JP2004202184A - 椅子脚カバー及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】椅子脚の先端部略全体にぴったりと密着して椅子脚カバー内で椅子脚先端部が動くのを防止することができ、もって椅子脚カバー内底部(例えば緩衝部材)の寿命を延ばすことができるとともに、椅子脚カバーが椅子脚から抜け落ちるのを半永久的に防止し、台座部と被覆部材の結合の耐久性を高めることができる椅子脚カバーの提供。
【解決手段】椅子脚の先端部をカバーする椅子脚カバーであって、床面に当接する台座部と、この台座部の上面に直接的或いは間接的に取り付けられ上部が椅子脚挿入口として開口する丸編みされた筒状の被覆部材とからなり、前記丸編みは、編地の縦方向及び横方向の双方に大きな伸縮性を有し特に横方向に極めて大きな伸縮性を有するゴム編みによるものであることを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】椅子脚の先端部をカバーする椅子脚カバーであって、床面に当接する台座部と、この台座部の上面に直接的或いは間接的に取り付けられ上部が椅子脚挿入口として開口する丸編みされた筒状の被覆部材とからなり、前記丸編みは、編地の縦方向及び横方向の双方に大きな伸縮性を有し特に横方向に極めて大きな伸縮性を有するゴム編みによるものであることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、椅子脚カバー及びその製造方法に関し、より詳しくは、椅子脚の先端部略全体にぴったりと密着して椅子脚カバー内で椅子脚先端部が動くのを防止することができ、もって椅子脚カバー内底部(例えば緩衝部材)の寿命を延ばすことができるとともに、椅子脚カバーが椅子脚から抜け落ちるのを半永久的に防止し、台座部と被覆部材の結合の耐久性を高めることができる椅子脚カバー及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、椅子脚の先端部をカバーする椅子脚カバーとして、例えば、椅子脚の先端部を被覆し得るように上部が開口された袋状の被覆部材と、この被覆部材の外側に縫着され且つ床面に当接される合成皮革製の台座シートとからなるものが提案されていた。
しかしながら、この椅子脚カバーの台座シートは合成皮革製であったので、その上に荷重が載った状態では床面にくっついてしまい、床面上でスライド移動させることが困難であった。また、台座シートを縫着する糸は、その一部が台座シートの外側に露出しているので、使用しているうちに床面との摩擦で早い段階で擦り切れてしまうという問題があった。
これらの問題を解消すべく、本出願人は、新たな椅子脚カバーを考案し、この考案は実用新案登録に至っている(特許文献1参照)。
この考案は、板状の固体潤滑部材を椅子脚被覆部材の外側に縫着したものであって、この固体潤滑部材には、複数の糸挿通孔と、隣り合う糸挿通孔同士を結ぶように設けられた糸収納溝とが形成されてなるものであり、このような構成とすることにより、台座部の床面上での高い潤滑性と、縫着糸の擦り切れ防止の双方を達成することができる。
【0003】
ところで、この考案における椅子脚被覆部材は袋状であって、袋の開口部に輪状ゴムを設け、この輪状ゴムの弾性力によって椅子脚の先端部を締め付け、該椅子脚に固定されるものであった。
この構成においては、袋開口部のリング状内周面でしか椅子脚を締め付けていないので、締め付ける面積が少なかった。このため、使用時に椅子脚の先端部が袋内部で動き、このときに縫着糸に無理な力が掛かり、糸の寿命が短くなる恐れがあった。また、椅子脚先端部が袋内部で動くことにより、袋内部の底部に配置した緩衝部材が磨耗し、早期のうちに破れて中の綿が出てしまい、これが椅子脚を伝って椅子脚カバーの外へ出てしまう可能性があった。キッチン等の椅子でこのようなことがあると、それが埃となって衛生面でよくなかった。また、使用するにつれて開口部の輪状ゴムの弾性が早期に低下し、椅子脚先端部を締め付ける力が弱まり、椅子脚カバーが椅子脚からずれ落ちることがあった。
【0004】
【特許文献1】
実用新案登録第3065789号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、椅子脚の先端部略全体にぴったりと密着して椅子脚カバー内で椅子脚先端部が動くのを防止することができ、もって椅子脚カバー内底部(例えば緩衝部材)の寿命を延ばすことができるとともに、椅子脚カバーが椅子脚から抜け落ちるのを半永久的に防止し、台座部と被覆部材の結合の耐久性を高めることができる椅子脚カバー及びその製造方法の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、椅子脚の先端部をカバーする椅子脚カバーであって、床面に当接する台座部と、この台座部の上面に直接的或いは間接的に取り付けられ上部が椅子脚挿入口として開口する丸編みされた筒状の被覆部材とからなり、前記丸編みは、編地の縦方向及び横方向の双方に大きな伸縮性を有し特に横方向に極めて大きな伸縮性を有するゴム編みによるものであり、ゴム編みされた被覆部材は、椅子脚先端部を完全包囲しつつこの先端部の周面略全体に確実に密着し、該先端部に対する被覆部材のずれを確実に防止することを特徴とする椅子脚カバーである。
請求項2記載の発明は、前記台座部が固体潤滑部材からなることを特徴とする請求項1に記載の椅子脚カバーである。
請求項3記載の発明は、前記台座部には、前記被覆部材との縫着を可能にする複数の糸挿通穴が形成され、この糸挿通穴の一部又は全部と被覆部材に縫着糸を挿通して前記台座部と被覆部材が縫着されていることを特徴とする請求項2に記載の椅子脚カバーである。
請求項4記載の発明は、前記台座部には、隣り合う糸挿通穴同士を結ぶように該台座部の外面側に糸収納溝が形成され、隣り合う糸挿通穴を結ぶように設けられた縫着糸の、台座部の外側に配される部分は、前記糸収納溝内に収納されてなることを特徴とする請求項3に記載の椅子脚カバーである。
請求項5記載の発明は、前記台座部と前記被覆部材の間には、少なくとも面方向へ難伸縮性を示すシート状底部材が設けられ、前記台座部には、前記底部材との縫着を可能にする複数の糸挿通穴が形成され、前記被覆部材が前記底部材と直接縫着され、前記台座部が前記底部材と直接縫着されていることを特徴とする請求項2に記載の椅子脚カバーである。
請求項6記載の発明は、前記台座部と前記底部材との縫着において、前記台座部の糸挿通穴から前記底部材に縫着糸を挿通し、この挿通した糸を前記底部材から同じ糸挿通穴に返し挿通し、この返し挿通した糸を隣の糸挿通穴から前記底部材に挿通し、以下同様に糸の返し挿通及び挿通がなされていることを特徴とする請求項5に記載の椅子脚カバーである。
請求項7記載の発明は、一又は複数の前記糸挿通穴において、前記台座部の糸挿通穴から前記底部材に縫着糸を挿通しこの挿通した糸を同じ糸挿通穴に対応する位置において底部材下側に返し挿通し、その返し挿通した糸を同じ糸挿通穴対応位置において再度底部材に挿通しその挿通した糸を同じ糸挿通穴対応位置において再度底部材下側に返し挿通し、この再度行った糸の挿通及び返し挿通が少なくとも1回なされ、その後に底部材下側に挿通した糸を前記底部材において同じ糸挿通穴に挿通していることを特徴とする請求項6に記載の椅子脚カバーである。
請求項8記載の発明は、前記底部材はその周縁部が内側に折り返されており、この折り返しの屈曲部は前記台座部の糸挿通穴の略真上に位置し、前記底部材と台座部を縫着するための底部材の前記糸挿通及び糸返し挿通は、前記折り返し屈曲部或いはその近傍でなされていることを特徴とする請求項6又は7に記載の椅子脚カバーである。
