JP2004203000A - インキジェットプリンタ用インキタンクの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】インキ及びインキフォロワー流体とに遠心力的作用を付与する工程を行うことにより、気体は、インキフォロワー流体の層により圧縮され、やがて、その圧力によりインキフォロワー流体の層中を分散して通過し、外に排出され、インキフォロワー流体の層はインキの界面上に配置する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、収容されるインキの界面及びインキタンク内周壁に接触してインキフォロワー流体を層状に配置したインキジェットプリンタ用インキタンクに関する。
【0002】
【従来の技術】
インキジェットプリンタのインキタンクカートリッジなどのインキタンク内に、直接的に自由状態でインキを収容したものには、インキ界面にインキフォロワー流体を層状に配置して、インキと大気が直接接触することを防ぎ、空気がインキに溶解することを防止したものが知られている。(特許文献1及び特許文献2参照)
【0003】
【特許文献1】
特開平2002−307703号公報(第5頁左欄第27行〜第6頁左欄第11行、図1)
【特許文献2】
特開平2001−301191号公報(第2頁右欄第35行〜第3頁左欄第36行、図1〜図3)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来技術公報に開示されているようなインキジェットプリンタ用インキタンクは、印字中における印字ヘッド内への気泡の巻き込み防止のために、インキに溶解している気体及び、インキ充填時にインキ中に巻き込んだ気体を、製造において、真空下に置くことによって除去している。
しかしながら、真空下に置かれることにより気体は体積膨張し、吸引脱気されるが、インキフォロワー流体の層を通過して脱気される際に一時的にインキフォロワー流体の層に孔をあけることになるためインキが洩れたり、インキが沸騰しインキフォロワー流体の層を破壊してインキが吹き出してしまう可能性があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、インキとインキフォロワー流体とを収容するインキジェットプリンタ用インキタンクの製造方法において、前記インキ及びインキフォロワー流体とに遠心力的作用を付与する工程を有するインキジェットプリンタ用インキタンクの製造方法を要旨とする。
【0006】
【作用】
遠心的作用により、インキの界面とインキフォロワー流体とを接触させる。遠心的作用(例えば遠心力)はインキ、インキフォロワー流体、そして両者間やそれぞれの内部に存在する気体のそれぞれの比重差による分離性を強く発揮させる力となると共に、その力が全体的に均一に付与されることになる。よって、該気体は、インキフォロワー流体の層中を分散して通過し外に排出され、インキ漏れを極力抑制しながら脱気でき、また、インキの沸騰のような事態も回避できるものと推察される。
【0007】
【実施例】
以下図面に基づき一例について説明する。
図1に要部断面斜視図として示したものは、モバイルパソコンのような小型パソコンと共に、外出先などでも使用される小型のプリンタ(図示せず)に交換可能に取り付けられるインキカートリッジを想定しており、プリンタ本体に対する接続用の取り付け孔1と、着脱を容易にするための着脱つまみ2を設けている。
【0008】
タンク3は、気体透過性が低く光透過性の高いポリプロピレン樹脂の押出成形品で、円筒形となっていて、インキ4の残量が目視可能になっている。タンク3はそれぞれ、ブラック用タンク3a、シアン用タンク3b、マゼンタ用タンク3c、イエロー用タンク3dの4つの別々のタンクに分かれている。また、ポリプロピレン樹脂の射出成形品であるタンクホルダー5には、タンク圧入部5aを設けていて、タンク3をタンク圧入部5aに圧入すると、インキ供給針5bが、タンク先端に設けられた、アルミニウムシール6を突き破り、タンク3内に連結されるようになしてある。よって、いずれかの色のインキを収容したタンク3のインキ4が全て消費されたときに、全てのタンク3を交換する必要はなく、その消費したタンク3のみを交換すれば再び使用可能になるような効率の良い構成になっている。
インキ供給針5bによって、インキを供給させる手段の他の例としては、図示はしないが、シリコンゴムやブチルゴム、エチレンプロピレンゴムなどの弾性材料からなるスリット状のインキ通路を設けた弁体をタンク3先端部に設けるなどがあげられる。この場合、プリンタヘッドからの吸引力等の要求に対して弁体を変形開放させて、インキの供給を行う。
【0009】
