R1601, the sample had a bending strength of 598 MPa and an elastic modulus of 166 GPa. . In addition, the elastic modulus was calculated by the following formula.
W: Maximum load [dyn] L: Distance between support roll centers [cm]
h: Width of test piece [cm] δ: Deflection amount [cm] b: Thickness of test piece [cm]
E: modulus of elasticity [dyn / cm 2 ]
E = W × (L) 3 /4 × δ × W × (b) 3
Incidentally, in a normal zirconia sintered body containing 3 mol% of Y 2 O 3 , this elastic modulus is about 200 to 210 Gpa.
[0029]
Moreover, when preparing different samples at the same starting material as described above, it has a 8GPa was measured Vickers hardness (Hv), and further measuring the volume resistivity at another sample, 107 to It was 8 Ω · cm.
[0030]
Therefore, in order to check the degree of static electricity removal, a zirconia sintered body having a square plate of “50.8 mm × 50.8 mm × 5 mm” is prepared, a voltage of 1000 V is applied to one end, and a voltage of the other end is applied. When the descent time until the value reached 100 V was measured, a time of 0.1 to 20 seconds was required, and static electricity could be released at an appropriate speed without causing discharge due to atmospheric friction.
[0031]
In the zirconia sintered body in the above embodiment, mechanical properties (bending strength, Vickers hardness, elastic modulus) and electrical properties (volume resistance value) when the content of ZnO as a conductivity-imparting agent is changed. It was measured. Note that the mechanical characteristics and the electrical characteristics were measured by the same method as in the above embodiment.
[0032]
Each result is as shown in Table 1. In addition, all the zirconia sintered bodies to which ZnO was added exhibited a yellowish white color.
[0033]
[Table 1]
[0034]
As a result, although the sample having a ZnO content of less than 20% by weight had the excellent mechanical properties of zirconia, the sample had a high volume resistivity of 10 11 Ω · cm or more, and thus had a high insulating property. The effect of removing static electricity was not obtained.
[0035]
Further, in the sample having a ZnO content of more than 40% by weight and 45% by weight, although the mechanical properties were reduced, the sample had a bending strength of 380 MPa or more and a Vickers hardness (Hv) of 7 GPa or more. However, since the content of ZnO is too large, the volume resistivity decreases to 10 4 Ω · cm, and there is a problem that static electricity escapes at a stretch.
[0036]
On the other hand, the samples having a ZnO content in the range of 20 to 40% by weight all had excellent mechanical properties such as a bending strength of 450 MPa or more and a Vickers hardness (Hv) of 8 GPa or more.
In addition, since the surface and the specific volume resistance value can be set to “10 5 to 10 10 Ω · cm”, static electricity can be released at an appropriate speed, and an excellent static electricity removing effect has been obtained.
[0037]
As a result, when ZnO, which is a conductivity-imparting agent, is contained in the range of 20 to 40% by weight, a semiconductive zirconia sintered body having an excellent static electricity removing effect without significantly lowering the mechanical properties of zirconia. Is obtained.
[0038]
【The invention's effect】
As described above, the semiconductive zirconia sintered body of the present invention is composed of 60 to 80% by weight of ZrO 2 containing a stabilizer and 20 to 40% by weight of ZnO as a conductivity imparting agent. Since the volume resistivity value is set to “10 5 to 10 10 Ω · cm”, the contrast with the work when used as a jig becomes clear yellowish white color, and the mechanical properties of zirconia are greatly increased. Static electricity can be released at an appropriate speed without lowering. For this reason, this semiconductive zirconia sintered body can be used to transport tweezers or tweezers for gripping wafers used in semiconductor manufacturing equipment, or separation claw used in image forming apparatuses such as printers, and even tape-shaped such as magnetic tape. Since it is not affected by static electricity, such as a tape guide used to transport and guide the body, a drive carrier of a taping and packaging device for electronic components, etc., and it is not worn or damaged in a short time, It can be suitably used for a long period of time.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 shows a schematic view of crystal grains constituting a zirconia sintered body of the present invention.