【0007】
請求項9記載の発明は、椅子脚の先端部をカバーする椅子脚カバーの製造方法であって、床面に当接する台座部を設ける工程と、この台座部の上面に直接的或いは間接的に取り付けられ上部が椅子脚挿入口として開口する丸編みされた筒状の被覆部材を設ける工程と、これら台座部と被覆部材を直接的或いは間接的に結合する工程とからなり、前記丸編みは、編地の縦方向及び横方向の双方に大きな伸縮性を有し特に横方向に極めて大きな伸縮性を有するゴム編みによるものであることを特徴とする椅子脚カバーの製造方法である。
請求項10記載の発明は、前記台座部を固体潤滑部材で形成することを特徴とする請求項9に記載の椅子脚カバーの製造方法である。
請求項11記載の発明は、前記台座部に、前記底部材との縫着を可能にする複数の糸挿通穴を形成し、前記被覆部材の一端部に、該一端部を塞ぐように、少なくとも面方向へ難伸縮性を示すシート状底部材を縫着し、この底部材に前記台座部を縫着することを特徴とする請求項10に記載の椅子脚カバーの製造方法である。
請求項12記載の発明は、前記台座部と前記底部材との縫着において、前記台座部の糸挿通穴から前記底部材に縫着糸を挿通し、この挿通した糸を前記底部材から同じ糸挿通穴に返し挿通し、この返し挿通した糸を隣の糸挿通穴から前記底部材に挿通し、以下同様に糸の返し挿通及び挿通をなすことを特徴とする請求項11に記載の椅子脚カバーの製造方法である。
請求項13記載の発明は、一又は複数の前記糸挿通穴において、前記台座部の糸挿通穴から前記底部材に縫着糸を挿通しこの挿通した糸を同じ糸挿通穴に対応する位置において底部材下側に返し挿通し、その返し挿通した糸を同じ糸挿通穴対応位置において再度底部材に挿通しその挿通した糸を同じ糸挿通穴対応位置において再度底部材下側に返し挿通し、この再度の糸挿通及び返し挿通を少なくとも1回行い、その後に底部材下側に挿通した糸を前記底部材において同じ糸挿通穴に挿通することを特徴とする請求項12に記載の椅子脚カバーの製造方法である。
請求項14記載の発明は、前記底部材はその周縁部が内側に折り返されており、この折り返しの屈曲部を前記台座部の糸挿通穴の略真上に位置させ、前記底部材と台座部を縫着するための底部材の前記糸挿通及び糸返し挿通を、前記折り返し屈曲部或いはその近傍でなすことを特徴とする請求項12又は13に記載の椅子脚カバーの製造方法である。
これらの発明を提供することにより、上記課題を悉く解決する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
まず、本発明の第1実施形態に係る椅子脚カバーについて説明する。
図1は、第1実施形態に係る椅子脚カバーを示す斜視図である。図2は、図1に示す椅子脚カバーの側面図である。図3は、図1に示す椅子脚カバーを椅子脚先端部に装着した状態で示す側面図である。
第1実施形態に係る椅子脚カバー(1)は、床面(2)に当接する台座部(3)と、この台座部(3)の上面に直接的に取り付けられ上部が椅子脚挿入口(4)として開口する丸編みされた筒状の被覆部材(5)とからなる。
以下、これら構成要素について詳説する。
【0009】
台座部(3)は、椅子(6)(図7参照)の荷重を受け、その荷重を床面(2)に伝えるものである。台座部(3)の材質は特に限定されるものではなく、例えば、合成皮革製のシート材であってもよいが、できれば、床面上でスライドさせることを考慮して、摩擦係数の小さい固体潤滑部材を用いることが好ましい。この固体潤滑部材の材質は、摩擦係数が小さく且つある程度の強度を有するものであれば特に限定はされないが、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等を採用することができ、中でもポリエチレンを、最も好適に使用することができる。
ポリエチレンは適度な硬さを有しているので摩擦係数が小さく、床面(2)上をスムースにスライド移動することができ、また台座部(3)と床面(2)との間に異物が挟まった状態で椅子をスライド移動させても、床面(2)は傷つかずに台座部(3)が傷つくことになり、誤って床面(2)を傷つけることがない。
【0010】
台座部(3)を固体潤滑部材で構成する場合、図4乃至6に例示する如く、台座部(3)には、被覆部材(5)との縫着を可能にする複数の糸挿通穴(7)と、隣合う糸挿通穴(7)同士を結ぶように該台座部(3)の外面側に設けられた糸収納溝(8)とが形成されることが好ましい。
糸挿通穴(7)は複数個設けられるが、その数や位置は特に限定されるものではない。図示例においては、糸挿通穴(7)は、台座部(3)の周縁部に沿って相互に等間隔で配設されている。台座部(3)と被覆部材(5)の縫着は、手縫いの他、ミシンを用いた機械縫いで行ってもよい。
【0011】
糸収納溝(8)は、隣り合う糸挿通穴(7)を結ぶように設けられた縫着糸(9)の、台座部(3)の外側に配される部分を収納する部分である。糸収納溝(8)の深さは、縫着糸(9)を収納できる程度であれば特に限定されない。この様な構成とすれば、台座部(3)を床面(2)に当接させても縫着糸(9)は床面(2)に当接しないので、縫着糸(9)が床面(2)に当たって擦り切れるのを防止することができる。
なお、図示例における台座部(3)は、平面視円形状となっているが、四角形状等の他の形状を採用してもよく、また、その平面視形状を被覆部材(5)の平面視形状と同じにすることが、製造の容易性、強度、使用の容易性等の点で好ましい。
【0012】
被覆部材(5)は、椅子脚(10)の先端部周面を包囲被覆するものである。被覆部材(5)は、伸縮性生地から構成されている。伸縮性生地は、丸編み機、例えば靴下編み機によって丸編みされた生地である。本発明においては、この丸編みは、ゴム編み地によって構成されている。一般に、丸編みを構成する編み方には平編み等種々のものが存在しているが、本発明で用いるゴム編みは、他の編み地に比べて横方向の伸び率が著しく良好であり、その方向に著しい弾力性を有している。このゴム編み地を構成する糸の種類は特に限定されず、例えば、木綿100%の繊維で構成してもよいが、できれば、伸縮性に優れた繊維、例えばポリウレタン繊維等の弾性繊維を含んだ構成となっていることが好ましい。弾性繊維は、ポリウレタン繊維の場合には500%(6倍)以上もの伸び率を示す繊維である。このような弾性繊維を例えば20%含んだ編み地とすることにより、上記したゴム編み地の優れた伸縮性を一層優れたものとすることができる。
【0013】
この被覆部材(5)は、一端部或いは両端部が開口された筒状(図5,6に示す例では両端部が開口)に形成される。ゴム編みされた被覆部材(5)は、編み地の縦方向及び横方向の双方に大きな伸縮性を有しており、特に、横方向に極めて大きな伸縮性を有している。これにより、細い径の椅子脚先端部から太い径の椅子脚先端部に至るまで、種々の径の椅子脚先端部に密着状態で装着することができる。椅子脚先端部が円柱状、四角柱状等の柱状、或いは球状等の種々の形状になっていても、それら椅子脚先端部の周面略全体に確実に密着することができる。特に、椅子脚先端部が球状である場合、被覆部材(5)は、径方向へ要求される伸びが軸長方向の部位毎に相違し、部分的に著しい伸びを要求されるが、本発明のようにゴム編みによる丸編み生地で構成することにより、その要求を確実に満たし、各部位において確実に密着することができる。
【0014】
被覆部材(5)が、その両端部で開口する無底型のものである場合、一方の開口端周縁部を径方向内側に折り曲げて、内向きの鍔状部(11)(図5,6参照)を形成し、この鍔状部(11)を台座部(3)に縫着することができる。