タンク3内の、インキ供給針5bが連結される部分には、インキ4中の凝集物や反応物等の粗大粒子やインキフォロワー流体7、また万一インキ4中に残存してしまった気泡などがプリンタヘッドやタンクホルダー5のプリンタヘッド連絡通路5dに入り込むことを制御するフィルター8を配置している。本例におけるフィルター8は、空間率45%のポリエステル繊維の繊維集束体である。この他、空間率20%〜70%のアクリル繊維やナイロン繊維や、連通多孔質性のポリウレタンやポリエチレン樹脂、綾畳織、平織、綾むしろ織、平畳織、綾織、縦撚線平織、共撚線織、杉綾織等の、厚み0.06mm〜2.00mm、1200MESH〜3500MESHの金網とすることもできる。
【0010】
タンク3の内部に収容されているインキ4は、比重1.06で着色剤として染料を使用し、水を主媒体とした水性染料インキを想定しているが、顔料インキ、有機溶剤を主媒体とした油性インキとすることもできる。インキフォロワー流体は実質的にインキと相溶しないものであることが望ましいので、油性インキを使用する場合には、水を媒体とした水性系のインキフォロワー流体を使用することができる。但し、水性系のインキフォロワー流体は気体透過性が高くなったり、乾燥しやすかったりするので、更にその上に有機溶剤を媒体とした油性系のインキフォロワー流体の層を形成してもよい。
【0011】
インキフォロワー流体7は、平均分子量630のポリブテンを基材とし、粘弾性を付与し透明性を有する、比重0.87、粘度87000mPa・s(25℃)でタンク3の内壁面との接触角が53゜(25℃)である。これは、インキフォロワー流体7が移動するに際して、インキフォロワー流体7と内壁面との間に層の切れ目が形成されない程度のものとし、インキ4の吐出に応じて移動可能であるように設定されている。インキフォロワー流体7は、タンク3の形状や内径、材質、製品仕様等によって適宜設定されるが、基材としては、一種又は二種以上の平均分子量300〜3700で低分子量の、水分透過性が低いポリブテンやαオレフィンなどの炭化水素系合成油が好適に使用できる。
【0012】
また、本例のものでは、運搬時における振動や落下等により、内壁面からインキフォロワー流体7が剥がれて流出し、インキ4が逆流してしまうことを抑制するために、タンク3の横断面形状と略相似形である棒状の、ポリプロピレン樹脂の押出成形品を適切な長さに切断した比重0.88の浮体9を、インキフォロワー流体7の層に浸漬配置している。但し、インキフォロワー流体7のみで、インキ4の逆流を抑制できる場合には、浮体9を配置しなくても良い。浮体9は、押出成形品を適切な長さで切断したものであるが、寸法的な精度を求める場合には、有底筒型形状の射出成形品にし、全体の肉厚を極力均一となして成形時の「ひけ(樹脂の収縮速度の部分的な違いや非均一性によって外面に凹みが形成される現象)」が極力発生しないようになすと良い。また、有底筒型形状にすることによって、使用される樹脂材料の量を少なくすることができコスト的に有利である。また、各タンク3を外観から目視で容易に識別できるように、浮体9をインキ色の樹脂で成形したり、文字や記号を金型上で作製して成形することも出来るし、成形品に文字や記号を刻印したり、色や文字、記号の印刷、シール等の貼付、ペン体等による塗布、筆記、さらにはこれらの手段の組合せによって適宜なすことができる。
【0013】
また、タンクホルダー5には、色別のシールがそれぞれに貼られた色表示部5cが設けられており、タンク3を圧入する際における圧入位置の誤りを防止するようになしている。本例では、色表示部5cを設けたが、色別に、タンク3の外径や外部形状を変化させたりして、圧入位置を誤っても、タンク圧入部5aに圧入できないようになすこともできる。
【0014】
本例のインキカートリッジは、プリンタ本体の、インキカートリッジ取り付け部分の中央にプリンタヘッドが位置するものを想定しているため、タンクホルダー5を中心に、両側にタンク3を配置したものである。この場合、同色のインキを収容するタンクにおいて一方のタンクに対して他方のタンクを予備タンク的に使用することができ、印刷中にインキがなくなってしまったとき発生する印刷中のインキ切れを抑制することができる。
このような機能が不要であるならば、図2に示すように、プリンタ本体のインキカートリッジ取り付け部分の端部にプリンタヘッドが位置するものとしたものを例示できる。この場合、タンク3及びタンク3の圧入部分は4カ所となることと、タンク3の長さが長くなることで、タンク3の交換の容易性が向上する。また、一色につき、タンク3は一本で済む。
【0015】
図3〜図6に本例のインキタンクの製造方法について示す。