被覆部材(5)が、その一端部で開口する有底型のものである場合、その底部を台座部(3)に縫着することができる。
台座部(3)上には、緩衝部材(13)が設けられていることが好ましい。緩衝部材(13)を設けることにより、椅子脚(10)の先端面が緩衝部材(13)に当接するので、椅子を床面(2)上に置くときの、椅子脚(10)が床面(2)に与える衝撃を和らげることができる。
緩衝部材(13)は、例えば、スポンジや綿を布地で覆ったものから構成することができる。緩衝部材(13)は、台座部(3)上に種々の方法で取り付けることができ、例えば縫着によって取り付けることができる。
【0015】
被覆部材(5)は、種々の形状・大きさの椅子脚先端部を完全に包囲被覆しつつ、この先端部の周面略全体に確実に密着することができるので、椅子(6)を床面(2)上で引き摺るようにスライドさせても、被覆部材(5)が椅子脚先端部に対して位置ずれすることがなく、また椅子脚先端部に対する被覆部材(5)の滑り(椅子脚の軸長方向及び径方向の双方の滑り)を防止することができる。また、ゴム編みによって丸編み(すなわちフライス編み)された被覆部材(5)は、縦方向つまり軸長方向にも大きな伸縮性を有しているので、種々の長さの椅子脚先端部を確実に被覆することができる。
【0016】
第1実施形態に係る椅子脚カバー(1)の製造方法について説明する。
第1実施形態に係る椅子脚カバー(1)の製造方法は、床面(2)に当接する台座部(3)を設ける工程と、この台座部(3)の上面に直接的に取り付けられ上部が椅子脚挿入口(4)として開口する丸編みされた筒状の被覆部材(5)を設ける工程と、これら台座部(3)と被覆部材(5)を直接的に結合する工程とからなる。
前記丸編みは、編地の縦方向及び横方向の双方に大きな伸縮性を有し特に横方向に極めて大きな伸縮性を有するゴム編みによるものである。
台座部(3)は、固体潤滑部材で形成されることが好ましい。また、前述のように、台座部(3)には、被覆部材(5)との縫着を可能にする複数の糸挿通穴(7)と、隣合う糸挿通穴(7)同士を結ぶように該台座部(3)の外面側に設けられた糸収納溝(8)とが形成されることが好ましい。この糸挿通穴(7)及び糸収納溝(8)を用いた縫着方法は、前述の通りである。
【0017】
次に、この椅子脚カバー(1)の使用方法について図面を参照しつつ説明する。ここでは、台座部(3)を固体潤滑部材で構成した場合を例にとって説明する。
まず、被覆部材(5)の開口部を広げ、その開口部から椅子脚(10)の先端部を挿入する。図5,6に示す如く、椅子脚(10)の先端面を緩衝部材(13)に当接させて、椅子脚カバー(1)を椅子脚(10)の先端部に装着する。次いで、台座部(3)が床面(2)に当接するように床面(2)上に椅子(6)を設置する。
【0018】
椅子(6)を移動させる場合には、椅子(6)を床面(2)に沿って引っ張るか、あるいは押すことにより、台座部(3)が床面(2)上をスムースにスライドするので、椅子(6)を容易にスライド移動させることができる。このとき、椅子脚(10)の先端部は、その周面略全体が被覆部材(5)にぴったりと密着保持されているので、台座部(3)と被覆部材(5)の縫着部にはその全周において常に略均等な力がかかり、これらを繋ぐ縫着糸(9)に無理な力がかからず、縫着糸(9)の劣化を防止することができる。また、椅子脚(10)の先端部の周面略全体が被覆部材(5)にぴったりと密着保持されることで、椅子脚(10)の先端部が台座部(3)上で位置ずれせず、台座部(3)上の緩衝部材(13)が摩擦等で劣化するのを防止することができる。
【0019】
尚、本発明においては、台座部(3)の材質に拘らず、該台座部(3)と被覆部材(5)は、必ずしも糸で縫着する必要はなく、例えば接着剤で固着することも可能である。
また、台座部(3)を固体潤滑部材で構成する場合、必ずしも糸挿通穴(7)や糸収納溝(8)を設ける必要はない。これらを設けない場合には、例えば接着剤で台座部(3)と被覆部材(5)を固着することができる。糸挿通穴(7)のみを設ける場合には、この糸挿通穴(7)と被覆部材(5)に縫着糸(9)を挿通して台座部(3)と被覆部材(5)を縫着することができる。
台座部(3)に更に糸収納溝(8)を形成する場合には、隣り合う糸挿通穴(7)を結ぶように設けられた縫着糸(9)の、台座部(3)の外側に配される部分を、糸収納溝(8)内に収納することができる。
また、図示例では全ての糸挿通穴(7)と全ての糸収納溝(8)に縫着糸(9)を配しているが、本発明においては、一部の糸挿通穴(7)と一部の糸収納溝(8)に縫着糸(9)を配して台座部(8)と被覆部材(5)を縫着してもよい。
【0020】
次に、本発明の第2実施形態に係る椅子脚カバー及びその製造方法について、図8乃至11を参照しつつ説明する。
第1実施形態に係る椅子脚カバー(1)では、台座部(3)と被覆部材(5)は直接的に結合されているが、第2実施形態では、台座部(3)と被覆部材(5)は間接的に結合されている。
その他の構成については、第1実施形態と略同様である。
【0021】
台座部(3)と被覆部材(5)の間には、少なくとも面方向へ難伸縮性を示す底部材(14)が設けられ、台座部(3)には、底部材(14)との縫着を可能にする複数の糸挿通穴(7)が形成されている。
被覆部材(5)は底部材(14)と直接縫着され、台座部(3)は底部材(14)と直接縫着されている。
つまり、この実施形態では、台座部(3)と底部材(14)、台座部(3)と被覆部材(5)は、個別に結合されている。
【0022】
少なくとも面方向へ難伸縮性を示す底部材(14)は、図9に例示する如く、通常、難伸縮性の生地(布地)(15)から構成され、場合によっては2枚の該生地(15)の間に接着剤等の固着手段によってシート状のクッション材(16)を一体的に挟着したものとされる。クッション材(16)は、例えば柔軟性のある各種スポンジ体によって構成することができる。
この底部材(14)は、被覆部材(5)と違って面方向への伸縮性が小さいので、台座部(3)に設けられた糸挿通穴(7)の数が多くなくても、該台座部(3)としっかりと強固に縫着することができる。
底部材(14)と被覆部材(5)は、手で縫い合わされてもよいが、できればミシンによる機械縫いでなされることが縫い付け強度向上の面等で好ましい。
縫い付けの順序としては、通常、被覆部材(5)の一方の開口端部と底部材(14)を縫い合わせた後、この底部材(14)に台座部(3)を縫い付けることが好ましい。
【0023】
図8に例示する如く、被覆部材(5)は通常、底部材(14)と結合される側の端部が内側(径方向内向き)に鍔状に折り曲げられ、鍔状片(16)が形成される。底部材(14)は通常、被覆部材(5)と結合される側にその周縁部が内側(径方向内向き)に折り返され、この折り返しの屈曲部(19)を介して折り返し片(17)が形成される。被覆部材(5)に形成した上記鍔状片(16)と底部材(14)に形成した上記折り返し片(17)が相互に縫い合わされる。
折り返し屈曲部(19)は台座部(3)の糸挿通穴(7)の略真上に位置する。底部材(14)と台座部(3)を縫着するための底部材(14)の糸挿通及び糸返し挿通(後述する)は、折り返し屈曲部(19)或いはその近傍でなされる。
折り返し屈曲部(19)を台座部(3)の糸挿通穴(7)の略真上に位置させることで、糸挿通穴(7)から上向きに出た縫着糸(9)を底部材(14)の折り返し屈曲部(19)或いはその近傍に挿通し、次にこの糸(9)を同じ糸挿通穴(7)に向けて返し挿通することができる。もし、折り返し屈曲部(19)が糸挿通穴(7)に対し外側にずれた位置にあると、縫着糸(9)を底部材(14)のみに挿通することが難しくなる。逆に、折り返し屈曲部(19)が糸挿通穴(7)に対し内側にずれた位置にあると、縫着糸(9)を底部材(14)に挿通すること自体が難しくなる。
尚、糸挿通穴(7)から上向きに出た縫着糸(9)を底部材(14)の折り返し屈曲部(19)或いはその近傍に挿通するとき、該縫着糸(9)を底部材(14)内部で反転させ返し挿通してもよいし(図8参照)、或いは縫着糸(9)を底部材(14)を突き抜けてその外部で反転させ返し挿通してもよい(図11参照)。双方の場合とも、縫着糸(9)は被覆部材(5)にまで達しない。
【0024】
図10は、台座部(3)と底部材(14)の縫着の状態を示す概略断面図であり、台座部(3)の各糸挿通穴(7)を結ぶ方向に切断した状態で示している。尚、図10(a)は、図8に示される糸挿通状態(縫着糸(9)を底部材(14)内部で反転させる場合)に対応しており、図10(b)は、図11に示される糸挿通状態(縫着糸(9)を底部材(14)外部で反転させる場合)に対応している。
台座部(3)と底部材(14)の縫着においては、台座部(3)の糸挿通穴(7)から底部材(14)に縫着糸(9)を挿通し、この挿通した糸(9)を底部材(14)から同じ糸挿通穴(7)に返し挿通し、この返し挿通した糸(9)を隣の糸挿通穴(7)から底部材(14)に挿通し、以下同様に糸の返し挿通及び挿通がなされていることが好ましい。
各糸挿通穴(7)毎に糸(9)を底部材(14)に挿通し、続けて返し挿通するこの縫い方によれば、椅子脚カバー(1)使用中に糸(9)がどこかで切れても、糸(9)の抜けが挿通及び返し挿通の箇所で止まり、糸(9)が抜けていくのを防ぐことができる。
【0025】
また、図10に例示する如く、一又は複数の糸挿通穴(7)において、台座部(3)の糸挿通穴(7)から底部材(14)に縫着糸(9)を挿通しこの挿通した糸(9)を同じ糸挿通穴(7)に対応する位置(18)において底部材(14)下側に返し挿通し、その返し挿通した糸(9)を同じ糸挿通穴(7)対応位置(18)において再度底部材(14)に挿通しその挿通した糸(9)を同じ糸挿通穴(7)対応位置(18)において再度底部材(14)下側に返し挿通し、この再度行った糸挿通及び返し挿通が少なくとも1回なされ、その後底部材(14)下側に挿通した糸(9)を底部材(14)において同じ糸挿通穴(7)に挿通していることが好ましい。
このように糸(9)の挿通及び返し挿通を同一箇所で連続して複数回行う方法によれば、糸(9)の抜けが更に生じにくい。
尚、糸(9)の挿通及び返し挿通を複数回行う箇所(18)は、糸挿通穴(7)の複数個おきに設定することができる。例えば、1個おき、2個おき、3個おき、4個おき、等とすることができる。
【0026】
この第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、被覆部材(5)と台座部(3)を、第1実施形態よりも強固に一体化することができ、耐久性を向上させることができる。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、椅子脚の先端部は、その周面略全体が被覆部材にぴったりと密着保持されるので、椅子脚の先端部の周面略全体が被覆部材にぴったりと密着保持されることで、椅子脚の先端部が台座部上で位置ずれしない。従って、椅子脚カバー内底部(例えば緩衝部材)の劣化を防止することができ、更に椅子脚カバーが椅子脚からずれ落ちるのを半永久的に防止することができ、台座部と被覆部材の結合の耐久性を高めることもできる。
台座部と被覆部材を縫着する場合には、縫着部全周において常に略均等な力がかかり、これらを繋ぐ縫着糸に無理な力がかからず、縫着糸の劣化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る椅子脚カバーを示す斜視図である。
【図2】図1に示す椅子脚カバーの側面図である。
【図3】図1に示す椅子脚カバーを椅子脚先端部に装着した状態で示す側面図である。
【図4】図1に示す椅子脚カバーを台座部側から見た底面図であり、(a)は同底面図、(b)は(a)の部分拡大図である。
【図5】図4(b)に示す椅子脚カバーのA−A線断面図である。
【図6】図4(b)に示す椅子脚カバーのB−B線断面図である。
【図7】本発明に係る椅子脚カバーを椅子脚に取り付けた状態で示す図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る椅子脚カバーの底部付近を示す断面図であり、縫着の一例を示す図である。
【図9】本発明における底部材を示す断面図である。
【図10】第2実形態における台座部と底部材の縫着の状態を示す概略断面図であり、(a)は、図8に示される糸挿通状態に対応しており、(b)は、図11に示される糸挿通状態に対応している。
【図11】本発明の第2実施形態に係る椅子脚カバーの底部付近を示す断面図であり、縫着の他の例を示す図である。
【符号の説明】
1・・・・・椅子脚カバー
2・・・・・床面
3・・・・・台座部
4・・・・・椅子脚挿入口
5・・・・・被覆部材
7・・・・・糸挿通穴
8・・・・・糸収納溝
14・・・・底部材
19・・・・折り返し屈曲部
【発明の属する技術分野】
本発明は、椅子脚カバー及びその製造方法に関し、より詳しくは、椅子脚の先端部略全体にぴったりと密着して椅子脚カバー内で椅子脚先端部が動くのを防止することができ、もって椅子脚カバー内底部(例えば緩衝部材)の寿命を延ばすことができるとともに、椅子脚カバーが椅子脚から抜け落ちるのを半永久的に防止し、台座部と被覆部材の結合の耐久性を高めることができる椅子脚カバー及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、椅子脚の先端部をカバーする椅子脚カバーとして、例えば、椅子脚の先端部を被覆し得るように上部が開口された袋状の被覆部材と、この被覆部材の外側に縫着され且つ床面に当接される合成皮革製の台座シートとからなるものが提案されていた。
しかしながら、この椅子脚カバーの台座シートは合成皮革製であったので、その上に荷重が載った状態では床面にくっついてしまい、床面上でスライド移動させることが困難であった。また、台座シートを縫着する糸は、その一部が台座シートの外側に露出しているので、使用しているうちに床面との摩擦で早い段階で擦り切れてしまうという問題があった。
これらの問題を解消すべく、本出願人は、新たな椅子脚カバーを考案し、この考案は実用新案登録に至っている(特許文献1参照)。
この考案は、板状の固体潤滑部材を椅子脚被覆部材の外側に縫着したものであって、この固体潤滑部材には、複数の糸挿通孔と、隣り合う糸挿通孔同士を結ぶように設けられた糸収納溝とが形成されてなるものであり、このような構成とすることにより、台座部の床面上での高い潤滑性と、縫着糸の擦り切れ防止の双方を達成することができる。
【0003】
ところで、この考案における椅子脚被覆部材は袋状であって、袋の開口部に輪状ゴムを設け、この輪状ゴムの弾性力によって椅子脚の先端部を締め付け、該椅子脚に固定されるものであった。
この構成においては、袋開口部のリング状内周面でしか椅子脚を締め付けていないので、締め付ける面積が少なかった。このため、使用時に椅子脚の先端部が袋内部で動き、このときに縫着糸に無理な力が掛かり、糸の寿命が短くなる恐れがあった。また、椅子脚先端部が袋内部で動くことにより、袋内部の底部に配置した緩衝部材が磨耗し、早期のうちに破れて中の綿が出てしまい、これが椅子脚を伝って椅子脚カバーの外へ出てしまう可能性があった。キッチン等の椅子でこのようなことがあると、それが埃となって衛生面でよくなかった。また、使用するにつれて開口部の輪状ゴムの弾性が早期に低下し、椅子脚先端部を締め付ける力が弱まり、椅子脚カバーが椅子脚からずれ落ちることがあった。