まず、図3に示したように、タンク先端部3eを下向きにしてタンク3を置き、この状態のタンク3内に、インキ4を充填する。次に、図4に示すように、充填ノズル10で、タンク3の後端開口部側からインキフォロワー流体7を、インキ4の界面から離れた位置に必要量充填する。インキフォロワー流体7を充填後、浮体9を、インキフォロワー流体7の層に浸漬する。(図5)。この後、アルミニウムシール6側を外側に、タンク3の後端開口部を内側にした状態で遠心処理を施す。(図6)。インキ4とインキフォロワー流体7との間に介在する空気よりもインキフォロワー流体7の比重が重たいため、インキフォロワー流体7は前記空気と位置を交換しインキ4の界面方向に移動して図1のタンク3の状態を得ることができる。また、本例では、以下の遠心処理条件で遠心処理し、タンク3内に残留する微小な気泡を除去した。まず、遠心力を629Gにしてから、減圧環境を10mmHgとし、インキ4とインキフォロワー流体7との間の空気を除去する。2分後、遠心力を70Gに下げ、タンク3内に、遠心力を付与してインキ4の沸騰による吹き出しを抑制しつつ、減圧の影響が強くなるようにする。インキ4中及び、フィルター8中の微小な気泡は、膨張や気泡同士の結合を行う。この膨張、結合した気泡は、遠心力によってインキ4の界面へ浮遊し、インキ4とインキフォロワー流体7との間に集まる。5分後、遠心力を再度629Gに戻し、インキ4とインキフォロワー流体7との間に集まった気泡を除去する。8分後、遠心環境を大気圧に戻したあと、遠心力を0Gにして遠心処理を終える。本例の遠心処理条件は、一例であって、タンク3中に残留する気泡が比較的大きい場合には、大気圧環境下で遠心処理を行っても良い。また、気泡の膨張や気泡同士の結合は、高温環境下でも可能であるので、成形品等の許容可能な高温環境下において遠心処理を行っても良い。いずれにせよ、遠心処理条件は、インキ4の粘度や表面張力とタンク3の形状によるインキ4の充填時における気泡の巻き込み量、インキ4の溶存気体量、インキフォロワー流体7の流動性などによって、適宜設定することができる。
【0016】
図7に他の構造による一例を示す。
本例のものは、尾栓11の中孔11aに、図1の例と同じインキフォロワー流体7を配置した後、タンク3の後端開口部側に尾栓11を配置し(図8)、遠心処理を施すことによって尾栓11内のインキフォロワー流体7をインキ界面に移動させたものである。タンク3に直接、インキフォロワー流体7を充填する必要がなく、組立が容易となるものである。
【0017】
【発明の効果】
以上により、本発明によれは、製造においてインキフォロワー流体の層をインキの界面上に配置することができ、インキ洩れや、インキの吹き出しという問題を極力抑制するものを得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】構造の一例を示す要部断面斜視図。
【図2】構造の他の一例を示す断面図。
【図3】製造方法を説明する断面図。
【図4】製造方法を説明する断面図。
【図5】製造方法を説明する断面図。
【図6】製造方法を説明する断面図。
【図7】構造の他の一例を示す断面図。
【図8】製造方法の一例を説明する断面図。
【符号の説明】
1 取り付け孔
2 着脱つまみ
3 タンク
3a ブラック用タンク
3b シアン用タンク
3c マゼンタ用タンク
3d イエロー用タンク
4 インキ
5 タンクホルダー5
5a タンク圧入部
5b インキ供給針
5c 色表示部
6 アルミニウムシール
7 インキフォロワー流体
8 フィルター
9 浮体
10 充填ノズル
11 尾栓
11a 中孔
Claims (5)
- インキとインキフォロワー流体とを収容するインキジェットプリンタ用インキタンクの製造方法において、前記インキ及びインキフォロワー流体とに遠心力的作用を付与する工程を有するインキジェットプリンタ用インキタンクの製造方法。
- 前記インキ及びインキフォロワー流体とに、大気圧に対して減圧環境下に置く工程を有する請求項1記載のインキジェットプリンタ用インキタンクの製造方法。
- 前記インキ及びインキフォロワー流体とに、前記遠心力的作用を付与することと前記大気圧に対して減圧環境下に置かれることとが同時に行われる工程を有する請求項2に記載のインキジェットプリンタ用インキタンクの製造方法。
- 前記インキタンク内に、前記インキ及びインキフォロワー流体とをインキ界面とインキフォロアー流体との間に間隔を存するように充填した後に遠心力的作用を付与する工程を施す請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のインキジェットプリンタ用インキタンクの製造方法。
- 前記遠心的作用が室温より高温の環境下でなされる請求項1乃至請求項4に記載のインキジェットプリンタ用インキタンク及びその製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002378144A JP2004203000A (ja) | 2002-12-26 | 2002-12-26 | インキジェットプリンタ用インキタンクの製造方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN101468783B (zh) * | 2007-12-29 | 2012-08-22 | 缪则夫 | 一种可精确设定注墨量且从进气道注墨完全无损墨盒的注墨机 |
-
2002
- 2002-12-26 JP JP2002378144A patent/JP2004203000A/ja active Pending
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