【0004】
【特許文献1】
実用新案登録第3065789号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、椅子脚の先端部略全体にぴったりと密着して椅子脚カバー内で椅子脚先端部が動くのを防止することができ、もって椅子脚カバー内底部(例えば緩衝部材)の寿命を延ばすことができるとともに、椅子脚カバーが椅子脚から抜け落ちるのを半永久的に防止し、台座部と被覆部材の結合の耐久性を高めることができる椅子脚カバー及びその製造方法の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、椅子脚の先端部をカバーする椅子脚カバーであって、床面に当接する台座部と、この台座部の上面に直接的或いは間接的に取り付けられ上部が椅子脚挿入口として開口する丸編みされた筒状の被覆部材とからなり、前記丸編みは、編地の縦方向及び横方向の双方に大きな伸縮性を有し特に横方向に極めて大きな伸縮性を有するゴム編みによるものであり、ゴム編みされた被覆部材は、椅子脚先端部を完全包囲しつつこの先端部の周面略全体に確実に密着し、該先端部に対する被覆部材のずれを確実に防止することを特徴とする椅子脚カバーである。
請求項2記載の発明は、前記台座部が固体潤滑部材からなることを特徴とする請求項1に記載の椅子脚カバーである。
請求項3記載の発明は、前記台座部には、前記被覆部材との縫着を可能にする複数の糸挿通穴が形成され、この糸挿通穴の一部又は全部と被覆部材に縫着糸を挿通して前記台座部と被覆部材が縫着されていることを特徴とする請求項2に記載の椅子脚カバーである。
請求項4記載の発明は、前記台座部には、隣り合う糸挿通穴同士を結ぶように該台座部の外面側に糸収納溝が形成され、隣り合う糸挿通穴を結ぶように設けられた縫着糸の、台座部の外側に配される部分は、前記糸収納溝内に収納されてなることを特徴とする請求項3に記載の椅子脚カバーである。
請求項5記載の発明は、前記台座部と前記被覆部材の間には、少なくとも面方向へ難伸縮性を示すシート状底部材が設けられ、前記台座部には、前記底部材との縫着を可能にする複数の糸挿通穴が形成され、前記被覆部材が前記底部材と直接縫着され、前記台座部が前記底部材と直接縫着されていることを特徴とする請求項2に記載の椅子脚カバーである。
請求項6記載の発明は、前記台座部と前記底部材との縫着において、前記台座部の糸挿通穴から前記底部材に縫着糸を挿通し、この挿通した糸を前記底部材から同じ糸挿通穴に返し挿通し、この返し挿通した糸を隣の糸挿通穴から前記底部材に挿通し、以下同様に糸の返し挿通及び挿通がなされていることを特徴とする請求項5に記載の椅子脚カバーである。
請求項7記載の発明は、一又は複数の前記糸挿通穴において、前記台座部の糸挿通穴から前記底部材に縫着糸を挿通しこの挿通した糸を同じ糸挿通穴に対応する位置において底部材下側に返し挿通し、その返し挿通した糸を同じ糸挿通穴対応位置において再度底部材に挿通しその挿通した糸を同じ糸挿通穴対応位置において再度底部材下側に返し挿通し、この再度行った糸の挿通及び返し挿通が少なくとも1回なされ、その後に底部材下側に挿通した糸を前記底部材において同じ糸挿通穴に挿通していることを特徴とする請求項6に記載の椅子脚カバーである。
請求項8記載の発明は、前記底部材はその周縁部が内側に折り返されており、この折り返しの屈曲部は前記台座部の糸挿通穴の略真上に位置し、前記底部材と台座部を縫着するための底部材の前記糸挿通及び糸返し挿通は、前記折り返し屈曲部或いはその近傍でなされていることを特徴とする請求項6又は7に記載の椅子脚カバーである。
【0007】
請求項9記載の発明は、椅子脚の先端部をカバーする椅子脚カバーの製造方法であって、床面に当接する台座部を設ける工程と、この台座部の上面に直接的或いは間接的に取り付けられ上部が椅子脚挿入口として開口する丸編みされた筒状の被覆部材を設ける工程と、これら台座部と被覆部材を直接的或いは間接的に結合する工程とからなり、前記丸編みは、編地の縦方向及び横方向の双方に大きな伸縮性を有し特に横方向に極めて大きな伸縮性を有するゴム編みによるものであることを特徴とする椅子脚カバーの製造方法である。
請求項10記載の発明は、前記台座部を固体潤滑部材で形成することを特徴とする請求項9に記載の椅子脚カバーの製造方法である。
請求項11記載の発明は、前記台座部に、前記底部材との縫着を可能にする複数の糸挿通穴を形成し、前記被覆部材の一端部に、該一端部を塞ぐように、少なくとも面方向へ難伸縮性を示すシート状底部材を縫着し、この底部材に前記台座部を縫着することを特徴とする請求項10に記載の椅子脚カバーの製造方法である。
請求項12記載の発明は、前記台座部と前記底部材との縫着において、前記台座部の糸挿通穴から前記底部材に縫着糸を挿通し、この挿通した糸を前記底部材から同じ糸挿通穴に返し挿通し、この返し挿通した糸を隣の糸挿通穴から前記底部材に挿通し、以下同様に糸の返し挿通及び挿通をなすことを特徴とする請求項11に記載の椅子脚カバーの製造方法である。
請求項13記載の発明は、一又は複数の前記糸挿通穴において、前記台座部の糸挿通穴から前記底部材に縫着糸を挿通しこの挿通した糸を同じ糸挿通穴に対応する位置において底部材下側に返し挿通し、その返し挿通した糸を同じ糸挿通穴対応位置において再度底部材に挿通しその挿通した糸を同じ糸挿通穴対応位置において再度底部材下側に返し挿通し、この再度の糸挿通及び返し挿通を少なくとも1回行い、その後に底部材下側に挿通した糸を前記底部材において同じ糸挿通穴に挿通することを特徴とする請求項12に記載の椅子脚カバーの製造方法である。
請求項14記載の発明は、前記底部材はその周縁部が内側に折り返されており、この折り返しの屈曲部を前記台座部の糸挿通穴の略真上に位置させ、前記底部材と台座部を縫着するための底部材の前記糸挿通及び糸返し挿通を、前記折り返し屈曲部或いはその近傍でなすことを特徴とする請求項12又は13に記載の椅子脚カバーの製造方法である。
これらの発明を提供することにより、上記課題を悉く解決する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
まず、本発明の第1実施形態に係る椅子脚カバーについて説明する。
図1は、第1実施形態に係る椅子脚カバーを示す斜視図である。図2は、図1に示す椅子脚カバーの側面図である。図3は、図1に示す椅子脚カバーを椅子脚先端部に装着した状態で示す側面図である。
第1実施形態に係る椅子脚カバー(1)は、床面(2)に当接する台座部(3)と、この台座部(3)の上面に直接的に取り付けられ上部が椅子脚挿入口(4)として開口する丸編みされた筒状の被覆部材(5)とからなる。
以下、これら構成要素について詳説する。
【0009】
台座部(3)は、椅子(6)(図7参照)の荷重を受け、その荷重を床面(2)に伝えるものである。台座部(3)の材質は特に限定されるものではなく、例えば、合成皮革製のシート材であってもよいが、できれば、床面上でスライドさせることを考慮して、摩擦係数の小さい固体潤滑部材を用いることが好ましい。この固体潤滑部材の材質は、摩擦係数が小さく且つある程度の強度を有するものであれば特に限定はされないが、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等を採用することができ、中でもポリエチレンを、最も好適に使用することができる。
ポリエチレンは適度な硬さを有しているので摩擦係数が小さく、床面(2)上をスムースにスライド移動することができ、また台座部(3)と床面(2)との間に異物が挟まった状態で椅子をスライド移動させても、床面(2)は傷つかずに台座部(3)が傷つくことになり、誤って床面(2)を傷つけることがない。
【0010】
台座部(3)を固体潤滑部材で構成する場合、図4乃至6に例示する如く、台座部(3)には、被覆部材(5)との縫着を可能にする複数の糸挿通穴(7)と、隣合う糸挿通穴(7)同士を結ぶように該台座部(3)の外面側に設けられた糸収納溝(8)とが形成されることが好ましい。
糸挿通穴(7)は複数個設けられるが、その数や位置は特に限定されるものではない。図示例においては、糸挿通穴(7)は、台座部(3)の周縁部に沿って相互に等間隔で配設されている。台座部(3)と被覆部材(5)の縫着は、手縫いの他、ミシンを用いた機械縫いで行ってもよい。
【0011】
糸収納溝(8)は、隣り合う糸挿通穴(7)を結ぶように設けられた縫着糸(9)の、台座部(3)の外側に配される部分を収納する部分である。糸収納溝(8)の深さは、縫着糸(9)を収納できる程度であれば特に限定されない。この様な構成とすれば、台座部(3)を床面(2)に当接させても縫着糸(9)は床面(2)に当接しないので、縫着糸(9)が床面(2)に当たって擦り切れるのを防止することができる。
なお、図示例における台座部(3)は、平面視円形状となっているが、四角形状等の他の形状を採用してもよく、また、その平面視形状を被覆部材(5)の平面視形状と同じにすることが、製造の容易性、強度、使用の容易性等の点で好ましい。
【0012】
被覆部材(5)は、椅子脚(10)の先端部周面を包囲被覆するものである。被覆部材(5)は、伸縮性生地から構成されている。伸縮性生地は、丸編み機、例えば靴下編み機によって丸編みされた生地である。本発明においては、この丸編みは、ゴム編み地によって構成されている。一般に、丸編みを構成する編み方には平編み等種々のものが存在しているが、本発明で用いるゴム編みは、他の編み地に比べて横方向の伸び率が著しく良好であり、その方向に著しい弾力性を有している。このゴム編み地を構成する糸の種類は特に限定されず、例えば、木綿100%の繊維で構成してもよいが、できれば、伸縮性に優れた繊維、例えばポリウレタン繊維等の弾性繊維を含んだ構成となっていることが好ましい。弾性繊維は、ポリウレタン繊維の場合には500%(6倍)以上もの伸び率を示す繊維である。このような弾性繊維を例えば20%含んだ編み地とすることにより、上記したゴム編み地の優れた伸縮性を一層優れたものとすることができる。
【0013】
この被覆部材(5)は、一端部或いは両端部が開口された筒状(図5,6に示す例では両端部が開口)に形成される。ゴム編みされた被覆部材(5)は、編み地の縦方向及び横方向の双方に大きな伸縮性を有しており、特に、横方向に極めて大きな伸縮性を有している。これにより、細い径の椅子脚先端部から太い径の椅子脚先端部に至るまで、種々の径の椅子脚先端部に密着状態で装着することができる。椅子脚先端部が円柱状、四角柱状等の柱状、或いは球状等の種々の形状になっていても、それら椅子脚先端部の周面略全体に確実に密着することができる。特に、椅子脚先端部が球状である場合、被覆部材(5)は、径方向へ要求される伸びが軸長方向の部位毎に相違し、部分的に著しい伸びを要求されるが、本発明のようにゴム編みによる丸編み生地で構成することにより、その要求を確実に満たし、各部位において確実に密着することができる。
【0014】
被覆部材(5)が、その両端部で開口する無底型のものである場合、一方の開口端周縁部を径方向内側に折り曲げて、内向きの鍔状部(11)(図5,6参照)を形成し、この鍔状部(11)を台座部(3)に縫着することができる。
被覆部材(5)が、その一端部で開口する有底型のものである場合、その底部を台座部(3)に縫着することができる。
台座部(3)上には、緩衝部材(13)が設けられていることが好ましい。緩衝部材(13)を設けることにより、椅子脚(10)の先端面が緩衝部材(13)に当接するので、椅子を床面(2)上に置くときの、椅子脚(10)が床面(2)に与える衝撃を和らげることができる。
緩衝部材(13)は、例えば、スポンジや綿を布地で覆ったものから構成することができる。緩衝部材(13)は、台座部(3)上に種々の方法で取り付けることができ、例えば縫着によって取り付けることができる。
【0015】
被覆部材(5)は、種々の形状・大きさの椅子脚先端部を完全に包囲被覆しつつ、この先端部の周面略全体に確実に密着することができるので、椅子(6)を床面(2)上で引き摺るようにスライドさせても、被覆部材(5)が椅子脚先端部に対して位置ずれすることがなく、また椅子脚先端部に対する被覆部材(5)の滑り(椅子脚の軸長方向及び径方向の双方の滑り)を防止することができる。また、ゴム編みによって丸編み(すなわちフライス編み)された被覆部材(5)は、縦方向つまり軸長方向にも大きな伸縮性を有しているので、種々の長さの椅子脚先端部を確実に被覆することができる。
【0016】
第1実施形態に係る椅子脚カバー(1)の製造方法について説明する。
第1実施形態に係る椅子脚カバー(1)の製造方法は、床面(2)に当接する台座部(3)を設ける工程と、この台座部(3)の上面に直接的に取り付けられ上部が椅子脚挿入口(4)として開口する丸編みされた筒状の被覆部材(5)を設ける工程と、これら台座部(3)と被覆部材(5)を直接的に結合する工程とからなる。
前記丸編みは、編地の縦方向及び横方向の双方に大きな伸縮性を有し特に横方向に極めて大きな伸縮性を有するゴム編みによるものである。
台座部(3)は、固体潤滑部材で形成されることが好ましい。また、前述のように、台座部(3)には、被覆部材(5)との縫着を可能にする複数の糸挿通穴(7)と、隣合う糸挿通穴(7)同士を結ぶように該台座部(3)の外面側に設けられた糸収納溝(8)とが形成されることが好ましい。この糸挿通穴(7)及び糸収納溝(8)を用いた縫着方法は、前述の通りである。
【0017】
次に、この椅子脚カバー(1)の使用方法について図面を参照しつつ説明する。ここでは、台座部(3)を固体潤滑部材で構成した場合を例にとって説明する。
まず、被覆部材(5)の開口部を広げ、その開口部から椅子脚(10)の先端部を挿入する。図5,6に示す如く、椅子脚(10)の先端面を緩衝部材(13)に当接させて、椅子脚カバー(1)を椅子脚(10)の先端部に装着する。次いで、台座部(3)が床面(2)に当接するように床面(2)上に椅子(6)を設置する。
【0018】
椅子(6)を移動させる場合には、椅子(6)を床面(2)に沿って引っ張るか、あるいは押すことにより、台座部(3)が床面(2)上をスムースにスライドするので、椅子(6)を容易にスライド移動させることができる。このとき、椅子脚(10)の先端部は、その周面略全体が被覆部材(5)にぴったりと密着保持されているので、台座部(3)と被覆部材(5)の縫着部にはその全周において常に略均等な力がかかり、これらを繋ぐ縫着糸(9)に無理な力がかからず、縫着糸(9)の劣化を防止することができる。また、椅子脚(10)の先端部の周面略全体が被覆部材(5)にぴったりと密着保持されることで、椅子脚(10)の先端部が台座部(3)上で位置ずれせず、台座部(3)上の緩衝部材(13)が摩擦等で劣化するのを防止することができる。
【0019】
尚、本発明においては、台座部(3)の材質に拘らず、該台座部(3)と被覆部材(5)は、必ずしも糸で縫着する必要はなく、例えば接着剤で固着することも可能である。
また、台座部(3)を固体潤滑部材で構成する場合、必ずしも糸挿通穴(7)や糸収納溝(8)を設ける必要はない。これらを設けない場合には、例えば接着剤で台座部(3)と被覆部材(5)を固着することができる。糸挿通穴(7)のみを設ける場合には、この糸挿通穴(7)と被覆部材(5)に縫着糸(9)を挿通して台座部(3)と被覆部材(5)を縫着することができる。
台座部(3)に更に糸収納溝(8)を形成する場合には、隣り合う糸挿通穴(7)を結ぶように設けられた縫着糸(9)の、台座部(3)の外側に配される部分を、糸収納溝(8)内に収納することができる。
また、図示例では全ての糸挿通穴(7)と全ての糸収納溝(8)に縫着糸(9)を配しているが、本発明においては、一部の糸挿通穴(7)と一部の糸収納溝(8)に縫着糸(9)を配して台座部(8)と被覆部材(5)を縫着してもよい。
【0020】
次に、本発明の第2実施形態に係る椅子脚カバー及びその製造方法について、図8乃至11を参照しつつ説明する。
第1実施形態に係る椅子脚カバー(1)では、台座部(3)と被覆部材(5)は直接的に結合されているが、第2実施形態では、台座部(3)と被覆部材(5)は間接的に結合されている。
その他の構成については、第1実施形態と略同様である。
【0021】
台座部(3)と被覆部材(5)の間には、少なくとも面方向へ難伸縮性を示す底部材(14)が設けられ、台座部(3)には、底部材(14)との縫着を可能にする複数の糸挿通穴(7)が形成されている。
被覆部材(5)は底部材(14)と直接縫着され、台座部(3)は底部材(14)と直接縫着されている。
つまり、この実施形態では、台座部(3)と底部材(14)、台座部(3)と被覆部材(5)は、個別に結合されている。
【0022】
少なくとも面方向へ難伸縮性を示す底部材(14)は、図9に例示する如く、通常、難伸縮性の生地(布地)(15)から構成され、場合によっては2枚の該生地(15)の間に接着剤等の固着手段によってシート状のクッション材(16)を一体的に挟着したものとされる。クッション材(16)は、例えば柔軟性のある各種スポンジ体によって構成することができる。
この底部材(14)は、被覆部材(5)と違って面方向への伸縮性が小さいので、台座部(3)に設けられた糸挿通穴(7)の数が多くなくても、該台座部(3)としっかりと強固に縫着することができる。
底部材(14)と被覆部材(5)は、手で縫い合わされてもよいが、できればミシンによる機械縫いでなされることが縫い付け強度向上の面等で好ましい。
縫い付けの順序としては、通常、被覆部材(5)の一方の開口端部と底部材(14)を縫い合わせた後、この底部材(14)に台座部(3)を縫い付けることが好ましい。
【0023】
図8に例示する如く、被覆部材(5)は通常、底部材(14)と結合される側の端部が内側(径方向内向き)に鍔状に折り曲げられ、鍔状片(16)が形成される。底部材(14)は通常、被覆部材(5)と結合される側にその周縁部が内側(径方向内向き)に折り返され、この折り返しの屈曲部(19)を介して折り返し片(17)が形成される。被覆部材(5)に形成した上記鍔状片(16)と底部材(14)に形成した上記折り返し片(17)が相互に縫い合わされる。
折り返し屈曲部(19)は台座部(3)の糸挿通穴(7)の略真上に位置する。底部材(14)と台座部(3)を縫着するための底部材(14)の糸挿通及び糸返し挿通(後述する)は、折り返し屈曲部(19)或いはその近傍でなされる。
折り返し屈曲部(19)を台座部(3)の糸挿通穴(7)の略真上に位置させることで、糸挿通穴(7)から上向きに出た縫着糸(9)を底部材(14)の折り返し屈曲部(19)或いはその近傍に挿通し、次にこの糸(9)を同じ糸挿通穴(7)に向けて返し挿通することができる。もし、折り返し屈曲部(19)が糸挿通穴(7)に対し外側にずれた位置にあると、縫着糸(9)を底部材(14)のみに挿通することが難しくなる。逆に、折り返し屈曲部(19)が糸挿通穴(7)に対し内側にずれた位置にあると、縫着糸(9)を底部材(14)に挿通すること自体が難しくなる。
尚、糸挿通穴(7)から上向きに出た縫着糸(9)を底部材(14)の折り返し屈曲部(19)或いはその近傍に挿通するとき、該縫着糸(9)を底部材(14)内部で反転させ返し挿通してもよいし(図8参照)、或いは縫着糸(9)を底部材(14)を突き抜けてその外部で反転させ返し挿通してもよい(図11参照)。双方の場合とも、縫着糸(9)は被覆部材(5)にまで達しない。
【0024】
図10は、台座部(3)と底部材(14)の縫着の状態を示す概略断面図であり、台座部(3)の各糸挿通穴(7)を結ぶ方向に切断した状態で示している。尚、図10(a)は、図8に示される糸挿通状態(縫着糸(9)を底部材(14)内部で反転させる場合)に対応しており、図10(b)は、図11に示される糸挿通状態(縫着糸(9)を底部材(14)外部で反転させる場合)に対応している。
台座部(3)と底部材(14)の縫着においては、台座部(3)の糸挿通穴(7)から底部材(14)に縫着糸(9)を挿通し、この挿通した糸(9)を底部材(14)から同じ糸挿通穴(7)に返し挿通し、この返し挿通した糸(9)を隣の糸挿通穴(7)から底部材(14)に挿通し、以下同様に糸の返し挿通及び挿通がなされていることが好ましい。
各糸挿通穴(7)毎に糸(9)を底部材(14)に挿通し、続けて返し挿通するこの縫い方によれば、椅子脚カバー(1)使用中に糸(9)がどこかで切れても、糸(9)の抜けが挿通及び返し挿通の箇所で止まり、糸(9)が抜けていくのを防ぐことができる。
【0025】
また、図10に例示する如く、一又は複数の糸挿通穴(7)において、台座部(3)の糸挿通穴(7)から底部材(14)に縫着糸(9)を挿通しこの挿通した糸(9)を同じ糸挿通穴(7)に対応する位置(18)において底部材(14)下側に返し挿通し、その返し挿通した糸(9)を同じ糸挿通穴(7)対応位置(18)において再度底部材(14)に挿通しその挿通した糸(9)を同じ糸挿通穴(7)対応位置(18)において再度底部材(14)下側に返し挿通し、この再度行った糸挿通及び返し挿通が少なくとも1回なされ、その後底部材(14)下側に挿通した糸(9)を底部材(14)において同じ糸挿通穴(7)に挿通していることが好ましい。
このように糸(9)の挿通及び返し挿通を同一箇所で連続して複数回行う方法によれば、糸(9)の抜けが更に生じにくい。
尚、糸(9)の挿通及び返し挿通を複数回行う箇所(18)は、糸挿通穴(7)の複数個おきに設定することができる。例えば、1個おき、2個おき、3個おき、4個おき、等とすることができる。
【0026】
この第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、被覆部材(5)と台座部(3)を、第1実施形態よりも強固に一体化することができ、耐久性を向上させることができる。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、椅子脚の先端部は、その周面略全体が被覆部材にぴったりと密着保持されるので、椅子脚の先端部の周面略全体が被覆部材にぴったりと密着保持されることで、椅子脚の先端部が台座部上で位置ずれしない。従って、椅子脚カバー内底部(例えば緩衝部材)の劣化を防止することができ、更に椅子脚カバーが椅子脚からずれ落ちるのを半永久的に防止することができ、台座部と被覆部材の結合の耐久性を高めることもできる。
台座部と被覆部材を縫着する場合には、縫着部全周において常に略均等な力がかかり、これらを繋ぐ縫着糸に無理な力がかからず、縫着糸の劣化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る椅子脚カバーを示す斜視図である。
【図2】図1に示す椅子脚カバーの側面図である。
【図3】図1に示す椅子脚カバーを椅子脚先端部に装着した状態で示す側面図である。
【図4】図1に示す椅子脚カバーを台座部側から見た底面図であり、(a)は同底面図、(b)は(a)の部分拡大図である。
【図5】図4(b)に示す椅子脚カバーのA−A線断面図である。
【図6】図4(b)に示す椅子脚カバーのB−B線断面図である。
【図7】本発明に係る椅子脚カバーを椅子脚に取り付けた状態で示す図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る椅子脚カバーの底部付近を示す断面図であり、縫着の一例を示す図である。
【図9】本発明における底部材を示す断面図である。
【図10】第2実形態における台座部と底部材の縫着の状態を示す概略断面図であり、(a)は、図8に示される糸挿通状態に対応しており、(b)は、図11に示される糸挿通状態に対応している。
【図11】本発明の第2実施形態に係る椅子脚カバーの底部付近を示す断面図であり、縫着の他の例を示す図である。
【符号の説明】
1・・・・・椅子脚カバー
2・・・・・床面
3・・・・・台座部
4・・・・・椅子脚挿入口
5・・・・・被覆部材
7・・・・・糸挿通穴
8・・・・・糸収納溝
14・・・・底部材
19・・・・折り返し屈曲部
Claims (14)
- 椅子脚の先端部をカバーする椅子脚カバーであって、床面に当接する台座部と、この台座部の上面に直接的或いは間接的に取り付けられ上部が椅子脚挿入口として開口する丸編みされた筒状の被覆部材とからなり、前記丸編みは、編地の縦方向及び横方向の双方に大きな伸縮性を有し特に横方向に極めて大きな伸縮性を有するゴム編みによるものであり、ゴム編みされた被覆部材は、椅子脚先端部を完全包囲しつつこの先端部の周面略全体に確実に密着し、該先端部に対する被覆部材のずれを確実に防止することを特徴とする椅子脚カバー。
- 前記台座部が固体潤滑部材からなることを特徴とする請求項1に記載の椅子脚カバー。
- 前記台座部には、前記被覆部材との縫着を可能にする複数の糸挿通穴が形成され、この糸挿通穴の一部又は全部と被覆部材に縫着糸を挿通して前記台座部と被覆部材が縫着されていることを特徴とする請求項2に記載の椅子脚カバー。
- 前記台座部には、隣り合う糸挿通穴同士を結ぶように該台座部の外面側に糸収納溝が形成され、隣り合う糸挿通穴を結ぶように設けられた縫着糸の、台座部の外側に配される部分は、前記糸収納溝内に収納されてなることを特徴とする請求項3に記載の椅子脚カバー。
- 前記台座部と前記被覆部材の間には、少なくとも面方向へ難伸縮性を示すシート状底部材が設けられ、前記台座部には、前記底部材との縫着を可能にする複数の糸挿通穴が形成され、前記被覆部材が前記底部材と直接縫着され、前記台座部が前記底部材と直接縫着されていることを特徴とする請求項2に記載の椅子脚カバー。
- 前記台座部と前記底部材との縫着において、前記台座部の糸挿通穴から前記底部材に縫着糸を挿通し、この挿通した糸を前記底部材から同じ糸挿通穴に返し挿通し、この返し挿通した糸を隣の糸挿通穴から前記底部材に挿通し、以下同様に糸の返し挿通及び挿通がなされていることを特徴とする請求項5に記載の椅子脚カバー。
- 一又は複数の前記糸挿通穴において、前記台座部の糸挿通穴から前記底部材に縫着糸を挿通しこの挿通した糸を同じ糸挿通穴に対応する位置において底部材下側に返し挿通し、その返し挿通した糸を同じ糸挿通穴対応位置において再度底部材に挿通しその挿通した糸を同じ糸挿通穴対応位置において再度底部材下側に返し挿通し、この再度行った糸の挿通及び返し挿通が少なくとも1回なされ、その後に底部材下側に挿通した糸を前記底部材において同じ糸挿通穴に挿通していることを特徴とする請求項6に記載の椅子脚カバー。
- 前記底部材はその周縁部が内側に折り返されており、この折り返しの屈曲部は前記台座部の糸挿通穴の略真上に位置し、前記底部材と台座部を縫着するための底部材の前記糸挿通及び糸返し挿通は、前記折り返し屈曲部或いはその近傍でなされていることを特徴とする請求項6又は7に記載の椅子脚カバー。
- 椅子脚の先端部をカバーする椅子脚カバーの製造方法であって、床面に当接する台座部を設ける工程と、この台座部の上面に直接的或いは間接的に取り付けられ上部が椅子脚挿入口として開口する丸編みされた筒状の被覆部材を設ける工程と、これら台座部と被覆部材を直接的或いは間接的に結合する工程とからなり、前記丸編みは、編地の縦方向及び横方向の双方に大きな伸縮性を有し特に横方向に極めて大きな伸縮性を有するゴム編みによるものであることを特徴とする椅子脚カバーの製造方法。
- 前記台座部を固体潤滑部材で形成することを特徴とする請求項9に記載の椅子脚カバーの製造方法。
- 前記台座部に、前記底部材との縫着を可能にする複数の糸挿通穴を形成し、前記被覆部材の一端部に、該一端部を塞ぐように、少なくとも面方向へ難伸縮性を示すシート状底部材を縫着し、この底部材に前記台座部を縫着することを特徴とする請求項10に記載の椅子脚カバーの製造方法。
- 前記台座部と前記底部材との縫着において、前記台座部の糸挿通穴から前記底部材に縫着糸を挿通し、この挿通した糸を前記底部材から同じ糸挿通穴に返し挿通し、この返し挿通した糸を隣の糸挿通穴から前記底部材に挿通し、以下同様に糸の返し挿通及び挿通をなすことを特徴とする請求項11に記載の椅子脚カバーの製造方法。
- 一又は複数の前記糸挿通穴において、前記台座部の糸挿通穴から前記底部材に縫着糸を挿通しこの挿通した糸を同じ糸挿通穴に対応する位置において底部材下側に返し挿通し、その返し挿通した糸を同じ糸挿通穴対応位置において再度底部材に挿通しその挿通した糸を同じ糸挿通穴対応位置において再度底部材下側に返し挿通し、この再度の糸挿通及び返し挿通を少なくとも1回行い、その後に底部材下側に挿通した糸を前記底部材において同じ糸挿通穴に挿通することを特徴とする請求項12に記載の椅子脚カバーの製造方法。
- 前記底部材はその周縁部が内側に折り返されており、この折り返しの屈曲部を前記台座部の糸挿通穴の略真上に位置させ、前記底部材と台座部を縫着するための底部材の前記糸挿通及び糸返し挿通を、前記折り返し屈曲部或いはその近傍でなすことを特徴とする請求項12又は13に記載の椅子脚カバーの製造方法。
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JP2003054895A JP2004202184A (ja) | 2002-11-07 | 2003-02-28 | 椅子脚カバー及びその製造方法 |
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Cited By (2)
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KR100774882B1 (ko) | 2007-01-18 | 2007-11-08 | (주)생활낙원 | 의자 다리 보호 캡 및 그 제조 방법 |
CN103720554A (zh) * | 2013-11-27 | 2014-04-16 | 铜陵市经纬流体科技有限公司 | 一种医用床架脚套 |
-
2003
- 2003-02-28 JP JP2003054895A patent/JP2004202184A/ja active Pending
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